法務委員会
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会
会議録情報#0
令和七年六月十七日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 西村智奈美君
理事 小泉 龍司君 理事 津島 淳君
理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上田 英俊君 英利アルフィヤ君
鬼木 誠君 上川 陽子君
神田 潤一君 河野 太郎君
寺田 稔君 平沢 勝栄君
向山 淳君 森 英介君
若山 慎司君 有田 芳生君
篠田奈保子君 柴田 勝之君
寺田 学君 平岡 秀夫君
藤原 規眞君 松下 玲子君
萩原 佳君 藤田 文武君
小竹 凱君 大森江里子君
平林 晃君 本村 伸子君
吉川 里奈君 島田 洋一君
…………………………………
法務大臣政務官 神田 潤一君
参考人
(麗澤大学経済学部教授) 八木 秀次君
参考人
(一般社団法人あすには代表理事) 井田 奈穂君
参考人
(事実婚当事者) 割田 伊織君
参考人
(第三次選択的夫婦別姓訴訟弁護団長) 寺原真希子君
参考人
(一般社団法人男女共同参画学協会連絡会アンケートWG委員長) 志牟田美佐君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
―――――――――――――
委員の異動
六月十七日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 鬼木 誠君
神田 潤一君 英利アルフィヤ君
棚橋 泰文君 向山 淳君
同日
辞任 補欠選任
英利アルフィヤ君 神田 潤一君
鬼木 誠君 井出 庸生君
向山 淳君 棚橋 泰文君
―――――――――――――
六月十六日
国籍選択制度の廃止に関する請願(枝野幸男君紹介)(第二九九九号)
元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(枝野幸男君紹介)(第三〇〇〇号)
選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(佐々木ナオミ君紹介)(第三〇〇一号)
同(櫛渕万里君紹介)(第三三三一号)
選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第三〇〇二号)
同(櫛渕万里君紹介)(第三三三二号)
治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(坂本祐之輔君紹介)(第三〇〇三号)
同(渡辺創君紹介)(第三〇〇四号)
同(本村伸子君紹介)(第三二〇六号)
同(伊藤俊輔君紹介)(第三三三三号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三三三四号)
同(長妻昭君紹介)(第三三三五号)
同(下野幸助君紹介)(第三四五一号)
同(末松義規君紹介)(第三四五二号)
裁判所の人的・物的充実に関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第三〇〇五号)
同(黒岩宇洋君紹介)(第三〇〇六号)
同(藤岡たかお君紹介)(第三〇〇七号)
同(本村伸子君紹介)(第三三三六号)
再審法改正(刑事訴訟法の一部改正)を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇〇八号)
同(志位和夫君紹介)(第三〇〇九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三〇一〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三〇一一号)
同(田村貴昭君紹介)(第三〇一二号)
同(田村智子君紹介)(第三〇一三号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三〇一四号)
同(本村伸子君紹介)(第三〇一五号)
同(本村伸子君紹介)(第三二〇七号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第三三三七号)
選択的夫婦別姓制度導入の民法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一七九号)
同(新垣邦男君紹介)(第三一八〇号)
同(臼木秀剛君紹介)(第三一八一号)
同(大塚小百合君紹介)(第三一八二号)
同(尾辻かな子君紹介)(第三一八三号)
同(神谷裕君紹介)(第三一八四号)
同(菊田真紀子君紹介)(第三一八五号)
同(坂本祐之輔君紹介)(第三一八六号)
同(櫻井周君紹介)(第三一八七号)
同(志位和夫君紹介)(第三一八八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三一八九号)
同(篠田奈保子君紹介)(第三一九〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三一九一号)
同(田村貴昭君紹介)(第三一九二号)
同(田村智子君紹介)(第三一九三号)
同(堤かなめ君紹介)(第三一九四号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三一九五号)
同(松尾明弘君紹介)(第三一九六号)
同(松下玲子君紹介)(第三一九七号)
同(村岡敏英君紹介)(第三一九八号)
同(本村伸子君紹介)(第三一九九号)
同(森田俊和君紹介)(第三二〇〇号)
同(矢崎堅太郎君紹介)(第三二〇一号)
同(柳沢剛君紹介)(第三二〇二号)
同(米山隆一君紹介)(第三二〇三号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第三二〇四号)
同(渡辺周君紹介)(第三二〇五号)
同(青柳陽一郎君紹介)(第三三三八号)
同(東克哉君紹介)(第三三三九号)
同(五十嵐えり君紹介)(第三三四〇号)
同(井坂信彦君紹介)(第三三四一号)
同(伊藤俊輔君紹介)(第三三四二号)
同(稲富修二君紹介)(第三三四三号)
同(岡田悟君紹介)(第三三四四号)
同(小川淳也君紹介)(第三三四五号)
同(河西宏一君紹介)(第三三四六号)
同(金子恵美君紹介)(第三三四七号)
同(亀井亜紀子君紹介)(第三三四八号)
同(川原田英世君紹介)(第三三四九号)
同(許斐亮太郎君紹介)(第三三五〇号)
同(篠原豪君紹介)(第三三五一号)
同(白石洋一君紹介)(第三三五二号)
同(仙田晃宏君紹介)(第三三五三号)
同(宗野創君紹介)(第三三五四号)
同(高橋永君紹介)(第三三五五号)
同(武正公一君紹介)(第三三五六号)
同(長友慎治君紹介)(第三三五七号)
同(西岡秀子君紹介)(第三三五八号)
同(野間健君紹介)(第三三五九号)
同(波多野翼君紹介)(第三三六〇号)
同(馬場雄基君紹介)(第三三六一号)
同(日野紗里亜君紹介)(第三三六二号)
同(平岡秀夫君紹介)(第三三六三号)
同(福田淳太君紹介)(第三三六四号)
同(藤原規眞君紹介)(第三三六五号)
同(古川元久君紹介)(第三三六六号)
同(円より子君紹介)(第三三六七号)
同(三角創太君紹介)(第三三六八号)
同(森山浩行君紹介)(第三三六九号)
同(山登志浩君紹介)(第三三七〇号)
同(吉川元君紹介)(第三三七一号)
同(吉田はるみ君紹介)(第三三七二号)
同(石川香織君紹介)(第三四五三号)
同(今井雅人君紹介)(第三四五四号)
同(梅谷守君紹介)(第三四五五号)
同(尾辻かな子君紹介)(第三四五六号)
同(長友よしひろ君紹介)(第三四五七号)
同(本庄知史君紹介)(第三四五八号)
同(升田世喜男君紹介)(第三四五九号)
子どもの性被害に三年の民事消滅時効を適用させないための新しい法律の制定を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第三四五〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
民法の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外五名提出、衆法第二九号)
婚姻前の氏の通称使用に関する法律案(藤田文武君外二名提出、衆法第三〇号)
民法の一部を改正する法律案(円より子君外四名提出、衆法第三五号)
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 西村智奈美君
理事 小泉 龍司君 理事 津島 淳君
理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上田 英俊君 英利アルフィヤ君
鬼木 誠君 上川 陽子君
神田 潤一君 河野 太郎君
寺田 稔君 平沢 勝栄君
向山 淳君 森 英介君
若山 慎司君 有田 芳生君
篠田奈保子君 柴田 勝之君
寺田 学君 平岡 秀夫君
藤原 規眞君 松下 玲子君
萩原 佳君 藤田 文武君
小竹 凱君 大森江里子君
平林 晃君 本村 伸子君
吉川 里奈君 島田 洋一君
…………………………………
法務大臣政務官 神田 潤一君
参考人
(麗澤大学経済学部教授) 八木 秀次君
参考人
(一般社団法人あすには代表理事) 井田 奈穂君
参考人
(事実婚当事者) 割田 伊織君
参考人
(第三次選択的夫婦別姓訴訟弁護団長) 寺原真希子君
参考人
(一般社団法人男女共同参画学協会連絡会アンケートWG委員長) 志牟田美佐君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
―――――――――――――
委員の異動
六月十七日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 鬼木 誠君
神田 潤一君 英利アルフィヤ君
棚橋 泰文君 向山 淳君
同日
辞任 補欠選任
英利アルフィヤ君 神田 潤一君
鬼木 誠君 井出 庸生君
向山 淳君 棚橋 泰文君
―――――――――――――
六月十六日
国籍選択制度の廃止に関する請願(枝野幸男君紹介)(第二九九九号)
元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(枝野幸男君紹介)(第三〇〇〇号)
選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求めることに関する請願(佐々木ナオミ君紹介)(第三〇〇一号)
同(櫛渕万里君紹介)(第三三三一号)
選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第三〇〇二号)
同(櫛渕万里君紹介)(第三三三二号)
治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(坂本祐之輔君紹介)(第三〇〇三号)
同(渡辺創君紹介)(第三〇〇四号)
同(本村伸子君紹介)(第三二〇六号)
同(伊藤俊輔君紹介)(第三三三三号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三三三四号)
同(長妻昭君紹介)(第三三三五号)
同(下野幸助君紹介)(第三四五一号)
同(末松義規君紹介)(第三四五二号)
裁判所の人的・物的充実に関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第三〇〇五号)
同(黒岩宇洋君紹介)(第三〇〇六号)
同(藤岡たかお君紹介)(第三〇〇七号)
同(本村伸子君紹介)(第三三三六号)
再審法改正(刑事訴訟法の一部改正)を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇〇八号)
同(志位和夫君紹介)(第三〇〇九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三〇一〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三〇一一号)
同(田村貴昭君紹介)(第三〇一二号)
同(田村智子君紹介)(第三〇一三号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三〇一四号)
同(本村伸子君紹介)(第三〇一五号)
同(本村伸子君紹介)(第三二〇七号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第三三三七号)
選択的夫婦別姓制度導入の民法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一七九号)
同(新垣邦男君紹介)(第三一八〇号)
同(臼木秀剛君紹介)(第三一八一号)
同(大塚小百合君紹介)(第三一八二号)
同(尾辻かな子君紹介)(第三一八三号)
同(神谷裕君紹介)(第三一八四号)
同(菊田真紀子君紹介)(第三一八五号)
同(坂本祐之輔君紹介)(第三一八六号)
同(櫻井周君紹介)(第三一八七号)
同(志位和夫君紹介)(第三一八八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三一八九号)
同(篠田奈保子君紹介)(第三一九〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第三一九一号)
同(田村貴昭君紹介)(第三一九二号)
同(田村智子君紹介)(第三一九三号)
同(堤かなめ君紹介)(第三一九四号)
同(堀川あきこ君紹介)(第三一九五号)
同(松尾明弘君紹介)(第三一九六号)
同(松下玲子君紹介)(第三一九七号)
同(村岡敏英君紹介)(第三一九八号)
同(本村伸子君紹介)(第三一九九号)
同(森田俊和君紹介)(第三二〇〇号)
同(矢崎堅太郎君紹介)(第三二〇一号)
同(柳沢剛君紹介)(第三二〇二号)
同(米山隆一君紹介)(第三二〇三号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第三二〇四号)
同(渡辺周君紹介)(第三二〇五号)
同(青柳陽一郎君紹介)(第三三三八号)
同(東克哉君紹介)(第三三三九号)
同(五十嵐えり君紹介)(第三三四〇号)
同(井坂信彦君紹介)(第三三四一号)
同(伊藤俊輔君紹介)(第三三四二号)
同(稲富修二君紹介)(第三三四三号)
同(岡田悟君紹介)(第三三四四号)
同(小川淳也君紹介)(第三三四五号)
同(河西宏一君紹介)(第三三四六号)
同(金子恵美君紹介)(第三三四七号)
同(亀井亜紀子君紹介)(第三三四八号)
同(川原田英世君紹介)(第三三四九号)
同(許斐亮太郎君紹介)(第三三五〇号)
同(篠原豪君紹介)(第三三五一号)
同(白石洋一君紹介)(第三三五二号)
同(仙田晃宏君紹介)(第三三五三号)
同(宗野創君紹介)(第三三五四号)
同(高橋永君紹介)(第三三五五号)
同(武正公一君紹介)(第三三五六号)
同(長友慎治君紹介)(第三三五七号)
同(西岡秀子君紹介)(第三三五八号)
同(野間健君紹介)(第三三五九号)
同(波多野翼君紹介)(第三三六〇号)
同(馬場雄基君紹介)(第三三六一号)
同(日野紗里亜君紹介)(第三三六二号)
同(平岡秀夫君紹介)(第三三六三号)
同(福田淳太君紹介)(第三三六四号)
同(藤原規眞君紹介)(第三三六五号)
同(古川元久君紹介)(第三三六六号)
