内閣委員会

1976-08-26 衆議院 全382発言

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会議録情報#0
昭和五十一年八月二十六日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 木野 晴夫君
   理事 阿部 喜元君 理事 竹中 修一君
   理事 松本 十郎君 理事 大出  俊君
   理事 中路 雅弘君
      大村 襄治君    中村 弘海君
      古屋  亨君    松永  光君
      三塚  博君    吉永 治市君
      瀬長亀次郎君    鈴切 康雄君
      受田 新吉君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 坂田 道太君
 委員外の出席者
        内閣法制局第一
        部長      茂串  俊君
        国防会議事務局
        長       内海  倫君
        防衛庁参事官  水間  明君
        防衛庁参事官  平井 啓一君
        防衛庁参事官  岡太  直君
        防衛庁長官官房
        長       亘理  彰君
        防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君
        防衛庁人事教育
        局長      竹岡 勝美君
        防衛庁経理局長 原   徹君
        防衛庁装備局長 江口 裕通君
        防衛施設庁長官 齋藤 一郎君
        防衛施設庁施設
        部長      銅崎 富司君
        国土庁長官官房
        災害対策室長  山本 重三君
        外務省アジア局
        次長      大森 誠一君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        外務省国際連合
        局外務参事官  大塚博比古君
        大蔵省理財局国
        有財産第二課長 秋山 雅保君
        大蔵省理財局特
        別財産課長   松岡  宏君
        農林省農林経済
        局金融課長   若林 正俊君
        海上保安庁次長 間   孝君
        内閣委員会調査
        室長      長倉 司郎君
    —————————————
委員の異動
八月十二日
 辞任         補欠選任
  大石 千八君     赤澤 正道君
  三塚  博君     石田 博英君
  吉永 治市君     木村 武雄君
同日
 辞任         補欠選任
  赤澤 正道君     大石 千八君
  石田 博英君     三塚  博君
  木村 武雄君     吉永 治市君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  大石 千八君     大村 襄治君
  旗野 進一君     古屋  亨君
  林  大幹君     中村 弘海君
  箕輪  登君     松永  光君
同日
 辞任         補欠選任
  大村 襄治君     大石 千八君
  中村 弘海君     林  大幹君
  古屋  亨君     旗野 進一君
  松永  光君     箕輪  登君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 国の防衛に関する件
     ————◇—————
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木野晴夫#1
○木野委員長代理 これより会議を開きます。
 国の防衛に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
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大出俊#2
○大出委員 坂田長官は中立堅持だそうでございます。ところで、こんな政治情勢なんですけれども、自衛隊は大丈夫ですか、皆さんの方は。
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坂田道太#3
○坂田国務大臣 陸海空の自衛隊職務に影響があってはならないと思っておりますので、十分気をつけてまいりたいと思います。
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大出俊#4
