内閣委員会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
令和三年六月十四日(月曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
六月十一日
辞任 補欠選任
大家 敏志君 豊田 俊郎君
加田 裕之君 本田 顕子君
石川 博崇君 三浦 信祐君
市田 忠義君 山添 拓君
六月十四日
辞任 補欠選任
豊田 俊郎君 加田 裕之君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 森屋 宏君
理 事
酒井 庸行君
徳茂 雅之君
木戸口英司君
平木 大作君
矢田わか子君
委 員
加田 裕之君
古賀友一郎君
高野光二郎君
豊田 俊郎君
本田 顕子君
山田 太郎君
山谷えり子君
和田 政宗君
小沼 巧君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
三浦 信祐君
柴田 巧君
高木かおり君
田村 智子君
山添 拓君
衆議院議員
内閣委員長 木原 誠二君
内閣委員長代理 大野敬太郎君
内閣委員長代理 小林 鷹之君
内閣委員長代理 青柳陽一郎君
内閣委員長代理 濱村 進君
内閣委員長代理 浦野 靖人君
内閣委員長代理 浅野 哲君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(宇宙政
策)) 井上 信治君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣府宇宙開発
戦略推進事務局
長 松尾 剛彦君
外務省大臣官房
参事官 大鶴 哲也君
参考人
公益財団法人東
京財団政策研究
所研究員・研究
部門主任 吉原 祥子君
防衛ジャーナリ
スト
獨協大学非常勤
講師
法政大学兼任講
師 半田 滋君
弁護士 馬奈木厳太郎君
─────────────
本日の会議に付した案件
○重要施設周辺及び国境離島等における土地等の
利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促
進に関する法律案(衆議院提出)
─────────────
この発言だけを見る →午後一時開会
─────────────
委員の異動
六月十一日
辞任 補欠選任
大家 敏志君 豊田 俊郎君
加田 裕之君 本田 顕子君
石川 博崇君 三浦 信祐君
市田 忠義君 山添 拓君
六月十四日
辞任 補欠選任
豊田 俊郎君 加田 裕之君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 森屋 宏君
理 事
酒井 庸行君
徳茂 雅之君
木戸口英司君
平木 大作君
矢田わか子君
委 員
加田 裕之君
古賀友一郎君
高野光二郎君
豊田 俊郎君
本田 顕子君
山田 太郎君
山谷えり子君
和田 政宗君
小沼 巧君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
三浦 信祐君
柴田 巧君
高木かおり君
田村 智子君
山添 拓君
衆議院議員
内閣委員長 木原 誠二君
内閣委員長代理 大野敬太郎君
内閣委員長代理 小林 鷹之君
内閣委員長代理 青柳陽一郎君
内閣委員長代理 濱村 進君
内閣委員長代理 浦野 靖人君
内閣委員長代理 浅野 哲君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(宇宙政
策)) 井上 信治君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣府宇宙開発
戦略推進事務局
長 松尾 剛彦君
外務省大臣官房
参事官 大鶴 哲也君
参考人
公益財団法人東
京財団政策研究
所研究員・研究
部門主任 吉原 祥子君
防衛ジャーナリ
スト
獨協大学非常勤
講師
法政大学兼任講
師 半田 滋君
弁護士 馬奈木厳太郎君
─────────────
本日の会議に付した案件
○重要施設周辺及び国境離島等における土地等の
利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促
進に関する法律案(衆議院提出)
─────────────
森
森屋宏#1
○委員長(森屋宏君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告申し上げます。
昨日までに、市田忠義君、石川博崇君、加田裕之君及び大家敏志君が委員を辞任され、その補欠として山添拓君、三浦信祐君、本田顕子さん及び豊田俊郎君が選任をされました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告申し上げます。
昨日までに、市田忠義君、石川博崇君、加田裕之君及び大家敏志君が委員を辞任され、その補欠として山添拓君、三浦信祐君、本田顕子さん及び豊田俊郎君が選任をされました。
─────────────
森
森屋宏#2
○委員長(森屋宏君) 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人の御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、公益財団法人東京財団政策研究所研究員・研究部門主任吉原祥子さん、防衛ジャーナリスト・獨協大学非常勤講師・法政大学兼任講師半田滋君及び弁護士馬奈木厳太郎君でございます。
この際、参考人の皆様方に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしていきたいと存じますので、本日は何とぞよろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、吉原参考人、半田参考人、馬奈木参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べをいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をいただき、その都度、私、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は御着席のままで結構でございます。
それでは、まず吉原参考人からお願い申し上げます。吉原参考人。
この発言だけを見る →本日は、本案の審査のため、三名の参考人の御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、公益財団法人東京財団政策研究所研究員・研究部門主任吉原祥子さん、防衛ジャーナリスト・獨協大学非常勤講師・法政大学兼任講師半田滋君及び弁護士馬奈木厳太郎君でございます。
この際、参考人の皆様方に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしていきたいと存じますので、本日は何とぞよろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、吉原参考人、半田参考人、馬奈木参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べをいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をいただき、その都度、私、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は御着席のままで結構でございます。
それでは、まず吉原参考人からお願い申し上げます。吉原参考人。
吉
吉原祥子#3
○参考人(吉原祥子君) 本日は、意見陳述の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。公益財団法人東京財団政策研究所の吉原と申します。
東京財団は民間の政策シンクタンクで、私は、その中で日本の土地制度の課題について調査を行ってまいりました。また、昨年開催された国土利用の実態把握等に関する有識者会議に参加させていただきました。
今日は、これまでの土地制度に関する調査の経験を踏まえながら、この度の法案の必要性と課題について所見を申し述べます。お手元にA4二ページの資料を配付させていただきましたので、御覧いただければ幸いです。
私ども東京財団が土地問題に着目するきっかけとなったのが外資の森林買収でした。十年以上前になりますが、北海道を中心に外国資本が日本の森林を買っているという関係者からの問題提起があり、実態調査のための研究プロジェクトを開始しました。そこから見えてきたのは、実は我が国ではそもそも土地の所有や利用の実態を行政が十分に把握し切れていないという土地制度そのものの課題でした。それは言い換えれば、急速な社会の変化に対して既存の制度では対応し切れない部分があるということでもありました。
社会の変化というのは、申し上げるまでもありませんが、まず人口減少、高齢化があります。それに伴い、空き家、空き地が増加しています。その一方で、経済活動はグローバル化し、不動産も国際的な投資対象になっています。そして、相続によって都会に住む子供世代が田舎の土地の所有者になったり、海外の投資家が日本の不動産を所有するなど、地域からは顔が見えづらい不在地主も増えています。東京都主税局によると、東京二十三区では、国外に住所を有する固定資産税の納税義務者は二〇一三年から二〇一九年の六年間で八倍に増加しているとのデータもあります。
他方、こうした急速な社会の変化に対して、従来の土地政策は、明治以来、人口の増加や、土地は有利な資産という考えを前提に、国内市場における地価高騰や乱開発などの行き過ぎを抑制することが主眼でした。個人の所有権に関わる課題については踏み込んだ検討が行われてきたとは言えず、安全保障上の土地政策もほとんど講じられてきませんでした。
従来の土地制度の特徴を具体的に見てみますと、まず、土地に関する情報基盤の在り方として、不動産登記簿、固定資産課税台帳、農地台帳など、目的別に様々な台帳が作成されています。しかし、それらの情報を一元的に把握できる仕組みはありません。行政が持っている台帳のうち、主な所有者情報源となっているのが不動産登記簿です。しかし、権利の登記は任意であり、登記後に所有者が転居した場合でも住所変更の通知義務はありません。
なお、後ほど述べますが、この点については今国会で法改正が行われ、相続登記が義務化されたところです。
また、土地所有者の探索においては住民票や戸籍が大きな情報源になりますが、土地が所在する自治体に住民票を置いていない不在地主や国外に在住する非居住者については、そうした住民票や戸籍といった基礎情報がなく、不動産登記が行われていなければ所有者探索は極めて困難になります。
次に、規制の在り方ですが、個人の所有権は諸外国に比べて極めて強いという特徴があります。例えば土地の売買について、農地以外は売買規制はありません。たとえその土地が安全保障上重要な国境離島や防衛施設の隣接地であっても、売主と買主の合意だけで取引は成立し、購入者も問いません。売買の不動産登記は任意であり、登記をしないことも自由です。
土地の利用規制については、農地法や森林法など、個別の法律で一定のルールは定められています。しかし、農地の違反転用や森林の再造林放棄が事実上、現状追認されているケースが少なくないなど、実質的な効力については課題も多いと言われています。
こうした現在の土地制度が抱える課題が具体的な事象となって表面化したのが、近年、社会的な関心の高まった所有者不明土地問題であり、また安全保障上の懸念であると考えます。
所有者不明土地問題とは、不動産登記簿などの台帳を見ても現在の所有者が直ちには分からないという問題です。そして、安全保障上の懸念というのは、土地利用の実態を把握するための法的根拠が十分でなく、万一の際に対応できる備えがないという問題です。いずれも構造的な課題であり、市場、マーケットに任せているだけでは解決が難しい問題です。
土地は個人の財産であるとともに、我々の暮らしの土台であり、経済活動の基盤であり、そして国土です。土地は我々自身がつくり出せるものではなく、次の利用者や次の世代に適切に引き継いでいく必要がある財です。土地が持つそうした公共的な性質に鑑みると、社会の変化に応じて制度の見直しを行うことは必要であると考えます。
それでは、こうした現状の課題について、近年どのような政策対応が取られてきたのでしょうか。
資料の二ページを御覧ください。
所有者不明土地問題については、問題の発生防止や土地の適正な利用と管理、相続による権利の承継の円滑化に向け、近年、土地制度と民事基本法制の両面から抜本的な改正が行われました。
まず、二〇一八年六月には、所有者不明土地を公共的な目的のために利用可能とする特別措置法が成立しました。昨年三月には、約三十年ぶりに土地基本法が改正されました。そこでは、災害の予防、復興など、持続可能な地域の形成を図る観点から、土地の適正な管理の必要性が明示され、また、土地所有者の責務として、登記など権利関係の明確化と土地の境界の明確化に努めることが新たに規定されました。そして、今国会において、この四月に民法、不動産登記法の改正が成立し、相続登記や住所変更登記が義務化されたところです。
