法務委員会

2025-04-04 衆議院 全148発言

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会議録情報#0
令和七年四月四日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 西村智奈美君
   理事 小泉 龍司君 理事 津島  淳君
   理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
   理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
   理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
      井出 庸生君    稲田 朋美君
      上田 英俊君    上川 陽子君
      神田 潤一君    河野 太郎君
      棚橋 泰文君    寺田  稔君
      平沢 勝栄君    深澤 陽一君
      森  英介君    山田 賢司君
      若山 慎司君    有田 芳生君
      篠田奈保子君    柴田 勝之君
      寺田  学君    平岡 秀夫君
      藤原 規眞君    松下 玲子君
      萩原  佳君    藤田 文武君
      小竹  凱君    大森江里子君
      平林  晃君    本村 伸子君
      吉川 里奈君    島田 洋一君
    …………………………………
   法務大臣政務官      神田 潤一君
   参考人
   (国士舘大学法学部教授) 吉開 多一君
   参考人
   (日本弁護士連合会前副会長)           坂口 唯彦君
   参考人
   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      樋口 亮介君
   参考人
   (成城大学法学部教授)  指宿  信君
   参考人
   (京都大学大学院法学研究科教授)         池田 公博君
   法務委員会専門員     三橋善一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  井出 庸生君     深澤 陽一君
  棚橋 泰文君     山田 賢司君
同日
 辞任         補欠選任
  深澤 陽一君     井出 庸生君
  山田 賢司君     棚橋 泰文君
    ―――――――――――――
四月二日
 選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(吉良州司君紹介)(第七二四号)
 同(三角創太君紹介)(第八三〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
     ――――◇―――――
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西
西村智奈美#1
○西村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、国士舘大学法学部教授吉開多一さん、日本弁護士連合会前副会長坂口唯彦さん、東京大学大学院法学政治学研究科教授樋口亮介さん、成城大学法学部教授指宿信さん、京都大学大学院法学研究科教授池田公博さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、吉開参考人、坂口参考人、樋口参考人、指宿参考人、池田参考人の順に、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず吉開参考人にお願いいたします。
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吉開多一#2
○吉開参考人 国士舘大学の吉開と申します。
 本日は、このように意見を述べる機会をいただきましたことに、まず御礼申し上げます。
 私は、平成九年から十七年間、検事として、主に捜査、公判の現場で仕事をしておりました。警察と連携して捜査をしたこともございますし、検察官独自捜査事件の主任として自ら令状請求をした経験もございます。平成二十六年に退官しまして、現職に転じました。元々警察官志望の学生が多い大学であるため、現在は、検事時代の経験を踏まえて、警察官志望の学生を多く指導しながら、刑事訴訟法や刑事政策について研究をしております。
 本日は、私の経験した限りではございますが、令状の実務も踏まえながら、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法改正につき、本法案に賛成の立場から意見を申し上げたいと思います。
 今回の改正では、令状について、電磁的記録により発付、執行することが可能になると理解しております。
 情報通信技術が極めて高度に発達している現在において、刑事司法だけが取り残されている状態にあります。私が検事を退官してから丸十一年が経過しておりますが、令状の発付を受け執行する方法は、当時と変わりがなく、紙媒体を利用していると承知しております。
 令状の発付を受けるには、令状担当裁判官の審査が必要です。令状審査では、それまでに捜査機関が収集した証拠を疎明資料とし、犯罪の嫌疑があることや、強制処分の必要性、相当性などを裁判官に確認してもらわなければなりません。現状では、この疎明資料は紙媒体でなければならないので、書類のデータを作成するだけでは足りず、紙にプリントアウトし、作成者が署名押印し、さらに各ページに割り印をするということをやっております。
 犯行場所の状況は、関係する地点の距離を測ったり写真を撮影して、検証調書あるいは実況見分調書を作成することで証拠化されます。特に、殺人事件など重要な事案では、犯行場所について念入りな証拠化が必要になりますので、写真の枚数だけで百枚を超えたり、調書自体が数百ページに及ぶこともあります。そのような場合でも、警察官は、一枚一枚写真を現像し、のりで紙媒体に貼り付けるとともに、写真に割り印をし、さらに各ページにも割り印をして、検証調書あるいは実況見分調書を作成しておりました。
 これらは、言うまでもなく、紙媒体の調書の改ざんを防止するために行われているものではありますが、そもそも、当初に作成した書類のデータに改ざん防止措置が講じられるのであれば、そのデータ自体を証拠として利用すれば足りるのですから、現在のやり方は膨大な時間をかけて不要な作業を強いていることになります。
 令状審査が紙媒体で行われるため、現状では、捜査機関は作成した疎明資料を裁判官の下に持参しなければなりません。警察署、検察庁と裁判所が離れていたり、交通が渋滞したりしますと、片道の移動だけで一時間以上かかることもあります。さらに、令状が発付されても、今度はそれを持参して戻ってくる時間もかかります。
 例えば、路上で違法薬物を使用している疑いがある人がいたり、犯罪に関連する重要な証拠物を所持している疑いのある人を警察官が発見したとします。任意の協力を拒まれた場合、一刻も早く令状の発付を受けなければなりません。しかし、現状では、一部の警察官が先ほどのような紙媒体を作成し、裁判官の下に持参し、令状が発付されて戻ってくるまでの間に、別の警察官がその人物の説得を続けて逃亡を防止するなどの措置を講じるしかありません。最初に疑わしい人物を見つけてから令状が執行されるまでに四、五時間かかることもございます。刑事訴訟法では、こうした留め置きの適法性が論点の一つとなっております。
 このときの警察官の対応によっては、違法に留め置いたとして、収集した証拠の証拠能力が否定されることもあります。また、令状審査に時間がかかっている間にその人物に逃亡されてしまうリスクもあります。これでは逃げ得を許すことにもなりかねません。電磁的記録による令状の発付、執行は、特にこうした緊急性を要する事案で有効だと考えられます。
