厚生労働委員会

2015-08-26 参議院 全102発言

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会議録情報#0
平成二十七年八月二十六日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月二十五日
    辞任         補欠選任
    三原じゅん子君     吉田 博美君
     山本 香苗君     河野 義博君
 八月二十六日
    辞任         補欠選任
     二之湯武史君     大沼みずほ君
     吉田 博美君    三原じゅん子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸川 珠代君
    理 事
                大沼みずほ君
                羽生田 俊君
                福岡 資麿君
                津田弥太郎君
                長沢 広明君
    委 員
                赤石 清美君
                石井みどり君
                木村 義雄君
                島村  大君
                高階恵美子君
                滝沢  求君
                武見 敬三君
               三原じゅん子君
                石橋 通宏君
                西村まさみ君
                羽田雄一郎君
                白  眞勲君
                牧山ひろえ君
                河野 義博君
                川田 龍平君
                小池  晃君
                行田 邦子君
               薬師寺みちよ君
                福島みずほ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林  仁君
   参考人
       弁護士      中山 慈夫君
       一般社団法人日
       本エンジニアリ
       ングアウトソー
       シング協会代表
       理事       牛嶋 素一君
       派遣労働者    宇山 洋美君
       弁護士
       日本労働弁護団
       常任幹事     棗  一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労
 働者の保護等に関する法律等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
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丸川珠代#1
○委員長(丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、山本香苗君が委員を辞任され、その補欠として河野義博君が選任されました。
 また、本日、二之湯武史君が委員を辞任され、その補欠として大沼みずほ君が選任されました。
    ─────────────
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丸川珠代#2
○委員長(丸川珠代君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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丸川珠代#3
○委員長(丸川珠代君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に大沼みずほ君を指名いたします。
    ─────────────
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丸川珠代#4
○委員長(丸川珠代君) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席をいただいております参考人は、弁護士中山慈夫君、一般社団法人日本エンジニアリングアウトソーシング協会代表理事牛嶋素一君、派遣労働者宇山洋美君及び弁護士・日本労働弁護団常任幹事棗一郎君でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず中山参考人にお願いをいたします。中山参考人。
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中山慈夫#5
○参考人(中山慈夫君) 中山慈夫でございます。
 本日は、参考人として意見を申し述べる機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、弁護士としてこれまで労働者派遣法に関わる案件の紛争処理、あるいは様々な相談に関わってまいりました。こうした実務経験を踏まえた観点から申し上げますと、今回の改正労働者派遣法案は基本的に妥当なものと考えておりますので、速やかに成立させ、施行すべきものと考えております。
 その主な理由を申し述べますと、次のとおりでございます。
 まず、改正法案で実務上最も評価すべき点は、派遣期間制限の見直しだと思っております。
 現行の派遣期間制限につきましては、御承知のとおり、業務区分による二本立てとなっておりまして、いわゆる二十六業務については期間制限がなく、それ以外のいわゆる自由化業務につきましては原則一年、最長三年という期間制限がございます。しかし、この二十六業務と自由化業務との区分は実務において実に不明確で曖昧なケースが多く、この点につきましては、平成二十四年に改正された現行の法律制定のときの国会の附帯決議でも、派遣関係当事者にとって分かりにくい、それを分かりやすいように検討せいと、こういう指摘がなされていたところでございます。
 この点をもう少し具体的に述べますと、二十六業務であっても、それに付随的な業務は一〇%を超えると二十六業務と認めないというのが行政の考え方でして、いわゆる一〇%ルールが取られておるわけです。さらに、この二十六業務に付随する業務でないと、無関係な業務を少しでも行わせればこれは直ちに自由化業務だと、こういう扱いをすると、こういうことになってございます。
 派遣の現場で、果たして二十六業務自体なのか、その付随的業務なのか、あるいは無関係な業務なのか、その境界線が問題とされてきたわけですが、さらに、近時、行政において二十六業務の範囲をより厳格化して、これを取り締まるというか指導監督すると、こういうことが平成二十二年からございました。同年の二月に専門二十六業務派遣適正化プランがその契機となりまして、同年の五月に二十六業務についての質疑応答という、これは局長通達の位置付けですが、これが出まして、二十六業務全般についてその専門性等を、きめ細かいというか、実務の対応としてなかなか難しい内容の基準というものが厳しく出されました。
 例えば、従前は問題なく行われていたファイリング業務とか事務機器操作業務などは、かなりの専門性がないと二十六業務と認めないという考え方を取りまして、行政指導がかなり厳しく行われました。これによって派遣現場が相当混乱して、二十六業務か否かをめぐり、行政と派遣労働者、さらに派遣先、派遣元との見解が相違することも多々ございまして、また、特に、行政の指導が出されて二十六業務が否認されるということになりますと、直ちに期間制限違反の問題が生じまして、派遣関係三者の間で紛争が生じて、ケースによっては予期しない派遣労働者の離職を伴う深刻な事態も生じていたところであります。これは、当時の、私がいろいろ実務でやっていたときの実感でございます。
