議院運営委員会

2018-03-02 衆議院 全127発言

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会議録情報#0
平成三十年三月二日(金曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 石田 真敏君 理事 岸  信夫君
   理事 御法川信英君 理事 大塚 高司君
   理事 松本 洋平君 理事 熊田 裕通君
   理事 手塚 仁雄君 理事 牧  義夫君
   理事 伊藤  渉君
      井上 貴博君    岩田 和親君
      大隈 和英君    古賀  篤君
      田野瀬太道君    根本 幸典君
      百武 公親君    藤丸  敏君
      本田 太郎君    牧島かれん君
      海江田万里君    中谷 一馬君
      山内 康一君    伊藤 俊輔君
      津村 啓介君    福田 昭夫君
      塩川 鉄也君    遠藤  敬君
    …………………………………
   議長           大島 理森君
   副議長          赤松 広隆君
   事務総長         向大野新治君
   参考人
   (日本銀行総裁候補者(日本銀行総裁))      黒田 東彦君
    —————————————
委員の異動
三月二日
 辞任         補欠選任
  藤丸  敏君     岩田 和親君
  牧島かれん君     井上 貴博君
  山内 康一君     海江田万里君
  もとむら賢太郎君   津村 啓介君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 貴博君     牧島かれん君
  岩田 和親君     藤丸  敏君
  海江田万里君     山内 康一君
  津村 啓介君     もとむら賢太郎君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 日本銀行総裁任命につき同意を求めるの件
 次回の本会議等に関する件
     ————◇—————
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古屋圭司#1
○古屋委員長 これより会議を開きます。
 まず、日本銀行総裁任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る二月十六日の理事会において、西村内閣官房副長官から、内閣として、日本銀行総裁に黒田東彦君を再任いたしたい旨の内示がありました。
 つきましては、理事会の申合せに基づき、日本銀行総裁の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日、参考人として日本銀行総裁候補者黒田東彦君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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古屋圭司#2
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    —————————————
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古屋圭司#3
○古屋委員長 まず、議事の順序について申し上げます。
 最初に、黒田参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 それでは、黒田参考人、お願いいたします。
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黒田東彦#4
○黒田参考人 黒田でございます。
 本日は、日本銀行の政策・業務運営につきまして私の所信を述べる機会を賜り、深く感謝申し上げます。
 初めに、金融政策運営について申し述べます。
 私は、五年前の二〇一三年、日本銀行総裁を拝命いたしました。当時の日本経済は、長年のデフレにより経済の劣化が進んでおり、デフレからの早期脱却が最大の課題でした。そうした認識から、私は、政府との共同声明において、日本銀行は二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するとしていたことを踏まえ、総裁就任直後、大胆な金融緩和策である量的・質的金融緩和を導入しました。その後も、経済・物価情勢の変化に対し、必要な政策対応を行ってまいりました。現在は、長短金利操作つき量的・質的金融緩和という世界でも初めての措置により、極めて緩和的な金融環境を整えています。
