財務金融委員会

2024-04-10 衆議院 全161発言

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会議録情報#0
令和六年四月十日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 津島  淳君
   理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君
   理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君
   理事 稲富 修二君 理事 櫻井  周君
   理事 伊東 信久君 理事 稲津  久君
      石原 正敬君  英利アルフィヤ君
      小田原 潔君    大塚  拓君
      大野敬太郎君    加藤 竜祥君
      勝目  康君    木原 誠二君
      岸 信千世君    鈴木 隼人君
      瀬戸 隆一君    高木  啓君
      藤丸  敏君    藤原  崇君
      古川 禎久君    本田 太郎君
      宮下 一郎君    宗清 皇一君
      山田 美樹君    若林 健太君
      階   猛君    末松 義規君
      野田 佳彦君    馬場 雄基君
      原口 一博君    沢田  良君
      藤巻 健太君    掘井 健智君
      竹内  譲君    中川 宏昌君
      田村 貴昭君    吉田 豊史君
    …………………………………
   内閣府副大臣       井林 辰憲君
   財務副大臣        赤澤 亮正君
   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君
   政府参考人
   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      井上 俊剛君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
   政府参考人
   (国税庁次長)      星屋 和彦君
   参考人
   (日本銀行総裁)     植田 和男君
   参考人
   (日本銀行理事)     高口 博英君
   参考人
   (日本銀行理事)     加藤  毅君
   参考人
   (日本銀行理事)     清水 誠一君
   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
 辞任         補欠選任
  英利アルフィヤ君   勝目  康君
  越智 隆雄君     加藤 竜祥君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 竜祥君     本田 太郎君
  勝目  康君     英利アルフィヤ君
同日
 辞任         補欠選任
  本田 太郎君     高木  啓君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  啓君     越智 隆雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)
     ――――◇―――――
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津島淳#1
○津島委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、理事高口博英君、理事加藤毅君、理事清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁証券取引等監視委員会事務局長井上俊剛君、法務省大臣官房審議官吉田雅之君、国税庁次長星屋和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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津島淳#2
○津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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津島淳#3
○津島委員長 去る令和五年六月二十七日及び十二月十五日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、それぞれ国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁植田和男君。
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植田和男#4
○植田参考人 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日は、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。
 我が国の景気ですが、一部に弱めの動きも見られますが、緩やかに回復しています。輸出は横ばい圏内の動きとなっています。企業収益が改善する下で、設備投資は緩やかな増加傾向にあります。雇用・所得環境は緩やかに改善しています。本年の春季労使交渉では、昨年に続き、しっかりとした賃上げが実現する可能性が高まっています。個人消費は、物価上昇の影響に加え、一部メーカーの出荷停止による自動車販売の減少などが見られるものの、底堅く推移しています。先行きは、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けると見ています。
