財政金融委員会
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会
会議録情報#0
令和六年五月三十日(木曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
松川 るい君 松山 政司君
松沢 成文君 浅田 均君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 足立 敏之君
理 事
白坂 亜紀君
西田 昌司君
山田 太郎君
熊谷 裕人君
若松 謙維君
委 員
大家 敏志君
櫻井 充君
進藤金日子君
野上浩太郎君
古川 俊治君
松山 政司君
宮沢 洋一君
勝部 賢志君
柴 愼一君
竹内 真二君
矢倉 克夫君
浅田 均君
柳ヶ瀬裕文君
大塚 耕平君
小池 晃君
大野 泰正君
神谷 宗幣君
堂込麻紀子君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
参考人
長島・大野・常
松法律事務所
弁護士 井上 聡君
日本労働弁護団
事務局長 竹村 和也君
─────────────
本日の会議に付した案件
○事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
松川 るい君 松山 政司君
松沢 成文君 浅田 均君
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出席者は左のとおり。
委員長 足立 敏之君
理 事
白坂 亜紀君
西田 昌司君
山田 太郎君
熊谷 裕人君
若松 謙維君
委 員
大家 敏志君
櫻井 充君
進藤金日子君
野上浩太郎君
古川 俊治君
松山 政司君
宮沢 洋一君
勝部 賢志君
柴 愼一君
竹内 真二君
矢倉 克夫君
浅田 均君
柳ヶ瀬裕文君
大塚 耕平君
小池 晃君
大野 泰正君
神谷 宗幣君
堂込麻紀子君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
参考人
長島・大野・常
松法律事務所
弁護士 井上 聡君
日本労働弁護団
事務局長 竹村 和也君
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本日の会議に付した案件
○事業性融資の推進等に関する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
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足
足立敏之#1
○委員長(足立敏之君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、松沢成文君及び松川るい君が委員を辞任され、その補欠として浅田均君及び松山政司君が選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、松沢成文君及び松川るい君が委員を辞任され、その補欠として浅田均君及び松山政司君が選任されました。
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足
足立敏之#2
○委員長(足立敏之君) 事業性融資の推進等に関する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、長島・大野・常松法律事務所・弁護士井上聡君及び日本労働弁護団事務局長竹村和也君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、井上参考人、竹村参考人の順にお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず井上参考人にお願いをいたします。井上参考人。
この発言だけを見る →本日は、本案の審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、長島・大野・常松法律事務所・弁護士井上聡君及び日本労働弁護団事務局長竹村和也君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、井上参考人、竹村参考人の順にお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず井上参考人にお願いをいたします。井上参考人。
井
井上聡#3
○参考人(井上聡君) 皆さん、こんにちは。本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
実は、先日も、企業価値担保について衆議院の財務金融委員会で参考人として議員の先生方の前でお話し申し上げる機会がございました。大変光栄なことではありましたけれども、正直なところ、緊張の余り訳が分からないうちに終わってしまったという印象でございます。ですので、せっかく機会をいただきましたから、本日は少し落ち着いてお話をしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、早速私の意見を申し述べます。
まず、現状の課題についてです。配付いただいている資料の三ページを御覧ください。
資金を借りようとする成長企業から見ますと、業容の拡大中は売上げよりも先に支出が増加しますので、資金需要は大きいと言えます。しかし、安定した換価価値を見込める不動産を持っていない場合、こういう場合は資金需要に見合った融資を受けられないという課題がございます。
これに対して、こういった成長企業に貸そうとする金融機関側からしますと、成長企業は業容拡大中ですので、将来の収益性には期待できます。しかし、事業の将来キャッシュフローを見込んで無担保で貸すというにはリスクが大きいと感じるところです。
次に、四ページ、成長企業と違って成熟した企業についてです。
日本にはオーナー経営者が高齢化した中小企業はたくさんあります。そうした企業は成熟企業ですので、事業収益は安定しています。しかし、家族が誰も経営を継がないというような場合、番頭さん役を務めるような従業員出身の役員に新経営者になってもらいたいというわけです。しかし、オーナーでない役員に経営者保証を入れてもらうのは難しいということがあって、何とかして経営者保証なしで融資を継続してほしいという事情があります。
これに対して、成熟した中小企業に貸している金融機関側からしますと、事業収益が安定しているとしても、オーナー経営者から非オーナーへの経営の引継ぎというのは、これはビッグイベントです。貸し手としては、そのようなビッグイベントに当たり、新たな担保を取らず経営者保証も外して融資を継続するということは不安が残るということになります。
次、五ページです。
これは、中小企業融資とは異なり、大規模なプロジェクトファイナンスあるいはLBO、すなわち企業買収ファイナンスの調達側からの課題です。
この手の大規模ファイナンスは、現在においても、個別資産の担保を積み上げて、もうほぼ全資産を担保として行われております。ただ、個別資産担保の積み上げ方式による全資産担保というのは、一つ一つ契約を締結して対抗要件を備えるという必要があって、手間と費用が掛かり、その負担の多くは債務者に帰せられるという問題があります。
他方で、プロジェクトファイナンス、LBOファイナンスの金融機関側からしますと、この分野では、実務上、担保を実行する事態にはまずならないと言えますけれども、万が一のときに実行できるからこそ交渉力を確保できるという面があります。
しかし、通常、個別資産価値の総和よりも事業価値、のれんなどを含む事業価値の方が大きい、生きている企業であれば普通はそうですから、個別資産担保をばらばらに実行しても事業価値全体を実現できるかというと疑問があります。その結果、万一債務者に法的倒産手続が始まるようなことになってしまうと、期待どおりの担保価値評価を得られないおそれがあるという問題があります。
こういった問題、課題に関して、六ページにありますように、比較的古くから事業価値に着目した担保制度について検討がなされてきました。早いところでは二〇〇〇年代初頭に金融法学会や経産省の研究会などで検討がなされまして、ここの①や②にありますように、その成果が公表されております。
ただ、その後、債権法改正という大きなイベントがあって、そちらに法改正のエネルギーがややシフトしたということもありまして検討がスローダウンして、その後、少し間を空けて二〇一八年、一九年くらいから再び活発に議論がなされるようになり、ここにありますように、③以下、中小企業庁、金融庁、法制審、金融審といったところで事業価値に着目した担保制度の検討がなされておりまして、ここに示されたような形で検討結果が公表されています。
私はこの④から⑦のそれぞれの委員あるいはメンバーとして議論に参加してまいりました。この⑦の金融審議会のワーキンググループ、あるいは⑥の法制審議会の部会などでの検討結果を受けて今回法案として提出されたのが企業価値担保だと理解しております。
それでは次に、その企業価値担保の利用価値ないし意義について四点申し上げたいと思います。
一点目、八ページにありますように、まず何を担保に取っているのかということですけれども、これは総財産、それも将来財産、将来取得する財産も含むということで、非常に包括的な担保ということになります。
その一方で、債務者に広い処分権限が認められていますので、通常の事業過程で処分されたり消費されたりしたものがどんどん担保からは外れていくことになります。それに加えて、この法案では、事業全体をまとめて換価処分すると、そういう実行手続が用意されています。
これらの結果、担保権者は全財産といっても事業活動の中で次々と入れ替わっていくものをつかまえているということになりまして、そうすると、個別資産価値の総和ではなくて、先ほど申し上げたように、それよりも大きな、のれんを含む債務者の企業価値を把握すると、そういう制度設計になっています。
したがいまして、債務者の企業価値を守るということが担保権者がつかまえているものを守る、すなわち担保権者の利益になるということになるわけですけれども、それと同時に、企業価値を守るということが債務者の事業の継続に役に立つと、それとともに労働者の雇用の維持にも資するということになり、また取引相手である取引債権者を守るということになるわけでして、ここにこの担保の最大の眼目があると理解しております。すなわち、利害関係人の間でウィン・ウィンの関係をつくるということになろうかと思います。
二点目、この担保は担保権者に包括的な優先権を与えるものです。ただ、それには二つの大きな穴が空いています。
一つ目の穴、企業価値担保の実行が開始されても、共益費用とか労働債権とかいったものは企業価値担保に優先して順次支払われていくということになっています。また、裁判所の許可を得て商取引債権が取引相手に支払われるということになります。
なぜ担保権者を差しおいてこれらの無担保債権者の方々に支払がなされるのか。それは、その支払によって企業価値が維持され、企業価値担保権者にもプラスになるからです。すなわち、この一つ目の穴が先ほど申し上げたウィン・ウィンの関係をつくるための非常に重要な穴でございまして、包括的な担保に大きな一つの穴を空けているということになります。
二つ目の穴、これは、企業価値担保の実行による事業譲渡代金のうち、全額が貸し手に支払われるのではなくて、一定額が債務者の清算手続又は破産手続を通じて残存する無担保債権者に支払われるという仕組みになっています。
ただ、この二つ目の穴というのは、企業価値担保を実行して労働者や取引関係を含めて事業を譲渡先に譲渡した後に、その代金として言わば空っぽになった債務者が受け取ったお金をどう分けるかという話になりますので、この穴は企業価値を維持することに役立つというわけではなくて、むしろ担保権者と無担保債権者との取り合いの問題、すなわちゼロサムの穴ということになります。ですので、この二つ目の穴を大きくしますと、無担保権の価値が減じられてしまいまして、言わば当初に貸せる額が減ってしまうということにつながります。
