財務金融委員会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
令和六年五月十四日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 津島 淳君
理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君
理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 伊東 信久君 理事 稲津 久君
石原 正敬君 英利アルフィヤ君
小田原 潔君 越智 隆雄君
大塚 拓君 大野敬太郎君
木原 誠二君 岸 信千世君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
中山 展宏君 藤丸 敏君
藤原 崇君 古川 禎久君
宮下 一郎君 宗清 皇一君
山口 晋君 山田 美樹君
江田 憲司君 小山 展弘君
階 猛君 末松 義規君
野田 佳彦君 馬場 雄基君
原口 一博君 沢田 良君
藤巻 健太君 掘井 健智君
竹内 譲君 中川 宏昌君
田村 貴昭君 吉田 豊史君
…………………………………
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
参考人
(長島・大野・常松法律事務所弁護士) 井上 聡君
参考人
(一般社団法人全国銀行協会会長)
(株式会社三井住友銀行頭取CEO) 福留 朗裕君
参考人
(日本労働組合総連合会副事務局長) 村上 陽子君
参考人
(一般社団法人日本金融経済研究所代表理事) 馬渕磨理子君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
越智 隆雄君 山口 晋君
同日
辞任 補欠選任
山口 晋君 越智 隆雄君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出第五七号)
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 津島 淳君
理事 井上 貴博君 理事 金子 俊平君
理事 鈴木 馨祐君 理事 塚田 一郎君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 伊東 信久君 理事 稲津 久君
石原 正敬君 英利アルフィヤ君
小田原 潔君 越智 隆雄君
大塚 拓君 大野敬太郎君
木原 誠二君 岸 信千世君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
中山 展宏君 藤丸 敏君
藤原 崇君 古川 禎久君
宮下 一郎君 宗清 皇一君
山口 晋君 山田 美樹君
江田 憲司君 小山 展弘君
階 猛君 末松 義規君
野田 佳彦君 馬場 雄基君
原口 一博君 沢田 良君
藤巻 健太君 掘井 健智君
竹内 譲君 中川 宏昌君
田村 貴昭君 吉田 豊史君
…………………………………
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
参考人
(長島・大野・常松法律事務所弁護士) 井上 聡君
参考人
(一般社団法人全国銀行協会会長)
(株式会社三井住友銀行頭取CEO) 福留 朗裕君
参考人
(日本労働組合総連合会副事務局長) 村上 陽子君
参考人
(一般社団法人日本金融経済研究所代表理事) 馬渕磨理子君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
越智 隆雄君 山口 晋君
同日
辞任 補欠選任
山口 晋君 越智 隆雄君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出第五七号)
――――◇―――――
津
津島淳#1
○津島委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、事業性融資の推進等に関する法律案を議題といたします。
本日、本案審査のため、御出席いただいている参考人は、長島・大野・常松法律事務所弁護士井上聡君、一般社団法人全国銀行協会会長・株式会社三井住友銀行頭取CEO福留朗裕君、日本労働組合総連合会副事務局長村上陽子君、一般社団法人日本金融経済研究所代表理事馬渕磨理子君、以上四名の方々であります。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず井上参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、事業性融資の推進等に関する法律案を議題といたします。
本日、本案審査のため、御出席いただいている参考人は、長島・大野・常松法律事務所弁護士井上聡君、一般社団法人全国銀行協会会長・株式会社三井住友銀行頭取CEO福留朗裕君、日本労働組合総連合会副事務局長村上陽子君、一般社団法人日本金融経済研究所代表理事馬渕磨理子君、以上四名の方々であります。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず井上参考人にお願いいたします。
井
井上聡#2
○井上参考人 おはようございます。
国会の敷地内に入るのは、中学生のときの修学旅行以来でございまして、大変緊張しております。いろいろとお作法も分かりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。早速、現在法案が提出されております企業価値担保について、私の意見を申し述べます。
まず、現状の課題についてです。
資料の三ページを御覧ください。
資金を借りようとする成長企業から見ますと、業容の拡大中は売上げよりも先に支出が増加しますので、資金需要は大きいと言えます。しかし、安定した換価価値を見込める不動産を持っていない場合には、資金需要に見合った融資を受けられないという課題があります。
これに対して、成長企業に貸そうとする金融機関側からしますと、成長企業は業容拡大中でありますので、将来の収益性には期待できると言えます。しかし、事業の将来キャッシュフローを見込んで無担保で貸すにはリスクが大きいと感じるところです。
次に、四ページは、成長企業と違って、成熟した企業についてです。
日本にはオーナー経営者が高齢化した中小企業がたくさんありますが、そうした企業からしますと、成熟企業ですので事業収益は安定しています。しかし、家族が誰も経営を継がないような場合、従業員出身の役員、番頭さん役ですね、に新経営者になってもらいたいというわけです。しかし、オーナーでない役員に経営者保証を入れてもらうのは難しいものですから、何とかして、経営者保証なしで融資を継続してほしいという事情があります。
これに対して、成熟した中小企業に貸している金融機関側からしますと、事業収益が安定しているとしても、オーナー経営者から非オーナーへの経営の引継ぎというのはビッグイベントになります。貸し手としては、そのようなビッグイベントに当たって、新たな担保を取らず、経営者保証も外して融資を継続するということには不安が残るということになります。
次、五ページですが、これは中小企業融資とは異なって、比較的大規模なプロジェクトファイナンス、あるいはLBOファイナンスの調達側からの課題です。
この手の大規模ファイナンスは、現在においても、個別資産の担保を積み上げて、ほぼ全資産を担保として行われております。ただ、個別資産担保の積み上げ方式による全資産担保というのは、一つ一つ契約を締結して対抗要件を備える必要があって、手間と費用がかかり、その負担の多くは債務者に帰せられるという問題があります。
他方で、プロジェクトファイナンス、LBOファイナンスの金融機関側からしますと、この分野では、実務上、担保を実行する事態にはまずならないと言えますが、万が一のときに実行できるからこそ、交渉力を確保できるという面があります。しかし、通常、個別資産価値の総和よりも、事業価値、のれんなどを含む事業価値の方が大きい、生きている企業であれば普通はそうですので、個別資産担保をばらばらに実行しても、事業価値全体を実現できるかには疑問があり、その結果、万一、債務者に法的倒産手続が始まるというようなことになってしまうと、期待どおりの担保価値評価を受けられないおそれがあるという問題があります。
こういった問題、課題に関して、六ページにありますように、比較的古くから、事業価値に着目した担保制度については検討されてきました。早いところでは、二〇〇〇年代初頭に金融法学会とか経産省の研究会などで検討がなされて、ここにあるように、成果が公表されております。
ただ、その後、債権法改正という大きなイベントがあって、そちらにややシフトしたところもあって、やや検討がスローダウンしましたが、その後、二〇一八、一九年くらいからまた再び活発に議論がなされるようになり、ここにありますように、3以下、中小企業庁、金融庁、法制審、金融審といったところで事業価値に着目した担保制度の検討がなされておりまして、こういった形で検討結果が公表されています。
私は、この4から7のそれぞれの委員あるいはメンバーとして議論に参加してまいりました。この最後に書いてある金融審議会、あるいはその上に書いてある法制審議会などの検討結果を受けて、今回法案として提出されたのが企業価値担保だと理解しております。
それでは、その企業価値担保の利用価値ないし意義について、四点申し上げたいと思います。
八ページにありますように、まず、何を担保に取っているのかということでございますが、これは総財産、それも将来取得する財産も含むということで、非常に包括的な担保ということになります。
その一方で、債務者に広い処分権限が認められていますので、通常の事業過程で処分されたり消費されたりしたものがどんどん担保から外れていくということが認められています。
それに加えて、この法案では、事業全体をまとめて換価処分するというような実行手続が整備されています。
この三つの結果、担保権者というのは、全財産といっても事業活動の中で次々と入れ替わっていくものをつかまえているということであって、そうすると、個別資産価値の総和ではなくて、先ほど申し上げたように、それよりも大きな、のれんを含む企業価値を把握するというような設計になっているということです。
したがって、この企業価値を守るということが担保権者の利益になるということになりますが、それとともに、企業価値を守ることが債務者の事業の継続にも役に立ち、労働者の雇用の維持にも資することになり、取引債権者の、取引相手を守るということにもなるわけでございまして、ここにこの担保の眼目があると理解しております。すなわち、利害関係人の間でウィン・ウィンの関係をつくるということになろうかと思います。
二つ目。この担保は、担保権者に包括的な優先権を与えるというものでございます。ただ、それには二つの大きな穴が空いております。
一つ目、企業価値担保の実行が開始されても、共益費用ですとか労働債権、こういったものは順次支払われていくことになります。また、裁判所の許可を得て商取引債権が取引相手に支払われるということになります。なぜ、担保権者を差しおいて、これらの無担保債権の方々に支払いがなされるのか。それは、その支払いによって企業価値が維持されるからということになっております。すなわち、この一つ目の穴というのが、先ほど申し上げたウィン・ウィンの関係をつくるために非常に重要な穴でございまして、包括的な担保に大きな一つの穴を空けているということになります。
二つ目、企業価値担保の実行による事業譲渡代金のうち、全額が貸し手に行くのではなくて、一定額が債務者の清算手続又は破産手続を通じて残存する無担保債権者に支払われるという仕組みが導入されています。この二つ目の穴は、ただ、一旦事業譲渡をして、労働者の方も含めて譲渡先に移転してしまったときの代金、いわば空っぽになった債務者が受け取った代金をどう分けるかという話ですので、これは企業価値を向上させるというよりは、取り合い、すなわち担保権者と無担保債権者の間の取り合いの問題になります。ゼロサムの穴ということになります。
ですので、私は個人的には、この穴を大きくし過ぎると、担保権の価値が失われ、貸せる金額が減ってしまうという問題があるので、私自身は、利害関係者の利害調整のためには、一つ目の穴に注目するのが大事であって、二つ目の穴を大きくしないことがむしろ重要ではないかと考えております。
三つ目。九ページになります。対抗要件の具備については、債務者の商業登記簿への登記だけで足りるという非常に簡便かつ廉価な制度が想定されておりまして、不動産登記や特許登録などは要らないということになっています。
ただ、私個人の意見としては、債務者が所有する不動産の不動産登記簿や債務者が保有する特許の特許登録原簿などを閲覧した人にもそれが企業価値担保を設定してある会社だということが分かるように、その権利者欄に債務者が企業価値担保設定済み会社であるよということを示すような、何か、アスタリスクとか米印とか、そういったフラッグを立てるような制度を、商業登記に連動させて自動的に付せられないかというふうに考えております。これは今回法案の中には入っておりませんし、私が考えていることではありますが、今後の課題として是非御検討いただければと思います。
四つ目。債務者の経営権の確保。
包括的な担保ではありますけれども、担保設定後も債務者の通常の事業運営には制約がないということになっておりまして、その点では、事業の経営の自由が通常の事業の範囲であれば確保されているということです。二つ目、経営者保証が原則禁止されるということで、首根っこを押さえられるということを回避できるような仕組みが導入されています。また、企業価値担保を設定したのに思ったほどお金を貸してくれないというような貸主との関係がある場合には、債務者に極度額設定請求権あるいは元本確定請求権というのが与えられておりまして、ほかの金融機関と交渉して後順位担保を設定してお金を借りる、あるいは、お金を借りて今の貸主にお金を返し、リファイナンスをして貸主を変えるというようなことができる仕組みを導入しているということになります。
以上を踏まえまして、最後に、企業価値担保について、よくある疑問として、幾つか申し述べたいと思います。
十一ページになりますが、一つ目。包括的な担保によって労働者の権利が害されるのではないかという点については、もう申し上げましたが、雇用契約上の雇用主の地位も担保の対象になる方が、労働者が事業から切り離されずに済むために、雇用がむしろ守られやすいのではないかと考えています。
二つ目。担保権者が債務者企業の価値を根こそぎ把握してしまい、労働者、取引相手その他の一般債権者の利益が害されるのではないかという点については、申し上げたとおり、全資産が対象となっていても、優先性に穴を空ければよいのではないか。まさに二つの穴が空いているわけですが、先ほど申し上げたように、一つ目の穴が重要だと思います。
三つ目。広範かつ強大な担保であって、担保権者が債務者に対して圧倒的な地位に立つことによって債務者の経営権が害されるのではないかという点については、確かに広範です、しかし、だから強大だとは限らない。すなわち、申し上げたとおり、債務者には通常の事業運営権限がそのまま残りますし、元本確定請求権あるいは極度額設定請求権といった対抗手段もあり、経営者保証が原則禁止されて、首根っこを押さえられにくい仕組みになっているということがございます。