 物価面ですが、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰しつつも残る下で、サービス価格の緩やかな上昇も受けて、足下は二%台後半となっています。先行きについては、今年度は二%を上回る水準で推移し、その後はプラス幅が縮小すると予想しています。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、展望レポートの見通し期間終盤にかけて、二%の物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくと考えています。
 先行きのリスク要因を見ますと、海外の経済、物価動向、資源価格の動向、企業の賃金、価格設定行動など、我が国経済、物価をめぐる不確実性は極めて高い状況です。その下で、金融為替市場の動向や、その我が国経済、物価への影響を十分注視する必要があると考えています。この間、我が国の金融システムは、全体として安定性を維持しています。先行き、内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、我が国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえますと、全体として相応の頑健性を有しています。より長期的な金融面のリスクとしては、金融機関収益への下押しが長期化いたしますと、金融仲介が停滞方向に向かうおそれがある一方、利回り追求行動などから、金融システム面の脆弱性が高まる可能性もあります。現時点ではこれらのリスクは大きくないと判断していますが、先行きの動向を注視する必要があります。
 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行は、先月の金融政策決定会合において、各種のデータやヒアリング情報から、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、見通し期間終盤にかけて、二%の物価安定の目標が持続的、安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断しました。その上で、これまでの長短金利操作付量的・質的金融緩和の枠組み及びマイナス金利政策は、その役割を果たしたと考え、金融政策の枠組みを見直しました。具体的には、政策金利を無担保コールレートオーバーナイト物とした上で、これをゼロから〇・一%程度で推移するよう促すことなどを決定いたしました。
 日本銀行は、引き続き二%の物価安定の目標の下で、その持続的、安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済、物価、金融情勢に応じて適切に金融政策を運営してまいります。現時点の経済、物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えています。
 ありがとうございました。
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津島淳#5
○津島委員長 これにて概要の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
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津島淳#6
○津島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤丸敏君。
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藤丸敏#7
○藤丸委員 本日は、久々に質問に立たせていただきまして、ありがとうございます。また、日銀の皆さんには、政策決定会合ではお世話になりました。ありがとうございました。
 本日は、二問お聞きいたします。
 経済分析ですが、難しい偏微分等を使う分析ではございませんので、経済原論のレベルの話でありますので、植田総裁、植田大先生にお答えいただくレベルではございませんので、日銀の理事さんの方でお願いいたします。
 まず、一ページ、これももう三、四年前に出したのと同じ、本当は更新したかったんですが、なかなか時間がなくて、できなくて。
 一問目は、普通に考えると、マネタリーベースを日銀が増やす、そうすれば次はマネーストックが増える、そうしたらばGDPが増えておかしくないわけであります。その目的でやっているわけであります。
 例えば、下の赤い折れ線グラフがマネタリーベース、太い線が日本、ドットの大きいのはアメリカ、点々々がEU、それから、オレンジがマネーストック、当然それが増えてくる、そして青い棒グラフがGDPということになります。
 これを見ると、アメリカのドットは、例えば二〇〇八、リーマンを見ると、ぴゅっと赤いマネタリーベースを増やす、そうしたらまたマネーストックも増えていっている。常態でずっと増えてはいっております、アメリカは。ヨーロッパは、いろいろ国が別にありますので、一概的に、いろいろな要素を含んでおりますので、簡単にはならないと。
 ですから、日本はなぜ、アメリカは順調にマネタリーベースを増やす、マネーストックが増える、GDPに影響するというふうになっているんですが、なぜこうなっていないかという見解をお聞きいたします。
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清水誠一#8
○清水参考人 お答え申し上げます。
