運輸委員会

1997-05-29 参議院 全240発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成九年五月二十九日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         直嶋 正行君
    理 事
                佐藤 泰三君
                二木 秀夫君
                戸田 邦司君
                中尾 則幸君
    委 員
                亀谷 博昭君
                鈴木 政二君
                竹山  裕君
                野沢 太三君
                溝手 顕正君
                吉川 芳男君
                泉  信也君
                平井 卓志君
                横尾 和伸君
                瀬谷 英行君
                筆坂 秀世君
                末広真樹子君
                栗原 君子君
                芦尾 長司君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  古賀  誠君
   政府委員
       大蔵政務次官   西田 吉宏君
       大蔵省主計局次
       長        細川 興一君
       運輸大臣官房長  土井 勝二君
       運輸省運輸政策
       局長       相原  力君
       運輸省鉄道局長  梅崎  壽君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        志村 昌俊君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       渡辺 裕泰君
       大蔵省理財局次
       長        中川 雅治君
   参考人
       早稲田大学商学
       部教授      杉山 雅洋君
       交通評論家    角本 良平君
       株式会社旭リサ
       ーチセンター代  鈴木 良男君
       表取締役社長
       日本国有鉄道清
       算事業団理事長  西村 康雄君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を
 図るために平成九年度において緊急に講すべき
 特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○運輸施設整備事業団法案(内閣提出、衆議院送
 付)
    —————————————
この発言だけを見る →
直嶋正行#1
○委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講すべき特別措置に関する法律案を議題とし、参考人から意見を聴取することといたします。
 本日は、本案審査のため、早稲田大学商学部教授杉山雅洋君、交通評論家角本良平君及び株式会社旭リサーチセンター代表取締役社長鈴木良男君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 各参考人におかれましては、それぞれの立場から忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁とも発言は着席のままで行うことといたしますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ていただきたいと存じます。
 また、各委員の質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。
 それでは、まず杉山参考人にお願いを申し上げます。
この発言だけを見る →
杉山雅洋#2
○参考人(杉山雅洋君) 早稲田大学の杉山と申します。
 旧国鉄の長期債務の処理問題につきまして、私の考えているところを三点申し上げてみたいと思います。
 第一点目は、処理のための基本方針として何を考えるべきかという点でございます。
 御案内のように、債務の額が膨大でございますので、当面の緊急処置をまず講ずる必要があるのではなかろうか。そして、それと同時並行的に抜本的な対応をするべきではないだろうかというように考えております。
 当面の緊急処置として何が要求されるかということになりますと、金利負担の軽減策が何より必要だというように思います。その点におきまして、閣法第二六号には基本的に同意するものでございます。
 ただ、金利の負担問題は当面の処置だけでなくしてこれからも必要であるというように考えますので、この閣法二六号に記されておりますような対応策につきましてはまた別途考えてみる必要があろうかというように思います。基本的な考え方は同じでございますけれども、方法として別の角度から論じる必要があるのではなかろうか。後ほど時間がありましたら具体的に申し上げてみたいと思います。
 それから、抜本的な対応策でございますけれども、これは債務が清算事業団に二十五兆強残された。それは一体なぜ残されざるを得なかったのか。また、改革十年たってその額が二十八兆を超えるように膨らんでしまった。その膨張の原因がどこにあるのか。これを考えて、それに照らして対応することが必要だろうというように思います。
 前者については、競争市場となった交通市場の中で競争対応型の政策をとるのが筋であったというように思いますけれども、必ずしもそのような政策をとれなかった。これが大きな原因ではなかろうか。具体的に申し上げますと、縮小再建を考えるべきであったのが必ずしもそうではなかった、拡大再建と言われてもいたし方のない政策をとったという点でございます。
 それから、後者につきましては、具体的な債務処理がおくれてしまった、資産売却、具体的に申し上げますと用地売却、株式売却のタイミングを失してしまったという点があろうかと思います。
 このように考えてみますと、昭和六十年七月に国鉄再建監理委員会が出しました意見書、これが核心を突いているのではなかろうかなと思います。意見書をひもといてみますと、自主財源を充ててもなお最終的に残る、当時の試算ですと十六兆七千億でございますけれども、それは最終的に国民負担に求めざるを得ないと明記されているわけでございます。
 そして、この意見書の考え方が六十三年一月、あるいは平成になりますと元年十二月の閣議決定を見ております。したがいまして、この閣議決定を基調とすべきなのではなかろうかなと思います。閣議決定が覆されたケースは、オイルショックのような特別な事情を除きましてほとんどないというように私は理解しております。閣議決定の持つ重み、これを尊重すべきではなかろうかなと思います。
 そういたしますと、国民の税負担ということになりますので、歳出削減等の大前提は申すまでもありません。その際に、安易な処理をぜひ回避していただきたい。それから、国民の理解が得られるようなそういう方策が必要ではなかろうかなと思います。緊急事態であるがゆえに国家百年の計を考えることが重要だというように思います。
 次は、第二点目でございますけれども、処理のための基本理念として何を考えるべきかという点でございますが、私は資源配分の効率性を前面に考えるべきではなかろうかなと思います。
 そのための具体的手段として考えられますのは受益者負担原則でございます。これは合理的でわかりやすいシステムでございますし、また資源の効率的配分に有効な原則であります。今言われております規制緩和、市場原理を活用しろという声にも合致する、そういう方策であるというように私は位置づけております。
 やや具体的に受益者負担原則を考えてみますと、道路のケースと鉄道のケース、二つあろうかと思います。
 一つは道路でございますけれども、これは道路特定財源を一般財源に転用してみたらという声が非常に強いわけでございますけれども、これが果たして受益者負担原則にのっとっているのかどうなのかという点を考えてみたいと思います。
 御承知のように、道路特定財源は揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、ただし自動車重量税は形式上は一般財源になっておりますから、今ここが論点とされております。この特定財源が余っているのではなかろうか、あるいは道路資本ストックが既に十分ではないか、ならばこれを一般財源にして多目的に利用したらいかがかと、こういう提案でございますけれども、私は、道路特定財源が受益者負担原則にのっとっているという点から考えてみますと、転用論、すなわち一般財源化は好ましくないんではなかろうかなと思います。
