厚生労働委員会

2023-04-27 参議院 全74発言

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会議録情報#0
令和五年四月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     山本 博司君     若松 謙維君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山田  宏君
    理 事
                こやり隆史君
                島村  大君
                比嘉奈津美君
                川田 龍平君
                山本 香苗君
    委 員
                生稲 晃子君
                石田 昌宏君
                神谷 政幸君
                友納 理緒君
                羽生田 俊君
                藤井 一博君
                星  北斗君
                石橋 通宏君
                打越さく良君
                高木 真理君
                窪田 哲也君
                若松 謙維君
                東   徹君
                松野 明美君
                田村 まみ君
                芳賀 道也君
                倉林 明子君
                天畠 大輔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐伯 道子君
   参考人
       一般社団法人日
       本経済団体連合
       会専務理事    井上  隆君
       株式会社ニッセ
       イ基礎研究所主
       任研究員     三原  岳君
       早稲田大学理事
       ・法学学術院教
       授        菊池 馨実君
       全日本民主医療
       機関連合会社会
       保障政策部担当
       役員       山本 淑子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築
 するための健康保険法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
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山田宏#1
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山本博司君が委員を辞任され、その補欠として若松謙維君が選任されました。
    ─────────────
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山田宏#2
○委員長(山田宏君) 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、一般社団法人日本経済団体連合会専務理事井上隆君、株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員三原岳君、早稲田大学理事・法学学術院教授菊池馨実君及び全日本民主医療機関連合会社会保障政策部担当役員山本淑子君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 皆様からの忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、井上参考人、三原参考人、菊池参考人、山本参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず井上参考人からお願いいたします。井上参考人。
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井上隆#3
○参考人(井上隆君) ありがとうございます。経団連で専務理事を務めております井上隆と申します。
 本日は、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の審議に際しまして、経済界からの意見を陳述する機会をいただき、御礼を申し上げます。
 私からは、本法案につきまして基本的に賛成の立場から、お手元のレジュメに沿って意見を申し述べます。
 まず、全世代型社会保障制度の構築に関する総論的な考え方でございます。
 我が国では、二〇二五年に全ての団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者入りをするなど、今後も高齢化は進行し、これに伴い、医療・介護給付費の増加が見込まれております。
 一方で、社会保障制度を財政面で支える現役世代は減少を続けており、結果として、現役世代の保険料負担は高齢者を大きく上回るスピードで増加し続けております。医療については、現役世代が負担する保険料の四割以上が高齢者向け支援、拠出に充てられ、健保連の集計によれば、令和五年度では健康保険組合の八割が赤字の見通しとなっております。
 今後も、中期的には少子化は進行し、人口構造に急激な変化は見込めませんので、社会保障制度の持続可能性を確保するためには、経済のパイを拡大をしていくとともに、高齢者の方にも可能な限り制度を支える側に回っていただき、能力に応じた負担を通じて、現役世代と高齢者の方々の給付と負担のバランスの是正を図る必要があると考えております。
 このような観点から、今回の法案につきましては、このような改革を更に一歩前へ進めるものとして評価をしております。
 次に、今回の法案につきまして、特に我々の関心が高い項目に絞って意見を申し上げます。
 まず、出産育児一時金を全世代で支える仕組みについてでございます。
 今回、出産育児一時金の大幅な引上げにおいて、費用の一部を、現役世代だけでなく、後期高齢者医療制度からも支援する仕組みとされております。少子化の流れが反転しない中、この点については、子育てを高齢者も含めた全世代で支援するという観点から意義があり、評価をしております。
 なお、制度の検討過程において、出産費用の見える化の必要性についても議論が行われたと承知をしております。妊婦の方々が安心をして出産できるよう、適切に医療機関を選択できる環境整備が重要でございます。出産費用の状況、医療機関等の特色、サービスの内容等の情報提供、いわゆる見える化を進めていただくことが重要と考えております。
 次に、高齢者医療制度の見直しについて申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、高齢化の進行によりまして、今後も、医療・介護ニーズの増大、費用の増加が確実です。現役世代が減少を続ける中、経団連では、これまで公正公平な全世代型社会保障の確立を訴えてまいりました。
 公正公平とは、年齢や働き方にかかわらず、国民全体で納得感が持てる適切な給付と負担を実現することであると考えております。そのためには、高齢者の方々におかれても、負担能力のある方には御負担をいただき、現役世代だけに負担が偏ることがないように、制度の持続可能性を高めていく必要がございます。
 このような観点から、今回提案をされております、①後期高齢者負担率の設定方法を見直して、後期高齢者の一人当たり保険料と現役世代の一人当たり後期高齢者支援金の伸び率をそろえること、また、②負担能力に応じて後期高齢者の保険料負担を見直すことのいずれにつきましても、全世代で公平に支え合う観点から賛成をいたします。
 また、被用者保険からの前期高齢者の医療給付費負担につきまして、これまでの加入者数に応じた調整に加えまして、報酬水準に応じて調整する仕組みを一部に導入する提案がなされております。この点につきましては、報酬水準の高い健保組合にとって負担が重くなる内容ではございますが、今回、あわせて、被用者保険者への財政支援策も盛り込まれております。
 今年度の保険組合の財政は、健保連の調査によりますと、高齢者医療等への拠出が急増する中、五千六百二十三億円もの赤字が見込まれ大変厳しい状況にあり、今回、報酬調整の導入と併せて財政支援が実行されることは意義があると思います。
 また、先ほどの、負担能力のある高齢者の方々にも支えていただく見直しを含めれば、高齢者医療制度の改革トータルで見た結果としては、私どもの主張しております現役世代の負担軽減につながるものと一定の評価をさせていただいております。
 なお、今後ますます厳しさが予想される医療・介護保険制度の財政状況を見据えますと、先ほど申し上げた公正公平な全世代型社会保障制度の確立の観点から、適正な負担能力の把握が極めて重要となってまいります。この点に関しましては、マイナンバーを活用して、フローの所得のみならずストックにも着目し、御高齢の方の保有する金融資産等も勘案した、真の負担能力に適切に対応した保険料、利用者負担の在り方について更なる検討が必要と考えます。
 次に、医療・介護分野の情報基盤整備について申し上げます。