 もとより、その派遣元、派遣先企業が派遣法のルールを遵守するのは当然ではありますが、本来の二十六業務であっても、実際に派遣現場での業務というのは、例えば、納期とか取引先の要請とか周りの仕事の配分とか、日々全く定型的で規則的、機械的な業務を行わせるというのは、これは現実にはできないわけですから、この問題の根本は派遣期間制限を業務単位で考えるという現行法のルール自体にあると思いましたので、私はこのルールを基本的に変えることが急務であると考えておりました。
 かかる観点から、今回の改正法案につきましては、派遣の期間制限では、業務の区分というのを取らずに、派遣労働者が有期か無期かで雇用されているのか、そして、有期雇用の場合には、人単位及び事業所単位という客観的な指標によって期間制限のルールを当てはめようと、こういうことになっておりますので、この点は私は大いに評価しているところでございます。
 それから、二点目で評価すべき点として申し上げたいのは、改正法案における派遣労働者の支援に関する一連の措置でございます。その内容につきましては御承知のところでありましょうから、このうち二点を指摘させていただきます。
 一つは、派遣元事業主に教育訓練など派遣労働者のキャリアアップの施策を具体的に義務付けたというところでございます。
 これは、派遣元事業主に計画的な教育研修、キャリアコンサルティングの実施などということが掲げられておりまして、詳細は告示等で更に具体化される予定と聞いております。また、これに対応して、派遣先に対しても業務遂行に密接に関連した教育訓練の実施の配慮義務というのが定められております。
 これらの派遣労働者の教育訓練などにつきましては、現行法でもそれなりの規定はありますが、これは抽象的で努力義務にとどまっていたわけです。もっとも、実務では、大手の派遣会社など、独自に派遣労働者に対する教育研修、そういうことを行っている例はございますし、また、派遣就労自体もOJT教育の意味合いもあるわけですが、派遣制度として見れば、派遣というのは臨時的、一時的な位置付けだと、こういうことで、派遣法制定以来、派遣先の常用雇用に代替しないことを基本としてきたために、派遣労働者の職業能力の向上という考え方自体が派遣法ではどうも具体的にはなっていなかったわけです。
 実務においても、派遣労働者は労働力の提供者というイメージが強くて、その職業キャリアに着眼する意識は希薄だと思われがちです。改正法案において教育訓練など派遣労働者のキャリアアップの施策が盛り込まれたことは、そういう意味で私は大変画期的なことであって、派遣制度の仕組みにおいてこれは新たな視点を与えるものという評価をしてございます。
 それから、この支援措置として二つ目は、有期で雇用されている派遣労働者に対しての雇用安定措置であります。これも有用であると考えております。
 これは、御承知のところだと思いますが、有期雇用の派遣労働者が一年以上三年までに当該派遣就労を終了する際に、派遣元の方は、この改正法案では新たに派遣先への直接雇用の依頼あるいは新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用などの措置をいずれかとるようにと、こういう定めになっています。
 これは、実は派遣元事業主にとっては大変厳しい措置でありまして、特に中小零細の派遣事業者にとってはどの選択肢も容易に講じられないという不満も現場で聞いております。特に、派遣元が派遣先へ直接雇用の依頼をしても直接雇用が実現しない場合は他の先ほど申し上げた措置を講じなければならないと、こういうことになっているわけでありますから、これは零細な派遣事業主にとっては大変厳しいところです。
 したがって、かかる雇用安定措置と申しますのは、派遣元事業主の事業運営上大きな負担を強いるものでありますが、改正法案がそれでも派遣労働者に対する支援を優先して、雇用安定措置を事業主の責任として位置付けたというところに意義があるのではなかろうかと考えております。
 以上、指摘した派遣期間制限及び派遣労働者のキャリアアップ、雇用安定の措置ですが、特に改正法案の派遣期間制限については常用代替防止との関係でも問題になると思われますので、この点について簡単に触れておきたいと思います。
 まず、期間制限がなくなる無期雇用の派遣労働者について見ますと、一方で常用代替防止の観点から問題だと、こういう見解もあろうかと思いますが、他方で派遣労働者にとっては派遣が継続されることによる雇用の安定とその間のキャリアの蓄積がなされるわけですから、派遣労働者はそこでのキャリアアップにより自らの判断による転職あるいは派遣先への直用の機会もより増えるはずであります。こうした派遣労働者の保護も考慮しますと、常用代替防止を強調、優先する考え方というのは適当ではないというふうに私は考えております。
 それから、有期雇用の派遣労働者について見ますと、一方で、三年ごとに人が替われば同じ業務を派遣労働者で継続できるんだと。これについては、常用代替防止の観点から、既に改正派遣法案でも事業所単位で三年を期間制限ということにして、これを延長する際にも派遣先の従業員代表に対する事前の意見聴取が要件となっております。そういう手当てをしております。
 それから、これは実務において私が感ずるところですが、派遣先事業主の立場で見ますと、効率的かつ継続的な事業展開において、正社員、直用社員とそれから派遣社員、どういう業務をそれぞれ配分しようか、頼もうかという場合に、おのずとその役割分担を企業が考えて、派遣に適した業務を派遣労働者に担ってもらうというケースが通常だと思います。特に、企業組織におけるノウハウの蓄積ですとか技術の伝承などを考えますと、企業が単純に三年ごとに派遣労働者をごろごろ替えていくとは限りませんので、この点でも常用代替防止だけを強調することには賛成できません。
 それから、最後に指摘したいのは、改正法案では派遣事業の健全化を思い切って行っておるという点であります。
 派遣事業の健全化につきましては、届出制の従来の特定労働者派遣事業を廃止して全て許可制による行政が監督する派遣事業しか認めないと、こういうことになっております。特定労働者派遣事業者につきましては三年間の経過措置、それから零細事業主向けの許可要件の緩和が予定されていると聞いておりますが、特定労働者派遣事業が全部そのまま新たな許可制の事業へ移行することができるかというと、これは恐らく難しい。したがって、相当数は統廃合されるものと私の方は推測しております。
 現在、届出制の特定労働者派遣事業の事業者数というのは約五万六千ということになっております。派遣事業者の七五%を超えておるわけです。しかも、特定労働者派遣ですから派遣労働者は全て常用雇用ということになっております。したがって、今回の派遣事業の健全化というのは、特定労働者派遣事業者にとっては死活問題であって、大きな痛みを伴う制度変更と言わざるを得ないわけです。
 しかし、この特定労働者派遣事業における派遣法違反事案も非常に多いのは十分私ども理解しておりますので、今回の改正法案による派遣事業の健全化策というのは派遣業界の将来を見据えた大きな英断だというふうに私は思っております。
 以上、申し上げましたが、今回の改正法案は、派遣期間制限を分かりやすくして、労働者派遣における常用代替防止と派遣労働者の保護、支援措置との調和を図るという新たな派遣ルールを創設して、併せてこれを確かなものとするために、それを支える派遣事業の健全化を図るものだというところで私は妥当だと考えております。
 以上です。御清聴ありがとうございました。
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丸川珠代#6
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 次に、牛嶋参考人にお願いいたします。牛嶋参考人。
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牛嶋素一#7
