法務委員会
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会
会議録情報#0
令和五年五月二十三日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 世耕 弘成君
五月二十二日
辞任 補欠選任
梅村みずほ君 音喜多 駿君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 杉 久武君
理 事
加田 裕之君
福岡 資麿君
牧山ひろえ君
谷合 正明君
川合 孝典君
委 員
古庄 玄知君
山東 昭子君
世耕 弘成君
田中 昌史君
森 まさこ君
山崎 正昭君
和田 政宗君
石川 大我君
福島みずほ君
佐々木さやか君
音喜多 駿君
鈴木 宗男君
仁比 聡平君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
参考人
杏林大学総合政
策学部教授 川村 真理君
明治学院大学国
際学部教授 阿部 浩己君
国際基督教大学
人道アクション
ネットワーク(
NOHA)プロ
グラムコーディ
ネーター 小尾 尚子君
特定非営利活動
法人北関東医療
相談会事務局長 長澤 正隆君
─────────────
本日の会議に付した案件
○出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和
条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入
国管理に関する特例法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○難民等の保護に関する法律案(石橋通宏君外三
名発議)
○出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和
条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入
国管理に関する特例法の一部を改正する法律案
(石橋通宏君外三名発議)
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この発言だけを見る →午前十時開会
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委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 世耕 弘成君
五月二十二日
辞任 補欠選任
梅村みずほ君 音喜多 駿君
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出席者は左のとおり。
委員長 杉 久武君
理 事
加田 裕之君
福岡 資麿君
牧山ひろえ君
谷合 正明君
川合 孝典君
委 員
古庄 玄知君
山東 昭子君
世耕 弘成君
田中 昌史君
森 まさこ君
山崎 正昭君
和田 政宗君
石川 大我君
福島みずほ君
佐々木さやか君
音喜多 駿君
鈴木 宗男君
仁比 聡平君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
参考人
杏林大学総合政
策学部教授 川村 真理君
明治学院大学国
際学部教授 阿部 浩己君
国際基督教大学
人道アクション
ネットワーク(
NOHA)プロ
グラムコーディ
ネーター 小尾 尚子君
特定非営利活動
法人北関東医療
相談会事務局長 長澤 正隆君
─────────────
本日の会議に付した案件
○出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和
条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入
国管理に関する特例法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○難民等の保護に関する法律案(石橋通宏君外三
名発議)
○出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和
条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入
国管理に関する特例法の一部を改正する法律案
(石橋通宏君外三名発議)
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杉
杉久武#1
○委員長(杉久武君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、高橋はるみ君及び梅村みずほ君が委員を辞任され、その補欠として世耕弘成君及び音喜多駿君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、高橋はるみ君及び梅村みずほ君が委員を辞任され、その補欠として世耕弘成君及び音喜多駿君が選任されました。
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杉
杉久武#2
○委員長(杉久武君) 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(閣法第四八号)、難民等の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(参第九号)、以上三案を一括して議題といたします。
本日は、三案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、杏林大学総合政策学部教授川村真理君、明治学院大学国際学部教授阿部浩己君、国際基督教大学人道アクションネットワーク(NOHA)プログラムコーディネーター小尾尚子君及び特定非営利活動法人北関東医療相談会事務局長長澤正隆君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、川村参考人、阿部参考人、小尾参考人、長澤参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず川村参考人からお願いいたします。川村参考人。
この発言だけを見る →本日は、三案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、杏林大学総合政策学部教授川村真理君、明治学院大学国際学部教授阿部浩己君、国際基督教大学人道アクションネットワーク(NOHA)プログラムコーディネーター小尾尚子君及び特定非営利活動法人北関東医療相談会事務局長長澤正隆君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、川村参考人、阿部参考人、小尾参考人、長澤参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず川村参考人からお願いいたします。川村参考人。
川
川村真理#3
○参考人(川村真理君) この度は、参考人として意見を述べる貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
私の専門は国際法で、長きにわたり難民問題に関連する国際法制度に関する研究に携わってまいりました。また、実務では、UNHCRの国際保護局において人権関連のリエゾン業務に携わった経験があります。入管行政との関連では、現在、難民審査参与員を務めております。過去には、難民認定制度運用の見直し状況検証のための有識者会議及び収容・送還に関する専門部会の委員も務めさせていただきました。
本日は、こうした経験を踏まえつつ、難民条約と人権条約の特徴、入管法等改正法案の規定についてお話しさせていただきたいと思います。
まず、難民条約についてお話しします。
難民条約は、難民の基本的権利と自由のできる限りの保障を考慮するとともに、各国の負担分担や緊張関係の防止も考慮して制定されています。難民条約では、人権条約のような履行確保の監視する措置の設置を規定せず、締約国が独自に難民認定手続を定めること、また、国家が重大犯罪を行った者など国家の安全にとって危険であると認める者等を条約上の保護の範囲外としてよいことを前提に規定されています。その上で、締約国は、国内事情や国内法制を考慮しつつ、条約の規定に従って難民の保護をすることを想定して起草されました。
その後、国際情勢の変化に伴う難民保護の拡充の要請と人権条約の発展を受けて、UNHCRとその執行委員会からUNHCRハンドブックなどの様々な文書が発出されました。
しかし、UNHCRは、条約の適用を監督する任務を有していますが、締約国に実施措置を課す権限はありません。また、執行委員会は、条文解釈のための専門家で構成されている機関でもありません。UNHCRや執行委員会の出す文書は、法的拘束力がなく、資料一の一のとおり、国家の政策決定の指針とはなり得るものの、条約法条約も当事国の合意を確立するものには当たらないと解されています。
次に、人権条約について述べます。
人権条約は、条約の履行確保のための実施措置制度を有しているものが多く存在し、例えば昨年の自由権規約人権委員会の対日審査などがこの履行確保のための実施制度に該当します。この制度を通じ、各締約国は条約の実効性確保に向けた対話の促進などの努力を行い、この対話の促進の過程こそが重要であるとされています。規約人権委員会が発出する意見等にも法的拘束力はありませんが、資料一の二のとおり、条約解釈の補足的な手段として使用され得ることもあります。
また、人権条約の実施制度とは別に、人権理事会の特別手続には収容も扱う恣意的拘禁作業部会などがあります。この特別手続において、法的拘束力のない文書等で独自の見解を発出することがあります。恣意的拘禁作業部会には個人通報手続がありますが、申立て内容に多少の事実誤認があっても、書面で通知を行った一方当事者の意見をそのまま用いて意見を提出することがあり、意見が諸外国の政府に無視されるなど、その実効性に疑問視する見方もあります。
このように、国際機関の意見といっても、各条約の規定ぶりや関連機関の権限等により、発出する文書の性質やその効果も異なります。国際法の見地から申し上げると、国家は、法的拘束力のない諸文書だからといって直ちに無視するのではなく、国際法の遵守にかなうよう参照し、説明責任を果たし、建設的対話を重ねることが重要です。
他方で、各国際機関が発出する文書で指摘を受けたから直ちに国際法違反や国際水準に達していないと非難するのも論理的飛躍があり、国民に誤解を与えかねません。難民入管問題は、人権問題であるとともに、国家の不安定化を招きかねないセンシティブな内容であるということを踏まえて議論を行う必要があると考えます。
例えば、難民法の研究者グッドウィン・ギルは、裁判での規範となるような条約解釈というものと各国への働きかけにとどまる勧告とをきちんと区別すべきで、後者は国家において勧告の趣旨を受け入れられるかどうかを時間を掛けて検討すべき性質のものだなどとしています。
また、他の研究者は、UNHCRやその見解に司法機関のような監視権限やそのような効力を認めることでかえって社会の対立が深まり、保護すべき人が取り残される危険がある、難民保護のためには、国家主権と難民の安全のいずれも考慮した上、民主主義に基づいた政治的コンセンサスを重視すべきなどと指摘しています。
欧米諸国の高いと言われる難民法、人権法の基準も、実際には、例えばカナダに見られるように、入国者への事前のビザ発給の厳しい制限や、安全な第三国協定に基づく入国制限などの入国を希望する外国人に対する厳しい法制度などと表裏一体として実行されているものであることを御認識いただき、建設的な議論がなされることを期待します。
次に、政府提出の入管法等改正法案の補完的保護対象者について述べたいと思います。
改正法案の補完的保護対象者の範囲は、難民条約一条A(2)にある五つの理由以外の理由で迫害を受けるおそれを有する者となっており、迫害の考え方は、公表された難民該当性判断の手引に示されています。手引における迫害に関する考慮事項には、人権の重大な侵害、差別的措置、不利益等の累積が明記されました。これに加えて、衆議院での答弁でも、紛争、拷問等は迫害の考慮事項に含まれ得ることが確認されました。
他国は異なる規定ぶりだという指摘もありますが、重要なのは、どのようなものを対象とするかという点に尽きると思います。例えば、自由権規約七条の送還禁止に関する個人通報事案は拷問に関するものが多くを占めており、政府案は、実際には他国の保護範囲と同等であり、保護すべき者を適切に保護し得ると考えられます。
続いて、送還停止効の例外規定について述べたいと思います。
諸外国でも、公共の安全に危険を及ぼす者や重大犯罪者に対する送還停止効の例外の規定が設けられています。そして、例外の対象者については、国際法上確立した定義や国際社会全体で共有し得る解釈はなく、各国が国内事情を踏まえて国内法で定める性質のものと言えます。
収容・送還に関する専門部会において、難民認定再申請に関する送還停止効についての他国の国内法規定やUNHCRの見解も確認いたしましたが、それらと比較してこの規定自体に問題があるとは思えません。
また、三回目以降の申請者への送還停止効の例外規定の適用について、送還手続に入った段階で入管法五十三条に基づきノン・ルフールマン原則の適用の検討がなされますし、行政判断に不服がある場合には訴訟を提起することも可能となっています。
ただし、送還停止効の例外によってノン・ルフールマン原則が害されないよう、運用において難民認定申請の審査及び送還先の決定等の質の向上を常に行っていく体制を整えることは当然に必要です。
なお、第三者機関創設の議論もございますが、これは非現実的であると考えます。その理由として、資料四のとおり、複数の諸外国では一次審査については入管機関が行っているように、庇護手続は結局は上陸と滞在を認めるものである以上どうしても入管業務との円滑な連携を図る必要があること、また、少人数の独立機関では業務に支障が出て処理が更に遅れるおそれがあることなどが挙げられます。
この点、私も、第三者機関を求める趣旨、つまり、公平公正な審査の必要性については当然理解できます。ただ、私の参与員としての実務経験上、参与員の審査は独立性が損なわれているとは感じません。また、参与員の能力に対する批判もありますが、私の経験上、参与員のみならず関与する全ての者の質の向上が必要であると認識しており、これは第三者機関を設ければ解決する話ではないと考えています。そこで、まずは現行制度において、関与者の専門性の向上と運用上の改善を図っていくべきであると思います。