 今回の改正案では、医療法人や介護サービス事業者の経営情報のデータベースとともに、自治体や事業者等に分散していた介護情報を電子データで収集、整理する基盤を整備することが盛り込まれております。
 急速な高齢化に伴い、医療・介護サービスに関する地域による格差あるいは偏在が大きな問題となっております。医療分野、介護分野のDX、デジタルトランスフォーメーションを進めることを通じて、限られた人材、財源の有効活用、事務負担の軽減、生産性の向上、そしてサービスの質の向上につなげることで、効率的かつ持続可能な医療・介護提供体制の構築を実現していただきたいと思います。
 また、経営情報のデータベースは、医療・介護政策をめぐる環境変化に対するエビデンスに基づいた的確な対応とともに、国民に対する医療、介護の現状や実態の理解促進を図る点でも不可欠な基盤であります。
 今回、職種別給与費の状況の提出は任意項目とされております。今後、医療、介護に従事されている方々の処遇改善を検討する上でも重要なデータであり、かつ、見える化の趣旨に合致するよう、可能な限り、より多くデータ収集をいただきたいと思います。将来的には、任意の在り方を見直すことも含めて検討すべきと考えます。
 最後に、全世代型社会保障制度改革に関連し、経団連の基本的な考え方について申し述べさせていただきます。
 日本経済は、三十年来の長期にわたり低迷が続いております。経団連は、地球温暖化を始めとする生態系の崩壊や格差の拡大といった社会課題の解決と、持続可能な経済成長を目指すサステイナブルな資本主義を掲げて活動を続けております。そして、これを支えるのは分厚い中間層だと考えております。分厚い中間層の形成には、社会保障、税制の改革、賃金引上げや人の投資を含む労働政策、官民が連携し中長期に、視点に立ったダイナミックな経済財政運営、この三つに全体感を持って一体的に取り組む必要があります。
 企業においては、成長の成果を適切に分配し、構造的な賃金引上げと国内投資の拡大を通じて、マクロ経済環境の改善、分厚い中間層の形成に努めていくことが重要であります。その一環として、既に今期の春季労使交渉では、物価動向を特に重視しながら、企業の社会的責務として賃金引上げのモーメンタムの維持強化に向けた積極的な対応を広く呼びかけ、その結果、多くの企業が対応を始めているところでございます。
 今がまさに、長期低迷から脱却して好循環を定着させ、分厚い中間層の形成につなげていく起点となる重要なタイミングであります。分厚い中間層がしっかりと経済成長を担っていくことが社会保障制度の安定にもつながり、少子化の歯止めにもつながります。
 経済界としては、賃金引上げのモーメンタムを来年以降も定着させて構造的な賃金引上げを実現していきたいと考えております。しかし、現役世代の社会保険料の負担軽減と将来不安の解消につながる社会保障制度の見直しが行われなければ、こうした企業の努力の効果も減殺され、若い世代の希望も失われてしまいます。
 今回の改正案は、その趣旨にありますとおり、全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築に向けた第一歩だと考えております。今後も引き続き、高齢者の方々と現役世代の給付と負担のアンバランスの是正、特に分厚い中間層の形成に資する制度改革に果敢にお取り組みいただきますようお願いを申し上げます。
 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
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山田宏#4
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 次に、三原参考人にお願いいたします。三原参考人。
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三原岳#5
○参考人(三原岳君) おはようございます。ニッセイ基礎研究所の三原です。
 今日は、こういう機会をつくっていただき、ありがとうございます。今日は、全世代型対応の社会保障に関して、独立した立場でお話しさせていただければと思います。
 ニッセイ基礎研究所に私は所属していますけれども、研究者としては非常に独立した立場で、社会保障制度を中心に、特に医療、介護を中心に政策研究をやっております。今日もそういう立場でこの後お話しさせていただければと思います。
 資料を作ってまいりましたので、資料を基に説明させていただきます。
 一枚おめくりください。
 今日は、初めにということで論点整理を少しして、それから、かかりつけ医の強化の話、医療、介護の話、さらに、最後、終わりにという流れになります。
 一枚おめくりください。
 今日の、今回の法案は様々な内容が盛り込まれているわけですが、今回は、私の説明の内容に応じて四つで整理しました。かかりつけ医の強化、医療・介護制度の持続可能性確保、それから三ページ目ですが、少子化対策、その他という整理です。
 私は、今日はかかりつけ医の強化に関して大体八割から九割ぐらい、あと、医療、介護に関して残り一割、二割、最後、ちょっと少子化に。私は少子化の専門家ではありませんが、少しだけ少子化の話も触れたいと思っています。
 一枚おめくりください。五ページ目へ飛んでください。
 今回のかかりつけ医機能の強化に関しては、去年の年末に社会保障審議会医療部会が意見書を出しました。その中の内容というのは四つで私は整理されていると思います。一つはかかりつけ医機能の定義の法定化、二番が医療機能情報提供制度の刷新、三番目がかかりつけ医機能報告制度をつくるよという話です。四番が書面交付の仕組みをつくるという話です。これをちょっと図にしたのが六ページ目になります。
 国民、患者がかかりつけ医を選ぶときに情報が必要なので、その医療情報提供制度を刷新して国民に情報をきちんと渡していくというのがまず左側の矢印になります。それから右下ですが、都道府県がかかりつけ医に関する情報を集約して開示して、それを基に地域の医療機関と協議しながらかかりつけ医機能の向上を目指すというのがかかりつけ医機能報告制度。左上が、書面交付制度というのは、医学的管理が必要な患者さん、例えば高齢者とか障害者の方、こういった方に対して、患者が望むのであれば書面を交付すると。かかりつけの関係を一定証明するというようなことが今回の制度改正の肝、内容かなと思っております。
 赤で囲ったところが私の気になっている点、あるいは今後論点になるかなと思っている点なんですが、これはちょっと字に起こしましたので、七ページ目、御覧ください。
 かかりつけ医機能のまず定義の法定化の意味合いですけど、私はこれはプラスだと思っています。医療法に今まで、かかりつけ医機能あるいはプライマリーケアという国民にとって身近な医療が一切位置付けられていなかったという点は私はマイナスだと思っていましたので、これが位置付けられること、これは一定程度プラスだと認識しています。一方で、むしろ私は遅きに失したんだと思っています。
 これは、四十年前に、家庭医に関する懇談会、家庭医をつくるつくらないで実は厚生省と日本医師会がもめまして、曖昧なかかりつけ医を拡大していくということで合意した経緯があります。そのときの経緯は、参考資料の二十四ページ目から三十ページ目辺りに当時の経緯が整理してあるんですけれども、そのときの経緯があるので、曖昧な形でかかりつけ医をつくってきた、運営してきたわけです。それが一定程度位置付けられることは意味があるかなと思っています。
 ただ、国民、患者から見たら、ちょっと分かりにくい点は否めないかなと思います。例えば、今回は、かかりつけ医の法定化ではなくて、かかりつけ医機能の定義の法定化です。これを私はちょっと自分の両親や大学の同級生にこの違いを説明するというのはなかなか難しいなと思っていまして、ちょっとその分かりにくいという点は今回の制度改正の課題かなと思っています。ただ一方で、プライマリーケアが位置付けられたこと、これはプラスかなと思っています。
 二番の医療機能情報提供制度、かかりつけ医機能情報提供制度も、どうやって実効性を担保するのかということが課題になるかなと思います。特に、医療機能情報提供制度というのは国民に使ってもらうシステムですから、国民に使い勝手のいいシステムの情報を出していく必要がある。
 厚生労働省は、全国統一のシステムで分かりやすく提示すると書かれていて、この医療機能情報提供制度にしてもかかりつけ医機能報告制度についても、今後の制度設計は有識者の検討に委ねるとなっていますけれども、例えば、私がかかりつけ医機能報告制度を使って近所のスズキ先生のところに行って、スズキ先生、医療機能情報提供制度でオンライン診療やられているって聞いたんですけどやられているんですかと聞いた場合に、いや、実は半年前にやめたんだよねと言われたときに、私はどう思いますかね。医療機能情報提供制度って使えないなって多分思うんだと思うんです。
 やはりそれは、全国統一のシステムをつくるだけじゃなくて、やっぱり半年とか、多少のタイムラグがあるのはしようがないと思うんですけど、半年とかの周期でローリングをしていく、情報の見直しをしていかないと、恐らく使えるシステムにならないと思います。これは都道府県が制度を運用しますので、都道府県の主体性、それから地域の医師会の協力、これが欠かせないことになってくると思います。
 四番の、書面の交付の患者、医師の関係性という点なんですけど、これも、かかりつけの関係を一定程度証明するというのは非常に私は意味があると思います。なぜかというと、医師というのは患者と医者の信頼関係で私は成り立つと思っていますので、これを一定程度担保するには意味があると。