同(円より子君紹介)(第三三六七号)
同(三角創太君紹介)(第三三六八号)
同(森山浩行君紹介)(第三三六九号)
同(山登志浩君紹介)(第三三七〇号)
同(吉川元君紹介)(第三三七一号)
同(吉田はるみ君紹介)(第三三七二号)
同(石川香織君紹介)(第三四五三号)
同(今井雅人君紹介)(第三四五四号)
同(梅谷守君紹介)(第三四五五号)
同(尾辻かな子君紹介)(第三四五六号)
同(長友よしひろ君紹介)(第三四五七号)
同(本庄知史君紹介)(第三四五八号)
同(升田世喜男君紹介)(第三四五九号)
子どもの性被害に三年の民事消滅時効を適用させないための新しい法律の制定を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第三四五〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
民法の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外五名提出、衆法第二九号)
婚姻前の氏の通称使用に関する法律案(藤田文武君外二名提出、衆法第三〇号)
民法の一部を改正する法律案(円より子君外四名提出、衆法第三五号)
――――◇―――――
西
西村智奈美#1
○西村委員長 これより会議を開きます。
黒岩宇洋さん外五名提出、民法の一部を改正する法律案、藤田文武さん外二名提出、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案及び円より子さん外四名提出、民法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
本日は、各案審査のため、参考人として、麗澤大学経済学部教授八木秀次さん、一般社団法人あすには代表理事井田奈穂さん、事実婚当事者割田伊織さん、第三次選択的夫婦別姓訴訟弁護団長寺原真希子さん、一般社団法人男女共同参画学協会連絡会アンケートWG委員長志牟田美佐さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、八木参考人、井田参考人、割田参考人、寺原参考人、志牟田参考人の順に、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず八木参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →黒岩宇洋さん外五名提出、民法の一部を改正する法律案、藤田文武さん外二名提出、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案及び円より子さん外四名提出、民法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
本日は、各案審査のため、参考人として、麗澤大学経済学部教授八木秀次さん、一般社団法人あすには代表理事井田奈穂さん、事実婚当事者割田伊織さん、第三次選択的夫婦別姓訴訟弁護団長寺原真希子さん、一般社団法人男女共同参画学協会連絡会アンケートWG委員長志牟田美佐さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、八木参考人、井田参考人、割田参考人、寺原参考人、志牟田参考人の順に、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず八木参考人にお願いいたします。
八
八木秀次#2
○八木参考人 麗澤大学の八木でございます。
まず、こうして国会で議員立法という手法によって民法や戸籍法の改正が審議されていますが、果たしてここに合理的根拠があるのか、立法手続についてまず疑念があります。
民法や戸籍法のような重要かつ基本的な法律を改正する場合、内閣提出法案とするのがこれまでの慣例となっております。議員立法での民法改正は民法八百六十条の三の新設の一例のみで、成年後見人に、被後見人宛てに届いた郵便物開封の権限を付与するという、いわば付随的な法改正です。
これに対して、今回審議しているような、夫婦の氏、子供の氏をどのように決めていくのかという家族法制の根幹に関わる重要な規定を改正する場合は、法務大臣の下に法制審議会の部会を設置して、専門家の知見も聞きながら、数年かけて慎重に検討して、内閣が責任を持って法案として提出すべきです。今回、例外的に議員立法で改正するというのであれば、それなりの合理的な理由が必要ですが、それが明らかではありません。
また、立憲民主党の法案は民法改正のみで、関連する戸籍法の改正は政府に丸投げしています。立法手続として不整合であると思われます。
さて、夫婦別氏の主張は、元々は、婚姻による改氏に伴う不便、不都合の解消という主張でありました。
昭和六十三年、国立図書館情報大学での、女性教授が職場で婚姻前の氏を通称として名のりたいとし、大学がそれを拒否したことによって生じた裁判は、その後、平成十年に東京高裁で、職場での旧氏使用を認めるということで和解が成立して、解決しました。民法や戸籍法を改正して夫婦別氏を法制化するという話ではありませんでした。民法改正や戸籍法改正へは飛躍があり過ぎると思います。
実際、不便、不都合はほぼ解消されています。昨年六月に出された日本経団連の提言には具体的な不便、不都合が列挙されていましたが、認識不足やデータが古かったことから、誤りが指摘され、改定を余儀なくされました。
今日、全ての国家資格、免許等で旧氏の使用が認められており、マイナンバーカード、運転免許証、住民票、旅券等においても旧氏の併記が可能になっています。更に進めて、これらマイナンバーカード等の公的証明書における旧氏併記を根拠にして旧氏の単独使用、単記を可能にすればよく、そのための法整備をすればよいというだけの話であります。
日本維新の会の法案はその趣旨に沿ったものと思われますが、何も戸籍法を改正して戸籍に旧氏使用の旨を記載する必要はなく、既にマイナンバーカード等に旧氏の記載があるのであれば、それを根拠にすればよい。必要であれば、それを担保する法律を制定すればよいわけです。
戸籍に手をつけるのは、戸籍制度を守る趣旨からも賛成できません。戸籍という国民の身分関係を記載する文書に通称の記載はなじまず、また、戸籍の身分事項に旧氏使用の旨を書き込むのと、配偶者欄に婚姻前の氏を戸籍名として書き込むのと、果たして質的な差はあるのか疑問です。
不便、不都合はほぼ解消され、残るは旅券のICチップとMRZという機械読み取りコードの問題程度になっています。これは、ICAO、国際民間航空機関文書に関わることで、技術的に旧氏の併記は難しいようですが、そうであるなら、外務省は、日本国民が渡航先に出入国する際、当該国の出入国管理当局等から不利益を被らないよう、外国の政府機関等に事情を説明する等、配慮をする必要があります。既に説明文書を発行し、旅券と併せて提示するとしており、トラブルの報告は受けていないとのことです。
こうして不便、不都合が解消されると、次には、旧氏の併記は嫌だとかアイデンティティーが喪失されるなどの問題が言われ始めました。ゴールポストが動かされたということです。
しかし、アイデンティティーはすぐれて内心の問題であり、主観的で千差万別でもあり、例えば、妻のアイデンティティーを主張するのであれば、夫のアイデンティティーもあり、子供のアイデンティティーもあり、家族のアイデンティティーもあるということになります。
その点、平成二十七年十二月の最高裁判決は、婚姻の際に氏の変更を強制されない自由が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとは言えないとし、婚姻前に築いた個人の信用、評価、名誉感情等を婚姻後も維持する利益等は、憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとまでは言えないと述べています。アイデンティティー喪失と称する問題までは完全に救済できないということです。それゆえ、最高裁判決は、不利益は、氏の通称使用が広まることにより一定程度緩和され得るとしたのでありました。
不便、不都合の解消から始まった夫婦別氏の議論でありましたが、これが民法や戸籍法の改正という大きな問題に飛躍したのは、そこに生活上の問題を超えた、ある種のイデオロギーがあったと考えられます。
ある種の思想的傾向を持つ民法学者や弁護士の中には、未完の占領改革の完遂としての民法改正という考えがありました。昭和二十二年の現在の民法や戸籍法は、戦前の家制度を廃止して、夫婦とその間の未婚の子から成る近代的小家族、核家族をその構成単位や編製単位としましたが、それは中途半端で、個人単位にすべきだと考えてきました。
平成八年の法制審案を作成した法制審民法部会長の加藤一郎元東京大学総長は、昭和三十四年に既に夫婦別氏を主張しています。夫婦別氏の主張は、戸籍の個人籍化の主張とも一体のものであり、当時の法制審民法部会の委員は、氏ごとの編製には無理がある、本来ならば、戦後の民法改正時に個人別の戸籍に改正されるべきであったと主張しています。
こういった主張の背景には、縦横のつながりを希薄にしたアトム、原子的存在としての個人を析出すべきとの主張があり、現行の民法、戸籍法の構成単位、編製単位である近代的小家族の中に家制度の残滓を見て、それを拘束システムだと捉えて、解体して、個人として解放しなければならない、これこそが日本の市民革命だとの考えがありました。その際、依拠したのが憲法の個人の尊重や個人の尊厳であり、個人の尊厳に言及した憲法二十四条は家族解体条項であり、家族は解体してしかるべきだとの主張がありました。
こうして家族共同体から解放された個人の氏名の自己決定権として夫婦別氏は主張され、家族解体を志向する思想と一体のものでありました。家族を個人のネットワークの一つであるとしたり、家族解散式を公言する人が夫婦別氏の法制化を主張しておりました。
これらは社会の構成単位を世帯から個人に移行させる主張とも軌を一にしたもので、社会保障や税制などに及ぶいわば国の形を変える発想であり、私は、近代的小家族や世帯を家族法制や社会を構成する基本単位とするのが個々の構成員を保護するためにも適切と考えますが、すなわち、夫婦別氏は、単に氏をどうするのかという小さな問題ではなかったということです。
夫婦別氏はこうした体系的な考えの一部分であり、その導入は他の法制度にも大きく波及するもので、いわば国の形を変えるものと言えます。
平成八年の法制審案はこのイデオロギーを若干丸くしたもので、これは当時の自社さ政権の社会党的な主張が反映されたものと考えてよく、民主党政権時の平成二十二年に準備された案も同様と思われます。
このように、意図して家族解体を図りたいという主張が夫婦別氏の背景にはありますが、意図はせずとも、夫婦別氏は、結果として家族共同体の分解に作用いたします。
選択的であれ、夫婦別氏を導入すれば、別氏夫婦の下では必然的に親子別氏となり、現行は一つの戸籍に一つの氏が存在しますが、一つの戸籍に二つの氏が存在することになり、家族共通の氏を持たない家族が存在することになる。これにより、制度として家族の呼称である氏は廃止され、氏名は、氏、名共に純然たる個人を表すものに変質する。これは全国民に当てはまることで、全国民から家族の呼称としての氏というものが消滅することになる。これは、平成八年の法制審案を起草した当時の法務省参事官小池信行氏が指摘するところであります。これにより、全体として家族意識、帰属意識、共同体意識、一体感を毀損し、希薄化させる効果を持ちます。
この点について、前述の最高裁判決は、夫婦及びその間の未婚の子や養親子が同一の氏を称することにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある、家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一定の集団を構成する一員であることを実感することに意義を見出す考え方も理解できると述べています。氏を家族の呼称とした上で、夫婦別氏、親子別氏により、家族の共同体意識、一体感が醸成されるとの認識を示しています。
立憲民主党と国民民主党は、三年前の令和四年六月、日本共産党、れいわ新選組とともに、選択的夫婦別氏を法制化する民法改正法案を提出いたしました。子供の氏は出生時に決めるとして、兄弟姉妹の氏は、父の氏、母の氏という具合にばらばらになることもあるとするもので、さきに述べた近代的小家族を個人に分解するイデオロギーに忠実な内容であると思われますが、今回、その案ではなく、実現方法は異なりますが、兄弟姉妹の氏は統一するとの案を提出しました。平成八年の法制審案をベースにしたとのことです。
両党が考え方を変えた理由の一つとして、兄弟姉妹の家族としての一体感に配慮したことが推測できますが、そうであるならば、夫婦別氏に伴って親子別氏になることへの懸念はなかったのか、どっちつかずの中途半端な案と思われます。
なお、私は、その他の政策では国民民主党に大きく期待するものですけれども、今回、このような法案を提出されたことを大変残念に思います。
親子別氏には、子供の立場から忌避感があることが指摘されています。夫婦別氏を導入した海外の例では、親子別氏となって、誘拐や連れ去りの懸念から、親子証明書の携帯が必要になった国もあるとのことです。
立憲民主党の法案と国民民主党の法案は、共に一年間の経過期間を設け、その間に、既に結婚している全ての夫婦が同氏か別氏かを選択するとしています。その期間での混乱も予想されます。国民民主党の案であれば、戸籍の筆頭者を変更するケースも出てくるでしょうし、連動して、子供の氏の見直しも行われるでしょう。戸籍事務の負担も増えます。連動して、公私の様々な書類の氏名の変更が生じます。社会的なコストも大きいと言えます。
そうであるなら、世論調査でも国民の七割が支持する現行の夫婦同氏、親子同氏、家族同氏を維持しながら、民法や戸籍法の改正ではなく、婚姻前の旧氏を、単独使用も含めて広く社会的に使用できるような法的措置を講ずることの方が合理的であると考えられます。
この発言だけを見る →まず、こうして国会で議員立法という手法によって民法や戸籍法の改正が審議されていますが、果たしてここに合理的根拠があるのか、立法手続についてまず疑念があります。
民法や戸籍法のような重要かつ基本的な法律を改正する場合、内閣提出法案とするのがこれまでの慣例となっております。議員立法での民法改正は民法八百六十条の三の新設の一例のみで、成年後見人に、被後見人宛てに届いた郵便物開封の権限を付与するという、いわば付随的な法改正です。
これに対して、今回審議しているような、夫婦の氏、子供の氏をどのように決めていくのかという家族法制の根幹に関わる重要な規定を改正する場合は、法務大臣の下に法制審議会の部会を設置して、専門家の知見も聞きながら、数年かけて慎重に検討して、内閣が責任を持って法案として提出すべきです。今回、例外的に議員立法で改正するというのであれば、それなりの合理的な理由が必要ですが、それが明らかではありません。
また、立憲民主党の法案は民法改正のみで、関連する戸籍法の改正は政府に丸投げしています。立法手続として不整合であると思われます。
さて、夫婦別氏の主張は、元々は、婚姻による改氏に伴う不便、不都合の解消という主張でありました。
昭和六十三年、国立図書館情報大学での、女性教授が職場で婚姻前の氏を通称として名のりたいとし、大学がそれを拒否したことによって生じた裁判は、その後、平成十年に東京高裁で、職場での旧氏使用を認めるということで和解が成立して、解決しました。民法や戸籍法を改正して夫婦別氏を法制化するという話ではありませんでした。民法改正や戸籍法改正へは飛躍があり過ぎると思います。