最後に収容について、規約人権委員会は、入管収容自体は恣意的ではないが、収容の正当性が認められなければならないとしています。
昨年十一月に発出された規約人権委員会の我が国に対する総括所見では、まず、我が国の姿勢について、収容施設の改善、退去強制手続の改正及び長期収容の回避する措置に関する検討等を歓迎する旨表明されています。
収容の上限の導入に向けて取り組むよう言及されていますが、まず、自由権規約の規定において収容上限は求められておらず、また、資料四のとおり、収容期間の上限を設定していない国もあります。
大事なことは、収容期間を短くし、長期収容される者をできる限り減らすことですが、この点に関して、監理措置の導入のほか、三か月ごとの事後的な定期審査によって対応できるものと思います。特に、収容要件を定めた上での監理措置の導入、事後的な定期審査は、規約人権委員会が一般的意見で示した方向性にも一致しているのではないかと思います。今後、条約の趣旨、目的に即した説明責任を果たすとともに、特に監理措置の適切な運用が望まれます。
なお、恣意的拘禁作業部会らからの書簡については、先ほど特別手続の専門家は独自の見解を示すと述べたように、事前の司法審査を求めている点は規約人権委員会の解釈と異なる独自のものと考えます。実際、資料四のとおり、五か国中四か国が裁判所による事前審査を行っていません。我が国は、収容決定後に裁判所へアクセスすることは可能であり、不服である場合は速やかに訴訟提起ができるようにすることとしており、これによって正当性が確保されると考えます。
結論として、大事なことは、自由権規約等、人権条約の趣旨及び目的にかなうようにするということですが、資料五にあるように、規約人権委員会の勧告については、入管庁による運用及び改正法案の施行によって対応できる部分が多いと考えます。今般の改正法案は、国際法の遵守に向けた方向での検討があり、その内容も実施可能で、人権保護の観点からも改善されています。最大多数の合意に基づき新たな入管法の枠組みを規定した後に運用によって更なる改善をしていくことは可能であり、我が国の実情に即し、今回、実現可能な内容の法改正を早期に行うべきと考えます。
難民の保護と入管行政の改善を推し進め、国際的な難民及び移住問題の解決にも貢献できる体制を整えることを期待してやみません。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →私の専門は国際法で、長きにわたり難民問題に関連する国際法制度に関する研究に携わってまいりました。また、実務では、UNHCRの国際保護局において人権関連のリエゾン業務に携わった経験があります。入管行政との関連では、現在、難民審査参与員を務めております。過去には、難民認定制度運用の見直し状況検証のための有識者会議及び収容・送還に関する専門部会の委員も務めさせていただきました。
本日は、こうした経験を踏まえつつ、難民条約と人権条約の特徴、入管法等改正法案の規定についてお話しさせていただきたいと思います。
まず、難民条約についてお話しします。
難民条約は、難民の基本的権利と自由のできる限りの保障を考慮するとともに、各国の負担分担や緊張関係の防止も考慮して制定されています。難民条約では、人権条約のような履行確保の監視する措置の設置を規定せず、締約国が独自に難民認定手続を定めること、また、国家が重大犯罪を行った者など国家の安全にとって危険であると認める者等を条約上の保護の範囲外としてよいことを前提に規定されています。その上で、締約国は、国内事情や国内法制を考慮しつつ、条約の規定に従って難民の保護をすることを想定して起草されました。
その後、国際情勢の変化に伴う難民保護の拡充の要請と人権条約の発展を受けて、UNHCRとその執行委員会からUNHCRハンドブックなどの様々な文書が発出されました。
しかし、UNHCRは、条約の適用を監督する任務を有していますが、締約国に実施措置を課す権限はありません。また、執行委員会は、条文解釈のための専門家で構成されている機関でもありません。UNHCRや執行委員会の出す文書は、法的拘束力がなく、資料一の一のとおり、国家の政策決定の指針とはなり得るものの、条約法条約も当事国の合意を確立するものには当たらないと解されています。
次に、人権条約について述べます。
人権条約は、条約の履行確保のための実施措置制度を有しているものが多く存在し、例えば昨年の自由権規約人権委員会の対日審査などがこの履行確保のための実施制度に該当します。この制度を通じ、各締約国は条約の実効性確保に向けた対話の促進などの努力を行い、この対話の促進の過程こそが重要であるとされています。規約人権委員会が発出する意見等にも法的拘束力はありませんが、資料一の二のとおり、条約解釈の補足的な手段として使用され得ることもあります。
また、人権条約の実施制度とは別に、人権理事会の特別手続には収容も扱う恣意的拘禁作業部会などがあります。この特別手続において、法的拘束力のない文書等で独自の見解を発出することがあります。恣意的拘禁作業部会には個人通報手続がありますが、申立て内容に多少の事実誤認があっても、書面で通知を行った一方当事者の意見をそのまま用いて意見を提出することがあり、意見が諸外国の政府に無視されるなど、その実効性に疑問視する見方もあります。
このように、国際機関の意見といっても、各条約の規定ぶりや関連機関の権限等により、発出する文書の性質やその効果も異なります。国際法の見地から申し上げると、国家は、法的拘束力のない諸文書だからといって直ちに無視するのではなく、国際法の遵守にかなうよう参照し、説明責任を果たし、建設的対話を重ねることが重要です。
他方で、各国際機関が発出する文書で指摘を受けたから直ちに国際法違反や国際水準に達していないと非難するのも論理的飛躍があり、国民に誤解を与えかねません。難民入管問題は、人権問題であるとともに、国家の不安定化を招きかねないセンシティブな内容であるということを踏まえて議論を行う必要があると考えます。
例えば、難民法の研究者グッドウィン・ギルは、裁判での規範となるような条約解釈というものと各国への働きかけにとどまる勧告とをきちんと区別すべきで、後者は国家において勧告の趣旨を受け入れられるかどうかを時間を掛けて検討すべき性質のものだなどとしています。
また、他の研究者は、UNHCRやその見解に司法機関のような監視権限やそのような効力を認めることでかえって社会の対立が深まり、保護すべき人が取り残される危険がある、難民保護のためには、国家主権と難民の安全のいずれも考慮した上、民主主義に基づいた政治的コンセンサスを重視すべきなどと指摘しています。
欧米諸国の高いと言われる難民法、人権法の基準も、実際には、例えばカナダに見られるように、入国者への事前のビザ発給の厳しい制限や、安全な第三国協定に基づく入国制限などの入国を希望する外国人に対する厳しい法制度などと表裏一体として実行されているものであることを御認識いただき、建設的な議論がなされることを期待します。
次に、政府提出の入管法等改正法案の補完的保護対象者について述べたいと思います。
改正法案の補完的保護対象者の範囲は、難民条約一条A(2)にある五つの理由以外の理由で迫害を受けるおそれを有する者となっており、迫害の考え方は、公表された難民該当性判断の手引に示されています。手引における迫害に関する考慮事項には、人権の重大な侵害、差別的措置、不利益等の累積が明記されました。これに加えて、衆議院での答弁でも、紛争、拷問等は迫害の考慮事項に含まれ得ることが確認されました。
他国は異なる規定ぶりだという指摘もありますが、重要なのは、どのようなものを対象とするかという点に尽きると思います。例えば、自由権規約七条の送還禁止に関する個人通報事案は拷問に関するものが多くを占めており、政府案は、実際には他国の保護範囲と同等であり、保護すべき者を適切に保護し得ると考えられます。
続いて、送還停止効の例外規定について述べたいと思います。
諸外国でも、公共の安全に危険を及ぼす者や重大犯罪者に対する送還停止効の例外の規定が設けられています。そして、例外の対象者については、国際法上確立した定義や国際社会全体で共有し得る解釈はなく、各国が国内事情を踏まえて国内法で定める性質のものと言えます。
収容・送還に関する専門部会において、難民認定再申請に関する送還停止効についての他国の国内法規定やUNHCRの見解も確認いたしましたが、それらと比較してこの規定自体に問題があるとは思えません。
また、三回目以降の申請者への送還停止効の例外規定の適用について、送還手続に入った段階で入管法五十三条に基づきノン・ルフールマン原則の適用の検討がなされますし、行政判断に不服がある場合には訴訟を提起することも可能となっています。
ただし、送還停止効の例外によってノン・ルフールマン原則が害されないよう、運用において難民認定申請の審査及び送還先の決定等の質の向上を常に行っていく体制を整えることは当然に必要です。
なお、第三者機関創設の議論もございますが、これは非現実的であると考えます。その理由として、資料四のとおり、複数の諸外国では一次審査については入管機関が行っているように、庇護手続は結局は上陸と滞在を認めるものである以上どうしても入管業務との円滑な連携を図る必要があること、また、少人数の独立機関では業務に支障が出て処理が更に遅れるおそれがあることなどが挙げられます。
この点、私も、第三者機関を求める趣旨、つまり、公平公正な審査の必要性については当然理解できます。ただ、私の参与員としての実務経験上、参与員の審査は独立性が損なわれているとは感じません。また、参与員の能力に対する批判もありますが、私の経験上、参与員のみならず関与する全ての者の質の向上が必要であると認識しており、これは第三者機関を設ければ解決する話ではないと考えています。そこで、まずは現行制度において、関与者の専門性の向上と運用上の改善を図っていくべきであると思います。
最後に収容について、規約人権委員会は、入管収容自体は恣意的ではないが、収容の正当性が認められなければならないとしています。
昨年十一月に発出された規約人権委員会の我が国に対する総括所見では、まず、我が国の姿勢について、収容施設の改善、退去強制手続の改正及び長期収容の回避する措置に関する検討等を歓迎する旨表明されています。
収容の上限の導入に向けて取り組むよう言及されていますが、まず、自由権規約の規定において収容上限は求められておらず、また、資料四のとおり、収容期間の上限を設定していない国もあります。
大事なことは、収容期間を短くし、長期収容される者をできる限り減らすことですが、この点に関して、監理措置の導入のほか、三か月ごとの事後的な定期審査によって対応できるものと思います。特に、収容要件を定めた上での監理措置の導入、事後的な定期審査は、規約人権委員会が一般的意見で示した方向性にも一致しているのではないかと思います。今後、条約の趣旨、目的に即した説明責任を果たすとともに、特に監理措置の適切な運用が望まれます。
なお、恣意的拘禁作業部会らからの書簡については、先ほど特別手続の専門家は独自の見解を示すと述べたように、事前の司法審査を求めている点は規約人権委員会の解釈と異なる独自のものと考えます。実際、資料四のとおり、五か国中四か国が裁判所による事前審査を行っていません。我が国は、収容決定後に裁判所へアクセスすることは可能であり、不服である場合は速やかに訴訟提起ができるようにすることとしており、これによって正当性が確保されると考えます。
結論として、大事なことは、自由権規約等、人権条約の趣旨及び目的にかなうようにするということですが、資料五にあるように、規約人権委員会の勧告については、入管庁による運用及び改正法案の施行によって対応できる部分が多いと考えます。今般の改正法案は、国際法の遵守に向けた方向での検討があり、その内容も実施可能で、人権保護の観点からも改善されています。最大多数の合意に基づき新たな入管法の枠組みを規定した後に運用によって更なる改善をしていくことは可能であり、我が国の実情に即し、今回、実現可能な内容の法改正を早期に行うべきと考えます。
難民の保護と入管行政の改善を推し進め、国際的な難民及び移住問題の解決にも貢献できる体制を整えることを期待してやみません。
御清聴ありがとうございました。
杉
阿
阿部浩己#5
○参考人(阿部浩己君) 私は、国際法の中で特に人権と難民に関わるテーマに焦点を当てて研究を進めてきました。二〇一二年一月から昨年、二〇二二年三月までの十年余り、難民審査参与員として一つの常設班に所属し、一週置きの月曜日に平均すると二件ずつ、年間で五十件弱の不服申立て案件を担当してきました。
本日は、このような機会を与えていただきましたので、考えを巡らせているところをお伝えさせていただきます。
出入国在留管理庁は、今般の入管法改正案の基本的な考え方として、第一に、保護すべき者を確実に保護することを挙げています。保護すべき者の第一に挙がるのは、日本も締結している難民条約、難民議定書の定める難民にほかなりません。
保護すべき難民を見定めるために必要なのが難民認定手続です。
国際社会において共通の了解になっているのは、難民は難民と認定されることによって初めて難民になるのではなく、難民であるから難民と認定されるということです。難民の認定は、難民を新しくつくり出すのではなく、その人が難民の要件を満たしていることを確認し宣言する行為です。
したがって、難民の要件を満たしている者は、難民認定手続が不適切なため何度不認定になっても、国際法上は難民として保護すべき者であることに変わりありません。このため、難民認定手続の制度設計とその運用は、難民が難民と認定されないような事態を防ぐため、慎重な配慮を行き届かせたものである必要があります。難民認定が適切に行われないと、難民の生命、自由が重大な危険にさらされることは言うまでもありません。
これに加えて、留意すべきなのは、難民問題が国際的な性格を持つものだということです。難民認定は国際協力の精神に基づいて行われるべきものということです。難民が難民として保護されない状態が続いてしまうと、難民の受入れに係る負担を他国に仕向けることにもなりかねず、そうなると、難民条約を支える国際協力の枠組みを脅かすことにもなってしまいます。
もとより、難民条約は難民でない者の受入れまでを求めているわけではありません。この点に関わって、今般、入管庁は、入管法改正の必要性を説明する文書の中で、国会における参考人質疑におけるある難民審査参与員の次の発言を引用し、難民認定制度の現状を説明しています。その発言とは、他の参与員の方、約百名ぐらいおられますが、難民と認定できたという申請者がほとんどいないのが現状です、難民認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、皆様、御理解くださいといったものです。
