農林水産委員会

1995-11-08 衆議院 全256発言

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会議録情報#0
平成七年十一月八日(水曜日)
    午後零時三十分開議
出席委員
  委員長 日野 市朗君
   理事 二田 孝治君 理事 谷津 義男君
   理事 石破  茂君 理事 倉田 栄喜君
   理事 仲村 正治君 理事 鉢呂 吉雄君
   理事 小平 忠正君
      赤城 徳彦君    荒井 広幸君
      金子原二郎君    岸本 光造君
      栗原 博久君    七条  明君
      東家 嘉幸君    葉梨 信行君
      浜田 靖一君    松下 忠洋君
     三ッ林弥太郎君    御法川英文君
      山本 公一君    鮫島 宗明君
      実川 幸夫君    千葉 国男君
      初村謙一郎君    増田 敏男君
      矢上 雅義君    山岡 賢次君
      山田 正彦君    石橋 大吉君
      遠藤  登君    中西 績介君
      玄葉光一郎君    錦織  淳君
      藤田 スミ君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  野呂田芳成君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       松岡 利勝君
        農林水産大臣官
        房長      高木 勇樹君
        農林水産省経済
        局長      堤  英隆君
        農林水産省経済
        局統計情報部長 中須 勇雄君
        農林水産省構造
        改善局長    野中 和雄君
        農林水産省農産
        園芸局長    日出 英輔君
        農林水産省畜産
        局長      熊澤 英昭君
        農林水産省食品
        流通局長    鈴木 久司君
        食糧庁長官   高橋 政行君
        林野庁長官   入澤  肇君
        水産庁長官   東  久雄君
 委員外の出席者
        外務大臣官房審
        議官      大島 賢三君
        外務大臣官房外
        務参事官    北島 信一君
        大蔵省銀行局銀
        行課長     村木 利雄君
        大蔵省銀行局中
        小金融課金融会
        社室長     振角 秀行君
        通商産業省通商
        政策局総務課ア
        ジア太平洋地域
        協力推進室長  上田 隆之君
        海上保安庁警備
        救難部警備第一
        課長      淡路  均君
        農林水産委員会
        調査室長    黒木 敏郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十三日
 辞任        補欠選任
  初村謙一郎君     竹内  譲君
同日
 辞任        補欠選任
  竹内  譲君     初村謙一郎君
同月十九日
 辞任        補欠選任
  赤城 徳彦君     谷  洋一君
  荒井 広幸君     中馬 弘毅君
  金子原二郎君     村田敬次郎君
  川崎 二郎君     木部 佳昭君
  栗原 博久君     佐藤 孝行君
  七条  明君     田澤 吉郎君
  浜田 靖一君     糸山英太郎君
  御法川英文君     粕谷  茂君
  初村謙一郎君     熊谷  弘君
同日
 辞任        補欠選任
  糸山英太郎君     浜田 靖一君
  粕谷  茂君     御法川英文君
  木部 佳昭君     川崎 二郎君
  佐藤 孝行君     栗原 博久君
  田澤 吉郎君     七条  明君
  谷  洋一君     赤城 徳彦君
  中馬 弘毅君     荒井 広幸君
  村田敬次郎君     金子原二郎君
  熊谷  弘君     初村謙一郎君
同月二十日
 辞任        補欠選任
  木幡 弘道君     今津  寛君
同日
 辞任        補欠選任
  今津  寛君     木幡 弘道君
十一月八日
 辞任       補欠選任
  木幡 弘道君     鮫島 宗明君
同日
 辞任       補欠選任
  鮫島 宗明君     木幡 弘道君
    ―――――――――――――
十月三十一日
 新食糧法の施行・運用に関する請願(平沼赳夫
 君紹介)(第七六号)
 家畜改良増殖法の規制緩和に関する請願(沢藤
 礼次郎君紹介)(第一〇一号)
十一月六日
 新たな食料・農業基本政策の確立と新食糧法並
 びに水田農業政策・価格に関する請願(桜井新
 君紹介)(第一八四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十月二十七日