他方、安全保障上の懸念への対応については、二〇一〇年に北海道の調査により道内における海外資本等の林地取得状況が判明して以来、林野庁による毎年の調査の結果の公表や旧民主党ワーキンググループによる議論などが重ねられてきました。いまだ法律の制定には至っていませんでしたが、この度の法案はまさにこうした積み重ねの上に形になったものと理解しております。
今後、安全保障をめぐる国際情勢は緊迫度を増していくと考えられます。と同時に、人口減少が進む中、地域の活性化のためには多様な人材や優良な投資を国内外から呼び込むことは必須です。この度の法案は、そうした自由な経済活動を前提として、内外無差別の原則に立ち、国民の安全を守る観点から、土地の利用実態の基本的な調査と万一の際の利用規制を定めるものであり、これまでの日本の土地制度に欠けていた重要な法案であると考えます。
そして、こうした新しい法律の運用に当たっては、国民への分かりやすい説明が必須であることは言うまでもありません。今後、基本方針の策定や注視区域及び特別注視区域の指定に当たっては、これまで内閣委員会の御議論で度々御指摘があったように、国会への報告や国民への十分な説明と情報開示が必須であると考えます。そして、その過程において、国にとって守るべき場所や事柄は何か、また、どのような方法が適切かということについて議論が更に深まっていくことが期待されます。
今後、技術の進歩によって安全保障上のリスクは更に多様化すると考えられます。そうした様々なリスクに対応する万能薬はありません。今後は、今回の法案を含め、様々な法制度が相互に補完し合いながら、過度な規制が行われることのないよう、また、法の抜け穴が生じないよう、制度全体を見渡したバランスの取れた議論が必要であると考えます。是非、この度の法案が成立し、国民への十分な情報開示を行いながら適切に運用されることを心より願っております。
以上が所見でございます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →東京財団は民間の政策シンクタンクで、私は、その中で日本の土地制度の課題について調査を行ってまいりました。また、昨年開催された国土利用の実態把握等に関する有識者会議に参加させていただきました。
今日は、これまでの土地制度に関する調査の経験を踏まえながら、この度の法案の必要性と課題について所見を申し述べます。お手元にA4二ページの資料を配付させていただきましたので、御覧いただければ幸いです。
私ども東京財団が土地問題に着目するきっかけとなったのが外資の森林買収でした。十年以上前になりますが、北海道を中心に外国資本が日本の森林を買っているという関係者からの問題提起があり、実態調査のための研究プロジェクトを開始しました。そこから見えてきたのは、実は我が国ではそもそも土地の所有や利用の実態を行政が十分に把握し切れていないという土地制度そのものの課題でした。それは言い換えれば、急速な社会の変化に対して既存の制度では対応し切れない部分があるということでもありました。
社会の変化というのは、申し上げるまでもありませんが、まず人口減少、高齢化があります。それに伴い、空き家、空き地が増加しています。その一方で、経済活動はグローバル化し、不動産も国際的な投資対象になっています。そして、相続によって都会に住む子供世代が田舎の土地の所有者になったり、海外の投資家が日本の不動産を所有するなど、地域からは顔が見えづらい不在地主も増えています。東京都主税局によると、東京二十三区では、国外に住所を有する固定資産税の納税義務者は二〇一三年から二〇一九年の六年間で八倍に増加しているとのデータもあります。
他方、こうした急速な社会の変化に対して、従来の土地政策は、明治以来、人口の増加や、土地は有利な資産という考えを前提に、国内市場における地価高騰や乱開発などの行き過ぎを抑制することが主眼でした。個人の所有権に関わる課題については踏み込んだ検討が行われてきたとは言えず、安全保障上の土地政策もほとんど講じられてきませんでした。
従来の土地制度の特徴を具体的に見てみますと、まず、土地に関する情報基盤の在り方として、不動産登記簿、固定資産課税台帳、農地台帳など、目的別に様々な台帳が作成されています。しかし、それらの情報を一元的に把握できる仕組みはありません。行政が持っている台帳のうち、主な所有者情報源となっているのが不動産登記簿です。しかし、権利の登記は任意であり、登記後に所有者が転居した場合でも住所変更の通知義務はありません。
なお、後ほど述べますが、この点については今国会で法改正が行われ、相続登記が義務化されたところです。
また、土地所有者の探索においては住民票や戸籍が大きな情報源になりますが、土地が所在する自治体に住民票を置いていない不在地主や国外に在住する非居住者については、そうした住民票や戸籍といった基礎情報がなく、不動産登記が行われていなければ所有者探索は極めて困難になります。
次に、規制の在り方ですが、個人の所有権は諸外国に比べて極めて強いという特徴があります。例えば土地の売買について、農地以外は売買規制はありません。たとえその土地が安全保障上重要な国境離島や防衛施設の隣接地であっても、売主と買主の合意だけで取引は成立し、購入者も問いません。売買の不動産登記は任意であり、登記をしないことも自由です。
土地の利用規制については、農地法や森林法など、個別の法律で一定のルールは定められています。しかし、農地の違反転用や森林の再造林放棄が事実上、現状追認されているケースが少なくないなど、実質的な効力については課題も多いと言われています。
こうした現在の土地制度が抱える課題が具体的な事象となって表面化したのが、近年、社会的な関心の高まった所有者不明土地問題であり、また安全保障上の懸念であると考えます。
所有者不明土地問題とは、不動産登記簿などの台帳を見ても現在の所有者が直ちには分からないという問題です。そして、安全保障上の懸念というのは、土地利用の実態を把握するための法的根拠が十分でなく、万一の際に対応できる備えがないという問題です。いずれも構造的な課題であり、市場、マーケットに任せているだけでは解決が難しい問題です。
土地は個人の財産であるとともに、我々の暮らしの土台であり、経済活動の基盤であり、そして国土です。土地は我々自身がつくり出せるものではなく、次の利用者や次の世代に適切に引き継いでいく必要がある財です。土地が持つそうした公共的な性質に鑑みると、社会の変化に応じて制度の見直しを行うことは必要であると考えます。
それでは、こうした現状の課題について、近年どのような政策対応が取られてきたのでしょうか。
資料の二ページを御覧ください。
所有者不明土地問題については、問題の発生防止や土地の適正な利用と管理、相続による権利の承継の円滑化に向け、近年、土地制度と民事基本法制の両面から抜本的な改正が行われました。
まず、二〇一八年六月には、所有者不明土地を公共的な目的のために利用可能とする特別措置法が成立しました。昨年三月には、約三十年ぶりに土地基本法が改正されました。そこでは、災害の予防、復興など、持続可能な地域の形成を図る観点から、土地の適正な管理の必要性が明示され、また、土地所有者の責務として、登記など権利関係の明確化と土地の境界の明確化に努めることが新たに規定されました。そして、今国会において、この四月に民法、不動産登記法の改正が成立し、相続登記や住所変更登記が義務化されたところです。
他方、安全保障上の懸念への対応については、二〇一〇年に北海道の調査により道内における海外資本等の林地取得状況が判明して以来、林野庁による毎年の調査の結果の公表や旧民主党ワーキンググループによる議論などが重ねられてきました。いまだ法律の制定には至っていませんでしたが、この度の法案はまさにこうした積み重ねの上に形になったものと理解しております。
今後、安全保障をめぐる国際情勢は緊迫度を増していくと考えられます。と同時に、人口減少が進む中、地域の活性化のためには多様な人材や優良な投資を国内外から呼び込むことは必須です。この度の法案は、そうした自由な経済活動を前提として、内外無差別の原則に立ち、国民の安全を守る観点から、土地の利用実態の基本的な調査と万一の際の利用規制を定めるものであり、これまでの日本の土地制度に欠けていた重要な法案であると考えます。
そして、こうした新しい法律の運用に当たっては、国民への分かりやすい説明が必須であることは言うまでもありません。今後、基本方針の策定や注視区域及び特別注視区域の指定に当たっては、これまで内閣委員会の御議論で度々御指摘があったように、国会への報告や国民への十分な説明と情報開示が必須であると考えます。そして、その過程において、国にとって守るべき場所や事柄は何か、また、どのような方法が適切かということについて議論が更に深まっていくことが期待されます。
今後、技術の進歩によって安全保障上のリスクは更に多様化すると考えられます。そうした様々なリスクに対応する万能薬はありません。今後は、今回の法案を含め、様々な法制度が相互に補完し合いながら、過度な規制が行われることのないよう、また、法の抜け穴が生じないよう、制度全体を見渡したバランスの取れた議論が必要であると考えます。是非、この度の法案が成立し、国民への十分な情報開示を行いながら適切に運用されることを心より願っております。
以上が所見でございます。ありがとうございました。
森
半
半田滋#5
○参考人(半田滋君) 本日は、意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は、東京新聞でおよそ三十年にわたって防衛省・自衛隊、そして在日米軍のことをひたすら取材をしてまいりました。その取材を通じて、自衛隊の海外の活動や、あるいは国内の自衛隊の在り方などについて、実際に現地に行き、多くの自衛官や防衛官僚の皆さんと会って実際に取材をし、記事にしてきた者であります。現在は防衛ジャーナリストとして様々な論考を雑誌やSNSで発表しております。
今日お話をするこの重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案、これを土地取引規制法案と便宜上名付けまして、これから意見を述べていきたいと思います。
まず、お手元のレジュメにありますとおり、この問題について三つのポイントに絞っています。一つは、米軍や自衛隊、海上保安庁、生活関連施設などの敷地の周囲約一キロと国境離島などを個別に注視区域や特別注視区域に指定し、所有者の個人情報や利用実態を不動産登記や住民基本台帳などを基に政府が調査をする。二つ目として、必要に応じて所有者に報告を求め、利用中止を命令できる。三つ目として、利用の中止命令に応じなければ二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処すと。この三つが大きなポイントであるかというふうに思っています。
次に、論点について具体的に説明をしていきます。
一、個人情報が丸ごと収集される。
この法案は、注視区域に指定される対象区域が広く、その分、広範囲にわたって住民の調査が及びます。重要施設、つまり自衛隊、米軍基地や海上保安庁施設、そして重要インフラが注視区域となり、周辺一キロに住む住民が調査対象となります。
調査は、現地調査から始まり、内閣総理大臣が必要があると認めた場合、地方自治体などに土地利用者の氏名、住所その他政令で定めるものを求めることができると書かれていますが、その他が何かは法制定後の政令まで分からないという曖昧さがあります。土地登記簿や住民基本台帳を見るだけでは、氏名、住所が判明するだけで、土地利用者の属性は分かりません。
そこで、政府が必要があると認めるときに土地利用者から報告又は資料の提出を求めることができるとの規定を根拠に、更に個人情報を収集することになります。収集される個人情報は、思想、宗教、家族や姻戚、友人関係、海外渡航の有無、現在及び過去の職歴、趣味などを幅広く総合的に収集することによって、初めて意味を成すことになります。つまり、重要施設の近くに住んでいるというだけで個人情報が丸ごと政府に収集される、そのこと自体に問題があるというふうに思います。
二番目、土地取引が抑制される。
特別注視区域に指定された場合、二百平方メートル以上の土地取引は内閣総理大臣に届出を義務付け、違反した場合に刑罰を科すことにしています。
例えば、東京屈指の住宅密集地、新宿区にある防衛省の周囲一キロが特別注視区域に指定されるのは確実でしょう。防衛省と同様に、米軍で司令部機能のある東京の横田基地、神奈川の横須賀基地及びキャンプ座間、沖縄県のキャンプ・コートニーも指定される可能性が高いと考えられます。いずれも住宅地に囲まれ、普通に土地取引が行われています。
土地取引規制法案が制定された場合、内閣総理大臣への届出と許可という手続が加わることにより、自由な土地取引が抑制され、土地価格が下落する可能性があります。土地価格の下落は注視区域においても発生する可能性があります。土地利用者にとっては、重要施設の周辺に居住するというだけで財産が目減りする可能性があるのです。
大変に奇妙なのは、不動産業界、ホテル業界、建設業界などの産業界から反対の声が上がらないことです。二百平方メートルといえば、これから計画するビルやホテルの多くが該当します。手続の煩雑さに嫌気が差し、ビルやホテルの建設を他の場所にしたり諦めたりする例が出てくるのではないでしょうか。
