財政金融委員会

2019-05-09 参議院 全118発言

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会議録情報#0
令和元年五月九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     羽生田 俊君     島田 三郎君
     宮島 喜文君     山本 順三君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     島田 三郎君     羽生田 俊君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     平野 達男君
    渡辺美知太郎君     宮島 喜文君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     平野 達男君     三木  亨君
     藤末 健三君     礒崎 陽輔君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     礒崎 陽輔君     藤末 健三君
     三木  亨君     山田 俊男君
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     藤末 健三君     有村 治子君
     山田 俊男君     三木  亨君
     古賀 之士君     榛葉賀津也君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     藤末 健三君
     榛葉賀津也君     古賀 之士君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     長峯  誠君     山田 俊男君
     藤末 健三君     平野 達男君
     三木  亨君    三原じゅん子君
     熊野 正士君     山口那津男君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     平野 達男君     藤末 健三君
    三原じゅん子君     三木  亨君
     山田 俊男君     長峯  誠君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     吉田 博美君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     吉田 博美君     三木  亨君
     山口那津男君     熊野 正士君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     長峯  誠君     岡田 直樹君
     松川 るい君     有村 治子君
     三木  亨君     二之湯武史君
     熊野 正士君     山口那津男君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     松川 るい君
     岡田 直樹君     長峯  誠君
     二之湯武史君     三木  亨君
     藤末 健三君     衛藤 晟一君
     山口那津男君     熊野 正士君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     長峯  誠君     塚田 一郎君
     松川 るい君     松下 新平君
     三木  亨君    三原じゅん子君
     熊野 正士君     山口那津男君
     杉  久武君     若松 謙維君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     塚田 一郎君     長峯  誠君
     松下 新平君     藤末 健三君
    三原じゅん子君     三木  亨君
     古賀 之士君     礒崎 哲史君
     山口那津男君     熊野 正士君
     若松 謙維君     杉  久武君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     衛藤 晟一君     松川 るい君
     礒崎 哲史君     古賀 之士君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中西 健治君
    理 事
                長峯  誠君
                羽生田 俊君
                三木  亨君
                風間 直樹君
                藤巻 健史君
    委 員
                愛知 治郎君
                大家 敏志君
                西田 昌司君
                林  芳正君
                藤末 健三君
                古川 俊治君
                松川 るい君
                宮沢 洋一君
                宮島 喜文君
                長浜 博行君
                大塚 耕平君
                古賀 之士君
                熊野 正士君
                杉  久武君
                中山 恭子君
                小池  晃君
