政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会
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会
会議録情報#0
令和七年四月十八日(金曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
三月二十五日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 松山 政司君
田中 昌史君 江島 潔君
松川 るい君 大家 敏志君
宮本 周司君 三宅 伸吾君
山田 太郎君 森屋 宏君
森屋 隆君 勝部 賢志君
四月十七日
辞任 補欠選任
森屋 宏君 山本 順三君
勝部 賢志君 石垣のりこ君
三浦 信祐君 若松 謙維君
山本 博司君 竹内 真二君
榛葉賀津也君 川合 孝典君
紙 智子君 仁比 聡平君
四月十八日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 梶原 大介君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 石井 浩郎君
理 事
朝日健太郎君
臼井 正一君
比嘉奈津美君
若林 洋平君
羽田 次郎君
下野 六太君
石井 苗子君
委 員
青山 繁晴君
井上 義行君
今井絵理子君
江島 潔君
大家 敏志君
梶原 大介君
自見はなこ君
高橋 克法君
高橋はるみ君
本田 顕子君
松山 政司君
三宅 伸吾君
山本 順三君
石垣のりこ君
徳永 エリ君
福山 哲郎君
牧山ひろえ君
水野 素子君
河野 義博君
竹内 真二君
若松 謙維君
猪瀬 直樹君
川合 孝典君
浜口 誠君
仁比 聡平君
大島九州男君
高良 鉄美君
副大臣
外務副大臣 宮路 拓馬君
事務局側
第一特別調査室
長 有安 洋樹君
政府参考人
外務省国際協力
局長 石月 英雄君
参考人
独立行政法人国
際協力機構理事
長 田中 明彦君
独立行政法人国
際協力機構理事 大場 雄一君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査
(参議院政府開発援助調査に関する件)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員の異動
三月二十五日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 松山 政司君
田中 昌史君 江島 潔君
松川 るい君 大家 敏志君
宮本 周司君 三宅 伸吾君
山田 太郎君 森屋 宏君
森屋 隆君 勝部 賢志君
四月十七日
辞任 補欠選任
森屋 宏君 山本 順三君
勝部 賢志君 石垣のりこ君
三浦 信祐君 若松 謙維君
山本 博司君 竹内 真二君
榛葉賀津也君 川合 孝典君
紙 智子君 仁比 聡平君
四月十八日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 梶原 大介君
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出席者は左のとおり。
委員長 石井 浩郎君
理 事
朝日健太郎君
臼井 正一君
比嘉奈津美君
若林 洋平君
羽田 次郎君
下野 六太君
石井 苗子君
委 員
青山 繁晴君
井上 義行君
今井絵理子君
江島 潔君
大家 敏志君
梶原 大介君
自見はなこ君
高橋 克法君
高橋はるみ君
本田 顕子君
松山 政司君
三宅 伸吾君
山本 順三君
石垣のりこ君
徳永 エリ君
福山 哲郎君
牧山ひろえ君
水野 素子君
河野 義博君
竹内 真二君
若松 謙維君
猪瀬 直樹君
川合 孝典君
浜口 誠君
仁比 聡平君
大島九州男君
高良 鉄美君
副大臣
外務副大臣 宮路 拓馬君
事務局側
第一特別調査室
長 有安 洋樹君
政府参考人
外務省国際協力
局長 石月 英雄君
参考人
独立行政法人国
際協力機構理事
長 田中 明彦君
独立行政法人国
際協力機構理事 大場 雄一君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査
(参議院政府開発援助調査に関する件)
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石
石井浩郎#1
○委員長(石井浩郎君) ただいまから政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、森屋隆君、田中昌史君、松川るい君、岡田直樹君、宮本周司君、山田太郎君、榛葉賀津也君、山本博司君、三浦信祐君及び紙智子君が委員を辞任され、その補欠として江島潔君、大家敏志君、松山政司君、三宅伸吾君、川合孝典君、山本順三君、竹内真二君、若松謙維君、仁比聡平君及び石垣のりこ君が選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、森屋隆君、田中昌史君、松川るい君、岡田直樹君、宮本周司君、山田太郎君、榛葉賀津也君、山本博司君、三浦信祐君及び紙智子君が委員を辞任され、その補欠として江島潔君、大家敏志君、松山政司君、三宅伸吾君、川合孝典君、山本順三君、竹内真二君、若松謙維君、仁比聡平君及び石垣のりこ君が選任されました。
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石
石井浩郎#2
○委員長(石井浩郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に外務省国際協力局長石月英雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に外務省国際協力局長石月英雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
石
石
石井浩郎#4
○委員長(石井浩郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に独立行政法人国際協力機構理事長田中明彦君及び同理事大場雄一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に独立行政法人国際協力機構理事長田中明彦君及び同理事大場雄一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
石
石
石井浩郎#6
○委員長(石井浩郎君) 政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のうち、参議院政府開発援助調査に関する件を議題といたします。
本日は、令和六年度参議院政府開発援助調査派遣団参加議員の方々から各十分程度御意見を伺った後、九十五分程度委員間の意見交換を行いたいと存じます。
御意見を表明していただくのは、第一班のベトナム社会主義共和国、マレーシア、タイ王国については石垣のりこ君、第二班のインド共和国については若松謙維君、第三班のフィジー共和国、トンガ王国については江島潔君、第四班のセネガル共和国、コートジボワール共和国については山本順三君です。
なお、御意見を表明される際は着席のままで結構です。
それでは、まず、第一班の石垣のりこ君からお願いいたします。石垣のりこ君。
この発言だけを見る →本日は、令和六年度参議院政府開発援助調査派遣団参加議員の方々から各十分程度御意見を伺った後、九十五分程度委員間の意見交換を行いたいと存じます。
御意見を表明していただくのは、第一班のベトナム社会主義共和国、マレーシア、タイ王国については石垣のりこ君、第二班のインド共和国については若松謙維君、第三班のフィジー共和国、トンガ王国については江島潔君、第四班のセネガル共和国、コートジボワール共和国については山本順三君です。
なお、御意見を表明される際は着席のままで結構です。
それでは、まず、第一班の石垣のりこ君からお願いいたします。石垣のりこ君。
石
石垣のりこ#7
○石垣のりこ君 ODA調査派遣第一班について御報告いたします。
当班は、令和六年八月二十六日から九月四日までの十日間、ベトナム社会主義共和国、マレーシア及びタイ王国に派遣されました。
派遣議員は、団長の中西祐介議員、窪田哲也議員、そして私、石垣のりこの三名です。
今回訪問したベトナムではフォック副首相兼財政大臣やズン計画投資大臣、マレーシアではモハマド外務副大臣、タイではスリヤ副首相兼運輸大臣といった要人との面会の機会に恵まれるなど、様々な関係者と意見交換を重ねつつ、主要なODA案件の視察も行うことができました。
以下、それぞれの国における現地視察や関係者との意見交換等を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
まず、ベトナム社会主義共和国について申し上げます。
ベトナムは、近年、おおむね五%から八%という安定的成長を遂げており、また、メコン地域の発展の牽引役として重要性が高まっています。日本とベトナムは二〇二三年に外交樹立五十周年の節目を迎え、両国関係は包括的戦略的パートナーシップに引き上げられました。両国は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPを実現するためにも関係を強化し、地域全体の安定と繁栄を促進する様々な取組についてODAを戦略的に活用していくことが重要と言えます。
今回、ベトナム海上警察に無償資金協力により供与した船舶を視察し、不正な漁業の取締り等に活用されている実態の説明を受けましたが、法の支配に基づく自由で開かれた秩序をつくるため両国が理念を共有するとともに、違法、無報告、無規制に行われるIUU漁業の対策強化など、海の安全確保のための支援強化の重要性を改めて認識いたしました。また、気象水文総局のレーダー塔を視察した際、日本の気象衛星「ひまわり」のデータを解析して国民に気象情報の提供が行われていると説明を受けました。日本の経験、技術を生かした支援によりベトナムの防災・災害対処能力が強化され、さらにメコン地域諸国をベトナムの気象分野の技術によって導いていくことになれば、地域全体の被害軽減にも資するものと考えます。
また、ベトナムでODA案件に携わっている日系企業の方々と意見交換した際、円借款で進められている事業の工期が大幅な遅れが生じているものがあり、スピード感を持って進めることが重要との意見が出されました。ODA案件の進捗に明らかな遅れがある場合には、原因を調査し、必要に応じて事業の早期実施を相手国政府等に働きかける必要があります。ODAの実施に関する行政手続の簡素化や迅速化等について、関係機関が調整等の役割を十分発揮することが重要と考えます。
日本の開発協力は、物を作って終わりではなく、その後の成長に向けた技術協力や人の交流も含めて継続させていくことを前提としたものです。これが日本の強みを生かした協力です。インフラ整備の中でも鉄道案件は日系企業の投資を後押しする重要なプロジェクトで、ハノイとホーチミンを結ぶ南北高速鉄道について、ズン計画投資大臣は、ベトナム側にとって良い条件のODAとしてほしい、必ずしも日系企業が受注できるものではなく、国際入札も考えていると発言していました。日本のインフラ整備の特徴を根気よく説明すると同時に、鉄道案件は投資額も多額になるため、例えば、官民オールジャパンで組成した国内検討会議のような場を設けて計画案やローン条件等を検討、調整するなど、ODAの活用を戦略的に考えていく必要があると考えます。
ベトナムは、二〇四五年の先進国入りを見据え、半導体産業を基幹産業とすることを目指しており、そのための人材育成を進めています。したがって、日本とベトナム両国の協力の下、この分野におけるベトナムの人材育成を行い、日本の企業への人材供給ができれば戦略的な協力になると思われます。例えば、ベトナムの学生が日本に留学する際に奨学金を日本側が支援するなど、日本とベトナムが連携することが重要と考えます。両国が中長期的に技術協力や人の交流を含めて連携し、開発協力を進めることが必要と考えます。
次に、マレーシアについて申し上げます。