政府は、昨年、GoToトラベルキャンペーンに踏み切り、コロナ禍で苦しむ観光業の支援を実施しました。一方、この法案は、ホテル建設を抑制することから、外国人観光客を増やすというインバウンド政策と矛盾するのではないでしょうか。これまでの政権が目指した方向性とは真逆の法案を通常国会の終了間際に提出し、およそ熟議とは程遠い審議のまま採決に移るとすれば、大いなる矛盾を抱えることになります。
三つ目、曖昧な重要インフラの中身。
重要施設となる生活関連施設、つまり重要インフラについて、法案は政令で定めるとしており、これまでの国会答弁で政府は、原発と、自衛隊と共用している民間空港を挙げています。
だがしかし、例えば、内閣サイバーセキュリティセンターは、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油の十四分野を重要インフラに特定しており、法施行後、政令によって範囲が止めどなく広がる可能性があります。
こうした重要インフラの多くは都市部に集中しており、今回の土地取引規制法案は多くの国民に調査の網を掛けることになっている点を指摘しておきます。法案にある、政令で定めるとの言葉は、行政府への丸投げであり、立法府としての責任放棄にほかなりません。法案には、何が生活関連施設となるのか、具体的に示す必要があります。
外国の例として、米国、豪州、韓国には、基地周辺の土地取引を規制する法律があるものの、重要インフラにまでは踏み込んでおらず、この土地取引規制法案は他に例を見ないほど土地規制の範囲が広がる可能性があります。そもそも、英国やフランスはそうした規制そのものが法律としては存在していません。
四、立法事実がない。
法制定をする必要性として、地方議会における懸念が示されたことが挙げられています。二〇一三年九月の長崎県対馬市議会で、韓国人による自衛隊基地周辺の土地の取得が取り上げられました。対馬市長は、取引を認めた上で、対馬の土地の〇・〇〇六九%が該当すると答弁をしました。市面積の〇・〇一%にも満たない土地の取引が問題視される必要があるでしょうか。
面積の問題ではないという指摘もあるでしょう。私は、二〇一〇年二月、対馬に行って取材をしました。海上自衛隊対馬防備隊近くの土地を韓国資本が購入したとされ、部隊から見えるところに民宿がありました。部隊によると、所有者は韓国人で、韓国の釣り人を受け入れているとの話でした。対馬と対岸の韓国釜山との間は高速フェリーで約一時間。コロナ禍の前まで、対馬は韓国からの観光客や釣り客であふれていました。
韓国資本が土地を購入してホテルなどを建設するのはおかしな話とは思えません。実際に、不法侵入、通信妨害など、機能を阻害する行為はあったのでしょうか。あったとすれば、現行法で対応できない理由は何なのか、政府は明らかにする必要があります。
防衛省は、全国約六百五十の防衛施設に隣接する土地を調査した結果、自衛隊の運用に支障が出たことは確認されていないとしています。この法律を制定する必要性、つまり立法事実がないにもかかわらず制定を急ぐのだとすれば、別の理由を疑わないわけにはいきません。
五、機能を阻害する行為はさじ加減。
沖縄県警は、今月四日、チョウ類研究者の宮城秋乃さんの自宅を家宅捜索し、パソコンやビデオカメラなどを押収しました。宮城さんは連日のように事情聴取を受けています。
宮城さんは、以前から、米軍から政府に返還された北部訓練場から廃棄物の回収を続けてきました。土地の返還時、原状回復は日本政府が行うことになっていますが、いいかげんな作業だったため、あちこちに薬きょうや空き缶などの廃棄物が散乱しています。その廃棄物の一部を北部訓練場のメーンゲートに置いたことが威力業務妨害などに当たるというのです。
置かれた廃棄物は空き缶などで、またいで通れる程度の分量でしかありません。米軍は、兵士らの不道徳を恥じることはあっても宮城さんを逆恨みするのは筋が違うと思いますが、通報を受けた沖縄県警の対応は、土地取引規制法案の先取りと言うほかありません。
法案は、安全保障上の観点から重要施設及び国境離島等の機能を阻害する土地の利用を防止とあるので、政府が機能を阻害すると認定すれば、住民が立ち退きを求められることになります。宮城さんが廃棄物を置いた行為について、沖縄県警は機能を阻害すると認定しました。この事例から、何が機能阻害に当たるのか、認定する側のさじ加減一つであることが分かります。
六、沖縄の離島は注視区域になる。
沖縄県など国境離島は、島そのものが注視区域に指定されるのは確実です。すると、百四十五万人いる沖縄県民全てが調査対象になる可能性があります。これを本土並みに自衛隊基地や米軍基地の周囲一キロとしても、相当数の住民が対象となります。
例えば、普天間基地のある宜野湾市の場合、沖縄平和運動センターの調査で、対象者は宜野湾市民の九割に当たる十万人と試算しています。普天間基地は、沖縄戦のどさくさで、住民が避難している間に米軍が町役場や住宅を取り壊し、滑走路を造りました。その周りを囲い込んで基地としました。戦後、戻ってきた住民らは仕方なく普天間基地の周りに家を建てて住み始め、現在のように住宅に囲まれた基地となりました。
一九七二年の本土復帰時、沖縄県側は原状回復を求めましたが、政府はこの要求を受け入れず、基地が固定化されました。今なお米軍専用施設の七割が沖縄に集中し、本土は沖縄の負担の上にあぐらをかいていると言われても仕方がありません。
自衛隊のミサイル基地が開設された宮古島、開設準備が進む石垣島も同様です。特に、宮古島の場合、収賄罪で起訴された前宮古島市長の三回にわたる防衛省高官との面会で購入を求め、防衛省がこれに従ったゴルフ場跡地に宮古島駐屯地が開設されました。最初に計画した島の北東部の端にある牧場跡地でなく、市街地に近いゴルフ場となったことで、周囲一キロに住む住民が調査の対象となります。宮古島では現在でも弾薬庫の開設をめぐり反対する住民が多く、反対運動とつなげて住民の個人情報を収集するのは確実ではないでしょうか。
七、情報保全隊が前例。
自衛隊のイラク派遣に際し、派遣に反対する市民らの行動を東北情報保全隊が監視し、個人情報を収集していた事実が明らかになっています。公表していない本名や勤務先の情報収集はプライバシー侵害で違法だとされ、裁判所から賠償金の支払を言い渡されました。
このように、違法な手法で個人情報を収集してきたのですから、土地取引規制法が制定された場合、必ず個人情報を収集するのは明らかではないでしょうか。現状の政府の体制では個人情報の収集に手が回らなくなるのは明らかであり、組織の新設や拡充が行われるという行政改革に逆行する焼け太りとなるのも懸念材料の一つです。
八、まとめ。
国の安全保障が重要なことは言うまでもありません。しかし、個人の権利を軽視した上に成り立つ国とは、ゆがんだ虚像と言うほかありません。国民の私権が抑制され、国家が利益を得るような国は、まともな民主主義国家とは言えません。この法案は、思想、良心の自由、プライバシー権、財産権などの私権侵害につながるおそれがあることを指摘しておきたいと思います。
終盤国会に入り、国民投票法改正案といい、この土地取引規制法案といい、左右対決の法案が矢継ぎ早に審議されています。左右対決は有権者の投票行動の変化を呼び込みません。自民党支持層三割、野党支持層二割、無党派層五割と言われる支持層を一層固定化することになります。
例えば、消えた年金問題のような富裕層と低所得層といった上下が分割されるような問題であれば、無党派層による雪崩現象が起きる可能性はあるでしょう。しかし、この左右対決の二法案を持ち出したところに、迫りくる総選挙対策を感じないわけにはいきません。有権者の目をコロナ禍による上下対決から背けさせ、左右対決に持ち込むことで、政権政党にとって有利に働くのではないでしょうか。
これまで述べたとおり、この法案の問題は、沖縄など離島の問題ではありません。東京や神奈川といった大都市の住民が調査対象となり、各地で自由な土地取引が規制されるのです。広く国民全体の問題であることを強調しておきます。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は、東京新聞でおよそ三十年にわたって防衛省・自衛隊、そして在日米軍のことをひたすら取材をしてまいりました。その取材を通じて、自衛隊の海外の活動や、あるいは国内の自衛隊の在り方などについて、実際に現地に行き、多くの自衛官や防衛官僚の皆さんと会って実際に取材をし、記事にしてきた者であります。現在は防衛ジャーナリストとして様々な論考を雑誌やSNSで発表しております。
今日お話をするこの重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案、これを土地取引規制法案と便宜上名付けまして、これから意見を述べていきたいと思います。
まず、お手元のレジュメにありますとおり、この問題について三つのポイントに絞っています。一つは、米軍や自衛隊、海上保安庁、生活関連施設などの敷地の周囲約一キロと国境離島などを個別に注視区域や特別注視区域に指定し、所有者の個人情報や利用実態を不動産登記や住民基本台帳などを基に政府が調査をする。二つ目として、必要に応じて所有者に報告を求め、利用中止を命令できる。三つ目として、利用の中止命令に応じなければ二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処すと。この三つが大きなポイントであるかというふうに思っています。
次に、論点について具体的に説明をしていきます。
一、個人情報が丸ごと収集される。
この法案は、注視区域に指定される対象区域が広く、その分、広範囲にわたって住民の調査が及びます。重要施設、つまり自衛隊、米軍基地や海上保安庁施設、そして重要インフラが注視区域となり、周辺一キロに住む住民が調査対象となります。
調査は、現地調査から始まり、内閣総理大臣が必要があると認めた場合、地方自治体などに土地利用者の氏名、住所その他政令で定めるものを求めることができると書かれていますが、その他が何かは法制定後の政令まで分からないという曖昧さがあります。土地登記簿や住民基本台帳を見るだけでは、氏名、住所が判明するだけで、土地利用者の属性は分かりません。
そこで、政府が必要があると認めるときに土地利用者から報告又は資料の提出を求めることができるとの規定を根拠に、更に個人情報を収集することになります。収集される個人情報は、思想、宗教、家族や姻戚、友人関係、海外渡航の有無、現在及び過去の職歴、趣味などを幅広く総合的に収集することによって、初めて意味を成すことになります。つまり、重要施設の近くに住んでいるというだけで個人情報が丸ごと政府に収集される、そのこと自体に問題があるというふうに思います。
二番目、土地取引が抑制される。
特別注視区域に指定された場合、二百平方メートル以上の土地取引は内閣総理大臣に届出を義務付け、違反した場合に刑罰を科すことにしています。
例えば、東京屈指の住宅密集地、新宿区にある防衛省の周囲一キロが特別注視区域に指定されるのは確実でしょう。防衛省と同様に、米軍で司令部機能のある東京の横田基地、神奈川の横須賀基地及びキャンプ座間、沖縄県のキャンプ・コートニーも指定される可能性が高いと考えられます。いずれも住宅地に囲まれ、普通に土地取引が行われています。
土地取引規制法案が制定された場合、内閣総理大臣への届出と許可という手続が加わることにより、自由な土地取引が抑制され、土地価格が下落する可能性があります。土地価格の下落は注視区域においても発生する可能性があります。土地利用者にとっては、重要施設の周辺に居住するというだけで財産が目減りする可能性があるのです。
大変に奇妙なのは、不動産業界、ホテル業界、建設業界などの産業界から反対の声が上がらないことです。二百平方メートルといえば、これから計画するビルやホテルの多くが該当します。手続の煩雑さに嫌気が差し、ビルやホテルの建設を他の場所にしたり諦めたりする例が出てくるのではないでしょうか。
政府は、昨年、GoToトラベルキャンペーンに踏み切り、コロナ禍で苦しむ観光業の支援を実施しました。一方、この法案は、ホテル建設を抑制することから、外国人観光客を増やすというインバウンド政策と矛盾するのではないでしょうか。これまでの政権が目指した方向性とは真逆の法案を通常国会の終了間際に提出し、およそ熟議とは程遠い審議のまま採決に移るとすれば、大いなる矛盾を抱えることになります。
三つ目、曖昧な重要インフラの中身。
重要施設となる生活関連施設、つまり重要インフラについて、法案は政令で定めるとしており、これまでの国会答弁で政府は、原発と、自衛隊と共用している民間空港を挙げています。
だがしかし、例えば、内閣サイバーセキュリティセンターは、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油の十四分野を重要インフラに特定しており、法施行後、政令によって範囲が止めどなく広がる可能性があります。
こうした重要インフラの多くは都市部に集中しており、今回の土地取引規制法案は多くの国民に調査の網を掛けることになっている点を指摘しておきます。法案にある、政令で定めるとの言葉は、行政府への丸投げであり、立法府としての責任放棄にほかなりません。法案には、何が生活関連施設となるのか、具体的に示す必要があります。
外国の例として、米国、豪州、韓国には、基地周辺の土地取引を規制する法律があるものの、重要インフラにまでは踏み込んでおらず、この土地取引規制法案は他に例を見ないほど土地規制の範囲が広がる可能性があります。そもそも、英国やフランスはそうした規制そのものが法律としては存在していません。