                大門実紀史君
                渡辺 喜美君
   副大臣
       財務副大臣    鈴木 馨祐君
   大臣政務官
       財務大臣政務官  宮島 喜文君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        前山 秀夫君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       日本銀行理事   前田 栄治君
       日本銀行理事   衛藤 公洋君
       日本銀行理事   吉岡 伸泰君
       日本銀行理事   池田 唯一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
    ─────────────
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中西健治#1
○委員長(中西健治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、渡辺美知太郎君が委員を辞任され、その補欠として山本順三君が選任されました。
    ─────────────
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中西健治#2
○委員長(中西健治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中西健治#3
○委員長(中西健治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に長峯誠君、羽生田俊君及び三木亨君を指名いたします。
    ─────────────
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中西健治#4
○委員長(中西健治君) この際、宮島財務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。宮島財務大臣政務官。
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宮島喜文#5
○大臣政務官(宮島喜文君) この度、財務大臣政務官を拝命いたしました宮島喜文でございます。
 伊佐大臣政務官とともに、大臣を補佐しつつ、職務に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 中西委員長を始め委員の皆様には、御指導、御鞭撻、よろしくお願いいたします。
    ─────────────
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中西健治#6
○委員長(中西健治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君、同理事前田栄治君、同理事衛藤公洋君、同理事吉岡伸泰君及び同理事池田唯一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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中西健治#7
○委員長(中西健治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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中西健治#8
○委員長(中西健治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。
 日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。
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黒田東彦#9
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 まず、我が国の経済金融情勢について御説明いたします。
 我が国の景気は、輸出、生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの、基調としては緩やかに拡大しています。やや詳しく見ますと、我が国の輸出や生産は、中国向けの資本財やIT関連財を中心に、足下弱めの動きとなっています。もっとも、国内需要は堅調な動きが続いています。企業収益は、一部に弱めの動きが見られるものの、総じて良好な水準を維持する下で、設備投資は増加傾向を続けています。また、個人消費も、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加しています。先行きの我が国経済も、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けると見ています。なお、先行きのリスクについて見ると、保護主義的な動きの帰趨や中国経済の動向、IT関連財のグローバルな調整の進捗度合いなど、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きいと考えています。