 まず、前提となります、私どもの二〇一三年に導入いたしました量的・質的金融緩和、またその後導入いたしましたマイナス金利政策などを含みます大規模な金融緩和でございますけれども、これらは、主として、実質金利の低下を通じて経済、物価の押し上げ効果をしっかりと発揮したものというふうに評価してございます。
 もっとも、賃金、物価が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が根強く見られる下で、二〇一〇年代後半にかけては、経済活動が改善した割には物価上昇率の改善が小幅にとどまってきたということでございます。この点、米欧と比べまして、我が国の名目GDPが先生御指摘のとおり伸び悩んできたということになりますけれども、その背景としましては、そもそもの潜在成長率に差があることに加えまして、今申し上げましたとおり、我が国の物価の伸び率が小幅にとどまってきたということも影響しているかというふうに認識してございます。
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藤丸敏#9
○藤丸委員 それで、次のページを。日本は、これは四つ書きましたが、普通は手書きで書いているんですが、それを出すのはみっともないといって事務所が作ってくれたんですけれども、Cだけを見てもらえばいいと思うんです。
 C、日本の現状ということで、日銀は、イールドカーブコントロール、ゼロ金利にできるだけ抑えるイールドカーブ、マイナス金利も導入しています。つまり、そのままだと当座預金にみんな預けちゃって、低いけれどもそれで稼ごう、そんなことをするなよということでマイナス金利、こっちへ持ってくるなよということでマイナス金利。プラスアルファ、マイナスのマイナス金利までやってくれていましたよね、マイナスのマイナス金利。何と言ったかな、要は、分野に、普通は当座預金はマイナスなんだけれども、そういうものに関してはちょっとプラスにしてやるよと、マイナスのマイナス、と僕は言っているんですけれどもね、金利まで導入しているにもかかわらず総需要が増えていかない。
 一体これは何なのかというふうに思っているんですが、これは一体何かというと、僕は企業の怠慢だと思うんですよ。実は、マイナス金利のときに、普通はそこで大きく借りて勝負しなきゃ、いつやるんだと。だから、企業の怠慢と言ったらちょっと言い過ぎですよ、短絡的に言えば。役員にやる気がないというのもちょっと言い過ぎだと思います。はたまた、アメリカと違って株主が優し過ぎるのか。もっと元気出してばんばんやれと。つまり、日本が成長するためには魅力ある企業をつくらなきゃならないわけです。
 今、金融庁もこの間、プライムとかスタンダードとかグロースとか、市場改革をやってくれています。東証も、ROEとかROAとかBPSとかいろいろな指標を使って市場を活性化させよう、余りぬるま湯じゃ駄目だよということを言ってくれておりますので。資本主義は魅力ある企業が生まれてくるということが前提でありますので、そういうふうに持っていかなければならないというふうに思っております。
 ただ、Dをちょっと見ると、まあイメージ図ですからね、これは。スティグリッツさんが言っていたのが、アメリカは、ここに書いてあるように、エネルギーとか流通コストとか人手不足のインフレなので、本来的な生産活動が旺盛で物価が上がっているわけじゃないわけなので、余り金利を上げるのはいかがなものかというふうなことを言っておりましたが、僕もそれはそういうふうに思っている。というのは、エネルギーとかそういうのが落ち着いてくると元に戻ってくるわけですから、余りそれに急に反応し過ぎるのはいかがなものかということをスティグリッツさんが言っているのを私は見たことがあります。
 次に、次のページですね。今までの話は、魅力ある企業を生み出さなきゃ駄目だということなんです。二つ目、三ページを見てもらいますと、これも前に一回、三、四年ぐらい前に出したやつなんですが、一応更新はしています、二二年まで。そうすると、アメリカのこの右肩上がりは、私の分析では、八〇年代は、下に赤い色で書いている四〇一k、DBからDCが始まりました。これはバランスシートに載せなくていいという利点がありますので、DBからDCに移ったことによって、この十年間で、これはひょっとしていいんじゃないかというふうにみんな思ったと思います、アメリカの人は。
 九〇年代には、九〇年になるとアメリカがコンピューター化します、市場が、市場というか取引所が。そうすると、最初、九〇年の頭の頃はマックの小さいのを買って、みんな直接株をやり始めたらしいんです、個人が、アメリカで。九五になると、ウィンドウズ95がはやってきてやりやすくなったということで、みんな株を買い始めた。これが、僕は右肩上がりになった一因だと思っております。しかしながら、ITバブルでちょっと落ちたというのがこの二〇〇〇年前の話であります。
 それから、デリバティブが盛んになってきます、アメリカは。前回、三、四年前にその証拠になるエビデンスを出したと思うんですが、デリバティブが毎月ぐっと増えてきます。それで米国はぐっとまた上がるんですが、そこでリーマン・ショックが起こってまた下がる。それから先進国は世界的な大金融緩和を行って、GAFAが登場してこういうふうなグラフになったというふうにいつも言っているんですが、大体、証券業協会でもそういう話をして、そうだと、おかしいという意見は出てこないんですが。
 日銀は、その見方をどういう分析をしているか、お聞かせ願います。
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清水誠一#10
○清水参考人 お答え申し上げます。