○大出委員 どうも与党の皆さんにクーデターがはやるものですから、何々グループなどという方々も組織の中にはおいでになるわけでございまして、そこらはひとつシビリアンコントロールの実をぜひ上げておいていただきますようにお願いをしておきたいわけであります。
 そこで、こういう時期でもございますからできるだけ能率的に、きょうは特にねらいを持たずに長官のあるいは防衛庁の考え方、物の判断等を少し承っておきたいと思っているわけであります。
 そこで、まず朝鮮半島をめぐるトラブルがございますが、外務委員会その他ですでに質疑が行われている問題ではありますけれども、この委員会も国の防衛という意味で無関係ではございませんから、少し突っ込んだ長官の御見解を聞きたいのであります。
 これは調べてみましてわからない点がたくさんございます。そこで、まず包括的に、今回の三十八度線をめぐりますトラブル、米軍の将兵が殺傷された云々という問題もございますが、すぐその前に、無反動自走砲等による撃ち込みなどという問題もございました。この一連のできごとを防衛庁サイドとしてはどういうふうに分析をされ、一体何が原因で、これはどういうことなのかということ、予見し得る近い将来に簡単に言えば危険がないという分析を先般基盤防衛力構想その他に絡みまして外務省との間での詰めの結果として明らかにしておられるわけでありますが、まずそこのところの御見解を長官に承りたいわけであります。
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坂田道太#5
○坂田国務大臣 後で伊藤局長から御報告を申し上げたいと思いますが、この事件が起こりました原因はいろいろあろうかと思いますけれども、まず危険が今後拡大するかどうかというようなこと、この点につきましては私どもは拡大しないだろうという判断をいたしておるわけでございます。
 確かに北と南と強力な軍事力を対峙させておりますし、今度ばかりではなくて、越境事件あるいはゲリラあるいは海での衝突等もございました。しかし、基本的にはやはりアメリカが韓国に駐留をいたしておりますためにその抑止力が効いて平和維持ができる、また今後もこれ以上拡大するようなことはあるまいというふうに考えております。
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伊藤圭一#6
○伊藤説明員 ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますが、当時の状況の経緯をいろいろな報告から簡単に申し上げますと、八月十八日の午前十時四十五分ごろ、板門店の共同警備区域内で国連軍側が通常行っているポプラの木の下枝の伐採作業を行っておりましたところが、北朝鮮側警備兵がやってまいりまして口論となり、北朝鮮側から殴りかかってきて双方の衝突事件が発生いたしました。その結果、米軍は将校二人が死亡いたしまして、韓国軍の将校その他米軍兵士四名、韓国軍兵十四名の者が負傷したというのが事件の概要でございます。
 いま大臣からもお話ししましたように、何しろ南北百万の軍隊が対峙している状況のもとでございます。まして、一昨年でございますかベトナム陥落後は非常な緊張の高まりが一部にございましたが、その後、経過といたしましては幾分鎮静するというふうに聞いておりましたところ、今回こういう突発事故が起こったわけでございます。やはり軍隊が警戒態勢をしきながら対峙しているところにはそういう突発事故も起こり得るということがございますし、またそれが紛争になる危険がないとは言えないわけでございますが、アメリカ、中国、ソ連、こういった大国がこの地域の紛争というものに対して大きくしないように努力をしている現状などから判断いたしまして、この事件が大きく発展することばないというふうに考えておるわけでございます。
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大出俊#7
○大出委員 これは、外務省の山崎さんお見えになっておられますから、外務省側からも承っておきたいのでありますが、この事件はどういう背景で、また、双方の言い分が違うわけでありますけれども、本当の原因は一体何だったのかというところ、この辺をひとつ外務省の側はどういうふうにお考えでございますか。
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山崎敏夫#8