今回、職業訓練指導員・上級技能者養成センター、CIASTでは、アジア、アフリカ諸国を中心とした第三国研修のプログラムが実施されていますが、第三国研修を通じたサポートが行われる意義は大きいと改めて認識しました。マレーシア国内では援助機関設立に向けた取組が進められているとのことで、アジア地域を越えた国際社会の課題に日本と共同で取り組むグローバルな開発パートナーとしての関係に発展していくことが期待されます。
対マレーシアODAでは、産業人材育成や高等教育支援への協力に力を入れ、中でも、マハティール首相が提唱した東方政策を通じた日本への留学、研修は現在に至るまで継続されています。今回訪問したマレーシア日本国際工科院、MJIITでは、講座制による多数の専門プログラムが用意されており、これを継続、発展させていくことが重要と考えます。そのためには、マレーシア工科大学と日本の大学、企業間における双方向での交流が進められる必要があります。
マレーシアでは、産業の高度化、高付加価値化、高度産業技術等に高いニーズがある一方で、環境保全、社会的弱者、障害者等の支援、廃棄物処理、防災等が課題となっています。経済成長の裏で都市部と地方の経済及び所得の格差は大きくなっており、これらの課題解決のため支援を行うことは、均衡の取れた発展を後押しするものと考えます。
この点において、JICA海外協力隊員が使命感を持って精力的に支援活動を行っており、その情熱に感銘を受けました。自身の専門的な知識を生かしながら、現地の人々とともに生活し、同じ目線で開発ニーズや課題解決のために支援を行うことは、我が国らしい支援として信頼を集める源泉になっています。協力隊員としての経験は何にも得難く、社会にとっても大きな財産であることから、協力隊員に対する帰国後の就職支援、また大学院進学等について、国としても最大限のサポートをお願いしたいと思います。
マレーシアは、国際海上交通の要衝でありまして、日本にとっても重要なシーレーンであるマラッカ海峡を有するなど、南シナ海の沿岸国として地政学的に重要な位置を占めています。日本はマレーシアとの海上保安分野での協力を重視しており、JICA長期専門家、海上保安アドバイザーを海上法令執行庁へ派遣し、鑑識技術や海上捜索救助等の分野での研修や、アジア、アフリカ諸国を対象とした第三国研修をマレーシア側とともに実施しています。これらの協力は、ルールに基づく海洋秩序の維持につながるものであり、更なる協力強化が期待されます。
次に、タイ王国について申し上げます。
日本はタイにとって一貫して最大のODA供与国となっており、これまでに総額二・八兆円の支援を実施してきました。こうした結果、タイは高中所得国となり、メコン地域において最大の経済規模を有しています。他方で、中進国のわなからの脱却に向けた産業の高度化や産業人材の育成、交通渋滞や大気汚染等に代表される都市環境問題への取組などが課題となっています。
今回、バンコク都市鉄道レッドライン及びパープルラインを視察しましたが、鉄道のメンテナンスには日本の技術が採用され、輸送障害の発生がゼロになっていると説明を受けました。現在、規格に違いがある路線の統一が今後進められていく場合にも、日本の技術基準が採用されるように実績を積み重ねていくとともに、鉄道の安全は質の高いメンテナンスによって支えられているという理解を促進する必要があると考えます。また、日本の開発協力は、投資をして終わりではなく、技術を伝承し、人を育て、環境負荷にも強く、安全性も兼ね備えていることをタイ側にも積極的に説明し、日系企業が十分に強みを生かせるよう後押しすることが重要です。
インド洋と南シナ海の両海に面するタイは、地政学的に重要な位置を占め、ASEANにおいて中核的役割を担うとともに、自由で開かれたインド太平洋、FOIPにおけるメコン地域の発展の鍵とされています。ASEAN諸国等を対象とした第三国研修や専門家派遣に一層に取り組むなど、日本とタイの開発パートナーとしての関係を強化し、ASEAN・メコン地域の発展に貢献することが重要です。
また、日本の高専制度を導入したモンクット王工科大学ラカバン校附属高等専門学校、こちらは二〇二四年三月に一期生が卒業しました。日系企業や現地産業界から非常に注目を集めています。中進国のわなに直面するタイにおいて、経済発展を考える上では、こうしたタイ高専のような科学技術産業への高度人材の育成などが重要になるため、日本としても協力を惜しまない姿勢が必要と考えます。他方で、タイ高専の学校数が現在よりも増加した場合の教員の確保に備えてタイ人の教員を養成する必要性などといった課題にも対処することが求められています。
最後に、ODAに関する国民の理解及び戦略性について申し上げます。
マレーシアやタイのような中進国から高所得国入りを目標とし、ASEANを始めとした第三国の課題に対する支援も行っている国に対するODAは、ニーズを見極めた上で、技術協力、円借款及び海外投融資等を戦略的に検討し、国民に理解を得ることが重要と考えます。
結びに、今回の派遣に当たっては、視察先の関係者を始め、外務省及び在外公館、JICA等、内外の関係機関の方々に多大なる御協力と御尽力をいただきました。改めて深く感謝を申し上げまして、報告を終わります。
この発言だけを見る →当班は、令和六年八月二十六日から九月四日までの十日間、ベトナム社会主義共和国、マレーシア及びタイ王国に派遣されました。
派遣議員は、団長の中西祐介議員、窪田哲也議員、そして私、石垣のりこの三名です。
今回訪問したベトナムではフォック副首相兼財政大臣やズン計画投資大臣、マレーシアではモハマド外務副大臣、タイではスリヤ副首相兼運輸大臣といった要人との面会の機会に恵まれるなど、様々な関係者と意見交換を重ねつつ、主要なODA案件の視察も行うことができました。
以下、それぞれの国における現地視察や関係者との意見交換等を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
まず、ベトナム社会主義共和国について申し上げます。
ベトナムは、近年、おおむね五%から八%という安定的成長を遂げており、また、メコン地域の発展の牽引役として重要性が高まっています。日本とベトナムは二〇二三年に外交樹立五十周年の節目を迎え、両国関係は包括的戦略的パートナーシップに引き上げられました。両国は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPを実現するためにも関係を強化し、地域全体の安定と繁栄を促進する様々な取組についてODAを戦略的に活用していくことが重要と言えます。
今回、ベトナム海上警察に無償資金協力により供与した船舶を視察し、不正な漁業の取締り等に活用されている実態の説明を受けましたが、法の支配に基づく自由で開かれた秩序をつくるため両国が理念を共有するとともに、違法、無報告、無規制に行われるIUU漁業の対策強化など、海の安全確保のための支援強化の重要性を改めて認識いたしました。また、気象水文総局のレーダー塔を視察した際、日本の気象衛星「ひまわり」のデータを解析して国民に気象情報の提供が行われていると説明を受けました。日本の経験、技術を生かした支援によりベトナムの防災・災害対処能力が強化され、さらにメコン地域諸国をベトナムの気象分野の技術によって導いていくことになれば、地域全体の被害軽減にも資するものと考えます。
また、ベトナムでODA案件に携わっている日系企業の方々と意見交換した際、円借款で進められている事業の工期が大幅な遅れが生じているものがあり、スピード感を持って進めることが重要との意見が出されました。ODA案件の進捗に明らかな遅れがある場合には、原因を調査し、必要に応じて事業の早期実施を相手国政府等に働きかける必要があります。ODAの実施に関する行政手続の簡素化や迅速化等について、関係機関が調整等の役割を十分発揮することが重要と考えます。
日本の開発協力は、物を作って終わりではなく、その後の成長に向けた技術協力や人の交流も含めて継続させていくことを前提としたものです。これが日本の強みを生かした協力です。インフラ整備の中でも鉄道案件は日系企業の投資を後押しする重要なプロジェクトで、ハノイとホーチミンを結ぶ南北高速鉄道について、ズン計画投資大臣は、ベトナム側にとって良い条件のODAとしてほしい、必ずしも日系企業が受注できるものではなく、国際入札も考えていると発言していました。日本のインフラ整備の特徴を根気よく説明すると同時に、鉄道案件は投資額も多額になるため、例えば、官民オールジャパンで組成した国内検討会議のような場を設けて計画案やローン条件等を検討、調整するなど、ODAの活用を戦略的に考えていく必要があると考えます。
ベトナムは、二〇四五年の先進国入りを見据え、半導体産業を基幹産業とすることを目指しており、そのための人材育成を進めています。したがって、日本とベトナム両国の協力の下、この分野におけるベトナムの人材育成を行い、日本の企業への人材供給ができれば戦略的な協力になると思われます。例えば、ベトナムの学生が日本に留学する際に奨学金を日本側が支援するなど、日本とベトナムが連携することが重要と考えます。両国が中長期的に技術協力や人の交流を含めて連携し、開発協力を進めることが必要と考えます。
次に、マレーシアについて申し上げます。
今回、職業訓練指導員・上級技能者養成センター、CIASTでは、アジア、アフリカ諸国を中心とした第三国研修のプログラムが実施されていますが、第三国研修を通じたサポートが行われる意義は大きいと改めて認識しました。マレーシア国内では援助機関設立に向けた取組が進められているとのことで、アジア地域を越えた国際社会の課題に日本と共同で取り組むグローバルな開発パートナーとしての関係に発展していくことが期待されます。
対マレーシアODAでは、産業人材育成や高等教育支援への協力に力を入れ、中でも、マハティール首相が提唱した東方政策を通じた日本への留学、研修は現在に至るまで継続されています。今回訪問したマレーシア日本国際工科院、MJIITでは、講座制による多数の専門プログラムが用意されており、これを継続、発展させていくことが重要と考えます。そのためには、マレーシア工科大学と日本の大学、企業間における双方向での交流が進められる必要があります。
マレーシアでは、産業の高度化、高付加価値化、高度産業技術等に高いニーズがある一方で、環境保全、社会的弱者、障害者等の支援、廃棄物処理、防災等が課題となっています。経済成長の裏で都市部と地方の経済及び所得の格差は大きくなっており、これらの課題解決のため支援を行うことは、均衡の取れた発展を後押しするものと考えます。
この点において、JICA海外協力隊員が使命感を持って精力的に支援活動を行っており、その情熱に感銘を受けました。自身の専門的な知識を生かしながら、現地の人々とともに生活し、同じ目線で開発ニーズや課題解決のために支援を行うことは、我が国らしい支援として信頼を集める源泉になっています。協力隊員としての経験は何にも得難く、社会にとっても大きな財産であることから、協力隊員に対する帰国後の就職支援、また大学院進学等について、国としても最大限のサポートをお願いしたいと思います。
マレーシアは、国際海上交通の要衝でありまして、日本にとっても重要なシーレーンであるマラッカ海峡を有するなど、南シナ海の沿岸国として地政学的に重要な位置を占めています。日本はマレーシアとの海上保安分野での協力を重視しており、JICA長期専門家、海上保安アドバイザーを海上法令執行庁へ派遣し、鑑識技術や海上捜索救助等の分野での研修や、アジア、アフリカ諸国を対象とした第三国研修をマレーシア側とともに実施しています。これらの協力は、ルールに基づく海洋秩序の維持につながるものであり、更なる協力強化が期待されます。
次に、タイ王国について申し上げます。
日本はタイにとって一貫して最大のODA供与国となっており、これまでに総額二・八兆円の支援を実施してきました。こうした結果、タイは高中所得国となり、メコン地域において最大の経済規模を有しています。他方で、中進国のわなからの脱却に向けた産業の高度化や産業人材の育成、交通渋滞や大気汚染等に代表される都市環境問題への取組などが課題となっています。
今回、バンコク都市鉄道レッドライン及びパープルラインを視察しましたが、鉄道のメンテナンスには日本の技術が採用され、輸送障害の発生がゼロになっていると説明を受けました。現在、規格に違いがある路線の統一が今後進められていく場合にも、日本の技術基準が採用されるように実績を積み重ねていくとともに、鉄道の安全は質の高いメンテナンスによって支えられているという理解を促進する必要があると考えます。また、日本の開発協力は、投資をして終わりではなく、技術を伝承し、人を育て、環境負荷にも強く、安全性も兼ね備えていることをタイ側にも積極的に説明し、日系企業が十分に強みを生かせるよう後押しすることが重要です。
