公職選挙法改正に関する特別委員会

1980-11-26 参議院 全221発言

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会議録情報#0
昭和五十五年十一月二十六日(水曜日)
   午後一時三十分開会
    —————————————
   委員の異動
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     大川 清幸君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         鳩山威一郎君
    理 事
                中西 一郎君
                松浦  功君
                小野  明君
                多田 省吾君
    委 員
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                田中 正巳君
                名尾 良孝君
                中村 禎二君
                秦野  章君
                降矢 敬義君
                円山 雅也君
                福間 知之君
                宮之原貞光君
                大川 清幸君
                山中 郁子君
                栗林 卓司君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       自 治 大 臣  石破 二朗君
   政府委員
       自治政務次官   北川 石松君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      井嶋 一友君
       国税庁直税部所
       得税課長     冨尾 一郎君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○閉会中の委員派遣に関する件
    —————————————
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鳩山威一郎#1
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として大川清幸君が選任されました。
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鳩山威一郎#2
○委員長(鳩山威一郎君) 政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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宮之原貞光#3
○宮之原貞光君 本改正法案は、先般来のいろいろな質疑の中からもうかがえますことは、非常にざる法案的な要素が多いということがうかがえるのでございます。またそのことを裏書きするかのように、去る十二日の毎日新聞でございましたか、「政治資金の規制なんて本質的にはできっこない。結局は、政治家の倫理観に期待するだけ。その意味じゃあ確かにザル法ですな。」という自治省幹部という形の紹介の記事が載っておるのでございます。まあその新聞の真偽のほどはわかりませんけれども、当局自体、そういう自嘲的なことが記事にあらわれてくるということ自体、私はそのことを裏書きするのじゃないだろうかと思うのでございます。しかし、具体的にそれらの問題について本当にそうなのかどうか、もう一回私はそれぞれお聞きしてみたいと思うのです。
 その一つは、法第二十四条の罰則には、この改定をされたところの十九条の七でいわゆる保有金についての報告を怠った場合の適用規定が見受けられないようでございますが、この問題についてはいわゆる罰則規定はないのだというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
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大林勝臣#4
○政府委員(大林勝臣君) 罰則は設けておりません。
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宮之原貞光#5
○宮之原貞光君 そういたしますと、この保有金は罰則もない。同時に、税制上の問題はどうなっておりますか、そういう何か制約の規定でも何かあるのですか。
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大林勝臣#6