○山崎説明員 基本的には、わが国といたしましては朝鮮半島の平和と安定を最も念願しておるわけでございまして、今回のこういう事件が板門店において起こったことは、外務省といたしましても非常に遺憾と考えております。また、なぜこういう事件が起こったかというお話でございますが、この点につきましてはただいま防衛庁からもお話がありましたように、あの境界線をはさんで南北の百万の軍が対峙しておるということから、どうしても緊張がときどき起こるということかと思います。ただ、板門店の今回の事件につきましては、それが共同警備区域内において起こったということでございまして、両方の軍隊が共同で警備しておるということのために、ささいなことが思わぬ発展を遂げることがあり得るのではないかというふうにわれわれも考えます。この問題に関して両方の言い分はかなり食い違っておりまして、われわれとしましても、その事実関係についてはいまだにつまびらかにいたさない点がいろいろございますので、その評価といいますか、そういうものについては具体的に申し述べることは差し控えたいと思いますけれども、ただ、いずれにせよ二人の米軍の将校が亡くなったということは事実でございます。われわれとしましては、この問題が両方の理性のある措置によって事件が拡大しないようにするということを念願しておる次第でございます。
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大出俊#9
○大出委員 これは、一連のいろいろな出来事がこの前後にありまして、どうも取り方によれば一つの伏線だと見なければならぬ、そういう出来事もございます。
 そこで、大きな筋から承ってまいりたいのであります。一つは、これは外務省の分野かもしれませんが、七月二十二日にキッシンジャー国務長官がシアトルで演説をしているわけでありまして、駐韓米軍の維持に重点が置かれているわけであります。これは御存じのとおりに、民主党候補カーター氏が段階的に四万二千の在韓米軍の撤退を公約をしているわけであります。これに対して激しく、一言で言えば、そんなことをしたのじゃアメリカの極東戦略が成り立たぬという意味の反論を旧来からしてきていたわけであります。しかもキッシンジャー氏が、この種のものを言うことを選挙情勢等との関連もあり久しく差し控えてきたという経緯がありますね、それが一体なぜ七月二十二日というところでわざわざこの問題を取り上げて——この中身を読んでみますと大変いろいろな意味がある。もちろんこれは国連総会をにらんでいるという面もございましょうが、特に日本の問題にも非常に深く触れてこの演説は行われているわけであります。私は実はあるところで、この演説が出てきたときに、一つ間違うと三十八度線をめぐって何かが起こるのではないかと言ったことがあるのでありますけれども、その後、六十二ミリの無反動自走砲等を持ってきて撃ち込んだという事件が起こりましたり、さらに今回の問題が起こる、こういうわけなのであります。しかも、二十二日の演説というのはフォード大統領と十分な打ち合わせの上で行われている、新聞はこう報じているわけであります。この辺をアメリカ国内の事情を踏まえて一体どういうふうに受け取ったらいいのか。しばらくこの種の発言をしていないキッシンジャー国務長官が、なぜ一体こういう時期にこれだけのものを言ったか。米韓軍の維持に重点が置かれている。カーター氏は段階的にこれを撤退させると言っているわけでありますが、ここらのところがどうも明確でない。外務省は一体この辺をどういうふうにお考えでございますか。
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山崎敏夫#10
○山崎説明員 七月二十二日のシアトルにおけるキッシンジャーの演説に関しましては、われわれも注意深く分析いたした次第でございます。これは、われわれの聞いておりますところでは、シアトル——アメリカの西海岸の都市における演説でもあり、アメリカのアジア政策を中心に演説したいということは前もってわれわれも聞いておりました。その関連におきまして、日本及び朝鮮半島の問題に触れたのは当然であったと思います。
 わが国について触れておりますところは、従来からフォード大統領及びキッシンジャー長官が申しておることのいわば繰り返しでございまして、日本重視の姿勢というものをより明確にしておりまして、その点においては特に目新しい点はなかったと記憶しております。
 朝鮮半島の問題に関しましては、あの地域に依然として不安定な情勢が存在することは指摘しておりますが、同時に、この問題の解決は結局南北の直接の対話によって進めるほかはないということを強調し、その関連において関係当事国による会議を開きたい、それをしかも九月から始まる国連総会中に、何ならニューヨークででも、あるいはその他の場所ででも開きたいということを言って具体的な提案をしているわけであります。——ちょっと失礼しました。その点は、会議を直接に開くというよりは、そういう会議を開くことについて予備的な話し合いをニューヨークでいたしたいというふうに言っておるわけであります。
