農林水産委員会

2017-04-13 参議院 全207発言

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会議録情報#0
平成二十九年四月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 猛之君
    理 事
                舞立 昇治君
                山田 修路君
                徳永 エリ君
                紙  智子君
    委 員
                礒崎 陽輔君
                進藤金日子君
                中西 祐介君
                野村 哲郎君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                山田 俊男君
                小川 勝也君
                櫻井  充君
                田名部匡代君
                舟山 康江君
                竹谷とし子君
                矢倉 克夫君
                儀間 光男君
                森 ゆうこ君
   国務大臣
       農林水産大臣   山本 有二君
   副大臣
       内閣府副大臣   松本 洋平君
       農林水産副大臣  礒崎 陽輔君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       矢倉 克夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房審議官     松尾 泰樹君
       農林水産省消費
       ・安全局長    今城 健晴君
       農林水産省食料
       産業局長     井上 宏司君
       農林水産省生産
       局長       枝元 真徹君
       農林水産省政策
       統括官      柄澤  彰君
       農林水産省農林
       水産技術会議事
       務局長      西郷 正道君
   参考人
       秋田県農林水産
       部長       佐藤  博君
       龍谷大学経済学
       部教授      西川 芳昭君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業機械化促進法を廃止する等の法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○主要農作物種子法を廃止する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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渡辺猛之#1
○委員長(渡辺猛之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業機械化促進法を廃止する等の法律案及び主要農作物種子法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、参考人として秋田県農林水産部長佐藤博君及び龍谷大学経済学部教授西川芳昭君に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、どうぞ今日はよろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。
 まず、佐藤参考人、西川参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、佐藤参考人からお願いをいたします。佐藤参考人。
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佐藤博#2
○参考人(佐藤博君) おはようございます。秋田県の農林水産部長の佐藤でございます。
 まずもって、参議院農林水産委員の先生方には、日頃から本県農林水産行政の推進に多大なる御支援と御協力をいただきまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げたいと思います。
 本日は、主要農作物種子法の廃止法案の審議に当たりまして、現場で種子の生産、流通を担っている県の立場から意見を申し上げたいと思います。
 前段、本県農業の現状や振興方針等につきまして若干お話ししたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
 本県農業は、十二万四千ヘクタールの経営耕地面積で、約四万九千戸の農家が稲作を中心とした水田農業を営み、一千六百億円強の農業産出額を上げ、これまで我が国の主要な食糧供給基地としての役割を果たしてまいりました。しかしながら、農業産出額全体に占めます米の割合、これがかつては六割から七割、最近でも五割を超えておりまして、米に偏った生産構造となっていることから、今後の本県農業の持続的な発展を図るため、現在、園芸メガ団地や大規模畜産団地等の整備を全県展開するなど、複合型の生産構造への転換に向けた取組を集中的に進めているところでございます。
 こうした取組の推進に当たっては、国の産地パワーアップ事業や、それからいわゆる畜産クラスター事業、さらには生産活動の基盤となります圃場整備事業等をフルに活用させていただいております。おかげさまで、平成二十七年の農業産出額が全ての作目で増加しまして、前年からの伸び率が全国のトップとなりまして、二十八年も更なる拡大を見込んでいるところでございます。引き続き、地域農業の構造改革を後押しするため、こうした事業の継続と予算確保をお願いしたいと思います。
 一方、米につきましては、本県の基幹作物として、今後一層厳しくなります産地間競争に打ち勝っていかなければならないと考えておりまして、平成三十年以降の米政策の見直し後を見据えて、実需者、消費者との結び付きを強めながら、産地全体で販売を起点とした米作りに取り組んでいくこととし、現在、その指針となる県独自の新しい生産・販売戦略の策定を進めているところでございます。
 御案内のとおり、本県は、広大な水田、台風や冷害といった災害の少ない気候、豊富な水資源を背景に、全国有数の米産県として安定生産、安定供給に取り組んできておりまして、二十八年産の食用米生産量はおよそ四十万トンで、北海道、新潟に次いで第三位となっております。
 また、本県が開発しました主力品種のあきたこまち、デビューして三十三年目になりますが、これまで長きにわたりまして消費者や実需者の皆様から広範な御支持をいただいておりまして、そのブランド力は三十年をたった今でも健在であるというふうに思ってございます。全国的に業務用米が不足する中で、抜群の知名度と、食味が良く、値頃感があり、年間を通じて安定供給できるロットを有することから、最近改めて引き合いが強くなっておりまして、市場から需要に見合った供給をお願いされているところであります。
 近年、全国各地で良食味米の開発、デビューが相次いでおります。そうした中で、本県でも、今、将来の秋田米のプライスリーダーとなる新しい品種の開発を急いでおりますが、それと同時に、今後の米作りに当たっては、中食、外食など年々増加する業務用需要に対し迅速かつ的確に対応していくことにより重きを置いた取組を進めることが極めて重要であるというふうに考えてございます。