 ただ、これが医療部会の意見書を読むと、一人の医師だけにその書面交付の発行をできるようにするのか、あるいは複数にするのかというのが両論併記になっているように読めます。それはつまり、三原という患者に対してスズキ先生が書面を交付できるだけ、スズキ先生だけが書面を交付できるようにするのか、スズキ先生もサトウ先生もタナカ先生も書面を交付できるようにするのかというのがよく分からないんですね。
 かかりつけ医というのは何でも相談できるお医者さんなわけですよね。その人を中心に、その人の責任、その人がケアの責任者になって、その人を中心にいろんな人と、多職種と連携するというシステムですので、医療の入口が複数にまたがるというのはいささかどうなのかと思いますので、私はこれは一対一でなければならないだろうと思っています。それをしなければ、かかりつけ医の機能を強化した私は意味が半減するとぐらい思っていますので、この辺りは次の診療報酬改定との絡みもありますから、今後の論点なのかなと思っているところです。
 八ページ目、御覧ください。
 先ほど申し上げたとおり、今回の制度は都道府県に主体性を委ねていますので、やっぱり都道府県の主体性、それから地域の医師会の主体性が求められます。様々な制度改正は都道府県に今委ねられていまして、介護に関しては市町村が主体性を求められていますけれども、かかりつけ医機能もそういうことだと思います。
 こういうことを言うと、大体メディアの皆さんから、それは都道府県はできるんでしょうかという問合せがあります。私は答えはイエスだと思っています。二十年間の地方分権の成果として、都道府県がその能力を持っていることは、今回のコロナでも一定程度明らかになったんだと思います。
 ただ、こういう質問になると答えはノーに変わります。それは、全ての都道府県で対応できますかという問いとか、全ての都道府県で制度が安定的に回りますかという問いを受けると、私は答えがノーに変わります。
 それはなぜかというと、やはり都道府県の担当者によってレベル感、やる気とか能力によって、またレベル感は違います。それから、地区医師会のリーダーシップの違いもあります。あと、地区医師会と、例えば医師会と政治との関係がちょっとぎくしゃくしているとかいろんな変数があって、やっぱりうまくいかないところもあればうまくいくところもある。だから、そこら辺はどうしても格差が出るんだろうと思います。
 今回は、地域の実情に応じて実践と自治を積み上げていく取組だと思っていまして、これは非常に大事だと思うんですけど、これだけで本当に制度改正ができる、基盤が強化されるのかと言われたら、ちょっとそこは私はクエスチョンマークが付いています。
 実際、厚生省は、三十年前にかかりつけ医のモデル事業をやりました。これは医師会を中心にやってくださって、当時の資料とか読むと、かなりの、一部の医師会は相当前向きだったと理解しています。今回も恐らく、かかりつけ医機能報告制度を使って、かなり、一部の医師会が前向きにやってくださるんじゃないかと思って期待しているんですけれども、かかりつけ医推進、かかりつけ医モデル事業、当時のモデル事業の資料を読んでも、これが今続いているとはやっぱりちょっと到底思えないんですよね。やはりその自治と実践というのは、担当者が替わるとか、そういった形で長続きしない面がありますので、やっぱり制度で担保する必要もあるだろうと思っています。で、一層の制度改正が、やっぱり議論が必要だろうと私は思っています。
 今回の制度改正は一定程度進歩、前進がありますけれども、今回のその制度改正の論点、制度改正に至るまでの論点というのは、かかりつけ医はかなりもめましたけれども、論点は幾つかありましたが、患者、医師の関係性に着目すると、こういった点だと思います。
 かかりつけ医の制度化に賛成の人、つまり登録制に賛成の人というのはこういう分類をしました。つまり、三原という患者がサトウ先生を例えば登録医に指名したら、サトウ先生が健康管理をしてくださる、コロナのワクチンの接種もしてくださる、発熱対応もしてくださる、ケアの責任体制が明確になりますという言い方をしたわけです。私はこの立場に近いので、そこはよく分かるんですが、これには実はちょっとマイナス面もあります。
 つまり、フリーアクセスが制限されるわけですよね。例えば、スズキ先生のところの診療所がすごく混んでいて、処方箋だけもらいたいんで隣のタナカ先生のところに行きたいというのが行けなくなるわけです。まあ、制度設計次第の面もありますが。なので、ケアの責任体制を明確にするということとフリーアクセスを維持する、患者の受療権を確保するということは一種トレードオフなので、このトレードオフの間でずっと議論が平行線をたどったと私は認識しています。
 これを私は神学論争と当時思っていたんですが。じゃ、その神学論争は乗り越えられないかと言われると、実は乗り越えられると私は思っています。
 これが十ページ目ですが、登録制に賛成の人というのは必ずイギリスの医療制度を参考にします。私もイギリスの医療制度、十年前に見に行きましたが、やっぱり合理的なシステムだと思いました。つまり、ゼネラルプラクティショナーという家庭医が、プライマリーケアとして全人的かつ継続的なケアをして責任体制を、そこで責任が明確になっている。必要に応じて二次医療機関を指名する。
 ところが、やっぱり患者に受療権はありません。登録制ですから、そこに行くしかないわけですね。だから、日本のフリーアクセスとは明らかに違います。だから、イギリスの仕組みと日本の仕組みは違うという指摘を反対派の方はよくおっしゃいます。私もそのとおりだと思います。
 ただ、日本はフリーアクセスなんでしょうか、純粋に。実は、紹介状なし大病院受診って七千円取っているわけですよね。だから、フリーアクセスは実質的に軌道修正されています。
 フランスの医療制度をそこに間に挟むと、実はそんなにイギリスの医療制度と変わらないんじゃないかというのがこの絵になります。フランスのかかりつけ医制度は、登録は義務付けられています。ただし、登録した医療機関以外に行ったら高い値段を取るよという仕組みになっているわけですね。ここを、このフランスを間に挟むと、日本とイギリスというのはそんなに懸け離れてなくて、フランスが日本とイギリスのハイブリッドのようなイメージで理解できるんじゃないでしょうか。フランスは実際、日本のようなフリーアクセスでした。
 なので、そういうふうに考えると、こういう神学論争のようなゼロか一かではなくて、歩み寄る努力が私は必要だったんじゃないかなと思っています。
 次の改正もそういった形、次もし制度改正議論するのであれば、こういうトレードオフの関係に配慮しながら幾つかの選択肢を考えていくということが考えられるんじゃないでしょうか。例えば、患者の登録が問題であるならば、義務が問題であるならば任意にする。任意にする代わりに、かかりつけ医に誘導する代わりに、例えば高い値段を、高い値段というか、それ以外の医療機関に行ったら高い値段を取る、任意にした場合は保険料を下げる、そういった幾つかのオプションが私はあると思います。そのオプションを今後はずっと模索しながら、ケアの責任体制を強化しながら患者の受療権を確保するという難しいトレードオフに次はチャレンジしていただきたいなと思っています。
 残り、医療、介護の話と少子化の話を少し触れたいと思います。
 医療保険に関しては、今回の改正は、簡単に言うと、私は全世代で能力に応じた負担対応を強化したという流れだと思っています。これは、一定程度私はやむを得ないと思っています。ただ、制度の複雑化が一層進んでいます。これはやむを得ない面があって、利害調整するときに、足して二で割る、足して二で割るというのをやっていくわけですよね。これはしようがないんです。ただ、どんどんどんどん国民にとって制度が複雑化していっている点が気になっています。
 社会保険方式というのは、本来は、負担がこれぐらいあるから受益がこれぐらいある、受益がこれぐらいあるから負担がこれぐらいあるという、負担と受益の関係性が明確なのが社会保険方式のメリットだと言われ、どの教科書にもそう書いてあるんですが、今の医療保険制度を見ると、それが機能しているとは到底思えません。ただ、制度をガラガラポンするのはやっぱり難しいので、少しずつ少しずつ簡素にしていくという努力を私はしていかなきゃいけないのかな、つまり、あとは制度の複雑化を食い止める、そういう努力も必要なのかなと思っています。
 十三ページ目ですけど、介護に関しては、今回様々な法案、多くの法案、結論、議論を次の制度改正に先送りしたような形になっていますが、生産性向上が一つの論点だと思っています。この辺り、介護の人材不足というのは本当に制約条件として大きくて、ただ、生産性向上とか人手不足って、なかなか逆転ホームランで一発逆転ホームランというのはないので、少しずつ少しずつ積み上げていくしかないと私は思っています。
 生産性向上に関しても、厚労省は、都道府県に窓口をつくってそこで現場と意見をすり合わせながら地域の実情に応じて生産性向上をやっていくというふうに、スタンスでいっていますけれども、私はこれは正しいと思っています。なので、これは少しずつやっていく必要があるでしょうし、介護報酬改定などの誘導も一定程度考えられるのかなと思っています。
 では、終わりにという流れになり、終わりにということで、十五ページ目を御覧ください。
 かかりつけ医機能に関しては、これまで制度面でほとんど手付かずだったんですけど、今回の対応は私は前進だと思っています。むしろ遅きに失した感も否めません。ただ、かかりつけ医の曖昧さは非常にやっぱり残されたなという印象です。
