憲法審査会

2025-05-22 衆議院 全81発言

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会議録情報#0
令和七年五月二十二日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   会長 枝野 幸男君
   幹事 上川 陽子君 幹事 寺田  稔君
   幹事 船田  元君 幹事 山下 貴司君
   幹事 武正 公一君 幹事 津村 啓介君
   幹事 山花 郁夫君 幹事 馬場 伸幸君
   幹事 浅野  哲君
      井出 庸生君    稲田 朋美君
      井野 俊郎君    大野敬太郎君
      黄川田仁志君    小林 鷹之君
      柴山 昌彦君    新藤 義孝君
      葉梨 康弘君    平沢 勝栄君
      福田かおる君    古川 禎久君
      古屋 圭司君    細野 豪志君
      三谷 英弘君    森  英介君
      山口  壯君    山田 賢司君
      五十嵐えり君    岡田  悟君
      奥野総一郎君    階   猛君
      柴田 勝之君    平岡 秀夫君
      藤原 規眞君    松尾 明弘君
      谷田川 元君    吉田はるみ君
      米山 隆一君    青柳 仁士君
      阿部 圭史君    和田有一朗君
      岸田 光広君    福田  徹君
      河西 宏一君    浜地 雅一君
      平林  晃君    山口 良治君
      大石あきこ君    赤嶺 政賢君
      北神 圭朗君
    …………………………………
   参考人
   (東京大学大学院工学系研究科教授)        鳥海不二夫君
   参考人
   (桜美林大学リベラルアーツ学群教授)       平  和博君
   衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
 辞任         補欠選任
  平岩 征樹君     岸田 光広君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  小林 鷹之君     福田かおる君
  高市 早苗君     黄川田仁志君
  浜地 雅一君     山口 良治君
同日
 辞任         補欠選任
  黄川田仁志君     高市 早苗君
  福田かおる君     小林 鷹之君
  山口 良治君     浜地 雅一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(憲法改正国民投票法を巡る諸問題(ネットの適正利用、特にフェイクニュース対策))
     ――――◇―――――
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枝野幸男#1
○枝野会長 これより会議を開きます。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件、憲法改正国民投票法を巡る諸問題、ネットの適正利用、特にフェイクニュース対策について調査を進めます。
 初めに、去る四月十七日、国民投票広報協議会の具体的なイメージについて、会長、会長代理、幹事、オブザーバーによる意見交換会を行いましたので、その議論の概要を御報告いたします。
 最初に、広報協議会の事務に関する議論を御報告いたします。
 まず、議論を行うに当たっての視点として、広報協議会の性質を踏まえるべきとの指摘がありました。具体的には、広報協議会が憲法改正の発議後に設置され、事務局も臨時的に置かれること、つまり、ガイドライン策定などが現実的に可能なのかという点、政治家が、発議直後の状況下で、かつ、反対会派が少ない構成となり得る場において決定する機関であること、賛否平等の広報を行うことが法定されていること、以上の三点が挙げられました。
 なお、憲法改正の必要がない以上、広報協議会の議論も不要であるという意見や、広報協議会における公平公正の確保に疑義を呈する意見なども述べられました。
 また、現在議論されている広報協議会の事務は二つのカテゴリーに分けられることが指摘されました。すなわち、現行の国民投票法に規定された、広報協議会自身が行う広報、すなわち広報機能の具体化というカテゴリー、現行の国民投票法に規定されていない、広報協議会が他者の意見表明に何らかの形で関与する事務、すなわち新たな機能の追加というカテゴリーの二つです。
 これを踏まえ、以下、このカテゴリーごとに御報告していきます。
 まず、一つ目の、広報機能の具体化についてです。
 現行の国民投票法十四条一項において、広報協議会の事務として、国民投票公報の原稿作成、憲法改正案の要旨の作成、放送、新聞広告による広報に加え、同項四号に、その他の憲法改正案の広報に関する事務が規定されています。審査会の議論では、その他の憲法改正案の広報に関する事務として、インターネット広報や説明会の開催が提起されてきましたが、意見交換会でも、これらを含め、この四号の事務として実際に何を行うのかを具体的に議論する必要性が改めて指摘されました。
 次に、二つ目の、新たな機能の追加についてです。
 この議論に当たり、総論として、次のような指摘がありました。
 まず、この新たな機能の議論は、広報協議会の細目的事項を定める規程の詳細や、事務局の体制の在り方、つまり必要な人員等に影響するという点です。
 また、審査会でこれまで議論されてきた国民投票における放送、ネット等の問題と関連している、つまり、広報協議会の新たな機能として何を行うかは、放送、ネットの問題に関して、法規制を行うのか否か、どのように対応するのかについての結論と関連するという点です。
 さらに、特にフェイクニュース対策などSNS関係の議論は公職選挙法や社会問題にも関わるので、国民投票法に限った議論を行うべきであるという点や、客観的、公平公正という性格を有する広報協議会にふさわしい事務かという観点から議論を行うべきであるという点です。
 次に、広報協議会の新たな機能の具体的な内容についてです。
 これまでの放送、ネット等に関する議論の中で、広報協議会によるガイドラインの策定等の自主的取組の後押しや、事業者からの報告聴取、広報協議会のURLの優先表示等の一定の法的な義務づけなど、様々な方策が提起されており、意見交換会でも改めて各会派から提起されました。他方で、審査会で言及されていた広報協議会による削除要求については、表現の自由の観点から困難ではないかとの指摘がありました。
 また、国民投票への外国の干渉は重要な論点であり、憲法審査会を起点として、幅広く他委員会や各政党を巻き込んだ議論を提起してもよいのではないかとの指摘もありました。
 新たな機能に関し、意見交換会で特に議論があったのが、ファクトチェックとの関わり方です。
 この点、少なくとも投票過程に関する偽情報に対しては広報協議会が自らファクトチェックを行うべきとの意見もありましたが、広報協議会が自らファクトチェックを行うことは、表現の自由等の観点から困難ではないか、公権力の行使に当たるのでかなり精緻な議論が必要ではないかとの意見が述べられました。
 また、広報協議会がガイドラインでフェイクニュースの具体例を示すことは必要との意見が改めて述べられた一方、フェイクニュース対策は国民投票法に限らない議論が必要であることから、広報協議会がガイドラインを策定するかは議論が必要であることなど、ガイドラインの射程は論点の一つとの意見もありました。
 さらに、ファクトチェック団体と広報協議会との連携や、広報協議会が真偽の判定をするのではなく、事業者の通報を受け、必要に応じて正しい情報を公表すること、いわゆる付随的情報提供も改めて提起されました。この付随的情報提供のように、正しい情報を公表するという行為は、事前に基準を定めれば、ファクトチェックではなく、広報協議会自身が行う広報と位置づけることも可能かもしれないとの意見もありました。
 なお、新たな機能の条文の定め方については、新たな機能は国民投票法十四条一項各号の広報協議会自身が行う広報とは性質が異なることから、国民投票法に新たな条文を規定することも考えられるという指摘があった一方、諸外国の規定や、各省庁がガイドラインの策定等を行う根拠規定を参照して新たな規定の必要性を検討すべきとの意見もありました。