ですので、私自身は、利害関係者の利害の調整のためには一つ目の穴を有効に活用するということが重要であって、二つ目の穴を大きくしないことがむしろ必要ではないかというふうに考えております。
三点目、九ページになります。対抗要件の具備については、債務者の商業登記簿への登記だけで足りるという、非常に簡便かつ廉価な制度が用意されておりまして、不動産登記や特許登録などは要らないことになっています。
私個人の意見としては、この債務者が所有する不動産の不動産登記簿や債務者が保有する特許の特許権登録簿などを閲覧した人にも、この権利者が企業価値担保を設定している会社だということが分かるように、その権利者欄に、債務者が企業価値担保設定済会社だよということを示すような何か、アスタリスクとか米印とかですね、そういったフラッグを商業登記に連動させて自動的に立てられないかなということは考えております。これは今回法案の中に入っておりませんけれども、デジタル立国などと言われているわけですから、今後の課題として是非御検討いただければと思います。
四点目、債務者の経営権の確保です。企業価値担保は包括的な担保ではありますけれども、担保設定後も、債務者の通常の事業運営には制約がありません。その点で、事業者の経営の自由が通常の事業の範囲であれば確保されています。
次に、経営者保証が原則禁止されますので、事業者が金融機関に首根っこを押さえられるという事態をある程度回避できるような仕組みが導入されています。
また、企業価値担保を設定したのに思ったほど金融機関がお金を貸してくれないというようなときには、債務者には極度額設定請求権あるいは元本確定請求権が与えられていますので、他の金融機関と交渉して後順位担保を設定して追加のお金を借りたり、あるいは借換えをして今の借入金を返済して取引先金融機関を変更するというようなことがやりやすくなっております。
以上の仕組み、特徴を踏まえまして、最後に、企業価値担保について、よくある疑問として七点申し述べたいと思います。十一ページになります。
一点目、包括的な担保によって労働者の権利が害されるのではないかという点については、もう申し上げましたけれども、もう雇用契約上の雇用主の地位も担保の対象になる方が、労働者が事業から切り離されずに済むために、雇用がむしろ守られやすいのではないかと考えております。
二点目、担保権者が債務者企業の価値を根こそぎ把握してしまい、労働者、取引相手、その他の一般債権者の利益が害されるのではないかという点については、これも申し上げましたとおり、全資産が確かに対象になっているわけですけれども、優先性に穴を空ければよいのではないか。まあ二つ穴が空いているわけですが、先ほど申し上げたように一つ目の穴が重要だと考えております。
三点目、広範かつ強大な担保であって、担保権者が債務者に対して圧倒的な地位に立つことによって、債務者、事業者ですね、の経営権が害されるのではないかという点については、これ、確かに広範な担保です。しかし、だから強大とは限らない。すなわち、申し上げましたとおり、債務者には通常の事業運営権限がそのまま残りますし、元本確定請求権あるいは極度額設定請求権といった対抗手段がありますので、経営者保証が原則禁止されて首根っこを押さえられにくいということとも相まって、一定の配慮、措置がなされているというふうには言えると思います。
四点目、これでニューマネーが出るのかと。実際この担保を導入すると融資が変わるのかという点については、必ずしも私が正しく予想できるわけではないかもしれませんが、取引銀行がニューマネーを出してくれなければ、先ほど申し上げたように、ほかの貸し手に乗り換えるというための対抗手段というのがあります。
あとは、担保制度の外の問題ではございますけれども、金融機関の間に適正、公正な競争環境が整っていれば、これは担保制度の外の問題ですが、先ほど申し上げたようなリファイナンスのための機会、あるいは後順位担保権者の参入といったことを促進することによって問題を回避できるということがあり得るのではないかと考えております。
次、五点目になります。十二ページを御覧ください。不動産と異なって企業価値の評価が難しいので使い勝手が悪いのではないかという疑問、これについては、確かに不動産に比べれば企業評価というのは難しいと思います。
しかし、今問題にしているのは、不動産が抵当権に入っていないまま真っ更で残っていて、それを担保に入れてお金がじゃんじゃん借りられるという企業の話ではなくて、そういった不動産を持っていない成長企業あるいは成熟企業といったところにどうお金を回していくのかということですので、そういう企業に対してその返済能力を評価して担保を取らずに無担保で貸すという場合はもっと難しい企業評価が必要になるわけですし、仮に無担保で貸したら、企業評価を一生懸命やったとしても、その後のほかの債権者と案分で弁済を受けなければいけないということで、力を、手を掛けた分だけの見返りが得られない融資になってしまうのに比べますと、難しいとはいっても、無担保のときに企業評価をするのと同じように企業評価をして、あるいはMアンドAのときに企業評価をしているのと同じように企業評価をした上でその評価に見合った融資をして、その手を掛けた分だけほかの貸し手を排除して、ほかの金融機関よりも優先的に自分が回収を確保するというリターンが得られれば、なお担保として機能する可能性があるのではないかというふうに考えております。
六点目、債務者の破綻時にはその企業価値が失われて担保として機能しないのではないかという疑問です。これについては、破綻時の債務者は企業価値がゼロになったということではなくて、百残っているけれども借入金が百五十あるという状態だと考えております。だとすれば、この借入金百五十を切り離して、この百の価値のある事業を生かしたまま百で売却して、その代金百を百五十の債権者で案分するのではなくて、この企業価値担保権者が優先して百を取れるということになれば、担保として十分機能するのではないかというふうに思います。
最後、七点目になります。企業価値担保の実行管財人は担保権者の利益のみを考慮するのではないかという心配、この点については、実行管財人は、今回の法案によれば、全ての利害関係人に対して善管注意義務を負うということになっておりまして、実際にも恐らく倒産実務を現在担っているような弁護士がこの実行管財人として企業価値担保の実行を担うのだろうということが予想されます。
そうだとしますと、ほかの担保、特にその譲渡担保などの私的実行が許されている現在の担保との比較で、あるいは抵当権などよく使われている担保の比較でいえば、むしろこの担保の実行プロセスにおいては、債権者あるいは担保権者の思うどおりにはならずに、適正な実行が裁判所の管理の下に管財人という第三者的な立場を持つ人によって実行されるという可能性がむしろ高いのではないかというふうにも思われます。
私の意見は以上です。御清聴どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →実は、先日も、企業価値担保について衆議院の財務金融委員会で参考人として議員の先生方の前でお話し申し上げる機会がございました。大変光栄なことではありましたけれども、正直なところ、緊張の余り訳が分からないうちに終わってしまったという印象でございます。ですので、せっかく機会をいただきましたから、本日は少し落ち着いてお話をしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、早速私の意見を申し述べます。
まず、現状の課題についてです。配付いただいている資料の三ページを御覧ください。
資金を借りようとする成長企業から見ますと、業容の拡大中は売上げよりも先に支出が増加しますので、資金需要は大きいと言えます。しかし、安定した換価価値を見込める不動産を持っていない場合、こういう場合は資金需要に見合った融資を受けられないという課題がございます。
これに対して、こういった成長企業に貸そうとする金融機関側からしますと、成長企業は業容拡大中ですので、将来の収益性には期待できます。しかし、事業の将来キャッシュフローを見込んで無担保で貸すというにはリスクが大きいと感じるところです。
次に、四ページ、成長企業と違って成熟した企業についてです。
日本にはオーナー経営者が高齢化した中小企業はたくさんあります。そうした企業は成熟企業ですので、事業収益は安定しています。しかし、家族が誰も経営を継がないというような場合、番頭さん役を務めるような従業員出身の役員に新経営者になってもらいたいというわけです。しかし、オーナーでない役員に経営者保証を入れてもらうのは難しいということがあって、何とかして経営者保証なしで融資を継続してほしいという事情があります。
これに対して、成熟した中小企業に貸している金融機関側からしますと、事業収益が安定しているとしても、オーナー経営者から非オーナーへの経営の引継ぎというのは、これはビッグイベントです。貸し手としては、そのようなビッグイベントに当たり、新たな担保を取らず経営者保証も外して融資を継続するということは不安が残るということになります。
次、五ページです。
これは、中小企業融資とは異なり、大規模なプロジェクトファイナンスあるいはLBO、すなわち企業買収ファイナンスの調達側からの課題です。
この手の大規模ファイナンスは、現在においても、個別資産の担保を積み上げて、もうほぼ全資産を担保として行われております。ただ、個別資産担保の積み上げ方式による全資産担保というのは、一つ一つ契約を締結して対抗要件を備えるという必要があって、手間と費用が掛かり、その負担の多くは債務者に帰せられるという問題があります。
他方で、プロジェクトファイナンス、LBOファイナンスの金融機関側からしますと、この分野では、実務上、担保を実行する事態にはまずならないと言えますけれども、万が一のときに実行できるからこそ交渉力を確保できるという面があります。
しかし、通常、個別資産価値の総和よりも事業価値、のれんなどを含む事業価値の方が大きい、生きている企業であれば普通はそうですから、個別資産担保をばらばらに実行しても事業価値全体を実現できるかというと疑問があります。その結果、万一債務者に法的倒産手続が始まるようなことになってしまうと、期待どおりの担保価値評価を得られないおそれがあるという問題があります。
こういった問題、課題に関して、六ページにありますように、比較的古くから事業価値に着目した担保制度について検討がなされてきました。早いところでは二〇〇〇年代初頭に金融法学会や経産省の研究会などで検討がなされまして、ここの①や②にありますように、その成果が公表されております。
ただ、その後、債権法改正という大きなイベントがあって、そちらに法改正のエネルギーがややシフトしたということもありまして検討がスローダウンして、その後、少し間を空けて二〇一八年、一九年くらいから再び活発に議論がなされるようになり、ここにありますように、③以下、中小企業庁、金融庁、法制審、金融審といったところで事業価値に着目した担保制度の検討がなされておりまして、ここに示されたような形で検討結果が公表されています。
私はこの④から⑦のそれぞれの委員あるいはメンバーとして議論に参加してまいりました。この⑦の金融審議会のワーキンググループ、あるいは⑥の法制審議会の部会などでの検討結果を受けて今回法案として提出されたのが企業価値担保だと理解しております。
それでは次に、その企業価値担保の利用価値ないし意義について四点申し上げたいと思います。
一点目、八ページにありますように、まず何を担保に取っているのかということですけれども、これは総財産、それも将来財産、将来取得する財産も含むということで、非常に包括的な担保ということになります。
その一方で、債務者に広い処分権限が認められていますので、通常の事業過程で処分されたり消費されたりしたものがどんどん担保からは外れていくことになります。それに加えて、この法案では、事業全体をまとめて換価処分すると、そういう実行手続が用意されています。
これらの結果、担保権者は全財産といっても事業活動の中で次々と入れ替わっていくものをつかまえているということになりまして、そうすると、個別資産価値の総和ではなくて、先ほど申し上げたように、それよりも大きな、のれんを含む債務者の企業価値を把握すると、そういう制度設計になっています。
