法務委員会
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会
会議録情報#0
令和七年三月二十六日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 西村智奈美君
理事 小泉 龍司君 理事 津島 淳君
理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上田 英俊君 上川 陽子君
神田 潤一君 鈴木 貴子君
棚橋 泰文君 寺田 稔君
平沢 勝栄君 森 英介君
山本 大地君 若山 慎司君
有田 芳生君 篠田奈保子君
柴田 勝之君 寺田 学君
平岡 秀夫君 藤原 規眞君
松下 玲子君 萩原 佳君
藤田 文武君 小竹 凱君
大森江里子君 平林 晃君
本村 伸子君 吉川 里奈君
島田 洋一君
…………………………………
法務大臣政務官 神田 潤一君
参考人
(犯罪被害者支援弁護士フォーラム代表代行兼事務局長) 高橋 正人君
参考人
(大川原化工機株式会社元取締役) 島田 順司君
参考人
(日本大学大学院法務研究科教授) 藤井 敏明君
参考人
(社会福祉法人全国社会福祉協議会会長) 村木 厚子君
参考人
(追手門学院大学心理学部教授) 櫻井 鼓君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
河野 太郎君 鈴木 貴子君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 貴子君 山本 大地君
同日
辞任 補欠選任
山本 大地君 河野 太郎君
―――――――――――――
三月二十五日
選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第五三五号)
同(小宮山泰子君紹介)(第六六七号)
国籍選択制度の廃止に関する請願(井出庸生君紹介)(第六六五号)
元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(井出庸生君紹介)(第六六六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件(刑事手続に関する諸問題)
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 西村智奈美君
理事 小泉 龍司君 理事 津島 淳君
理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上田 英俊君 上川 陽子君
神田 潤一君 鈴木 貴子君
棚橋 泰文君 寺田 稔君
平沢 勝栄君 森 英介君
山本 大地君 若山 慎司君
有田 芳生君 篠田奈保子君
柴田 勝之君 寺田 学君
平岡 秀夫君 藤原 規眞君
松下 玲子君 萩原 佳君
藤田 文武君 小竹 凱君
大森江里子君 平林 晃君
本村 伸子君 吉川 里奈君
島田 洋一君
…………………………………
法務大臣政務官 神田 潤一君
参考人
(犯罪被害者支援弁護士フォーラム代表代行兼事務局長) 高橋 正人君
参考人
(大川原化工機株式会社元取締役) 島田 順司君
参考人
(日本大学大学院法務研究科教授) 藤井 敏明君
参考人
(社会福祉法人全国社会福祉協議会会長) 村木 厚子君
参考人
(追手門学院大学心理学部教授) 櫻井 鼓君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
河野 太郎君 鈴木 貴子君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 貴子君 山本 大地君
同日
辞任 補欠選任
山本 大地君 河野 太郎君
―――――――――――――
三月二十五日
選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第五三五号)
同(小宮山泰子君紹介)(第六六七号)
国籍選択制度の廃止に関する請願(井出庸生君紹介)(第六六五号)
元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(井出庸生君紹介)(第六六六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件(刑事手続に関する諸問題)
――――◇―――――
西
西村智奈美#1
○西村委員長 これより会議を開きます。
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件、特に刑事手続に関する諸問題について調査を進めます。
本日は、各件調査のため、参考人として、犯罪被害者支援弁護士フォーラム代表代行兼事務局長高橋正人さん、大川原化工機株式会社元取締役島田順司さん、日本大学大学院法務研究科教授藤井敏明さん、社会福祉法人全国社会福祉協議会会長村木厚子さん、追手門学院大学心理学部教授櫻井鼓さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、高橋参考人、島田参考人、藤井参考人、村木参考人、櫻井参考人の順に、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず高橋参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件、特に刑事手続に関する諸問題について調査を進めます。
本日は、各件調査のため、参考人として、犯罪被害者支援弁護士フォーラム代表代行兼事務局長高橋正人さん、大川原化工機株式会社元取締役島田順司さん、日本大学大学院法務研究科教授藤井敏明さん、社会福祉法人全国社会福祉協議会会長村木厚子さん、追手門学院大学心理学部教授櫻井鼓さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、高橋参考人、島田参考人、藤井参考人、村木参考人、櫻井参考人の順に、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず高橋参考人にお願いいたします。
高
高橋正人#2
○高橋参考人 ただいま御紹介にあずかりました弁護士の高橋正人と申します。
私は、平成三十年に一度解散いたしました、あすの会のときに副代表幹事をやっておりまして、被害者参加制度の創設に深く携わらせていただきました。弁護士になって二十六年になりますけれども、ほぼ途切れなく被害者支援の仕事ばかりしてまいりました。今回は、犯罪被害者の立場からは、再審法について意見を述べさせていただきたいと思っております。
幾つか論点がありますけれども、まず一番最初に申し上げたいのは、要件の緩和についてでございます。
日本弁護士連合会は、確かに、現行法では、無罪などを言い渡すべき明らかな証拠がある場合、そういう場合のみしか再審の開始ができない、そこに対して、事実誤認があると疑うに足りる証拠があれば再審の開始ができるという改正法を案として提示しております。
そもそも、罪を犯したことについて合理的な疑いを超える余地がない、その程度の立証があったからこそ、地裁、高裁、最高裁で有罪、無罪が決まったわけであります。地裁、高裁、最高裁に上訴するに当たっての要件というのは、まさに、罪を犯したことについて合理的な疑いがあるかどうか、これを審議するわけであります。これはまさに、今回、日弁連が改正案と言っている、事実誤認があると疑うに足りる証拠と同じことであります。
そうしますと、同じ要件で再審の開始をするということは、結局のところは、四審制、五審制、六審制、七審制、八審制、九審制、永遠に審理が続くということであります。
ということは、犯罪被害者の立場からしますと、いつまでたっても事件に区切りがつけられない、自分の人生に、事件に区切りをつけて、新たな一歩を踏み出したいと思っているのに、それが永遠に続くということであります。ひょっとしたら、自分が天寿を全うしてしまうそのときまでも、まだ確定しないかもしれない。これでは被害者に対して一生苦しみを与えることになりますから、この要件の緩和については、私は非常に反対でございます。
犯罪被害者からすれば、いつ犯人が、被告人が収監されるか、あるいはいつ死刑が執行されるかについて、毎日祈るような気持ちで待っているわけであります。にもかかわらず、やっと有罪判決が最高裁で確定したのに、また最初からやり直しか、それも、しかも、無罪を言い渡すべき明らかな証拠がなくて、ただ単に今までと同じような上訴の要件だけで裁判をやり直すということになれば、生涯苦しみ続けることになるわけであります。ですから、このようなことについては、私どもは反対であります。
そして、意外と法律家でも忘れている条文があります。それは憲法第七十六条第一項であります。何て書いてあるか。「司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と書いてあります。つまり、憲法上は最高裁判所と一つの下級裁判所があれば合憲なんです。つまり、憲法上は二審制でよろしいんです。
にもかかわらず、今、法律で三審制になっています。それはなぜかといったら、慎重に審理をする、そのために、わざわざ、憲法で二審制と書いてあるものを三審制にしているわけであります。にもかかわらず、ここに更に四審制、五審制、六審制、七審制、八審制、永遠審を設けたら、私は、これは憲法違反の疑いが出てくると思います。
そもそも、事件というのはどこかで社会的な決着をつけなきゃいけません。その決着がつかないで一生苦しみ続けるということは、言ってみれば、犯罪被害者等基本法第三条、犯罪被害者等は、その尊厳が重んじられ、尊厳にふさわしい処遇の保障を受ける権利があるという、その犯罪被害者等基本法にも反すると思います。
したがいまして、被害者が一生苦しみを続けるようなこういう要件の緩和については、ちょっと言葉はきついかもしれませんけれども、主張自体、私は失当ではないかと思っております。
次に、二番目、検察官の不服申立て権についてであります。
不服申立て権、これを禁止するという案が出ておりますが、再審を開始するかどうかの第一審、あれは実は、法律をよく読みますと、合議である必要はないんですね。一人の裁判官で決定することも法律上は許されております。そうしますと、不服申立て権がないということは、たった一人の裁判官の判断だけで再審かどうかが決まってしまうということであります。これは、裁判官が非常に優秀で人格的にも優れているということが大前提になっていると思うんですが、実際は本当にそうなんでしょうか。
私はいろいろな事件に携わってきました。物理の法則とか、あるいは数学的な能力、そういった基本的なことすらも理解していない、そういう裁判官も見てまいりました。特に性犯罪におきましては、ちょっと被害者の立場から見ると認知にゆがみがあるんじゃないかと思われるような裁判官すらたくさんおりました。そうしたときに、たった一人の裁判官が再審の開始を決定する、それで、これに対して不服申立てができない、本当にこれでよろしいんでしょうか。私は大変な疑問を持っております。
そもそも、裁判官が優秀であり人格的にも優れている、そういう前提が私は誤っているのではないかと思います。裁判官に対する審査というのは、下級裁判官に対してはたった十年に一回だけ審議をするだけです。最高裁になりますと、もうほとんど機能していない国民審査制度しかありません。下級裁判官に対して再任拒否するのは三つしかないんです、理由は。一つは、眠っていた。二つ目、記録を読んでいない。三つ目、暴言を吐いた。当たり前です、こんなことは。内容については一切問わずに再任されます。
もちろん裁判官の独立はありますから、係属中の裁判に対して介入すべきではありません。昔は、平賀書簡事件というのがあって、係属中の裁判官に対して、違憲判決を出そうとしたから、一審の所長が一先輩のアドバイスということで手紙を書いて、国会で大問題になりました。しかし、裁判が確定したらどうでしょうか。そうしたら、本当にその裁判の内容がよかったのか、正しかったのかどうか、裁判所の中で検証すべきではないでしょうか。
裁判官に独立がある、独立があるのであれば、自浄能力がなきゃ駄目です。もちろん、こんな偉そうなことを言っていますが、正直言いまして、私どもが入っている弁護士会が一番自浄能力がありません。それは認めます。しかし、裁判所は判断権者なんですから、独立が認められている以上は自浄能力がなきゃ駄目です。それがないというところが非常に大きな問題だと思っております。それにもかかわらず不服申立て権を認めないというのは、いかがなものでしょうか。
次に、日弁連の資料によりますと、不服申立てをした十七件のうち十二件で再審開始決定が確定したということであります。これは、逆に言いますと、五件は不服申立てが認められたということであります。不服申立て権がもしなければ、この五件は逆冤罪になります。
被害者とすれば、Aさんが犯人だと思って執行されるのをずっと待っていた、ところが、ある日突然、この人は罪は犯しているかもしれないけれども、犯していないんだよと言われる。被害者は、亡くなった子供とか配偶者の墓前に何と報告するんでしょうか。こんなことが認められるのは、私は不正義だと思います。
こういった日弁連の再審法の改正法というのは、被害者を本当に苦しめ続けることになります。ですから、再審法の改正に当たりましては、被害者の立場にもどうか配慮していただきたい、これが一番の願いであります。
続いて、証拠の開示であります。
証拠の開示については、私は賛成であります。早く証拠は開示してください。
しかし、理由が全く違います。私どもが言っている証拠の開示を早くしてくれというのは、例えば、三十年たってから証拠を開示して冤罪だと分かった、じゃ、被害者はどうするんだ。もう時効になっているじゃないですか、真犯人は。もちろん殺人事件は、時効は廃止されました。しかし、三十年もたっていれば、もう証拠は存在しません。散逸しています。証人は死んでいます。事実上、捕まりません。被害者はどうすればいいんでしょう。今までこの人が犯人だとずっと思っていたのに、いや、もうあの人は無罪なんですよ、ひょっとしたら、真犯人はあなたの隣に座っているかもしれませんよ、あるいは、スーパーでにこにこして笑いながらあなたを通り過ぎているかもしれませんよ、こういう事態になってしまう。これは耐え難い。
だから、一日も早く、本当に冤罪であるならば、記録を全部開示していただいて、早く冤罪かどうかを決めていただいて、真犯人を捕まえるための時間的な余裕をいただきたい。そういう意味で、記録は開示していただきたいということであります。
ただし、条件付であります。性犯罪の被害者というのは、事実を隠して生活をしております。結婚する際にも言わないことが多いです。いつ再審で蒸し返されるかもしれないと思いますと、安心して生活することがとてもできません。
刑法改正によって撮影罪、いわゆる盗撮罪ができました。この規定によると、検察官は性的画像を消去、破棄できるようになりました。再審になってそれらの客観的な証拠がない、無罪になるんでしょうか。いや、そうではない。だったら、性的画像を保存しておけばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、そのような画像が世の中に存在しているということ自体が性犯罪の被害者にとっては耐え難い苦痛なんです。もし性的な画像を消去、破棄できないようにするのであれば、先ほどの刑法改正の趣旨に今度は反することになります。
しかも、性犯罪は、不合理な否認をする人が非常に多いです。被害者は、加害者が有罪になっても、逆恨みして更に仕返ししてくるんじゃないかといつも恐れております。そういう加害者に限って、再審開始の乱発をいたします。被害者は一生おびえ続けなければいけません。