インド洋と南シナ海の両海に面するタイは、地政学的に重要な位置を占め、ASEANにおいて中核的役割を担うとともに、自由で開かれたインド太平洋、FOIPにおけるメコン地域の発展の鍵とされています。ASEAN諸国等を対象とした第三国研修や専門家派遣に一層に取り組むなど、日本とタイの開発パートナーとしての関係を強化し、ASEAN・メコン地域の発展に貢献することが重要です。
また、日本の高専制度を導入したモンクット王工科大学ラカバン校附属高等専門学校、こちらは二〇二四年三月に一期生が卒業しました。日系企業や現地産業界から非常に注目を集めています。中進国のわなに直面するタイにおいて、経済発展を考える上では、こうしたタイ高専のような科学技術産業への高度人材の育成などが重要になるため、日本としても協力を惜しまない姿勢が必要と考えます。他方で、タイ高専の学校数が現在よりも増加した場合の教員の確保に備えてタイ人の教員を養成する必要性などといった課題にも対処することが求められています。
最後に、ODAに関する国民の理解及び戦略性について申し上げます。
マレーシアやタイのような中進国から高所得国入りを目標とし、ASEANを始めとした第三国の課題に対する支援も行っている国に対するODAは、ニーズを見極めた上で、技術協力、円借款及び海外投融資等を戦略的に検討し、国民に理解を得ることが重要と考えます。
結びに、今回の派遣に当たっては、視察先の関係者を始め、外務省及び在外公館、JICA等、内外の関係機関の方々に多大なる御協力と御尽力をいただきました。改めて深く感謝を申し上げまして、報告を終わります。
石
若
若松謙維#9
○若松謙維君 ODA調査派遣第二班について御報告いたします。
当班は、令和六年八月二十七日から九月二日までの七日間、インド共和国に派遣されました。
派遣議員は、団長の青木一彦議員、青山繁晴議員、石川大我議員及び私、若松謙維の四名でございます。
インドは、十四億人の人口を抱え、近年、著しい経済発展を続けており、世界最大の民主主義国家として安定した内政運営が行われております。また、国際社会においては、いわゆるグローバルサウスの中心国としてますます存在感を高めています。
一方、経済成長の成果は国民に広く行き渡るには至っておらず、貧富の格差は依然として大きく、失業率は八%前後で推移しており、特に高学歴の若者の失業率は二八・七%と高くなっています。急速な都市化や人口増加にインフラ整備が追い付いておらず、環境面では大気汚染や水質汚染の問題を抱えるなど、様々な社会課題が存在しています。
以下、現地の視察、政府要人や関係者との意見交換等を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
第一に、ODAの戦略的活用について申し上げます。
インドは、インド洋の中心に位置する日本に友好的な民主主義国家であり、国際社会における影響力も大きな国です。我が国が掲げる自由で開かれたインド太平洋、FOIPの重要性について認識を共有しており、これを実現する上で欠くことができない非常に重要なパートナーです。今後もODAを懸け橋としてインドとの連携を更に強化し、FOIPの推進力として協働していくことが望まれます。
また、ODAを活用し、インドに進出している日系企業にも恩恵が及ぶ投資環境整備を行うことも重要です。
政府には、ODA開始から七十年の経験を生かし、我が国にも援助を受ける開発途上国にも裨益する効果的なODAの在り方の検討に一層注力することが求められます。
なお、ODAは、日本企業にとってもインド進出の足掛かりとなりますが、インドでは調達先が援助供与国に限定されないアンタイドの事業が原則となっているため、日本企業においては、ODA事業を国際競争入札において受注しやすくなるよう、低廉な価格設定と相応の品質の製品開発といった現実的、戦略的な対応が求められます。
第二に、インドに対するODAの在り方について申し上げます。
持続可能な開発目標、SDGsは、誰一人取り残さない持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標であり、我が国の開発協力の特色である質の高い経済成長や人間の安全保障といった概念と高い親和性があります。インドは、SDGs達成に積極的に取り組んでおり、我が国は、持続的で包摂的な成長の支援、産業競争力の強化、連結性の強化という方針の下、インドのSDGs達成を後押ししています。人口が非常に多く、貧富の格差も大きいインドにおいてSDGsを達成することは容易ではなく、様々な社会課題の統合的な解決に資するSDGs達成の支援に一層力を入れるべきだと考えています。
また、膨大な人口を抱えるインドでは、莫大な資金を投じても効果が全国民には行き渡らず限定的になってしまうという側面もあります。インドにおける制度の改善を促すODAに力を入れるほか、国際機関や民間資金との連携も有効だと考えます。
インドにおける雇用問題には、高い失業率に加え、靴磨きや露天商等、行政の指導を受けない小規模な経済活動であるインフォーマルセクターの労働の問題もあります。国際労働機関、ILOによると、インドではインフォーマルセクターにおける労働が全体の九割を占めており、労働法の適用を受けないため、低賃金や健康問題の温床となっているとされています。雇用のミスマッチを避け、それぞれの能力に応じた適切な雇用を確保するため、職業訓練や幅広い業種の産業の育成が必要です。その際、今般調査したタミル・ナド州投資促進プログラムのような総合的な投資環境整備事業が有効であると考えます。適切な雇用の確保によって、貧困層の生活水準が向上し、貧富の格差解消につながることや、働きがいのある人間らしい仕事、ディーセントワークの実現が期待されます。
一方、経済発展を遂げ、国民全体の生活水準が上がった場合、インドでは食料やエネルギーの更なる消費拡大が見込まれます。これを国内で賄うことができるよう、農業の生産性と持続可能性の強化や多角化、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率化への支援を強化することも重要です。さらに、今般視察したオクラ下水処理場における汚泥由来のガスを有効活用した発電、デリーメトロやムンバイメトロ三号線における電力回生のような取組も有効であり、今後も可能な限り導入するよう努めるべきであると考えます。
経済成長による貧困削減では救い切れない貧困層への支援という点では、必要な予算は比較的少額であるものの、脆弱な立場の人々に対して、直接、きめ細やかな対応が可能となる草の根・人間の安全保障無償資金協力の推進が必要です。在外公館においては、支援を必要としている団体に必要な情報が届き、高い理念と熱い情熱を持った団体を発掘できるよう、様々な機会を通じて積極的な周知を行うことが求められます。
第三に、ODAの運用上留意すべき点について申し上げます。
今般視察したタミル・ナド州都市保健強化計画におけるキルポーク医科大学病院の整備においては、インド側が希望していた日本製医療機器を導入するには事業期間の延長が必要でしたが、延長が認められず、代わりに外国製医療機器が導入されました。今後、事業期間の延長判断に当たっては、事業の実施管理の観点とともに、日本企業の参画についても十分に考慮することが望まれます。
今般意見交換を行った日系企業関係者からは、ODA事業を受注して契約した後、発注者であるインド側の事業実施機関から多くの追加要求が行われるものの、契約金額が変更されないこともあり、受注企業としては厳しい側面があるとの意見がありました。要求内容を加味した上で契約価格の調整が適切に行われれば受注企業も過度な負担を強いられることなく事業を遂行でき、ODA事業を受注しようとする企業の裾野を広げることにもつながるのではないでしょうか。JICAにおいては、契約金額の見直しに向けた発注者と受注者の仲介も行っていることを受注企業に周知するとともに、発注者からの追加要求の状況にも留意しつつ、発注者、受注者双方と十分にコミュニケーションを取りながら、積極的に仲介を行うことが望まれます。
JICA海外協力隊制度に関しては、原則として配属先機関が用意することになっている住居の隊員間格差が生じているほか、帰国後のキャリアに不安を感じている隊員もいました。JICA海外協力隊員は日本の宝であり、使命感を持って精力的に活動している隊員が安心して活動に専念できる環境の確保、隊員としての活動が適正に評価される環境醸成やキャリア形成支援が必要です。JICAにおいて、既に様々な支援が行われていることは承知していますが、一層の尽力をお願いします。
第四に、ODAに関する情報発信の重要性について申し上げます。
厳しい財政状況の下、ODA予算を維持拡大していくためには、国民の理解を得るための一層の努力が必要です。我が国のODAはインドにおいて高く評価されていましたが、ODAは、援助を受ける開発途上国だけではなく、援助を行う我が国の国益にも資するものであることを国民に理解してもらうことが重要であり、ODAに対する国民の理解を促進するための情報発信に一層力を入れることを政府に求めます。
ODAに関する情報発信は、援助の対象となる開発途上国においても、在外公館やJICAが積極的に取り組む必要があります。ODA事業が行われている間や事業終了直後だけでなく、事業終了から時間が経過した後も我が国のODAによって支援を受けた事業であることを認識し続けてもらい、日本のプレゼンスを維持していくためには、日頃からの情報発信が欠かせません。ODAに関する情報発信もJICAの重要な業務の一つとして、更に積極的に取り組むことを望みます。特に、ODA調査派遣議員団の視察は情報発信の好機であり、是非有効に活用してほしいと思います。また、先ほども述べたように、草の根・人間の安全保障無償資金協力による支援を必要としている団体を発掘する上でも情報発信は重要です。さらに、日本の技術を活用したODAの成功例を周知して、高い技術力を広め、日本企業が新たなビジネスチャンスをつかむことができれば、日本経済にとっても有益だと考えます。
最後に、ODA調査派遣の意義について申し上げます。
二〇〇三年七月の参議院改革協議会報告書の提言を受け、参議院では二〇〇四年度からODA調査のための海外派遣が実施されています。二〇二四年度までに十八回にわたり、六十九班が延べ百七十の国・地域に派遣されています。派遣議員団が実際に現地に赴き、自らの目で見て生のお声を聞いて調査を行うことは、かけがえのない非常に貴重な機会です。こうした経験を踏まえ、ODAに関する議論を深めていくことは、ODAに対する国民の理解を促進する上でも重要であると考えます。
結びに、今般の派遣に当たって多大な御協力をいただきましたインド政府、州政府、視察先関係者、外務省本省、在外公館、JICA、国際機関邦人職員、JICA海外協力隊員、日系企業関係者等の方々に改めて感謝を申し上げるとともに、インドにおける日本の顔として活躍されている皆様に心から敬意を表し、第二班の報告といたします。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →当班は、令和六年八月二十七日から九月二日までの七日間、インド共和国に派遣されました。
派遣議員は、団長の青木一彦議員、青山繁晴議員、石川大我議員及び私、若松謙維の四名でございます。
インドは、十四億人の人口を抱え、近年、著しい経済発展を続けており、世界最大の民主主義国家として安定した内政運営が行われております。また、国際社会においては、いわゆるグローバルサウスの中心国としてますます存在感を高めています。
一方、経済成長の成果は国民に広く行き渡るには至っておらず、貧富の格差は依然として大きく、失業率は八%前後で推移しており、特に高学歴の若者の失業率は二八・七%と高くなっています。急速な都市化や人口増加にインフラ整備が追い付いておらず、環境面では大気汚染や水質汚染の問題を抱えるなど、様々な社会課題が存在しています。