 食糧・農業・農村に関する新たな基本法の制定
 と米政策の確立及び米の政府買い入れ価格に関
 する陳情書外二十二件
 (第八〇号)
 新たな基本法の制定と都市農業の確立に関する
 陳情書
 (第八一号)
 ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う農
 業農村整備事業の促進に関する陳情書外十七件
 (第八二号)
 APEC大阪会議に関する陳情書外二件
 (
 第八三号)
 漁船乗組員の確保対策に関する陳情書
 (第八
 四号)
 国際化に対応し得る農業及び農村対策の拡充強
 化に関する陳情書外四件
 (第八五号
 )
 国土保全奨励制度の施策の充実に関する陳情書
 (第八六号)
 米の輸入自由化阻止に関する陳情書外三件
 (第八七号)
 水産業振興対策の充実強化に関する陳情書
 (第
 八
 八号)
 水田農業確立及び新食糧法に関する陳情書外三
 十四件
 (第八九号)
 中山間地域振興対策の充実強化に関する陳情書
 外四件
 (第九〇号)
 農業振興対策の充実強化に関する陳情書外二件
 (第九一号)
 農畜産物及び水産物の過度な輸入の規制に関す
 る陳情書外一件
 (第九二号)
 畑作経営の安定に関する陳情書
 (第九三号
 )
 北海道稲作の振興と新食糧法等に関する陳情書
 外八件
 (第九四号)
 林業振興対策の拡充強化に関する陳情書
 (第九
 五号)
十一月二日
 主要食糧の需給及び価格安定の法律施行と運営
 に関する陳情書
 (第二二九号)
 新食糧法及び生産調整対策に関する陳情書外二
 件
 (第二三〇号)
 国土保全奨励制度に関連する施策の充実に関す
 る陳情書
 (第二三一号)
 ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う農
 業及び農村整備事業の促進に関する陳情書外二
 件
 (第二三二号)
 しらすうなぎの国外流出防止対策の強化に関す
 る陳情書
 (第二三三号)
 漁港と漁村の整備及び漁業振興予算の確保に関
 する陳情書
 (第二三四号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件
     ――――◇―――――
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日野市朗#1
○日野委員長 これより会議を開きます。
 この際、野呂田農林水産大臣及び松岡農林水産政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。農林水産大臣野呂田芳成君。
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野呂田芳成#2
○野呂田国務大臣 先般、農林水産大臣を拝命いたしました野呂田芳成でございます。
 農林水産業は、申すまでもなく、国民生活にとって欠くことのできない食糧の安定供給、あるいは国土や自然環境の保全という大変重大な役割を担っております。また、農林水産業の健全な発展や農山漁村の活性化なくして、我が国経済社会の安定した発展はございません。
 私は、このような農林水産業の重大な使命に思いをいたし、農林水産行政の責任者として、誠心誠意職務に精励する所存でございます。委員各位の絶大な御支援と御鞭撻を賜りたいと思います。
 一言、ごあいさつを申し上げました。拍手
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日野市朗#3
○日野委員長 農林水産政務次官松岡利勝君。
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松岡利勝#4
○松岡政府委員 このたびの村山改造内閣のもとで、野呂田大臣の下で農林水産政務次官を仰せつかりました松岡利勝でございます。
 今、農林業の置かれました状況につきましては大臣の方からおっしゃられたような状況でございまして、この問題、この課題を打開するために誠心誠意一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
 特に、地球の将来、人類の将来を考えますときに、この農林水産業の発展は不可欠の大事な前提でございます。そのような認識にも立って、精いっぱい頑張ってまいりたいと思っております。
 どうか、委員長初め委員各位の皆様方の御鞭撻、御指導をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。拍手
     ————◇—————
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日野市朗#5
○日野委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
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赤城徳彦#6
○赤城委員 野呂田大臣、また松岡政務次官には、農業問題非常に多難なときですので、ぜひ御活躍をいただきますようお願い申し上げます。