したがいまして、性的画像については物理的に破棄し、再審開始決定に当たっての開示の対象からは物理的に除去していただきたい。これが条件付の証拠開示についての賛成であります。
続きまして、裁判官の忌避と除斥ですけれども、これは当然であります。当たり前のことです。利益相反です。しかし、これを検察官の責任にしてはいけません。そもそも、この手だてをしてこなかったのは裁判所です。裁判所の私は手抜きだと思っております。
五番目、再審請求手続の義務的死刑執行停止なんですが、これを認めたら、死刑執行を免れるために、再審請求が、再審開始のための請求が乱発されます。永遠に死刑が執行できないことになります。被害者は永遠に回復できません。こういった義務的な死刑の執行停止というのは、結局のところは、死刑制度を事実上廃止したいという死刑制度廃止派の隠れみのではないかと被害者からは見えます。
そのようなわけで、要件緩和については、これは大反対、不服申立て権の禁止も大反対であります。そして、証拠の開示については条件付で賛成、除斥と忌避は当然、義務的死刑執行停止は死刑制度廃止と同じことですから、反対であります。
以上であります。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、平成三十年に一度解散いたしました、あすの会のときに副代表幹事をやっておりまして、被害者参加制度の創設に深く携わらせていただきました。弁護士になって二十六年になりますけれども、ほぼ途切れなく被害者支援の仕事ばかりしてまいりました。今回は、犯罪被害者の立場からは、再審法について意見を述べさせていただきたいと思っております。
幾つか論点がありますけれども、まず一番最初に申し上げたいのは、要件の緩和についてでございます。
日本弁護士連合会は、確かに、現行法では、無罪などを言い渡すべき明らかな証拠がある場合、そういう場合のみしか再審の開始ができない、そこに対して、事実誤認があると疑うに足りる証拠があれば再審の開始ができるという改正法を案として提示しております。
そもそも、罪を犯したことについて合理的な疑いを超える余地がない、その程度の立証があったからこそ、地裁、高裁、最高裁で有罪、無罪が決まったわけであります。地裁、高裁、最高裁に上訴するに当たっての要件というのは、まさに、罪を犯したことについて合理的な疑いがあるかどうか、これを審議するわけであります。これはまさに、今回、日弁連が改正案と言っている、事実誤認があると疑うに足りる証拠と同じことであります。
そうしますと、同じ要件で再審の開始をするということは、結局のところは、四審制、五審制、六審制、七審制、八審制、九審制、永遠に審理が続くということであります。
ということは、犯罪被害者の立場からしますと、いつまでたっても事件に区切りがつけられない、自分の人生に、事件に区切りをつけて、新たな一歩を踏み出したいと思っているのに、それが永遠に続くということであります。ひょっとしたら、自分が天寿を全うしてしまうそのときまでも、まだ確定しないかもしれない。これでは被害者に対して一生苦しみを与えることになりますから、この要件の緩和については、私は非常に反対でございます。
犯罪被害者からすれば、いつ犯人が、被告人が収監されるか、あるいはいつ死刑が執行されるかについて、毎日祈るような気持ちで待っているわけであります。にもかかわらず、やっと有罪判決が最高裁で確定したのに、また最初からやり直しか、それも、しかも、無罪を言い渡すべき明らかな証拠がなくて、ただ単に今までと同じような上訴の要件だけで裁判をやり直すということになれば、生涯苦しみ続けることになるわけであります。ですから、このようなことについては、私どもは反対であります。
そして、意外と法律家でも忘れている条文があります。それは憲法第七十六条第一項であります。何て書いてあるか。「司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と書いてあります。つまり、憲法上は最高裁判所と一つの下級裁判所があれば合憲なんです。つまり、憲法上は二審制でよろしいんです。
にもかかわらず、今、法律で三審制になっています。それはなぜかといったら、慎重に審理をする、そのために、わざわざ、憲法で二審制と書いてあるものを三審制にしているわけであります。にもかかわらず、ここに更に四審制、五審制、六審制、七審制、八審制、永遠審を設けたら、私は、これは憲法違反の疑いが出てくると思います。
そもそも、事件というのはどこかで社会的な決着をつけなきゃいけません。その決着がつかないで一生苦しみ続けるということは、言ってみれば、犯罪被害者等基本法第三条、犯罪被害者等は、その尊厳が重んじられ、尊厳にふさわしい処遇の保障を受ける権利があるという、その犯罪被害者等基本法にも反すると思います。
したがいまして、被害者が一生苦しみを続けるようなこういう要件の緩和については、ちょっと言葉はきついかもしれませんけれども、主張自体、私は失当ではないかと思っております。
次に、二番目、検察官の不服申立て権についてであります。
不服申立て権、これを禁止するという案が出ておりますが、再審を開始するかどうかの第一審、あれは実は、法律をよく読みますと、合議である必要はないんですね。一人の裁判官で決定することも法律上は許されております。そうしますと、不服申立て権がないということは、たった一人の裁判官の判断だけで再審かどうかが決まってしまうということであります。これは、裁判官が非常に優秀で人格的にも優れているということが大前提になっていると思うんですが、実際は本当にそうなんでしょうか。
私はいろいろな事件に携わってきました。物理の法則とか、あるいは数学的な能力、そういった基本的なことすらも理解していない、そういう裁判官も見てまいりました。特に性犯罪におきましては、ちょっと被害者の立場から見ると認知にゆがみがあるんじゃないかと思われるような裁判官すらたくさんおりました。そうしたときに、たった一人の裁判官が再審の開始を決定する、それで、これに対して不服申立てができない、本当にこれでよろしいんでしょうか。私は大変な疑問を持っております。
そもそも、裁判官が優秀であり人格的にも優れている、そういう前提が私は誤っているのではないかと思います。裁判官に対する審査というのは、下級裁判官に対してはたった十年に一回だけ審議をするだけです。最高裁になりますと、もうほとんど機能していない国民審査制度しかありません。下級裁判官に対して再任拒否するのは三つしかないんです、理由は。一つは、眠っていた。二つ目、記録を読んでいない。三つ目、暴言を吐いた。当たり前です、こんなことは。内容については一切問わずに再任されます。
もちろん裁判官の独立はありますから、係属中の裁判に対して介入すべきではありません。昔は、平賀書簡事件というのがあって、係属中の裁判官に対して、違憲判決を出そうとしたから、一審の所長が一先輩のアドバイスということで手紙を書いて、国会で大問題になりました。しかし、裁判が確定したらどうでしょうか。そうしたら、本当にその裁判の内容がよかったのか、正しかったのかどうか、裁判所の中で検証すべきではないでしょうか。
裁判官に独立がある、独立があるのであれば、自浄能力がなきゃ駄目です。もちろん、こんな偉そうなことを言っていますが、正直言いまして、私どもが入っている弁護士会が一番自浄能力がありません。それは認めます。しかし、裁判所は判断権者なんですから、独立が認められている以上は自浄能力がなきゃ駄目です。それがないというところが非常に大きな問題だと思っております。それにもかかわらず不服申立て権を認めないというのは、いかがなものでしょうか。
次に、日弁連の資料によりますと、不服申立てをした十七件のうち十二件で再審開始決定が確定したということであります。これは、逆に言いますと、五件は不服申立てが認められたということであります。不服申立て権がもしなければ、この五件は逆冤罪になります。
被害者とすれば、Aさんが犯人だと思って執行されるのをずっと待っていた、ところが、ある日突然、この人は罪は犯しているかもしれないけれども、犯していないんだよと言われる。被害者は、亡くなった子供とか配偶者の墓前に何と報告するんでしょうか。こんなことが認められるのは、私は不正義だと思います。
こういった日弁連の再審法の改正法というのは、被害者を本当に苦しめ続けることになります。ですから、再審法の改正に当たりましては、被害者の立場にもどうか配慮していただきたい、これが一番の願いであります。
続いて、証拠の開示であります。
証拠の開示については、私は賛成であります。早く証拠は開示してください。
しかし、理由が全く違います。私どもが言っている証拠の開示を早くしてくれというのは、例えば、三十年たってから証拠を開示して冤罪だと分かった、じゃ、被害者はどうするんだ。もう時効になっているじゃないですか、真犯人は。もちろん殺人事件は、時効は廃止されました。しかし、三十年もたっていれば、もう証拠は存在しません。散逸しています。証人は死んでいます。事実上、捕まりません。被害者はどうすればいいんでしょう。今までこの人が犯人だとずっと思っていたのに、いや、もうあの人は無罪なんですよ、ひょっとしたら、真犯人はあなたの隣に座っているかもしれませんよ、あるいは、スーパーでにこにこして笑いながらあなたを通り過ぎているかもしれませんよ、こういう事態になってしまう。これは耐え難い。
だから、一日も早く、本当に冤罪であるならば、記録を全部開示していただいて、早く冤罪かどうかを決めていただいて、真犯人を捕まえるための時間的な余裕をいただきたい。そういう意味で、記録は開示していただきたいということであります。
ただし、条件付であります。性犯罪の被害者というのは、事実を隠して生活をしております。結婚する際にも言わないことが多いです。いつ再審で蒸し返されるかもしれないと思いますと、安心して生活することがとてもできません。
刑法改正によって撮影罪、いわゆる盗撮罪ができました。この規定によると、検察官は性的画像を消去、破棄できるようになりました。再審になってそれらの客観的な証拠がない、無罪になるんでしょうか。いや、そうではない。だったら、性的画像を保存しておけばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、そのような画像が世の中に存在しているということ自体が性犯罪の被害者にとっては耐え難い苦痛なんです。もし性的な画像を消去、破棄できないようにするのであれば、先ほどの刑法改正の趣旨に今度は反することになります。
しかも、性犯罪は、不合理な否認をする人が非常に多いです。被害者は、加害者が有罪になっても、逆恨みして更に仕返ししてくるんじゃないかといつも恐れております。そういう加害者に限って、再審開始の乱発をいたします。被害者は一生おびえ続けなければいけません。
したがいまして、性的画像については物理的に破棄し、再審開始決定に当たっての開示の対象からは物理的に除去していただきたい。これが条件付の証拠開示についての賛成であります。
続きまして、裁判官の忌避と除斥ですけれども、これは当然であります。当たり前のことです。利益相反です。しかし、これを検察官の責任にしてはいけません。そもそも、この手だてをしてこなかったのは裁判所です。裁判所の私は手抜きだと思っております。
五番目、再審請求手続の義務的死刑執行停止なんですが、これを認めたら、死刑執行を免れるために、再審請求が、再審開始のための請求が乱発されます。永遠に死刑が執行できないことになります。被害者は永遠に回復できません。こういった義務的な死刑の執行停止というのは、結局のところは、死刑制度を事実上廃止したいという死刑制度廃止派の隠れみのではないかと被害者からは見えます。
そのようなわけで、要件緩和については、これは大反対、不服申立て権の禁止も大反対であります。そして、証拠の開示については条件付で賛成、除斥と忌避は当然、義務的死刑執行停止は死刑制度廃止と同じことですから、反対であります。
以上であります。御清聴ありがとうございました。拍手
西
島
島田順司#4
○島田参考人 皆様、こんにちは。私は、島田順司と申します。
五年前の二〇二〇年三月十一日に、私は突然逮捕されました。当時、私は、横浜にある化学機械メーカー、大川原化工機株式会社の海外担当の取締役でした。容疑は、大川原化工機が輸出した、牛乳を粉ミルクなどにする噴霧乾燥機、スプレードライヤーが生物兵器に転用可能な機械とみなされ、中国に不正に輸出したというものでした。警視庁公安部は、社長と、設計、開発を担った顧問の相島さんも同時に同じ容疑で逮捕いたしました。
私たち三人は、逮捕の一年ほど前から、延べ九十八回にわたり警察の任意調査に応じてまいりました。また、その間、社員への聴取は延べ二百九十回にも及びました。そして、聞かれたことは全て正直に答え、輸出した噴霧乾燥機は生物兵器への転用は不可能であり、輸出規制には該当しないということを何度も説明しました。
しかし、警察は、私たちを突然逮捕し、勾留、閉じ込め、家族、社員、社会からも分断いたしました。任意聴取の段階で、警察は私が話した内容を調書に記載せず、話してもいない言葉を記載しました。私は、警察を信用できなくなり、逮捕後の取調べに対しては全て黙秘することに決めました。黙秘する私に対し、警察は、弁護士に言われたから黙秘しているんだろう、弁護士の言うことを聞いて失敗した人を多く知っていると不安をあおりました。
黙秘を行使しても、取調べは、三月の三十一日に起訴されるまで二十一日間、ほぼ毎日密室で続きました。そして、その間、録音、録画もなく、弁護士の立会いも許されなかったことはもちろん、メモを取ることさえ許されませんでした。警察は、話したいことはないのか、黙秘しているということは反省していないということかなどと何度も問いかけてきました。
黙秘権の根拠は、憲法の「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」という条文だと弁護士さんから聞きました。しかし、警察は、黙秘権を行使したにもかかわらず、私に対して、自白、つまり不利益な供述を連日取調べで求めてきました。私は、弁護士さんもいなく、たった一人で連日の取調べをされ、自白を迫られている間、黙秘を続けることがこんなに苦しいのかと初めて分かりました。黙秘権の意味は何だったんでしょう。
私たちが勾留されたのは、警察の留置所でした。そこでは番号で呼ばれ、まるで罪を犯した者であるかのように扱われました。移動する際には手錠と腰縄でつながれ、目を合わせるな、下を向けと大声でどなられ、奴隷のような屈辱的な扱いをされました。私たちの処罰は、逮捕の瞬間から始まっていました。その処罰は有罪判決を受けてから始まるべきだと思います。無罪の推定はどこに行ったんでしょうか。
もちろん、メールも電話もできません。しかし、私たちは裁判所から接見禁止決定も出されておりましたので、会えるのは弁護士さんだけでした。私は、家族がどのような状態にあるのか心配でなりませんでした。
このような毎日で、体力、精神力を削られ、早く出るためには罪を認めてしまうのが得策だと悩む日もありました。
現在の法律では、起訴がされるまで保釈は請求できません。そこで、逮捕後二十一日で起訴されるとすぐに、弁護士さんに保釈請求を出していただきました。しかし、裁判所はこれを却下。理由は、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるというものでした。
証拠隠滅のおそれといっても、警察は、大川原化工機を強制捜査してあらゆる資料を押収した上に、一年半にもわたる任意調査の調べでたくさんの調書を作っておりました。今更隠滅する証拠など何もないのです。裁判所は、社員と会わないという保釈条件もつけることができますし、保釈条件を破れば保釈を取消しできます。条件をつけた上でも、すぐに保釈してほしかったです。
