経済・産業・雇用に関する調査会

2005-03-02 参議院 全79発言

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会議録情報#0
平成十七年三月二日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二日
    辞任         補欠選任
     松 あきら君     浜四津敏子君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         広中和歌子君
    理 事
                加納 時男君
                北岡 秀二君
                椎名 一保君
                朝日 俊弘君
                辻  泰弘君
                浜四津敏子君
    委 員
                小野 清子君
                大野つや子君
                岡田  広君
                小泉 昭男君
                西島 英利君
                野村 哲郎君
                松村 祥史君
                足立 信也君
                小林 正夫君
                谷  博之君
                広田  一君
                和田ひろ子君
                浜田 昌良君
                井上 哲士君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        富山 哲雄君
   参考人
       オリンパス株式
       会社代表取締役
       会長       岸本 正壽君
       株式会社三菱総
       合研究所主任研
       究員       後藤 康雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○経済・産業・雇用に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (「成熟社会における経済活性化と多様化する
 雇用への対応」のうち、日本経済の国際競争力
 の強化について)
    ─────────────
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広中和歌子#1
○会長(広中和歌子君) ただいまから経済・産業・雇用に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、松あきら君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。
    ─────────────
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広中和歌子#2
○会長(広中和歌子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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広中和歌子#3
○会長(広中和歌子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に浜四津敏子君を指名いたします。
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広中和歌子#4
○会長(広中和歌子君) 経済・産業・雇用に関する調査を議題といたします。
 先般、本調査会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。北岡秀二君。
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北岡秀二#5
○北岡秀二君 座ったまま報告をさせていただきます。
 委員派遣の御報告を申し上げます。
 去る二月十七日から十八日までの二日間にわたり、京都府において、経済・産業・雇用に関する実情について調査してまいりました。
 派遣委員は、広中会長、加納理事、朝日理事、辻理事、松理事、小野委員、小泉委員、西島委員、松村委員、小林委員、広田委員、和田委員、浜田委員、井上委員、渕上委員、そして私、北岡の十六名でございます。
 以下、調査の概要を申し上げます。
 まず初めに、京都府から京都府の経済・産業及び雇用の現状と課題について、また京都商工会議所から京都における観光産業振興及び中小企業振興への取組について、それぞれ説明を聴取しました。
 京都府には、歴史や文化にはぐくまれた伝統産業が数多く存在する一方、創造的な中小企業やベンチャー企業が活発に活動する風土があります。京都府が実施する施策においても、歴史や伝統を大切にするとともに、将来に向けて活力ある京都府の産業を切り開くことを重視したものが展開されております。
 具体的な施策として、大手企業とのネットワークを持つ個人や販路開拓等のノウハウを持つ団体を創援隊と称する応援団として組織し、ベンチャー企業等の販路開拓を進めていくといった非常にユニークなものが紹介されました。また、小規模企業おうえん融資の創設やあんしん借換融資の延長等により、中小企業の資金面での支援がより強化され、厳しい経営環境の中、中小企業の経営の安定が積極的に図られているとのことでした。
 京都商工会議所からは、産学公連携を踏まえ、民間の立場からの積極的な取組が紹介されました。特に、京都の文化、歴史の継承と観光の振興等を目的とした京都・観光文化検定試験の実施や、小倉百人一首を通じて文化、芸術等の発展を図る小倉百人一首文化財団の設立など、長い歴史と文化に支えられた京都ならではの独創的な観光・文化振興活動の在り方が紹介されました。
 また、昨年九月に開催された京都ブランドフォーラムでは、清少納言の枕草子をモチーフとした京都創造者憲章が発表され、京都ブランドの確立、発展が図られていることが紹介されました。派遣委員からは、中小企業を対象とした融資制度の利用状況のほか、外国人観光者数の増加等を見据え、京都の歴史的な景観整備の在り方等に関して質疑がありました。
 次に、株式会社島津製作所を視察しました。まず、カスタマーサポートセンターにおいて、同社の原点でもある各種の計測・分析機器について説明を聴取しました。また、二〇〇二年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一フェローからは、たんぱく質の質量分析装置について非常に親しみの持てる分かりやすい説明を伺いました。こうした先進的な取組に対して高い評価を得ているにもかかわらず、服部社長は同社の基本的な姿勢として、見えないものを見る、測れないものを測ると語るなど、躍進する企業の強さをうかがい知ることができました。派遣委員からは、技術開発から製品化に至るまでに要する時間、製造個数、価格等に関して質疑がありました。
 また、同社のメディカルセンターでは、核医学診断システムを始め、様々な先端医療機器を視察しました。これら医療機器においても同社の高度な技術が遺憾なく発揮されていることはもちろんですが、その技術の根底には、患者に対する負担を少しでも少なくしようとする人間的な優しさがあることを知りました。
 次に、滋賀喜織物株式会社を訪れました。西陣織の伝統を受け継ぎ、高い技術に裏打ちされた格調高い帯を作る過程を視察し、昔ながらの作製方法にかたくなにこだわる姿勢から、歴史にはぐくまれた伝統産業を担う誇りが強く感じられました。
 次に、西陣織会館を視察しました。西陣織の出荷額が大きく減少した背景として、近年の厳しい不況に加え、外国から類似製品が流入していることも大きな要因であるため、より厳しい原産地表示を義務付けてほしい等の要望が示されました。派遣委員からは、西陣織に携わる労働者数の推移等雇用面での質疑等がありました。
 次に、京都工芸繊維大学地域共同研究センターのインキュベーション・ラボラトリーを視察しました。同大学発のベンチャー企業を支援するこのラボラトリーでは、抗酸化物質の探索及び活性の評価と数値化のための研究開発、電子産業用の新しい薄膜製造法の開発、蚕に感染するウイルスが作るたんぱく質を利用した感染症の診断チップ等の作成について説明を聴取しましたが、これら独創的な研究からはベンチャー企業が持つ無限で未知なる可能性と勢いが感じられました。派遣委員からは、産学公連携を踏まえ、学生や研究者等における民間人の割合やその雇用形態等について質疑等がありました。
 最後に、京都府若年者就業支援センターを視察しました。京都府では、積極的な雇用施策を展開することにより、平成十三年には六・三%と全国でワースト三位であった失業率が平成十五年には六・〇%となる等、徐々に改善されているとのことでした。特に、若年者の就業支援については、厳しい雇用環境の中、全国に先駆けてワンストップサービスを提供することを通じ、平成十六年度における就職内定者数が、目標の千人に対し、二月十七日時点で千百人となる等目覚ましい成果を上げているとのことでした。同センターでは若年者に対する就職支援の取組を実際に視察しましたが、こうした成果が出ている背景には、一人一人の若年者に対して担当者が一貫して対応することにより若年者に余計な不安感を与えないようにするなど、きめ細やかで真摯な職員の支援があることが分かり、その職務の重要性を改めて認識しました。派遣委員からは、大学等と企業との間のインターンシップの実態、就職した学生の会社における定着率、同センターを訪問するに至らない若年者に対する支援の在り方等に関して質疑がありました。