 今、農林水産分野ではさまざまなテーマがございますけれども、特に、目前にAPEC大阪会合を控えておりますので、その問題に焦点を当てて質問をさせていただきます。
 御案内のとおり、APECでは、昨年出されましたボゴール宣言で、先進国は二〇一〇年、開発途上国は二〇二〇年までに貿易及び投資の自由化を達成する、こういう宣言がなされました。大阪会合では、その宣言を具体化するための行動指針を策定するということになっているわけですけれども、我が国についてはこの農林水産分野など、また各国のそれぞれセンシティブな分野をこの行動指針においてどういうふうに取り扱うかということが大きな課題となっております。
 私どもは、この農林水産分野でウルグアイ・ラウンドの七年間という大変長い経過を経てぎりぎりの合意をしたところでありますし、その合意自体、自民党としてはなかなか受け入れがたいという内容であります。まして、これをさらに前に進めるということはできない。そういう状況の中で、APEC大阪会合に向けて我が国の立場をどのように大臣は主張されていくのか、まずその決意を伺いたいと思います。
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野呂田芳成#7
○野呂田国務大臣 十一月のAPEC大阪会合に向けまして、目下その行動指針の策定作業が真剣に進められているところでございます。
 具体的には、私どもは、農林水産分野の取り扱いにつきましては、日本の農林水産業を取り巻くいろいろな困難な事情がございますから、これにつきましてそういう事情を十分しんしゃくした上でやっていただきたいということをいろいろな機会に主張してまいりました。そして、私どもとしては、ウルグアイ・ラウンドの農業合意を確実に堅持することが我が国の方針であるということを再三再四申し入れてきたところでございます。
 したがいまして、APECでの自由化を進めるに当たりましては、包括性の原則は維持しつつも、農林水産分野のような各国の抱える困難な分野、問題につきましては、柔軟な扱いを認め、実行可能な行動指針とする必要があると考えておりまして、このような我が国の立場が反映されるように明確にこれを主張し、今その取りまとめ作業に入っているという次第でございます。
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赤城徳彦#8
○赤城委員 今申し上げましたように、一番焦点になるところは明確だと思いますし、また、これから大阪会合に向けて、その点について我が国の、また政府・与党の立場、スタンスを明確に一度確認しておかなければいけないと思います。
 それは端的に言いますと、農林水産の分野はWTOでやったばかりであるからそのとおりにやりましょうということであります。きょうは外務省、通産省、それぞれ来られたと思いますので、外務省、通産省の方にもこの点再度確認をさせていただきたいと思いますが、農林水産分野についてこの三点でよろしいのかどうか、もし違うところがあれば、そうではないということではっきりお答えいただきたいと思います。
 農林水産分野について、第一に、ウルグアイ・ラウンド合意の実施期間中はウルグアイ・ラウンド合意の着実な実施をする、第二に、ウルグアイ・ラウンド合意の実施期間以降はWTOでの交渉にゆだねる、第三に、農林水産分野について二○一〇年の目標年次における自由化は約束できない、こういう三点の、これは従来からの我が国の主張だと思いますけれども、これを堅持するということでいいのかどうか、確認したいと思います。
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北島信一#9
○北島説明員 お答え申し上げます。
 議員御指摘の三点で、外務省としても同じ考え方でございます。私自身、ウルグアイ・ラウンドを三年半、担当課長として御一緒に仕事をさせていただきました。あのときの先生方の御苦労、私自身自分のものとして、十分に私の体の一部として持っているつもりでございますけれども、あの七年半にわたったウルグアイ・ラウンド合意の成果を、この合意をきちっと守っていくということが、まさに日本が世界に期待されている最大の点だと思います。したがいまして、それを着実に実施する。それから、二〇〇一年以降の扱いにつきましては、二〇〇〇年に継続交渉が想定されておりますので、この継続交渉による。それから、ボゴール宣言にあります二〇一〇年の目標年次におきます完全自由化、これについては当然約束できない、そういうことで考えております。
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上田隆之#10
○上田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま農林大臣、それから外務省の方から御答弁がございましたとおり、通産省といたしましても、今のような基本的な立場というのを踏まえながら、一方で包括性を受け入れながら、他方でこういったセンシティブな分野につきましては柔軟な取り扱いを行うというような方向で対応をいたしたいと思っております。