四つ目。これで本当にニューマネーが出るのか、添え担保にとどまってしまうのではないかという疑念については、これは取引銀行がニューマネーを出してくれなければ、これも申し上げましたように、他の貸し手に乗り換えるための対抗手段があるかどうかということがポイントになりますし、あとは、担保制度の外の問題ではございますけれども、金融機関同士できちんと公正な、適正な競争環境があるかどうかというのが非常に重要ではないかと考えております。
次、十二ページを御覧ください。
五つ目になりますが、不動産と異なって企業価値の評価は難しいので、なかなか使い勝手が悪いのではないかという疑問については、これは確かに、不動産に比べれば企業評価は難しいと思います。しかし、今問題にしているのは、不動産を持っていて、担保に入れられてお金をじゃんじゃん借りられる企業ではなくて、そういうものを持っていない成長企業、あるいは成熟企業、あるいはプロジェクトファイナンスなどで、どうお金を貸していくかということになりますので、そういうところとの関係でいえば、無担保融資と比べてそんなに難しい話ではないのではないか、MアンドAのときの企業評価と共通するのではないかというふうにも思います。
六つ目。債務者破綻時には、その企業価値が失われて担保として機能しないのではないかという疑問、これについては、破綻時の債務者というのは、企業価値がゼロになったということではなくて、百残っているけれども借入金が百五十あるというような状態だと考えております。だとすれば、借入金を切り離して、この百の価値のある事業を生かしたまま百で売却して、その百を百五十の債権者で按分するのではなくて、担保権者が優先的にそこを取れるということであれば、やはりなお担保として機能する、意味がある担保になるのではないかと思います。
最後、七つ目。企業価値担保の実行管財人は担保権者の利益のみを考慮するのではないかという点については、実行管財人は、法文上、全ての利害関係人に対し善管注意義務を負うということになっておりまして、実際にも、恐らく、私の想像では、現在、倒産実務を担っている弁護士などが管財人として実行を担うんだろうと思いますので、むしろ、債権者あるいは担保権者の思うとおりにはならない、適正な実行が裁判所の管理の下に行われる可能性がむしろ一般の担保と比べれば大きいのではないかというふうに考えております。
私の意見は以上です。
御清聴どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →国会の敷地内に入るのは、中学生のときの修学旅行以来でございまして、大変緊張しております。いろいろとお作法も分かりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。早速、現在法案が提出されております企業価値担保について、私の意見を申し述べます。
まず、現状の課題についてです。
資料の三ページを御覧ください。
資金を借りようとする成長企業から見ますと、業容の拡大中は売上げよりも先に支出が増加しますので、資金需要は大きいと言えます。しかし、安定した換価価値を見込める不動産を持っていない場合には、資金需要に見合った融資を受けられないという課題があります。
これに対して、成長企業に貸そうとする金融機関側からしますと、成長企業は業容拡大中でありますので、将来の収益性には期待できると言えます。しかし、事業の将来キャッシュフローを見込んで無担保で貸すにはリスクが大きいと感じるところです。
次に、四ページは、成長企業と違って、成熟した企業についてです。
日本にはオーナー経営者が高齢化した中小企業がたくさんありますが、そうした企業からしますと、成熟企業ですので事業収益は安定しています。しかし、家族が誰も経営を継がないような場合、従業員出身の役員、番頭さん役ですね、に新経営者になってもらいたいというわけです。しかし、オーナーでない役員に経営者保証を入れてもらうのは難しいものですから、何とかして、経営者保証なしで融資を継続してほしいという事情があります。
これに対して、成熟した中小企業に貸している金融機関側からしますと、事業収益が安定しているとしても、オーナー経営者から非オーナーへの経営の引継ぎというのはビッグイベントになります。貸し手としては、そのようなビッグイベントに当たって、新たな担保を取らず、経営者保証も外して融資を継続するということには不安が残るということになります。
次、五ページですが、これは中小企業融資とは異なって、比較的大規模なプロジェクトファイナンス、あるいはLBOファイナンスの調達側からの課題です。
この手の大規模ファイナンスは、現在においても、個別資産の担保を積み上げて、ほぼ全資産を担保として行われております。ただ、個別資産担保の積み上げ方式による全資産担保というのは、一つ一つ契約を締結して対抗要件を備える必要があって、手間と費用がかかり、その負担の多くは債務者に帰せられるという問題があります。
他方で、プロジェクトファイナンス、LBOファイナンスの金融機関側からしますと、この分野では、実務上、担保を実行する事態にはまずならないと言えますが、万が一のときに実行できるからこそ、交渉力を確保できるという面があります。しかし、通常、個別資産価値の総和よりも、事業価値、のれんなどを含む事業価値の方が大きい、生きている企業であれば普通はそうですので、個別資産担保をばらばらに実行しても、事業価値全体を実現できるかには疑問があり、その結果、万一、債務者に法的倒産手続が始まるというようなことになってしまうと、期待どおりの担保価値評価を受けられないおそれがあるという問題があります。
こういった問題、課題に関して、六ページにありますように、比較的古くから、事業価値に着目した担保制度については検討されてきました。早いところでは、二〇〇〇年代初頭に金融法学会とか経産省の研究会などで検討がなされて、ここにあるように、成果が公表されております。
ただ、その後、債権法改正という大きなイベントがあって、そちらにややシフトしたところもあって、やや検討がスローダウンしましたが、その後、二〇一八、一九年くらいからまた再び活発に議論がなされるようになり、ここにありますように、3以下、中小企業庁、金融庁、法制審、金融審といったところで事業価値に着目した担保制度の検討がなされておりまして、こういった形で検討結果が公表されています。
私は、この4から7のそれぞれの委員あるいはメンバーとして議論に参加してまいりました。この最後に書いてある金融審議会、あるいはその上に書いてある法制審議会などの検討結果を受けて、今回法案として提出されたのが企業価値担保だと理解しております。
それでは、その企業価値担保の利用価値ないし意義について、四点申し上げたいと思います。
八ページにありますように、まず、何を担保に取っているのかということでございますが、これは総財産、それも将来取得する財産も含むということで、非常に包括的な担保ということになります。
その一方で、債務者に広い処分権限が認められていますので、通常の事業過程で処分されたり消費されたりしたものがどんどん担保から外れていくということが認められています。
それに加えて、この法案では、事業全体をまとめて換価処分するというような実行手続が整備されています。
この三つの結果、担保権者というのは、全財産といっても事業活動の中で次々と入れ替わっていくものをつかまえているということであって、そうすると、個別資産価値の総和ではなくて、先ほど申し上げたように、それよりも大きな、のれんを含む企業価値を把握するというような設計になっているということです。
したがって、この企業価値を守るということが担保権者の利益になるということになりますが、それとともに、企業価値を守ることが債務者の事業の継続にも役に立ち、労働者の雇用の維持にも資することになり、取引債権者の、取引相手を守るということにもなるわけでございまして、ここにこの担保の眼目があると理解しております。すなわち、利害関係人の間でウィン・ウィンの関係をつくるということになろうかと思います。
二つ目。この担保は、担保権者に包括的な優先権を与えるというものでございます。ただ、それには二つの大きな穴が空いております。
一つ目、企業価値担保の実行が開始されても、共益費用ですとか労働債権、こういったものは順次支払われていくことになります。また、裁判所の許可を得て商取引債権が取引相手に支払われるということになります。なぜ、担保権者を差しおいて、これらの無担保債権の方々に支払いがなされるのか。それは、その支払いによって企業価値が維持されるからということになっております。すなわち、この一つ目の穴というのが、先ほど申し上げたウィン・ウィンの関係をつくるために非常に重要な穴でございまして、包括的な担保に大きな一つの穴を空けているということになります。
二つ目、企業価値担保の実行による事業譲渡代金のうち、全額が貸し手に行くのではなくて、一定額が債務者の清算手続又は破産手続を通じて残存する無担保債権者に支払われるという仕組みが導入されています。この二つ目の穴は、ただ、一旦事業譲渡をして、労働者の方も含めて譲渡先に移転してしまったときの代金、いわば空っぽになった債務者が受け取った代金をどう分けるかという話ですので、これは企業価値を向上させるというよりは、取り合い、すなわち担保権者と無担保債権者の間の取り合いの問題になります。ゼロサムの穴ということになります。
ですので、私は個人的には、この穴を大きくし過ぎると、担保権の価値が失われ、貸せる金額が減ってしまうという問題があるので、私自身は、利害関係者の利害調整のためには、一つ目の穴に注目するのが大事であって、二つ目の穴を大きくしないことがむしろ重要ではないかと考えております。
三つ目。九ページになります。対抗要件の具備については、債務者の商業登記簿への登記だけで足りるという非常に簡便かつ廉価な制度が想定されておりまして、不動産登記や特許登録などは要らないということになっています。
ただ、私個人の意見としては、債務者が所有する不動産の不動産登記簿や債務者が保有する特許の特許登録原簿などを閲覧した人にもそれが企業価値担保を設定してある会社だということが分かるように、その権利者欄に債務者が企業価値担保設定済み会社であるよということを示すような、何か、アスタリスクとか米印とか、そういったフラッグを立てるような制度を、商業登記に連動させて自動的に付せられないかというふうに考えております。これは今回法案の中には入っておりませんし、私が考えていることではありますが、今後の課題として是非御検討いただければと思います。
四つ目。債務者の経営権の確保。
包括的な担保ではありますけれども、担保設定後も債務者の通常の事業運営には制約がないということになっておりまして、その点では、事業の経営の自由が通常の事業の範囲であれば確保されているということです。二つ目、経営者保証が原則禁止されるということで、首根っこを押さえられるということを回避できるような仕組みが導入されています。また、企業価値担保を設定したのに思ったほどお金を貸してくれないというような貸主との関係がある場合には、債務者に極度額設定請求権あるいは元本確定請求権というのが与えられておりまして、ほかの金融機関と交渉して後順位担保を設定してお金を借りる、あるいは、お金を借りて今の貸主にお金を返し、リファイナンスをして貸主を変えるというようなことができる仕組みを導入しているということになります。
以上を踏まえまして、最後に、企業価値担保について、よくある疑問として、幾つか申し述べたいと思います。
十一ページになりますが、一つ目。包括的な担保によって労働者の権利が害されるのではないかという点については、もう申し上げましたが、雇用契約上の雇用主の地位も担保の対象になる方が、労働者が事業から切り離されずに済むために、雇用がむしろ守られやすいのではないかと考えています。
二つ目。担保権者が債務者企業の価値を根こそぎ把握してしまい、労働者、取引相手その他の一般債権者の利益が害されるのではないかという点については、申し上げたとおり、全資産が対象となっていても、優先性に穴を空ければよいのではないか。まさに二つの穴が空いているわけですが、先ほど申し上げたように、一つ目の穴が重要だと思います。
三つ目。広範かつ強大な担保であって、担保権者が債務者に対して圧倒的な地位に立つことによって債務者の経営権が害されるのではないかという点については、確かに広範です、しかし、だから強大だとは限らない。すなわち、申し上げたとおり、債務者には通常の事業運営権限がそのまま残りますし、元本確定請求権あるいは極度額設定請求権といった対抗手段もあり、経営者保証が原則禁止されて、首根っこを押さえられにくい仕組みになっているということがございます。
四つ目。これで本当にニューマネーが出るのか、添え担保にとどまってしまうのではないかという疑念については、これは取引銀行がニューマネーを出してくれなければ、これも申し上げましたように、他の貸し手に乗り換えるための対抗手段があるかどうかということがポイントになりますし、あとは、担保制度の外の問題ではございますけれども、金融機関同士できちんと公正な、適正な競争環境があるかどうかというのが非常に重要ではないかと考えております。
次、十二ページを御覧ください。
五つ目になりますが、不動産と異なって企業価値の評価は難しいので、なかなか使い勝手が悪いのではないかという疑問については、これは確かに、不動産に比べれば企業評価は難しいと思います。しかし、今問題にしているのは、不動産を持っていて、担保に入れられてお金をじゃんじゃん借りられる企業ではなくて、そういうものを持っていない成長企業、あるいは成熟企業、あるいはプロジェクトファイナンスなどで、どうお金を貸していくかということになりますので、そういうところとの関係でいえば、無担保融資と比べてそんなに難しい話ではないのではないか、MアンドAのときの企業評価と共通するのではないかというふうにも思います。
六つ目。債務者破綻時には、その企業価値が失われて担保として機能しないのではないかという疑問、これについては、破綻時の債務者というのは、企業価値がゼロになったということではなくて、百残っているけれども借入金が百五十あるというような状態だと考えております。だとすれば、借入金を切り離して、この百の価値のある事業を生かしたまま百で売却して、その百を百五十の債権者で按分するのではなくて、担保権者が優先的にそこを取れるということであれば、やはりなお担保として機能する、意味がある担保になるのではないかと思います。
最後、七つ目。企業価値担保の実行管財人は担保権者の利益のみを考慮するのではないかという点については、実行管財人は、法文上、全ての利害関係人に対し善管注意義務を負うということになっておりまして、実際にも、恐らく、私の想像では、現在、倒産実務を担っている弁護士などが管財人として実行を担うんだろうと思いますので、むしろ、債権者あるいは担保権者の思うとおりにはならない、適正な実行が裁判所の管理の下に行われる可能性がむしろ一般の担保と比べれば大きいのではないかというふうに考えております。
私の意見は以上です。
御清聴どうもありがとうございました。拍手
津
福
福留朗裕#4
○福留参考人 おはようございます。
この四月から全国銀行協会の会長を務めております三井住友銀行の福留でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
先生方におかれましては、日頃より銀行界に対し格別の御指導、御理解を賜り、この場をかりまして御礼申し上げます。