 米国の株価ということへの御質問かというふうに理解してございます。もちろん、日々の株価の動きについてのコメントは差し控えたいというふうに思ってございますけれども、やや長い目で見た場合に、米国の株価が非常に好調であったという背景には、投資家からの米国経済への成長期待、また、個々の企業収益への改善期待のようなものが強く働いていたというふうには認識してございます。
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藤丸敏#11
○藤丸委員 つまり、アメリカがDBからDCになるときに、これも三、四年前のときに証拠をつけているんですが、大体八百万、八百万くらい口座が日本はあるんですけれども、七百何十万、八百何十万。しかし、DBからDCになるとバランスシートから取れますから、アメリカにとってはいいんですよ。その代わり、そこの負債分もつけて移動しなきゃいけないから、簡単にはできない、お金が要るという状況になっていました。アメリカは、右肩上がりの、株が強い、毎月、給料から市場にお金が入るという仕組みがここででき上がる。そうすると、もう九〇年代になると、コンピューターでみんな買うようになって、その動きが強くなっている。だから、例えばITバブルになったり、リーマン・ショックが起こったり、長くは続かないんですよ、買いが強いから。
 というように日本も持っていきたいと思って一生懸命頑張ったのがNISAです。皆さんの協力で賛同を受けたので、がんと、アメリカみたいな、四〇一kみたいにがんとはなっていませんが、ある程度、がんとなる。
 次に考えているのが、年金のDC、iDeCo。これを、次の税制で改革をして、少し拡大することによって、その流れを強めようという魂胆であります。
 四ページ。四ページは、去年の暮れまで、つみたてNISAがそのままできたときの話です。つみたてNISAは二〇一八年から始まっております。これを、毎月三万円、ずっと毎月投資をした場合、どういうふうになったかという話です。
 次のページは、一般NISA。一般NISAは、二〇一四年から始まって、最初の二年間は百万、百万が上限でした。次の三年間が百二十万、百二十万、百二十万、これで打ち止めです。だから、灰色のところは、もう積立額は上がっておりません。しかし、そのまま置いているから、ずっと運用益が上がってきて、こういうふうになったというわけでございます。
 ですから、二つ目、私が言いたいことは、もちろん一つ目の魅力ある企業ができるというのが前提ですけれども、二つ目としては、アメリカのように買いが強い、給料から毎月市場にお金が入る、買いの強い、右肩上がりの市場をつくるというのが目的で、そのためには年金のDC、iDeCo改革を次にやっていきたいというのが私の思いでございますので、皆さんの御賛同も何とぞよろしくお願いいたします。
 最後の六ページは、昔、七、八年前かな、作ったのをそのまままた持ってきたんですが、悪いばかりではないというのと、いろいろこれを見ると、低金利が、一番下の黄色が金利の話ですけれども、一九九五年から低金利が日本は始まっておりますので、最初の十年、十五年はその痛手を負ったんですから仕方ないとしても、それから本当は立ち上がって成長期に入るべきじゃなかったのかというふうな思いがしているところでございます。
 終わります。
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津島淳#12
○津島委員長 これにて藤丸君の質疑は終了いたしました。
 次に、中川宏昌君。
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中川宏昌#13
○中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
 今日は、日銀報告に対する質疑ということで、国民の皆様の生活に密着した部分を中心にお伺いをさせていただきます。
 今回の日本銀行の金融政策の変更は、様々なメディアや論評で、日本銀行が金利のある世界へ踏み出したとして、異次元の金融政策から大きく政策転換をし、いわゆる普通の金融政策に移行したと報道をされております。
 今回、日銀は、二%の物価安定の目標が持続的、安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったとして、マイナス金利政策を解除し、十七年ぶりに利上げに転じましたが、これから大事なのは、金融政策の正常化を円滑に進めるため、金融市場の動向を的確に見極めながら、もし変化があれば、迅速に効果的な対策を講じていくことであると思います。
 同じ質問がなされておりますが、この物価目標の達成が見通せる状況といっても、不確実性が高い状況であることを認めて、一方で、経済、物価情勢が依然として弱いので、当面、緩和的な金融環境が継続するとして、金融市場が短期金利の引上げなど追加の政策修正への観測を過度に強めないようにと言っております。
 この二%目標は変えず、緩和的環境も必要ということに対しては、一部の評論家などでは、日銀の説明が矛盾していると指摘もあるところでございます。しかし、私は、この論評は当たらないと思っております。
 そこで、これから金融政策の正常化を進めていくために、この点も含めてどのようにしていくのか、植田総裁に御見解をお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕
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植田和男#14