 日本経済はこの五年間で大きく好転し、戦後二番目の長さとなる景気回復が続いています。企業収益は既往ピークを更新し、労働市場がほぼ完全雇用となる中、賃金も緩やかながら着実に上昇しています。物価面でも、生鮮食品、エネルギーを除いた消費者物価の前年比は、二〇一三年秋にプラスに転じた後、ほぼ一貫して前年比プラスで推移しています。日本経済は、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっています。
 このように、経済・物価情勢は大幅に改善しましたが、二%の物価安定の目標は実現できていません。原油価格の大幅な下落なども影響しましたが、より大きな要因は、長年にわたるデフレの経験から、家計、企業経営者の間に根づいたデフレマインドです。価格が上昇しないことを期待した経済行動が定着しており、こうした期待を変えていくには、ある程度時間を要することが明らかになってきました。
 もっとも、粘り強い金融緩和のもと、持続的な景気回復と労働需給のタイト化、賃金引上げに向けた政府のサポートなどもあり、情勢は着実に変化しています。賃金、物価は緩やかに上昇し、人々のインフレ予想も上向いており、日本経済はデフレ脱却に向けた道筋を着実に歩んでいます。現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことにより、物価安定の目標を実現できると考えています。
 総裁として再任されましたならば、引き続き、政府と連携しながら、日本経済のデフレ脱却への歩みをしっかりとサポートし、二%の物価安定の目標実現への総仕上げを果たすべく、全力で取り組んでまいる覚悟です。
 この間、強力な金融緩和が続くもとで、金融システムや年金運用などに与える影響、金融緩和からの出口戦略や日本銀行の財務をめぐるさまざまな議論があることは承知しております。これらの論点についても十分な検討を行いながら、二%の物価安定の目標の実現を最優先に政策運営を行ってまいりたいと思います。
 また、金融システムや金融市場の安定を図っていくことも、日本銀行の重要な役割です。特に、金融規制については、各国の政府当局、中央銀行の間での連携協力が一段と重要性を増しており、いわゆるバーゼル3の最終化では、政府と連携して強力な国際交渉を行いました。さらに、日本銀行は、銀行券の流通や日銀ネットの運用など決済システムの中核を担っております。熊本地震等の災害時も含め、こうした業務が円滑に行われるよう取り組んでいます。また、新しい情報通信技術を金融面に応用するフィンテックが金融サービスの向上や持続的成長に資するよう、さまざまな研究や金融機関等へのサポートも行っています。
 こうした多様な機能、役割を持つ日本銀行を、私は、この五年間、陣頭指揮してまいりました。この間の経験も生かし、日本銀行の持つ総合力を一層引き出すことにより、金融面から日本経済のさらなる発展に貢献したいと考えております。
 最後に、金融市場や海外とのコミュニケーションの重要性について述べさせていただきます。
 本年初来、国内外の金融市場で大きな変動が見られました。経済、金融がグローバル化した現在、各国の中央銀行や政策当局者と緊密に連携するとともに、内外の金融市場に対し適切に情報発信することも、中央銀行総裁の大事な役割です。財務省財務官、アジア開発銀行総裁、そして日本銀行総裁として培った知見、人脈を最大限活用し、そうした役割を十分に果たしてまいりたいと存じます。
 日本経済が極めて重要な局面にある現在、引き続き日本経済のために貢献できる機会を与えていただくことになれば、これまでの経験を生かしながら、全身全霊を込めて職務に邁進していく所存であります。
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古屋圭司#5
○古屋委員長 ありがとうございました。
 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。
 理事会の申合せに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。
    —————————————
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古屋圭司#6
○古屋委員長 これより黒田参考人の所信に対する質疑を行います。
 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次十分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。
 御法川信英君。
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御法川信英#7
○御法川委員 自由民主党の御法川でございます。