○参考人(牛嶋素一君) 日本エンジニアリングアウトソーシング協会の牛嶋でございます。本日は、当協会の意見を述べさせていただく機会をいただき、誠にありがとうございます。
 当協会といたしましては、今回の派遣法改正案につきましては基本的に肯定的に捉えており、その立場からお話しさせていただきたいと思います。なお、具体的な内容につきましては、我々の業界の産業構造や、そこで働く労働者の視点を交えながらお話しさせていただきます。
 日本エンジニアリングアウトソーシング協会は、お取引先企業とそれから働く人々が安心、信頼できるアウトソーシング業界を目指して、物づくりの上流工程であります設計開発サービスを派遣若しくは請負という形で提供することで日本の物づくりを支えるアウトソーシング事業者の集まりでございます。
 御存じのとおり、日本の製造業におきましては、競争力強化の観点から外部戦力の活用が進んでおり、我々の業界もそれとともに成長してまいりました。また、多様な働き方を求めるエンジニアという職業の労働者にとっても、非常に意義のある業界であるというふうに自負しております。
 我々の業界の企業の社員は、そのエンジニアという職業の人生において、複数の顧客企業であるメーカーに派遣されたり、請負という形で設計開発等の業務を経験いたします。我々は、この働き方を、会社を軸とした会社型ではなく、エンジニアという職業を軸とした職業型の、我々の言い方ではプロフェッショナルエンジニアの働き方というふうに考えております。我々の社員にとっては、仕事をするフィールドは一つの会社ではなく日本のエンジニアリング市場全体となります。
 派遣は不安定だという意見を多く聞きますけれども、我々の業界では社員はほとんど無期雇用であり、その雇用は非常に安定しています。例えば、顧客企業若しくはその業界ごとの好不況をエンジニアリング市場全体で吸収できますので、その点でも一つの会社に所属するよりも安定しているというふうに言えます。一部、リーマン・ショック時には無期雇用でも派遣労働者は解雇されたという話がありますが、少なくとも我々の業界では一般企業と同等以上に社員の雇用を守ることに努力してまいりました。
 また、一般的にエンジニアは、メーカーに入社し長年その会社一社で業務するわけですけれども、一定の年齢に達しますと、業務内容は設計開発だけではなく管理業務等を行うことを求められる場合もあります。これは会社型の働き方であり、生涯エンジニアとして最前線で活躍したいという職業型の働き方を求める社員にとっては望まない働き方となる場合もあります。
 我々の業界における無期雇用派遣若しくは請負業務は、生涯にわたってエンジニアという仕事を全うしたいという社員のための合理的な選択肢の一つです。派遣法改正関連の報道を見ますと、生涯派遣という言葉が非常にネガティブなものとして使われていますが、我々の業界では、生涯にわたりエンジニアとして仕事を全うできることは非常にポジティブな尊敬すべき働き方と捉えています。
 そして、近年、当業界においても定年退職を迎える社員が年々増えてきており、生涯にわたりエンジニアという働き方を全うし、満足している社員が多くいることも事実であります。派遣という働き方は、テンポラリーな労働サービスを提供するという側面もありますが、職業を軸としたプロフェッショナルな労働サービスを提供できるものであるということも御理解いただきたいと思います。
 以上のような業界にいる事業者、労働者の観点から、今回の派遣法改正について、当協会の意見を何点かお話しさせていただきます。
 まず第一に、政令二十六業務が廃止される点についてです。
 現行法では、専門性の観点から、いわゆる政令二十六業務とそれ以外の業務を区分して、専門性の高い業務に関しては派遣の期間制限は設けずに、それ以外の業務を行う場合は一年又は三年という期間制限が設けられています。改正法案では、二十六業務が廃止され、業務区分による派遣期間の制限はなくなり、派遣元との雇用契約が有期か無期かにより派遣の期間制限が規定されるようになります。有期雇用労働者は三年間の期間制限、派遣元に無期雇用され雇用の安定が図られている派遣労働者は派遣期間の制限がなくなるという分かりやすい制度となります。
 現行のいわゆる政令二十六業務ですが、度々問題が指摘されているとおり、区分基準が不明確であり、労働局により見解が異なるなど、現場で混乱を招いてまいりました。また、労働の現場において合理的とは言えない区分がされていることも多くあります。例えば、機械設計は二十六業務とされていますが、パソコンに向かって設計をしている業務は二十六業務になりますが、担当プロジェクトの会議準備など、通常、メーカーの設計エンジニアが行う業務が二十六業務にならないなど、現場のエンジニアにとって理解に苦しむ内容となっております。
 そもそも、業務の専門性は業種、業態により異なること、そして時の経過により変化するものであることから、法律で画一的に区分することは非常に困難なものと言えます。二十六業務が廃止され、専門以外の周辺業務が期間制限なく同様に行われるようになるということは、派遣エンジニアの業務の幅が広がり、彼らのキャリア形成、能力開発の観点からも歓迎すべきことです。経験が少ない新人エンジニアにとって、専門以外の周辺業務も行うことでスキルアップを進めていくのが自然ですし、派遣先のチームの一員として仕事をスムーズに進めるためにも必要なことであります。
 二つ目のポイントとして、全ての派遣事業を許可制にすることについてですが、これまでは許可が必要な一般派遣事業と届出だけの特定派遣事業がありましたが、改正案により一般と特定の区分がなくなり、全てが許可制となり厳格化されることは、派遣業界全体の健全化に資するものとして歓迎される変化であると考えます。
 三つ目に、キャリアアップ支援措置の義務化については、キャリア支援が全ての派遣元事業者に義務化されることや、派遣先にも必要な研修等を提供する配慮を求めることも非常に良いことであるというふうに思います。
 実は、元々、無期雇用派遣事業者は派遣労働者のキャリア支援に力を入れておりますが、我々の業界はエンジニアリングという特殊な知識を取り扱うため、日進月歩の技術にキャッチアップするために会社が個人のキャリアアップ支援を行うことは当然のことであります。
 また、先ほどほとんどの社員が無期雇用であるとお話ししましたが、無期雇用は労働者にとって雇用が安定するという意味において大変良いことである一方で、派遣元事業者にとっては、誤解を恐れずに言いますと、派遣先での仕事がないときでも雇用を維持し給料を支払うため、常にコストが発生するというリスクでもあります。無期雇用派遣事業者がこのリスクを軽減するためにも、派遣労働者が常に働ける状態をつくっておくことが必要になります。このために、最も大きな事業上の対策が労働者の能力アップを行うキャリアアップ支援であります。
 無期雇用派遣においては、労働者のキャリアアップを行わないと顧客の要望に応えることができず、事業運営が厳しくなるというプレッシャーを常に抱えております。逆に言うと、派遣労働者のキャリアアップが事業の業績を上げるという構造を持っており、これまでも社員のキャリアアップ支援に力を入れてきたという業界であります。労働者派遣事業が全て許可制になること、キャリアアップ支援が義務化されることなどは、中小事業者にとっては厳しい条件になると思いますが、労働者を直接雇用する派遣事業者にとっては、社会的な責任を果たすという意味においても、当然求められるべき義務であるというふうに考えております。
 以上のような点から、改正派遣法案は、派遣労働者の雇用安定やキャリアアップに資するだけでなく、業界全体の健全化にもつながるものと考えております。
 最後に、既にお話ししたこととも関係しますが、派遣はテンポラリーな労働サービスを提供するという側面と職業を軸としたプロフェッショナルな労働サービスを提供するという側面を持っておりますが、今般の改正法案においても、この二つの面が混在し、正しく整理されている状況とは言い難いと考えております。今後は、その点を踏まえた改善が進むことを望んでおります。
 以上になります。ありがとうございました。