結局、保釈請求は五回も却下されました。毎回、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると言われました。そして、二〇二一年二月四日、六回目の保釈請求がとうとう認められるまでに、実に三百三十二日間も拘束されました。実行が不可能な証拠の隠滅のおそれを理由に、無罪を推定されているはずの被疑者に、これほど長く拘束し、人の自由を奪うということは、大きな人権の問題だと私は思います。
逮捕から、六か月後、事件は急展開を見せました。二〇二一年七月三十日、初公判の四日前、突然、検察は公訴を取り消しました。つまり、犯罪ではなく、我々は無実だということです。結局、刑事公判は始まることなく終了いたしました。
しかし、私たちと一緒に逮捕された同僚の相島さんは最後まで保釈が認められず、間違った起訴、勾留により劣悪な環境に拘束され続け、適切な病気治療もなされず、無実を知らされないまま、二〇二一年二月の七日、他界しました。
また、私たちが起こした国家賠償請求訴訟に対し、東京地方裁判所は、昨年十二月二十七日、警察の逮捕や取調べ、そして検察の起訴が違法だと認め、国と東京都に一億六千万の賠償を命じました。裁判では、現役の警視庁公安部の捜査員が、捜査は捏造だと証言しました。
このような冤罪事件を再発させないために、是非、国会議員の皆様には、早急に、このような不正義と悲劇を許してしまうような法制度を改正していただきたいと思います。
まず、取調べのやり方ですが、私は、一年半の任意の取調べの間に三十九回の取調べを受けました。その間、私が何回も何回も供述した事実を警察は調書に記載しませんでした。私は事実を残す必要があると考え、録音しました。この結果、国家賠償請求訴訟で、私が明確に不正を否定しているということが立証できました。録音、録画は取調べの事実を明らかにする唯一の方法であり、捜査側にとっても何ら支障がないはずです。
国会議員の皆様には、全ての被疑者、参考人に対するあらゆる検察、警察の聴取や取調べを録音、録画する法改正をお願いいたします。そして、早急に、メモさえ取れないということが起きないような制度改正をお願いいたします。また、少なくとも、全て聴取の録音、録画が実現されるまでの間、ICレコーダー等での録音を妨げない制度改正をお願いいたします。
最後に、疑いがあるというだけで長期の身柄拘束を正当化し、接見禁止決定を出して家族とさえ接触を禁止し、精神的に追い詰め、自白を求める今の人質司法という制度を一日も早く是正していただきたいと思います。そのためにも、家族との接見を禁止する制度はすぐに廃止していただきたいと思います。
そして、亡くなった相島さんを含め、私たちを勾留し続ける理由となった法律の文言、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」は削除していただき、無罪の推定が及んでいる人間を拘束しないという近代国家の原則に沿った内容に改正していただきたいと思います。
そして、二度とこのような冤罪事件が起こらないよう、お願いいたします。拍手
この発言だけを見る →五年前の二〇二〇年三月十一日に、私は突然逮捕されました。当時、私は、横浜にある化学機械メーカー、大川原化工機株式会社の海外担当の取締役でした。容疑は、大川原化工機が輸出した、牛乳を粉ミルクなどにする噴霧乾燥機、スプレードライヤーが生物兵器に転用可能な機械とみなされ、中国に不正に輸出したというものでした。警視庁公安部は、社長と、設計、開発を担った顧問の相島さんも同時に同じ容疑で逮捕いたしました。
私たち三人は、逮捕の一年ほど前から、延べ九十八回にわたり警察の任意調査に応じてまいりました。また、その間、社員への聴取は延べ二百九十回にも及びました。そして、聞かれたことは全て正直に答え、輸出した噴霧乾燥機は生物兵器への転用は不可能であり、輸出規制には該当しないということを何度も説明しました。
しかし、警察は、私たちを突然逮捕し、勾留、閉じ込め、家族、社員、社会からも分断いたしました。任意聴取の段階で、警察は私が話した内容を調書に記載せず、話してもいない言葉を記載しました。私は、警察を信用できなくなり、逮捕後の取調べに対しては全て黙秘することに決めました。黙秘する私に対し、警察は、弁護士に言われたから黙秘しているんだろう、弁護士の言うことを聞いて失敗した人を多く知っていると不安をあおりました。
黙秘を行使しても、取調べは、三月の三十一日に起訴されるまで二十一日間、ほぼ毎日密室で続きました。そして、その間、録音、録画もなく、弁護士の立会いも許されなかったことはもちろん、メモを取ることさえ許されませんでした。警察は、話したいことはないのか、黙秘しているということは反省していないということかなどと何度も問いかけてきました。
黙秘権の根拠は、憲法の「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」という条文だと弁護士さんから聞きました。しかし、警察は、黙秘権を行使したにもかかわらず、私に対して、自白、つまり不利益な供述を連日取調べで求めてきました。私は、弁護士さんもいなく、たった一人で連日の取調べをされ、自白を迫られている間、黙秘を続けることがこんなに苦しいのかと初めて分かりました。黙秘権の意味は何だったんでしょう。
私たちが勾留されたのは、警察の留置所でした。そこでは番号で呼ばれ、まるで罪を犯した者であるかのように扱われました。移動する際には手錠と腰縄でつながれ、目を合わせるな、下を向けと大声でどなられ、奴隷のような屈辱的な扱いをされました。私たちの処罰は、逮捕の瞬間から始まっていました。その処罰は有罪判決を受けてから始まるべきだと思います。無罪の推定はどこに行ったんでしょうか。
もちろん、メールも電話もできません。しかし、私たちは裁判所から接見禁止決定も出されておりましたので、会えるのは弁護士さんだけでした。私は、家族がどのような状態にあるのか心配でなりませんでした。
このような毎日で、体力、精神力を削られ、早く出るためには罪を認めてしまうのが得策だと悩む日もありました。
現在の法律では、起訴がされるまで保釈は請求できません。そこで、逮捕後二十一日で起訴されるとすぐに、弁護士さんに保釈請求を出していただきました。しかし、裁判所はこれを却下。理由は、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるというものでした。
証拠隠滅のおそれといっても、警察は、大川原化工機を強制捜査してあらゆる資料を押収した上に、一年半にもわたる任意調査の調べでたくさんの調書を作っておりました。今更隠滅する証拠など何もないのです。裁判所は、社員と会わないという保釈条件もつけることができますし、保釈条件を破れば保釈を取消しできます。条件をつけた上でも、すぐに保釈してほしかったです。
結局、保釈請求は五回も却下されました。毎回、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると言われました。そして、二〇二一年二月四日、六回目の保釈請求がとうとう認められるまでに、実に三百三十二日間も拘束されました。実行が不可能な証拠の隠滅のおそれを理由に、無罪を推定されているはずの被疑者に、これほど長く拘束し、人の自由を奪うということは、大きな人権の問題だと私は思います。
逮捕から、六か月後、事件は急展開を見せました。二〇二一年七月三十日、初公判の四日前、突然、検察は公訴を取り消しました。つまり、犯罪ではなく、我々は無実だということです。結局、刑事公判は始まることなく終了いたしました。
しかし、私たちと一緒に逮捕された同僚の相島さんは最後まで保釈が認められず、間違った起訴、勾留により劣悪な環境に拘束され続け、適切な病気治療もなされず、無実を知らされないまま、二〇二一年二月の七日、他界しました。
また、私たちが起こした国家賠償請求訴訟に対し、東京地方裁判所は、昨年十二月二十七日、警察の逮捕や取調べ、そして検察の起訴が違法だと認め、国と東京都に一億六千万の賠償を命じました。裁判では、現役の警視庁公安部の捜査員が、捜査は捏造だと証言しました。
このような冤罪事件を再発させないために、是非、国会議員の皆様には、早急に、このような不正義と悲劇を許してしまうような法制度を改正していただきたいと思います。
まず、取調べのやり方ですが、私は、一年半の任意の取調べの間に三十九回の取調べを受けました。その間、私が何回も何回も供述した事実を警察は調書に記載しませんでした。私は事実を残す必要があると考え、録音しました。この結果、国家賠償請求訴訟で、私が明確に不正を否定しているということが立証できました。録音、録画は取調べの事実を明らかにする唯一の方法であり、捜査側にとっても何ら支障がないはずです。
国会議員の皆様には、全ての被疑者、参考人に対するあらゆる検察、警察の聴取や取調べを録音、録画する法改正をお願いいたします。そして、早急に、メモさえ取れないということが起きないような制度改正をお願いいたします。また、少なくとも、全て聴取の録音、録画が実現されるまでの間、ICレコーダー等での録音を妨げない制度改正をお願いいたします。
最後に、疑いがあるというだけで長期の身柄拘束を正当化し、接見禁止決定を出して家族とさえ接触を禁止し、精神的に追い詰め、自白を求める今の人質司法という制度を一日も早く是正していただきたいと思います。そのためにも、家族との接見を禁止する制度はすぐに廃止していただきたいと思います。
そして、亡くなった相島さんを含め、私たちを勾留し続ける理由となった法律の文言、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」は削除していただき、無罪の推定が及んでいる人間を拘束しないという近代国家の原則に沿った内容に改正していただきたいと思います。
そして、二度とこのような冤罪事件が起こらないよう、お願いいたします。拍手
西
藤
藤井敏明#6
○藤井参考人 藤井と申します。よろしくお願いいたします。
私は、令和三年六月に裁判官を定年退官いたしまして、翌年の四月から日本大学法科大学院で刑法と刑事訴訟法の講座を担当して三年になります。裁判官時代には司法研修所の教官というのも経験しておりまして、そのときの最も優秀な教え子の一人が篠田委員でございます。
それでは、本題に入ります。
本日は、元裁判官という立場から、冤罪が起こる原因、理由として考えられるものと、それを減らすための改善策について所見を申し上げます。
冤罪という言葉には、罪がないのに罰せられることに限定する使い方もありまして、この場合には誤判という言葉と同じ意味になると思うんですが、本日は、罪がないのに疑われることも含めた広い意味で使わせていただきます。
犯罪が起きたときに、適正な捜査、裁判を行って、有罪となった被告人には犯罪に応じた刑罰を科すということは、国家の責務だと思います。犯罪が放置されれば、国民の正義感は害されますし、社会的な不安も起こり、犯罪被害者は置き去りにされます。
他方で、本当は犯罪と無関係な人を誤って捜査対象として有罪とすることは著しい人権侵害であり、あってはならないと思います。これでは、犯罪に関する国家の責務も果たされたわけではなく、犯罪被害者に対する救済にもなりません。
冤罪が起こるそもそもの原因は、犯罪がないのに、あるいは犯罪に無関係なのに、捜査機関が間違って、人を被疑者として捜査を始めることだと思います。
報道によりますと、島田さんの大川原化工機事件、あるいは次にお話しされる村木さんの郵便不正事件などにおいては、捜査機関が、よく言えばその責務を果たそうとして、悪く言えばその存在価値を示すために、もっと卑近な言葉を使えば手柄を立てようとして、誤った見込みに基づく捜査が行われたというふうに言われております。
このような動機が捜査機関にない場合であっても、マスコミの報道などによって世間の注目を集める事件になりますと、捜査機関に向けた犯人を検挙せよという社会的プレッシャーは大変強くなりまして、そのために無理のある捜査が行われるという危険性もあると思います。
冤罪が明らかになれば国民の捜査機関に対する信頼が損なわれますので、捜査機関におかれては、間違いの原因を検証し、対策をお考えになると思います。しかし、今述べたような捜査を開始する動機はなくなるわけではありませんし、人間はどうしても時に間違いを犯すことを免れないものでありますから、誤った見込みに基づく捜査あるいは無理のある捜査、その結果としての間違った起訴が行われる可能性はなくならないというふうに考えております。
そこで、冤罪による被害をできるだけ少なくするためには、捜査対象となった人に自分で防御する手段を与えることだと思います。平成十八年から始まった被疑者国選弁護人の制度は大きな改善であって、現在、誤判であったと言われる事件のうちの多くは、そのような制度がなかった時代に起きたものであります。
被疑者の段階で弁護人がついていても、防御の手段が不十分であれば効果は限定されます。捜査機関が収集した証拠に対するアクセスをある程度認めることや、弁護人が取調べに立ち会うことを検討する必要があると思います。これらが認められている国は少なくありませんが、我が国では認められておりません。
捜査機関の誤った見込みに沿った虚偽の自白あるいは虚偽の供述が生まれますと、誤判につながる危険は大きくなります。
平成二十八年の刑事訴訟法の改正で、取調べの録音、録画の制度が導入され、不適切な取調べによって供述を強要するような行為はそれだけ抑制されたと思います。しかし、録音、録画の下でも不適切な取調べが行われる場合のあることは、最近の幾つかの事件で明らかになっております。
しかも、この制度は、対象事件に限定がある上、逮捕又は勾留された被疑者の取調べのみに適用されます。検察庁では、それ以外の事件でも録音、録画を実施する運用をされていまして、今後、身柄を拘束しない在宅事件の一部でも録音、録画を開始すると伺っておりますが、警察庁は消極的な姿勢です。
制度として、録音、録画の対象を広げる必要があると思います。また、最高検察庁は、不適切な取調べを減らすように指導されていますけれども、最も効果があると考えられるのは、弁護人の立会いを認めることではないかと考えます。
冤罪による被害を少なくするためには、被告人の保釈を積極的に認めることも必要と考えております。
現在の裁判所の実務では、起訴された事実を認める被告人と比べ、否認している被告人に保釈が認められる割合は低く、保釈される場合でも、その時期は遅くなっています。このことが虚偽の自白や虚偽の供述を生む原因になっています。
被告人には保釈を受ける権利がありますが、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは例外とされています。私は、大川原化工機事件についてある記者の方から取材を受けたことをきっかけに、この例外の解釈を改めて、保釈をもっと広く認める運用をすべきものと考えるようになりまして、そのことを提言した小論を、最近、大学の論文集に寄稿いたしました。
詳しい内容を御説明する時間はありませんが、結論だけ言いますと、被告人は有罪判決を受けるまでは無罪と推定されるはずなのに、島田さんや村木さんのように無実の人が起訴された場合も含めて、事実に争いがあると、主張と証拠の整理が相当程度進むまでの間、罪証隠滅のおそれがあるという理由で数か月以上も勾留されるという実務の現状は、正当な理由がなければ身体を拘束されないということを保障する憲法三十四条の趣旨に反する疑いがあると考えております。
