本会議

1979-04-26 衆議院 全40発言

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会議録情報#0
昭和五十四年四月二十六日(木曜日)
    —————————————
 議事日程 第十九号
  昭和五十四年四月二十六日
    午後三時開議
 第一 アフリカ開発基金への参加に伴う措置に
    関する法律及び米州開発銀行への加盟に
    伴う措置に関する法律の一部を改正する
    法律案(内閣提出)
 第二 北西太平洋における千九百七十九年の日
    本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件
    に関する議定書の締結について承認を求
    めるの件
 第三 特定ガス消費機器の設置工事の監督に関
    する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第四 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の
    一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関す
    る法律の一部を改正する法律案(内閣提
    出)
 第六 林業等振興資金融通暫定措置法案(内閣
    提出)
    —————————————
○本日の会議に付した案件
 日程第一 アフリカ開発基金への参加に伴う措
  置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に
  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第二 北西太平洋における千九百七十九年
  の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件
  に関する議定書の締結について承認を求める
  の件
 日程第三 特定ガス消費機器の設置工事の監督
  に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 外航船舶建造融資利子補給臨時措置
  法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 原子爆弾被爆者に対する特別措置に
  関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 日程第六 林業等振興資金融通暫定措置法案
  (内閣提出)
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後三時二十四分開議
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灘尾弘吉#1
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ————◇—————
 日程第一アフリカ開発基金への参加に伴う
  措置に関する法律及び米州開発銀行への加
  盟に伴う措置に関する法律の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
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灘尾弘吉#2
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
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加藤六月#3
○加藤六月君 ただいま議題となりましたアフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律及び米州開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。アフリカ開発基金及び米州開発銀行は、それぞれアフリカ及びラテンアメリカの開発途上国の開発の促進を目的とする地域開発金融機関でありまして、今般、両機関は、円滑にその事業活動を継続するため、増資を行うこととなりました。これに伴い、わが国といたしましては、現行の合衆国ドルで、アフリカ開発基金に対しましては総額約一億四千八百万ドルの、また、米州開発銀行に対しましては総額約一億四千二百万ドルの追加出資を、それぞれ行うことといたしております。
 本法律案の内容は、最近における国際開発金融機関の増資が頻繁に行われることを考慮し、わが国のこれら開発金融機関に対する積極的協力姿勢を明らかにするため、政府は、今後両機関に対し、従来の出資額のほか、予算で定める金額の範囲内において出資することができることとするものであります。
 なお、昭和五十四年度一般会計予算予算総則におきまして、アフリカ開発基金への追加出資の限度額三百十七億四千九百五十一万円、米州開発銀行への追加出資の限度額二百七十七億五千三百二十五万三千円と規定されております。
 本案につきましては、審査の結果、去る十一日質疑を終了し、昨二十五日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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灘尾弘吉#4
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
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灘尾弘吉#5
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ————◇—————
 日程第二 北西太平洋における千九百七十九
  年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び
  条件に関する議定書の締結について承認を
  求めるの件
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灘尾弘吉#6
○議長(灘尾弘吉君) 日程第二、北西太平洋における千九百七十九年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長塩谷一夫君。
    〔塩谷一夫君登壇〕
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塩谷一夫#7
○塩谷一夫君 ただいま議題となりました北西太平洋における千九百七十九年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本議定書は、本年四月三日以来モスクワにおいて、日ソ両国政府間で北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における本年の日本国のさけ・ますの漁獲の手続及び条件を定める議定書を締結するための交渉を行ってまいりました結果、合意に達し、四月二十一日にモスクワにおいて署名されたものであります。
 その内容は、北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における本年の日本国のさけ・ますの漁獲について、漁獲量、禁漁区、漁期、議定書の規定に違反した場合の取り締まりの手続等を定めております。