 こうした米作りの根幹を支えているのが品質の確かな種子の安定供給であります。水稲で申し上げますと、本県では、種子法及び関係通知等に基づきまして、ウルチ米では県が開発した七品種、それから他県、これは宮城県でございますけれども、開発されました二品種、それから酒造好適米とモチ米でそれぞれ二品種、計十三品種を奨励品種として採用し、原原種は農業試験場内で、原種は、近隣の農業法人の圃場を借り上げ、県の直轄の下、管理作業を当該法人に委託して生産を行っております。また、農家に供給される種子につきましては、県内十六か所、およそ七百ヘクタールの指定採種圃場で約三千トンの種子を生産、供給しております。
 本県は、過去に種子生産圃場で異品種混入問題が発生したり、ばか苗病が多発したことを受けまして、原種圃場を現在地に移転するといった苦い経験を有しております。このため、現在では、例えば種子を生産する圃場だけでなく、半径五百メートル以内の周辺圃場についても防除基準を設定したり、また異品種混入リスクを回避するため水田クリーニングを実施するなど、県独自の厳格な基準の下で種子生産に取り組んでいるところでございます。
 こうした中で、今般、農業競争力強化プログラムの一環として種子法廃止の話が出てきたわけでございますけれども、正直申し上げまして、現場とすれば唐突感が否めず、特に県内の農業団体や種子生産組合の方々からは、国も県も手を引くのか、これからどうなるのかといった不安の声が寄せられたことも事実であります。もとより、県とすれば、現在の体制を変更しなければならない必要性は特段感じておらず、県の産米改良協会と協議し、今の体制はしっかりと堅持するという考えを現場に早々にお伝えしたところで、現在はJA、農家ともおおむね冷静に受け止めているところでございます。
 農家やJA等の現場にとっては、これまでと同じように良質な種子が安定的に供給されるかどうかが最大の関心事であります。米産県である本県としましては、種子法の存廃いかんにかかわらず、これまでと同様、産米改良協会と連携しながら優良種子を安定的に生産、供給していくことが県の責務であり、引き続き、普及指導員やJAの適切な指導体制の下で手を緩めずに取り組んでいく考えであります。
 その一方で、仮に種子法が廃止され、原原種、原種の生産や奨励品種決定試験など県の義務がなくなるとすれば、これまで以上にマーケットの多様なニーズや生産現場からの要望にスピード感を持って柔軟に対応できる場面も出てくるのではないかと考えております。
 具体的な検討はもちろんこれからになりますけれども、例えば本県では、豊田通商さんが扱っているしきゆたかという品種、これは収量も多くて売る先も決まっているということで、JAを含めて十一法人、約五十ヘクタールで今栽培されておりまして、今後更に拡大することが見込まれております。このしきゆたかのように、農家の所得向上に資するような民間品種につきましては、例えば簡易な現地適応試験をもって奨励品種にすることで迅速に県内普及を図ることが可能となります。
 実は、豊田通商と農業法人とのマッチング、県が自らコーディネートしたものでございます。業務用は一定のロットが必要だということから、県がJAやそれから農業法人に声掛けをいたしまして、豊田通商さんに秋田に来てもらって説明会、商談会を開催したという経緯がございます。
 また、主要な米産県においては、奨励品種の数の増加に伴いまして原種等の維持生産コストが掛かり増しになっていることから、複数の県で共通する奨励品種については、種子生産や備蓄を例えば各県が分担して行うといった言わば種子の分業体制を確立することで、効率的な原種供給を行うことも考えられるのではないかというふうに思ってございます。
 更にもう一歩進めて、県と民間企業とがお互いの知見を持ち寄りながら、共同で新たな品種の開発を行うこともこれからは十分考えられるというふうに思ってございます。
 今、生産現場では、平成三十年以降を見据えまして、新たな販路を開拓したり、それから中食・外食事業者と複数年契約を結んだりといった実需者と結び付きを強める動きが加速化してございます。その際、前段申し上げましたように、業務用需要にスピーディーに対応するということが一つ重要なポイントになってくるだろうというふうに考えております。
 そうした観点から見ますと、県が全ての品種を自前で開発するのではなく、場合によっては他県や国の研究機関、民間が開発した品種を導入したり、これらの機関、団体と連携、共同して育種開発に取り組むといった柔軟な姿勢がこれまで以上に求められ、ひいてはそれが国内の米需要の維持、喚起にもつながるのではないかと考えております。
 以上、種子法廃止の受け止め方、それから本県の対応等について述べてまいりましたけれども、法が廃止されること自体はそれほど大きな問題があるというふうには思ってございません。また、先ほど申し上げましたような新たな取組が促進される可能性もありますので、廃止という判断も理解できるものであるというふうに考えてございます。
 しかしながら、優良種子の安定供給は農業生産の根幹であり、供給される種子の品質は農家の経営にとって何よりも重要でありますので、現場を預かる県といたしまして、廃止に当たり次の二点を申入れしたいというふうに思います。
 一点目は、安定供給への対応についてであります。
 今回の種子法廃止によって、間違っても全国的に不良な種子が生産されたり流通するといったようなことがないよう、国において、現行の種子法及び関係通知、これは基本要綱、運用等にあると思いますけれども、これの実質的な代わりとなりますガイドライン等を速やかに明示するなど、民間の種子を含めて流通する種子の品質保持に万全の措置を講じていただくことであります。
 その際、種子の圃場審査や生産物審査など、今現在、都道府県が行っております審査の実態を踏まえまして、これまでの取組を生かす形で柔軟な運用ができる仕組みとしていただきたいというふうに思ってございます。
 二点目が財政的な支援についてであります。
 主要農作物種子の生産、供給においては、これは各都道府県が中心的な役割を果たしていることから、その業務に対する地方財政措置、いわゆる地方交付税ですね、これにつきまして法のあるなしにかかわらずこれからも継続していただき、万が一にも地方交付税が減額されるといったことのないよう強く申入れしたいというふうに思います。
 あわせて、今後、国が提案しておりますような他県や民間企業と連携した取組、こうしたものの推進に対しまして、ソフト、ハード両面から助成制度を創設するよう要望しておきたいというふうに思います。
 最後に、国においては、現場の無用の混乱を招かないよう、主要農作物の種子政策に関して、今後、拡充強化することはあっても決して手を引いたり弱体化するということはないと、こういうことを様々な機会を通じて現場に伝え、不安払拭に努めていただきたいというふうに思います。
 本県としましては、種子法がもし仮に廃止された際には、それを一つの契機といたしまして、実需者、消費者から求められる米作り、それを支える優良種子の安定供給にこれまで以上に主体的に取り組んでいくことを改めて申し上げまして、私からの説明に代えさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
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渡辺猛之#3
○委員長(渡辺猛之君) どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして西川参考人にお願いいたします。西川参考人。
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西