○植田参考人 私ども、三月の決定会合では大規模金融緩和政策の見直しを決定したわけでございますが、その背景としての考え方をもう一度確認させていただきますと、インフレ率、消費者物価の上昇率から一時的な変動による部分を除いたところを基調的な物価上昇率と呼んだりいたしますが、これが、現在ではまだちょっと二%を下回ると見ています。これは、別の表現をすれば、賃金と物価の好循環に根差した物価の動きのところということでございますが。しかし、その会合で、様々なデータを、さらにヒアリング情報等も吟味した結果、この部分が遠くない将来に二%に向けて着実に上昇していく可能性が高いという判断に至りまして、政策の変更に至ったところでございます。
 しかしながら、最初に申し上げましたように、現状ではまだちょっと二に届いていないということですので、二に向かって持続して上がっていく動きをサポートするために、当面、緩和的な金融環境が継続するというふうに考えているというふうに申し上げているところでございます。
 今後ということで申し上げますと、この基調的な物価上昇率が徐々に二に収束していくという見通しを持っているわけですが、それが本当に着実に実現していくかということを賃金、物価を含みます様々なデータから確認しつつ、今後の緩和的な金融環境の程度がどれくらいであるのが適切なのかということを見極めていきたいと思っております。
 最後につけ加えるといたしますと、一部には、恐らく、こうした基調的な物価上昇率が本当にきっちり二%になるまで待って、それから大規模金融緩和を解除した方がよかったのではないかという御意見もあるかとも思います。
 ただ、私どもがそういたしませんでした理由は、二%に達したところで動くということをいたしますと、そのときにモメンタムがついている可能性が高いわけですから、基調的物価上昇率を含めて、インフレ率がもっと上に行ってしまうリスクはかなり高くなる。そういたしますと、それを止めるためには、場合によっては非常に急激な金利の引上げをそこで決定しないといけない、進めていかないといけないということにもなりまして、その可能性も出てくる。そのコストも考えた上で、少し手前からという判断になったというところでございます。
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中川宏昌#15
○中川(宏)委員 総裁には詳しく御説明をいただきました。
 今、日本経済はまさに正念場でありまして、現時点での経済、物価見通しを前提にすれば、当面は緩和的な金融環境の継続を維持していくことが重要だ、このように捉えさせていただきました。
 今総裁から御説明のありましたとおり、異次元の金融政策から大きく政策転換をしたわけでありますけれども、このことは連日多くのニュースで取り上げられております。
 日銀といたしまして、国民の理解と支持を得るために、金融政策の目的や効果などにつきまして、分かりやすく丁寧な説明を行うことが重要と考えます。報道などでニュースとして流れまして、私も何人かの方から問合せを受けましたけれども、やはり日銀といたしまして、直接国民の皆様に分かりやすく説明することが大変大事だと思っております。
 先日、植田日銀総裁は、インタビューの中で、常に論理的に説明するよう心がける、このようにお話をされております。
 日銀は、どのような方法で国民への説明責任を果たしていくのか、また、金融政策に関する情報発信につきましては、様々な媒体や手法もあると思いますけれども、どのように取組を強化していくのか。この点につきまして、参考人からお伺いをしたいと思います。
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植田和男#16
○植田参考人 私ども、申し上げるまでもなく、政策効果が十分に発揮されるためには、情報発信をしっかりしていくということが重要だというふうに考えておりまして、先ほどの御質問に対する答えでも申し上げたところですが、経済、物価に関する基本的な見方、政策運営の基本的な考え方について、論理的に、しかし分かりやすく、しかも、ある種一貫した考え方、枠組みでもって説明を続けるということを心がけております。
 より具体的には、私の決定会合後の記者会見であったり、決定会合の議事の内容については、主な意見、議事要旨といった形で公表してまいってきております。
 また、本日のような国会での答弁、さらに、インタビュー等の情報発信もありますし、私を含めた政策委員が全国の各地を訪れまして、金融政策運営について御説明したり、地域の経営者、各界を代表する方々との意見交換等も行っております。
    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
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中川宏昌#17
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
 国民に対する説明責任を果たすという観点から、金融政策を始めとする政策、また業務全般につきまして、透明性を確保していくということが大事だと思います。そうした中で、広報また広聴活動の重要性は私は一段と増してきていると思いますので、一層のお取組をお願いしたいというふうに思っております。
 次に、今回のマイナス金利政策解除の中で、非常に国民の皆様に関心があるのは、密着している、例えば住宅ローンの金利ですとか事業性融資の金利だと思います。
 住宅ローン利用者の約七割が利用しているとされております変動金利型ですけれども、短期プライムレートと連動して動く傾向があります。大手銀行などでは、住宅ローンの変動金利の指標になる短期プライムレートは、マイナス金利解除の前後で変化はしておりません。短プラを据え置くと発表済みの銀行もございます。日銀はマイナス金利解除後も緩和的な金融環境を続けるとしており、今のところ、短期プライムレートが上昇する気配は見えておりません。