扱った事案が異なりますので軽々な論評は避けるべきかと存じますが、十年以上難民審査参与員を務めた者として、私は、この方とは大幅に異なる認識を抱いております。
私は、担当した全部で五百件弱の案件のうち四十件弱について、難民と認めるべきという意見を法務大臣に提出いたしました。その過半数はトルコ国籍のクルド人からのものです。しかし、御承知のとおり、トルコ国籍クルド人による申請については、裁判判決後に認定された一件を除き、これまで全く難民認定がなされてきていないものと承知しております。また、少数民族に対する直接的な攻撃を逃れてきたミャンマー出身者の申請も扱いました。文字どおりの教科書的な難民認定ケースというべきものでしたが、ここでも不認定という結論が維持されました。
私が関わった事案について申し上げれば、難民と認定できたという申請者がほとんどいないのが現状などでは全くなく、また、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということも全くないということをお伝えしておきます。むしろ、難民を難民と認定できない深刻な制度的問題が現状に宿っているという感を強く抱いております。
今般の入管法改正に係る審議がどのような形で落着するにせよ、日本の難民認定手続に宿る制度的問題が改善されることなく、保護すべき者を確実に保護することは困難と考えます。
まず、手続的な面を申し上げれば、代理人制度を整備することが不可欠です。とりわけ問題なのは、第一次審査の段階での面接に代理人の立会いが認められていないことです。第一次審査の段階で作成される供述調書は面接の結果を記したものですが、面接を行った難民調査官と申請者とのやり取りをそのまま記載したものではなく、調査官によって再構成された文書になっています。その調書が難民審査参与員の元に送られてきて、審査請求の場で重要な資料として用いられるのです。そうであるだけに、審査請求の場だけでなく、第一次審査の段階でのインタビューにも代理人が少なくとも立ち会えるようにしておくことが必須です。
欧米諸国、韓国といった国々では、当然ながら、面接への同席や録音、録画が認められていますが、アメリカ、カナダでは、第一次審査で代理人が付いている場合と付いていない場合とで認定率に約三倍もの開きが出ているとの調査結果もあり、全ての段階で代理人が付くことの重要性が確認されています。
次に、難民該当性の判断の仕方について申し上げます。
先ほど申し上げたトルコ、ミャンマー出身者のケースを含め、私の経験からすると、次のような問題が実務の現場で見て取れました。第一に、迫害について極端に狭い解釈が採用されてきたこと。第二に、申請者が国家によって個別に迫害の標的にされていることを求める、いわゆる個別把握の考え方が採用されてきたこと。第三に、迫害主体を国家に限定し、非国家主体による迫害の場合には国家による放置、助長がなければならないという古典的な考え方が採用され続けてきたこと。第四に、申請者に不信の目が向けられ、供述の信憑性が簡単に否定されてしまうことです。
このうち、第一から第三の問題については、本年三月に公表された難民該当性判断の手引において一定の対応がなされているようにも見受けられます。ただ、法務大臣の説明によると、難民該当性の判断において考慮すべきポイントを整理し、これをできる限り明確化したものとのことであり、この説明は、結局のところ、これまでの実務が基本的にはそのまま引き継がれていくということを示すものなのでしょうか。
手引では、難民と認定されるために迫害の現実的な危険がなければならないとされていますが、現実的な危険とは一体どの程度の危険なのか。また、手引が示す迫害についての説明は、極端に狭いこれまでの解釈を踏襲するところに重点が置かれているように読めるなど、懸念点は少なくありません。
何より、この手引は、難民認定実務において決定的な役割を果たす供述の信憑性評価の仕方について、全くと言っていいほど言及していません。出身国情報の収集、分析の仕方にも改善の余地が大いにあることから、この手引をもって保護されるべき難民が確実に認定される条件が整えられたとはとても言えないのが実情です。
難民を難民と適正に認定できる体制がないままに難民申請者の退去強制を可能にすることは、難民保護の要というべきノン・ルフールマン原則を踏みにじる重大な危険性を制度的に生み出すものと言わなくてはなりません。退去強制手続の下で送還先指定を制約する入管法第五十三条三項にこの重大なノン・ルフールマン原則の確保を託すのでは、余りにも制度的に不十分です。
法案改正審議の行方にかかわらず、難民を難民として保護する義務を誠実に履行するためには、難民認否を行うにふさわしい資格及び能力の要件を明確化するとともに、不服申立てを担当する者を含め、難民認定手続に従事する全ての人に、難民要件の解釈の仕方やインタビュー、異文化コミュニケーションなどに係る実務的に意味のある研修を必ず受けてもらう体制を整備すべきです。
この点で、難民条約第三十五条に基づき、条約の適用を監督する責務を担う国連難民高等弁務官事務所、UNHCRとの協力を更に拡充することが必要です。
入管庁は、確実に保護すべき者の範囲を補完的保護対象者に広げています。紛争を逃れてくる者などを保護するために必要だからとのことですが、UNHCRのガイドラインや各国の実務からも明らかなように、紛争から逃れてきた者についても難民条約は当然に適用され得ることを改めて確認しておかなくてはなりません。
補完的保護という言葉は国際社会で広く用いられるようになっていますが、この概念は、出身国で生命が恣意的に剥奪されたり、あるいは拷問や非人道的処遇を受ける危険性がある者を、いかなる事情があろうと、つまり重大な犯罪を犯した者であろうと、絶対に送り返してはならないということを義務付ける国際人権法上の要請に依拠して発展してきたものです。
こうした国際義務の視点が閣法にはうかがえません。閣法では、補完的保護対象者が再び迫害に引き付けて定義されており、迫害の要件解釈など、難民認定のときと全く同じ問題が生じることになります。何より、こうした定義の仕方は国際的に見て極めて特異なものです。
紛争から逃れ出てくる者に迅速な保護を提供したいのであれば、迫害の有無を個別に審査するようなことをせず、UNHCRが国際的保護に関するガイドライン十一で示唆するように、客観的な事情のみに依拠して難民認定を行う制度を整備することを検討すべきではないかとも思います。
閣法の定める補完的保護制度については、導入する必要性についても有効性についても、大いなる疑念を覚えるところです。国際社会では、難民と並び保護すべき者として無国籍者が指定されています。日本はまだ無国籍者条約を締結していないという現状を反映し、無国籍者への関心が閣法からはすっぽり抜け落ちていることも指摘しておかなくてはなりません。
その一方で、今般の改正案は、確実に保護すべき者の脈絡において、在留特別許可手続の適切化を図ることにも向けられています。ここでは、国際人権法上、家族生活の保護や子供の最善の利益の要請が国家の出入国管理権限を制約するようになってきていることを踏まえた運用でなくてはならないことを強調いたします。
外国人の入国、在留について国家に広範な裁量が認められるという国際法の規範状況は、国際人権法の深まりにより大きく変わっています。在留資格がなくとも人を無権利状態に置くことは、今日の国際法上、到底あり得ません。
身体の自由や移動の自由、労働、社会保障、健康への権利といった人間の尊厳を支える基本的人権の最低限の保障は、国家の出入国管理権限を理由に免除されることはありません。国家の利益を中心に据えた二十世紀の国際法ではなく、人間の利益を中心に据えた二十一世紀の国際法の在り方をしっかり反映させた形で入管法が見直されることを念じています。
以上です。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、このような機会を与えていただきましたので、考えを巡らせているところをお伝えさせていただきます。
出入国在留管理庁は、今般の入管法改正案の基本的な考え方として、第一に、保護すべき者を確実に保護することを挙げています。保護すべき者の第一に挙がるのは、日本も締結している難民条約、難民議定書の定める難民にほかなりません。
保護すべき難民を見定めるために必要なのが難民認定手続です。
国際社会において共通の了解になっているのは、難民は難民と認定されることによって初めて難民になるのではなく、難民であるから難民と認定されるということです。難民の認定は、難民を新しくつくり出すのではなく、その人が難民の要件を満たしていることを確認し宣言する行為です。
したがって、難民の要件を満たしている者は、難民認定手続が不適切なため何度不認定になっても、国際法上は難民として保護すべき者であることに変わりありません。このため、難民認定手続の制度設計とその運用は、難民が難民と認定されないような事態を防ぐため、慎重な配慮を行き届かせたものである必要があります。難民認定が適切に行われないと、難民の生命、自由が重大な危険にさらされることは言うまでもありません。
これに加えて、留意すべきなのは、難民問題が国際的な性格を持つものだということです。難民認定は国際協力の精神に基づいて行われるべきものということです。難民が難民として保護されない状態が続いてしまうと、難民の受入れに係る負担を他国に仕向けることにもなりかねず、そうなると、難民条約を支える国際協力の枠組みを脅かすことにもなってしまいます。
もとより、難民条約は難民でない者の受入れまでを求めているわけではありません。この点に関わって、今般、入管庁は、入管法改正の必要性を説明する文書の中で、国会における参考人質疑におけるある難民審査参与員の次の発言を引用し、難民認定制度の現状を説明しています。その発言とは、他の参与員の方、約百名ぐらいおられますが、難民と認定できたという申請者がほとんどいないのが現状です、難民認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、皆様、御理解くださいといったものです。
扱った事案が異なりますので軽々な論評は避けるべきかと存じますが、十年以上難民審査参与員を務めた者として、私は、この方とは大幅に異なる認識を抱いております。
私は、担当した全部で五百件弱の案件のうち四十件弱について、難民と認めるべきという意見を法務大臣に提出いたしました。その過半数はトルコ国籍のクルド人からのものです。しかし、御承知のとおり、トルコ国籍クルド人による申請については、裁判判決後に認定された一件を除き、これまで全く難民認定がなされてきていないものと承知しております。また、少数民族に対する直接的な攻撃を逃れてきたミャンマー出身者の申請も扱いました。文字どおりの教科書的な難民認定ケースというべきものでしたが、ここでも不認定という結論が維持されました。
私が関わった事案について申し上げれば、難民と認定できたという申請者がほとんどいないのが現状などでは全くなく、また、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということも全くないということをお伝えしておきます。むしろ、難民を難民と認定できない深刻な制度的問題が現状に宿っているという感を強く抱いております。
今般の入管法改正に係る審議がどのような形で落着するにせよ、日本の難民認定手続に宿る制度的問題が改善されることなく、保護すべき者を確実に保護することは困難と考えます。
まず、手続的な面を申し上げれば、代理人制度を整備することが不可欠です。とりわけ問題なのは、第一次審査の段階での面接に代理人の立会いが認められていないことです。第一次審査の段階で作成される供述調書は面接の結果を記したものですが、面接を行った難民調査官と申請者とのやり取りをそのまま記載したものではなく、調査官によって再構成された文書になっています。その調書が難民審査参与員の元に送られてきて、審査請求の場で重要な資料として用いられるのです。そうであるだけに、審査請求の場だけでなく、第一次審査の段階でのインタビューにも代理人が少なくとも立ち会えるようにしておくことが必須です。
欧米諸国、韓国といった国々では、当然ながら、面接への同席や録音、録画が認められていますが、アメリカ、カナダでは、第一次審査で代理人が付いている場合と付いていない場合とで認定率に約三倍もの開きが出ているとの調査結果もあり、全ての段階で代理人が付くことの重要性が確認されています。
次に、難民該当性の判断の仕方について申し上げます。
先ほど申し上げたトルコ、ミャンマー出身者のケースを含め、私の経験からすると、次のような問題が実務の現場で見て取れました。第一に、迫害について極端に狭い解釈が採用されてきたこと。第二に、申請者が国家によって個別に迫害の標的にされていることを求める、いわゆる個別把握の考え方が採用されてきたこと。第三に、迫害主体を国家に限定し、非国家主体による迫害の場合には国家による放置、助長がなければならないという古典的な考え方が採用され続けてきたこと。第四に、申請者に不信の目が向けられ、供述の信憑性が簡単に否定されてしまうことです。
このうち、第一から第三の問題については、本年三月に公表された難民該当性判断の手引において一定の対応がなされているようにも見受けられます。ただ、法務大臣の説明によると、難民該当性の判断において考慮すべきポイントを整理し、これをできる限り明確化したものとのことであり、この説明は、結局のところ、これまでの実務が基本的にはそのまま引き継がれていくということを示すものなのでしょうか。
手引では、難民と認定されるために迫害の現実的な危険がなければならないとされていますが、現実的な危険とは一体どの程度の危険なのか。また、手引が示す迫害についての説明は、極端に狭いこれまでの解釈を踏襲するところに重点が置かれているように読めるなど、懸念点は少なくありません。
何より、この手引は、難民認定実務において決定的な役割を果たす供述の信憑性評価の仕方について、全くと言っていいほど言及していません。出身国情報の収集、分析の仕方にも改善の余地が大いにあることから、この手引をもって保護されるべき難民が確実に認定される条件が整えられたとはとても言えないのが実情です。
難民を難民と適正に認定できる体制がないままに難民申請者の退去強制を可能にすることは、難民保護の要というべきノン・ルフールマン原則を踏みにじる重大な危険性を制度的に生み出すものと言わなくてはなりません。退去強制手続の下で送還先指定を制約する入管法第五十三条三項にこの重大なノン・ルフールマン原則の確保を託すのでは、余りにも制度的に不十分です。