 これらに関連して、諸外国の国民投票運動における偽情報等対策について、国立国会図書館に調査をお願いしましたので、本日、調査報告書をお配りしています。
 以上の、広報機能の具体化と、新たな機能の追加の二つのカテゴリーの議論の順序についても意見が述べられました。
 ここまで御報告した議論を踏まえて、放送、ネット等に関する規制に広報協議会が関わること、すなわち、新たな機能の追加は簡単ではないという点は、意見交換会において大分集約できたところであり、まずは広報機能の具体化から議論を進めてはどうかとの提案がなされました。
 また、その他として、選挙管理委員会が行う国民投票の周知に広報協議会が連携することの議論の必要性、賛否平等の広報の在り方について検討するに当たり、公的広報に賛否平等の縛りがなかった大阪都構想の住民投票について検証する必要性、広報協議会の活動に必要な予算を積算して国民に明らかにする必要性も指摘されました。
 なお、審査会の毎週開催は不要であるとの意見や、最短で憲法改正発議をする場合のスケジュール感を示してほしいとの意見もありました。
 以上の広報協議会の事務そのものに関する議論とは別に、今後の議論の進め方についても議論がなされました。
 まず、改めて、憲法改正に対する考え方を問わず、広報協議会の細目的事項を定める規程の整備は必要であり、また、事務的な手続の整備なので、できるだけ早く行うべきであるとの意見がありました。
 規程の整備を含む広報協議会の議論については、審査会本体以外の場で制度設計等を議論すべきとの意見がありましたので、引き続き、幹事懇談会メンバーによる意見交換会の形式で進め、必要に応じて審査会本体に報告することとしたいと思います。
 また、広報協議会に関する諸規程は、両院議長協議決定という法形式で定められることになっているため、ある段階で衆議院と参議院で足並みをそろえる必要があることも、改めて認識を共有したところです。
 以上、意見交換会の概要を御報告いたしました。
    ―――――――――――――
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枝野幸男#2
○枝野会長 次に、参考人からの意見聴取及び参考人に対する質疑を行います。
 本日は、参考人として東京大学大学院工学系研究科鳥海不二夫教授及び桜美林大学リベラルアーツ学群平和博教授に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。参考人それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。
 本日の議事の順序について申し上げます。
 まず、鳥海参考人、平参考人の順に、それぞれ御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際はその都度会長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑することはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 御発言は着席のままでお願いいたします。
 それでは、まず鳥海参考人、お願いいたします。
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鳥海不二夫#3
○鳥海参考人 東京大学の鳥海です。よろしくお願いいたします。
 本日は、憲法審査会という非常に重要な場にお呼びいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、私の方から、本日は、デジタル情報空間における偽・誤情報の拡散ということにつきまして、データ分析の観点から、我々が持っている知見についてお話しさせていただきたいと思います。
 なお、私は、計算社会科学という分野の研究を行っておりますので、そのほかの部分につきましてはなかなか、政治等、法律等については専門ではないので、その辺に関しては余りお答えできない部分もございますけれども、御了承いただければと思います。
 それでは、資料の方を御覧いただければと思います。
 まずは、「偽誤情報の拡散ルート」というページがございますので、そちらを御覧いただければと思います。
 現在、様々な調査によって、偽・誤情報がどのように国民に伝わっているのかというところを調査されておりますけれども、調査の結果から、偽・誤情報の受信は主にSNS、ネットニュース、動画共有サービスといったところが多いということが分かっております。
 発信する側は対面等での発信が多いということが分かっておりますが、対面は家族等に個人的に伝わるだけなのに対して、SNS上に拡散されたものというのは大量の人に伝わるという意味で影響力が大きいということが現在分かっております。
 次のページに行きまして、「偽誤情報の拡散の性質」というところについての、サイエンスという論文誌に掲載されている論文のデータを少し御紹介したいと思います。
 こちらは、偽・誤情報といったものと正しい情報といったものがインターネット上でどのように拡散しているのかというものを調査したものになりますが、ここで、偽・誤情報の方は、深さ、どのぐらいの人まで何ステップで伝わっていくのかといったことであったり、その規模、幅、速度あるいは到達人数等の観点で、そういった偽・誤情報の方が正しい情報よりも広がりやすいということが分かっております。
 偽・誤情報というのは、偽物の情報ですので自由につくれるということから、より人々の心に訴求するような内容を多く入れることができるということで、人々の関心を得やすいというのが大きな要因ではないかというふうに考えられております。
 続きまして、「偽誤情報の拡散の背景要因」というところを少しお話しさせていただきたいと思います。
 現在の情報空間というのは、通常の、これまでのいわゆるオールドメディアと言われるマスメディアのほかに、ソーシャルメディアであるとかネットメディアと呼ばれるようなものが複雑に絡み合って存在しているわけですけれども、そういったものが存在することによって、これまでになかった新しい社会現象というのが生まれております。
 その中で、キーワードとなるものが三つございます。
 一つが、アテンションエコノミーと呼ばれるもので、関心経済と日本語では言いますけれども、これは、ネット空間の情報というのが広告収入モデルによって人々に伝えられているというのが大きな要因で起きている、現在のネット空間を支配している経済原理ということになります。
 広告収入のモデルによって我々は情報を見ているのですけれども、それによって、人々の関心を集める、特定のところにアクセスが増えることによって経営している人に収入が入るというようなシステムに現在なっております。そのため、我々の関心をいかに得るのかということが経済的なインセンティブに直結しているというのがこのアテンションエコノミーの本質ということになります。
 ただ、これによって、関心さえ得られれば質を問わない情報提供というのを求めてしまうということがございます。これがアテンションエコノミーという一つ目のキーワード。
 二つ目が、エコーチェンバーと呼ばれるものになります。
 人々は同じような価値観の意見を好むために、同じような意見を持った人たちが集まりがちであるというところで、特に現在SNSが様々なところで利用されておりますけれども、SNSでは同じ価値観を持つユーザーが容易に発見できることから、同じ人たちが集まりがちであるということになります。そのため、同一の価値観を持つコミュニティーが形成されるということが起きまして、これをエコーチェンバーというふうに呼んでおります。
 エコーチェンバーの中にいますと、視界に入る範囲では皆同じ意見を持っており、多様な意見に接する機会を喪失するというおそれがあると言われております。
 三つ目が、フィルターバブルと言われる現象です。
 こちらは、エコーチェンバーと類似してはいるんですけれども、同じように、多様な情報に接する機会を喪失するものではありますが、その要因が、推薦システムなどのアルゴリズムによってつくられる、AIによって、我々が情報に接触するところが制限されてしまうといったところがございます。つまり、AIによって、我々が見る情報に偏りが生じてしまうという現象ですね。これをフィルターバブルというふうに呼びます。