 きょうは、お時間をいただきましてありがとうございました。
 国会同意人事の中で、今回、最も注目されていると言っても過言ではない黒田総裁の再任ということに関しましての所信の聴取、そして我々の質疑ということでございます。
 黒田総裁の御活躍あるいはお考えについては、衆議院の予算委員会あるいは財務金融委員会等々でしばしばそれを開陳していただいて、我々もよくわかっているところでございますが、本日、こういう機会でございますので、改めて、さまざまなお考えをお聞きしたいというふうに思っております。
 最初の所信の中でも触れられておりましたけれども、二〇一三年に総裁に就任されて後の五年間、政府との共同声明を皮切りとしてさまざまな政策、これは、まずはデフレ脱却に向けてできることは全てやるという形で、さまざまな政策を実行してきたというふうに理解をしております。
 この五年間を振り返って、まずは、アベノミクス、経済政策全体をどう評価なされるか、この点についてお聞きをしたいと思います。
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黒田東彦#8
○黒田参考人 アベノミクスは、いわゆる三本の矢、すなわち、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略、こういう三つ組みの政策体系でありますけれども、日本経済がデフレから脱却して、物価安定のもとで持続的な成長を実現していく上では必要かつ適切な政策の組合せだと考えております。
 日本銀行は、二〇一三年四月に量的・質的金融緩和を導入して以来、一貫して強力な金融緩和を推進してまいりました。これにより実現している緩和的な金融環境というものは、企業や家計のさまざまな経済活動を強力にサポートしているというふうに思っております。
 また、第二の矢である機動的な財政政策というものは、累次にわたる経済対策の実行を通じて効果的に需要を創出してきたというふうに思います。また、こうした政策は、日本銀行の金融緩和政策によって生み出された緩和的な金融環境との間で、いわば相乗的な効果を発揮しているというふうにも見ております。
 また、第三の矢である成長戦略についても、ここ数年、着実な取組が見られておりまして、特に、女性の労働参加の高まり、あるいは外国人観光客の大幅な増加など、その成果もしっかりとあらわれてきているというふうに思います。
 こうした中で、我が国の経済・物価情勢は大きく改善したということであろうと思っております。
 企業収益は過去最高水準で推移しておりますし、労働市場はほぼ完全雇用となっております。きょう発表された失業率が二・四%というのはやや驚くべき数字で、二・四が続くかどうかわかりませんが、少なくとも、完全雇用と言えるような状態になっておるということであります。
 賃金、物価についてはまだ、やや弱目の状況でありますけれども、少なくとも、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっているというふうに思います。
 先行き、日本経済が持続的な成長を達成していくためには、今後とも、こうした取組をしっかりと続けていく必要があるというふうに思っております。
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御法川信英#9
○御法川委員 ちょっと意地悪な質問をするつもりはございませんけれども、物価の持続的な下落という意味でのデフレではもうないという表現を所信でもなされております。今の御答弁でもそれがありました。であれば、別の意味でのデフレというのはあるのかという話になると思いますが、この点についてどうでしょうか。
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黒田東彦#10
○黒田参考人 これは、特に政府においてはっきりとそういうふうに言われているわけですけれども、もはやデフレではない状況であるということはもうはっきりしているわけです。
 他方で、デフレから脱却したというふうに宣言できるかどうかということについては、政府は、デフレでない状況が実現した上で、今後またデフレに逆戻りするようなことがないという確信が持てるような状況かどうかということを幾つかの経済指標で見て総合的に判断するというふうに言われておるということであろうと思います。
 なお、日本銀行としては、他の主要中央銀行と同様に、二%の物価安定の目標を達成するということが物価の安定であるというふうに考えております。
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御法川信英#11
○御法川委員 ありがとうございました。