法案改正審議の行方にかかわらず、難民を難民として保護する義務を誠実に履行するためには、難民認否を行うにふさわしい資格及び能力の要件を明確化するとともに、不服申立てを担当する者を含め、難民認定手続に従事する全ての人に、難民要件の解釈の仕方やインタビュー、異文化コミュニケーションなどに係る実務的に意味のある研修を必ず受けてもらう体制を整備すべきです。
この点で、難民条約第三十五条に基づき、条約の適用を監督する責務を担う国連難民高等弁務官事務所、UNHCRとの協力を更に拡充することが必要です。
入管庁は、確実に保護すべき者の範囲を補完的保護対象者に広げています。紛争を逃れてくる者などを保護するために必要だからとのことですが、UNHCRのガイドラインや各国の実務からも明らかなように、紛争から逃れてきた者についても難民条約は当然に適用され得ることを改めて確認しておかなくてはなりません。
補完的保護という言葉は国際社会で広く用いられるようになっていますが、この概念は、出身国で生命が恣意的に剥奪されたり、あるいは拷問や非人道的処遇を受ける危険性がある者を、いかなる事情があろうと、つまり重大な犯罪を犯した者であろうと、絶対に送り返してはならないということを義務付ける国際人権法上の要請に依拠して発展してきたものです。
こうした国際義務の視点が閣法にはうかがえません。閣法では、補完的保護対象者が再び迫害に引き付けて定義されており、迫害の要件解釈など、難民認定のときと全く同じ問題が生じることになります。何より、こうした定義の仕方は国際的に見て極めて特異なものです。
紛争から逃れ出てくる者に迅速な保護を提供したいのであれば、迫害の有無を個別に審査するようなことをせず、UNHCRが国際的保護に関するガイドライン十一で示唆するように、客観的な事情のみに依拠して難民認定を行う制度を整備することを検討すべきではないかとも思います。
閣法の定める補完的保護制度については、導入する必要性についても有効性についても、大いなる疑念を覚えるところです。国際社会では、難民と並び保護すべき者として無国籍者が指定されています。日本はまだ無国籍者条約を締結していないという現状を反映し、無国籍者への関心が閣法からはすっぽり抜け落ちていることも指摘しておかなくてはなりません。
その一方で、今般の改正案は、確実に保護すべき者の脈絡において、在留特別許可手続の適切化を図ることにも向けられています。ここでは、国際人権法上、家族生活の保護や子供の最善の利益の要請が国家の出入国管理権限を制約するようになってきていることを踏まえた運用でなくてはならないことを強調いたします。
外国人の入国、在留について国家に広範な裁量が認められるという国際法の規範状況は、国際人権法の深まりにより大きく変わっています。在留資格がなくとも人を無権利状態に置くことは、今日の国際法上、到底あり得ません。
身体の自由や移動の自由、労働、社会保障、健康への権利といった人間の尊厳を支える基本的人権の最低限の保障は、国家の出入国管理権限を理由に免除されることはありません。国家の利益を中心に据えた二十世紀の国際法ではなく、人間の利益を中心に据えた二十一世紀の国際法の在り方をしっかり反映させた形で入管法が見直されることを念じています。
以上です。どうもありがとうございました。
杉
小
小尾尚子#7
○参考人(小尾尚子君) 本日は、大変貴重な機会をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
私は、国連難民高等弁務官事務所に約三十年間勤め、その間、主に難民、国内避難民などの国際法の分野を担当しておりました。アフリカ、アジアなどの現場の仕事に加えて、ジュネーブ本部では国際保護局にて難民保護に関するポリシーなどを策定する部署でも働いておりました。最後の勤務地は東京で、入管庁の皆さんとは様々な機会を通じて意見交換、研修などをさせていただいておりました。現在は、昔博士号を取得した国際基督教大学に戻り、難民の保護、人道アクションなどについて教鞭を執っております。
本日は、これらの私の経験を基に、今国会に再提出された入管法改正案についてお話しさせていただければと存じます。あくまでも個人的見解としてお聞きいただければ幸いでございます。
まず、難民の保護についてです。
難民の保護の根幹となっているのは、危険が存在している場所に送り返さないというノン・ルフールマン原則で、難民条約第三十三条に規定され、国際慣習法でもあります。一人でも間違って命や自由の危険にさらされる可能性のある場所には送り返されないように、各国がその法令の中に何重にも厳重にルフールマンの予防措置を置いているわけです。
この視点から今回の入管法改正案を見ますと、歓迎すべき点が幾つか盛り込まれているにもかかわらず、この難民保護の中核の部分においてかなり懸念される条項が見受けられます。それが送還停止効の解除に関する条文です。
お手元にお配りした資料の一は、二〇二一年に入管法改正案が提出されたときにUNHCRが発表した見解です。
何より一番の懸念事項は、法案の第六十一条の二の九第四項第二号で、送還停止効を外されるケースに、初めて難民申請した者であって、一次審査の一回目の難民認定の面接を待っている者も含まれるということです。
送還停止効は、初回申請者については、第一次審査と不認定処分に対する不服審査が行われている間は、三年以上の実刑が付いている又はテロや暴力的活動に関与するおそれがあるというだけの理由によっては決して解除されてはならないということが原則です。
しかしながら、難民条約第三十三条二項にはいわゆるノン・ルフールマンの例外規定があるではないかとの御指摘があるかと思います。しかし、この二項の適用は、本来既に難民認定がなされているケースのみに適用されるものであり、申請中の者に適用するものではありません。
にもかかわらず、改正案は、初めて難民申請し、認定の面接を待っている者への適用をも想定しています。これがまず一点目の問題です。
加えて、ノン・ルフールマンの例外規定は、次に挙げる様々な原則にのっとって適用される必要があります。第一に、国際法の一般原則である比例原則にのっとって適用されること、すなわち、国家や社会に対して難民が及ぼす危険が、その難民が出身国に送り返された際に直面する危険を上回るときにのみ可能なのです。第二に、送還は、国家への危険をなくす又は減らすための最後の手段としてしか適用されないこと。第三に、ノン・ルフールマン原則の例外の指標となるのは、過去に犯した罪の重大性や種類そのものではなく、犯した罪に照らしてその難民が社会にとって今後危険な存在となるか否かであるということです。
三年以上の実刑を受けた者が再犯の可能性とは無関係に一律に、しかも自動的に送還停止効の例外となるという案に加え、テロ等の疑いの場合について相当の理由という文言が二重に使用され、証明度がかなり低くなっていること、テロ等への関与の疑いについては範囲が広く、警察や司法が入らず法務省内のみの審査によって決定されることを始めとし、様々な懸念が生じるわけです。
以上から、難民認定の結果が出されていない方、ましてや難民該当性の審査のために一度も面接もされていない方が送還され得るということは、難民条約第三十三条二項との整合性に問題が生じ、それに抵触する可能性があるわけです。よって、送還停止効の例外として犯罪歴等の一定の属性のある者に言及する第六十一条の二の九第四項第二号の削除を提案いたします。仮にこの条項の削除がなされないのであれば、少なくともこの規定から初回申請者は外すべきであると考えます。
懸念はまだあります。
送還停止効が外れても、現行法の第五十三条第三項一号で、難民条約第三十三条一項に規定する領域に属する国を退去強制令書の送還先の国に指定しないという規定があるためノン・ルフールマン原則は担保されている、さらに、括弧書きで、法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除くと例外も規定されており、これが難民条約を担保しているとの立場が政府により示されています。
そもそもこの括弧書きが難民条約のルフールマンの例外を反映するものなのであれば、先ほど申し上げたように、この条項は難民認定された者に適用されるべきものですので、この括弧書きを適用する前に既に難民認定申請の結果を出しているという必要があります。
更に言えば、五十三条三項二号に規定の拷問禁止条約、三号の強制失踪条約、そして入管法に規定されてはいないものの、自由権規約の第六条と七条はそれぞれノン・ルフールマン原則を規定するものですが、そこに難民条約のような国家の安全を理由とする例外はありません。出身国で拷問や強制失踪などに直面する場合は、国の安全への問題があるとして五十三条三項一号の括弧書きに該当しても、結局のところ送り返すことは禁止されているのです。
だからこそ、例えば三年以上の実刑を受けているからといって自動的に送還停止効を外して難民認定審査の結果も出さないということは、これらの人権条約の適用性も判断なされないまま送還される可能性をも高めます。
法案によって初回申請者に送還停止効の解除がなされるのであれば、なおさら第五十三条三項が難民該当性が審査される唯一の根拠条文として大切になります。しかし、五十三条三項がノン・ルフールマンを担保する規定として有効に機能するためには様々な方策が必要です。例えば、五十三条三項の適用性、つまり送還先で迫害を受けるかどうかについて、誰がどの段階で聞き取りをして審査をすることになるのか、入管法は明確ではありません。
入管法第四十五条から四十九条を読むと、入管庁内の三審制の中では、あたかも第二十四条の退去強制事由に該当するかどうかの判断のみがなされているように見受けられます。主任審査官による五十三条三項の適用性の判断に先立って、出身国において直面し得る人権侵害について、面接調査と審査が難民の専門性を持った者によってなされること、常に最新の出身国情報などを考慮し、送還先を見直すことの保障等について明文化することが必要となります。
さて、複数回申請者の自動的な送還停止効を解除することについても本来は望ましくないと考えます。
複数回申請については、しかし、一般論としては、本案の再審査を妥当とする要素があるかどうかを判断するいわゆる許容性審査の手続を設置すること自体は有用な手段と考えられています。ただし、この前提として、既に申請が適正に審査され、最終的に棄却されたことなどが条件となります。
送還停止効を仮に外すとすれば、手続保障が確保されている必要があります。具体的には、送還停止効の例外となることにつながる決定に不服を申し立てる効果的な機会、その間の送還停止を求める権利の保障などです。
今回の改正法案では、送還停止効を解除するという判断には処分性がないため、行政不服審査法上の行政不服審査の対象とはされません。よって、裁判所に退去強制令書発付処分の取消し訴訟などを求めるしか不服を申し立てる道がないのです。司法審査という機会しかないなら、まずは代理人弁護士を確保するため法律扶助を受けられるようにする必要があります。
また、収容・送還に関する専門部会の提言にのっとって送還停止効の例外が仮に設けられた場合には、その規定の適用状況についても第三者チェックがなされることが重要です。この手続保障の必要性は、同条項の二号についても同じです。
今回の改正案では、長引く収容問題、そして送還忌避者の増加という問題の解決のために、送還停止効の例外を設けるということが目玉となっています。しかしながら、それで喫緊の課題が早急に解決されるのでしょうか。むしろ、根本的に解決するには、中長期的な視野を持ち、限られたリソースを送還停止効の例外を設けて運用することに割くのではなく、まず難民として保護されるべき方々を迅速に、しかも初回申請で必ず認定することに割くべきではないでしょうか。
そのためには、公正で効率的な手続を保障すること、現在は不服申立てまで平均三年半掛かっている処理期間を短くすること、一次審査における代理人の支援と同席を保障し、不認定になってもその理由について丁寧に説明することなどが難民認定制度の誤用、濫用の防止につながります。
その意味では、衆議院での修正案に難民調査官の研修や出身国情報収集の充実化等が規定されたことは意義が大きいと考えております。しかし、例えば、研修の対象者を参与員や法務省の決定権者を含む全ての難民認定に携わる人々に広げることも重要でしょうし、出身国情報の収集、分析に関しても、各案件に関してどのような出身国情報が判断の基準となったのかを情報開示するなどして透明性を高めることも重要になってきます。
さらに、不服審査の独立性を確保することを始め、根本的に取るべき方策はまだまだあります。日本が直面しているこれらの課題は、日本特有のものではありません。ヨーロッパなどでは既に一九七〇年代から同様の問題に直面し、それに対応してきました。これらの国々から学ぶことは多くあります。
まず第一に彼らが行ったことは、難民認定制度の質を高めるということです。その精度と信用性を高め、保護を必要としている人を確実に保護することを目指しました。UNHCRなどからのサポートを受け、質の向上に励んだのです。さらに、難民が到着してから定住に至るまで、包括的な法制度を確立しました。その中には、難民として認められなかった人々の取扱いについての規定も含まれています。
さらにもう一つ、日本への移民の受入れについてのきちんとした政策を確立することは、難民認定制度の誤用、濫用の防止にもつながり、日本の未来のためであると考えます。
本日ここにいらっしゃる立法府の議員の皆様の中には、添付資料にあります二〇一一年衆参両院で全会一致で採択された決議の採択の席にいらした方々もおられるのではないでしょうか。このとき皆様は包括的な庇護制度の確立を誓いました。あれから十二年、私たちはどれだけそれを実現できたでしょうか。
日本は、今年十二月のグローバル難民フォーラムの共同議長国を務めます。人道大国日本だからこそ、今こそ包括的な庇護制度の確立のために何が優先的に議論されるべきかを考えるときではないでしょうか。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は、国連難民高等弁務官事務所に約三十年間勤め、その間、主に難民、国内避難民などの国際法の分野を担当しておりました。アフリカ、アジアなどの現場の仕事に加えて、ジュネーブ本部では国際保護局にて難民保護に関するポリシーなどを策定する部署でも働いておりました。最後の勤務地は東京で、入管庁の皆さんとは様々な機会を通じて意見交換、研修などをさせていただいておりました。現在は、昔博士号を取得した国際基督教大学に戻り、難民の保護、人道アクションなどについて教鞭を執っております。