 これら三つのものが要因で偽・誤情報というのが拡散しがちであるということが言われております。
 一つ目、アテンションエコノミーについてもう少し詳しく説明させていただきます。
 「アテンションエコノミーと情報提供」というページでございますけれども、右側にグラフを描いておりますけれども、こちらはユーチューブの動画の投稿数と再生数というふうに書いております。
 右側のグラフの上側が、とある選挙において候補者Aを支持するような動画の投稿数を示したものになりますけれども、再生回数が増えると動画の投稿数が増えているということがこちらから見て取れます。下側は、この候補者に対して支持しない動画の再生数と投稿数なんですけれども、再生数が伸びないと投稿数が増えないということが実際に起きていました。こちらは必ずしも偽・誤情報の話ではないんですけれども、再生数が増えると動画の投稿数が増える、これはまさにアテンションエコノミーの影響ということが言えるかなと思います。
 この際、特定の内容であれば偽・誤情報であっても再生数が伸びるということであれば、そちらを投稿するインセンティブがここに存在してしまうということを示しているかなと思います。つまり、アテンションを獲得できる情報が大量に投稿される、これが偽・誤情報が広まる要因になり得るということになるかなと考えられます。
 このとき、動画投稿サイト等の問題点といたしまして、信頼の非対称性というのがございます。マスメディア等では、信頼確保のために十分に裏づけを取った情報というのを発信しているわけですけれども、そのためには非常に大きなコストがかかるということで、多くの情報を提供できない。一方で、動画サイト等では、余り正しくないかもしれない情報であってもそれほど気にせずに投稿することができるために、しかも大量の人が投稿することができるということで、誤った情報であっても大量に投稿されてしまうということが生じ得る。わざわざ投稿するのは金銭的な収入のためであるということを考えますと、アテンションエコノミーは大きな影響を与えていると言うことができるかと思います。
 次のページに行きまして、こちらはエコーチェンバーの話となります。
 このエコーチェンバーという現象が発生しますと、我々は特定のコミュニティーの中に入ってしまう可能性があるんですけれども、ここで、偽・誤情報をよく拡散する人たちのコミュニティーというのが実際に存在していることが分かっておりまして、かつ、そのコミュニティーにおいては、特定の偽・誤情報だけではなくて、それ以外の偽・誤情報も発信しがちであるということが分かっております。
 右側のグラフは、ワクチンに関係するような情報に関する発信者がそのほかの偽・誤情報に対してどのような態度を取っていたのかというのを示しているものですけれども、ワクチンに関する偽・誤情報、ここで偽・誤情報と言っているものは、国や公的機関が発信している正しいと言われている情報ではないものを偽・誤情報としておりますけれども、そういったものを発信している方というのは、それ以外の情報に関しても偽・誤情報を発信しがちであるということが分かっております。
 こういったコミュニティーにいることによって、偽・誤情報の連鎖にのまれる可能性というのがあります。訂正情報に接する機会がない、訂正情報との接触を避けるようになる、あるいは、確証バイアスと呼ばれるものが人間にはありますけれども、信じている情報と矛盾しない情報を信じやすいということで、そういう情報がたくさん来ることによってより信じるようになったり、そのコミュニティーの中で信じられているものを外部から否定されると、自分が好きなものを否定されると否定してきたものを拒否するという認知的均衡と呼ばれる人間のバイアスが働いて、より強固に反対するようになってしまうといったような可能性が考えられます。
 そして、次のページですけれども、こういったコミュニティーに入った場合、この偽・誤情報コミュニティーからの脱出は非常に困難であるということが分かっています。
 こちらは先ほどと同じワクチン関連情報のコミュニティーの方たちについて分析したものですけれども、二〇二〇年の一月に偽・誤情報発信率の高いグループに所属していた方は、二〇二一年の十二月にも同じグループに存在し続けている、九五%は変化がないということが分かっております。この間に様々なことがあったにもかかわらず、一度こういったコミュニティーに入ると、なかなか出づらい。これは様々なところで、家族でさえこういったものは説得が難しいということが分かっておりますので、こういったコミュニティーというのは一度入るともう出ることはできないというふうに考えた方がいいかなと。
 一度落ちた人を救うためには非常に高いコストがかかるため、こういったコミュニティーにそもそも入らないようにするためのコストをかける必要があるのではないかというふうに現在考えられております。
 次のページに行きまして、こちらはフィルターバブルのお話となります。
 こちらは、フィルターバブルというものが情報を偏らせるよというお話なんですけれども、この右上のグラフは、動画共有サイトで特定の動画を見るとどのような動画が推薦されるのかというのを示したグラフになりますが、とある何らかのカテゴリーの動画を見ると、推薦される動画のほとんどがそのカテゴリーになるということがこちらの調査から分かっております。
 さらに、こういった偏った情報ばかりが動画サイト等で提供されることによって、これが特定の、例えば先ほど申し上げたような偽・誤情報のコミュニティーへの入口になってしまうというような可能性があるということが分かっております。
 我々の調査でも、不誠実な陰謀論者というふうに呼んでいますけれども、初めに申し上げたアテンションエコノミーのために、陰謀論のようなものをお金もうけのために投稿している方たちというのが一定数いるんですけれども、そういった動画を楽しんで見ているうちに、本当の陰謀論を信じている方たちの動画まで到達してしまって、そちらのコミュニティーにのまれてしまうことがあるということで、フィルターバブルというのが偽・誤情報の拡散に大きな影響を与えているということが分かっております。
 では、続きまして、偽・誤情報に対して訂正をするというお話と、その限界についてお話ししたいと思います。
 まず、偽・誤情報と訂正情報ということを考えますと、偽・誤情報に対しては、やはり訂正をするということが最も重要であるということは分かっております。
 その訂正情報をどこから見ているのかというのに関しましては、調査の結果から、やはり旧来のメディア、テレビや新聞というのが正しい情報の主な情報源になっているということが分かっております。これは、必ずしもテレビや新聞を見るということではなく、こういったところがネットに発信しているものを見るということも多々含まれてはおりますけれども、こういった信頼性の高いメディアというところが重要な情報源となっており、特に日本はメディアの信頼性が諸外国に比べると高いということが調査で分かっております。ニュースを信頼する方が四三%、信頼しないという方は一六%しかいないということで、現在でもマスメディアへの信頼は高いので、これを維持するというのは、訂正情報を流す上で非常に重要なことかなというふうに考えられております。
 また、日本特有の条件でいいますと、日本においては、先ほど偽・誤情報の方が拡散が早いというお話をしましたけれども、特定のジャンルの話に限るのかもしれませんけれども、必ずしも偽・誤情報の方が拡散が早いというわけではないということも分かっておりまして、訂正情報が比較的早く日本では拡散されているという事実もございますので、やはりファクトチェックというのは一定の効果があるということが考えられます。
 ただ一方で、ファクトチェックがあれば全ての問題が解決するかというと、そうではないということも分かっておりまして、例えば、訂正情報がかえって社会的混乱をもたらすという事例も存在しました。