 同時に、紙媒体の作成作業などが省略されることで、長時間にわたる留め置きは不要になり、裁判官による令状審査の開始も早くなると予想されます。そして、裁判官が令状請求を却下するのであれば、それ以上に留め置きを正当化することはできなくなりますので、疑われた人の行動の自由を保障することにもつながります。その結果、司法的抑制が更に実効性を増すことも期待されます。
 今後の少子高齢化は、警察の現場にも大きな影響を及ぼす可能性があります。警察官志望の学生を指導しておりますと、そもそも厳しい仕事であることもありますが、だんだんと志望者が減少しているように感じております。優秀な人材は争奪戦になっているようにも見受けられます。仮に現場の警察官の数が十分に確保できなくなれば、これまでのやり方を維持することはできなくなるかもしれません。捜査の効率化、円滑化は、社会の安全を守るためにも、引き続き真剣に検討しなければならない課題だと考えております。
 なお、捜査の効率化、円滑化が、対象になる人たちの権利を不当に侵害する結果を招くのではないかという御懸念もあるかもしれません。
 しかし、電磁的記録により令状の発付を受けるようになっても、裁判官の審査基準が変わるわけではありません。今回の改正で効率化、円滑化されるのは、紙媒体の作成作業と裁判所までの往復に費やす時間を省くことだと考えられます。そして、これらは、省くことに合理的な理由があると言えます。
 また、証拠物やデータは、実務では客観的証拠と言われるものになります。客観的証拠をできる限り収集し、十分に分析した上で捜査を進めていくことは、供述に依存しない、適正な捜査を実現するためにも重要だと言うことができます。
 さらに、検察官が起訴をして刑事裁判になった場合、証拠物やデータは公判前整理手続における証拠開示の対象になり、被告人、弁護人もその内容を確認することができます。最近では、開示されるデータが膨大な量になるため公判前整理手続に時間がかかっているという話も耳にしますが、客観的証拠は被告人、弁護人の防御権を守るためにも必要だと言うことができます。
 対象になる人たちの権利を不当に侵害しないように、憲法によって保障された令状主義の要件や手続を捜査機関に遵守させつつ、証拠物やデータを押収させることは、捜査の適正化を図り、被告人、弁護人の防御権を確保する上でも重要な意義を持つと考えます。
 私の意見は以上です。御清聴ありがとうございました。拍手
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西
西村智奈美#3
○西村委員長 ありがとうございました。
 次に、坂口参考人にお願いいたします。
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坂口唯彦#4
○坂口参考人 坂口でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 日弁連は、各種技術の進展に伴う刑事手続のデジタル化には賛成でございます。しかし、現在の法案は、捜査機関の利便に資する多くの制度を創設する一方で、国民のプライバシーの権利や被告人の防御権を軽視し、バランスを欠いた内容になっているというふうに考えております。そのため、主に二つのポイントについて修正を強くお願いしているところでございます。
 一つ目のポイントは、電磁的記録の収集に関する国民のプライバシー等の保護というところでございます。
 捜査機関は、現行法上の電磁的記録の押収や任意捜査による電磁的記録の収集に加え、この度創設される電磁的記録提供命令制度により大量の電磁的記録を収集、蓄積、利用することができるようになります。
 しかし、今日、個人や企業が所持、利用するスマートフォン、パソコン、クラウド、これは今日お集まりの議員の皆さんもそうだと思いますが、大量のプライバシー情報がパソコンやクラウドには入っているということになります。もちろん、議員の皆様だけではなくて、業務上の秘密、企業、それから個人の方の情報もございます。情報技術の進展に対応するための刑事法の整備というのはもちろん必要なことだと思いますけれども、プライバシーの権利を始めとする市民の方の権利を保護するための修正がなされなければならないというふうに考えております。
 日弁連は、昨年三月十四日に表明した意見書の中で六つの提案をさせていただいております。本日は、時間の関係もございますので、要点のみ申し上げます。
 まずは、犯罪と関係のない情報をできる限り収集しないという観点からの手当てが必要でございます。
 実務上、電磁的記録が入った携帯電話機やパソコンが差し押さえられる場合、令状には、本件に関係あると思料されるといった文言や、これらに関連する文書、物件といった包括的な記載があることから、被疑事実と関連性の乏しい電磁的記録の差押えが行われているという現状がございます。
 そうしますと、捜査機関は、犯罪とは無関係なプライバシー情報を収集し、それを濫用するということも実態としてございます。取調べの一部が可視化されたことによって、議員の皆さんも、プレサンス事件でありますとか、ほかの取調べの事件が一部オープンになっているものを御覧になったこともあると思います。取調べにおいて、事件と全く関係のない中学校時代の成績に触れて、その能力についてやゆをし、被疑者を侮辱した事例、また、被疑者の男女関係に言及して被疑者を侮辱し、知らせたくない人に知らせることを示唆して供述を迫った事例、被疑者のお子さんの精神疾患に言及して被疑者の態度、黙秘を非難した事例などが報告をされております。
 このような状況の下で、市民のプライバシーや企業、労働組合の秘密が侵害されることを防止するためには、裁判所が厳格な令状審査をし、かつ令状で許可されたものだけを捜査機関が取得するとすることが不可欠だと思います。
 そこで、まず、最低限、裁判所や捜査機関に対し、デジタル社会における個人情報保護の観点から、犯罪と関係のない個人情報をできる限り収集しないよう留意しなければならないということを明記すべきだというふうに考えます。
 次に、不服申立ての機会を保障することが必要でございます。
 不服申立てをするためには、情報を取得された個人又は団体がそのことを知る必要がございますが、本法案では、例えばクラウド事業者からある人の個人情報が提供された場合に、本人に何の通知もされないことになっています。それどころか、事業者に対し、無期限で、情報提供を行ったことを秘密にしておくよう命令する制度ということになっています。
 不服申立ての機会を保障し、違法な処分を是正したり抑止したりする観点からも、情報収集をされた本人への通知制度を設けるとともに、秘密保持命令制度について、この命令について、秘密保持を命ずることができる期間を制限する、それが必要だと考えています。
 さらに、違法で取得された電磁的記録を消去する仕組みが必要です。
 法案では、違法な処分が取り消された場合にも、電磁的記録を消去する仕組みがなく、それは捜査機関に蓄積されていくことになります。しかし、それではプライバシー等の保護が不十分であることが明らかですし、不服申立ての意味がなくなってしまいます。電磁的記録提供命令や記録媒体の押収が取り消されたときは、消去が命じられるようにすべきというふうに考えます。
 また、本法案は、憲法が保障している自己負罪拒否特権との関係でも問題がございます。
 電磁的記録提供命令により供述を強要することはできないというふうにされておりますけれども、一方で、命令に違反すれば刑罰が科されますので、パスワード等の供述が事実上強要されるおそれがございます。電磁的提供命令の執行に当たっては、命令が自己の意思に反して供述することを命ずるものではないということを教示することを義務づける必要があるというふうに考えます。