 最後に、今回の派遣に当たりまして、京都府並びに関係者の皆様から多大な御協力をいただきましたことに厚く御礼を申し上げ、御報告を終わります。
 以上です。
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広中和歌子#6
○会長(広中和歌子君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
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広中和歌子#7
○会長(広中和歌子君) 次に、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、日本経済の国際競争力の強化について参考人からの意見を聴取いたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、オリンパス株式会社代表取締役会長岸本正壽さん及び株式会社三菱総合研究所主任研究員後藤康雄さんに御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 御多用なところ本調査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、日本経済の国際競争力の強化について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にさせていただきたく存じております。
 議事の進め方でございますが、まず岸本参考人、後藤参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、午後四時ごろまで各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず岸本参考人からお願いいたします。
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岸本正壽#8
○参考人(岸本正壽君) 御紹介いただきましたオリンパス株式会社の会長をしております岸本正壽でございます。よろしくお願いします。
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広中和歌子#9
○会長(広中和歌子君) お座りになっていただいて……。
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岸本正壽#10
○参考人(岸本正壽君) ありがとうございます。それじゃ、着席させていただきます。
 皆様のお手元にお配りしておりますレジュメに従いましてお話をさせていただきます。
 まず結論から先に申し上げますと、日本経済の国際競争力の強化というのは技術創造立国と貿易立国、この二つが基本的要件ではないか、このように考えます。日本経済の国際的優位性の維持強化というのは、資源の乏しい我が国にありましては、科学技術、生産技術の発展、これが国際競争力の源泉でございます。同時に、技術開発による新産業の創出、これが新しい雇用の受皿になると、このように考えます。したがいまして、先進技術の研究開発とその産業化を促進するための継続的な投資、高コスト構造の是正、自由貿易体制の強化、これが肝要でなかろうかと考えております。
 時間の関係もございますので、これから技術開発という点に的を絞ってお話しさせていただきます。現場的な思考でございますので、細かいことが入るかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。
 まず第一に、生産技術の方でございますが、日本企業の海外生産が伸展する中で、日本におきましては高付加価値創造の物作り、これを追求すべきではないかと考えております。どこで作っても同じ商品ではなくて、日本で作らなければならない商品、この創造ということでございます。
 現状についてちょっと申し上げますと、一九七〇年代に第一次海外生産移管、日本の企業が海外に進出したわけでございますが、このときは台湾を中心にタイ、マレーシア、インドネシア等に進出しまして、いわゆる低コスト生産、これが目的でございましたが、一九九〇年代の第二次海外生産、これはカントリーリスクが減少しました中国が中心でございまして、低コスト生産はもちろん目的の一つでございますが、あの大きな潜在市場をどう対応するかという市場戦略も含まれている、このように考えております。
 日系企業の中国生産品というのは軽工業の中心、軽工業商品の中心でございまして、特に高度な生産技術を必要としない組立て中心、アセンブリー中心の製品群が主力でございますが、最近では中級品や、あるいは部品を含めた一貫生産、これに移行しつつありますし、ごく最近では金型あるいは治具工具、そういう生産設計、あるいはソフトの開発、こういうところまで日系の企業が移行しているということがうかがえます。
 他のアジア地区でも生産につきましてはほぼこれと同じような状況と認識をしております。
 米国でございますが、ITや半導体関連の心臓部であります電子ハイテク部品、これはやはり日本が中心でございまして、あと台湾、韓国、この辺から輸入をしております。したがいまして、高付加価値商品の製造力というのはそんなに強くはない、このように判断をしております。
 このような状況に対しまして日系の、我々企業がどのように対応しているかということでございますが、まず海外生産品でございましても日本にパイロットラインを敷いております。パイロットラインというのは、わずか一レーンのテストパイロットといいましょうか、テストラインといいましょうか、そのラインを使いまして量産技術を確立し、そしてその上で生産移管をしていると、こういう状況でございますので、量産技術はまだ日本にあると、このように考えます。
 それから、高度生産技術を必要とする高付加価値製品、これは日本で生産しておりますし、移転が必要、技術移転が必要という場合はブラックボックス化、いわゆる技術を外から見えないように、分からないように凍結をしてそれを移管すると、そのような方法を取っております。
 それから、日本と特に中国でございますが、どういう生産区分をしているのかということでございますが、価値創造という字がございます。その創の部分ですが、これは日本で担当しよう、そして造の部分、これは海外生産、海外の担当でもいいじゃないかと、こういう考え方が一つございます。もちろん造の部分におきましても高付加価値商品は日本で生産をする。当社でも、付加価値の高い、高度生産技術を必要とする医療機器につきましては、すべてこれは日本で生産をしております。
 それから、中国の生産、当初はこれいろいろな規制がございまして合弁が主力でございましたけれども、規制緩和が進んだことと、それから技術流出等の防止、そういう意味で独資系の会社がこのところ多くなっておるという状況でございます。
 したがいまして、日本の企業もいろいろ工夫をしながら、技術、いかに日本の中に保有するかということに一生懸命対応しているということでございます。
 ただ、課題でございますけれども、中国の大手企業でございますが、技術、技能を有する企業を買収するという傾向が出ているわけでございまして、あのコンピューターの大手でございます聯想という会社がIBMのPC部門を昨年の末巨額で買収をしました。我々企業にとってもあれだけのお金が出るというのはちょっと予想外でございましたが、多分企業だけではなくて国の一つの考え方としてあの買収が入ったのではないか、このように判断をしております。日本におきましても、技術のある中小企業の買収、これ現実に今起こっております。
 それから、二点目の退職技術者の流出ということでございますが、かつて九州を中心に、週末、技術者が韓国に飛びまして、それで技術指導をして韓国の電子産業の発展に寄与した、こういう時代があったわけでございますが、中国におきましても、今のところ日本の定年退職技術者、この技術者の方がかなりの高額で指導に入っている、そういう方がだんだん多くなっていくんではないか、このように考えております。
 それから、三番目の、これは今日のテーマからちょっと外れるかもしれませんが、社会環境、教育といった大きな課題でございます。
 日本の若者の仕事への意気込み、挑戦意欲、こういうことがちょっと弱っている、弱まっているということが、継続的な努力とそれから忍耐力を要する製造現場への従事を遠ざけてしまわないか、こういう懸念がございます。
 中国と日本の若者のハングリー精神あるいは労働意欲、挑戦意欲の差というものは将来の懸念材料であることは間違いない、このように考えております。
 二ページでございますが、その前に、今、生産技術のお話をいたしましたけれども、生産技術というのは主として現場から生まれるものでございますので、民間企業主体で競争力を強化していく、これが大きな命題ではないか、このように認識をしております。
 次、二ページの科学技術、俗に言う研究開発ということでございますが、かつて日本は応用技術あるいは商品化技術、これは優れているけれども基礎技術は弱い、このように言われました。しかし、昨今、カーボンナノチューブ等の材料技術、発光ダイオード、半導体関連、電子ハイテク技術、特にナノテクノロジー等に見ますように、日本発の強い部分が増加をしております。また、既存産業におきましても、自動車の飛躍、あるいは新三種の神器と言われておりますフラットパネルとかDVD、デジタルカメラと、これは圧倒的なシェアを保持しております。船舶も一時の低迷から見事に復活しましたが、これは新しい技術開発によるところでございます。