 その一つの理由といたしまして、道路資本ストックが十分であるという判断は少なくとも私にはしかねるという点と、それからもう一つは、このような特定財源制度を継続していきますと財政の硬直化を招くのではなかろうかという指摘があるわけでございますけれども、ならば一般財源に移した場合に財政の硬直化が防げるかどうかという点、これは過去の経緯に照らしても非常に疑問でございます。したがいまして、道路特定財源制度は受益者負担原則に基づいてこれを考えるべきではないかというのが私の立場でございます。
 次に、鉄道についてでございますけれども、これは新たに鉄道利用者に鉄道利用税を課すべきではないか、あるいはJRに追加負担を求めるべきではないかと、このように言われておりますけれども、まず鉄道利用税でございますが、これは受益と負担の関係が明確になっておりません。すなわち、現在ないしは将来の利用者に鉄道利用税を賦課いたしますと、その受益が彼らに戻らないという点から見てみますと受益者負担原則にのっとっているというようには理解しがたいわけでございます。
 それから、JRの追加負担でございますが、これはJRを旧国鉄と同じと見るのかどうなのかという点でございますが、私は国鉄改革の趣旨に照らして現JRは旧国鉄とは別に考えるべきではなかろうかというように思います。
 追加負担を求める理由といたしまして、現JRは旧国鉄から資産を継承したのではないかと、こういう点が言われているわけでございますけれども、その資産の継承は、JRが企業としてネットワークを存続させる、あるいは維持させるために必要な資産を継承したのか、場合によりますと、本来は企業としては好ましくないそういう線路まで維持させられたんではなかろうか、このように考えてみますと、これも受益者負担原則には好ましくないというように思います。
 そういたしますと、道路利用者あるいは鉄道利用者、JRが負担すべきでないということになりますと、じゃ何を考えるべきなのかという点でございますが、三点といたしまして、私は各種方策の組み合わせ、言ってみますとポリシーミックスとでもいいましょうか、これを提唱してみたいというように思います。
 一つ一つの方法には問題点がございます。その問題点をできる限り小さくして、対応でき得るようなそういう組み合わせをこれから真剣に模索すべきではないだろうかなというのが考え方でございます。
 過去の債務についてでございますけれども、これは何よりも金利負担の軽減が必要とされます。具体的に言いますと、有利子債務の無利子化、あるいは財投の繰り上げ償還、さらに低利民間資金への振りかえ等々がございます。ただ、これを行う場合に、一般会計にそのままの形で移しかえますと、歳入歳出が明確になっておりません。旧国鉄の債務処理というのは、国民的な大きな課題でございますし、また国民の負担を求めなければならない、そういうものでございますので、歳入歳出が透明であるというような形で、一般会計につけかえというよりはむしろ特別会計をつくって、その姿が納税者に明確な形で映るような、そういうシステムが必要ではなかろうかなというように思います。
 また、新たな償還財源が必要になってまいりますけれども、これは資源配分をゆがめないような形での税負担、ただし期限つきの形ということになりますけれども、このような手段が必要かなというように思います。純理論的に言いますと、直接税が資源配分をゆがめないということでございますけれども、直接税の場合には負担の公平性という問題が出ますので、これは慎重に議論する必要があろうかと存じます。
 さらに、無利子国債、何らかの特典をつけませんとこれは市場でさばけませんから、特典をつけた形での無利子国債、ただしこれは公平性の問題もあろうかと思いますし、また市場がそれを受け入れるだけの余地があるのかという点もあろうかと存じます。しかし、一つの手段として考えてよろしいのではなかろうか。
 このように考えてみますと、一つ一つには問題がございます。ですから、この案一本でいけというのは非常に難しい。そこで、各案を組み合わせてみて、そして債務の償還計画を明示して、そしてこの償還計画のためにはこのような対応が必要なんだという数案を考えて国民に提示すべきなのではなかろうかなというように考えます。その際に、私どもは情報が限られております。したがいまして、政府広報等を通じまして国民に実態を知らせて、そして広く議論をくみ上げるということが必要ではなかろうかなというように思います。
 いずれにいたしましても、そこに財源があるからというような形ではなくして、論理が明確に伝わるようなそういう形で対応をしていくということが何より要求されるのではなかろうかなというように存じます。
 私の考えている基本的なところは以上でございます。
この発言だけを見る →
直嶋正行#3
○委員長(直嶋正行君) ありがとうございました。
 次に、角本参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
角本良平#4
○参考人(角本良平君) 三つに分けて申し上げます。
 第一は、責任の論理であります。
 日本国有鉄道清算事業団の債務の処理に当たっては、まず最初にこの事業団自体が負債増大を阻止できるようにつくられていたかどうかという問題でありまして、答えは否定であります。そうつくられておりません。
 営業収入のない組織ですから、当初に与えられた資産以上の返済ができるはずはなかったわけです。いわば一千万円しか資産がないのに三千万円の負債を始末せよと命じられておりました。差額の二千万円は返しようがありませんから、当初にそれは不可能と自己破産すべきでありました。債権者は、それは不良債権と処理すべき性質でありました。返済能力のない者に貸した責任が逆にございます。
 次に、資産の処分は、利子がかさまないように一日も早く実施すべきでありました。また、当初は、バブル経済のもとで価格も有利でありました。ところが、それを行わせなかったのは国と地方自治体でございます。事業団の責任ではございません。阻止した人たちはそれによって何らかの利益を得ていたのではなかろうか。一体、この行為が経済の常識に反していたかどうかは別にいたしまして、この場合は責任者は明確でありまして、被害者は事業団でございました。
 この時点で事業団は運営不可能と投げ出すべきだったのですが、実際にはそうしませんでしたし、利払いのためにさらに借りました。借りた方にも貸した方にも責任を生じたわけでありまして、返済能力のない者にお金を貸して、返さないと嘆いていても、これは解決にならないわけであります。
 以上三つの点、すなわち事業団の設置、土地処分の阻止、利払いのための債務増加の責任、この三つの責任が問われるわけであります。
 当然のことですが、事業団の債務は、その結果を招いた責任者が負うべきものであります。これが私の申し上げる責任の論理であります。法治国では当然そうであります。
 そこで、対策の議論は、この責任の論理に基づいてなされるべきでありますが、大変不思議な話が私の小さな耳にも伝わってまいります。
 例えば、国鉄が残した債務だからJRにも道義的責任があるという主張がございます。しかし、JRといっても、その利用者からの収入を主とする組織でありまして、JRの利用者が過去の政治、行政が発生させた債務にどうしてそんな責任があるのか説明できるでしょうか。大体、道義的というのは、法律制度上あるいは経済の論理によって説明できないことをもっともらしく言うための言葉であります。
 二つ目の例は、事業団は運輸省の所管だから運輸行政の全体の中で責任を持つべきだという話で、港湾や空港の経費を削ってこちらへ回せといった主張であります。これはいわばたかりの論理です。因果関係がつながらない者に金品をせびるわけで、隣には金があるから出せというような話であります。
 三つ目は、もっとひどい主張で、鉄道の欠損は道路の整備による、したがって事業団には道路の経費から金を出させようというものであります。確かに、道路が三十年前のままなら国鉄は安泰だったでしょう。しかし、向こうの商店が繁盛したのでこちらが寂れた、その分を向こうに賠償させよう。世の中ではこんなことは通用いたしません。
 以上が第一に申し上げる責任の論理であります。
 そこで、第二は、現状を悪化させないように、悪化の防止であります。
 十年間に事業団の債務は膨らみました。次の十年放置しておけば、何倍にもなるでしょう。その対策を今ここで我々議論しておりますが、第二、第三の事業団が次々と出てさましたら国民は対応できなくなります。
 次の十年に、私は、今の運賃政策のもとでは、大手民鉄もそうでありますが、JR各社は行き詰まり破滅すると思います。現在の運賃政策のもとで、大手民鉄でさえ過去二十一年間に十四年は、すなわち三分の二の年度は欠損でした。恐らくその前を調べてもやはり同じだったと思います。JRの場合は、貨物は既に今年度を含んで五年連続の経常損失と見込まれます。旅客では、北海道が三年連続になります。一体このような状態でJR本州三社といえども今後に欠損は避けられないと思います。