西川芳昭#4
○参考人(西川芳昭君) 御紹介いただきました龍谷大学経済学部の西川です。
 今の佐藤参考人のお話は現場からの取組ということですが、私は一研究者として、種子のシステム、またその国際的な枠組みを背景としてお話をさせていただきたいと思います。
 事務局の方の御許可をいただきまして、委員の先生方には資料をお手元にお届けしておりますので、それも参考にしてお聞きいただけたらと思います。
 時間が十五分と限られている中で、一分間だけ私のことをお話しさせていただきますが、私は奈良県のタマネギの採種農家に生まれたんですけれども、昭和四十年代、採種が海外に移る中で、うちの事業というのは廃業したわけなんです。したがって、もう本当に子供の頃から採種事業というものの国際競争というものの厳しさというものをもう身をもって、要は家の収入が途絶えるわけですから、そのような身をもって育ってきました。
 大学時代は、国の奨学金を得て、アメリカの農務省の遺伝資源導入プロジェクトにインターンとして派遣していただきまして、国の戦略物資としての種子というものの立場をこれも体感する形で経験させていただきました。
 大学を卒業してからは、ルワンダの内戦復興後のプロジェクトでアメリカの国際開発庁の種子返還プロジェクト、又はJICAのエチオピアの小規模農民のための種子供給プロジェクト等に関わることを通して、良質な種子を安定的に供給することの大切さ、農民にとって、国民にとって、国の食料安全保障にとって非常に大切なことであるということを理論的にも、また体感的にも体験してまいりました。そのことの経験を通して、またこれまで農水省や農民の方たち、また市民の方たちから学ばせていただいたことを皆さんにお分かちしたいと思います。
 本題に入らせていただきます。
 基本的なメッセージは、種子は公共のものであるということです。誰か個人のものではない、又は特定の企業が所有するものではないということが基本的な主張になっています。人間にとっての種子の大切さ、そして人権として全ての人間、特に農家ですけれども、が種子にアクセスすることの権利というものが保障されるべきであると、このような考え方を支えてきた法律的なインフラの一つが種子法であるというふうに理解しております。
 種子をこよなく愛した先人の言葉の中に、種子が消えれば、食べ物も消える、そして君もという言葉があります。これはベント・スコウマンという、世界で最後の種子庫を造る、世界で本当に種子がなくなった場合に最後のとりでとなる種子庫を造るのに尽力を尽くしたスウェーデンの方ですけれども。種が消えれば、食べ物が消えます、そこまでは分かると思います、農業をしている人なら誰でも分かることですけれども、そして君もということは、食べ物がなくなれば当然私たちも生きていけないわけですから、種子の大切さということをメッセージとして伝えている大切な言葉だと思います。
 また、食料、農業に関する責任を持っています国連機関のFAOは、土壌、水、そして遺伝資源、すなわち種子ですけれども、これは農業と世界の食料安全保障の基盤を構成していると。この遺伝資源、種子は我々の配慮と保護に依存している資源であるというふうに書かれています。我々というのは、もちろん一人一人の人間でもありますけれども、企業も含めて様々な社会のプレーヤー、アクターが関わってこの保護に努めていかなければいけないというふうに考えています。
 今回、種子法の廃止に当たりまして一部その規則を種苗法の中に取り込むというお話が出ておりますけれども、そもそも種子法と種苗法というのは目的が違っているというふうに私自身は理解しております。
 種子法は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進することを国、自治体を含めて、責務又は義務として定めたものであります。一方で、種苗法は、新しい品種を開発した育成者の権利を守る、知的財産権を守ることを主たる目的とした法律でありますので、目的とするところが違うわけで、育成者の権利を守る法律のその要綱なりまたその実施事項の中に国の義務というふうなものを持ってくるということは非常に難しいと思います。何らかのそごが生じるというふうに考えます。
 また、この種子法制定の歴史を振り返りますと、昭和二十七年、一九五二年の五月というのは、その前月、一九五二年の四月に日本がサンフランシスコ講和条約の発効に伴って主権を取り戻した、その時期です。この時期には多くの今の日本を支える法律が成立しておりますけれども、新しい日本をつくっていく、そのような動きの中で、農水省の官僚の方たち、当時の政治家の方たちが日本の将来の発展を目指してこの法律を制定されたというふうに私は思っております。
 また、国連の人権宣言、第二次世界大戦の惨禍の後、これを繰り返さないために国際社会が人権宣言というものを発表しておりますが、これを具体化する規約、いわゆる社会権規約の中では、この締約国、日本も含めてですけれども、全ての者が飢餓から免れる基本的な権利を有すること、そしてそれぞれの国は食糧の生産、保存及び分配の方法を改善することということが決められております。日本の政府としても、これに従っていく必要があるかと思います。
 具体的に、種子に関するシステムについてお話をさせていただきます。
 これは品種開発後の話ですけれども、種子システムの研究の世界では、フォーマルなシステムとインフォーマルなシステムがあるというふうに言われています。フォーマルなシステムというのは、政府機関の管理の下に供給される主として改良品種の認証種子に関わる制度です。多くの場合、知的財産権と関係しますので、種苗法で管理されています。一方、インフォーマルな種子システムといいますのは、農家自身による採種や農家同士の交換による認証されない主に在来品種、固定種等の種子供給を担っています。これは、人類の歴史とともに始まっている制度というふうに言ってもいいかと思います。
 種子法は、フォーマルなシステムの中に位置付けられるものではありますが、一般にフォーマルなシステムの中では知的財産権が強調されますので、企業、特に圧倒的な資金又は技術力を持つ多国籍企業が主たるプレーヤーとなることが多くなりますので、国が一定の管理又は介入をしなければ本当の意味での自由な取引というものができない可能性があります。その結果、フォーマルとインフォーマルのシステムが相互補完、連携することができなくなると思います。種子法があることによって、日本では世界的にも例外なグッドプラクティスとしてインフォーマルなシステムとフォーマルなシステムが連携しているというふうに考えています。
 お配りしている図の中にあるんですけれども、インフォーマルなシステムというのは、どちらかというとそれぞれの地域の中で種子が循環しているシステムというふうに考えられます。フォーマルなシステムの場合は、そこから遺伝資源を取り出して、ジーンバンク等又は育種組織等、企業も含めましてですけれども、そこで改良品種を作り、その改良品種を条件的に恵まれた地域で商業的に生産する、そのような形で遺伝資源、種子が使われることになります。
 この件に関しましても、民間企業が中心なプレーヤーとなりますと、条件不利な地域、日本の多くの中山間地等がそのような地域になるわけですけれども、こちらの方に優良な種子が安定的に供給されるということは非常に可能性が低くなるというふうに考えられます。一方、種子法の下では、先ほど佐藤参考人から費用が掛かるというお話がありましたけれども、あえて国から財政的な支援をすることによって、それぞれの地域に見合った品種をそれぞれの地域で循環させるというシステムが存立しているかと思います。