 この点は、なぜこの時期にこういうことを言ったかということは、思いますに、毎年朝鮮問題に関する決議案が両方の陣営から出て、不毛の論議を繰り返しておっては意味がない、そこでもう少し建設的な措置を探求しようということから提案したものだと思いますし、またこの八月中旬に開かれました非同盟会議、これはコロンボにおいて開かれたわけでありますが、その動向をもにらんで、アメリカとしてもそういう平和探求の姿勢を明らかにしたものだと私たちは受け取っております。したがいまして、このキッシンジャーの演説というものは、単に朝鮮半島において緊張をつくり出すというふうな意味で演説したものとしては受け取っておりません。これはむしろ、その緊張を緩和する方策を探求する一つの具体的提案としてわれわれは受け取っております。残念ながら、この提案に対する北側の反応ははっきりはいたしておらないわけでございます。完全に拒否したかどうかということもはっきりはいたしておりませんけれども、積極的な反応はいままでのところ見られておりません。そして、その後の経過を見ますと、結局北側の方でも国連において決議案を出す、そこでまあこれに対抗するためにやむを得ずこちらの陣営においても決議案を出すというふうになった次第でございます。しかしながら、われわれといたしましては あくまで朝鮮問題の解決は当事者同士の話し合いを通じて行われるべきであり、われわれはその環境づくりのために最大限の努力をすべきであると考えておる次第でございます。
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大出俊#11
○大出委員 これは防衛庁長官坂田さんにも承りたいのでありますが、いま私が申し上げた二十二日のシアトルにおけるキッシンジャー演説はアジア情勢が中心になっているわけでありますが、この中で「これらのアジア政策の説明に当たって、長官は繰り返し、日本の役割の重要性を強調し」——キッシンジャー演説は世界週報に載っておりますが、特にここに問題がありますのは「アメリカにとって、日本との同盟関係以上に重要なものはない」という断定的な言い方をして、アジアの緊張緩和あるいは安定というふうな意味における広範な基盤だということを言っているわけですね。「日米両国は安全保障上の要請について共通の理解を深めており、最近、設置された防衛協力委員会はこうした安全保障体制を強化することになろう」という言い方をしているわけです。これは非常に大きな食い違いがありまして、坂田さんの旧来からの言い方は、だから安保協議委員会の下部機構としてつくったわけなんでしょうけれども、きわめて事務的な役割り、こういう言い方しかしていないわけであります。ところが、ここでキッシンジャー国務長官が述べております防衛協力委員会は全く対照的でありまして、世界的なレベルで物を見て、対ソ戦略の一環としてきわめて重要な役割りを持っているということを明らかにしているわけですね。そうすると、ここらのところもそう簡単に、そうかと言って見過ごすわけにはいかないわけであります。なぜ一体七月二十二日のこの時点でここまで触れた演説をしたのかということです。防衛庁の側は、これは防衛協力委員会をおつくりになった当事者でございますから、簡単にこの演説を見過ごしているはずはないのでありまして、一体これはどういうことになっているわけでありますか。
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坂田道太#12
○坂田国務大臣 これは御案内のとおりに、昨年八月二十九日にシュレジンジャー国防長官と私と会談をいたしまして、二点について合意をし、そして安保協議委員会の下部機構として日米防衛協力小委員会を設けるということに合意をいたしまして、この七月の八日に発足をしたということでございます。しかも、この安保協議委員会の新たな日米防衛協力小委員会というものは、日米安保条約というものを機能的に有効に働かせるためのものであるということでございまして、これは日本の安全にとって非常に大事なことだと考えましたからやったわけでございますし、同時に、日本が安全であるということは、朝鮮半島の政治的安定、あるいはひいてはアジアの安定ということにもつながるわけで、それは同時に最近のローカルないろいろの問題もやはり世界の政治にはね返っていく、こういう関係から考えますと、やはりアジアにおける安定ということが非常に重要なわけでございまして、そういうふうにしてずっと考えてまいりまするならば、キッシンジャーがアメリカの外交政策としてこの小委員会の発足の意味を大事なものと考えられたということは自然なことであるというふうに思うわけでございます。
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大出俊#13