 法律では原価を償うことになっておりますが、一体世界の常識として、このように法律が明記しているにもかかわらず今申し上げた運賃政策が行われる、これはどうしてか理解のできないことであります。と申しますのは、今の運賃政策は収入は支出よりも少ないということを認めているわけであります。原価の算定方式につきましてはこの一月から改めたと言われておりますけれども、その原価と運賃とが結びついておりません。解説では、従来の運賃政策と変わらないんだということが言われております。
 ここで国鉄の欠損の経過を手短に申し上げます。それは事業団の債務の理解にも重要であります。
 国鉄の赤字の定着は六四年度、昭和三十九年度からであり、その前七年間は健全経営でありました。五七年と六一年の運賃改定で物価上昇に対応できたわけです。ところが、六三年に八%近くも物価が上がりましたのに対して、六四年一月に政府は公共料金値上げを凍結いたしました。さらに、十月東海道新幹線が開通しまして、営業支出が急増いたしました。国鉄の欠損といえばだれでも労使の争いを思い出します。しかし、その前に運賃抑制と大投資という二つの原因がございました。
 さらに、自動車時代になっていましたから、鉄道は道路交通で足りるところがらは撤退すべきで、民鉄は早くからそうしていたのに、六〇年代後半に国鉄が希望したときには政治は認めませんでした。それどころか、逆にローカル線建設のため六四年に日本鉄道建設公団を設置いたしました。これが三つ目の原因であります。
 六〇年代後半、欠損続きの国鉄は政治の干渉のもとに経営管理能力が低下しておりました。そこへ六八年に現場協議制という労使慣行が政府によって導入され、以後順法闘争と違法ストが定着いたしました。これが四つ目の原因であります。
 五つ目の原因は貨物輸送でありまして、産業振興の旗のもとに低運賃が強制され、さらに需要もないのに大投資を強制されました。
 最後に、六番目に、事業団と同じことが七一年度から起こりました。すなわち、利払いのために借金する政策で債務は増加し、八〇年代には金利負担が企業を押しつぶしてしまいました。結果がJRとなったわけですが、また事業団もそのとき生まれました。
 以上の六つの原因の中で、運賃抑制と投資の二つはJRを今も脅かしております。やがてローカル線の撤去も必要になります。貨物輸送は思い切った縮小をしないと小型の国鉄になるのが明らかであります。今後十年間に大手民鉄の大部分は何とか生き延びましても、JR七社はほとんど不可能と私は考えております。
 以上、第一に責任の論理を申し上げ、第二に現状を悪化させない、悪化の阻止を申し上げました。
 次は、第三に、それでは対策はどうするか。対策は、私は節約よりほかにないと思います。事業団の債務が政治、行政の指導によるものでありますから、国全体の財政の中で処理するよりほかにありません。国民としては、増税による増収よりも、その前に節約を望んでいると思います。国民の一人としてそう申し上げたいわけであります。
 幸いに、我が国の各部門の施設能力は増加してまいりました。交通部門を見ましても、これまでのように能力不足のために投資が必要というのではなくなっておりまして、また、一部の区間で確かに混雑し能力不足が言われましても、ここは資金があっても工事がもはや不可能であります。
 交通だけではなく、すべての部門において財政支出の削減が今や求められていると思います。削減される部分では、確かに産業の縮小も避けられません。しかし、それは時代の変化として当然起こるべきことでありまして、自動車時代になれば四十五万人の国鉄が二十万人のJRになる、これは仕方のないことであります。施設が整備されてまいりますと建設関係の縮小は当然であります。供給力が豊富になってまいりますと、今までの輸送能力不足時代の規制は必要ではなくなりまして、企業も行政もその面の要員は不要になります。このようにして経費を節約し、そして過去の債務を返して、同時に新しい分野にお金を使う、これが私の考えであります。
 交通について言えば、陸海空の投資は数年間、私は差し当たり半分に抑えたらいかがかと思っております。その間にもう一度今の投資を数字ではっきり評価していただきたいと思います。何が必要なのか、重点をはっきり決めるべきだと思います。整備新幹線あるいは大都市の地下鉄投資、いずれも必要と言われましても、建設の速度をいま少し緩めましても決して輸送力不足という問題は生じないと思います。輸送需要は今や停滞あるいは減少の段階に入っていると思います。
 このような縮小に対して景気対策を考慮せよと言われるかもしれません。しかし、利用率の悪い施設をつくるため一時建設期間中の資金を動かしましても、その資金の負担が今度は景気の足かせになります。それよりも、返すべきものは早く返して、返済された資金が有効に働いていく方が景気のためになると思います。
 最後に、我が国の交通投資がいかに巨大かという例を申し上げます。
 道路投資額は、国土面積が二十六倍のアメリカに匹敵する規模であります。西ヨーロッパ諸国の数倍であります。よく人口当たりの普及率がおくれていると言われます。数字の上では確かにそうでありますが、これは人口高密度国として避けられない宿命であります。現在の道路投資額を半分にしても、なお国際比較の上では飛び抜けて大きいわけであります。交通投資はたとえ財政問題がなくても縮小すべき段階に来ております。まして資金不足であれば縮小の必要があります。
 以上、御清聴ありがとうございました。あとは御質問いただいてお答えいたします。
この発言だけを見る →
直嶋正行#5
○委員長(直嶋正行君) どうもありがとうございました。
 続きまして、鈴木参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
鈴木良男#6
○参考人(鈴木良男君) 鈴木でございます。本日は意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 まず、当面する緊急に措置すべき特別措置に関する法律案について申し上げます。
 これは臨時、異例の措置として今年度の借入分債務を一般会計に移すとともに、既往の無利子貸付金五・三兆円の償還据置期間を一年間さらに猶予するという措置であり、いずれも緊急の止血措置として行われるのは妥当なことと考えて賛成であります。
 問題は、実質ベースで見ますと、JR発足の昭和六十二年当時に二十二・七兆円、うち国民の負担は十三・八兆円と見積もられていましたが、数々の失敗の中で平成九年度首で二十八・一兆円、うち国民負担は二十兆円を超すと見込まれている清算事業団の債務の処理であることは言うまでもありません。
 一口に国鉄長期債務と言いますけれども、これは二つに分けて考えないといけないと思います。
 旧国鉄時代に昭和三十九年から累積され、二十三年後の六十二年にはついに三十七・一兆円にまでなった長期債務は、JR発足の昭和六十二年四月時点で二つに明確に分離されました。第一は新生JR三社が負担するとされた十四・五兆円部分で、いま一つは清算事業団に帰属された二十二・七兆円の部分であります。この二つの部分はその後運命を全く異にしました。
 前者は、負担したJR三社の努力により、その後新幹線保有機構からの買い取りの際に一・一兆の上乗せ評価がえをさせられましたが、発足時の売り上げの四・五倍という明らかに過重な負担にもかかわらず、着々と利息及び元金の支払いがされており、旧国鉄時代のような返済不能とみなされる債務ではなく、通常の長期債務となっております。
 後者の方は、八・二兆円に及ぶ土地や株式の売却にもかかわらず、数々の政府の失敗の中で、平成九年度首で国民負担は二十兆円余と、当初より六兆円もふえる見込みとなっております。
 失敗の第一は、当初の処理フレームが処理案となっていなかったという点です。いつの日にか処理ができるだろうという安易な考えを紙の上に書いただけで、金利に対してはほおかぶりをし、知らぬ顔の十年を徒過した責任は重いと言わざるを得ません。
 失敗の第二は、何の役にも立たなかった清算事業団という特殊法人です。事業団の最大の役割というのは国民負担の軽減だったはずです。国の地価政策に引きずられたバブル時の売却の中止は、特殊法人全体が持つ自主性の尊重と言いながら、何一つそれが認められず、国の政策どおりの運営を強いられるという特殊法人の欠陥をそのまま露呈いたしました。しかし、この問題についてはだれも清算事業団の責任とは思わないでしょう。そういう特殊法人制度自体が問題だということを私は言いたいのであります。
 失敗の三は、財投制度が隠れ借金を可能にしました。あるから余るから使う財投、使うから生き残る特殊法人という弊害がここにもあらわれております。
 以上、三つの失敗は旧国鉄が歩いた失敗の軌跡そのものと言えます。国鉄破綻の最大の原因であった長期債務に対する利払いという生きた教訓を目の前にしながら、同じ間違いを犯したのであります。本当に解決する気持ちが、政治を含め政策当局に今日まであったとは思えません。あったのはすべてこれは先送りの魂胆と無責任さだけでしょう。JRが民間の成功の典型例なら、事業団は政府の失敗の典型と言えましょう。