○政府委員(大林勝臣君) この法律の実効性をできるだけ法律の上で担保をいたしますためには、罰則あるいは税制上の措置ということがまず考えられたわけであります。罰則につきましては、実はまず出発点でございます政治活動の金と私的な金とを明確に区別するというところが一つの問題でありまして、いろいろそれを考えてみたわけでありますけれども、公的な金と私的な金を一つ一つについてわかるように、つまり判断できるように基準をつくるということも結局立法技術上むずかしい。そういうことであるとすれば、公的資金と私的資金を区別して公的資金を報告していただくようにするわけでありますけれども、その区別自体は、結局は個々人それぞれの政治家によって活動範囲はまた異なるでありましょう。そういう区分けは結局は個々の政治家の倫理観の判断によらざるを得ないというところから出発せざるを得なかったものでありますので、そういった具体的な区分けが非常に法律の上で明確にできないということを前提としながら、一つ一つの報告について罰則を予定するということは、むしろ構成要件が明確でないものについて罰則をかけることにもなるでございましょうし、当面は政治家の倫理観にお任せするとして、将来の問題としての検討事項として残しておこうという結論に実はなった次第でございます。
 それでは罰則は当面無理だといたしまして、税の面で何かいい方法はないであろうかということもいろいろ考えました。内部的には、たとえば報告が出ていない、つまり報告をされていない保有金というものがあったということになりますれば、そういうものはもう無条件に雑所得というようなみなし方をするということも一つの考え方として出ておったわけでありますが、そういう方向が一体現在の税制の体系の上でとれるであろうかどうであろうか、いろいろ国税庁当局、大蔵省当局とも折衝を重ねたわけでありますけれども、やはり税の取り扱いの面におきましては、まあ実質課税の原則と申すのでありましょうか、そういった形式的な問題というよりも、実際にその保有金というのが政治活動に使われたかあるいは使われなかったかによって区別して取り扱わざるを得ないというようなことでございます。つまり、政治資金規正法上の税法上何とかならぬかという考え方と、それから税制の立場におきます税のあり方という問題が交錯をして一致点に至らなかったために、税につきましても従来どおり、もちろん報告の有無にかかわらず、実際にその政治活動に使われたか使われなかったかということを基準として課税をするという意味におきまして、税制上の取り扱いにおいても従来の取り扱いと変更がないという結論になったわけであります。
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宮之原貞光#7
○宮之原貞光君 十九条八の規定ですね、特定公職の候補者が自分の指定団体に寄付した場合、これはその政治家の個人からの報告は不要となっておるようですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
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大林勝臣#8
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体に入れて指定団体の手で報告をされますものにつきましては、報告は個人から改めて要しない、こういう仕組みにいたしております。つまり、指定団体を個々の政治家の金庫と考えていただきまして、その金庫であるべき政治団体から個々の政治家にかわって報告をしていただくというシステムでございます。
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宮之原貞光#9
○宮之原貞光君 その者の保有金から指定団体への寄付というのは、量的な制限がございますかございませんか。
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大林勝臣#10
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体に寄付することにつきまして、現行制度では個々の政治家が御自分の後援会に寄付される場合におきましても年間百五十万円という制限がございます。これをそのままにしておきますれば、個々の政治家に入った年間政治資金はすべて指定団体に入れていただきたいという法律の考え方からそれてまいりますので、現行制度を改めましてその部分だけ、つまり指定団体に対して個々の政治家が寄付する場合におきましては百五十万制限というものを取っ払っております。
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宮之原貞光#11
○宮之原貞光君 いま二、三尋ねてみましたけれども、どれも締まりがないのですね。いわゆる罰則もない、あるいはまた保有金からの寄付の場合の報告の義務もない、あるいは寄付の量的な制限もない、税制上の規制もない。これは私が冒頭に紹介申し上げたところの自治省の幹部自体がそうだと認めておるということをまさに私は裏書きしておることだと思うのですよ。一体こういうことで政治の浄化、政治資金をきれいな形にして国民に納得のいくようにガラス張りでやるのだと、こういうものの実効性が果たして上がるでしょうか。どうもその点が私は疑点というか納得ができないのです。議事録を拝見いたしますと、あるいはまたいまの選挙部長の答弁を聞いてみても、政治家個人の倫理観に基づいてすべてを律するというやり方ですね。