また、この度は、事業性融資の推進等に関する法律案について、私ども銀行界の意見を述べる貴重な機会を頂戴いたしまして、重ねて感謝を申し上げます。
現在審議されております法律案では、事業性融資、すなわち、不動産担保や経営者保証によらず、事業の実態や将来性に着目した融資の推進に向け、無形資産を含めた事業全体を担保とする企業価値担保権が創設されることとされております。
私ども銀行界としましては、企業価値担保権は、今までの保全の在り方を補完あるいは代替する有効な選択肢であり、銀行においては資金供給手段を、事業者においては資金調達手段を広げる一助になり得るものとして期待しているところであります。
我々が想定する企業価値担保権の意義について、まず、大局的な視点から見た意義をちょっと御説明したいと思います。
初めに、事業性融資を取り巻く状況として、我が国の経済環境を見てみますと、ポストコロナにおいて緩やかな経済回復が進んでおり、特に大企業においては、人手不足に対応するための省人化、省力化投資のほか、GXやサプライチェーン強靱化に関連した投資需要が旺盛であり、銀行による資金供給も大きく拡大しております。
先行きにつきましても、直近の日銀短観によれば、今年度の設備投資計画は一九九〇年以来の高い伸びとなるなど、まさに失われた三十年が終わりつつあり、我が国がデフレからの完全脱却と再成長に向けて動き始めた。日頃、私も毎日のように様々な企業の経営者、トップとお話をさせていただいておりますが、まさにそういうときが来ているという実感が私にもございます。
こうした中、中堅・中小企業金融については、コロナ禍における資金繰り最優先のフェーズから、新規開業や、既存事業とは異なる新事業、新分野に進出することで経営刷新を図る、いわゆる第二創業、そして事業承継向けの成長資金も含めた多種多様な調達ニーズが生まれるフェーズへとシフトしつつあると見ております。
銀行界は、そうしたニーズに対し、リスクテイク能力を拡大し、経済の血液である資金を隅々まで送り届けることが強く求められるというふうに認識しております。企業価値担保権は、まさにそうした、いわゆる絶好のタイミングでその創設が検討されているところであります。
並行して、銀行界では、不動産担保や経営者の個人保証に依存しない、事業性に着目した融資を推進してまいりました。
二〇一三年九月に、金融庁より金融モニタリング基本方針が公表され、事業性評価に係るモニタリングが開始されました。全銀協としては、同年十二月に、日本商工会議所とともに経営者保証に関するガイドラインを策定し、お客様から個人保証をいただく際の自主ルールを設定しております。また、二〇二二年の十二月に政府より公表された経営者保証改革プログラムを受け、経営者保証ガイドラインの運用徹底を改めて図っているところであります。
直近二〇二三年度上期の民間金融機関の新規融資に占める無保証融資の割合は四六・七%と、前年対比で約一三ポイント上昇、ガイドラインの適用が本格的に始まった二〇一五年対比では約三五ポイントの上昇となっており、着実に取組が進んでいるというふうに思っております。
このように、銀行界では事業性融資の推進に取り組んでまいりましたが、不動産担保あるいは経営者保証によらずに融資することが困難なケースがあることも事実であります。更に一歩踏み込んだリスクテイクを行うためには、在庫などの動産を担保として活用することも検討されているところでありますが、有形資産に乏しい事業者においては有効な解決策とはならず、今回審議されております企業価値担保権はその解決策になる可能性があると見ております。
このように、大局的な視点から見れば、タイミングの面においても、そして、これまで十分にカバーされていなかった空白地帯を埋めるという機能の面においても、企業価値担保権の創設は大きな意義があるというふうに認識しております。
続いて、より具体的な視点から、銀行界として想定する、企業価値担保権の位置づけや活用方法について御説明いたします。
まず、我が国の産業構造を見ますと、時代の変遷とともに徐々に変化しており、二〇二一年の経済センサスによりますと、全産業に占める非製造業の割合は、企業数ベースでは七八・二%、売上高ベースでは六九・五%に達しています。
特にスタートアップはそうした傾向が強く、東京商工会議所によれば、二〇二二年時点の非製造業の割合が約九割となっており、その多くは必ずしも有形資産に恵まれた事業者ではないと見ております。
また、日本企業の九九%を占める中小企業では経営者の高齢化が進んでおり、中小企業庁によりますと、七十歳以上の経営者のうち約三割が後継者不在となっております。このように、事業承継問題が深刻化している中、経営者の親族や従業員、役員以外の第三者が事業を承継する第三者承継も一つの解決策と考えております。
中小企業基盤整備機構によれば、同機構が関与した第三者承継は二〇二二年度に過去最高の千六百八十一件に達しているとのことですが、今後より拡大させる上では、経営者保証がネックの一つになるという声も聞かれます。
企業価値担保権は、こうしたスタートアップ向けや事業承継時の御融資において有用な選択肢になり得、ひいては我が国のイノベーションの加速や中堅・中小企業における生産性向上につながるのではないかと考えております。
有望なスタートアップが次々に生まれ、経済を牽引するまで成長するケースが続出している米国においては、企業価値担保権と似通った全資産担保を活用する融資慣行が定着しております。日米のスタートアップ市場に見られる差の背景の一つには、こうした担保制度及び融資慣行の違いもあるのではないかというふうに見ております。
また、銀行の視点から見ますと、企業価値担保権を用いた御融資においては、借り手企業における事業の発展が銀行にとっての担保価値を向上させることになります。そのため、銀行サイドには、絶えず変動する事業の実態を継続的に把握するとともに、経営上の課題などに対して具体的な解決策や実行支援を行う、いわゆる伴走支援に我々のリソースを投入することに経済合理性が生まれます。それにより、業況が悪化する局面を含め、借り手に対してよりプロアクティブに効果的な支援を行うことが可能になるなど、銀行として本来あるべき姿を追求する上でも、有用な融資の取組になり得るのではないかというふうに考えております。
このように、企業価値担保権は、様々な面で大きな意義があると考えられる一方、全く新しい取組であることから、官民が協力し、準備すべきことも多いと認識しております。
例えば、この新たな枠組みを有効に機能させ、銀行の融資慣行に根づかせていくためには、法整備だけではなく、企業価値の評価を客観的、安定的に行うための手法の確立など、実務レベルの準備を進めていく必要があると考えております。こうした実務上の論点については、法案の成立後、施行までの期間に、金融庁を中心に議論していくものと認識しております。全銀協といたしましても、積極的に議論に参加していきたいというふうに考えております。
また、我々銀行には、この制度を利用する立場として、企業価値担保権の設定、期中管理、実行に関する内部体制を整備する必要があるほか、何よりも、お客様の事業内容を理解し、その将来性を見極める目利き力をこれまで以上に磨いていく必要があります。
本法案には、事業者や金融機関の取組を支援する事業性融資推進支援機関について認定制度を導入することなどが盛り込まれていると認識しております。こうした支援機関も活用しつつ、時間はかかるかもしれませんが、体制整備にしっかりと取り組んでまいります。
以上、簡単ではございますが、銀行界の意見をお伝えいたしました。
冒頭で申し上げましたとおり、足下の日本経済には、賃金、消費、企業業績の好循環の芽が見られます。物価や金利の上昇、大幅な賃上げ、GXなど、至るところでパラダイムシフトが起きつつあり、我が国はまさに、失われた三十年、そしてデフレからの完全脱却に向けた分水嶺にある、正念場にあるというふうに見ております。
銀行界としては、企業価値担保権を活用しつつ、主要な資金供給者として日本の再成長を下支えし、日本経済に好循環が定着することに貢献してまいる所存でございます。
改めまして、本日は発言の機会をいただきまして、御礼を申し上げます。
私からは以上です。拍手
この発言だけを見る →この四月から全国銀行協会の会長を務めております三井住友銀行の福留でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
先生方におかれましては、日頃より銀行界に対し格別の御指導、御理解を賜り、この場をかりまして御礼申し上げます。
また、この度は、事業性融資の推進等に関する法律案について、私ども銀行界の意見を述べる貴重な機会を頂戴いたしまして、重ねて感謝を申し上げます。
現在審議されております法律案では、事業性融資、すなわち、不動産担保や経営者保証によらず、事業の実態や将来性に着目した融資の推進に向け、無形資産を含めた事業全体を担保とする企業価値担保権が創設されることとされております。
私ども銀行界としましては、企業価値担保権は、今までの保全の在り方を補完あるいは代替する有効な選択肢であり、銀行においては資金供給手段を、事業者においては資金調達手段を広げる一助になり得るものとして期待しているところであります。
我々が想定する企業価値担保権の意義について、まず、大局的な視点から見た意義をちょっと御説明したいと思います。
初めに、事業性融資を取り巻く状況として、我が国の経済環境を見てみますと、ポストコロナにおいて緩やかな経済回復が進んでおり、特に大企業においては、人手不足に対応するための省人化、省力化投資のほか、GXやサプライチェーン強靱化に関連した投資需要が旺盛であり、銀行による資金供給も大きく拡大しております。
先行きにつきましても、直近の日銀短観によれば、今年度の設備投資計画は一九九〇年以来の高い伸びとなるなど、まさに失われた三十年が終わりつつあり、我が国がデフレからの完全脱却と再成長に向けて動き始めた。日頃、私も毎日のように様々な企業の経営者、トップとお話をさせていただいておりますが、まさにそういうときが来ているという実感が私にもございます。
こうした中、中堅・中小企業金融については、コロナ禍における資金繰り最優先のフェーズから、新規開業や、既存事業とは異なる新事業、新分野に進出することで経営刷新を図る、いわゆる第二創業、そして事業承継向けの成長資金も含めた多種多様な調達ニーズが生まれるフェーズへとシフトしつつあると見ております。
銀行界は、そうしたニーズに対し、リスクテイク能力を拡大し、経済の血液である資金を隅々まで送り届けることが強く求められるというふうに認識しております。企業価値担保権は、まさにそうした、いわゆる絶好のタイミングでその創設が検討されているところであります。
並行して、銀行界では、不動産担保や経営者の個人保証に依存しない、事業性に着目した融資を推進してまいりました。
二〇一三年九月に、金融庁より金融モニタリング基本方針が公表され、事業性評価に係るモニタリングが開始されました。全銀協としては、同年十二月に、日本商工会議所とともに経営者保証に関するガイドラインを策定し、お客様から個人保証をいただく際の自主ルールを設定しております。また、二〇二二年の十二月に政府より公表された経営者保証改革プログラムを受け、経営者保証ガイドラインの運用徹底を改めて図っているところであります。
直近二〇二三年度上期の民間金融機関の新規融資に占める無保証融資の割合は四六・七%と、前年対比で約一三ポイント上昇、ガイドラインの適用が本格的に始まった二〇一五年対比では約三五ポイントの上昇となっており、着実に取組が進んでいるというふうに思っております。
このように、銀行界では事業性融資の推進に取り組んでまいりましたが、不動産担保あるいは経営者保証によらずに融資することが困難なケースがあることも事実であります。更に一歩踏み込んだリスクテイクを行うためには、在庫などの動産を担保として活用することも検討されているところでありますが、有形資産に乏しい事業者においては有効な解決策とはならず、今回審議されております企業価値担保権はその解決策になる可能性があると見ております。
このように、大局的な視点から見れば、タイミングの面においても、そして、これまで十分にカバーされていなかった空白地帯を埋めるという機能の面においても、企業価値担保権の創設は大きな意義があるというふうに認識しております。
続いて、より具体的な視点から、銀行界として想定する、企業価値担保権の位置づけや活用方法について御説明いたします。
まず、我が国の産業構造を見ますと、時代の変遷とともに徐々に変化しており、二〇二一年の経済センサスによりますと、全産業に占める非製造業の割合は、企業数ベースでは七八・二%、売上高ベースでは六九・五%に達しています。
特にスタートアップはそうした傾向が強く、東京商工会議所によれば、二〇二二年時点の非製造業の割合が約九割となっており、その多くは必ずしも有形資産に恵まれた事業者ではないと見ております。
また、日本企業の九九%を占める中小企業では経営者の高齢化が進んでおり、中小企業庁によりますと、七十歳以上の経営者のうち約三割が後継者不在となっております。このように、事業承継問題が深刻化している中、経営者の親族や従業員、役員以外の第三者が事業を承継する第三者承継も一つの解決策と考えております。
中小企業基盤整備機構によれば、同機構が関与した第三者承継は二〇二二年度に過去最高の千六百八十一件に達しているとのことですが、今後より拡大させる上では、経営者保証がネックの一つになるという声も聞かれます。
企業価値担保権は、こうしたスタートアップ向けや事業承継時の御融資において有用な選択肢になり得、ひいては我が国のイノベーションの加速や中堅・中小企業における生産性向上につながるのではないかと考えております。
有望なスタートアップが次々に生まれ、経済を牽引するまで成長するケースが続出している米国においては、企業価値担保権と似通った全資産担保を活用する融資慣行が定着しております。日米のスタートアップ市場に見られる差の背景の一つには、こうした担保制度及び融資慣行の違いもあるのではないかというふうに見ております。
また、銀行の視点から見ますと、企業価値担保権を用いた御融資においては、借り手企業における事業の発展が銀行にとっての担保価値を向上させることになります。そのため、銀行サイドには、絶えず変動する事業の実態を継続的に把握するとともに、経営上の課題などに対して具体的な解決策や実行支援を行う、いわゆる伴走支援に我々のリソースを投入することに経済合理性が生まれます。それにより、業況が悪化する局面を含め、借り手に対してよりプロアクティブに効果的な支援を行うことが可能になるなど、銀行として本来あるべき姿を追求する上でも、有用な融資の取組になり得るのではないかというふうに考えております。
このように、企業価値担保権は、様々な面で大きな意義があると考えられる一方、全く新しい取組であることから、官民が協力し、準備すべきことも多いと認識しております。
例えば、この新たな枠組みを有効に機能させ、銀行の融資慣行に根づかせていくためには、法整備だけではなく、企業価値の評価を客観的、安定的に行うための手法の確立など、実務レベルの準備を進めていく必要があると考えております。こうした実務上の論点については、法案の成立後、施行までの期間に、金融庁を中心に議論していくものと認識しております。全銀協といたしましても、積極的に議論に参加していきたいというふうに考えております。
