厚生労働委員会

2009-06-30 参議院 全127発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成二十一年六月三十日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     紙  智子君     小池  晃君
 六月三十日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君     谷岡 郁子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         辻  泰弘君
    理 事
                川合 孝典君
                中村 哲治君
                柳田  稔君
                衛藤 晟一君
                山本 博司君
    委 員
                足立 信也君
                家西  悟君
                梅村  聡君
                小林 正夫君
                下田 敦子君
                谷  博之君
                谷岡 郁子君
                森田  高君
                蓮   舫君
                石井 準一君
                石井みどり君
                岸  宏一君
                島尻安伊子君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                古川 俊治君
                丸川 珠代君
                渡辺 孝男君
                小池  晃君
                福島みずほ君
       発議者      小池  晃君
   委員以外の議員
       発議者      岡崎トミ子君
       発議者      森 ゆうこ君
       発議者      谷岡 郁子君
       発議者      近藤 正道君
       発議者      亀井亜紀子君
       発議者      田中 康夫君
       発議者      川田 龍平君
   衆議院議員
       発議者      河野 太郎君
       発議者      山内 康一君
   国務大臣
       厚生労働大臣   舛添 要一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       厚生労働大臣官
       房審議官     中尾 昭弘君
       厚生労働省健康
       局長       上田 博三君
   参考人
       独立行政法人労
       働者健康福祉機
       構横浜労災病院
       院長
       脳死下での臓器
       提供事例に係る
       検証会議座長   藤原 研司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確
 保の促進に関する法律の一部を改正する法律案
 に関する件)
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律
 案(衆議院提出)
○子どもに係る脳死及び臓器の移植に関する検討
 等その他適正な移植医療の確保のための検討及
 び検証等に関する法律案(千葉景子君外八名発
 議)
    ─────────────
この発言だけを見る →
辻泰弘#1
○委員長(辻泰弘君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、紙智子君が委員を辞任され、その補欠として小池晃君が選任されました。
    ─────────────
この発言だけを見る →
辻泰弘#2
○委員長(辻泰弘君) 社会保障及び労働問題等に関する調査のうち、保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、南野知惠子君から委員長の手元に保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案の草案が提出されております。内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。南野知惠子君。
この発言だけを見る →
南野知惠子#3
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 草案の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。
 保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案の草案趣旨でございます。
 ただいま議題となりました保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案の草案につきまして、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 現在、医療をめぐっては、急激な少子高齢化の進行による医療ニーズの増大と多様化、医療の高度化、療養の場の多様化などの変化に的確に対応することが求められる中、地域医療は大変厳しい現状にあります。
 今後、地域医療を守り、国民に良質な医療、看護を提供していくためには、医師のみならず、看護師を始めとする看護職員が、チーム医療を担う重要な一員としてその専門性を発揮することが極めて重要であり、その資質及び能力の一層の向上や、看護職を一層魅力ある専門職とすることを通じた看護職員の確保が求められています。
 本案は、こうした必要性にかんがみ、国家試験の受験資格を改めるとともに、新人看護職員の臨床研修その他の研修等について定めるものであります。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、保健師助産師看護師法において、保健師国家試験の受験資格及び助産師国家試験の受験資格について、文部科学大臣の指定した学校における修業年限を六月以上から一年以上に延長するとともに、看護師国家試験の受験資格を有する者として、文部科学大臣の指定した大学において看護師になるのに必要な学科を修めて卒業した者を明記することとしております。
 第二に、保健師助産師看護師法において、保健師、助産師、看護師及び准看護師は、免許を受けた後も、臨床研修その他の研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならないものとしております。また、看護師等の人材確保の促進に関する法律において、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針に定める事項及び国の責務について、看護師等の研修等を明記し、病院等の開設者等の責務について、新たに業務に従事する看護師等に対する臨床研修その他の研修の実施及び看護師等が自ら研修を受ける機会を確保できるようにするために必要な配慮を明記するとともに、看護師等の責務について、研修を受ける等を明記することとしております。
 なお、この法律は、平成二十二年四月一日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
辻泰弘#4
○委員長(辻泰弘君) 本草案に対し、質疑、御意見等がございましたら御発言願います。──別に質疑、御意見等もないようですから、本草案を保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
辻泰弘#5
○委員長(辻泰弘君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
辻泰弘#6
○委員長(辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
この発言だけを見る →
辻泰弘#7
○委員長(辻泰弘君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案及び子どもに係る脳死及び臓器の移植に関する検討等その他適正な移植医療の確保のための検討及び検証等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長上田博三君外一名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