先般の委員会の選挙部長の言葉をかりれば自由奔放、こういうような物の考え方が国民世論の政治資金のガラス張りあるいは浄化という課題にこたえるところのものだろうか。この疑問は私一人じゃないのじゃないでしょうか。恐らくほとんどの国民が一体どういうことかと、こう疑いたくなりますよ。政治家個人の倫理観に基づくというなら、大臣も経験されたところのある、たとえば先般来から指摘をいたしておりますところの澁谷さんの問題、齋藤さんのこういう問題が出てくるでしょうか。これでは困るから最低限度守るべきものは明らかにしてもらいたいというのが政治資金に対するところの国民の素朴な声じゃないでしょうか。それがいま一つずつお尋ねいたしますと、選挙部長の答弁のように何ら最後の締めくくりはないのです。しかも驚くべきことは、その保有金の問題その他の問題にしても、政治家個人に政治活動の分野と経済上の問題とを仕分けさせるということで税制上の対応策もない。いまの選挙部長の答弁を聞いてみますと、非常に技術的に困難であったということでありますけれども、新聞はやっぱり正直に伝えていますよ。事務当局自体がそういう何らかの形で規制をしたいと思っておったのだけれども与党の関係者と相談をしたらそれはだめだといってけられて、ついにそこもなくなったと、こう報道しておるのですよ。私は真偽のほどは何もここであえてはっきりしてくれとは申しませんけれども、せめてそういう問題だけでも、そういうふうに仕分けできないような場合あるいはきちんとできない場合は雑所得なら雑所得として、税制上の規制は加えますよと、こういうものがやはりあっていいのじゃないでしょうか。それさえもないというのですから。これは今後の問題として検討するという意味ですか。それともいまのこの新聞の伝えるところによると、与党の皆さんの合意が得られないからこれはできないということなんでしょうか。これを事務当局が言うように、政治家個人の倫理観にまつといったって百年河清を待つところのものじゃないでしょうか。それはどう思いますか。もう一回答弁してください。
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大林勝臣#12
○政府委員(大林勝臣君) 確かに問題としましては、罰則の問題、税制上の問題というのが今後の問題として残されておるわけであります。ただ、この法案を急遽審議いたただきます際に私どもが考えましたのは、できればそういった実効性のある措置というものが考えられればそれはそれに過ぎたことはない。ただ法律的にあるいは税の体系上それが現段階ではむずかしいということでございますれば、それにいたしましても個人の政治資金の報告制度というのはわが国の歴史始まって以来、実は全くなかった制度であります。選挙運動の収支報告につきましては従来からあったわけでありますが、常時ふだんの政治資金の報告につきましての個人からの報告というのは今回が実は初めてという制度でございます。
 と同時に、そもそも政治資金の報告ということ自体が、従来政治団体の報告について考えておりました一つの考え方、つまり政治資金の公表というのはあくまでも世間に対してこれを報告する、つまり政治資金の内容を世間に公表して国民の批判を受ける、こういうところに一番の目標があるわけでありまして、実際問題としてもしも報告がなかったとか、あるいは世間の疑惑を招くようなそういった事実がわかったというような段階になりますと、結局世間が許しておかない。いろいろな事件が起こりますたびに報道機関によっていろいろ報道をされる。その報道をされること自体が政治家にとっては大変な痛み、あるいは罰則以上の痛みに実はなってきておるわけであります。そういう意味で、世間の評価、批判、そういうものがこの法律の一番の制裁ということになるのであろう。そういった考え方が従来の政治資金規正法のまた考え方でもございました。そういう意味もございまして、一番最初、わが国歴史始まって以来の制度でございますから、当面はこういう制度でも相当の効果があるのではないであろうかと、こういう考え方に落ちついた次第であります。
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宮之原貞光#13
○宮之原貞光君 わが国政治上初めてのことだと大分自画自賛いたしておるのですが、あなた方事務当局自体がざる法だと言うようなものが自画自賛に値しますか。
 もう一つお尋ねしますけれども、政治献金を今度は逆に一たん自分の指定団体に入れた、いろいろなところから。けれども、そこから今度は寄付の形で引き出した場合は、どのように使ったかという報告はしないでもいいのでしょう。これはそうなっていますか。その点どうですか。
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大林勝臣#14
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
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宮之原貞光#15