また、我々銀行には、この制度を利用する立場として、企業価値担保権の設定、期中管理、実行に関する内部体制を整備する必要があるほか、何よりも、お客様の事業内容を理解し、その将来性を見極める目利き力をこれまで以上に磨いていく必要があります。
本法案には、事業者や金融機関の取組を支援する事業性融資推進支援機関について認定制度を導入することなどが盛り込まれていると認識しております。こうした支援機関も活用しつつ、時間はかかるかもしれませんが、体制整備にしっかりと取り組んでまいります。
以上、簡単ではございますが、銀行界の意見をお伝えいたしました。
冒頭で申し上げましたとおり、足下の日本経済には、賃金、消費、企業業績の好循環の芽が見られます。物価や金利の上昇、大幅な賃上げ、GXなど、至るところでパラダイムシフトが起きつつあり、我が国はまさに、失われた三十年、そしてデフレからの完全脱却に向けた分水嶺にある、正念場にあるというふうに見ております。
銀行界としては、企業価値担保権を活用しつつ、主要な資金供給者として日本の再成長を下支えし、日本経済に好循環が定着することに貢献してまいる所存でございます。
改めまして、本日は発言の機会をいただきまして、御礼を申し上げます。
私からは以上です。拍手
津
村
村上陽子#6
○村上参考人 おはようございます。労働団体の連合で副事務局長を務めております村上です。
本日は、参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。
事業性融資の推進等に関する法律案について、働く者の立場から基本的な考え方を申し上げた上で、企業価値担保権の活用における担保権者等による伴走型支援、担保権実行における換価の方法、担保権設定時及び実行時の労働組合の関与、カーブアウト部分の水準、労働者保護全体に関わる課題の五つの項目について意見を述べさせていただきます。
まず、基本的な考え方についてです。
企業価値担保権は、労働契約を含む企業の総財産を目的財産にする、これまでにない制度です。労働契約は、働く人間と不可分の労働力を取引の対象とするもので、ほかの契約とは大きく性格が異なります。そのため、働く者の生命や健康、人格などに対して特段の配慮が必要であり、そうした労働者保護の観点に立った制度設計をしていただきたいと考えます。
そして、事業の継続や成長発展には労働者による労務提供が必要不可欠であり、働く者が集う労働組合は、事業活動を展開する上での重要なステークホルダーでもあります。そのため、労働者や労働組合の理解と納得を得られるよう、制度全体を通じて、労働者や労働組合への事前の情報提供や丁寧な説明、協議といった仕組みの整備が必要と考えます。
以上を踏まえまして、各論点について意見を申し上げます。
一点目は、企業価値担保権の活用における担保権者や貸し手による伴走型支援についてです。
企業価値担保権は企業の総財産を目的財産とすることから、担保権者等による借り手企業に寄り添った伴走型支援が可能となり、融資実務の改善が図られると金融庁は説明しております。
担保権者等は、借り手よりも優越的な立場にあり、経営改善支援として様々な経営関与を行うことも考えられます。また、本法案では、信託会社を担保権者にすることで、与信者に制限を設けず、ベンチャー、再生ファンドなど、一般事業会社も含まれるたてつけとなっております。
このように、金融機関以外の多様な貸し手の参入も見込まれる中で、ほかの制度よりも強い担保権を背景に人員整理や労働条件の引下げなどを迫られた場合、必要な資金調達を図ろうとする借り手が拒否することは極めて難しいのではないでしょうか。借り手企業で働く者が雇用や賃金などの不安を抱えたままであっては、本法案が目指す事業の継続や成長発展も到底見込めません。
また、企業価値担保権の活用によって融資を受けるには、借り手企業は、自社の強みである知的財産や無形資産を把握した上で、具体的な事業計画などを貸し手に提出することが求められると考えられます。
一方、貸し手は、借り手企業における現在の無形資産に関する開示情報を基に合理性を判断し、その将来性を含めて評価して、融資が実行されることになります。この際の融資条件として、融資前に解雇や労働条件の引下げなどを求めるといったことも懸念されます。
こうしたことから、働く者が安心して働き続けられるよう、担保権者が行うべきでない指導や助言などについて下位法令等で明確に規定するなど、実効性の高い担保権者等に対する規律づけが非常に重要であると考えます。
二点目は、借り手が債務不履行に陥り、担保権が実行される場合における換価の方法についてです。
法案では、換価は事業譲渡によってするとされております。企業価値担保権は総財産を目的として設定されるものであり、その制度趣旨からしても、実行の場面において、事業の一体的な換価を原則とすることは当然です。このことは、金融庁の事業性融資ワーキンググループの報告書にも、「事業を解体せず雇用を維持しつつ承継することを原則とする」と明記いただいております。
しかし、法案では一体的な換価を原則とすることが必ずしも明確になっておらず、実態として個別財産の換価がたやすく認められることになるのではないかとの大きな懸念を抱いております。
通常の事業譲渡においても、例えば、一部の労働者の労働契約が承継されないまま譲渡元の不採算部門に取り残され、場合によっては解雇に追い込まれるなどの大きな不利益を被るといった事案も決して少なくないという現状がございます。企業価値担保権を活用した場合も、そうした事案が数多く生じることがないよう、一体的な換価を原則とすることを制度的にも明文化した上で、広く周知する必要があると考えます。
また、他方の個別換価については、やむを得ない事由がある場合に限るといったような実体的な要件を設け、あくまでも事業の譲渡が困難である場合における例外であることを明確にすることが重要です。
この点については、管財人が裁判所に許可を申し立てる際に、個別換価をせざるを得ない理由や労働組合等との協議状況などの記載を求める様式を示すといった対応を検討いただきたいと考えます。
三点目は、労働者や労働組合の理解と協力を得るための手続関与の保障についてです。
まず、設定時については、法案では、企業価値担保権を設定する場面において、担保目的財産に含まれる労働契約の当事者である労働者が関与できる手続は全く設けられておりません。事業の継続、発展を進めていく上で最も重要なステークホルダーである労働者に対して、担保権が設定されたことを勤め先から全く知らされないまま、後になって、商業登記簿の閲覧や担保権者による経営改善支援、また取引先などを通じて知った場合には、企業への信頼が大きく毀損しかねません。
企業価値担保権の活用や将来の事業活動などについて労働者の理解と協力を得るためには、使用者からの事前の説明と誠実な労使協議を積み重ねる必要があります。こうしたことを踏まえますと、担保権設定時についても、労働者や労働組合等への事前の通知を努力義務で規定するなど、労使協議等を促進することが重要だと考えます。
次に、実行時ですが、実行時については、法案の中でも設定時より労働者保護ルールが整備されていると受け止めております。しかし、これらは、実行手続に向けて対応の方向性が一定程度定まった段階における手続保障です。労働者保護の実効性を高めるためには、更に前段階での通知や労働組合等との協議が行われるべきと考えます。
実行が検討される場面は、企業経営が行き詰まりを見せ、労働者としても雇用や労働条件に対する将来的な不安感が高まっているケースだと思われます。こうした場面において、早期に労働者や労働組合等との協議を行うことは、この先どうなってしまうのか分からないという先行きに対する不透明感の払拭や事業の継続に対する貢献にもつながるものと考えます。
こうした実行前の労使協議については、担保権が実行手続開始決定の申立てをしようとする場合に、労働組合等との協議状況などの記載を求める様式を示すといった対応を検討いただきたいと考えます。
四点目は、カーブアウトの部分の水準についてです。
本法案の実行手続における共益債権等の随時弁済や事業の継続等に必要な債権の許可弁済の規定については、労働債権者を含む一般債権者保護につながるものと考えております。
その上で、今回、カーブアウトを設けるとされておりますが、法案では、カーブアウトについて、実行手続終結後の手続を公正に実施するために必要な額と規定するにとどまり、具体的な額は政令に委任されています。
実際に組入れがなされるのは、破産や清算手続に至った場面ですが、その際の労働債権者や商取引債権者などの一般債権者等の全体の弁済に充てられるものであることからすると、労働債権を始めとして必要な弁済が得られるかどうかは、カーブアウトの水準をどのように定めるかに大きく委ねられています。
金融庁におかれては、一般債権者の保護をより強く図るとの趣旨が損なわれることがないよう、具体的な根拠を基に丁寧に検討いただくことを要望いたします。
五点目として、労働者保護に関わる課題について申し上げます。
企業価値担保権に限らず、ほかの担保権についても、従前より、倒産時等に労働債権が十分に確保できないとの課題があり、私たちは、労働債権の優先順位を更に引き上げることや、一部について別除権に優先させる制度を創設することを求めております。
また、事業譲渡などの事業再編については、連合の加盟組合からも、労働者の雇用や労働条件にマイナスの影響が及ぶ事案が寄せられています。連合は、事業組織の再編における労働者保護に関する法律案要綱の考え方を確認し、あらゆる事業再編において、労働契約の承継や労働組合等への事前の情報提供や協議の義務づけの法制化を求めてきています。こうした法整備については、加盟組合からも実現を求める声が高まっています。
しかし、倒産や事業再編時における労働者保護に向けた法整備は、残念ながら停滞しております。事業再編を行いやすくする法整備が進められていることや、倒産やMアンドAの件数が右肩上がりで増加していることからすれば、政府全体として、労働債権や事業再編時の労働者保護ルールについて真正面から議論していただく時期に来ているということを強く申し上げたいと思います。
その上で、今回の法案に関しまして、二点申し上げたいと思います。
一点目は、本法案と労働関係法令との関係についてです。
担保権者や貸し手が労組法上の使用者に該当する場合があることのほか、事業譲渡がなされた場合における労働協約の取扱い、労働条件の変更、労働契約法十六条との関係などについて、考え方を整理し、明文化した上で、関係者に周知徹底を図ることが必要と考えております。
その際、厚生労働省の事業譲渡等指針が参考になると思われますが、金融庁と厚生労働省との連携の下で、企業価値担保権の特殊性を踏まえた修正などを行っていただくこと、さらに、事業譲渡等指針の内容の更なる充実を図った上で、法令に格上げすることの具体的な検討にも着手いただくことを強く要望いたします。
二点目として、事業性融資推進本部の本部員について申し上げます。
今ほど申し上げたとおり、労働関係法令との関係は、今後の制度運用上も重要な課題であり続けます。本法案の中では、本部員として厚生労働大臣が条文上明記されておりません。必要な労働者保護がしっかりと図れるよう、厚生労働大臣も当初から継続して本部員に指定していくことが重要と考えます。
最後になりますが、企業価値担保権のように労働契約が担保目的となることは、誰もがこれまで全く経験していないことであり、そのことだけを取りましても、労働者の不安や懸念は大きいものがあると考えております。本法案の検討に当たりましては、労働者や労働組合が事業活動の重要なステークホルダーであることを踏まえて、そうした思いの部分を含めて、労働者保護の観点から慎重な審議を行っていただきますようお願い申し上げます。
以上で、私の意見陳述を終わります。御清聴いただきまして、ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。
事業性融資の推進等に関する法律案について、働く者の立場から基本的な考え方を申し上げた上で、企業価値担保権の活用における担保権者等による伴走型支援、担保権実行における換価の方法、担保権設定時及び実行時の労働組合の関与、カーブアウト部分の水準、労働者保護全体に関わる課題の五つの項目について意見を述べさせていただきます。
まず、基本的な考え方についてです。
企業価値担保権は、労働契約を含む企業の総財産を目的財産にする、これまでにない制度です。労働契約は、働く人間と不可分の労働力を取引の対象とするもので、ほかの契約とは大きく性格が異なります。そのため、働く者の生命や健康、人格などに対して特段の配慮が必要であり、そうした労働者保護の観点に立った制度設計をしていただきたいと考えます。
そして、事業の継続や成長発展には労働者による労務提供が必要不可欠であり、働く者が集う労働組合は、事業活動を展開する上での重要なステークホルダーでもあります。そのため、労働者や労働組合の理解と納得を得られるよう、制度全体を通じて、労働者や労働組合への事前の情報提供や丁寧な説明、協議といった仕組みの整備が必要と考えます。
以上を踏まえまして、各論点について意見を申し上げます。
一点目は、企業価値担保権の活用における担保権者や貸し手による伴走型支援についてです。
企業価値担保権は企業の総財産を目的財産とすることから、担保権者等による借り手企業に寄り添った伴走型支援が可能となり、融資実務の改善が図られると金融庁は説明しております。
担保権者等は、借り手よりも優越的な立場にあり、経営改善支援として様々な経営関与を行うことも考えられます。また、本法案では、信託会社を担保権者にすることで、与信者に制限を設けず、ベンチャー、再生ファンドなど、一般事業会社も含まれるたてつけとなっております。
このように、金融機関以外の多様な貸し手の参入も見込まれる中で、ほかの制度よりも強い担保権を背景に人員整理や労働条件の引下げなどを迫られた場合、必要な資金調達を図ろうとする借り手が拒否することは極めて難しいのではないでしょうか。借り手企業で働く者が雇用や賃金などの不安を抱えたままであっては、本法案が目指す事業の継続や成長発展も到底見込めません。
また、企業価値担保権の活用によって融資を受けるには、借り手企業は、自社の強みである知的財産や無形資産を把握した上で、具体的な事業計画などを貸し手に提出することが求められると考えられます。
一方、貸し手は、借り手企業における現在の無形資産に関する開示情報を基に合理性を判断し、その将来性を含めて評価して、融資が実行されることになります。この際の融資条件として、融資前に解雇や労働条件の引下げなどを求めるといったことも懸念されます。
こうしたことから、働く者が安心して働き続けられるよう、担保権者が行うべきでない指導や助言などについて下位法令等で明確に規定するなど、実効性の高い担保権者等に対する規律づけが非常に重要であると考えます。
二点目は、借り手が債務不履行に陥り、担保権が実行される場合における換価の方法についてです。
法案では、換価は事業譲渡によってするとされております。企業価値担保権は総財産を目的として設定されるものであり、その制度趣旨からしても、実行の場面において、事業の一体的な換価を原則とすることは当然です。このことは、金融庁の事業性融資ワーキンググループの報告書にも、「事業を解体せず雇用を維持しつつ承継することを原則とする」と明記いただいております。
