厚生労働委員会

2018-11-29 参議院 全257発言

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会議録情報#0
平成三十年十一月二十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     河野 義博君     矢倉 克夫君
 十一月二十九日
    辞任         補欠選任
     矢倉 克夫君     河野 義博君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石田 昌宏君
    理 事
                自見はなこ君
                島村  大君
                そのだ修光君
                山本 香苗君
                川合 孝典君
    委 員
                青木 一彦君
                石井みどり君
                小川 克巳君
                木村 義雄君
                高階恵美子君
                鶴保 庸介君
                馬場 成志君
                藤井 基之君
                宮島 喜文君
                河野 義博君
                宮崎  勝君
                矢倉 克夫君
                石橋 通宏君
                川田 龍平君
                足立 信也君
                礒崎 哲史君
                倉林 明子君
                東   徹君
                福島みずほ君
               薬師寺みちよ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   根本  匠君
   副大臣
       厚生労働副大臣  大口 善徳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   政府参考人
       内閣府民間資金
       等活用事業推進
       室長       石川 卓弥君
       法務大臣官房審
       議官       佐々木聖子君
       財務省理財局次
       長        古谷 雅彦君
       文部科学大臣官
       房審議官     玉上  晃君
       文部科学省総合
       教育政策局社会
       教育振興総括官  塩見みづ枝君
       厚生労働大臣官
       房生活衛生・食
       品安全審議官   宮嵜 雅則君
       厚生労働省医政
       局長       吉田  学君
       厚生労働省職業
       安定局長     土屋 喜久君
       国土交通省水管
       理・国土保全局
       下水道部長    森岡 泰裕君
   参考人
       宮城県知事    村井 嘉浩君
       東洋大学経営学
       部教授      石井 晴夫君
       水ジャーナリス
       ト
       アクアスフィア
       ・水教育研究所
       代表       橋本 淳司君
       全日本水道労働
       組合中央執行委
       員長       二階堂健男君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○水道法の一部を改正する法律案(第百九十六回
 国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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石田昌宏#1
○委員長(石田昌宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、河野義博君が委員を辞任され、その補欠として矢倉克夫君が選任されました。
    ─────────────
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石田昌宏#2
○委員長(石田昌宏君) 水道法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、宮城県知事村井嘉浩君、東洋大学経営学部教授石井晴夫君、水ジャーナリスト、アクアスフィア・水教育研究所代表橋本淳司君及び全日本水道労働組合中央執行委員長二階堂健男君でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず村井参考人にお願いいたします。村井参考人。
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村井嘉浩#3
○参考人(村井嘉浩君) 宮城県知事の村井でございます。本日は、参考人としてお声を掛けていただきまして、誠にありがとうございました。
 私は、水道法の改正に賛成の立場で意見を申し上げたいというふうに思います。皆様のお手元にこの冊子が行っているかと思いますので、これを見ながらお話をさせていただきたいと思います。
 一ページ目を御覧ください。
 賛成をされている委員の先生方にお話をするのではなくて、どちらかというと反対をされている先生方にお話をさせていただきたいと思います。
 水道法を改正していただくといろいろ心配事があるということで、一番から八番まで書かせていただいておりますが、宮城県にお任せをいただきますと大丈夫ですというお話をさせていただきます。
 二ページ目を御覧ください。
 みやぎ型管理運営方式の内容について簡単にお話をいたします。
 宮城県は、上水を二事業、工業用水を三事業、そして流域下水道を全部で七事業やってございますが、そのうち、流域下水道の下、三事業を除くこの全部で九事業を宮城県としては上工下一体のみやぎ管理運営方式としてコンセッションを考えております。地図にいたしますと、左側の赤枠でくくっている部分ということでございます。三か所外れておりますのは、上水と下水が別々に運営しているということで外させていただいたということでございます。
 次、三ページ目を御覧ください。
 具体的な内容でございますが、期間は二十年間。そして、今回、水道法が改正されますと、県が水道用水供給事業者として認可をいただき、そして民間事業者に運営を委託するということでございます。
 いろんな施設をこれから維持管理、建設をしてまいりますが、分かりやすく言うと、地面から下の部分、管路の部分については県が責任を持って建設、維持管理をすると、そして、地面から上の部分、水処理施設、こういったようなものについては民間にお任せをするということでございます。そして、浄水場及び下水処理場の運転及び維持管理は全て民間にお任せをいたします。
 料金については、役割ごと、県と民間で分割してお金を集めるということになります。これも水道法の改正が必要でございます。ただし、県が全部、県民からは県が代行して収受をいたしまして、市町村を通じて収受をいたしまして、民間に配分をいたします。資産の所有は全て県です。そして、モニタリングは県と民間がそれぞれ責任に応じて行うということになります。
 次、四ページを飛ばして五ページを見てください。
 それでは、心配事の説明をさせていただきたいと思います。