辻泰弘#8
○委員長(辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
この発言だけを見る →
辻泰弘#9
○委員長(辻泰弘君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案及び子どもに係る脳死及び臓器の移植に関する検討等その他適正な移植医療の確保のための検討及び検証等に関する法律案の審査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
辻泰弘#10
○委員長(辻泰弘君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
辻泰弘#11
○委員長(辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
この発言だけを見る →
辻泰弘#12
○委員長(辻泰弘君) 臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案及び子どもに係る脳死及び臓器の移植に関する検討等その他適正な移植医療の確保のための検討及び検証等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案について、発議者衆議院議員山内康一君から趣旨説明を聴取いたします。山内康一君。
この発言だけを見る →
山内康一#13
○衆議院議員(山内康一君) ただいま議題となりました臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 現行の臓器の移植に関する法律は、平成九年十月に施行され、十一年余りがたち、これまでの間に、脳死下における臓器移植は八十一件が実施され、多くの命が救われるという実績を上げることはできましたが、年間症例数においては欧米諸国の数十分の一にも満たない状態が続いております。例えば、日本とアメリカにおける心臓移植の実施件数では、平成二十年の一年間で、日本が十一例であるのに対し、アメリカでは二千百六十三例と、約二百倍もの開きが生じております。
 一方、移植医療をめぐっては、病気腎移植の問題や臓器売買事件が明るみになりましたが、これらの問題の背景には、臓器移植を希望する患者の数に対して移植術に使用される臓器の圧倒的な不足がございます。このため、健康な体にメスを入れ、家族から臓器を取り出すという生体間の臓器移植が年々増加し、死体からの臓器移植の件数を大幅に上回る結果になっております。健康な体にメスを入れるような移植医療は、本来避けるべき医療であります。
 また、国内での臓器移植が期待できないとしまして、海外で臓器移植を受ける方も増えております。移植術に使用する臓器の不足は諸外国においても同様であり、一部の国では外国人への臓器提供に門戸を閉ざす措置を講ずるようになりました。
 昨年五月に開かれた国際移植学会では、イスタンブール宣言として、臓器売買、渡航移植の原則禁止を決定しました。この宣言では、自国民の移植は自国内で行うべきとし、移植ツーリズムを防止すべく自国内での臓器提供を推進するよう各国に要請しています。また、世界保健機関においても同様の方向で検討されています。国際世論の一部からは、日本は現在、大人、子供を問わず臓器移植が受けられない状態であり、その結果、他国に渡航し他国人の臓器を移植しており、たとえその国のルールに従った渡航移植であっても移植ツーリズムとみなさざるを得ないとも言われております。
 現行法では、本人の書面による意思表示が臓器移植に必要であるため、十二年にわたり意思表示カードの普及に努めてまいりましたが、内閣府の世論調査で示されるとおり、提供意思を記入したカードを常時所持していると答えた人は数%にとどまっており、臓器提供をしたい意思が反映されていないのが現状です。
 他方、一日千秋の思いで臓器の提供を待たれている多くの患者がおられます。これらの患者は、臓器を移植する機会があれば、普通の生活に戻れるほどの回復が可能であります。にもかかわらず、我が国の臓器移植に係る要件によって、諸外国のような臓器の提供を受ける機会が奪われ、命を落とされる患者が多く存在しているのは、真に国会における不作為の結果と言っても過言ではありません。
 現行法を改正するに当たり、国民に対し平等に、臓器を提供する権利と提供しない権利、移植を受ける権利と受けない権利をそれぞれひとしく保障することが必要であります。
 脳死につきましては、日本以外の先進国では脳死は人の死とされております。臨時脳死及び臓器移植調査会は、平成四年に脳死を人の死とすることについてはおおむね社会的に受容されていると答申しています。また、最近の世論調査では、脳死を人の死と回答する割合が約六割に達しております。しかし、日本では脳死は人の死であることに対しいまだ様々な考え方があり、脳死を受け入れられない方々が脳死判定を拒否できるように、本案では脳死判定をするかどうかを家族の判断にゆだねることとしています。
 脳死判定には、頭部外傷などの重症脳障害の患者の予後不良を診断するための脳波計などを用いて行う臨床的脳死判定と、脳死後の臓器提供を行う際のみに行われる法的脳死判定がありますが、これらをきっちりと区別する必要があります。臓器提供に係る法的脳死判定では、脳幹反射の消失や無呼吸テストなどの法的脳死判定基準に従い、主治医とは異なる二名の専門医が一度判定を行い、六時間後に二度目の法的脳死判定を下した場合のみを脳死を人の死としています。すなわち、脳死が人の死であるのは、本案の場合も現行法と同じく臓器移植に関する場合だけに適用されるものであり、一般の医療現場で一律に脳死を人の死にするものではありません。
 今回、本案においては、臓器移植法における本人の生前の意思を尊重する理念を生かしつつ、臓器の提供が認められる要件について、新たに本人の意思が不明の場合にも年齢を問わず家族が書面により臓器の提供を承諾した場合を加え、諸外国と同様に臓器移植が認められる要件をそろえようとするものであります。
 本案の概要につきまして御説明申し上げますと、第一に、臓器を提供できる要件について、本人が生前に書面によって臓器の提供意思を表示している場合に加え、本人が臓器の提供を拒否する意思を表示している以外の場合で、遺族が書面により承諾している場合とすることとしております。
 これにより成人の移植機会が増加するとともに、小児にも臓器移植を受ける機会が生まれるものと考えます。
 同時に、家族が法的脳死判定後にも臓器提供をしたくないときには、その権利は保障され、そのような場合に臓器提供されることはなく、その後の医療保険の適用も保障されています。
 第二に、本人が臓器提供の意思を表示する場合において、親族に対して優先的に臓器を提供する意思を表示することができることとしております。
 第三に、虐待を受けた児童から臓器が提供されることがないよう、適切な方策を検討し、必要な措置を講ずることとしております。
 第四に、国及び地方公共団体は、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずることとしております。
 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から一年を経過した日から施行することとしております。
 以上が、本案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
この発言だけを見る →
辻泰弘#14
○委員長(辻泰弘君) 次に、子どもに係る脳死及び臓器の移植に関する検討等その他適正な移植医療の確保のための検討及び検証等に関する法律案について、発議者岡崎トミ子君から趣旨説明を聴取いたします。岡崎トミ子君。
この発言だけを見る →
岡崎トミ子#15
○委員以外の議員(岡崎トミ子君) ただいま議題となりました子どもに係る脳死及び臓器の移植に関する検討等その他適正な移植医療の確保のための検討及び検証等に関する法律案につきまして、発議者を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現行の臓器の移植に関する法律は、一九九〇年から議論されたいわゆる脳死臨調を経て、一九九四年に議員立法として衆議院に提出され、最終的に一九九七年、参議院において、当時の先輩諸氏の英知を集め、臓器提供をする場合に限り脳死を人の死とする、生前に法的脳死判定を受け入れる意思表示をした場合に限り法的脳死判定を実施する、脳死判定には二人以上の医師が立ち会う等、幅広く国民的な合意を得られる形に修正し、成立いたしました。法律の施行後十二年がたとうとする中、衆議院においてこれまでに四つの改正案が提出され、六月十八日の衆議院本会議でいわゆるA案が可決されたところであります。