以下、現地の視察、政府要人や関係者との意見交換等を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
第一に、ODAの戦略的活用について申し上げます。
インドは、インド洋の中心に位置する日本に友好的な民主主義国家であり、国際社会における影響力も大きな国です。我が国が掲げる自由で開かれたインド太平洋、FOIPの重要性について認識を共有しており、これを実現する上で欠くことができない非常に重要なパートナーです。今後もODAを懸け橋としてインドとの連携を更に強化し、FOIPの推進力として協働していくことが望まれます。
また、ODAを活用し、インドに進出している日系企業にも恩恵が及ぶ投資環境整備を行うことも重要です。
政府には、ODA開始から七十年の経験を生かし、我が国にも援助を受ける開発途上国にも裨益する効果的なODAの在り方の検討に一層注力することが求められます。
なお、ODAは、日本企業にとってもインド進出の足掛かりとなりますが、インドでは調達先が援助供与国に限定されないアンタイドの事業が原則となっているため、日本企業においては、ODA事業を国際競争入札において受注しやすくなるよう、低廉な価格設定と相応の品質の製品開発といった現実的、戦略的な対応が求められます。
第二に、インドに対するODAの在り方について申し上げます。
持続可能な開発目標、SDGsは、誰一人取り残さない持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標であり、我が国の開発協力の特色である質の高い経済成長や人間の安全保障といった概念と高い親和性があります。インドは、SDGs達成に積極的に取り組んでおり、我が国は、持続的で包摂的な成長の支援、産業競争力の強化、連結性の強化という方針の下、インドのSDGs達成を後押ししています。人口が非常に多く、貧富の格差も大きいインドにおいてSDGsを達成することは容易ではなく、様々な社会課題の統合的な解決に資するSDGs達成の支援に一層力を入れるべきだと考えています。
また、膨大な人口を抱えるインドでは、莫大な資金を投じても効果が全国民には行き渡らず限定的になってしまうという側面もあります。インドにおける制度の改善を促すODAに力を入れるほか、国際機関や民間資金との連携も有効だと考えます。
インドにおける雇用問題には、高い失業率に加え、靴磨きや露天商等、行政の指導を受けない小規模な経済活動であるインフォーマルセクターの労働の問題もあります。国際労働機関、ILOによると、インドではインフォーマルセクターにおける労働が全体の九割を占めており、労働法の適用を受けないため、低賃金や健康問題の温床となっているとされています。雇用のミスマッチを避け、それぞれの能力に応じた適切な雇用を確保するため、職業訓練や幅広い業種の産業の育成が必要です。その際、今般調査したタミル・ナド州投資促進プログラムのような総合的な投資環境整備事業が有効であると考えます。適切な雇用の確保によって、貧困層の生活水準が向上し、貧富の格差解消につながることや、働きがいのある人間らしい仕事、ディーセントワークの実現が期待されます。
一方、経済発展を遂げ、国民全体の生活水準が上がった場合、インドでは食料やエネルギーの更なる消費拡大が見込まれます。これを国内で賄うことができるよう、農業の生産性と持続可能性の強化や多角化、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率化への支援を強化することも重要です。さらに、今般視察したオクラ下水処理場における汚泥由来のガスを有効活用した発電、デリーメトロやムンバイメトロ三号線における電力回生のような取組も有効であり、今後も可能な限り導入するよう努めるべきであると考えます。
経済成長による貧困削減では救い切れない貧困層への支援という点では、必要な予算は比較的少額であるものの、脆弱な立場の人々に対して、直接、きめ細やかな対応が可能となる草の根・人間の安全保障無償資金協力の推進が必要です。在外公館においては、支援を必要としている団体に必要な情報が届き、高い理念と熱い情熱を持った団体を発掘できるよう、様々な機会を通じて積極的な周知を行うことが求められます。
第三に、ODAの運用上留意すべき点について申し上げます。
今般視察したタミル・ナド州都市保健強化計画におけるキルポーク医科大学病院の整備においては、インド側が希望していた日本製医療機器を導入するには事業期間の延長が必要でしたが、延長が認められず、代わりに外国製医療機器が導入されました。今後、事業期間の延長判断に当たっては、事業の実施管理の観点とともに、日本企業の参画についても十分に考慮することが望まれます。
今般意見交換を行った日系企業関係者からは、ODA事業を受注して契約した後、発注者であるインド側の事業実施機関から多くの追加要求が行われるものの、契約金額が変更されないこともあり、受注企業としては厳しい側面があるとの意見がありました。要求内容を加味した上で契約価格の調整が適切に行われれば受注企業も過度な負担を強いられることなく事業を遂行でき、ODA事業を受注しようとする企業の裾野を広げることにもつながるのではないでしょうか。JICAにおいては、契約金額の見直しに向けた発注者と受注者の仲介も行っていることを受注企業に周知するとともに、発注者からの追加要求の状況にも留意しつつ、発注者、受注者双方と十分にコミュニケーションを取りながら、積極的に仲介を行うことが望まれます。
JICA海外協力隊制度に関しては、原則として配属先機関が用意することになっている住居の隊員間格差が生じているほか、帰国後のキャリアに不安を感じている隊員もいました。JICA海外協力隊員は日本の宝であり、使命感を持って精力的に活動している隊員が安心して活動に専念できる環境の確保、隊員としての活動が適正に評価される環境醸成やキャリア形成支援が必要です。JICAにおいて、既に様々な支援が行われていることは承知していますが、一層の尽力をお願いします。
第四に、ODAに関する情報発信の重要性について申し上げます。
厳しい財政状況の下、ODA予算を維持拡大していくためには、国民の理解を得るための一層の努力が必要です。我が国のODAはインドにおいて高く評価されていましたが、ODAは、援助を受ける開発途上国だけではなく、援助を行う我が国の国益にも資するものであることを国民に理解してもらうことが重要であり、ODAに対する国民の理解を促進するための情報発信に一層力を入れることを政府に求めます。
ODAに関する情報発信は、援助の対象となる開発途上国においても、在外公館やJICAが積極的に取り組む必要があります。ODA事業が行われている間や事業終了直後だけでなく、事業終了から時間が経過した後も我が国のODAによって支援を受けた事業であることを認識し続けてもらい、日本のプレゼンスを維持していくためには、日頃からの情報発信が欠かせません。ODAに関する情報発信もJICAの重要な業務の一つとして、更に積極的に取り組むことを望みます。特に、ODA調査派遣議員団の視察は情報発信の好機であり、是非有効に活用してほしいと思います。また、先ほども述べたように、草の根・人間の安全保障無償資金協力による支援を必要としている団体を発掘する上でも情報発信は重要です。さらに、日本の技術を活用したODAの成功例を周知して、高い技術力を広め、日本企業が新たなビジネスチャンスをつかむことができれば、日本経済にとっても有益だと考えます。
最後に、ODA調査派遣の意義について申し上げます。
二〇〇三年七月の参議院改革協議会報告書の提言を受け、参議院では二〇〇四年度からODA調査のための海外派遣が実施されています。二〇二四年度までに十八回にわたり、六十九班が延べ百七十の国・地域に派遣されています。派遣議員団が実際に現地に赴き、自らの目で見て生のお声を聞いて調査を行うことは、かけがえのない非常に貴重な機会です。こうした経験を踏まえ、ODAに関する議論を深めていくことは、ODAに対する国民の理解を促進する上でも重要であると考えます。
結びに、今般の派遣に当たって多大な御協力をいただきましたインド政府、州政府、視察先関係者、外務省本省、在外公館、JICA、国際機関邦人職員、JICA海外協力隊員、日系企業関係者等の方々に改めて感謝を申し上げるとともに、インドにおける日本の顔として活躍されている皆様に心から敬意を表し、第二班の報告といたします。
ありがとうございました。
石
江
江島潔#11
○江島潔君 それでは、ODA調査派遣第三班について御報告を申し上げます。
当班は、昨年九月一日から九日までの九日間、フィジー共和国及びトンガ王国に派遣されました。
派遣議員は、団長の藤川政人議員及び私、江島潔の二名でございます。
大洋州地域に広がる島嶼国の多くは、国土が狭い、広範囲に散在する、人口が少ない、自然災害が多いなど、開発上不利な面を少なからず抱えており、開発課題を克服するために、国際社会の支援が重要な役割を果たしています。
同地域に対する開発協力では、従来、歴史的なつながりもある豪州やニュージーランドなどが主要なドナー国でしたが、近年は中国が積極的な支援を行っており、それがどういった影響を与えるのか、見極め、必要な対応を取っていくことも求められています。
そうした中、今般、参議院のODA調査として、同地域の中心的な国であるフィジーを再び訪れたほか、同地域唯一の王国であるトンガを初めて訪問し、案件視察のほか、政府要人や関係者と我が国の開発協力に対する評価や期待などについて意見交換ができたことは、大変有意義であったと思っております。
以下、調査を踏まえた派遣団としての所見の概要を申し上げます。
第一に、我が国と太平洋島嶼国は様々な分野で課題を共有しており、そうした分野で我が国が培ってきた経験等に基づく比較優位を活用した支援の有効性を実感をしました。
トンガで調査しました無償資金協力、全国早期警報システム導入及び防災通信能力強化計画では、支援で導入したシステムにより、それまで九十分程度要していた全国への警報伝達が九分弱に短縮されており、トンガ側の評価も高く、早期警報の重要性に関する我が国の知見が生かされていることが確認できました。
また、先般の開発協力大綱の改定の際に打ち出されたオファー型協力として、フィジーとの間で準天頂衛星システム「みちびき」を活用した災害危機管理通報サービスの導入に向けた取組も進んでおり、フィジー側のニーズも踏まえつつ、より良い支援としていただきたいと思います。
気候変動対策の関連で注目される再生可能エネルギー導入支援では、トンガにおける無償資金協力、風力発電システム導入計画を調査をしました。この支援では、トンガがサイクロンの常襲地域であることから、同様に台風対策が必要な沖縄での実績がある可倒式風車が活用されており、我が国の強みを生かした支援となっています。今後は、部品供給やメンテナンスの面などでも適切なフォローアップが必要になるだろうと考えます。
我が国同様、海とともに生きてきた太平洋島嶼国に対しては、海洋利用に関する知見や技術、経験を共有することも重要であります。
我が国はこれまで長きにわたり、フィジーにある地域の中心的な高等教育機関である南太平洋大学における持続可能な水産資源の活用に向けた支援などを行ってきています。現在も技術協力、太平洋島嶼国のSDG14、海の豊かさを守ろうプロジェクト、これを実施をしておりますが、これは南南協力による成果の地域全体への普及も目指したもので、効果的な支援であると思います。
なお、以前支援した施設等に老朽化も見られる中、近年は様々な国から共同研究などの大型プロジェクトの提案が増えてきているとのことで、我が国としてもこれまでのプレゼンスを維持できるような支援の継続が期待をされます。
また、高い造船技術も、これも我が国の強みでありますが、無償資金協力、経済社会開発計画で供与したタグボートは、地域でも屈指の牽引能力を持つものであることに加えまして、災害救援や船舶火災にも対応できるなど大変多機能であり、トンガにおける海洋利用の可能性を広げるものと確信をしました。ちなみに、このタグボートは下関の造船所で建造されたものです。
第二に、情報通信分野に関する開発協力の重要性を指摘したいと思います。
トンガでは、二〇二二年の海底火山の噴火の際、海底ケーブルが損壊し、一定期間、国内外で情報伝達が困難になりました。これは、今日の情報化社会における海底ケーブルの重要性を認識をするものであります。