四、立法事実がない。
法制定をする必要性として、地方議会における懸念が示されたことが挙げられています。二〇一三年九月の長崎県対馬市議会で、韓国人による自衛隊基地周辺の土地の取得が取り上げられました。対馬市長は、取引を認めた上で、対馬の土地の〇・〇〇六九%が該当すると答弁をしました。市面積の〇・〇一%にも満たない土地の取引が問題視される必要があるでしょうか。
面積の問題ではないという指摘もあるでしょう。私は、二〇一〇年二月、対馬に行って取材をしました。海上自衛隊対馬防備隊近くの土地を韓国資本が購入したとされ、部隊から見えるところに民宿がありました。部隊によると、所有者は韓国人で、韓国の釣り人を受け入れているとの話でした。対馬と対岸の韓国釜山との間は高速フェリーで約一時間。コロナ禍の前まで、対馬は韓国からの観光客や釣り客であふれていました。
韓国資本が土地を購入してホテルなどを建設するのはおかしな話とは思えません。実際に、不法侵入、通信妨害など、機能を阻害する行為はあったのでしょうか。あったとすれば、現行法で対応できない理由は何なのか、政府は明らかにする必要があります。
防衛省は、全国約六百五十の防衛施設に隣接する土地を調査した結果、自衛隊の運用に支障が出たことは確認されていないとしています。この法律を制定する必要性、つまり立法事実がないにもかかわらず制定を急ぐのだとすれば、別の理由を疑わないわけにはいきません。
五、機能を阻害する行為はさじ加減。
沖縄県警は、今月四日、チョウ類研究者の宮城秋乃さんの自宅を家宅捜索し、パソコンやビデオカメラなどを押収しました。宮城さんは連日のように事情聴取を受けています。
宮城さんは、以前から、米軍から政府に返還された北部訓練場から廃棄物の回収を続けてきました。土地の返還時、原状回復は日本政府が行うことになっていますが、いいかげんな作業だったため、あちこちに薬きょうや空き缶などの廃棄物が散乱しています。その廃棄物の一部を北部訓練場のメーンゲートに置いたことが威力業務妨害などに当たるというのです。
置かれた廃棄物は空き缶などで、またいで通れる程度の分量でしかありません。米軍は、兵士らの不道徳を恥じることはあっても宮城さんを逆恨みするのは筋が違うと思いますが、通報を受けた沖縄県警の対応は、土地取引規制法案の先取りと言うほかありません。
法案は、安全保障上の観点から重要施設及び国境離島等の機能を阻害する土地の利用を防止とあるので、政府が機能を阻害すると認定すれば、住民が立ち退きを求められることになります。宮城さんが廃棄物を置いた行為について、沖縄県警は機能を阻害すると認定しました。この事例から、何が機能阻害に当たるのか、認定する側のさじ加減一つであることが分かります。
六、沖縄の離島は注視区域になる。
沖縄県など国境離島は、島そのものが注視区域に指定されるのは確実です。すると、百四十五万人いる沖縄県民全てが調査対象になる可能性があります。これを本土並みに自衛隊基地や米軍基地の周囲一キロとしても、相当数の住民が対象となります。
例えば、普天間基地のある宜野湾市の場合、沖縄平和運動センターの調査で、対象者は宜野湾市民の九割に当たる十万人と試算しています。普天間基地は、沖縄戦のどさくさで、住民が避難している間に米軍が町役場や住宅を取り壊し、滑走路を造りました。その周りを囲い込んで基地としました。戦後、戻ってきた住民らは仕方なく普天間基地の周りに家を建てて住み始め、現在のように住宅に囲まれた基地となりました。
一九七二年の本土復帰時、沖縄県側は原状回復を求めましたが、政府はこの要求を受け入れず、基地が固定化されました。今なお米軍専用施設の七割が沖縄に集中し、本土は沖縄の負担の上にあぐらをかいていると言われても仕方がありません。
自衛隊のミサイル基地が開設された宮古島、開設準備が進む石垣島も同様です。特に、宮古島の場合、収賄罪で起訴された前宮古島市長の三回にわたる防衛省高官との面会で購入を求め、防衛省がこれに従ったゴルフ場跡地に宮古島駐屯地が開設されました。最初に計画した島の北東部の端にある牧場跡地でなく、市街地に近いゴルフ場となったことで、周囲一キロに住む住民が調査の対象となります。宮古島では現在でも弾薬庫の開設をめぐり反対する住民が多く、反対運動とつなげて住民の個人情報を収集するのは確実ではないでしょうか。
七、情報保全隊が前例。
自衛隊のイラク派遣に際し、派遣に反対する市民らの行動を東北情報保全隊が監視し、個人情報を収集していた事実が明らかになっています。公表していない本名や勤務先の情報収集はプライバシー侵害で違法だとされ、裁判所から賠償金の支払を言い渡されました。
このように、違法な手法で個人情報を収集してきたのですから、土地取引規制法が制定された場合、必ず個人情報を収集するのは明らかではないでしょうか。現状の政府の体制では個人情報の収集に手が回らなくなるのは明らかであり、組織の新設や拡充が行われるという行政改革に逆行する焼け太りとなるのも懸念材料の一つです。
八、まとめ。
国の安全保障が重要なことは言うまでもありません。しかし、個人の権利を軽視した上に成り立つ国とは、ゆがんだ虚像と言うほかありません。国民の私権が抑制され、国家が利益を得るような国は、まともな民主主義国家とは言えません。この法案は、思想、良心の自由、プライバシー権、財産権などの私権侵害につながるおそれがあることを指摘しておきたいと思います。
終盤国会に入り、国民投票法改正案といい、この土地取引規制法案といい、左右対決の法案が矢継ぎ早に審議されています。左右対決は有権者の投票行動の変化を呼び込みません。自民党支持層三割、野党支持層二割、無党派層五割と言われる支持層を一層固定化することになります。
例えば、消えた年金問題のような富裕層と低所得層といった上下が分割されるような問題であれば、無党派層による雪崩現象が起きる可能性はあるでしょう。しかし、この左右対決の二法案を持ち出したところに、迫りくる総選挙対策を感じないわけにはいきません。有権者の目をコロナ禍による上下対決から背けさせ、左右対決に持ち込むことで、政権政党にとって有利に働くのではないでしょうか。
これまで述べたとおり、この法案の問題は、沖縄など離島の問題ではありません。東京や神奈川といった大都市の住民が調査対象となり、各地で自由な土地取引が規制されるのです。広く国民全体の問題であることを強調しておきます。
御清聴ありがとうございました。
森
馬
馬奈木厳太郎#7
○参考人(馬奈木厳太郎君) 東京合同法律事務所に所属している弁護士の馬奈木と申します。貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
私は、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟という、原発事故の被害者が国と東京電力を被告に原状回復と被害救済を求めた裁判に関わっています。また、沖縄の問題にも様々な形で関わってきました。そうしたことから、沖縄や原発も含め、これまで余り議論されていない論点を中心に意見を述べたいと思います。
本論に入る前に、法案に対する私の印象を述べておきます。
この法案は、大体において四つの言葉から成り立っています。内閣総理大臣、等、その他、できる、であります。例えば、内閣総理大臣は、○○等について、○○その他の○○に対して、○○することができるといった感じです。等やその他という幅を持たせる表現が多いです。何より、内閣総理大臣という主語が圧倒的に多い。二十八か条の条文の中に何と三十三回も出てきます。その結果、この法案は、国民の権利を保障するものではなく、政府に権限を与える行政命令のような内容になっています。言わば、内閣総理大臣の内閣総理大臣による内閣総理大臣のための法案という印象を抱かざるを得ません。
もう一点、私は、安全保障論の専門家ではなく、法律が適用される現場に携わっている者です。そうした実務家の立場からは、この法案は一読して、現場の人や当事者の意見を聞かないまま、そうした形で作られた法案だなというふうに感じました。
以下、四点にわたってお話しさせていただきます。
まず、区域指定による影響と弊害についてです。
注視区域については検討中とのことですが、特別注視区域に指定されると重要事項説明義務が生ずるとされています。売買などの契約に先立って、宅地建物取引士の方が説明をすることになりますけれども、これは書面に特別注視区域に指定されていると一行書けばいいというものではありません。根拠法令を資料に付けた上で、こんな会話が展開されることになるかもしれません。
この土地は土地利用規制法に基づく特別注視区域に指定されています。
それってどんな法律ですか。
国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することを目的とする法律でして、土地等の利用実態を調査することになります。
何のために調査するのですか。
重要施設に対する機能阻害行為を防止するためです。
何かリスクがあるのですか。
リスクのあるなしも含めて調査します。
調査内容はどんなことですか。
氏名や住所その他政令で定めるものですが、なお必要があると認められるときは、土地等の利用に関して資料の提出や報告を求められることがあります。
誰が調査対象者なのですか。
利用者その他の関係者となりますが、利用者の定義はありますが、その他の関係者の定義はありません。
いつ調査されるのですか。
権利変動の際といった限定がないので、恒常的に調査される可能性があります。
調査されるときは何かお知らせがあるのですか。
そのような規定は設けられていません。
どんな手法の調査なのですか。
手のうちは明かせません。
周りの人にも聞くのですか。
第三者からの情報提供の仕組みも検討中です。
機能阻害というのは。
閣議決定において例示されますが、一概には申せません。でも、勧告を受けたら分かりますから、大丈夫です。
冗談のように聞こえるかもしれませんが、これは政府答弁です。実際にこんなやり取りをしたら、皆さんは買いたい、借りたいと思いますか。
政府は、不動産に与える影響は少ないと根拠もなく述べていますが、そんなに甘くはないはずです。当事者の立場で想像してみてください。自分が調査されるかもしれない、規制が掛かるかもしれない、そうしたところをわざわざ購入しますか。
しかも、この法案は、政府の説明では安全保障上のリスクがあるから法整備しようという話なわけで、区域指定されるとその地域はリスクがあるというふうに一般には受け止められるのではないですか。さらに、五年後には見直しもあり得るわけで、そうすると更に規制が増えるかもしれない。一キロだって一キロのままではないかもしれない。区域指定された地域にとっては大打撃です。どの程度のリスクかもはっきりしないところで、これは官製風評と言わなければなりません。
政府は地元から不安の声が上がっていると言いますが、地元の人も、いやいや、こんな内容は望んでいないよとおっしゃるのではないですか。区域指定されることが当該地域に与える効果や影響について、法案もそうですが、これまでの質疑でも現場感覚を伴ったやり取りがなされたとは到底思えません。実際に区域指定をする段になると、この内容のままではその地域から猛反発を食らうはずです。リスク、リスクと、あるかないか分からないものを見ようとしていますが、現場のリアリティーは見えていないようです。
次に、これまで余り議論されていない原発について述べたいと思います。
生活関連施設として原発が検討されていますが、なぜ原発が対象になるのか理由が全く明らかにされていません。政府は、新規制基準を世界で一番厳しい基準だと豪語しています。新規制基準にはテロ対策も含まれていますから、世界で一番安全なはずです。まさか政府は新規制基準では足りないと考えているのですか。
それから、原発の関係で機能阻害行為とは一体何を想定しているのですか。この法案では、機能阻害というのは施設の外から人為的にもたらされる被害、そういったものが想定されているようですが、原発については施設の中から被害はもたらされています。被害者は、施設の中の事業者や、事業者を監督する国ではありません。周辺住民が被害者なのです。
原発によって阻害されるのは、ふるさとや地域との結び付きという機能であり、日常の生活やなりわいという機能です。そこを間違えないでいただきたい。
住民を潜在的な脅威とみなすような考えは、事故を起こした当事者である国として、厳に戒められるべきです。原発に対する阻害を恐れるのであれば、その答えは、住民を調査対象にすることではなく、原発をやめることです。
もう一つ、ほとんど議論されていない二十二条と二十三条について述べます。
二十二条は、内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができるとなっています。似た表現が七条にもありますが、こちらは土地等の利用実態の調査なのに対して、二十二条にはそうした限定はなく、この法律の目的を達成するためその他の協力を求めることができるとあります。この法律の目的とは、国民生活の基盤の維持とか我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与するというもので、広範で大ざっぱなものになっています。その他の協力というのも限定がありません。内閣総理大臣に包括的な権限が与えられています。