したがいまして、債務者の企業価値を守るということが担保権者がつかまえているものを守る、すなわち担保権者の利益になるということになるわけですけれども、それと同時に、企業価値を守るということが債務者の事業の継続に役に立つと、それとともに労働者の雇用の維持にも資するということになり、また取引相手である取引債権者を守るということになるわけでして、ここにこの担保の最大の眼目があると理解しております。すなわち、利害関係人の間でウィン・ウィンの関係をつくるということになろうかと思います。
二点目、この担保は担保権者に包括的な優先権を与えるものです。ただ、それには二つの大きな穴が空いています。
一つ目の穴、企業価値担保の実行が開始されても、共益費用とか労働債権とかいったものは企業価値担保に優先して順次支払われていくということになっています。また、裁判所の許可を得て商取引債権が取引相手に支払われるということになります。
なぜ担保権者を差しおいてこれらの無担保債権者の方々に支払がなされるのか。それは、その支払によって企業価値が維持され、企業価値担保権者にもプラスになるからです。すなわち、この一つ目の穴が先ほど申し上げたウィン・ウィンの関係をつくるための非常に重要な穴でございまして、包括的な担保に大きな一つの穴を空けているということになります。
二つ目の穴、これは、企業価値担保の実行による事業譲渡代金のうち、全額が貸し手に支払われるのではなくて、一定額が債務者の清算手続又は破産手続を通じて残存する無担保債権者に支払われるという仕組みになっています。
ただ、この二つ目の穴というのは、企業価値担保を実行して労働者や取引関係を含めて事業を譲渡先に譲渡した後に、その代金として言わば空っぽになった債務者が受け取ったお金をどう分けるかという話になりますので、この穴は企業価値を維持することに役立つというわけではなくて、むしろ担保権者と無担保債権者との取り合いの問題、すなわちゼロサムの穴ということになります。ですので、この二つ目の穴を大きくしますと、無担保権の価値が減じられてしまいまして、言わば当初に貸せる額が減ってしまうということにつながります。
ですので、私自身は、利害関係者の利害の調整のためには一つ目の穴を有効に活用するということが重要であって、二つ目の穴を大きくしないことがむしろ必要ではないかというふうに考えております。
三点目、九ページになります。対抗要件の具備については、債務者の商業登記簿への登記だけで足りるという、非常に簡便かつ廉価な制度が用意されておりまして、不動産登記や特許登録などは要らないことになっています。
私個人の意見としては、この債務者が所有する不動産の不動産登記簿や債務者が保有する特許の特許権登録簿などを閲覧した人にも、この権利者が企業価値担保を設定している会社だということが分かるように、その権利者欄に、債務者が企業価値担保設定済会社だよということを示すような何か、アスタリスクとか米印とかですね、そういったフラッグを商業登記に連動させて自動的に立てられないかなということは考えております。これは今回法案の中に入っておりませんけれども、デジタル立国などと言われているわけですから、今後の課題として是非御検討いただければと思います。
四点目、債務者の経営権の確保です。企業価値担保は包括的な担保ではありますけれども、担保設定後も、債務者の通常の事業運営には制約がありません。その点で、事業者の経営の自由が通常の事業の範囲であれば確保されています。
次に、経営者保証が原則禁止されますので、事業者が金融機関に首根っこを押さえられるという事態をある程度回避できるような仕組みが導入されています。
また、企業価値担保を設定したのに思ったほど金融機関がお金を貸してくれないというようなときには、債務者には極度額設定請求権あるいは元本確定請求権が与えられていますので、他の金融機関と交渉して後順位担保を設定して追加のお金を借りたり、あるいは借換えをして今の借入金を返済して取引先金融機関を変更するというようなことがやりやすくなっております。
以上の仕組み、特徴を踏まえまして、最後に、企業価値担保について、よくある疑問として七点申し述べたいと思います。十一ページになります。
一点目、包括的な担保によって労働者の権利が害されるのではないかという点については、もう申し上げましたけれども、もう雇用契約上の雇用主の地位も担保の対象になる方が、労働者が事業から切り離されずに済むために、雇用がむしろ守られやすいのではないかと考えております。
二点目、担保権者が債務者企業の価値を根こそぎ把握してしまい、労働者、取引相手、その他の一般債権者の利益が害されるのではないかという点については、これも申し上げましたとおり、全資産が確かに対象になっているわけですけれども、優先性に穴を空ければよいのではないか。まあ二つ穴が空いているわけですが、先ほど申し上げたように一つ目の穴が重要だと考えております。
三点目、広範かつ強大な担保であって、担保権者が債務者に対して圧倒的な地位に立つことによって、債務者、事業者ですね、の経営権が害されるのではないかという点については、これ、確かに広範な担保です。しかし、だから強大とは限らない。すなわち、申し上げましたとおり、債務者には通常の事業運営権限がそのまま残りますし、元本確定請求権あるいは極度額設定請求権といった対抗手段がありますので、経営者保証が原則禁止されて首根っこを押さえられにくいということとも相まって、一定の配慮、措置がなされているというふうには言えると思います。
四点目、これでニューマネーが出るのかと。実際この担保を導入すると融資が変わるのかという点については、必ずしも私が正しく予想できるわけではないかもしれませんが、取引銀行がニューマネーを出してくれなければ、先ほど申し上げたように、ほかの貸し手に乗り換えるというための対抗手段というのがあります。
あとは、担保制度の外の問題ではございますけれども、金融機関の間に適正、公正な競争環境が整っていれば、これは担保制度の外の問題ですが、先ほど申し上げたようなリファイナンスのための機会、あるいは後順位担保権者の参入といったことを促進することによって問題を回避できるということがあり得るのではないかと考えております。
次、五点目になります。十二ページを御覧ください。不動産と異なって企業価値の評価が難しいので使い勝手が悪いのではないかという疑問、これについては、確かに不動産に比べれば企業評価というのは難しいと思います。
しかし、今問題にしているのは、不動産が抵当権に入っていないまま真っ更で残っていて、それを担保に入れてお金がじゃんじゃん借りられるという企業の話ではなくて、そういった不動産を持っていない成長企業あるいは成熟企業といったところにどうお金を回していくのかということですので、そういう企業に対してその返済能力を評価して担保を取らずに無担保で貸すという場合はもっと難しい企業評価が必要になるわけですし、仮に無担保で貸したら、企業評価を一生懸命やったとしても、その後のほかの債権者と案分で弁済を受けなければいけないということで、力を、手を掛けた分だけの見返りが得られない融資になってしまうのに比べますと、難しいとはいっても、無担保のときに企業評価をするのと同じように企業評価をして、あるいはMアンドAのときに企業評価をしているのと同じように企業評価をした上でその評価に見合った融資をして、その手を掛けた分だけほかの貸し手を排除して、ほかの金融機関よりも優先的に自分が回収を確保するというリターンが得られれば、なお担保として機能する可能性があるのではないかというふうに考えております。
六点目、債務者の破綻時にはその企業価値が失われて担保として機能しないのではないかという疑問です。これについては、破綻時の債務者は企業価値がゼロになったということではなくて、百残っているけれども借入金が百五十あるという状態だと考えております。だとすれば、この借入金百五十を切り離して、この百の価値のある事業を生かしたまま百で売却して、その代金百を百五十の債権者で案分するのではなくて、この企業価値担保権者が優先して百を取れるということになれば、担保として十分機能するのではないかというふうに思います。
最後、七点目になります。企業価値担保の実行管財人は担保権者の利益のみを考慮するのではないかという心配、この点については、実行管財人は、今回の法案によれば、全ての利害関係人に対して善管注意義務を負うということになっておりまして、実際にも恐らく倒産実務を現在担っているような弁護士がこの実行管財人として企業価値担保の実行を担うのだろうということが予想されます。
そうだとしますと、ほかの担保、特にその譲渡担保などの私的実行が許されている現在の担保との比較で、あるいは抵当権などよく使われている担保の比較でいえば、むしろこの担保の実行プロセスにおいては、債権者あるいは担保権者の思うどおりにはならずに、適正な実行が裁判所の管理の下に管財人という第三者的な立場を持つ人によって実行されるという可能性がむしろ高いのではないかというふうにも思われます。
私の意見は以上です。御清聴どうもありがとうございました。
足
竹
竹村和也#5
○参考人(竹村和也君) 弁護士の竹村と申します。
本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
弁護士なので法廷で尋問することには慣れているんですけど、こういった場でお話しして後々質問もされるというのは非常に不安があるんですけれども、せっかくいただいた機会ですので、私の意見を申し上げたいと思います。
御紹介いただいているとおり、私、日本労働弁護団という労働者、労働組合側で労働事件、立法課題に取り組んでいる弁護士団体に所属しています。本日も労働者、労働組合側の立場で事業性融資の推進等に関する法律案について意見を述べさせていただきます。
簡単なペーパーを用意しておりますので、それに即してお話しします。
まず、基本的な視点についてです。
法律案で創設される企業価値担保権の担保目的財産は、先ほどもお話ありましたとおり、会社の総財産とされています。ここには労働契約上の地位も含まれ得ます。労働契約上の地位も含めて総財産に担保を設定するという制度は、ほとんど利用例のない企業担保法を除いて存在しないというふうに思います。
そして、企業価値担保権の実行手続における換価は営業又は事業の譲渡によるものとされており、後ほど述べますとおり、労働契約も大きな影響を受けることになります。
加えて申し上げますと、企業価値担保権の担保目的財産である総財産、それを構成する事業の形成、保全には労働者の労務提供が不可欠となりますし、その総財産に含まれる将来的なキャッシュフローについても労働者の労務提供が原資となっている部分が大きいと考えられます。
これら労働者が受ける影響などからすれば、労働者はこの制度の重要な利害関係人であって、それを組織する労働組合とともに十分に手続的に位置付けるなどして保護される必要があると考えております。
後ほど局面ごとに労働者保護に関する課題を見ていきますが、二つのレベルの課題があると考えています。
一つは、企業の総財産を担保するというこの企業価値担保権特有の課題です。現在でもファイナンスにおいて個別資産を積み上げて全ての資産を担保とするということは行われているところですが、企業価値担保権は事業価値も含めて総財産を包括的に担保するという点で大きな特徴があります。この特徴を踏まえて労働者保護を検討する必要があると考えています。
もう一つは、企業価値担保権に限らない課題です。本法案を検討する中で、企業価値担保権に限られない労働法、倒産法等における課題が改めて浮き彫りになったということです。金融審議会のワーキンググループなどでは、ほかの法制度との均衡という点から、本法案においてはほかの制度にはない労働者保護ルールは基本的には設けないという御指摘が度々なされていたかと記憶しております。私としては、ほかの制度にかかわらずルール設計すべきだと考えていますが、参議院におかれましては他の制度も含めて広く問題を議論していただければと思います。
それでは、局面ごとの課題について述べさせていただきます。
まず、設定時についてです。