 その物価安定目標でございますけれども、私も、過去の五年間の日本の経済情勢というのは、まあ、マクロ的に見ればかなり好転をしてきているというふうに思いますが、やはりこの二%の物価安定、まだ実現できていないというのも現実だというふうに思っております。
 この二%が過去五年間で実現できなかった理由あるいはその背景等について、総裁はどのようにお考えでしょうか。
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黒田東彦#12
○黒田参考人 この点につきましては、二〇一六年の九月に公表いたしました総括的な検証でかなり詳しく示しております。すなわち、二〇一四年以降の原油価格の大幅な下落、それから消費税率引上げ後の需要の弱さ、さらには、新興国経済の減速とそのもとでの国際金融市場の不安定な動きといった要因によって、実際の物価上昇率が下落して、もともと実際の物価上昇率に引きずられがちな、人々の予想物価上昇率自体も下押しされてしまったということが主な原因あるいは理由であるというふうに考えております。
 こうした点に加えまして、先ほども申し上げたように、やはり人々の間に根づいてしまったデフレマインドの転換には時間がかかる、企業の賃金、価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっているということも、労働需給がこれだけ引き締まって、そして、史上最高の企業収益があるにもかかわらず、物価の上昇ペースが鈍い大きな理由ではないかというふうに見ております。
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御法川信英#13
○御法川委員 ありがとうございます。
 引き続き、この点については、もし再任なされれば取り組んでいくということだと思いますけれども、そこなんですが、原油の下落等々、なかなか予想しがたいさまざまな要因が今後発生することも考えられることだということは十分承知の上でお聞きをしますが、今後、この二%を達成するためにどういうことをしなくちゃいけないか。金融政策の運営方針について、御所見を伺いたいと思います。
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黒田東彦#14
○黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、我が国の物価というのはまだ、現状、弱目の動きが続いているわけですけれども、他方で、二%へ向けたモメンタムはしっかりと維持されているのではないか。
 これは、毎回の金融政策決定会合で議論いたしまして、本当にモメンタムが維持されているかどうか、そして、その先行きの物価の見通しはどうかということは議論しているわけでございますが、その中でも、特にマクロ的な需給ギャップが改善を続けておる、それから、その中で、やはり企業の価格設定あるいは賃金設定スタンスも次第に積極化していき、中期的な予想物価上昇率も着実に上昇していくというふうに見ておりまして、消費者物価の前年比が二%に向けて上昇を高めていくというふうに考えております。
 具体的な二%に達する時期については、展望レポート等でも示しておりますとおり、二〇一九年度ころになる、その可能性が高いというふうに見ております。
 なお、これも毎回の金融政策決定会合で議論しているわけですけれども、二%へ向けてのモメンタムが維持されているかどうかということを十分に分析して、必要があれば、金融政策の調整も行うということであります。
 今のところは、二%へ向けて着実に進んでいっている、そういうモメンタムが維持されているということなので、現在の量的・質的金融緩和の枠組みのもとでの金融政策、特に金融市場の調整方針というものを維持していく。
 ただ、それは、かたくなに、今の短期政策金利マイナス〇・一%、十年物国債の誘導目標ゼロ%程度というものを一切変更しないということではなくて、むしろ、必要あらば、さらなる緩和も検討する必要があろうというふうに思っております。
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御法川信英#15
○御法川委員 ありがとうございます。
 ちょっと日本の外を見ると、アメリカあるいは欧州は、金融政策正常化、プラス金利政策の方に向かっている中で、これは、もしかすると総裁、もちろん余り聞きたくない言葉かもしれませんが、出口論という話がやはり出てこざるを得ない。そういうこともあるのではないかなと思いますが、この出口論について、総裁の御見解を開陳いただければというふうに思います。
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黒田東彦#16
○黒田参考人 確かに、米国はもうはっきりと正常化のプロセスを進んでおりまして、拡大したバランスシートの縮小も昨年秋から始めました。短期金利は、もう数年前から少しずつ上げてきております。