実際、不便、不都合はほぼ解消されています。昨年六月に出された日本経団連の提言には具体的な不便、不都合が列挙されていましたが、認識不足やデータが古かったことから、誤りが指摘され、改定を余儀なくされました。
今日、全ての国家資格、免許等で旧氏の使用が認められており、マイナンバーカード、運転免許証、住民票、旅券等においても旧氏の併記が可能になっています。更に進めて、これらマイナンバーカード等の公的証明書における旧氏併記を根拠にして旧氏の単独使用、単記を可能にすればよく、そのための法整備をすればよいというだけの話であります。
日本維新の会の法案はその趣旨に沿ったものと思われますが、何も戸籍法を改正して戸籍に旧氏使用の旨を記載する必要はなく、既にマイナンバーカード等に旧氏の記載があるのであれば、それを根拠にすればよい。必要であれば、それを担保する法律を制定すればよいわけです。
戸籍に手をつけるのは、戸籍制度を守る趣旨からも賛成できません。戸籍という国民の身分関係を記載する文書に通称の記載はなじまず、また、戸籍の身分事項に旧氏使用の旨を書き込むのと、配偶者欄に婚姻前の氏を戸籍名として書き込むのと、果たして質的な差はあるのか疑問です。
不便、不都合はほぼ解消され、残るは旅券のICチップとMRZという機械読み取りコードの問題程度になっています。これは、ICAO、国際民間航空機関文書に関わることで、技術的に旧氏の併記は難しいようですが、そうであるなら、外務省は、日本国民が渡航先に出入国する際、当該国の出入国管理当局等から不利益を被らないよう、外国の政府機関等に事情を説明する等、配慮をする必要があります。既に説明文書を発行し、旅券と併せて提示するとしており、トラブルの報告は受けていないとのことです。
こうして不便、不都合が解消されると、次には、旧氏の併記は嫌だとかアイデンティティーが喪失されるなどの問題が言われ始めました。ゴールポストが動かされたということです。
しかし、アイデンティティーはすぐれて内心の問題であり、主観的で千差万別でもあり、例えば、妻のアイデンティティーを主張するのであれば、夫のアイデンティティーもあり、子供のアイデンティティーもあり、家族のアイデンティティーもあるということになります。
その点、平成二十七年十二月の最高裁判決は、婚姻の際に氏の変更を強制されない自由が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとは言えないとし、婚姻前に築いた個人の信用、評価、名誉感情等を婚姻後も維持する利益等は、憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとまでは言えないと述べています。アイデンティティー喪失と称する問題までは完全に救済できないということです。それゆえ、最高裁判決は、不利益は、氏の通称使用が広まることにより一定程度緩和され得るとしたのでありました。
不便、不都合の解消から始まった夫婦別氏の議論でありましたが、これが民法や戸籍法の改正という大きな問題に飛躍したのは、そこに生活上の問題を超えた、ある種のイデオロギーがあったと考えられます。
ある種の思想的傾向を持つ民法学者や弁護士の中には、未完の占領改革の完遂としての民法改正という考えがありました。昭和二十二年の現在の民法や戸籍法は、戦前の家制度を廃止して、夫婦とその間の未婚の子から成る近代的小家族、核家族をその構成単位や編製単位としましたが、それは中途半端で、個人単位にすべきだと考えてきました。
平成八年の法制審案を作成した法制審民法部会長の加藤一郎元東京大学総長は、昭和三十四年に既に夫婦別氏を主張しています。夫婦別氏の主張は、戸籍の個人籍化の主張とも一体のものであり、当時の法制審民法部会の委員は、氏ごとの編製には無理がある、本来ならば、戦後の民法改正時に個人別の戸籍に改正されるべきであったと主張しています。
こういった主張の背景には、縦横のつながりを希薄にしたアトム、原子的存在としての個人を析出すべきとの主張があり、現行の民法、戸籍法の構成単位、編製単位である近代的小家族の中に家制度の残滓を見て、それを拘束システムだと捉えて、解体して、個人として解放しなければならない、これこそが日本の市民革命だとの考えがありました。その際、依拠したのが憲法の個人の尊重や個人の尊厳であり、個人の尊厳に言及した憲法二十四条は家族解体条項であり、家族は解体してしかるべきだとの主張がありました。
こうして家族共同体から解放された個人の氏名の自己決定権として夫婦別氏は主張され、家族解体を志向する思想と一体のものでありました。家族を個人のネットワークの一つであるとしたり、家族解散式を公言する人が夫婦別氏の法制化を主張しておりました。
これらは社会の構成単位を世帯から個人に移行させる主張とも軌を一にしたもので、社会保障や税制などに及ぶいわば国の形を変える発想であり、私は、近代的小家族や世帯を家族法制や社会を構成する基本単位とするのが個々の構成員を保護するためにも適切と考えますが、すなわち、夫婦別氏は、単に氏をどうするのかという小さな問題ではなかったということです。
夫婦別氏はこうした体系的な考えの一部分であり、その導入は他の法制度にも大きく波及するもので、いわば国の形を変えるものと言えます。
平成八年の法制審案はこのイデオロギーを若干丸くしたもので、これは当時の自社さ政権の社会党的な主張が反映されたものと考えてよく、民主党政権時の平成二十二年に準備された案も同様と思われます。
このように、意図して家族解体を図りたいという主張が夫婦別氏の背景にはありますが、意図はせずとも、夫婦別氏は、結果として家族共同体の分解に作用いたします。
選択的であれ、夫婦別氏を導入すれば、別氏夫婦の下では必然的に親子別氏となり、現行は一つの戸籍に一つの氏が存在しますが、一つの戸籍に二つの氏が存在することになり、家族共通の氏を持たない家族が存在することになる。これにより、制度として家族の呼称である氏は廃止され、氏名は、氏、名共に純然たる個人を表すものに変質する。これは全国民に当てはまることで、全国民から家族の呼称としての氏というものが消滅することになる。これは、平成八年の法制審案を起草した当時の法務省参事官小池信行氏が指摘するところであります。これにより、全体として家族意識、帰属意識、共同体意識、一体感を毀損し、希薄化させる効果を持ちます。
この点について、前述の最高裁判決は、夫婦及びその間の未婚の子や養親子が同一の氏を称することにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある、家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一定の集団を構成する一員であることを実感することに意義を見出す考え方も理解できると述べています。氏を家族の呼称とした上で、夫婦別氏、親子別氏により、家族の共同体意識、一体感が醸成されるとの認識を示しています。
立憲民主党と国民民主党は、三年前の令和四年六月、日本共産党、れいわ新選組とともに、選択的夫婦別氏を法制化する民法改正法案を提出いたしました。子供の氏は出生時に決めるとして、兄弟姉妹の氏は、父の氏、母の氏という具合にばらばらになることもあるとするもので、さきに述べた近代的小家族を個人に分解するイデオロギーに忠実な内容であると思われますが、今回、その案ではなく、実現方法は異なりますが、兄弟姉妹の氏は統一するとの案を提出しました。平成八年の法制審案をベースにしたとのことです。
両党が考え方を変えた理由の一つとして、兄弟姉妹の家族としての一体感に配慮したことが推測できますが、そうであるならば、夫婦別氏に伴って親子別氏になることへの懸念はなかったのか、どっちつかずの中途半端な案と思われます。
なお、私は、その他の政策では国民民主党に大きく期待するものですけれども、今回、このような法案を提出されたことを大変残念に思います。
親子別氏には、子供の立場から忌避感があることが指摘されています。夫婦別氏を導入した海外の例では、親子別氏となって、誘拐や連れ去りの懸念から、親子証明書の携帯が必要になった国もあるとのことです。
立憲民主党の法案と国民民主党の法案は、共に一年間の経過期間を設け、その間に、既に結婚している全ての夫婦が同氏か別氏かを選択するとしています。その期間での混乱も予想されます。国民民主党の案であれば、戸籍の筆頭者を変更するケースも出てくるでしょうし、連動して、子供の氏の見直しも行われるでしょう。戸籍事務の負担も増えます。連動して、公私の様々な書類の氏名の変更が生じます。社会的なコストも大きいと言えます。
そうであるなら、世論調査でも国民の七割が支持する現行の夫婦同氏、親子同氏、家族同氏を維持しながら、民法や戸籍法の改正ではなく、婚姻前の旧氏を、単独使用も含めて広く社会的に使用できるような法的措置を講ずることの方が合理的であると考えられます。
西
八
西
井
井田奈穂#6
○井田参考人 この六年間、法改正を求めてきた当事者団体として、法案提出してくださった各党の皆様、二十八年ぶりに審議をしてくださっている衆院法務委員会の皆様に、心より感謝を申し上げます。
全国、そして海外に暮らす千人を超えるメンバーと支援者を代表して、当事者の声を届けさせていただきます。
まず初めにお伝えしたいのは、この度の委員会審議の中で、改姓に伴うアイデンティティー喪失を軽視するような発言、困っている人はいない、いたとしても極めて少数であるなどの発言がなされていることです。大変残念に感じておりますし、多くの当事者が傷ついております。
私のことをお話しします。
私は、四十代で再婚しました。お互いに改姓を望まなかったので、婚姻届を出さずにおりました。ところが、夫が手術を受ける際、法律婚でないことを理由に、病院から配偶者としての医療同意を断られました。このことをきっかけに私たちは婚姻届を出し、私が改姓せざるを得ませんでした。
数日後、役所から、あなたの氏名の印鑑証明を無効にしましたという封書が届きます。二十数年働いて信用、実績、資産を築いてきた名前、それを国に抹消されたことに大きな苦痛を感じました。
四十代の子連れ再婚ともなると、大量の名義変更が必要なんですね。二年かけて様々な手続を行いましたが、自分の氏名に二重線を引かれ、夫の氏で上書きをされ、そこに捺印を求められる、こういう苦痛に何度も耐えてきました。
また、旧姓使用を試みましたが、不都合が多く、例えば、アメリカ出張の際、旧姓併記のパスポートであったことをきっかけとして、現地の警察官から取調べを受け、二時間も拘束をされました。また、法人の代表として登記する際には、戸籍名に旧姓が併記される形でしか登記できませんでした。親の成年後見人登記に当たっては、戸籍名でしか登録できません。
このように、旧姓使用に限界を感じ、私は、婚姻から六年後にはペーパー離婚をせざるを得ませんでした。再び事実婚となり、その不安定な状況に改めて不安を感じます。
私が会社員の傍ら当事者団体を立ち上げまして、活動していく中で知ったのは、自分が自分であることを証明し続けてきた氏名を葬り去る過程で心を病むメンバーが一定数いたことです。
資料の二ページ目には、改姓により適応障害を発症したメンバーの事例が載っています。改姓ストレスで吐血にまで至った彼女は、ペーパー離婚で名前を取り戻すと速やかに回復をしました。これは、現在行われている第三次訴訟の原告にも同じケースがあります。
また、通称使用をしていたある女性研究者は、在外研究をしていたオーストラリアで、現地当局から、このままではあなたは二人の人間に成り済ましていることになるので、氏名を統一してほしいと注意を受けたといいます。彼女は、女性がその能力を最大限に発揮して生涯を過ごせるような社会に変わらなければ、日本から国外への知識の流出は今後ますます進むでしょう、そう語っています。
実際に、私たちのメンバーで、二十代の医師と助産師のカップルや研究者同士のカップルなどは、日本での妊娠、出産は難しいと考え、海外で働くことも視野に入れているといいます。
二〇二五年一月二十日、NHK「クローズアップ現代」で、家事支援の会社を五つ経営している女性が紹介をされました。事業五つ全ての登記、銀行口座の名義変更に追われ、手続にかかった期間は三か月、費用は百万円以上に及んだといいます。その方は、想像の百倍大変でした、手続をやっている間に、女性はビジネスで、ある程度のキャリアを築いてはいけないのかなと思いましたと語っています。
旧姓併記で登記をすると、婚姻していることや配偶者の氏という極めて個人的な情報の公開を求められます。ある社外取締役を務める女性は、株主総会の場で、戸籍名を使っていない無責任な役員がいるとおとしめられ、大変なショックを受けたそうです。
四国に住む七十七歳と八十三歳の御夫婦は、それぞれがそれぞれの家業を継いでいます。妻が改姓し、何十年も苦痛を感じてきました。お二人は、もし今年、法改正がされないのであれば、ペーパー離婚をするとおっしゃっています。自分に命をつないでくれた先祖からもらった本当の名前で死にたい、お互いに名前を大事に思っているので、法改正がなされなければ離婚をする覚悟だ、その声は切実です。
二十代であっても、先祖代々の名字を重んじるがゆえに、事実婚を選択するメンバーがいます。
多くの国民の、ただ自分自身でありたい、その切実な思いを否定し、大きな喪失感を与えてきたのが現行法と言えると思います。
ところで、両親の名字が異なることは子供に悪影響があるという意見もあるようです。
私たちは、別姓家庭で育った子供たちの座談会を何度も行ってきました。子供たちが口をそろえて言うのは、親が夫婦別姓と意識すらしたことがなかったというものです。言われてみたら別姓なんだなというふうに思うけれども、小さな頃から両親それぞれをフルネームで認識している、何の疑問も湧いていなかったので、かわいそう、悪影響と、問題がある家庭かのように言われることを知ってショックを受けた、普通に仲のいい家族なのに、なぜ他人が決めつけるのかと口々に言います。親子別姓に問題があるかのような言説にずっと傷ついている、差別されている気分になると子供当事者からも声が上がっています。
事実婚、国際結婚、離婚、再婚など、様々な理由で別姓となった家庭でも、幸せに暮らしている例は無数にあります。私自身も、子供と異なる名字で、二人の子供を成人させました。
もし本当に親子別姓が子供に悪影響なのであれば、なぜ親子別姓を前提とした共同親権の制度が施行されようとしているのでしょうか。なぜ国際結婚も同姓に統一すべきと主張しないのでしょうか。現行法は、なぜ離婚後の親権者と子供の名字を同姓にするよう義務づけていないのでしょうか。別姓家庭に対する差別だけまき散らし、これらの現行法と矛盾する主張をするのはやめていただきたい、強くそう思っています。
国会議員の皆様にお願いがあります。当事者に聞くということを制度設計の基本にしてください。
今、国会の審議の中で、困っている人はいない、いても少数だ、政府は調査もしていないなどと決めつけるような発言がありました。しかし、第五次男女共同参画基本計画策定に当たっての公聴会、パブリックコメントには、多くの当事者から切実な事例が寄せられていました。寄せられた四百件もの声を資料二としてお送りしました。分厚くて、百六十二ページもあるんですけれども、そこに切実な声が書かれています。
また、選択的夫婦別姓に反対する方々が引用する各種世論調査は、将来結婚しようという若者や、今まさに結婚や改姓に直面している世代の声を反映しているとは限りません。