 これは、具体例としましては、二〇二〇年、新型コロナが始まった頃、トイレットペーパーが品切れになるというようなデマが出回ったことがあるんですけれども、その際に、すぐに訂正情報が拡散されたにもかかわらず、トイレットペーパーの品切れが各所で起きたという事実がございます。これは、訂正情報がかえって人々の行動をコントロールしてしまったというところがございます。
 その要因としましては、例えば、多元的無知と呼ばれる人間の心理的バイアス、つまり、自分は正しい情報を知っているけれどもほかの人は知らないに違いないと思うと、知らない人が多数の場合に、正しい行動というのを取ってしまうというようなことがあり得るであったり、トイレットペーパーの案件は多元的無知と呼ばれるものがあったのかなと考えられますけれども、それ以外の場面でも、バックファイア効果、例えば、自分の考えを否定されると、かえって強固にそれを信じてしまうであるとか、個人の認知要素間の整合性を保とうとする、要は、信じている情報を偽・誤情報だとするメディアにかえって不信感を持ってしまうというようなことが起きてしまうということが分かっております。
 次のページに行きまして、またもう一つ、情報訂正の限界というものに時間的限界というのがございます。
 訂正情報というのは一定の効果があるということは分かっておりまして、こちらは新型コロナのワクチンに関する偽・誤情報に関するお話ですけれども、右側にグラフを示しておりますが、これは、ソーシャルメディアのX上、当時はツイッターですね、に流れた偽・誤情報が全体の関連する情報の中に占める割合を示したグラフとなります。二〇二一年頃から新型コロナワクチンに関する情報がたくさん出始めまして、その中に一定数の偽・誤情報があったんですけれども、ある程度、訂正情報を国等が出すことによって訂正ができたということが分かっております。
 ただ一方で、その後、ワクチンに関する話題が低下すると、皆さんが興味をなくしてくると、反対する側の方たちだけが、自分たちの意見が通っていないので情報を発信し続けるということが起きまして、現時点では、反対派の情報、ワクチンに関する偽・誤情報の方がより多くネット上には拡散しているという状況になっております。ですので、今からワクチンに関して情報を調べると、多くの場合、誤った情報に接してしまう可能性があるということが分かっております。したがって、コストをかけて長期の訂正というのは行っていく必要がある。偽・誤情報の根絶は極めて困難であると言うことができると思います。
 では、こういった偽・誤情報に対する包括的な対策として何が必要なのかというところを考えていきたいと思います。
 大きくは、ユーザーリテラシーを向上させること、また、ユーザーをきちんと支援すること、そして、プラットフォーマーへの規制を行うことという三点が考えられるかと思います。
 では、リテラシー向上の方に行きたいと思います。
 リテラシーの向上という観点から考えますと、現在のリテラシー状況がどうかということを考えますと、右上にグラフを描いておりますけれども、フェイクニュース、偽・誤情報といったものに関しては認知率は高いんですけれども、先ほど御説明しました例えばアテンションエコノミー等の認知率というのは二〇%を下回っているということで、現在、そこまでリテラシーが高いとは言えない。ちなみに、他国での調査ですと、アテンションエコノミー等の認知率は五〇%程度あるということで、日本は極めて低いと言えるかなと思います。一方で、不安は感じているというところではあります。
 では、プラットフォーマーが偽・誤情報の対応ができるのかということに関しましては、メタ社が第三者ファクトチェックプログラムに関して方針を転向するなどのこともございまして、こちらに全てをお任せするのはかなり難しい状況ということで、やはり、情報リテラシー、メディアリテラシーというのをきちんと考えていく必要はあるだろうと考えられます。
 ただ一方で、こちらもやはり限界がございまして、人間は理性的な行動を取るのが苦手というふうに言われております。人間の考えには、二重過程理論と呼ばれる行動経済学の理論によると、本能であるシステム1と、理性であるシステム2という二つのシステムがございますが、基本的には本能で動いてしまうために、理性的に一々ファクトチェックをするというのはなかなか難しいということで、事実、ファクトチェックを行ったことがない方が四七%、そもそもファクトチェックのやり方を知らない方が六四%ということが分かっております。したがって、ファクトチェックができないという状況下で我々は支援をする必要があるのではないかというふうに考えられておりまして、ネット上の情報に信頼性を確認できる仕組みがあるとよいと考えている方が六五%いるということになります。
 そこで、支援が必要ということで、次のページ。
 「情報的健康とその支援」ということで、情報的健康というのは、私と慶応義塾大学の山本龍彦先生、憲法学者と提案している考え方でありますけれども、肉体的健康を支援するということは、現在、食育、食品表示法、健康増進法等で様々行われておりますし、フードテック等のビジネスもあるので、肉体的健康のためには我々はかなり支援をされているということになりますが、同じように、情報のためにも、よりよい情報を得るために何か支援をする必要があるのではないかというふうに考えられます。
 一つは、例えば、我々が何か物を買うときにカロリー表示を見たりアレルゲンを確認したりするということと同じように、何か情報を見るときには、その情報に関して何らかの付加情報がついているような状態になるとそれが支援になるのではないかというメタ情報の可視化というものと、健康診断や人間ドックを受けるように、現在の自分の情報空間がどのようなものか、自分の情報に対する態度がどのようなものかを理解する情報ドックと呼ばれるものを実現するといったことが考えられ、そういったものを支援するということがあり得るのではないかと考えられております。
 また、プラットフォーマーへの規制という観点に関しましては、プラットフォーマーへの規制は様々なものがあると思いますけれども、偽・誤情報対策は、検閲するというのはなかなか難しいので、ユーザーの判断材料を提供するといったところが重要ではないかというふうに考えられております。例えば、訂正情報を提示する、エンゲージメント制御をする、リテラシーを支援するといった形が考えられるかなと考えられております。
 また、場合によっては、選挙や災害時などは、そのときだけでもプラットフォーマー側に非日常モードというのを要請しまして、より偽・誤情報が広がりづらいようにするということが必要かなと思います。
 また、最後に、最も重要なポイントとして、データ、情報の提供を促進するということが考えられるかなというふうに考えられます。現在、多くのプラットフォーマーがデータ等を自分たちのところに、手元に確保しているという現状がございますので、そういったところを開放することによって様々なビジネス等も展開されると期待できますので、その辺をプラットフォーマーに期待するということが重要かと思います。
 最後に、データ分析の重要性ということで、データ分析を行うことによって様々な偽・誤情報対策ということが見えてくるというのもございますので、こちらも、例えば、偽・誤情報の訂正の一番よい出し方というものの一つとして、偽・誤情報を見たユーザーだけが改めて訂正をするといったことが最も効率的であるということが分かったり、あるいは、災害時の偽・誤情報の多くが実は被災地以外で拡散しているということが分かったりということがございますので、プラットフォーマーにデータの提供を依頼するというのが必要かなと思います。
 最後になりますけれども、我々自身、国民一人一人もそうですけれども、社会全体としても、様々な偽・誤情報に関しての知識を得る、知るということ自体が最大の対策になるのではないかと考えております。
 以上をもちまして、私の方からの報告を終わりたいと思います。ありがとうございました。拍手
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枝野幸男#4
○枝野会長 ありがとうございました。
 次に、平参考人、お願いいたします。
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平和博#5
○平参考人 桜美林大学の平でございます。
 本日は、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