 種子のシステム、今は品種を開発した後のシステムについてお話をしましたけれども、遺伝資源の管理という面では、実は最初に育種の素材、例えばある特定の病気に強い、又は、今話題になっているものですと地球温暖化に対して適応するような品種、このような遺伝子を持っている品種を探索すること、集めてくることから始まります。そして、それを研究機関で研究し、この研究機関は公的な研究機関もありますし民間企業もございます。それを、多くの場合は産業としての農業や、一番利潤が上がるのは薬品、製薬関係ですけれども、そういうところで利用される商業的な利用を通して利益を出していくという利用が非常に一般的なんですけれども、同時に、循環型の利用の仕方がありまして、日本の国内で、例えば米の場合ですと、農林水産省の研究施設それから都道府県の研究施設で品種を開発し、それをそれぞれの地域に返していく。その際に、多様な関係者、農家、自治体、農協、その多様な関係者が参加できるシステムを形成しております。そのことによって、フォーマルとインフォーマルというものを結び付けているシステムが存在しているわけなんですけれども、繰り返しになりますが、種子法がこのシステムを下支えしているということです。
 ちなみに、種子が戦略資源であるということは、私たち研究者にとっては当たり前のことなんですけれども、なかなか日本の一般の市民の方々、御存じない場合があります。一九八二年まで遡って、NHKがドキュメンタリーを作成しておりまして、「一粒の種子が世界を変える」というふうなドキュメンタリーを作成しております。種子をめぐる世界で何が起こっているのかを描いて、また日本人にとって、人類にとっていかに重要かを検証したものです。
 また、その十年後には、カナダの政府系の財団の支援を受けて、ムーニーという人が「種子は誰のもの 地球の遺伝資源を考える」という本を書いておりますけれども、この本のメッセージは、種子は人類共有の財産であり、私物ではないという著者からのメッセージというものを訴えております。ちなみに、この本は、翻訳は当時の農林省種苗課の審査官御自身が翻訳をされています。当時の農林省の意気込みといいましょうか、種子に対する意識がかいま見られるかと思います。
 今現在、種子に関して三つの主要な条約がありますけれども、生物多様性条約、それから食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約、植物の新品種の保護に関する国際条約というのがございます。時間が来ておりますので細かい説明は省略しますけれども……ヤジあと三分ありますけれども、ちょっと結論まで持っていくのに、済みません、ありがとうございます。
 最後の、植物の新品種の保護に関する国際条約は、品種の育成振興、再三申し上げておりますけれども、知的財産権を保護するため、これは実は育成者権が強くなり過ぎることから、国の主権や国民の生活に良いことではないと判断している国が多くて、今も六十数か国しか締結しておりません。植物遺伝資源条約が百三十か国、生物多様性条約が百九十か国ということと比べまして圧倒的に不人気な条約で、これは、企業に種子の生産を任せるということがやはり国にとって非常に不安定な要因を招きかねないという懸念が、各国が認識しているという一つの間接的な証拠だと思います。こういうふうな状況の中で、種子法というのは、先ほどから繰り返していますけれども、フォーマルなシステムとインフォーマルなシステムを結ぶ画期的な、先進的なものだと思います。
 なぜ企業が種子にそれほどこだわるのかということですけれども、当然、種子を制する者は世界を制するというのは現在の常識になっていまして、資本による農業の包摂のための礎石として企業が入っております。ただ同時に、繰り返しになりますが、種子は食料、農業の持続的な社会的管理の根幹の部分に当たるものですので、このことを忘れていては、種子の管理というものは、政府の役割を果たすことができないと思います。また、生産者ニーズ、消費者ニーズの具現化ということも必要ですけれども、これは企業だけができることではなく、政府の管理の下に各プレーヤー、各アクターが協力して行うことが望ましいと思います。
 企業は、特許は必要な費用を回収する上で必要ですし、技術革新を促進する目的もある、ビジネスでは当然対価が支払われなければいけないということを言っていますけれども、それは当然のことなんですけれども、企業と実際の実需者、日本の場合ですと小規模な農家が多いわけですけれども、圧倒的な力の差があります。この場合、企業の参入を、イコールフッティングという言葉の下に参入を促しますと、ある意味では排除の論理が働くことになります。
 現在、国際的な枠組みであります持続可能な開発目標においては、包摂、様々なアクターが開発のプロセスに参加することが求められており、日本国政府もその基準に従って戦略を作っております。国家がやるべきことは、企業に形式的なイコールフッティングを与えるのではなく、実際のその企業の暴走を制御すること、そのことが役割だと思っております。
 国民と食料の関係を表す言葉には、食料安全保障という言葉と食料主権という言葉がございます。食料安全保障は、皆さんよく御存じのように食料を確保していくことですけれども、食料主権は、国家国民や農民が自主的に食料に関わる意思決定を行う権利というふうに定義されています。簡単に言いますと、国、地域又はそのコミュニティー、自治体レベル又は市町村レベルですけれども、その地域で何を作り何を食べるかという自律を保つことを決定する権利です。これは、国の主権、国民の主権に基づく概念だと思います。
 今、国の農業の競争力を強化する、このこと自体は非常に大切なことだというふうに考えますが、産業的な農業、競争力のある農業を保つためには多様な農家が参加できるシステムをつくる必要があると思います。その多様な農家が参加するためには、やはり今現在のシステムの中にある都道府県の普及のシステム、奨励品種のシステム、そのようなシステムによって、誰でもが良質な種子を安定した形でアクセスすることができるという、このシステムを継続することが必要だと思います。もし、そのシステムがなく、多様な農家の参画するシステムが確保されないのであれば、その多様なシステムというのは池のようなものだと考えます。そして、産業競争力のある農業というのは、その池に浮かんでいるボートのようなものだというふうに考えます。ボートだけを生かそうと思っても、池が干上がってしまっては日本の農業の将来はないというふうに考えていますので、その将来を支えている種子法を廃止する法案に関しては、私自身はかなり大きな問題を、大きな禍根を残すのではないかというふうに考えております。
 ありがとうございました。
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渡辺猛之#5
○委員長(渡辺猛之君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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進藤金日子#6
○進藤金日子君 自由民主党の進藤金日子でございます。
 お二人の参考人の方々から御意見、貴重な御意見を賜りました。本当に感謝を申し上げたいと思います。
 冒頭、私の方から確認をさせていただきたいのですけれども、食糧の安定供給というのはこれ国の責務であります。一方で、この種子法というのは、御案内のとおり、米、麦、大豆、いわゆる主要農作物の種子の生産、生産に関して、都道府県に種子生産圃場の指定だとか圃場審査、生産物検査、あるいは審査証明書の交付などを義務付けているわけであります。一方で、種子の品種開発の方は、国、地方公共団体、民間企業等で広く行われているわけですが、これは種苗法によって品種登録されて知的財産権として保護されているということであります。ここの混同をされると少し議論がかみ合わなくなると思いますから、ここをしっかりと押さえておく必要があるんだろうというふうに思います。