 そういう状況でございますが、強化策としてどういうことが望ましいかということでございますが、まず第一に、研究開発投資の促進でございます。
 a、国家予算による支援でございますが、日本の研究開発費の民間ベースでは、米国の半分、二分の一でございます。それから、日本が、民間が使用する研究開発費の総額に占める政府の資金支援といいましょうか資金負担、この割合がドイツの六分の一、米国の五分の一でございます。国家予算全体で見ますと、GDP比率、何を基準にすればいいか分かりませんが、GDP比率で見ますと、欧米主要国の水準以下ということが言えます。したがいまして、日本が優位性を期待できる戦略分野に焦点を当てた継続投資、これが必要であると考えます。厳しい財政下ではございますけれども、当面GDPの一%程度の額を最低限として考えるということが必要じゃないかと。一%といいますと、ちょうどこの間、新聞に出ておりました、GDP五百数兆でございますから、五兆円ぐらいということになるかと思います。ただ、GDPというのは上下をいたしますので、できればやはり長期的な観点から額で決めていくということも必要じゃないかと、このように思っています。
 一九七六年に、昔の通産省ですか、通産省で取り組まれました産業育成政策というのがございまして、ここに日本の大手の五社がLSIの共同開発をいたしております。それから、一九九一年に始まったマイクロマシン、国家プロジェクトの長期支援、これが十年間続きましたけれども、これらは非常に成功であったということでございますので、これらが参考例になるかと思います。
 bの税制でございますが、現在の税制は、従来からある増加試験研究費の税額控除、これに加えまして、平成十五年度より新しく導入されました試験研究費の総額に対する税額控除、この二つの制度がありまして、企業の方でどちらを選択してもよろしい、有利な方を選択しなさい、こういう有利選択が適用されておりまして、企業の研究開発の投資促進、これに大変寄与をしていると考えております。
 ただし、試験研究費の総額に対する税額控除、これには経過措置としまして、三年間、より有利な税控除割合となっているのですが、これが十七年度をもって終了ということになっております。したがいまして、現税制の継続、さらにはより有利な制度が投資促進を支援することになる、このように考えております。
 二番目でございますが、産官学連携の強化ということでございまして、一九八一年に登場しました米国の大統領、レーガンさんは、強い米国、これを標榜いたしまして、特に産業強化という点でプロパテントと、それから産官学共同による産業強化策として国家プロジェクトの下に科学技術の開発、こういうことに多額の資金を投入いたしました。一九九〇年代に入ってそれが開花したと、こういう具合に言われております。
 この間、日本は高度経済成長時代でございまして、これからの高付加価値を創出するのは金融とサービス業であると、こういうことで、考え方として、そちらの方に注目が行きました。したがいまして、不動産とか株式とか、そちらの方に資金がかなり流れた。結果としてはそれがバブル経済ということになったわけでございますけれども、そんなことで日本の対応が少々後れを取ったということでございますが、近年、産学連携の動きが急激に高まっておりまして、二〇〇三年には国立大学の民間との共同研究数というのは八千件を超えている。三年前が四千件ぐらいでございますので、ちょうど倍増ということでございます。
 特に、基礎研究というのは長期間を要しますし、多額の先行投資を必要としますので、またデジタル時代の複合技術開発のスピードという観点からも、一企業での取組は無理でございます。したがいまして、新産業創出の基盤となる世界トップレベルの研究開発の推進や、後ほど申し上げます人材育成について、産学連携の強化を図ることが重要ではなかろうかと思います。
 三番目でございますが、ベンチャー企業の育成でございます。
 小泉内閣の大学発ベンチャー企業一千社設立という目標は、昨年ほぼ八百社ぐらいになったという具合に聞いておりますが、民間を含めてなかなかこれが、育成が困難でございます。
 日本の場合、一度失敗しますとまず駄目人間というレッテルを張られますので、なかなかリターンマッチができない。あるいは、ロイヤリティーが非常に強い従業員、国民性がございますので、会社を離れてベンチャーに挑戦するということは企業風土にもちょっとなじまないという点がございます。あるいはベンチャーキャピタルあるいは起業家が育っていない、そういう難しさもございます。一円で会社設立ができるようになりましたが、運転資金が集まらなければ一円で設立できてもこれは意味がないということでございます。
 我々が携わっております医療機器・用具の業界でございますけれども、日本で使用される医療機器・用具の五〇%強が輸入品でございます。特に治療機器・用具、この開発、産業化が大変後れている。というのは、一つは医療関連のベンチャーが日本にはごくごく少ない、そういうことも原因の一つだろうと思います。医療機器のメーカーはリスクを恐れて取組そのものが消極的でございますが、米国ではベンチャーがいわゆるリスクのバッファーとなっております。そして、新しい医療用具開発が促進されているという点がございます。
 そういう意味でもベンチャー企業の育成ということが大変重要なことだろうと思いますので、政府、公共団体の資金援助、あるいは官民によるマッチングファンドの設立、あるいは公的研究機関の設備を一部開放して利用ができるような、そういう育成施策の拡充が必要ではなかろうかと思います。
 四番目でございますが、人材の育成でございます。
 新しい技術が開発されても、それを事業化する、いわゆるブリッジ人材というものが不足しておりますし、海外の優秀な人材が集まる世界トップレベルの研究機関が非常に少なくて内外の研究者の交流の場が乏しく人材が育ちにくい、こういう点がございます。そこで、産学の人材交流を積極的に推進することによって事業化のスピードを上げる必要がありますし、MOT教育を充実させるとともに、一定期間、インターンシップのお話もございましたが、一定期間企業で経験学習ができるような教育システム、これが有効に働くのではないかと思います。
 アメリカでは百六十以上の大学がMOTのコースを持っておりますが、日本では、昨年の春の数でございますが、十六校しかないということでございます。また、海外、特にアジアの優秀な人材が、現在、日本を飛び越えてアメリカの方に行っているわけですが、こういう人たちが日本に来るような、集まりやすい、そういうインフラ整備というものが必要ではなかろうかと思います。
 最後の五点目でございますが、知的財産につきましては、特許庁で大変な努力をされておりまして、民間の意見も積極的に取り入れていただいて急激に改善が進んでおりますので特に言うべきことはないんでございますが、四点目の知的財産紛争の迅速処理という点でございますけれども、やはり日本においても、近年、法廷での争いが非常に多くなってきておりますので、知的財産にかかわる専門裁判官の養成、これが急務ではなかろうかと、このように感じております。
 それから、日本発の国際標準化への取組推進でございますが、日本で得意とする、あるいは有利さが期待できるところにつきましては積極的に標準化を進めていくと。それによって、ISOの規定にも入れていただくというようなことが必要なんですが、民間の団体だけではなかなか難しい点もございますので、経済産業省を始めとした政府レベルの推進ということをお願いできればという具合に考えております。
 以上でございます。
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広中和歌子#11
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 それでは、次に後藤参考人にお願いいたします。
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後藤康雄#12
○参考人(後藤康雄君) 三菱総合研究所の後藤康雄と申します。私、ふだん三菱総合研究所でマクロ経済の取りまとめを担当してございます。着席してお話しさせていただきたいと思います。
 それでは、私のお話は、日本経済の国際競争力につく現状と課題の全体観を御報告させていただきたいと思います。それで、前半では少し、まあそもそも論と申しましょうか、やや教科書的な内容も含めまして前半ではそもそも論のお話をさせていただきまして、後半では当社が行いましたアンケート結果などの御紹介をさせていただきたいと思います。
 それで、あらかじめ結論的なところを申し上げておきますと、やはり、今、岸本会長のおっしゃられたように、技術は大変これからの競争力を考えていく上では最大のやはりポイントであろうと思います。ただ、中国などのアジア諸国の追い上げもありますけれども、今のところ、我々の意識ではそれほど悲観しなくてもいいんじゃないかというふうに考えてございます。この辺りが私のプレゼンの結論的なところでございます。
 それでは、まず前半部分の国際競争力とは何ぞやみたいなところから少しお話をさせていただきたいと思います。お手元にお配りしておりますオレンジ色の色の付いた資料に沿いまして御報告させていただきます。(資料映写)