 他方で、欧州の中央銀行は、金利はまだ当分据え置くと言っておりますけれども、国債の買入れのペースは緩めるということをことしから始めております。
 そうした中で、日本銀行はまだ依然として、長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで強力な金融緩和を粘り強く続けていくということの違いは、基本的にはやはり物価の動向でありまして、米欧では既に物価上昇率は一%台の半ばになっているわけですが、我が国の場合は、生鮮食品を除いたベースで〇・九%。実は、米国などと比較する場合には特に基準として引かれる生鮮食品とエネルギー品目を除きますと〇・四%ということで、いずれにいたしましても、まだ二%の目標との距離がかなりあるということでございますので、今直ちに出口のことを議論して云々するというのは適切でないと思いますけれども、もちろん、適宜の時期に当然出口についても議論をし、かつ、マーケットとも必要なタイミングでコミュニケーションを図っていくということは十分可能であるし、必要であるというふうに思っております。
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御法川信英#17
○御法川委員 ありがとうございます。
 今コミュニケーションという言葉が出ましたので、その点について一点お伺いをさせていただきたいと思いますが、これは、市場とのコミュニケーション、あるいはグローバルな意味でのコミュニケーション、日銀という組織の発信力というか、さまざまな意味がこのコミュニケーションという言葉には含まれるんだろうなというふうに想像いたしますけれども、総裁のお考えとして、このコミュニケーションの能力というか、が日銀として十分今発揮されているというふうにお考えかどうか、御所見をお伺いしたいと思います。
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黒田東彦#18
○黒田参考人 この点は実は米欧でもいろいろ議論が行われておりまして、私自身、昨年ですけれども、中央銀行のコミュニケーションに関するコンファレンスというのに参加をいたしまして、当時のジャネット・イエレンFRB議長、あるいはドラギECB総裁、マーク・カーニー・イングランド銀行総裁とともに、中央銀行のコミュニケーションのあり方というものを議論いたしました。
 基本的には皆さん同じなんですが、それはまさに、どういう金融経済情勢のときにどのような金融政策をとっていくかという枠組みというか基本的な方向、考え方というものを常に市場と対話してコミュニケートしていく必要があるということでありますが、他方で、御承知のように、フォワードルッキングという形で、市場に対して将来の金融政策を示すというか、コミットすることによって市場の金融情勢をコントロールしようという議論もあるわけです。
 この点についてはいろいろな議論がありまして、私自身は、何か特別なそういうことというよりも、きちっとした物価安定目標をできるだけ早期に実現するというコミットメントは必要だと思うんですが、余り、市場を誘導するようなことをやるのは必ずしも適切かどうかと。
 だから、一般的なフォワードルッキングなフォワードガイダンスというのはいいと思うんですけれども、何かコミュニケーションを通じて市場を誘導していこうというのは、基本的な対応として、物価安定目標とかそういうことは正しいと思うんですけれども、金利とかその他いろいろなことについて、コミュニケーションによって誘導していくというのが適切かどうかというのは、いろいろ意見が分かれるところじゃないかと思っております。
 そういう意味で、日本銀行としてのコミュニケーションポリシーというか、それはまさに、実際考えていることを正直に適切に市場にお伝えするということが一番正しいコミュニケーションポリシーではないかなというふうに考えております。
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御法川信英#19
○御法川委員 ありがとうございます。
 過去五年間やってきた大胆な金融緩和政策、これを継続していくことの副作用といいますか、例えば日銀財務への影響を懸念する、こういうような声もあるというふうに思いますけれども、この点について、総裁、どういう御見解でしょうか。
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黒田東彦#20
○黒田参考人 この点も、各国の中央銀行とも量的・質的金融緩和というものを続けてきましたので、そうした観点から、当然のことながら議論になるわけであります。特に、こういったことをやりますと、これを実施している間はバランスシートが拡大していきますので、収益が押し上げられる。一方で、出口になりますと、当座預金の付利金利を上げたりバランスシートを縮小したりということになると、収益が減少しやすいという特徴があるわけでございます。