 私は、メディア環境の変化を、シリコンバレー駐在を含め、三十年以上にわたって取材をしてまいりました。本日は、その観点から、憲法改正国民投票をめぐるいわゆるフェイクニュースそれからファクトチェックの課題について意見を述べさせていただきます。
 まず、お断り申し上げます。
 私は、メディア論を専門とする実務家教員であり、法律論については十分な専門的知見を有しておりません。また、本日の発言は、あくまで私見であり、関連団体を代表するものではないことをあらかじめ御了承ください。
 それでは、五ページを御覧ください。
 本日は、この五つの論点を中心に御説明をいたします。
 まず第一に、ファクトチェックは、広報活動とは切り分け、民間主導で進めるべきだと考えます。マスメディアによるファクトチェックの取組強化も重要です。
 第二に、ファクトチェック団体と国民投票広報協議会の直接的な連携は難しいと考えます。一方で、幅広いステークホルダーによる透明性の高い情報共有の場の設定は選択肢となり得るのではないかと思います。
 第三に、偽情報の拡散は、生成AIによる高度化、サイバー攻撃との連動などで対応のハードルが上がっています。安全保障の文脈では、政府機関との連携、国際的な連携も重要です。
 第四に、ネット広告を用いた偽情報の拡散は、いわば見えない拡散です。透明性確保のため、日本においても広告ライブラリーの整備が求められます。
 第五に、偽情報、誤情報対策に決定打はなく、社会のレジリエンス、すなわち強靱性に着目した総合的で継続的な取組が不可欠となります。
 以下、具体的に御説明いたします。
 六ページを御覧ください。
 まず、フェイクニュースとファクトチェックにまつわる用語の整理をいたします。
 フェイクニュースという言葉は、偽情報、誤情報、さらに、デマ、流言なども含む幅広い意味で使われております。ここには、法令違反の違法情報、違法ではなくともプラットフォームの利用規約に違反する有害情報、あるいは誹謗中傷などにおける虚偽情報も含まれます。
 政策の焦点は、多くの場合、偽情報、誤情報対策です。特に、意図的に拡散される有害な虚偽情報である偽情報対策が喫緊の課題です。ですので、本日の説明も偽情報対策を軸に進めさせていただきます。
 問題の中心は、このような虚偽情報が社会に分断や混乱、扇動、人権侵害といった深刻な危害を及ぼす点にあります。
 欧州連合、EUのデジタルサービス法、DSAは、規制の中心を違法情報とし、必ずしも違法ではないが有害な偽情報には、主に、DSA、デジタルサービス法と連動するプラットフォームの自主規制、偽情報に関する行動規範で対応をしております。
 日本では、違法情報を規制する関係法令に加えて、今年四月に施行された情報流通プラットフォーム対処法により、権利侵害情報などへの大規模プラットフォームの対応も整備されました。
 七ページです。
 次に、ファクトチェックの定義と規律について御説明いたします。
 ファクトチェックは、欧州ファクトチェック基準ネットワークの定義によれば、公共空間における言説の正確性をエビデンスに基づく手法で検証することとされています。
 また、ファクトチェック団体の信頼性担保の規律として、国際ファクトチェックネットワークが掲げる非党派性と公正性、情報源の基準と透明性、資金源と組織の透明性、検証方法の基準と透明性、訂正方針のオープン性の五原則が国際的な基準となっております。
 八ページです。
 続いて、偽情報、誤情報へのファクトチェックの主体についてです。
 公的機関による正確な情報の発信と、非党派性、独立性、透明性が求められるファクトチェックとは、区別した議論が必要だと考えます。
 公的機関がファクトチェックを掲げて情報流通にラベルづけをすることは、表現の自由を侵害するリスクをはらみます。
 また、憲法改正発議によって設置される広報協議会のような組織で、ファクトチェックの規律にのっとったノウハウが蓄積されるということは現実的には想定しづらいのではないかと考えます。
 九ページ。
 ただし、公的機関の情報発信が高い信頼を得ていることも事実です。総務省のICTリテラシー実態調査によると、ソーシャルメディアやネットの情報を正しいと判断する基準として、公的機関が発信元、情報元であるとする回答が最も多かったという結果も示されております。
 公的機関などの成り済まし、災害時の被害状況や避難、救助の虚偽情報、あるいは制度や手続に関する虚偽情報など、公的機関による正確な情報発信が必要とされる場面もあります。
 厚生労働省の新型コロナワクチンQアンドAや外務省のALPS処理水をめぐる偽情報対応のような取組の事例もあります。ただ、これらは、一定の規律に基づいて情報の正確性を検証するファクトチェックとは異なり、正確な情報の流通で正しい理解を促す広報の範疇と見ることができます。
 国民投票における広報活動についても、正確な情報をより広く流通させることに重きを置き、ファクトチェックとは区別した方が国民にも分かりやすいのではないかと考えます。
 十ページ。
 次に、広報協議会とファクトチェック団体が直接連携すること、これは難しいと考えております。ファクトチェック団体はメディアの一形態であり、国家からの統制を受けない独立性、非党派性、透明性が基本となります。ファクトチェック団体が国家機関と一体となるような取組は望ましくないだろうと思います。
 ただし、偽情報、誤情報対策に関する国と民間の情報共有の場が必要だとすれば、政府関係機関、プラットフォーム、マスメディア、ファクトチェック団体、学術界、市民団体など、幅広いステークホルダーが参加する、透明性を担保したラウンドテーブル形式の場の設置は選択肢となり得ると考えます。
 偽情報、誤情報対策は国民投票に限ったものではありません。このような情報共有の場は、選挙への対応も視野に設置を検討してもよいのかもしれません。
 十一ページです。
 国民投票にまつわる偽情報の流通は、広報協議会の設置以前、憲法改正原案提出の機運が高まる段階から拡大する可能性があります。したがって、広報協議会設置時点では、既にファクトチェック結果が一定程度蓄積されていることも想定されます。広報協議会がこれらの蓄積を整理し、国民への啓発に活用する広報活動は考えられます。
 プレバンキングという手法もございます。想定される偽情報、誤情報に関する主な検証結果をあらかじめ公表しておくことで、社会の免疫力を高めるという手法です。国民投票運動の本格化前にファクトチェック団体が取り組むことも想定されますが、広報協議会の発信でその後押しをすることはできるのではないかと考えます。
 ロシアによるウクライナ侵攻時、ウクライナのゼレンスキー大統領のAI偽動画、ディープフェイクスが拡散されました。しかし、その二週間前にウクライナ政府は偽動画の情報を把握し国民に注意喚起をすることで、実際に拡散した際の混乱を抑制することができたとされています。
 十二ページ。
 社会全体のファクトチェック機能の強化には、マスメディアの積極的な取組も期待したいと思います。ファクトチェックは、専門団体だけではなく、海外ではマスメディアも広く実施してまいりました。
 国際ファクトチェックネットワークには、AFP通信、ロイター通信、AP通信、ワシントン・ポスト、USAトゥデー、ドイチェ・ベレ、フランス・バンキャトルなどのマスメディアが参加をしております。
 二〇二四年のアメリカ大統領選では、候補者のテレビ討論会において司会者によるリアルタイムのファクトチェックが行われるなど、迅速かつ積極的な取組も目立ちました。
 ファクトチェック機能の層が厚くなることで、更に迅速な対応が期待できます。
 十三ページ。
 重要なのは、ファクトチェックが実際に国民に届き、対象となる偽情報、誤情報の拡散が抑制されることで初めてその効果が発揮されるという点です。
 そのためには、プラットフォーム事業者によるファクトチェック結果の優先表示や、偽情報、誤情報表示の抑制策も不可欠です。
 しかし、残念ながら、先ほど鳥海先生の御指摘もございましたけれども、プラットフォーム事業者のコンテンツモデレーション、すなわち利用規約違反の有害情報の管理、対処や、ファクトチェックの取組における後退の動きも見られるところです。さらには、プラットフォーム事業者が集中するアメリカの現政権が偽情報、誤情報対策を検閲であると位置づけていることが問題を複雑にしております。