 本件は、四月二十四日外務委員会に付託され、昨二十五日園田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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灘尾弘吉#8
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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灘尾弘吉#9
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ————◇—————
 日程第三 特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
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灘尾弘吉#10
○議長(灘尾弘吉君) 日程第三、特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長橋口隆君。
    〔橋口隆君登壇〕
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橋口隆#11
○橋口隆君 ただいま議題となりました特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 従来、一般家庭におけるガスによる災害の防止につきましては、ガス事業法並びに液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律に基づき、各般の保安対策が講じられてまいりましたが、ガス消費機器の設置工事の欠陥に係る災害は、依然として後を絶たない状況であります。
 本案は、このような状況にかんがみ、現行の保安規制を補完し、その充実を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、ガスバーナーつきふろがま、ガス瞬間湯沸かし器等のガス消費機器の設置工事を行う特定工事事業者は、ガス消費機器設置工事監督者の資格を有する者に実地に施工を監督させなければならないこと、
 第二に、ガス消費機器設置工事監督者の資格は、通商産業大臣またはその指定する者が行う特定工事に必要な知識及び技能に関する講習の課程を修了した者、液化石油ガス設備士等に対し与えること等であります。
 本案は、三月三十日参議院から送付され、同日当委員会に付託され、四月十一日江崎通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、審査を重ね、四月二十五日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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灘尾弘吉#12
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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灘尾弘吉#13
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ————◇—————
 日程第四 外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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灘尾弘吉#14
○議長(灘尾弘吉君) 日程第四、外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員会理事関谷勝嗣君。
    〔関谷勝嗣君登壇〕
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関谷勝嗣#15
○関谷勝嗣君 ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における日本船の国際競争力の著しい低下に伴い、外航海運企業が日本船を建造する意欲を減少し、運航コストの低廉な外国用船へ依存する度合いを年々高めつつある実情にかんがみ、わが国外航海運企業による外航船舶の建造を促進するため、利子補給制度の復活、拡充を図り、もって国際競争力のある日本船の建造体制を改善、強化しようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、外航船舶の建造融資について、昭和五十四年度以降の三カ年度において新たに政府が金融機関と利子補給契約を結ぶことができることとするため、利子補給契約を結ぶことができる期限を昭和五十七年三月三十一日までとすること、
 第二は、新たに締結する利子補給契約に係る利子補給率は、日本開発銀行の融資の利率と二・五五%との差の範囲内において、また、一般金融機関の融資については、市中の最優遇金利と三・六%との差の範囲内において、それぞれ定める率とすること、
 第三に、個々の利子補給契約による利子補給金の総額を計算する場合の基礎となる日本開発銀行の融資の償還条件は、新しい利子補給契約の場合、定期船と定期船以外の船舶とを区別せず、一律に元本三年間据え置き、十年間半年賦均等償還とすること
 であります。
 本案は、去る三月一日当委員会に付託され、同月十六日政府から提案理由の説明を聴取した後、同月二十日参考人より意見を聴取し、四月十日及び二十五日質疑を行い、昨二十五日採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、五派共同提案に係る、わが国海運企業の国際競争力の強化、日本人船員の雇用の拡大、日本船を中核とする商船隊の整備、国際海運秩序の維持に必要な諸施策及び中小造船業の需要の確保について政府は適切な措置を講ずべきである旨の附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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灘尾弘吉#16
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
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灘尾弘吉#17
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ————◇—————
 日程第五 原子爆弾被爆者に対する特別措置
  に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
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灘尾弘吉#18
○議長(灘尾弘吉君) 日程第五、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長森下元晴君。
    〔森下元晴君登壇〕
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森下元晴#19