 それから、具体的な詳細な制度設計はこれからだということですが、どんな情報を公開するのか、やはりここは国民目線で議論していただきたいなと思っています。それから、書面を交付する制度をどうするのか。それから、地域の自主性を重んじた制度になっていますから、都道府県医師会の主体性が求められる。それだけでは私はうまくいかないと思うので、一層の制度改正として議論していかなきゃいけない。そこにトレードオフが発生しますから、トレードオフをどう対応するかということを考えていかなきゃいけない。医療、介護に関しても様々な論点があります。
 少子化に関して最後ちらっと述べます。私は少子化の専門家ではありませんので余り詳しく述べられませんけど、やはり給付を増やす議論だけじゃなくて、やっぱり負担を増やす議論も必要だろうと思います。税財源も含めて負担と給付の見直しを、向けて国民の合意を付けていく、そこに国民の代表である立法府ももちろん関わっていくことが大事だと私は思っています。
 少し早口になりましたが、以上です。御清聴ありがとうございました。
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山田宏#6
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 次に、菊池参考人にお願いいたします。
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菊池馨実#7
○参考人(菊池馨実君) 早稲田大学の菊池でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、法学、法律学の研究者でございまして、社会保障法という分野を専攻しております。また、社会保障審議会介護保険部会の部会長、医療保険部会の部会長代理、そして内閣官房全世代型社会保障構築会議の構成員を拝命してございます。
 これらの会議では、これまでのような世代別、年齢別ではなく、全ての世代で負担能力に応じて、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化するための改革の必要性、そして、地域における質の高い医療、介護の体制構築の必要性について指摘されており、医療保険制度固有の改革と、医療、介護の両制度にまたがった改革の双方が求められております。
 今回の法案のキーワードは、一つは全世代対応型の社会保障制度の構築でありますが、同時に、持続可能な社会保障制度の構築ということでもあります。全ての世代が負担能力に応じて社会保障制度を支えていく仕組みを構築するとともに、個人のニーズに応じた良質な医療・介護サービスを効率的に提供できることで、将来にわたって持続可能な社会保障制度を構築することが期待されます。
 以下、時間の許す範囲で、個別論点について若干述べさせていただきます。
 まず、医療保険ですが、全世代対応型というのは全世代で支え合うこと、すなわち、支える側と支えられる側を年齢による区分で分けるのではなく、全世代で支え合うことを前提に負担能力に応じて負担するという考え方です。高齢者と現役世代のバランスが大きく変化し、昨日も人口推計出ましたけれども、現役世代を中心に人口減少の局面に突入している現在、不可欠なコンセプトです。
 その中で、孫の世代に当たる世代の出産を後期高齢者制度が支える仕組み、そして、介護保険と同様、後期高齢者の保険料の伸びと現役世代の支援金の伸びをそろえる見直し、以上二つは世代間の公平を図る仕組みです。そして、所得の高い被用者保険の保険者とそうでない保険者で公平な負担としていく前期財政調整制度の見直し、こちらは現役世代における世代内の公平を図る仕組みです。これらの仕組みを通じて、世代内及び世代間の公平に着目した医療保険制度としての基盤が一定程度強化され得ると考えております。
 その調整手法はいささか技巧的であると言えなくもありませんが、年金と異なり、保険者が多数存在し、後期高齢者医療制度も存在する医療保険の分野では、これら多数の制度間の微調整を図りながら全体としての公平な制度構築を行っていかざるを得ないという面がございます。
 以下、幾つかまた個別に述べさせていただきますと、まず出産関係ですが、後期高齢者医療制度導入以前、後期高齢者自身の拠出も含め、出産育児一時金の財源が賄われておりました。今回、再び以前と同様、後期高齢者にも出産育児支援金という形で支援をしていただくということです。
 後期高齢者医療制度では、現役世代から後期高齢者に対する一方的な財政支援の仕組みしかなかったのを、給付の性格に応じて双方向で支え合うということで、望ましい方向性だと思っております。こうした医療保険の被保険者全体の負担を財源とした出産育児一時金の増加は、評価できると思ってございます。
 ただ、その費用自体が増加しておるんですが、その費用の実態について本格的な分析はなされていません。その意味で、子育て世代が安心して出産できる環境の整備を進める観点から、徹底した出産費用の見える化に取り組んでいくことが不可欠となります。
 通常分娩の保険適用については、医療保険部会においても、その方向で検討を進めるべきという立場から、私は積極的な意見を述べさせていただいております。サービスの標準化や安全性の向上が期待されることからも、今後の方向性として保険適用には賛成でございますが、その前提としても、見える化によって出産費用の地域差や病院間の差などを十分に分析する必要があると考えてございます。
 それから、高齢者負担率の見直しですが、二〇二五年までに全ての団塊世代が七十五歳以上となる。その後、支え手の中心となる生産年齢人口の減少が更に加速する、加速化していく中で、後期高齢者の保険料が、後期高齢者医療制度創設以来一・二倍の伸びにとどまっている一方で、現役世代の負担する支援金が一・七倍になってございます。他方、現役世代は、後期高齢者支援金という形で後期高齢者医療の約四割強を負担しています。
 こうした状況を踏まえると、後期高齢者医療制度における現役世代の負担上昇の抑制も課題であることから、今回、介護保険の仕組みに合わせて後期高齢者負担率の設定方法について見直すのはやむを得ないものと考えます。
 他方、こうした見直しを行うに当たっては、負担増となる保険料額の大きさや個々の高齢者の負担能力に十分配慮し、負担能力に応じた負担という今回の改革の基本的な考え方を徹底することも必要です。また、急激な負担増にならないよう、言わば期待的利益に対する十分な配慮も不可欠と思います。この点から、後期高齢者の保険料負担の見直しについても、激変緩和のための経過措置の導入など、十分配慮していただきたいと思います。
 それから、医療・介護制度改革ですが、これも重要な柱になると思っています。医療と介護の連携です。
 全世代型社会保障構築会議での改革の方向性の柱は四つあります。子ども・子育て支援の充実、働き方に中立的な社会保障制度の構築、医療・介護制度の改革、そして地域共生社会の実現です。報告書で明記されているわけではありませんが、私としては、医療と介護の連携を深めることは地域共生社会の実現にも深く関わるものと考えています。
 医療・介護分野に関して言えば、真の意味での地域包括ケアの推進のためには、医療ニーズの大きい在宅の高齢者や、急性期に入院が必要になった後で自宅に戻る高齢者などを地域でどう支えるかについては、医療と介護が連携することで可能性は大きく広がっていきます。
 他方、地域包括ケアの上位概念は地域共生社会であると捉えられています。高齢者に限らず、地域の様々な支援者や支援機関のネットワークの中で、地域住民同士の支え合いも含め、人のつながりの中で生活を送っていけることがこれからの社会保障が目指す方向性と考えております。
 こうした観点から、今回のかかりつけ医機能の報告制度は、長年法律に位置付けることができなかったかかりつけ医療機関の担うべき機能を法律に盛り込んでおり、評価できると考えております。
 なお、今回の改正はあくまでかかりつけ医機能を対象としたものであります。先ほど三原参考人の御発言で、なるほどなと思って興味深く伺っておったんですが、保険診療における経済的ニードにとどまらず、いわゆるゲートキーパー的な、イギリス的なかかりつけ医を我が国の医療提供体制の中に位置付けることは、イギリス的な制度を持ち込むというのは、それ自体、私は賛成できないと思ってございます。ただ、先ほどいろんな選択肢があるよというお話を伺って、なるほどと思った次第でございます。
 法案では、かかりつけ医機能が発揮される制度整備について、国民、患者がかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるよう情報提供を強化する、そして、都道府県と地域の関係者との協議の場で、必要な機能を確保する具体的方策を検討し公表するとされています。地域によって住民のニーズや専門職人材などの資源の状況が大きく異なることを前提に、不足している機能を把握した上で、それぞれの地域がその特性に応じて課題の解決の手法や仕組みを主体的に考えていくことが必要です。
 これまでも、医療計画や地域医療構想の設定、地域包括ケアシステムや地域共生社会の構築など、それぞれの地域において必要な体制整備が進められてきています。確かに、ここでいう地域は、医療分野の場合、都道府県というやや広い圏域が想定されることが多く、介護や地域福祉でいう基礎自治体、更に狭い小中学校の圏域など、分野ごとに想定される様々な地域をどう重層的に組み合わせつなげていくかは今後の重要な課題と思います。しかし、いずれにせよ、かかりつけ医機能の制度整備を通じて医療と介護が一層つながり、地域で住民を支える仕組みが更に深化していくことを期待しております。