 しかしながら、臓器の移植及びこれに使用されるための臓器の摘出は人間の尊厳の保持及び人権の保障に重大な影響を与える可能性があります。小児の脳死判定、臓器の摘出及び臓器移植については、長期脳死児の例が知られるところとなり、中には数回の無呼吸テストを経てもなお長期間にわたり心臓が拍動を続け成長する例が報告されるなど、その脳死判定基準などについて専門家の間でも大きく意見が異なっております。また、被虐待児からの臓器提供の防止についても、虐待を行った親が証拠を隠し、虐待の事実が発覚しにくいなどの事情があり、多くの小児科医から、臓器摘出までの短い時間で正確な判断ができるかどうか、また虐待を隠すために臓器提供を行うことはないか等の不安の声が寄せられております。
 日本小児科学会が二〇〇七年に実施したアンケート調査では、小児のドナー候補が被虐待児であるか診断が適正に行えるかという問いに対して、はいと答えた医師は一二・三%にすぎず、いいえが三三・八%、分からないが四九・九%という結果となっています。さらに、新生児を含む小児の脳死診断は医学的に可能と思うかとの問いに対しては、はいが三一・八%、いいえが一五・八%、分からないが四八・二%という結果となっています。さらに、臓器提供は提供する側の小児にとって有益な医療行為ではないことから、臓器摘出に関し親による意思表示の代理、あるいは親の関与がどこまで認められるものかという問題もあります。
 こうした問題意識を背景として、拙速な小児の臓器移植の拡大については、医師や専門家のみならず、国民の間からも、懸念の声が聞こえております。このような状況の中で、小児の特異性を踏まえた脳死判定及び臓器移植に関する課題について対応策を確立しないままに小児の臓器移植が開始されるとなると、大きな社会的問題が生ずるおそれがあります。
 また、生体移植等の在り方について、いわゆるA案においては全く触れられておりませんが、非常に重要な点であることは間違いありません。一九九一年にWHO、世界保健機関の総会で議決されたガイドラインでは、人権を侵害する可能性が高い生体ドナーについて許容される場合を限定しておりますが、来年二〇一〇年の総会で議題となる予定の決議案及びガイドライン改定案は、弱者の犠牲の上に成り立ちかねない生体ドナーを保護する観点を更に鮮明にするものであります。生体移植については、ドイツを始めとする多くの国では法律で規制されているところ、我が国においては厚生労働省のガイドラインレベルで規制されているのみです。諸外国に比べ生体移植に対する依存度は高くなっているにもかかわらず、生体移植の在り方について十分な検討がなされてきたとは言えません。脳死下における臓器提供が八十一例にとどまる一方で、腎臓移植においては、生体間移植への依存率が八四・一%と、スペインの二・九%、アメリカの四二・七%に比べ突出した数字になっており、本来、移植医療のあるべき姿ではないはずの生体移植が行われているという実態があります。こうした環境が続く限り、脳死下の臓器提供の是非についての真剣な議論が阻害され、脳死移植は増えないといった指摘もされているところであり、生体移植の在り方について早急な検討が求められております。
 さらに、国民の脳死下臓器移植に対する理解を深めるとの目的の下に設置された脳死下での臓器提供事例に係る検証会議については、八十一例の実施例に対して報告書が公開されているのは三十四例にとどまり、この三月にようやく五十五例目の検証が実施されたところです。関係者のプライバシーを理由に情報開示が制限されるなどの運用から、国民への情報提供が進まない一因となっているとの懸念もございます。
 そこで、本法律案においては、今後我が国が子供の脳死及び臓器移植についてどう対応していくべきか、広い視野から総合的に検討しなければならない問題について、臨時子ども脳死・臓器移植調査会を内閣府に設置して一年を掛けて検討し、必要があると認められたときは措置を講ずることといたしました。あわせて、生体移植に関する制度等の在り方についても、一年を目途に検討を行うこととするとともに、適正な移植医療の確保のための検証等を進めることとしております。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、脳死した子供の身体からの移植術に使用されるための臓器の摘出その他子供に係る臓器の移植に関する制度については、子供に係る脳死の判定基準、臓器の提供に関し子供の自己決定及びその親の関与が認められる場合並びに虐待を受けた子供の身体からの臓器の摘出を防止するために有効な仕組みの在り方を含めて検討が加えられ、必要があると認められるときは所要の措置が講ぜられるものとしております。そして、この検討を行うに当たっては、学識経験を有する者による専門的な調査審議が行われるとともに、広く国民の意見が反映されるよう配慮されなければならないこととしております。
 この調査審議のため、内閣府に、この法律の施行の日から一年間、臨時子ども脳死・臓器移植調査会を置くこととしております。調査会は、委員十五人以内で組織し、委員は、子供に係る脳死及び臓器の移植について優れた識見を有する者等の学識経験者のうちから内閣総理大臣が任命することとし、その人選に立法府も責任を持つため、任命については両議院の同意を得ることとしております。そして、調査会は、脳死した子供の身体からの移植術に使用されるための臓器の摘出その他子供に係る臓器の移植に関する制度について調査審議を行い、その結果に基づいて内閣総理大臣に意見を述べることとしており、内閣総理大臣は、当該意見を受けたときは、これを国会に報告するものとしております。
 第二に、死亡した者の身体からの組織の摘出及び当該組織の移植に関する制度、生体からの臓器及び組織の摘出並びに当該臓器及び組織の移植に関する制度等については、この法律の施行後一年を目途として検討が加えられ、必要があると認められるときは所要の措置が講ぜられるものとしております。
 第三に、臓器の移植に関する法律の一部改正であります。
 国は、臓器の移植に関し、臓器を提供する意思表示の有効性、脳死の判定の適正性及び当該判定に関する意思表示の有効性等の調査及び分析を通じて、移植医療の適正な実施を図るための検証を遅滞なく行い、その結果を個人情報の保護に留意しつつ公表するものとしております。
 また、脳死の判定等に関する記録の保存期間を二十年とするとともに、国は、移植術を受けた者の適切な健康管理に資するため、その者の健康に関する情報に係るデータベースが整備されること等により、その者その他関係者がその者の当該移植術後の健康状態を的確に把握することができるよう必要な措置を講ずるものとしております。
 このほか、死体からの臓器の摘出及び当該臓器を使用した移植術は、厚生労働省令で定める基準に適合する病院又は診療所において行わなければならないこととしております。
 なお、この法律は、原則として、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 臓器の摘出及び移植は、臓器を提供するドナー、移植を受けるレシピエントなどの尊厳の保持、人権保障に重大な影響を与える可能性があり、広く国民的な合意を形成していくというプロセスが非常に重要であると考えます。
 衆議院では四つの改正案が出され、審議の過程の中で、現行の制度の下において生じている問題点、新たな改正が実現したときに懸念される問題点等、多くの懸案事項が明らかとなりました。
 他の医療と移植医療が根本的に異なるのは、臓器を提供するドナーの存在があって初めて成り立つ医療行為であるという点です。多くの課題を解決しないままに強引に結論を導き出すのであれば、ドナーとなろうという方々の理解を得られないのはもちろんのこと、医療の現場等にも大きな混乱を招きかねず、さらに終末期の医療におけるみとりの在り方等に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
 懸案事項が多い一方で、早期に結論を出すことが求められております。課題を先延ばしにすることなくしっかりと結論を出せるよう、本法律案では一年間と期間を区切っております。この間に、子どもの脳死臨調の場でしっかりと検討、検証するのはもちろんのこと、政府、国会においても精力的に検討を進め、広く多くの関係者を始めとする国民の声を聴き、議論を重ねていくことが重要です。広く合意形成を図りつつ、すべての命がひとしく尊重されるように、立法府としての結論を出すことが肝要であると考えます。
この発言だけを見る →
辻泰弘#16
○委員長(辻泰弘君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 次に、我が国における臓器移植の経緯、現状等について政府から説明を聴取いたします。
 なお、政府参考人の発言は着席のままで結構でございます。厚生労働省健康局長上田博三君。
この発言だけを見る →
上田博三#17
○政府参考人(上田博三君) 健康局長の上田でございます。