 現在、清算事業団の債務の処理についてのアイデアは出そろっていると言えます。ほぼ一致しているのは、そのほとんどを何らかの形で国民の負担とせざるを得ないという点でしょう。これは、臨調答申のときから予定されていたことで、今さら議論する問題ではありません。
 問題は、国民の負担を仰ぐとしても、一般会計に移しかえをして赤字国債等で措置するのか、臨時、特別の租税措置によるのかという点と、それらをするにしても、その前に歳入歳出面で何らかの努力をしないと国民の理解を得られないだろうという点でしょう。
 そのような案として、歳入面では、JR利用者を含め広く交通全体系の各部分の利用者による負担、つまり料金値上げ、交通全体系の各部分が現に得ている財源の一部拠出による負担、あるいは無利子国債の発行、特殊法人の民営化による株式売却益、そしてJR自体による負担等々が言われます。歳出面での案としては、整備新幹線の新規建設の凍結等が言われます。
 この関係で最大の争点になるのは、JR自体による負担の是非の問題だと思います。
 昭和六十二年の債務配分は適切だったのか、従来線は簿価で引き継いだのではないのか、種をまいたのはJRの先輩たちではないのか。これらを考えると、なるほどJRと清算事業団とは一線を画したといっても、国民の負担を仰ぐ以上、何らかの協力があってしかるべきではないかというのが論拠となるようです。
 私のこの問題に対する考えは、JRに負担を求めてはならないということです。
 臨調以来これまでの行政改革の歴史の中で、国鉄改革は最大の成果だったと言われます。それはこれまで親方日の丸に安住してきた旧国鉄の職員を含め、組織全体に自己責任原則を徹底的に植え込むことができたからです。それが昭和六十二年の債務配分であって、ここで決まったルールに従って、後は自助努力をせよというそういう仕切りであったはずです。
 今、政府は中央省庁の再編を行革会議で検討しております。その中の重要テーマには執行部門のエージェンシー化や民営化が挙げられております。中央省庁の仕事の中には、民間と同じ仕事をしている部分がいかにも多くあり過ぎます。郵政三事業においてしかり、印刷においてしかりです。結論的には、私は、こういう仕事はすべて例外なく民営化の方向を目指すべきと考えます。また、それが世界の趨勢でもあります。
 今後、陸続として出現が期待される官業の民営化を考えるときには、株主に対する責任を持つという民間会社の基本にのっとって、定められたルールによってその民間会社が運営されるという大原則はいかなることがあっても曲げてはならないと考えます。
 JRを含めて、広く交通の利用者からの負担を求めよう、または総合交通体系の中から財源を求めようというのも、まず旧国鉄に近いところがらという発想でしょう。
 日本の運輸関係は長年の規制により弱体化しており、料金の国際比較をすると著しく高いものとなっております。これが日本の産業の空洞化を促進する原因の一つとなっております。ことし三月の規制緩和推進計画では、このような規制分野に競争を導入することにより、その活性化、それに伴う料金の低廉化を目指しております。そのときに家が隣だからといって負担を求めるのは、弱いこの分野をより弱くするだけで賛成できません。無利子国債発行は唐突であります。また意図の不純ささえ感じます。
 財源措置を政府が考えるのは、国民の負担を受けるに当たって、何らかの努力らしい足跡を残さないと政府の責任が問われることを心配してのものでしょう。昭和六十二年以来、清算事業団の債務に対しては、まだ時間があるからそのうちにと思って、何の手も打たずに、あたら土地、JR株式などの売却益を金利の支払いにも足りないものとしてきたのは政府の責任です。問われるべきは政府ですから、その政府の責任逃れに近隣の人が巻き添えにされるいわれはないと言わざるを得ません。
 それではどう措置するのかという問いに対しては、広く国民の負担を求めるしかないと回答いたします。現実論としては、一たん一般会計の赤字勘定に繰り入れるしかないということはもう自明のことです。
 財源の担保がなく、一般会計の赤字勘定に繰り入れるのでは財政節度がないという言い分に対しては、清算事業団に属する返済不能分の長期債務は、既に隠れ借金として十年以上前から公然の別勘定の事実上の赤字国債として、他の隠れ借金、総計四十五兆円とともにもう隠れもないものでした。この意味で隠れでも何でもありません。国民は二百四十兆円が国債残高のすべてだなどとは思っておりません。こういう赤字国債のほかに別勘定を持って、時によって財政の破綻状況に対して違った説明を可能にすること自体が財政の節度を曲げてきたのです。
 政府は今財政再建に懸命のようです。遅過ぎたとは言え、やらないと日本が沈没するから当然のことです。さきの財政構造改革五原則では、二〇〇三年までに国、地方を合わせた財政赤字の額をGDPの三%以内にするとしました。また、国民負担率を財政赤字を含んで五〇%以下にするとしました。この財政赤字には、清算事業団債務二十兆円を含めた隠れ借金にかかわるものは今のままの形では含まれないことになりましょう。
 政府が今やることは、こそくなやりくりではなく、トータルの財政の現状直視とその解決です。隠れ借金を一般会計に繰り入れるのは、それがどうしょうもないものであり、かつ政府の責任に属するものなら、むしろ日本の財政の健全化を促進するためにも行うべきことです。そして、隠れ借金を含んだ財政赤字に対して、目標とした三%以内、五〇%以下の原則を適用して財政構造改革のハードルを高めるべきです。
 一般会計に清算事業団の返済不能分を繰り入れるに当たっては、本質的には赤字国債発行という手段に頼らざるを得ないでしょう。昭和三十九年から六十二年までの旧国鉄の破綻のうみを六十年先の将来世代に負担してもらうのは大変なことです。それなればこそ、政府は本当の現実を直視しつつ、国民の納得を受ける歳出の削減を徹底的にやることがまずもって求められます。現在、行政改革のかけ声は大きくなっております。だが、本当にやるのかについては国民はまだ疑惑の目で眺めております。徹底した歳出削減は政治と政府に課せられた最優先の責務です。
 さらに、歳入面が大切です。まず政府の資産の売却を大胆に行うべきです。そのために、土地等の資産売却も重要ですが、なかんずく政府事業を、現在中央省庁で行っているものを含めて民営化することによって稼ぎ出すことだと思います。それはまた、先ほど言いましたが、政府部門の減量・効率化にも役立つことですし、現在の中央省庁の見直しの真の目的にも奉仕するものであります。
 以上のとおりでありますから、私の国鉄長期債務に対する意見は、やりくりを考える必要はない、本来政府の責任に属するが、別勘定にしているものは自分の勘定に移せ、そして、その勘定を含んだものとしてトータルの赤字の重みを厳粛に受けとめた上で対策を考えよというに尽きます。
 政府が、この前提は忠実に守る、だがそれだけではどうしても財政再建はできない、遅延は国債に対する利払いを生むだけにそれは急ぐというならば、そのことを国民にはっきり真剣に説明して、国民の納得を受けるべきです。その手順を踏んだものとしてならば、究極の手段として次の方法をとることも許されましょう。
 それは、臨調初心に戻って解決すべき問題は解決する、諸悪の根源であった先送りはしないということです。臨調がやむを得ないと判断した抜本的な解決は、最終的には臨時、一時の国民による税負担を求めることでした。当時で十五兆円、国民一人当たり十五万円、私のように五人家族では七十五万円、大変な金額だが仕方がないというに尽きました。今ですと二十兆円、一人当たり二十万円。家族が減って我が家では四十万円ですが、
 私はJR再生の生みの親の一人ですから払います。だが、ワイフは嫌だと言っております。
 このように、この案は、増税に対してはいかなる意味でも拒絶反応を示す国民からは到底受け入れられないという声が出るのは当然です。しかし、その案の実行の過程で、政治と関係者が国民と真剣な対話を進めることによってのみ本当の財政再建が可能になると悟るべきです。
 臨時、一時の特別課税は、広く薄い課税ベースによる国鉄再建特別税という形をとるでしょう。一例として国鉄再建特別消費税が考えられます。三%なら毎年七・五兆円で二・六年で解決します。二%なら毎年五兆円で四年かかるでしょう。国鉄の再生はそれができ上がりつつある今日、かつてのように不可能ではないのかという危機意識は国民の中にも日々に薄れていきます。臨調以来最大の行政改革の成果と言われてきた課題でもそういうことです。風化するのはもう時間の問題でしょう。
 現実性は極めて低いけれども、政府が国民の納得を受ける歳出の削減、歳入の増加を行い、国民との体当たりの話し合いでこの臨時、一時の手段をとるというなら、そのときに限り、交通に近いところで特別負担をしてもらうというのも合理性を回復すると考えます。
 JRによる負担も、各方面から現実の負担を受けた以上、株主代表訴訟の問題があるとしても、むしろJRから自発的に一部の協力を申し出て、今述べた抜本解決の呼び水にするのは好ましいと言えます。繰り返しますが、このような負担を求めることは好ましいことではありません。しかし、国民の現在の現実の租税負担という協力によって積年の問題を早く抜本的に解決するという場合に限っての私の見解であることを御理解願いたいと思います。