 これの一枚目のグラフにございますのは、我が国の国際競争力の順位の推移でございます。これはだれが決めたのかというと、IMDという、これはスイスにあるビジネススクールですけれども、これが年に一度、各国の国際競争力を順位付けをしまして勝手に発表するんですけれども、これはかなり新聞等で大きく取り上げられることが多うございます。
 このIMDが日本に関して競争力何番か、世界の中で順番は何番かというのをずっと追ってみたのが、付けたのが、追ってみたのがこのグラフでございまして、九〇年代前半ぐらいまではずっと日本は実は一番でございました。しかし、やはりバブルが崩壊いたしまして経済情勢が悪化するにつれ、あるいはほかの国々の追い上げを受けるにつれまして急速にランクがダウンいたしまして、現在は二十位辺りを低迷しているという状況でございます。最悪期は脱したものの、やはりかつての一位を独走していたころの姿はもう遠い昔という感じもございます。
 それで、このIMDが順位付けをした、じゃほかの国はどんな状況かというのを、一番最近のランキングでお示ししたのがこの次の表でございまして、日本は二十三位なんですけれども、一位はどこかというと、やはり米国であります。これは、やはり経済情勢がいいということもございますし、それからやはり八〇年代のレーガン政権時などでいろいろ仕込んできた努力が報われてきているという面もあろうかと思います。
 ちなみに、このIMDが順位付けをしているやり方というのは、各国のいろいろな経済の側面を分析しまして総合的に積み上げていくような方式を取っております。どういう積み上げをしているかというと、本当に大変多岐な項目にわたるんですけれども、大まかに分けて四つの分野を調査しています。そこの表にも、上の方にちょっと灰色で塗っているところにございますけれども、まずやはり経済情勢がいいかどうか、それから政府部門が効率的に運営されているかどうか、それからビジネス環境がどうであるか、経済のインフラが整っているかという、大体こういう四つの分野に分けて調査をしているんですけれども、アメリカは、ごらんいただいてお分かりいただけますとおり、ほとんどどの項目も相当高い順位であると。ちょっと、政府の効率性のところだけはちょっと低めですけれども、しかしやはり全体的に高いランキングにあると。中身を見てもさすがにいい順番にあるということでございます。
 翻って日本を見ますと、インフラはさすがに世界で二位という形になっておりますけれども、政府の効率性とか、こういった辺りが少し足を引っ張る形で、あと経済情勢も何といってもまだ厳しい状況が続いておりますので、全体のランキングが、総合ランキングが二十三位という形になっております。
 あと、これを見ているだけでもいろいろと発見があるんですけれども、上の方の顔ぶれが必ずしも経済規模が大きい国々ばかりではありません。例えば二位にシンガポールが付けているでありますとか、香港とか、こういった必ずしも経済規模は大きくないけれども、うまく国をあるいは経済を運営することによって高い競争力を維持している国々が多いという、そういった状況かと思います。
 よく競争力という場合に引き合いに出されますこのIMDのランキングを御紹介いたしましたけれども、それでは次に、少し教科書的なそもそも論になって恐縮でございますけれども、国際競争力とはどのように定義されるのかという辺りを少し整理してみたいと思います。
 何となく感覚としては、競争力というのは、感じる、実感としてはお持ちでいらっしゃるかもしれませんけれども、これを定義付けるとどういうことかというのがこの次のシートにまとめているものでございますけれども、これは大きく二つの側面がございます。
 一つは、やはり何といっても安い価格で商品やサービスを提供できるという価格競争力です。これが一つの競争力の源になります。しかし、であれば、安けりゃ安いだけでいいのかということになりますと、そうではございません。非価格競争力という、そういった要素もございます。これはやはり品質でありますとかサービスでありますとか、あるいは納期の確実性とか契約の確実性とか、そういった、価格には必ずしも表れない、そういった競争力もございます。このように価格、それから非価格、こういったいろいろな側面で競争力が構成されているというふうに考えていただければと思います。
 それから次に、競争力を語る場合に、ややもすると混同されがちなのが個別企業の競争力、それから産業の競争力、それから国の競争力と。今、徐々に大きくなるような順番でお話をいたしましたけれども、この辺りは多少分けて考える必要があろうかと思います。大まかに言えば、もちろん積み上げていけばだんだん国の競争力になっていくんですけれども、しかし必ずしもちょっとそこがイコールにならないこともございます。
 ちなみに、先ほど岸本会長のお話にもございました八〇年代にアメリカが競争力の向上に向けて努力をした時期ございました、レーガン政権時にございました。そのときにヤング委員会というのが編成されてヤング・レポートというのを出したという、有名なレポートございますけれども、そこにおきます、そのヤング委員会における競争力の定義ですけれども、これは国民生活を向上させつつ世界で競争できる財を生む能力というふうに定義をされていて、これはかなり今も幅広く引き合いに出される定義であります。
 ここでのポイントは、単に世界で競争できるというだけではなくて、国民生活を向上させつつということがポイントになっております。すなわち、競争するだけであれば、もうコストを度外視したダンピングというのもあり得るかもしれませんけれども、それは国民生活を豊かにはしない。国民生活の豊かさとそれから競争が同時に成り立って初めて一国の競争力というのが定義できるだろうというのがヤング委員会の定義になっております。
 それから、一国の競争力を考える場合に、やはりもう一つ御念頭に置いていただければと思いますのは、個別産業の競争力が低下してもそれをカバーするほかの産業が盛り上がってくれば国全体の競争力は必ずしも衰えたとは言えないという面がございます。これはもうもちろんその個別の業種に属されている方々にとっては一大事かと思いますけれども、しかし国全体を考えた場合には、個別産業の一つ一つが浮き沈んだ合計が競争力を維持していれば国としては競争力が維持できているという、そういった考え方で受け止められることが一般的かと思います。
 それで、次に、じゃ先ほど冒頭でIMDの競争力ランキングというのを御紹介しましたけれども、これはまあある意味では、あるスイスのビジネススクールが勝手に主観的にランキングをしたものでございまして、もう少し客観的な競争力の指標はないだろうかというところで御紹介をさせていただきたいと思います。
 これはやはり経済学のテキスト、特に国際競争力を語る場合のテキストなどに一般的に出されるものですけれども、大きくこれも二つの種類の指標がございます。競争力の指標、大きく分けて二つございます。
 一つは、やはり競争力を形成する重要な要素がいかに安いコストで作るかということである以上、やはり何らかのコスト的な指標があり得るだろうというのが、まずこの一点目のコスト指標の発想でございます。まあ相対価格とかユニット・レーバー・コストとかいろいろ書いてございますが、これはいずれもいかに安く他国に比べて製品を生産できるかという指標でございます。
 しかし、先ほども申しましたとおり、コストだけでは競争力は語れません。コストだけではない、価格だけではないいろいろな要因ございます。そういったものももろもろ合わせた指標はないだろうかということで考えられたのが二つ目のパフォーマンス指標でございます。これはもう発想は非常に単純でございまして、何かつかみどころのないもろもろの要素があるかもしれないけれども、その結果、世界市場でシェアが大きければ、それは競争力があることだろうという結果主義に基づく指標でございます。まあパフォーマンス指標と仮の名前を付けてございますけれども、単純に輸出のシェアあるいはこのRIC係数、これも同じような概念ですけれども、こういった結果主義で指標を作ったのがこのパフォーマンス指標でございます。
 じゃ、このそれぞれについて今現状がどういう状況にあるかというのを簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、一番目のコスト指標の方から御紹介したいと思いますけれども、コスト指標の代表はやはり価格でございます。これは、ちょっと単純な価格ではなくて少し為替レートやあるいはその貿易ウエートなどを考慮して加工をしたものでございますけれども、この価格が下に行けば行くほど安い価格で物が生産できているということで、競争力が高いと考えていただければと思います。
 これは重立った国々を挙げておりますけれども、コスト指標で見ますと、実は日本はなかなかちょっと厳しい状況にございます。例えば、カナダとかフィンランド、こういった国々には全然負けておりますし、あとお隣の韓国なんかもまだまだ日本に比べてコスト的に努力をしているという感じでございます。あと、先進国の仲間でありますアメリカ、それからヨーロッパ辺りに比べましても、若干でございますけれども、価格的には必ずしも日本はそんなに有利な展開をしていないという状況にございます。
 同じくコスト指標、もう一つ御紹介したいと思います。これはまたちょっと違う視点から見ておりますけれども、ユニット・レーバー・コストという指標でございます。これもよく我々の業界では引き合いに出される指標なんですけれども、考え方は単純でございまして、物を一つ生産するときにその一単位当たりに生産コストがどれぐらい含まれているかという指標であります。労賃がウエートが大きいとそれだけ経営を圧迫してユニット・レーバー・コストが上がってまいりますので競争力が低下するという、そういう関係にございます。