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赤城徳彦#11
○赤城委員 ただいまの通産省上田室長のお答えは、今の三点、文言どおり、そのとおりでいいということですか。
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上田隆之#12
○上田説明員 先般、私どもの橋本通産大臣が国会でこの点に関する考え方を明らかにしております。APECにおける自由化の対象につきましては、一方で包括的にするという合意ができておりますので、これを尊重していきながら、農業等々のセンシティブな分野につきましては、一方でWTO、法的拘束力のある自由化につきましてはWTOにゆだねながら、APECの自由化につきましては、ウルグアイ・ラウンドの合意の実施期間中はその合意を着実に実施する、それ以降につきましてはWTOにおける継続交渉の結果を尊重する、したがいまして、二〇一〇年、この農業分野の姿につきましては現時点で申し上げるわけにいかないということを申し上げておりまして、これは基本的に私ども同じような立場であると認識しております。
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赤城徳彦#13
○赤城委員 ただいまお答えいただいた橋本通産大臣の答弁、私ちょっと気になるのは、二〇〇一年以降はWTOでの交渉を尊重すると。私どもの立場は、全くその交渉にゆだねる、その交渉にもう任せる、APECの側からは予断を与えない、そういう意味であります。また、二〇一〇年の目標年次における自由化の姿は今申し上げられないというふうに橋本大臣はお答えでしたけれども、私どもは、これはもう約束できないんだ、二〇〇一年以降のことはもう再交渉にゆだねるわけですからおよそ約束できないんだ、こういうふうに言い切っています。そこのところは、大臣が国会で答弁したことを翻すことはできないかもしれませんけれども、今申し上げたような字句どおりの三点だというのが私ども与党としての立場、自民党としての立場でありますし、政府・与党として一体となってこれまで香港会合等々、東京会合で主張してきたのは、その三点であるということを再度申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一点確認しなければいけないのは、とかく農業、農業、こういうふうに言ってしまいますけれども、それぞれセンシティブな困難な事情を林野、水産の分野でも抱えております。WTOでも大変な交渉をしてきた。また、公益的なさまざまな機能を持っている。それぞれの地域を支えている重要性、いずれも農業の分野と全く同じだ。林、水もこれは農業と一体に扱うべきだと思いますけれども、その点については外務省、通産省、それぞれいかがですか。
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北島信一#14
○北島説明員 林業、水産業分野につきましては、WTO協定上は農業の継続交渉のような形で交渉が定められておりません。その限りにおきまして、林業、水産業の取り扱いは農業と異なるところがあろうかと思います。
 他方、農業と同様にセンシティブな面を林業、水産業は持っているということを当然私どもとしても念頭に置いて、農業分野と基本的に同様に対処していくということでやっていきたいと思っております。
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上田隆之#15
○上田説明員 お答え申し上げます。
 外務省さんの言われたとおりでございまして、WTOの協定上継続的な交渉が定められておらないという点で違いがあるわけでございますが、林業、水産業といった分野も同様にセンシティブな面を持っておる分野でございますから、農業分野と基本的に同様な形で対処していきたいと通産省としても思っております。
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赤城徳彦#16
○赤城委員 今のお答えで、それぞれセンシティブな分野で一体的に扱うということでありましたけれども、林野については継続交渉の扱いが違うということですね。そのことによって何か影響があるのかどうか。これは農林省に聞いた方がいいかと思いますけれども、林野の扱いについてどこか違いが生じるのかどうか、お答えください。
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堤英隆#17
○堤政府委員 今外務省の方からお答えがございましたけれども、WTOの協定上は先ほどお話がありましたような差があるかと思いますが、少なくともこのAPECの問題の取り扱いにつきましては、農、林、水一体という考え方であろうというふうに思っております。
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赤城徳彦#18
○赤城委員 まさに農、林、水一体で、しかも今申し上げたような三点、これをどうやって確保していくかということではないかと思います。