○大出委員 どうもはっきりしないわけでありますが、この点だけは指摘しておきたいのでありますが、この防衛協力小委員会の役割りというものに対する見方が、いま長官が言っていることとキッシンジャー国務長官が言っていることとの間には、まさに百八十度違うわけですね。大変大きな考え方の相違がある。アメリカの側というのは、まさに対ソ戦略をも含めて、この防衛協力小委員会というのは、アジアの安全保障という意味で、全くがっちり日本とアメリカというのは作戦的にも戦略的にもこの防衛協力小委員会というので保障していくんだという。ところが、皆さんの方は専守防衛というのをたてまえにして、全く事務的なものだ云々だと前から言っているのですが、その限度で物を考えているという。これは話にならぬ食い違いがある。どっちなんだという結論が出ていない。これだけはっきり申し上げておきたいのであります。
 そこで、まず八月五日に、両方の言い分が食い違っているのですけれども、北の側によると、午前九時四十七分ごろ、国連軍側から五十七ミリの機関砲などで砲撃を加えてきたというわけですね。これは五日の日です。その後米側、つまり国連軍側というのですかね、こちらの方は。わが方の発砲事件というのはでっち上げで、話が逆だ、逆に北側がわが方に対して八十二ミリ無反動砲八発、これを撃ち込んできた、こういうことで、この非武装地帯の撃ち合いということで五日の日にまず一つ激しいやりとりが行われているわけであります。いきなり今回のポプラの木を伐採した云々という問題で問題が起こったわけじゃない。七月の二十二日、ここでキッシンジャー演説がまず行われて、そしてこれに応じて宮澤外務大臣も、これを歓迎するということをすぐ談話をお出しになっている。韓国の外務大臣もまた、二十三日、翌日でございますけれども、このキッシンジャー演説を歓迎するということで演説をしておられる。日本と韓国は、七月二十二日のキッシンジャー提案というものに対して即応して、賛成、歓迎という意思表示をされている。まさに日米韓一体の状況がほんと、こう出てきている。これは昨年九月の三木・フォード会談——日韓米、これを見直しまして、日韓米の一体化という意味における共同声明らしきものも出されている。あわせて七月には、日米防衛協力小委員会も発足をしている。こういう中で、これらのことを前提にしてキッシンジャー演説が行われた。宮澤外務大臣、韓国の朴外相、ともに歓迎の演説をなさる。途端に、月かわって八月に入る。軍事境界線における撃ち合いが行われる。北の方は、南から撃ってきたと言う、機関砲を撃ち込んだ。南の方は逆に、北の方から撃ち込んだと言う。まあ両方で、撃ち込まれた、撃ち込んだと言う限りは、これは撃ち合いに違いないわけであります。これはそういう前提があるのですね。この前の段階の状況というのは一体どういうふうに御判断をなさっておられるわけですか。外務省からまず承りたいのですが……。
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山崎敏夫#14
○山崎説明員 七月の二十二日のシアトルにおきますキッシンジャー長官の演説に関して宮澤大臣がこれを積極的に評価するコメントをされたことは事実でございますが、この点は、先ほど申し上げましたように特に国連における朝鮮問題の討議を踏まえてこの問題について何か建設的な方策はないものかということをわが方としても探求いたしておりますので、こういう具体的な提案ができたことは非常に結構なことで、これに北側の方でも積極的に反応することを期待するという意味で仰せられたわけでございまして、その限りにおいてコメントされたものと承知しておりまして、朝鮮半島における軍事情勢との関連においてコメントされたものではないと考えております。
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大出俊#15
○大出委員 いまの点、防衛庁の方は一体どういうふうにお考えですか。これは一連の流れがあるのですね。アメリカ国内の選挙をめぐりましては、さっき申し上げたように四万二千の在韓米軍を段階的にアメリカに帰す、カーターの公約ですよ。これを激しく非難をするフォード陣営、こうなっているわけですね。そういうやりとりの中で、七月二十二日のシアトル演説になっている。この中で日本の役割りをきわめて高く評価して、防衛協力小委員会、これの政治的な役割り、戦略的な役割りというものを高く評価した演説になっている。もちろんこれは、国連総会をも踏まえましての緊急準備会談を中国を入れて四カ国でやろう、こういう扱いになっているわけであります。日本の防衛協力小委員会にも触れているわけであります。
 つまり、このキッシンジャーの提案、考え方というものを正面から歓迎をした日本の宮澤外務大臣——もちろん韓国も同様であります。そのすぐ後に、五日という日に、三十八度線の撃ち合いという問題が起こった、しかもこの撃ち合いの結果は、調査団を派遣しようじゃないかという提案をして、それをめぐっていろいろなやりとりが続いてきている、そこで十八日に今回の問題が起こっている、こういう流れなんですね。これは一体防衛庁の方はどういうふうに受け取っておられるのですか、おたくの防衛協力小委員会なるものも大きくキッシンジャー提案の中に入っている一つの大きな役割りになっているわけですから。