 このユニット・レーバー・コストが今、日本はどういう状況にあるかというと、これも実は厳しい状況にございます。先ほどと同じようにフィンランドとかカナダとか韓国辺りは日本より全然まだ下でございますし、あとアイルランド、こういったちょっとふだん日本人の頭には必ずしも上らないような国々が実はかなりこの辺りで競争力で努力しているという感じでございます。あと、先ほどと同じようにユーロ圏あるいはアメリカといった先進国の仲間と比べても、必ずしも日本はまだ何というか有利な状況にはないということでございます。
 九〇年代を通じてかなり日本の産業界は雇用のリストラを進めてきて、なるべく労賃を少なくしようと努力をしてきて、かなりそれは実った面もあるんですけれども、しかし国際的に見るとまだ厳しい、必ずしも楽観できる状況にはないという点を見ていただけるかと思います。
 それでは最後に、競争力の客観指標として、先ほど結果主義のパフォーマンス指標というのがもう一つあると御紹介いたしました。その代表であります世界の貿易における輸出シェアを並べたのがこの③の図表でございます。これを見ていただければお分かりいただけますとおり、下の方に日本ございまして、まあ横ばいあるいはやや輸出シェア減少傾向という感じかと思います。しかし、アメリカとかヨーロッパも同じように下がってきておりますので、この点はそんなに悲観すべきことではないのかもしれませんけれども、ここでやはり目立ちますのはその赤い点線でありますアジア諸国、これらの中にはやはり中国というのが入っておりますけれども、世界のシェアを食う形で中国が輸出のウエートをどんどん高めてきていると。で、その割を食う形で日本あるいはほかの先進国の輸出シェアが減っているという状況が見ていただけるかと思います。
 以上、なかなか一つの端的な指標で競争力というのは測れませんけれども、幾つかの指標から日本の競争力というのが必ずしもまだ楽観できる状況にはないというところを御紹介いたしました。
 それでは、これから日本の競争力をいかに高めていくのかというのが正に今日こちらの場での御関心事項かと思いますけれども、じゃそもそも競争力を左右する要因というのは何かということを考えてみたいと思いますが、これもまあ言わずもがなのものばかりかもしれません。先ほどの整理と同じく、価格の要因それから価格以外の要因というふうに分けて、それぞれをどういった材料が左右するのかというのを簡単にまとめてみました。
 価格要因を左右するものは、これはもう当たり前のようなものばかりでございます。企業がいかに価格を設定するか。あるいは二番目、これがかなり重要ですけれども、為替レートがどういった水準を付けるか。これによって相手国側が買う価格が全然変わりますので、これも大変重要な要素になります。それから三つ目、これは実は本日の私ポイントと考えておりますけれども、技術進歩。で、この技術進歩の中でも特にコストを削減する技術というのが進んで生産性がアップすれば世界の競争に勝っていけるだろうということで、その価格要因の要素の一つとしてやはり技術進歩というのが大事だろうと考えております。
 それでは、一方、価格ではない価格以外の要因でいかにその競争力を高めるか、その競争力をどういった要因が左右するのかということをまとめてみましたけれども、やっぱり一つは何といっても品質やサービスを向上させていくと。そうすると、まあ同じ価格でも品質が良ければ買ってもらえるということがあろうかと思います。
 しかし、その裏付けとなるのは、そこにも書いてございますけど、やはり技術進歩あるいは研究開発ということだと思います。ここで私が申し上げたいのは、価格要因それから価格以外の要因、いずれにとりましても研究開発すなわちその技術進歩の占める役割というのが大変大きいだろうということを申し上げたいわけでございます。
 それで、やはり私どもふだん仕事をしておりまして、社内外から技術進歩あるいは研究開発というのをどう考えていったらいいのかというお問い合わせを多数いただくことございます。それで、まあそういった辺りもちょっと念頭に置きまして、幾つかアンケート調査を行ってございます。これに絡むアンケート調査を行っております。その辺りの内容を御紹介したいと思います。
 二つ今日は御紹介したいと思いますけれども、一つは、これからの日本は技術進歩をやっていけるんだろうかという問題意識に沿いまして、日経新聞さんと当社で共同のアンケートを昨年の十一月に行いました。
 日本の技術進歩、日本の技術はこれから大丈夫なのかということで、タイトルは二〇一〇年の新技術・市場調査というものでございまして、これは国内の製造業を中心とした主要企業様二百六十二社の、特に技術の責任者の方を対象にアンケートを取らせていただきました。オリンパス様からも御回答をいただいておりますけれども。それで、その結果をお示ししたのがこの縦横の何か矢印を書いたものでございます。
 それで、ここに何かいろいろ技術の名前がわっとこう書いてございます。これを余りちょっと一つ一つ御紹介はできませんけれども、しかしここで申し上げたいのは、この技術マップ、技術のこれからの将来性の中で日本はそう悲観したものではないということをここで申し上げたいわけでございます。
 この表の見方ですけれども、上に行くほどこれは今の市場がどんどん成長していくという、その成長性を表しております。で、上半分が五年後に今よりもマーケットが三倍以上になっているだろうというものが上半分になっております。下半分が、三倍ほどにはならないだろうというのが下半分です。上と下の見方はそのように分かれております。
 じゃ、今度は右と左の分け方ですけれども、右に行けば行くほどいいわけなんですけれども、これは成長した結果、五年後のマーケットの規模が一兆円以上まで育っているかという、伸び率じゃなくて今度は絶対的な規模ですけれども、それが一兆円以上になっているのが右側、一兆円ほどにはなっていないだろうというのが左側になります。したがって、上半分がいい、右半分がいいということですので、右上のこの四角が一番この中ではいいグループになります。
 ちょっと念のため申し上げておきますと、じゃ左下が全然駄目なのかというと、全くそうではございませんで、ここに挙がっている技術はいずれも将来有望なものばかりですので、もうここに載っているだけでも将来性があるんですけれども、その中でも特に有望なのが右上の四角ということになります。
 それで、実はこのいろいろな技術が、具体名が並んでいますけれども、この中で青い字と赤い字がございますけれども、この青い字は、その技術者の方のアンケートの結果、特に五年後、十年後に日本が世界の中で十分に競争力を発揮できているであろう技術を青い字で書いてございます。逆に赤い字は、ちょっと五年後、十年後、世界の中では相当厳しい順位になってしまう、今から相当頑張らないとちょっと割り負けてしまうというのが赤い字で書かれております。
 それで、ここで申し上げたいのは、右上とかあるいは上半分とか申し上げてもよろしいわけですけれども、成長性があるところ、あるいはこれから規模、マーケットが大きい規模が期待されるところに青い字の日本がこれから競争力を発揮できそうだと期待される部分が少なからず見受けられることでございます。これから、本当にこれからの日本の経済界あるいは産業界の努力に負っている面はあろうかと思いますけれども、今の努力で、努力を続ければそんなに悲観したものではないんじゃないかというのがこの辺りからもビジュアル的に直観的に御理解いただけるんじゃないかと思います。
 それで、次の表は、これも同じアンケート結果から得られたものですけれども、将来、五年後あるいは十年後、左側が五年後、右側が十年後ですけれども、にそれぞれ今期待されている技術がマーケットの規模がどれぐらい大きくなっているかというのを御紹介したものでございます。この中でやはり青い字と赤い字、それぞれ日本が頑張れそうなところ、それから日本がちょっと割り負けそうなところというのを赤や青で書いてございます。御関心あればまたごらんいただければと思います。
 ちなみに、やはりちょっと具体的なところを若干御紹介しておいた方が御実感持っていただけるかと思いますけれども、先ほどの縦横図でいきますと、やはり多少まだ耳慣れない、我々ふだん生活していて耳慣れないところがあろうかと思いますけれども、例えばICタグと言われる本当に米粒みたいに小さいICの中にいろいろな製品情報を記憶させて、もう製品自体に埋め込んでしまったりとかする、IC値札、IC荷札とか言われていますけれども、そうするとその製品がどういう経路をたどって消費者のところまで届いたかというのが把握できるとか、こういったICタグというのが大変注目されていたり、あるいはハイブリッド車、ガソリンと電気の両方を使うような車。あと、一番その下にITSとございますけれども、最近もう既に実用化されつつありますけれども、高速道路で料金所で止まらなくても自動的に引き落とされるようなのを含めたりとか、あるいは危険が迫るとそれを察知して教えてくれるような、言ってみれば自動車とそれからITの融合みたいな領域、こういったところを今ちょっと代表的なところで御紹介いたしましたけれども、青い字がいろいろあるということを申し上げたかった次第でございます。
 ちなみに、この次の表は、正に今私が申し上げた、五年後に日本の産業界が相当競争力を持てるだろうというアンケート結果が得られた上位十技術が左側の水色のボックス、それから右側は、これから相当頑張らないとちょっと世界の中では割り負けそうだというのが右側のボックスの中に入ってございます。これは、あくまでも個別企業というよりは日本の産業全体図というイメージですけれども、御参考までにごらんいただければと思います。