 それから、情報基盤の整備ですが、かかりつけ医機能の確保を中心として、身近な地域における医療、介護の連携体制を強化し、地域包括ケアシステムを深化、推進させ、ひいては地域共生社会の構築に資するという観点からは、医療機関と介護事業者のみならず、自治体、そして何より利用者も含めた関係者間で、利用者の医療・介護情報を電子的に共有するための情報基盤の整備も大変重要な改正事項であります。
 今後、後期高齢者の大幅な増大に伴い、医療、介護双方のニーズを有する高齢者が大幅に増加していく中で、医療と介護が有機的に連携することにより、本人の状態に合ったより質の高い医療・介護サービスを提供することが可能になることが期待されると思います。
 今回の改正は、こうした取組を介護保険法の地域支援事業に位置付けるものであります。地域包括ケアの推進が地域支援事業の取組を通じて行われていることから、これは適切とは思われますが、地域支援事業自体、非常に種々雑多なものが置かれておりまして、今回改正とは別に、全体的な整理をすべき時期に立ち至っていると私は考えております。
 それから、経営情報の調査、分析ですが、医療・介護政策を取り巻く環境変化を踏まえ、必要な経営情報を毎年継続して報告し、蓄積したデータを分析する新たな制度を導入することで、例えば、現在の物価高が医療・介護分野の経営に及ぼす影響や、コロナ感染症のような新興感染症の発生に際し、経年のデータを分析できることで的確な医療機関の支援策を講じることに道が開かれると考えます。
 さらに、一昨年来議論されている医療・介護従事者の処遇改善を検討するに当たっても、医療機関、介護サービス事業所、施設における職種別の給与の状況についても、今は任意で報告を求めるとされております。そこが機能することを期待しておりますが、このデータベースの活用は、そうした処遇改善に際してのよって立つ根拠を提供すると考えられます。任意での、まずは任意での報告ということから始めて、それがどの程度実効的なものかというのを検証していく、よく見ていく必要があると思ってございます。
 各論的な、駆け足で恐縮ですが、以上でございますが、社会保障というのは、当たり前のことですけれども、個人の力では備えることに限界があるという課題、そして、リスク、不確実性に対して、社会全体での支え合いによって個人の幸福追求を図るために存在するものと考えてございます。日本国憲法でいうと、憲法十三条に関わる価値を実現するものと考えてございます。そうした社会保障制度が存在することで、個人と社会が共に豊かになるという面があります。
 ただし、現在、そうした社会を、財源の制約、人口減少社会の到来、家族の単身世帯・高齢世帯化、地域社会における人と人のつながりの希薄化といった非常に難しい局面の中で再構築していく必要性に迫られております。とりわけ、拠出と給付で成り立っている、戦後以来、日本の社会保障制度の中核として機能してきた社会保険の仕組みをどのように維持していくのか。連帯や支え合いといった社会保障、社会保険を基礎付ける人々の意識が私は希薄化していると見ておりますが、ともすると、負担は少なく給付は削ってはいけない、こういう意識が広がっているように私は見られるのですが、そうした中で、連帯や支え合いというこれまで存在していたものを所与とするのではなく、そうした意識をもう一度この制度改革を通じて涵養していく、そういった方向での改正を望みたいと切に思ってございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
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山田宏#8
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。山本参考人。
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山本淑子#9
○参考人(山本淑子君) この度、このような発言の機会をいただき、ありがとうございます。全日本民主医療機関連合会、全日本民医連の山本と申します。
 全日本民医連は、病院や診療所、薬局、介護施設や介護事業所など、全国千七百四十余りの事業所が加盟する団体です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、現在御審議されている健康保険法等一部改正法案について反対する立場から、これ以上の高齢者への負担増はやめてほしい、この一点で、現場からの声をお伝えしたいというふうに思っております。
 健康保険法等一部改正法案、全世代型社会保障構築のための法改正とされております。しかし、全世代で負担をするという側面が強調され、少子化対策と高齢者施策、この二つの世代での対立がされているかのように見受けられます。高齢者のため現役世代の負担が重くなっているかのように感じておられる方も少なくありません。ですが、実は今、多くの高齢者自身も、年金も減り、医療や介護の負担も増しており、安心して暮らせないというのが実情ではないかと思います。
 もちろん、私自身も子育てしながら働き続けてまいりましたし、子育て支援の充実を願っております。出産手当一時金の増額も大変歓迎しております。しかし同時に、若者たちが結婚できる給料、非正規雇用のような不安定な働き方を将来を見通せる安定した雇用へ、そして重い高等教育費の負担の解消、こうしたことをトータルに行わなければ出生率も上がらないままではないかというふうに考えております。そして、将来、高齢になっても十分な年金ももらえない、必要な医療も受けられない、このような状況では、それこそ全世代、明るい安心できる未来を描くことはできないのではないでしょうか。是非社会保障予算全体のパイを大きくして全世代の社会保障を拡充してほしい、最初にそのように申し上げたいと思います。
 これまで、全世代型社会保障改革の中で、年金の受給開始時期の選択肢の拡大や七十歳までの就業機会を確保できるようにして、高齢者も生涯現役で活躍してもらう、負担能力のある高齢者には御負担いただこう、そういう見直しが進められてきたかと思います。
 しかし、年金はこの十年ほど引き下げられてきており、二〇二三年はプラス改定となりますが、昨年来の物価高騰に追い付くものではございません。以前から、年金だけでは生活ができず、不足する生活費のためにパートやアルバイトで収入を得ていた高齢者もおられましたが、コロナ禍で仕事が減ったり仕事を失った方もおられます。そこに追い打ちを掛ける負担増となったのが、昨年十月に実施された後期高齢者の一部窓口負担二割化です。
 私ども全日本民医連が実施した七十五歳以上医療費二割化実施後のアンケート調査に基づいて、この負担増について、高齢者の声、実態を御紹介したいと思います。
 本日は、この調査報告から抜粋し、一部自由記載欄を加えて配付していただきました。お手元の資料を御覧ください。
 このアンケートは、三ページにございますように、昨年十二月から今年二月まで、全日本民医連の病院や診療所、薬局など窓口で、四ページ、五ページにあるような項目のアンケートに御回答いただいて、御協力いただいたものです。
 六ページ御覧いただくと、三十四都道府県から一万五千三百六十八件寄せられています。
 七ページにあるとおり、そのうち七十五歳以上の方が一万二千八百三十一件、さらに、そのうち、十月以降窓口負担が二割になった方が七千六百十五件でした。
 八ページには、七十五歳以上で二割になった方の負担感書いてあります。六割近くの方は、二割になる前から窓口負担重いというふうに感じておられました。十月実施以降、二割負担になって負担と感じる割合が増え、とても重いが二七%、重いが五八%、八割の方が負担が重いというふうになっております。
 続けて、一言欄に寄せられた声を一部読み上げながら御紹介したいと思います。
 まず、九ページ、年金も減らされて、生活も大変という声です。切り詰めるものがない。年金も減り、これ以上負担が増えると困る。生活用品の物価が上がり苦しい生活になってきた。手書きの部分には、年金が減る中、保険料の占める割合が高く、負担がとてもきつく感じます。窓口負担だけでなく、保険料も負担だという訴えがありました。そして、老人は死ねと言っているみたい、とんでもない。
 十ページ、これ以上の負担増はやめてという声です。高齢ですので、タクシーが利用できなくなると病院に通うこともできない。地方では公共交通機関が減り、高齢で免許証を返納すると、病院に受診するときにタクシーを利用せざるを得ない地域もあります。そのタクシー代も大きな負担となっております。必要な治療、薬、負担が増えるのは苦しいが、生きるために必要なので、ほかは削ってでもと思うと。そして、手書きの部分の二番目ですが、これ以上高くなると、もう病院に行けなくなりそうです、とても不安に暮らしています。そういう声です。
 そして、十一ページ目、実は、少なくない高齢者の方々は、自分たちの医療費などが若い世代の負担になっていて申し訳ないと、このように思っておられます。医療費は安い方が助かるが、国の財政も心配です。高齢者よりも若者の負担を減らしてほしい。長生きし過ぎている、若い人たち、孫に負担が行くくらいなら仕方がない。手書きの部分には諦めたような記載があります。現状では負担はやむを得ない、若い世代に回してほしい、限られた財源だから。少子高齢化の時代ですので、しようがない。