 以上が一つ目でございます。
 二つ目のポイント、これはオンライン接見や電子化された書類の授受の点でございます。
 私は、北海道の弁護士です。北海道では、弁護士の事務所から被疑者、被告人が収容されている警察署や拘置所まで車で何時間もかかるということがざらにございます。そして、特に冬期間は、天候により移動が不可能になったり、無理な移動をすれば命の危険も生じかねないということもございます。まさに命懸けで刑事弁護活動を行っているということになります。
 また、北海道以外でも、例えば離島にある警察署などでは、弁護士が一回接見に行くだけでも丸一日かかる、泊まりがけになるということもございます。そのような地域では、とりわけオンライン接見の実現が切望されています。
 全国のほぼ全て、五十七の弁護士会、弁護士会連合会がオンライン接見の早期の実現及び法制化を求める会長声明等を表明しています。
 地理的な条件で接見に時間がかかるという場合でなくても、オンライン接見の必要がございます。もちろん、直接対面してやり取りをするということは非常に重要ですが、オンライン接見というやり取り、選択肢が増えますと、弁護士が被疑者、被告人に必要な援助をする機会の確保が格段に容易になります。そして、刑事手続を適正とするものに資することになると考えます。
 弁護人が被疑者、被告人に面会をするために時間や労力を要するということは、その分、接見が遅れたり頻度が下がったりすることにより、冤罪の可能性が高まるということを意味します。そのようなことは本来あってはなりません。オンライン接見は、何より被疑者、被告人の権利のために重要であるというふうに考えます。
 現在、一部の警察署などでは、試行として、電話などを使って被疑者、被告人と弁護人が話せる制度が実施されていますが、現在試行されている電話等による外部交通の問題の一つは、会話の秘密性が確保されていないということでございます。被疑者側の部屋の外には警察官が控えていらっしゃいますので、弁護人との会話を聞こうとすれば聞ける警察署が多いという問題がございます。そのような状況で行われますので、重要なことは話せない、話しにくいというところがございます。秘密性が確保されていないことで、せっかくの制度が十分利用されていないという課題も生じております。
 これらの権利について、予算がないから権利化が実現できないというのは本末転倒だと思います。デジタル化に応じた弁護人の援助を受ける権利を保障するという観点からは、オンライン接見の条件整備を着実に進めていくということが必要です。全国の警察署や拘置所で一斉に進めるということになると予算上の手当てが難しいということはあるのかもしれませんが、そうであれば、計画的に設備を整備していって、近い将来のどこかで実現するということが重要でございます。
 また、現在の法案は、身体を拘束された被疑者や被告人が電子化された書類の授受をするということができるとされておりません。弁護人が紙にプリントアウトをして、それを被告人に差し入れろということなのだと思いますが、これでは余計な時間も費用もかかります。刑事デジタル法の帰結がそういうことになると、デジタル化の名が泣くと思います。当事者であり刑事裁判に最も直接の利害関係を持つ被告人が証拠をそのままの形で見られないというのはおかしなことで、オンライン接見のほかに、電子化された書類の授受ということも重要な課題になると思います。
 これらが直ちに全面的に実現するというのは難しいということだとしても、例えば附則などで将来的な実現に向けた道筋をつけていくということが必要だと思います。その際に重要なことは、現在試行されている電話等による外部交通の利用の妨げになっております秘密性の確保という観点を入れることと、段階的にこれらの制度を実現し、将来の権利化につなげるため、必要な取組を着実に進めていくこと、これを附則等で明記することだと思います。
 身体を拘束されている被疑者、被告人が弁護人と接見し、物や書類を自由に授受できる接見交通権は、弁護人の援助を受ける権利の不可欠の要素と言えます。これらの点についてデジタル化がなされない限り、真の意味での刑事手続のデジタル化は実現しないと考えます。
 国会議員の皆様におかれましては、立法府として、市民、国民の目線からこの法案を御審議いただきまして、適切な御修正をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。拍手
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西
西村智奈美#5
○西村委員長 ありがとうございました。
 次に、樋口参考人にお願いいたします。
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樋口亮介#6
○樋口参考人 御紹介にあずかりました樋口亮介と申します。
 本日は、このような場で意見陳述を行う機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 私は大学で刑法を教えておりまして、先般の法制審議会にて幹事として参加し、実体法の観点から発言させていただきました。
 本日は、法案に賛成の立場から、新設される罪のうち二つについて意見を述べさせていただきます。
 まず、電磁的記録文書等偽造等罪につきまして、直接のきっかけは、令状の電子化に関連して、電子令状の偽造に対応する必要があるとの問題意識でした。
 従来の令状は紙媒体であったところ、電磁的記録の令状を認めると、その行使の際には令状データをタブレット等で名宛て人に表示するという形態が生じます。この形態を念頭に、電磁的記録としての令状として表示されるデータの外観を備えるようなデータを権限のない者が作成し、行使した場合に、適切な罰則を新設する必要があるのではないかという議論が進められました。
 もっとも、このような問題意識のみでは、電磁的記録形態の令状の偽造への対応が必要であるとしても、電磁記録文書等の偽造を一般に処罰するのは過度に広範ではないか、例えば、軽犯罪法一条十五号の定める官公職の詐称等の罪を拡張すれば足りるのではないか、このような疑問も生じるところでございます。
 しかし、現在ではスマートフォンが普及し、行為者がスマートフォンの画面に、作成権限がないのに作成されたデータを表示するといった事案も想定されるという形で、データとしての令状の表示という事案を超える当罰性が指摘できるところです。データを小型の電子機器で持ち歩き、その画面上に表示するというのは新たな現象であり、このような現象への対応が必要であり、立法事実は令状データの偽造に限られないと言えます。
 もっとも、電磁的記録文書等偽造等罪の構成要件は、行為者自身が所持するデータ表示媒体の画面を相手方に示す事案だけに限られるわけではありません。行為者が送信するデータについて、受領者が所持する媒体で表示して閲覧する場合であっても適用可能である点で、必要性、相当性がなお問題になります。
 例えば、私人が公務所の公式のSNSアカウントを乗っ取り、当該アカウントから公式の発表であると誤信させるようなデータを入力、送信し、閲覧者がその内容を読む場合、公電磁的記録文書等偽造及び偽造公電磁的記録文書等行使罪が成立すると思われるのです。ほかにも、権利義務又は事実証明に関するものに限定されるものの、私電磁的記録文書等偽造・行使罪が新設されますので、私人のメールアドレスを乗っ取って送信する、SNSアカウントを乗っ取って送信する事案も処罰対象になり得ます。
 さらには、アカウントの乗っ取りがない場合であっても、データの発信主体が著名人と誤信させるに足りる外観を備えたデータの作成、受領者への発信行為について、権利義務又は事実証明に関するものと言えれば、偽造・行使罪が成立するように思われます。