我が国は米国や豪州と連携した東部ミクロネシア海底ケーブル事業などに取り組んでおり、こうした動きを評価したいと思います。
情報通信ネットワークは人々の生命や財産を守るライフラインであり、サイバーセキュリティーに関する支援の強化、ネットワークの強靱化にも取り組む必要があり、多様な技術を総合的に活用していくため、国内で培ったノウハウを開発協力へ活用していくべきと考えます。
第三に、人間の安全保障にもつながる、きめ細やかな草の根支援の重要性であります。
今回の調査では、両国政府要人との意見交換において、我が国の草の根・人間の安全保障無償資金協力を高く評価する声がしばしば聞かれました。
一例を挙げますと、草の根レベルでの学校整備、災害時に避難所として使われていることも想定したコミュニティーホールの建設等々に謝意が述べられました。特に後者のような支援は我が国らしい視点が生かされており、援助では必要な規模を確保した上で、そうした面で他国との差別化が効果的であると気付かされました。
なお、フィジーでは、会計検査院の令和四年度決算検査報告において指摘を受けていた、このスキームによるナヴアケゼ・ディストリクト小学校整備計画も調査をして、その後の対応について説明聴取を行いました。
フィジー政府の協力も得て校舎が完成をし、引き渡されておりましたが、援助効果の発現について、会計検査院の指摘を受けたことは遺憾であります。
このスキームで生じやすい問題について、各在外公館におけるグッドプラクティスの共有を図るなど、再発防止を図り、柔軟性と機動性というこのスキームの強みを生かした、より良い協力を実施していただきたいと思います。
第四に、無償資金協力等と技術協力とを効果的に連携させる重要性が挙げられます。
大型インフラ整備のような案件がほぼ行われていないフィジー、トンガ両国では、一見地味ですが、無償資金協力と技術協力との効果的な組合せが成功している例が少なくありません。その代表例がフィジー気象局への協力であり、我が国の無償資金協力により施設や観測機器等が整備されたのを契機に世界気象機関、WMOの地域特別気象中枢に認定をされ、その後も技術協力で人材育成に協力してきた結果、今では地域のサイクロン予報、警報や人材育成等の拠点にまで成長しています。
こうした物の支援と、それをどう効果的に使うかというノウハウを伝える技術協力は車の両輪であり、こうした連携が日本の強みとして両国で高く評価されていたことは指摘しておきたいと思います。
第五に、JICA海外協力隊が多面的に活躍できる環境整備、支援の重要性であります。
JICA海外協力隊は今年六十周年を迎えますが、彼らが行っている草の根でのきめ細やかな開発協力は我が国の強みであるとともに、隊員を介して我が国やあるいは日本人に対する理解促進も期待され、効果的な活用が期待されます。
協力隊に関しては、過去の参議院のODA調査でも、現地での仕事とのミスマッチや帰国後の再就職支援などについて指摘があり、今回、意見交換した隊員からは特に問題点や不安は聞かれませんでしたが、JICAには引き続き、安心して意欲的に職務に当たれるような支援をお願いしたいと思います。
また、帰国した隊員が、現地で身に付けた知識や経験を我が国社会に還元できるような取組の強化も求められるほか、四十六歳以上を対象とする海外協力隊の更なる活用の可能性も検討してほしいと思います。
第六に、自由で開かれたインド太平洋の実現に資する開発協力を目指していく上で留意すべき点であります。
今日、自由や民主主義、あるいは法の支配に基づく国際秩序が重大な挑戦に直面する中、我が国は自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、開発協力も戦略的に行っていくべきと考えます。
こうした中、中国は開発協力を通じて太平洋島嶼国にも影響を拡大していますが、ここで留意すべきは、これらの国々は中国も重要な開発パートナーとして捉えており、二者択一を迫るようなアプローチは必ずしも効果的ではないと思われる点であります。
我が国は太平洋島嶼国に対し、太平洋・島サミットなどの場を通じて、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の意義の重要性について、これらの国々との共通理解を深めていくことが重要だと考えます。
その際には、海洋法に関する人材育成を積極的に支援することや、あるいは領海基線の問題など、島嶼国が関心を持つ海洋法上の問題について、我が国の国益にも留意しつつ、緊密に連携していくことも一案ではないかと思っています。
最後に、今、大洋州地域は国際秩序をめぐるせめぎ合いの場になっており、参議院としても、同地域により積極的にODA調査団を派遣する必要があるように思います。
以上が第三班の所見及び提言です。
最後になりますが、調査に御協力いただいた視察先及び内外の関係機関の方々、全ての皆様に心から感謝を申し上げ、報告を終わります。
この発言だけを見る →当班は、昨年九月一日から九日までの九日間、フィジー共和国及びトンガ王国に派遣されました。
派遣議員は、団長の藤川政人議員及び私、江島潔の二名でございます。
大洋州地域に広がる島嶼国の多くは、国土が狭い、広範囲に散在する、人口が少ない、自然災害が多いなど、開発上不利な面を少なからず抱えており、開発課題を克服するために、国際社会の支援が重要な役割を果たしています。
同地域に対する開発協力では、従来、歴史的なつながりもある豪州やニュージーランドなどが主要なドナー国でしたが、近年は中国が積極的な支援を行っており、それがどういった影響を与えるのか、見極め、必要な対応を取っていくことも求められています。
そうした中、今般、参議院のODA調査として、同地域の中心的な国であるフィジーを再び訪れたほか、同地域唯一の王国であるトンガを初めて訪問し、案件視察のほか、政府要人や関係者と我が国の開発協力に対する評価や期待などについて意見交換ができたことは、大変有意義であったと思っております。
以下、調査を踏まえた派遣団としての所見の概要を申し上げます。
第一に、我が国と太平洋島嶼国は様々な分野で課題を共有しており、そうした分野で我が国が培ってきた経験等に基づく比較優位を活用した支援の有効性を実感をしました。
トンガで調査しました無償資金協力、全国早期警報システム導入及び防災通信能力強化計画では、支援で導入したシステムにより、それまで九十分程度要していた全国への警報伝達が九分弱に短縮されており、トンガ側の評価も高く、早期警報の重要性に関する我が国の知見が生かされていることが確認できました。
また、先般の開発協力大綱の改定の際に打ち出されたオファー型協力として、フィジーとの間で準天頂衛星システム「みちびき」を活用した災害危機管理通報サービスの導入に向けた取組も進んでおり、フィジー側のニーズも踏まえつつ、より良い支援としていただきたいと思います。
気候変動対策の関連で注目される再生可能エネルギー導入支援では、トンガにおける無償資金協力、風力発電システム導入計画を調査をしました。この支援では、トンガがサイクロンの常襲地域であることから、同様に台風対策が必要な沖縄での実績がある可倒式風車が活用されており、我が国の強みを生かした支援となっています。今後は、部品供給やメンテナンスの面などでも適切なフォローアップが必要になるだろうと考えます。
我が国同様、海とともに生きてきた太平洋島嶼国に対しては、海洋利用に関する知見や技術、経験を共有することも重要であります。
我が国はこれまで長きにわたり、フィジーにある地域の中心的な高等教育機関である南太平洋大学における持続可能な水産資源の活用に向けた支援などを行ってきています。現在も技術協力、太平洋島嶼国のSDG14、海の豊かさを守ろうプロジェクト、これを実施をしておりますが、これは南南協力による成果の地域全体への普及も目指したもので、効果的な支援であると思います。
なお、以前支援した施設等に老朽化も見られる中、近年は様々な国から共同研究などの大型プロジェクトの提案が増えてきているとのことで、我が国としてもこれまでのプレゼンスを維持できるような支援の継続が期待をされます。
また、高い造船技術も、これも我が国の強みでありますが、無償資金協力、経済社会開発計画で供与したタグボートは、地域でも屈指の牽引能力を持つものであることに加えまして、災害救援や船舶火災にも対応できるなど大変多機能であり、トンガにおける海洋利用の可能性を広げるものと確信をしました。ちなみに、このタグボートは下関の造船所で建造されたものです。
第二に、情報通信分野に関する開発協力の重要性を指摘したいと思います。
トンガでは、二〇二二年の海底火山の噴火の際、海底ケーブルが損壊し、一定期間、国内外で情報伝達が困難になりました。これは、今日の情報化社会における海底ケーブルの重要性を認識をするものであります。
我が国は米国や豪州と連携した東部ミクロネシア海底ケーブル事業などに取り組んでおり、こうした動きを評価したいと思います。
情報通信ネットワークは人々の生命や財産を守るライフラインであり、サイバーセキュリティーに関する支援の強化、ネットワークの強靱化にも取り組む必要があり、多様な技術を総合的に活用していくため、国内で培ったノウハウを開発協力へ活用していくべきと考えます。
第三に、人間の安全保障にもつながる、きめ細やかな草の根支援の重要性であります。
今回の調査では、両国政府要人との意見交換において、我が国の草の根・人間の安全保障無償資金協力を高く評価する声がしばしば聞かれました。
一例を挙げますと、草の根レベルでの学校整備、災害時に避難所として使われていることも想定したコミュニティーホールの建設等々に謝意が述べられました。特に後者のような支援は我が国らしい視点が生かされており、援助では必要な規模を確保した上で、そうした面で他国との差別化が効果的であると気付かされました。
なお、フィジーでは、会計検査院の令和四年度決算検査報告において指摘を受けていた、このスキームによるナヴアケゼ・ディストリクト小学校整備計画も調査をして、その後の対応について説明聴取を行いました。
フィジー政府の協力も得て校舎が完成をし、引き渡されておりましたが、援助効果の発現について、会計検査院の指摘を受けたことは遺憾であります。
このスキームで生じやすい問題について、各在外公館におけるグッドプラクティスの共有を図るなど、再発防止を図り、柔軟性と機動性というこのスキームの強みを生かした、より良い協力を実施していただきたいと思います。
第四に、無償資金協力等と技術協力とを効果的に連携させる重要性が挙げられます。
大型インフラ整備のような案件がほぼ行われていないフィジー、トンガ両国では、一見地味ですが、無償資金協力と技術協力との効果的な組合せが成功している例が少なくありません。その代表例がフィジー気象局への協力であり、我が国の無償資金協力により施設や観測機器等が整備されたのを契機に世界気象機関、WMOの地域特別気象中枢に認定をされ、その後も技術協力で人材育成に協力してきた結果、今では地域のサイクロン予報、警報や人材育成等の拠点にまで成長しています。
こうした物の支援と、それをどう効果的に使うかというノウハウを伝える技術協力は車の両輪であり、こうした連携が日本の強みとして両国で高く評価されていたことは指摘しておきたいと思います。
第五に、JICA海外協力隊が多面的に活躍できる環境整備、支援の重要性であります。
JICA海外協力隊は今年六十周年を迎えますが、彼らが行っている草の根でのきめ細やかな開発協力は我が国の強みであるとともに、隊員を介して我が国やあるいは日本人に対する理解促進も期待され、効果的な活用が期待されます。
協力隊に関しては、過去の参議院のODA調査でも、現地での仕事とのミスマッチや帰国後の再就職支援などについて指摘があり、今回、意見交換した隊員からは特に問題点や不安は聞かれませんでしたが、JICAには引き続き、安心して意欲的に職務に当たれるような支援をお願いしたいと思います。
また、帰国した隊員が、現地で身に付けた知識や経験を我が国社会に還元できるような取組の強化も求められるほか、四十六歳以上を対象とする海外協力隊の更なる活用の可能性も検討してほしいと思います。
第六に、自由で開かれたインド太平洋の実現に資する開発協力を目指していく上で留意すべき点であります。