しかし、法案では一体的な換価を原則とすることが必ずしも明確になっておらず、実態として個別財産の換価がたやすく認められることになるのではないかとの大きな懸念を抱いております。
通常の事業譲渡においても、例えば、一部の労働者の労働契約が承継されないまま譲渡元の不採算部門に取り残され、場合によっては解雇に追い込まれるなどの大きな不利益を被るといった事案も決して少なくないという現状がございます。企業価値担保権を活用した場合も、そうした事案が数多く生じることがないよう、一体的な換価を原則とすることを制度的にも明文化した上で、広く周知する必要があると考えます。
また、他方の個別換価については、やむを得ない事由がある場合に限るといったような実体的な要件を設け、あくまでも事業の譲渡が困難である場合における例外であることを明確にすることが重要です。
この点については、管財人が裁判所に許可を申し立てる際に、個別換価をせざるを得ない理由や労働組合等との協議状況などの記載を求める様式を示すといった対応を検討いただきたいと考えます。
三点目は、労働者や労働組合の理解と協力を得るための手続関与の保障についてです。
まず、設定時については、法案では、企業価値担保権を設定する場面において、担保目的財産に含まれる労働契約の当事者である労働者が関与できる手続は全く設けられておりません。事業の継続、発展を進めていく上で最も重要なステークホルダーである労働者に対して、担保権が設定されたことを勤め先から全く知らされないまま、後になって、商業登記簿の閲覧や担保権者による経営改善支援、また取引先などを通じて知った場合には、企業への信頼が大きく毀損しかねません。
企業価値担保権の活用や将来の事業活動などについて労働者の理解と協力を得るためには、使用者からの事前の説明と誠実な労使協議を積み重ねる必要があります。こうしたことを踏まえますと、担保権設定時についても、労働者や労働組合等への事前の通知を努力義務で規定するなど、労使協議等を促進することが重要だと考えます。
次に、実行時ですが、実行時については、法案の中でも設定時より労働者保護ルールが整備されていると受け止めております。しかし、これらは、実行手続に向けて対応の方向性が一定程度定まった段階における手続保障です。労働者保護の実効性を高めるためには、更に前段階での通知や労働組合等との協議が行われるべきと考えます。
実行が検討される場面は、企業経営が行き詰まりを見せ、労働者としても雇用や労働条件に対する将来的な不安感が高まっているケースだと思われます。こうした場面において、早期に労働者や労働組合等との協議を行うことは、この先どうなってしまうのか分からないという先行きに対する不透明感の払拭や事業の継続に対する貢献にもつながるものと考えます。
こうした実行前の労使協議については、担保権が実行手続開始決定の申立てをしようとする場合に、労働組合等との協議状況などの記載を求める様式を示すといった対応を検討いただきたいと考えます。
四点目は、カーブアウトの部分の水準についてです。
本法案の実行手続における共益債権等の随時弁済や事業の継続等に必要な債権の許可弁済の規定については、労働債権者を含む一般債権者保護につながるものと考えております。
その上で、今回、カーブアウトを設けるとされておりますが、法案では、カーブアウトについて、実行手続終結後の手続を公正に実施するために必要な額と規定するにとどまり、具体的な額は政令に委任されています。
実際に組入れがなされるのは、破産や清算手続に至った場面ですが、その際の労働債権者や商取引債権者などの一般債権者等の全体の弁済に充てられるものであることからすると、労働債権を始めとして必要な弁済が得られるかどうかは、カーブアウトの水準をどのように定めるかに大きく委ねられています。
金融庁におかれては、一般債権者の保護をより強く図るとの趣旨が損なわれることがないよう、具体的な根拠を基に丁寧に検討いただくことを要望いたします。
五点目として、労働者保護に関わる課題について申し上げます。
企業価値担保権に限らず、ほかの担保権についても、従前より、倒産時等に労働債権が十分に確保できないとの課題があり、私たちは、労働債権の優先順位を更に引き上げることや、一部について別除権に優先させる制度を創設することを求めております。
また、事業譲渡などの事業再編については、連合の加盟組合からも、労働者の雇用や労働条件にマイナスの影響が及ぶ事案が寄せられています。連合は、事業組織の再編における労働者保護に関する法律案要綱の考え方を確認し、あらゆる事業再編において、労働契約の承継や労働組合等への事前の情報提供や協議の義務づけの法制化を求めてきています。こうした法整備については、加盟組合からも実現を求める声が高まっています。
しかし、倒産や事業再編時における労働者保護に向けた法整備は、残念ながら停滞しております。事業再編を行いやすくする法整備が進められていることや、倒産やMアンドAの件数が右肩上がりで増加していることからすれば、政府全体として、労働債権や事業再編時の労働者保護ルールについて真正面から議論していただく時期に来ているということを強く申し上げたいと思います。
その上で、今回の法案に関しまして、二点申し上げたいと思います。
一点目は、本法案と労働関係法令との関係についてです。
担保権者や貸し手が労組法上の使用者に該当する場合があることのほか、事業譲渡がなされた場合における労働協約の取扱い、労働条件の変更、労働契約法十六条との関係などについて、考え方を整理し、明文化した上で、関係者に周知徹底を図ることが必要と考えております。
その際、厚生労働省の事業譲渡等指針が参考になると思われますが、金融庁と厚生労働省との連携の下で、企業価値担保権の特殊性を踏まえた修正などを行っていただくこと、さらに、事業譲渡等指針の内容の更なる充実を図った上で、法令に格上げすることの具体的な検討にも着手いただくことを強く要望いたします。
二点目として、事業性融資推進本部の本部員について申し上げます。
今ほど申し上げたとおり、労働関係法令との関係は、今後の制度運用上も重要な課題であり続けます。本法案の中では、本部員として厚生労働大臣が条文上明記されておりません。必要な労働者保護がしっかりと図れるよう、厚生労働大臣も当初から継続して本部員に指定していくことが重要と考えます。
最後になりますが、企業価値担保権のように労働契約が担保目的となることは、誰もがこれまで全く経験していないことであり、そのことだけを取りましても、労働者の不安や懸念は大きいものがあると考えております。本法案の検討に当たりましては、労働者や労働組合が事業活動の重要なステークホルダーであることを踏まえて、そうした思いの部分を含めて、労働者保護の観点から慎重な審議を行っていただきますようお願い申し上げます。
以上で、私の意見陳述を終わります。御清聴いただきまして、ありがとうございました。拍手
津
馬
馬渕磨理子#8
○馬渕参考人 おはようございます。経済アナリストの馬渕磨理子です。
今日は、参考人としてお招きくださいまして、本当にありがとうございます。
私自身は、年間百五十社以上のトップ企業、トップ経営者と取材をするということと、また、自身が昨年乳がんを患うまでは、地方に足しげく足を運び、年間百回ほど地方の中小企業の方々と交流を深める、そういう活動をしてまいりました。
そうした中で、本日は、日本の現下の金融経済情勢と、事業性融資の活用について申し上げます。
今、デフレからは脱却しつつある時期に、この本国会で事業性融資の推進に関する法案の議論が進んでいること、この時期が重なっていることに意味があると感じています。また、法案にも、国の責務として進めていくというこの文言に対しても、非常に力強いものを感じております。
そこで、改めてデフレの正体、これは何なのか、失われた三十年の現状を数字で確認する必要があると思いますし、それが本法案を議論する上での本質上の問いになると考えています。
デフレの正体は、貨幣愛だと結論づけることができます。それが、賃金、物価、金利の上昇は起きないと思う固定概念、つまりノルムにつながり、人よりも現金に価値を置いてきた時代、これがデフレの時代です。
三ページ目にございますアメリカの状況、直近三十年までのデータをこちらにお示ししていますが、アメリカ経済というのは、名目GDPの方が実質GDPよりも大きく、毎年物価が上昇する、その結果、賃金も上昇してきた国です。一方、日本はアメリカとは真逆で、実質GDPの方が名目GDPよりも大きく、毎年値下げが起きる社会でした。そうしますと、利ざやが小さい企業は賃上げなどができない状況が続いています。
また、一番右側の法人企業統計ですけれども、バブル崩壊からの三十年間というのは、企業の売上げは一千五百兆円で停滞しています。その中から賃金を払うわけですが、賃金も百五十兆円で横ばいです。一方、実は稼ぐ力は高まっていて、経常利益はバブルの絶頂期から一旦半減しますが、現在は右肩上がりで、九十五兆円まで増加しています。その三分の一に当たるものを配当に分配していて、現在、三十兆円のお金を配当に回しています。
そして、右側の青いデータですけれども、これが現金の推移です。つまり、企業は稼ぐ力が高まったんだけれども、有望な成長投資先を見つけることができずに、現金を積み上げ、現在は二百九十兆円に積み上がっている状況です。これは、何かあったときに身を守れるものは現金だという貨幣愛が詰まっていった、高まっていった、こういった背景があると思います。
ですので、粘着質なデフレ構造を、日本を変える場合には、それ相応のかなりのエネルギーが必要だと思っています。ですので、インフレも厄介なんですけれども、デフレへの処方箋の方が難解ではないかというふうに思います。
続いて、四ページ目を御覧ください。
デフレから脱却するために、金融緩和で、株式市場自体は過去の景色を塗り替えることができました。ただ、過去のバブル期との違いは、一九八九年台の日経平均の投資家の期待値は七十倍でした。つまり、コップにビールを注いだ場合、泡だらけだった時期がバブル期です。しかし、現在の日経平均の期待値は十六倍から十七倍、つまり、泡の割合は非常に薄いわけです。これは、中身が変わってきたというふうに理解することができます。
では、五ページ目を御覧ください。何が変わったのか。
これはアベノミクス以降の株価推移ですが、株価というものは、一株当たり利益掛ける投資家の期待値で決まります。そうしますと、アベノミクスがスタートした時期、日経平均の一株当たり利益は七百円、それに期待値が十五倍、掛け算されて一万円水準でした。そこから、二〇二四年は、一株当たり利益が二千二百円まで拡大し、期待値は十七倍、つまり、稼ぐ力は三倍ほどに拡大しています。こちらは、先ほどの法人企業統計で経常利益が拡大していることと重なると思います。
ですので、我々は、過去のバブルと比較して物事を判断するのではなく、もう今の基準で生きていて、異なる基準でバブル期の高値を更新したということです。見るべきは未来、将来性だと思います。事業性融資というものは、未来を見る法案だというふうに感じております。
続いて、六ページ目を御覧ください。
未来のコミュニケーションの在り方として、アメリカの中央銀行、FRBと日銀のコミュニケーションを比較したいと思います。
本法案では、経営者が金融機関に対して事業性の説明や密なコミュニケーションが求められるという法案になっていますけれども、例えばアメリカの中央銀行も国民に対して熱心にコミュニケーションを取っています。FRBの考えるアメリカの潜在成長率は一・八%であり、物価目標は二%を目指し、そして将来的には金利は二・六%にしたい、こういうふうなメッセージを、国全体が向かう方向性を国民全体に共有しているのがアメリカのFRBです。
日本はこれまで、二番目のインフレ目標だけは長らく掲げてきましたが、潜在成長率や金利の水準については、もちろん言及できないほどに低かったわけです。しかし、植田日銀総裁が日本の潜在成長率を〇・七%程度だというふうに明言したことから始まり、そこからいかに二%を目指すのか、さらには、三月にはマイナス金利を解除し、金利を〇・一%というふうに移行しました。
ですので、日本も、アメリカほどではないものの、日本の向かう方向性をようやく中央銀行としても明示できるような環境になってきた。これもデフレからの転換の兆しだというふうに感じております。
では、七ページ目を御覧ください。
そうしますと、日銀が今後、短期金利をどこまで引き上げるのかというところが論点になります。
まだ、日銀としては、緩和的な状況が必要な経済環境だとおっしゃっていますが、何をもって緩和的なのかということなんですね。
ここは、本来は、この図にお示ししましたとおり、中立金利、景気を冷やしもふかしもしない中立的な金利を議論するべきところなんですが、なかなかこの水準は、今、現段階でも専門家の中でも幅が広く言及できないというふうに話されています。
そこで、日本の潜在成長率から短期金利の見通しを推測することができます。つまり、現在、日本の潜在成長率がおよそ〇・七%程度であるならば、それ以下の短期金利の水準であれば緩和的な状況と整理することができます。つまり、今現在〇・一%の金利が、〇・五%ぐらいまでは引き上げる可能性が十分にあり得るということになります。
ここからは、事業性融資の活用について申し上げます。十ページを御覧ください。
事業性融資は、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性、無形資産を評価して融資を行うものです。
こちらは内閣官房の資料を引用させていただきましたが、時価総額に占める無形資産の割合は、アメリカを代表するSP五〇〇は九〇%を占め、日経二二五は三二%と、明らかにこちらは差があります。これは、企業の競争優位を支え、イノベーションを生み出す根本的な要素である研究開発や人材、こういったところに重きを置いてこなかった日本経済の実態があるというふうに考えております。
そして、次に、十一ページ目ですが、ここまで、いかに回収するか、労働者保護の観点については議論されてきましたので、私からは、マクロ環境から見た事業性融資の意義を申し上げます。
メインバンクがはっきりしないケースが数多く見られますが、事業性融資によってメインバンクを明確化することで、迅速に経営改善と支援が可能になると考えます。
また、企業価値というものは、金融機関のサポートで、実は減少したり増加もするわけです。能動的に支援することで、本来の貸し手と借り手の関係を再構築することに寄与する法案だと考えております。
また、事業性融資を通じて、目利き力の醸成、こちらは金融機関の自社内にノウハウをもう一度積み上げていくこと。これが、地域経済、それから事業者の成長につながりますし、また、金融機関の収益力強化にもつながると感じています。
さらに、審査能力に関しては、こちらは事例を積み重ねることで精度が高まることが想定されますが、例えば、VCやコンサル、また非財務情報の調査を行うリスク審査企業の助言も有効だと考えています。
事業性融資は、審査時点に、これまでは有形資産を評価する、つまり、現金化ができるであろうというものを非常に重視した偏重型の貨幣愛、こうした日本経済の脱却につながるような法案だと思い、ある意味、日本のノルムを変えていく可能性があるというふうに希望を感じております。
続いて、十二ページ目を御覧ください。
本法案が成立した場合に、普及のポイントになるであろう点を御提案申し上げます。