 これらの現象は、電磁記録文書等偽造等罪新設の議論の直接のきっかけであるところの令状データの偽造という現象とはかなり異なっているのは確かです。また、アカウントの乗っ取りという現象は以前から存在したわけですが、これについては不正アクセス禁止法による対応がなされています。ほかにも、著名人の発信の偽装は、それが財産の詐取に結びつくものであれば、刑法上の詐欺罪による対応が可能でしょう。
 しかし、不正アクセス禁止法も詐欺罪も、データの発信主体を偽るようなデータの作成及び発信行為それ自体を処罰するものではありません。データの偽造及び偽造データの行使は、インターネット社会では以前から存在したのでしょうが、近時、その問題性が強く認識されていることは明らかです。
 刑事罰の新設は、犯罪化することが要請されるような社会的現象の存在という立法事実が重要であると考えます。電磁記録文書等偽造等罪の新設は、刑事手続のIT化の一環として導入される電子令状の偽造という局面、スマートフォン等によるデータの持ち歩きと画面への表示が可能になったことから画面に表示させるデータの偽造という局面への対応、これらが立法事実になります。
 しかし、それと同時に、データの発信主体を偽るデータの作成と発信というネット上の現象についても、アカウントの乗っ取りや詐欺といった対応を超えた対応の必要性が意識されるようになっていることもまた立法事実と見れば、その必要性は明らかでしょう。
 そして、電磁的記録文書等偽造等罪という罪は、従前の文書偽造罪について蓄積されている判例を参照できるという点で、相当な立法との評価が可能です。
 文書偽造罪の成立範囲については様々な議論が存在し、その限界線が一義的に明確とまで評することは困難であるのが実情とは思われるのですが、これは法律の解釈論の性質によるものであり、文書偽造罪固有の欠点というものではございません。
 第二点、電磁的記録提供命令については、刑事訴訟法上の観点が重要ですが、間接罰及び両罰規定が法案になっておりますので、実体法の観点から、多少意見を述べさせていただきます。
 間接罰の一般論として申し上げますと、一定の政策目的を達成するための義務づけについて、その履行を強力に担保することが必要であり、また、罰則を設けてもその弊害が許容範囲に収まるという意味での相当性が認められるかが問題になります。
 電磁記録提供命令に罰則を設ける立法事実については、捜査の実情を知らない研究者が何かを申し上げることは容易ではありませんが、クラウドの利用が一般化した現在の社会生活への対応として、データ提出に非協力的な事業者に強制する必要性、及びデータを保護する暗号技術の著しい向上による捜査の困難状況への対応の必要性は認められるように感じられます。
 また、相当性については、電磁記録提供命令の濫用にわたらない制度になっているとの刑事訴訟法上の評価によって基本的に基礎づけられると言えます。
 実体法的観点から独自の相当性の評価に関する視点としては、被疑者、被告人を名宛て人にする義務履行の罰則による強制の当否という問題があります。
 例えば、刑法典上の証拠偽造罪は犯人自身は主体にならないところ、学説では、犯人が自らの犯罪の証拠を隠滅することはやむを得ないとの発想があり、期待可能性がないと表現されているところです。この期待可能性の議論を被疑者、被告人を名宛て人とする電磁的記録提供命令に及ぼしますと、自らの犯罪の証拠を開示させることにつながる点で期待可能性が認められないとの議論が問題になり得ます。
 しかし、例えば、特殊詐欺の被害金を隠匿するマネーロンダリングについては詐欺の犯人も処罰するとの立法がなされていることから明らかなのですが、期待可能性という視点をどこまで重視するかは立法政策に依存します。被疑者、被告人を名宛て人とする制度導入の必要性が高い場合、期待可能性の視点を後退させることも立法として可能と言うべきでしょう。
 両罰規定について、一般論として言いますと、事業に関連して生じる違法行為について、事業者の刑事責任を問うことが必要、相当である場合に導入されるべきものです。
 電磁記録提供命令について申し上げますと、データを保管する事業者の内部の従業員が個人の判断で命令に応じないとの意思決定をすることは通常考え難いように思われ、データ提供命令に応じない事業者自体の刑事責任を問うことが必要と考えられます。両罰規定を導入する場合、電磁記録提供命令の不履行の意思決定に関与した代表者、従業員等といった自然人と法人事業主に刑事罰が科されることになりますが、これは組織体による違法行為への対応として一般的なものであり、相当でないと評価されるものではありません。
 私からの意見陳述は以上になります。御清聴ありがとうございました。拍手
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西
西村智奈美#7
○西村委員長 ありがとうございました。
 次に、指宿参考人にお願いいたします。
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指宿信#8
○指宿参考人 おはようございます。成城大学から参りました指宿と申します。
 本日は、意見陳述の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は三十五年ほど、刑事訴訟法、法情報学、情報法などを教育、研究してまいりました。刑事訴訟法の分野では、これまで、取調べの可視化、録音、録画制度、証拠開示、あるいは最近話題になっています再審法、誤判救済問題等々を研究してまいりました。
 情報通信技術の進展に関わりましては、主に情報学、法情報学の立場から、一九九八年ぐらいから、司法のIT化を熱心に唱える、そういう論考を数多く書いてまいりましたので、また、書籍も出版しておりますので、司法制度にITを利活用するという点については、全面的に、前提として賛成している次第です。
 ところが、本日意見を述べさせていただきます電磁的記録提供命令、以下では省略して提供命令と申し上げますけれども、この点につきましては、反対の立場から意見を申し述べる所存です。
 お手元に私の意見陳述資料がございますので、こちらを、細かい資料になっておりますので、要点をかいつまんでお話ししながら、私の意見を御説明させていただきます。
 まず、今般の個人情報や通信情報に関わる提供命令の前提として、これまで、従来どういう手段が取られているかということを確認した上で、本提供命令の特徴というものをはっきりさせていきたいと思います。
 スライドの二を御覧ください。
 まず、現在存在する処分としましては、任意処分で捜査関係事項照会制度というものがございます。これは任意処分ですので強制することはできませんけれども、後ろにありますように、後ろに補足資料の一で捜査関係事項照会に関するデータをお示ししていますけれども、基本的に、事業者にとっては、照会状が来れば全部出すというのが実務であるというふうに承っております。
 また、強制処分としましては、今回の提供命令の新設によって廃止されるとされています旧記録命令付差押えというものがございます。これは非常によく似た制度ですけれども、何が違うかということは、スライドの三に、提供命令を真ん中に置き、左側に記録命令付差押え、右側に捜査関係事項照会というものを置いて、分かりやすくしております。
 例えば、処分内容ですけれども、これはいずれも、記録命令付差押えも事項照会も、電磁的記録の保管者から提出させる、提供させるという点で、ほとんど同種のものであります。違うのは、これに対して間接強制を加えるというところです。捜査関係事項照会は任意処分ですから当然ありませんけれども、現実には、照会状が来れば出すという実務が定着している。それに対して、記録命令付差押えには間接強制がないというところが大きな違いだろうというふうに思います。
 また、保秘要請、処分の漏えい禁止につきましては、捜査関係事項照会には条文上これが明記されており、照会状の中の一番下に、下段にこれがはっきりと書かれています。これに対して、記録命令付差押えにはございません。この点が今回の提供命令の大きな特徴であり、しかも、これに違反した場合に罰則が加えられるというところが特徴であろうというふうに思います。