 ただ、将来、経済・物価動向が、情勢が更に好転して、例えば日本銀行が付利金利を引き上げるという場合には、長期金利も当然相応に上昇するわけでありまして、当座預金に対する支払い利息がふえる一方で、日本銀行の保有国債については、徐々に、より高い利回りの国債に入れかわっていくということで、受取利息もふえる可能性がありまして、なかなか、実際の出口の戦略というか、出口でどういう手順でどのような方策をとっていくかによって、また金融市場の動向によっていろいろなケースが出てまいりますので、具体的に財務への影響を何かシミュレーションしたような形で示すということは適切でないと思います。
 私どもとしても、先ほど申し上げたように、量的・質的金融緩和を進める中で、収益が拡大し、その後収益が縮小するということに対応するために、既に債券取引損失引当金を拡充しておりまして、そうしたことで収益の振幅を平準化して、財務の健全性を確保しようということも一方でやっております。
 いずれにいたしましても、出口でどういう手順でどのようなことをするか。それが、金融市場がどのように動いているかということによっていろいろな状況があり得るので、私どもとして、当然、自分の財務ですから、私どもが一番、多分、深刻にというか真面目にというか、よく考えておりますけれども、二%の物価安定目標の達成のために、日銀財務についても十分配慮しながら、しかし、最優先の目標、使命というのはやはり物価の安定でございますので、それに向けてしっかりとした政策をとってまいりたいというふうに思っております。
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御法川信英#21
○御法川委員 ありがとうございます。
 私、いただいている時間はまだたくさんありますが、最後に一問だけお伺いさせていただきたいと思います。
 先ほどの失業率の話、直近の話で失業率二・四、ちょっと先進国では考えられないような数字がマクロ的には出てきている。一方で、足元、マクロとして見ないで現実の経済を見れば、人手不足とか、こういう話で、特に地方は、業種にもよるわけですけれども、かなり人手不足なんということが言われています。
 これは、あるものをどの角度から見るかということになるというふうには思いますけれども、この失業率一つとっても、失業率が低いからいいんだとだけ簡単に言えない部分というのがやはりあるのではないか。これは、マクロだけでない経済を見る見方というのはあるわけですので、その辺を総合的に考えてやはり経済というのは運営していかなくちゃならないし、政策というのは立案、そして実行していくべきだというふうに思いますけれども、この点について、総裁の御所見をいただければなというふうに思います。
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黒田東彦#22
○黒田参考人 私どもも、各地域にいろいろ参りまして、地域の経済人の方々といろいろな対話をしておりますし、また、日本銀行の各支店からさまざまな報告が参ります。
 そうした中で、御指摘のように、特に、労働集約的な業種を中心にして人手不足が深刻化しているという声が増加していることは事実でございます。
 他方で、中小企業も含めて多くの企業では、これに対応して、女性とか高齢者など多様な労働力の活用、あるいは勤務形態の見直しを行うほか、さらには、いわゆる省力化投資など、さまざまな工夫を積極的に行っておりますので、経済全体として、現時点で人手不足が景気拡大の制約に大きくなっているというふうには見ておりませんが、やはり中長期的に見れば、労働力の供給というものは、潜在成長率に対する制約要因になり得るわけでございます。
 したがいまして、やはり労働生産性の向上に向けたさまざまな努力というのが今後とも必要になるだろうというふうに思っております。金融緩和自体が何か潜在成長率を押し上げるということにはなりにくいわけですけれども、ただ、こういった人手不足の状況になる、あるいは金融緩和のもとで設備投資が容易になるということを通じて、労働生産性の向上にもつながっていき得るのではないかというふうに期待をしております。
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御法川信英#23
○御法川委員 ありがとうございました。
 再任なされたならば、引き続き日本経済の牽引役の大きな一人として御活躍なされますことを心から御期待申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