 偽情報、誤情報対策は、検閲では決してなく、国民一人一人の判断の土台となる正確な情報の流通を支えるものです。
 十四ページ。
 偽情報に関しては、外国による情報操作と干渉、いわゆるFIMIの論点もあります。偽情報は、情報戦の一環として外国勢力が拡散する場合があります。日本も、二〇二二年の国家安全保障戦略などで偽情報対策を明記しております。
 生成AIの進化によって、偽情報は大規模、安価、高速、巧妙となり、偽装ニュースサイトが三日間で百二十件も開設された事例も報告されております。AIの活用は、偽アカウント登録、偽情報コンテンツ作成、拡散におけるエンゲージメント、いわばシェアとか「いいね」、こういったリアクションのエンゲージメント獲得まで、急速に拡大しております。
 十五ページ。
 偽情報の拡散にはサイバー攻撃が連動する場合もあります。
 二〇一六年アメリカ大統領選、翌年、二〇一七年のフランス大統領選、二〇二二年のウクライナ侵攻、そして昨年、二〇二四年のルーマニア大統領選などでは、サイバー攻撃と偽情報拡散が併せて行われたと言われております。
 サイバー防御と偽情報対策が重なる場面では、国家安全保障戦略に基づく政府機関との連携も重要になるかと思います。
 また、G7即応メカニズムなどの国際連携の枠組みも重要です。
 十六ページでは、ネット広告の課題について取り上げています。
 ネット広告は、個別ユーザーに特化したマイクロターゲティングのために、そこに偽情報、誤情報が含まれていた場合、社会、すなわち一般ユーザー、メディア、研究者からは遮られた、見えない拡散となってしまう問題点があります。
 この問題への対応策として、EUのデジタルサービス法では、メタ、グーグル、ティックトック、Xなどの超大規模プラットフォームに広告ライブラリー、すなわちデータベースを整備し、掲載された広告を一年間保存、公開して、誰でも検証できるようにすることを義務づけております。また、今年十月に全面施行される政治広告の透明性とターゲティングに関する規則では、政治広告に関しては七年間の保存、公開が義務づけられております。
 十七ページ。
 現在、情報流通プラットフォーム対処法の大規模プラットフォームとしては、グーグル、LINEヤフー、メタ、ティックトック、Xが指定されていますけれども、日本で広告ライブラリーに対応しているのはメタとグーグルのみです。
 メタは、社会問題、選挙、政治関連広告を七年間保存しておりますが、それ以外は日本では広告掲載終了とともに非公開となります。グーグルは、一般広告では一年間、政治広告は七年間の保存を行いますが、政治広告は日本では未対応です。ティックトックやXも広告ライブラリーを設けておりますけれども、日本には対応しておりません。
 ネット広告の透明性確保には、まず広告ライブラリーの整備が求められると思います。
 十八ページ。
 収益目的での偽情報拡散も課題となります。投資詐欺などのアクターが国民投票を、社会の注目を集めるアテンション獲得のための素材として取り込む可能性もございます。
 二〇一六年のアメリカ大統領選では、ロシアによる政治介入に加えて、マケドニアの若者たちが広告収益目的でフェイクニュースサイトを立ち上げていたことが判明しております。最近でもカナダの総選挙で、暗号資産投資詐欺の広告がニュースメディアを偽装し、政党党首らに関する偽情報を拡散する事例も報じられました。
 生成AIを駆使した詐欺広告はグローバルに展開をされているところです。日本国内でも、選挙関連の切り抜き動画が広告収益目的で制作される事例もあります。
 十九ページ。
 ネット上の政治広告規制強化は一つの対応策だと考えます。
 旧ツイッター、現Xは、誤解を招く情報、さらにはマイクロターゲティングの問題を受けて、二〇一九年から全世界を対象に政治広告を禁止した経緯があります。ただし、イーロン・マスク氏による買収後の二〇二三年には禁止を解除して、現在は日本などでも政治キャンペーン広告が可能となっております。
 偽情報、誤情報を含む政治広告、さらには広告収益を狙う虚偽の政治コンテンツは、国民投票に限らず選挙においても、現行法の適用強化を含めて一定の対処は必要だと考えております。
 対策の柱となるのは、広告掲出の舞台となるプラットフォーム事業者による抑制です。旧ツイッターのような政治広告禁止の前例もあります。加えて、偽情報、誤情報を含む政治コンテンツへの広告配信を停止することは収益化の歯止めにもなると考えます。
 二十ページ。
 最後に、社会のレジリエンス、強靱性に着目した総合的な取組の重要性について述べます。
 偽情報、誤情報対策は総務省の検討会などでも長く議論され、研究開発へのファンディングも、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOや、総務省、科学技術振興機構社会技術研究開発センター、JST―RISTEXなどで進められてきました。
 ただ、民主主義社会において、強権国家のような特定の情報の即時排除は困難であり、オオカミ男を倒す銀の弾丸は存在しません。したがって、偽情報、誤情報の一定程度の流通を前提に、社会のレジリエンス強化、すなわち、コンテンツモデレーション、ファクトチェック、法整備、研究開発、リテラシー向上など、継続的かつ総合的な取組が肝要です。
 これまでの取組との連続性を踏まえた、バランスの取れた対策を講じていくことを強く期待いたします。
 以上、甚だ雑駁ではございますけれども、国民投票におけるいわゆるフェイクニュース対策とファクトチェックの在り方について意見を述べさせていただきました。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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枝野幸男#6
○枝野会長 ありがとうございました。
 以上で両参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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枝野幸男#7
○枝野会長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。寺田稔さん。
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寺田稔#8
○寺田(稔)委員 両先生におかれては、大変お忙しい中、当憲法審査会にお出ましを賜り、貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございます。
 それでは、限られた時間ですので、早速質疑の方を進めさせていただきます。
 まず、鳥海先生にお伺いをさせていただきます。
 先生は、今の意見陳述でも、ビジネスモデルとしてのアテンションエコノミーの問題点また影響について陳述をされました。事業者の経済的利益を最大化するアルゴリズムの構築によって、各ユーザーが自律的ではなく他律的に情報を摂取させられている、これは情報的健康を害するんだという御主張であり、まさしく私も賛同するものでございます。
 したがって、民主主義あるいはまた憲法改正の国民投票という場面においても非常に不可欠な情報的健康、インフォメーションヘルスを実現するためには、今のDPFのビジネスモデルであるアテンションエコノミーに代わる別のビジネスモデルの構築、先生は非日常モードのことについてもお触れになられましたが、これを是非構築していく必要があると思いますが、この点についての御所見をお伺いいたします。
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鳥海不二夫#9
○鳥海参考人 ありがとうございます。
 アテンションエコノミーに対する、それに代わる新しいビジネスモデルというのを考えるというのは現状ではまだ少し見えていないところでありますので、直近で何かこれを全て解決するというのは難しいというふうに考えております。