 ただ、では、なぜこの新たな提供命令を創設するに至ったか。従来の記録命令付差押えや捜査関係事項照会でいかなる不具合があったのかという、立法事実が全く提出されていないところであります。
 法制審議会に先立つ検討会では、エピソード的に捜査関係者からこのような支障があるというふうな物語が語られていますけれども、私が探したところ、捜査関係事項照会でどのような不具合があったか、あるいは記録命令付差押えでどのような、何件執行され、何件思うようなデータが取得できなかったかというような統計が全く提出されていないのが、今回の立法経緯の特徴であろうと思います。
 具体的な問題としては、六点挙げております。
 まず第一は、被処分者です。
 今回の提供命令は、電磁的記録を保管する者と、これを利用してサービスを行っている事業者、この両方が対象になっているのが特徴であろうと思います。
 捜査関係事項照会や記録命令付差押えは、ほぼ事業者を対象にしたものと想定されていますが、これが、被処分者が被疑者、被告人、またその家族も対象に含まれます。この点が大きな問題であろうと思います。
 こうなりますと、当然、被疑者、被告人が本来有するべき権利利益がどのように保護されるか、あるいは、電気通信に関わるサービスを行う事業者の個人情報保護の義務がどのように担保されるかということが問題になるわけですけれども、それぞれについて十分な担保がなされているとは考えられません。他国の制度を挙げておきました。
 また、提供されるべき対象データについても、特定性がございません。あらゆるデータが対象になっている。また、その種類、内容に制限がありません。大量に取得された場合の探索的な取得に対する歯止めがありません。
 特に、今般の提供命令については、事前の令状請求に対する審査というものが用意されていますけれども、いかなる情報が取得されて保管されているかという事後的なチェック、事後的な保護手段が用意されていないのが今回の欠点として指摘できると思います。
 三番目は、保秘要請ですね。
 保秘要請の要件が抽象的に過ぎると思われます。また、保秘期間の定めもございません。また、保秘に対する被疑者、被告人側からの不服申立てがありません。同種の規定はドイツの刑事訴訟法にございますけれども、被疑者への通知延期は最大六か月で、延期はあくまで例外であるというふうに条文上定められています。また、違反に対する罰則も重過ぎるのではないかと思います。
 四点目は、電磁的記録の保管、保存です。
 これは、先般のGDPRの日本側の十分性認定に先立って、欧州側から指摘されていた問題です。捜査機関による個人情報の収集につき透明性に欠けるという指摘がございました。これは補足資料の二で詳細に説明しておりますので、こちらを御参照ください。
 特に、電磁的記録に関わる、あるいは通信に関わる事業者からデータを押収した場合、そのデータ主体である個々人に対する告知の規定がございません。つまり、事業者側は不服申立てはできるけれども、データ主体である個々人は全く自分のデータが取得された、収集されたことに気づかないまま事態が推移する、捜査が推移するということがございます。これは各国で大きな問題となっており、やはり事後的なチェック、あるいはデータ主体に対する告知制度を設けるというような担保が取られているところです。
 五点目としましては、先ほど来申し上げています間接強制ですね。
 被疑者、被告人を被処分者に含める、今回の提供命令の対象とすることからしますと、これは黙秘権の侵害と重なってくるのだろうと思われます。
 最後は、内容確認措置と必要な処分です。
 今般の法案では、内容確認のため必要な処分ができるということになっていますけれども、これはいわゆるアクセス制御の解除を念頭に置いたものだろうと思われますが、これについて、例えばイギリス法では、パスワード開示要求を間接強制することは法的に認められていますが、一定の要件が課されています。国家安全保障、犯罪発生の防止、犯罪の探知、英国経済利益の保護といった要件が課せられているところです。
 このように、各国の法制度を比較した丁寧な比較法的検討がされていないのが今般の立法経緯ではないかと思います。そうした点を、全体的評価として、スライドの十に掲げておきました。
 また、電気通信事業者や通信に関わる事業者からデータを取得することが前提になっているところ、個人情報保護法の専門家が今般の法案作成の議論に参加していないという点も私は問題ではないかというふうに思いますし、そうした大量の個人情報を取り扱う大規模事業者等からの意見聴取も公的にはなされていないというふうに承知しています。これらの点は、先生方の方で、是非、この立法についてお考え直しいただきたい。
 一言で申しますと、個人情報、通信情報を扱う大規模事業者に対する取得処分と被疑者等の管理する電磁的記録へのアクセスを同じ提供命令という一つの行政処分で一緒に立法しようとしたというところが、これがミスマッチなのではないかというふうに私としては評価している次第ですので、是非御検討いただきたいと思います。
 以上です。拍手
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西
西村智奈美#9
○西村委員長 ありがとうございました。
 次に、池田参考人にお願いいたします。
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池田公博#10
○池田参考人 皆さん、おはようございます。ただいま御紹介にあずかりました京都大学の池田でございます。
 本日は、このように参考人として意見を述べる機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じております。お礼を申し上げます。
 私は、大学では刑事訴訟法の研究、教育に携わっております。そして、今回の法律案につきましては、法制審議会刑事法部会において委員として審議に加わりました。本日は、部会での議論を踏まえまして、法案に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
 初めに、総論的に申し上げますと、刑事手続における情報通信技術の活用は、国民負担の軽減や、あるいは手続の適正さの一層の向上をもたらすことが期待されるものである一方、技術的手段への置き換えによって、構築する制度のいかんによっては、かえってその適正さを損なったり、あるいは手続の趣旨、目的の実現を損なうものとなるおそれもあります。
 刑事手続の全般にわたり情報通信技術の導入を図る今般の法案も、個々の施策ごとにそうしたメリット、デメリットの比較検討を経て作成されたものと承知しており、その当否を始めとして、検討に値する論点は多岐にわたるものと承知しておりますが、本日は時間も限られておりますので、これまでの議論においての中心的な検討課題の一つとされてきた電磁的記録提供命令の導入について意見を申し上げたいと存じております。
 以下、基本的に、お配りした資料に沿って話を進めさせていただきます。
 まず、電磁的記録提供命令は、必要な電磁的記録を、その保管者に対して、当該命令をする者の管理に係る記録媒体に記録させ又は移転させる方法により提供することを命じることとされており、記録媒体の差押えを伴うことなく必要な電磁的記録を保全するものとされています。
 電磁的記録提供命令は、とりわけ電磁的記録媒体をその対象とする差押えや現行法九十九条の二の規定する記録命令付差押えと比べると、差押えや記録命令付差押えが物の占有の取得を内容とするものであるのに対し、電磁的記録提供命令は、必要な記録そのもの、あるいは必要な記録の記録された記録媒体を提供させるものである点に違いがあります。一方で、電磁的記録の保全を目的とする点で、共通する性質を持っております。