先日行われたNHKの調査では、現行法維持を望む声が最も多かったとされていますが、図一を御覧ください。この調査の回答者は、六十代以上が三十代以下の五倍でした。十代の回答は僅か五件、最多は七十代の二百三十八件でした。
次に、図二は、反対の方々がしばしば引用する二〇二一年の内閣府世論調査です。この調査では、旧姓使用法制化が最も支持を集めたとされていますが、ここでも回答者の約半分、四五・一%が六十歳以上であり、二十代、三十代の回答者の約二・二倍となっています。七十歳以上の回答者は八百人、十代の回答者の十二倍もいました。
他方、図三は、国立社会保障・人口問題研究所による第七回家庭動向調査です。こちらを見ると、これは女性だけのデータを集めているんですけれども、二十九歳以下の賛成は七五・八%、三十代の賛成は七六・三%となっています。六十代未満の単身女性で見ると、八五・三%が賛成をしています。結婚に直面している世代や改姓が身近な女性たちの多くが選択的夫婦別姓に賛成していることが分かります。
図四、日経新聞の調べでは、既婚女性の五二・三%が、選択肢があれば別姓を選びたかったと答えています。
また、図五、共同通信社の調査では、三十歳以下の女性の実に八五%が賛成です。改姓当事者となることの多い若年女性が選択肢が欲しいと訴えています。
図六、慶応大学の阪井裕一郎教授と私たちの合同調査では、事実婚の人たちは、税制や相続、医療同意など、命とお金の不安を抱えながら生活をしています。
そして、図七、氏名を維持できる選択肢さえあれば安心して婚姻届を出せると答えた人たちは、二十代から五十代だけでも五十八・七万人いることが分かりました。
お互いの氏名を維持したい、ただそれだけの思いで待っているのです。家族解体と言われるのが、ちょっと意味が分かりません。
法制審議会が五年の歳月をかけて練り上げられた答申案で、力を合わせて、今いる五十八・七万人の事実婚当事者と、これから結婚を考えている若い世代を幸せにできる選択肢を実現してください。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →全国、そして海外に暮らす千人を超えるメンバーと支援者を代表して、当事者の声を届けさせていただきます。
まず初めにお伝えしたいのは、この度の委員会審議の中で、改姓に伴うアイデンティティー喪失を軽視するような発言、困っている人はいない、いたとしても極めて少数であるなどの発言がなされていることです。大変残念に感じておりますし、多くの当事者が傷ついております。
私のことをお話しします。
私は、四十代で再婚しました。お互いに改姓を望まなかったので、婚姻届を出さずにおりました。ところが、夫が手術を受ける際、法律婚でないことを理由に、病院から配偶者としての医療同意を断られました。このことをきっかけに私たちは婚姻届を出し、私が改姓せざるを得ませんでした。
数日後、役所から、あなたの氏名の印鑑証明を無効にしましたという封書が届きます。二十数年働いて信用、実績、資産を築いてきた名前、それを国に抹消されたことに大きな苦痛を感じました。
四十代の子連れ再婚ともなると、大量の名義変更が必要なんですね。二年かけて様々な手続を行いましたが、自分の氏名に二重線を引かれ、夫の氏で上書きをされ、そこに捺印を求められる、こういう苦痛に何度も耐えてきました。
また、旧姓使用を試みましたが、不都合が多く、例えば、アメリカ出張の際、旧姓併記のパスポートであったことをきっかけとして、現地の警察官から取調べを受け、二時間も拘束をされました。また、法人の代表として登記する際には、戸籍名に旧姓が併記される形でしか登記できませんでした。親の成年後見人登記に当たっては、戸籍名でしか登録できません。
このように、旧姓使用に限界を感じ、私は、婚姻から六年後にはペーパー離婚をせざるを得ませんでした。再び事実婚となり、その不安定な状況に改めて不安を感じます。
私が会社員の傍ら当事者団体を立ち上げまして、活動していく中で知ったのは、自分が自分であることを証明し続けてきた氏名を葬り去る過程で心を病むメンバーが一定数いたことです。
資料の二ページ目には、改姓により適応障害を発症したメンバーの事例が載っています。改姓ストレスで吐血にまで至った彼女は、ペーパー離婚で名前を取り戻すと速やかに回復をしました。これは、現在行われている第三次訴訟の原告にも同じケースがあります。
また、通称使用をしていたある女性研究者は、在外研究をしていたオーストラリアで、現地当局から、このままではあなたは二人の人間に成り済ましていることになるので、氏名を統一してほしいと注意を受けたといいます。彼女は、女性がその能力を最大限に発揮して生涯を過ごせるような社会に変わらなければ、日本から国外への知識の流出は今後ますます進むでしょう、そう語っています。
実際に、私たちのメンバーで、二十代の医師と助産師のカップルや研究者同士のカップルなどは、日本での妊娠、出産は難しいと考え、海外で働くことも視野に入れているといいます。
二〇二五年一月二十日、NHK「クローズアップ現代」で、家事支援の会社を五つ経営している女性が紹介をされました。事業五つ全ての登記、銀行口座の名義変更に追われ、手続にかかった期間は三か月、費用は百万円以上に及んだといいます。その方は、想像の百倍大変でした、手続をやっている間に、女性はビジネスで、ある程度のキャリアを築いてはいけないのかなと思いましたと語っています。
旧姓併記で登記をすると、婚姻していることや配偶者の氏という極めて個人的な情報の公開を求められます。ある社外取締役を務める女性は、株主総会の場で、戸籍名を使っていない無責任な役員がいるとおとしめられ、大変なショックを受けたそうです。
四国に住む七十七歳と八十三歳の御夫婦は、それぞれがそれぞれの家業を継いでいます。妻が改姓し、何十年も苦痛を感じてきました。お二人は、もし今年、法改正がされないのであれば、ペーパー離婚をするとおっしゃっています。自分に命をつないでくれた先祖からもらった本当の名前で死にたい、お互いに名前を大事に思っているので、法改正がなされなければ離婚をする覚悟だ、その声は切実です。
二十代であっても、先祖代々の名字を重んじるがゆえに、事実婚を選択するメンバーがいます。
多くの国民の、ただ自分自身でありたい、その切実な思いを否定し、大きな喪失感を与えてきたのが現行法と言えると思います。
ところで、両親の名字が異なることは子供に悪影響があるという意見もあるようです。
私たちは、別姓家庭で育った子供たちの座談会を何度も行ってきました。子供たちが口をそろえて言うのは、親が夫婦別姓と意識すらしたことがなかったというものです。言われてみたら別姓なんだなというふうに思うけれども、小さな頃から両親それぞれをフルネームで認識している、何の疑問も湧いていなかったので、かわいそう、悪影響と、問題がある家庭かのように言われることを知ってショックを受けた、普通に仲のいい家族なのに、なぜ他人が決めつけるのかと口々に言います。親子別姓に問題があるかのような言説にずっと傷ついている、差別されている気分になると子供当事者からも声が上がっています。
事実婚、国際結婚、離婚、再婚など、様々な理由で別姓となった家庭でも、幸せに暮らしている例は無数にあります。私自身も、子供と異なる名字で、二人の子供を成人させました。
もし本当に親子別姓が子供に悪影響なのであれば、なぜ親子別姓を前提とした共同親権の制度が施行されようとしているのでしょうか。なぜ国際結婚も同姓に統一すべきと主張しないのでしょうか。現行法は、なぜ離婚後の親権者と子供の名字を同姓にするよう義務づけていないのでしょうか。別姓家庭に対する差別だけまき散らし、これらの現行法と矛盾する主張をするのはやめていただきたい、強くそう思っています。
国会議員の皆様にお願いがあります。当事者に聞くということを制度設計の基本にしてください。
今、国会の審議の中で、困っている人はいない、いても少数だ、政府は調査もしていないなどと決めつけるような発言がありました。しかし、第五次男女共同参画基本計画策定に当たっての公聴会、パブリックコメントには、多くの当事者から切実な事例が寄せられていました。寄せられた四百件もの声を資料二としてお送りしました。分厚くて、百六十二ページもあるんですけれども、そこに切実な声が書かれています。
また、選択的夫婦別姓に反対する方々が引用する各種世論調査は、将来結婚しようという若者や、今まさに結婚や改姓に直面している世代の声を反映しているとは限りません。
先日行われたNHKの調査では、現行法維持を望む声が最も多かったとされていますが、図一を御覧ください。この調査の回答者は、六十代以上が三十代以下の五倍でした。十代の回答は僅か五件、最多は七十代の二百三十八件でした。
次に、図二は、反対の方々がしばしば引用する二〇二一年の内閣府世論調査です。この調査では、旧姓使用法制化が最も支持を集めたとされていますが、ここでも回答者の約半分、四五・一%が六十歳以上であり、二十代、三十代の回答者の約二・二倍となっています。七十歳以上の回答者は八百人、十代の回答者の十二倍もいました。
他方、図三は、国立社会保障・人口問題研究所による第七回家庭動向調査です。こちらを見ると、これは女性だけのデータを集めているんですけれども、二十九歳以下の賛成は七五・八%、三十代の賛成は七六・三%となっています。六十代未満の単身女性で見ると、八五・三%が賛成をしています。結婚に直面している世代や改姓が身近な女性たちの多くが選択的夫婦別姓に賛成していることが分かります。
図四、日経新聞の調べでは、既婚女性の五二・三%が、選択肢があれば別姓を選びたかったと答えています。
また、図五、共同通信社の調査では、三十歳以下の女性の実に八五%が賛成です。改姓当事者となることの多い若年女性が選択肢が欲しいと訴えています。
図六、慶応大学の阪井裕一郎教授と私たちの合同調査では、事実婚の人たちは、税制や相続、医療同意など、命とお金の不安を抱えながら生活をしています。
そして、図七、氏名を維持できる選択肢さえあれば安心して婚姻届を出せると答えた人たちは、二十代から五十代だけでも五十八・七万人いることが分かりました。
お互いの氏名を維持したい、ただそれだけの思いで待っているのです。家族解体と言われるのが、ちょっと意味が分かりません。
法制審議会が五年の歳月をかけて練り上げられた答申案で、力を合わせて、今いる五十八・七万人の事実婚当事者と、これから結婚を考えている若い世代を幸せにできる選択肢を実現してください。
ありがとうございました。拍手
西
割
割田伊織#8
○割田参考人 皆さん、こんにちは。割田伊織と申します。
今日は、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
本日は、ここにいる妻、武井七海とともに、選択的夫婦別姓の実現を望む当事者として、香川県の瀬戸大橋のたもとから参りました。ふだんは会社員として働いており、このような場所に来るのは初めてですので、大変緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。
私たちは、先月結婚式を挙げたばかりの事実婚の夫婦です。妻とは大学生のときに出会いました。
なぜ私たちが事実婚を選んだかについてお話しします。
私たちは、二〇二三年から一緒に暮らしています。自然と、この人と一緒に生きていくんだろうなと感じるようになりました。しばらくすると、結婚の話題も増えてきました。名字の話にもなりました。
妻からは、武井七海という氏名を変えたくないと言われました。私は、当初、自分が名字を変えてもいいと思っていました。なぜなら、身近に、結婚して名字を変えた男性もいたからです。小学生の頃には、社会の授業で先生から、将来結婚して名字を変えてもいいと思う人と聞かれ、手を挙げたことも、おぼろげながら記憶しています。
このように、私は、以前から、将来結婚して自分の名字が変わるかもしれない、そう思って生きてきました。ですから、名字の話になったとき、私は、僕が変えてもいいよと答えられるはずでした。
でも、そうは答えられませんでした。妻と同じように、自分も名字を変えたくないかもしれないと気づいたからです。私は、名字で呼ばれることも多く、割田という珍しい名字を気に入っていました。名字は、自分を自分たらしめる大事な一部分でした。
自分の名字を変えたくない気持ちに気づいた私は、しばらく結婚の話を避けるようになってしまいました。
そんな中、妻から、どっちの名字にするか、じゃんけんで決めると言われました。はっとしました。じゃんけんで決めるということは、じゃんけんで負けたら変えなければならないということです。私は、そのとき、やはり自分は絶対に名字を変えたくない、そう確信しました。
かつては変えてもいいと思っていたはずの自分が、いざ現実に変えるかもしれないという状況に立たされたとき、はっきりと、名字を変えたくない、そう思ってしまったのです。もしかしたら、心のどこかで、妻が名字を変えてくれるかもしれないと思っていたのかもしれません。
しかし、自分が嫌だと思うことを妻にさせるのは違うと思いました。そして、私たちは結婚を一旦保留にしました。
そんな中、妻から、二〇二四年三月に、香川県内全ての自治体の議会で選択的夫婦別姓についての意見書が可決されたというニュースを聞きました。
それまで選択的夫婦別姓という言葉は聞いたことはあったものの、そういうものを求めている人もいるんだなと人ごとのように受け止めていました。それが、突然、自分自身の問題になったのです。まさか自分が今日ここでこのような話をするとは夢にも思っていませんでした。
私と妻は、選択的夫婦別姓が実現したら婚姻届を提出しよう、それまでの間は事実婚という形を取ろう、そう話し合いました。そして、婚姻届それ自体は出せないけれども、その代わりになるような、何か結婚のあかしのようなものが欲しいと思い、インターネットで知った公正証書というものを作成することにしました。
当初、公正証書を作成すれば、事実婚でも法律婚と同じように扱われると思っていました。しかし、作っていく過程で、それが二人だけの約束にすぎないことを知りました。弁護士に相談した際にも、そう言われました。
実際、公正証書を作った後も、会社の慶弔休暇は取得できませんでしたし、社宅にも入れませんでした。自治体の新婚世帯向けの補助も受けられませんでした。結婚資金の贈与を受ける際の非課税制度も利用できませんでした。
また、お互いの入院や手術など万が一のときに、事実婚では病院から夫婦として扱われないことがあるなど、様々な場面で法律婚と異なる扱いを受けるという話を聞き、ますます不安になっています。
公正証書を作った約半年後の今年四月、一般社団法人「あすには」の事実婚当事者の意識調査が発表されました。
調査によれば、二十代から五十代で事実婚をしている人のうち、選択的夫婦別姓が実現したら婚姻届を提出するという、いわゆる結婚待機人数が全国で五十八・七万人いると推計されるとのことでした。私たちの考えが特殊なわけではなく、全国に同じような思いを抱いているカップルが大勢いると知って、とても勇気づけられました。
また、調査には、過去に事実婚をしていて現在法律婚に移行した人への、事実婚時代の困り事についての質問もありました。事実婚では子供を持つことにちゅうちょがあるという回答の割合が最も高く、二十代、三十代を見るとその傾向は顕著でした。