 大手銀行の中では、マイナス金利政策解除を受けても、短期プライムレートを据え置くことも決めたところもございます。このため、各行が定める変動型住宅ローンの金利は大きく変化しないと見られるとともに、短期プライムレートに連動する企業向けの貸出金利も大きく変動しないと思料されるところであります。
 二〇一六年に日本銀行がマイナス金利政策を導入した際には、短期プライムレートは据え置かれました。その際に、短期金利が引き下げられたにもかかわらず、短期プライムレートの引下げは送られたことから、今回、短期金利がそれ以前の水準まで引き上げられても、短期プライムレートの引上げは見送られたのではないかと考えます。
 一方、一部の金融機関は、住宅ローンの金利の指標にTIBORを採用しております。住宅金利をどう動かすかは、これは各行の戦略によるところが大きいところですけれども、TIBORの上昇の影響が広がる可能性もあるかと思っております。
 今回のマイナス金利決定における、今後の住宅ローンや企業向け貸出しの金利の推移をどのように見ていらっしゃるのか、この点につきましてお伺いをさせていただきます。
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植田和男#18
○植田参考人 おおむね委員のおっしゃったとおりであると思います。
 住宅ローンを含みます貸出金利は、今回の政策変更を受けた市場金利の動向も踏まえて、各金融機関の判断において設定されることになります。ただ、今回の政策変更に伴う短期の金利の上昇は〇・一%程度でございますので、また、私ども、これまでと同程度の国債買入れを継続し、さらに、どこかで長期金利が急激に上昇する場合には機動的にオペを増額するという方針も示しておりますので、今回の措置を受けて、住宅ローン金利を含む貸出金利が大幅に上昇するとは見ておりません。
 また、これも委員御指摘になりましたが、変動金利型住宅ローンあるいは中小企業向け貸出しの基準金利として用いられております短期プライムレートが、現在までのところ、不変となっております。さらに、市場型の金利でありますTIBOR三か月物の上昇も、〇・一%弱にやはりとどまっています。固定金利の住宅ローンと企業向け貸出しの参照金利となります中長期の金利も、おおむね横ばいで推移しております。
 いずれにせよ、こうした金利の動きは注意深く見てまいりたいと思います。
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中川宏昌#19
○中川(宏)委員 ありがとうございます。
 金利の決定につきましては、金融機関によるところが非常に多いことでありますけれども、今の国民の関心事でございまして、あえて今回お聞きをさせていただいた次第でございます。
 それから、最後になりますけれども、今回の金融政策の変更で、マイナス金利の脱却は、金利の正常化は収益性の向上や技術革新を促すとしておりますが、中小零細企業においては、これから金利が上昇していくことに対して大きな不安を抱えているのが実情ではないかと思っております。
 中小企業の債務の実態を見ますと、信用保証協会が貸倒れの際に金融機関に返済を肩代わりする債務の残高は、コロナ前は二十兆円だったのが、二一年五月には約四十三兆円まで膨れ上がりました。今年一月時点でも、三十七兆円という依然として高い状態であります。
 信用保証協会一〇〇%保証の割合が高い企業は、金融機関からの支援が後回しになる傾向が指摘をされているところであります。中小企業庁の幹部は、信用保証協会が実質的なメインバンクとなっている企業も多い、このようにも話されております。
 今回の金融政策の転換で、中小企業はもとより、金融機関、特に地方金融機関は、経営方針の変更、また運営体制の見直しなどの対応が必要になってまいります。こうした状態に対しまして、金融機関への相談体制、また支援体制が必要と考えますが、この点につきまして御見解をお伺いしたいと思います。
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高口博英#20
○高口参考人 お答え申し上げます。
 今回の金融政策の枠組み見直しが金融機関の経営に及ぼす影響につきましては、預金金利を引き上げる動きは見られておりますものの、短期金利の上昇が〇・一%程度にとどまる下で、先ほど総裁からお答え申し上げましたとおり、総じて限定的と見ております。
 もっとも、足下の中小企業の動向を見ますと、引き続き厚めの手元流動性は確保されているところが多うございますが、長年にわたり業況が芳しくない先や、最近の人手不足によって業況が下押しされている企業も見られており、金融機関による実態に即した取引先支援の重要性は増していると見ております。実際に、地域金融機関では、こうした支援により一層力を入れる動きが広がっております。
 日本銀行といたしましても、考査、モニタリングあるいはセミナーの開催など、幅広い機会を通じまして、こうした金融機関の取組をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。
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中川宏昌#21
○中川(宏)委員 済みません。時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
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津島淳#22
○津島委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。
 次に、野田佳彦君。
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野田佳彦#23