 このように、記録を保全するものであるという点で、通信内容を保全するための、通信傍受との同質性に思い至るかもしれません。
 ただ、さきに述べた差押え等が、電磁的記録提供命令も含め、いずれも処分の時点で既に電磁的記録として存在する記録の保全に向けられたものであるのに対し、通信傍受は、処分の実施と並行して、いわばリアルタイムに発生する通信を対象とする点において、処分の性質に違いがあり、処分に及ぶ規律にもその性質に応じた差異が生じ得るものと考えられます。
 そこで、その規律の内容について見てまいります。
 捜査機関が電磁的記録提供命令をする場合、令状が必要とされ、そのための令状には、提供させるべき電磁的記録、提供させるべき者及び提供の方法等の記載が求められています。これは、捜査機関に裁判官のあらかじめ発する令状に記載された範囲での電磁的記録の保全を認めるものであり、憲法第三十五条の令状主義の要請を受けたものです。
 この趣旨に鑑みると、保全の認められる提供させるべき電磁的記録の範囲は、保管者の保管に係る被疑事実に関連性を有する電磁的記録に限定されることになります。そして、その対象は、現行の記録命令付差押えと同じく、必要な電磁的記録であり、電磁的記録提供命令となっても、その範囲に違いはありません。
 他方で、確かに、現代の社会において用いられているデータの総量は以前に比べれば膨大なもので、それに応じて保全されるべき記録の容量も膨大なものになり得るわけですけれども、膨大であるということと、それが捜査や立証と無関係であるということとは当然には結びつかないものと考えられます。
 次に、この電磁的記録提供命令は、その対象から被疑者が除外されておりません。そのために、場合によっては、被疑者に対し、自身に不利益な電磁的記録の提供を罰則の担保の下に命じることがあり得ることになります。それが憲法第三十八条第一項の定める黙秘権と抵触するとの指摘もあります。
 ここで黙秘権が強要を禁じる供述とは、口頭によるか文書によるかを問わないものの、言語を用いた観念の表出などと理解されております。そのため、処分によって新たに観念の表出を強いるものでなければ、黙秘権の保障には抵触しないと考えられます。実際、通常の差押えにおいても、被疑者が既に作成した文書がその対象となることはあるものの、その場合も、黙秘権が禁じる供述の強要とはされていません。また、最高裁判所の判例は、酒気帯び運転のおそれがある者に対し呼気検査を実施することは、その供述を得ようとするものではないから、検査を拒んだ者を処罰しても憲法三十八条一項に違反するものではないとしています。
 同様に考えれば、電磁的記録提供命令の対象も、既に存在する電磁的記録である以上、その提供を命じても供述の強要には当たらないと考えられますので、黙秘権の保障と抵触することとはなりません。
 また、命じられる記録には、電磁的記録に付されたパスワードを解除して行うことも想定されていますが、新たにパスワードを伝えるように強いることを意味しないため、この場合も黙秘権には抵触しません。そのため、もちろん、そうした誤解の生じないようにする必要はあるものの、規定それ自体が憲法に違反するということにはならないものと考えられます。
 また、電磁的記録提供命令は、記録の保管者に命じられるものである一方、それを保管させている者、便宜的に情報主体という言葉を使いますが、情報主体の知らないうちに記録が捜査機関に提供されてしまうことがその者の権利保障との関係で問題があり、処分がなされたことを情報主体に通知する旨の定めが必要との指摘もあります。
 もっとも、従来、他人の保管する自分のものであっても押収等の対象とされることがありましたが、その場合に、その情報主体に通知すべき旨の規定は置かれていません。とりわけ、記録命令付差押えについては、まさに指摘されているような事態が生じることとなりますが、現在も同様の扱いとされております。
 このように、現行刑事訴訟法は、被処分者、処分を受ける者以外の処分に利害を有する者には、処分実施の事実を伝えるものとはしていません。そして、電磁的記録提供命令の創設によっても、情報主体の地位は従前の記録命令付差押えの場合と異なるものではない以上、今回の法改正によってこれまでと異なる対応が求められることにはならないものと考えられます。
 また、提供された電磁的記録の保管や消去に関する規律を設けるべきとの指摘もあります。
 もっとも、これも先ほど述べたところと同様に、電磁的記録提供命令の創設によって、情報主体との関係で、記録命令付差押えが実施された場合と質的に異なる問題が生じるものではありませんので、ここでも、今回の法改正によって従前と異なる対応が求められることにはならないものと考えられます。
 もちろん、そのこと自体の当否には様々な意見があろうかと思われます。特に、処分が違法として取り消された場合に、なお複製された記録が捜査機関の手元に残り、依然として利用可能とされることは不合理だとの考えもあり得るでしょう。
 もっとも、最高裁判所の判例の内容ともなっている現在の基本的な考え方の下では、処分の違法は、その処分によって得られた資料等の利用可能性を当然に失わせるものではないとされています。そして、これは証拠一般に妥当する考え方であり、電磁的記録に限ったものではありません。さらには、証拠を保全する処分の性質にも様々なものがあり、それらの違いをも踏まえた検討が必要となると思われます。
 したがって、仮に処分取消し後の記録の消去等を検討するのであれば、さきに述べた基本的な考え方に及ぼす影響も考慮に入れながら、さらには、電磁的記録に限定されない、刑訴法全体に及ぶ大がかりな検討が求められる作業という大規模な課題であるものと認識をしております。
 以上で私の話を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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西
西村智奈美#11
○西村委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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西
西村智奈美#12
○西村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井出庸生さん。
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井出庸生#13
○井出委員 おはようございます。自由民主党の井出庸生と申します。
 本日は、五人の先生方、誠にありがとうございます。
 早速ですが、今日は、電磁的記録提供命令に絞って、先生方の御知見をいただきたいというふうに思います。
 まず、池田先生に伺いたいと思います。
 お話の中で、現行の記録命令付差押えと今度の提供命令というものは、処分の性質に違いはないというようなお話がございました。その一方で、これまでは媒体として取ってきたものを、今度は媒体ではなくて、情報そのものを取ってくるという変化があると思います。
 特に、裁判所が令状を発付する際の令状審査については、媒体があるかないかで、例えば警察、検察官が書かなければいけない提出させるべき電磁的記録が、より限定されたものでなければいけないですとか、もっと言えば、今度の命令には罰則が伴いますので、裁判所もこれまで以上に慎重な令状審査が求められるのではないかなと思うんですが、その辺り、池田先生のお考えを聞きたいと思います。
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池田公博#14
○池田参考人 お答え申し上げます。