 まず、よく言われることが、民間に任せますと官の責任がなくなって民間にいいようにやられると、水道料金がどんどん上がってしまうのではないかということでございます。
 現在の法律ではそういうことは可能かと思います。つまり、現在の法律は、民間も認可を持つことができる、そして認可を持っている事業者に料金収入が入るということでございますので、つまり、今の法律では完全民営化か完全公営化しか選択肢がないということでございます。
 今回はそういうことではなくて、県に認可をもらって民間に運営委託できる、そして水道料金を別々に収入を分けることができるという法律改正でございますので、そうしていただきますと、下に書いてございますように、宮城県の考え、行政が最後まで責任を負いますので、宮城県が責任を負いますと。そして、料金については五年ごと県議会の議決を受けて決定をいたしますので、民間が自由に料金を上げることはできません。
 そして、その前のページの四ページを御覧いただきたいと思いますが、みやぎ型の場合は、料金は県議会の議決を得て宮城県で決めます。そして、管路の部分、必要な部分をまず県が取って、残りの部分を民間にお渡しをするということでございますので、その中で経営努力をして利益を生み出していただくようになるということでございます。
 じゃ、どうやって利益を生み出すかということでございますが、右下の黄色の吹き出しの部分ですが、このような努力を民間がすることによって、民間の努力で独自に利益を生み出す努力をしていただくと、そして厳しい競争をしていただくということでございます。
 次に、六ページ目を御覧ください。
 三つ目、いざというときの危機管理ができないのではないかということでございますが、先ほど申し上げたとおり、全ての施設は宮城県が所有いたします。仮に民間が新たに施設を建設したとしても、所有は宮城県という仕組みになります。したがって、下の囲みでございます、災害時は今と同じように、宮城県の所有物でございますので、国の支援、各種団体の支援を受けながら、現在のやり方にのっとって復旧復興をいたしますので、災害時の対応は現行と変わらないということで、県民に御迷惑をお掛けすることはございません。
 次に、七ページ目を御覧ください。
 民間だと撤退するリスクがあるんじゃないかということですが、それにつきましては、下の箱囲みにありますように、いろんな形で担保する形で契約をしようと考えてございます。
 下の米印、二つ書いてございますが、そもそも現在の指定管理者制度でも民間に事業をお任せしているわけですから、同様のリスクは存在をしているということ、また、業者選定は単なる価格競争ではなくてプロポーザル方式によって行います。したがって、国内外の信頼の置ける業者を選定をするということになりますので、経営状況を見たり、あるいは実績をしっかり見た上で業者を選定いたしますので、そういった撤退するリスクのあるような企業を選ぶことはほとんどないということでございます。
 次に、八ページ目を御覧ください。
 五番目、現在の指定管理者制度で十分じゃないかということでございます。
 左の箱囲みと右の箱囲みを比べていただきたいと思うんですが、現在の指定管理者制度は、一言で言うと仕様発注です。ここに例を書いてございますように、一つ一つ細かい項目を決めて、業者にそれをやっていて、業者は言われたとおりやるというやり方でございます。
 一方、コンセッションになりますと、性能発注でございますので、この性能を守って、約束を守っていただけたらあとは自主裁量の余地でどうぞ御自由にというやり方であるということでありまして、例えば一例を言いますと、九時から十七時働いて幾ら、そして点検は月に何回していただくので幾らというような仕様発注から、民間に、コンセッションにすることによって、ITを活用して自動化を図って少人数で管理できるようにすることによって、同じ性能で相手も利益を生み出し、我々も料金を下げることができるということであります。
 しかも、米印に書いていますように、上水、工業用水、下水一体でスケールメリットを出すことになりますので事業者も参入する意欲を持ってございまして、先般からいろいろの事業所を見学会をしておりますが、約四十社程度の企業が見に来ているということで、非常に関心が強い。恐らく、相当厳しい競争原理が働くのではないかと考えております。
 次、六番。何年も民間に任せていたら、問題をチェックできるような職員、人材がいなくなるのではないかということでございます。これ、現在とみやぎ型管理運営方式、書いてございますが、基本的にはほとんど変わりはございません。県もしっかりとチェックをしますし、受託事業者も、運営権者もセルフモニタリングをやっていただく。
 ただ、経営状況がどうなのかどうかという財務状況をしっかりチェックをしなければなりません。そこで、宮城県は、一番下の箱囲みに書いていますように、経営審査委員会というものをつくります。独立した第三者機関で、モニタリングや経営に関する事項、経営上の課題等をしっかりと民間の目線も入れながらチェックをしていくということになります。
 次、十番目です。
 世界のトレンドは民営化ではなくて公営化ではないかということでございますが、よくパリの例を出されます。そこでフランスを調べてみましたが、フランスの場合でも、上水道の約七割は依然として民営で行っているということでございます。この辺は石井先生が大変詳しいので、詳しくは石井先生の方に聞いていただければというふうに思います。
 次に、十一ページでございます。
 広域連携とコンセッションの関係がよく分からないというようなことを言われます。
 小さな市町村は、これから広域連携を進めていかなければなりません。ポンチ絵描いてございますが、例えば、一番右下のD市、E町、F町、こういったところは広域連携で自分たちでやっていく、これも一つの選択肢でございます。また、左下にありますC市のように、自分は独立でやっていきますと、ただし、宮城県の管理運営方式と連携をいたしまして、宮城県の事業を受託した業者に我々も仕事をお任せして、スケールメリットで少しでも料金を下げるという選択肢もまたこれありです。また、A市、B町のように、水平連携、広域連携をしながら宮城県の管理運営方式と連携を取って、宮城県の頼んだ受託事業者に我々もまた同じようにお願いしますという選択肢もあるということで、非常に、今回の水道法を改正していただくことによって、力のない市町村、自治体も選択肢が広がっていくということでございます。
 十二ページでございます。
 最後に、県民の具体的なメリットでございますけれども、これは関係企業三十五社から聞き取りをした調査結果でございます。左側の黄色、現行モデルでいきますと、今のままだと二十年間で三千六百億円ほどの事業費が掛かりますが、それをコンセッションにすることによってこれぐらい経費を削減できる。コストの削減率は、三百三十五億から五百四十六億円ではないかというふうに見ております。これを現在の価値に合わせ、そして租税、税金を抜き、企業の利益等を抜きまして出したバリュー・フォー・マネー、VFMですが、右側です。大体、百六十六億から三百八十六億、割合にして七・四%から一四・四%程度、VFMが生まれるのではないかと考えてございます。約一割程度ですね。これがまさに県民の利益ということで、このままいくと間違いなく水道料金はずっと右肩上がりで上がっていきます。もう皆さん御承知のとおりですが、それを一割抑えられる可能性があるということでございます。
 最後に、十三ページ目でございます。
 何度も申し上げておりますように、現在の水道法は、完全公営化か完全民営化しかないということでございます。民営化にするとデメリットも当然あろうかと思いますが、民間事業者にとりましても、全て任せられると、宮城県のように大きな災害があるところでは全ての責任を押し付けられるということで、水道事業に参入するということが難しくなりますので、長い目で考えますと、私は、宮城県のやるようなことを実現できるような法改正が必要ではないかと考えているということでございますので、是非とも委員の先生方におかれましては賛成に回っていただきたいというふうに思います。