今回の事業性融資の活用想定のメインは、一つ目、スタートアップ、成長力のある企業、そして二つ目は中小企業の事業承継、さらには三つ目が事業再生なんですが、これに加えて、サテライト活用として、四つ目のゾーンであります上場新興企業の買収資金のファイナンス活用を提案したいと思います。
実は、上場後に、時価総額が小さく行き詰まっている企業は数多く、これは日本の大きな社会課題の一つでありますが、まだ誰も手をつけていない現状があります。例えば、上場後に、ほかの企業から買収されたいが、しかし、キャッシュフローの回収能力から非常に慎重に判断されるケースが多いわけです。なので、MAの対象として、上場後の小型企業にこういったものを適用していく場合には非常に意味があるというふうな声も現場から聞いております。
ですので、上場新興市場というのは、そもそも与信がありますし、金融機関とのリレーションであるとか財務情報の開示、四半期開示も行っておりますので、この辺りはモニタリングコストが低い企業ゾーンだというふうに理解することができますし、今、人的資本や非財務情報の開示もどんどん進めている企業ゾーンであります。
ですので、ここが、もちろんメインの利活用ではないとは理解していますが、サテライトとして同制度の活用事例を増やしていくような観点から考察の余地があるのではないでしょうか。
最後は、審査機能のサポートが可能な分野について申し上げます。
融資とはリスクを取る程度は確かに異なるものの、エクイティー側の目利きや審査を参考にできると思います。VCや株式投資型クラウドファンディングという会社は、社内に審査機能があり、ノウハウが既に蓄積されています。
また、売り掛け債権保証業とのデータ連携です。
売り掛け債権保証というのは、売掛金の支払いを保証するものですので、取引先が倒産、支払いが行われなかった場合に、保証会社が支払いを行います。そうした場合、売り掛け債権を保証する企業としては、財務データに反映される前段階の動的データを、営業員を全国に配置し情報を収集していて、リスクを事前に把握するような業態です。ですので、取引情報であるとか何らかの遅延の情報、こういった情報に加えて、経営者の資質などモニタリングコストの部分を既に本業で行っていますので、金融機関の審査機能に寄与が可能だと考えています。
このように、本業で既にそのものを回していくために、非財務情報であるとか動的データを把握しているような企業との連携は、モニタリングコストを下げる点から有用性が高いというふうに考えております。
私からは以上となります。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →今日は、参考人としてお招きくださいまして、本当にありがとうございます。
私自身は、年間百五十社以上のトップ企業、トップ経営者と取材をするということと、また、自身が昨年乳がんを患うまでは、地方に足しげく足を運び、年間百回ほど地方の中小企業の方々と交流を深める、そういう活動をしてまいりました。
そうした中で、本日は、日本の現下の金融経済情勢と、事業性融資の活用について申し上げます。
今、デフレからは脱却しつつある時期に、この本国会で事業性融資の推進に関する法案の議論が進んでいること、この時期が重なっていることに意味があると感じています。また、法案にも、国の責務として進めていくというこの文言に対しても、非常に力強いものを感じております。
そこで、改めてデフレの正体、これは何なのか、失われた三十年の現状を数字で確認する必要があると思いますし、それが本法案を議論する上での本質上の問いになると考えています。
デフレの正体は、貨幣愛だと結論づけることができます。それが、賃金、物価、金利の上昇は起きないと思う固定概念、つまりノルムにつながり、人よりも現金に価値を置いてきた時代、これがデフレの時代です。
三ページ目にございますアメリカの状況、直近三十年までのデータをこちらにお示ししていますが、アメリカ経済というのは、名目GDPの方が実質GDPよりも大きく、毎年物価が上昇する、その結果、賃金も上昇してきた国です。一方、日本はアメリカとは真逆で、実質GDPの方が名目GDPよりも大きく、毎年値下げが起きる社会でした。そうしますと、利ざやが小さい企業は賃上げなどができない状況が続いています。
また、一番右側の法人企業統計ですけれども、バブル崩壊からの三十年間というのは、企業の売上げは一千五百兆円で停滞しています。その中から賃金を払うわけですが、賃金も百五十兆円で横ばいです。一方、実は稼ぐ力は高まっていて、経常利益はバブルの絶頂期から一旦半減しますが、現在は右肩上がりで、九十五兆円まで増加しています。その三分の一に当たるものを配当に分配していて、現在、三十兆円のお金を配当に回しています。
そして、右側の青いデータですけれども、これが現金の推移です。つまり、企業は稼ぐ力が高まったんだけれども、有望な成長投資先を見つけることができずに、現金を積み上げ、現在は二百九十兆円に積み上がっている状況です。これは、何かあったときに身を守れるものは現金だという貨幣愛が詰まっていった、高まっていった、こういった背景があると思います。
ですので、粘着質なデフレ構造を、日本を変える場合には、それ相応のかなりのエネルギーが必要だと思っています。ですので、インフレも厄介なんですけれども、デフレへの処方箋の方が難解ではないかというふうに思います。
続いて、四ページ目を御覧ください。
デフレから脱却するために、金融緩和で、株式市場自体は過去の景色を塗り替えることができました。ただ、過去のバブル期との違いは、一九八九年台の日経平均の投資家の期待値は七十倍でした。つまり、コップにビールを注いだ場合、泡だらけだった時期がバブル期です。しかし、現在の日経平均の期待値は十六倍から十七倍、つまり、泡の割合は非常に薄いわけです。これは、中身が変わってきたというふうに理解することができます。
では、五ページ目を御覧ください。何が変わったのか。
これはアベノミクス以降の株価推移ですが、株価というものは、一株当たり利益掛ける投資家の期待値で決まります。そうしますと、アベノミクスがスタートした時期、日経平均の一株当たり利益は七百円、それに期待値が十五倍、掛け算されて一万円水準でした。そこから、二〇二四年は、一株当たり利益が二千二百円まで拡大し、期待値は十七倍、つまり、稼ぐ力は三倍ほどに拡大しています。こちらは、先ほどの法人企業統計で経常利益が拡大していることと重なると思います。
ですので、我々は、過去のバブルと比較して物事を判断するのではなく、もう今の基準で生きていて、異なる基準でバブル期の高値を更新したということです。見るべきは未来、将来性だと思います。事業性融資というものは、未来を見る法案だというふうに感じております。
続いて、六ページ目を御覧ください。
未来のコミュニケーションの在り方として、アメリカの中央銀行、FRBと日銀のコミュニケーションを比較したいと思います。
本法案では、経営者が金融機関に対して事業性の説明や密なコミュニケーションが求められるという法案になっていますけれども、例えばアメリカの中央銀行も国民に対して熱心にコミュニケーションを取っています。FRBの考えるアメリカの潜在成長率は一・八%であり、物価目標は二%を目指し、そして将来的には金利は二・六%にしたい、こういうふうなメッセージを、国全体が向かう方向性を国民全体に共有しているのがアメリカのFRBです。
日本はこれまで、二番目のインフレ目標だけは長らく掲げてきましたが、潜在成長率や金利の水準については、もちろん言及できないほどに低かったわけです。しかし、植田日銀総裁が日本の潜在成長率を〇・七%程度だというふうに明言したことから始まり、そこからいかに二%を目指すのか、さらには、三月にはマイナス金利を解除し、金利を〇・一%というふうに移行しました。
ですので、日本も、アメリカほどではないものの、日本の向かう方向性をようやく中央銀行としても明示できるような環境になってきた。これもデフレからの転換の兆しだというふうに感じております。
では、七ページ目を御覧ください。
そうしますと、日銀が今後、短期金利をどこまで引き上げるのかというところが論点になります。
まだ、日銀としては、緩和的な状況が必要な経済環境だとおっしゃっていますが、何をもって緩和的なのかということなんですね。
ここは、本来は、この図にお示ししましたとおり、中立金利、景気を冷やしもふかしもしない中立的な金利を議論するべきところなんですが、なかなかこの水準は、今、現段階でも専門家の中でも幅が広く言及できないというふうに話されています。
そこで、日本の潜在成長率から短期金利の見通しを推測することができます。つまり、現在、日本の潜在成長率がおよそ〇・七%程度であるならば、それ以下の短期金利の水準であれば緩和的な状況と整理することができます。つまり、今現在〇・一%の金利が、〇・五%ぐらいまでは引き上げる可能性が十分にあり得るということになります。
ここからは、事業性融資の活用について申し上げます。十ページを御覧ください。
事業性融資は、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性、無形資産を評価して融資を行うものです。
こちらは内閣官房の資料を引用させていただきましたが、時価総額に占める無形資産の割合は、アメリカを代表するSP五〇〇は九〇%を占め、日経二二五は三二%と、明らかにこちらは差があります。これは、企業の競争優位を支え、イノベーションを生み出す根本的な要素である研究開発や人材、こういったところに重きを置いてこなかった日本経済の実態があるというふうに考えております。
そして、次に、十一ページ目ですが、ここまで、いかに回収するか、労働者保護の観点については議論されてきましたので、私からは、マクロ環境から見た事業性融資の意義を申し上げます。
メインバンクがはっきりしないケースが数多く見られますが、事業性融資によってメインバンクを明確化することで、迅速に経営改善と支援が可能になると考えます。
また、企業価値というものは、金融機関のサポートで、実は減少したり増加もするわけです。能動的に支援することで、本来の貸し手と借り手の関係を再構築することに寄与する法案だと考えております。
また、事業性融資を通じて、目利き力の醸成、こちらは金融機関の自社内にノウハウをもう一度積み上げていくこと。これが、地域経済、それから事業者の成長につながりますし、また、金融機関の収益力強化にもつながると感じています。
さらに、審査能力に関しては、こちらは事例を積み重ねることで精度が高まることが想定されますが、例えば、VCやコンサル、また非財務情報の調査を行うリスク審査企業の助言も有効だと考えています。
事業性融資は、審査時点に、これまでは有形資産を評価する、つまり、現金化ができるであろうというものを非常に重視した偏重型の貨幣愛、こうした日本経済の脱却につながるような法案だと思い、ある意味、日本のノルムを変えていく可能性があるというふうに希望を感じております。
続いて、十二ページ目を御覧ください。
本法案が成立した場合に、普及のポイントになるであろう点を御提案申し上げます。
今回の事業性融資の活用想定のメインは、一つ目、スタートアップ、成長力のある企業、そして二つ目は中小企業の事業承継、さらには三つ目が事業再生なんですが、これに加えて、サテライト活用として、四つ目のゾーンであります上場新興企業の買収資金のファイナンス活用を提案したいと思います。
実は、上場後に、時価総額が小さく行き詰まっている企業は数多く、これは日本の大きな社会課題の一つでありますが、まだ誰も手をつけていない現状があります。例えば、上場後に、ほかの企業から買収されたいが、しかし、キャッシュフローの回収能力から非常に慎重に判断されるケースが多いわけです。なので、MAの対象として、上場後の小型企業にこういったものを適用していく場合には非常に意味があるというふうな声も現場から聞いております。
ですので、上場新興市場というのは、そもそも与信がありますし、金融機関とのリレーションであるとか財務情報の開示、四半期開示も行っておりますので、この辺りはモニタリングコストが低い企業ゾーンだというふうに理解することができますし、今、人的資本や非財務情報の開示もどんどん進めている企業ゾーンであります。
ですので、ここが、もちろんメインの利活用ではないとは理解していますが、サテライトとして同制度の活用事例を増やしていくような観点から考察の余地があるのではないでしょうか。
最後は、審査機能のサポートが可能な分野について申し上げます。
融資とはリスクを取る程度は確かに異なるものの、エクイティー側の目利きや審査を参考にできると思います。VCや株式投資型クラウドファンディングという会社は、社内に審査機能があり、ノウハウが既に蓄積されています。
また、売り掛け債権保証業とのデータ連携です。
売り掛け債権保証というのは、売掛金の支払いを保証するものですので、取引先が倒産、支払いが行われなかった場合に、保証会社が支払いを行います。そうした場合、売り掛け債権を保証する企業としては、財務データに反映される前段階の動的データを、営業員を全国に配置し情報を収集していて、リスクを事前に把握するような業態です。ですので、取引情報であるとか何らかの遅延の情報、こういった情報に加えて、経営者の資質などモニタリングコストの部分を既に本業で行っていますので、金融機関の審査機能に寄与が可能だと考えています。
このように、本業で既にそのものを回していくために、非財務情報であるとか動的データを把握しているような企業との連携は、モニタリングコストを下げる点から有用性が高いというふうに考えております。
私からは以上となります。ありがとうございました。拍手
津
津
山
山田美樹#11
○山田(美)委員 おはようございます。自由民主党の山田美樹です。
参考人の皆様におかれましては、本日、国会まで御足労いただき、そしてまた、貴重な御意見を賜りまして、心から感謝を申し上げます。
私からは、井上参考人に法制度について、そして、福留参考人に融資実務について質問をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
最初に、井上参考人にお伺いいたします。
配付資料の六ページにもありましたとおり、企業価値担保権の議論は、金融審議会だけでなく、法制審議会など様々な場において行われてまいりました。井上参考人は、金融審議会、法制審議会の委員でもいらっしゃり、また、法制審議会よりも前の、二〇一九年の商事法務における研究会ですとか、中小企業庁の研究会の委員もお務めでいらっしゃったかと思います。
これまでの間を振り返られまして、議論に長い時間がかかった背景にはどのようなハードルがあったのか、そしてまた、弁護士のお立場から見て、多様な関係者との間で十分な議論がされてきたとお考えでおられますでしょうか、お伺いします。
この発言だけを見る →参考人の皆様におかれましては、本日、国会まで御足労いただき、そしてまた、貴重な御意見を賜りまして、心から感謝を申し上げます。
私からは、井上参考人に法制度について、そして、福留参考人に融資実務について質問をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
最初に、井上参考人にお伺いいたします。
配付資料の六ページにもありましたとおり、企業価値担保権の議論は、金融審議会だけでなく、法制審議会など様々な場において行われてまいりました。井上参考人は、金融審議会、法制審議会の委員でもいらっしゃり、また、法制審議会よりも前の、二〇一九年の商事法務における研究会ですとか、中小企業庁の研究会の委員もお務めでいらっしゃったかと思います。