誤判が生じて、刑が執行されてしまうことは最も深刻な冤罪です。ただ、我が国の検察官は、有罪判決が得られる高度の見込みがある場合に限って起訴する方針とされていますので、誤判が判明した事件でも有罪方向の証拠は相応に存在いたします。
したがって、誤判を避けるためには、開示された証拠を十分に活用した有効な弁護活動が行われる必要があると考えます。捜査機関の収集した証拠の中には、被告人に有利な方向の証拠が存在することも少なくありません。
有効な弁護活動には、優れた法廷技術が必要です。取り調べた証拠が同じでも、弁護人が主張をどのように組み立てるかによって裁判官の証拠評価は大きく変わる可能性があります。さらに、弁護人による反対尋問の技術によって、証人の証言内容、その信用性は大きく左右される可能性があります。
過去に深刻な冤罪事件が発覚した際、裁判所では、事実認定にどのような問題があったのかを研究して、これを教訓として、判断の手法を改善してきました。しかし、捏造された証拠が提出されたり、被告人に有利な証拠が隠されたりすれば、正しい判断を行うことは困難です。現在、再審手続に関する法改正が検討されておりますが、再審手続にも証拠開示の制度が必要だと考えます。
裁判官は、中立で公平な証拠の見方をしなければならず、そのように心がけていると思います。しかし、事実を否認する被告人に対しても有罪判決をする経験を重ねることによりまして、被告人に対する職業的なバイアスが裁判官に形成される危険性は否定できないと思います。
国民の中から事件ごとに選ばれる裁判員には、このような意味のバイアスはございません。具体的な事件において、裁判官が裁判員と協働して真摯に意見交換をすることによって、その事件における職業的なバイアスの影響は相当程度まで回避できるのではないかと考えております。また、そのような経験を積み重ねることを通じまして、私は、裁判官が自らの職業的なバイアスを自覚することができる可能性があると考え、また、そのように期待もしております。
本日は、どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、令和三年六月に裁判官を定年退官いたしまして、翌年の四月から日本大学法科大学院で刑法と刑事訴訟法の講座を担当して三年になります。裁判官時代には司法研修所の教官というのも経験しておりまして、そのときの最も優秀な教え子の一人が篠田委員でございます。
それでは、本題に入ります。
本日は、元裁判官という立場から、冤罪が起こる原因、理由として考えられるものと、それを減らすための改善策について所見を申し上げます。
冤罪という言葉には、罪がないのに罰せられることに限定する使い方もありまして、この場合には誤判という言葉と同じ意味になると思うんですが、本日は、罪がないのに疑われることも含めた広い意味で使わせていただきます。
犯罪が起きたときに、適正な捜査、裁判を行って、有罪となった被告人には犯罪に応じた刑罰を科すということは、国家の責務だと思います。犯罪が放置されれば、国民の正義感は害されますし、社会的な不安も起こり、犯罪被害者は置き去りにされます。
他方で、本当は犯罪と無関係な人を誤って捜査対象として有罪とすることは著しい人権侵害であり、あってはならないと思います。これでは、犯罪に関する国家の責務も果たされたわけではなく、犯罪被害者に対する救済にもなりません。
冤罪が起こるそもそもの原因は、犯罪がないのに、あるいは犯罪に無関係なのに、捜査機関が間違って、人を被疑者として捜査を始めることだと思います。
報道によりますと、島田さんの大川原化工機事件、あるいは次にお話しされる村木さんの郵便不正事件などにおいては、捜査機関が、よく言えばその責務を果たそうとして、悪く言えばその存在価値を示すために、もっと卑近な言葉を使えば手柄を立てようとして、誤った見込みに基づく捜査が行われたというふうに言われております。
このような動機が捜査機関にない場合であっても、マスコミの報道などによって世間の注目を集める事件になりますと、捜査機関に向けた犯人を検挙せよという社会的プレッシャーは大変強くなりまして、そのために無理のある捜査が行われるという危険性もあると思います。
冤罪が明らかになれば国民の捜査機関に対する信頼が損なわれますので、捜査機関におかれては、間違いの原因を検証し、対策をお考えになると思います。しかし、今述べたような捜査を開始する動機はなくなるわけではありませんし、人間はどうしても時に間違いを犯すことを免れないものでありますから、誤った見込みに基づく捜査あるいは無理のある捜査、その結果としての間違った起訴が行われる可能性はなくならないというふうに考えております。
そこで、冤罪による被害をできるだけ少なくするためには、捜査対象となった人に自分で防御する手段を与えることだと思います。平成十八年から始まった被疑者国選弁護人の制度は大きな改善であって、現在、誤判であったと言われる事件のうちの多くは、そのような制度がなかった時代に起きたものであります。
被疑者の段階で弁護人がついていても、防御の手段が不十分であれば効果は限定されます。捜査機関が収集した証拠に対するアクセスをある程度認めることや、弁護人が取調べに立ち会うことを検討する必要があると思います。これらが認められている国は少なくありませんが、我が国では認められておりません。
捜査機関の誤った見込みに沿った虚偽の自白あるいは虚偽の供述が生まれますと、誤判につながる危険は大きくなります。
平成二十八年の刑事訴訟法の改正で、取調べの録音、録画の制度が導入され、不適切な取調べによって供述を強要するような行為はそれだけ抑制されたと思います。しかし、録音、録画の下でも不適切な取調べが行われる場合のあることは、最近の幾つかの事件で明らかになっております。
しかも、この制度は、対象事件に限定がある上、逮捕又は勾留された被疑者の取調べのみに適用されます。検察庁では、それ以外の事件でも録音、録画を実施する運用をされていまして、今後、身柄を拘束しない在宅事件の一部でも録音、録画を開始すると伺っておりますが、警察庁は消極的な姿勢です。
制度として、録音、録画の対象を広げる必要があると思います。また、最高検察庁は、不適切な取調べを減らすように指導されていますけれども、最も効果があると考えられるのは、弁護人の立会いを認めることではないかと考えます。
冤罪による被害を少なくするためには、被告人の保釈を積極的に認めることも必要と考えております。
現在の裁判所の実務では、起訴された事実を認める被告人と比べ、否認している被告人に保釈が認められる割合は低く、保釈される場合でも、その時期は遅くなっています。このことが虚偽の自白や虚偽の供述を生む原因になっています。
被告人には保釈を受ける権利がありますが、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは例外とされています。私は、大川原化工機事件についてある記者の方から取材を受けたことをきっかけに、この例外の解釈を改めて、保釈をもっと広く認める運用をすべきものと考えるようになりまして、そのことを提言した小論を、最近、大学の論文集に寄稿いたしました。
詳しい内容を御説明する時間はありませんが、結論だけ言いますと、被告人は有罪判決を受けるまでは無罪と推定されるはずなのに、島田さんや村木さんのように無実の人が起訴された場合も含めて、事実に争いがあると、主張と証拠の整理が相当程度進むまでの間、罪証隠滅のおそれがあるという理由で数か月以上も勾留されるという実務の現状は、正当な理由がなければ身体を拘束されないということを保障する憲法三十四条の趣旨に反する疑いがあると考えております。
誤判が生じて、刑が執行されてしまうことは最も深刻な冤罪です。ただ、我が国の検察官は、有罪判決が得られる高度の見込みがある場合に限って起訴する方針とされていますので、誤判が判明した事件でも有罪方向の証拠は相応に存在いたします。
したがって、誤判を避けるためには、開示された証拠を十分に活用した有効な弁護活動が行われる必要があると考えます。捜査機関の収集した証拠の中には、被告人に有利な方向の証拠が存在することも少なくありません。
有効な弁護活動には、優れた法廷技術が必要です。取り調べた証拠が同じでも、弁護人が主張をどのように組み立てるかによって裁判官の証拠評価は大きく変わる可能性があります。さらに、弁護人による反対尋問の技術によって、証人の証言内容、その信用性は大きく左右される可能性があります。
過去に深刻な冤罪事件が発覚した際、裁判所では、事実認定にどのような問題があったのかを研究して、これを教訓として、判断の手法を改善してきました。しかし、捏造された証拠が提出されたり、被告人に有利な証拠が隠されたりすれば、正しい判断を行うことは困難です。現在、再審手続に関する法改正が検討されておりますが、再審手続にも証拠開示の制度が必要だと考えます。
裁判官は、中立で公平な証拠の見方をしなければならず、そのように心がけていると思います。しかし、事実を否認する被告人に対しても有罪判決をする経験を重ねることによりまして、被告人に対する職業的なバイアスが裁判官に形成される危険性は否定できないと思います。
国民の中から事件ごとに選ばれる裁判員には、このような意味のバイアスはございません。具体的な事件において、裁判官が裁判員と協働して真摯に意見交換をすることによって、その事件における職業的なバイアスの影響は相当程度まで回避できるのではないかと考えております。また、そのような経験を積み重ねることを通じまして、私は、裁判官が自らの職業的なバイアスを自覚することができる可能性があると考え、また、そのように期待もしております。
本日は、どうもありがとうございました。拍手
西
村
村木厚子#8
○村木参考人 今日は、こういう機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私は、十五年ほど前に、いわゆる郵便不正事件で逮捕されて勾留をされ、百六十四日拘置所で過ごし、一年三か月かけて無罪判決をいただきました。
逮捕された最初の取調べで私が検事から言われたのは、取調べの期間は二十日、二十日の取調べの結果、あなたを起訴するかどうか決めますが、あなたの場合は起訴されることになるでしょう、私の仕事は罪を否認しているあなたの供述を変えさせることですと言われました。そういう形で始まった取調べでした。
この事件を通じて、私自身は、密室の中でいかに不適正な取調べが行われているか、そこで作られる調書というのはいかに真実からかけ離れたものになるのか、それから、普通の市民がそういった取調べの場に置かれたときに本当に簡単に虚偽の自白や供述に追い込まれるのか、否認をすれば身体拘束が長期化をする、そのこと自体が虚偽の自白を迫る道具として使える、裁判官もそのことに無自覚だ、そして身体拘束がどれだけ被疑者、被告人の心身を痛めつけるかということを実感しました。
幸い、私の事件はそういった取調べの実情等々も明らかになり、その事件の反省を基に二〇一六年に改正刑訴法が成立して取調べの録音、録画が義務化をされました。残念ながら、録音、録画の対象事件はごく一部、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限られましたし、また、身体拘束中の取調べのみが対象となっております。
それでも、私は、この法改正には非常に大きな効果があるのではないかと大変期待をしていたんですが、その後も、プレサンス事件ですとか、先ほどお話があった大川原化工機の事件ですとか、参議院の大規模買収事件や五輪談合事件などで不適正な取調べの実態というのが次々に明らかになって、大変憂慮をしています。
実際、検察にストーリーがあって、それに沿った供述を取調べで強制をする、とりわけ立場や性格の弱い人をまず責めて、そこで事実と異なる調書を作って全体の突破口にする、逮捕や勾留の長期化を示唆して脅す、罪が軽くなることを示唆して今度は供述を誘導する、人格否定、大声でどなる、机をたたく、そういったことをして精神的に追い詰めていく、心身の不調を訴える人をいつまでも保釈せず、本当に命を落とす人まで出たといったことが繰り返されています。本当に何も変わらないのかというふうに思わざるを得ません。
特に、いわゆる人質司法ですが、自白の強要はもちろんですけれども、早く出たいがためにほかの人を陥れる供述を強要する道具にもなっているということは、私の事件のときもそうでしたけれども、プレサンスや五輪談合でも同じことが行われていて、本当に早くこの状況を何とかしてほしい、これは裁判官の方にも申し上げたいと思います。
私がこういう経験をしたということもあって、事件の関係者、いろいろな事件の関係者にお目にかかることがよくあるんですが、皆さんが全く同じことを私に言われる。自分が事件に巻き込まれてみて初めて、この国の刑事司法というのはこんなことになっていたのか、それまで全然知らなかったということです。これは私が当時感じたことと全く同じです。こういうことが続いていくと、本当にこの国の刑事司法に対する信頼が失われていくのではないかというふうに思っています。
こういったことを踏まえて是非私がお願いをしたいのは、まずは、全ての取調べの録音、録画、全ての事件、そして在宅や参考人の取調べも録音、録画をしてほしいということです。これがないと、何があったかというのを確認をすることができないわけですから、証明をするすべがないわけですから、まず、録音、録画の義務化の範囲を拡大をしてほしいというふうに思います。
それから、録音、録画があってもひどい取調べが行われているということがだんだん明らかになってきています。これはなぜかといえば、表に出なければいい、ばれなければいいということがあるわけです。今の仕組みですと、例えば、調書を採用するかどうかというようなことが、調書の請求がなければ、ひどい取調べだったと訴えて、それを明らかにしていくすべがないわけですから、ひどい取調べを受けた、そういうことがあったといったときに、取調べの状況がきちんと検証してもらえる、見てもらえる、表に出してもらえるという仕組みを是非入れてほしいと思います。
また、皆様からもお話が出ていますが、人質司法をなくすための仕組みの強化を是非お願いをいたします。
刑訴法が改正をされたときに、録音、録画の仕組みは不十分なものではないかという議論は当時からありました。そのために、改正法を作ったときに附則の九条で三年後の見直しを決めております。このときに、附則では、取調べの録音、録画については、「被疑者の供述の任意性その他の事項についての的確な立証を担保するものであるとともに、取調べの適正な実施に資することを踏まえ、」、制度の在り方について検討を加えるというふうに言われております。
これを受けて、実は、二二年に法務大臣が、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を設置をしてくださいました。この協議会の設置から三年近くがたとうとしているのですが、残念ながらやっと一巡目の議論が終わったというところで、私も役人ですから余りこういう言い方はしたくはないんですが、本当に熱心にやっていただいているとは言い難いゆっくりとしたペースで進んでおりまして、しかも、一般有識者、市民の参加がなく、かつ、マスコミの傍聴もできないというような状況で、申し訳ないですけれども、法務省の消極的な姿勢を非常に憂慮をしているところでございます。
これだけ問題事案が次々と発生をしております。これ以上この問題が放置をされないように、是非立法府においてリーダーシップを取っていただきまして、法改正、運用の改善を早期に実現をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。拍手