 これも同じアンケート結果でございまして、今現在がその一番、二〇〇三年のところですけれども、二〇一〇年、二〇一五年と行くほどどんどん成長する市場があって、この太い黒線と青い黒線、これが正に日本が頑張れるところを表してございまして、この辺りにちゃんと着実に食い込んでいけば満更悲観したものでもないだろうということを申し上げたいわけでございます。
 以上、日経新聞さんと共同で行いましたアンケートを一つ御紹介させていただきました。ここで浮き上がりましたのは、やはり引き続き製造業を中心に日本の技術というのはそれなりに自信を持ってやっていっていいんじゃないかということかと思いますけれども、しかし全く油断はできません。いろいろとやはりそれなりに官民挙げて努力をしていく必要があろうかとも思います。
 そういった意識でアンケートを取りましたもう一つアンケート結果がございまして、それを最後に御紹介させていただきたいと思います。
 それで、八〇年代のアメリカ辺りで盛んに議論をされていたキーワードで死の谷、技術の死の谷という言葉がございました。これデスバレー現象と呼ばれておりますけれども、ここにちょっと模式図でかいておりますが、これ何かと申しますと、せっかく会社の中でいい技術を開発してもそれが製品に結び付かない。いい技術とそれから製品の間に一種の死の谷があって、その死の谷を渡れないままにその製品、いい技術が埋もれてしまって終わっているんじゃないかという、そういう問題意識がございます。正に八〇年代のアメリカで語られた概念なんですけれども。
 それで、もしかしたらこういった現象が日本でも起こっているんじゃないかという意識で、おととし、これは私どもの方でやはりアンケート調査をさせていただいたものがございます。その結果、やはり面白いいろいろ結果が浮かび上がってまいりました。
 それで、アメリカで言われていた死の谷、米国型デスバレーは、専らその途中段階でお金が付かないことによって技術が埋もれてしまうという問題意識でございました。研究開発のところでもうお金がちゃんと付いている、製品の段階でもそれなりにお金が回っている、しかしそれを実用化する途中の段階でお金がきちんと付かない、ここが問題じゃないかというのがアメリカ型デスバレーでございました。
 それに対しまして日本型デスバレーというのは、もちろんそういった面もあるんですけれども、しかしどうもアンケートをいろいろ取ってまいりますと、いろいろ社内に問題があるんじゃないかという結果が得られました。ここにちょっと三つ、①から③まで挙げてございますけれども、例えばせっかくいい技術があってもそれをうまく、何といいましょうか、需要の具体的な形を表現できない、社内で表現できる人がいないために技術は技術でもう単独で終わってしまっているというのがあるんじゃないかと。それから、あと二つ目、これは先ほどの岸本会長様のお話にもございましたけれども、やはり技術を製品化する人材が不足しているんじゃないかという指摘も多々いただきました。技術経営担当者が不足しているんじゃないかという御指摘も多々いただきました。あるいは、三つ目ですけれども、部門間、組織間の連携。やはり企業の中もかなり縦割りが進んでいて、この連携がうまく進んでいないために技術が埋もれてしまっているんじゃないかという、そういう結果が得られました。
 以下、アンケート結果をお示ししたこの円グラフがございます。やはり、まずそもそものところで、せっかく技術を開発しても製品にされないことがあると回答された企業が八割を占めました。これは、やはり企業様自身もかなり深刻な問題だととらえておられると。
 じゃ、その原因がどこにあるのかというその原因を伺ったところ、資金面の問題というのも五位には付けておりまして、それなりに問題ではあるんですけれども、こういったアメリカ型のデスバレーでありますと、資金面の問題というよりは、むしろ上位を占めております①から③、すなわち社内の連携あるいは人材の問題なんかが大きいんじゃないかという結果が得られた次第でございます。
 こういった意味で、このアンケート結果だけからそう早急に片付けることはできないかと思いますけれども、しかしやはり日本型のデスバレーを解消するに当たっては、もう少し企業をベースとした何か政策、企業をうまく動かすような政策というのが一つの方向性なのではないかという、そういった個人的な印象を持ってございます。
 以上、ポイントでございましたけれども、私からの報告をここで終わらせていただきたいと思います。
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広中和歌子#13
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようお願い申し上げます。
 なお、午後四時ごろに質疑を終了する予定になっておりますので、一回当たりの質問時間は三分以内でお願いいたします。また、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう質疑、答弁とも簡潔に行っていただきますように、皆様方の御協力をお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方の挙手を願います。
 加納時男君。
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加納時男#14
○加納時男君 加納時男でございます。
 岸本参考人、後藤参考人には大変有意義な御説明をいただきまして、ありがとうございました。
 今、後藤参考人のお話の中にも、競争力を左右する要因として価格要因、非価格要因が挙げられたんですが、どちらにも共通するものとして技術進歩を挙げられました。
 私、お二人の参考人に、一つだけ絞って御質問をさせていただきたいと思います。それは、製造業における研究開発、なかんずく研究開発投資減税に関する評価と課題を伺いたいと思います。
 日本にはよく資源がないと言いますが、私はうそだと言っております。確かに、天然資源、鉱物・エネルギー資源には恵まれていませんけれど、何よりも人材があり、そしてその人材による技術というものでは日本は非常に強みがある。もっとも金融技術は余り強くないんですが、製造業の技術は私は世界で通用するものが一杯あるし、ここで勝負ができるんだと。
 そういう観点から、不況の克服、国際競争力の強化、これをねらって私どもは実は研究開発投資減税、先ほど御紹介ございましたが、これを立ち上げまして、何とか世界の中で引けを取らない水準の税額控除もやったつもりでございます。これの我々のねらいとしましては、新製品の開発であるとか、既にある製品の品質の改善、そして高付加価値化、さらには工程の革新により今お話しのあったユニット・レーバー・コストを引き下げるといったようなことをいろいろねらったわけでございます。
 そこで、これを提案、実施したわけでありますけれども、これだけじゃなくて今回は、今年から人材投資減税もやっていこうということにしたわけでございますが、こういった我々が考えてきました研究開発を促進していこう、研究開発の担い手は、条件整備は国だけど担い手は企業だと。まあ私も企業出身なんで力が入りますけれども、役人が新しい技術開発するんじゃない。条件をつくってくれればいい。もし政府がやるとすれば、それは先導的、基盤的、長期、巨額、リスキーといった研究開発をやってもらって、より実践的なものは企業にやってもらう。そのための条件整備をやるのが国の仕事だというふうに考えて、これは正直言うと、我々かなり自信持って提案して実行したつもりなんですが、これについての評価と、それから残された課題、まあこれ、今年で一応期限切れることになっているんですけれど、今年というか平成十七年度ですね、これについての、先ほど延長というお話もありましたけど、それも含め、評価と今後の課題、そういったところを御指摘、両先生にお願いしたいと思います。
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広中和歌子#15
○会長(広中和歌子君) それでは、まず岸本参考人、お願いいたします。
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岸本正壽#16
○参考人(岸本正壽君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、その新しい税制の意図というのは企業がしっかりと受け止めてやっていると思います。非常に、当社の例で申し訳ないんですけれども、やはりこの技術開発への投資、これはもう減税が非常に生きておりまして、心理的にも大変役に立っていると。金額だけじゃなくて、もっと投資していこう、いわゆる減税があるんだというような感じでございまして、非常に有り難く思っております。
 それから、人材投資の減税の問題でございますが、これは私の会社に関しましては余り関係なしに必要な人材は採っていくということでございますし、また人に対する教育投資とか、そういう問題も、今、最近言われているのが、いわゆる終身雇用制がだんだんとなくなってくる。そうしますと、企業はだんだんそこに手抜きをしていくと、早く辞められて、そういう人たちに金を使えないと、まあこういうことですけれども、そう心配したことは我々の場合はない、特に製造業の場合はその考えは余りないんじゃないかという具合に認識しております。
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広中和歌子#17