例えば、基地のゲート前で座込みや集会を開き、道路やその付近に工作物などを設置している場合、それが安全保障上の観点から適当ではないとされれば道路の管理者に撤去などを求めることがこの二十二条によってできるようになるのではないですか。あるいは、都道府県の労働委員会はその他の執行機関に含まれますが、労働委員会は労働組合の組合員に関する情報を保有しています。こういった土地の利用実態には関わらない情報についても、目的を達するために必要だと言えば提供を求めることができるようになるのではないですか。
二十二条からは、残念ながら、地方自治の本旨といった考えはうかがえません。政府と地方公共団体は法的に対等なはずですが、まるで内閣総理大臣の下請機関のような扱いになっています。
それから、二十三条は、国が適切な管理を行う必要があると認められるものについて、買取りその他の必要な措置を講ずるよう努めるとあります。これは端的に言って、土地収用法を潜脱した形で、事実上の強制収用につながるのではないですか。
努めるとありますが、政府は何を行うのですか。買取りを申し出ること自体、所有者には圧力となる場合があります。例えば、石垣島では自衛隊の基地建設が進行していますが、周辺で建設反対の立場を示している所有者に政府が買取りを申し出ることはないですか。
土地収用法は、防衛に関わるものを収用や使用ができる事業には含めていません。それは、さきの大戦に対する反省があるからです。戦後作られ、長年にわたり守られてきた原則を、衆参を通じても僅か二十時間程度の審議で、しかもこの論点については全くと言うほど議論が交わされていないにもかかわらず、こうした原則を覆すようなことがあってはなりません。
四点目は、この法案が触れていない点についてであります。
法案では、止められる人や止められる機関がありません。事後的に検証できる制度も設けられていません。その意味で、この法案は公正とは言えません。
どのような調査が、誰に対して、どんな手法で、いかなる協力を求めているのか、何を機能阻害行為と判断しているのか、そういった事柄を第三者がチェックし、場合によっては止めるといった手段が必要なのではないでしょうか。
法案は、閣議決定で定める、政令で定める、府令で定める、必要があると認めるとき、こういった文言のオンパレードになっています。国会の関与もなく、独立した第三者機関の関与もなく、調査対象者に調査の事実を告げるわけでもありません。
この法案は、全幅の信頼を政府に寄せる、そういったことを国民に求めています。しかし、立憲主義の大原則は、権力は暴走することがあるというものです。ですから、主権者である国民は、権力を監視し、チェックしなければならないのです。法案は、政府が国民を調査し、監視できるかのような内容になっており、完全に転倒しています。そして、それを止めるすべを持たないのです。第三条は、個人情報の保護に十分配慮しつつとか、必要な最小限度のものとなるようにしなければならないなどとありますが、その制度的な担保はないのであります。少なくとも、止める手だてが法案自体に組み込まれていなければ最小限度とは言えません。
最後に、一九九五年九月まで沖縄の歴史や現実を知らなかった一人の日本人として、やはり沖縄について触れないわけにはいきません。
法案によれば、沖縄県内の人が住んでいる島は沖縄島も含めて全てが国境離島等に含まれており、国境離島等の場合には一キロの制限なく区域指定できることから、その気になれば沖縄県全域を区域指定することができます。つまり、沖縄県民を丸ごと調査対象にすることができるということです。安全保障の名目で県民を監視下に置くかのような発想は、まるで戦前のようであります。
昨年、沖縄県の恩納村にある、ある組織の沖縄研修道場を見学させていただく機会がありました。かつて中国に向けた核ミサイル、メースBの跡地に造られた道場は、基地の跡は永遠に残そう、人類はかつて戦争という愚かなことをしたのだという一つのあかしとしてという考えから、平和記念資料館として整備されています。また、そこには青年部、未来部が編集した都道府県ごとの戦争体験の証言集も置いてあり、戦争体験のつらさや悲惨さとともに、軍が住民をスパイ扱いした事実なども語られていました。資料館では、中国や韓国を始め各国との交流も展示してあり、外国の人々について、友と記されてありました。平和の文化の構築に向けた取組や戦争証言集の刊行など、私は大変深い感銘を受けました。
そうした戦争の教訓も踏まえたとき、地域住民を調査対象とし、監視下に置くようなやり方は、本当に正しいものなのでしょうか。証言者の方や証言集作りに関わった先達に対して胸を張ることができますか。そして、友と呼んだ外国の人たちは、この法案を読んだらどういう気持ちになるでしょうか。
沖縄は、長年基地被害に苦しんできました。つい先日も米軍の不時着があり、有機フッ素化合物による被害も出ています。ある学校では、米軍機が飛来すると校庭の生徒が避難しなければならない、そういった日常にあります。政府は、口を開けば負担軽減と言います。しかし、この法案は全く負担軽減にはなりません。その逆です。
この法案が成立すると、最も影響を受けるのは間違いなく沖縄です。沖縄の人々は、選挙権が停止されていたため、日本国憲法の制定に制度的には関わることができませんでした。米軍統治の下、銃剣とブルドーザーで土地を収用されながらも、サンマ裁判と呼ばれるような闘いも経て、民主主義や自治を粘り強く獲得してきました。
沖縄の民意や自治をまた踏みにじるのですか。そんなことが許されていいのですか。私は恥ずかしさと悔しさでいっぱいであります。
こんな政府丸投げ法案を成立させるようであれば、国会は何のためにあるのかという話になると思います。まだ間に合います。一旦法案を取り下げませんか。
この法案は、複数の考え方を無理に一つにしたことに問題の原因があります。その問題は、機能という言葉に象徴され、調査という言葉の意味を分裂させています。すなわち、国境離島の実態調査に問題意識がある人と、防衛施設の機能確保に問題意識のある人がいて、さらには原発もという欲張りな人が加わって、無理やり合体させたのがこの法案です。国境周辺の離島の実態調査と、都市部も含む防衛施設周辺の実態調査とではまるで意味が違います。そこを機能という言葉で無理につなぎ、軍事的合理性だけで突っ走ったから、本当にひどい法案になっています。皆さんも本当は分かっていらっしゃるのではないでしょうか。
急がないといけない事情はないはずです。しかも、安全保障に関わるのであれば、より多くの人の納得と合意の下、進められるべきです。良識の府である参議院の役割を是非発揮していただきたいというふうに考えます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟という、原発事故の被害者が国と東京電力を被告に原状回復と被害救済を求めた裁判に関わっています。また、沖縄の問題にも様々な形で関わってきました。そうしたことから、沖縄や原発も含め、これまで余り議論されていない論点を中心に意見を述べたいと思います。
本論に入る前に、法案に対する私の印象を述べておきます。
この法案は、大体において四つの言葉から成り立っています。内閣総理大臣、等、その他、できる、であります。例えば、内閣総理大臣は、○○等について、○○その他の○○に対して、○○することができるといった感じです。等やその他という幅を持たせる表現が多いです。何より、内閣総理大臣という主語が圧倒的に多い。二十八か条の条文の中に何と三十三回も出てきます。その結果、この法案は、国民の権利を保障するものではなく、政府に権限を与える行政命令のような内容になっています。言わば、内閣総理大臣の内閣総理大臣による内閣総理大臣のための法案という印象を抱かざるを得ません。
もう一点、私は、安全保障論の専門家ではなく、法律が適用される現場に携わっている者です。そうした実務家の立場からは、この法案は一読して、現場の人や当事者の意見を聞かないまま、そうした形で作られた法案だなというふうに感じました。
以下、四点にわたってお話しさせていただきます。
まず、区域指定による影響と弊害についてです。
注視区域については検討中とのことですが、特別注視区域に指定されると重要事項説明義務が生ずるとされています。売買などの契約に先立って、宅地建物取引士の方が説明をすることになりますけれども、これは書面に特別注視区域に指定されていると一行書けばいいというものではありません。根拠法令を資料に付けた上で、こんな会話が展開されることになるかもしれません。
この土地は土地利用規制法に基づく特別注視区域に指定されています。
それってどんな法律ですか。
国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することを目的とする法律でして、土地等の利用実態を調査することになります。
何のために調査するのですか。
重要施設に対する機能阻害行為を防止するためです。
何かリスクがあるのですか。
リスクのあるなしも含めて調査します。
調査内容はどんなことですか。
氏名や住所その他政令で定めるものですが、なお必要があると認められるときは、土地等の利用に関して資料の提出や報告を求められることがあります。
誰が調査対象者なのですか。
利用者その他の関係者となりますが、利用者の定義はありますが、その他の関係者の定義はありません。
いつ調査されるのですか。
権利変動の際といった限定がないので、恒常的に調査される可能性があります。
調査されるときは何かお知らせがあるのですか。
そのような規定は設けられていません。
どんな手法の調査なのですか。
手のうちは明かせません。
周りの人にも聞くのですか。
第三者からの情報提供の仕組みも検討中です。
機能阻害というのは。
閣議決定において例示されますが、一概には申せません。でも、勧告を受けたら分かりますから、大丈夫です。
冗談のように聞こえるかもしれませんが、これは政府答弁です。実際にこんなやり取りをしたら、皆さんは買いたい、借りたいと思いますか。
政府は、不動産に与える影響は少ないと根拠もなく述べていますが、そんなに甘くはないはずです。当事者の立場で想像してみてください。自分が調査されるかもしれない、規制が掛かるかもしれない、そうしたところをわざわざ購入しますか。
しかも、この法案は、政府の説明では安全保障上のリスクがあるから法整備しようという話なわけで、区域指定されるとその地域はリスクがあるというふうに一般には受け止められるのではないですか。さらに、五年後には見直しもあり得るわけで、そうすると更に規制が増えるかもしれない。一キロだって一キロのままではないかもしれない。区域指定された地域にとっては大打撃です。どの程度のリスクかもはっきりしないところで、これは官製風評と言わなければなりません。
政府は地元から不安の声が上がっていると言いますが、地元の人も、いやいや、こんな内容は望んでいないよとおっしゃるのではないですか。区域指定されることが当該地域に与える効果や影響について、法案もそうですが、これまでの質疑でも現場感覚を伴ったやり取りがなされたとは到底思えません。実際に区域指定をする段になると、この内容のままではその地域から猛反発を食らうはずです。リスク、リスクと、あるかないか分からないものを見ようとしていますが、現場のリアリティーは見えていないようです。
次に、これまで余り議論されていない原発について述べたいと思います。
生活関連施設として原発が検討されていますが、なぜ原発が対象になるのか理由が全く明らかにされていません。政府は、新規制基準を世界で一番厳しい基準だと豪語しています。新規制基準にはテロ対策も含まれていますから、世界で一番安全なはずです。まさか政府は新規制基準では足りないと考えているのですか。
それから、原発の関係で機能阻害行為とは一体何を想定しているのですか。この法案では、機能阻害というのは施設の外から人為的にもたらされる被害、そういったものが想定されているようですが、原発については施設の中から被害はもたらされています。被害者は、施設の中の事業者や、事業者を監督する国ではありません。周辺住民が被害者なのです。
原発によって阻害されるのは、ふるさとや地域との結び付きという機能であり、日常の生活やなりわいという機能です。そこを間違えないでいただきたい。
住民を潜在的な脅威とみなすような考えは、事故を起こした当事者である国として、厳に戒められるべきです。原発に対する阻害を恐れるのであれば、その答えは、住民を調査対象にすることではなく、原発をやめることです。
もう一つ、ほとんど議論されていない二十二条と二十三条について述べます。
二十二条は、内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができるとなっています。似た表現が七条にもありますが、こちらは土地等の利用実態の調査なのに対して、二十二条にはそうした限定はなく、この法律の目的を達成するためその他の協力を求めることができるとあります。この法律の目的とは、国民生活の基盤の維持とか我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与するというもので、広範で大ざっぱなものになっています。その他の協力というのも限定がありません。内閣総理大臣に包括的な権限が与えられています。