 お手元の資料に基づきまして、法案の審議の前に、我が国における臓器移植の経緯、現状、政府の対応状況等について御説明をいたします。
 まず、最初に目次が付いておりますが、もう一枚開けていただきますと、「脳死とは」という資料がございます。まず、脳死について御説明をいたします。
 社会通念上、死とは、いわゆる三徴候死でございます呼吸の停止、心臓の停止、瞳孔の散大、これは対光反射の消失ということも言われますけれども、この三つの条件で通常判断をされております。それがこの左側の呼吸循環停止により判定された死ということで、この三徴候死によって一般的には死は判断をされているわけでございますが、真ん中の段でございますけれども、脳死は、一般に脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態と定義をされております。
 脳幹とは、延髄など呼吸や血圧の調整など生きていくために不可欠な働きをつかさどる部分でございます。脳死に至った場合、自力で呼吸することができず、人工呼吸器によって呼吸が行えるわけでございますけれども、この人工呼吸器によって多くの場合のケースでは数日あるいは、最近では人工呼吸の管理が非常に進歩しておりまして、脳死という判断をされても心停止まで百日を超える例もあるというふうに聞いております。
 右の段に参考で載せておりますが、植物状態というものがございますが、脳死と植物状態は全く異なる状態でございます。植物状態では、この図のところの白く塗った部分でございますが、いわゆる延髄などの脳幹の機能が残っておりまして、自ら呼吸できる、いわゆる自発呼吸がある場合が多うございまして、意識も回復することがございます。
 このように脳死というものは、全脳機能が不可逆的に停止をして、人工呼吸の助けをなくしては状態が維持できないという状況でございまして、一方植物状態というのは、多く自発呼吸がございますので、補助的に人工呼吸器を用いることはあっても、基本的にこの自発呼吸があるかないかということが大きな一つのポイントでございます。また、脳死の場合には、全脳機能、この延髄とかそういう脳幹を含む、真っ黒にかいておりますけれども、この全体が機能を不可逆的に停止をした状態だということで、植物状態の場合にはこれが、こういう機能が一部残存をし、またこの延髄などの脳幹の部分は機能が生きて残っていると、こういう状態で、これは厳に区別されるべきものだというふうに考えております。
 次に、もう一枚開けていただきますと、臓器移植法が成立するまでの経緯について御説明をいたします。
 現行の臓器移植法でございますが、まず我が国における移植法制につきましては、現行の臓器移植法の前に、死体からの臓器移植に関して昭和三十三年に角膜移植に関する法律が、その後昭和五十四年に角膜及び腎臓の移植に関する法律が定められたところでございます。脳死体からの移植に関しましては、現行法の制定に至るまでさかのぼれば、平成元年に法律ができまして、二年の三月に第一回が開催されまして、平成四年一月二十二日に取りまとめられました臨時脳死及び臓器移植調査会、いわゆる脳死臨調の答申など様々な脳死、臓器移植に関する議論がなされてきたわけでございますが、こうした議論を踏まえまして、そこにございますように、平成六年四月、中山太郎議員を始めとする先生方によりいわゆる旧中山案が衆議院に提出をされましたが、この法案の扱う問題が個人の死生観等に深くかかわることなどから、国会におきましてもその扱いについて賛否両論がございまして、平成八年六月に、本人意思が不明なとき、家族の書面による承諾で可能とすると、この部分を削除する修正案が提出をされるなど、成立に向けた動きがございましたが、同年九月の衆議院解散に伴い廃案となったわけでございます。
 その後、同年十二月に、同じく中山太郎議員を始めとする先生方により、前述いたしました修正案と同一の内容の法案、いわゆる中山案が衆議院に提出をされまして、脳死を人の死としない金田案との間での議論の末、参議院において脳死に関する様々な意見があることを配慮し、法第六条、現行法の第六条第二項において、臓器移植に際しては脳死を人の死と認めることを明記するなどの修正等を踏まえまして、平成九年六月十七日に現行法が成立し、同年十月十六日に施行されたところでございます。
 現行法は、国民の理解を得つつ、適正な形で移植医療を実施するため、本人の意思表示と家族の同意を臓器提供の重要な要件としております。この法律に基づき、現在、臓器移植が行われております。
 なお、腎臓と角膜の移植については、従前の経緯を踏まえまして、心停止下については、臓器移植法の附則によりまして、家族の承諾のみで現在も移植が可能となっているところでございます。
 次に、資料の三ページから、臓器移植法に関する法律の要点を簡単に申し上げます。
 経緯でございますが、今申し上げましたように、平成九年六月十七日に成立をいたしまして、四か月後の十月十六日に法律が施行されました。
 臓器移植法の要点は三つございまして、まず臓器の範囲と、臓器の摘出に関する事項と、その他の事項というふうに分けておりますけれども、この臓器移植法で取り扱う臓器というのは、人の心臓、肺、肝臓、腎臓、その他厚生労働省令で定める内臓ということで、この厚生労働省令で定めております内臓は膵臓と小腸を規定をしております。それから眼球でございます。この中で、どうしても脳死下でしか得られない臓器としては人の心臓ということになります。
 それから、二の臓器の摘出に関する事項でございますが、現行法の六条で定めておりまして、ア、イ、ウの部分でございますが、ちょっと読み上げますと、「医師は、本人が臓器提供の意思を書面により表示しており、かつ、遺族が拒まないときには、移植術に使用するため、死体(脳死した者の身体を含む。)から臓器を摘出することができるものとする」、「イ アの「脳死した者の死体」とは、臓器が摘出されることとなる者であって脳死と判定されたものの身体をいうこと。」、「ウ 臓器の摘出に係る脳死の判定は、本人が脳死判定に従う意思の表示があり、かつ、家族が脳死判定を拒まない場合に限定すること。」と、このような形で摘出に関しての条件を六条で定めております。それから、先ほど申し上げましたが、附則で、エのところでございますが、当分の間の経過措置として、眼球、これは角膜ですが、又は腎臓の摘出については、従前どおり、遺族の同意のみによって心停止後の死体から摘出を認めることになっております。
 その他の事項でございますが、まず、国及び地方公共団体は、移植についての国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない、これは三条でございます。それから、臓器の摘出に係る脳死の判定、臓器の摘出又は移植術を行った医師は、それぞれの記録を作成しなければならないこと、これは四条でございます。それから、臓器の売買等を禁止したこと、これは脳死下に限らず生体の場合もそうでございますが、十一条で規定をしております。それから、エでございますが、業として死体から摘出された臓器のあっせんをしようとする者は、臓器の別ごとに厚生労働大臣の許可を受けなければならない、これが十二条でございます。それから、法施行後三年をめどに制度全般について検討を加え、必要な措置が講ぜられるべきものとしたこと、これが附則の二条でございます。
 次に、四ページを開けていただきますと、臓器の移植に関する法律の施行規則の概要を載せておりますが、まず臓器の範囲は先ほど申し上げたとおりでございます。
 脳死の判定の基準でございますが、いわゆる竹内基準によって規定をされております。具体的には、そこにございますように、五つの項目について確認をし、少なくとも六時間経過した後に再び同じ項目について確認することにより実施すると。ただし、この場合は、竹内基準の経緯から、六歳未満の者はもう前提から除かれております。それから、低体温の方は脳幹の反射などが非常に弱くなるというようなこともございます。また、薬物中毒の方もそういう反射が鈍くなるということで、この方はまず判定対象から除外をされております。
 五つの条件というのは、いわゆる深昏睡、ディープコーマと呼ばれるもの、それから瞳孔の固定ですね、それから脳幹反射、これはいずれも脳の機能を見ているものです。それから平たん脳波、脳波が平たんであること。それから、先ほどのように、延髄などがもう機能を停止しているということで自発呼吸の消失と。この自発呼吸の消失については、後ほどちょっと述べますけれども、若干患者さんの方に負荷を掛けるという可能性があることから、この確認は最後に要するということになっております。それから、脳死判定に当たっては、聴性脳幹誘発反応の消失についても確認するように努めるものとするということになっております。
 それから、次の(3)でございますが、脳死判定等の記録につきましては、医師が作成すべき次の記録等について記載すべき具体的な項目として、そこに挙げたようなものを挙げております。