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丸川珠代#8
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 次に、宇山参考人にお願いいたします。宇山参考人。
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宇山洋美#9
○参考人(宇山洋美君) よろしくお願いいたします。宇山洋美と申します。今回は、このような場を与えていただき、ありがとうございます。
 私は、現在派遣労働者として働いている者でございます。その立場から、今回の派遣法改正案による影響、派遣労働者の実態等を当事者として述べさせていただきます。
 私は、登録型派遣で、専門二十六業務の一つである事務用機器操作として働いています。専門業務であるため、派遣でありながら受入れ期間の制限がなく、十五年同じ派遣先で勤務しております。私は、これまで、好きで派遣を続けてきたわけではありません。今の職場でも、かつて正社員にしていただけるというお話があり、それを本当に期待していたこともありました。ですが、それを裏切られ、今となっては、年齢の問題もあり、派遣を長く続けてきた私のキャリアで今更、正社員の仕事など見付かるはずもなく、不本意ながら派遣を続けてきたのです。
 数年前までは、正社員の嫌がる残業や休日出勤も引き受け、出張もしてきました。残業時間が一か月に百時間に迫る月数が年間の半分を占めるというパターンが五、六年続いたときがあります。その際、過労で意識を失い、救急車で病院に運び込まれたこともありました。労災を派遣元会社に申請したところ、あなたの健康管理が悪いからだ、申請には健康管理の不備が問われるとして申請を却下され、仕事による体調不良を訴えても、雇用主である派遣元会社は派遣労働者を守らないことをそのとき痛感しました。事務用機器操作の範囲を逸脱し、英語が話せない正社員に代わり海外招聘者の受入れ、アテンド、顧客である官公庁に提出する報告書を作成するなど、日々の定型業務以外の業務もこなしてきたために残業時間が増えたのです。しかし、残業を引き受けざるを得ない私が責められたわけです。
 百時間近い残業時間が発生していても、そのままの残業代が支給されたことはありません。実際の長時間労働が明らかになったら辞めさせられるのはあなただから、半分程度に減らして申請せよと言われました。雇い止めかサービス残業かの二つの選択肢しかない場合、後者を選ばざるを得ませんでした。
 十五年の間には部長が七名替わっています。部長によっては、それまでの業務を取り上げるというパワハラをされたこともありました。派遣元会社に解決を訴えるしかないのですが、派遣先からは、パワハラはしていないと言われるだけでした。その際に、業務の種類が変わった、ミスが多いなどの理由で、時給がピーク時から比較し二百五十円も下げられました。派遣元会社は派遣先と交渉すべき役割にありますが、顧客である派遣先の言いなりになるしかない立場であり、その不利益変更を強いられたまま現在に至っています。
 そもそも、今の派遣先には知り合いの紹介で来たもので、会社は正社員としては雇用できないので、適当な派遣元に登録をさせて勤務に就かせたというのが派遣労働者になったきっかけです。リーマン・ショックの際には、そのときの派遣元会社が事業を撤退し、派遣先公認で別の大手の派遣元会社に移籍をしました。その際、派遣先の雇用責任が発生するはずですが、私は正社員あるいは直接雇用を希望し派遣先に要求しましたが、直雇用の制度はないとの理由で却下されています。
 残業が百時間近くになった際には、正社員登用の推薦を部長からもらい、派遣先に依頼したこともありました。正社員以上の業務をこなしているとの評価を得ましたが、そのときも、事務職は直雇用はしないという理由で却下されています。その場で役員に、派遣労働者には何年勤務しても退職金がない不安を訴えたところ、派遣の老後など知ったことか、派遣は正社員の雇用の調整弁なのだと、派遣先としての本音を言われました。残業が多いときは残業時間の多さを理由に雇い止めをすると脅されたり、夏休み、五日間の有休申請をしたところ雇い止めすると言われたり、派遣労働者ゆえの幾多の違法行為、人権侵害的行為も受けてきました。
 でも、派遣労働者のことは誰も守ってくれません。労働組合に加入するなどの行為を派遣先に知られたら、即座に雇い止めになると思います。そのための派遣先による三か月更新です。雇い止めの理由を設ける必要もありません。当然の期間満了と言われるだけだと思います。
 交通費が支給されないことも経済的痛手ですが、忌引がないことにも派遣労働者としての悲しさを感じます。正社員であれば、御親族が亡くなった情報が社内に流されますが、何年勤務しても会社のメンバーとして認めてもらえない派遣労働者にはそれもありません。派遣労働者も人間です。家族がいます。それは正社員と変わりません。しかし、忌引がないということは、人間扱いされていないことだと思います。派遣のみならず、その家族も物扱いなのです。
 残業時間が以前のように発生することのない現在は、事務用機器操作だけではありませんで、その業務に付随する業務である付随業務、付随的業務、ひいては自由化業務の割合が多くなっております。メーンの専門業務が全体の九割を切りますと違法となりますが、実際にはその違法状態が横行しております。
 私も、電話応対、来客へのお茶出し、コピー用紙の補充など、庶務、雑務が占める割合は全体の一割をはるかに超えております。これは、女性事務派遣の典型的パターンかと思います。私の部署には庶務を担う者がほかにおりませんので、電話応対は誰がするのかと部長に言われております。電話応対の業務以外の業務の遂行を派遣労働者が拒否することは、力関係において不可能なことです。
 私の賃金は、派遣先における私より十歳若い女性正社員のそれの半分以下です。正社員に支給されるものが派遣には一切支給されないからです。賞与、退職金、手当はございません。昇給、昇格もございません。交通費もございません。それにもかかわらず、担当する業務に差異はございません。もし正社員にしか担えない業務があるとすれば、正社員がいなくなれば別の正社員が着任するはずですが、そこに派遣労働者が派遣されることは珍しくございません。ほかの部署においては、女性正社員の産休代用員として女性の派遣があてがわれ、正社員の仕事をそのまま引き継ぐ、そういう常用代替が派遣先では何ら支障なく行われております。
 こういったところから、同じ業務を担っても、賃金において二倍もの格差があるという点で、職務において何をするのかではなく、誰がするのかで賃金、処遇が決められる身分制度を感じざるを得ません。正社員には内部労働市場における職能型が、派遣には外部労働市場における職務型が適用されるとの説明もありますが、同じ勤務体系、同じ職場、同じ業務を遂行するに当たって、その説明は首肯し難いものがございます。
 社員教育においても差別的です。正社員ならば就業時間内に会社の経費で研修や試験を受けられ、合格したときにも手当等あるでしょう。しかし、派遣は自分のお金で、仕事が終わった後、独習をしなければなりません。私も年に一個ずつ資格を取ってきました。それが時給アップになることはありませんでした。派遣先の上司からは、派遣だから努力しても無駄だと言われております。
 元々、一般職の女性正社員が担ってきた事務をそのまま派遣の方に移行させております。業務は定型、補助的業務であり、一定期間を経過するとスキルアップを上昇させる必要のない行き止まりの仕事であるため、能力向上の伸び代が低いものです。女性正社員の中には、年功序列により在籍年数で賃金が上昇する一方、業務の難易度が向上することはないため、処遇と賃金が見合わないという問題があります。その女性一般職の事務職の問題を解決することなく、派遣だったら低い賃金でも問題ないとばかりにその業務を丸ごと移行させたことが、女性派遣には事務職と庶務をさせるという結果となったと思います。