妻も同じように感じていたそうです。将来子供を育てたいという気持ちはあったものの、このまま事実婚の状態で子供を育てていいのか、何かあったときに子供を守ってあげられるのだろうかなどと考えてしまい、無意識のうちに子供の話を避けていたことに気づいたそうです。事実婚という状態が、家族の将来を考えることへのハードルになっていたのだと思います。
事実婚であることを周りに伝えると、割田という名字をビジネスネームにすればいいんじゃないと言われたこともあります。しかし、私にとって、割田伊織という一つの氏名が私自身を表す唯一のものであり、この割田伊織という氏名を変えたくないと思っています。
たとえ旧姓に法的な根拠が与えられ、様々な場面で使えるようになったとしても、私は戸籍名を変えることはしたくありません。使えればいい、周りから呼んでもらえればいいというわけではないのです。なぜなら、戸籍名こそが私の本当の名前だと思うからです。
妻も、私と同じように、武井七海という氏名を大切にしています。だからこそ、選択的夫婦別姓が実現しなければ、私たちは結婚することができないのです。
どうか、一日も早く選択的夫婦別姓を実現してください。よろしくお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →今日は、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
本日は、ここにいる妻、武井七海とともに、選択的夫婦別姓の実現を望む当事者として、香川県の瀬戸大橋のたもとから参りました。ふだんは会社員として働いており、このような場所に来るのは初めてですので、大変緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。
私たちは、先月結婚式を挙げたばかりの事実婚の夫婦です。妻とは大学生のときに出会いました。
なぜ私たちが事実婚を選んだかについてお話しします。
私たちは、二〇二三年から一緒に暮らしています。自然と、この人と一緒に生きていくんだろうなと感じるようになりました。しばらくすると、結婚の話題も増えてきました。名字の話にもなりました。
妻からは、武井七海という氏名を変えたくないと言われました。私は、当初、自分が名字を変えてもいいと思っていました。なぜなら、身近に、結婚して名字を変えた男性もいたからです。小学生の頃には、社会の授業で先生から、将来結婚して名字を変えてもいいと思う人と聞かれ、手を挙げたことも、おぼろげながら記憶しています。
このように、私は、以前から、将来結婚して自分の名字が変わるかもしれない、そう思って生きてきました。ですから、名字の話になったとき、私は、僕が変えてもいいよと答えられるはずでした。
でも、そうは答えられませんでした。妻と同じように、自分も名字を変えたくないかもしれないと気づいたからです。私は、名字で呼ばれることも多く、割田という珍しい名字を気に入っていました。名字は、自分を自分たらしめる大事な一部分でした。
自分の名字を変えたくない気持ちに気づいた私は、しばらく結婚の話を避けるようになってしまいました。
そんな中、妻から、どっちの名字にするか、じゃんけんで決めると言われました。はっとしました。じゃんけんで決めるということは、じゃんけんで負けたら変えなければならないということです。私は、そのとき、やはり自分は絶対に名字を変えたくない、そう確信しました。
かつては変えてもいいと思っていたはずの自分が、いざ現実に変えるかもしれないという状況に立たされたとき、はっきりと、名字を変えたくない、そう思ってしまったのです。もしかしたら、心のどこかで、妻が名字を変えてくれるかもしれないと思っていたのかもしれません。
しかし、自分が嫌だと思うことを妻にさせるのは違うと思いました。そして、私たちは結婚を一旦保留にしました。
そんな中、妻から、二〇二四年三月に、香川県内全ての自治体の議会で選択的夫婦別姓についての意見書が可決されたというニュースを聞きました。
それまで選択的夫婦別姓という言葉は聞いたことはあったものの、そういうものを求めている人もいるんだなと人ごとのように受け止めていました。それが、突然、自分自身の問題になったのです。まさか自分が今日ここでこのような話をするとは夢にも思っていませんでした。
私と妻は、選択的夫婦別姓が実現したら婚姻届を提出しよう、それまでの間は事実婚という形を取ろう、そう話し合いました。そして、婚姻届それ自体は出せないけれども、その代わりになるような、何か結婚のあかしのようなものが欲しいと思い、インターネットで知った公正証書というものを作成することにしました。
当初、公正証書を作成すれば、事実婚でも法律婚と同じように扱われると思っていました。しかし、作っていく過程で、それが二人だけの約束にすぎないことを知りました。弁護士に相談した際にも、そう言われました。
実際、公正証書を作った後も、会社の慶弔休暇は取得できませんでしたし、社宅にも入れませんでした。自治体の新婚世帯向けの補助も受けられませんでした。結婚資金の贈与を受ける際の非課税制度も利用できませんでした。
また、お互いの入院や手術など万が一のときに、事実婚では病院から夫婦として扱われないことがあるなど、様々な場面で法律婚と異なる扱いを受けるという話を聞き、ますます不安になっています。
公正証書を作った約半年後の今年四月、一般社団法人「あすには」の事実婚当事者の意識調査が発表されました。
調査によれば、二十代から五十代で事実婚をしている人のうち、選択的夫婦別姓が実現したら婚姻届を提出するという、いわゆる結婚待機人数が全国で五十八・七万人いると推計されるとのことでした。私たちの考えが特殊なわけではなく、全国に同じような思いを抱いているカップルが大勢いると知って、とても勇気づけられました。
また、調査には、過去に事実婚をしていて現在法律婚に移行した人への、事実婚時代の困り事についての質問もありました。事実婚では子供を持つことにちゅうちょがあるという回答の割合が最も高く、二十代、三十代を見るとその傾向は顕著でした。
妻も同じように感じていたそうです。将来子供を育てたいという気持ちはあったものの、このまま事実婚の状態で子供を育てていいのか、何かあったときに子供を守ってあげられるのだろうかなどと考えてしまい、無意識のうちに子供の話を避けていたことに気づいたそうです。事実婚という状態が、家族の将来を考えることへのハードルになっていたのだと思います。
事実婚であることを周りに伝えると、割田という名字をビジネスネームにすればいいんじゃないと言われたこともあります。しかし、私にとって、割田伊織という一つの氏名が私自身を表す唯一のものであり、この割田伊織という氏名を変えたくないと思っています。
たとえ旧姓に法的な根拠が与えられ、様々な場面で使えるようになったとしても、私は戸籍名を変えることはしたくありません。使えればいい、周りから呼んでもらえればいいというわけではないのです。なぜなら、戸籍名こそが私の本当の名前だと思うからです。
妻も、私と同じように、武井七海という氏名を大切にしています。だからこそ、選択的夫婦別姓が実現しなければ、私たちは結婚することができないのです。
どうか、一日も早く選択的夫婦別姓を実現してください。よろしくお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
西
寺
寺原真希子#10
○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。
本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。
私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。
まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。
また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。
その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。
すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。
同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。
第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。
つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。
同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。
そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。
そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。
資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。
第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。
その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。
また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。
しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。
維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。
選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。
二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。
最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。
そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。
令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。
同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。
私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。
まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。
また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。
その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。
すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。
同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。
第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。
つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。
同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。
そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。
そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。
資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。
第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。
その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。
また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。
しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。
維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。
選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。
二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。
最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。
そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。
令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。
同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。
ありがとうございました。拍手
西
志
志牟田美佐#12
○志牟田参考人 よろしくお願いします。
本日は、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。
私は、一般社団法人男女共同参画学協会連絡会にてアンケートワーキング委員長を務めております志牟田美佐です。よろしくお願いします。
本日は、科学者の通称使用の実態と、その限界から見えてくる選択的夫婦別姓制度の必要性について、調査結果を基に御報告いたします。
それでは、こちらの資料、「研究者は氏名が看板である 選択的夫婦別姓導入の必要性について」を御覧ください。手元に持ってください、見てください、よろしくお願いします。
資料二から三を御覧ください。
当連絡会は、科学技術系を中心とした百十七の学協会が加盟する組織です。延べ五十万人ほどの科学者が存在しております、この加盟組織の中にですね。
そして、選択的夫婦別姓制度に関する調査は、今年の四月から五月にかけて、加盟学協会会員を対象に実施いたしました。その結果、男性五千九十四名、女性二千三百四十四名、性別を回答しない百二十七名、そのほか十七名、合計七千五百八十二名から回答を得られました。
それでは、資料四を御覧ください。
性別、年齢別に見た、婚姻に伴う改姓と通称使用の経験についての図になります。上が女性、真ん中は男性、一番下は性別を回答しない、その他になります。
赤点線で囲まれました薄ダイダイ色で示される、法律婚による改姓に伴い、通称使用をした経験がある者の割合は、男女共にライフイベントが始まる時期から増加していますが、特に、キャリア形成の三十代後半から四十代の女性で顕著に増加しております。水色は、法律婚による改姓を行っていない者の割合を示しますが、その割合は圧倒的に男性に多いことが分かります。
資料五を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。