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古屋圭司#24
○古屋委員長 次に、海江田万里君。
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海江田万里#25
○海江田委員 立憲民主党の海江田万里でございます。
 黒田総裁、五年間、お疲れさまでございました。
 私は、実は、黒田総裁、続投はされないんじゃないかなと思っておりました。
 これまでの日銀の総裁の歴史、戦後の歴史ですが、続投されたのは、一万田総裁、あの方は法王と言われましたね。それから、その後が山際総裁。山際総裁のころは、私は新聞なんかを読むのが好きでしたから、名前を覚えているんです。二期目、途中で、残念ながら、御病気を得られましたけれども。そういうこれまでの歴史的な事実もあって、過去五十何年、だから五十二年ぶりぐらいですかね、これは。半世紀ですね。これだけ世の中のスピードが速い中で、五十何年ぶり。
 それから、先ほど総裁の所信表明もございましたけれども、やはり二%を達成できなかったと。先ほどの総裁の表現では、共同声明をやって、二%をできるだけ早期に実施というお話がありましたけれども、正直に言えば、二年で実施ということをおっしゃいましたね、これは。それが六たび延期をして、今、展望レポートでは一九年度中、これは先ほど総裁もお話ありましたけれども。
 私は、そうしたこの事実関係、こういうものを見ていったとき、そろそろ次の人にかわってもらう、そして、新たな、心機一転、日銀全体の気分を変えて、これから新たな金融政策、日本経済のかじ取りをやるというのが一つの考え方ではないだろうかと思っておりました。
 もちろん、内閣からの強い要請があったということは、自分から手を挙げたんじゃないということは私もよく承知をしておりますが、そういう内閣からの強い要請があっても、御本人の意思で、いや、ここはもうそろそろ潮どきじゃないかとおっしゃるのではないかと私は思っておりましたが、なぜそういうことに相ならなかったのか、その理由を御説明ください。
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黒田東彦#26
○黒田参考人 これはなかなか難しい御質問でありまして、個人的な感想というか個人的なことは、もちろんいろいろ申し上げられるわけでございます。
 他方で、日銀総裁、副総裁などは全て国会の同意を経て内閣が任命するということで、たしか二月十六日に内閣の方から、こういうことでということで同意を求める要請があったというふうに聞いておりますが、実は、私自身、その前の晩に要請がございまして、そのときに、これは翌日国会に同意人事を提示するのでそれまで一切誰にも言わないようにというふうに言われたんですが、前日にそういうふうに言われたわけでございます。
 そのときに私が考えましたことは、過去五年間、先ほど申し上げたように、さまざまな努力によってデフレではない状況にはなったものの、政府もまだデフレ脱却宣言はしておられない、日本銀行としては最も重要な二%の物価安定目標をまだ達成、実現できていないということについて、私を含めて、総裁、二人の副総裁を内閣として任命して、引き続き二%の物価安定の目標を達成、実現するようにという依頼というか推薦というか、そういうことがございましたときに、やはり私としては、これはお受けして、先ほど申し上げたように、物価安定目標の達成そして総仕上げということをぜひやって、日本経済の持続的な成長経路に乗ることの一助にできたらという思いで、海江田委員のお話も一方でよくわかるんですけれども、お受けした次第でございます。
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海江田万里#27
○海江田委員 後段はよくわかりますけれども、前半の方が、一日前に、内示の十六日の一日前というのは、これは事実じゃないですよ。私どもだって、記者さんたちが、きょう国会に対して内示があるんじゃないですかなんというような話は、十五日か十四日の夜ぐらいからもうそういう話がありましたから。それに、一日前に言って、それで、もしノーと言われたらどうなるんですかということもありますから、それはまあ。私も結構総裁の発言はつぶさに読んでおりますが、去年の秋の遅くなってぐらいから、そろそろやらざるを得ないかな、こんな感じになったのではないかと勝手に考えております。
 今、二%を何としても達成したいんだというその決意のほどを承ったわけでありますが、そして、二%へ向かってモメンタムがずっと続いておる。確かに、去年の後半、去年一年を通じますと、若干、年間で、二年ぶりですか、消費者物価は上がりましたし、特に暮れぐらいから上がりましたね。暮れが〇・七ぐらいですか、上がりました。
 ただ、この中身というのは、実は原油価格の高騰ですよ、これは。