 今年の五月末には、まだ成立していない派遣法改正案を前提として、既に派遣先の社長から三年後には辞めてもらうとの通告を受けております。現在五十六歳ですので、三年後には五十九歳になります。その年齢になってもまだ事務として使用し続けるほど私は優秀ではないのだそうです。そして、優秀な派遣だけは部署を異動させて使うというふうにも言っております。それは、明らかに派遣法の禁止行為である特定目的行為です。さらに、三年間という猶予があるのだから、その後の仕事の準備としては十分だろうという言い分です。三年後には十八年勤務することになりますが、一銭の退職金ももらえず、年齢というハンディを負って雇用市場に放り出されます。優秀ではない私のような派遣をなぜ十五年も使ったか、その理由については説明していただけませんでした。
 そもそも、業務についてのコミュニケーションを派遣と持とうとしない企業がどのようにして派遣の能力の優劣を把握しているのでしょうか。人事考課もございません。雇用責任を持っていないのですから、キャリアプランニングもしないと思います。把握しているとしても、評価の基準を派遣に明示していないのではフェアではありません。合理的、客観的な評価基準は明示しておらず、周囲の評判という恣意的で不安定かつインフォーマルなもので一方的に判断しているのではないでしょうか。
 派遣元会社に三年後雇い止めの旨を伝え、雇用安定措置について尋ねました。営業担当は、企業様がおっしゃるのですから、法令遵守にものっとって三年後には辞めていただくということです。派遣先の直接雇用は、既に社長から雇い止め通告されているので、依頼するまでもございません。しかも、依頼という行為には実効性が希薄で、結果責任を伴いません。ですので、最も望むべき方法は使用不可能です。
 次いで、新たな派遣先の提供ですが、派遣元本来の業務でありながら、高年齢の私にはこれまでの経験を生かした類似業務は紹介できないと言われました。そして、派遣元での無期雇用においては、当社には派遣のあなたにやってもらう仕事はないとのことです。
 そして、派遣が嫌なら請負業務という形態もあると言われました。公開入札で請負価格の安さだけで競って落札して、派遣労働者は労働者性を失った最低賃金の規制を受けない低い金額で働かされると思います。現在のような不当な扱いを受ける派遣労働も不本意就労ですが、更に低劣な就労形態を余儀なくされるのではと、希望を失います。
 キャリアアップのための教育訓練計画はまだ策定していないとの回答です。特に、一般の事務職においては、ほかの会計、貿易とは異なり、カリキュラムが存在していないとのことです。よしんば派遣元が教育訓練を施したとしても、派遣先がそれをもって派遣を使用するという保障は改正案のどこにもありません。まして、正社員化への道を開く要素など、どこにも見出せません。業務区分をなくすことも眼目の一つですが、そうなると、正社員と同様の業務と責任を派遣という身分のまま担わされ、差別と格差は一層強まり、拡大します。同一価値労働同一賃金の法令化が必要だと思います。
 三年ごとに失職だけが確定されては、派遣労働者にとって不安を抱えた状況が常態化し、そのような派遣を受け入れる派遣先も、本腰を入れて業務を覚えてもらうというインセンティブが働かなくなります。三年ごとに失職し、次の派遣先で以前より好待遇、高賃金で働ける保障はどこにもありません。企業横断的に雇用において通用するエンプロイアビリティーの存在の不確かな日本の雇用市場においては、派遣先が変わるたびに加齢によって不利になっていくだけです。
 既に述べているように、キャリアアップの構築が不可能な一般事務において、キャリアの積み重ねは本来的に不能ですし、三年ごとに入れ替わる派遣労働者のキャリアプランニングなど派遣先企業にとっては関心のないことです。しかも、派遣労働は、派遣先が主導権を握り、そこのニーズありきですので、幾ら派遣元に種々の業務を課しても、ほとんど意味のないことになってしまいます。
 また、派遣労働者に教育訓練を施すことが正社員化に寄与するとの考えは、派遣労働者の能力が正社員より劣っていることが前提となっています。しかし、正社員のように企業内研修を何ら受けることなく、派遣されるたびに派遣先の業務などをのみ込んで即戦力として働ける派遣労働者の方が、むしろ能力においては勝っている部分があるとも考えられます。
 ずっと違法派遣で働いてきた私の希望は、今年の十月一日に、みなし規定がようやく適用されて、派遣先に直接雇用されるというものでした。ですが、今回の改悪で、直接雇用されるどころか、私は職を失うのです。本当に納得できません。
 今回の派遣法改正案は、三年後には雇い止めという派遣労働者にとって最もダメージを受ける法令だけが確定し、そのダメージを補修すべきセーフティーネットが実際には機能しないことを伝えさせていただきました。派遣労働者にとってメリットは何一つありません。完全廃案を望みます。
 御清聴ありがとうございました。
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丸川珠代#10
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 次に、棗参考人にお願いいたします。棗参考人。
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棗一郎#11
○参考人(棗一郎君) 日本労働弁護団で常任幹事をしております弁護士の棗と申します。
 今日は、お呼びいただきましてありがとうございます。
 私は、今日、参考人で見えている中山弁護士とは反対の立場で、労働側で日頃弁護士活動を専門的にやっております。派遣労働者からの労働相談や裁判事件、多数やってきましたので、その立場に立って、法律家として、今回の改正法案に反対の立場から意見を述べさせていただきます。
 まず、今回の派遣法改正については、労働側は、ナショナルセンターの枠を超えて、全ての労働組合、オール・ジャパン・ユニオンが反対しております。特に重要なのは、当事者である派遣労働者も、法案の中身を正確に理解している方はほとんどが反対し、廃案を求めているということです。
 今年の六月二日に、日本労働弁護団で、派遣法改正について派遣労働者を対象に緊急ホットラインを実施しました。今日お配りしてあります資料の一がその結果ですが、四十名を超える派遣労働者が今回の改正に不安を持ち、反対しております。非正規労働者の権利を実現する全国会議という弁護士、研究者の集団がありますが、ここがネット上のアンケートで派遣労働者に今回の法案についてアンケートをしたところ、それに答えた七百五十名を超える派遣労働者がほぼ全て今回の法案に反対し、厳しい疑問を呈しております。その集計した資料が今日お配りしている資料の二です。
 さらに、専門二十六業務の派遣元業者から、私が講演をやったときにこのような意見を聞きました。三年ごとに新しい人を探して派遣するということはとても困難だ、派遣元の多くはこの法案に反対であるというふうにおっしゃっていました。
 六月二日の緊急ホットラインでは、同じく専門二十六業務のうち機械設計の派遣、小規模な会社で二十名程度とおっしゃっていましたが、その派遣元の業者から直接私は意見を聞きました。専門二十六業務で派遣されている派遣労働者というのは長期の雇用で高齢の人が多く、派遣先の定年まで働けると思っていたのが、今回の改正によって一律に三年で派遣は終了ということになれば大量の失業者が出ることになる、派遣元業者は自分のところの派遣労働者を無期雇用で抱え続けることなどできません、そのことは政府分かってやっているんでしょうか、派遣の現場を知らない悪法だとまでおっしゃっていました。
 当事者である派遣労働者はもちろんのこと、派遣元業者までもが反対の意見を持たれている、このような派遣法の改正案はやめるべきだと私は思います。
 今回の法案、たくさん問題点がありまして、短い時間では指摘し切れませんが、重要だと思われる点に絞って、以下、意見を述べます。
 常用雇用代替防止との関係です。