○野田(佳)委員 おはようございます。立憲民主党の野田佳彦でございます。
 今日は、植田総裁に、ちょっと幾つかというか、かなり質問がありまして、あと財務副大臣に一問だけ質問を予定しておりますので、よろしくお願いをいたします。
 今日は四月十日ですけれども、植田総裁が総裁に就任されたのが一年前の四月九日でしたので、今日から任期の二年目の初日ということでございます。ほぼ一年前を振り返ってみると、去年の二月に、候補者として、衆参で議運で意見聴取がございました。
 あの場面で一番覚えているのは、参議院の議運で、当時の自民党の参院幹事長の世耕さんから、アベノミクスをどう評価するかとか、継承するのかとか、滑舌よく矢継ぎ早の何か質問があった、それをさばいていらっしゃったあのお姿というのが思い出されるんですが、そういう政治的な圧力を場合によっては感じながらも、この一年間、学者からセントラルバンカーとなって、この一年間をどうやって振り返っておられるのか。
 そのときに、積年の課題であった物価安定の達成というミッションの総仕上げを行う五年間にしたい、そういう御発言も当時あったと思いますけれども、今どのようなお気持ちで二年目の初日を迎えていらっしゃるのかを、自己評価も含めて、お尋ねをしたいというふうに思います。
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植田和男#24
○植田参考人 就任当初から、物価の目標を達成するという意味ではやむを得ないことであったわけですが、かなり技術的にも複雑になっていた金融緩和の枠組み、これを、経済、物価情勢が許せば、もう少し簡素で分かりやすいものにしたいなという気持ちはございました。幸い、過去一年間、幾つかの意味で、経済、物価情勢が好転してまいりましたので、そうした線に沿って若干の政策の枠組み変更ができたかなと思っております。
 ただし、先ほども申し上げましたように、物価安定目標二%の持続的、安定的な達成が、可能性が高まってきたという状況ではありますが、完全にそこに到達したということではまだまだありませんので、今後そういうことが実現いたしますように、一段と気を引き締めて努力してまいりたいと思っております。
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野田佳彦#25
○野田(佳)委員 ありがとうございます。
 そこででありますけれども、今日の中心的な質問の中身というのは、三月の金融政策決定会合で異次元の緩和を終了させたという大きな方針転換をされたことについて御質問をしていきたいと思うんです。
 私は、トータルで見た場合、異次元の金融緩和が始まって、十一年間続いてきた。十一年も続けてしまったことについては極めて疑問に思っておりまして、海外の要因ではあったと言いながらも、物価上昇が始まったのは二〇二一年の九月から、ずっと消費者物価は上がり続けて、そして二〇二二年の四月からは二%を超えるようになり、先ほどの御報告にありましたとおり、足下は二%台後半、いっときは三%を超えたときもありました。という流れでずっと来ているわけです。そういうことを考えると、本来は、二期十年の黒田総裁の終盤に決断すべきであったと私は思います。
 少なくとも、あのマイナス金利の解除や、イールドカーブコントロールの撤廃や、あるいはETFも新規に買わないような、大きな三つの柱を全部変えるのではなくても、例えば野球でピッチャー交代するときに、先発したピッチャーが次のピッチャーのためにマウンドをならすじゃないですか。これが私は基本的なマナーだと思うんです。
 せめて、去年、植田総裁がチャレンジされた七月と十月のイールドカーブコントロールの微修正のようなことなどは、少なくとも黒田総裁のときに始めておくべきであったという意味では、十一年もかかったということは遅過ぎると思います。でも、技術的な問題であるとか、日銀という組織を把握しなければいけないなどなど、いろいろな情勢を分析をするという意味で、植田総裁の下で一年かけたということは、これは私は妥当だと思っているんですね。
 その中でも、いわゆる二%の物価上昇を見通せる可能性をどう見るかについては、三月もあったけれども、四月は、例えば四月一日に短観の発表があったし、四日には支店長会議があったし、より参考資料が整ってきたり、春闘の結果も、よりもっと分かってくるような時期だったと思うんです。あえて四月じゃなくて三月にしたのか。
 ここはちょっと微妙だと思うんですが、私の想像ですけれども、やはり円安の流れが出てきていることに心配があったから少し早めの判断をしたのではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
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植田和男#26
○植田参考人 私の考えておりました気持ちで申し上げますと、それまでずっと説明させてきていただいたような当面の金融政策に関する基本的な考え方からしますと、三月の時点で政策変更を決断する、ある種、機は熟したというふうに見たということでございます。
 これに関して、野田委員のおっしゃったこととの関連でもう少し具体的に申し上げますと、例えば、春闘の結果はまだまだ連続的に出てくるので、少し待ってそれを確認した方がよかったのではないかという御意見はもっともだと思います。
 ただ、これについても、過去のパターンをいろいろ分析してみますと、第一回目の集計結果からその後の集計結果にかけてだんだん弱くなっていくというパターンがあるんですけれども、それにもある程度安定した弱くなっていき方がある。したがって、第一回目を見ると、その後の動きがかなり予想できる。その上で、第一回目の結果が非常に思った以上に強かったということが、例えば典型的な事例でございます。