本日は、これらの私の経験を基に、今国会に再提出された入管法改正案についてお話しさせていただければと存じます。あくまでも個人的見解としてお聞きいただければ幸いでございます。
まず、難民の保護についてです。
難民の保護の根幹となっているのは、危険が存在している場所に送り返さないというノン・ルフールマン原則で、難民条約第三十三条に規定され、国際慣習法でもあります。一人でも間違って命や自由の危険にさらされる可能性のある場所には送り返されないように、各国がその法令の中に何重にも厳重にルフールマンの予防措置を置いているわけです。
この視点から今回の入管法改正案を見ますと、歓迎すべき点が幾つか盛り込まれているにもかかわらず、この難民保護の中核の部分においてかなり懸念される条項が見受けられます。それが送還停止効の解除に関する条文です。
お手元にお配りした資料の一は、二〇二一年に入管法改正案が提出されたときにUNHCRが発表した見解です。
何より一番の懸念事項は、法案の第六十一条の二の九第四項第二号で、送還停止効を外されるケースに、初めて難民申請した者であって、一次審査の一回目の難民認定の面接を待っている者も含まれるということです。
送還停止効は、初回申請者については、第一次審査と不認定処分に対する不服審査が行われている間は、三年以上の実刑が付いている又はテロや暴力的活動に関与するおそれがあるというだけの理由によっては決して解除されてはならないということが原則です。
しかしながら、難民条約第三十三条二項にはいわゆるノン・ルフールマンの例外規定があるではないかとの御指摘があるかと思います。しかし、この二項の適用は、本来既に難民認定がなされているケースのみに適用されるものであり、申請中の者に適用するものではありません。
にもかかわらず、改正案は、初めて難民申請し、認定の面接を待っている者への適用をも想定しています。これがまず一点目の問題です。
加えて、ノン・ルフールマンの例外規定は、次に挙げる様々な原則にのっとって適用される必要があります。第一に、国際法の一般原則である比例原則にのっとって適用されること、すなわち、国家や社会に対して難民が及ぼす危険が、その難民が出身国に送り返された際に直面する危険を上回るときにのみ可能なのです。第二に、送還は、国家への危険をなくす又は減らすための最後の手段としてしか適用されないこと。第三に、ノン・ルフールマン原則の例外の指標となるのは、過去に犯した罪の重大性や種類そのものではなく、犯した罪に照らしてその難民が社会にとって今後危険な存在となるか否かであるということです。
三年以上の実刑を受けた者が再犯の可能性とは無関係に一律に、しかも自動的に送還停止効の例外となるという案に加え、テロ等の疑いの場合について相当の理由という文言が二重に使用され、証明度がかなり低くなっていること、テロ等への関与の疑いについては範囲が広く、警察や司法が入らず法務省内のみの審査によって決定されることを始めとし、様々な懸念が生じるわけです。
以上から、難民認定の結果が出されていない方、ましてや難民該当性の審査のために一度も面接もされていない方が送還され得るということは、難民条約第三十三条二項との整合性に問題が生じ、それに抵触する可能性があるわけです。よって、送還停止効の例外として犯罪歴等の一定の属性のある者に言及する第六十一条の二の九第四項第二号の削除を提案いたします。仮にこの条項の削除がなされないのであれば、少なくともこの規定から初回申請者は外すべきであると考えます。
懸念はまだあります。
送還停止効が外れても、現行法の第五十三条第三項一号で、難民条約第三十三条一項に規定する領域に属する国を退去強制令書の送還先の国に指定しないという規定があるためノン・ルフールマン原則は担保されている、さらに、括弧書きで、法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除くと例外も規定されており、これが難民条約を担保しているとの立場が政府により示されています。
そもそもこの括弧書きが難民条約のルフールマンの例外を反映するものなのであれば、先ほど申し上げたように、この条項は難民認定された者に適用されるべきものですので、この括弧書きを適用する前に既に難民認定申請の結果を出しているという必要があります。
更に言えば、五十三条三項二号に規定の拷問禁止条約、三号の強制失踪条約、そして入管法に規定されてはいないものの、自由権規約の第六条と七条はそれぞれノン・ルフールマン原則を規定するものですが、そこに難民条約のような国家の安全を理由とする例外はありません。出身国で拷問や強制失踪などに直面する場合は、国の安全への問題があるとして五十三条三項一号の括弧書きに該当しても、結局のところ送り返すことは禁止されているのです。
だからこそ、例えば三年以上の実刑を受けているからといって自動的に送還停止効を外して難民認定審査の結果も出さないということは、これらの人権条約の適用性も判断なされないまま送還される可能性をも高めます。
法案によって初回申請者に送還停止効の解除がなされるのであれば、なおさら第五十三条三項が難民該当性が審査される唯一の根拠条文として大切になります。しかし、五十三条三項がノン・ルフールマンを担保する規定として有効に機能するためには様々な方策が必要です。例えば、五十三条三項の適用性、つまり送還先で迫害を受けるかどうかについて、誰がどの段階で聞き取りをして審査をすることになるのか、入管法は明確ではありません。
入管法第四十五条から四十九条を読むと、入管庁内の三審制の中では、あたかも第二十四条の退去強制事由に該当するかどうかの判断のみがなされているように見受けられます。主任審査官による五十三条三項の適用性の判断に先立って、出身国において直面し得る人権侵害について、面接調査と審査が難民の専門性を持った者によってなされること、常に最新の出身国情報などを考慮し、送還先を見直すことの保障等について明文化することが必要となります。
さて、複数回申請者の自動的な送還停止効を解除することについても本来は望ましくないと考えます。
複数回申請については、しかし、一般論としては、本案の再審査を妥当とする要素があるかどうかを判断するいわゆる許容性審査の手続を設置すること自体は有用な手段と考えられています。ただし、この前提として、既に申請が適正に審査され、最終的に棄却されたことなどが条件となります。
送還停止効を仮に外すとすれば、手続保障が確保されている必要があります。具体的には、送還停止効の例外となることにつながる決定に不服を申し立てる効果的な機会、その間の送還停止を求める権利の保障などです。
今回の改正法案では、送還停止効を解除するという判断には処分性がないため、行政不服審査法上の行政不服審査の対象とはされません。よって、裁判所に退去強制令書発付処分の取消し訴訟などを求めるしか不服を申し立てる道がないのです。司法審査という機会しかないなら、まずは代理人弁護士を確保するため法律扶助を受けられるようにする必要があります。
また、収容・送還に関する専門部会の提言にのっとって送還停止効の例外が仮に設けられた場合には、その規定の適用状況についても第三者チェックがなされることが重要です。この手続保障の必要性は、同条項の二号についても同じです。
今回の改正案では、長引く収容問題、そして送還忌避者の増加という問題の解決のために、送還停止効の例外を設けるということが目玉となっています。しかしながら、それで喫緊の課題が早急に解決されるのでしょうか。むしろ、根本的に解決するには、中長期的な視野を持ち、限られたリソースを送還停止効の例外を設けて運用することに割くのではなく、まず難民として保護されるべき方々を迅速に、しかも初回申請で必ず認定することに割くべきではないでしょうか。
そのためには、公正で効率的な手続を保障すること、現在は不服申立てまで平均三年半掛かっている処理期間を短くすること、一次審査における代理人の支援と同席を保障し、不認定になってもその理由について丁寧に説明することなどが難民認定制度の誤用、濫用の防止につながります。
その意味では、衆議院での修正案に難民調査官の研修や出身国情報収集の充実化等が規定されたことは意義が大きいと考えております。しかし、例えば、研修の対象者を参与員や法務省の決定権者を含む全ての難民認定に携わる人々に広げることも重要でしょうし、出身国情報の収集、分析に関しても、各案件に関してどのような出身国情報が判断の基準となったのかを情報開示するなどして透明性を高めることも重要になってきます。
さらに、不服審査の独立性を確保することを始め、根本的に取るべき方策はまだまだあります。日本が直面しているこれらの課題は、日本特有のものではありません。ヨーロッパなどでは既に一九七〇年代から同様の問題に直面し、それに対応してきました。これらの国々から学ぶことは多くあります。
まず第一に彼らが行ったことは、難民認定制度の質を高めるということです。その精度と信用性を高め、保護を必要としている人を確実に保護することを目指しました。UNHCRなどからのサポートを受け、質の向上に励んだのです。さらに、難民が到着してから定住に至るまで、包括的な法制度を確立しました。その中には、難民として認められなかった人々の取扱いについての規定も含まれています。
さらにもう一つ、日本への移民の受入れについてのきちんとした政策を確立することは、難民認定制度の誤用、濫用の防止にもつながり、日本の未来のためであると考えます。
本日ここにいらっしゃる立法府の議員の皆様の中には、添付資料にあります二〇一一年衆参両院で全会一致で採択された決議の採択の席にいらした方々もおられるのではないでしょうか。このとき皆様は包括的な庇護制度の確立を誓いました。あれから十二年、私たちはどれだけそれを実現できたでしょうか。
日本は、今年十二月のグローバル難民フォーラムの共同議長国を務めます。人道大国日本だからこそ、今こそ包括的な庇護制度の確立のために何が優先的に議論されるべきかを考えるときではないでしょうか。
御清聴ありがとうございました。
杉
長
長澤正隆#9
○参考人(長澤正隆君) よろしくお願いいたします。
私は、北関東医療相談会、AMIGOSの事務局長としてお話しします。
私たちは、二十五年以上、東京及び北関東で、困窮する外国人支援をしてきました。とりわけ、今日は仮放免の状態に置かれている外国人の生活状況についてお話しします。
まずは、私たちの活動紹介です。
お手元には資料が行っていると思いますが、私たちは、一九九七年六月に群馬県伊勢崎市から活動が始まりました。きっかけは、オーバーステイのフィリピン人男性が胃がんの治療で開腹手術しましたが、手が付けられず死亡したからです。以来、六十四回、合計三千二百七人の生活困窮した外国人の健康診断と生活支援を行いました。
私たちの支援は、全ての人が健康と平和な生活ができる共生社会の実現を目指し、特に外国籍生活困窮者のための保健、医療又は福祉の増進を図る活動とし、健康診断を中心とした支援する活動を行います。一般的な成人病の健診方法にのっとり、ふだん受診する機会の少ない貧困者に結核、成人病などの健康診断を受ける機会を提供し、胸部エックス線、検尿、血圧、血液検査、医師との診察、歯科健診、希望者には心電図、婦人科検診を行います。また、通訳者支援、弁護士相談、家賃相談、女性相談、食料支援、中古衣料の支援を行ってきました。
二、生活困窮した外国人の現状です。
生活困窮した外国人の特徴は、在留資格がない、現金がない、健康保険を含めた社会的資源につながっていない、言語困窮者が多い、これは話すことができても読み書きができないんですね。ですから、皆様方がまとめていただいたようなペーパーは誰も読めないです。支援体制が整っていない。とりわけ仮放免者は、入管から、働いてはいけない、行動の制限があることによってこれらの特徴は際立ちます。在留資格がないということは、住民票が作ることができず、住宅を借りることもはばかります。
よって、受診対象者には、受診費用の無料、交通費の全額支給、無料法律相談及び病院紹介、治療費は一部負担、上限五万円まで、食料支援、無料低額診療の病院の紹介、診療費がなくても診療可能な病院の紹介といったことをしております。
三、個別医療支援活動。
これは、個別医療支援活動は、健康診断会と電話相談支援要請が来た外国人の支援を行っています。二〇二〇年からは、非正規滞在者の出産についての相談を含めました。これは、県によっては入院助産制度をしていないとホームページに明記してあったからです。
二〇二二年度は、八十人の生活困窮した外国籍住民から問合せが受けました。主たる病気を紹介します。腎臓病、ネフローゼの疑い、出産支援、母親は帝王切開、左心低形成症候群、いわゆる左心室がないという難病です。住血吸虫による心臓病、急性虫垂炎、子宮筋腫二件、狭心症、心臓のステント手術、肺がんの支援、心房細動二件、食道がん手術、三十年にわたる耳の外傷性の難聴、その他糖尿病、高血圧ほかです。
在留資格とがん。
これは新聞にも出ていましたので記憶にある方もいると思いますが、神奈川県に在住のカメルーン人、レリンディス・マイさんは仮放免者でした。二〇一八年に乳がんと診断され、二〇二〇年十月、末期の乳がん患者となりました。家賃が払えずホームレスとなり、当会に支援要請され、十一月に修道院の礼拝会の施設へ収容されました。その後、聖ヨハネ会桜町病院で末期を迎えます。二〇二〇年十一月末に在特を申請し、数度交渉し、翌年、二一年一月七日にようやく認めるという連絡があり、一月二十一日に弁護士に在特が下りた連絡がありました。しかし、本人に在留カードが届いたのは二〇二一年一月二十三日午前十時で、亡くなったのは午前六時二十五分、死亡後三時間経過でした。
あわせて、二〇二一年二月に、南アジアの女性は卵巣がんステージ三、在特申請して都内の病院で手術することができました。手術後に在特が認められ、抗がん治療を六回受け、回復しました。
こういったことから、マイさんの事例は制度として本当にきちっとしていたのだろうか、人が死んでも制度をつくれない今の状態は何だろうというふうに思います。
出産支援として、母親帝王切開、先ほどの左心低形成症候群、難病の治療は難病申請を行いました。さらに、国会議員の方にも理解をいただき、入管に申請をしました。その結果、親子で仮滞在という厚遇を得ました。手術もうまくいきました。
振り返って、もし制度として確立していれば、このように国会議員の仲介がなくとも仮滞在の許可が得られたのではと思います。つまり、入管による在特等の申請は、国会議員の紹介など特別にしなければならないということが前提ではないかと思います。