○会長(広中和歌子君) それでは、後藤参考人お願いします。
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後藤康雄#18
○参考人(後藤康雄君) まず評価と課題でございます。
 まず評価の方でございますが、基本的に私はポジティブに評価してございます。必ずしもはっきりと目には見えていないのかもしれませんけれども、しかしこれだけ経済情勢が厳しくて企業のマインドが萎縮した中では、相応の効果は潜在的にはあったんだろうと思っています。ただ、ふだんいろいろな政策効果なんかを測定したりとかしている私の仕事的な感覚からいいますと、なかなか実際はやっぱりその影響がどれくらいあったかというのは数字で評価しにくかったなというのが正直なところでございます。
 と申しますのが、しょせん我々がやるやり方というのは、過去に何回か同じようなことをやれば、それをやっていなかったときに比べてどうだったというのが効果として測れるんですけれども、一回しかやっていない、あるいはやった回数が少ないと、それをきちんとどれぐらいの効果があったというのが客観的に評価できないという、その技術、何というか、手法的な難しさがございます。じゃ、測れないからといって、じゃネガティブに評価をすべきかというと、やはり冒頭で申しましたとおり、私はそれなりに高く評価しております。
 ちょっと課題の方に絡んでくるんですけれども、やっぱりこういった研究開発というのは、そもそもがかなり長期的な視野に立ってなされる経営計画に立ったものだと思いますので、やはり政策を発動されるときにもかなり長い目でその効果を評価して発動していただくといいんじゃないかなと思います。逆に言いますと、すぐに効果が出るというのは余り期待せずに、ある程度期間をドアをオープンにしていただくような政策というふうに位置付けていただくといいんじゃないかと思います。
 で、正にその課題でもあるんですけれども、中小企業なんかも含めまして、まだそういったその制度自体が十分に浸透していない部分があるんじゃないかという気がいたします。と申しますのが、我々、これ、かなり関心持ちまして、一度企業様のところに何社か伺いましてヒアリングをさせていただいたことがあるんですけれども、実はそもそもそういう意識になかった企業様が少なからずございまして、せっかくこういういい制度があるのにもったいないなという印象を持った次第でございます。
 したがいまして、課題という意味では、ある程度やっぱり長い視野に立ってのドアをオープンにされる期間を設けるということと、それから、宣伝と言ってはなかなかちょっと俗っぽい言い方になってしまうかもしれませんけれども、やはり何かのいろいろな機会をとらえて、こういった制度があるということを中小企業も含めて浸透させていくということが効果的なのではないかなというふうに感じております。
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加納時男#19
○加納時男君 ありがとうございました。
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広中和歌子#20
○会長(広中和歌子君) 谷博之君。
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谷博之#21
○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。
 参考人の先生方には、大変貴重な御意見をありがとうございました。
 端的に何点かお伺いしたいと思いますが、まず岸本参考人には、二点ちょっとお伺いします。
 一つは、この説明資料の中で、一ページ目の「生産技術」という項目、ずっと説明をいただきまして、企業の対応ということで、創るという「創」は日本で、しんにゅうの「造」は、造るの「造」は海外と役割区分ということで、特にその中でも中国の例を挙げられまして、そうはいっても高付加価値な商品については国内で生産をするということでありますけれども。その次の「課題」のところでも説明いただいておりますけれども、高額雇用による定年退職技術者の流出というのが増加傾向にあるということを私、前々回のこの調査会でも他の、別の参考人の先生にもお伺いしたんですが、結果的にそのことがそのしんにゅうの造るという、この製造部門の比較的国内で担っている高付加価値の商品を海外で創るというところまで流れが相当進んでいるんではないかなというふうに感じているんですけれども。ここのところ、こういう形で、「創」は日本、しんにゅうの「造」は海外と役割区分ということで必ずしも言い切れない部分が出てくるのではないかなというふうな感じがしているんですが、その辺の感想についての御所見をお伺いしたい。
 それからもう一点は、知的財産の問題ですけれども、一番最後のページに「知的財産」の項目が出ておりますけれども、特に特許行政ですが、日本の場合は非常に、特許庁に登録されているいろんな特許がありますけれども、そういうものが前々から十分活用されていないのではないかというような議論が他方ではあります。
 そういう意味で、この特許行政というふうな言葉でくくられておりますけれども、研究開発の成果を迅速に保護する特許行政ということですが、それを活用する、そういう分野での現状と今後の何かお考えがありましたら御指摘をいただきたいと思っています。
 それから、後藤参考人には一点だけお伺いしたいんですが、これまたそのことに関係をしますが、資料の一番最後の十八ページ、十九ページに、「研究成果(技術)の製品化状況」、あるいは「製品化されないことへの自己評価」というのが表として例示されております。これがなぜこうなのかということの説明をもう少し詳しくしていただければ、なぜこういうふうな結果になっているのか、そこら辺の原因と申しますか、そういうところのお考えがありましたら御指摘をいただきたいと思います。
 以上です。
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広中和歌子#22
○会長(広中和歌子君) では、岸本参考人。
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岸本正壽#23
○参考人(岸本正壽君) 一点目の御質問でございますが、だんだんと造のところ、創のところがはっきりと区分できなくなる、そういうことも言えるんじゃないかという御指摘でございます。
 その理由として、退職技術者が流出していろいろ指導に入るんじゃないかと。現実にそういう時点はあるわけでございますが、おっしゃるとおり、最初は付加価値の低いいわゆる価格の安いものの量産品は中国だという考え方だったんですが、だんだんと、量産品物は中国なんですが、価格が少々高くても中国で作る。例えば、カメラでいいますと一眼レフ、これは高付加価値、高価格ですが、今、中国で作られているものもかなり入っております。まあプロ用の高級品じゃなくて中級品と我々は言っているわけですが。ですから、だんだんこういうところが中国で作られるようになってくる。それは、企業としては合弁ではなくて独資系であって、我々がコントロールできるんだという考え方が一つあると思います。
 ですから、ある程度、技術、これは流出と、我々企業は流出と言わないで単なる移換と。それはなぜかといいますと、日本人がしっかりと管理をしていると、向こうで。こういう一つの保護予防的な対策を取りながらやっておりますんでいいんですが、私が言っている、企業の買収のみならず、この技術者の流出というのはこれ中国の企業なんですね。外国系の企業じゃなくて中国の企業。ここに今、日本人の方で行っていらっしゃるのは、ただ技術を教えるということよりも品質の管理手法、これが今中心でございます。技術となりますと、たった一人ではそうはうまくいかないと思います。ですから、単独で行かれているのはそういう管理手法。特に今品質の管理手法。今、中国で約三万社がISO9000を取っております。それぐらい品質についても大変熱心に今活動しておりますので、そういう点が今起こっているということでございまして、技術の面からいけばそう恐れるほどのことはないんじゃないかという具合に認識をしております。
 それから、二点目の特許行政のところですが、これは特許庁もディスクに全部今情報を入れていただきまして、それを買えば我々はすぐ取り出して情報を取れる。非常に便利になっておりまして、我々のような企業はそれやっているんですけれども、全部の企業がおやりになっているということじゃないと思います。
 私がここで申し上げているのは、逆に言いますと、物すごく今特許件数も多くなっている。特許庁は、何でもかんでも出すなと、内容のしっかりしたものを出してほしい、選択してくれないととても調査をして登録させるというのは難しいんだよという具合におっしゃっているんですが、そこのところを私は申し上げておりまして、成果で特許に申請したものはできるだけ早く登録できるようにということでございます。なかなかこれは特許件数と要員の問題、それから特許技術者の養成の問題、いろいろあると思いますけれども、できるだけ早く保護をしていただきたいなということでございます。
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後藤康雄#24
○参考人(後藤康雄君) それでは、研究開発が必ずしも製品に結び付かない原因をもう少し詳しく御説明させていただきますと、先ほど社内の問題が大きいというふうに申しました。