 以上でございます。
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石田昌宏#4
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 次に、石井参考人にお願いいたします。石井参考人。
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石井晴夫#5
○参考人(石井晴夫君) 皆さん、おはようございます。御紹介いただきました東洋大学の石井晴夫と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、このような機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございます。
 それでは、この改正水道法案に対する私の考え方を述べさせていただきたいと思います。私も賛成の立場でこれから述べさせていただきたいと思います。
 多くの報道機関は既にこの改正水道法案を水道の民営化法案というふうに言われておりますが、それはかなり誤解があるというふうに思っております。
 我が国の水道は、水質、供給量、設備、価格など、どれを取っても公益事業の優等生であります。蛇口から直接水を飲める国は、世界の中でも御存じのようにそう多くはありません。また、水道事業を運営する地方公共団体や水道事業体の市民サービスへの意識は極めて高く、職員は日夜水道サービスの安定供給のために邁進しております。
 その一方で、我が国の水道事業が世界のトップクラスを長い間維持できていますのは、早くから民間企業の協力と支援があったからであります。水道事業や下水道事業では長い間官民が協力し合って、安心で安全かつ良質な水を供給し、さらに、それらをきれいな水にして海に帰すという、極めて崇高な目標に全力投球しているからであります。
 水道サービスは、水資源開発から始まって、取水、導水、浄水、配水、給水という様々な段階を経て末端の給水栓に送られています。今日、官民は、これをネットワークとして最適な形で日本の全国の隅々まで提供しておるわけであります。したがって、水道事業は他の産業と同様に優れたサプライチェーンが構築されており、今新たに官民連携ということが出てきたわけではありません。
 平成十四年、二〇〇二年四月に施行されました水道法の一部改正により技術の第三者委託が可能となり、多くの浄水場や下水処理場で運転や維持管理が民間に委託されました。また、水道料金の徴収業務等々に関しましても、ほとんど民間企業の努力によって収納率が極めて大きく向上しているのも事実であります。
 その後、地方自治法の一部改正、平成十五年九月二日施行でありますけど、これにより二百四十四条の二の公の施設の管理についての指定管理者制度の導入、既に多くの公共施設で指定管理者始め様々な包括委託というものが実施されております。
 今回話題になっております官民連携の中でのコンセッションは民間活力を活用する選択肢の一つでありまして、これはあくまでも手挙げ方式の一つであります。今回のコンセッションは、施設の所有は、先ほど村井知事さんの方からもお話がありましたように、宮城県も所有は最後まで県が所有する、つまり公共が所有するということでありまして、水道事業は完全民営化にはそぐわない、これはもう紛れもない事実でございます。所有は公共が持ち、今回の法律改正案でもそういうふうに明記されております。
 そういう中で、今この日本の水道事業が抱えている厳しい現状というのは、かつて我々が経験したことがない経営状態に直面しております。御存じのように、既にこの委員会でも様々な審議が行われておりますけど、老朽化問題であります。本当に今どこで断水が起こってもおかしくないような、そういう状況にある水道管路もたくさんあります。
 第二は、耐震化の遅れであります。
 いち早く基幹管路、これは重要施設でありますけど、基幹管路の耐震化、これはもう待ったなしであります。しかし、それに対してもまだまだ六割、七割、進んでいるところでも七割程度でありまして、東京の場合にはもっと進んでおりますけど、大地震があったときに一番重要施設の水道の供給というのが最優先しなければならないわけでありますけど、そういったところもいち早く耐震化しなければならない。しかし、その財源がありません。
 第三は、多くの水道事業体が小規模で、この経営基盤が極めて脆弱であることであります。
 職員数が本当に小さいところでは二、三人しかいない。そして、適切な資産管理、危機対応、様々なところで支障を来しております。本格的な人口減少社会を迎えて経営状況が更に悪化する中で、水道サービスを継続できないおそれもこれから本当に現実問題として現れてまいります。
 第四は、計画的な更新のための備えが不十分であります。
 そういう中で、十分計画的な更新をして、これからも未来永劫持続可能な水道事業を、基盤強化を図ることが何よりも重要であります。
 それからまた、今回の法律改正案でも、指定給水工事事業者の無届け工事や不良工事の解消、こういったものも今回の改正法案の中でも盛り込まれておりますので、様々な観点から私はこの改正水道法案に対して是非成立をしてもらいたいというふうに思っております。
 最初の私の冒頭の発言は以上であります。ありがとうございました。
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石田昌宏#6
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 次に、橋本参考人にお願いいたします。橋本参考人。
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橋本淳司#7
○参考人(橋本淳司君) おはようございます。
 水ジャーナリストの橋本淳司と申します。発言の機会を与えていただいて、大変光栄に存じます。
 私は、二十五年間、国内外の水問題を調査してまいりました。世界各地には、水道がないために何時間も掛けて水をくみに行き、教育を受けたり仕事ができないまま貧困から抜け出せない人が大勢います。水不足、水汚染、そして気候変動、二〇五〇年には世界人口の十人に四人が安全な水にアクセスできなくなるという国連の報告もあります。そうした国を見て感じるのは、水は人権であり、自治の基本であるということです。
 一九八〇年代後半、トルコは干ばつに苦しむアラブ諸国にパイプラインで水を提供しようとしました。打診された国々は、喉から手が出るほど水が欲しかったんですけれども、安全保障の観点から断りました。シンガポールもマレーシアから水を買っていましたが、あるときマレーシアから水価格を百倍にするという話を受け、現在は下水を再生するなどして水の自給率の向上を図っています。
 さて、本日ですが、一つは、水道法案の中からコンセッション方式という法律案を除外していただき、官民連携の強化ということにとどめていただけないか、もう一つは、自治体の水政策改革という点から意見を述べさせていただきます。
 世界的には、コンセッション方式はPFIを活用した民営化の一形態と考えられています。諸外国で再公営化をした自治体の多くもコンセッション方式を行っていました。水道法改正案にコンセッションを明記するということは、経験と資金力に秀でた水メジャーを呼び込むことになります。
 資料一を御覧ください。
 コンセッションと業務委託を比較すると、権限、責任、金の流れが違います。業務委託の場合、自治体に全ての権限と責任があり、水道料金は自治体に入ります。業務のほとんどを委託しても、契約期間は単年度、業務内容は自治体が指示をし、企業側の裁量は業務委託契約の範囲内にとどまり、企業の収入は自治体の委託料です。一方、コンセッションの場合、自治体は管理監督責任が残りますが、運営権、利用権は企業に移り、水道料金は直接企業に支払われます。契約期間は十五年以上の長期にわたり、業務のやり方は企業に任されます。