次に、無料低額診療の病院と外国人についてお話しします。
無料低額診療事業は、社会福祉法によって、低所得者などに医療機関が無料又は低額な料金によって診療を行う事業です。厚生労働省は、低所得者、要保護者、ホームレス、DV被害者、人身取引被害者などの生計困難者が無料低額診療の対象と説明しています。実施者には、固定資産税や不動産取得の非課税など、税制上の優遇措置がとられています。
無料低額診療事業によって、生活困窮した外国人は随分助けられてきました。しかし、現在の日本は日本人の生活困窮者も多く、たくさん無料低額診療所に来ます。国の政策で、インバウンド活用によって、外国人には高い二〇〇%、三〇〇%の診療費を要求する大学や国立病院も現れ、そのまま仮放免者に適用されています。
先ほどからの国連の自由規約と仮放免者について、私たちは、理事の大澤優真さんと萩原芳子さんによって、昨年、国連で仮放免者のことを訴える機会を得ました。結果は、今回の国連では初めて日本語のローマ字表記「karihomensha」となり、世界の仮放免者の中でも際立った存在となりました。しかし、国連の提言にさえ耳を貸さないという非常に冷たい事態になっております。
仮放免者とは生きていけない人たちですので、私たちは次の要求をいたします。
日本政府から帰国すべきとされていますが、難民で、母国で生命の危機にさらされるおそれがあるから帰国できませんので、認めてください。就労を認めてほしい。仮放免者には生活する手段がなく、働いて収入得ることが一切禁止されているからです。次に、医療保険の加入を認めてください。これも、在留資格がないので全く保険に適用されません。最後に、生活保護法の活用を認めていただきたいと思います。
次に、野党案と政府案の今般の入管法の比較について、私たちの立場をお伝えします。
私たちは、独立した第三者機関、難民等保護委員会の設置を求めています。難民認定を行うには、専門家や有識者の方々に委員として入っていただき、客観性、透明性、納得性ある形で保護すべき方々を適切に判断してください。対象者を現状の制度から広げ、保護すべき難民を積極的に保護し、補完的保護として在留特別許可の在り方も取り入れてください。収容しないことを基本に、収容期間についても上限を設けてください。
野党案では、長期の非正規滞在者なども救済からこぼれないようにしたことを評価したいと思います。日本が国際社会の一員として当然に果たすべき役割としての制度が提案されています。現行の延長のような監理措置制度をつくっても、何も解決とはなりません。また、私たち北関東医療相談会は、現状において監理人の引受けはできないと思います。こういったことから、野党案を支持していきたいと思います。
私の発言は以上です。
この発言だけを見る →私は、北関東医療相談会、AMIGOSの事務局長としてお話しします。
私たちは、二十五年以上、東京及び北関東で、困窮する外国人支援をしてきました。とりわけ、今日は仮放免の状態に置かれている外国人の生活状況についてお話しします。
まずは、私たちの活動紹介です。
お手元には資料が行っていると思いますが、私たちは、一九九七年六月に群馬県伊勢崎市から活動が始まりました。きっかけは、オーバーステイのフィリピン人男性が胃がんの治療で開腹手術しましたが、手が付けられず死亡したからです。以来、六十四回、合計三千二百七人の生活困窮した外国人の健康診断と生活支援を行いました。
私たちの支援は、全ての人が健康と平和な生活ができる共生社会の実現を目指し、特に外国籍生活困窮者のための保健、医療又は福祉の増進を図る活動とし、健康診断を中心とした支援する活動を行います。一般的な成人病の健診方法にのっとり、ふだん受診する機会の少ない貧困者に結核、成人病などの健康診断を受ける機会を提供し、胸部エックス線、検尿、血圧、血液検査、医師との診察、歯科健診、希望者には心電図、婦人科検診を行います。また、通訳者支援、弁護士相談、家賃相談、女性相談、食料支援、中古衣料の支援を行ってきました。
二、生活困窮した外国人の現状です。
生活困窮した外国人の特徴は、在留資格がない、現金がない、健康保険を含めた社会的資源につながっていない、言語困窮者が多い、これは話すことができても読み書きができないんですね。ですから、皆様方がまとめていただいたようなペーパーは誰も読めないです。支援体制が整っていない。とりわけ仮放免者は、入管から、働いてはいけない、行動の制限があることによってこれらの特徴は際立ちます。在留資格がないということは、住民票が作ることができず、住宅を借りることもはばかります。
よって、受診対象者には、受診費用の無料、交通費の全額支給、無料法律相談及び病院紹介、治療費は一部負担、上限五万円まで、食料支援、無料低額診療の病院の紹介、診療費がなくても診療可能な病院の紹介といったことをしております。
三、個別医療支援活動。
これは、個別医療支援活動は、健康診断会と電話相談支援要請が来た外国人の支援を行っています。二〇二〇年からは、非正規滞在者の出産についての相談を含めました。これは、県によっては入院助産制度をしていないとホームページに明記してあったからです。
二〇二二年度は、八十人の生活困窮した外国籍住民から問合せが受けました。主たる病気を紹介します。腎臓病、ネフローゼの疑い、出産支援、母親は帝王切開、左心低形成症候群、いわゆる左心室がないという難病です。住血吸虫による心臓病、急性虫垂炎、子宮筋腫二件、狭心症、心臓のステント手術、肺がんの支援、心房細動二件、食道がん手術、三十年にわたる耳の外傷性の難聴、その他糖尿病、高血圧ほかです。
在留資格とがん。
これは新聞にも出ていましたので記憶にある方もいると思いますが、神奈川県に在住のカメルーン人、レリンディス・マイさんは仮放免者でした。二〇一八年に乳がんと診断され、二〇二〇年十月、末期の乳がん患者となりました。家賃が払えずホームレスとなり、当会に支援要請され、十一月に修道院の礼拝会の施設へ収容されました。その後、聖ヨハネ会桜町病院で末期を迎えます。二〇二〇年十一月末に在特を申請し、数度交渉し、翌年、二一年一月七日にようやく認めるという連絡があり、一月二十一日に弁護士に在特が下りた連絡がありました。しかし、本人に在留カードが届いたのは二〇二一年一月二十三日午前十時で、亡くなったのは午前六時二十五分、死亡後三時間経過でした。
あわせて、二〇二一年二月に、南アジアの女性は卵巣がんステージ三、在特申請して都内の病院で手術することができました。手術後に在特が認められ、抗がん治療を六回受け、回復しました。
こういったことから、マイさんの事例は制度として本当にきちっとしていたのだろうか、人が死んでも制度をつくれない今の状態は何だろうというふうに思います。
出産支援として、母親帝王切開、先ほどの左心低形成症候群、難病の治療は難病申請を行いました。さらに、国会議員の方にも理解をいただき、入管に申請をしました。その結果、親子で仮滞在という厚遇を得ました。手術もうまくいきました。
振り返って、もし制度として確立していれば、このように国会議員の仲介がなくとも仮滞在の許可が得られたのではと思います。つまり、入管による在特等の申請は、国会議員の紹介など特別にしなければならないということが前提ではないかと思います。
次に、無料低額診療の病院と外国人についてお話しします。
無料低額診療事業は、社会福祉法によって、低所得者などに医療機関が無料又は低額な料金によって診療を行う事業です。厚生労働省は、低所得者、要保護者、ホームレス、DV被害者、人身取引被害者などの生計困難者が無料低額診療の対象と説明しています。実施者には、固定資産税や不動産取得の非課税など、税制上の優遇措置がとられています。
無料低額診療事業によって、生活困窮した外国人は随分助けられてきました。しかし、現在の日本は日本人の生活困窮者も多く、たくさん無料低額診療所に来ます。国の政策で、インバウンド活用によって、外国人には高い二〇〇%、三〇〇%の診療費を要求する大学や国立病院も現れ、そのまま仮放免者に適用されています。
先ほどからの国連の自由規約と仮放免者について、私たちは、理事の大澤優真さんと萩原芳子さんによって、昨年、国連で仮放免者のことを訴える機会を得ました。結果は、今回の国連では初めて日本語のローマ字表記「karihomensha」となり、世界の仮放免者の中でも際立った存在となりました。しかし、国連の提言にさえ耳を貸さないという非常に冷たい事態になっております。
仮放免者とは生きていけない人たちですので、私たちは次の要求をいたします。
日本政府から帰国すべきとされていますが、難民で、母国で生命の危機にさらされるおそれがあるから帰国できませんので、認めてください。就労を認めてほしい。仮放免者には生活する手段がなく、働いて収入得ることが一切禁止されているからです。次に、医療保険の加入を認めてください。これも、在留資格がないので全く保険に適用されません。最後に、生活保護法の活用を認めていただきたいと思います。
次に、野党案と政府案の今般の入管法の比較について、私たちの立場をお伝えします。
私たちは、独立した第三者機関、難民等保護委員会の設置を求めています。難民認定を行うには、専門家や有識者の方々に委員として入っていただき、客観性、透明性、納得性ある形で保護すべき方々を適切に判断してください。対象者を現状の制度から広げ、保護すべき難民を積極的に保護し、補完的保護として在留特別許可の在り方も取り入れてください。収容しないことを基本に、収容期間についても上限を設けてください。
野党案では、長期の非正規滞在者なども救済からこぼれないようにしたことを評価したいと思います。日本が国際社会の一員として当然に果たすべき役割としての制度が提案されています。現行の延長のような監理措置制度をつくっても、何も解決とはなりません。また、私たち北関東医療相談会は、現状において監理人の引受けはできないと思います。こういったことから、野党案を支持していきたいと思います。
私の発言は以上です。
杉
杉久武#10
○委員長(杉久武君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。
加
加田裕之#11
○加田裕之君 自由民主党の加田裕之でございます。
本日は、この法案につきまして、四名の参考人の皆様方から、現場に即した御意見、そしてまた、いろいろ研究された、今までの経験された形での御意見をいただきましたことに、まずもって感謝、御礼を申し上げたいと思います。
まず、川村参考人にお伺いしたいんですけれども、川村参考人は、国際人権法の学者委員としまして、先ほどもお話ありました、収容・送還に関する専門部会などの委員も務められたということなんですけれども、専門部会の中の方ではいろいろな御議論あったと思うんですけれども、改めまして、今回のこの本法案に対します評価をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、この法案につきまして、四名の参考人の皆様方から、現場に即した御意見、そしてまた、いろいろ研究された、今までの経験された形での御意見をいただきましたことに、まずもって感謝、御礼を申し上げたいと思います。
まず、川村参考人にお伺いしたいんですけれども、川村参考人は、国際人権法の学者委員としまして、先ほどもお話ありました、収容・送還に関する専門部会などの委員も務められたということなんですけれども、専門部会の中の方ではいろいろな御議論あったと思うんですけれども、改めまして、今回のこの本法案に対します評価をお伺いしたいと思います。
川
川村真理#12
○参考人(川村真理君) ありがとうございます。
それでは、御質問に即しまして、その私の、収容・送還専門部会、こちらのまず経験をお話をさせていただいた後に、考えをお話しさせていただければと思います。
収容・送還に関する専門部会は、大村での収容の問題で、二度と再びこうしたものが起こらないようにということで、様々な学問分野の先生方が会されて、また実務の方も会されて、お話をさせていただきました。
私は、その際に、自分の任務としてその国際人権の観点をなるだけ提言して、そして、この収容のなかなか厳しい状態を何とか変えたいという思いでいろいろお話をさせていただいたところです。関連する国際法の人権の文書、UNHCRの文書、またいろいろ国際法の他のところで議論のある文書なども資料等でお示しをしながら、その考え方を何度も何度もお話をしたというふうに記憶しております。
この専門部会では、その収容、送還というテーマから、やはり送還忌避者という言葉が、なかなか難しい話なんですけれども、その中にもやはり保護すべき人があるだろうということを御提案を申し上げて、難民ではないけれども、保護が必要な人も確実に保護できるような仕組みの新しい御提案というのもその際にさせていただきました。
そして、収容が恣意的でないという形にするにはどうしたらいいのかというようなことも、国際的にお話しされているような文書をお示ししながら、こういうふうなやり方がいいのではないかと、あらゆる角度からお話をさせていただきました。だから、収容の恣意性のみならず、広い範囲でのお話をさせていただいたところです。
それで報告書ができ上がり、今回の法改正案につながっていくわけなんですけれども、今お話をしたような点が法案に反映をされているというふうに私は考えております。
私が御提案をさせて、補完的保護対象者という新しい制度をつくってくださいということでお示しした点も今回法案に入っておりますし、それから、難民申請の手続の際に在留特別許可を御希望の方がお申出になる場が最終のところでしかないということで、今回新しく在留特別申請の手続を新設していただくと、こういった規定も入りました。これも御提案をさせていただいて、そういったものもきちっと入れていただきました。早期に保護できる体制というのもつくっていただきました。それから、収容に関しては、原則収容というものを今回改めて、監理措置制度というのを入れていただく、それから収容をできるだけ短くということで三か月ごとの事後のチェックもしていただくようなこと、多くの新しい取組を、収容、送還のお話で上がってきたところを入れていただいたというふうに思っております。
したがいまして、そうした国際人権の観点からも大きく前進した法案だというふうに捉えておりまして、包括的に見ますとこの法案というのは大変賛成で、是非可決をというふうに思っておるところでございます。
この発言だけを見る →それでは、御質問に即しまして、その私の、収容・送還専門部会、こちらのまず経験をお話をさせていただいた後に、考えをお話しさせていただければと思います。