これまでの間を振り返られまして、議論に長い時間がかかった背景にはどのようなハードルがあったのか、そしてまた、弁護士のお立場から見て、多様な関係者との間で十分な議論がされてきたとお考えでおられますでしょうか、お伺いします。
井
井上聡#12
○井上参考人 御質問ありがとうございます。
一つ目の御質問で、どういう難しさがあったかということでございますが、担保制度というのは、債務者の責任財産の中でどの部分を特定の資金供給者に優先して提供するかという問題でございますが、それは裏を返せば、それ以外の債権者あるいは利害関係人にどの部分を残せるのかという問題でもありまして、その意味で、担保の設計においては取り合いの問題が避けられません。なので、私、先ほど申し上げたように、ウィン・ウィンの関係をどうつくるかというのが重要だというのは、その裏の問題として、どうしても、どこかを立たせるとどこかが泣くということになりがちなので、どういう形で線を引き、どういう利害関係を調整するのかというところに難しさがあったように思います。
そのために、いろいろ時間をかけて議論してきたわけですけれども、どの程度議論すれば十分かというのは、なかなかこれは一概には言えませんが、先ほど御説明申し上げたように、この事業性担保については相応に、何度かの議論を、それも幾つかのフォーラムで重ねてきているというような経緯がございますので、かなり議論としては熟してきているのかなというふうに考えております。
以上です。
この発言だけを見る →一つ目の御質問で、どういう難しさがあったかということでございますが、担保制度というのは、債務者の責任財産の中でどの部分を特定の資金供給者に優先して提供するかという問題でございますが、それは裏を返せば、それ以外の債権者あるいは利害関係人にどの部分を残せるのかという問題でもありまして、その意味で、担保の設計においては取り合いの問題が避けられません。なので、私、先ほど申し上げたように、ウィン・ウィンの関係をどうつくるかというのが重要だというのは、その裏の問題として、どうしても、どこかを立たせるとどこかが泣くということになりがちなので、どういう形で線を引き、どういう利害関係を調整するのかというところに難しさがあったように思います。
そのために、いろいろ時間をかけて議論してきたわけですけれども、どの程度議論すれば十分かというのは、なかなかこれは一概には言えませんが、先ほど御説明申し上げたように、この事業性担保については相応に、何度かの議論を、それも幾つかのフォーラムで重ねてきているというような経緯がございますので、かなり議論としては熟してきているのかなというふうに考えております。
以上です。
山
山田美樹#13
○山田(美)委員 ありがとうございます。多年の御尽力に感謝を申し上げます。
そしてまた、今回の法整備に当たって、特に労働関係について、金融審議会において相当な議論がなされてきたと伺っております。労働団体さんの方からは、総財産を担保の目的にすることによって、労働者の権利が制約されるのではないかといった懸念の声があったということについては御説明をいただいたとおりですけれども、企業価値担保権の設定の際に労働組合への説明を求めるべきといった要望も寄せられていますが、これは、類似の制度との整合性などから見て、どのような対応が適切だとお考えでしょうか。
この発言だけを見る →そしてまた、今回の法整備に当たって、特に労働関係について、金融審議会において相当な議論がなされてきたと伺っております。労働団体さんの方からは、総財産を担保の目的にすることによって、労働者の権利が制約されるのではないかといった懸念の声があったということについては御説明をいただいたとおりですけれども、企業価値担保権の設定の際に労働組合への説明を求めるべきといった要望も寄せられていますが、これは、類似の制度との整合性などから見て、どのような対応が適切だとお考えでしょうか。
井
井上聡#14
○井上参考人 ありがとうございます。
経営陣と労働者の間のコミュニケーションをよくするというのは、一般論として非常に重要なことだと考えています。ただ、この企業価値担保の設定というのは、先ほども申し上げましたけれども、それによって事業の制約を受けないという点と同様に、労働者との関係も特段変化が生じないというものでございまして、最終的には事業譲渡という形で労働者が別の会社に事業とともに移転させられるという面はなくはないんですが、それはむしろ、逆に言えば、重要な財産だけを担保に入れた場合と比べますと、重要な財産を労働者から切り離してどんどん切り売りされてしまう担保設定との比較では、むしろ私は労働者フレンドリーな制度ではないかと思っておりますので、一般論として、重要な財産に担保をつけるときに、労働者に対する情報提供あるいは通知というのは義務化はされておらず、その点では一般のコミュニケーションに委ねられるということからしますと、その比較で、この担保についてだけ何か特別な義務を課すという必要はないのではないかというふうには考えております。
この発言だけを見る →経営陣と労働者の間のコミュニケーションをよくするというのは、一般論として非常に重要なことだと考えています。ただ、この企業価値担保の設定というのは、先ほども申し上げましたけれども、それによって事業の制約を受けないという点と同様に、労働者との関係も特段変化が生じないというものでございまして、最終的には事業譲渡という形で労働者が別の会社に事業とともに移転させられるという面はなくはないんですが、それはむしろ、逆に言えば、重要な財産だけを担保に入れた場合と比べますと、重要な財産を労働者から切り離してどんどん切り売りされてしまう担保設定との比較では、むしろ私は労働者フレンドリーな制度ではないかと思っておりますので、一般論として、重要な財産に担保をつけるときに、労働者に対する情報提供あるいは通知というのは義務化はされておらず、その点では一般のコミュニケーションに委ねられるということからしますと、その比較で、この担保についてだけ何か特別な義務を課すという必要はないのではないかというふうには考えております。
山
山田美樹#15
○山田(美)委員 御説明ありがとうございます。
雇用契約上の雇用主の地位も担保の対象になる方が、事業から切り離されずに済むため、雇用が守られやすいということも確かにあろうかと思います。いずれにせよ、制度の趣旨ですとか類似の制度との整合性などについて、誤解のないように丁寧に周知をしていくことが重要だと感じております。
続いて、井上参考人にまた引き続き御質問いたします。
企業価値担保権の担保適格性について、先ほど資料の中でも御説明がございました。企業価値担保権は企業価値を担保とするものであって、不動産のように債務者が破綻しても価値が変わらない財産とは異なるため、債務者が破綻状態に陥り、担保権が実行される場合に、その価値はもう既に失われているということで、担保として機能しないのではないかというような声が寄せられているというお話がございました。
先ほどの説明の中では、これは十二ページに、百残っているが借入金が百五十あるというような状況ということで御説明をいただきましたけれども、例えばスポンサー型の私的整理や民事再生、会社更生、債務者破綻時のときなどと比べてというような形で、またもう一段深く御説明をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →雇用契約上の雇用主の地位も担保の対象になる方が、事業から切り離されずに済むため、雇用が守られやすいということも確かにあろうかと思います。いずれにせよ、制度の趣旨ですとか類似の制度との整合性などについて、誤解のないように丁寧に周知をしていくことが重要だと感じております。
続いて、井上参考人にまた引き続き御質問いたします。
企業価値担保権の担保適格性について、先ほど資料の中でも御説明がございました。企業価値担保権は企業価値を担保とするものであって、不動産のように債務者が破綻しても価値が変わらない財産とは異なるため、債務者が破綻状態に陥り、担保権が実行される場合に、その価値はもう既に失われているということで、担保として機能しないのではないかというような声が寄せられているというお話がございました。
先ほどの説明の中では、これは十二ページに、百残っているが借入金が百五十あるというような状況ということで御説明をいただきましたけれども、例えばスポンサー型の私的整理や民事再生、会社更生、債務者破綻時のときなどと比べてというような形で、またもう一段深く御説明をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
井
井上聡#16
○井上参考人 御質問ありがとうございます。
まさに、現在、通常、私的整理あるいは民事再生などで事業再生型の手続が行われているのと非常に近い部分があるのではないかと考えておりまして、いわば、実質破綻をしても、そういった手続で現在もよみがえる企業というのがございます。
ということは、やはり、かなりの割合で事業価値が完全にゼロになっていない、借入金をきちんと取り分けて事業をスポンサーに譲渡すれば、なお価値がよみがえって、その対価というのを、倒産手続であれば極力平等弁済に充てるということですが、担保制度として、一定の穴を空けるにしても、担保権者がほかの金融債権者との関係では優位性を持って担保を取るということで機能するという場面があるのではないかというふうに先ほど申し上げたところでございます。
この発言だけを見る →まさに、現在、通常、私的整理あるいは民事再生などで事業再生型の手続が行われているのと非常に近い部分があるのではないかと考えておりまして、いわば、実質破綻をしても、そういった手続で現在もよみがえる企業というのがございます。
ということは、やはり、かなりの割合で事業価値が完全にゼロになっていない、借入金をきちんと取り分けて事業をスポンサーに譲渡すれば、なお価値がよみがえって、その対価というのを、倒産手続であれば極力平等弁済に充てるということですが、担保制度として、一定の穴を空けるにしても、担保権者がほかの金融債権者との関係では優位性を持って担保を取るということで機能するという場面があるのではないかというふうに先ほど申し上げたところでございます。
山
山田美樹#17
○山田(美)委員 ありがとうございます。
恐らく、時間的に次が井上参考人に最後の御質問になるかと思いますが、企業価値担保権の活用促進に向けた課題についてお伺いをいたします。
中小企業を始めとするビジネスサイドからの要請としましては、企業全体に対して担保権を設定するだけではなくて、事業単位で担保権を設定することができないか、そういうことが可能になればやりやすいんだけれどもというような御意見もあったというふうに伺っております。
今般の法案では、第三者保護の観点から、対抗要件を商業登記簿への登記としており、事業単位での担保権を設定するには分社化しなければいけないというような制度設計になっておりますけれども、こうした中小企業からのニーズに何らかの方法で将来的に対応が可能かどうか、お伺いをいたします。
この発言だけを見る →恐らく、時間的に次が井上参考人に最後の御質問になるかと思いますが、企業価値担保権の活用促進に向けた課題についてお伺いをいたします。
中小企業を始めとするビジネスサイドからの要請としましては、企業全体に対して担保権を設定するだけではなくて、事業単位で担保権を設定することができないか、そういうことが可能になればやりやすいんだけれどもというような御意見もあったというふうに伺っております。
今般の法案では、第三者保護の観点から、対抗要件を商業登記簿への登記としており、事業単位での担保権を設定するには分社化しなければいけないというような制度設計になっておりますけれども、こうした中小企業からのニーズに何らかの方法で将来的に対応が可能かどうか、お伺いをいたします。
井
井上聡#18
○井上参考人 ありがとうございます。
この点も随分議論した記憶がございますけれども、ニーズはあるかなとも思いますが、他方で、今まさに御指摘のように、対抗要件をどう備えるかとか、事業だけを単位にするとなかなか難しいところがほかにもございます。
現に、日本で倒産手続というのは、事業ごとには設けられておりません。その意味では、事業ごとに法人の中で切り分けて、様々なコストを優先劣後の関係に分けていくというのは容易なことではございませんので、なかなかすぐには難しい、非常に複雑な制度になりかねないと考えてはおります。
ただ、検討の余地はあろうかと思いますので、是非将来の課題としたいと思っております。よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →この点も随分議論した記憶がございますけれども、ニーズはあるかなとも思いますが、他方で、今まさに御指摘のように、対抗要件をどう備えるかとか、事業だけを単位にするとなかなか難しいところがほかにもございます。
現に、日本で倒産手続というのは、事業ごとには設けられておりません。その意味では、事業ごとに法人の中で切り分けて、様々なコストを優先劣後の関係に分けていくというのは容易なことではございませんので、なかなかすぐには難しい、非常に複雑な制度になりかねないと考えてはおります。
ただ、検討の余地はあろうかと思いますので、是非将来の課題としたいと思っております。よろしくお願いいたします。
山
山田美樹#19
○山田(美)委員 井上参考人への御質問は以上でございます。ありがとうございます。
続きまして、福留参考人に融資実務の観点から質問をさせていただきます。
まずは、新制度の活用の見込みについてお伺いをします。
米国、イギリスなどでは、かねてより研究開発や知的財産、データなどの無形資産への投資拡大を国家戦略として支援をしておって、無形資産投資が有形資産投資を上回ってきたという現実がございましたが、日本では依然として不動産担保、経営者保証に頼った融資が主流であろうかと思います。
今般の法案に盛り込まれましたこの企業価値担保権は、企業の無形資産に光を当てるということで、これまでにない画期的な制度でありまして、きらりと光るアイデアですとかノウハウを持つ事業者にとっては新たな資金調達の道が開かれるということで、期待をしている向きも非常に多いかと思います。
銀行業界として、企業価値担保権の活用の見込みをどのように御覧になっているでしょうか。また、業界として積極的に活用しようという御予定はありますでしょうか。お伺いします。
この発言だけを見る →続きまして、福留参考人に融資実務の観点から質問をさせていただきます。
まずは、新制度の活用の見込みについてお伺いをします。
米国、イギリスなどでは、かねてより研究開発や知的財産、データなどの無形資産への投資拡大を国家戦略として支援をしておって、無形資産投資が有形資産投資を上回ってきたという現実がございましたが、日本では依然として不動産担保、経営者保証に頼った融資が主流であろうかと思います。
今般の法案に盛り込まれましたこの企業価値担保権は、企業の無形資産に光を当てるということで、これまでにない画期的な制度でありまして、きらりと光るアイデアですとかノウハウを持つ事業者にとっては新たな資金調達の道が開かれるということで、期待をしている向きも非常に多いかと思います。
銀行業界として、企業価値担保権の活用の見込みをどのように御覧になっているでしょうか。また、業界として積極的に活用しようという御予定はありますでしょうか。お伺いします。