例えば、基地のゲート前で座込みや集会を開き、道路やその付近に工作物などを設置している場合、それが安全保障上の観点から適当ではないとされれば道路の管理者に撤去などを求めることがこの二十二条によってできるようになるのではないですか。あるいは、都道府県の労働委員会はその他の執行機関に含まれますが、労働委員会は労働組合の組合員に関する情報を保有しています。こういった土地の利用実態には関わらない情報についても、目的を達するために必要だと言えば提供を求めることができるようになるのではないですか。
二十二条からは、残念ながら、地方自治の本旨といった考えはうかがえません。政府と地方公共団体は法的に対等なはずですが、まるで内閣総理大臣の下請機関のような扱いになっています。
それから、二十三条は、国が適切な管理を行う必要があると認められるものについて、買取りその他の必要な措置を講ずるよう努めるとあります。これは端的に言って、土地収用法を潜脱した形で、事実上の強制収用につながるのではないですか。
努めるとありますが、政府は何を行うのですか。買取りを申し出ること自体、所有者には圧力となる場合があります。例えば、石垣島では自衛隊の基地建設が進行していますが、周辺で建設反対の立場を示している所有者に政府が買取りを申し出ることはないですか。
土地収用法は、防衛に関わるものを収用や使用ができる事業には含めていません。それは、さきの大戦に対する反省があるからです。戦後作られ、長年にわたり守られてきた原則を、衆参を通じても僅か二十時間程度の審議で、しかもこの論点については全くと言うほど議論が交わされていないにもかかわらず、こうした原則を覆すようなことがあってはなりません。
四点目は、この法案が触れていない点についてであります。
法案では、止められる人や止められる機関がありません。事後的に検証できる制度も設けられていません。その意味で、この法案は公正とは言えません。
どのような調査が、誰に対して、どんな手法で、いかなる協力を求めているのか、何を機能阻害行為と判断しているのか、そういった事柄を第三者がチェックし、場合によっては止めるといった手段が必要なのではないでしょうか。
法案は、閣議決定で定める、政令で定める、府令で定める、必要があると認めるとき、こういった文言のオンパレードになっています。国会の関与もなく、独立した第三者機関の関与もなく、調査対象者に調査の事実を告げるわけでもありません。
この法案は、全幅の信頼を政府に寄せる、そういったことを国民に求めています。しかし、立憲主義の大原則は、権力は暴走することがあるというものです。ですから、主権者である国民は、権力を監視し、チェックしなければならないのです。法案は、政府が国民を調査し、監視できるかのような内容になっており、完全に転倒しています。そして、それを止めるすべを持たないのです。第三条は、個人情報の保護に十分配慮しつつとか、必要な最小限度のものとなるようにしなければならないなどとありますが、その制度的な担保はないのであります。少なくとも、止める手だてが法案自体に組み込まれていなければ最小限度とは言えません。
最後に、一九九五年九月まで沖縄の歴史や現実を知らなかった一人の日本人として、やはり沖縄について触れないわけにはいきません。
法案によれば、沖縄県内の人が住んでいる島は沖縄島も含めて全てが国境離島等に含まれており、国境離島等の場合には一キロの制限なく区域指定できることから、その気になれば沖縄県全域を区域指定することができます。つまり、沖縄県民を丸ごと調査対象にすることができるということです。安全保障の名目で県民を監視下に置くかのような発想は、まるで戦前のようであります。
昨年、沖縄県の恩納村にある、ある組織の沖縄研修道場を見学させていただく機会がありました。かつて中国に向けた核ミサイル、メースBの跡地に造られた道場は、基地の跡は永遠に残そう、人類はかつて戦争という愚かなことをしたのだという一つのあかしとしてという考えから、平和記念資料館として整備されています。また、そこには青年部、未来部が編集した都道府県ごとの戦争体験の証言集も置いてあり、戦争体験のつらさや悲惨さとともに、軍が住民をスパイ扱いした事実なども語られていました。資料館では、中国や韓国を始め各国との交流も展示してあり、外国の人々について、友と記されてありました。平和の文化の構築に向けた取組や戦争証言集の刊行など、私は大変深い感銘を受けました。
そうした戦争の教訓も踏まえたとき、地域住民を調査対象とし、監視下に置くようなやり方は、本当に正しいものなのでしょうか。証言者の方や証言集作りに関わった先達に対して胸を張ることができますか。そして、友と呼んだ外国の人たちは、この法案を読んだらどういう気持ちになるでしょうか。
沖縄は、長年基地被害に苦しんできました。つい先日も米軍の不時着があり、有機フッ素化合物による被害も出ています。ある学校では、米軍機が飛来すると校庭の生徒が避難しなければならない、そういった日常にあります。政府は、口を開けば負担軽減と言います。しかし、この法案は全く負担軽減にはなりません。その逆です。
この法案が成立すると、最も影響を受けるのは間違いなく沖縄です。沖縄の人々は、選挙権が停止されていたため、日本国憲法の制定に制度的には関わることができませんでした。米軍統治の下、銃剣とブルドーザーで土地を収用されながらも、サンマ裁判と呼ばれるような闘いも経て、民主主義や自治を粘り強く獲得してきました。
沖縄の民意や自治をまた踏みにじるのですか。そんなことが許されていいのですか。私は恥ずかしさと悔しさでいっぱいであります。
こんな政府丸投げ法案を成立させるようであれば、国会は何のためにあるのかという話になると思います。まだ間に合います。一旦法案を取り下げませんか。
この法案は、複数の考え方を無理に一つにしたことに問題の原因があります。その問題は、機能という言葉に象徴され、調査という言葉の意味を分裂させています。すなわち、国境離島の実態調査に問題意識がある人と、防衛施設の機能確保に問題意識のある人がいて、さらには原発もという欲張りな人が加わって、無理やり合体させたのがこの法案です。国境周辺の離島の実態調査と、都市部も含む防衛施設周辺の実態調査とではまるで意味が違います。そこを機能という言葉で無理につなぎ、軍事的合理性だけで突っ走ったから、本当にひどい法案になっています。皆さんも本当は分かっていらっしゃるのではないでしょうか。
急がないといけない事情はないはずです。しかも、安全保障に関わるのであれば、より多くの人の納得と合意の下、進められるべきです。良識の府である参議院の役割を是非発揮していただきたいというふうに考えます。
ありがとうございました。
森
森屋宏#8
○委員長(森屋宏君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言を願います。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言を願います。
和
和田政宗#9
○和田政宗君 自由民主党・国民の声の和田政宗でございます。
まず、吉原参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
外資や外国資本による土地買収における安全保障上の懸念について、吉原参考人御自身はどう考えるのか、もう少し詳しくお聞かせ願えればと思います。
この発言だけを見る →まず、吉原参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
外資や外国資本による土地買収における安全保障上の懸念について、吉原参考人御自身はどう考えるのか、もう少し詳しくお聞かせ願えればと思います。
吉
吉原祥子#10
○参考人(吉原祥子君) 東京財団では、最初にこの問題に着目をしたきっかけが、そうした外国資本が日本の森林などを買うということが今後どのような安全保障上の懸念をもたらすのだろうかと、そういうところを実態調査をしてそして懸念を洗い出そうというところから私もこの問題に入っていきました。ただ、その問題について、やはり可能性としてはとても高いのだろうというふうには思っております。しかしながら、民間の力でそうした事実をつぶさに把握をするということは困難であるということをこの十年感じてまいりました。
この度の内閣委員会における議論を聞いておりまして、そのリスクというものがどの程度のものなのか、また、立法事実というものがあるのかないのかということが大きな論点になっているということを、私も非常に重たくインターネットで聞いておりました。
例えば、所有者不明土地問題の場合は、東日本大震災で所有者不明土地が被災地の復興を遅らせる要因になったといった明白な不利益が生じているわけです。しかしながら、安全保障の問題についてはそうした明確な実害が生じたということは、少なくとも報道で接する限りは私は存じ上げておりません。
ただ、それが、イコール立法事実がない、懸念材料がないと言い切れるのかといったら、そうではないと思っています。調査する根拠がないからこそ分からないこともあるし、また、分かっても言えないこともたくさんあると思っています。そうした懸念に対応すること、それが今回の法律の、法案の重要性であり、必要性であるというふうに考えております。
この発言だけを見る →この度の内閣委員会における議論を聞いておりまして、そのリスクというものがどの程度のものなのか、また、立法事実というものがあるのかないのかということが大きな論点になっているということを、私も非常に重たくインターネットで聞いておりました。
例えば、所有者不明土地問題の場合は、東日本大震災で所有者不明土地が被災地の復興を遅らせる要因になったといった明白な不利益が生じているわけです。しかしながら、安全保障の問題についてはそうした明確な実害が生じたということは、少なくとも報道で接する限りは私は存じ上げておりません。
ただ、それが、イコール立法事実がない、懸念材料がないと言い切れるのかといったら、そうではないと思っています。調査する根拠がないからこそ分からないこともあるし、また、分かっても言えないこともたくさんあると思っています。そうした懸念に対応すること、それが今回の法律の、法案の重要性であり、必要性であるというふうに考えております。
和
和田政宗#11
○和田政宗君 もう一つ連続でお聞きをしたいというふうに思いますが、吉原参考人がこれまで述べてきたこと、また今日述べてきたことに関連して、水源地の保全の観点から、国の現行の法制度でありますとか法整備の在り方についてどのように考えますでしょうか。
この発言だけを見る →吉
吉原祥子#12
○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。
水源地については、現在のところ、北海道を始めとして十八の道と府県で事前届出を課す条例ができております。また、地方自治体、市町村単位でも、数百の市町村で水源保全条例などを作っています。
そこには、地域の水は地域で守るという考え方があります。そうした地域由来の資源というものは、かなりその性質や保全の在り方に違いもありますので、地域で対応するということがいいのではないかなというふうには思っております。
この発言だけを見る →水源地については、現在のところ、北海道を始めとして十八の道と府県で事前届出を課す条例ができております。また、地方自治体、市町村単位でも、数百の市町村で水源保全条例などを作っています。
そこには、地域の水は地域で守るという考え方があります。そうした地域由来の資源というものは、かなりその性質や保全の在り方に違いもありますので、地域で対応するということがいいのではないかなというふうには思っております。
和
和田政宗#13
○和田政宗君 それでは、馬奈木参考人にお聞きをします。
我が国防衛上重要な施設の機能保全に関連してお聞きをいたしますけれども、今年四月のウエブ「論座」の投稿を読ませていただきました。馬奈木参考人は、私自身は自衛隊という組織が丸ごと違憲だと解釈されることはないという立場ですと述べておられますけれども、自衛隊の何が違憲で何が違憲でないと考えるのか、自衛隊が我が国を防衛することも違憲だと考えるのか、お聞かせください。
この発言だけを見る →我が国防衛上重要な施設の機能保全に関連してお聞きをいたしますけれども、今年四月のウエブ「論座」の投稿を読ませていただきました。馬奈木参考人は、私自身は自衛隊という組織が丸ごと違憲だと解釈されることはないという立場ですと述べておられますけれども、自衛隊の何が違憲で何が違憲でないと考えるのか、自衛隊が我が国を防衛することも違憲だと考えるのか、お聞かせください。
馬
馬奈木厳太郎#14
○参考人(馬奈木厳太郎君) 自衛隊の違憲性の問題についてのお尋ねだというふうに考えます。
私自身、「論座」で述べておりますけれども、自衛隊の有する機能というのを個別的に見ていくという観点が大事だという意見であります。その際、「論座」の中では具体的な例として、例えば災害などの際に出動して自衛隊の方たちが人命救助などに当たる、こういったことを自衛隊が丸ごと違憲だといったような形で、そういった活動までも違憲だというふうに考える必要はないというふうに述べています。
一方で、その自衛隊が有する機能というのはまさに様々でありますから、憲法解釈の問題としては、第九条、特に第九条の問題になると思います。日本国憲法上、例えば戦力の不保持であるとか、それから交戦権の否認といった問題がありますので、これとの観点で、これが戦力に当たるとか、あるいは交戦権の行使に当たるといった問題が出てくるものに関しては、当然ながら憲法違反だということになろうかと思います。