設定には、債務者である会社の決定、決議や商業登記簿への登記などは必要になりますが、労働者、労働組合との関係での手続的な規制は設けられておりません。ワーキンググループの報告書には、労働組合などへの情報提供等の促進に向けて取り組むことが望まれる、そういう記載があるのみです。
この点については、先ほど申し上げた企業価値担保権の特徴、つまり労働契約上の地位も目的財産に含まれ、実行時には大きな影響を受けること、企業価値の向上に労働者の労務の提供は不可欠であること、それらからすれば、何らかの形で労働者や労働組合に事前通知すべきだと考えています。他の担保権の設定にはそのような通知は必要とされていないとの御指摘もありますが、労働契約上の地位も目的財産に含まれる点でほかの担保制度と同視すべきではないと考えています。
また、通知を求めることで制度が煩雑になるとの御指摘もなされておりますが、そのような労使コミュニケーションを煩雑と捉えるべきかどうかという点も考えていただきたいと思いますし、本制度が主眼とする事業価値の向上には労働者の協力が不可欠となりますので、労働者との必要なコミュニケーションと考えていただければと思っています。
いずれにしても、法律には難しくとも、何らかの形で設定時の労使コミュニケーションを推進するような規制が設けられればと考えております。
次に、期中について述べます。これは資料一、四枚目に簡単な図を載せていますので、そちらも参考にしていただければと思うんですが、設定後から実行開始までの期間をここでいう期中とイメージしております。
ワーキンググループの報告書では、金融機関として絶えず変動する事業の実態を継続的に把握し、伴走支援に十分なリソースを投入することが経済合理的になり、特に業況の悪化局面において、これを早期に察知し、経営改善に向けた支援を行うことが可能となるとされています。
ここで指摘されている業況悪化局面における経営改善支援が労働者の人員削減、労働条件の不利益変更にわたる場合には、労働者の地位、労働条件にも大きな影響を与えることになります。このような場合、個別労働者については、労働契約法等の労働関係諸法規でそれら不利益変更等の有効性が検討されることになります。この個別労働者との関係においては、本法案特有の問題はないと考えてはいます。
他方、レジュメでいうと二ページ目に移りますが、労働組合としては、労働契約上の使用者である債務者とだけ交渉しても実質的な解決に至らないことも想定されます。このような局面では、労働組合は、労働契約上の使用者である債務者はもとより、担保権者である金融機関と交渉を継続しなければ、それらの影響についての問題を解決することができないことが考えられます。
先ほど見ていただいた資料一の一番左側の図ですが、現行法上は、労働契約上の使用者ではない金融機関について、労働組合法上の使用者性が認められるかという問題になろうかと思います。確かに、この問題も企業価値担保権に限った問題ではありません。これまでも、親会社、投資ファンドなどの使用者性が問題にされていますが、現在の判例法理などによれば、実務的には極めて高いハードルが課されております。強い影響力を有する金融機関に対し、労働組合から申し入れられた協議、交渉に対する応諾義務を課すなど、労働法的規制を導入することもあり得たのではないかと考えております。
本法案にはこの点の手当てはなく、ワーキンググループの報告書では、判例法理等を前提として金融機関に周知するとされております。このような周知自体はよいとして、金融機関が労働者の労働条件等について指導してはならないと下位法令等で明記するなど、実効性のある方法を御検討いただければと思っています。
実行後の課題について述べます。
資料一で申しますと真ん中の図になりますが、前提として、会社更生法等の解釈に照らせば、実行後の裁判所から選任される管財人は労働契約上の使用者の地位を承継することになろうかと思います。この点は是非御確認いただければと思っております。
管財人は、換価、配当に至るまで事業を経営していくことになりますが、実行後という業況が悪化している点から、労働条件の不利益変更や解雇などの人員削減が行うこともあり得るかと思います。この点については、実行後の管財人による解雇といえども、いわゆる整理解雇法理が適用されることは会社更生法における事案でも確認されており、当然のことかと思います。
なお、整理解雇法理の適用に当たっては個別の事情が検討されることになりますが、本制度では会社更生下と異なって更生計画等ありませんし、金融庁が御説明されているとおり、換価においては雇用を維持しての一体としての事業承継がその後想定されているのですから、実行後の換価に至るまでの間に人員削減の必要性が強く基礎付けられるとは考えておりません。むしろ、換価時、事業譲渡の際の企業価値を損なわないように、労働者が流出しないよう取り組むことが想定されるはずだと考えております。
実行後の労働組合との関係についてですが、管財人は、当然、労働組合法上の使用者の地位にも就くと考えられます。やはり、資料一の真ん中の図のとおり、団体交渉の相手方になることはもちろんのこと、労働組合への不当労働行為を行ってならないことは当然のことです。実行後であっても労働組合の争議権を始めとする労働基本権は尊重されなければならず、管財人の善管注意義務にはその点も含まれるものと考えています。
なお、実行後の労働協約、使用者と労働組合との間で結ぶ労働協約の効力については、本法案では必ずしも明確ではありませんが、実行後においてもこれは当然存続することを御確認いただきたく思います。
労働債権保護の関係について述べさせていただきます。こちら、資料二についても併せて御覧いただければと思います。
先ほども御説明いただいたとおり、本法案では、資料二のAの括弧二にありますとおり、労働債権が共益債権として優先弁済される立て付けとなっております。具体的には、実行手続開始前六か月間の給料請求権として位置付けられております。
他方、今回の制度では、実行後も当然に労働者との雇用関係の継続が予定されており、実行後の労務対価たる給料請求権の保護も問題になります。実行後の給料請求権についても、給料債権についても当然ながら共益債権になると考えますが、その根拠条文が百二十七条二号か五号になろうかと思います。この点については明らかだと思いますが、念のため、その解釈でよいのか、金融庁の方は明確にしておくべきかと思います。
労働債権保護の関係で最後に指摘させていただきます。
共益債権として保護されるとしても、その前提として労働者に適切な情報が提供される必要があると思います。
この点、会社更生法などでは、管財人は、更生債権等である給料の請求権又は退職手当の請求権を有する者に対し、更生手続に参加するのに必要な情報を提供するよう努めなければならないと定められています。破産法にも同様の規定がございます。つまり、労働者に直接情報提供される立て付けになっているわけです。
他方で、本法案は、情報提供の名宛て人は労働組合等となっております。もちろん、労働組合等に情報提供することも重要ですが、会社更生法、破産法などと同様に労働者にも直接情報提供する規制を必要だと考えております。
もちろん、共益債権ですので随時弁済が予定されており、届出などは必要になっていませんが、破産法においても、財団債権等についても当然情報提供をすべきだというふうな解釈がなされておりますので、同じように本法案においても労働者への直接的な情報提供を検討されていただきたいというふうに思っております。
レジュメでいいますと三ページ目に参りまして、最後に換価の課題についてです。
換価は、裁判所の許可による営業又は事業の譲渡によるものとされております。事業譲渡という特定承継の方法によりますので裁判所の許可が必要になるものの、管財人とスポンサーとの間で承継する範囲を合意することになろうかと思います。
問題は、不採算部門を承継の対象から除外され、同部門に所属する労働者も承継の対象から外されるといった、いわゆる不承継の不利益が生じないかということです。
行ったり来たりで申し訳ありませんが、資料一の一番右側の図を見ていただきたいと思います。不承継となりますと、そのまま債務者に残った労働者は最終的には破産、清算時において解雇の対象になると思われます。この点は実務的には生じ得る事態ではありますが、まさに企業価値担保権に限らず、事業譲渡一般の問題とも言えます。
この点、事業譲渡については労働組合等からの意見聴取が本法案では予定されておりますので、その点について触れたいと思います。
この意見聴取が裁判所の許可に当たって重要な考慮要素になり得ることは指摘されているとおりかと思っています。しかし、過半数を組織する労働組合がその会社に存在しない場合の過半数代表者の選出をどのようにするのか、その点、労基法と異なって、本法案では明確ではありません。
実は、これはほかの倒産法制でも同様なのですが、それら倒産法制の下でも、過半数代表者が存在しない場合には意見聴取は不要だとの実務的な見解も示されております。そのほか、仮に裁判所が意見聴取をしなくとも事業譲渡自体は無効にならないと解されるなど、手続的規制として十分とは言えない状況にあります。これらは倒産法制全体の問題ではありますが、労働者保護として十分な規制として機能してはいないということを指摘させていただきます。
また、ワーキンググループの報告書では、換価の方法については、雇用を維持しつつ承継するなど事業を解体せずに換価することを原則とし、個別財産の換価は、事業の譲渡が困難である場合の例外とした上で、個別事案ごとに管財人がその善管注意義務に照らして相当な方法により行うものとし、これを裁判所の許可基準とするとされています。ただ、この点、本法律案では明らかではありません。この許可基準については、是非とも明文化する必要があると考えております。
譲渡先と労働組合との関係についてはレジュメに記載しているとおりですので、割愛させていただきます。
以上、細かいところも含めて幾つか指摘させていただきました。
これまで述べてきたとおり、企業価値担保権はこれまでにない担保権として特有の課題もあります。各局面の労働法的課題を整理した上で、労働者保護ルールを整備する慎重な制度設計が必要だと考えています。そのことが事業価値を向上させるという本法案の趣旨にも沿うのではないかと考えているところです。
また、企業価値担保権に限らず、倒産法制、企業組織再編一般の課題も多く浮き彫りになったと思っています。倒産法制、企業組織再編においては、労働者、労働組合は重要な影響を受けるにもかかわらず、確かに利害関係人とはされつつも、必ずしもその利害調整に十分に組み入れられているとは言えません。本法案の審議を機に、その点の議論が進展することを希望いたします。
以上で私の意見を終わりにさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
弁護士なので法廷で尋問することには慣れているんですけど、こういった場でお話しして後々質問もされるというのは非常に不安があるんですけれども、せっかくいただいた機会ですので、私の意見を申し上げたいと思います。
御紹介いただいているとおり、私、日本労働弁護団という労働者、労働組合側で労働事件、立法課題に取り組んでいる弁護士団体に所属しています。本日も労働者、労働組合側の立場で事業性融資の推進等に関する法律案について意見を述べさせていただきます。
簡単なペーパーを用意しておりますので、それに即してお話しします。
まず、基本的な視点についてです。
法律案で創設される企業価値担保権の担保目的財産は、先ほどもお話ありましたとおり、会社の総財産とされています。ここには労働契約上の地位も含まれ得ます。労働契約上の地位も含めて総財産に担保を設定するという制度は、ほとんど利用例のない企業担保法を除いて存在しないというふうに思います。
そして、企業価値担保権の実行手続における換価は営業又は事業の譲渡によるものとされており、後ほど述べますとおり、労働契約も大きな影響を受けることになります。
加えて申し上げますと、企業価値担保権の担保目的財産である総財産、それを構成する事業の形成、保全には労働者の労務提供が不可欠となりますし、その総財産に含まれる将来的なキャッシュフローについても労働者の労務提供が原資となっている部分が大きいと考えられます。