 以上でございます。
この発言だけを見る →
直嶋正行#7
○委員長(直嶋正行君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の陳述は終わりました。これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →
野沢太三#8
○野沢太三君 自民党の野沢太三でございます。
 先生方には、大変お忙しい中、貴重な御意見を開陳していただきまして、当委員会の法案審議に御協力をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。
 それぞれの先生方からの御意見、肝に銘じておるわけでございますが、これより与えられました時間、十五分程度でございますけれども、各先生方に一つずつお伺いをしてまいりたいと思います。
 最初に杉山先生にお伺いいたしたいんですが、先ほどからお話しのように再建監理委員会の答申では、土地、株を売りまして、あるいは新幹線の評価差益等の差額を充当しまして、なお残る債務は国民負担という答申が既に監理委員会から出され、それを閣議で、六十一年の一月あるいは六十三年の一月、それから最近では平成八年の閣議と、再三確認をしながら今日まで来ておるわけでございます。そういう中で、最近また行財政改革によりまして歳出削減をやろうじゃないか、こういうことも打ち出しておるわけでございます。
 私どもは、この国鉄改革の仕事、十年たちましてまだ残っているのがこの債務処理である、こう思うわけでございますが、これが解決しないことにはせっかく大筋で成功と言われた改革がまだでき上がっていない、こういう評価になってしまうわけでございます。
 ところが、今、なぜそれではあのときに決めた債務がふえたのかということが、国民の皆様にもう一つわかりにくい状態で推移している。今それぞれ分析をしていただきました。そしてそれが、毎年売ろうという土地が予定どおり売れない、あるいは株式の公開がおくれるという中でどんどん欠損が出る、そこへ財投資金を入れるということで金利がさらにかさむ、こういう悪循環を重ねて今日まで来た、これはもう先ほどから御指摘のとおり、国鉄時代にやってきたやり方がそのまままた事業団の赤字処理に引きずられて適用されているんだ、こういうことで今日を迎えているわけでございます。
 そこで、私ども今、党の方でも勉強会をやりましてあらゆる選択肢を検討する、こういうことで進めてきておるわけでございますが、その中の一つといたしまして道路等の特定財源、これをひとつ検討してみたらどうかという項目がございます。
 利用者負担という原則は今御説明ございましたが、外国の例等を見ますと、例えば西ドイツあるいは韓国等で、いわゆる自動車に使われております鉱油税等につきまして、これを一部値上げをして債務の償還に充てる、こういった実例もあると伺っておるところでございます。
 日本の場合につきましても、いわゆる自動車重量税につきましては、本来一般会計、一般財源として創設された経緯もあり、一部既にそのようにも使われておるわけでございまして、現在暫定税率で倍以上の税率で仕事をしておりますが、これの期限ももう本年度末で参りますことを考えまして、この辺のところを開かれた議論の中でどう使うかというそういった議論があってもおかしくないと思います。各特定財源、そして特別会計という囲い込みによって財政がやはり硬直化しているんじゃないかという今嘆きが聞こえるわけでございます。この点につきまして、先生から再度一つお話をいただければと思います。
この発言だけを見る →
杉山雅洋#9
○参考人(杉山雅洋君) 今、二つ御質問がございました。一つは西ドイツあるいは韓国の例があるのではないか、こういう御指摘でございますけれども、旧西ドイツにつきましては非常に古い歴史がございまして、一九六〇年代の後半に租税改正法というのをやりまして、そこで鉱油税、日本で言うこれはガソリン税に相当しますけれども、これをリッター当たりたしか当時三ペニヒ上げました。その増税分を市町村の交通改善のために使ってよろしいと、こういう経緯でございます。そして、その市町村の交通改善というのは、道路もあれば軌道系もあるということなものですから、そこで軌道に入ったのではなかろうか、こういう理解がされておりますけれども、これはあくまでも増税分でございまして、鉱油税そのものを一般財源化したという例ではございません。したがいまして、そこを明確に知っておく必要があろうかというように存じます。
 それともう一つ、西ドイツのケースですと、現在ドイツになりましたけれども、国土面積はほぼ同じでございますが、道路ネットワークあるいは鉄道ネットワークが相当違っておりますので、そこを横並びに議論するのにはもう少し慎重な取り扱いが必要ではないかということが私は必要ではなかろうかと思います。
 それから、自動車重量税、これは確かに一般財源でございます。ただ、昭和四十六年に創設されたその経緯の国会答弁等をフォローしてみますと、当時の福田大蔵大臣が、これは形式的には一般財源だけれども道路整備に使うんだ、五カ年計画の不足分に使うんだということを明言されておりますし、また政府委員としての大蔵省の主計局の方々もそのように言っております。現実問題といたしまして、私どもが車検のときに自動車重量税を払うわけでございますが、そのときに、これを一般財源として納付しているという認識を持っている人はほとんどいないのではなかろうかなと思います。
 したがいまして、議論をする際には国民に、形式的には一般財源ですけれども、これが今までこういう経緯で使われてきました、さてこれをどうしましょうかということを明示する必要があるのではなかろうかなと思います。そして、その際には、暫定税率がいかなるものなのか、本則税率に戻すべきなのか否かということを含めて議論をするのが筋ではなかろうかなというように考えております。
この発言だけを見る →
野沢太三#10
○野沢太三君 先生の御指摘のとおりと思いますが、これからの議論の中で、本来の趣旨を踏まえながら国会での議論を積み重ねまして、やはり資源、資金が有効適切にという先ほどからの御指摘に沿って工夫をしなければならないと思うわけでございます。
 西ドイツ等の場合には、交通省ということで道路も鉄道も一元的な行政が行われている、環境が非常にいいということもあります。私どもの今後の行革目標としては、建設、運輸一本の省にしたらどうかということも既に検討の対象にしておるような状況でございまして、その辺については今後一層弾力的な配分の仕方を我々自身がこれは責任を持って工夫しなければならない、こう思っておるわけでございます。
 時間がございませんので進めさせていただきます。
 角本先生には国鉄改革の当初から御関係をいただきまして、分割・民営という厳しい手法の中で結果としては非常によい結果を生んでおるわけでございます。ただ、本州三社は何とか株式上場にこぎつけられる見込みでございますが、まだ三島、貨物が苦戦をしております。まだというよりむしろ悪い方向に行っているんじゃないかという心配すらあるわけでございますが、今後こういったアンバランスが出ておりますことをどのような方向で解決をしていったらいいのか、これがまず一つでございます。
 それからもう一つ、債務の処理につきまして、節約が何よりも大事という御指摘はまさにおっしゃるとおりで、これはもう家計であろうと国の会計であろうと間違いのない原則と思いますが、ただいま交通、特に鉄道の市場を見たときに、新幹線について言えば、既にあるところとないところのアンバランスが非常に出ておるということで、やはり地方の格差是正という面での、地方負担をしてもやろうという法律も今回通したわけであります。公共事業方式でやりまして運営主体に迷惑をかけないようにしよう、こういうやり方でやっておる。それから、東京の地下鉄あたり、あるいはJRにつきましても、まだまだ混雑率が大変厳しゅうございまして、投資は一層必要ではないか。鉄道の安全性あるいは環境に対する効果等を考えますと、やはり必要な投資はしっかり進めながらかつ財政再建とどう両立させるか、この辺が非常に大事だと思います。
 三島、貨物の将来と、やはりやるべき投資はほかを切ってもやるんだという必要性について御意見を承れればありがたいと思います。
この発言だけを見る →
角本良平#11
○参考人(角本良平君) まず第一点でございますが、私はこの三つの島につきまして、従来ありました民鉄の運賃と比較いたしますと、JRの運賃の一・五倍あるいは二倍の運賃を取って成り立っております。同じような条件の三島のJRが従来のJRの運賃で成り立つはずはない、このことが実証されております。あるいは長野電鉄の場合でも同じでありまして、今度民間になる、JRから移られる部分につきましても同じ措置が必要であり、また、このように運賃を従来の民鉄と同じ水準にすれば三島は当分は成り立っていくと私は思います。