先ほどの法律婚をした者を男女別に、改姓し、通称使用をした経験のある者を薄ダイダイ色、そして、改姓したが、通称使用をした経験のない者を青色、法律婚によって改姓していない者を水色で表しています。上が女性、下は男性になります。
薄ダイダイ色で示される、法律婚によって改姓し、通称使用をした経験のある者の割合は、女性で七二・六%、男性で四・六%で、圧倒的に女性で多いことが分かります。また、法律婚をした者のうち、薄ダイダイ色と青で示されます改姓した者の割合と、水色で示されます改姓をしていない者の割合を比較しますと、女性の九二・四%が改姓しているのに対し、男性の九三・八%は改姓をしていないことが示されました。
資料六を御覧ください。
男女別に、改姓した者の中で、通称使用の経験ありを薄ダイダイ色、なしを青色で示した図です。この解析結果から、男女共に、法律婚で改姓した者の七割ほどで通称使用をしていることが分かります。
資料七を御覧ください。こちらはパネルでも紹介いたします。
この図は、男女別に見た、法律婚に伴う不利益について経験した者の割合を男女別に示しております。紫色が男性、緑色は女性を示していますが、法律婚による不利益は、圧倒的に女性が多く経験していることが分かります。特に、法律婚をした女性の五〇%以上は、夫婦のうちどちらかが改姓しなくてはならないという夫婦間の不平等感、また、パスポートや免許証などの名義変更についての負担感やトラブルを経験しております。
次に、資料八を御覧ください。
法律婚による改姓に関する自由記述の一部を紹介いたします。
姓を奪われた思い、法律上は選べても、現実には女性が改姓するしかない、自分の姓を奪われたと感じている。プライバシーの侵害、改姓で婚姻歴が職場に漏れてしまう、夫は改姓せずに済む、その不公平に怒りすら覚える。キャリアの断絶、積み重ねてきたキャリアとの連続性を失い、別人のような感覚に苦しんでいる、論文検索でも旧姓と現姓が分断され、研究の一貫性を示すのに苦労している。また、社内システム及び有期雇用がゆえの苦労などについては、改姓のたびに社内システムを更新し、アクセス権を一時的に失うこともある、特に有期雇用では、そのたびに手続を繰り返す非効率さがある。また、別姓制度に変わるまで法律婚をしないなどの記入がありました。
資料九を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。
左の棒グラフは、右に挙げている通称使用ゆえの様々なトラブルの項目のうち、一つでも経験があると回答した者の割合で、七八%おりました。
項目別に見ますと、この右の方なんですけれども、戸籍姓と通称の使い分けについての迷いや煩雑さなどの負担感が最も多く、六〇%でした。そして、改姓、通称使用による事務担当者の負担への申し訳なさ、パスポート、戸籍名、旧姓併記と航空券の記載名に関する手間やトラブル、研究や学会参加についての事務、旅費関係の手続に関する手間やトラブルは四割を超えておりました。
資料十を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。
通称使用経験者の自由記入の中から、業績に関連した内容の一部を示します。
履歴書と業績リストの名前が一致せず書類審査に落ちたや、有期雇用で通称使用を何度もやり直さなければならない実態、また、通称使用でもよいという意見があるのは、通称では仕事の上で著しく困るという事実を知らないからにすぎないとの記述もありました。特に、赤で示しております、文部科学大臣表彰若手科学者賞という栄誉ある賞を受賞したのに、賞状は戸籍名しか記されなかったは、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。
資料十一を御覧ください。
こちらは、通称使用者の自由記入の中から、行政や職場での手続関係の一部の抜粋です。先ほどの資料と同じく、赤字で示された内容は、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。
資料十二を御覧ください。
こちらは、通称使用経験者の自由記入の中から、海外出張時、パスポート関係の一部抜粋です。赤字で示されました令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案のみを読み上げます。
海外出張では、常にリスクと隣り合わせ。空港でのセキュリティー、出国するときに審査や確認で一時間以上待たされる。セキュリティー強化の影響で、パスポートとビザの登録名と参加者名が一致しないと、学会参加のための入国を拒否される。海外に入国できたとしても、フィールド調査地の地方政府や警察に旧姓併記の説明は非常に難しい。
以上のように、通称使用拡大がなされた現在でも、本調査では、通称使用が様々な場面で限界があることが浮き彫りになりました。
資料十三から十五を御覧ください。資料十三はパネルにて表示いたします。
こちらの資料は、性別で見た科学者の事実婚の割合を紫色で示しております。一般社団法人「あすには」と慶応義塾大学の合同調査、先ほど御紹介がありましたが、そちらの事実婚の割合は約二%でした。しかし、我々科学者集団においては、女性の四・九%、男性の二・七%、性別を回答しないの三・九%が事実婚を経験したと回答しており、特に女性で多いことが示されました。事実婚でのトラブルや不安としては、相続、ローンの制限、社会的偏見が記されております。
資料十六を御覧ください。こちらは最後のデータになります。
この資料は、性別、年齢別で見た、選択的夫婦別姓制度導入に対する意見になります。オレンジで示されます選択的夫婦別姓制度導入に賛成する割合は、二十五から三十四歳の女性で最も高く、約九割が賛成と回答しております。また、男性でも、六十五歳以上では七割以上が賛成と回答しておりました。まとめると、選択的夫婦別姓制度について、女性全体の八三%、男性全体の六一%が賛成の意思を表しております。
資料十七を御覧ください。
本調査のまとめです。改姓と通称使用の負担は女性研究者に偏っていることが分かりました。氏が研究業績と直結する研究者にとって、改姓や通称使用は、業績の認知、信用の面だけでなく、心理的負担や手続の煩雑さといった様々な不利益をもたらしていることが示されました。改姓や通称使用の負担回避のための事実婚という選択においても不利益が伴うことが分かりました。また、令和四年度からパスポートへの旧姓併記が可能となったものの、依然として、学会参加や空港での本人確認などにおいて不利益やリスクが存在していることが明らかになっております。こうした現状を背景に、科学者の、特に女性の多くが、選択的夫婦別姓制度の導入の必要性を認識していることが分かりました。
通称使用の制度を整えることも大切ですが、根本的な解決には、改姓を強制しない制度、すなわち、選択的夫婦別姓制度が必要と考えます。どうかこうした現場の実情を基に制度の議論を進めていただきたく、強くお願い申し上げます。
私の報告を終わります。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。
私は、一般社団法人男女共同参画学協会連絡会にてアンケートワーキング委員長を務めております志牟田美佐です。よろしくお願いします。
本日は、科学者の通称使用の実態と、その限界から見えてくる選択的夫婦別姓制度の必要性について、調査結果を基に御報告いたします。
それでは、こちらの資料、「研究者は氏名が看板である 選択的夫婦別姓導入の必要性について」を御覧ください。手元に持ってください、見てください、よろしくお願いします。
資料二から三を御覧ください。
当連絡会は、科学技術系を中心とした百十七の学協会が加盟する組織です。延べ五十万人ほどの科学者が存在しております、この加盟組織の中にですね。
そして、選択的夫婦別姓制度に関する調査は、今年の四月から五月にかけて、加盟学協会会員を対象に実施いたしました。その結果、男性五千九十四名、女性二千三百四十四名、性別を回答しない百二十七名、そのほか十七名、合計七千五百八十二名から回答を得られました。
それでは、資料四を御覧ください。
性別、年齢別に見た、婚姻に伴う改姓と通称使用の経験についての図になります。上が女性、真ん中は男性、一番下は性別を回答しない、その他になります。
赤点線で囲まれました薄ダイダイ色で示される、法律婚による改姓に伴い、通称使用をした経験がある者の割合は、男女共にライフイベントが始まる時期から増加していますが、特に、キャリア形成の三十代後半から四十代の女性で顕著に増加しております。水色は、法律婚による改姓を行っていない者の割合を示しますが、その割合は圧倒的に男性に多いことが分かります。
資料五を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。
先ほどの法律婚をした者を男女別に、改姓し、通称使用をした経験のある者を薄ダイダイ色、そして、改姓したが、通称使用をした経験のない者を青色、法律婚によって改姓していない者を水色で表しています。上が女性、下は男性になります。
薄ダイダイ色で示される、法律婚によって改姓し、通称使用をした経験のある者の割合は、女性で七二・六%、男性で四・六%で、圧倒的に女性で多いことが分かります。また、法律婚をした者のうち、薄ダイダイ色と青で示されます改姓した者の割合と、水色で示されます改姓をしていない者の割合を比較しますと、女性の九二・四%が改姓しているのに対し、男性の九三・八%は改姓をしていないことが示されました。
資料六を御覧ください。
男女別に、改姓した者の中で、通称使用の経験ありを薄ダイダイ色、なしを青色で示した図です。この解析結果から、男女共に、法律婚で改姓した者の七割ほどで通称使用をしていることが分かります。
資料七を御覧ください。こちらはパネルでも紹介いたします。
この図は、男女別に見た、法律婚に伴う不利益について経験した者の割合を男女別に示しております。紫色が男性、緑色は女性を示していますが、法律婚による不利益は、圧倒的に女性が多く経験していることが分かります。特に、法律婚をした女性の五〇%以上は、夫婦のうちどちらかが改姓しなくてはならないという夫婦間の不平等感、また、パスポートや免許証などの名義変更についての負担感やトラブルを経験しております。
次に、資料八を御覧ください。
法律婚による改姓に関する自由記述の一部を紹介いたします。
姓を奪われた思い、法律上は選べても、現実には女性が改姓するしかない、自分の姓を奪われたと感じている。プライバシーの侵害、改姓で婚姻歴が職場に漏れてしまう、夫は改姓せずに済む、その不公平に怒りすら覚える。キャリアの断絶、積み重ねてきたキャリアとの連続性を失い、別人のような感覚に苦しんでいる、論文検索でも旧姓と現姓が分断され、研究の一貫性を示すのに苦労している。また、社内システム及び有期雇用がゆえの苦労などについては、改姓のたびに社内システムを更新し、アクセス権を一時的に失うこともある、特に有期雇用では、そのたびに手続を繰り返す非効率さがある。また、別姓制度に変わるまで法律婚をしないなどの記入がありました。
資料九を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。
左の棒グラフは、右に挙げている通称使用ゆえの様々なトラブルの項目のうち、一つでも経験があると回答した者の割合で、七八%おりました。
項目別に見ますと、この右の方なんですけれども、戸籍姓と通称の使い分けについての迷いや煩雑さなどの負担感が最も多く、六〇%でした。そして、改姓、通称使用による事務担当者の負担への申し訳なさ、パスポート、戸籍名、旧姓併記と航空券の記載名に関する手間やトラブル、研究や学会参加についての事務、旅費関係の手続に関する手間やトラブルは四割を超えておりました。
資料十を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。
通称使用経験者の自由記入の中から、業績に関連した内容の一部を示します。
履歴書と業績リストの名前が一致せず書類審査に落ちたや、有期雇用で通称使用を何度もやり直さなければならない実態、また、通称使用でもよいという意見があるのは、通称では仕事の上で著しく困るという事実を知らないからにすぎないとの記述もありました。特に、赤で示しております、文部科学大臣表彰若手科学者賞という栄誉ある賞を受賞したのに、賞状は戸籍名しか記されなかったは、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。
資料十一を御覧ください。
こちらは、通称使用者の自由記入の中から、行政や職場での手続関係の一部の抜粋です。先ほどの資料と同じく、赤字で示された内容は、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。
資料十二を御覧ください。
こちらは、通称使用経験者の自由記入の中から、海外出張時、パスポート関係の一部抜粋です。赤字で示されました令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案のみを読み上げます。
海外出張では、常にリスクと隣り合わせ。空港でのセキュリティー、出国するときに審査や確認で一時間以上待たされる。セキュリティー強化の影響で、パスポートとビザの登録名と参加者名が一致しないと、学会参加のための入国を拒否される。海外に入国できたとしても、フィールド調査地の地方政府や警察に旧姓併記の説明は非常に難しい。
以上のように、通称使用拡大がなされた現在でも、本調査では、通称使用が様々な場面で限界があることが浮き彫りになりました。
資料十三から十五を御覧ください。資料十三はパネルにて表示いたします。
こちらの資料は、性別で見た科学者の事実婚の割合を紫色で示しております。一般社団法人「あすには」と慶応義塾大学の合同調査、先ほど御紹介がありましたが、そちらの事実婚の割合は約二%でした。しかし、我々科学者集団においては、女性の四・九%、男性の二・七%、性別を回答しないの三・九%が事実婚を経験したと回答しており、特に女性で多いことが示されました。事実婚でのトラブルや不安としては、相続、ローンの制限、社会的偏見が記されております。
資料十六を御覧ください。こちらは最後のデータになります。
この資料は、性別、年齢別で見た、選択的夫婦別姓制度導入に対する意見になります。オレンジで示されます選択的夫婦別姓制度導入に賛成する割合は、二十五から三十四歳の女性で最も高く、約九割が賛成と回答しております。また、男性でも、六十五歳以上では七割以上が賛成と回答しておりました。まとめると、選択的夫婦別姓制度について、女性全体の八三%、男性全体の六一%が賛成の意思を表しております。
資料十七を御覧ください。
本調査のまとめです。改姓と通称使用の負担は女性研究者に偏っていることが分かりました。氏が研究業績と直結する研究者にとって、改姓や通称使用は、業績の認知、信用の面だけでなく、心理的負担や手続の煩雑さといった様々な不利益をもたらしていることが示されました。改姓や通称使用の負担回避のための事実婚という選択においても不利益が伴うことが分かりました。また、令和四年度からパスポートへの旧姓併記が可能となったものの、依然として、学会参加や空港での本人確認などにおいて不利益やリスクが存在していることが明らかになっております。こうした現状を背景に、科学者の、特に女性の多くが、選択的夫婦別姓制度の導入の必要性を認識していることが分かりました。
通称使用の制度を整えることも大切ですが、根本的な解決には、改姓を強制しない制度、すなわち、選択的夫婦別姓制度が必要と考えます。どうかこうした現場の実情を基に制度の議論を進めていただきたく、強くお願い申し上げます。