○森下元晴君 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、原子爆弾被爆者の福祉の向上を図るため、特別手当等の額を引き上げようとするものでありまして、その内容は、
 第一に、認定被爆者に対する特別手当の額について、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にある者に支給する特別手当の額を月額三万三千円から五万四千円に引き上げ、当該状態にない者に支給する特別手当の額を月額一万六千五百円から二万七千円に引き上げること、
 第二に、健康管理手当の額を月額一万六千五百円から一万八千円に引き上げること、
 第三に、保健手当の額を月額八千三百円から九千円に引き上げることであります。
 本案は、去る三月八日付託となり、昨日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、特別手当等の額をさらに引き上げる修正案が提出され、採決の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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灘尾弘吉#20
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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灘尾弘吉#21
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ————◇—————
 日程第六 林業等振興資金融通暫定措置法案(内閣提出)
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灘尾弘吉#22
○議長(灘尾弘吉君) 日程第六、林業等振興資金融通暫定措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長佐藤隆君。
    〔佐藤隆君登壇〕
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佐藤隆#23
○佐藤隆君 ただいま議題となりました林業等振興資金融通暫定措置法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における林業をめぐる諸情勢の著しい変化に対処して、林業経営の改善並びに国内産木材の生産、流通の合理化を一体的に進めることとし、当分の間、農林漁業金融公庫が造林・林道資金の貸し付けを行う場合における償還期限及び据え置き期間の特例措置を設けるとともに、国内産木材の生産、流通の合理化を進めるために必要な資金の円滑な供給を図る措置等を講じ、林業及びその関連産業の健全な発展を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、一二月一日渡辺農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、四月二十四、二十五の両日にわたり参考人から意見を聴取するなど、慎重に審査を行い、四月二十五日質疑を終了、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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灘尾弘吉#24
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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灘尾弘吉#25
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
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灘尾弘吉#26
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣山下元利君。
    〔国務大臣山下元利君登壇〕
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山下元利#27
○国務大臣(山下元利君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊八百十四人、航空自衛隊二百二十五人、計千百三十九人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、海上自衛隊の潜水艦部隊の一元的な指揮運用を図るため、司令部及び潜水隊群その他の直轄部隊から成る潜水艦隊を新編して、これを自衛艦隊の編成に加えるものであります。
 第二は、航空自衛隊の補給機能を効果的に発揮させるため、各補給処の業務の統制を行う補給統制処を廃止し、これにかわるものとして、各補給処の業務全般の指揮監督を行う補給本部を航空自衛隊の機関として新編するものであります。
 第三は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官千人を増員するためのものであります。
 以上が、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。拍手
     ————◇—————
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
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灘尾弘吉#28
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。栂野泰二君。
    〔栂野泰二君登壇〕
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栂野泰二#29
○栂野泰二君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係各大臣に対し、以下若干の質問を行います。
 まず最初に、総理の防衛政策に対する基本姿勢について伺います。
 総理は、昨年末の自民党総裁選に際し、福田前内閣の有事立法必要論は、軍事力の強弱や法律、技術論に偏っていると批判し、終始慎重論を唱えてこられました。こうした防衛問題に対するいわばハト派的姿勢が好感を持って迎えられ、それが総裁選勝利の一因にもなったというのが大方の見方であります。また、今国会冒頭の施政方針演説においても、節度ある自衛力、あるいは、真の安全保障は防衛力だけで足れりとするものではないなどと述べ、少なくともこの時点までは、防衛力を控え目にとらえ、むしろ安全保障政策の多元性、総合性が強調されていたと思うのであります。
 ところが、去る三月十八日の防衛大学校卒業式の訓示においては、防衛力の充実整備を総合安全保障の根幹と位置づけ、さらに、専守防衛を目的とするわが国の防衛力は、他国に脅威を与えるものではないが、真に抑止力たり得るものでなければならないとの見解を示されました。私は、総理が抑止力を強調されるとき、専守防衛と抑止力保持とは併存しがたい概念であると言った栗栖前統幕議長の言葉を思い起こさずにはおれないのであります。また、去る四月十九日、アメリカ人記者との会見では、極東ソ連軍の増強に対応するため、日本は軍事的偵察能力及び抑止力を強化しなければならないと述べられたそうでありますが、一体、防衛政策に対する総理の基本姿勢はこの数カ月の間に変わったのか、変わらないのか。変わったとすればいかなる理由によるものか、この際、明確にお答えいただきたいのであります。拍手
