予算委員会

1961-03-14 参議院 全208発言

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会議録情報#0
昭和三十六年三月十四日(火曜日)
   午前十一時十三分開会
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  委員の異動
本日委員小幡治和君辞任につき、その
補欠として塩見俊二君を議長において
指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     館  哲二君
   理事
           梶原 茂嘉君
           中野 文門君
           平島 敏夫君
           米田 正文君
           阿具根 登君
           占部 秀男君
           松浦 清一君
           千田  正君
           杉山 昌作君
   委員
           太田 正孝君
           大谷 贇雄君
           金丸 冨夫君
           小林 英三君
           小柳 牧衞君
           小山邦太郎君
           後藤 義隆君
           塩見 俊二君
           白井  勇君
           手島  栄君
           一松 定吉君
           武藤 常介君
           村松 久義君
           村山 道雄君
           山本  杉君
           湯澤三千男君
           横山 フク君
           大矢  正君
           木村禧八郎君
           小柳  勇君
           田中  一君
           高田なほ子君
           羽生 三七君
           藤田藤太郎君
           森 元治郎君
           森中 守義君
           東   隆君
           田畑 金光君
           小平 芳平君
           辻  政信君
           森 八三一君
           岩間 正男君
  国務大臣
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
   大 蔵 大 臣 水田三喜男君
   運 輸 大 臣 木暮武太夫君
   建 設 大 臣 中村 梅吉君
   国 務 大 臣 池田正之輔君
   国 務 大 臣 迫水 久常君
   国 務 大 臣 西村 直己君
  政府委員
   法制局第一部長 山内 一夫君
   防衛庁長官官房
   長       加藤 陽三君
   調達庁長官   丸山  佶君
   経済企画庁総合
   計画局長    大来佐武郎君
   科学技術政務次
   官       松本 一郎君
   外務省アメリカ
   局長      安藤 吉光君
   外務省条約局長 中川  融君
   外務省国際連合
   局長      鶴岡 千仭君
   大蔵省主計局長 石原 周夫君
   運輸省海運局長 朝田 静夫君
   運輸省鉄道監督
   局国有鉄道部長 広瀬 真一君
   運輸省観光局長 津上 毅一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
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  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○昭和三十六年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十六年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十六年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
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館哲二#1
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。
 委員の変更について報告いたします。本日、小幡治和君が辞任されまして、その補欠として塩見俊二君が選任されました。
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館哲二#2
○委員長(館哲二君) 次に、理事の補欠互選を行ないます。現在、当委員会におきましては、理事が一名欠員となっております。互選は、先例によりまして、委員長の指名をもって行ないたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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館哲二#3
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。それでは理事に米田正文君を指名いたします。
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館哲二#4
○委員長(館哲二君) 昭和三十六年度一般会計予算、昭和三十六年度特別会計予算、昭和三十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日より一般質疑に入ります。森元治郎君。
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森元治郎#5