 それを含めまして、三月、四月、もうちょっとその先くらいのところで入ってくるデータ、情報との相対で見ますと、かなりの部分が三月の時点で得られたのではないかという心積もりで決断に至ったということでございます。
 もっと遅くまで待って全てを確認してからという判断もあり得たと思いますが、その場合には、先ほどの質疑でもございましたように、場合によっては基調的物価上昇率が本当に二%に大きく接近する、その場合に上方に乖離してしまうリスクを恐れて急いで利上げをするというところに追い込まれるという可能性もありますので、そちらはおいておくとしましても、四月あたりとの比較という観点でいたしますと、今申し上げたような考えが背景にございました。
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野田佳彦#27
○野田(佳)委員 よく分かりました。
 私も、別に二%になってからやれという話ではなくて、見通しの中で判断するということは妥当だというふうに思っていますが、ちょっと今、さっき申し上げた円安の問題、利上げしたけれども、円高には振れないで円安の基調じゃないですか。そういう傾向に強さを感じていたから、なおさら四月じゃなくて三月という判断をしたのかなという、ちょっと自分なりの思い込みがあったのでお尋ねをしたということでございます。
 先ほど、公明の中川委員からのお話にも関わることでありましたけれども、マーケットとの対話、説明、情報発信、これは、私は前総裁とは随分と変わったなという印象を持っています。前総裁の場合は、どちらかというと、サプライズも多様だったと思います。多様過ぎて、むしろ市場の方は不意打ちのトラウマを持ってしまっていた。それを見事に、丁寧に説明をすることによって、今回のような大きな政策の転換も、ある種織り込み済みであるという空気をつくった、円滑に進めたということは、私は一つの手腕ではないかなと思います。
 せんだっての委員会で情報リークの話なんて出ていましたけれども、それがあったかどうかは分かりませんけれども、少なくとも、大きな転換の前に、イールドカーブについては昨年から微修正をしてきていたし、去年の十月には、金融政策決定会合でかなり出口をめぐる意見も出ていましたよね。これは、黒田総裁の頃には出口論も封印されていましたから、随分と隔世の感があるなと。
 今年に入ってからは、講演であるとかなどなどで、そろそろ大きな転換があるんじゃないかという、予想できる環境を皆さんがつくっていたということは、私は丁寧な対話をしてきたということは評価をしたいというふうに思いますが、この辺は、総裁はどのような心がけをされているかを改めてお伺いしたいと思います。
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植田和男#28
○植田参考人 抽象的には、野田委員おっしゃいましたように、先ほどの質疑でも私お答えいたしましたように、金融政策の基本的な考え方を分かりやすく説明するということを心がけてきたということでございます。
 例を申し上げれば、金融政策の基本に物価ないし物価の見方があるわけですけれども、物価全般の動きが一つあり、それからもう一つ、そこから一時的な変動を除いた基調的な物価の動きというものが、分かりにくいかもしれないけれども一応あると考えている。これらを区別して説明し、それらがどう動いていきそうか、さらに、それらのうち基調的な物価の動きが金融政策の将来に影響を与えるんだというような考え方を繰り返し説明してきたところでございます。
 その上で、一月以降は、大規模緩和修正の可能性もあるということで、その前後で大きな不連続性が生じないように、こうした考え方をもう少しきめ細かく外に向かって公開の場で説明するということに努めてきたところでございます。
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野田佳彦#29
○野田(佳)委員 これからまさに、金融政策の正常化に向けての、いわゆる出口の、どういう手順でやっていくのか、その都度また影響もきちっと説明していかなければいけないと思いますので、引き続き、より一層丁寧な御説明をお願いをしたいというふうに思います。
 それでは、十一年間の異次元の金融緩和を、これはまさに壮大な社会実験だったと思いますが、どのような総括をするかについてお尋ねをしたいと思います。詳細は、恐らく、二十五年間にわたる多角的レビューを今行っている最中ですので、その二十五年間のうちの十一年間、しっかりと検証していただけると思いますが、それを待つことなく、今日の段階で言えること。
 先般、どこかのインタビューで、ネットでプラスであるという評価をされていましたね。デフレではない状態まで持ってきたということなどを含めて、ネットではプラスという評価をされていましたけれども、私は、どちらかというとネットではマイナスなんですよ。
 最初は、二年で二%と言い出した頃は、私の頃はもう円高で苦しんでいましたから、円高基調を変えたということ、株価が上昇した、企業が収益を上げるようになった、明るいムードも随分つくったと思います。でも、目標である二%には近づかないというか、物価は動かなかったんですね、ずっと動かなかった。動かなかったから、二〇一六年に、焦ってマイナス金利を導入したり、イールドカーブコントロールを導入したりということになって、それからも相当年月がたっていて、私は、それ以降の副作用が物すごく大きいと思っているので、ネットマイナスなんです。
 改めて、総裁のこの十一年間の異次元の緩和の評価をお伺いしたいと思います。
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