収容・送還に関する専門部会は、大村での収容の問題で、二度と再びこうしたものが起こらないようにということで、様々な学問分野の先生方が会されて、また実務の方も会されて、お話をさせていただきました。
私は、その際に、自分の任務としてその国際人権の観点をなるだけ提言して、そして、この収容のなかなか厳しい状態を何とか変えたいという思いでいろいろお話をさせていただいたところです。関連する国際法の人権の文書、UNHCRの文書、またいろいろ国際法の他のところで議論のある文書なども資料等でお示しをしながら、その考え方を何度も何度もお話をしたというふうに記憶しております。
この専門部会では、その収容、送還というテーマから、やはり送還忌避者という言葉が、なかなか難しい話なんですけれども、その中にもやはり保護すべき人があるだろうということを御提案を申し上げて、難民ではないけれども、保護が必要な人も確実に保護できるような仕組みの新しい御提案というのもその際にさせていただきました。
そして、収容が恣意的でないという形にするにはどうしたらいいのかというようなことも、国際的にお話しされているような文書をお示ししながら、こういうふうなやり方がいいのではないかと、あらゆる角度からお話をさせていただきました。だから、収容の恣意性のみならず、広い範囲でのお話をさせていただいたところです。
それで報告書ができ上がり、今回の法改正案につながっていくわけなんですけれども、今お話をしたような点が法案に反映をされているというふうに私は考えております。
私が御提案をさせて、補完的保護対象者という新しい制度をつくってくださいということでお示しした点も今回法案に入っておりますし、それから、難民申請の手続の際に在留特別許可を御希望の方がお申出になる場が最終のところでしかないということで、今回新しく在留特別申請の手続を新設していただくと、こういった規定も入りました。これも御提案をさせていただいて、そういったものもきちっと入れていただきました。早期に保護できる体制というのもつくっていただきました。それから、収容に関しては、原則収容というものを今回改めて、監理措置制度というのを入れていただく、それから収容をできるだけ短くということで三か月ごとの事後のチェックもしていただくようなこと、多くの新しい取組を、収容、送還のお話で上がってきたところを入れていただいたというふうに思っております。
したがいまして、そうした国際人権の観点からも大きく前進した法案だというふうに捉えておりまして、包括的に見ますとこの法案というのは大変賛成で、是非可決をというふうに思っておるところでございます。
加
加田裕之#13
○加田裕之君 ありがとうございます。
やはり、この収容・送還に関する専門部会の中で、ちょっと私も議事録も、いろいろ聞いたんですけれども、大変皆さん提案、提言というものをされておりますし、先ほど言いました、単なる一方面から見るのではなくて、本当に多方面から、どのようにすればこの大村での事案というものを二度と起こさないようにするべきか、その場合を想定した形、それからまた、補完的保護対象者のことについてや在留の特別許可のこととか、そういうのもしっかりと今回新たに盛り込んでという形でやられているということ、専門的な御意見いただきましてありがとうございました。
続きまして、阿部参考人にお伺いしたいんですけれども、阿部参考人の方も本当に、難民の申請のことにつきまして本当に御尽力されて、長年されていることに感謝申し上げたいと思います。
先ほどお話しいただいた中で、年間五十件、参与員として審査されたということで、十年間ということですから約五百件と。先ほどお話あった、そのうちの難民認定率の部分でいいますと、五百件分中の四十件、クルド人とか中心にということを言われていたんですけれども、実際これ、難民の認定の意見が採用されなかった部分が多くあるという御指摘がございました。
実際、ただ、難民参与員というのは三名の中でいろいろ意見もやっていくんですけど、それは三人の中での多数意見だったのか、それとも少数の意見だったのか、この件について、この三人のやり取りの中身についても阿部参考人にお伺いしたいと思います。お願いします。
この発言だけを見る →やはり、この収容・送還に関する専門部会の中で、ちょっと私も議事録も、いろいろ聞いたんですけれども、大変皆さん提案、提言というものをされておりますし、先ほど言いました、単なる一方面から見るのではなくて、本当に多方面から、どのようにすればこの大村での事案というものを二度と起こさないようにするべきか、その場合を想定した形、それからまた、補完的保護対象者のことについてや在留の特別許可のこととか、そういうのもしっかりと今回新たに盛り込んでという形でやられているということ、専門的な御意見いただきましてありがとうございました。
続きまして、阿部参考人にお伺いしたいんですけれども、阿部参考人の方も本当に、難民の申請のことにつきまして本当に御尽力されて、長年されていることに感謝申し上げたいと思います。
先ほどお話しいただいた中で、年間五十件、参与員として審査されたということで、十年間ということですから約五百件と。先ほどお話あった、そのうちの難民認定率の部分でいいますと、五百件分中の四十件、クルド人とか中心にということを言われていたんですけれども、実際これ、難民の認定の意見が採用されなかった部分が多くあるという御指摘がございました。
実際、ただ、難民参与員というのは三名の中でいろいろ意見もやっていくんですけど、それは三人の中での多数意見だったのか、それとも少数の意見だったのか、この件について、この三人のやり取りの中身についても阿部参考人にお伺いしたいと思います。お願いします。
阿
加
阿
加
加田裕之#17
○加田裕之君 はい、分かりました。
それでは、続き、もう一回、阿部参考人の方からなんですけれども、難民認定を担当する第三者機関を設立すべきという御意見もあったんですけれども、この御意見についてなんですけれども、済みません、これ、ちょっと川村参考人の方にお伺いしたいんですけれども、先ほども最後の方に御指摘されたと思うんですけど、第三者機関の設立すべきという御意見というものに対しましての御見解、他の参考人の方も言われているんですけど、川村参考人の方としましてはこの第三者機関の設立ということについてどのように考えるか、お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →それでは、続き、もう一回、阿部参考人の方からなんですけれども、難民認定を担当する第三者機関を設立すべきという御意見もあったんですけれども、この御意見についてなんですけれども、済みません、これ、ちょっと川村参考人の方にお伺いしたいんですけれども、先ほども最後の方に御指摘されたと思うんですけど、第三者機関の設立すべきという御意見というものに対しましての御見解、他の参考人の方も言われているんですけど、川村参考人の方としましてはこの第三者機関の設立ということについてどのように考えるか、お伺いしたいと思います。
川
川村真理#18
○参考人(川村真理君) ありがとうございます。
先ほども少し述べさせていただきましたが、私の考えは、現時点で第三者機関の設立というのは反対の立場でございます。
理由は大きく三つあります。
一つは、先ほども触れましたが、入管業務と難民庇護制度というものは非常に連携してくる部分もあります。そして、今日、世界的に見ますと、多くの方が国際的な移動をしていく中で、難民であるのか移民であるのか、何といいますか、そこの判断が難しいのが世界的に起こっておりまして、ヨーロッパやアメリカの厳しい現状などの報道もあるようなところでございます。
また、難民で保護することはもちろんきちんとやらなければいけないんですが、それに、ほかの在留資格での受入れというのも推進していきましょうということが国際社会で言われている流れでございまして、これはやっぱり両方きちっと見ていくという包括的な目で政策を練っていくというところが一つ必要ではないかというのが一点です。
二点目は、この少数の保護だけに特化した体制というのでは、ちょっと今では現実的に大変厳しいのではないかというふうに考えております。それを、今入管職員でやっているキャパのものを、それを入管職員を全部外して新しくということになりますと、相当の人員を確保するということが難しいのではないかということを思いまして、私は、今の体制でとにかく質の向上を図る手だてをしていってより良くしていくのがいいのかということです。
それから、第三者機関でなければならないかどうかという点で一つ付け加えさせていただきたいんですが、その庇護制度の国際法上の根幹的な考え方として、庇護権というのは誰の権利なんだという議論があります。その際に、庇護を申請する権利は個人の人権でありますが、庇護を付与する権利は国家の権利と、こういうふうに整理が付けられております。そうしますと、庇護を付与する権利が国家が行使する、国家の行政が行うということは、実はその原則に沿った運用ということになろうかと思います。
そうした観点も含めて、現体制をより良くしていくという形で十分なのではないかと考えた次第でございます。
この発言だけを見る →先ほども少し述べさせていただきましたが、私の考えは、現時点で第三者機関の設立というのは反対の立場でございます。
理由は大きく三つあります。
一つは、先ほども触れましたが、入管業務と難民庇護制度というものは非常に連携してくる部分もあります。そして、今日、世界的に見ますと、多くの方が国際的な移動をしていく中で、難民であるのか移民であるのか、何といいますか、そこの判断が難しいのが世界的に起こっておりまして、ヨーロッパやアメリカの厳しい現状などの報道もあるようなところでございます。
また、難民で保護することはもちろんきちんとやらなければいけないんですが、それに、ほかの在留資格での受入れというのも推進していきましょうということが国際社会で言われている流れでございまして、これはやっぱり両方きちっと見ていくという包括的な目で政策を練っていくというところが一つ必要ではないかというのが一点です。
二点目は、この少数の保護だけに特化した体制というのでは、ちょっと今では現実的に大変厳しいのではないかというふうに考えております。それを、今入管職員でやっているキャパのものを、それを入管職員を全部外して新しくということになりますと、相当の人員を確保するということが難しいのではないかということを思いまして、私は、今の体制でとにかく質の向上を図る手だてをしていってより良くしていくのがいいのかということです。
それから、第三者機関でなければならないかどうかという点で一つ付け加えさせていただきたいんですが、その庇護制度の国際法上の根幹的な考え方として、庇護権というのは誰の権利なんだという議論があります。その際に、庇護を申請する権利は個人の人権でありますが、庇護を付与する権利は国家の権利と、こういうふうに整理が付けられております。そうしますと、庇護を付与する権利が国家が行使する、国家の行政が行うということは、実はその原則に沿った運用ということになろうかと思います。
そうした観点も含めて、現体制をより良くしていくという形で十分なのではないかと考えた次第でございます。
加
加田裕之#19
○加田裕之君 川村参考人にちょっとお伺いしたいんですけど、やはり先ほどの御意見を踏まえた上で、実際、難民審査の参与員制度というものについて、これ、いろいろ先ほども議論あったと思うんですけれども、この参与員制度についての維持をすべきかどうかということについて、ちょっと端的にですけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →川
川村真理#20
○参考人(川村真理君) 今御紹介もあったところですが、今度は私の経験を少しお話をさせていただこうと思っています。
私が二〇一五年から難民審査参与員を拝命しておりまして、足掛け八年担当させていただいております。その間、思いますことは、今、難民認定数のお話も出ておりましたけれども、恐らく大体年に私は三十件程度、少し少ない方だと思います。大学のこともありまして少し少ない件数ではないかなと、ほかの参与員の方に比べると思いますけれども、そうしますと、今までで大体二百件強ぐらいを担当していたかなというふうに思っております。
そのうち、そうですね、難民認定をしたというと四、五%ぐらいかなと思うんですけれども、一つここでちょっと御紹介したいのは、昨年度は、非常に認定した数、非常にというのもちょっと訂正しますが、増えたという経験をいたしました。そして、私の意見も、多数になった件数が複数出たということがありました。
と申しますのは、昨年、全体の認定数やら、全般が増えているんですけれども、難民審査制度においても、それから審査請求においても数が増えています。また、それはいろいろな要因があると思います。研修も積み重なって、難調官も研修が積み重なってきたし、参与員の方も、この手引作成のところでいろいろ意見を入れたり意識も上がってきました。ですので、だんだんに積み重なって、いい状況にあって、私が少数派に回って認定されなかったというよりか、去年はほぼいけたというような認識がありますので、その辺りも含めて、今の体制でより良くしていくというのがよろしいのではないかというふうに考えているところです。
この発言だけを見る →私が二〇一五年から難民審査参与員を拝命しておりまして、足掛け八年担当させていただいております。その間、思いますことは、今、難民認定数のお話も出ておりましたけれども、恐らく大体年に私は三十件程度、少し少ない方だと思います。大学のこともありまして少し少ない件数ではないかなと、ほかの参与員の方に比べると思いますけれども、そうしますと、今までで大体二百件強ぐらいを担当していたかなというふうに思っております。
そのうち、そうですね、難民認定をしたというと四、五%ぐらいかなと思うんですけれども、一つここでちょっと御紹介したいのは、昨年度は、非常に認定した数、非常にというのもちょっと訂正しますが、増えたという経験をいたしました。そして、私の意見も、多数になった件数が複数出たということがありました。
と申しますのは、昨年、全体の認定数やら、全般が増えているんですけれども、難民審査制度においても、それから審査請求においても数が増えています。また、それはいろいろな要因があると思います。研修も積み重なって、難調官も研修が積み重なってきたし、参与員の方も、この手引作成のところでいろいろ意見を入れたり意識も上がってきました。ですので、だんだんに積み重なって、いい状況にあって、私が少数派に回って認定されなかったというよりか、去年はほぼいけたというような認識がありますので、その辺りも含めて、今の体制でより良くしていくというのがよろしいのではないかというふうに考えているところです。