 今回の種子法の廃止によりまして、この種子の生産に関する都道府県の義務がなくなるということであります。従来の取組については、先ほど佐藤参考人の方からございましたけれども、これは都道府県が自主的に行っていくということになるわけであります。そういった中で、まず佐藤参考人にお尋ねしたいと思います。
 種子法廃止によりまして、これは確認という意味で、御意見の中で随分おっしゃられたことあると思いますが、改めて確認という趣旨で質問をさせていただきたいと思うんですが、この種子法の廃止によりまして、一般的に、種子生産に関して都道府県に対する義務がなくなれば、従来と比較して都道府県の種子生産に対する取組が後退する懸念、これは秋田の方からもいろいろあったというふうにお伺いしましたが、実際そういう懸念があるんだろうと思います。これに対しては本当にどのようにお考えか、明確にお答えいただければと思います。
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佐藤博#7
○参考人(佐藤博君) まず、稲、麦、大豆の主要農作物、これは本県の基幹作物でありまして、その生産を支えておりますこの種子、この生産業務から県が手を引く、取組が後退するということはこれはあり得ません。そもそも、本県の農業振興、これのもう根本に関わることでございますので、それはあり得ないということをしっかりと申し上げておきたいと思います。
 法の存廃に関わらず、県が直接行っておりますこの原種、原原種の生産も、それから産米改良協会と行っております、連携しながら行っております一般種子の生産につきましても、これまで同様取り組んでいく考えでございまして、安定供給にこの後支障を来すということはないというふうに思ってございます。
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進藤金日子#8
○進藤金日子君 ありがとうございました。
 今はもう基幹作物、秋田は米でございますから、少なくともこの秋田県においては、種子法廃止で義務がなくなってもこれはもうしっかりと種子生産に対応していくということが明言されたところでございます。
 実は私も県での勤務経験ありますが、これ、各県の農林水産担当部局って真剣勝負でやっています、やはり地域の産業を守るという視点で。今回の種子法の義務を外されたら県がやらなくなるんじゃないかと、私は、県の方々、本当にその辺については極めて遺憾に思っているところがあるんだろうというふうに思うわけです。私は、どの県においても責任持ってやっておられますから、現実的には責任持って、この種子法の廃止で従来の取組後退するなんということはないように頑張っていくんだろうなというふうに私自身も感じているところでございます。
 引き続き、あと、佐藤参考人、ちょっと深掘りしまして、種子法の廃止によりまして、都道府県の義務、これなくなるわけですが、今度はそうなると、どうしても、やろうという意思はあるんだけれども、根拠法がなくなりますから体制が弱体化したりして、こういった中で主要農作物の安定的な種子供給に支障が出るんじゃないかという声もこれあるわけですけれども、これちょっと重なるかもしれません、これについてあえてまたお答えいただければと思います。
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佐藤博#9
○参考人(佐藤博君) 従来から、まず、県が開発した品種等々、奨励品種等ですね、こうしたものについてはきっちり原種、原原種生産も行って、一般種子につきましては種子組合を中心にして生産、供給してもらっています。全体の需給、当然これは、種子といえどもこれは農作物でございますので、足りなくなるという面から見ますと、例えば、新しい品種が出た場合に、当初の見込みよりも生産現場の方で作付けが拡大すると。それから、逆に、生産を予定していた一般採種圃でなぜか災害が起こった、若しくは病気が起こったと、ないようにはしてございますけれども、これはやっぱり作物でございますので分からないと、そういった需給の過不足というのは当然これは想定されることでございます。
 本県にあっては、種子、産米改良協会と一緒になりまして、まず二月に翌年の要するに年間の需給をしっかりとこれを計画を立てまして、それに基づきまして、一般の採種圃の方に計画、圃場の認定も含めてしっかりと計画を提示しながら、計画的に生産をしてもらうと。途中途中で必ず需要と供給の方のバランスが崩れないかということをアンテナを高くして、定期的にそういった情報交換を行いながら全体の調整を図っているというふうなことでございまして、これにつきましても、この後引き続きしっかりと取り組んでいきたいと。
 また、この後、県の奨励品種にする云々にかかわらず、民間の種子等々、それから他県の種子等ありますので、そういったものも種子の供給につきましては今手を着けてございませんけれども、そういったものの需給につきましても産米改良協会を中心にして、できるだけ県内でしっかりとその需給が図れるような形で取り組んでいくというふうなことでございます。
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進藤金日子#10
○進藤金日子君 本当にありがとうございます。
 本当に県の責任者として、しっかりとしたこの前向きな御回答をいただきまして、本当にありがとうございます。
 次に、西川参考人にお尋ねしたいと思います。
 西川参考人の三ページの資料ございますけれども、種子に関するシステムとはということがございます。ここで、フォーマルのところというのは、これは種苗法で管理ということですが、これはむしろ種子開発と管理の部分、これ、知的財産権保護されてきますから、そういった面での種苗法の範疇、ところが、この種子法のところがこの中に見えてこないわけですね。種子法というのは生産ですから、開発あっての生産、そこの生産の部分に権利義務を掛けているということですから、むしろ、このインフォーマルのところを農家自身による取引、書いていますが、このフォーマルのところはむしろ種苗法であって、インフォーマルとフォーマルの間の中に、生産で県がしっかりと義務を課している、負っているということではないのかなと。
 このフォーマルの中に種子法を入れていくというのはいかがなものかなという気も、あるいはインフォーマルの中に種子法を入れていくというのも少しちょっといかがなものかなという気がするので、その辺についてはいかがでしょうか。
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西
西川芳昭#11
○参考人(西川芳昭君) 御質問ありがとうございます。
 まさに、今おっしゃいましたように、種子法の位置付けがフォーマルでもなくインフォーマルでもない、ここの連携の部分を明確に法律で定めているところに日本のシステムの独特の部分があって、これがグッドプラクティスだというふうに申し上げております。種苗法が品種改良であり、種子の増産供給が種子法であるという区別は理解しております。
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進藤金日子#12