 それから、四番のあっせん機関については、厚生労働大臣の許可の手続について規定をしていると。
 その他、使用されなかった部分の臓器の処理方法について、これは流用は不可でございまして、焼却をしなければならないということなどの規定を施行規則で設けているところでございます。
 さらに、ガイドラインというのがございまして、五ページ目でございますが、臓器移植法に基づきまして臓器の移植に関する法律施行規則を定めたわけでございますが、さらに脳死判定基準、それから脳死判定等の記録に関する詳細な事項を規定する、そして臓器移植の運用に当たっての必要な事項を定めるということで、臓器移植に関する法律の運用に関するガイドラインというものを定めております。それが五ページでございます。最初にこれ出ましたのは、平成九年十月八日付けの通知でございます。
 このガイドラインにおきましては、臓器提供について意思表示ができる年齢として、民法の遺言可能年齢等を参考として、十五歳以上と決めております。この臓器移植法そのものでは年齢制限についてはまさに自分の意思が表示できるということを前提にはしておりますけれども、法律で年齢を決めるのではなくて、このガイドラインで現行十五歳以上とすることが決められているわけでございます。
 それから二つ目の丸でございますが、遺族及び家族の範囲については、個々の事案に即し、家族構成等に応じて判断すべきものということで、これは当然、脳死判定等には遺族及び家族の同意等が必要なわけでございますが、その範囲について決めておるものでございまして、原則として配偶者、子、父母、孫、祖父母及び同居の親族と。それから、全体の調整を喪主がこれも遺族の総意を取りまとめると、こういうふうなことをガイドラインで決めさせていただいております。
 それから三つ目でございますが、臓器提供施設の基準につきましては、適正な脳死判定を行う体制がある施設であって、高度の医療を行う大学附属病院などの四つの施設とすることになっておりまして、そこにございますように、大学病院のほか、日本救急医学会の指導医指定施設、日本脳神経外科学会の専門医訓練施設。これは、A項となっていますのは、この中でもレベルの高い施設だということでございます。それから、救命救急センターとして認定された施設というものが臓器提供施設となれるということをこのガイドラインで決めているわけでございます。これについても後ほどまた詳しく述べさせていただきます。
 それから、またこれも追って詳細について述べさせていただきますけれども、臓器移植法に基づく脳死判定を行うまでの手順についてもこのガイドラインで定めているところでございます。
 それから、脳死判定に係る個々の具体的検査手法につきましては、厚生労働省厚生科学研究費特別研究事業、脳死判定手順に関する研究班の平成十一年度報告書でございます法的脳死判定マニュアルに準拠して行うことを決めさせていただいております。
 そのようなことがこのガイドラインで決めているわけでございますが、下から二つ目でございます移植施設でございますけれども、これは移植施設についても、後ほど述べますけれども、限定を掛けておりまして、移植関係学会合同委員会において選定された施設に限定をするというようなことをしているところでございます。
 次に、六ページから七ページにかけまして、脳死下での臓器提供の実施状況、本法が施行後の脳死下での臓器提供の実施状況について御説明をいたします。
 まず、臓器移植には脳死下、それから先ほどから言っております心停止下、それから生体からの提供、この三つの形があるわけでございますが、移植できる臓器としては、現在、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、角膜となっておりますが、先ほど申し上げましたように、医学的な特性から心臓は脳死下のみからしか臓器提供が可能ではありません。
 そこの一にございますように、臓器移植法が施行された平成九年十月以降の実施状況でございますが、脳死判定が行われた事例は八十二例でございますが、そのうち臓器提供に至った事例は八十一例ということで、一例は諸般の事情で提供が、何といいますか、臓器そのものに少し提供をするには問題があったということで提供に至らなかった事例でございます。
 なお、本年一月には、ここに書いてございませんが、我が国で初めての心肺同時移植が行われたところでございます。
 そこで、臓器別で、二のところの表を見ていただきますと、これまで、心臓の移植が六十五件、肺の移植は五十一件、肝臓の移植が五十九件、腎臓の移植は七十三件、膵臓の移植が五十七件、小腸の移植は四件、角膜の移植が二十九件となっております。このように、徐々にではございますが、脳死下からの移植医療の実績が積み重ねてきておりますけれども、現在におきましても移植を待っている方が多くございます。
 そこにございますように待機患者というふうになっておりますけれども、平成二十一年三月三十一日現在で社団法人日本臓器移植ネットワークに登録されている移植希望者数は、心臓が百二十八名、肺が百十一名、肝臓が二百三十九名、腎臓に至っては一万名を超える方等々ということで極めて多くの待機患者がおられまして、これと脳死からの臓器提供の数を見ると、非常に待機患者の方が上回っておりまして、中には、このままで行くと十年を待たなきゃいけないというふうなケースも想定をされるわけでございます。
 次、七ページでございますが、横の表になっております。
 脳死下での臓器提供者数の推移でございますが、第一例目の臓器提供に至ったのは平成十一年二月でございます。この年には四例の提供がございました。その後一けた台で推移しておりましたが、平成十八年からは十件以上の提供数が毎年続いているところでございます。平成二十一年は、まだ年の途中でございますが、五例となっているところでございます。
 それから、八ページでございますけれども、生体間の移植の状況で、肝臓と肺と腎臓の状況をお示ししております。
 まず、肝臓移植、腎臓移植については、脳死下での臓器提供移植と比べて生体間移植の件数が非常に多い傾向になっておりまして、この肝臓のところで見ていただきますと、脳死はほとんど見えないぐらいの高さになっておりますけれども、平成十九年における生体間移植の件数を見ますと、肝臓移植は四百三十三件、腎臓移植は一千三十七件、肺移植は九件となっているところでございます。
 生体からの臓器移植に関しましては、やむを得ない場合に例外として実施されるものであること、臓器提供の任意性を確保するため提供者の自由意思を適切に確認すること、文書による説明及び同意を得ることなどを先ほどのガイドラインで定めまして、この下で実施をされているところでございます。そのほかにも、生体移植に関しましては日本移植学会倫理指針においても定められているところでございます。
 次に九ページでございますが、先ほど申し上げました、臓器移植法において一定の要件の下で医師が死体から臓器の摘出ができることを、脳死下でできることを認めている臓器提供施設の条件でございますけれども、同法の施行に当たりまして、臓器移植が国民の理解を得つつ望ましい形で定着するようにと、一定の要件を満たした施設においてのみ、法的脳死判定を受けた者からのみ臓器の摘出ができることとしているところでございます。
 具体的には、臓器移植法に基づく脳死した者の身体からの臓器提供を行う施設については、ガイドラインにおきまして、当該施設全体で合意がまず得られていること、適正な脳死判定を行う体制がある施設であって、救急医療等の関連分野において高度の医療を行う施設である、一つは大学附属病院、日本救急医学会の指導医指定施設、日本脳神経外科学会の専門医訓練施設、救命救急センターとして認定された施設の四類型を指定をしております。
 臓器提供施設の数でございますけれども、平成二十年九月の状況でございますが、厚生労働省がこういう四類型の施設に対して実際的に臓器提供ができるかどうかということを確認をしておりますが、臓器提供施設として必要な体制を整えていると回答した施設は、この四類型に当たる施設が四百七十四ございますが、そのうち三百三十八施設が提供できると答えているところでございます。
 それから、一方、十ページでございますけれども、脳死下での移植実施施設、今度は移植そのものを行う施設でございますけれども、脳死した者の身体から摘出された臓器の移植の実施についてガイドラインにおいて移植関係学会合同委員会において選定された施設に限定することにしておりますが、そこに挙げておるような施設でございます。選定されている施設の数でございますが、臓器別で、これ重複がございますが、心臓移植は六、肝臓移植は十三、肺移植は七、膵臓移植は十四、小腸移植は九施設となっているところでございます。
 これらの選定された施設に対しまして、社団法人臓器移植ネットワークにおける移植実施施設として登録をされまして、その施設に脳死下からの臓器が配分をされるということになります。