 まず第一点は、媒体がついているかどうかによって、移転すべき、あるいは記録すべき情報の範囲に違いがあるかどうかということと理解しましたけれども、実際上は媒体の容量によって制約があると思いますけれども、現在も、媒体の容量は非常に、飛躍的に増大しておりますので、それが処分の性質に質的な差異をもたらすものではないと考えられます。やはり捜査あるいは立証に必要な記録を記録させるという点では共通の性質を持っていると考えてよいものと思われます。
 二点目の、罰則があるので裁判官の審査が慎重になるのではないかということは、実際上はそのような効果が生じるだろうというふうには思われますけれども、従前の記録命令付差押えも、最終的には媒体を強制的に取得するという形で強制処分が実施されるものとされておりまして、だから安易な審査が行われていたとは思わないところであります。やはり審査の対象は、あくまで記録すべき記録が関連性の範囲にとどまっているかどうかということでありまして、その点に質的な差異はないものというふうに考えております。
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井出庸生#15
○井出委員 ありがとうございます。
 同じ質問を、法制審の幹事をされていた樋口先生にも伺いたいと思います。
 令状審査に臨む裁判官の令状審査の在り方について、変化があるとお考えか、これまでと同じでいいとお考えか、そこを伺っておきたいと思います。
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樋口亮介#16
○樋口参考人 お答え申し上げます。
 専門が刑法の見地でして、令状審査の実情を存じ上げるわけではないということはお断りさせていただきますけれども、事実上の効果として、罰則があることを意識するようになるという変化はあるでしょうけれども、理論面から見たときに、強制処分として許される範囲を審査するという、そのような運用自体には変化がないはずであるというふうに考えます。
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井出庸生#17
○井出委員 吉開先生にも伺いたいと思います。
 先生は平成二十六年まで検察官をされていたということで、今の、旧法の差押えの方は多分平成二十三年頃の法律議論であったかと思いますので、少し重なっているかなとも想像するところなんですが、先ほど申し上げました、検察官又は警察官が令状に記載すべき提出させる電磁記録というものについては、媒体があっても媒体がなくなっても変わらぬ記載でいいのか、それとも、媒体ではなくなるからより限定したものを書かなければいけないと考えるか、ちょっとその辺りを教えてください。
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吉開多一#18
○吉開参考人 お答えいたします。
 当時から、記録命令差押えのときから限定は行ってきたということですので、そこが今後変わるということもないと思います。
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井出庸生#19
○井出委員 再び池田先生に教えていただきたいと思います。
 先生のレジュメの(5)、電磁的記録の情報主体に対する通知の要否、これは、今の差押えの規律でも必要はないとされている。平成二十三年、民主党政権のときに立法審議があったものですが、その際、江田五月法務大臣は、手紙を押収するときに手紙の差出人にそのことを伝えるばかがどこにいるんだと。ばかとは言わなかったです、もっと丁寧な言い方をしたんですが、それはそのとおりだと思うんです。ただしかし、電磁的情報は、手紙というわけにはいかない。
 それから、(6)なんですが、保管、消去というものが、物であれば、ある程度限られた場所に、スペースに保管しておくということは可能だと思いますが、データであれば、パソコンの中の話にメインはなってくるのかなと思います。
 先生がおっしゃった、押収されたものが違法であったとしても直ちにその押収物の証拠能力は否定されないというお話は、昭和の五十三年の最高裁判例でそのとおりだと思いますし、法務大臣の答弁でも、そのような考え方をもって、先生が先ほどおっしゃったように、現行の刑事法にはなじまないとか、全体への影響というようなところも、それは法務省、法務大臣も指摘しているところです。
 しかし一方で、もう御存じだと釈迦に説法で大変申し訳ありませんが、その最高裁判例は、令状主義の精神を没却するような重大な違法があって、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合において、その証拠能力は否定されると。
 このデータの話は、媒体とはいえ、それから指宿先生がおっしゃった任意の手法によって、データというものは、かなりのものはもう実際に捜査の中で使われていると思います。
 では、それが今回の提供命令によってどれだけ広がるのか。広がる懸念もあるという御意見もあれば、もう既に広がっているだろうというような御意見もあります。
 しかし、これまでの媒体とか物を基本にやってきた刑訴法の考え方から、物を取っ払うわけですね。そこはちょっと慎重に入らないと、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でない、この判例は、将来性に重きを置いているわけですね、将来起こり得ることにですね。
 そのことは、ここで媒体という概念がなくなる提供命令が出るわけですから、将来のことを考えた慎重な取扱いというものは必要ではないかと思いますが、先生のお考えをいただきたいと思います。
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池田公博#20
○池田参考人 お答え申し上げます。
 電磁的記録提供命令ということで、電磁的記録に着目した処分となることによって、違法収集証拠排除法則と呼ばれる考え方の適用の在り方に違いが生じるのではないかという御指摘と理解しております。
 しかしながら、先ほどのお答えの繰り返しになるかもしれませんけれども、処分の目的はあくまで必要な電磁的記録の保全ということでありまして、媒体が関与しない、関わらないということによって、当然にそれが広がるということ、従前の記録命令付差押えの範囲と質的に異なる拡張をもたらすものではないと考えられます。
 将来にわたる影響も踏まえて考慮すべきだという御指摘は、なるほど、確かにそのとおりだというふうに考えておりますけれども、そこで念頭に置かれておりますのは、現に起きた違法な捜査の在り方というものが将来にわたって反復されてはならない、そういうことを述べるものでありまして、過去に起きた具体的な捜査手法の当否を、どれだけ将来にわたって繰り返されてはならないかという観点から評価すべきものであって、電磁的記録提供命令が導入された後も、電磁的記録提供命令そのものについてそのような評価が当てはまるかどうかということを考えることになるのだと思っております。具体的になされた処分、その当否を論じることになるものと考えております。
 以上です。
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井出庸生#21
○井出委員 なかなか、では、今回の提供命令によって何を将来的に気をつけなければいけないかというところも、私自身もちょっと直ちに思い浮かぶものがないというのは、現時点ではそういう状況でございます。無論、これまでにあったように、そもそも令状自体が偽造であるとか、そういうものは論外だと思いますが、何か少し気をつけるべきところは、これから考えていかなきゃいけないと思います。
 それから、先生のレジュメで保管、消去のところのお話を触れていただきましたので、ちょっと伺いたいと思います。