私の報告を終わります。御清聴ありがとうございました。拍手
西
西
鬼
鬼木誠#15
○鬼木委員 おはようございます。自由民主党の鬼木誠でございます。
今日は、参考人の皆様に質問をさせていただきます。
自民党では、選択的夫婦別姓について長く議論を続けてきましたが、一つの法案として答えを出すことができませんでした。
自民党内の議論においてこの議論を複雑にした原因の一つに、アイデンティティーという言葉の意味や用法が統一されていなかったことが挙げられると思います。それぞれの人がアイデンティティーという言葉を別々の意味で用い、同じ単語でありながら何のことを指しているのか、そもそも議論のスタートにおいてそろっていませんでした。同じアイデンティティーという言葉を使っていながら、そこで大事にされている価値観がそれぞれ別のものであったわけであります。そのため、議論がこんがらがったまま交わらなかった。これを一旦整理することが問題解決の糸口だと考えます。
アイデンティティーという言葉のそもそもの意味は、自分自身が誰であるかを認識し、他者と区別できる状態、自己同一性、私が私であること、私はどこの何者なのかを認識することなどと言い表すことができます。
ところが、これまでの議論の中で出てきたアイデンティティーという言葉には、私が見て大きく分けて三つの意味がありました。
一つ目は、個人を単位とするアイデンティティーです。乙野梅子さんとして生まれ、社会的な実績を上げてきた乙野さんは、甲野義太郎さんと結婚することで甲野梅子となり、自分の半生との連続性、自己同一性が損なわれたとして苦しんでいるというときに用いられるのが、個人を単位とするアイデンティティーです。これを一つ、一とします、アイデンティティーの一。
二つ目は、家族や先祖、ルーツを根拠とするアイデンティティーです。自分はどこから来た何者だろうという疑問に対し、自分のルーツにアイデンティティーを求める考え。
今日の議論の中でも、アイデンティティーというものが、相対的な部分、自分が妻なのか母なのかとか、これは相対的なものなんですね。そうした中で、このルーツというもの、本当に自分は何なんだろうというときに、確かなものを探したときに、家族や先祖、ルーツを根拠とするアイデンティティーというものが出てくるということで、両親、祖父母、御先祖様、今生きている自分の存在は、過去の命の継続、連続があってこそという考え方でありますので、家族のきずなや御先祖様とのつながりを大事に考える。また、共同体としての国家や民族というものにルーツ、アイデンティティーを感じることもある。私が存在するのは私だけの命ではない、御先祖様からの生命の連続性の中で自分が存在しているのだ、そしてそれが確かなことであるというアイデンティティーであります。
出自を知る権利というのもこのアイデンティティーからくる権利でありますので、戸籍制度を維持することとも密接に関わっております。
この一と二の、同じ言葉でも価値観がやはり違うわけです、何を大事にしているのか。一は私自身の連続性を重視するのに対して、二は私と他者との関係を重視しております。
そして、三つ目の意味のアイデンティティーとして、個人を特定するという意味のアイデンティティーという言葉が挙げられます。
よく、IDというのがありますね。パソコンとかをやっていても、ユーザーID。このIDはアイデンティフィケーション、識別ということになりまして、本人を特定するという意味の自己同一性。これは社会の治安や秩序に関わるものでもあります。この人はどこの誰ですよということを証明することで、ビザやパスポートなどはこの人をこの国に入国させても大丈夫ですよということを確認するという意味で、社会の秩序や治安に関わるという価値を持つアイデンティティー。
大きく分けて三つのアイデンティティーがあるわけですね、その価値が。
この三つ目のアイデンティティー、具体的な例を挙げれば、背乗りという言葉があります。背乗りとは、工作員や犯罪者などが正体を隠すために、実在する他人の身分、戸籍を乗っ取って、その人物に偽装する行為を指す、いわば警察用語であります。北朝鮮の工作員などは、スパイとして韓国に潜入するために日本人を拉致し、その人の戸籍ごと乗っ取り、その日本人に成り済まして韓国に渡ったといいます。この背乗りという言葉を、日本語を英訳すると、アイデンティティーセフト、アイデンティティーの盗難となります。まさにここで言うアイデンティティーとは、本人を特定するという治安、秩序に関わる価値となっております。
これだけ意味の違う言葉を同じ議論の中で交ぜて使っていては議論は深まっていかない。せめてこの三つを分けて、違うそれぞれのアイデンティティーというものがあるということを認識した上で、定義づけて論点整理する必要があると考えております。
この三つのアイデンティティーという意義、そして、この言葉を整理して議論を進めるということについて、八木先生にお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、参考人の皆様に質問をさせていただきます。
自民党では、選択的夫婦別姓について長く議論を続けてきましたが、一つの法案として答えを出すことができませんでした。
自民党内の議論においてこの議論を複雑にした原因の一つに、アイデンティティーという言葉の意味や用法が統一されていなかったことが挙げられると思います。それぞれの人がアイデンティティーという言葉を別々の意味で用い、同じ単語でありながら何のことを指しているのか、そもそも議論のスタートにおいてそろっていませんでした。同じアイデンティティーという言葉を使っていながら、そこで大事にされている価値観がそれぞれ別のものであったわけであります。そのため、議論がこんがらがったまま交わらなかった。これを一旦整理することが問題解決の糸口だと考えます。
アイデンティティーという言葉のそもそもの意味は、自分自身が誰であるかを認識し、他者と区別できる状態、自己同一性、私が私であること、私はどこの何者なのかを認識することなどと言い表すことができます。
ところが、これまでの議論の中で出てきたアイデンティティーという言葉には、私が見て大きく分けて三つの意味がありました。
一つ目は、個人を単位とするアイデンティティーです。乙野梅子さんとして生まれ、社会的な実績を上げてきた乙野さんは、甲野義太郎さんと結婚することで甲野梅子となり、自分の半生との連続性、自己同一性が損なわれたとして苦しんでいるというときに用いられるのが、個人を単位とするアイデンティティーです。これを一つ、一とします、アイデンティティーの一。
二つ目は、家族や先祖、ルーツを根拠とするアイデンティティーです。自分はどこから来た何者だろうという疑問に対し、自分のルーツにアイデンティティーを求める考え。
今日の議論の中でも、アイデンティティーというものが、相対的な部分、自分が妻なのか母なのかとか、これは相対的なものなんですね。そうした中で、このルーツというもの、本当に自分は何なんだろうというときに、確かなものを探したときに、家族や先祖、ルーツを根拠とするアイデンティティーというものが出てくるということで、両親、祖父母、御先祖様、今生きている自分の存在は、過去の命の継続、連続があってこそという考え方でありますので、家族のきずなや御先祖様とのつながりを大事に考える。また、共同体としての国家や民族というものにルーツ、アイデンティティーを感じることもある。私が存在するのは私だけの命ではない、御先祖様からの生命の連続性の中で自分が存在しているのだ、そしてそれが確かなことであるというアイデンティティーであります。
出自を知る権利というのもこのアイデンティティーからくる権利でありますので、戸籍制度を維持することとも密接に関わっております。
この一と二の、同じ言葉でも価値観がやはり違うわけです、何を大事にしているのか。一は私自身の連続性を重視するのに対して、二は私と他者との関係を重視しております。
そして、三つ目の意味のアイデンティティーとして、個人を特定するという意味のアイデンティティーという言葉が挙げられます。
よく、IDというのがありますね。パソコンとかをやっていても、ユーザーID。このIDはアイデンティフィケーション、識別ということになりまして、本人を特定するという意味の自己同一性。これは社会の治安や秩序に関わるものでもあります。この人はどこの誰ですよということを証明することで、ビザやパスポートなどはこの人をこの国に入国させても大丈夫ですよということを確認するという意味で、社会の秩序や治安に関わるという価値を持つアイデンティティー。
大きく分けて三つのアイデンティティーがあるわけですね、その価値が。
この三つ目のアイデンティティー、具体的な例を挙げれば、背乗りという言葉があります。背乗りとは、工作員や犯罪者などが正体を隠すために、実在する他人の身分、戸籍を乗っ取って、その人物に偽装する行為を指す、いわば警察用語であります。北朝鮮の工作員などは、スパイとして韓国に潜入するために日本人を拉致し、その人の戸籍ごと乗っ取り、その日本人に成り済まして韓国に渡ったといいます。この背乗りという言葉を、日本語を英訳すると、アイデンティティーセフト、アイデンティティーの盗難となります。まさにここで言うアイデンティティーとは、本人を特定するという治安、秩序に関わる価値となっております。
これだけ意味の違う言葉を同じ議論の中で交ぜて使っていては議論は深まっていかない。せめてこの三つを分けて、違うそれぞれのアイデンティティーというものがあるということを認識した上で、定義づけて論点整理する必要があると考えております。
この三つのアイデンティティーという意義、そして、この言葉を整理して議論を進めるということについて、八木先生にお伺いしたいと思います。
八
八木秀次#16
○八木参考人 非常に複雑で、どう答えていいのかちょっと分からないんですけれども。おっしゃるとおり、アイデンティティーという言葉が抽象的で、私は先ほどの発言の中でも、内心の問題であり、主観的で千差万別だというふうに言いました。
そういったところを含めて、平成二十七年十二月の最高裁判決は、アイデンティティーという言葉は使っていないんですけれども、それに当たるような名誉感情とかそういう言葉を使って、婚姻後も維持する利益等は、憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとまでは言えないと言って、アイデンティティーの喪失の問題までは救済できません、限界はありますと言っているわけです。
ここの限界を超えろというのが今日多くの方々の、参考人の御意見だったとは思うんですけれども、少なくとも最高裁はそのような見解を示したということだけ申し上げます。
この発言だけを見る →そういったところを含めて、平成二十七年十二月の最高裁判決は、アイデンティティーという言葉は使っていないんですけれども、それに当たるような名誉感情とかそういう言葉を使って、婚姻後も維持する利益等は、憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとまでは言えないと言って、アイデンティティーの喪失の問題までは救済できません、限界はありますと言っているわけです。
ここの限界を超えろというのが今日多くの方々の、参考人の御意見だったとは思うんですけれども、少なくとも最高裁はそのような見解を示したということだけ申し上げます。
鬼
鬼木誠#17
○鬼木委員 アイデンティティーという言葉の中に大きく分けて三つの価値があって、一の個人のアイデンティティーも大事であり、苦しんでいる方がおられることもよく分かっています。特に当事者の方を目の前にすると何とかしてあげなきゃということで、自民党の中でも議論は進んできました。だけれども、二番目のアイデンティティー、家族や先祖、自分のルーツとのつながりというアイデンティティー。そして、治安や秩序というアイデンティティー。この三つが全て大事であるからこそ、これらを調和させて、それぞれの持つ保護法益を調和させた法案を作りたいということで議論を進めてまいりましたが、本日までに折り合う案ができなかったということであります。
個人の権利と、家族のきずな、先祖へのつながり、公共の治安や秩序、それらの保護法益を同時に満たすための法案を自民党でまとめようとしてきたわけです。
野党案も拝見しましたが、立憲案、国民案は、一つ目の個人のアイデンティティーのところを解決するということに偏っているように拝見いたしました。二つ目の家族のきずなや先祖とのつながりを守るという視点、三つ目の社会の秩序や安全を守るという視点での議論が十分であったのかが懸念されます。
中でも一番の懸念が、戸籍及び戸籍法はどうなっていくのかという点であります。井田参考人は過去にSNS上で、筆頭者の下に家族をひもづける戸籍制度を当然改定すべきと書かれております。さらに、一足飛びにはいきません、選択的夫婦別姓実現がまず第一歩と記しておられます。となれば、まずは選択的夫婦別姓を実現して、次の段階で戸籍法を改定するのだと読めるわけでありまして、戸籍法はどのように変わっていくのだろうと心配になるわけであります。
戸籍は、家族という単位をつくり、先祖とのつながりを証明し、自らの出自を知る権利を保障するものです。また、対外的に本人がどこの誰であるかを立証し、秩序の安定にも寄与するものであります。これらの機能をつかさどる戸籍法がどのように変わろうとしているのか、ここに多くの人の心配があると考えます。
こうした懸念に井田参考人はどう答えられますでしょうか。戸籍法をどう変えるとお考えでしょうか。
この発言だけを見る →個人の権利と、家族のきずな、先祖へのつながり、公共の治安や秩序、それらの保護法益を同時に満たすための法案を自民党でまとめようとしてきたわけです。
野党案も拝見しましたが、立憲案、国民案は、一つ目の個人のアイデンティティーのところを解決するということに偏っているように拝見いたしました。二つ目の家族のきずなや先祖とのつながりを守るという視点、三つ目の社会の秩序や安全を守るという視点での議論が十分であったのかが懸念されます。
中でも一番の懸念が、戸籍及び戸籍法はどうなっていくのかという点であります。井田参考人は過去にSNS上で、筆頭者の下に家族をひもづける戸籍制度を当然改定すべきと書かれております。さらに、一足飛びにはいきません、選択的夫婦別姓実現がまず第一歩と記しておられます。となれば、まずは選択的夫婦別姓を実現して、次の段階で戸籍法を改定するのだと読めるわけでありまして、戸籍法はどのように変わっていくのだろうと心配になるわけであります。
戸籍は、家族という単位をつくり、先祖とのつながりを証明し、自らの出自を知る権利を保障するものです。また、対外的に本人がどこの誰であるかを立証し、秩序の安定にも寄与するものであります。これらの機能をつかさどる戸籍法がどのように変わろうとしているのか、ここに多くの人の心配があると考えます。
こうした懸念に井田参考人はどう答えられますでしょうか。戸籍法をどう変えるとお考えでしょうか。
井
井田奈穂#18
○井田参考人 御質問ありがとうございます。
鬼木先生の今おっしゃった三つのアイデンティティー、全て大事だと思うので、選択的夫婦別姓が必要なんじゃないかなというふうに考えています。
戸籍筆頭者というのは、本籍とともに、今現在ではインデックスの意味しか持たないというふうに私は理解しているんですけれども、戸籍筆頭者というものを殊更何か家長のような、あるいは何かしらの意味を持たせてお考えになっている方もいらっしゃると思うんですね。