この発言だけを見る →私は、十五年ほど前に、いわゆる郵便不正事件で逮捕されて勾留をされ、百六十四日拘置所で過ごし、一年三か月かけて無罪判決をいただきました。
逮捕された最初の取調べで私が検事から言われたのは、取調べの期間は二十日、二十日の取調べの結果、あなたを起訴するかどうか決めますが、あなたの場合は起訴されることになるでしょう、私の仕事は罪を否認しているあなたの供述を変えさせることですと言われました。そういう形で始まった取調べでした。
この事件を通じて、私自身は、密室の中でいかに不適正な取調べが行われているか、そこで作られる調書というのはいかに真実からかけ離れたものになるのか、それから、普通の市民がそういった取調べの場に置かれたときに本当に簡単に虚偽の自白や供述に追い込まれるのか、否認をすれば身体拘束が長期化をする、そのこと自体が虚偽の自白を迫る道具として使える、裁判官もそのことに無自覚だ、そして身体拘束がどれだけ被疑者、被告人の心身を痛めつけるかということを実感しました。
幸い、私の事件はそういった取調べの実情等々も明らかになり、その事件の反省を基に二〇一六年に改正刑訴法が成立して取調べの録音、録画が義務化をされました。残念ながら、録音、録画の対象事件はごく一部、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限られましたし、また、身体拘束中の取調べのみが対象となっております。
それでも、私は、この法改正には非常に大きな効果があるのではないかと大変期待をしていたんですが、その後も、プレサンス事件ですとか、先ほどお話があった大川原化工機の事件ですとか、参議院の大規模買収事件や五輪談合事件などで不適正な取調べの実態というのが次々に明らかになって、大変憂慮をしています。
実際、検察にストーリーがあって、それに沿った供述を取調べで強制をする、とりわけ立場や性格の弱い人をまず責めて、そこで事実と異なる調書を作って全体の突破口にする、逮捕や勾留の長期化を示唆して脅す、罪が軽くなることを示唆して今度は供述を誘導する、人格否定、大声でどなる、机をたたく、そういったことをして精神的に追い詰めていく、心身の不調を訴える人をいつまでも保釈せず、本当に命を落とす人まで出たといったことが繰り返されています。本当に何も変わらないのかというふうに思わざるを得ません。
特に、いわゆる人質司法ですが、自白の強要はもちろんですけれども、早く出たいがためにほかの人を陥れる供述を強要する道具にもなっているということは、私の事件のときもそうでしたけれども、プレサンスや五輪談合でも同じことが行われていて、本当に早くこの状況を何とかしてほしい、これは裁判官の方にも申し上げたいと思います。
私がこういう経験をしたということもあって、事件の関係者、いろいろな事件の関係者にお目にかかることがよくあるんですが、皆さんが全く同じことを私に言われる。自分が事件に巻き込まれてみて初めて、この国の刑事司法というのはこんなことになっていたのか、それまで全然知らなかったということです。これは私が当時感じたことと全く同じです。こういうことが続いていくと、本当にこの国の刑事司法に対する信頼が失われていくのではないかというふうに思っています。
こういったことを踏まえて是非私がお願いをしたいのは、まずは、全ての取調べの録音、録画、全ての事件、そして在宅や参考人の取調べも録音、録画をしてほしいということです。これがないと、何があったかというのを確認をすることができないわけですから、証明をするすべがないわけですから、まず、録音、録画の義務化の範囲を拡大をしてほしいというふうに思います。
それから、録音、録画があってもひどい取調べが行われているということがだんだん明らかになってきています。これはなぜかといえば、表に出なければいい、ばれなければいいということがあるわけです。今の仕組みですと、例えば、調書を採用するかどうかというようなことが、調書の請求がなければ、ひどい取調べだったと訴えて、それを明らかにしていくすべがないわけですから、ひどい取調べを受けた、そういうことがあったといったときに、取調べの状況がきちんと検証してもらえる、見てもらえる、表に出してもらえるという仕組みを是非入れてほしいと思います。
また、皆様からもお話が出ていますが、人質司法をなくすための仕組みの強化を是非お願いをいたします。
刑訴法が改正をされたときに、録音、録画の仕組みは不十分なものではないかという議論は当時からありました。そのために、改正法を作ったときに附則の九条で三年後の見直しを決めております。このときに、附則では、取調べの録音、録画については、「被疑者の供述の任意性その他の事項についての的確な立証を担保するものであるとともに、取調べの適正な実施に資することを踏まえ、」、制度の在り方について検討を加えるというふうに言われております。
これを受けて、実は、二二年に法務大臣が、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を設置をしてくださいました。この協議会の設置から三年近くがたとうとしているのですが、残念ながらやっと一巡目の議論が終わったというところで、私も役人ですから余りこういう言い方はしたくはないんですが、本当に熱心にやっていただいているとは言い難いゆっくりとしたペースで進んでおりまして、しかも、一般有識者、市民の参加がなく、かつ、マスコミの傍聴もできないというような状況で、申し訳ないですけれども、法務省の消極的な姿勢を非常に憂慮をしているところでございます。
これだけ問題事案が次々と発生をしております。これ以上この問題が放置をされないように、是非立法府においてリーダーシップを取っていただきまして、法改正、運用の改善を早期に実現をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。拍手
西
櫻
櫻井鼓#10
○櫻井参考人 皆様、こんにちは。追手門学院大学心理学部の櫻井鼓と申します。
私は、公認心理師、臨床心理士で、専門は犯罪心理学になります。本日は、このような場をいただきましてありがとうございます。
私は、二十一年間、警察の心理職を務めまして、性加害も含む非行少年への援助、そして犯罪被害者等への支援に携わってまいりました。現在では、大学で引き続き犯罪被害者等の支援ですとか研究、そして捜査機関依頼の心理鑑定を行っております。ですので、犯罪被害に携わり始めまして二十七年になります。今日は、自験例ですとか研究を基に、性被害を受けた子供の刑事手続に関する課題につきまして意見を申し上げたいと思っております。
初めに、子供の性被害の現状について御説明いたします。
一つが、性的グルーミングによる手口が散見されるという点です。
グルーミングと申しますのは、法律上は面会要求等罪になりましたけれども、心理学ではもう少し広く、わいせつ目的を持って若年者を手懐ける行為のことを指しております。
特に、SNSやゲームを介したオンライングルーミングの問題というのは非常に大きいと思っております。同じ学校の生徒同士の自画撮り画像要求、それから、知的に課題を抱える子供が同級生からだんだん相手にされなくなって、SNSに関係を求めて被害に遭うということもあります。最近では、推し活、ゲームなど共通の趣味をきっかけとするものも散見されています。身近なアイドルであったり身近に注目されている人が発信しているSNS、それから、悩みを抱えている子供ですとか大人が集まると言われるオンラインゲームを介して知り合って、その後、コンセプトカフェですとかネットカフェで性被害に遭うというようなパターンです。
また、現状の二つ目としまして、最近では、報道が活発になったという影響もあり、潜在化しやすかった男子の性被害、それから監護者性交等の被害の訴えが以前よりは上がってきているというのが体感でもございます。
さて、被害におきましては、子供の脆弱性要因が働いています。加害者との立場の差、知的、発達障害などの障害がございます。しかし、それだけではありません。例えば、グルーミングを考えましても、子供がなぜ被害認識に至らないのか、なぜ会いに行くのかという点も疑問として残るわけです。もちろん、加害者の巧みな手口ということはございますが、資料の二に示します私の研究からも、子供の孤独感ですとか過去の傷つきが影響しているということが分かってきています。子供の性被害においては、こういった子供の特性や背景を踏まえた対応が必要になると言えます。
さて、課題を三点申し上げたいと思います。
一つ目が、聴取者の育成の課題です。
専門的な話をしますと、心理学には共同注意という概念があるんですね。お母さんと子供とが一緒に指して、あれはなあにというふうに言うようなやり取りに表れるものです。人と人とが同じ対象に注意を向けている状態のことです。聴取におきましても、こうした互いの認識が必要になります。
子供に話してもらうということは、擬似的にでも信頼していたグルーミング加害者、そして、虐待親との関係を心の中で断ち切って、あのねというふうに打ち明けてもらうものなんです。ですから、そのためには、聴取者が、子供の障害、トラウマ反応、そして臨床心理に関する知識を得て、関係づくりに努める必要があります。
この点は当然のことでもあるんですけれども、現状ではまだ足りないというふうに言わざるを得ません。解像度を上げますと、更なる課題が見えてまいります。
例えば、障害の有無について、常に捜査側が分かっているとは限りません。通常学級に所属している、日常会話に支障がない、こういったことがイコール知的障害がないということではありませんので、聴取者がある程度、障害について理解しているということが必要になります。
それから、トラウマ反応につきましては、一般的な反応について知ることもそうですが、障害があると更に理解が難しくなります。
被害時に、発達特性に由来する言動を取って、被害か否か疑念が抱かれるというケースがあります。身体障害者の場合も同様です。聴取者の分からなさから、被害に遭っていないように感じられて、二次的被害につながるということがあります。
私は、ある裁判で、もちろん他の事情もあるでしょうけれども、残念ながら無罪という経験もいたしました。この理解の難しさについては、障害者の被害の実態についての実証研究が足りないということも影響していると思います。今後、国として研究が進み、実態をより明らかにする必要もあると感じています。
それから、臨床心理の点です。
私は、司法面接の専門家ではなく、あくまでも司法面接動画を鑑定してきた立場として申し上げますと、面接では子供との関係性が大切と感じられます。聴取というのは心と心のやり取りですので、プロトコル以外の部分でも、臨床心理の知見によって、子供との関係性がつくりやすくなったり、被害を受けた子供の心の動きを捉えやすくなる場面もあるというふうに感じています。
以上から、聴取者の育成、研修を更に充実させることを望みます。
さて、障害の問題に関連しまして補足を申し上げます。
私は、法律は門外漢ですので、細かなところは御寛恕をいただきたいんですけれども、刑法第百七十六条一項第二号の心身の障害に該当する部分になります。障害が重い方の被害の見極めの難しさがあるというふうに感じております。
重度の知的障害者の場合に、行為はあったことは確かだけれども、説明ができないために何があったのかが不明で、本人にも典型的なトラウマ反応は見られないということがあります。障害は被害の遭いやすさにつながりますので、障害に乗じた搾取が行われているのであれば、許されざることです。一方で、成人であれば、本人の自由な意思決定による結果の可能性も残しておりますので、被害か否かを見極めるのが困難な場合があります。今後の研究あるいは検討が必要と感じられる部分です。
課題の二つ目に参ります。子供の証人出廷についてです。
現状では、司法面接が行われていましても出廷をすることはありまして、その際に、ビデオリンク方式や付添人などの配慮がされていたとしても、子供の心理的負担は当然に大きくなります。初めての法廷の場で話せなくなる子供もいます。そうしますと、時には、なぜ子供が話せなかったのかについての心理専門家の意見を求められるということがあります。もちろん、依頼があれば、解離なのか回避なのかといったことなど、何が原因なのかを見極めることになりまして、私も実際に鑑定人として出廷したことがあります。
ただし、そもそも心理的負担が大きいということにもう少し配慮があってもよいと感じられています。私は、大人の犯罪被害者の出廷時の付添人の経験もありますけれども、大人であっても負担は大きいものです。法廷という初めての場で、トラウマ記憶にもう一度触れざるを得ない子供への質問の仕方についてどうあるべきなのか、実施時間はどうなのかなど、反対尋問において配慮可能なことについての議論が必要と感じています。
三つ目は、刑事手続と並行しての心理支援体制の充実についての課題になります。
性被害による傷つきの大きさは、既に皆様御存じのことと思いますけれども、アメリカの調査などでは、戦闘体験を抑えて、最も衝撃が強いとする研究もあります。加えて、先ほどお話ししました孤独感や自己肯定感の低さを埋め合わせるべく被害に遭う子供は、仮にでも愛情や承認欲求が満たされる世界を再び求めるという問題もあります。被害防止はもちろんですが、被害に遭って初めて問題が顕在化するということもあり、再被害防止のための対策が重要になります。つまり、子供の関係希求に応え、子供に向き合って心理教育やケアを行う人が必須になるわけです。
こういった子供に関わる機関の一つに、民間被害者支援団体があります。各都道府県に一つはある団体です。私も、現在、神奈川にある団体の登録カウンセラーとして活動を始めたところです。再被害防止の観点からは、早めに支援開始するのが望ましいと言えますが、東京にある被害者支援都民センターのように、非常勤心理職が働いており、刑事手続と並行したトラウマ専門の治療が提供できる体制と比べますと、地方の民間支援団体の心理的ケアの体制は弱いと言わざるを得ません。
また、条例のあるなしによっても、公費で負担できるカウンセリング回数が異なるということもあります。各地域の実情に合わせつつも、全国どこでも同じレベルの心理支援体制を目指す必要があると感じています。
性被害と申しますのは生涯にわたって影響を与えるものです。理不尽にも被害を受けた子供が刑事手続の中で更に傷つくことなく、子供の健やかな育ちのためにできることを検討していただければと思います。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、公認心理師、臨床心理士で、専門は犯罪心理学になります。本日は、このような場をいただきましてありがとうございます。
私は、二十一年間、警察の心理職を務めまして、性加害も含む非行少年への援助、そして犯罪被害者等への支援に携わってまいりました。現在では、大学で引き続き犯罪被害者等の支援ですとか研究、そして捜査機関依頼の心理鑑定を行っております。ですので、犯罪被害に携わり始めまして二十七年になります。今日は、自験例ですとか研究を基に、性被害を受けた子供の刑事手続に関する課題につきまして意見を申し上げたいと思っております。
初めに、子供の性被害の現状について御説明いたします。
一つが、性的グルーミングによる手口が散見されるという点です。
グルーミングと申しますのは、法律上は面会要求等罪になりましたけれども、心理学ではもう少し広く、わいせつ目的を持って若年者を手懐ける行為のことを指しております。