 二ページ目を開けていただくと、海外で水道を再公営化した事例が百八十例ありますが、その多くは企業の業務内容と金の流れが不明瞭になったことに起因しています。多額の役員報酬、株主配当を支払い、水道への投資を行わず、税金も支払わないというケースもありました。よく海外の再公営化した事例は一握りであり多くは民営化を継続しているという指摘もありますけれども、再公営化をやりたくてもできなかったり、コンセッションより自治体の裁量が多いアフェルマージュという方式に切り替えられていたり、長期契約から変化に対応しにくいという理由で五年契約に縮められたりしているケースもあります。
 もちろん、この間も自治体は管理監督体制を強化してまいりました。フランスは、一九九三年にサバン法、二〇〇一年にムルセフ法などを定め、企業の事業の透明性を図りましたが、その後も不透明な状況というものは後を絶たず、再公営化の事例は増加しました。
 水道を完全民営化しているイングランドにおいては、水道サービスを監視するOFWAT、水質を管理するDWIという組織がありますが、それでも企業の利益至上主義を止めることはできません。保守党議員からも、大手水道事業者のCEOの報酬が年間四億円を超えるという指摘があり、批判が起こっております。一方、労働党が掲げる水道再公営化の公約には国民が七割の支持を示しています。また、この十月にはイギリスでは新規のPFIを行わないということを決めました。英国会計監査院が三十年間の経験を検証したところ、PFIのメリット、デメリット、資料の四にまとめておりますけれども、メリットよりもデメリットの部分が強く出たとされています。
 日本の水道法改正においても、管理監督責任は自治体に残ります。しかし、職員数の減少と定期的なジョブローテーションという状況では、自治体に管理監督責任を遂行する能力は乏しく、高額な費用を支払って専門家やコンサルタントに依存するか、あるいは企業の報告をうのみにするという危険性があります。つまり、コンセッションは管理が難しく、公の関与を更に強めようとすると、コンセッションの良さとされる企業の裁量を打ち消すことになります。運営権、利用権という権利を売却している以上、その権利を侵害することはできません。二兎を追う者一兎を得ずという状況になって、コンセッションのメリットと公の強いガバナンスは両立しません。もう一つ残る災害時の対応責任ですが、実務経験の乏しい職員に責任遂行能力があるかどうかは疑問です。
 コンセッションの特徴として、附帯事業が挙げられます。これも水メジャーにとっては大きな魅力となります。一般的には水道事業には附帯事業は少ないというふうに言われておりますけれども、そんなことはありません。人口減少によって余った水を海外に売ったり、小水力発電を行うこともできます。さらには、マーケティングデータとして個人の水使用量情報をIT技術などを駆使して集め、新たなビジネスを生み出すことができます。本来、公が管理すべき個人情報が企業によって抜き取られるという可能性があります。
 コンセッションを行う自治体には規模が必要です。本当に水道の持続に苦しむ小規模事業者の救いにはなりません。そこで、規模を広げていくという可能性があります。しかし、地理的な環境によりどこにでも影響を受けるので、面積だけで判断するとスケールメリットが働かなくなることがあり、管理監督体制が複雑となって、モニタリングコストが上昇するケースがあります。
 二番目に、五ページにあります水道を含めた水施策の見直しということをお話しさせていただきます。
 当然ながら、公共で水道事業を維持していく場合にも事業の見直しは急務です。パリ市は再公営化ということで有名になっておりますが、実際には自治体が再公営化後に独自に業務改善をしたということで参考になります。
 まず、水道という仕事を取水から蛇口までではなく、流域という単位で考えています。流域とは、山に降った雨が一つの川として収れんしていく範囲です。パリでも温暖化の影響を受け洪水が多発しているため、広範囲での水資源管理、森林管理、持続可能な農業などを実施する施策を取っています。また、ITを活用した自動化、最新ソフトなどを使ってコストダウンも図っています。気候変動、デジタル化という変化の激しい時代にあって、地域の能力を集約させた公の力が試されています。
 次に、一般的に公表されている料金値上げの試算についてです。
 これは、現状の施設を維持した場合という仮定の下に行われています。現在、水道事業は過大な投資によって支えられており、この反省のないまま更新をすると更なる過大な投資を生みます。そして、水道料金は上がり続けます。人口減少に直面する地方ほど見直しは急務ですが、都市部でも無縁ではありません。節水が浸透して、東京都水道局の減収は、十年前から百三十億円減っております。
 過大設備の縮小といっても、やり方は様々です。例えば、岩手県の中部水道企業団というところがありますが、ここは、北上市、花巻市、紫波町などが広域統合し、二〇一四年に新組織で事業を開始しました。統合前に設備の老朽化と将来の更新費用を調査すると、料金収入は激減し、更新投資は大量に発生すると分かりました。施設を維持したら事業費は数倍になり、料金値上げにつながると言います。そこで、統合前から、三十四の施設のうち稼働率の低い施設、水質の良くない水源などを減らし、現在二十一施設まで減らしています。これによって数十億円の将来投資が削減できました。統合前には半分程度だった浄水場の稼働率が七割を超えて、管路の施設の耐震化率も伸びています。
 また、ここでは、広域化と同時に小規模水道を残すという施策も行っています。一般的には、小規模施設は非効率的とされて、基盤強化の名目で事業統合が進められています。しかし、実際には、住民との距離も近く、組織的にはコンパクトで、意思決定も早くできるというメリットがあります。また、山間部等に分散した施設の統廃合は管路施設のコスト増大を招く、それから、運用時の環境負荷やリスクの分散の視点でのマイナス面もあります。
 そこで、人口減少により給水区域の再編や廃止等が予測される場合は、地域特性に合った、あらかじめ分散処理型の施設を広域と併せて行うことが有効です。水道事業の広域化で運営効率を上げていくことや、逆に、数軒しか家がないような集落では独立型の水道を考えるなど、地域に合った様々な対策を講じていかなければ、根本的には水道事業は継続することができません。
 さらには、気候変動によって多発する豪雨災害の対策や荒廃した森林の保全など、従来の水道という枠を超えて総合的に水行政を行っていく人材が必要です。そのために必要なのは、地域ごとの専門人材の育成です。コンセッションで民間企業に任せきりにしたら、地域に人が育ちません。設備を削減すれば人件費は賄えます。そして、地域の水を地域に責任を持って届けるにはどうしたらいいかというビジョンが地方自治体には求められています。
 以上です。ありがとうございました。
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石田昌宏#8
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 次に、二階堂参考人にお願いいたします。二階堂参考人。
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二階堂健男#9
○参考人(二階堂健男君) 私は、全日本水道労働組合、略称全水道と申しますけれども、中央執行委員長を務めます二階堂と申します。
 本日は、参議院厚労委員会におきまして水道法改正案についての意見を述べる機会をいただき、大変ありがとうございます。