今日、自由や民主主義、あるいは法の支配に基づく国際秩序が重大な挑戦に直面する中、我が国は自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、開発協力も戦略的に行っていくべきと考えます。
こうした中、中国は開発協力を通じて太平洋島嶼国にも影響を拡大していますが、ここで留意すべきは、これらの国々は中国も重要な開発パートナーとして捉えており、二者択一を迫るようなアプローチは必ずしも効果的ではないと思われる点であります。
我が国は太平洋島嶼国に対し、太平洋・島サミットなどの場を通じて、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の意義の重要性について、これらの国々との共通理解を深めていくことが重要だと考えます。
その際には、海洋法に関する人材育成を積極的に支援することや、あるいは領海基線の問題など、島嶼国が関心を持つ海洋法上の問題について、我が国の国益にも留意しつつ、緊密に連携していくことも一案ではないかと思っています。
最後に、今、大洋州地域は国際秩序をめぐるせめぎ合いの場になっており、参議院としても、同地域により積極的にODA調査団を派遣する必要があるように思います。
以上が第三班の所見及び提言です。
最後になりますが、調査に御協力いただいた視察先及び内外の関係機関の方々、全ての皆様に心から感謝を申し上げ、報告を終わります。
石
山
山本順三#13
○山本順三君 ODA調査派遣第四班について御報告いたします。
当班は、本年二月八日から二月十六日までの九日間、セネガル共和国及びコートジボワール共和国に派遣されました。
派遣議員は、竹詰議員、仁比議員、そして団長を務めた私、山本の三名でございます。
今回訪問したセネガルにおいては、サレ職業訓練大臣、ジュフ高等教育・研究・イノベーション大臣、ンジャイ国民議会議長、また、コートジボワールにおいては、マブリ大臣・大統領府顧問、カバ経済・計画・開発大臣、クリバリ国民議会対外関係委員長といった要人と懇談する機会に恵まれるなど、様々な関係者と意見交換を行いつつ、数多くのODA案件の現地視察も行うことができ、非常に実りのある派遣となりました。
以下、両国における現地視察や、関係者との意見交換等を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
まず、セネガルについて申し上げます。
産業人材の育成に関する案件として、セネガル日本職業訓練センターを視察いたしました。
一九八四年に設立された同センターは、四十年にわたって日本が支援を続けており、日・セネガル間の協力の代表例というふうに言われております。現在、情報、機械、電気の三学部で約一千人の学生が学んでいるほか、周辺国の指導員の研修も行われています。
視察では、産業用保冷設備の溶接や自動車整備などの実習の様子も見学いたしましたが、どの学生も真剣な表情で実習に取り組んでおられました。
また、同センターでは分校の建設計画があり、これに対する支援の要請がございました。産業人材の育成の重要性に鑑み、政府、JICAにおいて調整が進められることを期待いたします。
港湾のインフラ整備に関する案件として、ダカール港第三埠頭改修計画を視察いたしました。
同計画は、老朽化した埠頭を改修し、水深を深くすることで、取扱い能力を向上させ、セネガルや隣接する内陸国であるマリへの安定した物流ルートを確保するものであり、二〇二三年に完成しております。
視察では、ダカール港が重要な物流拠点となっていることや、内陸国にも裨益をもたらす改修計画の意義を認識いたしました。
母子保健改善に関する案件として、国立保健医療・社会開発学校母子保健実習センター建設計画を視察いたしました。
同学校は、一九九二年に設立された看護師、助産師などを育成、研修する学校であり、周辺国の教員の養成も担っています。実習の機会が限られていることから、同計画において母子保健実習センターを建設し、二〇二三年に完成しています。
視察では、分娩室や新生児室などの実習施設や様々な機材が整備されていることを確認するとともに、学生が真剣なまなざしで授業を受けている様子も見ることができ、このような人材育成に対する支援の重要性を実感をいたしました。
海水淡水化施設整備に関する案件として、マメル海水淡水化事業を視察いたしました。
同事業は、ダカールの人口増加に伴う水需要に対応するため、海水淡水化施設を建設するものであり、二〇二六年の完成を目標としています。同事業は円借款による事業ですが、視察の際、円安の影響を受けて必要な資金が確保できないとの説明があり、更なる支援の要請がありました。あわせて、セネガルの国民議会議員からは、セネガルの財政状況に関するIMFの評価が終わるまでは追加の円借款が実施されず、事業が停止してしまうとの説明がございました。この問題については、セネガル政府において適切な対応が取られ、事業が円滑に進むよう、支援国の日本としても注視していく必要があると考えます。
次に、コートジボワールについて申し上げます。
母子保健改善に関する案件として、大アビジャン圏母子保健サービス改善のためのココディ大学病院整備計画を視察いたしました。
同大学病院は一九七〇年に設立されましたが、母子保健部門の施設の老朽化や医療機材の不足を受け、同計画において母子保健棟を整備し、二〇二三年に開所しております。
視察の際、一年間の実績としては、外来患者一万人、分娩三千件となっており、新生児集中治療室にコートジボワール全土から未熟児などが運ばれてくるとの説明がございました。アビジャン地域のみならず、全国の母親と子供の命を守る非常に重要な施設であると評価します。
道路のインフラ整備に関する案件については、日本・コートジボワール友好交差点改善計画及びアビジャン三交差点建設事業の二つの案件を視察いたしました。
いずれも混雑の激しい交差点での立体交差化を行うものであり、友好交差点は二〇二四年に完成し、三交差点は二〇二六年の完成を目指して現在施工中のものです。しかしながら、交通量が非常に多いため、友好交差点において渋滞が発生しているのを目の当たりにし、三交差点についても、完成時に渋滞が解消するかは見通せないとの説明もございました。立体交差の効果が十分に現れないのであるならば、日本のODAの評価にも関わります。今後のフォローアップが必要と考えます。
港湾のインフラ整備に関する案件として、アビジャン港穀物バース建設計画を視察いたしました。
同計画は、新規に穀物バースを整備し、コートジボワールとサヘル地域内陸国の穀物需要に対応するものであり、既にバース部分は完成をしております。
視察では、輸入された米を船からトラックに積み替えていく様子を見ることができ、有効に活用されているとの確認をいたしました。
海洋人材の育成に関する案件として、アビジャン海洋科学技術学校機材整備計画を視察いたしました。
同学校は一九八七年に開校し、周辺国の学生も受け入れています。
視察では、操船、エンジン、通信などのシミュレーターが整備され、学生がそれらを利用している様子も見学いたしました。それらの機材の一つ一つに日の丸が貼られていたことが印象的でした。操船シミュレーターについては、高波や雨天など状況を変化させることができ、実践的に学ぶことができるため、学生に好評であるとの説明がありました。
教育に関する案件として、教室等の建設や教室備品の整備を図るヨプゴン・サンテ公立小学校校舎増築計画、日本語教育、日本研究の振興を図るフェリックス・ウフエ=ボワニ大学日本語教育・日本研究振興センター整備計画、通称ジャパンコーナーをそれぞれ視察をいたしました。
小学校では、学校関係者のみならず、休校期間にかかわらず集まっていただいた大勢の児童や地元関係者からも歓迎を受け、日本の支援に対する感謝の意が示されました。また、ジャパンコーナーでは、日本語を学んでいる学生との交流をすることができました。このような学生が将来日本とコートジボワールの交流の懸け橋になってくれることを期待しております。
また、アビジャンの東に位置するグラン・バッサムにおいて、消防機材の供与や施設の整備を通して防災対策能力及び市民保護対応能力の強化を図る持続可能な社会的結束のための市民保護強化計画を視察いたしました。
同計画の実施により、市民保護センターの対応能力の向上や救助活動の時間短縮といった効果があったとの説明がございました。
次に、両国を通じた所見について申し上げます。
第一に、アフリカにおける人材育成の重要性です。
アフリカの人口は増加しており、二〇五〇年には世界の人口の約四分の一を占めるというふうに言われております。また、セネガルでの意見交換の場において、同国の平均年齢が十九歳であるということを知らされました。実際に、両国共に町に若者があふれ、そのパワーを感じました。
若者には働きがいのある職業に就いてもらうことが重要であり、そのことが社会の安定や経済発展につながってくると考えます。
人材育成に関する支援に当たっては、施設を整備して終わりではなく、社会経済情勢の変化や技術の進展に応じて指導者の育成や機材の更新などを継続していくべきというふうに考えます。
第二に、周辺国にも裨益する支援の拡大の必要性です。
今回視察したセネガルのセネガル日本職業訓練センターや国立保健医療・社会開発学校、コートジボワールのアビジャン海洋科学技術学校においては、周辺国からの学生の受入れや周辺国の指導者、教員に対する研修を行っています。
このような取組は、直接的な支援対象国のみならず周辺国にも裨益が及ぶことから、有意義な取組であり、このような形での支援を更に拡大していくべきと考えます。
第三に、都市部から地方への展開の必要です。
各国において首都を始めとする都市部と地方との間の格差はまだまだ大きく、これを解消していく取組が求められています。
意見交換の中では、特に女性や子供の教育、医療、雇用へのアクセスについて、都市部と地方との間で大きな格差があることが課題として挙げられていました。引き続き、都市部での支援の取組を地方にも展開していくべきと考えます。
第四に、JICA海外協力隊の活動の重要性です。
海外協力隊は、草の根の外交官として様々な分野で重要な役割を担っており、セネガルでは四十四名が活躍されています。今回、そのうち十名と意見交換を行い、現地での苦労話等々を伺いました。
一方で、コートジボワールでは、二〇〇〇年代の内戦等の影響もあり、現在、協力隊の派遣が行われていません。安全の確保が前提ではありますが、早期の派遣再開が望まれます。
本年八月には、横浜において第九回アフリカ開発会議、いわゆるTICAD9が開催されます。今回訪問したセネガルやコートジボワールを始め、アフリカ各国の開発やその支援の在り方について議論が深まることを期待します。また、セネガルとコートジボワールは、現在開催中の大阪・関西万博に参加しています。TICAD9や万博を機に、ハイレベルの相互訪問や民間企業による投資が一層促進されることが望まれており、それぞれに訪日を強く要請をしておきました。
最後に、今回の派遣に当たっては、外務省本省、在外公館、JICA、セネガル、コートジボワール両国の国民議会及び政府を始め、視察先の関係者、意見交換を行った関係者の方々に多大なる御尽力いただきました。改めて心より感謝を申し上げ、第四班の報告といたします。
以上です。
この発言だけを見る →当班は、本年二月八日から二月十六日までの九日間、セネガル共和国及びコートジボワール共和国に派遣されました。
派遣議員は、竹詰議員、仁比議員、そして団長を務めた私、山本の三名でございます。
今回訪問したセネガルにおいては、サレ職業訓練大臣、ジュフ高等教育・研究・イノベーション大臣、ンジャイ国民議会議長、また、コートジボワールにおいては、マブリ大臣・大統領府顧問、カバ経済・計画・開発大臣、クリバリ国民議会対外関係委員長といった要人と懇談する機会に恵まれるなど、様々な関係者と意見交換を行いつつ、数多くのODA案件の現地視察も行うことができ、非常に実りのある派遣となりました。
以下、両国における現地視察や、関係者との意見交換等を通じて得られた所見を中心に御報告いたします。
まず、セネガルについて申し上げます。
産業人材の育成に関する案件として、セネガル日本職業訓練センターを視察いたしました。
一九八四年に設立された同センターは、四十年にわたって日本が支援を続けており、日・セネガル間の協力の代表例というふうに言われております。現在、情報、機械、電気の三学部で約一千人の学生が学んでいるほか、周辺国の指導員の研修も行われています。