福
福留朗裕#20
○福留参考人 御質問ありがとうございます。
ちょっと冒頭申し上げたこととかぶりますけれども、銀行界としては、この制度は、事業者と金融機関双方にとって、資金の調達、供給手段の選択肢を広げるものとして大変有意義な制度だというふうに考えております。
これまでも、私どもの経営者保証ガイドラインに基づいて、経営者保証に依存しない事業性融資、一生懸命取り組んでまいりましたけれども、これを、今回の制度を活用することで、先ほど申しましたが、スタートアップのように、将来は有望で、事業は有望でも、財務基盤が未確立であったり、まだ脆弱であったりというところにも、これまでは無担保無保証では御融資が難しかった事業者に対して積極的に活用ができるような可能性が広がるということを期待しております。
以上でございます。
この発言だけを見る →ちょっと冒頭申し上げたこととかぶりますけれども、銀行界としては、この制度は、事業者と金融機関双方にとって、資金の調達、供給手段の選択肢を広げるものとして大変有意義な制度だというふうに考えております。
これまでも、私どもの経営者保証ガイドラインに基づいて、経営者保証に依存しない事業性融資、一生懸命取り組んでまいりましたけれども、これを、今回の制度を活用することで、先ほど申しましたが、スタートアップのように、将来は有望で、事業は有望でも、財務基盤が未確立であったり、まだ脆弱であったりというところにも、これまでは無担保無保証では御融資が難しかった事業者に対して積極的に活用ができるような可能性が広がるということを期待しております。
以上でございます。
山
福
福留朗裕#22
○福留参考人 やはり、先ほども申しましたけれども、どうやって担保を見るとか、どうやって評価するか、どうやって管理するかということを全部含めますと、やはり金融機関によっては、その対応能力は現時点ではまちまちだと思います。
なので、例えばメガバンクとか大手地銀さんはすぐに対応できるかもしれませんけれども、金融機関によっては、最初から体制を整えなきゃいけなかったり、人材を育てたり、あるいは育成したり、あるいは採用するということから始めなければいけませんので、具体的にどのくらいのスピードというのは申し上げられませんが、まちまちで、金融機関によっては相応の時間がかかるということも考えられるというふうには思っております。
この発言だけを見る →なので、例えばメガバンクとか大手地銀さんはすぐに対応できるかもしれませんけれども、金融機関によっては、最初から体制を整えなきゃいけなかったり、人材を育てたり、あるいは育成したり、あるいは採用するということから始めなければいけませんので、具体的にどのくらいのスピードというのは申し上げられませんが、まちまちで、金融機関によっては相応の時間がかかるということも考えられるというふうには思っております。
山
山田美樹#23
○山田(美)委員 非常に誠実なお答え、ありがとうございます。
次に、新制度のメリットと金融機関の支援の内容についてお伺いをいたします。
先ほど、御意見の陳述の中で、企業価値担保権の活用が期待される場面として、スタートアップと事業承継を例として挙げられました。スタートアップについては、新制度によってエクイティー以外の資金調達の道が開かれるということは極めて重要だと思いますし、また、事業承継では、親族外承継が増加している中で、経営者保証によらない承継資金の調達を期待する声は本当に大きいと伺っております。
こうしたケースで、銀行を始めとする金融機関は、借り手である事業者に対して伴走支援それから経営改善支援などを強化されると予想されますけれども、具体的にはどのような支援を行っていくつもりでいらっしゃるか、お伺いします。
この発言だけを見る →次に、新制度のメリットと金融機関の支援の内容についてお伺いをいたします。
先ほど、御意見の陳述の中で、企業価値担保権の活用が期待される場面として、スタートアップと事業承継を例として挙げられました。スタートアップについては、新制度によってエクイティー以外の資金調達の道が開かれるということは極めて重要だと思いますし、また、事業承継では、親族外承継が増加している中で、経営者保証によらない承継資金の調達を期待する声は本当に大きいと伺っております。
こうしたケースで、銀行を始めとする金融機関は、借り手である事業者に対して伴走支援それから経営改善支援などを強化されると予想されますけれども、具体的にはどのような支援を行っていくつもりでいらっしゃるか、お伺いします。
福
福留朗裕#24
○福留参考人 御質問ありがとうございます。
これも繰り返しになっちゃいますけれども、具体的に想定される事業者としては、スタートアップのように、先行投資を積極的に行う一方で有形資産に乏しいケースが多く、このような担保権を設定することによって、事業の優位性や成長性を適切に融資判断に織り込めるようになることが期待されています。
あとは、この担保を活用することで、例えば、思い切った事業展開や事業承継を後押しする場面においても、経営者保証をいただかなくて済むケースがございます。そういうケースが増えていくのではないかというふうに思っています。
あと、具体的な伴走支援の内容につきましては、金融面のサポートはもちろんのことですけれども、例えばコンサルティングですとか、業容拡大に向けたビジネスマッチングですね、お客様同士を紹介する、あるいは人材の紹介、あるいはDXの導入支援など、非金融サービスも含めて、これは会員各行が創意工夫の上、提供していくものというふうに考えております。
この発言だけを見る →これも繰り返しになっちゃいますけれども、具体的に想定される事業者としては、スタートアップのように、先行投資を積極的に行う一方で有形資産に乏しいケースが多く、このような担保権を設定することによって、事業の優位性や成長性を適切に融資判断に織り込めるようになることが期待されています。
あとは、この担保を活用することで、例えば、思い切った事業展開や事業承継を後押しする場面においても、経営者保証をいただかなくて済むケースがございます。そういうケースが増えていくのではないかというふうに思っています。
あと、具体的な伴走支援の内容につきましては、金融面のサポートはもちろんのことですけれども、例えばコンサルティングですとか、業容拡大に向けたビジネスマッチングですね、お客様同士を紹介する、あるいは人材の紹介、あるいはDXの導入支援など、非金融サービスも含めて、これは会員各行が創意工夫の上、提供していくものというふうに考えております。
山
山田美樹#25
○山田(美)委員 かなり具体的にいろいろと御説明くださり、ありがとうございます。
やはり、新制度普及に当たって、融資をする側、される側の双方に、どのような場合にどの程度の規模感で資金調達していただけるのかというような、この具体的なイメージを示していくことが重要だと思いますので、是非そうした観点から新制度の周知を進めて、成功事例を積み上げていっていただければと思います。
そして、御説明の中にもありました目利き力についてお伺いをしたいんですけれども、現状で、企業価値を適切に評価するための目利き力が銀行界にどの程度あるというふうにお考えかをお伺いしたいと思います。
先ほど、各金融機関さんによって取組状況はまちまちだというお話もございましたけれども、既に取組を行っていらっしゃる方のところでどのようなことをやっていらっしゃるか、個別行の取組でも構いませんので、御紹介いただければと思います。いかがでしょうか。
この発言だけを見る →やはり、新制度普及に当たって、融資をする側、される側の双方に、どのような場合にどの程度の規模感で資金調達していただけるのかというような、この具体的なイメージを示していくことが重要だと思いますので、是非そうした観点から新制度の周知を進めて、成功事例を積み上げていっていただければと思います。
そして、御説明の中にもありました目利き力についてお伺いをしたいんですけれども、現状で、企業価値を適切に評価するための目利き力が銀行界にどの程度あるというふうにお考えかをお伺いしたいと思います。
先ほど、各金融機関さんによって取組状況はまちまちだというお話もございましたけれども、既に取組を行っていらっしゃる方のところでどのようなことをやっていらっしゃるか、個別行の取組でも構いませんので、御紹介いただければと思います。いかがでしょうか。
福
福留朗裕#26
○福留参考人 御質問ありがとうございます。
まさに、先ほど馬渕参考人の資料にも同じものがあったんですけれども、目利き力というのは金融仲介機能の源泉でございますので、そもそも、私ども、一生懸命これを磨き上げる努力をしてまいりました。例えば、地域金融機関においても、地域密着型のビジネスの特性を生かして、独自の、お客様と深い関係を構築することで目利き力を高めてきたものというふうに認識しております。
現時点で、先ほども申し上げましたように、リソースあるいは知見がまちまちで、業界全体としてみんなが目利き力を有しているかどうかは一概に言えませんけれども、一つは、本法案に織り込まれております認定事業性融資推進支援機関を活用して、時間はかかるかもしれませんが、体制整備に取り組んでいく必要があると思っています。
具体的な目利き力強化の取組については、例えば三井住友銀行では、まず、若手行員に向けた融資に関する体系的な研修制度を整えておりまして、営業店担当者の能力向上に長期的に努めております。それに加えまして、例えばスタートアップとか事業再生とかLBOなど、様々な分野に対応した専門の部隊を、これは特化した専門部隊を本部に配置しておりまして、彼らが営業店をサポートすることで銀行全体の組織として目利き力を発揮できる、そういう体制を整えております。
もう一つ、目利き力を向上させるためには、このような継続的な努力も必要ですけれども、一番重要なのはお客様とのコミュニケーションをしっかり取ることで、例えば営業現場に出向くとか工場に足を運ぶとか、そういうことでお客様のことをよく知って、そして、お客様のために何ができるかということを考え抜くということが一番大事だと思っています。
私、トヨタ自動車に在籍していたことがございます。そこで学んだことでもございますけれども、銀行員にとってもまさに現地現物が一番大事である、それが目利き力につながるというふうにも考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →まさに、先ほど馬渕参考人の資料にも同じものがあったんですけれども、目利き力というのは金融仲介機能の源泉でございますので、そもそも、私ども、一生懸命これを磨き上げる努力をしてまいりました。例えば、地域金融機関においても、地域密着型のビジネスの特性を生かして、独自の、お客様と深い関係を構築することで目利き力を高めてきたものというふうに認識しております。
現時点で、先ほども申し上げましたように、リソースあるいは知見がまちまちで、業界全体としてみんなが目利き力を有しているかどうかは一概に言えませんけれども、一つは、本法案に織り込まれております認定事業性融資推進支援機関を活用して、時間はかかるかもしれませんが、体制整備に取り組んでいく必要があると思っています。
具体的な目利き力強化の取組については、例えば三井住友銀行では、まず、若手行員に向けた融資に関する体系的な研修制度を整えておりまして、営業店担当者の能力向上に長期的に努めております。それに加えまして、例えばスタートアップとか事業再生とかLBOなど、様々な分野に対応した専門の部隊を、これは特化した専門部隊を本部に配置しておりまして、彼らが営業店をサポートすることで銀行全体の組織として目利き力を発揮できる、そういう体制を整えております。
もう一つ、目利き力を向上させるためには、このような継続的な努力も必要ですけれども、一番重要なのはお客様とのコミュニケーションをしっかり取ることで、例えば営業現場に出向くとか工場に足を運ぶとか、そういうことでお客様のことをよく知って、そして、お客様のために何ができるかということを考え抜くということが一番大事だと思っています。
私、トヨタ自動車に在籍していたことがございます。そこで学んだことでもございますけれども、銀行員にとってもまさに現地現物が一番大事である、それが目利き力につながるというふうにも考えております。
以上でございます。
山
山田美樹#27
○山田(美)委員 非常に含蓄深いお言葉をいただきました。ありがとうございます。
時間的に最後の質問になろうかと思います。
企業価値担保権、総財産を担保に取る非常に強大な権利であるため、その貸し手が企業にリストラを迫るようなことが起きないかといったような不安の声もお伺いしたりしております。
先ほど井上参考人の方から、こうした貸し手の権利が強くなり過ぎないために、設定者の経営の自由度を確保するために、例えば停止条件付の経営者保証ですとか、極度額設定請求権ですとか、設定者による元本確定請求など、制度上の仕組みというところについては御説明をいただきましたけれども、併せて、銀行さんの立場から、貸し手としての優越的地位を濫用するおそれがないかどうかというところをお伺いできればと思います。
この発言だけを見る →時間的に最後の質問になろうかと思います。
企業価値担保権、総財産を担保に取る非常に強大な権利であるため、その貸し手が企業にリストラを迫るようなことが起きないかといったような不安の声もお伺いしたりしております。
先ほど井上参考人の方から、こうした貸し手の権利が強くなり過ぎないために、設定者の経営の自由度を確保するために、例えば停止条件付の経営者保証ですとか、極度額設定請求権ですとか、設定者による元本確定請求など、制度上の仕組みというところについては御説明をいただきましたけれども、併せて、銀行さんの立場から、貸し手としての優越的地位を濫用するおそれがないかどうかというところをお伺いできればと思います。
福
福留朗裕#28
○福留参考人 ありがとうございます。
御懸念の点としては、こうした本制度の趣旨から外れて、担保を設定していることを背景に、与信者が、銀行側が事業者に対して無理なリストラを迫るというような、優越的な地位の濫用を行うのではないかということだと思います。
しかしながら、これは本担保に限定された話ではなくて、優越的地位の濫用というのは、これまでも、各金融機関においては、基本的な考え方の浸透、そして行内ルールの整備を進め、その防止に努めてきているものと理解しております。
銀行としても、引き続き優越的地位の濫用防止に向けた取組を徹底していくとともに、本担保制度がその趣旨に沿って適切に適用されるように、あるいは運用されるように、業界内での周知と啓発に全銀協としても取り組んでまいります。
以上でございます。
この発言だけを見る →御懸念の点としては、こうした本制度の趣旨から外れて、担保を設定していることを背景に、与信者が、銀行側が事業者に対して無理なリストラを迫るというような、優越的な地位の濫用を行うのではないかということだと思います。
しかしながら、これは本担保に限定された話ではなくて、優越的地位の濫用というのは、これまでも、各金融機関においては、基本的な考え方の浸透、そして行内ルールの整備を進め、その防止に努めてきているものと理解しております。
銀行としても、引き続き優越的地位の濫用防止に向けた取組を徹底していくとともに、本担保制度がその趣旨に沿って適切に適用されるように、あるいは運用されるように、業界内での周知と啓発に全銀協としても取り組んでまいります。
以上でございます。
山