 それから、貨物につきましては、これはもうトラックの十分の一しか運んでおりません。そして、私は政府がとやかく言うからかえって政府依存心が起こっていると思います。民営の趣旨から考えまして運輸省は全面手を引くべきであります。そして、彼らがどれだけの範囲を自前でできるか、これを明確に自分ではじき出す、この責任を持たせることが何よりも大事であります。
 そして、第二番目に、その責任のもとで、恐らくは非常に大きな範囲を縮小する、極端に申しますと東海道と山陽だけを残す。これくらいの縮小をして、国民としてもそれほど困りませんし、またJR貨物としても残せればその方がよいのではなかろうか。
 第二点につきましては、新幹線あるいは大都市の交通の地下鉄が必要なことは否定いたしませんけれども、先立つものがなければ、差し当たり赤字をまず処理する。
 そこで私は、これから三年間だけはまずすべての陸海空の投資を半分にしてみるという計算をしていただいたらどうだろうか。それで困るところがそんなにあるかということになりますと、私が見る範囲では困るところはそれほどないのではなかろうか、こう考えております。ですから、三年間だけ我慢をして、その次に考えるということが国のために必要ではなかろうかというのが私の意見でございます。
この発言だけを見る →
野沢太三#12
○野沢太三君 時間が厳しくなりました。あと一問だけ鈴木先生にお伺いしたいんですが、薄く広い特別な、臨時な税で何とかできないかと。大変卓見かと思いますが、ただいま橋本内閣、私ども支えながらやっておりますが、増税なき再建ということで、何とか歳出のカットその他もろもろの工夫の中でできないかということで腐心しておるわけでございますが、こういった消費税について、あるいは特別な税について国民的な合意を得られるにはどうしたらいいのか。先ほどからもるるお話しいただいておりますが、ひとつ再度お話しいただければと思います。
この発言だけを見る →
鈴木良男#13
○参考人(鈴木良男君) 腐心しておられる、まことにそのとおりで、また現実問題として、今そういう国鉄再建税というようなことを言っても国民が納得しない。さっき言ったけれども、私の女房も納得してくれないんです、というのは当然だと思うんです。
 ですから、私さっき申し上げましたけれども、やはり行政改革というのがいかに必要だ、しかもそれはかけ声じゃだめだ、とにかく徹底的に歳出をカットするんだと。私は何も旧国鉄に近いところでという着眼はいたしておりません、先ほどから申しましたように。しかし、費用効果の問題であるものの関係を見て、それがないものに対しては思い切ったなたを振るわないと出てくるわけがない。
 それともう一つは、要するに徹底した財産の処分というのを国がやるべきだ。今まさにエージェンシーだとか民営化ということをやっておる。それを徹底して進める。私はエージェンシーという過程を通るのは反対であって、むしろ全部民営化をするのが一番最後の姿だと思いますが、そういうことをとにかく早くやって国民に見せる。その国民に見せたのを国民が理解して、しかし、その上でもなおこれだけの財政の赤字であっては、国家はこれから運営できないわけですから、特に外為法の緩和等によって、金が世界を走るときには国債を買ってくれる人がいるとは限らないということを納得してもらうということしかないと思います。
 要するに、まずやってみせて結果を出すこと、それを政府が先にやることだ、こういうふうに私は思っております。
この発言だけを見る →
横尾和伸#14
○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。
 本日は、お忙しい中、お三方の参考人の皆さん、大変ありがとうございました。貴重な御意見をいただきまして、私も大変参考にしつつあるんです。
 まずそういう中で、確認の意味で、ちょっと聞き漏らしたこともありまして先にお聞きしたいんですが、鈴木参考人に、JRの新たな負担は求めるべきでない、道義的な問題をここに交えてはせっかくの国鉄の再建の理念がおかしくなってしまうと。これ、よくわかります。
 そういう意味ではそのとおりなんですけれども、今回の問題、逆に言うと理詰めでだれに責任があるのか、そして道義的なものもすべて排除して突き詰めていくと、例えば一つは、国民の側からすると、国民も二十兆円を超すような負担なんてそんなことは初めから考えてもいなかった、降ってわいたような話だと。十三・八兆円というのはあったかもしれないけれども、それは減っていくであろうという前提での認識であったと思うんです。そういう中で、どういうサイドもそれなりにこれから、ある意味での理屈だけでない辛抱の時代みたいな、理屈を超えた部分をどのように努力し合っていくかということが求められるんではないかと特にこの問題については思うんです。
 ちょっと前置きが長くなりましたけれども、お聞きしたいのは、JRに新たな負担を求めるべきでないという理屈上の問題はわかりますけれども、その中に自主的な協力といいますか、そういったことまでもするべきでないという意味合いが込められているのかどうか。最後にたしかその点についてのお話があったかと思うんですが、ちょっと聞き漏らしたものですから。
この発言だけを見る →
鈴木良男#15
○参考人(鈴木良男君) 私は、基本的にJRが責任を持つ筋合いではない、旧国鉄というものとJRというのは画然と区別されたものであるという事柄、これは基本だと思います。
 ただ、私が先ほど申しましたのは、そういう国家危機、何といいますか財政の状態というのは極めて悪化して世界にも例を見ないほど悪化しておる。しかもグローバル化して、世界の経済の中で財政を運営しないといけない。今までは千二百兆の国民の貯蓄というものをベースとして国債を幾ら発行しても買ってくれる、こういうハッピーな時代だったわけですけれども、そういう時代ではなくなるという事柄から財政再建が必要だと、この問題がある。
 そのためには、先ほど申しましたようにとにかく行政改革というものを、歳入歳出面、歳入面というのは、要するに物を売れ、財産を売れ、そして資金をつくれということを基本にしておりますが、そういうことをやってもなおできないときに、国債の利払いにいたずらにお金を使っておるだけでは国家は成り立たない。そのときの緊急やむを得ない問題として、私は、臨時、一時の課税によって乗り切るという事柄は、いわゆる政治がむしろ責任を持って先導して国民を説得してやらざるを得ないんじゃないか、こういうことを申し上げたわけです。
 それをやるということになったら、さすがに現実に税金を払うわけです、みんな嫌だと言っておるのに。そのときに、JRそれから総合交通体系というものが全くほおかむりという事柄は、これはやっぱりできないんじゃないか。だから、そのときに限り、しかもそれは関係がないんだからある自発性というものがあっていいんじゃないか、しかしそれはまさにそういうときに限る、一般的に求めるものではない、こういうことを申し上げたわけでございます。
この発言だけを見る →
横尾和伸#16
○横尾和伸君 よくわかりました。ありがとうございます。
 角本参考人にお伺いしたいのですけれども、先ほど来の責任論、よくわかります。国、政府の責任、しっかり苦労しなきゃいけないと、そしてそこには節約ということが原則になるという御趣旨だと思います。節約を本格的にやっていくというのは、これは国の財政全体の問題でもあるんですが、特に今回の問題であるからこういう言い方をされたんだとも思うんですけれども、陸海空の投資を三年間半分にするという大胆な、かつある意味で具体的な御指摘をいただいたんです。
 一つは、もちろん詳細な詰めという意味で求めるわけじゃないんですが、それなりの大ざっぱなお答えで結構なんですけれども、三年間ということの意味合いと、それからもう一つ、陸海空の投資を半分にするという表現は、公共投資とほぼイコールという意味なのか、あるいはその中から陸海空の輸送だけを取り上げられたのか、そうであればその理由といいますか根拠といいますか、お伺いできたらと思います。
この発言だけを見る →
角本良平#17
○参考人(角本良平君) 第一番目の三年間という意味は、三年ございますと我々が十分検討できるであろう、それからまた三年間の実績というもので国民がよく理解できるようになるであろうという意味で三年という限定を申し上げたわけであります。これは世の中で普通に行われる期間ではなかろうかと思います。もちろん、二年間で検討を終えて、その後ずっと永続してある割合で減らしていくということは可能であります。
 それから、どれだけの金額をということになりますと、現在なされておるすべての金額の半分というような目標でありまして、財源がどこから出ている、公共事業費から出ているとか、そういうふうな考え方ではなくて、むしろ、実は必要の面から見てこんなに交通投資をしてよいのかという疑問が先にございまして、仮に財政がよかったとしてももう交通投資は減らす段階に来ているんだという認識のもとで申し上げているわけであります。