○宮之原貞光君 そのとおりだということですから、言うならこの間から指摘をしておるように、入りのところは若干明らかになってきた、出は全然わからないのです。あなたの言葉をとらえるわけじゃないですけれども、どういうものに使いました、また寄付を受けたものはこう使いましたと世間に明らかにしないで一体国民の批判を受けるところのチャンスはありますか。あなたのさっきの答弁では、世間の批判を受ける、国民に公表してそれによって政治家の次へのあれが決まっていくのだと、きわめてりっぱなものだと言わぬばかりの話なんですけれども、出るところのもの、私はこういうものに使いました、言われるところのこの指定団体の方からこういう金を受け取りました、これはこういうふうに使いましたと、こういうものがない限り世間にその政治家がどういう金に使ったかわかりますか。なるほど選挙のときのいろいろなものとかそれはわかるでしょう。肝心かなめのところは公表させないでおいて、それは国民に公表することによって批判を自動的に受けるのでありますとあなたは答弁しているのだが、本当にできると思いますか。
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大林勝臣#16
○政府委員(大林勝臣君) 報告の範囲につきましていろいろ検討をしたわけでありますが、この法案の最初の考え方が、御承知のような最近のいろいろな航空機疑惑というような問題から出発したところから考えまして、とにかく政治家について世間の疑惑が集まっておる、そういう疑惑をなくする一つの方法として個人政治資金の報告制度というものを考えてまいったわけであります。
 そこで、まず政党であるとか、あるいは御自分の一番の信頼関係に立つべき後援会の中での指定団体、そういうものを通じて報告をしていただくのでありますけれども、またそういった団体というのは個々の政治家と一番の信頼関係に立っておる団体に違いないわけでありまして、そういった団体からいただく政治資金について改めて報告をしていただくこともないであろう、むしろそういった団体から私的に使うようなことは恐らく起こってこないであろう、そういうものをもし御自分の一番信頼をされている団体から受けた金を私的に使うというようなことになれば、そもそもその指定団体からの信頼関係というものはもう壊れてしまいまして、むしろ個々の政治家の政治生命そのものの問題になってくるであろう、そこはひとつ個々の政治家の先生方をやっぱり御信用申し上げようと、こういう思想から考えられたものであります。
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宮之原貞光#17
○宮之原貞光君 自分が寄付を受けた、この金はこう使いましたということが世の中にはっきりしてこそその政治家のまともな政治活動かどうかというのがわかるのでしょう、これは。そこのところは政治家の良心に云々と。
 私はずっとこの間からのやりとりを聞いて感じておるのは、言うならばこの法律はきわめて政治家の性善説ですね、法律が性善説に立っておったら何も法律は要らぬのですよ、世の中は、みんな人間はりっぱなものだ、一人前だということになれば。ほかの者は、これもやってはいけない、これもやったらこうですよと、国民全体にいろいろなものがある。事政治家に対してはその性善説を適用せよというのだから。しかし、残念ながらその政治家が一番世の中の批判を受けておるのですよ。ロッキード事件、グラマン事件から、あるいはつい最近の埼玉の献金問題まで。こういうようなものをやっておいて、これで政治家の姿勢を正しましたなんといってもこれは聞こえっこないですよ。それならば、提案説明にあるところの政治資金とその他の資金、たとえばそれは経済活動の資金もあるでしょう、そういうものを明確に区別できますか。そのためにこれをあなたの方はつくったと言うのでしょう、趣旨は。けれども、肝心かなめの指定団体から受け取ったところの金の使い道は報告する義務はないというのだから。それは自分が都合が悪かったら報告しませんよ。事ほどさように今度の出されたところの問題が、総理が所信表明で演説をされた、それだから何とかしてその顔を立てようというきわめてどろなわ式の、かっこうだけつけたところのものだと言われても仕方ないじゃありませんか。
 選挙部長、いろいろな政党の、後ろのいろいろなものは考えないで、あなたが実際当事者として、本当に政治家というのはあなたが期待するようにきちんと今後はこういうことで政治資金の問題について後ろ指を指されないようなことになると、こう断言できますか。どうですか、それを答えてください。
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大林勝臣#18
○政府委員(大林勝臣君) 結局、政治団体あるいは政治資金に関する法律を私どもいろいろ考え、検討いたします場合には、いみじくも仰せになりましたような性善の立場に立って考えることが多いわけでありますが、やはり私どもの立場から考えましても、政治団体あるいは政治家の活動というものすべて何か疑惑のかたまりであるというようなことを前提として考えるということにつきましては大変ちゅうちょするわけでありまして、やはり日本の政治を背負う政治家あるいは政治団体の活動というものについては、できるだけ政治団体なり政治家の自覚のもとに公明正大にやっていただく、そして片っ方国民の批判でその都度姿勢を正していただく。政治団体なり政治家の側の責任と国民の批判と、この両方が相まってうまく運営されるのが民主政治の発達のためには一番いいのではないか。そういった政治団体あるいは政治家の責任と国民の批判というものが従来も、それから今回の法律においてもそうでありますけれども、政治資金規正法自体の目的でありまた基本理念と、このように理解をしておるわけであります。