○進藤金日子君 法律で義務を課しているからこの中で連携しているということ、これは戦後はあったのかもしれません。しかしながら、今は、佐藤参考人言われましたように、むしろ、その義務を外してもしっかり連携していくということを言われているわけですから、むしろ発展的にということを言っていますので、この辺についてはもう少し深く、先生言われること、よく理解できるんですが、その辺についてもまた深めていく必要があるのかなという気がいたします。
 一方で、この種子法廃止によりまして、都道府県の種子生産に関する義務がなくなるわけですが、この米、麦、大豆の種子生産は都道府県が自主的に行うことになるわけです。これに関する懸念なり問題点、西川参考人、何かありましたら教えていただければと思います。
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西
西川芳昭#13
○参考人(西川芳昭君) ありがとうございます。
 先ほども一部出てきましたけれども、県のそれぞれの取組というふうになりますと、やはり財政的な根拠、現在様々な種子増殖に関する資金的な裏付けというのはこの種子法が根拠になっておりますので、やはり各都道府県、もちろん秋田県のような農業県では最大限の努力をされると思いますけれども、やはり根拠法が後ろにあるのとないのとでは異なっているというふうに思います。
 一例を挙げますと、例えば平成五年、六年のあの冷害のときなどは、例えばその時期に普及しましたかけはしという品種がありますけれども、この品種などは、当該年度の二月の時点で種が足りないということになったときに、岩手県から沖縄県に申し入れて、沖縄県の協力を得て、岩手県の普及員が現地に行って指導する。沖縄県の普及員が岩手県の品種のことは分からないわけですよね。そういうふうなことを実際に実施するときに、それは国の機関である農水省が間に入って行われた、このようなすばらしいシステムがあったと思います。これが、種子法がなくなることによってこのような連携がスムーズにいくかどうか。もちろん最大限の努力、県のネットワークもあると思います、されるとは思いますけれども、やはりこういうソフトのインフラである法律というものは残した方がいいと私は考えております。
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進藤金日子#14
○進藤金日子君 ありがとうございます。
 各県連携のシステムのところ、これは種子法で担保されているわけではなくて、そこは今県の中で自主的に農水省あるいは農研機構、これは連携してやっているんだろうというふうに思うわけですので、その辺については余り種子法の廃止とは直接的には関連はないのかなという気はしておりますが、そこはまた注意していく必要があるんだろうというふうに思います。
 次に、佐藤参考人にお尋ねしたいと思います。
 今、西川参考人の方からも財政的な話がございました。これは、種子法が廃止されても国は種子生産に関して引き続き従来どおり地方財政措置、これしっかりやるんだということを委員会の場でも答弁いただいているわけですけれども、これは佐藤参考人の方からも先ほど強い申入れがございました。
 ところで、現在県で行っている種子生産に関して、種子法による義務だからやっているという意識、本当、職員の方あるんでしょうかということを一点と、それから、県の中の財政部局だとか総務部局との折衝で種子生産に関する予算とか人員、これやると思いますが、現実的に種子法に基づく義務だからという理屈、いわゆるそれを種子法の根拠にして予算とか人員を確保しているのかどうか、そこを教えていただければと思います。
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佐藤博#15
○参考人(佐藤博君) 結論から申し上げまして、まずそれは実質的にはないですね。当然、県の予算査定、担当から順番に、財政課長調整、査定、それから総務部長調整、最後に知事査定という形で段取りを踏んでいきますけれども、担当レベルの提出資料の中には、国もそうでしょうけれども、もう相当の資料、事細かにいろんな資料がありますので、そうした中に主要農産物種子法と、これが根拠になった法律ですよというふうな、そういう記載は多分あろうかと思います。
 予算のことに関しまして様々巷間言われておりますけれども、まず、県の財政が厳しい中で、不要不急の予算、これは当然おのずと削減されることでありますし、それから少ない経費で最大の効果を求められると、これもまた当然のことでございます。農業県秋田で、しかもこの基幹作物の米等の品種の例えば開発ですとか種子の生産に関わるものが、予算が、少なくともこの法の廃止をもって削減されるですとか後退するということはまずあり得ないですし、当県の知事はそういうことはしないというふうに申し上げておきたいというふうに思ってございます。
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進藤金日子#16
○進藤金日子君 ありがとうございます。
 今、佐藤参考人の発言の中で、やはりこれ種子法が制定されてからもうこれ六十年以上たつわけでありますから、ほとんどもう義務化しなくても定着しているというふうに私は認識していいのかなと今の御意見聞いて感じたわけでございますが、一方で、外食、中食、業務用のお話しされました。これ、今度輸出米ということも出てくるんだろうというふうに思います。
 その中で、佐藤参考人、民間との連携でこれから伸ばしていくんだということも先ほど御意見の中で言われておりましたけれども、今後、種子法が廃止されてから、いわゆるそういう意味では縛りがなくなってくるところあるんですが、民間との連携というところについてどのような展望をお持ちなのか、この御意見をいただければと思います。
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佐藤博#17
○参考人(佐藤博君) 輸出というお話がございましたけれども、例えばその業務用への対応ですとか輸出への対応、特に、平成三十年問題を今控えまして、現場では需要に応じた生産ということで、特に本県がそういう課題を持っているせいかどうか分かりませんけれども、いずれこれまでの家庭食中心から、当然今三割、四割と言われている業務用、これが拡大するわけでございますので、こちらの方により重きを置いた対応というのがこれから多分産地の方で求められてくるだろうと。
 そうした場合に、民間が例えばそういった食のトレンドですとか消費者、実需者のニーズをいち早くつかまえている、それから場合によってはその出口の実需者をセットで種子の販売と産地の方に提案してくると。こういう、どちらかといいますと我々行政サイドなり場合によっては農業団体の方でも少し手薄な部分、要するに民間の得意な分野、こういったものを何とかこの農業の所得拡大に生かしていければなという、こういう思いがございます。
 そうした中で、基本的にこれからも本県では県が開発した品種、これがまず主体になる、これは間違いございませんけれども、様々なニーズの変化はございますし、その変化が非常に激しくなってございますので、そういったものにいち早くスピーディーに対応するとすれば、こうした民間の種子を取り入れるですとか、それから一緒にそうした需要に合った品種を開発していくと。今日明日云々という話ではございませんけれども、そういったことというのは我々も考えていかなきゃいけないし、そういった戦略がこれから多分県の方にも求められてくるだろうと。
 それを実現することによってやはり農家の所得向上につなげていくというのが、今こういった米の情勢が非常に目まぐるしく変わっている中で、県なりに求められている一つの姿勢でないかなというふうに私は思ってございます。
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渡辺猛之#18