 マスコミが幸いにこのごろ、港は船が来ていないのに投資をしているというような指摘をしております。あるいは、高速道路で自動車の交通量がいかに少ないかということであります。あるいは、本四の橋でも同じような問題が起きていると私は思います。今や本当に投資が必要なのだろうかということから考えますと、例えば東京付近の常磐新線、これはいつできるかわからないわけです。こうしたものが本当に必要なのか。確かに混雑しております。しかしながら、混雑に対しての有効性ということを考えると非常に疑問がある。
 このような意味で、財源はどこからということは別にいたしまして、現在のトータルの金額を半減しても差し支えないのではなかろうか。もちろん、局地ではいろいろ御要望がありますから私は反対されると思います。しかしながら、分割・民営化を私が最初に申し上げた一人でありますが、その申し上げたときには袋だたきに遭いました。しかしながら実現はできました。同じことが今交通投資について必要である、そう考えて申し上げた次第でございます。
この発言だけを見る →
横尾和伸#18
○横尾和伸君 私は、今回の問題、三人の参考人の皆さんがおっしゃられた責任論、基本的にはよくわかるのですが、それで具体的な解決策の骨子としてはますやはり歳出の削減、節約と言ってもいいんですけれども、さらに最終的には増税ということがないとはどうしても言えないので、増税または赤字のツケ回し、その部分はどうしても残る。つまりそれは否定できないんであって、そのことを考えると、歳出削減と減税と増税とが三つセットで進まざるを得ないんじゃないか。
 ポリシーミックスというお言葉もありましたけれども、そういう観点から、私は、つまみ食いといいますか例えば道路財源を転用するとか、そういうことには反対なんですけれども、そういう意味ではなくて歳出を削減する。あるいは減税、要らなくなった税金、税を取らなければならなかった事情が変わってきた、だから要らないものはなくす。そして要るものは増税する。
 こういうプロセスを前提として、一つの例として、先ほどは自動車重量税の話が出ましたけれども、むしろ私は、揮発油税が、大変額が二兆五千億程度の年収からすると大きいということもあるんですけれども、額の問題もさることながら、根本的な問題は、この揮発油税の目的税としての意味合いがこの四十年の間に相当変わってきている。車を運転する特定の人間というよりも国民全体、道路ができて車を運転されるのは運転手だけではなくていわゆる輸送力の問題とか、あるいは大気汚染、温暖化の問題とか、国民全体の問題にかかってくるところがかなり大きくなってきている、こういう変化があると思うんです。
 そういう意味で、道路特定財源としての揮発油税は四十年の間に相当変質していて、その必要性もある意味では今のままでは薄れてきているんじゃないかと、ゼロとは言いませんけれども、そういう観点での疑問があるんですが、杉山参考人にその点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
杉山雅洋#19
○参考人(杉山雅洋君) 私も、その目的税は未来永劫続くものとは考えておりません。やはり考えなければいけないのは、道路整備のためにということから課している税金でございますから、その道路整備の状況がどうであるのか、こことリンクさせて判断すべき問題ではなかろうかと思います。
 仮に道路整備が十分であるという判断をした場合には、この揮発油税は三十九年に二十四円三十銭という形で設定されたのが、その後暫定税率ということでもってふえまして、現在ではその倍の四十八円六十銭、こういう形になっております。したがいまして、本則税率に一たん戻して、そしてそこで国民に問うてみる。これが既にもう道路整備に必要でないとしたならば、再び四十八円六十銭に戻すけれども、その差額を別の用途に用いていいのかどうかということの了解を得ないとやはり国民は納得しにくいんではなかろうかというように思います。
この発言だけを見る →
横尾和伸#20
○横尾和伸君 私も同じ意見で、そういう意味で、つまみ食いとか今申し上げたのは誤解のないように私も一言申し上げておきたいんですが、参考人のおっしゃるとおり、これはもし今のような部分をいじるとすれば、そこだけを持ってくるというんじゃなくて、いわゆる税制のあり方の大論議をしなければいけない。この部分だけじゃなくて本来の税制はどうあるべきか、そういった大税制論議というのは、やはり現在の財政再建、行政改革、そういう中でどうしても避けて通れない問題じゃないか、私はそう思うんです。
 最後に一言、角本参考人は道路投資については少し縮小してもいいんではないかということをおっしゃられましたが、いわゆる辛抱の時代という前提であっちもこっちも辛抱しなきゃいけないという意味では私も同感の部分があるんですけれども、その点について追加的に御意見がありましたら。
この発言だけを見る →
角本良平#21
○参考人(角本良平君) 一言、私は目的税を維持すべきかどうかということについては、もはや維持しなくてよい、むしろ一般財源に投入するという形にした方がよくないか。ただ、その前に道路財源に入れている一般財源の方をまず削っていくということを先にいたしまして、目的税も普通の税に直すという措置にしたらいかがかと思っております。
この発言だけを見る →
横尾和伸#22
○横尾和伸君 終わります。
この発言だけを見る →
瀬谷英行#23
○瀬谷英行君 社会民主党の瀬谷でございます。
 私は、けさのニュースから取り上げてみたいと思うことがあるんですが、首相官邸の建設、再建はしばらく延期をする、こういうニュースが一つ。それから、回収見込みのない融資をした会社の責任者が逮捕されるというニュースが一つあります。これからどの程度進展するかわかりませんが、きのうは予算委員会で参考人においでを願いましていろいろと御意見を聞いたんですが、それは野村証券と第一勧銀の参考人だったんです。だから、余り建設的な意見じゃなくて専ら弁明のための御意見を拝聴したんですが、きょうはそういう心配はございませんので、建設的な御意見だけをひとつお聞きしたいと期待をしております。
 そこで、それぞれの御意見をお聞きしたいと思っておりますから小刻みに質問いたしますけれども、西ドイツの交通政策の中でどういう点が我々として参考にできるのか、こういうことですね。この点をまずお聞きしたいと思います。
 それから、国鉄改革のための再建監理委員会の答申というものは、実質的にはこれは十年ほど前ですけれども、政府が提案をしてほとんど修正も何もなくて通ってしまったんですが、その中で今までの何でこういうことになったかということがいろいろと問題になっておりますけれども、一番重要な点としては、国会あるいは政府の関与が非常に大きく国鉄問題をねじ曲げたと、こういう意味のことが書いてあるわけです。
 今日、長期債務の問題で端的に言うとふえているわけですね。十年前に比べると格段に、二十八兆、あるいは間もなく三十兆円を突破するんじゃないかと思うんですが、ふえているということは、やはり政府の関与あるいは方針というものが結果的には長期債務を回収不能な状態に持っていくんじゃないかという心配があるんです。このまま長期債務がどんどんふえていってどうやっていいかわからないということになると、JRは脳死状態になってしまうのではないか、こういう気がいたします。今問題になっております臓器移植は脳死状態の人から臓器をちょうだいするというんですけれども、国鉄の場合は臓器を移植してもらわないというと脳死状態になってしまう、こういう心配があるんです。
 そこで、こういう問題に対しては角本さんからは節約をしなきゃいかぬと言われました。確かにかなり節約をして、今在来線が通っているだけで、昔わらじを履いて歩いて旅行したころに比べると随分便利になりましたから、ある程度は我慢してもらうということも考えられるのでありますが、そういう中で過去の問題について言うならば、例えば青函トンネルというのが投資に見合う効果があったのかどうか、本四架橋がそのような効果があったのかどうか、これから先も四国に橋をかけるという話はまだ続いておりますけれども、そういう点は果たしてどういうものかということ。
 それからもう一つ、リニアモーターカーというのが今現実に実験段階に入っております。笹子トンネルを中心にして約四十キロ、このトンネルの建設と実験が行われているのでありますけれども、時速五百キロだというんですね。時速五百キロの新しい新幹線を建設するということが果たしていいのかどうか、これらのことも考えてみる必要があると思うんです。今の新幹線だって三百キロ近くのスピードは出るようになっていますから、スピードの点ではそんなに日本はどこを走ったって大差はないと思うんですけれども、こういう実験が果たして必要なのかどうか、急ぐ必要があるのかどうかということもあると思いますので、このリニアをどうお考えになるのか。
 私どもも一度委員会で行きましたけれども、笹子トンネルというのはもうでき上がっているんですね。だけれども、今までの新幹線よりも中が大きいんです。五百キロ出すためには大きくないとやっぱりまずいということらしいんですけれども、果たしてこういうスピードを競う必要があるのかどうか。私は、日本のように狭い国土だったら、シベリア大陸みたいなところは別ですけれども、今の新幹線のスピードで十分じゃないかと思っているんですけれども、さらに五百キロを目指して新しい開拓をする必要があるのかどうかということも考えなきゃいけないことだろうと思うのであります。