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伊藤圭一#16
○伊藤説明員 まず、先ほど申し上げましたように大軍が対峙しております。したがいまして、いままでも毎年十件近いトラブルというものがあの三十八度線を中心にして起こっているという事実がございます。したがいまして、今度の板門店の事件というものも、過去の動きからしますと、そういった意味の、軍が対峙していることによって起こった一つの事件ではないかというふうに軍事的には考えられるわけでございますが、その他の問題につきましては、いま外務省の方から御答弁したとおりでございます。
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大出俊#17
○大出委員 もう少し続いて承りたいのでありますが、この今回の問題をめぐりまして幾つかの見方があるわけでありまして、わからぬ部分も非常に多いわけであります。
 さっきの外務省あるいは防衛庁の説明によりますと、ポプラの木の下枝を国連軍側が伐採をしていたら、結論を言えば殴りかかってきた云々、こういうわけです。それで殺傷事件になった。ところが北朝鮮側の言い分は、ここに明確な北側の発表がありますけれども、アメリカ側が「オノを持った十四人の無頼漢」と書いてありますが「を動員し、共同警備区域内にある立木を切り倒そうとしたので、一方的に切ることはできないと再三警告した。ところが敵側は要求に応ずるどころか、いどみかかってきたので、自衛措置を取った」こういうことになっているんですね。これは、両方の言っておることをそのまま読んでみれば、それなりに相手が悪い、こういうことになっているわけですね。
 そこでもう一つは、確かに、リマに続いてスリランカで非同盟諸国会議が行われている。タイミングは、片っ方はアメリカの大統領選挙で半島問題は大きな争点になっている。韓国側からすれば、恐らくフォード政権でなければ困るという認識を持っている。ここに幾つか私は資料を持っておりますけれども、これはこの中にたくさん出てきているわけであります。片や、スリランカにおける非同盟諸国会議に向けて百人からの代表団を送ったという形の北側の動きもある。余りと言えばこのタイミングが合い過ぎるのですね。
 そこで一つは、大統領選挙を前にして、フォード大統領が朝鮮での緊張を必要としたという物の見方、これも方々で散見をされる分析であります。それからもう一つは、いま私が申し上げたスリランカにおける非同盟諸国会議というものを前提にした北側の動き、そういう物の見方をする分析もある。非常になぞが多いわけでありますけれども、一体これは何が真実なのか、ここらあたりがはっきりしないと、予見される将来に半島における危険はないという分析をされている防衛庁なんですけれども、そうですかと言うわけにまいらぬ。一体今回のこの仕掛けというのはどうなっておるのかという点を掘り下げて見ておく必要が当然あるはずだと私は思っておるわけですが、防衛庁、外務省ともに、一体これはどういうことになるのか、そこらの分析はどういうふうにお考えになっておられるわけですか。長官、どうですか。
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坂田道太#18
○坂田国務大臣 批判とか判断とかいうのは別といたしまして、いまおっしゃいましたようなことも私どもは聞いてはおるわけでございます。したがいまして、そういうことの背景もわれわれはよく調査をし検討をし、そして今度のこういう事件がこれ以上拡大しないということを望んでおるわけでございます。しかしながら、いま防衛局長から申し上げましたように、とにかくあれだけの軍事力が両方対峙いたしておりますと、ちょいちょい小さなトラブルは起こる可能性があるということでございまして、私どもといたしましては、これがこれ以上大きな戦争に拡大するというふうにはいま判断はいたしておりません。しかしながら、こういった小さなトラブルというものは今後とも起こらないとは言えないというふうに判断をいたしておる次第でございまして、その点につきましては、今後とも背景になりますものをもあわせて十分検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
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大出俊#19
○大出委員 私がいま承ろうとしたことに対する答えになっていないわけであります。アメリカの側にも国内的な事情がある、これはわれわれが見てもわかるわけでありまして、どうも八年間共和党政権が続いているわけでありますから、このロッキード事件なんかも疑れば幾らでもその原因たり得るものはあるわけでありますけれども、今回のカーター氏の政策、フォード氏の政策で真っ正面からぶつかっている、つまりその一つの大きな争点がアジア、極東の軍事情勢というものと絡んでいる、あるいは外交情勢というものと絡んでいる、こういう中で出てきている問題、これは間違いないわけであります。