 法務省、法務大臣の答弁の中でも、今回のものは現行の法律によって適切に保存されていくという話があって、御存じのとおり、裁判で確定したものについては確定記録法、不起訴のものについては不起訴の文書の保存の規定があったりするわけですけれども、中には警察から検察に送致されないものですとか、それも、いろいろ警察庁の通知等で、必要がなくなったら処分しろとか、DNA、指紋も被疑者が死んだら処分しろとか、そういうものはあるんですが、ここは非常に難しいところで、保存、消去の規定を設けて、消去をすれば二度と取り返しがつかない。
 例えば、再審事件に関して言えば、ないないと言われていたものが結果的にあって、冤罪が数十年も後に、かかってしまっていることは問題ですけれども、晴らされるということもあって。
 少しこの法律から外れるとはいえ、その関係性は非常に重要だと思いますが、捜査の記録や証拠物、文書の法整備の必要性というものについての先生のお考えをいただきたいと思います。
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池田公博#22
○池田参考人 お答え申し上げます。
 捜査の過程で収集された物件がいつまで保管されるのか、必要がなくなったときにどのように処理されるのかということについて明確な規定がないというのは、御指摘のとおりであります。既に法務大臣等からも説明があったように、適切に保管されているという説明の範囲で運用されているものと承知しております。
 これは、委員御指摘のとおりですけれども、今回の法改正に限った話ではなくて、刑事手続全般にわたる重要な課題であるとは考えておりまして、全般を見通した検討が求められるという点で、さきに述べたとおりの見解を持っております。
 以上です。
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井出庸生#23
○井出委員 ありがとうございます。
 まだ少し時間があるので、今後の議論の参考のために、引き続き先生にお尋ねをしたいんです。
 先ほどの最高裁判例を国会の答弁等で扱うときに、違法に収集されたものも直ちにその証拠能力を失うわけではない、その一方で、私が触れた、令状主義とかを没却する重大な違反があるのであれば、それはきちっとその証拠能力が否定されなきゃいけない。
 私は、その両方をきちっと国会審議の中で、質問する方も質問し、答弁する方も答弁しなきゃいけないと思うんですけれども、そこをちょっと、先生の御見識だけいただいておきたいと思います。
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池田公博#24
○池田参考人 お答え申し上げます。
 排除法則の適用の在り方について、これはなかなか個別の事案ごとに特徴がありまして、収集手続の違法の悪質さといいますか、そういうものは様々でございまして、研究者にとっても、なかなかこうだという一律の議論をすることが難しいという理解を持っております。
 したがいまして、議論されることは非常に有意義だと思いますけれども、ルールとして明確化していくには、やはり電磁的記録提供命令の運用も含めて、事案の蓄積を待って、更に判断の精緻化を図っていくということと併せて議論されるべきことだろうというふうに考えております。
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井出庸生#25
○井出委員 時間も参りました。
 本日は、先生方、大変ありがとうございました。
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西
西村智奈美#26
○西村委員長 次に、鎌田さゆりさん。
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鎌田さゆり#27
○鎌田委員 おはようございます。
 本日は、それぞれの専門家の皆様、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。立憲民主党の鎌田と申します。
 今回の法改正、これは、捜査機関の便宜に偏って、国民の権利利益の保護、実現という視点を欠いた不公平なものにしてはならないと私自身、本会議それから今週は火曜日にこの委員会でも議論がありました、そういったことを強く、やり取り、質疑を通して感じた一人として伺ってまいりたいと思います。
 最初に、まず坂口参考人に伺いたいと思います。
 日弁連さんでは、電磁的記録提供命令の執行をするときは、処分を受ける者に対し、この命令は自己の意思に反して供述をすることを命ずるものではないことを教示しなければならないものとするべきだという御意見ですけれども、それを明文で規定する必要性について、もう少し詳しく教えていただきたく存じます。
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坂口唯彦#28
○坂口参考人 御質問ありがとうございます。
 電磁的記録提供命令制度が供述を強制するものではないということは、法制審部会第十五回会議の法務省の参事官の御発言の中にも、当該電磁的記録について、解除するパスワードなども含めて、供述を命ずることはない、命ずる義務はないですという御回答をいただいており、この法案でも前提にはなっているんだと思うんですよね。
 ただ、実際のところ、法律の知識がない市民の方が今回の命令を受けた場合に、例えばパスワードについても供述をしなきゃならないというふうに誤解を受けるということは十分あり得るということだと思うんです。誤解をしてしまって、パスワードを結果的に言うことを強制されてしまう。しかも、今回の命令は刑事罰も伴っておりますので。
 そうすると、そういうことを防止するために、この命令の執行に当たって、命令が自己の意思に反して供述することを命ずるものではないですよという、ある意味当たり前のことをきちっと明確に伝えるということを明文で求めるという必要性を強く感じております。
 少し例は異なりますけれども、例えば、映画とかドラマ等で、逮捕された被疑者の方に黙秘権の話とかあるいは弁護人を頼む権利の御説明がある場合がありますよね。ほかの制度でも、やはり一定の処分を受ける方が権利であるとか説明を受ける告知というのは、実際制度としても存在しますし、運用としてもございます。
 やはり、今回の命令制度というのが広く新しい制度である以上、そういったことをしっかりルール化しておく必要があるというふうに、日弁連、私は考えております。
 以上です。
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鎌田さゆり#29
○鎌田委員 ありがとうございました。
 その第十五回の法制審での参事官の発言を私も議事録で拝見しまして、それが今回の法改正に反映されていないなという疑問は残っておりますので、ただいまの御意見は非常に尊重したいなという気持ちで伺いました。ありがとうございます。
 次に、指宿参考人に伺いたいと思います。
 法制審の刑事法部会設置に先立つ検討会、こちらも先ほどの意見陳述で御紹介をくださいまして、同検討会で取りまとめの報告書ができ上がりました。それも見ますと、検討会でまとめられた報告書で確認された基本的認識というものが、今回の法改正にどこに反映されているのか。全部とは言いませんけれども、なかなか反映がされ切れていないなという疑問を抱いていた一人として、うなずきながら先生のお話を伺っていたんですけれども。
 そこで伺いたいのは、電磁的記録提供命令の執行をするときは、処分を受ける者に対して、この命令は自己の意思に反して供述をすることを命ずるものではないことを教示しなければならない旨を明文で規定することについて、例えば正当な捜査の妨げとなるなど何らかの弊害が生じるということは考えられますでしょうか、御意見を伺いたいと思います。
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