加
牧
牧山ひろえ#22
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえでございます。
参考人の皆様、本日は大変お忙しい中、ありがとうございました。
さて、人権侵害などの不祥事が多発している収容の長期化に対しては、政府案のように収容の代わりとなる監理措置の導入で対処をするという、そういった選択肢と、もう一方で、全件収容主義を撤廃して、収容の開始又は継続時における司法審査を導入して、さらに収容期間に上限を設けるべきであるとする二つの考え方があります。
まず、収容の目的について、政府案では在留活動の禁止とされていますが、各参考人はどのようにお考えでしょうか。阿部参考人、小尾参考人、川村参考人、長澤参考人の、あいうえお順でそれぞれ御説明ください。
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さて、人権侵害などの不祥事が多発している収容の長期化に対しては、政府案のように収容の代わりとなる監理措置の導入で対処をするという、そういった選択肢と、もう一方で、全件収容主義を撤廃して、収容の開始又は継続時における司法審査を導入して、さらに収容期間に上限を設けるべきであるとする二つの考え方があります。
まず、収容の目的について、政府案では在留活動の禁止とされていますが、各参考人はどのようにお考えでしょうか。阿部参考人、小尾参考人、川村参考人、長澤参考人の、あいうえお順でそれぞれ御説明ください。
阿
阿部浩己#23
○参考人(阿部浩己君) 収容に関しては、私自身の考え方は、国際人権法に基づきまして、第三者、司法機関が関与し、そして上限を設ける、こうしたことが求められているという考え方です。
在留というものが日本においては外国人の活動を規制する根拠になっておりますけれども、しかし、人間としての最低限の活動、人間としての生存を確保する最低限の基本的人権の保障は在留の資格にかかわらず保障されるべきものでありまして、収容に関わりましても、まず身体の自由というようなもの、これが確実に保障される、そのような基本的人権を前提として、それを確保できる上で、それを最低限必要な限りで制約する、そういうような形でないと収容も難しいと、こういうふうに考えております。
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小
小尾尚子#24
○参考人(小尾尚子君) 御質問ありがとうございます。
今回の再提出で、収容されている者については三か月ごとに必要的に収容の要否を見直し、収容の必要がない者は監理措置に移行する仕組みが導入されたということは一定の評価をすべきことだと感じております。ただし、その見直しは入管庁内で行われているという理解でございますので、その点がやはり気になるところでございます。
各国連人権メカニズムの勧告等に基づいて収容の最長期限の明文上の設定、収容決定や延長についての裁判所等の、しかも入管庁から独立した機関による迅速、定期的な審査が導入されることがやはり望ましいのではないかと思います。
また、監理措置を含む収容代替措置におきましては、対象者の生活の手段の確保がなされることが必要です。本人の逃亡の予防というのは、懲役や罰金などではなくて、いわゆるケースマネジメントと呼ばれるもの、すなわち個人的にきちんとカウンセリングを行う。日本にもし在留したいのであれば、どのようなオプションが存在しているのか、あるいは、全くオプションが存在していないのであれば、本国への帰還ということも含めてのカウンセリングを第三者、しかも中立な立場にあられる人が行うということは一つ大切な点ではないかと思います。
その上で、自主的に帰還したいと望まれる方に関しては、例えば国際移住機関が持っているAVRRという自主帰還及び彼らが帰国して定住するために必要な支援を行うというプログラムが実は日本でもございますけれども、このプログラムを充実させ、拡充していくということがみそになるのではないかと思います。
加えまして、むしろ二〇〇四年の法改正のときに導入された仮滞在が最大限に活用されていないのではないかというのが懸念事項です。例えば、二〇二二年では、仮滞在の許可率は約一〇%にとどまっています。ですから、仮滞在がより柔軟に適用されるということが必要なのではないかということと。
また、別途、空港で適用されている一時庇護上陸許可が、果たしてどれだけの人が空港で難民申請をし、結果的に一時庇護上陸を許可されているのかという統計が公には発表されていません。ですから、私どもの知るところではないわけですけれども、まず水際で、私は、私を助けてくださいと言った人がどれだけ保護されているのかという現実を知るということは大変大切なことではないかと思っております。
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各国連人権メカニズムの勧告等に基づいて収容の最長期限の明文上の設定、収容決定や延長についての裁判所等の、しかも入管庁から独立した機関による迅速、定期的な審査が導入されることがやはり望ましいのではないかと思います。
また、監理措置を含む収容代替措置におきましては、対象者の生活の手段の確保がなされることが必要です。本人の逃亡の予防というのは、懲役や罰金などではなくて、いわゆるケースマネジメントと呼ばれるもの、すなわち個人的にきちんとカウンセリングを行う。日本にもし在留したいのであれば、どのようなオプションが存在しているのか、あるいは、全くオプションが存在していないのであれば、本国への帰還ということも含めてのカウンセリングを第三者、しかも中立な立場にあられる人が行うということは一つ大切な点ではないかと思います。
その上で、自主的に帰還したいと望まれる方に関しては、例えば国際移住機関が持っているAVRRという自主帰還及び彼らが帰国して定住するために必要な支援を行うというプログラムが実は日本でもございますけれども、このプログラムを充実させ、拡充していくということがみそになるのではないかと思います。
加えまして、むしろ二〇〇四年の法改正のときに導入された仮滞在が最大限に活用されていないのではないかというのが懸念事項です。例えば、二〇二二年では、仮滞在の許可率は約一〇%にとどまっています。ですから、仮滞在がより柔軟に適用されるということが必要なのではないかということと。
また、別途、空港で適用されている一時庇護上陸許可が、果たしてどれだけの人が空港で難民申請をし、結果的に一時庇護上陸を許可されているのかという統計が公には発表されていません。ですから、私どもの知るところではないわけですけれども、まず水際で、私は、私を助けてくださいと言った人がどれだけ保護されているのかという現実を知るということは大変大切なことではないかと思っております。
川
川村真理#25
○参考人(川村真理君) 今回の改正法案におきましては、原則収容をやめると。これはずっと専門部会でも申し上げて、それが形になってきたわけですけれども、その収容目的ということでございました。今回プラスしまして、この法案では収容要件を定めるというのが入りました。収容すべきは逃亡のおそれがある方とか証拠隠滅のおそれがある方ということで、ぐっと絞っての収容。
それから、出国命令で約七割という数字がいろいろに議論されていますけれども、ルールを守って早くお帰りになる方が帰れるような形、今IOMの話も出ましたが、帰りやすい形で帰っていただいて、また来ていただく、一年というようなことができるような仕組みも入れて、収容をなるべく人数を減らして、期間も短くということで、そして要件も絞った。
だから、収容目的は、在留の資格がなくなったから、皆さん、収容ですというのから大幅に変わっております。収容する場合は、逃亡のおそれがあるか証拠隠滅かというふうに、すごく絞ったというところです。今回の法改正案はそこが一つ大事なところと思っています。
それから、事前の司法審査、それから上限の設定についてでございますが、事前の司法審査と述べているのは恣意的拘禁作業部会の方でその文言が入ってくるわけですが、規約人権委員会の方ではその言葉が入ってこないんです、文書の中には。特段それを勧告しているわけではない、独自の条約解釈の権限のある機関はその文言を入れていないわけなんです。そこで、今回は、その事前の司法審査というのは法案には入っていません。でも、公正な判断かどうかということで、事後の裁判所へのアクセスと、これは規約人権委員会もはっきりと述べているので、それが入っていると、文言が入っております。
それから、収容の上限期間の設定についても、規約人権委員会は、その文言を一般的意見なるそういった解釈に使うような文書には盛り込んでいないんですね。それで、今回、昨年の十一月に出ました勧告のところに、少し上限を、ちょっと丸い形で、そういうふうな方向に向かうようにというような言葉は入っているんですけれども、一般的意見の方ではないということで、要は、その上限設定というはっきりした数値を見せるのが難しければ、とにかく短くする工夫を強くしていくんだということで、その三月の定期的な審査とかということで、なるべく少なく、なるべく短くということを専門部会でも議論し、そしてそれが練られてこの法案になっているというところかと思っております。
以上です。
この発言だけを見る →それから、出国命令で約七割という数字がいろいろに議論されていますけれども、ルールを守って早くお帰りになる方が帰れるような形、今IOMの話も出ましたが、帰りやすい形で帰っていただいて、また来ていただく、一年というようなことができるような仕組みも入れて、収容をなるべく人数を減らして、期間も短くということで、そして要件も絞った。
だから、収容目的は、在留の資格がなくなったから、皆さん、収容ですというのから大幅に変わっております。収容する場合は、逃亡のおそれがあるか証拠隠滅かというふうに、すごく絞ったというところです。今回の法改正案はそこが一つ大事なところと思っています。
それから、事前の司法審査、それから上限の設定についてでございますが、事前の司法審査と述べているのは恣意的拘禁作業部会の方でその文言が入ってくるわけですが、規約人権委員会の方ではその言葉が入ってこないんです、文書の中には。特段それを勧告しているわけではない、独自の条約解釈の権限のある機関はその文言を入れていないわけなんです。そこで、今回は、その事前の司法審査というのは法案には入っていません。でも、公正な判断かどうかということで、事後の裁判所へのアクセスと、これは規約人権委員会もはっきりと述べているので、それが入っていると、文言が入っております。
それから、収容の上限期間の設定についても、規約人権委員会は、その文言を一般的意見なるそういった解釈に使うような文書には盛り込んでいないんですね。それで、今回、昨年の十一月に出ました勧告のところに、少し上限を、ちょっと丸い形で、そういうふうな方向に向かうようにというような言葉は入っているんですけれども、一般的意見の方ではないということで、要は、その上限設定というはっきりした数値を見せるのが難しければ、とにかく短くする工夫を強くしていくんだということで、その三月の定期的な審査とかということで、なるべく少なく、なるべく短くということを専門部会でも議論し、そしてそれが練られてこの法案になっているというところかと思っております。
以上です。
杉
長
長澤正隆#27
○参考人(長澤正隆君) 在留活動の禁止とされていますけれども、その在留期間が一体どうなっているのか。収容なり仮放免なり、そういうことで難民申請をしてきた人たちが日本にいる期間は一体何年になっているのかと。
私たちが自分たちで調査をしてきた場合には、もう最長で七十代の人もいるわけですよ。この人たちが在留活動を、皆さんがここで知られているような在留活動を禁止したら生きていけませんよ。どうやって生きていくのか。こういうことが背景にあっているのに、ただ単純に収容と目的だけを選別していった場合には生きていけないですね。何かしらの問題を起こします。
ですから、送還をするにつけても、生きていけるような体制をきちっと取ってあげて、長くいる仮放免者で七十代とか五十代の人がいるとか、そういうのはもうそろそろ考え直した方がいいと思います。これは別に私が一人や二人の意見を聞いているわけではなくて、皆さんにお配りした資料に沿ってお答えしているんですね。
日本に来て、三十年生きているわけですよ。どうやって生きているかというと、人のお金に頼って生きている。それでも尊厳を持って生きていますよ。それなしに生きていこうとした場合に、人権の侵害が起きますよ。それは、収容されている人であろうが外にいる人であろうが、何がしかの問題を引き起こす。そういうことは考え直していただいて、生活をしていけるような最低限のことをお考えになっていただきたいなというふうに思います。
人を痛め付けるような収容とか目的とか、そういうことはそろそろ終わりにしてもらいたいと思いますね。
以上です。
この発言だけを見る →私たちが自分たちで調査をしてきた場合には、もう最長で七十代の人もいるわけですよ。この人たちが在留活動を、皆さんがここで知られているような在留活動を禁止したら生きていけませんよ。どうやって生きていくのか。こういうことが背景にあっているのに、ただ単純に収容と目的だけを選別していった場合には生きていけないですね。何かしらの問題を起こします。
ですから、送還をするにつけても、生きていけるような体制をきちっと取ってあげて、長くいる仮放免者で七十代とか五十代の人がいるとか、そういうのはもうそろそろ考え直した方がいいと思います。これは別に私が一人や二人の意見を聞いているわけではなくて、皆さんにお配りした資料に沿ってお答えしているんですね。
日本に来て、三十年生きているわけですよ。どうやって生きているかというと、人のお金に頼って生きている。それでも尊厳を持って生きていますよ。それなしに生きていこうとした場合に、人権の侵害が起きますよ。それは、収容されている人であろうが外にいる人であろうが、何がしかの問題を引き起こす。そういうことは考え直していただいて、生活をしていけるような最低限のことをお考えになっていただきたいなというふうに思います。
人を痛め付けるような収容とか目的とか、そういうことはそろそろ終わりにしてもらいたいと思いますね。
以上です。
牧
牧山ひろえ#28
○牧山ひろえ君 次に、収容する際の要件について、それから収容開始や継続に際しての司法審査を始めとする入管庁以外の機関による事前審査の必要性について、それから収容期間の上限設定について、先ほどの順番でお伺いしたいと思います。まだお答えになっていない部分をお願いします。
この発言だけを見る →杉