 ただ、先ほども申し上げて、御指摘もありましたとおり、非日常モードであるとか、今回はお話ししませんでしたけれども、例えば未成年者に対するモードであるとか、そういった対処すべき問題がある場面において何らかの規制をかけるということは可能ではないかと思いますので、そういった形で、単なるアテンションエコノミーではない形というのをつくっていくことはできるのではないかと考えております。
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寺田稔#10
○寺田(稔)委員 ありがとうございます。
 平先生に対してお伺いいたします。
 先生、今の陳述にも、また先生の著書の生成AIと認知戦の中でも、生成AIの問題について深く触れておられます。生成AIが、大規模化、低コスト化、巧妙化、迅速化の四つの点について大変大きな影響を及ぼしているんだということで、そのインパクトは、情報の真贋、真偽の境界を非常に曖昧にして、その判別を大変困難にしています。そのことは、偽・誤情報を本物だと信じてしまうという現象に加えて、先生も触れられたとおり、本来本物なのに、実はそれが偽物だと誤認をさせる、いわゆるうそつきの分け前、ライアーズディビデンドを引き起こすというふうに先生も著書では指摘をされております。こうした、例えば戦争にまつわるディープフェイクの拡散や、あるいは、政府の意思決定や国民の意識に多大な影響を与えるAIです。
 しかし、生成AI自体はもはや相当普及しておりまして、グーグルで何かを検索しても、これは生成AIによる用語ですというふうに出てまいりますが、この生成AIの悪影響を防止をする、防ぐことの方策について、御所見をお伺いいたします。
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平和博#11
○平参考人 ありがとうございます。
 生成AIのリスクとしては、先ほど説明の中でも触れましたけれども、従来、偽情報、誤情報というのは、労働集約型で、ローテーションを組んで人間が発信をするということが行われていましたけれども、それが生成AIの利用によって、全体的に自動化をする、しかも非常に人間らしい形での文面、あるいは画像、自然な動画、こういったものになってくる。
 これに対しては、人間の力でそれを判別する、見破るというのはなかなか限界もございますので、技術的な進展、開発の促進、そういったものを検知する、そこにもAIを使っていって検知を進めていくというようなことも重要になってくるのではないかと考えています。
 先ほど少し触れましたけれども、国内では、新エネルギー・産業技術総合開発機構のプログラムで、昨年から二〇二七年までの予定で偽情報の検知・評価・システム化に関する研究開発も行われており、要素技術についても総務省のファンディングで開発が取り組まれておりますので、そのような研究開発の進展に期待をしたいと考えております。
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寺田稔#12
○寺田(稔)委員 ありがとうございます。
 それでは次に、かつてこの場でFIJの楊井参考人にお越しをいただき、これはファクトチェック・イニシアティブというファクトチェック機関の方でございます。ファクトチェックの活性化が望ましいんだけれども、日本では人材あるいは資金が非常に不足をしていて、十分なファクトチェック体制あるいはファクトチェック機関の整備が進んでいないという問題点を指摘になられました。
 ではどういうふうにすれば、日本で、ファクトチェック団体あるいは機関、またファクトチェック体制が整っていくようになるのでしょうか。もちろん政府の直接介入はしないという前提の下で。これについては、両先生に御所見をお伺いをいたします。
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鳥海不二夫#13
○鳥海参考人 非常に難しい問題ではあると思いますけれども、やはり一つはビジネス化をきちんと行うということではないかと思います。
 現在は、ファクトチェック団体というのは恐らく資金提供を受けて行っているのではないかと思いますけれども、一定のファクトチェックを行うことによってのビジネスというのが成り立つ、新聞社等が海外でやっているのは、そういったビジネスの中でファクトチェックを行うことが企業のインセンティブになっているということがあるために行っているんだと思いますけれども、そういったような形というのが取れることは一定必要ではないかなというふうに思います。
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平和博#14
○平参考人 社会全体のファクトチェック機能を強化するためには、何らかの公的な支援も選択肢には入ってくるんだろうと思います。ただし、その支援は、ファクトチェック団体が最も重視すべき非党派性、独立性を損なわない形で、具体的な支援方法としては、例えば、特定の団体を直接的に財政支援するのではなくて、偽情報対策のリテラシー啓発などプロジェクトベースの公募型のファンディング、あるいはガバナンス構造を持つ第三者機関を通じた支援など、こういった形で、ファクトチェック団体の独立性、非党派性を損なわない支援策というものを考えていく必要はあるのかなと思っております。
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寺田稔#15
○寺田(稔)委員 ありがとうございます。
 それでは、時間の関係で、もう最後になります。本当に簡潔に、一言でお答えいただければ結構なんですが、政府の直接的介入はよろしくないという前提、そうした政府の関与については否定的な意見が多いわけですけれども、国民投票の広報協議会という場面を考えた場合、政府として一体何をなすのがベストであるか、これも両先生に、一言で結構です、お伺いしたいと思います。
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鳥海不二夫#16
○鳥海参考人 先ほど平先生からファクトチェックと信頼できる情報の発信は異なるというお話がありましたけれども、きちんと信頼のできる情報を発信し、それが国民に届くように発信するということが一番重要ではないかと考えております。
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平和博#17
○平参考人 誤った情報というのは情報の空白に浸透しやすいということが複数の研究で指摘をされております。正確で分かりやすい情報、特に国民投票に関する、憲法改正に関する正確で分かりやすい情報が十分に行き渡ることというのが非常に重要な点になってくるかと思います。
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寺田稔#18
○寺田(稔)委員 ありがとうございました。終わります。
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枝野幸男#19
○枝野会長 次に、奥野総一郎さん。
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奥野総一郎#20
○奥野委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。
 両先生、今日は貴重なお話、ありがとうございます。
 私はルーマニアについてまず伺いたいんですが、平先生も触れておられましたけれども、ルーマニアの大統領選挙は昨年十二月に行われまして、ロシアの情報操作あるいは資金提供等の疑惑があってやり直しになりまして、今週、決選投票が行われて結果が出たということでありますが、我が国もサイバー攻撃をしかけてくる近隣の国があるわけですから、他人事ではないような部分もあると思います。
 そういう意味で、参考になる部分、ならない部分はあると思うんですが、このルーマニア大統領選挙における偽情報対策について、DSAに基づく部分とルーマニア独自の部分もあると思うんですが、それぞれに分けて評価を聞かせていただきたい。そして、そのうち日本で参考になる部分があれば、お話しいただきたいと思います。両先生、お願いします。
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鳥海不二夫#21