 しかも、この対応の仕方をながめましても、普通の常識からすれば、いま言われるような二つの軍事力が対抗している、だから間々起こるという程度のことならば、その背景に大きな政治的な動きというものがないならば、いきなりミッドウェーが朝鮮海域に出かけていく、これはどういう連絡がありどういうことになっているのかも承りたいのであります、横須賀が母港でございますから。大変早い、まさに即応体制と言っていい動きであります。あるいは本国からはエンタープライズが出航する、沖繩からも幾つかの航空部隊が韓国に飛んでいる、あるいはF111くらいまで出かけている、グアムからB52が非武装地帯のこちら側を数機周回する、こういうことでありますが、ここらのところは、それならば一体どういうふうに皆さんは分析をされておられるのか。しかもミッドウェーは母港は日本でございますから、外務委員会でも田君その他から質問が出ていたようでありますけれども、一体どういう体制をアメリカ側はこの事件に対して軍事的にとったのかという点もあわせてお知らせをいただきたい。しかも、それは日本の防衛庁なり外務省なりとの間でどういう連絡が行われていたのか。さらにもう一点、自衛隊の側は一体この情勢に対してどういう対応をなさったのかという点をはっきり承っておきたいのであります。
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山崎敏夫#20
○山崎説明員 フォード大統領が大統領選挙をにらんで朝鮮半島における緊張を必要としたのであるというお話でございますが、私たちとしてばそういうふうには考えておりません。具体的に見ましても、結果的にアメリカの軍人が二人殺されるようなことを仕組むことはちょっと考えられないわけでございますし、また、今回フォード大統領がこれに対応してとりました措置に関して、カーター民主党大統領候補は早速これを支持する旨の意見を表明しておるわけでございまして、この問題に関してアメリカの共和党と民主党との間で対応ぶりについて大きな意見の相違があるようにも見えないわけでございます。そういう意味で、この問題をフォード大統領が自分に有利に利用するために仕組んだものであるという考え方はいささかうがち過ぎた見方ではないかというふうに私たちは思います。ただ、この事件それ自体の詳細の事実につきましてはわれわれも十分承知しておりませんので、それ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思う次第でございます。
 それから、ミッドウェーの出港に関しましては、われわれの方にも二十日の午後に在京のアメリカ大使館から連絡がございまして、この空母ミッドウエーを中心とする第七艦隊のタスクグループが海上待機任務につくために横須賀を出港しますという連絡を受けて、現実には二十一日の早朝に出港したようであります。その行き先についてはわれわれとしては通報を受けておりません。新聞報道等で承知している限りでございます。それから、F4の一個飛行隊が朝鮮半島に移動いたしました件に関しましては、別途その点は連絡がございまして、それは十九日の正午ごろ在京大使館から私の方に連絡がありました。十九日に嘉手納の飛行場からF4の飛行隊が韓国内にある米軍の基地に移動する旨の連絡を受けております。
 われわれはこのいずれもの通報を受けまして、これは安保条約の関係規定から見て事前協議の対象となるものではないと判断いたしまして、その通報を受け取ったわけでございます。
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伊藤圭一#21
○伊藤説明員 いまアメリカ局長から米軍の動きについては御説明申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、やはり有事即応の体制にある在韓米軍がそれなりに必要なときには力を発揮できるのだということを端的にあらわしたものだというふうにとらえております。自衛隊といたしましては、今度の事件がございました後、情報を入手する努力をいたしまして、当直体制を充実したりしまして、刻々いろいろな方面から情報を取る努力をしてまいりました。
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大出俊#22
○大出委員 キューバ危機のときの先例もあるわけでありますが、自衛隊はただ単に情報を取るというだけ、こういうことですか。
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伊藤圭一#23