 最後、十二ページです。若い世代に申し訳ないと思いつつ、どうしても言いたい、そんなやり場のない高齢者の怒りの一言です。見捨てられ感がある、不安、苦痛を取り除いてくれるのが医、医療ではないか、出産費用五十万、老人の保険から。恐らく、もっと言いたいけれども、その先は我慢して飲み込んだ、そんな一言だと思います。出生率が減っているから出産に掛かる費用を高齢者の財源から充てるとは、年寄りに早く死ねと言っていることか、ほかに幾らでも財源はあるはず。そして、手書きの部分には川柳のような一言がありました。年重ね医薬倍とは何事ぞ。
 若い世代に申し訳ない、国の財政が心配だから我慢する、長生きし過ぎた、高齢者にこのようなことを言わせる社会であっていいのだろうかと、そのように考えてしまいます。同時に、高齢者がこんなことを思いながら身を縮めるように暮らしている姿を見て、現役世代が明るい未来を描けるのだろうか、それは無理だろうと、そのように思います。
 御紹介した一言一言の背景に大事な点が二つあります。一つは、これ以上負担できないという高齢者が、ではどうするのかという点です。受診を控えて我慢をする、薬を間引いて飲む、そういったことが起き、早期に受診すれば治る病気、定期受診で管理がされていれば悪化を防げる病気が重症化しかねません。
 もう一つ、身近に御家族や現役の子供世代がいる場合、親の医療費の負担を肩代わりする。つまり、現役世代の負担軽減といいながら、結局現役世代が負担せざるを得ない事態も起こり得るということです。
 十三ページを御覧ください。アンケートでは、今までどおり受診すると回答された方が八割近くになりました。しかし、十四ページにあるように、今までどおり受診すると回答された方のうち複数回答されている方の回答を見ますと、預金を切り崩して受診する、交際費を削って受診する、水光熱費を削って受診する、そして、これ以上切り詰められない、こういった回答が並びます。
 つまり、十五ページを御覧ください。これまで、現在受診されている方、半数近くが既に生活を切り詰められて受診をされているということです。これ以上の負担増は更に生活を圧迫し、受診控えが起こるのではないかと、そのように危惧いたします。
 こうした負担増への対応として、二割化実施に際しまして、三年間に限り、一か月の負担が三千円以上に増えないようにする配慮措置が講じられましたが、煩雑で高齢者には分かりにくく、高額療養費の手続が必要です。十六ページのとおり、このアンケート調査の実施したときですけれども、まだ手続をしていない方が五五%、手続の仕方が分からない方が二八%おられました。手続をしていない方の半数は、手続の仕方が分からないと回答されています。
 十七ページ、御覧ください。高額療養費の手続について、申請書等は来ないし見た記憶がないと、申請書は届いていない、制度も知らなかったと、高齢なので分からない、自動的に医療費三千円以上は払戻しされると思っていたなどの声がありました。届いても分からずにしまい込んでおられる高齢者の方もいらっしゃるかもしれません。でも、高齢者が分かるように、対象となる方誰一人取り残すことなく必要な手続ができるようにしてこそ配慮措置と言えるのではないでしょうか。
 十八ページ、御覧ください。収入に占める医療費の比率は、やはり高齢者の方が圧倒的に高くなっています。この上、更なる高齢者の負担増を検討しているとなれば、高齢者にはこれ以上医療を受けるなと言われているかのように感じられるのではないかと思います。
 少し話がずれますが、コロナ禍においても、感染症拡大の大きな波の中で、高齢者施設に入所する高齢者に対して、十分な医療が整っていない施設への留め置きが行われました。第八波のコロナによる死者数、九割は七十歳以上の高齢者でした。医療提供体制の問題、医療従事者の不足等、様々な背景ありますけれども、高齢者の命を何としても救おうと頑張っている医療・介護現場で奮闘した医療従事者、介護職員にとって、高齢者の医療を受ける権利がないがしろにされた、とてもつらい経験でした。
 そもそも後期高齢者医療制度は、収入の限られた高齢者だけを切り離して別建てにし、現役世代も負担する形でつくられた制度です。高齢者がつくってくれとお願いした制度ではございません。高齢化の進展、高齢者の有病率や高齢者の医療費負担増、医療費の増などは、制度設計時にも予測されていたはずです。それをここに来て、高齢になること、病気になることが悪いことのように思わされて、高齢者の存在自体が現役世代の負担かのように言われるのは筋違いではないかと、そのように思います。
 最後に、まとめとして述べたいと思います。
 昨年十月の二割負担実施で、これだけ高齢者に負担増を強いる制度変更が行われています。実施後、高齢者の生活、受診行動への影響、調査をされているのでしょうか。そうした検証もないまま次の負担増を検討されるのだとすると、非常に疑問を感じます。
 本日御紹介したアンケート調査は、全日本民医連と日頃つながりのある方々という非常に限られた範囲であります。しかも、現在受診をされています。しかし、地域には、そもそもお金の心配をして受診をためらい、諦め、受診をされない高齢者が既におられます。
 全日本民医連では毎年、地域の中で経済的な理由で受診が遅れて手遅れとなり命を落とした事例、手遅れ死亡事例をまとめております。
 昨年、八十代の方で、御夫婦の年金収入が少ないため、症状がありながら余裕がなくて受診を控えたために、がん治療ができずに亡くなられた事例がありました。また、別の八十代の方は、御本人の年金と、同居されているお子さん、お孫さんなどの就労収入で生活されていました。しかし、お子さんは腰痛のために介護の仕事を辞めて、コロナ禍で新しい仕事もない、お孫さんもパート、世帯として困窮されている状態でした。御本人が自宅で転倒されて大腿骨骨折となりましたが、経済的な余裕がなくて入院も手術もできずに自宅で寝たきりとなり、最後は私ども全日本民医連の無料低額診療事業で入院治療につながりましたが、亡くなられたという事例です。
 こうした痛ましい事例はどうすればなくせるのか。健康に生きる権利を保障し、必要な医療は経済的な心配なしに受けられるようにしていただきたい、このように申し上げたいと思います。
 繰り返しになりますが、これ以上の高齢者の負担増となる法案、廃案にしていただきたい、そのことを申し上げまして、私からの発言を終わります。ありがとうございました。
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山田宏#10
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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比嘉奈津美#11
○比嘉奈津美君 参考人の皆様、本日はよろしくお願いいたします。
 私、自由民主党の比嘉奈津美と申します。
 今、先生方のお話をお伺いしていて、本当に、医療であり介護であり、どれだけ本当、皆様が真剣に取り組んでいらっしゃるかということがよく伝わってまいります。
 私は歯科医師でございます。昭和の時代に歯科医師となりまして、最初は久米島というなかなかまだ医療が充実していない、医科、歯科の診療所があるところで勤務をしておりました。小さな医療の、何というんですかね、治療はできるんですけど、緊急搬送は本島まで連れていかないとできないというような状況の中で、ヘリで搬送するのですけれど、悪天候のときなどヘリが飛ばないとき、もう本当、救える命も救えないという現場を私は見てまいりました。
 そして、私自身、開業したのですが、歯科医師として、その後、カンボジアの方に、ちょうどポル・ポト政権が終わって、子供たち、たくさん平和になって生まれましたが、なかなか歯科治療も受けれないというような状況のところに私は定期的に単独で渡って、ずっともう歯科治療をさせていただいておりました。
 この医療をもう心配なく受けれる、そしてそれを守るということがどれだけ大事か。今、山本参考人からも、いろいろ医療が受けれないという大変な状況のお話ございましたが、それをどう守っていくかという意味で、私はこの、今世界に誇る国民皆保険というものを守る意味で、この法案をしっかりと議論していかないといけないと思っております。
 そしてまた、この三年ほどで、コロナの中から、平時の医療提供体制だけではなく、パンデミックのときにも適切な医療ができる整備を進めていく中、この少子高齢化、人口減少の中、全ての世代を支え合い、持続可能な社会保障制度を構築するための本法案だと思い、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、本法案は全世代型対応の社会保障制度を構築するという名称にもかかわらず、やはりいろいろな御意見があって、改正内容が不十分ではないかという意見もございますが、先ほども菊池参考人が、この法案により、もう一度人々が助け合うという意識を持って進めていくという御意見がございました。
 そこで、改めて菊池参考人にお伺いしたいのですが、本法案は速やかに対応すべき内容が含まれていると思いますが、菊池参考人から見て、具体的にどういう御意見がございますでしょうか。
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菊池馨実#12
○参考人(菊池馨実君) ありがとうございます。菊池でございます。
 社会保障制度といいますのは、やはり社会状況、経済状況の変容、それから財政状況、人口動態の変化などに応じてその都度見直しを迫られていきますので、ここまでやれば完成形というものはないと思っております。