 物価面を見ると、消費者物価の前年比はプラスで推移していますが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いています。もっとも、最近では、企業において、原材料価格や人件費の上昇を価格に反映させる動きが増えています。今後とも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続ける下でこうした動きが広がっていけば、人々の予想物価上昇率も徐々に高まっていくと見ています。このように、物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されており、消費者物価の前年比は、先行き二%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えています。
 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行は、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で、強力な金融緩和を推進しています。このうち、長短金利操作については、物価安定の目標の実現のために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すよう、短期政策金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利をゼロ%程度とする金融市場調節方針を掲げ、市場において国債の買入れを実施しています。
 現状、我が国の経済は基調として緩やかな拡大を続け、物価も既に持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっていますが、二%の物価安定の目標の実現にはなお時間が掛かることが見込まれます。また、海外経済の動向を始め、経済、物価の先行きをめぐる不確実性が大きい状況が続いています。こうした認識の下、日本銀行は、物価安定の目標の実現に向けて、強力な金融緩和を粘り強く続けていくという政策運営方針をより明確に示していくことが重要だと考えています。このため、先月には、昨年七月に導入した政策金利のフォワードガイダンスを明確化し、海外経済の動向や消費税率引上げの影響を含めた経済、物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも二〇二〇年春頃まで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することとしました。また、円滑な資金供給や市場機能の確保に資するよう、日本銀行適格担保の拡充などの諸措置を講じることとしました。こうした対応は、強力な金融緩和の継続に対する信認を高め、物価安定の目標の実現をより確かなものにするとともに、金融市場の安定にもつながると考えています。
 日本銀行としては、今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済、物価、金融情勢を踏まえながら、適切な政策運営に努めていく方針です。
 ありがとうございました。
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中西健治#10
○委員長(中西健治君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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西
西田昌司#11
○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。
 早速ですが、質問させていただきます。
 まず、基本的な質問なんですけれども、政府の新規国債発行、この実際のプロセスを確認させていただきたいと思います。実際に政府が、国債を購入した民間銀行の日銀当座預金が減って、その分政府の日銀当座預金が増えると、こういうことで実際の新規国債発行は行われると認識しておりますが、いかがですか。
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黒田東彦#12
○参考人(黒田東彦君) 新規国債の発行時点においては、民間金融機関の日銀当座預金が減り、政府の日銀当座預金が増えることになります。
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西
西田昌司#13
○西田昌司君 これが現実だと思うんですね。
 ところが、財務省なんかが言っている説明は全く違う説明しているんですね。財務省のホームページには、日本の国債は潤沢な個人金融資産が国債の消化を支えている、しかし、これが今後国債に回す余地が少なくなる、そこで国債を発行、収束させていくことが重要であると言われておりまして、これはまさに金融資産で新規国債をファイナンスするという認識を示しているわけなんです。
 ところが、先ほど黒田総裁がおっしゃったことは全くこれと違って、要するに民間銀行の当座預金、これが日銀の国債をファイナンスするものだということでありますから、家計の金融資産ではなくて民間銀行の日銀当座預金が新規国債をファイナンスするということでよろしいですね。
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黒田東彦#14
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたように、政府が国債を発行した時点の資金の動きだけを捉えますと、民間金融機関は保有する日銀当座預金を減らすことで国債保有を増やしているように見えます。もっとも、民間の日銀当座預金は政府が調達した資金を支出する段階では再び増加するものでありまして、その意味では基本的にはニュートラルな要因であります。