特に、SNSやゲームを介したオンライングルーミングの問題というのは非常に大きいと思っております。同じ学校の生徒同士の自画撮り画像要求、それから、知的に課題を抱える子供が同級生からだんだん相手にされなくなって、SNSに関係を求めて被害に遭うということもあります。最近では、推し活、ゲームなど共通の趣味をきっかけとするものも散見されています。身近なアイドルであったり身近に注目されている人が発信しているSNS、それから、悩みを抱えている子供ですとか大人が集まると言われるオンラインゲームを介して知り合って、その後、コンセプトカフェですとかネットカフェで性被害に遭うというようなパターンです。
また、現状の二つ目としまして、最近では、報道が活発になったという影響もあり、潜在化しやすかった男子の性被害、それから監護者性交等の被害の訴えが以前よりは上がってきているというのが体感でもございます。
さて、被害におきましては、子供の脆弱性要因が働いています。加害者との立場の差、知的、発達障害などの障害がございます。しかし、それだけではありません。例えば、グルーミングを考えましても、子供がなぜ被害認識に至らないのか、なぜ会いに行くのかという点も疑問として残るわけです。もちろん、加害者の巧みな手口ということはございますが、資料の二に示します私の研究からも、子供の孤独感ですとか過去の傷つきが影響しているということが分かってきています。子供の性被害においては、こういった子供の特性や背景を踏まえた対応が必要になると言えます。
さて、課題を三点申し上げたいと思います。
一つ目が、聴取者の育成の課題です。
専門的な話をしますと、心理学には共同注意という概念があるんですね。お母さんと子供とが一緒に指して、あれはなあにというふうに言うようなやり取りに表れるものです。人と人とが同じ対象に注意を向けている状態のことです。聴取におきましても、こうした互いの認識が必要になります。
子供に話してもらうということは、擬似的にでも信頼していたグルーミング加害者、そして、虐待親との関係を心の中で断ち切って、あのねというふうに打ち明けてもらうものなんです。ですから、そのためには、聴取者が、子供の障害、トラウマ反応、そして臨床心理に関する知識を得て、関係づくりに努める必要があります。
この点は当然のことでもあるんですけれども、現状ではまだ足りないというふうに言わざるを得ません。解像度を上げますと、更なる課題が見えてまいります。
例えば、障害の有無について、常に捜査側が分かっているとは限りません。通常学級に所属している、日常会話に支障がない、こういったことがイコール知的障害がないということではありませんので、聴取者がある程度、障害について理解しているということが必要になります。
それから、トラウマ反応につきましては、一般的な反応について知ることもそうですが、障害があると更に理解が難しくなります。
被害時に、発達特性に由来する言動を取って、被害か否か疑念が抱かれるというケースがあります。身体障害者の場合も同様です。聴取者の分からなさから、被害に遭っていないように感じられて、二次的被害につながるということがあります。
私は、ある裁判で、もちろん他の事情もあるでしょうけれども、残念ながら無罪という経験もいたしました。この理解の難しさについては、障害者の被害の実態についての実証研究が足りないということも影響していると思います。今後、国として研究が進み、実態をより明らかにする必要もあると感じています。
それから、臨床心理の点です。
私は、司法面接の専門家ではなく、あくまでも司法面接動画を鑑定してきた立場として申し上げますと、面接では子供との関係性が大切と感じられます。聴取というのは心と心のやり取りですので、プロトコル以外の部分でも、臨床心理の知見によって、子供との関係性がつくりやすくなったり、被害を受けた子供の心の動きを捉えやすくなる場面もあるというふうに感じています。
以上から、聴取者の育成、研修を更に充実させることを望みます。
さて、障害の問題に関連しまして補足を申し上げます。
私は、法律は門外漢ですので、細かなところは御寛恕をいただきたいんですけれども、刑法第百七十六条一項第二号の心身の障害に該当する部分になります。障害が重い方の被害の見極めの難しさがあるというふうに感じております。
重度の知的障害者の場合に、行為はあったことは確かだけれども、説明ができないために何があったのかが不明で、本人にも典型的なトラウマ反応は見られないということがあります。障害は被害の遭いやすさにつながりますので、障害に乗じた搾取が行われているのであれば、許されざることです。一方で、成人であれば、本人の自由な意思決定による結果の可能性も残しておりますので、被害か否かを見極めるのが困難な場合があります。今後の研究あるいは検討が必要と感じられる部分です。
課題の二つ目に参ります。子供の証人出廷についてです。
現状では、司法面接が行われていましても出廷をすることはありまして、その際に、ビデオリンク方式や付添人などの配慮がされていたとしても、子供の心理的負担は当然に大きくなります。初めての法廷の場で話せなくなる子供もいます。そうしますと、時には、なぜ子供が話せなかったのかについての心理専門家の意見を求められるということがあります。もちろん、依頼があれば、解離なのか回避なのかといったことなど、何が原因なのかを見極めることになりまして、私も実際に鑑定人として出廷したことがあります。
ただし、そもそも心理的負担が大きいということにもう少し配慮があってもよいと感じられています。私は、大人の犯罪被害者の出廷時の付添人の経験もありますけれども、大人であっても負担は大きいものです。法廷という初めての場で、トラウマ記憶にもう一度触れざるを得ない子供への質問の仕方についてどうあるべきなのか、実施時間はどうなのかなど、反対尋問において配慮可能なことについての議論が必要と感じています。
三つ目は、刑事手続と並行しての心理支援体制の充実についての課題になります。
性被害による傷つきの大きさは、既に皆様御存じのことと思いますけれども、アメリカの調査などでは、戦闘体験を抑えて、最も衝撃が強いとする研究もあります。加えて、先ほどお話ししました孤独感や自己肯定感の低さを埋め合わせるべく被害に遭う子供は、仮にでも愛情や承認欲求が満たされる世界を再び求めるという問題もあります。被害防止はもちろんですが、被害に遭って初めて問題が顕在化するということもあり、再被害防止のための対策が重要になります。つまり、子供の関係希求に応え、子供に向き合って心理教育やケアを行う人が必須になるわけです。
こういった子供に関わる機関の一つに、民間被害者支援団体があります。各都道府県に一つはある団体です。私も、現在、神奈川にある団体の登録カウンセラーとして活動を始めたところです。再被害防止の観点からは、早めに支援開始するのが望ましいと言えますが、東京にある被害者支援都民センターのように、非常勤心理職が働いており、刑事手続と並行したトラウマ専門の治療が提供できる体制と比べますと、地方の民間支援団体の心理的ケアの体制は弱いと言わざるを得ません。
また、条例のあるなしによっても、公費で負担できるカウンセリング回数が異なるということもあります。各地域の実情に合わせつつも、全国どこでも同じレベルの心理支援体制を目指す必要があると感じています。
性被害と申しますのは生涯にわたって影響を与えるものです。理不尽にも被害を受けた子供が刑事手続の中で更に傷つくことなく、子供の健やかな育ちのためにできることを検討していただければと思います。
ありがとうございました。拍手
西
西
中
中野英幸#13
○中野(英)委員 自民党の中野英幸でございます。
本日は、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中にもかかわらず、国会にまで御足労いただきましたことに心から感謝を申し上げさせていただきたいと存じます。
せっかくの機会でございますので、私からも幾つか質問をさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと存じます。
まず最初に、高橋参考人にお伺いをさせていただきたいと存じます。
先ほどの意見陳述において、高橋参考人からは、犯罪被害者等の権利保護、心情の考慮といったことの必要性についてお話がございました。一方、異なる立場からの御意見として、藤井参考人、島田参考人、村木参考人から、被疑者、被告人の権利利益の保護の重要性があるという趣旨のお話がございました。
高橋参考人は、犯罪被害者の代理人という立場で様々な経験をされ、また知見をお持ちだと思いますが、参考人の方々の御意見を、お話を聞いてどのように感じられたのか、また御意見を併せてお伺いさせていただきたいと存じます。
この発言だけを見る →本日は、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中にもかかわらず、国会にまで御足労いただきましたことに心から感謝を申し上げさせていただきたいと存じます。
せっかくの機会でございますので、私からも幾つか質問をさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと存じます。
まず最初に、高橋参考人にお伺いをさせていただきたいと存じます。
先ほどの意見陳述において、高橋参考人からは、犯罪被害者等の権利保護、心情の考慮といったことの必要性についてお話がございました。一方、異なる立場からの御意見として、藤井参考人、島田参考人、村木参考人から、被疑者、被告人の権利利益の保護の重要性があるという趣旨のお話がございました。
高橋参考人は、犯罪被害者の代理人という立場で様々な経験をされ、また知見をお持ちだと思いますが、参考人の方々の御意見を、お話を聞いてどのように感じられたのか、また御意見を併せてお伺いさせていただきたいと存じます。
高
高橋正人#14
○高橋参考人 では、ただいまの御質問にお答えいたします。
島田様、あとは藤井先生、村木様は大体同じようなことをおっしゃっていたと思います。人質司法、これをやめるべきだ、黙秘権を保障すべきである、私も全くそのとおりだと思っております。冤罪は被害者にとっては二次被害です、真犯人が捕まらないんですから。ですから人質司法、これはやめるべきです。黙秘権もきちんと保障すべきです。
じゃ、どうやって犯人を捕まえるんですかという話になります。意外と知られていないことがあります。民事の裁判部には知財部があります、知的財産部。さらには、医療集中部、医療専門部と、医療過誤を専門にやるところがあります。ところが刑事の裁判部にはありません。捜査機関はどうでしょうか。警察署には科捜研があります。検察庁はどうでしょう。科学捜査部はございません。起訴を独占する検察庁、最終的な判断権者である裁判所、そして、人生を最も左右する刑事部において科学捜査部がないんです。これが私は一番問題だと思っております。だから供述に頼ってしまうんです。
ですから、理系に特化した部、それをきちんと検察庁、裁判所において設けるべきだと私は思います。そして、諸外国で当然に行われている盗聴、潜入捜査、そういったことを大いに認めていくべきだと思います。
さらには、科学捜査に必要な予算、これをたくさんつけていただきたい、検察庁と裁判所に。特に検察庁ですね。そうでないと科学捜査ができません。供述に頼るなと言われても、頼らざるを得ないからそうなっているんです。
しかも、冤罪というのは検察庁だけの責任じゃありません。そもそも、判断権者は裁判所じゃないですか。あなた方の能力の問題じゃないんですか。そこを自浄能力をきちんと持っていただかなければ、同じことが繰り返されてしまいます。緩い要件で再審法をやってみたところで、能力が変わらなければ同じことの繰り返しであります。
したがいまして、そういった理系に特化した、そういった部を設けることが私は一番大切なことではないのかと思っております。
一つだけ例を言いましょう。ある裁判官はこう言いました。子供を虐待したのは誰か。こう判決にありました、その子供は血液が固まりにくい、そういう先天的な異常があった、だから、自分で転んで血管が破綻した可能性がある。これを私が看護師とか医師に言いましたら、皆さん大笑いしていました。どのくらいレベルが低い話かです。
私も、正直言いまして、司法試験に受かる前までは刑事と民事の違いを分かっていませんでした。特に、弁護士になって依頼者によく言われます。百万円借りたんだけれども、どうしても返せない、私は刑務所に入らなきゃいけないんですかと言われる。つまり、刑事と民事の区別が分からない。この程度のレベルなんです、さっきの話というのは。そのくらいのレベルの裁判官がその人の人生を左右している。
ですから、もう少し理系に特化した勉強をしていただいて、そういう部を設けなければ、犯人も捕まえられないし、冤罪も起きて、被害者は二次被害を受ける、私はそう考えております。
この発言だけを見る →島田様、あとは藤井先生、村木様は大体同じようなことをおっしゃっていたと思います。人質司法、これをやめるべきだ、黙秘権を保障すべきである、私も全くそのとおりだと思っております。冤罪は被害者にとっては二次被害です、真犯人が捕まらないんですから。ですから人質司法、これはやめるべきです。黙秘権もきちんと保障すべきです。
じゃ、どうやって犯人を捕まえるんですかという話になります。意外と知られていないことがあります。民事の裁判部には知財部があります、知的財産部。さらには、医療集中部、医療専門部と、医療過誤を専門にやるところがあります。ところが刑事の裁判部にはありません。捜査機関はどうでしょうか。警察署には科捜研があります。検察庁はどうでしょう。科学捜査部はございません。起訴を独占する検察庁、最終的な判断権者である裁判所、そして、人生を最も左右する刑事部において科学捜査部がないんです。これが私は一番問題だと思っております。だから供述に頼ってしまうんです。
ですから、理系に特化した部、それをきちんと検察庁、裁判所において設けるべきだと私は思います。そして、諸外国で当然に行われている盗聴、潜入捜査、そういったことを大いに認めていくべきだと思います。
さらには、科学捜査に必要な予算、これをたくさんつけていただきたい、検察庁と裁判所に。特に検察庁ですね。そうでないと科学捜査ができません。供述に頼るなと言われても、頼らざるを得ないからそうなっているんです。
しかも、冤罪というのは検察庁だけの責任じゃありません。そもそも、判断権者は裁判所じゃないですか。あなた方の能力の問題じゃないんですか。そこを自浄能力をきちんと持っていただかなければ、同じことが繰り返されてしまいます。緩い要件で再審法をやってみたところで、能力が変わらなければ同じことの繰り返しであります。
したがいまして、そういった理系に特化した、そういった部を設けることが私は一番大切なことではないのかと思っております。
一つだけ例を言いましょう。ある裁判官はこう言いました。子供を虐待したのは誰か。こう判決にありました、その子供は血液が固まりにくい、そういう先天的な異常があった、だから、自分で転んで血管が破綻した可能性がある。これを私が看護師とか医師に言いましたら、皆さん大笑いしていました。どのくらいレベルが低い話かです。
私も、正直言いまして、司法試験に受かる前までは刑事と民事の違いを分かっていませんでした。特に、弁護士になって依頼者によく言われます。百万円借りたんだけれども、どうしても返せない、私は刑務所に入らなきゃいけないんですかと言われる。つまり、刑事と民事の区別が分からない。この程度のレベルなんです、さっきの話というのは。そのくらいのレベルの裁判官がその人の人生を左右している。
ですから、もう少し理系に特化した勉強をしていただいて、そういう部を設けなければ、犯人も捕まえられないし、冤罪も起きて、被害者は二次被害を受ける、私はそう考えております。
中
中野英幸#15
○中野(英)委員 ありがとうございました。