したがって、個別具体的に見ていかないといけないので、そういった機能ごとに見ていくという発想、実はこれまで余りなされていなかったと思っています。そうした点をむしろ具体的に個別的に見ていくという方が、今までのような丸ごと合憲とか丸ごと違憲というよりは、生産的な営みといいますか、作業ではないかという問題意識からそのような書き方をさせていただきました。
この発言だけを見る →私自身、「論座」で述べておりますけれども、自衛隊の有する機能というのを個別的に見ていくという観点が大事だという意見であります。その際、「論座」の中では具体的な例として、例えば災害などの際に出動して自衛隊の方たちが人命救助などに当たる、こういったことを自衛隊が丸ごと違憲だといったような形で、そういった活動までも違憲だというふうに考える必要はないというふうに述べています。
一方で、その自衛隊が有する機能というのはまさに様々でありますから、憲法解釈の問題としては、第九条、特に第九条の問題になると思います。日本国憲法上、例えば戦力の不保持であるとか、それから交戦権の否認といった問題がありますので、これとの観点で、これが戦力に当たるとか、あるいは交戦権の行使に当たるといった問題が出てくるものに関しては、当然ながら憲法違反だということになろうかと思います。
したがって、個別具体的に見ていかないといけないので、そういった機能ごとに見ていくという発想、実はこれまで余りなされていなかったと思っています。そうした点をむしろ具体的に個別的に見ていくという方が、今までのような丸ごと合憲とか丸ごと違憲というよりは、生産的な営みといいますか、作業ではないかという問題意識からそのような書き方をさせていただきました。
和
和田政宗#15
○和田政宗君 更にお聞きしますけれども、これ、自衛隊そのものが違憲ということ、自衛隊が我が国を防衛すること自体が違憲ということになりますと、自衛隊の基地自体が違憲というようなことで、その、じゃ、周囲をどうするのかということ自体も違憲ということになるのではないかという観点から更にお聞きをしたいというふうに思いますが。
そうすると、相手国なりから我が国が攻撃を受けて我が国民の人命が何かしらその危害を受けた、こういったことから自衛隊が我が国を守るということは、これは合憲と考えるのでしょうか、違憲と考えるのでしょうか。
この発言だけを見る →そうすると、相手国なりから我が国が攻撃を受けて我が国民の人命が何かしらその危害を受けた、こういったことから自衛隊が我が国を守るということは、これは合憲と考えるのでしょうか、違憲と考えるのでしょうか。
馬
馬奈木厳太郎#16
○参考人(馬奈木厳太郎君) ちょっと、今の問いの立て方が私はちょっとかなり単純化していると思うんですね。
これ、「論座」にも最後の方に書いていますけれども、安全保障の問題というのは、ある日突然どこかの国が攻めてきたといったような発想、それ自体からいかに脱却していくのかというのが大事な観点だろうと思っています。
例えば、イラク戦争のときもそうですけれども、日本も協力しましたが、例えばロジスティックの問題一つ取っても、そんな一日二日でできるようなものではありません。当然ながら、諸外国の政府間同士の意見の対立というのも一日二日でできるものではやっぱりないと思っています。やっぱり積み重ねがあるわけです。今のような形で、ある日突然どこから例えばミサイルが飛んでくるとか、ある日突然どこから何かが攻撃されるというような問いの立て方、これがまさにこの法案の肝になっているんだと思います。
先ほど吉原委員が、リスクがどの程度あるのかということについて立法事実のお話しされました。分からないけれども、それでもって直ちに立法事実が否定されるとは思わないという御発言でした。私は、そのおそれというもの、抽象的なリスクというものがかえって時間軸をどんどんどんどん前倒しにし、調査範囲をどんどんどんどん広げていく、そういった無制約なものにつながっていく、そういうふうに感じています。
今の、まさにどこからか攻めてこられるのではないかというその土俵そのものをきちんと見ていくという、むしろそういった立場の方が大事だろうと考えています。
この発言だけを見る →これ、「論座」にも最後の方に書いていますけれども、安全保障の問題というのは、ある日突然どこかの国が攻めてきたといったような発想、それ自体からいかに脱却していくのかというのが大事な観点だろうと思っています。
例えば、イラク戦争のときもそうですけれども、日本も協力しましたが、例えばロジスティックの問題一つ取っても、そんな一日二日でできるようなものではありません。当然ながら、諸外国の政府間同士の意見の対立というのも一日二日でできるものではやっぱりないと思っています。やっぱり積み重ねがあるわけです。今のような形で、ある日突然どこから例えばミサイルが飛んでくるとか、ある日突然どこから何かが攻撃されるというような問いの立て方、これがまさにこの法案の肝になっているんだと思います。
先ほど吉原委員が、リスクがどの程度あるのかということについて立法事実のお話しされました。分からないけれども、それでもって直ちに立法事実が否定されるとは思わないという御発言でした。私は、そのおそれというもの、抽象的なリスクというものがかえって時間軸をどんどんどんどん前倒しにし、調査範囲をどんどんどんどん広げていく、そういった無制約なものにつながっていく、そういうふうに感じています。
今の、まさにどこからか攻めてこられるのではないかというその土俵そのものをきちんと見ていくという、むしろそういった立場の方が大事だろうと考えています。
和
和田政宗#17
○和田政宗君 馬奈木参考人の意見は貴重な意見として承りたいというふうに思いますけれども、これ、そうしますと、災害に対してはどうするのかとか、そういう問題も生じてくるのではないかということは今の参考人の御意見をお聞きをして感じたところでございます。
済みません、半田参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
この法律によって土地の価格が下がる可能性があるというふうに述べていらっしゃいますけれども、その具体的根拠は何なのかというところがいまいち理解できなかったんですが、ここについてお聞かせをください。
この発言だけを見る →済みません、半田参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
この法律によって土地の価格が下がる可能性があるというふうに述べていらっしゃいますけれども、その具体的根拠は何なのかというところがいまいち理解できなかったんですが、ここについてお聞かせをください。
半
半田滋#18
○参考人(半田滋君) 特に、先ほど述べた中で、特別注視区域に指定された場合に、二百メートル以上の土地の取引や建物の建設について内閣総理大臣に届出を出して、そして許可を得るというふうな、今まで行われていなかった煩雑な手続が入ってくる、これによって流動性が阻害されるということは、一つ手続が余計に入るということだけでも明らかだろうというふうに思います。
そこで、つまり流動性が阻害されることになれば、それだけ土地の固定化というものが、これはやむを得ないことになりますから、そこで動かないものに対する市場価格というのは下がってくるというふうに思います。したがって、今回のこの法律によって土地価格の下落というものが見込まれるというふうに述べました。
この発言だけを見る →そこで、つまり流動性が阻害されることになれば、それだけ土地の固定化というものが、これはやむを得ないことになりますから、そこで動かないものに対する市場価格というのは下がってくるというふうに思います。したがって、今回のこの法律によって土地価格の下落というものが見込まれるというふうに述べました。
和
和田政宗#19
○和田政宗君 この土地の価格が下がる可能性については、半田参考人とそして馬奈木参考人もこれまで述べていらっしゃることだというふうに思いますが、お二人の意見に対してどうこうと言うつもりはございませんけれども。
これ、土地取引の専門家の集団である団体にお聞きをしましたので、この意見を少し述べさせて、このヒアリングした内容を述べさせていただければというふうに思いますけれども、土地や建物の取引を行う会社から成る全国宅地建物取引業協会連合会にお聞きをしましたところ、影響はないというふうに明確にお答えになりました。連合会の幹部に更にお聞きしたところ、むしろ土地調査と規制の対象を一キロではなく三キロにすべきであると。外資、外国人の土地取得について調査や規制を強化すべきであるという多くの意見が組織内で寄せられたということです。
土地の取引が抑制され価格が下がるのであれば、こうした団体も反対に回るのではないかというふうに私も考えますけれども、実際はそうではありませんし、土地取引の現場をつぶさに見ているプロの意見は、まずしっかりと調査をして、安全のために必要な規制をすべきとの考えでありました。
そこで、吉原参考人にお聞きをしたいのですけれども、外資、外国人による土地取得の問題は、この従来の土地制度が抱える課題と密接に関わっているというふうにお述べになられております。また、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとも関連するとの御意見を主張なさってきましたけれども、この土地法制全体として不足部分を改善をしていくという観点が今必要であるということでよろしいのか、その点をお聞きできればというふうに思います。
この発言だけを見る →これ、土地取引の専門家の集団である団体にお聞きをしましたので、この意見を少し述べさせて、このヒアリングした内容を述べさせていただければというふうに思いますけれども、土地や建物の取引を行う会社から成る全国宅地建物取引業協会連合会にお聞きをしましたところ、影響はないというふうに明確にお答えになりました。連合会の幹部に更にお聞きしたところ、むしろ土地調査と規制の対象を一キロではなく三キロにすべきであると。外資、外国人の土地取得について調査や規制を強化すべきであるという多くの意見が組織内で寄せられたということです。
土地の取引が抑制され価格が下がるのであれば、こうした団体も反対に回るのではないかというふうに私も考えますけれども、実際はそうではありませんし、土地取引の現場をつぶさに見ているプロの意見は、まずしっかりと調査をして、安全のために必要な規制をすべきとの考えでありました。
そこで、吉原参考人にお聞きをしたいのですけれども、外資、外国人による土地取得の問題は、この従来の土地制度が抱える課題と密接に関わっているというふうにお述べになられております。また、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとも関連するとの御意見を主張なさってきましたけれども、この土地法制全体として不足部分を改善をしていくという観点が今必要であるということでよろしいのか、その点をお聞きできればというふうに思います。
吉
吉原祥子#20
○参考人(吉原祥子君) 土地制度全体を時代の変化に応じて、合わせて底上げをしていくことが求められていると思います。そのキーワードの一つが内外無差別だと思います。
これまでの日本の土地制度は、地域に人がいて、その属人的なネットワークの中で相続人の情報も分かり、一代ぐらいだったら登記が古くても大体相続人調査もできるよということで、あるいは、戸籍があり住民票があるという、そうした日本人、国籍の問題というよりも居住者を、その地域の居住者を前提として、その人たちが管理責任を負い、固定資産税も払うという前提でありました。
しかし、これからは、例えばIターンで東京から地方に移ってくる人、あるいは外国の様々な技能を持った方を受け入れていくということも必須ですし、あるいは海外からの投資というものも必須です。そうした方々こそが安心して地域の中で活動ができるためには、誰であっても同じように情報基盤に、情報基盤を共有して同じルールを共有していけるような、そういう仕組みをつくっていくことが大事であろうというふうに思います。
この発言だけを見る →これまでの日本の土地制度は、地域に人がいて、その属人的なネットワークの中で相続人の情報も分かり、一代ぐらいだったら登記が古くても大体相続人調査もできるよということで、あるいは、戸籍があり住民票があるという、そうした日本人、国籍の問題というよりも居住者を、その地域の居住者を前提として、その人たちが管理責任を負い、固定資産税も払うという前提でありました。
しかし、これからは、例えばIターンで東京から地方に移ってくる人、あるいは外国の様々な技能を持った方を受け入れていくということも必須ですし、あるいは海外からの投資というものも必須です。そうした方々こそが安心して地域の中で活動ができるためには、誰であっても同じように情報基盤に、情報基盤を共有して同じルールを共有していけるような、そういう仕組みをつくっていくことが大事であろうというふうに思います。
和
和田政宗#21
○和田政宗君 ありがとうございます。
さらに、そうしましたら、これ、最後の質問になると思いますが、吉原参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
今回の法整備に当たっては、反対の方もいらっしゃるわけですし、不安に思われる方もいらっしゃるというふうに思います。私は、徹底した情報公開が必要であるというふうに思っております。