 そこで、自民党では大阪会合に向けて議員団を組織しましてAPEC加盟各国へ行ってまいりました。私は韓国、中国、フィリピンに行ってまいりました。また、ほかの議員団もマレーシア、インドネシア、タイへ、またアメリカ、オーストラリアと行ってまいりましたが、その中で、マレーシア、インドネシア、タイの議員団の一員として、私どもの同僚であります大塚清次郎先生に行っていただきまして、我が国の主張や幅広く議論をしていただきました。実は大塚清次郎先生、その現地で体調を崩されてそのまま急逝をされてしまいましたが、私たちは、その大塚先生がこれまで農業、農村のことを一生懸命考え、取り組んでこられたその姿勢に心から敬意を表したいと思いますし、その御遺志を外しながらAPEC大阪会合にしっかりと我々は対応していかなければいけない、そんなふうに思っております。
 それで、その訪問してきた結果をちょっとかいつまんで御報告させていただきたいと思います。
 まず、韓国、中国、フィリピンには、二田先生、私、太田先生と行ってまいりました。韓国では日本とほとんど同じような考え方で、各国の多様性に配慮して差別的な扱いも必要である、農林水産分野の例外的な扱いが必要である、ウルグアイ・ラウンドの前倒しはできない、そういう立場で協調していきたいということでありました。中国も、APECは合意できるものについて合意すべきであるし、意見交換の場であって自主的な場であるから、押しつけや圧力があるべきではないという見解でありました。
 ちょっと注目すべきはフィリピンです。フィリピンは自由化推進を提唱している国だと思われますが、行ってみましたら、やはり日本と同じようにフィリピンにおいても農業はセンシティブな分野であって、そういう分野については特別な扱いが必要である、これはフィリピンのナバロ貿易工業長官がそういうふうに言っております。また、ウルグアイ・ラウンド合意の前倒しは機微な問題であって自発的な申し出を尊重すべきだ、APECの決定は拘束力を持たないものだと理解している、これはシアゾン外務大臣です。ちょっと我が国で考えていたのとは違うな、現地へ行ってみたら違うなと。ただ、そうは言いながら、ケアンズ・グループの一員であるからそういう立場もあります、こういうことでありました。
 それから、マレーシア、インドネシア、タイには、塩川先生、桜井先生、谷津先生、そして亡くなられた大塚先生でございましたが、マレーシアでは、やはり同じように、APECは交渉の場ではない、自由化は自主的に行うべきだ、ボゴール宣言は何ら拘束力を有するものではない、アブドラ外務大臣が発言しておられます。また、各国が事情に応じ個別的な留保を行うことには問題はない、カーク貿易産業副大臣。APECではウルグアイ・ラウンド合意を先走ったり超えるものであってはならない、アブドラ外務大臣、カーク貿易産業副大臣。こういう発言でありました。
 インドネシアでは、APECではウルグアイ・ラウンドより前進することが重要だが、どういうふうに進めるかは各メンバーが選ぶことができる、日本がどうしても農林水産分野に問題があるということであればほかの分野を選べばよい、スマディ外務省貿易総局長。それから、APECは強制の場ではない、自主的に行っていく場だ、スマディ外務省貿易総局長、ユドノ商業大臣。
 タイは、APECにおいて包括的に自由化を進めるべきだということでありましたけれども、その程度についてはそれぞれ知恵を出すべきだということでありました。また、APECは交渉の場ではなくて協調の場であるということはカセム外務大臣から発言がありました。
 続いて、アメリカですけれども、武藤嘉文先生、堀之内先生、山口先生、岩崎先生で行ってまいりました。アメリカは、もうこれは極めて原則どおり、ボゴール宣言で包括的に二〇一〇年自由化ということでコミットしているではないかということで、そのボゴール宣言から離れることはできない、そういう原則論の応酬になりました。
 オーストラリアですが、武藤嘉文先生、堀之内先生、山口先生、岡部先生と行ってまいりまして、ここもかなり原則論の応酬でありましたけれども、その中でマクマラン貿易大臣が、日本が農業について二〇〇〇年まではウルグアイ・ラウンド合意を守り、その先のことは改めて交渉する、今の段階では約束できない、そういう発言、日本の立場については理解する。理解するというのがどういう外交用語なのかちょっと定かではありませんけれども、理解を示したということです。また、自由化のタイミングは日本に任せてよい、キーティング首相ですが、ただ二〇一〇年までにすべてが自由化されることが確保されなければいけない、これは原則論。
 ちょっと走っての報告でしたけれども、こうして見てみますと、日本の主張に香港会合等々では韓国、中国、台湾は同調した、しかし残り十四カ国は反対であるというふうなことで伝えられておりますが、私どもが行ってまいりますと、必ずしもそうではない。各国とも、APECの性格は柔軟なものであるし、各国の自主性は尊重すべきであるということを言っております。
 私どもが主張しているのは非常に簡単なことで、交渉の場であるウルグアイ・ラウンドで各国が合意したぎりぎりの結果があるのだから、そのとおりやればいいではないか、APECはそれをオーバーライドしたり曲げたりするようなことがあってはならない、そういう各国の自主性は尊重されるべきである、このことは非常に素直な、ごくごく無理のない主張ではないかと思います。