私も、被告人の権利利益の保護を図ることは重要であると思いますが、他方で、実際に被害に遭われた方がいるということは忘れてはならず、そうした被害者に寄り添うこともまた重要であると考えております。皆様方のお話を伺い、また改めてその重要性を認識させていただいたところでございます。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
再審制度の在り方について、高橋参考人の御意見を伺いたいと存じます。
先ほど高橋参考人から、犯罪被害者の立場から、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを禁止することには反対であるという趣旨の御意見がございました。再審開始の決定に対する検察官の不服申立てについては、審理の長期化の原因となっており、再審公判において有罪立証をする機会があるのだからこれを禁止すべきだとの趣旨もございます。
こうした指摘についてどのようなお考えがあるのか、また御意見があるのか、お伺いさせていただきたいと存じます。
この発言だけを見る →私も、被告人の権利利益の保護を図ることは重要であると思いますが、他方で、実際に被害に遭われた方がいるということは忘れてはならず、そうした被害者に寄り添うこともまた重要であると考えております。皆様方のお話を伺い、また改めてその重要性を認識させていただいたところでございます。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
再審制度の在り方について、高橋参考人の御意見を伺いたいと存じます。
先ほど高橋参考人から、犯罪被害者の立場から、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを禁止することには反対であるという趣旨の御意見がございました。再審開始の決定に対する検察官の不服申立てについては、審理の長期化の原因となっており、再審公判において有罪立証をする機会があるのだからこれを禁止すべきだとの趣旨もございます。
こうした指摘についてどのようなお考えがあるのか、また御意見があるのか、お伺いさせていただきたいと存じます。
高
高橋正人#16
○高橋参考人 確かにただいま、再審開始の審理と、再審が開始されて再審公判と、二つに分かれております。これは形式的な意味でありまして、明らかに無罪と言い渡すべき証拠があったから最初からやり直しましょうということで再審の公判があるわけであります。
しかし、それを幾らやってみたところで、先ほどから申し上げているように、判断する人、起訴する人の能力が高くなければ、結局同じことじゃないですか。結局、同じことを何度も何度も繰り返すだけなんです。
ですから、再審公判があるからいいというのではない、要件を緩やかにすればよいという問題ではないんです。これは、起訴する人、判断する裁判官、その人たちの能力をもう少し高める、それが一番私は問題であると思っております。
この発言だけを見る →しかし、それを幾らやってみたところで、先ほどから申し上げているように、判断する人、起訴する人の能力が高くなければ、結局同じことじゃないですか。結局、同じことを何度も何度も繰り返すだけなんです。
ですから、再審公判があるからいいというのではない、要件を緩やかにすればよいという問題ではないんです。これは、起訴する人、判断する裁判官、その人たちの能力をもう少し高める、それが一番私は問題であると思っております。
中
中野英幸#17
○中野(英)委員 ありがとうございました。
冤罪があってはならないということは当然でありますが、再審制度の在り方を考える上では、確定判決による法的安定性の要請と個々の事案の是正の必要性の双方を考慮しつつ、様々な角度から慎重かつ丁寧に検討する必要があると私は思っております。
お話を伺いまして、そうした考慮に当たっては犯罪被害者の心情に配慮することが大切であることがよく分かりましたので、ありがとうございました。
次に、藤井参考人、村木参考人にお伺いをさせていただきたいと存じます。
私自身、被疑者、被告人の権利利益の保護は非常に重要であると考えております。
その一方で、近年、トクリュウ、いわゆる匿名・流動型犯罪グループなどによる組織犯罪等が社会的な問題となっているところであります。こうした犯罪への対応策についてはどのようにお考えでいるのか、御意見を伺わせていただきたいと存じます。
この発言だけを見る →冤罪があってはならないということは当然でありますが、再審制度の在り方を考える上では、確定判決による法的安定性の要請と個々の事案の是正の必要性の双方を考慮しつつ、様々な角度から慎重かつ丁寧に検討する必要があると私は思っております。
お話を伺いまして、そうした考慮に当たっては犯罪被害者の心情に配慮することが大切であることがよく分かりましたので、ありがとうございました。
次に、藤井参考人、村木参考人にお伺いをさせていただきたいと存じます。
私自身、被疑者、被告人の権利利益の保護は非常に重要であると考えております。
その一方で、近年、トクリュウ、いわゆる匿名・流動型犯罪グループなどによる組織犯罪等が社会的な問題となっているところであります。こうした犯罪への対応策についてはどのようにお考えでいるのか、御意見を伺わせていただきたいと存じます。
藤
藤井敏明#18
○藤井参考人 私は元裁判官でございまして、捜査について詳しくないので、参考になるお話ができるか分かりませんけれども。
捜査の手法としていろいろなものがあると思うんですが、被疑者を逮捕して、身柄を拘束して、そこから供述を引き出すということだけが捜査の手法ではないと思います。もちろん、その供述によって証拠が得られる、あるいは関係者が判明するということがありますから、取調べが必要であること自体、否定するつもりはございません。ただ、余りにそれに偏っていて、どうも日本の捜査機関の捜査はそれ以外の面のいろいろな工夫なり技術が、もう少し磨かれた方がいいのではないかなというようなことは思います。
先ほど御意見がありました科学的な捜査というのもそうでございまして、最近、地下鉄サリン事件の関係で、その科学捜査に当たられた方の本を読んだことがあるんですけれども、やはり、警察庁の中あるいは警視庁の中でも、取調べ部門、捜査部門は力点を置かれているけれども、科学捜査に当たるそういう専門家については割と、割とといいますか、日が当たらないところにあるというようなことも伺っておりますので、そういった点の充実は大変重要ではないか、そういうふうに考えます。
この発言だけを見る →捜査の手法としていろいろなものがあると思うんですが、被疑者を逮捕して、身柄を拘束して、そこから供述を引き出すということだけが捜査の手法ではないと思います。もちろん、その供述によって証拠が得られる、あるいは関係者が判明するということがありますから、取調べが必要であること自体、否定するつもりはございません。ただ、余りにそれに偏っていて、どうも日本の捜査機関の捜査はそれ以外の面のいろいろな工夫なり技術が、もう少し磨かれた方がいいのではないかなというようなことは思います。
先ほど御意見がありました科学的な捜査というのもそうでございまして、最近、地下鉄サリン事件の関係で、その科学捜査に当たられた方の本を読んだことがあるんですけれども、やはり、警察庁の中あるいは警視庁の中でも、取調べ部門、捜査部門は力点を置かれているけれども、科学捜査に当たるそういう専門家については割と、割とといいますか、日が当たらないところにあるというようなことも伺っておりますので、そういった点の充実は大変重要ではないか、そういうふうに考えます。
村
村木厚子#19
○村木参考人 ありがとうございます。
私の事件があった後で刑訴法の改正の議論をしたときにも、一番根幹にあるのは、やはり取調べと供述に頼り過ぎている今の日本の刑事司法の仕組みなんだろうということで、もう少し物理的な証拠とか科学的な証拠とかというものをどれだけ得られるようにしていくかという議論がされたと思います。
私も、方向性としてはそういったところを充実をしながら、私の事件のときに非常に興味深かったのは、私は犯罪に関与をしていなかったんですけれども、取調べを受けた人のうち半分の人が、村木さんがその人と会っているのを見ましたとかという調書にやはりサインをしてしまっているんですね。本当に調書ってとてもそういうふうにリスクが高いものなので、やはりそこに頼るやり方はやめていかなければいけないということで、私も「科捜研の女」のファンでございますので、本当に科学捜査にもっと、そういった科学的な捜査に力点が置かれることは大変賛成でございます。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →私の事件があった後で刑訴法の改正の議論をしたときにも、一番根幹にあるのは、やはり取調べと供述に頼り過ぎている今の日本の刑事司法の仕組みなんだろうということで、もう少し物理的な証拠とか科学的な証拠とかというものをどれだけ得られるようにしていくかという議論がされたと思います。
私も、方向性としてはそういったところを充実をしながら、私の事件のときに非常に興味深かったのは、私は犯罪に関与をしていなかったんですけれども、取調べを受けた人のうち半分の人が、村木さんがその人と会っているのを見ましたとかという調書にやはりサインをしてしまっているんですね。本当に調書ってとてもそういうふうにリスクが高いものなので、やはりそこに頼るやり方はやめていかなければいけないということで、私も「科捜研の女」のファンでございますので、本当に科学捜査にもっと、そういった科学的な捜査に力点が置かれることは大変賛成でございます。
ありがとうございます。
中
中野英幸#20
○中野(英)委員 ありがとうございました。
様々な御意見をいただき、大変に参考になりました。組織犯罪を始め、近年社会問題となっている犯罪への対応策について、今後具体的な検討は必要であろうと考えさせていただいております。私としても更に考えを深めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと存じます。
本日は、本当に、いろいろな意味で参考人の皆様方に大変有意義な御意見をいただきましたこと、改めまして、五人の参考人の皆様方に感謝を申し上げさせていただきたいと存じます。
ただいまの参考人の皆様方からいただきました知見を是非糧として、国民の利益にかなう委員会審議に役立ててまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと存じます。
ちょうど時間となりましたので、私の方も以上で質疑を終了させていただきます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →様々な御意見をいただき、大変に参考になりました。組織犯罪を始め、近年社会問題となっている犯罪への対応策について、今後具体的な検討は必要であろうと考えさせていただいております。私としても更に考えを深めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと存じます。
本日は、本当に、いろいろな意味で参考人の皆様方に大変有意義な御意見をいただきましたこと、改めまして、五人の参考人の皆様方に感謝を申し上げさせていただきたいと存じます。
ただいまの参考人の皆様方からいただきました知見を是非糧として、国民の利益にかなう委員会審議に役立ててまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと存じます。
ちょうど時間となりましたので、私の方も以上で質疑を終了させていただきます。
ありがとうございました。
西
篠
篠田奈保子#22
○篠田委員 立憲民主党・無所属の篠田奈保子です。
二十五年ほど弁護士として現場で働いてまいりました。まずは、島田参考人に御質問をさせていただきたいと思います。
本日は、この委員会に御出席をいただき、本当に体験した方であるからこそ語ることができる苦しみをお話しをいただいたことに大変感謝を申し上げます。ありがとうございました。
島田参考人からは、全ての取調べに録音、録画を導入してほしい、それから、接見禁止、これについて廃止をしてほしいという御提案がありました。接見禁止については、事件と関係ない家族と面会を禁止する、この必要性は本当に乏しいものでありますし、一般の面会には警察官の立会いもありますから、罪証隠滅のおそれなども当然なく、こういった人権侵害は甚だ放置しておくわけにはいかないと私も思うところでございます。
私がお伺いをしたいのは、弁護士として二十五年現場におりまして、国選弁護人としても多くの経験をしてまいりました。否認する被疑者でありますと、毎日接見をして取調べの状況をお伺いをしたりと、支援をしてきました。保釈をかち取ることは本当になかなか難しくて、本当に悔しい思いを重ねてまいりました。
島田さんの事件の経過を見ますと、国賠事件の判決においても、警察官の虚偽によって、自己の認識と異なる調書に署名押印をさせられたことが指摘されております。自分が容疑を認めるような調書に署名したことにすら気づいておらず、弁護士の指摘によって、かなり時間が経過した後にそれに気づいたということをお聞きしています。確かに、法律の素人である被疑者が一人で取調べに対応して、読み聞かせをしてもらって署名押印するということに、やはり厳しさを感じています。
取調べを受けている段階で、弁護人からこういった支援が受けられたらよかった、特に、弁護人の取調べの立会いであるとか、メモであるとか、そういったことについて御意見をいただければと思います。
この発言だけを見る →二十五年ほど弁護士として現場で働いてまいりました。まずは、島田参考人に御質問をさせていただきたいと思います。
本日は、この委員会に御出席をいただき、本当に体験した方であるからこそ語ることができる苦しみをお話しをいただいたことに大変感謝を申し上げます。ありがとうございました。
島田参考人からは、全ての取調べに録音、録画を導入してほしい、それから、接見禁止、これについて廃止をしてほしいという御提案がありました。接見禁止については、事件と関係ない家族と面会を禁止する、この必要性は本当に乏しいものでありますし、一般の面会には警察官の立会いもありますから、罪証隠滅のおそれなども当然なく、こういった人権侵害は甚だ放置しておくわけにはいかないと私も思うところでございます。
私がお伺いをしたいのは、弁護士として二十五年現場におりまして、国選弁護人としても多くの経験をしてまいりました。否認する被疑者でありますと、毎日接見をして取調べの状況をお伺いをしたりと、支援をしてきました。保釈をかち取ることは本当になかなか難しくて、本当に悔しい思いを重ねてまいりました。
島田さんの事件の経過を見ますと、国賠事件の判決においても、警察官の虚偽によって、自己の認識と異なる調書に署名押印をさせられたことが指摘されております。自分が容疑を認めるような調書に署名したことにすら気づいておらず、弁護士の指摘によって、かなり時間が経過した後にそれに気づいたということをお聞きしています。確かに、法律の素人である被疑者が一人で取調べに対応して、読み聞かせをしてもらって署名押印するということに、やはり厳しさを感じています。
取調べを受けている段階で、弁護人からこういった支援が受けられたらよかった、特に、弁護人の取調べの立会いであるとか、メモであるとか、そういったことについて御意見をいただければと思います。
島
島田順司#23
○島田参考人 私が経験した中で、一人で取調べを受けるという苦しさ、弁護士さんが横にいていただけるだけでも大分違うと思います。何も語らなくても、それだけで、自分が何を話しているのか、自分が何を話して何を聞かれたということもほとんど分からないような状態になってしまうので、立会いがあれば、かなり被疑者の心持ちといいますか、自分が何を話しているのかということは分かるようになると思います。