これら労働者が受ける影響などからすれば、労働者はこの制度の重要な利害関係人であって、それを組織する労働組合とともに十分に手続的に位置付けるなどして保護される必要があると考えております。
後ほど局面ごとに労働者保護に関する課題を見ていきますが、二つのレベルの課題があると考えています。
一つは、企業の総財産を担保するというこの企業価値担保権特有の課題です。現在でもファイナンスにおいて個別資産を積み上げて全ての資産を担保とするということは行われているところですが、企業価値担保権は事業価値も含めて総財産を包括的に担保するという点で大きな特徴があります。この特徴を踏まえて労働者保護を検討する必要があると考えています。
もう一つは、企業価値担保権に限らない課題です。本法案を検討する中で、企業価値担保権に限られない労働法、倒産法等における課題が改めて浮き彫りになったということです。金融審議会のワーキンググループなどでは、ほかの法制度との均衡という点から、本法案においてはほかの制度にはない労働者保護ルールは基本的には設けないという御指摘が度々なされていたかと記憶しております。私としては、ほかの制度にかかわらずルール設計すべきだと考えていますが、参議院におかれましては他の制度も含めて広く問題を議論していただければと思います。
それでは、局面ごとの課題について述べさせていただきます。
まず、設定時についてです。
設定には、債務者である会社の決定、決議や商業登記簿への登記などは必要になりますが、労働者、労働組合との関係での手続的な規制は設けられておりません。ワーキンググループの報告書には、労働組合などへの情報提供等の促進に向けて取り組むことが望まれる、そういう記載があるのみです。
この点については、先ほど申し上げた企業価値担保権の特徴、つまり労働契約上の地位も目的財産に含まれ、実行時には大きな影響を受けること、企業価値の向上に労働者の労務の提供は不可欠であること、それらからすれば、何らかの形で労働者や労働組合に事前通知すべきだと考えています。他の担保権の設定にはそのような通知は必要とされていないとの御指摘もありますが、労働契約上の地位も目的財産に含まれる点でほかの担保制度と同視すべきではないと考えています。
また、通知を求めることで制度が煩雑になるとの御指摘もなされておりますが、そのような労使コミュニケーションを煩雑と捉えるべきかどうかという点も考えていただきたいと思いますし、本制度が主眼とする事業価値の向上には労働者の協力が不可欠となりますので、労働者との必要なコミュニケーションと考えていただければと思っています。
いずれにしても、法律には難しくとも、何らかの形で設定時の労使コミュニケーションを推進するような規制が設けられればと考えております。
次に、期中について述べます。これは資料一、四枚目に簡単な図を載せていますので、そちらも参考にしていただければと思うんですが、設定後から実行開始までの期間をここでいう期中とイメージしております。
ワーキンググループの報告書では、金融機関として絶えず変動する事業の実態を継続的に把握し、伴走支援に十分なリソースを投入することが経済合理的になり、特に業況の悪化局面において、これを早期に察知し、経営改善に向けた支援を行うことが可能となるとされています。
ここで指摘されている業況悪化局面における経営改善支援が労働者の人員削減、労働条件の不利益変更にわたる場合には、労働者の地位、労働条件にも大きな影響を与えることになります。このような場合、個別労働者については、労働契約法等の労働関係諸法規でそれら不利益変更等の有効性が検討されることになります。この個別労働者との関係においては、本法案特有の問題はないと考えてはいます。
他方、レジュメでいうと二ページ目に移りますが、労働組合としては、労働契約上の使用者である債務者とだけ交渉しても実質的な解決に至らないことも想定されます。このような局面では、労働組合は、労働契約上の使用者である債務者はもとより、担保権者である金融機関と交渉を継続しなければ、それらの影響についての問題を解決することができないことが考えられます。
先ほど見ていただいた資料一の一番左側の図ですが、現行法上は、労働契約上の使用者ではない金融機関について、労働組合法上の使用者性が認められるかという問題になろうかと思います。確かに、この問題も企業価値担保権に限った問題ではありません。これまでも、親会社、投資ファンドなどの使用者性が問題にされていますが、現在の判例法理などによれば、実務的には極めて高いハードルが課されております。強い影響力を有する金融機関に対し、労働組合から申し入れられた協議、交渉に対する応諾義務を課すなど、労働法的規制を導入することもあり得たのではないかと考えております。
本法案にはこの点の手当てはなく、ワーキンググループの報告書では、判例法理等を前提として金融機関に周知するとされております。このような周知自体はよいとして、金融機関が労働者の労働条件等について指導してはならないと下位法令等で明記するなど、実効性のある方法を御検討いただければと思っています。
実行後の課題について述べます。
資料一で申しますと真ん中の図になりますが、前提として、会社更生法等の解釈に照らせば、実行後の裁判所から選任される管財人は労働契約上の使用者の地位を承継することになろうかと思います。この点は是非御確認いただければと思っております。
管財人は、換価、配当に至るまで事業を経営していくことになりますが、実行後という業況が悪化している点から、労働条件の不利益変更や解雇などの人員削減が行うこともあり得るかと思います。この点については、実行後の管財人による解雇といえども、いわゆる整理解雇法理が適用されることは会社更生法における事案でも確認されており、当然のことかと思います。
なお、整理解雇法理の適用に当たっては個別の事情が検討されることになりますが、本制度では会社更生下と異なって更生計画等ありませんし、金融庁が御説明されているとおり、換価においては雇用を維持しての一体としての事業承継がその後想定されているのですから、実行後の換価に至るまでの間に人員削減の必要性が強く基礎付けられるとは考えておりません。むしろ、換価時、事業譲渡の際の企業価値を損なわないように、労働者が流出しないよう取り組むことが想定されるはずだと考えております。
実行後の労働組合との関係についてですが、管財人は、当然、労働組合法上の使用者の地位にも就くと考えられます。やはり、資料一の真ん中の図のとおり、団体交渉の相手方になることはもちろんのこと、労働組合への不当労働行為を行ってならないことは当然のことです。実行後であっても労働組合の争議権を始めとする労働基本権は尊重されなければならず、管財人の善管注意義務にはその点も含まれるものと考えています。
なお、実行後の労働協約、使用者と労働組合との間で結ぶ労働協約の効力については、本法案では必ずしも明確ではありませんが、実行後においてもこれは当然存続することを御確認いただきたく思います。
労働債権保護の関係について述べさせていただきます。こちら、資料二についても併せて御覧いただければと思います。
先ほども御説明いただいたとおり、本法案では、資料二のAの括弧二にありますとおり、労働債権が共益債権として優先弁済される立て付けとなっております。具体的には、実行手続開始前六か月間の給料請求権として位置付けられております。
他方、今回の制度では、実行後も当然に労働者との雇用関係の継続が予定されており、実行後の労務対価たる給料請求権の保護も問題になります。実行後の給料請求権についても、給料債権についても当然ながら共益債権になると考えますが、その根拠条文が百二十七条二号か五号になろうかと思います。この点については明らかだと思いますが、念のため、その解釈でよいのか、金融庁の方は明確にしておくべきかと思います。
労働債権保護の関係で最後に指摘させていただきます。
共益債権として保護されるとしても、その前提として労働者に適切な情報が提供される必要があると思います。
この点、会社更生法などでは、管財人は、更生債権等である給料の請求権又は退職手当の請求権を有する者に対し、更生手続に参加するのに必要な情報を提供するよう努めなければならないと定められています。破産法にも同様の規定がございます。つまり、労働者に直接情報提供される立て付けになっているわけです。
他方で、本法案は、情報提供の名宛て人は労働組合等となっております。もちろん、労働組合等に情報提供することも重要ですが、会社更生法、破産法などと同様に労働者にも直接情報提供する規制を必要だと考えております。
もちろん、共益債権ですので随時弁済が予定されており、届出などは必要になっていませんが、破産法においても、財団債権等についても当然情報提供をすべきだというふうな解釈がなされておりますので、同じように本法案においても労働者への直接的な情報提供を検討されていただきたいというふうに思っております。
レジュメでいいますと三ページ目に参りまして、最後に換価の課題についてです。
換価は、裁判所の許可による営業又は事業の譲渡によるものとされております。事業譲渡という特定承継の方法によりますので裁判所の許可が必要になるものの、管財人とスポンサーとの間で承継する範囲を合意することになろうかと思います。
問題は、不採算部門を承継の対象から除外され、同部門に所属する労働者も承継の対象から外されるといった、いわゆる不承継の不利益が生じないかということです。
行ったり来たりで申し訳ありませんが、資料一の一番右側の図を見ていただきたいと思います。不承継となりますと、そのまま債務者に残った労働者は最終的には破産、清算時において解雇の対象になると思われます。この点は実務的には生じ得る事態ではありますが、まさに企業価値担保権に限らず、事業譲渡一般の問題とも言えます。
この点、事業譲渡については労働組合等からの意見聴取が本法案では予定されておりますので、その点について触れたいと思います。
この意見聴取が裁判所の許可に当たって重要な考慮要素になり得ることは指摘されているとおりかと思っています。しかし、過半数を組織する労働組合がその会社に存在しない場合の過半数代表者の選出をどのようにするのか、その点、労基法と異なって、本法案では明確ではありません。
実は、これはほかの倒産法制でも同様なのですが、それら倒産法制の下でも、過半数代表者が存在しない場合には意見聴取は不要だとの実務的な見解も示されております。そのほか、仮に裁判所が意見聴取をしなくとも事業譲渡自体は無効にならないと解されるなど、手続的規制として十分とは言えない状況にあります。これらは倒産法制全体の問題ではありますが、労働者保護として十分な規制として機能してはいないということを指摘させていただきます。
また、ワーキンググループの報告書では、換価の方法については、雇用を維持しつつ承継するなど事業を解体せずに換価することを原則とし、個別財産の換価は、事業の譲渡が困難である場合の例外とした上で、個別事案ごとに管財人がその善管注意義務に照らして相当な方法により行うものとし、これを裁判所の許可基準とするとされています。ただ、この点、本法律案では明らかではありません。この許可基準については、是非とも明文化する必要があると考えております。
譲渡先と労働組合との関係についてはレジュメに記載しているとおりですので、割愛させていただきます。
以上、細かいところも含めて幾つか指摘させていただきました。
これまで述べてきたとおり、企業価値担保権はこれまでにない担保権として特有の課題もあります。各局面の労働法的課題を整理した上で、労働者保護ルールを整備する慎重な制度設計が必要だと考えています。そのことが事業価値を向上させるという本法案の趣旨にも沿うのではないかと考えているところです。
また、企業価値担保権に限らず、倒産法制、企業組織再編一般の課題も多く浮き彫りになったと思っています。倒産法制、企業組織再編においては、労働者、労働組合は重要な影響を受けるにもかかわらず、確かに利害関係人とはされつつも、必ずしもその利害調整に十分に組み入れられているとは言えません。本法案の審議を機に、その点の議論が進展することを希望いたします。
以上で私の意見を終わりにさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
足
足立敏之#6