 今回の派遣法案の最大の特徴は、中山弁護士もおっしゃいましたが、これまで専門二十六業務という例外的な業務を除いて派遣期間は原則一年、最長三年、そういう派遣期間制限を設けてきました。派遣は、一時的、臨時的仕事にすぎず、例外的な働き方であるというふうに我が国社会では位置付けてきたわけであります。この派遣期間制限を今回の改正は撤廃して、専門二十六業務を含めてあらゆる業務について同一業務で永久派遣を認めると、ここに最大の特徴があります。
 今から三十年前、一九八五年に初めて派遣法を制定した当時、我が国における雇用慣行との調和に留意し、常用雇用の代替を促すことがないように十分に配慮するということが基本的な理念とされました。すなわち、派遣労働者の保護だけでなく、労働者全体の雇用の安定と労働条件の維持向上が損なわれることのないように配慮していくとされました。以後、大改正がありましたけれども、この理念は一貫して取られてきました。
 ところが、今回の改正によって、常用代替の防止という基本理念はなくなり、専門業務派遣をなくして、自由化業務についても派遣は一時的、臨時的な例外的な働き方でなくなる、普通の働き方として全面的に正社員雇用、直接雇用に取って代わることができるよう、これは法制度上そういうふうなことができるようになってしまうということなんです。
 過去の派遣法の改正の歴史を振り返ると、九九年の大幅規制緩和のときも二〇〇三年のときも、この理念というのは一貫して取られてきました。しかし、今回の派遣法の改正によってこの理念は吹き飛んでしまいます。
 今回の改正によって、派遣禁止業務は除きますが、日本の職場の全ての業務が法制度上は永久に派遣労働で賄うことが可能になります。企業は、やろうと思えば、幹部社員だけは正社員として残して、あとは全て派遣に置き換えるということも法制度上可能になるということなんです。
 今回の法案の問題点を考える上で見逃してはならない問題があります。それは、今回の法案の成立から施行時期が異常に短いということなんです。
 今回の法案は、元々二〇一五年九月一日と施行時期、規定されていましたが、もうあと六日です。この審議状況では間に合いません。新聞紙上などによれば、仮に九月三十日を施行日としたときに、強行採決されて、そうなってしまっても、成立、施行まで期間が僅か半月から一か月もないんですよ。
 これまでの立法から三十年、大改正がありました。この常用雇用の代替防止という基本的な考え方を捨て去って、専門業務派遣という概念もなくして派遣期間制限を撤廃する、立法以来最大の改正ですよ、これ。にもかかわらず、労働者や国民への周知期間がこんなに短いとは異常なことです。
 資料三を参照いただきたいんですが、派遣法成立から過去の重要な改正の施行期間と比べても、今回は余りにも短過ぎます。派遣法を初めて立法したときは約一年の周知期間を取りましたし、九九年の原則自由化のときは約五か月、二〇〇三年の大改正のときは八・六か月、民主党政権下における平成二十四年の改正のときでも六か月掛けています。まして、違法派遣の雇用申込みみなし規定の施行などは四十二か月ですよ、三年半も掛けているんです。
 今回の法案の労政審の建議、平成二十六年一月二十九日に建議が出されましたが、このときの施行時期も平成二十七年四月一日からとされております。建議を見れば分かりますが、一年以上掛けて周知するということが、そういうふうになっていたんですよ。
 ところが、今回、一か月もない。これは一体何をしたいんでしょうか、何でそんなに急がなきゃいけないんでしょうか。それは、平成二十四年の改正法四十条の六、違法派遣の場合の雇用申込みみなし規定の施行を十月一日に控えて、これに間に合わせるという使用者側のニーズに合わせるものにほかなりません。
 平成二十四年、四十条の六に定められている違法派遣のケースは四つの場合に限定列挙されていますけれども、違法派遣、そのうち多いのは派遣期間制限違反と偽装請負であります。違法派遣が明らかになった場合には、二十四年改正法が適用されると、違法派遣を受け入れている派遣先は、派遣労働者から直接雇用を申し込まれれば直接雇用しなければならなくなります。雇用責任が発生するんです、派遣先に。直接団体交渉義務も負うことになります。場合によっては、訴訟を提起されることにもなりかねません。このようなリスクを回避するために、雇用申込みみなし規定の適用をなきものにしようという、こういう改正をやって、どうしても十月一日に間に合わせたいと、そういうことじゃないんですか。
 横行する違法派遣を根絶する決め手としてこの規定は制定されたんです。我々の悲願でした、平成二十四年制定当時。そういう画期的な制度であるにもかかわらず、周知が十分必要だということで、四十二か月、三年半も適用を引き延ばした上に、なきものにしようというのは、余りに国民、派遣労働者を愚弄するような議論じゃないでしょうか。
 派遣労働者は、違法派遣であっても期間制限違反であっても、幾ら裁判をやっても法的に保護されないんです。我々が幾らやってもどうしようもない、勝てないんです。その決め手として、救済する決め手とするこの規定をなきものにしようというのは、これは派遣労働者の期待を裏切ることにほかならないというふうに私は思います。
 今回の改正によって、派遣労働者の安定雇用、派遣労働者の賃金その他の労働条件も改善しません。
 派遣労働者、正社員になりたいという方、参考資料の三百四十五ページに調査結果が載っていますけれども、八割を超える方が正社員になりたいとおっしゃっています。
 ところが、今回の法制度上は、派遣労働者を正社員に登用するという法制度上の保障、これは全くありません。政府は、派遣労働者のキャリアアップを図って正社員への道を開く改正だというふうにおっしゃいますが、どこにそういう保障があるんでしょうか。法律実務家として全く理解できません。
 今回のように、派遣期間制限を撤廃して、あらゆる業務で派遣を使えるということになれば、今までは派遣期間制限を超えて同じ労働者を使おうとするときには、正社員にするかどうか、そういうことを考慮する機会があったわけですけれども、派遣労働者を永久に使い続けることができるということになれば、正社員として雇用する必要は全くなくなります。そうなれば、派遣先企業は、正社員と比べてコストが安くて、しかも雇用を保障しなくていい、簡単に切り捨てて雇用調整ができる、団体交渉義務を負わない派遣労働者を永続的に使おうとするインセンティブが大きく働くことになります。
 現に、二十六業務の派遣労働者は、五年、十年永続的に雇用されていますが、正社員になった方はほんの僅かです。お配りされている参考資料にも、正社員登用は実績があるところはほんの僅か、一・七%にすぎません。何ら法的な手当てはありません。
 最後に、労働条件の処遇の改善です。
 これも、均等待遇を実現する現行法の規定も、それから改正法の規定もありませんので、この均等待遇を実現するような規定がなければ処遇は上がってこないというのは、もう火を見るより明らかです。今までがそうだったじゃないですか。どんなことをやったって上がってこないんですよ。派遣労働者は、派遣先の正社員と比べて、賃金の格差は世代によっては二倍以上の格差があります。これ、縮まらないんです。これを縮めるためには均等待遇原則を定めた法的な手当てが必要です。それがなければ何の意味もないんです。ところが、今回それはありません。
 以上述べたように、今回の派遣法の改正は、派遣期間制限を撤廃して、派遣労働者を使う側にとってあらゆる業務で永久派遣が可能となる大幅な規制緩和です。一方、派遣労働者の安定した雇用の確保とか処遇の改善は望めません。派遣労働者を保護して権利を強化し保障する何もない、へんぱな法案となっております。
 資料の二の二を御覧ください。この資料は、派遣労働者のアンケート七百五十件、これを私が読みやすいようにレポートにまとめたものです。是非、参議院の厚生労働委員会の議員の皆さん、与党の皆さんも野党の皆さんも、この派遣労働者の生の声を是非是非読んで、十分に考慮して、それでこの法案に対する賛否を判断していただきたいと切に切に願います。
 ありがとうございました。
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丸川珠代#12