 上位から三つ御紹介いたしましたが、多少ちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども少し詳しく御説明いたしますと、一つはやはりマーケットが必要としているニーズを具体的なコンセプトとして表現できるような体制になっていない、あるいはそういう人がいないと。
 具体的なイメージで申しますと、ふだん営業マンがお客さんと接していて、こういう製品があったらいいのになというのがうまく伝わらない、それは単に連絡が行かないということだけではなくて、言ってみれば会話の土俵が違うと申しましょうか、言語が違うというような面もあろうかと思います。
 いずれにしましても、ニーズがうまく形、ビジョンとして形になっていかない、したがって受け止める研究開発サイドのスタッフもなかなかマッチした研究を提供できないという、そういった広い意味でのやはり連携不足というのがあろうかと思います。
 それから、人材面の不足の問題ですけれども、結局三点とも同じような基本的なところに絡んでくると思うんですけれども、そういった技術というのを経営の観点から考えられる人材というのが少ないということなんじゃないかと思います。
 それで、逆に、うまくいっている、研究開発がうまく製品につながっている企業さんはどういう体制になっているのかというのを聞きますと、そういった人材がいる。人材をじゃどういうふうに提供をしているのかというと、実は結構簡単だったりとかして、トップダウン型で、もうこういうのを作れということが実は一番手っ取り早い解決策だったりとかいたしまして、いずれにしましても、技術というのを理解して、そこを製品と結び付ける人材がいないというような面があるようでございます。
 それから、三番目の連携不足というのは、もうそういった、以上全部絡んでくる、もう社内の連絡が悪いということかと思います。
 それで、以上を少し別の視点から統一的に申し上げると、やはり、ちょっと今も申し上げましたけれども、研究開発というのを経営全体の中できちんと位置付けて考えるという発想がまだ十分に浸透していないという面があるんじゃないかという理解でおります。
 具体的には、例えば研究開発投資というのは、これは経営上紛れもなく投資でございますので、言ってみれば広い意味でのポートフォリオの中に入ってくる項目のはずなんですけれども、どうも日本の研究開発体制を見ておりますと、研究開発部隊はもう何かある意味で独立した王国みたいのを築いていて、研究所の中で何か自分たちの何かこう仕事の回し方でやっているというような、まあいい意味についても悪い意味でもちょっと一種独立したところがあるんじゃないかと思います。
 それに対しまして、やはり技術というのは、少なくとも企業が行う技術というのはあくまでも経営全体の中の一つなんだというふうに位置付けて、で、研究開発もあくまでもやはり投資の一つと位置付けて、かつ、そこで出てきたアウトプットも最終的な目標とする製品のロードマップの中でどういう位置付けで発展させていくべきかというような全体像をつくる、そういった経営全体と技術のかかわりをうまく連携付けるような体制ができていないという、まあ、あえてまとめて統一的に申しますと、そういうことなのかなという理解でおります。
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広中和歌子#25
○会長(広中和歌子君) よろしいですか。
 それでは、浜田昌良さん。
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浜田昌良#26
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 本日は、両参考人から意義深い御説明をいただきまして、ありがとうございます。それぞれ一問ずつ御質問させていただきたいと思います。
 まず岸本参考人には、日本の技術の強みを発揮する民間企業の連携の在り方というのはどういうものだろうかということなんです。
 お話の中でありましたですけれども、日本の研究開発投資、ほとんど政府というよりも民間部門が行っておられます。
 で、成功例として挙げられました、七〇年代には超LSIの研究組合がありました。これは民間の大企業同業種で集まった研究組合だったわけですね。九〇年代にはマイクロマシンという例を挙げられました。これは民間の大企業で異業種が集まった研究組合でした。
 二十一世紀に入って、先ほどベンチャーがなかなかうまくいかないという話もありました。スピンオフをしようにも出ていかない。
 私個人としては、これからは民間の大企業といわゆる中小企業という形の企業間連携というものが一つ日本の技術の強みをつくっていく企業間連携ではあるのかなと思っております。そういうものを後押しする一つのツールとして、この国会でも有限責任事業組合という、LLPですね、というものも用意したりしようとしているんですが、そういう今後の日本の強みを発揮する企業間連携の在り方について、少しお話を賜りたいと思っております。
 後藤参考人には、今回の御説明の中で非常にショックだったデータなんですが、このIMDのデータが日本が凋落をしているんですが、特にこの要因別に見ますと、政府の効率性が三十七位、ビジネス環境も三十七位で、ともに中国より悪いという状況なんですが、この辺は、いわゆる九〇年代の前半とか八〇年代で日本がトップであったころはどうであったのかと、かつ、どういう要因が悪くなってこの辺が下がっているのかについて、もし御存じであればお教えいただきたいと思います。
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岸本正壽#27
○参考人(岸本正壽君) 民間関係の企業連携ということでございます。
 一つは、おっしゃいましたように、民間の企業が数社集まるということは非常に難しいんですね。したがいまして、ここに官が入ると非常に集まりやすい、マイクロマシンなんかも正にそのとおりでございまして、こういう官が入ったコーディネートしていただけるようなグループ、こういうところは積極的に各民間が異業種、同業種含めてですが参加をしております。民間だけの連携というのは、どうしても同業の中では警戒感があるということと、もう一つ、企業が三社以上集まるということが非常に難しい、いろいろ利害関係が絡みますので。ですから、二社での連携というのは非常にたくさん今現実に出ております。
 私どもも、同業の会社とも研究開発の部門はやっているとかいう形で、今、一社では、このデジタル時代には一社ではとても研究開発費の巨額なものを負担し切れないとか、あるいは自分たちだけで開発する技術では不足している。そういうところをいかに効率よくやっていくかということになりますと、そういうところと組んでやるということですから、私は企業間連携というのは今後ますます出てくるんじゃないか。アナログ時代は何でもかんでも自分たちでやろうという時代があったんですけれども、もうそういう時代ではなくなったという認識は全員持っていると思います。
 よろしゅうございましょうか。
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広中和歌子#28
○会長(広中和歌子君) それでは、後藤参考人。
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後藤康雄#29
○参考人(後藤康雄君) 個人的にはこのIMDのランキングは余り何というか、これにとらわれ過ぎるのも良くないかなと思う反面、しかしやはり海外から見てそれほど違和感のない順位付けがなされているという意味では、やっぱりそれなりに真摯に受け止めなくてはいけないのかなという気もしておりますので、やはりちょっと中身の分析というのは確かに御指摘のとおり重要かと思います。
 それで、かつて日本が一位だったころの状況がどうだったかと申しますと、これはいずれもその内訳の中身ですね、その経済情勢とか政府の効率性、いずれもそれなりの高い順位でございましたけれども、やっぱり何といってもこの経済情勢が際立って良かったというのがかつての状況でございました。したがって、今やはりバブルが崩壊してまだその痛みから十分立ち直り切れていないという実体経済の悪さが大きく反映されているという側面が一つあろうかと思います。
 ただ、そこを差し引いてもやはり政府の効率性というところはまだ残るんですけれども、これは痛しかゆしという面があろうかと思いますけれども、経済を立て直すために財政出動を繰り返して、今巨額の財政赤字を抱えていて、それで政府部門の規模もやはりそれに伴ってまだ大きい状態が続いているというところが低く評価されてしまったということで、やはり九〇年代を通じての財政出動というのが、少なくともこのIMDのランキングにおいてはちょっと裏目に出ている面がございます。
 あと、御参考までに、そのビジネスのところもかなり評価が低いんですけれども、ここも挙げれば、不良債権がまだ片付いていないとかというのもあるんですけれども、やっぱり特に我々として参考にすべきところは、国際性とかあるいはマーケットのオープンさとか、こういったところが他の国々、シンガポールとかそういうところはもう着実にぐんぐん努力している中で、日本は努力はしているかもしれないけれども、他の国に比べるとまだ十分じゃないというふうに評価されてビジネス環境というのがこういうふうに下がってきているという、大きく私が気が付いたところでは、以上のような要因が九〇年代初頭に比べて足下にかけての変化を形成したように思っております。
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