○委員長(足立敏之君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。
古
古川俊治#7
○古川俊治君 それでは、自由民主党、古川俊治から質問させていただきます。
両参考人とも、本当に詳細な分析をありがとうございました。
まず、井上参考人に伺いたいと思いますけれども、私が多くやってきたのが成長の事業なので、ちょっとそちらのタイプの場合でまず聞きたいと思っております。
この成長していくようなビジネス、新興企業とちょっと申し上げますけれども、そういった場合に、やはりそののれんをどう金融機関が評価するのかというのはかなり金融機関の主観的なところがあると考えております。これは、幾つかいろんなところに話をして、この成長企業、一体企業価値幾らと見るかという話をしますと、非常にばらばらになるという傾向がありまして、それはかなりそれぞれの金融機関の立場で違ってくるんだろうと思っております。その場合、この企業価値担保権というのを付ける、要するにある程度の企業価値があると認めることは、その主観的なのれんの価値が結構あるということですね。
そうすると、事業の成功可能性がそれなりにあると考えていれば、別に企業価値担保なんかなくたって貸せると思うんですよね。これ、あることによってなぜ、なぜゆえに貸せるようになるのか。私がまず最初にこの事業性融資という話を聞いたときに、一番最初のそれが疑問なので、先生のお立場から、何でちゃんとこの事業だったら貸せると考えているのに担保が必要なのか、それも主観的な価値でしかないわけですけれども、ちょっとその点についてまずお話をいただきたいと思います。
この発言だけを見る →両参考人とも、本当に詳細な分析をありがとうございました。
まず、井上参考人に伺いたいと思いますけれども、私が多くやってきたのが成長の事業なので、ちょっとそちらのタイプの場合でまず聞きたいと思っております。
この成長していくようなビジネス、新興企業とちょっと申し上げますけれども、そういった場合に、やはりそののれんをどう金融機関が評価するのかというのはかなり金融機関の主観的なところがあると考えております。これは、幾つかいろんなところに話をして、この成長企業、一体企業価値幾らと見るかという話をしますと、非常にばらばらになるという傾向がありまして、それはかなりそれぞれの金融機関の立場で違ってくるんだろうと思っております。その場合、この企業価値担保権というのを付ける、要するにある程度の企業価値があると認めることは、その主観的なのれんの価値が結構あるということですね。
そうすると、事業の成功可能性がそれなりにあると考えていれば、別に企業価値担保なんかなくたって貸せると思うんですよね。これ、あることによってなぜ、なぜゆえに貸せるようになるのか。私がまず最初にこの事業性融資という話を聞いたときに、一番最初のそれが疑問なので、先生のお立場から、何でちゃんとこの事業だったら貸せると考えているのに担保が必要なのか、それも主観的な価値でしかないわけですけれども、ちょっとその点についてまずお話をいただきたいと思います。
井
井上聡#8
○参考人(井上聡君) 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、企業価値の評価というのは非常に難しくて、見立てによって大きくぶれるというのもおっしゃるとおりだと思います。
それで、その金融機関の中に、貸せるといいますか、成長企業であってそれなりに評価できると考えた場合に、その金融機関はなぜ担保が必要なんだという御質問ですけれども、そういった企業評価を手を掛けてするのに見合ったビジネスになりにくいからだと考えています。事業性評価というのは、もう随分長いことそうあるべきだという議論がなされていましたが、現時点でそれほど浸透していないのは、恐らく金融機関にとってもうからないビジネスなんだろうと思います。といいますか、リスクが大きいビジネスなんだろうと思います。
先ほど御説明申し上げましたように、結局それだけ手を掛けても、その後、ほかの金融機関がほとんど手を掛けずに、あそこが貸しているんだからうちも貸そうかといって貸しても、結局、その後うまくいかなかったときにみんな案分になるんですよね。それを、この担保を取ればまさに、うまくいけばみんな結局リターンを得られるわけですが、うまくいかなかったときにほかの金融機関にただ乗りされることがなくなって、何とか、全額ではないにしても、そのときに残っている企業価値を他の金融機関を押しのけて取れるというところに意味があり、それがあるのであれば不安を減らして事業性の融資をしようかというインセンティブが強くなるという意味で意味があるのではないかと考えています。
この発言だけを見る →おっしゃるとおり、企業価値の評価というのは非常に難しくて、見立てによって大きくぶれるというのもおっしゃるとおりだと思います。
それで、その金融機関の中に、貸せるといいますか、成長企業であってそれなりに評価できると考えた場合に、その金融機関はなぜ担保が必要なんだという御質問ですけれども、そういった企業評価を手を掛けてするのに見合ったビジネスになりにくいからだと考えています。事業性評価というのは、もう随分長いことそうあるべきだという議論がなされていましたが、現時点でそれほど浸透していないのは、恐らく金融機関にとってもうからないビジネスなんだろうと思います。といいますか、リスクが大きいビジネスなんだろうと思います。
先ほど御説明申し上げましたように、結局それだけ手を掛けても、その後、ほかの金融機関がほとんど手を掛けずに、あそこが貸しているんだからうちも貸そうかといって貸しても、結局、その後うまくいかなかったときにみんな案分になるんですよね。それを、この担保を取ればまさに、うまくいけばみんな結局リターンを得られるわけですが、うまくいかなかったときにほかの金融機関にただ乗りされることがなくなって、何とか、全額ではないにしても、そのときに残っている企業価値を他の金融機関を押しのけて取れるというところに意味があり、それがあるのであれば不安を減らして事業性の融資をしようかというインセンティブが強くなるという意味で意味があるのではないかと考えています。
古
古川俊治#9
○古川俊治君 ありがとうございます。お話はある程度は理解できます。
そうすると、ただこれは、今言われているような技術面とかそういったある意味でリスクがあるけれども非常に優れたもの、これ、例えば今出てきているような新しい技術というのは検証してみないと実は本当に使えるものかどうかも分からないというのが多いんですけれども、その新しい企業というのは大体ほかの担保持っていないんですね、何にも。そうすると、それがうまくいかなかったってときになるとほとんどなくなっちゃうんですね、その残っている企業価値担保として取るようなものが。それでもないよりはいいと、そういうことになるんだと思うんですけれども。
先生がちょっと今お話ししていて、最初に新興企業、それからオーナーがいる比較的安定している企業、それから今後継者探しているというようなところと、それからプロジェクトファイナンス、三つの類型をお話しいただきましたけれども、特にこの事業性融資というのに向いているようなパターンというのは先生から見てどうですか。
この発言だけを見る →そうすると、ただこれは、今言われているような技術面とかそういったある意味でリスクがあるけれども非常に優れたもの、これ、例えば今出てきているような新しい技術というのは検証してみないと実は本当に使えるものかどうかも分からないというのが多いんですけれども、その新しい企業というのは大体ほかの担保持っていないんですね、何にも。そうすると、それがうまくいかなかったってときになるとほとんどなくなっちゃうんですね、その残っている企業価値担保として取るようなものが。それでもないよりはいいと、そういうことになるんだと思うんですけれども。
先生がちょっと今お話ししていて、最初に新興企業、それからオーナーがいる比較的安定している企業、それから今後継者探しているというようなところと、それからプロジェクトファイナンス、三つの類型をお話しいただきましたけれども、特にこの事業性融資というのに向いているようなパターンというのは先生から見てどうですか。
井
井上聡#10
○参考人(井上聡君) 私よりも金融機関の人に聞かないと本当のところよく分かりませんが、本当の新興企業にこの担保を使って融資できるかというと、物すごくスタートアップしたばかりでは難しいんではないかと私は考えています。むしろ、一定程度の軌道に乗って、成長企業ではあるけれども、もうスタートアップは脱したか脱していないかというぐらいのレーターステージにまずは使われるのではないかと。
もちろん、この担保の使い方がよく分かってこなれてくればだんだんアーリーステージの方にも使える余地はあると思いますが、私自身は、ある程度トラックレコードができた成長企業というのが一つのポイントで、しかし、今無担保だとううんというふうに悩む、そういった借り手に金融機関が貸すと、貸せないところにこれがあれば貸せるというエリアが、最初はかなり狭いかもしれませんが、それを少しずつ広げていくということが期待されるということだろうと思います。
この発言だけを見る →もちろん、この担保の使い方がよく分かってこなれてくればだんだんアーリーステージの方にも使える余地はあると思いますが、私自身は、ある程度トラックレコードができた成長企業というのが一つのポイントで、しかし、今無担保だとううんというふうに悩む、そういった借り手に金融機関が貸すと、貸せないところにこれがあれば貸せるというエリアが、最初はかなり狭いかもしれませんが、それを少しずつ広げていくということが期待されるということだろうと思います。
古
古川俊治#11
○古川俊治君 ありがとうございました。
今、新興企業で特にレーターステージですけど若干赤字と、これから黒字化していくんだけど、まだそこのリスクがあるというところにちょっと金融の行き手がないので、また今のお話は大変勇気付けられるお話でした。
一点、こういった新しい企業の場合に、やっぱり誰がやっているか。例えば、その主導者、創設者であったり、あるいはそこに付いたアドバイザーみたいな人が、その人的要素がかなりそれ有名になっているなんて場合もあるわけですね。そうすると、別にその人ってその企業から別に拘束されているわけじゃないということがありますので、創設者でも例えばアドバイザーになっている人もいますし、必ずしも経営者としてやっていない場合もあります。特に技術なんかそうですね、大学の先生だったりしますから。
そういう場合に、その人が何かそこの会社から外れちゃうと企業価値が一気に落ちるということがあると思うんですよ。それって、この企業価値担保権で何か人の流動性ということについて何か縛りを考えていらっしゃるんでしょうか。
この発言だけを見る →今、新興企業で特にレーターステージですけど若干赤字と、これから黒字化していくんだけど、まだそこのリスクがあるというところにちょっと金融の行き手がないので、また今のお話は大変勇気付けられるお話でした。
一点、こういった新しい企業の場合に、やっぱり誰がやっているか。例えば、その主導者、創設者であったり、あるいはそこに付いたアドバイザーみたいな人が、その人的要素がかなりそれ有名になっているなんて場合もあるわけですね。そうすると、別にその人ってその企業から別に拘束されているわけじゃないということがありますので、創設者でも例えばアドバイザーになっている人もいますし、必ずしも経営者としてやっていない場合もあります。特に技術なんかそうですね、大学の先生だったりしますから。
そういう場合に、その人が何かそこの会社から外れちゃうと企業価値が一気に落ちるということがあると思うんですよ。それって、この企業価値担保権で何か人の流動性ということについて何か縛りを考えていらっしゃるんでしょうか。
井
井上聡#12
○参考人(井上聡君) ありがとうございます。
なかなかその担保権の力によって人を縛るということは無理なんだろうと思います。ただ、様々なファイナンスで、担保契約に限らずですけれども、融資契約自体で、キーパーソンが辞めた場合には条件を見直す、あるいは返済を考えるというような条項になっていることはよくありますので、やっぱりそういう融資実務を高度化して、スタートアップとか成長企業に見合った様々な条件を融資の中でつくっていくということだろうと思います。担保自体で人を縛るというのは難しいと思います。