○委員長(渡辺猛之君) 時間が参りましたので、おまとめください。
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進藤金日子#19
○進藤金日子君 時間が参りましたので、本当にお二人の参考人の方々、貴重な御意見ありがとうございました。特に佐藤参考人、民間の参入も含めて前向きな展望をお示しいただきまして、本当にありがとうございました。
 私の質問を終えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
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小川勝也#20
○小川勝也君 民進党・新緑風会の小川勝也でございます。私、北海道選出でございます。
 今日は、両参考人、ありがとうございました。特に佐藤参考人からは、米どころでもあります秋田県の農政全般をお示しいただいた後、今回のこの廃止法案に対する考えを述べていただきました。私なりに受け止めさせていただいたのは、主要農産物種子法が廃止された後にも、今まで取り組んできた主要農産物の種子に対するしっかりとした対策、対応をしていくという決意を伺ったというふうに私は受け止めさせていただいております。
 しかしながら、秋田県の方は大体人がいい人が多いものですから、受け止めが少し優しいなというふうに思っています。
 この法案がなぜ廃止されるのかということであります。農業競争力強化プログラムの決定の一部を読ませていただきますと、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農産物種子法は廃止する、こう書いてあるんですね。ですから、いわゆる阻害しているので、民間が参入をする、させるために廃止をするわけでありますので、例えば佐藤参考人は、この種子法が廃止された後も交付税さえあれば県は頑張っていきますよと、こういう意欲を示されましたけれども、政府はこの根拠法がなくなれば都道府県に対する地方交付税を削減する理由を得るわけでありますので、民間が参入しやすくなるようにこの法案を廃止することにのっとって正しい行政を実施するということは、県がやる部分を減らして民間がやれというのが農林水産省の指導になってくるわけであります。
 この若干意地悪な質問でありますけれども、そのことに対する佐藤参考人の受け止めはいかがでしょうか。
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佐藤博#21
○参考人(佐藤博君) 済みません、ちょっと質問の御趣旨がなかなか理解できないんですけど、難しくてですね。
 民間の種子が、例えば、今現在余り、まあほとんどと言った方がいいかもしれませんね、奨励品種に採用されていないというふうなこの理由、様々あろうかと思います。いろんな要素が複雑に複層的に絡んでいることだと思いますけれども、私が考えるに、大きく分けて三つぐらいあるんではないかなと思いますね。
 一つは、県にとって、農家にとってこれまで、これまでといいますか、有益なそういった品種、例えばさっき私が説明で申し上げましたような豊田通商のしきゆたかみたいな、ああいった極めて多収で、そういった品種、従来の品種に比べて収量ですとか食味とかそういう面で著しい有利性を有する品種が奨励品種となるわけでございますけれども、そういった候補になるようなものがそもそもなかったということもかつてはあったと思います。最近出てきたというのが我々の印象でございます。まずそれが一点でございます。品種自体があったかどうかという話ですね。
 それと二点目は、これまで、今までは、今ほど、何といいますか、マーケットのいろんなニーズが細分化、多様化しておらず、県としても県の農業振興方針なり気象、立地条件に合った、そういった実情に応じたものを踏まえながら自ら開発した品種で十分事足りていたということで、民間の品種を積極的に採用する必要性に乏しかったと、かつては。まあ今は違うと私は思いますけどね。これがまず二つ目。要するに、取り巻く情勢がかつてと今では違うだろうなと。これが二つ目でございます。
 もう一点が、三点目として、県に対してその奨励品種の決定試験ですとか原原種の生産を義務付けている一方、仮に優れた民間品種があったとしても、県にその採用を申請するような、そういったシステムといいますか、そういった形になっておりませんので、言わば民間品種を県の奨励品種に位置付けるよう積極的に普及するということが果たして制度上想定されていたのかなというふうな気もしてございます。私どもの意識も問題もあると思いますけれども、少なくとも県から見ると想定しづらいといいますか、そういったこともなかなか普及しないということがあったのではないかなというふうに思ってございます。
 先生の御質問に対する御答弁になっておるのかどうか分かりませんけれども、そのように考えてございまして、やはり制度的な面も心理的な面も含めて、意識する意識しないにかかわらず、やっぱりこの法律では、県が品種開発から原原種、原種の生産、そして一般種子へ、そして生産されたもののマーケティング、流通、販売対策も含めて、やっぱり一気通貫でやるような法制度といいますか、制度というふうに県の方ではやっぱりどうしても認識せざるを得ないような形になっているのではないかなというふうに思ってございます。
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小川勝也#22
○小川勝也君 この法案の廃止は、民間が主体的に、いわゆる主要農産物の種子の世界にも参入するということが明確に書かれているわけであります。
 次は西川参考人にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、今、県の農政の御担当から、今までの主要農産物種子法で問題はなかったというふうに発言を私は伺ったというふうに考えております。なのに、今国会の主要農産物種子法は、修正でもなく改正でもなく廃止。これは、政府のどういう意図を持ってこの主要農産物種子法を廃止するというふうになったと類推、拝察されるのか、西川参考人のお立場でお答えをいただきたいと思います。
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西
西川芳昭#23
○参考人(西川芳昭君) 類推、知る限りにおいての回答になるんですけど、やはり今回の全体が農業競争力強化支援法との関連においてといいますか、その枠組みの中での議論ですので、やはり外資の導入というふうなことが背景にあるということは推察されるかと思います。しかも、ピンポイントで、農業のいろんな生産資材の中で、ほかの部分でももちろん議論されていますが、種子法の廃止に関しては、主要作物の種子の生産の部分にピンポイントで外資が参入できるということが意識されているということは、やはり国民としては非常に懸念されると思います。
 実際、一九八六年以降の種子法では、その通達で、奨励品種にしましても、いろんな制度は民間の参入を決して拒んではおりませんので、先ほど佐藤参考人がおっしゃったように、今までの制度で何の問題もなかったと、たまたま民間が入ってこなかっただけだというふうなことなので、この背景にあるのは、やはり特定の種子という分野に、外国の企業を含めて、多国籍企業を念頭に置いて参入を促進したいという意図があるというふうに推測しております。あくまでも推測であります。
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小川勝也#24