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宮之原貞光#19
○宮之原貞光君 ぼくはもう政治家はみんな疑惑のかたまりだとまでは思いたくない、これは自己冒涜ですからね。しかし、残念ながら私どもの仲間におったということだけは事実でしょう。しかも、時の政権を握って政治家としては一番終局の目的だと言われておるところの大臣、総理というのが堂々とそれを犯しておるのですからね。われわれ平じゃありませんよ。この問題についてそれだけ影響力が大きいのですよ。それだけに、国民の批判とおっしゃいますけれども、国民の批判ができるような条件に置くというのならまだ話はわかりますよ。たとえば、指定団体にやったものが、それから受けたところの寄付ぐらいはみんな私はこれに使いましたと明らかにすれば一もし私的に使ったというのなら国民の批判が起こりましすう。しかし国民の批判が起こされないようにしておいて、あなたが国民の批判、国民の批判と、こう答弁されたって、ああそうですかと理解できる人はおりませんよ。
 関連してお聞きしましょう。この寄付禁止の問題でございますが、本日の新聞は、与党・自民党の政審、総務会で何か金のかかる選挙運動の事実、事情、これを金のかからないような選挙にするのだと、こういう立場から公選法改正の問題でいろいろ議論をした。その中で、寄付禁止の問題と関連するところの問題で、候補者個人の寄付は全面禁止をし罰則を拡大するという事務局の案、条項と、選挙区内の者に対する後援会の寄付は政党、候補者個人などに対する場合を除いて全面的に禁止し、後援会の集会、行事での金銭や物品の供与も禁止すると、こういう一つの案を全面的に、それは都合が悪いということで削除することにしたわけです。そして、こういう削除をしたものを今度の通常国会に出すという新聞報道がどの新聞からもなされておる。一様に取り上げられておる。これは恐らく新聞の間違いじゃないだろうと思うのです。そうすると、これから受けるところの印象は、やっぱり与党の皆さんは金権政治でなきゃぐあいが悪い、寄付金の問題について禁止するのもぐあいが悪いということでさては条項を削除したのかなと、こう勘ぐりたくなります。
 そこで、選挙部長にお尋ねしますが、これは政党のことですから答えられませんとおっしゃるかもしれませんが、実際公職選挙法やいろいろ選挙の問題を扱っておるところのあなたの立場から見ればどうなんですか、選挙部長としての感想をちょっと聞かせてください。
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大林勝臣#20
○政府委員(大林勝臣君) 感想というのはまことにおこがましいわけでありますけれども、従来のいきさつをちょっと御説明申し上げます。
 確かに選挙に金がかかる。そこで、政治資金規正法を昭和五十年に改正をするという段取りになったわけでありますけれども、あわせて政治資金規正法の上でできるだけ金銭面を明らかにすると同時に、やはり選挙に何とか金のかからぬようにするための一番手っ取り早い方法というのは要するに個々の政治家の寄付であると。要するに選挙期間中の活動だけでなしに、常時ふだんの政治活動においていろいろな義理人情、社会的なしがらみ、そういった問題もございますのでいろいろ金が出る、その金が出ることをひとつ全面的に禁止してほしい、こういうお話が政治資金規正法の改正をいたします際に各党の方から出てまいったわけであります。たまたま選挙制度審議会におきましてそういった議論が行われたわけでありますけれども、むしろその段階におきましては、なるほど個々の政治家について寄付を全面的に禁止をするということはまことに金のかからぬ原因でもある。それからもう一つは、大変聞こえのいい話である。しかしながら、選挙法上あるいは政治資金規正法上の寄付という概念というのが非常に広いわけでありまして、およそ債務の履行みたいなものでない、金銭、財産あるいはその他のいろいろな利益を供与することを寄付というふうに非常に広く押さえている、それをもう全面的に禁止するということで果たして一体政治家の方が社会生活が維持できるのであろうか、こういうまあまじめな質問が当時の学識経験者を中心に出たわけであります。それに対しましては、それはいろいろ場合によっては困ることはあるだろう、香典を出さぬといかぬあるいは結婚式のお祝いを出さぬといかぬというような状況にある場合にもそれはだめだということになりますから、なかなか社会生、活上困ることはあるかもしれないけれども、それはやはり各党がそれぞれ党内で戒め合ってこれを実行するということであればそれはそれでいいのだから、ぜひとも寄付の全面禁止をやってほしい、こういう御意見が非常に強く出たわけであります。