 ところで、総理、私はまずあなたに、次の演説の一節をお聞きいただきたいのであります。
 「人類の先覚者としての誇り高き憲法の精神に立脚して、我が国は、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないことをその基本政策の一つとし、国際協調をその外交政策の前提としております。我が国がこのような世界史上例の少ない実験にのりだす途を選択した背景には、第二次世界大戦の体験を通じて日本国民の一人一人の心に深く根ざした「二度とこのような戦争があってはならない」という決意があります。この決意は、戦後三十余年を経た今日、日本国民の間に深く定着しており、将来にわたって我が国がこれに反するような行動をとることは断じてありません。」そしてまた、「相互不信が軍備の増強を招き、軍備の増強が不信の種をまくという悪循環を断ち切り、相互信頼が軍縮をうながし、軍縮が相互信頼を醸成するという関係に置きかえなければなりません。」というのであります。
 これは、国連軍縮特別総会における園田外務大臣の演説の一節であります。まことに格調高く、かつまた正論と言うべきであります。
 しかし、問題は、どこの国がまず軍縮への第一歩を踏み出すかであります。けだし、どこかの国が率先垂範しない限り、軍縮というきわめて困難な世界史的大事業の実現はとうてい不可能だからであります。私は、それこそ、園田演説の言う、誇り高き憲法を持つわが国が、その光栄ある最初の国となる勇気と決断を持つべきであると思うのでありますが、総理はいかがお考えでありましょうか、御所見を伺いたいのであります。拍手
 わが党は、かねてからこうした見地に立ち、まず、全面軍縮への足がかりとして、アジア・太平洋地域における非核武装地帯の設置を提唱し、その実現に向けて具体的努力を行ってまいりました。さきの園田演説でも、わが国がかかる非核武装地帯の設置を有益であると考えている旨述べられておりますが、政府としては、この非核武装地帯設置について具体的構想を持っておられるのかどうか、あわせてお答えいただきたいと思うのであります。
 国連軍縮特別総会における園田演説は、わが国が日本国憲法の精神を踏まえ、軍拡を拒否し、軍縮に努力することを全世界に向かって公約したものと言わなければなりません。歴代自民党政府の防衛政策が、この公約と全く相反するものであったことはいまさら多言を要しないところでありますが、いまや、大平内閣もまた歴代自民党内閣と同じく、いやむしろそれに拍車をかけて軍備を増強し、軍事大国への道をひた走ろうとしているのであります。
 本法案で改編強化が企図されている潜水艦隊も、これまで増強の一途をたどってまいりました。すなわち、一次防における潜水艦はすべて基準排水量七百トン級であったのでありますが、二次防では千六百五十トン、三次防では千八百五十トンと次第に巨艦化し、現在建造中の艦に至っては実に二千二百トン級となっているのであります。そして、これを一個艦隊として一元的に運用しようというのが本法案の内容であります。こうして、潜水艦隊は、すでに専守防衛の域を越え、攻撃的外洋艦隊へと変身しつつあると言わなければなりません。そのことは、潜水艦の任務を沿岸警備に限定している西ドイツ海軍が、その保有する潜水艦の基準排水量を四百トン以下にとどめていることと対比してみても明らかであります。
 また、防衛費は、本年度予算においてついに二兆円の大台を超え、いまや、実に世界第八位という巨額に達しているのであります。しかも、伝えられるところによりますと、防衛庁はバッジシステムの更新などを内容とする中期業務見積もりを策定し、防衛費の対GNP比を、現在の〇・九%から五年後には一%に引き上げる方針であると言われております。しかし、御案内のとおり、わが国のGNPはきわめて大きく、ことしのGNP〇・一%でも二千億円を優に超える巨額となるのでありまして、もしこうした方針が事実立てられているとすれば、それは絶対に容認しがたいものであります。事実かどうか、防衛庁長官にお尋ねいたします。
 なお、この際、政府は将来とも防衛費をGNPの一%以下にとどめるという方針を堅持されるのかどうか、その点もあわせてお伺いいたしたいのであります。
 私は、ここで、昨年十一月、日米安全保障協議委員会において合意を見た「日米防衛協力のための指針」、いわゆるガイドラインの問題を指摘をしておきたいと思います。
 このガイドラインのねらいは、アメリカのアジア軍事戦略の中に自衛隊を取り込み、米軍と自衛隊を一体化させ、その臨戦化、有事即応化を図ろうとするところにあります。しかも、その目指すところは、対ソ戦と朝鮮半島有事を想定した日米共同作戦体制の確立であり、この意味で、ガイドラインは日米安保条約を実質的に改定するものと断ぜざるを得ないのであります。
 たとえば、ガイドライン第三項では「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合」「日米両政府は、情勢の変化に応じ随時協議する。」とされておりますが、ここに言う日本の安全に重要な影響を与える事態とは、どんな事態を想定されているのか、また、情勢の変化に応じた随時協議とは、いかなるレベルで何を目的として行われるものなのか、全く不明であり、私は、この点にこそ、日米安保条約の実質的改定の意味が隠されていると考えざるを得ないのであります。ぜひ納得のいく御説明をお願いしたいと思います。拍手
 最近の防衛庁による防衛力強化キャンペーンには無視し得ないものがあります。極東の軍事情勢変化を理由に「防衛計画の大綱」の修正を示唆した永野陸幕長発言、極東ソ連軍はわが国の潜在的脅威と断言した山下長官発言などがそれであります。
 確かに、国後、択捉両島における軍事基地の建設、伝えられる空母ミンスクや戦略爆撃機バックファイア配備の動きなど、極東におけるソ連の軍事動向には注目すべきものがありますが、その意図するととろや及ぼす影響については、冷静な情勢分析と慎重な対処が要求されるのであり、ソ連の軍事動向が直ちにわが国に対し現実の脅威を与えるかのような短絡した対応に出るのは、きわめて危険であります。まして、最近の防衛庁のように、これに籍口し、ことさらに国民の危機意識をあおり立て、防衛力の強化を企てるがごときは、断じて許し得ないと言わなければなりません。拍手いま一番大事なことは、脅威を強調することではなく、脅威をなくす努力をすることであります。
 そこでお尋ねしますが、政府は、現時点における極東の軍事情勢をどのように認識されているのか、また、これとの関係で「防衛計画の大綱」の見直しを検討すべきであると考えておられるのかどうか、総理並びに防衛庁長官にお答えいただきたいと思います。
 最後に、総理は、来週いよいよ注目の日米首脳会談に臨まれるわけでありますが、この会談において、日米防衛協力問題を議題とするおつもりなのかどうか、もし議題にするとすれば、いかなる方針で臨まれるのか、この際、明らかにしていただいて、私の質問を終わります。拍手
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
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