○鳥海参考人 その件に関しましては、存じ上げてはいるものの、私はそこに関してはちょっと専門ではないということで、少しお答えは控えさせていただければと思います。
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平和博#22
○平参考人 冒頭に申し上げましたように、法律論に関しては専門的な知見は有しておりませんことを御承知おきください。
 その上で、御指摘の内容については、やはり報道ベースでは承知をしております。これについては、ルーマニア国内のファクトチェック団体からも表現の自由への侵害リスクについての批判的な指摘があるとも報道では取り上げられております。
 DSAとの関係ですけれども、今回、ルーマニアでは、一月に緊急政令を出しまして、その中で、選挙管理委員会から通知を受けて、政治広告の表示義務を果たしていないものについては、五時間以内に削除されない場合、超大規模プラットフォームに対して売上高の一%から五%の制裁金を科すというような内容の政令が出されておりますけれども、DSAでは、違法コンテンツを覚知した場合に、迅速に削除若しくはアクセス停止措置を取るということを求めているだけで、具体的な期限は設けておりませんので、その点では、DSAを超える規定がルーマニアでは行われているのかと承知をしております。
 ただ、ルーマニアの事例については、先ほどお話をしたように、表現の自由への萎縮効果をめぐって物議も醸しておりますので、日本における偽情報、誤情報対策の議論とはかなり距離があるのではないかと考えております。
 改めて申し上げますけれども、専門外のお尋ねですので、これはあくまで個人的な感想レベルになってしまいますことをお許しください。
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奥野総一郎#23
○奥野委員 ありがとうございます。
 かなり踏み込んだというか逸脱した部分もあるにしても、DSAが基にあって、そこから動いているという話だと思うんですが。
 ドイツも連邦議会選挙がこの間行われていますが、ドイツにおいてこのDSAはどのように機能したのか、とりわけファクトチェックについてどういうふうに行われたのかということはお分かりになるでしょうか。平先生、鳥海先生も分かれば、お答えいただきたいと思います。
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平和博#24
○平参考人 これも法律のお話になりますけれども、ドイツにおいては、DSAに先立って、ネットワーク執行法という法律ができ上がっております。これは、偽情報対策というよりも、ヘイトスピーチ、あるいは名誉毀損、扇動、こういったものへの対策が主眼とされた法律ですけれども、明らかに違法なコンテンツについて指摘を受けた場合に、指摘から二十四時間以内に削除する義務、あるいは、違反に対しては最大五千万ユーロの制裁金ということを定めております。この点でも、先ほどのDSAの迅速にという対応からは、かなり厳しい内容になっているかと思います。
 こちらについても、やはり表現の自由への萎縮効果に関して物議を醸しているところではありますので、先ほどと同様、やはり日本における対策の議論とは距離があるのではないかと考えております。
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奥野総一郎#25
○奥野委員 それをどう考えるかですが、それなりにロシアが身近にあるということで厳しい対応をそれぞれ取っているのかもしれませんし、日本が今そういう状況ではないということであれば、おのずと違うのかもしれませんし。研究していく余地はあると思うんですが。
 その上で、DSAはほかに、先生がおっしゃっていた広告ライブラリーの問題や、選挙運動であることの表示の義務づけなども規定をしているはずですし、あと、アルゴリズムの透明性や説明責任をプラットフォームに求めているというようなこともあると思うんですが、こうしたDSAの在り方というのは、広告の透明性あるいはコンテンツ掲載の透明性の確保という意味で日本も行うべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
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平和博#26
○平参考人 先ほど鳥海先生のお話の中でも出てきましたけれども、フィルターバブルやエコーチェンバーという問題ですね。
 特に、ネット広告のマイクロターゲティングは、収集された個人データに基づいて、個人の関心、趣味、嗜好に合わせて最適化されたものがピンポイントで配信をされます。これによって、ユーザーがフィルターバブルに陥ったり、あるいはエコーチェンバーが増幅されたりというようなリスクはあります。ましてや、そこに悪意のある偽情報がマイクロターゲティングされて特定の層に集中的に社会から見えない形で届けられると、国民の冷静な判断をゆがめ、社会を分断させてしまうというような可能性もございます。民主主義のプロセスそのものに影響を与えてしまう。
 そのような考え方をベースに、DSAでは、アルゴリズムの透明化あるいは広告の透明性、こういったものを定めているかと思います。
 広告ライブラリーは、ネット広告の透明性を向上させる上で一定程度有効な手段だと考えております。これによって、少なくとも、国民投票運動期間、あるいはそれ以前に配信された広告の内容、広告主、それから配信期間、費用の情報などがデータベースとして公開されて、市民、ジャーナリスト、研究者などが、どのようなメッセージが誰によってどのぐらいの規模で拡散されたのかを検証することが可能になるという点では、非常に日本にとっても参考になるのではないかと思います。
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奥野総一郎#27
○奥野委員 最後に、両先生に伺いたいんです。
 憲法改正国民投票もそうなんですが、選挙、投票行動全般について偽情報対策というのは必要であることは間違いないんですが、EUではDSAがワークし出して、これがかなり厳しい、日本にそのまま持ち込めるかどうかというのはあるんですが、そうした一般的な規範をちゃんと作った上で、それと整合的な国民投票法の制度の在り方、国民投票広報委員会も含めた制度の在り方を模索すべきだと思います。
 それで、ちょっと漠然とした言い方になるんですが、DSAなどを参考にした、今の広告の透明性もあるんですが、投票について、偽情報対策としてどういった仕組みを日本の選挙制度に持ち込むべきだと思われますか。
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鳥海不二夫#28
○鳥海参考人 選挙等の期間というのが非常に短いということを考えますと、その短い期間での対策を打つというのは、例えば、透明性があったとしても、それを調査する期間もなかなか取れないというところもありますので、難しいところではあると考えております。
 その上で、やはり、先ほどウクライナのプレバンキングというお話もございましたけれども、こういった広告がこれから出るかもしれないといったことを国民に知らせるとか、そういった形での対策の方が効果があるのではないかというふうには考えております。
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平和博#29
○平参考人 国民投票に関して申し上げれば、国民投票法に規定のある、憲法改正案の分かりやすい説明と周知、これがやはり基本になるのではないかと思います。
 先ほど情報の空白というお話をいたしましたけれども、例えば災害発生直後など、それについての情報が希薄な期間、ここに偽情報、誤情報、陰謀論、こういったものが広がる余地があると考えられております。逆に言いますと、正確で分かりやすい情報が十分に行き届いている情報環境の場合には偽情報は広がりにくいとも言えます。
 そういった点で、まず、法に規定のある広報協議会の役割をしっかりと果たしていただくところが基本になるのではないかと思います。
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