○森元治郎君 初めに、エドウィン・ライシャワー教授を日本の大使として派遣したいというアメリカの同意を求める手続がなされたようであります。大へんこの方は各方面に評判のよろしい方で、いろいろ問題のある日米関係の理解の促進には大いに役立つところがあると思います。われわれとしては、これを歓迎して一日も早く同意が与えられるものだろうと期待しておりまするが、外務大臣のお考えを伺います。
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小坂善太郎#6
○国務大臣(小坂善太郎君) ライシャワー教授が駐日大使として来られるであろうということは、大体考えられることでございました。アグレマンが参りましたということは、本来発表すべきことでございませんで、正式にそれを受諾して効果を生じたときに発表すべき国際慣例でございまするが、この件に関しましては、従来のいきさつがございまして、非常に長くライシャワー教授のお名前が新聞紙上等にも出ておりました関係もございまして、今回は若干異例的にその報道が流れたものと心得ます。従いまして、その決定する以前において、私が、歓迎の気持はもとよりでございますが、そういう気持を持っておりましても、この公式の席で申し上げることは、国際慣例上差し控えるべきことになっておりますので、この際は、その点は御容赦願いたいと思いまするが、ただ、私個人としましては、ライシャワー氏とは中学生のころからよく知っておる仲でございますし、昨年も日本へ参りましたとき、十分いろいろ話しする機会もございましたりして、非常によい方であるという気持を持つのみならず、長年の知友であるという気持を持っておる次第であります。
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森元治郎#7
○森元治郎君 続いて本論に入りまするが、外務大臣は、いわゆる岡崎・マーフィー交換公文というものを御存じであるかどうか、こういうものが存在しておるということを知っておられるかどうかを伺いたい。
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小坂善太郎#8
○国務大臣(小坂善太郎君) 存じております。昭和二十八年一月十三日、当時の外務大臣岡崎勝男氏よりアメリカの特命全権大使ロバート・D・マーフィー大使に対しまして書簡が寄せられました。それに対してアメリカ大使館から回答があった次第でございます。
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森元治郎#9
○森元治郎君 このいわゆる岡崎・マーフィー交換公文というものは、過般の安保条約審議の際にも一回も触れられなかった不思議な公文のようであります。
 ところで、まず伺いたいのは、二十八年の一月十七日に外務省の情報文化局長発表によれば、日米往復書簡となっております。しかしながら、本物はこういう形式ではなかろうと思うので、まず形式を伺います。
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小坂善太郎#10
○国務大臣(小坂善太郎君) 形式は、日米間の往復文書、往復書簡ということになっておりまして、発表の通りでございます。一月十三日に今申し上げたようにこちらから書簡が出されまして、それに対しての返書が一月十六日に来ております。従って、情報文化局長の発表は一月十七日に出されたものだということでございます。
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森元治郎#11
○森元治郎君 この日本側からアメリカに出したのは口上書とかというものでありますか、そういうことを伺っておるわけであります。
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小坂善太郎#12
○国務大臣(小坂善太郎君) 書簡が出ているわけでございまして、口上書ではございません。
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森元治郎#13
○森元治郎君 この交換公文は、安保条約に関する大へん危険な、そして不可解な忘れ物だと私は思う。内容を後ほどお尋ねいたしまするが、非常に疑問の多い、そして事と次第では大へん問題をはらんだものであります。中に、見ますると、旧安保条約のもとにおいて作られたその公文だけに、旧安保のにおいが強くて、しかもそれを裏づける条項も入っておる。当然これは何らか措置すべきはずであったと思うのでありまするが、一体、これは生きているのか死んでいるのか、有効か無効か。端的にお伺いをいたします。
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小坂善太郎#14
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げます。有効でございます。これが生きておるということは、昨年の一月初旬に口頭をもってそのことが了解されておるのでございまして、そのものは新安保になっても受け継がれるということに了解されておるものであります。
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森元治郎#15
○森元治郎君 伺いますが、昨年の一月初旬、口頭で云々というお話でありまするが、私はそういうことを聞いたこともないし、政府は発表もしておらない。どうですか。発表なされましたか。いやしくも交換公文という公の両国を拘束する書簡に対して、口でもって解決したなんて、そういうばかなことはありませんよ。それが証拠に、吉田・アチソン交換公文、あるいはまた国連軍の日本における地位の協定、こういうものが安保条約ができると同時に、一緒にこれをリニューして、新しくして、岡崎・ラスク交換公文は、これは用がなくなったというので取り消しをして、一つ一つ折り目、筋目をつけるのに、そういうことは私は絶対にあり得ないと思う。しかも裏の方でやみ取り引きのような口頭で話し合いがついて新安保に受け継がれたと、どこにそういうことがあるのですか。