 そこで、特別委員の方々がそこまでおっしゃるのであれば、ひとつ答申にそれを盛り込みましょうということで審議会の答申ということになったわけでありますが、さて立法の段階におきましては、全面的に本則で寄付を禁止するといたしましても、これについて、しからばすべてに罰則をつけるかというような話になってきたわけであります。確かに寄付は全面的に禁止するものの、やはり寄付の中でそれぞれやはり可罰的な違法性があるものもあればないものもあるだろう、そういうものを全部ひっくるめて全面的に罰則の対象にするということは、むしろ罰則理論上とうていそれはむずかしい。そこで、なるほど本則で寄付は全面禁止いたしましたけれども、罰則におきましては、いわゆる可罰的違法性があるものと申しますか、つまり選挙に関する寄付と認められるもの、あるいは通常社交の程度を超えて多額の寄付をするというものは選挙に関する寄付とみなしてこれは罰則の対象にする、しかしながら、それ以外のものは当面は罰則は見合わそうということに実はなったわけであります。
 その段階におきましては、これは寄付が全面禁止になるのだからということで非常にPRも行き届いたわけでありますけれども、罰則が実は違法性のあるものだけに限定をされておるということがだんだんわかってきた、そこでまたまたあちこちで寄付のはやりが生じてきた、これはまた大変だと、そこでやはりこれは……
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宮之原貞光#21
○宮之原貞光君 簡単に言ってください、時間がありませんからね。感想を聞くだけだから。
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大林勝臣#22
○政府委員(大林勝臣君) やはり全面的に罰則をかけるべしと、こういう議論が再発したわけであります。
 そういう経緯だけ申し上げておきます。
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宮之原貞光#23
○宮之原貞光君 感想が聞かれないで非常に残念でした。経緯だけはお聞きしておきましょう。
 与党みずからがこういう姿勢ですからね。だから、この問題についての大体のその政権党の姿勢というのは、私はもう端的にうかがえると思うのですよ。
 時間もありませんのではしょって聞きますが、次は政治団体のあり方の問題で、法文上はなるほど政治団体の規定をされておるわけでございますが、先般来この問題についていろいろ私聞いてきました。たとえば福岡二区の麻生代議士の政治団体の問題もそうでありますけれども、資格を失っても改めて新政治団体を届け出さえすればそれができる、あるいは意図的に報告を怠っておってやいやい言われると解散をすればそれで事済む、あるいは政治団体を個人が幾つつくってもよろしい、上限がない、こういうような政治団体のあり方というものも、これもやはりいたし方のないことだということで、いつまでたってもこの問題について検討を加えるという意図はないのかどうか、その問題。
 もう一つは、北野献金にかかわりますところのいわゆる齋藤、澁谷問題にいたしましても、この政治団体のあり方と関連をいたしますれば、数をたくさんつくるから、結局百万円未満のものをあっちこっちずうっと入れていけば、言うならば、この処理方法として小分けしていけば何らこの問題について明らかにする必要もない、こういうまあ政治団体の隠れみのが今日やはり問題があるわけなんですけれども、現行法は結局政治団体の報告を、形式が整っておるかどうかということを見るだけが自治省の仕事です、あるいは各府県の選管の仕事ですということなんだけれども、一体これでいいのかどうか。むしろこうじゃなくして、最近情報公開という問題が出ておりますけれども、やはり政治家の政治資金の問題についてもこの情報公開をしていくという方法をむしろ思い切ってやるべきじゃないでしょうか。これを公開することによって、選挙部長が先ほど来言っておるように、金銭の収支に関するところの問題点を洗いざらい出すことによって国民がそれを批判してその政治家の品定めをすることができるというのは結構なことなんですけれども、どうもいまのこの政治団体のあり方というのは、先ほど来指摘いたしましたように、たくさんの隠れみの、逃げ道をつくっておいて、国民の批判を受ける云々と、こう言ってみたって私は始まらぬと思うのです。この政治団体のあり方というものはこれでいいのかどうか、検討を加えるところの余地が相当あると私は思うのですが、その点について選挙部長としてはどうお考えですか。
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大林勝臣#24
○政府委員(大林勝臣君) まあ、政治団体をたくさんつくれば百五十万制限は余り意味がないではないかとか、政治団体の設立であれあるいは数の問題について政治資金規正法をめぐっていろいろ御議論があることは十分承知をしておるわけでありますが、確かに一つの資金の限度というものを設けましても、受け入れざらと申しますか、そういった政治団体というものがたくさんできればそういった批判の対象になろうかと思います。ただ、特定の政治家に関係をする政治団体の数を制限するかどうかというような方向で物を考えますと、やはり結社の自由の問題とかいろいろむずかしい問題に逢着をするわけであります。アメリカでもいろいろこの政治団体の数が多過ぎるので同じような議論が出ておるわけでありますけれども、なかなか法制的に政治団体の数を何らかの方法で限定をするということも立法上はむずかしい。結局は、いろいろまた批判をされるわけでありますけれども、世間の批判というものが最後の盾ということになるのではないだろうか。まあ今後の一つの大きな検討課題であるとは思いますけれども、法律上は非常にむずかしい問題であろうと思っております。