○小川勝也君 私も家庭菜園をやっておりまして、園芸ショップで買ってきた種を見ますと、外国で生産された種子が当然あります。それから、当然のことながら、主要農産物以外の種子はほとんど民間が作っているわけであります。なのに、この主要農産物というふうに書かれていることに私は意義があるんだというふうに思います。いわゆる稲、大豆、麦、この主要という言葉に非常に大事な意味がこもっているということを含めて、この主要農産物の種子、それからそれ以外の種子、あるいは国、県、民間の役割、このことについてどのように整理をしたらいいのか、改めて西川参考人の所見をお伺いをしたいというふうに思いますが。
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西
西川芳昭#25
○参考人(西川芳昭君) ありがとうございます。
 おっしゃいましたように、主要農作物というところが係っていることが非常に重要だと思います。私たち一人一人の国民にとって、食べていくことができるこの種子の確保を、増殖を国が責任を持って県に義務を課し、それぞれの地域に合ったものを生産するということを保障していると。これが園芸作物であれば、もしかすれば、今年はバラの花を見ないで過ごそうと、そういうこともあり得ると思います。ただ、米、麦、大豆に関してそのようなことを私たちはできないわけです。
 実際、例えば民間参入の最も進んでいると考えられるアメリカ等におきましても、主要な作物の品種開発及び増殖に関しては、州立大学、州の農業試験場等々ですね、公立の機関、パブリックドメインというような形で遺伝資源の場合言いますけれども、公的な機関の中にある分野が、主要な作物、それぞれの国にとって大切な作物は責任を持っております。もちろん、民間参入を拒んではいません、比率としては六割、七割というようなところが公的なものですけれども。したがって、私たちの国の場合でも、やはり、国、県等、公共的な組織が主要作物に関しては責任を持っていくべきだと思います。
 一方で、民間も当然活力を生かしていくことができると思いますし、種子の生産に特化して種子法を廃止しなくても、生産物の加工とか流通とか、そういうところで現在も民間はいろんな場で活躍していますし、長くなって申し訳ありません、あと三十秒だけあれですけれども、例えば大分県に「いいちこ」という焼酎を造っている会社がありますけれども、下町のナポレオンと言いながら、あの焼酎は一〇〇%オーストラリアからの輸入の大麦を使っていますけれども、あの会社はニシノホシという純国産の大麦を使った焼酎を造っているんです。これは、旧農水省の九州農業試験場が、蒸留用に最も優れた品種で大分県の宇佐平野に適した品種を開発し、大分県がそれを奨励して、結果として「いいちこ」が市場価格よりも高い価格で買い入れた形で市場に流していると、こういう形での国、県、民間の連携というのは現時点での種子法の下でもできたわけで、種子法が民間のいろんな形、民間の活力の参入を阻止、阻んでいるというふうに私は考えておりませんので、国と県、それから民間の役割の分担というのは、今後とも、その時代に合ったものを作っていく必要はあると思いますが、廃止をする必要はないというふうに考えております。
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小川勝也#26
○小川勝也君 続いて、西川参考人に教えていただきたいんですが、私は少し疑り深い性格でありまして、民間企業というのはこれ営利企業でありますので、いわゆる種子をめぐってマーケットを確立したら、利潤を上げようと思います。そうしますと、種子の値段を上げる可能性があります。それから、リスクの一端では、その種子をしっかり押さえている企業が倒産をすることもあります。それから、その種子をしっかり押さえている国内メーカーが海外の企業に買収されるリスクがある、これも否めないというふうに思います。
 ですから、主要農産物に限ってこの種子法が存在していると私は理解しているわけでありますけれども、私の考えるこのリスクについて、西川参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
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西
西川芳昭#27
○参考人(西川芳昭君) まず、価格面ですけれども、今でも民間の育種の品種というものの種子の価格が非常に高くなっております。農水省自身が出されておる数字でも三倍とか五倍とか、そういうふうな形に、みつひかりとかですね、そういう品種で出しておりますので、今後、民間になると、種子の値段というのは非常に不安定になる、高くなる一方ではないと思いますが、不安定になるということを考えております。
 それから、外資が入ってくる又は日本の企業が外資に買収されるというようなことになりますと、先ほども言いましたけれども、私たち国民が国家に委ねている遺伝資源が海外に流出する、それは私たちの、米、麦、大豆というのは私たちの生活の根幹に関わる、日本は資源が少ない国ですけれども、生物資源、特に稲の資源に関しては非常に豊かな、世界でも最も豊かな国の一つなんですけれども、これが流出するという危険性というのは私は非常に意識しておりますので、やはり種子法は、どういうんでしょう、このリスクから守る一つの手だてとなっているというふうに考えます。
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小川勝也#28
○小川勝也君 国会が、私たちがだらしないおかげでこの種子法がなくなるわけでありますので、大変残念な思いでいっぱいであります。しかし、佐藤参考人からは、この主要農産物種子法が廃止されても県はしっかりやることをやるんだという決意を伺ったことで、少し気持ちが、若干でありますけれども、明るくなりました。
 先ほど、意地悪な質問もさせていただきましたけれども、私たちは、秋田県やそれ以外の県がこれまでと同じ取組をすることを精いっぱい立法府として応援をさせていただきたいというふうに思っています。
 最後に、佐藤参考人の決意と国会や政府に対する要望を改めてお伺いをさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
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佐藤博#29
○参考人(佐藤博君) 先ほどから申し上げておりますように、これは多分、本県だけではなくて、先生の地元の北海道でも同じだと思います。少なくとも稲、麦、大豆、主要農産物を地域の基幹作物として振興している都道府県であれば、この法律が廃止された後もしっかり対応していくということで、これは多分どこの県も同じであろうと思ってございますし、当県でもしっかりと対応していきたいと。
 それから、先ほど委員からの御質問の中で、何かこれ、今のままでいいんだというふうなことの答弁があったというふうに先生がまとめられましたけれども、かつてはそうだったかもしれない、今ほど、そういった、何といいますか、新しいニーズに応えていく、いろんな変化の激しいニーズに応えていくということが求められている時代はないので、でもって、これまではよかったけれども、これから、じゃ、果たして、この法律が悪者とは言いませんけれども、これがあることによってそういったものがもしブレーキが掛かるようであれば、それは制度的に、若しくは都道府県職員の心理的、気持ちの面も含めてあれば、それはやはり廃止してしかるべきではないかなというふうに思ってございます。
 そういうことでございますので、よろしくお願いします。
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