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小坂善太郎#16
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま申し上げたように岡崎・マーフィーの往復文書は、これは往復文書でございます。領空侵犯の排除に対する日米間の往復文書でございまして、この交換書簡の趣旨は、日本側が領空侵犯排除について米側の協力を要請したのに対しまして、アメリカ側はこの日本側の要請に応ずる旨の意図を表明したのであります。で、この件を確認することは、この趣旨が新条約下においても有効であると、日米間で念のため確認したのにすぎないものでありまして、従って、特にこれを発表する必要を認めないということで今日まで発表していないということであります。書簡を確認し合ったという行為にすぎないわけであります。
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森元治郎#17
○森元治郎君 この問題は、外務省は安保で触れられないでほっとしたようなところであったところへ、本日私にこういうことを言われたんで、ちょっと工合が悪いような顔をしておられますが、こういうものを一体発表する必要がないというのは、少し強弁ではないですか。これは交換公文であります。これを日米間の念のために、その再確認をしたんだから発表しないでいい。一体どういう確認をし合ったのか、何月何日で向こうはどう言ってこちらはどう言ったのか、これは当然文書にして公表すべきものであります。ということは、この協定が発表されておるんですから、これを死文化させ、殺しあるいは生かす場合には、あらためて表面の文書にされるのが当然であります。こういう協定が裏の方で一月初旬、どこでやりましたか知りませんが、こそこそと話し合ったから済んだと言われたんでは大へんであります。もう一ぺんこれを承りたいことが第一点。
 第二点は、これは先ほど生きておるという外務大臣の御答弁でありまするが、大へんなことになろうと思います。大体アメリカ側の回答には、その後段の方において、元の安保条約の「条項の下に、必要かつ適当とされる一切の可能な措置を、日本国政府のあらゆる実際的援助の下にとるよう極東軍総司令官に命令しました。」となっております。そもそもこの往復書簡の趣旨は、北海道の上空に盛んに国籍不明の外国機が領空侵犯をしてくるというので、日本の方で何とかこれを排除してくれないかという要請から発したお互いの文書の取りきめであります。早く言うべきところを今日おそくなってどうも済みませんが、こういうふうに極東軍総司令官にやったということが一点。そんなものは今ありません。それが生きているというのは一体どういうことか、それから安保条約の「条項の下に、」——安保条約はもうなくなって、昨年新しい安保条約になっている。どうしてこれが生きているのか、幽霊というにもあまりにもこれはずうずうしい幽霊であります。こういう点は、また形式上、旧安保条約というのは日本がお願いした。日本の防衛は講和条約締結当時において、自分で自分を守ることができないので、「どうかアメリカが来ていて下さい。」「日本の要請によって、あなたの御希望に従って日本及びその付近にいてあげます。」というのが旧安保条約の形式であります。このころはみんなこういう形式であった。そういう形式を踏襲して、どこを見たってこれは旧安保の中においての往復書簡であって、決して今生きられる道理はない。当然これは死文化すべきであったと私は思います。死文化すべきはずであった。それから先ほど申されたように、何か裏の方で取りきめをされたというのはわからない。だから一月幾日、だれとだれがどこで会って、どういう話し合いをしたか、おそらくメモはあるはずであります。メモなしにやるというのなら、これからあぶなくて外交はまかせられません、それが通るというのなら……。口先だけで、安保条約を今度やめることにしましょう、今度やることにしましょうと言うのでは……。小坂さんどうです。だいぶ苦しいようですがね。これはやっぱり筋を通して、古いものは死文化させ、なくし、新しくするというなら新しい取りきめがあってしかるべきであります。この点と、何月何日どういうことをしたか、ここで発表を願いたい。
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小坂善太郎#18
○国務大臣(小坂善太郎君) この往復の文書は、ただいまお話がありましたように、北海道の上空において外国の軍用機による領空侵犯が行なわれていることは困るから、そういう不法行為に対しては有効に排除してもらいたいものだと、よろしゅうございますというような行き来があったわけなんです。
 そこで、そういう承諾の仕方についてでありまするが、その際、ただいまお話のように、「安全保障条約の条項の下に、」という言葉が確かに使われておるのであります。しかしながら、そういう措置をとるように極東軍総司令官に命令したということもいわれておるのであります。ところが今のお話では、安保条約が新安保になったじゃないか、だからこれは引き継がれないんだとおっしゃいますけれども、この中にあるたとえば「極東軍総司令官」というものも、御承知のように太平洋司令官に変わっておるわけです、だいぶ前に。変わったときにそれじゃこれが死んでおるという議論も出なかったのでありますし、またそういうことはあり得ないことなんであります。当然に引き継がれるべき問題なんであります。御承知と思いますけれども、国際法上の原則でムタティス・ムタンディスという原則があるわけであります。事情が変更されない限り、そうした約束事は有効である、こういうことでございますから、こういう事情をやめるならば、これはまさにお話の通りでありましょうが、そういうことがそのまま引き継がれるのでございますから、確認行為で十分なわけでございます。何も陰の方でやられたのではないと思います。昨年のことでございますが、当時の藤山外務大臣がマッカーサー大使との間に、一月上旬に話し合いがあったというふうに私は了承いたしております。