この発言だけを見る →なかなかその担保権の力によって人を縛るということは無理なんだろうと思います。ただ、様々なファイナンスで、担保契約に限らずですけれども、融資契約自体で、キーパーソンが辞めた場合には条件を見直す、あるいは返済を考えるというような条項になっていることはよくありますので、やっぱりそういう融資実務を高度化して、スタートアップとか成長企業に見合った様々な条件を融資の中でつくっていくということだろうと思います。担保自体で人を縛るというのは難しいと思います。
古
古川俊治#13
○古川俊治君 そうすると、なかなかその人が将来的にどういうところに雇用関係あるいは任用関係ですね、やっぱりなかなかそれは、将来のこと見通せない場合にはなかなか難しいというふうに思ったんで、それ分かりました。
一方、じゃ、これ、竹村参考人にも伺いたいんですけれども、ちょっとこれ私、ちょっとすごい、非常に細かい点まで詳細にお述べいただいて、そこ、なかなか付いていけないところもあったんですけれども、労働者の場合、おっしゃるように労働提供があって初めて企業価値が出てきますから、なかなか企業から労働者がむげに、経営悪化局面になっても切り離していくのは難しいんじゃないかと私も思うんですけれども、みんなが辞めちゃったら突然もう企業価値ゼロに近くなりますから。そういう意味では、一つ一つ、ここに書いてありますけど、一人一人の労働者は余り、労働契約法上の問題なので心配ないけれども、労働組合がというお話がありましたよね。
ちょっと、私全く労働組合の実務が分からないので教えていただきたいんですけど、労働者の、個別の労働者が保護されていて、そうすると、労働組合として何か持たなきゃいけない権限というか、それはちょっと、どういうことがあって、その場合に、過半数が参加している労働組合の場合と過半数が参加していない場合とどう違うのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →一方、じゃ、これ、竹村参考人にも伺いたいんですけれども、ちょっとこれ私、ちょっとすごい、非常に細かい点まで詳細にお述べいただいて、そこ、なかなか付いていけないところもあったんですけれども、労働者の場合、おっしゃるように労働提供があって初めて企業価値が出てきますから、なかなか企業から労働者がむげに、経営悪化局面になっても切り離していくのは難しいんじゃないかと私も思うんですけれども、みんなが辞めちゃったら突然もう企業価値ゼロに近くなりますから。そういう意味では、一つ一つ、ここに書いてありますけど、一人一人の労働者は余り、労働契約法上の問題なので心配ないけれども、労働組合がというお話がありましたよね。
ちょっと、私全く労働組合の実務が分からないので教えていただきたいんですけど、労働者の、個別の労働者が保護されていて、そうすると、労働組合として何か持たなきゃいけない権限というか、それはちょっと、どういうことがあって、その場合に、過半数が参加している労働組合の場合と過半数が参加していない場合とどう違うのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。
竹
竹村和也#14
○参考人(竹村和也君) 御質問ありがとうございます。
ちょっと細かいテーマで説明して、申し訳ありませんでした。
御指摘いただいたとおり、個別の労働者の保護と違って、労働組合の持つ権限として一番大きいものは何よりも団体交渉権になります。個別の労働者の交渉というのはどうしても力関係が弱いものになりますので、そういう集団的な力関係で強くする、そういう意味で労働組合としての大きな機能がまずあるというふうに思います。その機能の結果として、労働協約などで拘束力を持ったものを作っていくというのが一般的な労働組合の活動になってくるのかなというふうに思っております。
今回の融資実務においても、もろもろ労働条件の悪化したり人員削減がする局面がある可能性、どうしても暗い面を想定していますが、そういった局面においても、団体交渉でその人員を維持したり労働条件を維持したりする活動が労働組合としての集団的な力としては期待されるところかなというふうに思っています。
御質問が……ヤジ
この発言だけを見る →ちょっと細かいテーマで説明して、申し訳ありませんでした。
御指摘いただいたとおり、個別の労働者の保護と違って、労働組合の持つ権限として一番大きいものは何よりも団体交渉権になります。個別の労働者の交渉というのはどうしても力関係が弱いものになりますので、そういう集団的な力関係で強くする、そういう意味で労働組合としての大きな機能がまずあるというふうに思います。その機能の結果として、労働協約などで拘束力を持ったものを作っていくというのが一般的な労働組合の活動になってくるのかなというふうに思っております。
今回の融資実務においても、もろもろ労働条件の悪化したり人員削減がする局面がある可能性、どうしても暗い面を想定していますが、そういった局面においても、団体交渉でその人員を維持したり労働条件を維持したりする活動が労働組合としての集団的な力としては期待されるところかなというふうに思っています。
御質問が……ヤジ
足
古
竹
竹村和也#17
○参考人(竹村和也君) はい、そのように考えております。
過半数労組がある場合か否かのところについてですけれども、過半数労組がある場合ですと、今回の手続においても意見聴取の主体となることができますので、それなりに労働組合、労働者の意見を反映させることは可能だと思います。また、やはり過半数を組織しているということになりますと、それなりの力を持っている、法的なものとは別に事実上の力関係が有力になってくると、そういう側面もあるかというふうに思います。
他方で、過半数労組がない場合は、今回でいうと過半数代表者を選出する必要があるんですが、その選出手続はこの法案にはありませんので、どういうふうにそれをやっていくのかというところは不明確で、労働者保護に一つの穴が空く状態に本法案ではなってしまわざるを得ないのではないかというふうに懸念しております。
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他方で、過半数労組がない場合は、今回でいうと過半数代表者を選出する必要があるんですが、その選出手続はこの法案にはありませんので、どういうふうにそれをやっていくのかというところは不明確で、労働者保護に一つの穴が空く状態に本法案ではなってしまわざるを得ないのではないかというふうに懸念しております。
古
古川俊治#18
○古川俊治君 それから、じゃ、企業価値担保を付ける、そういった場合に、もし情報提供がちゃんとあったとして、それで労働者側からの意見としてはどういうことを言うことが考えられますか。
この発言だけを見る →竹
竹村和也#19
○参考人(竹村和也君) ありがとうございます。
この点、非常に難しい問題でもありまして、ワーキンググループで、たしか第四回ぐらいに参考人で呼ばれていた実務家の先生は、実際どういう意見を言えるかというと、代替案を労働組合側から出すのは難しいのではないかと、そういうふうに申しておられました。それ、逆に言うと、意見聴取として機能するのかどうかという点もこの法案に対する疑問として成り立ち得るのではないかというふうには思っています。
ただ、私個人の見解としては、それは情報提供の質を上げるということだと思っております。やはり、早め早めの段階で情報提供をして協議を尽くしていく中で、労働組合としてある一定の内容のある意見を述べることもできますし、組織再編において労働組合側がスポンサーをいろいろ選定するというケースも少ないながらあるというふうに聞いておりますので、是非そういう意味でも労働組合を利害関係人として位置付けていただきたいというふうに思っております。
この発言だけを見る →この点、非常に難しい問題でもありまして、ワーキンググループで、たしか第四回ぐらいに参考人で呼ばれていた実務家の先生は、実際どういう意見を言えるかというと、代替案を労働組合側から出すのは難しいのではないかと、そういうふうに申しておられました。それ、逆に言うと、意見聴取として機能するのかどうかという点もこの法案に対する疑問として成り立ち得るのではないかというふうには思っています。
ただ、私個人の見解としては、それは情報提供の質を上げるということだと思っております。やはり、早め早めの段階で情報提供をして協議を尽くしていく中で、労働組合としてある一定の内容のある意見を述べることもできますし、組織再編において労働組合側がスポンサーをいろいろ選定するというケースも少ないながらあるというふうに聞いておりますので、是非そういう意味でも労働組合を利害関係人として位置付けていただきたいというふうに思っております。
古
古川俊治#20
○古川俊治君 ありがとうございます。
次に、また井上参考人に伺いますけれども、これ、企業価値担保を付けても通常の事業は続けていいということになりますよね。そうすると、多分その企業価値担保を持ったところがメインバンクになるんだと思うんですけど、そこが債権残っているのに、結局、ほかの期限が来た債権、ほかの銀行に返していくわけじゃないですか。それで経営悪化局面とかになると、やっぱりそこにトラブルが起こりやすいと思うんですよね。
この通常の業務かどうかという、その判断ってどうやってやるんですかね。そこが一番、まあ弁護士でいらっしゃるので、訴訟になった場合とか、何をもって通常かというのはなかなか難しいと思うんですけど、何か細かい規約を作るって、そういうことになりますでしょうか。
この発言だけを見る →次に、また井上参考人に伺いますけれども、これ、企業価値担保を付けても通常の事業は続けていいということになりますよね。そうすると、多分その企業価値担保を持ったところがメインバンクになるんだと思うんですけど、そこが債権残っているのに、結局、ほかの期限が来た債権、ほかの銀行に返していくわけじゃないですか。それで経営悪化局面とかになると、やっぱりそこにトラブルが起こりやすいと思うんですよね。
この通常の業務かどうかという、その判断ってどうやってやるんですかね。そこが一番、まあ弁護士でいらっしゃるので、訴訟になった場合とか、何をもって通常かというのはなかなか難しいと思うんですけど、何か細かい規約を作るって、そういうことになりますでしょうか。
井
井上聡#21
○参考人(井上聡君) ありがとうございます。
通常の事業の範囲という言葉は、例えば集合動産譲渡担保において通常の営業の範囲というような表現が判例で確立しておりまして、普通に事業を回していく過程で、集合動産譲渡であれば在庫などを処分しても担保権者との関係で問題ないというふうに言われることが、今回は事業全体に広がっておりますので、その意味で、通常事業を回していく限りにおいては、担保に全資産が入っているにもかかわらず、普通、担保に財産を入れれば、それを勝手に担保権者に黙って処分することってできないはずなのに、それはもうどんどんやっていいよという、そういう線引きのルールですので、業態や企業規模、そういったものにかかわらず全て通用する、例えば数値基準のようなものというのはおよそ不可能。ですので、非常に抽象的な通常の事業の範囲という言葉になっているということがあろうかと思います。ですので、不明確であることはもう必然であり、避けられない。
ただ、基本的には担保権者を、これやっちゃまずいよねというようなことを押しとどめるためのルールということになりますし、しかし、これはどうかな、迷った場合の、債務者企業が非常に大きな財産を処分したいと思ったときに、これは通常と言えないんじゃないかと思ったような場合は、これ担保権者の同意を取ればもちろん今回の法案においても通常の事業範囲外のことができるということになりますので、実際上は担保権者と、ごめんなさい、貸付人と債務者企業のコミュニケーションがなされれば、明らかに不要な場合は通常の事業の範囲ですし、しかし、非常に重要だからどうかなと迷ったときは、ちゃんとレンダーと話をしながら、事実上同意を取って進めていくということになろうかと思います。ヤジ