それから、接見禁止、これは三百三十二日間の間、家族と会うことができなかった。それがやはり精神的なかなりの思いといいますか、先ほどあったように、それがために認めてというような、悩むこともありますので。そういうことで、家族とは禁止をするようなことはやめていただきたいと思います。
録音、録画は、私は是非お願いしたい。先ほど申し上げたように、事実を明らかにする唯一の方法だと思いますので、何ら捜査側にも支障のないことなので、真実を明らかにする唯一の方法であるので、是非やっていただきたいと思っております。
以上です。
この発言だけを見る →それから、接見禁止、これは三百三十二日間の間、家族と会うことができなかった。それがやはり精神的なかなりの思いといいますか、先ほどあったように、それがために認めてというような、悩むこともありますので。そういうことで、家族とは禁止をするようなことはやめていただきたいと思います。
録音、録画は、私は是非お願いしたい。先ほど申し上げたように、事実を明らかにする唯一の方法だと思いますので、何ら捜査側にも支障のないことなので、真実を明らかにする唯一の方法であるので、是非やっていただきたいと思っております。
以上です。
篠
篠田奈保子#24
○篠田委員 御意見ありがとうございました。しっかりと承りました。
次に、藤井参考人にお伺いをいたします。
まず、私にお褒めの言葉を頂戴いたしまして、大変ありがとうございました。先生から教えを請うてからもう二十五年たちましたけれども、刑事司法、かなり変わりましたが、様々にまだ不備なところがあると思っています。
先ほど藤井教授が御指摘をしておりました論文について、私も拝読をさせていただきました。プレサンス事件と大川原化工機事件において保釈が長期間認められなかったことについて、その反省の上に立って、「「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」について」というような論文でございました。この論文にまず敬意と感謝を申し上げたいと思います。
私は、この論文のすばらしいところは、裁判所の保釈の運用の実務についてしっかりとした反省に立っているというところ、保釈の運用をこれから改善する方向で大きく大きく効果のある論文であるというふうに思っております。多くの実務家や裁判官に是非この藤井論文について読んでいただき、裁判所の保釈の運用が変わることを私も応援をしたいと思っております。
しかしながら、藤井教授が刑事裁判の実務の運用改善のためにこのような論文を発表していただいた努力を、私も立法府としてただただ応援するだけでは当然足りないというふうに感じております。
先ほど指摘をされました憲法三十四条が定める人身の自由の保障との関係を踏まえて、やはり刑事訴訟法八十九条四号の法改正、これは先ほど島田参考人からも撤廃してほしいという御意見をいただきましたけれども、これを法改正する必要性が私としてはあるのではないかというふうに考えております。
立法府の立場からの私の意見でありますけれども、例えば、保釈中のGPSを利用した電子監視制度など新たな制度の導入とのことも含めて、この法改正について可能であれば藤井教授の御意見をいただきたく、よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →次に、藤井参考人にお伺いをいたします。
まず、私にお褒めの言葉を頂戴いたしまして、大変ありがとうございました。先生から教えを請うてからもう二十五年たちましたけれども、刑事司法、かなり変わりましたが、様々にまだ不備なところがあると思っています。
先ほど藤井教授が御指摘をしておりました論文について、私も拝読をさせていただきました。プレサンス事件と大川原化工機事件において保釈が長期間認められなかったことについて、その反省の上に立って、「「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」について」というような論文でございました。この論文にまず敬意と感謝を申し上げたいと思います。
私は、この論文のすばらしいところは、裁判所の保釈の運用の実務についてしっかりとした反省に立っているというところ、保釈の運用をこれから改善する方向で大きく大きく効果のある論文であるというふうに思っております。多くの実務家や裁判官に是非この藤井論文について読んでいただき、裁判所の保釈の運用が変わることを私も応援をしたいと思っております。
しかしながら、藤井教授が刑事裁判の実務の運用改善のためにこのような論文を発表していただいた努力を、私も立法府としてただただ応援するだけでは当然足りないというふうに感じております。
先ほど指摘をされました憲法三十四条が定める人身の自由の保障との関係を踏まえて、やはり刑事訴訟法八十九条四号の法改正、これは先ほど島田参考人からも撤廃してほしいという御意見をいただきましたけれども、これを法改正する必要性が私としてはあるのではないかというふうに考えております。
立法府の立場からの私の意見でありますけれども、例えば、保釈中のGPSを利用した電子監視制度など新たな制度の導入とのことも含めて、この法改正について可能であれば藤井教授の御意見をいただきたく、よろしくお願いいたします。
藤
藤井敏明#25
○藤井参考人 ちょっとお言葉を返すようですけれども、GPSというのは逃亡のおそれを防ぐためのものなので、罪証隠滅には余り影響しないかとは思うんですが。
今、罪証隠滅に関する八十九条四号の規定を削除すべきだという御意見もあったわけなんですが、私自身は、改正するということは考えられると思うんですが、削除まではちょっと、妥当かどうか疑問は持っております。
といいますのは、私は、実はイギリスにちょっと、研究に二回ほど派遣させていただいたことがありまして、イギリスは大変保釈を広く認めるといいますか、被疑者の身柄拘束をかなり限定する。警察での身柄拘束は一日かそこらしか認めないという制度ですけれども、その上で、裁判官のところに連れていって、保釈をするかどうかの要件の判断で、犯罪の重さにもよるんですけれども、日本でいえば、罪証隠滅に相当するような規定はございます。ただ、もう少し具体的に、釈放すれば被告人が関係者に働きかけるなどして適正な裁判の証拠を阻害するおそれが高いというふうに裁判官が納得できるような場合、ちょっと正確ではありませんが、そんな規定になっていたと思うんですけれども、それと似たような罪証隠滅の文言にするということは考えてもよいかと思います。
そもそも、この刑訴法でその規定が政府から提案されたときは罪証隠滅のおそれという文言だったんですが、それが国会の立法の過程で現在のように罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由となったんですけれども、文言が変わっても実務の用語としては短く罪証隠滅のおそれという形で通っておりますし、その要件だけで変わるかどうかというのは難しい、限界はあるとは思いますけれども、ただ、今申し上げたようなことを現時点では考えております。
この発言だけを見る →今、罪証隠滅に関する八十九条四号の規定を削除すべきだという御意見もあったわけなんですが、私自身は、改正するということは考えられると思うんですが、削除まではちょっと、妥当かどうか疑問は持っております。
といいますのは、私は、実はイギリスにちょっと、研究に二回ほど派遣させていただいたことがありまして、イギリスは大変保釈を広く認めるといいますか、被疑者の身柄拘束をかなり限定する。警察での身柄拘束は一日かそこらしか認めないという制度ですけれども、その上で、裁判官のところに連れていって、保釈をするかどうかの要件の判断で、犯罪の重さにもよるんですけれども、日本でいえば、罪証隠滅に相当するような規定はございます。ただ、もう少し具体的に、釈放すれば被告人が関係者に働きかけるなどして適正な裁判の証拠を阻害するおそれが高いというふうに裁判官が納得できるような場合、ちょっと正確ではありませんが、そんな規定になっていたと思うんですけれども、それと似たような罪証隠滅の文言にするということは考えてもよいかと思います。
そもそも、この刑訴法でその規定が政府から提案されたときは罪証隠滅のおそれという文言だったんですが、それが国会の立法の過程で現在のように罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由となったんですけれども、文言が変わっても実務の用語としては短く罪証隠滅のおそれという形で通っておりますし、その要件だけで変わるかどうかというのは難しい、限界はあるとは思いますけれども、ただ、今申し上げたようなことを現時点では考えております。
篠
篠田奈保子#26
○篠田委員 御意見、大変ありがとうございます。
削除に至らなくても、現状の法文を何らかもっと具体的なものに変えていく、それで保釈について原則保釈の運用をかち取れるような法改正をしていく、私もその必要性は痛感しているところでございますので、しっかりと参考にしてまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。
次に、村木参考人にお聞きをいたします。
村木参考人が無罪判決を受けてから、先ほどお話ありましたように、取調べの適正化ということで録音、録画が進んだことは事実でございますけれども、まだ全面的な録音、録画には至っておりません。これについては、私たちがしっかりと課題として認識をし、進めてまいりたいと思います。
その上でですけれども、やはり検察組織が村木さんの事件のときと同じような事件をまた度々繰り返しているその現状について、検察組織の在り方について是非、厚労省のトップにいた村木さんの方から、組織の在り方、今後どのように改善していけばこういった事案が減らせるのか、御助言をいただきたいと思います。
この発言だけを見る →削除に至らなくても、現状の法文を何らかもっと具体的なものに変えていく、それで保釈について原則保釈の運用をかち取れるような法改正をしていく、私もその必要性は痛感しているところでございますので、しっかりと参考にしてまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。
次に、村木参考人にお聞きをいたします。
村木参考人が無罪判決を受けてから、先ほどお話ありましたように、取調べの適正化ということで録音、録画が進んだことは事実でございますけれども、まだ全面的な録音、録画には至っておりません。これについては、私たちがしっかりと課題として認識をし、進めてまいりたいと思います。
その上でですけれども、やはり検察組織が村木さんの事件のときと同じような事件をまた度々繰り返しているその現状について、検察組織の在り方について是非、厚労省のトップにいた村木さんの方から、組織の在り方、今後どのように改善していけばこういった事案が減らせるのか、御助言をいただきたいと思います。
村
村木厚子#27
○村木参考人 ありがとうございます。
大変難しい御質問だと思うんですが、検察官は何か悪いことをしようと思ってこういうことをやっているわけでもなくて、やはり、捕まえて自白をさせて有罪にしたいという本能が働いているわけですから、一つは、ルールで縛ってあげる、録音、録画のように、やりたくてもできない仕掛けをきちんと見せてあげるというのが大事だと思います。
それから、私が大変面白かったのは、事件から後で、よく法務省の方に検察はちょっと変わりましたかという御質問をすると、大体返ってくるのが、若い人は変わりましたというお答えなんですね。ですから、やはりインタビューにも技術があって、昔流の脅して机をたたいてというのでないやり方を取調べ官の方々にも身につけていただくための方法を、プロの方でもう少し考えていただくということが大事かと思います。
それから、実は、あの事件があって法改正までやっていただいたんですが、私自身は、例えば検察から、あのとき何がありましたかという事情聴取をされたことはないんですね。ですから、やはり、本当に何か問題があったときにきちんと検証する、それから、できれば第三者が入って検証する、そして、そういうことを表に出して、一歩一歩どう変えるかというのを実践をしていく仕組みがないと、なかなか自分たちでおやりなさいは難しいのかなというふうに思っております。
以上です。
この発言だけを見る →大変難しい御質問だと思うんですが、検察官は何か悪いことをしようと思ってこういうことをやっているわけでもなくて、やはり、捕まえて自白をさせて有罪にしたいという本能が働いているわけですから、一つは、ルールで縛ってあげる、録音、録画のように、やりたくてもできない仕掛けをきちんと見せてあげるというのが大事だと思います。
それから、私が大変面白かったのは、事件から後で、よく法務省の方に検察はちょっと変わりましたかという御質問をすると、大体返ってくるのが、若い人は変わりましたというお答えなんですね。ですから、やはりインタビューにも技術があって、昔流の脅して机をたたいてというのでないやり方を取調べ官の方々にも身につけていただくための方法を、プロの方でもう少し考えていただくということが大事かと思います。
それから、実は、あの事件があって法改正までやっていただいたんですが、私自身は、例えば検察から、あのとき何がありましたかという事情聴取をされたことはないんですね。ですから、やはり、本当に何か問題があったときにきちんと検証する、それから、できれば第三者が入って検証する、そして、そういうことを表に出して、一歩一歩どう変えるかというのを実践をしていく仕組みがないと、なかなか自分たちでおやりなさいは難しいのかなというふうに思っております。
以上です。
篠
篠田奈保子#28
○篠田委員 大変参考になる御意見、ありがとうございました。
航空事故などでは事故調査委員会が毎回開かれている、だけれども、このように冤罪事件が繰り返されてもそれを検証する第三者機関がない、私はそこも大変大きな問題だというふうに思っておりますので、しっかりと議論をして取り組んでまいりたいというふうに思っております。
私が刑事訴訟法を勉強したときに、平野龍一先生の昭和六十年の論文で、我が国の刑事裁判はかなり絶望的であるという言葉を一番最初にたたき込まれたときから、裁判員裁判が始まり、取調べの録音、録画が始まり、被疑者国選、全面国選が始まり、刑事司法は前進をしてきたというふうに思います。だけれども、まだ人質司法の問題、そして再審法の改正など、やはり手つかずの部分もたくさん残っていると思いますので、それらの課題につき、今日いただいた参考人の皆様の御意見を参考にしながら議論を進めてまいりたいと思います。
本日は、大変ありがとうございました。
この発言だけを見る →航空事故などでは事故調査委員会が毎回開かれている、だけれども、このように冤罪事件が繰り返されてもそれを検証する第三者機関がない、私はそこも大変大きな問題だというふうに思っておりますので、しっかりと議論をして取り組んでまいりたいというふうに思っております。
私が刑事訴訟法を勉強したときに、平野龍一先生の昭和六十年の論文で、我が国の刑事裁判はかなり絶望的であるという言葉を一番最初にたたき込まれたときから、裁判員裁判が始まり、取調べの録音、録画が始まり、被疑者国選、全面国選が始まり、刑事司法は前進をしてきたというふうに思います。だけれども、まだ人質司法の問題、そして再審法の改正など、やはり手つかずの部分もたくさん残っていると思いますので、それらの課題につき、今日いただいた参考人の皆様の御意見を参考にしながら議論を進めてまいりたいと思います。
本日は、大変ありがとうございました。
西