吉原参考人から、この情報公開に向けての観点、幾つかお示しをいただきましたけれども、より分かりやすく明快に国民に対する情報公開をしていくためには何が必要か、最後にお答え願えればと思います。
この発言だけを見る →さらに、そうしましたら、これ、最後の質問になると思いますが、吉原参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
今回の法整備に当たっては、反対の方もいらっしゃるわけですし、不安に思われる方もいらっしゃるというふうに思います。私は、徹底した情報公開が必要であるというふうに思っております。
吉原参考人から、この情報公開に向けての観点、幾つかお示しをいただきましたけれども、より分かりやすく明快に国民に対する情報公開をしていくためには何が必要か、最後にお答え願えればと思います。
吉
吉原祥子#22
○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。
私も、今国会の議論を拝聴しておりまして、また、お二方の参考人の御意見も聞いておりまして、これは本当に、本当に深刻な、様々な地域の課題が抱えている中での土地問題ということで、この法案を作った後の情報公開というものにこの成否が懸かっているというふうに思います。
一つ参考になると思うのは、北海道庁が全国に先駆けて作った水資源保全条例です、平成二十四年。北海道庁、本当に手探りで作りました、その条例を。そして、地域の住民への説明会というものを徹底して行って、道庁の職員の方々は車で何時間も走って住民説明会を道内各地で行いました。また、その過程、地域指定のプロセス、審議会の議事録、それから指定件数、五年後の見直しのアンケート調査の結果、そうしたものを全てホームページで更新をしております。それは一つ大きな参考になると思います。
ただ、もちろん国の安全保障ですから、やはり秘匿しなきゃいけないことというのは限定的にあるとは思いますけれども、しかしながら、基本的な考え方というものはしっかりと示していかなければいけないと。この衆参の内閣委員会で出た論点一つ一つにきちんとこれから応えていかなければいけないということは強く感じます。
この発言だけを見る →私も、今国会の議論を拝聴しておりまして、また、お二方の参考人の御意見も聞いておりまして、これは本当に、本当に深刻な、様々な地域の課題が抱えている中での土地問題ということで、この法案を作った後の情報公開というものにこの成否が懸かっているというふうに思います。
一つ参考になると思うのは、北海道庁が全国に先駆けて作った水資源保全条例です、平成二十四年。北海道庁、本当に手探りで作りました、その条例を。そして、地域の住民への説明会というものを徹底して行って、道庁の職員の方々は車で何時間も走って住民説明会を道内各地で行いました。また、その過程、地域指定のプロセス、審議会の議事録、それから指定件数、五年後の見直しのアンケート調査の結果、そうしたものを全てホームページで更新をしております。それは一つ大きな参考になると思います。
ただ、もちろん国の安全保障ですから、やはり秘匿しなきゃいけないことというのは限定的にあるとは思いますけれども、しかしながら、基本的な考え方というものはしっかりと示していかなければいけないと。この衆参の内閣委員会で出た論点一つ一つにきちんとこれから応えていかなければいけないということは強く感じます。
和
杉
杉尾秀哉#24
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾でございます。
今日は、三人の参考人の先生方、貴重な御意見、大変ありがとうございました。
まず、半田参考人に伺いたいんですけれども、これまでの法案審議、今も問題になっておりましたけれども、どのような施設が対象なのか、生活関連施設も含めて。そして、施設の機能阻害行為とは具体的にいかなる行為を指すのか。こうした一つ一つの質問に対して、これ衆参の審議を通じてそうですけれども、手のうちをさらすとか、安全保障上の理由と、こういったような理由を挙げて詳しい説明をまず政府側は避けてきたわけです、答弁避けてきたんですけれども。
安全保障、そして基地問題、防衛問題にこれまで取材してきた立場として、こういう政府の説明が理解できるかどうか、これについて半田参考人の御意見聞かせてください。
この発言だけを見る →今日は、三人の参考人の先生方、貴重な御意見、大変ありがとうございました。
まず、半田参考人に伺いたいんですけれども、これまでの法案審議、今も問題になっておりましたけれども、どのような施設が対象なのか、生活関連施設も含めて。そして、施設の機能阻害行為とは具体的にいかなる行為を指すのか。こうした一つ一つの質問に対して、これ衆参の審議を通じてそうですけれども、手のうちをさらすとか、安全保障上の理由と、こういったような理由を挙げて詳しい説明をまず政府側は避けてきたわけです、答弁避けてきたんですけれども。
安全保障、そして基地問題、防衛問題にこれまで取材してきた立場として、こういう政府の説明が理解できるかどうか、これについて半田参考人の御意見聞かせてください。
半
半田滋#25
○参考人(半田滋君) はっきり申し上げて、理解できないと思います。
手のうちをさらすといって、一つも、何が、何をもって機能を阻害する理由なのかというのを挙げてこないというのは、全く推測をするしかないということになります。
そこで、先ほど申し上げた沖縄県のチョウ類研究者の宮城さんの事例でありますけれども、およそ宮城さんがやった行為が違法行為というふうに当たるというふうには到底思えないわけです。
もうちょっとお話しすれば、宮城さんはちゃんと、一度回収したものを県警に連絡をして引き取ってほしいということをおっしゃったにもかかわらず、県警が放置したので、自ら運んできて、そのうちの一部を元の所有者であった米軍に返したと、そういう話になっています。
実際、宮城さんがその後ブログなんかでお書きになっているのは、そういった廃棄物をゲートの前に置いた行為は、威力業務妨害だけではなくて、廃棄物処理法違反もあるし道路交通法違反もあると。えっと非常に驚くような罪が三つもあるということになったわけですね。
ということは、要するに、機能を阻害する行為というのは、それを認定する側の判断次第であるということが非常に分かると。したがって、今回の国会の中で、手のうちを明かすといって中身を公表しない政府の態度というのは全く納得がいかないものであるというふうに言えると思います。
この発言だけを見る →手のうちをさらすといって、一つも、何が、何をもって機能を阻害する理由なのかというのを挙げてこないというのは、全く推測をするしかないということになります。
そこで、先ほど申し上げた沖縄県のチョウ類研究者の宮城さんの事例でありますけれども、およそ宮城さんがやった行為が違法行為というふうに当たるというふうには到底思えないわけです。
もうちょっとお話しすれば、宮城さんはちゃんと、一度回収したものを県警に連絡をして引き取ってほしいということをおっしゃったにもかかわらず、県警が放置したので、自ら運んできて、そのうちの一部を元の所有者であった米軍に返したと、そういう話になっています。
実際、宮城さんがその後ブログなんかでお書きになっているのは、そういった廃棄物をゲートの前に置いた行為は、威力業務妨害だけではなくて、廃棄物処理法違反もあるし道路交通法違反もあると。えっと非常に驚くような罪が三つもあるということになったわけですね。
ということは、要するに、機能を阻害する行為というのは、それを認定する側の判断次第であるということが非常に分かると。したがって、今回の国会の中で、手のうちを明かすといって中身を公表しない政府の態度というのは全く納得がいかないものであるというふうに言えると思います。
杉
杉尾秀哉#26
○杉尾秀哉君 更に半田参考人に伺いたいんですけれども、先ほどの説明でも、立法事実がないと、こういうふうな御説明でございました。私も前回の質疑でそういうことを申し上げましたけれども。
この一方で、本法案に明記された措置で、例えば一キロの注視区域であったり特別注視区域であったり、こうしたところでいろんな調査を、まあ様々なことが措置されるわけですけれども、こうした行為、こうしたことによって不正行為がどこまで防げるのか、防止が本当にできるのかという、いわゆるその実効性ですよね、これを問う声もありますけれども、安全保障の専門家として、この法案の実効性、本来の目的の安全保障上の目的の達成、これについてどういうふうな御意見お持ちでしょうか。
この発言だけを見る →この一方で、本法案に明記された措置で、例えば一キロの注視区域であったり特別注視区域であったり、こうしたところでいろんな調査を、まあ様々なことが措置されるわけですけれども、こうした行為、こうしたことによって不正行為がどこまで防げるのか、防止が本当にできるのかという、いわゆるその実効性ですよね、これを問う声もありますけれども、安全保障の専門家として、この法案の実効性、本来の目的の安全保障上の目的の達成、これについてどういうふうな御意見お持ちでしょうか。
半
半田滋#27
○参考人(半田滋君) これは本当に、悪意を持って、調査される側の者がその実態を隠蔽しようと思えば幾らでも可能だと思います。
つまり、表に出ている名前や住所、そのことでさえも、これを虚偽のものに置き換えて、実際の所有者と別の人が名義人になっているというようなことをすることはできると思いますので、実際のところ、この調査によって本当に土地の取引が安全保障に資するものであるというふうに断言できるとは到底言えないと思います。
むしろ、この調査をすることによって、周囲一キロ、つまり注視区域や特別注視区域の周囲一キロに住んでいる住民が、国に従順な人と、あの人は例えば反対運動をやっていて国に逆らう人だというようなことで住民が分割されたり、国がもし不都合だと思う住民に対して転居をしてくれというような命令を下すようなことになってくると、国にとって非常に管理のしやすい地域ができ上がると。
これは、安全保障上というよりは、はっきり言えば手抜きをしてでも自分たちの都合のいいようなエリアを確保しておく、それが今回は、単なる基地だけじゃなく、いわゆる生活関連施設にまで及んでいるというのが大変に大きな問題だというふうに思います。
この発言だけを見る →つまり、表に出ている名前や住所、そのことでさえも、これを虚偽のものに置き換えて、実際の所有者と別の人が名義人になっているというようなことをすることはできると思いますので、実際のところ、この調査によって本当に土地の取引が安全保障に資するものであるというふうに断言できるとは到底言えないと思います。
むしろ、この調査をすることによって、周囲一キロ、つまり注視区域や特別注視区域の周囲一キロに住んでいる住民が、国に従順な人と、あの人は例えば反対運動をやっていて国に逆らう人だというようなことで住民が分割されたり、国がもし不都合だと思う住民に対して転居をしてくれというような命令を下すようなことになってくると、国にとって非常に管理のしやすい地域ができ上がると。
これは、安全保障上というよりは、はっきり言えば手抜きをしてでも自分たちの都合のいいようなエリアを確保しておく、それが今回は、単なる基地だけじゃなく、いわゆる生活関連施設にまで及んでいるというのが大変に大きな問題だというふうに思います。
杉
杉尾秀哉#28
○杉尾秀哉君 続いて、馬奈木参考人に伺います。
本当にひどい法案だと、こういうふうにおっしゃいました。法律の専門家という立場から、まあ我々は丸投げ法案とか、言ってみれば白紙委任状法案と、こういうふうな言い方をする人もいるわけですけれども、今回のその法案全体を通してどこが最大の問題点だというふうに思われますでしょうか。
この発言だけを見る →本当にひどい法案だと、こういうふうにおっしゃいました。法律の専門家という立場から、まあ我々は丸投げ法案とか、言ってみれば白紙委任状法案と、こういうふうな言い方をする人もいるわけですけれども、今回のその法案全体を通してどこが最大の問題点だというふうに思われますでしょうか。
馬
馬奈木厳太郎#29
○参考人(馬奈木厳太郎君) 大変難しい質問かなと思うんですね。条文一つ、一条一条に何か所かちょっといろいろ言いたくなることがあるぐらいの法案だと思っています。
それはなぜなのか。やはり、先ほど、内閣総理大臣はで始まる条文がほとんどだと、言い方をしましたけれども、それに対して権限が与えられるわけです。その権限が与えられる範囲も、それから手法も、期間も、誰に対してかも、全く歯止めがない、それに対してチェックを掛ける存在もない。意見を聞くという仕組みはできていますけれども、止められるような仕組みはなっていないわけですよね。だから、私は、この条文の何条が問題かというよりは、この考え方そのものが極めて危険だというふうに思っています。
この発言だけを見る →それはなぜなのか。やはり、先ほど、内閣総理大臣はで始まる条文がほとんどだと、言い方をしましたけれども、それに対して権限が与えられるわけです。その権限が与えられる範囲も、それから手法も、期間も、誰に対してかも、全く歯止めがない、それに対してチェックを掛ける存在もない。意見を聞くという仕組みはできていますけれども、止められるような仕組みはなっていないわけですよね。だから、私は、この条文の何条が問題かというよりは、この考え方そのものが極めて危険だというふうに思っています。