 そうしますと、このモメンタムというのは、モメンタムが維持できていると言いますけれども、これは原油高によるコストアップなんですよ。コストアップのインフレなんですよ、これは。インフレという前の、コストアップの物価上昇なんですよ。
 私は、黒田総裁のお話を最初から聞いておりまして、黒田総裁が目指しているのは、コストアップのインフレではなしに、物価上昇ではなしに、ディマンドプルの、需要が引っ張っていく、それによって物価が上がっていく、これを目指すんだということが、私は最初にお話を聞いて、ああ、そうだな、これは正しい方向だなと思ったわけですが、今とにかく、何が何でもいいんだ、どういう原因でもいいんだと。だから、二%を達成できなかったときの一番初めの理由に、原油が安かったからとおっしゃいましたね。
 だから、今度は、では、原油が高くなって、コストアップでもいいから、とにかく何でもいいから二%を達成すればいい、こういうお考えですか。
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黒田東彦#28
○黒田参考人 確かに、現在、生鮮食品を除くベースで見ると〇・九ですけれども、エネルギー品目を除きますと〇・四ということですので、二%の物価安定目標にはまだほど遠いということは事実であります。
 それから、原油価格が下落したために物価が下がったというのも、これも事実でありまして、御承知のように、日本のみならず欧米でも、一時は、ほとんどゼロないし一部マイナスという状況になったわけです。その後、御案内のとおり、原油価格は半値戻しというか、半分ぐらい戻っているわけですね、六十ドル。かつて百二十ドルぐらいだったのが、三十ドル割るぐらいまでいって、六十ドルぐらいに戻っている。
 そうしたもとで、欧米の方は、先ほど申し上げたように、物価上昇率は実は一%台半ばになっている。ところが、日本はまだ一%にもいっていない。エネルギーを除くと〇・四%ということは、そこに、やはり予想物価上昇率の形成過程がかなり違っていて、日本の場合は、いわゆるアダプティブなというか、現実の物価上昇率に引きずられて予想物価上昇率が下がってしまう。
 下がってしまうので、実際の物価上昇率というのは需給ギャップと予想物価上昇率の両方の組合せから生ずるわけですけれども、欧米の場合は、大体二%程度のところに予想物価上昇率がアンカーされていますので、すんなりとそういう一%台半ばにいっているのに対して、日本の場合は、まだまだ遠いということであります。
 ただ、原油価格が大きく下がったこと、あるいはそれがまた半分ぐらい戻していることが物価に影響していることは事実なんですけれども、私どもとしては、原油が上がって物価が上がればいいというふうなことを思っているわけでは全くありませんで、あくまでも、委員御指摘のように、国内の需要が増加して、現在、実際問題として、需給ギャップはマイナスがなくなって若干プラスにもなっているということで、需要が相当伸びて、そのもとで賃金、物価も少しずつ上がってきてはいるんです。
 ただ、まだ弱目の動きが続いていることは事実でございますので、委員の御指摘の点から申し上げますと、何もコストプッシュで物価が上がればいいと思っているわけではなくて、あくまでも、需要が増加して、自然な形で賃金、物価が上がっていくということが一番望ましい、それを目指しているということは間違いございません。
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海江田万里#29
○海江田委員 まあ、そうしか答えられないわけでございますから。
 それから、ただ、もう一つありますのは、二%の目標なんですね。五年前は、確かに世界も大体そんな話ですから。ところが、実際五年やってみて、先ほどのデフレマインドもそう、それから、やはり一番根本的なのは、少子化、高齢化、人口減少社会ということもこれあり、潜在成長率が欧米と比べて低いわけですよね。
 そうしますと、一回掲げた二%の目標というのはなかなか下げられないかもしれないけれども、例えば一%ぐらいのところで安定的に推移して、まだそこは本当に道半ばというか、まだまだ、むしろ、その一%で安定的に推移するかどうかのモメンタムだろうと私は思うんですけれども、そのあたりで、先ほど来お話をしております、例えば長期金利のゼロ%程度ということを言っていますよ。これは限りなくゼロですよ。まさにゼロですよね。ただ、それを例えば、段階的に、漸次ということで、エコノミストはかなりそういうことを言っている人がいますけれども、〇・三とか〇・四とか、そこぐらいへ持っていくこの操作というのは、必要があればおやりになった方がいいんじゃないですか。どうですか。
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