 それから、十一ページでございますが、日本臓器移植ネットワークの活動を示す体系図を示しております。実際の臓器の摘出から移植に至るまでの関係各機関のかかわりをこの表で見ていただければというふうに思いますが。
 まず、死体から摘出された移植術に使用される臓器のあっせんについては、厚生労働大臣の許可の下、社団法人日本臓器移植ネットワークにおいて実施されておりまして、ネットワークには、そこの上にございます東日本、中日本、西日本の三つの支部がございます。
 臓器提供から移植に至るまでにおけるネットワークの役割について説明いたしますと、ネットワークにおきましては、ネットワークに所属する移植コーディネーター、これは本部あるいは支部に所属をしておりますけれども、こういう方々と、都道府県にも移植コーディネーターという方がおられまして、この支部の移植コーディネーターと都道府県の移植コーディネーターが連絡調整の下で、臓器提供施設などの医療機関からネットワークに寄せられたドナー情報を基に、このコーディネーターが出向きまして、家族への法的脳死判定、臓器提供に関する説明を行うとともに、あらかじめ本部の方に登録されておりますレシピエントの中から適合する方を選定をいたしまして、臓器摘出チームの派遣から、臓器摘出、臓器移植の実施に至るまでの一連の手続の円滑な実施を行っているところでございます。
 それから、次、十二ページに参りますが、角膜については少し例外的な扱いをしていると申し上げましたが、角膜移植については、全国五十四、これは都道府県の数を超えていますが、県によっては二か所以上のアイバンクがあるところがございますので、五十四か所にあるアイバンクにおきまして角膜提供のあっせんを行っているところでございまして、平成二十年度末時点において角膜移植希望者は二千七百六十九名、角膜提供登録者は、この方は百二十一万七千六百三十一名となっておりまして、角膜移植術は累計五万件ばかり実施をされているところでございます。
 次に、十三ページでございますが、ここからが諸外国の状況ということで、論点となっております脳死を人の死とするかどうかということについて平成十三年の資料で御説明をしたいというふうに思います。全体を見れば多くの国々は脳死を人の死とすることが定着をしている状況にあると承知をしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、アメリカ合衆国の多くの州におきましては、脳死を人の死とする大統領委員会の人の死の判定に関する統一法案がモデル法案となりまして、これに倣って脳死に関する法律が存在をしております。カナダにおきましては、臓器移植に関する法令の中で脳死を人の死と定義をしております。イギリスにおきましては、法令の規定はございませんが、元々慣習法の国でもございまして、脳死を人の死とする王立医学会の見解を慣習法上認めておりまして、社会的にもこれが受け入れられております。スウェーデンでございますが、死の定義について、人の死の決定のための基準に関する法律により、脳の全機能が完全かつ元には戻らない状態で停止することとされていると、このようなことで海外は運用をしているような状況でございます。
 十四ページでございますが、我が国と海外の臓器移植法制の比較ということで、こういう表でございますが、我が国の臓器移植法は、現行は本人の書面による意思表示を前提として家族の書面による同意を臓器提供の重要な要件としているわけでございまして、日本の臓器移植法は、そこにございますように、まず本人と遺族の承諾がないと駄目だということを原則にしているわけでございます。
 一方、諸外国の臓器移植法制を見ますと、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、オーストラリア、大韓民国などの諸外国におきましては、本人の意思が不明の場合に遺族の承諾による臓器の摘出が可能とされているところでございます。制度としましては、遺族が拒否しても本人が承諾していれば臓器の摘出は可能とされている国もありますが、これ例えばフランスなどがそういう傾向もありますけれども、実際には遺族が拒否した場合には臓器が摘出されていない状況にあるということでございます。
 それから、十五ページから十七ページでございますが、世界の臓器提供者について説明をさせていただきます。
 まず十五ページでございますけれども、脳死下での臓器提供は海外では広く行われておりまして、人口百万人当たり、スペインでは三十四・三件、アメリカでは二十四・六件、韓国では二・九件、これに対して日本は脳死下からの臓器提供は百万人当たり〇・一件という状況でございます。
 それから、次のページでございますが、脳死下での臓器提供を含む、これ、脳死下と心停止下から両方合わせたいわゆる死体からの百万人当たりの臓器提供数、二〇〇七年のものでございますけれども、人口百万人当たり、スペインでは三十四・三件、アメリカでは二十四・六件、韓国で二・九、日本は心停止下を含めても〇・八件ということになっているわけでございます。
 また、脳死下及び心停止下の状況比較でございますが、次の十七ページでございます。脳死下及び心停止下での臓器提供と生体からの臓器提供を比べましたものが次の十七ページでございますが、欧米諸国では脳死下及び心停止下での臓器提供が多く、アジアでは生体間移植が多いと、こういう傾向がこのグラフから見て取っていただけるというふうに思います。例えば、日本の場合には、死体からは〇・八ですけれども、生体からは百万人当たり十一・一でございますが、スペインの場合には、死体からが三十四・三で、生体は、これは約四ぐらいということでございましょうか、こういう傾向が見て取られます。
 それから、十八ページから二十ページでございますが、これは問題になります海外への渡航移植の現状について御説明をいたします。
 まず十八ページでございますが、心臓については割と海外で移植をされた方の実施数が比較的正確に把握をされているというふうに考えております。心臓移植については、研究班の報告でございますが、一九八八年から二〇〇五年までの十八年間で海外で移植を受けた方は百二名となっておりまして、一九九七年に現行の臓器移植法が施行されましたが、九八年から二〇〇五年までの八年間で海外で心臓移植を受けた方は六十五名となっております。
 次に十九ページでございますが、肝臓と腎臓についての海外渡航移植者の状況でございます。これについては、心臓ほどデータが正確でないので、こういう調査の回答の一つの結果だというふうに受け止めていただきたいんですが、ここにございます研究班報告によりますと、調査した百二十施設において外来通院している移植患者、肝臓の移植患者でございますが、二千九百八十三名ございますが、そのうち渡航移植を受けて通院している方が二百二十一名ということになっております。それから、腎臓につきましては、調査した百三十八施設におきまして外来通院している移植患者が八千二百九十七名おられますが、そのうち海外渡航移植をされた方というのは百九十八名となっているわけでございます。
 次に、二十ページでございますが、小児の海外渡航の心臓移植の状況とその渡航先でございますが、赤がアメリカでございますけれども、圧倒的にアメリカに渡航をしているという現状でございます。
 これも年代別に見ますと、一九八八年から二〇〇五年までの十八年間で十八歳未満の方で海外で心臓移植を受けた方が五十八名、それから九七年の臓器移植法の施行以降でございますが、二〇〇五年までの八年間で海外で心臓移植を受けた小児の方というのは四十二名となっております。
 次に、二十一ページから最近の国際的な動向について簡単に御説明を申し上げます。
 まず、二十一ページでございますが、イスタンブール宣言でございます。まず、世界的な臓器移植の不足からくる社会的、倫理的問題の改善に向けて、国際移植学会が中心となりまして、昨年五月、トルコのイスタンブールでサミットが開かれたわけでございます。ここで、死体ドナーを自国で増やして自国での臓器移植を増やすように呼びかけること、そのために国際協力をすることなどを内容とするいわゆるイスタンブール宣言がまとめられたところでございます。宣言の骨子はそこにあります一、二、三ということで、一番重要なものは二の、今読み上げたところでございます。
 それから、二十二ページになりますが、今度はWHOの動きでございますが、本来ならこの五月のWHOの総会で議決、決議がなされるところだったんですが、新型インフルエンザの影響を受けて、この議決そのものが来年の総会、五月の総会に延期をされたというふうに聞いております。このWHOにおきましても様々な議論がこれまでされておりますし、既に臓器移植に関する指針というものがWHOでは定めておりますが、これを改正をする、で、新たに決議をするということで、臓器売買や渡航移植、いわゆる移植ツーリズムへの対応について議論が行われる見込みでございます。