 そのため、こうしたプロセスを全体として見れば、民間金融機関の国債保有の増加は、家計や企業からの預金など、負債の増加に見合ったものになるというふうに考えられます。すなわち、一国経済を全体として見ますと、やはり財政赤字は最終的には民間部門の貯蓄か海外からの資金によってファイナンスされることになるというふうに理解しております。
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西
西田昌司#15
○西田昌司君 ちょっとそこが認識が違うんですがね。
 じゃ、ちょっともう一つお聞きしますが、そもそも、新規国債を発行、そしてそれによって資金を調達して政府が予算執行する、その場合、政府の方の負債残高は当然増えますよ。しかし、予算執行することによって民間の金融資産、これは家計も企業も含めてですけれども、増えることになるということになるんじゃないですか。これは間違いないと思いますが、いかがですか。
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黒田東彦#16
○参考人(黒田東彦君) 確かに、公共事業の拡大などによって経済活動がより活発化する場合には、それに伴って民間の金融資産も増えるという可能性はあると思います。ただ、経済金融情勢次第では公共投資の拡大が民間の経済活動を制約し得ることに加えまして、より長い目で見ますと、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下すると民間の経済活動に大きな支障を来す可能性がある点にもやはり留意する必要があるというふうに思います。
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西
西田昌司#17
○西田昌司君 ちょっとそれは私の質問に答えていないんですね。
 私が言っているのは、今総裁がおっしゃったのは乗数効果的な話ちょっとおっしゃっているんですよ。私は乗数効果の話じゃなしに、そもそも国債を新規発行して予算執行したらその金額分は必ず民間の金融資産が増えているじゃないかと。これは事実でしょう。
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黒田東彦#18
○参考人(黒田東彦君) これは先ほど申し上げたように、その時点でそういうふうになっているということはそのとおりなんです。ただ、あくまでも、基本的に一国経済全体を捉えて見ますと、国債をファイナンスしているのはやはり最終的には民間の貯蓄か海外からの資金の取り入れによるものであるということであります。
 他方で、新規国債を発行して公共事業などを拡大して経済が拡大する場合には、これは委員御指摘のように、乗数効果のような経済政策の効果が経済の拡大につながる場合には、それによって当然民間の金融資産も増えるということは事実だと思います。
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西
西田昌司#19
○西田昌司君 ちょっと基本的認識が、そこはちょっと違うと思います。
 四月四日の決算委員会で私、重要な質問をしました。それは、信用創造、民間銀行が信用を付与することによって預金創造ができるということで、そのことを総裁は認められたわけです。つまり、誰かが負債をすることが誰かの資産をつくっていると。これは金融のシステムの大原則であるわけですね。これは認められていたはずなんですよ。
 同じことが国家と民間についても言えまして、国家の債務というのが結局は民間の資産を増やしている。要するに、民間銀行が貸し出すことによって民間のまた誰かの資産が増えるのと同じ理屈で、国家が債務を負担することによって民間に資産が増えるという、このことを聞いているわけです、国債の話は。そこについて異論はないはずなんですが、いかがですか。
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黒田東彦#20
○参考人(黒田東彦君) 今おっしゃった点は、国が国債という政府の債務証書を発行して、最終的に民間の貯蓄でファイナンスされるという形で民間の資産、金融資産となるということはそのとおりであります。ただ、そのことは、例えば民間同士で金融機関を通じて貸した、借りたという場合も全く同じでして、何かそこに特別な、それ自体として経済を刺激するとか拡大するとかいう意味はないわけでして、あくまでもそれが、政府が公共事業をするとか、あるいは減税に使うということを通じて経済が拡大すれば、新たな貯蓄、新たな金融資産保有という形で民間がそれをファイナンスする可能性はあるわけです。
 ただ、それはあくまでも乗数効果の話でありまして、経済の動向、例えば経済がまさにフル操業で完全雇用というときに政府が公共事業を拡大するということは、すごくむしろ民間の設備投資を縮小させる、クラウディングアウトということですけれども、そういうことですので、あくまでも政府が国債を発行してそれがどういう形でファイナンスされ、あるいはそれが経済にどういう影響を与えるかということは、経済の実態というか、そのときの状況を踏まえて言わないといけないのではないかと。
 ですから、恒等式で、こっちが借りるとこっちが貸したと、債務は資産だということはそれはそのとおりなんですけれども、それ自体として何か特殊に経済にプラスになる意味があるということはないと思います。
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西
西田昌司#21
○西田昌司君 ちょっと日銀の総裁らしからぬ答弁だと思いますね。今の答弁は財務省の財務官の答弁なんですよ。