○伊藤説明員 特に警戒態勢をとるというようなことではございませんで、いまお答えしましたように情報を取る配置を強化したということでございます。
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大出俊#24
○大出委員 米軍について、いまお話を聞いていると大変おわかりのようでありますが、いかなる態勢をとったということになるのでございますか。
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伊藤圭一#25
○伊藤説明員 在日米軍につきましては、いま移動いたしましたファントムそれからミッドウェー等でございましたが、そのほかは特段の警戒態勢にあったというふうには聞いておりません。在韓米軍は十九日から警戒態勢に入ったというふうに聞いております。
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大出俊#26
○大出委員 これは段階があるわけでありますが、いま情報を取ったというお話でありますが、どの辺までの段階を想定をした警戒態勢であったわけでございますか。
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伊藤圭一#27
○伊藤説明員 在韓米軍の警戒態勢というのは、外出している者をといいますか休暇をとっている者を取り消したりして、いわゆる警戒態勢としてはそう高いものではないというふうに聞いております。
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大出俊#28
○大出委員 もう一つここで承っておきたいのであります。いま私が二つの例を挙げたわけでありますが、大統領選挙に必要だったのではないか。そうしたらいまのお答えは、米軍の将校二人が殺害をされるというふうなことなんだから、そういう意図はなかったのではないかというのですが、こういう犠牲が出たということがアメリカ世論を大変大きく刺激していることはアメリカの新聞でも明らかでございまして、アメリカに対する大変大きな刺激になったから、カーター氏の方も旧来からそこが一つの弱点と言われておったわけでありますから、この時点でぽんと切りかえて、これはもちろん国家の安全保障の問題もございましょうから、支持をするという転換の早さを示した、こういうことであります。だからフォード氏の方からすれば、カーター氏の政策に対して、言わないことじゃないじゃないか、段階的に四万二千引き揚げてしまうということになった日にはアメリカの極東戦略そのものが成り立たぬという言い方を、ひいてアメリカの安全保障上ゆゆしきことになるということを警告をすると言っていたわけでありますから、この限りは、フォードさんにすれば、言わないことじゃないじゃないか、カーター、あんなばかなことを言って、あれで大統領をやっていけるかということになるわけでありますから、全くそれは不利である、弱いと言われた世論調査もありますけれども、結果的に一つポイントをかせいだことになる。したがいまして、私はそうきれいごとで物事は済まぬという気がするのであります。だがしかし、そうではないだろうという、そこから先のことはわからぬがという推測でございますね。非同盟諸国の会議がありましてそれに向けてという分析もあるのですが、これとても結果的に北側の対応の早さというふうなことを考えれば、そうでもないのではないかという意見も出てくる。
 それで、お答えを聞いていないのですけれども、アメリカの側が仕掛けたものでないとすれば、残るのは一つは北側の仕掛けということがあるわけですが、そこらはどういうふうにお考えですか。
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山崎敏夫#29
○山崎説明員 実はその朝鮮半島の情勢分析に関しましては、私自身直接の所管ではございませんので、どうも権威のあるお答えを申し上げかねるわけでございますが、アメリカ及び韓国の一部には、北鮮側から仕掛けたものではないかという意見がかなりあることは事実でございます。しかしながら、その後の経過を見ますと、金日成主席は今回の事件の発生を遺憾に思うという回答を寄せておるようでございまして、そういうこと、その他の動きから判断いたしましても、北側としてもそれほど完全に仕組んだものであったろうかという気がいたすわけでございます。しかしながら、先ほどからも申し上げておりますように、この事件の事実の詳細につきましてはわれわれとしても十分に把握しておりませんので、決定的な判断というものはいたしかねるわけでございます。いずれにいたしましても、われわれとしてはこの事件が両者の誠意ある措置によって拡大しないということについて、強く念願しておる次第でございます。
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