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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滝沢求#13
○滝沢求君 自由民主党の滝沢求でございます。
 参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席をいただき、そしてまた、先ほどは貴重な御意見をいただきました。本当にありがとうございます。
 時間も限られておりますので、早速質問させていただきます。
 まず、牛嶋参考人に伺います。
 先ほどの説明の中で、技術者の無期雇用派遣、これを展開しているというお話がございました。その無期雇用派遣労働者に対する教育訓練、これはどのように実施されているのか、またその実態を伺いたいと思います。
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牛嶋素一#14
○参考人(牛嶋素一君) 御質問ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたけれども、私ども、無期雇用派遣では、派遣労働者が常に働ける状態をつくっておくということが必要になります。長期的な若しくは体系的な教育訓練、キャリアアップの支援、こういうものがある意味事業の要だというふうに考えております。
 我々の業界では、エンジニアを自社社員として無期雇用しておりますので、エンジニアとしての専門能力を高める技術研修、これはもちろんでございますが、コミュニケーション力を含めました、いわゆるヒューマン研修とでも申しますか、こういったものにも力を入れている企業さんが多いというふうに理解をしております。
 研修の体系としては、入社後の新入社員研修ですとか、あと、派遣契約の終了した後に次の派遣先が決まるまでの間、こういった期間を利用した研修、若しくは、新入社員で入った方の三年次とか五年次のいわゆる年次研修を行っているような企業さんもございます。それから、派遣に出ているエンジニアというのは、基本的には業務時間内でその派遣元が研修を行うというのはなかなか難しい場面もございます。そういう場合には、派遣業務時間外、例えば土日ですとかそれから平日の夕方以降に、例えばキャリアアップのための面談ですとかそれから研修等も行っております。また、営業所単位では、先輩のエンジニアが若いエンジニアを指導するという観点で自主的な勉強会も数多く行われているというふうに伺っております。
 以上でございます。
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滝沢求#15
○滝沢求君 現状を教えていただき、ありがとうございます。
 そこで、更に伺いますけれども、賃金始め待遇面でどのようになっているのか、そしてまた勤続年数に応じた変化があるのか否か、このことも教えていただければと思いますが。
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牛嶋素一#16
○参考人(牛嶋素一君) 基本的には、エンジニアのキャリアアップ、これがお客様との派遣料金、いわゆる対価につながりまして、その対価に応じて処遇が上がるというのが当業界における基本的な処遇制度でございます。また、当業界で働くエンジニアは無期雇用の自社社員でございますので、会社への貢献、これを鑑みた年功序列的な要素を含んだ賃金ベースが一般的であろうかなというふうに思っております。
 それから、会員会社個社によっていろいろ違いますけれども、我々の業界では一般企業さんと同様に、賞与とか昇給ですとか、年金、保険、それから住宅手当、子ども手当等の諸手当、それから産休、育休等の諸制度、これがあるのが一般的かなというふうに思っておりますし、会員企業の中にも労働組合がある企業さんもございますし、当社の例で申し上げますと、当社の労働組合は電機連合さんに加盟しておりまして、昨年、一昨年の春闘でもベアを決定して実施しております。
 以上でございます。
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滝沢求#17
○滝沢求君 ありがとうございます。
 次に、中山参考人に伺いたいと思います。
 先ほどの説明の中で、いわゆる二十六業務に該当するか否か分かりづらい、分かりにくい、その判断は難しいというお話もございました。そこで、この点を含めて、現行、期間制限の問題点についてどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
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中山慈夫#18
○参考人(中山慈夫君) 今の御質問、御指摘のとおり、企業活動というのは時代の進展とともに変化して、その業務も変容し、あるいは新たな業務が生まれておるわけでして、現在の期間制限の問題は、そういう中で、二十六業務は限定列挙で、もうそれ以外は全て期間制限を受けると、こういう区分でありまして、言わば二十六業務は万古不変の業務であって、それ以外は、派遣で期間制限なく考えていいような業務があるとしても全くその点は限定列挙のために追加されないと、こういう状況にございます。
 さらに、先ほど申し上げましたように、二十六業務の付随的業務の一〇%ルール、これも非常に厄介なものでありまして、一定期間の中で一〇%と言われましても、日々の中で、作業の中でどうやってカウントするのか、時間でカウントするのかということになろうかと思いますけど、これも非常に難しいわけです。ですから、根本は二十六業務が限定列挙であって、それ以外との限界線が予測が極めて困難だと。
 それから、時代の変遷によりというところで申し上げますと、例えば二十六業務の事務用機器操作につきましては、今の政令で、電子計算機、タイプライター又はこれらに準ずる事務用機器の操作業務となってございます。御承知のとおり、今ではオフィスの中に電子計算機とかタイプライターというのは過去のものでありまして、今はパソコンに替わり、さらに様々な新しいOA機器が利用されておりまして、その操作の専門性とか使用目的、操作方法というのも多様なわけですね。
 ですから、こういった業務の中でどのくらいこれが適用になるのかというのも時代とともに大きく問題になってくるわけですから、そういう点からも、やはり業務区分による派遣期間制限の考え方自体を変えていかないと常に二十六業務に係る問題が付きまとうと、こういうことになると思います。
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滝沢求#19
○滝沢求君 ありがとうございます。
 もう一点伺いたいと思います。
 今回新たに設ける事業所単位の期間制限では、派遣の受入れを原則として三年までとした上で、派遣期限を延長するには使用者側から労働者側の意見聴取を行うことを義務付けております。このことについてのお考えを伺いたいと思います。
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中山慈夫#20
○参考人(中山慈夫君) 御指摘の意見聴取は、正確に言いますと、有期雇用の派遣労働者の活用について、事業所単位で三年という期間制限を設けて、これを延長するための要件として意見聴取が求められていると、こういうことだと思いますが、この趣旨は常用代替防止の観点から設けられた制度だと理解しております。
 一般に、労働力の調達とか企業における配置につきましては使用者が行うことが原則でありますから、有期の派遣労働者の活用につきましても、現場の労働者代表からの意見聴取を踏まえて使用者が対応する制度ということで見ますと、この意見聴取というのは制度としては適当な制度ではないかと思っております。