 また、既存の制度を変更するに当たりましても、様々な関係者関わっておりますので、相互の調整をしながらということが不可避ですので、突然ドラスチックな改革というのはなかなかなじまない分野だと思います。
 今回の法案は、全世代対応型社会保障制度の構築に向けて、先生お話しなさいましたように、重要な一歩、具体的な、個別の様々な改正を積み重ねる重要な一歩だと評価してございます。
 また、医療分野に関しましてはかかりつけ医機能もございますけれども、昨年の感染症法改正もセットで評価していただきたいなと思っている部分もございます。
 以上です。
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比嘉奈津美#13
○比嘉奈津美君 ありがとうございます。
 若い人々を含め、全ての世代に安心感と納得感の得られるこの全世代型社会保障に転換する、世代間での財源の取り合いをするのではなく、それぞれ必要な財源を確保するということで。
 そこで、井上参考人にお尋ねしたいのですが、全世代型社会保障を実現し、年齢ではなく能力に応じて負担していただくための取組、また少子化が進む中、若者への負担軽減も必要かと考えます。こうした観点から、本法案は、現役世代の負担軽減、負担抑制につながる内容となっていると考えますが、具体的に井上参考人の御意見はいかがなものでしょうか。
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井上隆#14
○参考人(井上隆君) 本格的な少子高齢化、人口減少社会を迎える中で、高齢者、現役世代、この負担と給付のバランスを是正をしていく、年齢に関わりなく、全ての世代でその能力に応じて支え合うという仕組みをつくることが重要だというふうに考えております。
 今回の法案では、例えば、出産育児一時金の大幅な増額とともに、この費用の一部を後期高齢者医療制度が支援するという仕組みになっておりますし、また、高齢者、後期高齢者一人当たりの保険料、現役世代の後期高齢者支援金の伸び率を同じようにするということなど、高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直しというものが含まれているというふうに考えております。
 無論、今回の改革にとどまらず、全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築に向けた更なる改革をお願いをしたいと思いますし、現役世代の負担抑制を図って、先ほど申し上げた分厚い中間層を形成していく必要があるというふうに考えております。
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比嘉奈津美#15
○比嘉奈津美君 ありがとうございます。
 これから団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年以降を見据え、医療、介護への対応を考えると、二〇一八年から二〇四〇年にかけて、介護サービス利用者は一・五倍、また給付費も、介護給付費も二・四倍と言われています。人材不足が非常に予想されてきます。
 そこで、井上参考人にお尋ねしたいのですが、今、医療の現場ではDXを非常に熱心に取り組んできておりますが、この介護の生産性を向上させるためにも、介護の現場でのDXを具体的にどう活用していくべきかという御意見をお聞かせいただきたいと思います。
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井上隆#16
○参考人(井上隆君) 御指摘のございましたとおり、今後、介護ニーズが増大をしてまいります。この介護人材の確保、喫緊の課題となっております。一方で、支え手は減少しておりますので、この人材確保にはもう限界がございます。
 介護分野におきましても、医療と同様にDXを進めまして、サービスの向上、効率的なサービス提供、また質の向上ですね、こういうものを図って、真に人間の手によりケアすべきところにサービスを、資源を集中させていくという取組が重要でございます。例えば、最近、介護分野の文書負担につきましてはかなりの軽減が進められております。
 今回の法案におきましても、都道府県に対し、介護現場の生産性向上に資する取組を促進する努力義務が課されるという対応がなされております。さらに、介護現場でのDXを進める必要がございますので、新たな介護DXに取り組もうとする事業者に対する一層の支援、取組等々も必要だというふうに考えております。
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比嘉奈津美#17
○比嘉奈津美君 医療DXのこの活用というのは非常に大事なところで、いろいろなデータであったりマネジメント、それからICT、ロボットによるセンサーの活用とか、いろいろな形があると思います。
 この医療DXの推進、我々歯科界、非常にこのオンラインの義務化であったりマイナ保険証で苦労している部分もありますが、いろいろなデータを活用していただくということが我々にとっても非常にまた力になっていくものだと思っております。
 この法案、子育て、子ども・子育ての支援拡充、それから、高齢者医療の全世代で公平に支え合うための見直しであったり、医療、介護の連携の強化、もうかかりつけ医の問題、たくさんの法案が絡んでおりますが、非常にこれからの日本の在り方を支えていく大事な法案だと思いますので、引き続き、また御協力よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございます。
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打越さく良#18
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
 参考人の先生方、本日はありがとうございました。大変に示唆に富んで、今後の審議につなげてまいりたいと思います。
 それで、まず菊池参考人に伺いたいのですけれども、私はこの法案の勉強させていただいて、やっぱり介護の生産性という言葉にちょっと引っかかるというか、何か非常に介護というものが人と人との間にある営みで、尊厳にも関わるようなことというのを捨象するような冷たい言葉に思えるなということで、何度か厚生労働省の方にも伺っているんですけれども、これ非常に素朴な考えなのかなと思ったら、先生の文献の中にも、介護保険部会でも、やはり介護現場に携わってきた方々から生産性という文言そのものへの違和感というものが表明されてきたというものも読ませていただいて、やはりそうした中、なぜあえて生産性という言葉を使うのかということがまだ私も引っかかるところございまして、そこの、現場から見たその違和感を踏まえて、でもあえてここで生産性の向上という言葉が使い続けられているわけですけれども、そこで注意すべきこととかお考えがあれば教えてください。
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菊池馨実#19
○参考人(菊池馨実君) 御質問ありがとうございます。
 私自身も、生産性、介護における生産性向上というのは違和感を持って当初から受け止めている部分がございます。私が使い始めた言葉ではございませんので。
 これは、推測するに、やはり一般産業界における生産性向上といったものをこの介護分野においてどう展開していくかということであると思うんですが、私の言葉に置き換えると、その眼目は、目的は、サービスの質の向上という、そのために何が必要かという、そういう位置付けであると考えておりますし、そういった観点から議論もされているかなと思ってございます。
 以上です。
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打越さく良#20
○打越さく良君 ありがとうございます。
 厚生労働省の方からもその意味だと、サービスの質ということを考えている意味だということを伺ったので、それであれば、端的にサービスの質の向上と言って、生産性ということは使わなければいいのではないかというふうに思った次第でございます。ありがとうございます。
 それでは次に、三原参考人にお願いしたいんですけれども、本日も大変有益なお話をありがとうございました。
 この今回いただいた資料の中の八ページですけれども、地域の実情というのが、本当に私も、医療や介護提供体制改革の流行語というか、よく見るなというかマジックワードのようだなというふうに思っておりまして、これが何か、確かに現場の地域の実情を踏まえないとしようがないところもあるとは思うんですけれども、それが格差というか、地域間格差とかそういうものを放置する言葉になってしまってもしようがないなということも思っておりまして、なかなかそこは悩ましいところではございますけれども、この地域の実情という言葉が、その地域格差を放置しない、そのイニシアチブというか、制度的な担保を何というか支えるようなそういうことになっていく、政治的な、何というか、政治的な取組をしていくためにはどうしたらいいかということを教えていただければと思います。
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三原岳#21
○参考人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。