 要するに、私が申し上げているのは、負債をする、負債によって資産が増える、これが今の現代の金融の大原則で、国債もしかり。そして、そのときにお金を借りて、借りた以上は誰かの支出に使うんですから、支出に使った以上、それは当然経済を、GDPを押し上げているのに決まっているじゃないですか。それを借りっ放しで置いておいたら、それは知りませんよ。支出するから、政府が借りてそれを予算で支出をするから、誰かの所得若しくは結果的には資産をつくっているわけですよ。だから、そのことが経済にプラスになるとかならないとかいう話ではないというのは違うじゃないですか。必ずプラスになるんですよ。
 ただ、乗数効果の話はここで今言っていません。乗数効果もあるんだけれども、取りあえず政府が支出することによっても、それは経済が大きくなるんですよ。かつ、しかも、政府の債務は増えるけれども、片っ方で民間の資産が増えていますから、全国家的にはプラス・マイナス・ゼロで、いわゆる国家の破綻というもの、全体の、そういうことはあり得ないでしょう。そこを聞いているんですよ。
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黒田東彦#22
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、国が国債を発行して、それによって減税をするあるいは公共投資をするということは、需要を拡大するというのはそのとおりなんです。ただ、それが実質GDPを増やすかどうかは、経済がフル操業で完全雇用で、これ以上実質GDPを増やせないときに需要だけ拡大すれば、その分だけ民間投資が減るなり、あるいはインフレによって消費が削減されるなりなるだけで、経済に必ずいい影響が出るかどうかはまさにそのときの財政政策が経済の実情とどのように合っているかによるので、需要を増やすということはそのとおりなんです。ただ、それが経済を実質的に拡大させ成長させるかどうかというのは、あくまでも経済の動向、状況との関係で決まってくると。これは経済学の常識だと思います。
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中西健治#23
○委員長(中西健治君) 時間が参りましたので、おまとめください。
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西
西田昌司#24
○西田昌司君 私もその経済学の常識言っているんです。
 もう終わりますが、要するに私が言っているのは、需要が増える、そしてインフレになると言っているんですよ。今、日銀総裁の困っているのは、持続的に下落するという意味でのデフレではなくなったが、物価目標できていないんでしょう。だから、そちらの政策を、もちろんこれは財政出動ですから日銀政策じゃないですよ。しかし、それをしっかり可能にするのがこの金融の常識だから、それを聞いているんですけれども、余りにもちょっと元の財務官の答弁が多かったように思います。
 終わります。
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風間直樹#25
○風間直樹君 よろしくお願いします。
 西田議員の議論を大変興味深く、楽しく拝見をいたしました。恐らく西田さんがおっしゃる趣旨としては、日本政府はより現状よりも財政出動したとしても財政破綻にはつながらないという趣旨が根底にあるんだろうと思います。
 それで、ちょっと最近、西田さんのおっしゃる考え方というのは、御案内のようにアメリカでもかなり言われるようになっていまして、ちょっとこの点を冒頭に確認をしたいと思うんですけれども、今日の委員会でもほかの委員からも御質疑があるようですが、MMTという理論が最近アメリカでは随分もてはやされるようになってきております。
 この理論のエッセンスを簡単に言うと、独自の通貨を持つ国の政府は通貨を限度なく発行できると、だから財政赤字が大きくなっても問題ないという考え方のようであります。政府が財政を拡大し過ぎることは財政破綻を招きかねないと、こう考えられるわけですけれども、インフレ率が一定の水準に達成するまでは財政支出をしても構わないと、このMMTの主唱者たちは言っているということです。
 私は、このMMTというのはもう全くとんでも理論だと思っていまして、いずれ歴史的に淘汰される考え方だというふうに思っているんです。そこはちょっと西田さんと違うんですが。
 それで、今日、黒田総裁にまず基本的なことをちょっとお尋ねし、質疑をさせていただきますけれども、このMMTの、独自の通貨を持つ国の政府は通貨を限度なく発行できると。この背景には、限度なく通貨を発行したとしても財政の信認は揺るがず、通貨の信認も揺るがず、財政破綻にはなり得ないと、なぜなら独自の通貨で独自の例えば国債を発行しているからと、こういうことでありますけれども、それでは、根源的に、この通貨の信認を維持しているもの、その通貨の信用の裏付けとなっているものは何かというのが問われてくるんだろうと私は思うんですね。
 それで、例えば我が国の円の場合ですが、これ、現在この円の信認の裏付けとなっているものというのは、総裁はこれどういうもの、何だとお考えでいらっしゃいますでしょうか。
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黒田東彦#26
○参考人(黒田東彦君) これはなかなか難しい御質問だと思います。
 御承知のように、為替市場がいろいろ変動いたしますと、セーフヘイブンだと称してスイス・フランと日本円が上昇するということが起こりますので、そういう点からいうと、日本円、特に海外からの日本の通貨、円に対する信認は極めて厚いというふうに見えるわけでございます。