 派遣における常用代替防止の問題につきましては、実は企業ごとに、私ども実務でも感じるんですが、企業の規模、業種、それぞれの経営方針によって企業ごとにその状況というのは多様でありますから、法律で一律にその延長の要件を規制的に決めると、これはなじまないところです。このため、やはり現場を熟知しているそれぞれの企業内の労使による議論、意見交換の手続を定めたというのがこの意見聴取の手続だと思いますので、その意味で適切であろうかというふうに考えてございます。
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滝沢求#21
○滝沢求君 丁寧な説明ありがとうございます。
 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
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石橋通宏#22
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。
 まず、四名の参考人の皆様、今日は大変お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございます。
 早速質問させていただきます。まず、棗参考人に伺います。
 今、中山参考人とのやり取りで幾つか重要な論点がありましたので、棗参考人、そのことをちょっとまずお聞きしたいんですが、中山参考人から今回の法案に賛成する立場で二十六業務の話が出ました。分かりにくい、一〇%ルール、それから時代に合わない等々の発言がなされましたが、棗参考人はこの点についてどうお考えですか。
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棗一郎#23
○参考人(棗一郎君) 発言させていただきます。
 派遣というのは元々専門業務に限ってスタートしたわけで、その理由というのは、そもそも専門業務の高度な知識、専門性を持っている派遣労働者であれば、対等な交渉力があって、賃金、労働条件についても交渉可能であろうというところからスタートしたわけですね。要するに、そういう高度な専門職というのは外部労働市場を形成しているはずであって、内部労働市場の常用雇用を駆逐しないと、そういう発想から生まれたものです。
 ですから、私は、派遣というのは本来専門業務に限ってやっていくべきだという、そういうふうに思っていますので、二十六でも私は多過ぎると思います。これは、もっと本当に専門化しているものに絞り込んで、きちんと労使で議論していって絞り込んでやっていくべきだというふうに思います。
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石橋通宏#24
○石橋通宏君 私も全く同感です。
 続いて、今意見聴取の話もなされました。棗先生、現場で、今回はアンケートの結果もいただいておりますが、多くの皆さんからお話をいただいている立場で、この三年たったときの延長の可否、意見聴取で歯止めが本当に利くのかということについて御意見をいただければと思います。
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棗一郎#25
○参考人(棗一郎君) お答えさせていただきます。
 歯止めは全く利かないと思います。まず、日本の労働組合の、過半数の組合の組織率たるや、連合には悪いんですけれども、相当低いものです。民間の組織率が、組織されているところだけで一六%しかありません。一千人未満の企業の場合は一〇%、百人未満は一%にすぎないんですよね。労働組合がないところで、労働者をただ使用者が選定して意見を言いなさいといったって、まともな意見が返ってくるわけありません。ほとんど機能しない。
 それに、意見聴取だけして、それで使用者側が意見を変えるというのは、本当に力のある過半数組合でがっぷり四つに組んで企業と交渉している場合なら別ですけれども、ほとんどそんなところはありませんので、ほとんど無意味だと思います。
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石橋通宏#26
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 もう一点、最後のところで、労働条件、処遇は改善されないというふうに断言をされておりました。今回、政府は、今回の改正の目玉として三十条の二、三十条の三、こういった教育訓練、キャリアアップ、これを義務付けたんだというふうに言っております。
 しかし、例えば三十条の二にしても、教育訓練、これは派遣就労に必要なという、わざわざ御丁寧に限定をして言っている。なので、我々も全く意味がないのではないかというふうに思っておりますが、棗参考人、これによって、十年、二十年派遣で頑張っていただいた方が正社員と同様に処遇改善をされ、将来に希望を持って働ける、これはやっぱり絶対に無理だというふうにお考えでしょうか。
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棗一郎#27
○参考人(棗一郎君) お答えさせていただきます。
 今回の派遣労働者からのアンケート調査、七百五十を超える調査ですけれども、そこを私つぶさに見ましたが、派遣であって、長く働いていて、どんどん賃金が上がったなんて話はどこにも出てきません。本当に派遣先の正社員と格差が大きくて、これって本当にもう身分格差じゃないのかという意見ばかりです。今日、参考人で隣に座られている宇山さんも、時給上がるどころか下がっているわけじゃないですか、十五年も働いて。どこにそういう根拠があるんでしょうか。上がっていきません。
 これ、法制度上、きちんと上げなきゃいけないという制度をつくらない限りは無理だと思います。
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石橋通宏#28
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 続いて、宇山参考人に伺いたいと思います。
 今、最後のところで棗参考人もおっしゃいましたが、今日お話ししていただいた中にも、特にこれは身分制度ではないかと、そして女性の一般職、事務職の話もしていただきました。
 私たちも、今回の改悪で最も恐らく悪影響を受けるのは女性の労働者の方々だろうというふうに思っております。政府は一方で女性の活躍云々というふうに言っていますが、真逆の全く矛盾する政策ではないかと思うわけですが、宇山参考人、率直に、これ女性労働者のためになるんでしょうか。
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宇山洋美#29
○参考人(宇山洋美君) 働く女性の半分以上が非正規労働です。その中で派遣というのも主要な働き方ではありますが、その派遣の中で女性は特に事務派遣というものを多く担っております。その事務派遣というのが、取替えの利く仕事、余人をもって代え難い仕事ではなく誰がやっても同じ定型業務、補助業務だという位置付けでございます。女性の正社員の中で一般職の事務の仕事を、そのまま女性の派遣労働者、事務派遣、事務用機器操作に引き継がせたというのが現状だと思っております。
 現状としては、先ほど私が述べたような状況でして、キャリアアップというのは実際はカリキュラムが施されていない、それから行き止まりの仕事だと。何年勤めていてもキャリアアップによって賃金が上がることはないという現状の中では、女性の非正規労働の底上げがなされないのではないか、今回の派遣法改正案はむしろ逆行するのではないかと。
 そして、女性の活躍推進法案は、私から言わせていただければ、大企業の女性の総合職の正社員、これは働く女性の中のごくごく一部でございます、そういう方だけをターゲットに絞ったものではないかと思います。でも、私たち派遣労働者は、それを目指して頑張れと、決して食べることのできないニンジンをぶら下げられて、ゴールのないレースを走らされているようなものだと思っております。
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