 私は、今回の水道法改正において、基盤強化については異論はございませんけれども、とりわけ二十四条、運営権の設定については反対をする、そういう立場で、同時に、私自身、横浜の水道事業で三十七年間の勤務、そして、今、もう北海道から沖縄まで、中小も含めた多くの事業体、それら多くの仲間を代表して、意見を申し上げたいというふうに思います。
 水道事業は、申し上げるまでもなく、市民生活に欠かすことのできない、極めて公共性が高いインフラ事業です。水道というのは常に自然が相手でございまして、水源涵養林の保全から取水、水質管理、浄水、管路の維持など、二十四時間、三百六十五日、昼夜を問わず、私たちの仲間は全国各地で奮闘しています。
 水道事業は、市民生活のみならず企業活動など社会の基盤を根底から支える事業として、私たちは誇りを持って働いています。同時に、水道事業は巨大な装置産業ですので、多くの関連企業の皆様とともに、官も民もなく、安全な水を安定的にできるだけ安価に供給することだけを目指して日々の業務に励んでいます。
 今回の法改正は、水道事業の基盤強化として持続可能な水道事業を目指すものであると理解をしますけれども、冒頭申し上げましたとおり、官民連携の推進として公共施設等の運営権の設定を可能とする、極めて危険な問題を含んだ法案となっていることを指摘いたします。
 そもそも、水道事業の基盤強化が必要になった状況については、先般の審議でも明らかなとおり、人口減少、給水収益の減少という事態を迎えるということでもございますが、あわせて、職員定数の削減、新規採用の抑制、過度な業務の委託化や人事異動の活発化などで各事業体の技術的基盤が喪失していることも大きな要因となっています。
 人材不足ということは厚生労働省もお認めになっています。しかし、こうなってしまった原因は行き過ぎた行政改革を推進してきた国の施策にもあり、水道事業の技術的基盤や人的基盤を喪失させる政策を取っておきながら、それを理由にして法改正を行い、さらに運営権方式の導入など、到底理解ができません。それでも、今回の法改正で特に厳しい地方の水道事業が守られるのであればやむを得ない面もありますけれども、少なくとも運営権方式の導入で地方の過疎化に苦しむ自治体の水道事業が持続可能になるとは到底考えられません。
 各自治体の水道事業は、厳しい経営環境の中、料金値上げもできるだけ行わないよう努力を続けています。水道事業に従事する地方公務員も、この四十年間で七万六千人から四万五千人、約四割減少しました。それでも、予期せぬ事故や災害を除けば、水質基準を下回るような水道水を供給することもなく、断水が長期に及ぶこともほとんどございません。水道事業は問題がない状況が当たり前であり、日常的に評価されることはありません。しかし、一たび災害が発生をすれば一日も早い復旧が求められます。私たちも、当たり前の水道、安全な水が安定的に使える状況であれば、評価される必要はないと考えています。私たちの仲間もそれを誇りに持って、社会の基盤を支えていると自負しています。
 政府はコンセッション方式を選択肢の一つなどと言ってはばかりませんが、過疎化が進む地域の水道事業者がコンセッション方式を導入をしようとした場合でも選択肢の一つとなり得るのでしょうか。
 一方で、コンセッション方式を導入するために、広域化、事業統合を進めてスケールメリットを出すなどという思考は本末転倒であり、それならば、公営のまま広域化、事業統合して事業を継続させる方が重要です。
 コンセッション導入に際してモニタリングや監視機関の設置などの議論がされておりますけれども、そうしたことをしなければ安全、安心が担保をされない、それこそがコンセッション方式の最大の問題点だと言えます。
 現在、コンセッション方式の導入を考えておられる幾つかの自治体では、決して事業基盤が脆弱な自治体、事業体ではなく、本当に基盤の強化、国や都道府県、自治体の支援が必要な事業体ではありません。自治体が本当に市民に責任を果たし、市民の命をどう守っていくのか、そうした考えに立てば、コンセッション方式の導入などという方策を選択しなくとも、おのずと活路は見出されます。
 私が何を申し上げたいかといえば、こうした本当に事業経営が厳しい自治体、事業体は、コンセッションなどという方式は仮に導入したくてもしようがない状態なのです。私たちは、市民の水、水道をいかに守り、全ての人々が分け隔てなく安心して水道を使っていただける社会を持続させたい、ただその思いだけです。その限りで申し上げれば、本当に厳しいながらも努力を続ける自治体、水道事業体への支援策をもっと具体的に議論をしていただきたいと思います。
 次に、災害時のことについて若干申し上げます。
 今年は自然災害が大変頻発をしています。過去にも、阪神・淡路、東日本大震災などの大きな震災がございました。発災直後に一刻の猶予も許されない状況の中、全国の水道事業者やそこに働く者は、被災地に応急給水支援のために駆け付けています。東日本大震災から七年が経過した今も、宮城県や福島県など、水道施設の復興に、大都市事業体を中心に、長期的に職員を派遣して支援が続けられています。
 一方で、こうした災害対策や支援において、水道事業体は多くの経験を積み重ねる中で知識や技術を蓄積し、その技術力は、日本の水道事業における浄水技術、管路維持、給水装置など、水道事業の技術や機材の発展にも大きく寄与しています。
 日本の水道技術は、世界的にも誇れる技術力を有しています。私自身も、二〇一一年、東日本大震災で福島県いわき市に駆け付けました。給水所には長い市民の行列がありました。その姿を見て、改めて水道事業に携わる労働者として、水道事業の社会的責務や役割、このことを再認識をしたところでございます。
 また、今月に入って、七月の西日本豪雨災害の被災地を訪問してきました。広島県尾道市、三原市、呉市、四国に渡って宇和島市を訪問してきました。西日本豪雨災害では、土砂災害や河川の氾濫などにより水道施設も甚大な被害を受けました。被災した自治体、事業体では、全国からの応援もあって、仮復旧の事業体も含めて、水道水の供給は一旦支障はない状況となっています。
 しかし、発災した災害では、他の自治体からの応援や支援だけでなく、被災した自治体が今後主体的に仮復旧を本復旧に戻すなど、最終的な復旧まで責任を持って事業を運営していかなければなりません。先日の法案審議でも災害対応についての質疑が行われておりましたけれども、政府側の答弁では、仮にコンセッションが導入された場合においても、その責任についての明確な説明がなされていません。
 災害支援は公務員だからできたなどとおこがましいことを申し上げるつもりもございません。同じ状況で作業に当たれば、公務員であろうと企業の労働者であろうと、一つの目的のために奮闘することは間違いありません。私たちは、関連する民間企業も含めた、水道事業に従事する全ての働く者が誇りを持って安心して働ける環境を保持していかなければならないと強く感じています。そうした点からもコンセッション方式の導入には問題があると考えます。
 私たちは、官民連携が必要であることについては異論がなく、水道事業の多くは民間企業の労働者がいて成り立っているのも事実でございます。しかし、コンセッション方式の導入により、そこに働く民間労働者も、コスト削減あるいは重層的な雇用、そして低賃金、雇用環境の悪化など、懸念されることも多くございます。
 効率化全てを否定するものではございませんが、効率性のみが追求されかねないような時代にあって、そのことが安全性や信頼を揺るがしかねない事態を招きかねない、そのことを強く危惧しています。命の水を守る、市民の暮らしを支えること、ある特定の地域の水道だけが経済的思考を軸にして特定の企業の金もうけにくみするということを混同しては、この国の基盤そのものが失われてしまうのではないでしょうか。