視察では、産業用保冷設備の溶接や自動車整備などの実習の様子も見学いたしましたが、どの学生も真剣な表情で実習に取り組んでおられました。
また、同センターでは分校の建設計画があり、これに対する支援の要請がございました。産業人材の育成の重要性に鑑み、政府、JICAにおいて調整が進められることを期待いたします。
港湾のインフラ整備に関する案件として、ダカール港第三埠頭改修計画を視察いたしました。
同計画は、老朽化した埠頭を改修し、水深を深くすることで、取扱い能力を向上させ、セネガルや隣接する内陸国であるマリへの安定した物流ルートを確保するものであり、二〇二三年に完成しております。
視察では、ダカール港が重要な物流拠点となっていることや、内陸国にも裨益をもたらす改修計画の意義を認識いたしました。
母子保健改善に関する案件として、国立保健医療・社会開発学校母子保健実習センター建設計画を視察いたしました。
同学校は、一九九二年に設立された看護師、助産師などを育成、研修する学校であり、周辺国の教員の養成も担っています。実習の機会が限られていることから、同計画において母子保健実習センターを建設し、二〇二三年に完成しています。
視察では、分娩室や新生児室などの実習施設や様々な機材が整備されていることを確認するとともに、学生が真剣なまなざしで授業を受けている様子も見ることができ、このような人材育成に対する支援の重要性を実感をいたしました。
海水淡水化施設整備に関する案件として、マメル海水淡水化事業を視察いたしました。
同事業は、ダカールの人口増加に伴う水需要に対応するため、海水淡水化施設を建設するものであり、二〇二六年の完成を目標としています。同事業は円借款による事業ですが、視察の際、円安の影響を受けて必要な資金が確保できないとの説明があり、更なる支援の要請がありました。あわせて、セネガルの国民議会議員からは、セネガルの財政状況に関するIMFの評価が終わるまでは追加の円借款が実施されず、事業が停止してしまうとの説明がございました。この問題については、セネガル政府において適切な対応が取られ、事業が円滑に進むよう、支援国の日本としても注視していく必要があると考えます。
次に、コートジボワールについて申し上げます。
母子保健改善に関する案件として、大アビジャン圏母子保健サービス改善のためのココディ大学病院整備計画を視察いたしました。
同大学病院は一九七〇年に設立されましたが、母子保健部門の施設の老朽化や医療機材の不足を受け、同計画において母子保健棟を整備し、二〇二三年に開所しております。
視察の際、一年間の実績としては、外来患者一万人、分娩三千件となっており、新生児集中治療室にコートジボワール全土から未熟児などが運ばれてくるとの説明がございました。アビジャン地域のみならず、全国の母親と子供の命を守る非常に重要な施設であると評価します。
道路のインフラ整備に関する案件については、日本・コートジボワール友好交差点改善計画及びアビジャン三交差点建設事業の二つの案件を視察いたしました。
いずれも混雑の激しい交差点での立体交差化を行うものであり、友好交差点は二〇二四年に完成し、三交差点は二〇二六年の完成を目指して現在施工中のものです。しかしながら、交通量が非常に多いため、友好交差点において渋滞が発生しているのを目の当たりにし、三交差点についても、完成時に渋滞が解消するかは見通せないとの説明もございました。立体交差の効果が十分に現れないのであるならば、日本のODAの評価にも関わります。今後のフォローアップが必要と考えます。
港湾のインフラ整備に関する案件として、アビジャン港穀物バース建設計画を視察いたしました。
同計画は、新規に穀物バースを整備し、コートジボワールとサヘル地域内陸国の穀物需要に対応するものであり、既にバース部分は完成をしております。
視察では、輸入された米を船からトラックに積み替えていく様子を見ることができ、有効に活用されているとの確認をいたしました。
海洋人材の育成に関する案件として、アビジャン海洋科学技術学校機材整備計画を視察いたしました。
同学校は一九八七年に開校し、周辺国の学生も受け入れています。
視察では、操船、エンジン、通信などのシミュレーターが整備され、学生がそれらを利用している様子も見学いたしました。それらの機材の一つ一つに日の丸が貼られていたことが印象的でした。操船シミュレーターについては、高波や雨天など状況を変化させることができ、実践的に学ぶことができるため、学生に好評であるとの説明がありました。
教育に関する案件として、教室等の建設や教室備品の整備を図るヨプゴン・サンテ公立小学校校舎増築計画、日本語教育、日本研究の振興を図るフェリックス・ウフエ=ボワニ大学日本語教育・日本研究振興センター整備計画、通称ジャパンコーナーをそれぞれ視察をいたしました。
小学校では、学校関係者のみならず、休校期間にかかわらず集まっていただいた大勢の児童や地元関係者からも歓迎を受け、日本の支援に対する感謝の意が示されました。また、ジャパンコーナーでは、日本語を学んでいる学生との交流をすることができました。このような学生が将来日本とコートジボワールの交流の懸け橋になってくれることを期待しております。
また、アビジャンの東に位置するグラン・バッサムにおいて、消防機材の供与や施設の整備を通して防災対策能力及び市民保護対応能力の強化を図る持続可能な社会的結束のための市民保護強化計画を視察いたしました。
同計画の実施により、市民保護センターの対応能力の向上や救助活動の時間短縮といった効果があったとの説明がございました。
次に、両国を通じた所見について申し上げます。
第一に、アフリカにおける人材育成の重要性です。
アフリカの人口は増加しており、二〇五〇年には世界の人口の約四分の一を占めるというふうに言われております。また、セネガルでの意見交換の場において、同国の平均年齢が十九歳であるということを知らされました。実際に、両国共に町に若者があふれ、そのパワーを感じました。
若者には働きがいのある職業に就いてもらうことが重要であり、そのことが社会の安定や経済発展につながってくると考えます。
人材育成に関する支援に当たっては、施設を整備して終わりではなく、社会経済情勢の変化や技術の進展に応じて指導者の育成や機材の更新などを継続していくべきというふうに考えます。
第二に、周辺国にも裨益する支援の拡大の必要性です。
今回視察したセネガルのセネガル日本職業訓練センターや国立保健医療・社会開発学校、コートジボワールのアビジャン海洋科学技術学校においては、周辺国からの学生の受入れや周辺国の指導者、教員に対する研修を行っています。
このような取組は、直接的な支援対象国のみならず周辺国にも裨益が及ぶことから、有意義な取組であり、このような形での支援を更に拡大していくべきと考えます。
第三に、都市部から地方への展開の必要です。
各国において首都を始めとする都市部と地方との間の格差はまだまだ大きく、これを解消していく取組が求められています。
意見交換の中では、特に女性や子供の教育、医療、雇用へのアクセスについて、都市部と地方との間で大きな格差があることが課題として挙げられていました。引き続き、都市部での支援の取組を地方にも展開していくべきと考えます。
第四に、JICA海外協力隊の活動の重要性です。
海外協力隊は、草の根の外交官として様々な分野で重要な役割を担っており、セネガルでは四十四名が活躍されています。今回、そのうち十名と意見交換を行い、現地での苦労話等々を伺いました。
一方で、コートジボワールでは、二〇〇〇年代の内戦等の影響もあり、現在、協力隊の派遣が行われていません。安全の確保が前提ではありますが、早期の派遣再開が望まれます。
本年八月には、横浜において第九回アフリカ開発会議、いわゆるTICAD9が開催されます。今回訪問したセネガルやコートジボワールを始め、アフリカ各国の開発やその支援の在り方について議論が深まることを期待します。また、セネガルとコートジボワールは、現在開催中の大阪・関西万博に参加しています。TICAD9や万博を機に、ハイレベルの相互訪問や民間企業による投資が一層促進されることが望まれており、それぞれに訪日を強く要請をしておきました。
最後に、今回の派遣に当たっては、外務省本省、在外公館、JICA、セネガル、コートジボワール両国の国民議会及び政府を始め、視察先の関係者、意見交換を行った関係者の方々に多大なる御尽力いただきました。改めて心より感謝を申し上げ、第四班の報告といたします。
以上です。
石
石井浩郎#14
○委員長(石井浩郎君) ありがとうございました。
以上で意見の聴取は終わりました。
これより意見交換に入ります。
本日は、外務省から宮路外務副大臣及び石月国際協力局長に、独立行政法人国際協力機構から田中理事長及び大場理事に、それぞれ御同席いただいております。
発言を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言ください。
発言者は、意見表明者、派遣団に参加された委員のほか、外務省、JICAに対し回答をお求めいただいても結構です。
なお、発言者には、その都度回答を求める方を明示していただくようにお願いをいたします。
また、回答される方も、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言ください。
なお、いずれも御発言は着席のままで結構です。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいと存じます。
また、発言者一人当たりの発言時間は、回答、追加質問を含めて一巡目は最大十分となるように、その後は最大五分となるように御協力をお願いいたします。
それでは、発言を希望される方は挙手をお願いいたします。
若林洋平君。
この発言だけを見る →以上で意見の聴取は終わりました。
これより意見交換に入ります。
本日は、外務省から宮路外務副大臣及び石月国際協力局長に、独立行政法人国際協力機構から田中理事長及び大場理事に、それぞれ御同席いただいております。
発言を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言ください。
発言者は、意見表明者、派遣団に参加された委員のほか、外務省、JICAに対し回答をお求めいただいても結構です。
なお、発言者には、その都度回答を求める方を明示していただくようにお願いをいたします。
また、回答される方も、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言ください。
なお、いずれも御発言は着席のままで結構です。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいと存じます。
また、発言者一人当たりの発言時間は、回答、追加質問を含めて一巡目は最大十分となるように、その後は最大五分となるように御協力をお願いいたします。
それでは、発言を希望される方は挙手をお願いいたします。
若林洋平君。
若
若林洋平#15
○若林洋平君 自由民主党の若林でございます。質問の機会をありがとうございます。
まずもちまして、四班の調査派遣団の皆様、調査派遣、大変お疲れさまでございました。また、本日は、大変中身の濃い口頭報告をそれぞれの班からいただき、ありがとうございました。状況が手に取るように分かり、また映像が浮かんでくるような本当に御報告で、貴重な報告をいただきまして、ありがとうございました。
また、若松調査委員がおっしゃっていたとおり、まずは我が国のこのODAがいかに重要か、又はいかに相手国に貴重に思っていただいているか、これは相手国に思ってもらうことも大切なんですが、まずは我が国の国民の皆さんに分かっていただく、これは本当に重要なことだと思いますので、実績も含めて、これ外交防衛委員会の方でもお話はさせていただいておりますけれども、そこも含めてしっかりと伝えていくことが大事かなというふうにはすごく感じているところでございます。
その上で、まずは、それぞれの報告者の方にお聞きしたいと思います。