 地域の実情に応じて、都道府県、市町村にやってもらった結果、格差が広がるんじゃないかという御指摘だと思うんですが、ここはまたトレードオフが発生します。
 一般的に自由と平等というのは両立しませんので、自由を付与すると平等はなかなか確保できないという、これはある意味民主主義の、トクヴィルが言った、指摘した点でもあるんですけど、十九世紀の政治家、思想家のトクヴィルというのが指摘した点ではあるんですが。つまり、自治体に自由を認めれば結果的に平等が失われる、平等をやろうとすれば結果的に自治体の自由度が失われる、そこのトレードオフが発生するんだと思います。そこのバランスをどう取るのかというのが恐らく地域の実情に応じた提供体制改革の一つの論点だと私は思います。
 ただ一方で、厚生労働省さんの方も、いろんな制度を使って、自治体に使ってくださいという仕組みが多々つくられていますので、そこを自治体がうまく制度を使いながら地域の実情に応じた取りあえず提供体制整備をやっていけば、格差がむちゃくちゃ広がるということは一方でないのかなと。むしろ、医師偏在是正とかという観点でいえば、都道府県がそこを主体的にやっていけば、今よりも医師偏在が解消される可能性もあるわけですから、そこはそのバランスを取りながらという仕組みになっていくんだと思います。もちろん、地域の実情という言葉が自治体に丸投げということでなっているんだったら私も反対ですけど、今はそうは思っていませんので、そこは自治体の自主性に期待したいと思っています。
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打越さく良#22
○打越さく良君 三原参考人は文献の中で、「次期介護保険制度改正に向けた審議会意見を読み解く」という文献の中で、来年は三年に一度の介護保険制度の見直しの年であるにもかかわらず、前回と同様小粒な改革であると評価なさっていて、審議会における決定方式の限界についても言及なさっています。さらに、三年に一度の制度改正を一旦止めてでも、今後の高齢者福祉や介護の在り方を議論する必要があると、その際には、安定財源の確保や給付抑制の検討も含めて、政治の責任で論点や方向性、負担と給付の選択肢などを示すことも求められると書かれていらっしゃいます。
 政治の側も、これは本当に大切なことですけれども、まとまりにくい論点ではありますけれども、その際に、国会に協議機関を設けることなども考えられるかと思いますけれども、三原参考人の御意見をお願いします。
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三原岳#23
○参考人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。
 審議会の座長を務められている菊池先生の前でそういうことを言うのはちょっと気が引ける感はあるんですが、やはりちょっと介護保険部会の議論とか給付費分科会の議論を見ていると、ややもすると業界団体のポジショントークに終始している感は私は否めないと思います。例えば、委員が質問すると、いや、それは介護給付費分科会ですみたいな議論がなされていて、全体、介護全体を議論する場がちょっとなくなっているんじゃないかという印象を持っていますので、そこの文章はそういう意味を持って作りました。国会でそういう場をもしつくっていただけるのであれば、それは本当に有り難いことだと思っています。
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打越さく良#24
○打越さく良君 ちょっと私のうがった見方かもしれないんですけれども、今後の社会保障制度改革には、今回のような財政均衡優先ではなくて、制度そのものの目的に沿った改革が必要ではないかと思っておりまして、社会保障の一体的改革が唱えられて久しいわけですが、制度改正はばらばらのままということで、医療、年金、介護のベストミックスのための改革が必要と考えますが、三原参考人のお考え、道筋についてどのようにお考えかを教えてください。
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三原岳#25
○参考人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。
 私も基本的に、所得再分配というのは税でやるというのが基本的な考え方、教科書的な考え方なんだと思います。ただ、税ではなかなか難しいので、社会保険で今回応能負担の強化をしているというふうに私は理解しています。そうすると、やっぱり税の議論と社会保障の議論、もちろんその給付を見直していく、その負担を増やす議論とともに給付を減らす議論、給付を現代化し効率化していく議論、そういうその一体改革というのは私は求められると思います。二〇一三年の一体改革以降、そういう議論は国会でも政府でも余りなされていませんので、そこはちょっと期待したいなと自分では思っております。
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打越さく良#26
○打越さく良君 大変、非常に私たち国会としてもしっかり背負わなければいけない課題であると思います。ありがとうございます。
 ちょっと時間が限られておりまして、井上参考人、山本参考人にお時間がないことをおわびいたしますが、やはり私たちとしても、全世代型社会保障ということで、何か政府に対して、小出しの、余りにも小出しのことじゃないかということだけではなくて、国会としてもしっかり取り組んでまいりたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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窪田哲也#27
○窪田哲也君 公明党の窪田哲也でございます。
 今日は四人の参考人の皆様から大変に貴重な御意見を賜りました。これからの国会での審議、そして党の政策づくりにしっかりと生かしてまいりたいと思います。大変にありがとうございました。
 最初に、菊池参考人に伺いたいと思います。
 各論が一つと、それから総論的に一つ伺いたいと思います。
 まず、各論の部分なんですけれども、今回、出産育児一時金、四十二万円から五十万円に引き上げられます。後期高齢者の負担が生じるということで、先ほど山本参考人の方からも様々御意見ございましたけれども、今回高齢者をなぜ狙い撃ちするのかと、切り捨てるのかといった御意見も私も聞き及んでおりますし、そういう意見があるのも事実です。
 しっかり国民の皆様の理解が進んでいくことが大事だと考えておりますけれども、そうした声に対してどのようにお応えしていただけますでしょうか。
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菊池馨実#28
○参考人(菊池馨実君) ありがとうございます。
 出産育児一時金が五十万円に引き上げられたことは私はよかったと思っています。ただ、出産費用が上がっていますので、それに合わせた引上げというのはやはり不可避だと思います。
 ただ、出産、通常分娩は保険診療ではなく自由診療ですので、言わば市場価格で決まってくる。その市場価格に合わせて一時金を増額するという、しかしこれはイタチごっこになる可能性がありますので、やはり私が申し上げたように見える化、非常に地域差、病院差がありますので、その要因分析は不可避だと思っています。
 その上で、本当に自由診療のままでいいのかという議論をしていただければなと思っていますが、それに伴って、後期高齢者負担の導入というのが、先生おっしゃったとおり考えられているということで、これも私先ほど申し上げましたが、後期高齢者医療制度導入以前は、後期高齢者の方も含めて支える側に回っていただいたわけです。
 七十五歳以上の仕組みが分かれましたので、そこで、その保険者間の支援というのは、現役世代から後期高齢者への支援の仕組みだけになってしまったという。それを、この出産という目的のために後期高齢者の方に一部支援をまた元のようにしていただくという、そういった考え方だと思ってございまして、全世代型ということに焦点当たっていますけど、その含意というのは、能力に応じた負担という、そこを徹底しようということでもありますので、あくまで能力に応じた負担という考え方の中で、後期高齢者の方にもまた元のように一部御支援をお願いすると、そういう考え方だと思っていますので、私は積極的に賛成してございます。
 以上です。
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窪田哲也#29
○窪田哲也君 ありがとうございます。
 昨年の、総論ですけれども、読売新聞、ちょうど一年前、参院選が行われていた頃のインタビュー記事なんですが、社会保障の負担を語れということでインタビューが載っております。その中でこのように述べていらっしゃいます。「社会保障は中長期的な議論が欠かせない。」と、「各党は将来世代に負担を先送りせず、国民の政策選択に資する具体策を「大きな視点」で語ることが求められる。」と、このようにおっしゃっておられますが、今回の改革の中での国会での論戦の中で、特に、御覧になって、大きな視点で我々は語ることができておりますでしょうか。感じられたことがございましたら、御意見伺いたいと思います。
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