 最後に、委員の皆様におかれましては、いかにして市民の水を守るのか、そのために何が必要なのか、そのことをしっかりと御議論いただきたいと存じます。そして、人的基盤の喪失が著しい自治体、財政基盤が極めて厳しい自治体、そうした自治体に対して、国、都道府県の強い支援策をお願い申し上げ、参考人としての意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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石田昌宏#10
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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自見はなこ#11
○自見はなこ君 今日はありがとうございます。参議院自民党の自見はなこでございます。よろしくお願いいたします。
 それぞれの参考人の皆様から、それぞれの責任ある立場からの御発言をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私自身も、この法案審査に関わる中で、特に、今年は夏、大きな災害が重なった年だというふうに認識をしております。西日本豪雨災害もございましたし、また大阪府北部の地震もあって、台風二十一号、そして北海道胆振東部地震と、それぞれが大変大きな被害ということでありますが、ごく短期間にそれぞれが起こっているということで、改めて災害大国だなと感じているところであります。
 また、今回感じましたのは、それぞれの災害のタイプが違ってきているということも感じております。今まででありましたら、東日本大震災のときの災害の在り方等々と比べまして、どちらかというと複合型の災害に近いような在り方になっているのではないかと思います。その中でも、西日本豪雨も含めまして、今回、暴風雨もそうでありますが、停電と断水ということが今年の夏の幾つも度重なった災害の中で特徴的なキーワードになったのではないかというふうに思います。
 この度の法案審査に関わらせていただく中で、やはり私たちが一番初めに心配しますのは、この災害のときの安全性を水道事業の中でしっかりと担保することができるのかということであります。
 四名の参考人の先生方からはそれぞれの立場からの御意見をいただきましたけれども、私は、まず、東日本大震災のときから大変な御尽力をいただきまして、また東北は、私、全国区でありますけれども、人口減少が著しい地域でもあります。そういう中で、地方自治体の財政状況もあえぐ中、公益事業を守らなければいけないというこの二つの大きな命題を抱えておられる村井知事として、災害のときにおけるこの水道の在り方ということについて、短くは触れていただきましたけれども、恐らく時間の関係上で長く触れられなかったんだと思いますので、是非、知事として、行政の長として、災害時と水道ということの御意見を更に深く教えていただければと思います。
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村井嘉浩#12
○参考人(村井嘉浩君) 今回のコンセッションを考える上で一番注意したのはその点でございます。東日本大震災は、津波によって甚大な被害を受けました。特に、下水処理場が沿岸部に集中しておりますので、大変な被害であったわけでございます。したがって、こういったようなものを民間に責任を負わせると、恐らく誰も手を挙げてくれる業者がいないだろうと考えたわけでございます。
 そこで、先ほど申し上げたとおり、六ページに申し上げたとおり、施設については県が所有し、そして許認可も県がもらい、責任は県が負いますよということにしました。同時に、新たに民間が何かを投資をしたとしても、その分も所有は県にしますということにしました。
 したがって、大きな災害が起こった場合でも、今回の東日本大震災と同じような対応ができるという形にして、民間事業者にも安心感を与え、県民にも安心感を与えるようにしたということでございます。
 以上です。
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自見はなこ#13
○自見はなこ君 ありがとうございます。
 参考人のそれぞれの方のお立場、違っている部分も大変あるとは思うんですが、災害時に国民の生活を守るというところでは一緒だというふうに思っております。
 改めて私から二階堂参考人にもお伺いをしたいわけでありますけれども、今、村井知事が参考人としてお話をされたこの災害と水道ということについて何か御意見を、もう少し深く併せてお伺いできたらと思います。よろしくお願いいたします。
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二階堂健男#14
○参考人(二階堂健男君) 先ほど委員から今御指摘がございましたとおり、災害に対する対応ということで申し上げれば、厚生労働省、さらには水道協会という団体がございますから、水道協会を中心にして、各支部ごとにそれぞれの災害に対する支援体制を組んでいるんですけれども、実はこの以前に、災害が発生をして、特に東日本大震災の場合はしかりでございましたけれども、もう発災直後からそれぞれの事業体が支援の要請がある前にもう出発をすると、こういうような即応態勢は、やはり公共が抱えているからこそできるものだというふうに私は認識をしております。それは熊本地震でもしかりです。発災直後に二十八時間を掛けて関東から車で向かった自治体も幾つもございます。
 そういう意味からすると、やはり、先ほども申し上げましたけれども、明確なコンセッション事業者との関係が明らかにされない、そういう意味ではコンセッションの導入については反対だということを申し上げたいというふうに思います。
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自見はなこ#15
○自見はなこ君 もう一度村井参考人にお伺いをしたいんですけれども、事前配付の資料等を拝見しておりまして、このコンセッション事業の成功に当たって非常に重要なことは、初期からの民間事業者とのコミュニケーションであるというふうな一文があったと思います。そこについてもう少し詳しくお教え願いたいと思います。
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村井嘉浩#16
○参考人(村井嘉浩君) 事業者としっかりコミュニケーションを図るということは重要でございます。料金一つにいたしましても、五年ごと県議会に諮らなければなりませんので、民間事業者の意見も聞きながら進めたいと思っております。
 そういった意味からも、しっかりと経営状況等を把握する意味で第三者の委員会を、経営審査委員会を設けまして、モニタリングをしながら意見を聴取するという形にしたいというふうに考えております。
 以上です。
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自見はなこ#17
○自見はなこ君 ありがとうございます。
 コンセッション事業に対しては恐らくいろいろな、行政の長のお考え、それから議会のお考え等々、それから住民の方とのコミュニケーションということが非常に重要になってくるんであろうというふうに思っておりますが、石井参考人、そして橋本参考人にお伺いをしたいと思います。
 このコンセッション事業に当たっての行政の在り方ということについてのお考えをお伺いしたいと思います。
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石井晴夫#18
○参考人(石井晴夫君) ありがとうございます。