この発言だけを見る →通常の事業の範囲という言葉は、例えば集合動産譲渡担保において通常の営業の範囲というような表現が判例で確立しておりまして、普通に事業を回していく過程で、集合動産譲渡であれば在庫などを処分しても担保権者との関係で問題ないというふうに言われることが、今回は事業全体に広がっておりますので、その意味で、通常事業を回していく限りにおいては、担保に全資産が入っているにもかかわらず、普通、担保に財産を入れれば、それを勝手に担保権者に黙って処分することってできないはずなのに、それはもうどんどんやっていいよという、そういう線引きのルールですので、業態や企業規模、そういったものにかかわらず全て通用する、例えば数値基準のようなものというのはおよそ不可能。ですので、非常に抽象的な通常の事業の範囲という言葉になっているということがあろうかと思います。ですので、不明確であることはもう必然であり、避けられない。
ただ、基本的には担保権者を、これやっちゃまずいよねというようなことを押しとどめるためのルールということになりますし、しかし、これはどうかな、迷った場合の、債務者企業が非常に大きな財産を処分したいと思ったときに、これは通常と言えないんじゃないかと思ったような場合は、これ担保権者の同意を取ればもちろん今回の法案においても通常の事業範囲外のことができるということになりますので、実際上は担保権者と、ごめんなさい、貸付人と債務者企業のコミュニケーションがなされれば、明らかに不要な場合は通常の事業の範囲ですし、しかし、非常に重要だからどうかなと迷ったときは、ちゃんとレンダーと話をしながら、事実上同意を取って進めていくということになろうかと思います。ヤジ
足
古
古川俊治#23
○古川俊治君 はい、済みません。分かりました。
経営悪化局面だとなかなか債権者と話できないでしょうし、また、その集合譲渡担保でもたくさんの判例があるように、やっぱり争いが起こっているわけですよね。今後、先生がまたこの制度に関わられると思いますので、そういったことをなるべくないようにお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
この発言だけを見る →経営悪化局面だとなかなか債権者と話できないでしょうし、また、その集合譲渡担保でもたくさんの判例があるように、やっぱり争いが起こっているわけですよね。今後、先生がまたこの制度に関わられると思いますので、そういったことをなるべくないようにお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
柴
柴愼一#24
○柴愼一君 立憲民主・社民の柴です、柴愼一です。
お二人の参考人の方、丁寧な御説明、本当にありがとうございました。
担保法制、非常に難しくて、なかなか理解が難しいということで、的を得た質問できるかどうかちょっと分かりませんが、基本的な認識として、やっぱりこれまでの融資の在り方について、不動産担保や経営者保証に頼らずに中小企業やスタートアップ企業が資金調達ができるようにすると、事業性の評価に基づく融資を推進することは必要だという立場の上でまた質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、井上参考人にお聞きします。
初歩的な質問で申し訳ないんですが、法案名は事業性融資の推進等に関する法律案という法案ですが、法案の内容というのは、新たな担保制度として企業価値担保を創設するということになっています。事業性融資を推進するということと企業価値担保つくること、イコールではない、ないんだというふうに思っていますが、御説明をいただいたことが全て意義として述べられているということもありますが、新たな担保権をつくるということの意義やこれまでの制度との違いについて、もう一回お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
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担保法制、非常に難しくて、なかなか理解が難しいということで、的を得た質問できるかどうかちょっと分かりませんが、基本的な認識として、やっぱりこれまでの融資の在り方について、不動産担保や経営者保証に頼らずに中小企業やスタートアップ企業が資金調達ができるようにすると、事業性の評価に基づく融資を推進することは必要だという立場の上でまた質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、井上参考人にお聞きします。
初歩的な質問で申し訳ないんですが、法案名は事業性融資の推進等に関する法律案という法案ですが、法案の内容というのは、新たな担保制度として企業価値担保を創設するということになっています。事業性融資を推進するということと企業価値担保つくること、イコールではない、ないんだというふうに思っていますが、御説明をいただいたことが全て意義として述べられているということもありますが、新たな担保権をつくるということの意義やこれまでの制度との違いについて、もう一回お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
井
井上聡#25
○参考人(井上聡君) 御質問ありがとうございます。
事業性融資というのは、先ほども申し上げたように、もう二十年も前からやろうやろう、やるべきだやるべきだと言われてきたのに、なかなかできなかった。それは、やはり先ほども申し上げたように、それをやろうとするに見合ったリターンを得られないという限界があって進んでこなかったという面があろうかと思います。
そこで、今回、こういった担保を導入することによって、事業価値を維持すること自体が担保権の価値を維持することになり、その実行過程で労働者も契約関係もちゃんと引き継いで事業譲渡されることによって関係者の利益も守られ、それによって事業が保たれるというウィン・ウィンの関係をつくるための道具としてこの担保が必要になるというふうに考えたんだろうと思います。
この発言だけを見る →事業性融資というのは、先ほども申し上げたように、もう二十年も前からやろうやろう、やるべきだやるべきだと言われてきたのに、なかなかできなかった。それは、やはり先ほども申し上げたように、それをやろうとするに見合ったリターンを得られないという限界があって進んでこなかったという面があろうかと思います。
そこで、今回、こういった担保を導入することによって、事業価値を維持すること自体が担保権の価値を維持することになり、その実行過程で労働者も契約関係もちゃんと引き継いで事業譲渡されることによって関係者の利益も守られ、それによって事業が保たれるというウィン・ウィンの関係をつくるための道具としてこの担保が必要になるというふうに考えたんだろうと思います。
柴
柴愼一#26
○柴愼一君 ありがとうございます。
これまでの金融審議会含めていろんな検討の中では、当初の議論の中では事業成長担保権というように、仮称ですが、言われていましたと。それが企業価値担保という、名前が変わったということについて、どのような議論によってそういうふうに変わったのか。また、その名前を変えるというのはやっぱり意味があるんじゃないかというふうに思うと、内容とか性格が当初検討と変わったかについて御見解あれば、お聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →これまでの金融審議会含めていろんな検討の中では、当初の議論の中では事業成長担保権というように、仮称ですが、言われていましたと。それが企業価値担保という、名前が変わったということについて、どのような議論によってそういうふうに変わったのか。また、その名前を変えるというのはやっぱり意味があるんじゃないかというふうに思うと、内容とか性格が当初検討と変わったかについて御見解あれば、お聞かせいただきたいと思います。
井
井上聡#27
○参考人(井上聡君) ありがとうございます。
この名前が変わったというのは、実はその金融審のワーキングの報告書が出た後、法案の作成段階で変わったということを私も聞いたということなので、その経緯については存じ上げないところではございますが、恐らく、何か事業の成長に資するような期待を込めて議論の段階では事業成長担保と呼んでいたものが、より客観的なといいますか、この担保自体の法的な性格を端的に示す名前に変わったのかなという印象を受けております。
繰り返しになりますが、企業価値を担保に取る、それを維持することが、担保権者の取り分が増えるだけではなく、労働者あるいは取引先をそのまま維持することにつながるという内容を持った担保という意味なので、そういう意味では、成長させるかどうかというよりやはり企業価値というものだという名前に、まあ比較的ストレートになったのかなという印象でございます。
この発言だけを見る →この名前が変わったというのは、実はその金融審のワーキングの報告書が出た後、法案の作成段階で変わったということを私も聞いたということなので、その経緯については存じ上げないところではございますが、恐らく、何か事業の成長に資するような期待を込めて議論の段階では事業成長担保と呼んでいたものが、より客観的なといいますか、この担保自体の法的な性格を端的に示す名前に変わったのかなという印象を受けております。
繰り返しになりますが、企業価値を担保に取る、それを維持することが、担保権者の取り分が増えるだけではなく、労働者あるいは取引先をそのまま維持することにつながるという内容を持った担保という意味なので、そういう意味では、成長させるかどうかというよりやはり企業価値というものだという名前に、まあ比較的ストレートになったのかなという印象でございます。
柴
柴愼一#28
○柴愼一君 ありがとうございます。
そして、この本法案というか、この事業性融資の検討自体が、普通、担保権といったら法制審議会で議論されるんじゃないかというふうに思うんですが、そうではなくて金融審議会で主に議論されてきたということについての、先生、両方の審議会にも入られていたということであれば、金融審議会で中心に議論されたことについての意味について御見解があれば、またお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →そして、この本法案というか、この事業性融資の検討自体が、普通、担保権といったら法制審議会で議論されるんじゃないかというふうに思うんですが、そうではなくて金融審議会で主に議論されてきたということについての、先生、両方の審議会にも入られていたということであれば、金融審議会で中心に議論されたことについての意味について御見解があれば、またお聞かせいただきたいと思います。
井
井上聡#29
○参考人(井上聡君) 私も、そうですね、どういう部分を法制審で、どういう部分を金融審でということについて、それ自体に関与しておりませんので、どういう事情でどこで議論されるのかということについての経緯は分かりません。
ただ、今回のこの企業価値担保というのは、当然に信託の仕組みを必要とするという意味で信託業法的な部分を含み、かつ、その担い手となる受託者は金融庁の監督下に置かれるというところがあって、業法的な側面はあろうかと思います。借り入れる側も個人を含まない会社に限られるということなので、その点で、貸す側の金融機関との関係も比較的、何といいますか、金融規制の下に置かれる、まあ銀行では必ずしもなくても貸金業者にはなりますので、そういったことがあるのかなというふうに理解しております。
この発言だけを見る →ただ、今回のこの企業価値担保というのは、当然に信託の仕組みを必要とするという意味で信託業法的な部分を含み、かつ、その担い手となる受託者は金融庁の監督下に置かれるというところがあって、業法的な側面はあろうかと思います。借り入れる側も個人を含まない会社に限られるということなので、その点で、貸す側の金融機関との関係も比較的、何といいますか、金融規制の下に置かれる、まあ銀行では必ずしもなくても貸金業者にはなりますので、そういったことがあるのかなというふうに理解しております。