違う委員会というか、まあ外交防衛委員会なんですけれども、視察に行った際、広島のJICAに寄らせていただいたときに、そのJICAの皆さんの中でお話があったのが、唯一の被爆国である我が国の代表としてそれぞれの国でできる範囲で平和活動を自主的に行っている、自発的に行っていただいているとお聞きしたんですけれども、その件について何かお話があった、なければなかったで結構ですけれども、あったとしたらお聞かせいただければ有り難いなと。また、その際、その国の反応がどうだったかというのが、そういう話もあればお聞かせいただきたいなというふうに思います。
この発言だけを見る →まずもちまして、四班の調査派遣団の皆様、調査派遣、大変お疲れさまでございました。また、本日は、大変中身の濃い口頭報告をそれぞれの班からいただき、ありがとうございました。状況が手に取るように分かり、また映像が浮かんでくるような本当に御報告で、貴重な報告をいただきまして、ありがとうございました。
また、若松調査委員がおっしゃっていたとおり、まずは我が国のこのODAがいかに重要か、又はいかに相手国に貴重に思っていただいているか、これは相手国に思ってもらうことも大切なんですが、まずは我が国の国民の皆さんに分かっていただく、これは本当に重要なことだと思いますので、実績も含めて、これ外交防衛委員会の方でもお話はさせていただいておりますけれども、そこも含めてしっかりと伝えていくことが大事かなというふうにはすごく感じているところでございます。
その上で、まずは、それぞれの報告者の方にお聞きしたいと思います。
違う委員会というか、まあ外交防衛委員会なんですけれども、視察に行った際、広島のJICAに寄らせていただいたときに、そのJICAの皆さんの中でお話があったのが、唯一の被爆国である我が国の代表としてそれぞれの国でできる範囲で平和活動を自主的に行っている、自発的に行っていただいているとお聞きしたんですけれども、その件について何かお話があった、なければなかったで結構ですけれども、あったとしたらお聞かせいただければ有り難いなと。また、その際、その国の反応がどうだったかというのが、そういう話もあればお聞かせいただきたいなというふうに思います。
石
石
石垣のりこ#17
○石垣のりこ君 御質問ありがとうございます。
直接そのようなお話が出たという記憶はないんですけれども、お会いした方の中では、広島に行かれたことがあるというようなことで、唯一の戦争被爆国としてということで、その平和に関する思いを共有したというような記憶はございます。
この発言だけを見る →直接そのようなお話が出たという記憶はないんですけれども、お会いした方の中では、広島に行かれたことがあるというようなことで、唯一の戦争被爆国としてということで、その平和に関する思いを共有したというような記憶はございます。
若
若松謙維#18
○若松謙維君 インドにおいてもそのような発言はありませんでした。
ただ、御存じのように、戦後、裁判におきまして、判事ですか、ちょっと名前忘れてしまいました。ヤジパール判事ですね、の議題は時々出ました。
以上です。
この発言だけを見る →ただ、御存じのように、戦後、裁判におきまして、判事ですか、ちょっと名前忘れてしまいました。ヤジパール判事ですね、の議題は時々出ました。
以上です。
江
山
山本順三#20
○山本順三君 第四班でも直接原爆云々のお話はございませんでしたけれども、御案内のとおり、アフリカ諸国はまだまだ内戦をしているところもたくさんありますから、平和に対しての意識という意味ではいろいろな意見も出たように思いますけれども、直接のお話はございませんでした。
この発言だけを見る →若
若林洋平#21
○若林洋平君 ありがとうございました。
なかなか、突然聞いたので、そういう話は、なければあれかなと思ったんですが。
せっかく参考人の方も出席いただいておりますので、独立行政法人国際協力機構理事長田中理事長、もし何かございましたら、よろしいでしょうか。
この発言だけを見る →なかなか、突然聞いたので、そういう話は、なければあれかなと思ったんですが。
せっかく参考人の方も出席いただいておりますので、独立行政法人国際協力機構理事長田中理事長、もし何かございましたら、よろしいでしょうか。
田
田中明彦#22
○参考人(田中明彦君) 若林先生が広島のJICAでお話承ったということは、大変私どもにとってみると有り難いことだと思っております。海外協力隊員も現状でいって世界中で今千七百人ぐらい行っておるんですけれども、やはり、その中で、広島出身の方の場合、とりわけこのような被爆体験を現地でお話しいただけるという場合が多いように私は感じております。
今回は四つの視察団の訪問先ではそういうことはなかったようでございますけれども、JICAとしましては、そのJICAの広島等との関係で、JICA広島ではその被爆等の体験を共有するための資料とかを常に提供する用意がございますので、更に進めてまいりたいと思います。
この発言だけを見る →今回は四つの視察団の訪問先ではそういうことはなかったようでございますけれども、JICAとしましては、そのJICAの広島等との関係で、JICA広島ではその被爆等の体験を共有するための資料とかを常に提供する用意がございますので、更に進めてまいりたいと思います。
若
若林洋平#23
○若林洋平君 御答弁ありがとうございました。
じゃ、それは本当にまたそういうことを広めていただければ有り難いな。ただ、自発的にやっていただいているというのは非常にすばらしいことだなと思って、また難しい国においても工夫しながらやっていただいているというのは本当に有り難いことだなというふうに思っております。
次に、高速鉄道についてのそのODAというかですね、これ、ベトナムについては石垣調査委員の方から現状お聞かせをいただきまして、またそのODAの活用を戦略的に考えていくことの必要性というのは再確認させていただいたところでございますので、ちょっとインドの新幹線について、高速鉄道についてお聞きしたいなというふうに思っております。
最終的に日本の新幹線というか高速鉄道を選んだ理由なんかお話ししていたのであればお聞かせ願いたいなと思いますし、また、今後の高速鉄道についてのまた距離延長ですとか、また違う路線であったりとか、そんな見通しがあったら、若松調査委員にお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →じゃ、それは本当にまたそういうことを広めていただければ有り難いな。ただ、自発的にやっていただいているというのは非常にすばらしいことだなと思って、また難しい国においても工夫しながらやっていただいているというのは本当に有り難いことだなというふうに思っております。
次に、高速鉄道についてのそのODAというかですね、これ、ベトナムについては石垣調査委員の方から現状お聞かせをいただきまして、またそのODAの活用を戦略的に考えていくことの必要性というのは再確認させていただいたところでございますので、ちょっとインドの新幹線について、高速鉄道についてお聞きしたいなというふうに思っております。
最終的に日本の新幹線というか高速鉄道を選んだ理由なんかお話ししていたのであればお聞かせ願いたいなと思いますし、また、今後の高速鉄道についてのまた距離延長ですとか、また違う路線であったりとか、そんな見通しがあったら、若松調査委員にお聞きしたいと思います。
若
若松謙維#24
○若松謙維君 日本を、の選んでいただいた経緯は余りちょっと議論にならなかったんですが、ただ、JR東日本から行かれた、現地、日本の責任者が実は、東日本大震災、福島等大変線量が高いところのいわゆる常磐線の復興に関わられた大変な実は技術者でもございます。そういったこともありまして、非常に、何というんですか、両国思いがこもった、このムンバイとアーメダバードですか、高速道路事業と、鉄道事業と、そういうふうに感じました。
いずれにしましても、十四億人、大変広い国でありますけれども、高速道路、じゃなくて鉄道というのはますます必要となってくるわけでありまして、かつ日本とインドの関係というのは極めて大事な関係でありますので、高速鉄道事業ですか、このODAとの連携を更に強化しながら、更に高めていきたい、そう思った次第でございます。
この発言だけを見る →いずれにしましても、十四億人、大変広い国でありますけれども、高速道路、じゃなくて鉄道というのはますます必要となってくるわけでありまして、かつ日本とインドの関係というのは極めて大事な関係でありますので、高速鉄道事業ですか、このODAとの連携を更に強化しながら、更に高めていきたい、そう思った次第でございます。
若
若林洋平#25
○若林洋平君 貴重な御意見ありがとうございました。
実は、年明けですかね、静岡県でも、自動車産業と、また知事と、また県議会の先生方等で視察に行かれてお話を聞いてきたら、やっぱりその日本の産業の技術の高さというのは本当に他国に比べたらもう比べ物にならないと。そういった意味において、是非ODAで、高速鉄道についてもやっぱり日本の、日本製がいいんだということを、あとは石垣のりこ調査委員がおっしゃられたとおり、そこをうまくいろんな形で向こうが喜ぶように、ほかの国と差を付けてしっかりとやって、結果的には日本ありがとうということがやはりしっかりと相手国にも伝わって、国民の皆さんにも、我々の日本もそうですけれども、相手国の国民の皆さんにも伝わるようなまた活動が必要かな。そういった意味において、調査の活動というのは本当に必要だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
─────────────
この発言だけを見る →実は、年明けですかね、静岡県でも、自動車産業と、また知事と、また県議会の先生方等で視察に行かれてお話を聞いてきたら、やっぱりその日本の産業の技術の高さというのは本当に他国に比べたらもう比べ物にならないと。そういった意味において、是非ODAで、高速鉄道についてもやっぱり日本の、日本製がいいんだということを、あとは石垣のりこ調査委員がおっしゃられたとおり、そこをうまくいろんな形で向こうが喜ぶように、ほかの国と差を付けてしっかりとやって、結果的には日本ありがとうということがやはりしっかりと相手国にも伝わって、国民の皆さんにも、我々の日本もそうですけれども、相手国の国民の皆さんにも伝わるようなまた活動が必要かな。そういった意味において、調査の活動というのは本当に必要だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
─────────────
石
石井浩郎#26
○委員長(石井浩郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、高橋はるみ君が委員を辞任され、その補欠として梶原大介君が選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →本日、高橋はるみ君が委員を辞任され、その補欠として梶原大介君が選任されました。
─────────────
石
羽
羽田次郎#28
○羽田次郎君 立憲民主・社民・無所属の羽田次郎です。
詳細な御報告をいただきまして、ありがとうございました。派遣議員団が実際に現地に足を運び、自らの目で見て生の声を聞くことの大切さ、それぞれの御報告から伝わってまいりました。
私の地元の長野県駒ケ根市に青年海外協力隊の訓練所がありますので、協力隊の皆さんの活躍のお話も伺えて大変うれしく思いました。
改めて、調査派遣、お疲れさまでした。
それぞれの班の御報告者にお聞きしたいと思いますが、現地での政府関係者、在留邦人との意見交換ですとか、また視察先関係者との対話の中で特に印象に残っているエピソード、若しくは特に印象に残っている現地プロジェクトについて、改めてお話をいただければと思います。
この発言だけを見る →詳細な御報告をいただきまして、ありがとうございました。派遣議員団が実際に現地に足を運び、自らの目で見て生の声を聞くことの大切さ、それぞれの御報告から伝わってまいりました。
私の地元の長野県駒ケ根市に青年海外協力隊の訓練所がありますので、協力隊の皆さんの活躍のお話も伺えて大変うれしく思いました。
改めて、調査派遣、お疲れさまでした。
それぞれの班の御報告者にお聞きしたいと思いますが、現地での政府関係者、在留邦人との意見交換ですとか、また視察先関係者との対話の中で特に印象に残っているエピソード、若しくは特に印象に残っている現地プロジェクトについて、改めてお話をいただければと思います。
石