 これはすごく大事なところでございまして、先ほどの災害時の行政の対応もそうなんですけど、現在のこの改正法案では、最終的には所有は公共側に残したままということになっておりますので、現在、災害時のときには、水道事業の場合には、日本水道協会という公益社団法人がございまして、そこがすぐに災害対策本部を立ち上げて、各地方支部あるいは中央本部、中央本部にも災害対策本部を立ち上げて、各都道府県にはまた都道府県の支部があります。そういう中で、日本水道協会というこの団体が公共目的のために災害時いち早く対応していただけると。先ほど二階堂委員長からもお話がありましたように、それは日本水道協会からの要請で水道事業体の皆さんがすぐ駆け付けてくれて、様々な対応もやっていただけると。
 今回のこのコンセッションの場合には、運営権という、そういうものを民間事業者に譲渡すると。譲渡して、所有は公共側に残したままでございますので、私の考えとしては、当然、日本水道協会の会員でそのまま水道事業体はあり続けると。ですから、災害時も今までと同じように日本水道協会の下で災害対応ができるというふうに思っております。
 ただ、もう一つだけ付け加えるならば、そうはいっても、これだけ災害が多発しておりますので、その災害時の対応のためのコストですよね、費用負担が余りにも大きくなってしまっていると。これを自治体に任せるということは、これはもうこれ以上は不可能だと思います。したがって、何らかの対応を、これ災害対応のための特別措置を是非国会でも御議論いただければというふうに思っております。
 それともう一つ、行政、国の方で、今回、コンセッションをやる場合には許可を厚労大臣から受けなければならないというふうに明記されているんですけど、やはり国の責任というのは相当これから増してくると思います。ですから、当然、国も、それから事業体である都道府県や市町村も同じようにモニタリングをしっかりとする機関をやはりつくって、チェックしていくということですね。
 それで、今回のコンセッションのやっぱりメリットというのは、これだけ疲弊している水道事業、厳しい状況の中にある水道事業を今回の件で見える化してきたと。市民の皆さんも分かってきたんですね。ですから、そういうところを、やはり私たちはちゃんとこの議論をするときにもデータを出して、やはり市民の皆さんと一緒になって議論するということが大事だというふうに思っております。
 以上です。
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橋本淳司#19
○参考人(橋本淳司君) コンセッションの場合、自治体の方にお話を聞きますと、コンセッションであっても企業の統治は可能という認識に立っていらっしゃる方が非常に多いんですが、実質的にはその統治というのは非常に難しくなっていくであろうというふうに考えます。
 責任を自治体が負うというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、実際には、コンセッションを導入した場合には、管理監督は自治体がするけれども、運営の責任は企業側が負うということになります。その運営についてきちんと見ていくだけの能力というものが二十五年や三十年にわたって自治体に残っているかということを考えますと、非常に難しいのではないかと。
 そして、職員の方が減少していったり、定期的にジョブローテーションをしていくという状況、こういうことが起きるので、このコンセッションのモニタリングを専従でやっている人が三十年残っているというなら話は別だと思いますけれども、そういうことがない以上、なかなか難しいのではないかと思います。そうなってくると、やはり専門的なコンサルタントとか、そういった人に依存をしていくということになるのではないかと思います。
 そして、自治体の方に話を聞いて、またそれで印象的だったのは、コンセッションをやったときでも今までの委託と同じように、何か企業との関係は自治体が上で企業が下であるというような勘違いをしている自治体の方も多いんですけれども、実際には、契約ということになりますから、厳密な契約の下に運営権が譲渡されているところで、責任や権限が分散されているわけです。そういう中でガバナンスを利かせていく、公の強いガバナンスというものは余り期待できないのではないかと。
 そして、コンセッションのメリットである、企業に自由にやらせるからこそ企業の創意工夫によっていろいろな改善が図られ、コストダウンもできますよということを言いますけれども、それとガバナンスを強力に利かせるということは実は相反することでありまして、事細かに自治体が指定をしていけばしていくほど企業の自由度というのは減りますから、この二つの要素というものを同時に追い求めるというのは、それはあり得ないのではないかと考えております。
 以上です。
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自見はなこ#20
○自見はなこ君 終わります。ありがとうございました。
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山本香苗#21
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 今日は、参考人の先生方、どうもありがとうございます。
 まず、コンセッションの話ばかりになっているんですが、村井参考人と、また石井参考人のお二人にまず冒頭にお伺いしたいんですが、今回、関係者の責務が明確化されました。私はここは大変重要なところだと思います。
 先ほど石井参考人の方から国のこともおっしゃっていただきましたが、中でも都道府県の役割というものがここでしっかりと書かれております。ここにおきまして、都道府県として、もう既に広域化、宮城県ではなさっていらっしゃいますけれども、この法律を受けて、どういうふうな形で都道府県としての役割、期待される役割があるとお考えなのか、また、石井参考人におかれましても、ここのところが明確化することの意義について御意見を賜りたいと存じます。
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村井嘉浩#22
○参考人(村井嘉浩君) 今回の法律の重要なポイントの一つだと考えてございます。都道府県の責任を明確化するということです。何をもって責任とするかということですが、やはり一番重要なのは、今後、非常に経営が厳しくなってくる、どの自治体も厳しくなってくる、小さな自治体ほど厳しくなってくる、それをどのような形で経営の効率化を図っていくのかというようなサポート、お手伝いをしていくということが重要だというふうに思ってございます。
 早速、今回の法律の改正があるということを見越しまして宮城県は全ての市町村に対しましていろいろお話をさせていただき、そして窓口もつくりました。そして、先ほどの十一ページで申し上げたように、水平の広域連携もよし、また宮城県がやっております官民連携方式に垂直連携でやるもよしと、どのような形でもいいということで選択肢を示しているということでございます。
 このような形で選択肢を示すことによって、自治体の持っているその特徴あるいは特性を生かして効率化を図っていけるのではないかと考えております。
 以上です。
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石井晴夫#23
○参考人(石井晴夫君) ありがとうございます。
 今回の改正法案の第二条の二では、国、都道府県、市町村、水道事業者に対して、水道の基盤の強化に関する責務を規定するというふうに明確になっております。
 そういう中で、特に都道府県には、先ほど御指摘のように、広域的な連携の推進役ということを明記していただきましたので、これは地域公共交通の方では早くから、私なんかもいろいろ話をさせていただいてきたんですけど、やはりドイツとか、そういうヨーロッパなんかでは、そういうそれぞれの役割の明確化ということを早くから位置付けております。今回、改正法案の中ではこれを盛り込んでもらいましたので、これは非常に重要なことであるというふうに思っております。都道府県が要するに推進役となって、広域化、そしてまた水道基盤強化計画というものを今回の法案の中では盛り込んでいただきました。