 そこで、まず伺いますが、各国ともこういうふうに、APECというのは自主的、自発的なものである、強制を伴うものではない、そういうことではほとんどの国がそのとおりだと、こう言ってくれております。そういうAPECのそもそもの性格、アジア・太平洋方式といいますか、そういう精神をこれから行動指針の中でも、また大阪会合で出す宣言の中でも、まずAPECというのはこういうものなんだよ、自発的、自主的なものなんだよ、強制力を伴わないものなんだよと、そういうことをうたうべきではないかと思いますけれども、外務省、いかがでしょうか。
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北島信一#19
○北島説明員 APECの性格でございますけれども、先生がおっしゃいましたとおり、まさにAPECは、ガット、WTOのような交渉によって国と国の間の権利義務関係をがっちり法的に固めていくというような性格の場では全くないわけであります。各メンバーの自主性を基本として、協調的な行動それから共同の行動を通じて、貿易・投資の自由化ないしは円滑化を進めていくという考え方に立っているわけであります。
 これはAPECが発足してからずっとこういう考え方でやっているわけで、今度の大阪サミットを経て出る宣言の具体的な内容、これは首脳間の議論をベースに発出されますので、現時点でコメントする立場にございません。どういう表現になるかわかりませんけれども、いずれにしましても、APECを貫く基本的考え方は先生が御説明されたとおりでございます。
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赤城徳彦#20
○赤城委員 まさにAPECというのはこういう性格なのだという基本原則、そのことを前面に押し出していかないと、いつの間にかAPECが交渉の場になっている。アメリカあたりから、ウルグアイ・ラウンドではまだ不十分だった、さらにこのAPECの場を通じて自由化を迫りたい、そういう意図がどうも見えるような気がいたします。先ごろアメリカの農務長官が、二〇〇〇年までに農産物の輸出を五〇%ふやす、戦略的にそういうことをねらっている。その場として今APECの性格そのものがゆがめられてしまっているのではないか、そういう危惧がありますので、ぜひその点を主張していっていただきたいと思います。
 問題は、農林水産分野で三点セット、いわゆる三点セットと言わせていただきますけれども、それがきちっと貫けるかどうかということで、行動指針にそのための文言がやはり必要ではないかということであります。それが伝えられていますようなパラ八の、各国の、またそれぞれの分野の事情に応じて差別的な取り扱いを認めるべきであるという条項であると思います。
 そこで、その三点セットを貫くためにはそういう条項が必要だと私は思いますけれども、まず、その条項が三点セットを守るために必要なのかどうか。それから、その条項がなかったら、ボゴール宣言と包括性というパラ一とそのほかの行動指針の各条項だけであったら、どういうことになるのか。例えば米の関税の特例、そういうものは二○一〇年に維持できるのかできないのか。そこら辺のところを伺います。
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北島信一#21
○北島説明員 先生が言われましたいわゆるパラ八、その種のものがなかったらどうなるか。それと、パラ一で包括性の原則。包括性の原則といいますのは、APECで貿易・投資の自由化を議論する際に、とにかくすべてのものを取り扱う。これはボゴール宣言のパラ十に既に出てきておりますけれども、すべて取り扱うというその包括性の考え方だけが残るわけですけれども、いろいろな国の人と議論をしていますと、日本の基本的な立場はこのパラ一だけでも十分守れるはずだということを言う関係者は多うございます。
 他方、我々政府として仕事をする以上は誤りなきを期したいということで、パラ八のようなもの、つまり困難な分野について柔軟的な取り扱いを認めるような表現、そうしたものを明示的に入れることによって日本の基本的な立場を確たるものにしたい、そういうことでやっております。
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赤城徳彦#22
○赤城委員 確かに、バラ八がなくてもパラ一で読めるのではないか、アメリカでもそういう発言があったようですけれども、それは全く意味が違うのですね。認識が違うのです。アメリカ、オーストラリアは、二〇一〇年、いずれにしても包括的に自由化だ、そのタイムリミットは決まっていて、そこへ至る過程で柔軟性を持たせてもいいというふうな言い方をしているだけであって、三点セットを維持するためには、なくてもいいけれども、ただ入れておけばより表現が強くなるとかより理解が進むというような意味ではなくて、これは明確にそのことをうたっておかなければ全くその解釈が違うわけですから、パラ八がこれはなくてはならない、三点セットのためにはなくてはならないと思いますけれども、これは農林省の方ではどういうふうに考えていますか。