 現在示されている指針改正案の概要でございますが、臓器等と引換えに金銭を授受することその他あらゆる商取引を禁止すること、それからドナーとレシピエントに対し継続的な調査を行うこと、それからドナーとレシピエントのプライバシーを確保した上で臓器の提供及び移植の実施について透明性を確保することなどが主な改正の内容ということでございまして、二十二ページの下の方にそのことを書かせていただいています。
 それから、これはまだ、その二十三ページから二十五ページまでは今申し上げました改正案で、決定のものではございませんけれども、ちょっと英文で恐縮でございますけれども、正確を期すために英文でここに掲載をさせていただきまして、これが現在改正案の原案となっているものでございます。
 それから、二十六ページに参りますが、脳死判定基準について御説明をいたします。
 現在の脳死判定基準でございますが、昭和六十年度の厚生省研究班によりいわゆる竹内基準が示されまして、その後、平成四年の脳死臨調の答申や平成六年の臓器提供手続に関するワーキング・グループにおいて、当時の医学水準から見てこの基準が妥当であるとの結論をいただいていると考えているところでございます。
 臓器移植法に基づく脳死判定の標準的な手順等については臓器の移植に関する法律施行規則及びガイドラインにおいて定められているところでございまして、具体的には、先ほど申し上げましたが、法的脳死判定マニュアルにのっとって行うことになっております。
 臓器移植法に基づく脳死判定は、前提条件として、脳の器質的な障害により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態と認められ、これは前提条件のところにそれが、今の二十六ページに書かれておりますけれども、脳の器質的な障害により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態と認められ、かつその器質的脳障害の原因となる疾患が確実に診断をされていて、その原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められた者について行うこととしているわけでございます。
 その判定項目といたしましては、その判定基準のところに、下の方に書いておりますけれども、深昏睡それから瞳孔散大・固定、脳幹反射の消失、平たん脳波、自発呼吸の消失と、この五項目で、これを六時間以上あけて二回検査をすることで法的脳死判定を行っているわけでございます。
 なお、ちょっと二十六ページの二つ目のカラムで除外例を書いておりますが、脳幹の反射などが非常に判定しにくいものとして、急性薬物中毒それから低体温それから代謝・内分泌障害それから十五歳未満の小児、これは医学的なものではなくて、ガイドライン上、本人の意思表明ができるかどうかということで除いておりますし、知的障害者もこの十五歳未満の小児と併せて判定基準から除外を現行しているところでございます。
 それから、これが現行の六歳以上の方については、今現在実際には行っているのは十五歳以上ですが、六歳以上についてはこのいわゆる竹内基準が適用できるものだというのが医学界ではおおよそ認められたことではないかというふうに考えておりますが、六歳未満などの小児の脳死判定基準につきましては、厚生科学研究等におきまして、基本的に現行のこの厚生省基準を踏まえつつ小児の特性に配慮した考え方で策定すると、このような研究報告が取りまとめられているところでございます。
 次、二十七ページでございますが、もう少し具体的に脳死下での臓器提供の流れを御説明をいたします。
 臓器移植法に基づき、脳死をされた方の身体からの臓器提供を行うことができる施設において器質的脳障害の原因となる疾患が確実に診断をされ、その疾患に対して行い得るすべての適切な医療を行った後に主治医が臨床的に脳死と診断した場合には、家族などの脳死についての理解の状況等を踏まえて、ドナーカードの所持など臓器提供に関して本人が何らかの意思表示を行っていたかどうか把握できたときに、これは具体的に言うと、臨床的脳死だという状態になったときにこの患者さんはドナーカードを持っていませんかというふうなことを聞いてみるとか、そういうふうなことでドナーカードを所持していることが把握をできた場合に主治医などが、まず脳死下での臓器提供の機会があるということ、その手続に際しては臓器移植ネットワークなどの移植コーディネーターによる説明があるということをお伝えをして、説明を聞くことについて家族の承諾が得られた場合に初めて社団法人日本臓器移植ネットワークに連絡をし、コーディネーターが派遣をされるということになります。
 その後、家族の心情に十分配慮しながら移植コーディネーターによる説明が行われまして、臓器提供についての家族の意思が確認できた場合には、その段階において初めて臓器移植法に基づく脳死判定が行われることになります。先ほど申し上げましたように、臓器移植法に基づく法的脳死判定は二回にわたって行われ、一回目の検査終了時から六時間以上経過した時点において行う二回目の検査において不可逆性が確認された時点が死亡だという判断になるわけでございます。
 その後、レシピエントが決まり、臓器移植を実際行う施設に連絡を行うことになりますが、その後、患者さんのところには臓器摘出チームが到着をし、臓器摘出が開始をされると、こういう手順になっているわけでございます。
 それから、二十八ページでございますが、現行の移植医療の普及啓発について簡単に御説明をいたします。
 現行法では、臓器を提供するには本人の意思表示をあくまでも尊重するという枠組みがございますので、そしてまた、併せて家族の同意も必要だということになっております。臓器提供者の意思を明らかにする方法として臓器提供意思表示カード、いわゆるドナーカードがございまして、これまで約一・二億枚が配られております。なお、このドナーカードには提供を拒否する場合についても意思表示をする欄が設けられているところでございます。
 このほか、社団法人日本臓器移植ネットワークと連携しながら、国民に対する普及啓発としては、政府広報それから各種パンフレットの作成、配布、それから臓器提供意思登録システムの整備などを行っているところでございます。
 それから、二十九ページにありますが、臓器移植に関する世論調査について簡単に申し述べます。
 これは、平成二十年九月に行われた世論調査でございますが、臓器移植に関する世論調査は平成十年より二年ごとに実施されておりまして、直近のものは二十年九月に実施され、同年十一月に結果が公表されております。
 平成十八年に実施されました前回調査からの動きのあったものについて説明いたしますと、まずドナーカードを知っていたとする回答が、そこの最初の二のところの、知っていた、知らなかったところでございますが、十八年から二十年に比べまして七一・一%と、前回より四・七ポイント増加をしております。認知度は若干増加したんではないかと思っています。ドナーカードの所持状況も、七・九から八・四%というふうに増加をしております。
 しかし、その次の欄でございますが、ドナーカードの記入状況を見ますと、カード所持者のうち五〇・三%と、前回より記入している方が一〇ポイント減少しているということで、全体として記入している方が三・八%ということで、若干減少しているという現状でございます。
 それから、臓器提供に関する意思については、脳死下、心停止下とも提供したいという回答が増加をしているというのが下の二つ目の丸のところのデータでございますが、提供したいという回答が増加をしております。
 それから、十五歳未満の方の臓器提供については、できないのはやむを得ないとする回答が二一・二%ある一方、できるようにすべきだという回答が六九・〇%、これはいずれも微増にはなっておりますけれども、こういう状況でございます。
 それから、少し蛇足になりますが、三十ページは、臓器移植について、保険適用についてでございますが、平成二十年度の診療報酬改定を受けまして、これまで先進医療の対象とされていました生体間の肺移植については新たに保険適用となったところでございます。
 以上、簡単でございますけれども、あとの三十一ページからは現行の臓器移植法の法律の本文と、それから施行規則、それからガイドライン、四十ページからガイドラインを添付をさせていただいております。
 以上、簡単でございますけれども、我が国の現状について御説明をさせていただきました。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
辻泰弘#18
○委員長(辻泰弘君) 以上で政府からの説明聴取は終わりました。
 これよりただいまの説明に対する質疑を行います。
 質疑のある方は、順次挙手の上、委員長の指名を待って御発言願います。
 なお、政府参考人、質疑者ともに発言は着席のままで結構でございます。