ただ、これって、毎年のように戸籍法も、あとは様々な法律というのは大量に法改正をされていくので、今の運用上のものが恒久的に続くというわけでは全くないと思うんです。
戸籍法も、例えば振り仮名をつけるとか始まりましたけれども、そういった運用で変わっていくはずのもので、じゃ、インデックスである戸籍筆頭者というものが、今後、運用上、ただのインデックスであるんだったら、例えばマイナンバーにすげ替えられて、検索をして、個人の戸籍がヒットするということが運用上可能に恐らくなるんじゃないかなというふうに思っています。
なので、まずは選択的夫婦別姓は戸籍法上どう変わるかというのは、法制審議会でさんざんお話があって、まさにそれと同じ案を今、立憲、国民が出していただいているので、そのやり方で法改正するというのでよろしいのではないかなというふうに、それがベストじゃないかなというふうに思っていますし、じゃ、選択的夫婦別姓が導入されました、その現在の法制度というのが今後も恒久的にずっとなっていくとか思わないので、それがやはり社会事情であったり国民のニーズによって変わっていくのは当然のことだと思うんですね。戸籍だって謄本がコンビニでできるようになりましたし、振り仮名もつけられます。
そういった改定があるのは当たり前なので、私は、戸籍法、戸籍法というか選択的夫婦別姓実現の後に何を目指しているかというと、ジェンダー平等です。ジェンダー平等を目指す上で、何にしても戸籍筆頭者というものが恒久的である必要も特にないのではないかな、これは別のやり方でも国民登録の在り方としては可能なんじゃないかなというふうに思っています。
お答えになっておりますでしょうか。
この発言だけを見る →鬼木先生の今おっしゃった三つのアイデンティティー、全て大事だと思うので、選択的夫婦別姓が必要なんじゃないかなというふうに考えています。
戸籍筆頭者というのは、本籍とともに、今現在ではインデックスの意味しか持たないというふうに私は理解しているんですけれども、戸籍筆頭者というものを殊更何か家長のような、あるいは何かしらの意味を持たせてお考えになっている方もいらっしゃると思うんですね。
ただ、これって、毎年のように戸籍法も、あとは様々な法律というのは大量に法改正をされていくので、今の運用上のものが恒久的に続くというわけでは全くないと思うんです。
戸籍法も、例えば振り仮名をつけるとか始まりましたけれども、そういった運用で変わっていくはずのもので、じゃ、インデックスである戸籍筆頭者というものが、今後、運用上、ただのインデックスであるんだったら、例えばマイナンバーにすげ替えられて、検索をして、個人の戸籍がヒットするということが運用上可能に恐らくなるんじゃないかなというふうに思っています。
なので、まずは選択的夫婦別姓は戸籍法上どう変わるかというのは、法制審議会でさんざんお話があって、まさにそれと同じ案を今、立憲、国民が出していただいているので、そのやり方で法改正するというのでよろしいのではないかなというふうに、それがベストじゃないかなというふうに思っていますし、じゃ、選択的夫婦別姓が導入されました、その現在の法制度というのが今後も恒久的にずっとなっていくとか思わないので、それがやはり社会事情であったり国民のニーズによって変わっていくのは当然のことだと思うんですね。戸籍だって謄本がコンビニでできるようになりましたし、振り仮名もつけられます。
そういった改定があるのは当たり前なので、私は、戸籍法、戸籍法というか選択的夫婦別姓実現の後に何を目指しているかというと、ジェンダー平等です。ジェンダー平等を目指す上で、何にしても戸籍筆頭者というものが恒久的である必要も特にないのではないかな、これは別のやり方でも国民登録の在り方としては可能なんじゃないかなというふうに思っています。
お答えになっておりますでしょうか。
鬼
鬼木誠#19
○鬼木委員 ちょっともう一問行きます。
寺原先生から比較考量というお話が出ましたが、今私が申し上げた三つのアイデンティティー、それぞれの価値を守るということこそがこの議論の中で比較考量されるべき価値ではないかなと私は考えるわけですが、その上で全体が調和できる案を作るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →寺原先生から比較考量というお話が出ましたが、今私が申し上げた三つのアイデンティティー、それぞれの価値を守るということこそがこの議論の中で比較考量されるべき価値ではないかなと私は考えるわけですが、その上で全体が調和できる案を作るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
寺
寺原真希子#20
○寺原参考人 御質問ありがとうございます。
その三つのアイデンティティーの区分けが正しいのかどうか、ちょっと私は分からないんですけれども、いずれにしても、全て重要で、それぞれが矛盾するものではないというふうに考えています。
先生がおっしゃった個人、自分の連続性を大事にするという方も、もちろん家族も大事にしているし、ルーツも大事にしている。そのことは今の戸籍制度の中で、今、戸籍制度というものがあって、その中に家族が入っている。選択的夫婦別氏制度というのは、一個の戸籍の中から家族を出すものではないんですよね、別氏か同氏かにかかわらず、実態としている家族を戸籍の中に一つに入れるということなので、家族が自分のルーツを知ろうと思えば戸籍を使って今までどおりルーツをたどることができるので、選択的夫婦別氏制度というのは先生のおっしゃった一つ目、二つ目、三つ目のアイデンティティーと相反するものではないというふうに理解をしております。
また、先ほど八木参考人の方から、最高裁ではアイデンティティーの喪失という言葉は使われていないという御発言がありましたけれども、二〇一五年の最高裁判決の多数意見では、アイデンティティーの喪失を抱いたりする人がいるんだと、なので、そういった人格的利益をきちんと考慮する必要があるというふうに言及をされていますことを、念のため申し添えます。
以上です。
この発言だけを見る →その三つのアイデンティティーの区分けが正しいのかどうか、ちょっと私は分からないんですけれども、いずれにしても、全て重要で、それぞれが矛盾するものではないというふうに考えています。
先生がおっしゃった個人、自分の連続性を大事にするという方も、もちろん家族も大事にしているし、ルーツも大事にしている。そのことは今の戸籍制度の中で、今、戸籍制度というものがあって、その中に家族が入っている。選択的夫婦別氏制度というのは、一個の戸籍の中から家族を出すものではないんですよね、別氏か同氏かにかかわらず、実態としている家族を戸籍の中に一つに入れるということなので、家族が自分のルーツを知ろうと思えば戸籍を使って今までどおりルーツをたどることができるので、選択的夫婦別氏制度というのは先生のおっしゃった一つ目、二つ目、三つ目のアイデンティティーと相反するものではないというふうに理解をしております。
また、先ほど八木参考人の方から、最高裁ではアイデンティティーの喪失という言葉は使われていないという御発言がありましたけれども、二〇一五年の最高裁判決の多数意見では、アイデンティティーの喪失を抱いたりする人がいるんだと、なので、そういった人格的利益をきちんと考慮する必要があるというふうに言及をされていますことを、念のため申し添えます。
以上です。
鬼
西
鎌
鎌田さゆり#23
○鎌田委員 おはようございます。
参考人の皆様には、今日は朝早くから、また遠方からもお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。感謝を申し上げます。また、割田参考人におかれましては、緊張という気持ちも吐露されまして、済みません、大役をありがとうございます。
まず、五名の参考人の皆様全てに同じ質問をさせていただきたいと思います。
家族の一体感、あるいはきずなともよく世間では話されておりますけれども、その家族の一体感、きずなを構築していくために、名字、氏、姓、これは一緒じゃなければ築けないものだとお考えでしょうか。私は、名字、氏が違っていても、その家族、それぞれの家族が幸せ、あるいはそれぞれに尊重し合って、認め合って、幸せをつくっていくものだという考えなんですけれども、参考人の皆様の御意見をお聞かせください。
この発言だけを見る →参考人の皆様には、今日は朝早くから、また遠方からもお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。感謝を申し上げます。また、割田参考人におかれましては、緊張という気持ちも吐露されまして、済みません、大役をありがとうございます。
まず、五名の参考人の皆様全てに同じ質問をさせていただきたいと思います。
家族の一体感、あるいはきずなともよく世間では話されておりますけれども、その家族の一体感、きずなを構築していくために、名字、氏、姓、これは一緒じゃなければ築けないものだとお考えでしょうか。私は、名字、氏が違っていても、その家族、それぞれの家族が幸せ、あるいはそれぞれに尊重し合って、認め合って、幸せをつくっていくものだという考えなんですけれども、参考人の皆様の御意見をお聞かせください。
八
井
井田奈穂#25
○井田参考人 私は女系家族でございまして、三姉妹なんですね。姉と妹それぞれ、うちの姉は国際結婚で、別氏で結婚しているんですけれども、それぞれ名字が違います。
ある日、うちの姉がヨガの先生を家でやってくれたんですね。そこで自分の夫とか子供とかいた中で、今日この中に名字が五つあるなというのに気がついたわけです。みんな仲よくヨガをやっているので、別にそこに、きずなが壊れるとかいうこともありませんし、今、一致団結して、うちの父がちょっと介護が必要だったりしたのも相談しながらやっているので、氏は同じでないと築けないということは全く考えていません。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →ある日、うちの姉がヨガの先生を家でやってくれたんですね。そこで自分の夫とか子供とかいた中で、今日この中に名字が五つあるなというのに気がついたわけです。みんな仲よくヨガをやっているので、別にそこに、きずなが壊れるとかいうこともありませんし、今、一致団結して、うちの父がちょっと介護が必要だったりしたのも相談しながらやっているので、氏は同じでないと築けないということは全く考えていません。
ありがとうございます。
割
割田伊織#26
○割田参考人 私も、氏と家族のきずなは関係ないかなというふうに考えています。
私も、母と祖父母は名字は違います、母が改姓したので名字が違いますけれども、今もすごく仲よく、ふだんから楽しそうに話をしています。本当に家族のきずなを感じているんだと思います。
この発言だけを見る →私も、母と祖父母は名字は違います、母が改姓したので名字が違いますけれども、今もすごく仲よく、ふだんから楽しそうに話をしています。本当に家族のきずなを感じているんだと思います。
寺
寺原真希子#27
○寺原参考人 ありがとうございます。
同氏に、どれぐらい重視をするかというのは各家庭によって異なるというふうに考えています。ですので、同氏がいいと思う家庭は同氏にすればよいですし、かといって、別氏でも家族のきずなを築けると思っている家族に同氏を強制する、それを正当化するということはできないというのが選択的夫婦別氏制度を求めている方々の意見かなというふうに考えております。
この発言だけを見る →同氏に、どれぐらい重視をするかというのは各家庭によって異なるというふうに考えています。ですので、同氏がいいと思う家庭は同氏にすればよいですし、かといって、別氏でも家族のきずなを築けると思っている家族に同氏を強制する、それを正当化するということはできないというのが選択的夫婦別氏制度を求めている方々の意見かなというふうに考えております。
志
志牟田美佐#28
○志牟田参考人 御質問ありがとうございます。
私は、名前を残したかったので、事実婚をしていました。息子は胎児認知をしました。
ただ、夫が留学するときに、ちょうど私が体調を崩しまして研究者の職を一時期辞しましたので、一緒に出国するというのは、イギリスなんですけれども、渡英することができなかったので、ビザの関係で、泣く泣く籍は入れたんですけれども。その間、戸籍が別だったからといって不幸だと感じたことはありませんでしたし、すごく幸せでした。
ただ、胎児認知をしに行ったときに、うちの村で初めての胎児認知だったので、市役所が大騒ぎで。それで、何か訳ありの人じゃないかなとか、要するに同姓じゃない、別姓だとか、他人が、不幸だとかそうじゃないというのを評価しているみたいで。
要は、本質は、その家族自体が、各々が幸せを感じればそれでいいんじゃないかと私は思っております。
この発言だけを見る →私は、名前を残したかったので、事実婚をしていました。息子は胎児認知をしました。
ただ、夫が留学するときに、ちょうど私が体調を崩しまして研究者の職を一時期辞しましたので、一緒に出国するというのは、イギリスなんですけれども、渡英することができなかったので、ビザの関係で、泣く泣く籍は入れたんですけれども。その間、戸籍が別だったからといって不幸だと感じたことはありませんでしたし、すごく幸せでした。
ただ、胎児認知をしに行ったときに、うちの村で初めての胎児認知だったので、市役所が大騒ぎで。それで、何か訳ありの人じゃないかなとか、要するに同姓じゃない、別姓だとか、他人が、不幸だとかそうじゃないというのを評価しているみたいで。
要は、本質は、その家族自体が、各々が幸せを感じればそれでいいんじゃないかと私は思っております。
鎌
鎌田さゆり#29
○鎌田委員 ありがとうございました。
私も、それぞれの参考人の皆様とほぼ同様で、八木参考人からも近寄れる部分があったのかなというふうな御答弁だったんですけれども。それぞれの幸せですとか、それぞれの幸福感というのは、よそからこうあるべきというふうに強制されるものではなくて、それぞれ自分自身が自己肯定感を持って、そして幸福追求権を保障されて培っていくものだと思っておりますので、その点は皆様から御意見をいただいて安心をいたしました。
それでは、ちょっと八木参考人にお伺いしたいんですけれども、今、私の手元に令和四年六月発刊の、神道政治連盟国会議員懇談会の冊子がございます。その中に、長崎大学の池谷和子准教授を始めとした方々と、婚姻は子を産み育てるものという主張を繰り返されていらっしゃいます。
このお考えは、選択的夫婦別姓について反対、慎重、そういうお考えにつながり得るものなのでしょうか、伺います。
この発言だけを見る →私も、それぞれの参考人の皆様とほぼ同様で、八木参考人からも近寄れる部分があったのかなというふうな御答弁だったんですけれども。それぞれの幸せですとか、それぞれの幸福感というのは、よそからこうあるべきというふうに強制されるものではなくて、それぞれ自分自身が自己肯定感を持って、そして幸福追求権を保障されて培っていくものだと思っておりますので、その点は皆様から御意見をいただいて安心をいたしました。
それでは、ちょっと八木参考人にお伺いしたいんですけれども、今、私の手元に令和四年六月発刊の、神道政治連盟国会議員懇談会の冊子がございます。その中に、長崎大学の池谷和子准教授を始めとした方々と、婚姻は子を産み育てるものという主張を繰り返されていらっしゃいます。
このお考えは、選択的夫婦別姓について反対、慎重、そういうお考えにつながり得るものなのでしょうか、伺います。