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森元治郎#19
○森元治郎君 そのマッカーサー大使と藤山さんが会った、その確認をしたという内容を一つ出してもらえないか。そういう口先のことではだめだ。やはり文書に対しては文書でやるべきだ、ということはどうです。それがほんとうだと思います。
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中川融#20
○政府委員(中川融君) この経緯は、ただいま外務大臣が申された通りでございます。文書できめたものは文書でやるべきだというお話、まことにごもっともであります。従って、もし岡崎・マーフィ覚書を廃棄あるいはこれの内容を変えるということであれば、これは当然同じような形の文書によるべきでありますが、これはそのまま継続するということでありまするから、特に文書は作る必要はない、かように考えた次第でございます。従って、文書というものはなくても、政府間で有効な合意ができれば、それで十分である、かように考えております。
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森元治郎#21
○森元治郎君 それでは条約局長、何月何日どういう合意ができたか。それはあなたの方に記録にはとどめていないのですか。あったら出してもらいたい。
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中川融#22
○政府委員(中川融君) 重要な会談が行なわれまするごとに記録は当然とっております。しかし、その記録を国会に御報告いたしますことは、従来その例がなかったと思いますので、これは差し控えさしていただきたいと思います。
 なお、具体的な日付は一月の六日でございます。それ以前にもその話が出たことがございますが、最終的には一月の六日でございます。
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森元治郎#23
○森元治郎君 それはぜひ出してもらわなければ、前に協定があって、そうしてそれを再確認したというなら、悪いことでない限り、これは出すべきことは当然だと思います。これは出すべきですよ。もしこれが許されるならば、今後何をやったってわからないです。昨年の一月六日にやりました。しかし、内容は外交の慣例で発表できないのだという悪習ができたならば、これはおそるべきことであります。国会を無視して、これだけの大きな、両国を拘束する問題をやるということは、非常に悪いことでありますから、どうしてもこれは出してもらいたい。あるいは現物そのもので悪ければ、これこれ、これこれマッカーサー大使が言った、藤山外相はかくかく答えたというくらいのことは、当然できるはずでありまするが、それもできないのですか。これは大きな問題ですよ。
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小坂善太郎#24
○国務大臣(小坂善太郎君) 外交交渉のいきさつというものを、一々そのだれがどう言ったということを国会に御報告しておりまする前例はなかったかと承知いたしております。従って、お出しをいたしておらないのであります。
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森元治郎#25
○森元治郎君 そういう御答弁は受けられない。それならば、初めから領空侵犯のこの要請なるものは、こんな文書にして出すことはない。ソビエト大使館に行ってちゃんと頼んできなさい。ほいきた、それきた、これで済むことなんです。しかし、それは日本及びアメリカのいろいろな関係を生ずるので、それではというので、やはり文書にしてくれとおそらく言われたのだろうと思う。実際はそうじゃありませんけれども……。そういう形式をとってくれというので、お願いするという文書を出し、承知をしました、あなたの気持を汲んで自分の国の総司令官に命令をしておきましたから御安心下さいというのが、この往復書簡ではないでしょうか。それならば、安保条約ができた、前の古い安保条約ということを引用しているこの交換公文については、一月六日に確認するときに、あらためて文書にすべきだったと思うが、文書にすべきか、しなくてもいいと……。した方がよかったか、どうお考えですか。
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小坂善太郎#26
○国務大臣(小坂善太郎君) この往復文書がかわされまする際には、今までなかったことが新たにされるのでありまするから、これを文書として確認しようということで、往復書簡がかわされたのだと思います。しかし、先ほど申し上げたように、その事情というものは変わっていないのでありますから、それの確認行為をするという際は、これは口頭でもよかろうと思います。(「よくない」と呼ぶ者あり)しかも、先ほど申したように、ムタティス・ムタンディスという国際法上の原則からしまして、事情の変更が特になされないのであります。従来通りそれは続けましょう、よろしゅうございますということで十分であろうと私は思っております。
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森元治郎#27
○森元治郎君 自分の都合のいいときだけは国際法の原則だなんと言って……。それならば、韓国の請求権の問題だって、敵産を没収しますなんということを認め、これは異例だ、そういうときにこそ確立されたる戦時国際法の法規に従って、日本の韓国における財産は没収できないのですよと言ったらどうですか。そんな場合々々によって調子を変えたんじゃだめです。