 そういう中で、そういう様々な都道府県の置かれている状況というものを、都道府県が中心になって市町村の皆さんから意見を聞いたり、様々な検討をするということが今まではなかなかなかったんですね。そういったことを、広域的連携等推進協議会ということを設置できるということでございますので、こういった協議会をいち早く設置していただいて、各都道府県が持っている状況とかあるいはその様々な課題というのはそれぞれ異なりますので、そういうものを明らかにして、そして議論すると、一つのテーブルの中でですね。そして、広域化をするしないは別にして、そういう状況というものを明確にするということは私は大変意義があることだというふうに思っております。
 以上です。
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山本香苗#24
○山本香苗君 ありがとうございます。
 私も現場でいろいろお伺いしておりまして、そういう形できちっと情報を共有することによって現状をまず認識をすると。広域化イコールバラ色ではないけれども、そこのところをどうにかみんなで何か知恵でできないかという場になると思っておりまして、一部に何か強権的になるんじゃないかみたいな話もありますが、私は、ここは逆に、やらないことの方が問題が大きいんじゃないかなと思っております。ありがとうございました。
 もう一つ、コンセッションの形でいろいろ御議論がありましたが、村井知事の方からはいろいろと手を打っていただいているお話、大変分かりやすくお伺いさせていただきましたが、これ選択肢の一つではありますけれども、国が許可をしないといけないわけです。
 許可の申請に当たって、水道事業者は実施計画書等を提出しなきゃいけないと。許可基準に適合していると認められるときのみ許可が与えられるというわけであります。ここの許可のところが、法文上を見ると非常に定性的に書いてあるので、ここのところがどうなのかということがあると。これから省令だとかガイドラインだとかで明確化していったり、また留意点等々も、災害時の話も含めて書いていくというような話がありますが、ここで、石井参考人と、そして橋本参考人にお伺いしたいと思います。
 それぞれコンセッションに関するお立場は異なりますが、ここの許可の基準の在り方、許可する際にこういうところをちゃんと見とかなきゃいけないんだと、国が。そこのところで御意見を賜れればと思います。
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石井晴夫#25
○参考人(石井晴夫君) ありがとうございます。
 今委員から御指摘いただきました許可基準、これもう非常に重要なところで、これに全て尽きるというふうに思うぐらい重要なところだと思います。
 様々な観点から、厚生科学審議会の下での水道の維持・向上のための専門委員会が設けられて、六回にわたる議論を、この法案提出の前に議論をしてまいりました。そういう中で様々な観点から検討もし、そしてまた、今後、この法案に関して、成立すれば省令やガイドライン、細かいところの細目がこれから作られるというふうに思っておりますけど。
 そういう中で、極めて重要なところは、先ほど村井知事からもお話がありましたように、しっかりとしたそういう特別目的会社というもの、あるいは、その選定に当たってはプロポーザル方式だとかあるいは様々な方式がございますが、いろんな形でしっかりとした事業基盤を持っているところがやはり一番重要であるというふうに思っております。
 そこは、特別目的会社というのは、一つの会社がやるのではなくて、様々な創意工夫ですよね、その企業の持っている経営資源を最大限発揮できるような会社がいろんな分野から集まって、そしてSPCというものをつくって、その会社に基づいて、その会社がプロポーザルとか、そういったところに応募していただくということなんですね。ですから、そういう事業基盤をしっかり担保できるようなところというのは一番大事であると思います。
 先ほど来御指摘にありました、やっぱりモニタリングというところなんですけど、これは、ちゃんとしたガイドラインとかあるいは省政令の中で明記していただければ、これはずっと今後とも法令に基づくモニタリングですから、これはちゃんとしていると思います。ですから、今でも水道事業に関しては厚生労働省水道課の方でも様々なモニタリング手法というのは提起しておりますので、それをこういう新しい改正法案に関して、成立すれば当然細かいところまで基準を設けてくるというふうに思っております。
 以上です。
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橋本淳司#26
○参考人(橋本淳司君) 事業の健全性ということで判断をしていくということになりますと、やはり経験と資産に長じている外国企業というものが選ばれやすくなってしまうのではないかという懸念があります。外国企業の場合、非常に経験がありますし、資産も非常に大きいです。そういうところが選ばれやすくなってくるということです。
 もう一つは、契約モニタリングというものはそれと同時に非常に重要でして、その契約モニタリングに関してはなかなか難しい部分があるということです。これは先ほど申し述べたとおりです。
 以上です。
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山本香苗#27
○山本香苗君 ありがとうございました。
 最後に、二階堂参考人に。
 災害時に本当に現場で一生懸命頑張っていただいた職員の方々のお姿というのはよく拝見しております。ただ、これからの水道事業というのは、技術というところはもちろん大事なんですが、経営というところも、非常にマネジメントという意味合いも職員の方々に求められると思うんですが、その点について向上を図るためにどういった施策が必要かということを最後にお伺いして、終わりたいと思います。
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二階堂健男#28
○参考人(二階堂健男君) 委員からの御指摘ございました今の現状における効率的な経営ということで、職員に対する意識というようなことでお話ございましたけれども、実は、先ほども申し上げましたけれども、今現在の事業体でも実は民間に負けないだけの事業基盤が確立をしているというのは事実でございます。
 例えば一例を挙げますと、十年前に、ある一つの都市でございますけれども、二千二百人の職員がおりました。今現在は千四百人です。いわゆる八百人の人員削減があったと。しかし、それでも事業を黒字を出して、国際貢献を行って、そして市民参画をしながら事業運営をしている。そういう意味では、そういう過程の中で既に職員はいわゆる企業の経営の効率化、あるいは地方公営企業法でも能率的な経営が求められておりますから、そういう中で既に職員が醸成をされているのは事実でございますし、一方で、中小においては、残念ながら、先ほども申し上げたとおり技術者が圧倒的に少ないと。技術継承もままならない。事務も技術もなく一緒に水道事業を営まなきゃいけないと。こんな現状の中では、なかなか正直、効率化そのもの、あるいは事業運営そのものが難しくなっていると、そういう状況だということを申し上げたいというふうに思います。
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山本香苗#29
○山本香苗君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
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