 ただ、為替に影響するファクターはたくさんございますので、経済状況の違いとか金融環境の違いとか様々なことが影響すると思いますし、それから、基礎的、基本的な要因として確かに、日本が経常収支が黒字であると、それから対外資産、ネットの対外資産は世界最大のネットの対外資産を持っていると、そういったことが一つのセーフヘイブンの、何というんでしょうか、感覚に効いている可能性はあると思うんですけれども、しかし、為替レートは様々な要因で変動しますので、これで通貨の信認を図るというのは難しいと思います。
 そういう点からいいますと、結局のところは、やはり物価がハイパーインフレになったりそういうこともなく、物価が安定しているということを中央銀行がコミットして実現していくと、そういう中央銀行の政策に対する信認というか信頼というものが通貨に対する信頼の大きな要素であるというふうに思います。もちろん、財政赤字とか財政の債務の、GDPの大きいとかいうこと自体が財政に対する信認というものの問題を引き起こす可能性はもちろんありますけれども、通貨に対する信認にやはり一番大きい要因は、中央銀行が物価の安定を確保すると、そういうことに対する信頼というものが一番大きな基礎ではないかというふうに思います。
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風間直樹#27
○風間直樹君 日銀総裁のお立場としての認識としては至極ごもっともだろうと思います。
 私も、この問題、ここ数年ずっと考えてみたんですけれども、私は、基本的には、一国の通貨の信認の源というのはその国が生み出す富の総体だろうと思っています。ですから、単純に言えば、その国が、例えば日本が生み出す富以上に我が国が国家債務を持てばいずれ財政破綻の危機を招くという、非常に単純なことだろうと思っております。
 それで、我が国の場合、今、国家債務が、国と地方合わせて千百兆前後あるんでしょうか。一方、米国の方に目を転じますと、およそ二十二兆ドル、国家債務を米国は抱えていると言われております。それで、米国の場合、ドルが基軸通貨ということもあって、国の債務の発行上限が来るといつもアメリカの連邦議会で、その上限を撤廃してまた上限を上にするかどうかという議論がなされるわけですけれども、私、かねがね不思議なのは、このMMTの理論も出てくるように、アメリカが際限なく米国債を発行し、ドルを世界中に、よく垂れ流すと言われますが、世界中にドルがあまねく普及し、それでも現状のところはまだ財政破綻の兆しは出ていないと。じゃ、それはなぜだろうと。今述べたことを踏まえれば、アメリカが現在生み出している富、国富がドルの信認の裏付けとなっているからということなんですけれども。
 ただ、私、ちょっとアメリカの歴史を勉強してきまして面白いことに一つ気付いたんですが、一九七〇年代、ニクソン政権のときに、御案内のとおり、米ドルの兌換を停止しております。この兌換を停止する前と兌換を停止した直後と、そして兌換停止後しばらくたつ現在、この三つのタイミングを比較したときに、米ドルの価値というのがどのように変化したのか、これをちょっと調べてみたんですけれども、実は兌換を停止した直後に米ドルの信認がかなり揺らいでいるんですね、数年間にわたって。
 米国内ではかなりのインフレに悩まされた時期というのがあるようなんですけれども、黒田総裁は財務官もお務めでいらっしゃいますからその辺の事情ももしかしたら御記憶かもしれませんが、何かその辺の事情について御見識があればお尋ねしたいと思います。
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黒田東彦#28
○参考人(黒田東彦君) 確かに、一九七一年のニクソン・ショックで米国はドルの金兌換を停止したわけですね。戦後の国際通貨体制というのは、俗に金ドル本位制だと言われるように、ドルは金との兌換をする、各国通貨はドルとの間で固定相場を維持すると、こういう形で維持されてきたわけですが、ドル兌換が停止されて、七一年の年末にスミソニアン合意ができましたけど、そのときも米国は金兌換を受け入れなかったわけですね。
 ですから、その後、金の価格は大きく上昇したわけですし、御指摘のようなドルの下落あるいはインフレというものが起こったことは事実なんですけれども、その後の状況を見ますと、特に一九九〇年代に入って物価は非常に安定して、これはグリーンスパン議長の下でということもありましょうし、また、御指摘の点でいいますと、九〇年代はアメリカ経済が、ITとかその他いろいろなIT関係の情報産業が非常に盛り返してアメリカ経済自体が非常に強くなったところでありまして、一方で金融政策でインフレを抑制するという形を取り、他方で米国の経済の潜在成長率もむしろ上昇したと言われているわけですから、そういう中でドルの対外価値も比較的安定していたということだと思いますので、御指摘の点もそのとおりだと思いますし、今や実は世界の外貨準備の大半がやはりドルでして、ドルが国際通貨として果たしている役割はむしろ大きくなっているわけであります。
 それの背景には、やはり米国の物価が安定しているということと、一方で、米国の経済自身が製造業でなくて非製造業で非常に大きく成長して拡大したということがあるのではないかと思います。
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風間直樹#29
○風間直樹君 せっかくの機会ですので、今日は黒田総裁始め日銀の理事の皆様がほか四名お越しですのでちょっと一言ずつコメントをお願いしようと思うんですが、この一九七一年のニクソンによる米ドル兌換の停止後、今日、米ドルの価値がそうぶれることなく安定している根源的な理由について、もしこれが理由だという御見識があれば一言ずつちょっと御答弁いただきたいと思うんですが。今総裁には御答弁いただきましたから、理事、順次お願いいたします。
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