 それから、私はどうしてもこれは往復書簡の効力について云々するときには新たにすべきものだと思います。そこで、この協定がどういう意図で結ばれたか。日本の当時の発表によりますると、日本はお願いしたけれども、実は積極的なのはアメリカであった。外務省はもちろん日本側が要請した結果こうなったとは言っておりまするが、当時の消息筋では、必要な措置をとってくれというのはむしろアメリカ側が積極的であったといわれます。その証拠は、この交換文書をごらんになればわかります。日本から向こうにお願いした内容は、近ごろ北海道上空に国籍不明の飛行機がどんどん飛んでくるので困るから、これはこのような領空の侵犯は国際法上の不法行為たるにとどまらず日本国の安全にも重大な影響を及ぼす、日本政府は右のような領空の侵犯を有効に排除するための手段を今持っておりませんから、どうか有効適切な措置をとって下さいと申し込んでおるのに対して、この回答がどう言っているかというと、その領空侵犯を排除するために、旧安保条約——旧とは書いておりませんが——元の安保条約の条項のもとに「必要かつ適当とされる一切の可能な措置」。日本がお願いをしておるのは、有効に排除するための措置というのに対して、お答えは、「必要かつ適当とされる一切の可能な措置」これは非常に積極的であります。これを見ても、むしろアメリカ側が申し込んできた、こういうことが立証されると思う。それから交換公文の形式としておかしいのは、普通はこちらからお願いした文書の回答は、それを繰り返す、それが普通の形式でありまするが、これはまるでそこらの町でわれわれが手紙を出すように、たのむよ、承知した、そうしてたのんだことにない強い言葉がここに書いてあります。日本の防空はアメリカに全部まかせたかのような、あるいはまかせられたかのような回答をしております。一体どっちがこれは積極的であったのか。私は、アメリカの当時の積極性にあったと思います。いわゆる一国の基本権を擁護するという一般の国際法の規定に従ってとったものではなくて、それ以上に作戦的な強い意図が入っていると思うが、どうですか。
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小坂善太郎#28
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、国際法の解釈を自分の都合のいいように持ち出すつもりはございません。ただいまお述べになりました対韓国の財産請求権の問題に関連してでございますが、これはまさにハーグの陸戦法規の四十六条の範囲を越えたものであるかもしれません。しかし、この米軍政府当局のとった措置というものを、われわれは講和条約の第四条(b)項で認めているのであります。これはまた韓国だけについて言えることではありませんで、第十四条におきまして、連合国財産についても同様の措置を認めておるのであります。しかし韓国に対しましては、第四条の(a)項において放棄したという事実を頭に入れて、お互いに交渉するということになっておりまして、お互いに交渉するということが書いてあるのでありまして、しかも一九五七年のアメリカ解釈というものをわれわれ了承いたしまして、その際にはそのことを頭に入れて、しかもどれだけわれわれが出しておるかということによって韓国の財産請求権は拘束されるという意味のことを書いておるのであります。私は条約通りに問題を把握して参りたいと思っております。
 そこでただいまの御質問でございまするが、これはわれわれから書簡を出しまして、この書簡に対する受けが来ておるわけです。その受けの中で、ただいま御質問の点は、「一九五一年九月八日付合衆国と日本国との間の安全保障条約の条項の下に、必要かつ適当とされる一切の可能な措置を、日本国政府のあらゆる実際的援助の下にとるよう極東軍総司令官に命令しました。」と、こうあるのであります。すなわち日本国の要請に基づいて、この必要と認められた、適当とせられる措置をとる、しかもそれもいいかげんなことでなくて、日本国の要請に基づいてできるだけのことをしてあげたいということの気持をアメリカは総司令軍に命令した、こういうことでございまして、積極、消極は、これは言葉のあやでございますが、要するに日本から依頼したことに対して、米軍、アメリカがこれを受諾し、日本の要請に基づいた措置をとるようにしました。こういうことだけであると考えます。
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森元治郎#29
○森元治郎君 先ほどの一月六日の藤山・マッカーサーの話し合いというものは、当然文書で出すべきだということは後ほどに留保して、先へ話を進めまするが、この往復書簡の気持から、あるいはこの表現から受ける感じというものは、日本の単なる領空侵犯というだけではなくて、防空全体を一つたのむような形になっていると思います。そこで、これは新しい条約と一体関係はどういうふうになるか、これが第一点であります。こういう野放図なお願い、日本は何もないのだから、一つアメリカの方でやってくれ、こういう書簡でありますから、安保条約との関係は一体どうなるのか。必要があれば、アメリカはこの書簡によって何でもできると解釈するのは決して不当ではないと思う。相当のことができます。一切の可能な措置を日本の援助でやるのだとなれば、新安保条約でいろいろな取りきめを結んでおりますが、これは何もならなくなってしまう。安保条約の大きな抜け穴をここに作っておった。私はそういう言葉を使いたくないけれども、アメリカが自由に日本で行動するための一つの手段ではなかろうか。そうであることを望みませんが、そのようにも考えられるのでありますが、新安保条約とこの防空の問題、この点をお伺いいたします。
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