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堤英隆#23
○堤政府委員 私どもとしては、先生の御指摘のような考え方であるということでございます。
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赤城徳彦#24
○赤城委員 そういう意味で、もうパラ八はなくてはならない。問題はその中身なのです。
 今北島参事官から、何らかの柔軟性を持たせるような規定が必要だ、こういうことでありましたけれども、柔軟性を持たせるというだけでは、今申しましたように、アメリカ、オーストラリア等の立場では、単に自由化のスピードの柔軟性の話と向こうは受けとめていますから、いずれにしても二〇一〇年は自由化だよ、こういうことに言質を与えることになってしまうと思います。
 その中身についても、当初は各分野の事情に応じた異なる取り扱い、ディファレンシャルトリートメント、そういうことを主張しています、こう言っていたのですが、どうも最近は柔軟性、柔軟性、こういうふうな答えしか返ってこないので、いつに間にかトーンダウンしているな、こういうふうな気がしてならないのです。
 文言の話ですし、これは交渉の中身の話に入ってきますから、その言葉自体がどうだこうだとは言いませんけれども、要するに、大阪会合が終わりました、行動指針で何か出ました、何とかパラ八は残りました、そのときにそのパラ八の文言で三点セット、これまで主張してきたことは読めるんですかと改めて聞きたいと思います。そうしたら、読めるんです、こうお答えになるでしょうし、今の段階ではそのように努力します、こういうことだと思いますね。しかし、日本側がこれはもう守った、三点セットはパラ八で守った、こう言った途端にアメリカとかオーストラリアから、いやそれは解釈が違うぞ、我々はいずれにしても二〇一〇年自由化ということを、日本もそれはコミットしたではないか、ただその二〇一〇年に至る過程の柔軟性なんだよ、こういうふうに向こうが途端に反発してきたら、これはもうぶち壊れるわけです。
 そういうことがないように、このパラ八できちっと三点セットが読めるんだと、そういう表現で決着をしなければ何ら交渉にならない、から取ったことにならないと思いますけれども、いかがでしょう。
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北島信一#25
○北島説明員 まさしくその三点セットと言われる我が国の基本的な立場がきちっと読める表現、それを確保したいということで頑張っております。
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赤城徳彦#26
○赤城委員 ぜひそのようにお願いしたいと思いますし、これは改めてちゃんととれたのかと伺いたいと思いますので、そのときにアメリカ、オーストラリアが、いやそうじゃないと言い出さないようにぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、イニシアル・アクション、当初の措置について伺いますが、当初の措置は各国自主的に出せるものを出せばいいのであって、これについても、先ほどの三点セットで申し上げたように、ウルグアイ・ラウンドで決まったこと以上のものはここでは出せないというのが我々の立場です。したがって、当初言われたような熱帯産品とかそういった分野、関税の前倒しというのはまさにウルグアイ・ラウンドで合意したことを踏み越えることになりますから、それは当初の措置としても出さないと思いますけれども、いかがでしょうか。
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北島信一#27
○北島説明員 先生のお立場は一〇〇%以上私は承知しております。
 当初の措置は各国が自主的に持ち寄るということでございます。その中身については、したがいまして、外務省の考え方——いろいろな関係省庁があります。これは関税の前倒しの世界のみならず、規制緩和の世界とか幾つかあるわけですけれども、広い分野でできることをぜひやっていただきたいというお願いをしているということで、特定の分野、特定のものについてぜひこうしてもらわないと困るとか、そういう言い方はしておりません。
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赤城徳彦#28
○赤城委員 できる分野でやっていただければいいんですけれども、ウルグアイ・ラウンドで決まったことはそのとおり実施するということに抵触するような品目また提示は、これはやってはいけない。それはまさに先ほど参事官が三点セットはそのとおりですと言われたことに抵触することですから、これは前倒しはできないと改めて申し上げたいと思います。
 時間がまいりましたので、終わります。ありがとうございました。
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日野市朗#29
○日野委員長 次に、遠藤登君。
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