この発言だけを見る →
谷博之#19
○谷博之君 いろいろと説明をいただきまして、ありがとうございました。若干分からないというか説明をいただきたいところがあるので、ちょっと幾つかお聞きしたいと思っておりますが。
 今、説明もいただいた一番まず最後の部分の保険適用の問題なんですけれども、附則の第十一条に、この条文を読みますと、いわゆるドナーとレシピエントとのその関係について、少なくともドナー側の保険の適用によってその医療が、費用負担が行われているというふうに読めるんですけれども、現実には、この費用負担については法的脳死判定がなされた後のドナーの方に対する処置について、この附則の第十一条ではレシピエント側の医療保険の適用について触れられているかどうかについては、今申し上げたようにドナー側の医療保険で適用、負担されているというふうに書いているように読めるんですけれども、このことについて説明をいただきたいということが一つです。
 それから、前後しますけれども、意思表示の確認の方法についてなんですけれども、例えば御本人がドナーに登録をして臓器提供する意思表示をしていると。そのカードも持っているけれども、例えばこういう緊急な状態になったときに、本人のもちろん意識もないわけですが、そのカードが、実は家族、周りの方が分からないところに保管をしていたと、例えば自宅のどこか引き出しの中に入れていたとか、そういうものが後になって出てきた場合に、これらについてそれはどういうふうな措置をするということになるのか。
 それから三つ目は、無呼吸テスト、先ほど説明ありましたけれども、こういう無呼吸テストに代わる、特に脳幹、呼吸の中枢器官の状態を調べる、例えば別の検査でいうとSPECTという検査方法が法的脳死判定段階ではなくて臨床的脳死診断の一環としても考えられるのではないかというふうに思うんですが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、衆議院の委員会でも第六条の二項の問題が議論をされています。臓器移植に限って脳死を人の死と認めるということのA案提案者からの説明はあったわけですが、この「身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって」というこの部分が今回削除されているわけで、しかし衆議院の委員会における議論の中ではこれを復活させてもいいというふうな法案提出者の答弁も出てきています。そして、直近の動きを見ておりますと、Aダッシュ案というのが何か出そうで、そして、この部分を、六条の二項をもう一回ここに復活させるというふうな動きがあるやに聞いていますが、これは法案提出者に聞くべき質問なのかもしれませんけれども、こういう動きがあるのかどうか、これ分かる範囲でお答えいただければ有り難いと思っております。
 以上、四点です。
この発言だけを見る →
上田博三#20
○政府参考人(上田博三君) まず、保険適用についてはちょっと混乱させる資料を出して失礼をいたしました。
 この三十ページの資料は生体間肺移植についての資料でございまして、脳死者からの移植に係る医療費につきましては、臓器移植に至るまでの脳死判定、脳死判定後の患者さんの処置、臓器を摘出する際の係る費用についてはすべて医療保険でまず賄っておりますけれども、これはレシピエント側への請求となります。
 それから、ドナーカードについての御質問ございました。
 これはガイドライン等でも書面で確認をするというふうになっておりますので、現実に本人が記載したものがなければやはり脳死判定に進めないということに現行法はなっておりまして、たんすの中に入っている、後で出てきたと、もうそれはちょっと時期が遅いということになりますので、できるだけ運転免許証なんかと一緒に携帯をしてもらうということを我々としてはお願いをしたいということで、まさにその場にカードがなければ、署名したカードがなければ、それは後から出てきてももうそれは脳死判定に進めないということでございますので、そういう運用をしているということでございます。
 それから、無呼吸テストとSPECTでございますが、ちょっと私もここは余り専門でないんですが、SPECTそのものは脳への血流を評価をする検査だというふうに思っておりまして、そのことをもって直ちに無呼吸テストに代えられるものではないということで、やはり脳死というのは植物状態と違いまして自発呼吸がないということが大前提でございますので、そういう点では無呼吸テストはやはり脳死判定では必須のものだというふうに考えておりまして、SPECTをもしやるとすれば、追加的な検査として、脳血流を補足するものとしてやるべきものではないかというふうに私は理解をしております。
 それから、最後のいわゆる衆議院で通過した案につきましては、これは衆議院の方でかなりの多数で可決をされましたので、それは我々としては尊重しなければいけないと思っておりますが、なかなか個々のことにつきましては私の口からお答えするよりは法制局なり提案者からお答えをいただいた方がいいと思うんですが。ちなみに、過去の経緯だけで申し上げますと、先ほどのお示ししました資料の成立の変遷というところがございますが、資料の二ページでございますけれども、当時の参議院の修正というのは、脳死に関する様々な意見があることに配慮して、脳死移植に際して脳死を認めると、こういう修正をした折に現下A案で入っている部分が削除をされて成立をしたと。それが今回A案では復活をしていると、このような状況にあるというふうに考えているところでございます。
この発言だけを見る →
谷博之#21
○谷博之君 ちょっと重ねてお伺いしたいんですが、その一番最初の質問で私は附則の第十一条のことを申し上げました。この条文の内容は、今説明がありましたように、レシピエント側の医療保険で負担されるということになっているようですけれども、現実にはこの書きぶりが非常にドナー側の医療保険で負担されるという内容になっているように私ちょっと感ずるんですが、この附則の条文で今申し上げたような御答弁があったようなことというのはこれ理解できるんでしょうか、これ重ねてお伺いしたいと思います。
 条文上、レシピエント側の保険適用には今申し上げたように触れていませんけれども、これは、大臣告示か何かでそういうふうなことになっているんでしょうか、もう少し重ねてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
上田博三#22
○政府参考人(上田博三君) ちょっと検討させてください。時間をいただけますでしょうか。
この発言だけを見る →
辻泰弘#23
○委員長(辻泰弘君) はい。
この発言だけを見る →
谷博之#24
○谷博之君 それからもう一点、先ほどの説明の中で、いわゆる意思表示のドナーカードのことですが、ちょっと逆にお聞きしたいんですけれども、いわゆる移植を拒否していると、私は移植はしませんということの拒否をしたそういうカードが後で出てきた場合、例えばたんすの中に入っていたと、にもかかわらず、それが実際、先ほどのような説明で移植がそういう場合もしやれるのかどうか、もしやったときにはどう扱われるのかということについて。
この発言だけを見る →
上田博三#25
○政府参考人(上田博三君) 現行法上は本人の臓器提供の意思が明確に書面でないと駄目なわけですから、現行法ではあり得ないんですが、一部腎臓とか角膜の場合には家族の承諾だけでいいということで、そういう問題が場合によっては生ずるかもしれないんですが、脳死下に関しては、現行法上はもうあくまでも本人の意思が明確に書面でなければいけない、それも現物がなければいけないということで運用していますので、そういう問題は生じないというふうに思っております。
この発言だけを見る →
谷博之#26
○谷博之君 じゃ、先ほどの件で答弁お願いします。
この発言だけを見る →
中尾昭弘#27
○政府参考人(中尾昭弘君) 保険適用の問題でございますけれども、これは保険局のマターになりますので、私どもの方で必ずしも正確に把握しているわけではございませんが、診療報酬の点数表上、この移植に関するドナーの臓器の摘出経費はそのレシピエント側の点数ということで保険点数の中で取り扱われているという現状でございます。
この発言だけを見る →
谷博之#28
○谷博之君 じゃ、確認。ちょっと委員長、もう一点だけ確認させて。
 じゃ、この附則の十一条の内容でそのことが読み取れるということでいいわけですね。
この発言だけを見る →
中尾昭弘#29
○政府参考人(中尾昭弘君) 済みません。私、保険局の担当でございませんので、正確なところはまたきちんと調べますけれども、今の扱いはそのような形で保険点数上なっているということで承知をしております。附則十一条との関係につきましてはちょっと改めてきちんと整理をさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →
← 戻る