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多田省吾#25
○多田省吾君 いま宮之原先生から御質問があったことと同じ問題でございますが、いわゆる特定公職の候補者が第一号団体、第二号団体として後援団体を、中には百五十も持っている方がいるそうでございますが、そのように何十何百という後援団体を持っている方がいるわけです。それに分散されてしまうと政治資金の実態というものがなかなか把握困難になる。そうすると、私はその上にこの指定団体は幾つでもよろしいというのは非常におかしいと思うのです。政治家個人への政治献金の実態を明らかにするのならば、指定政治団体は一つに特定した方がいいと私は思うのです。この前からの選挙部長の御答弁のように、政治家にはそれぞれ活動をする分野があるのだというような御答弁ならば、たとえばそれでは一号団体については指定団体一つ、二号団体についても指定団体は一つと、このように指定団体は一つないしは一号団体に一つ、二号団体に一つと、二つに限る、こういう方法がなぜとれないのか、その辺のひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
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大林勝臣#26
○政府委員(大林勝臣君) 指定団体の数の問題でありますけれども、政治家個々の立場を考えてみました場合に、たとえば全国的な分野で活動される政治家におかれましては、政治団体というのは東京でもやはり政治の拠点として活動される場合の団体というのもございましょうし、あるいは地元での活動の拠点として団体をお使いになることもございましょう。それはまたそれぞれの政治家の種類によって違ってまいるでありましよう。たとえば全国区の先生などにおきましては、衆議院あるいは地方区の先生方とはまた事情の違う政治活動なり政治団体の活動というものがあるのであろうと思います。そういうふうな個々の政治家の先生方の政治活動の実態が、それぞれの政治家の種類によって恐らく違っておるであろうと考えましたために、特に指定団体の数をそれぞれ限定しなかったわけであります。ただ、実際問題として、団体を指定された場合には、その指定団体の名前というのを選挙管理機関の方へ届け出ていただく、こういうことになっておりまして、県に届け出られたものは私どもの方に参りますし、また私どもの方に参った指定団体につきましては、その地元の県の方にも連絡する、こういうふうになっておりまして、一元的に把握することはできるようにしておるわけであります。
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多田省吾#27
○多田省吾君 私はまだわからないのです。たとえば全国区の方がとおっしゃいますけれども、それでは全国区の方は二号団体、全国的な後援団体一つに指定すればそれは大体済むことでございましょうし、地元活動であればその方の主な地元の後援団体を一つ指定団体にすれば、第一号団体一つという指定でも私は十分政治活動は行えると思いますし、一号団体一つ、二号団体一つ、二つまでは指定団体を設けることができる、こういう規定で何ら私は政治家の政治活動に差し支えることはないと思いますが、どうですか。
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大林勝臣#28
○政府委員(大林勝臣君) そのあたりの問題は、団体あるいは個々の先生方の政治活動の拠点の実態ということになってくると思います。先ほど申し上げましたような、恐らくはそれぞれの先生において非常に活動の実態が違うということを前提といたしまして、特に数を制限していないわけでありますけれども、最初の制度でございますから、今後の経緯というものを見ながら、さらに将来いろいろ御意見を承りながら検討してまいりたい問題というふうに考えております。
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多田省吾#29
○多田省吾君 それから、現行の政治資金規正法では、たとえば政治団体から政治家が支出を受けた場合は、一万円以上のものに限ってはその支出を受けた者の氏名、住所、職業並びに当該支出の目的、金額、年月日を届け出る、報告する義務があったわけです、今度はそれが五万円になるそうですが。ところが、この改正案が通りますと、候補者が指定団体の政治団体にたとえば五十万円なら五十万円届け出る。そうしますと、その五十万円の分だけはその政治団体から受け取った場合に報告の必要がない、それ以上の金額をこの指定団体から別に受け取った場合は、この第十二条の二の項目で別に報告する必要があるのですか。
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