 それらの点について、それぞれの参考人の方から御意見がございましたらお聞きをしたい、こう思います。
この発言だけを見る →
杉山雅洋#24
○参考人(杉山雅洋君) 西ドイツの御質問が出ましたから、これ多分私にということで若干申し述べさせていただきたいと思います。
 旧西ドイツですね、現在のドイツから何を学ぶことができるかという点でございますけれども、基本的には私は余りないんではなかろうかなというように思います。と申しますのは、現在鉄道改革をやっておりますけれども、ドイツの鉄道改革は日本の国鉄改革を相当参考にしております。また、全線無料、速度無制限といううたい文句でありましたアウトバーンでさえも、九五年一月から、重量トラック十二トン以上でございますけれども、これはベネルクス三国とデンマーク、この五カ国を対象にしまして有料制に入っております。したがいまして、日本の高速道路料金政策をも参考にしております。
 あえて参考になる例を模索してみますと、私は公共プロジェクトに効率性分析を導入しているという点ではなかろうかなと思います。具体的に申し上げますと、額は今ちょっと定かではございませんけれども、ある一定額以上の公共プロジェクトを行う場合には、そこに費用便益分析ないしは費用有効度分析を課しまして、そしてその結果を見て判断する、こういうプロセスをとっておりますから、ここは参考になるのではなかろうか、こんなように考えております。
この発言だけを見る →
角本良平#25
○参考人(角本良平君) 私は、きょうリニアについて意見を申し上げられたら大変幸せだと思って参りましたら、まさに誘導尋問していただきましたので、リニアのことから先に申し上げます。
 これはドイツと日本が張り合っているだけでありまして、世界じゅうの笑い物だと私は思っております。ドイツはベルリン−ハンブルク間、二百八十キロをつくると言いますが、お金はございませんと思います。日本も同じことでありまして、一体こんなにお金がない国で東京から八王子の間の土地が買えるでしょうか、あるいは名古屋から大阪の土地が買えるでしょうか、これは不可能であります。ですから、テクニカルにはできるといたしましても、実際の計画は全く不可能であります。ですから、私は、せっかく技術の方がなさっているものに何か副産物が出るかもしれませんから、最小限の技術は開発していただいて、実採用はやめるというのが一番正しい判断だと思っております。
 それから、青函トンネルにつきましては、けさの新聞で青森−函館間を二時間で行く船がもうできると。現在の時刻表では大体二時間弱ぐらいですけれども、議論をする方は新幹線ができればもっと早くなると言われますが、連絡船時代よりも利用者が減っておる、貨物も減っている、このような実情であります。
 ですから、鉄道というのは二十世紀の産物でございまして、余り二十一世紀の乗り物というわけにはいかない、そういう性質だと思います。そこで、これから後は鉄道の需要は増大しないということで考えまして、それでJRも脳死に入らないように運賃だけはよく見直していただきたいと思います。
この発言だけを見る →
鈴木良男#26
○参考人(鈴木良男君) 国鉄の再建といいますか、いわゆる衣がえといいますか、この問題というのは昭和五十七年の七月に出しました臨調答申というのに端を発しておるわけでございまして、私はそのときに事務局調査員として現実に案を書いた一人でございます。要するに、あの当時としては、一つは経営者が全く経営責任を自覚していない、これが一つ。それから、労働側はまことに職務規律紊乱も甚たしかった。それともう一つ挙げたのが、いわゆる政治及び国民による過大な期待、こういうものの中で国鉄というのは崩壊に陥っていったという分析をしてあのような案を書いたわけでございます。
 その中に書いてありますのは、要するに分割の会社、すなわちJRが最大限の経営努力をする、そしてそれを前提として、それでもどうしても足らないものに対しては国が責任を持つということを明確に書いた。国鉄再建監理委員会というのはそれを受けて、そういう表現をし、それが閣議決定になっていったわけでございます。
 そういう問題から考えまして、いわゆる国鉄、私どもはこれを国鉄と表現し、その後清算事業団というふうに言いましたが、同じことですが、これは国鉄はその時代においてもう既に脳死状態になったわけなんです。そして、そのまま脳死状態を今日までやってきた。それはさっき政府が関与したからというふうにおっしゃいましたが、しかし脳死状態になった国鉄、そしてそこからある魂が抜け出して新生JRというのが出ていったわけです。大変な苦労をしながら出ていった、こういう形なんです。その脳死状態になった国鉄に対して政府が余りにも関与しなさ過ぎた。それが毎年一兆円の利子を生む、十年たてば十兆円になるということはわかり切っておりながら、その利子にほおかむりをした、これが問題であったわけですね。
 そして、もったいない、もうほとんど売ってしまいましたが、土地だとか株式を売っても、それでも八兆円ぐらいのもの、つまり利子も払えないような処理をなぜやってきたのだと。だから、今日まで、今この問題がここでこうやって議論されているのは、ちょうど十年目になったから解決しなければいけないというのでやっと腰が上がったんですけれども、どうして放置してきたのか、わかり切ったことじゃないか、それは国鉄の歩んだ道じゃないか、こういうことだと思います。
 JR三社に対しては角本参考人がこいつも危ないぞという警告を発しておられるのは、これはJR三社も要するに拳々服膺、聞くべきだと思いますが、私はJR三社は脳死はしていない。そういうように脳死をさせないためにも政府は今後とも関与してはならない。関与してはならないものの最大のものは何かといったら、今回のようにJR各社に負担を持たせようというがごときものは、これは昔のたかり、たかりと言っては言葉は悪いですけれども、国民と政治の過大な期待、これは地方交通線の問題であり、そういうもろもろの問題です。青函もそうです。そういう事柄は断じてやってはいけない、それは二の舞だ、こういうことを申し上げたいと思います。
この発言だけを見る →
中尾則幸#27
○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。
 きょうは、お三人の先生に本当に貴重な御意見を伺いまして大変ありがとうございました。持ち時間が限られておりますので、何点か絞って御質問を申し上げたいと思っております。
 先ほどからのお三人の先生の御意見を拝聴いたしておりまして、なぜ債務が雪だるま式にふえたか等々の責任の所在について、政府もございましょうし、なおかつ私ども政治家の政治の分野にも責任があるということを私は重く受けとめなければならないと思います。
 さまざまな論議の中で二十八・一兆円の債務をどうするかということ、これは二十八・一兆円をすぐさま返す、一括して返す方法があれば悩まないんでございますが、そのためにこれまでさまざまなところでいろいろな選択肢を用意しながら議論が今進んでいるところだと思います。
 杉山先生にまず伺いたいんですが、杉山先生も各種の組み合わせが必要なんだという御意見でございました。その中の一つの大きな意見として、昭和六十三年一月の閣議決定、最終的には国民に負担を求めざるを得ないという閣議決定がございました。そのときは十三・八兆円でございました。それを一般会計につけかえるのもやむを得ないんではないだろうかという御意見がございますが、先生の先ほどのお話では歳入歳出が不明確になると、むしろ特別会計をつくって透明性を高めてはどうかという御意見でございましたが、もう少し御説明願えますでしょうか。
この発言だけを見る →
杉山雅洋#28
○参考人(杉山雅洋君) 一般会計につけかえるということは、これは当面の処置としてはやむを得ないだろうというふうに私は思います。したがいまして、閣法二六号に関しましては基本的に同意しているわけでございますけれども、この二六号は平成九年度だけの処置でございますからやむを得ないわけでございますけれども、これが次年度以降もこのような類似の政策が続くといたしますと、実はどこからどのように入ってきて、それが本当に清算事業団の債務の解消に振り向けられたのかということの確認が、これは特別の情報を持っている人でない限りわからないんではなかろうか。
 やはり国民が負担するものですから、こういう形でもって負担していて、そして事業団の債務が今年度はこれだけ減りましたよというような透明性を国民に提示することが負担を求める大前提だというふうに考えまして、このように申し上げた次第でございます。
この発言だけを見る →
中尾則幸#29
○中尾則幸君 続いて鈴木先生に伺います。
 鈴木先生も、この一般会計の繰り入れといいますか、での処理、これはやむを得ない、もともと隠れ借金だったんだから明らかにして処理をすべきだということを御提案なさいました。当然その前提としては歳出削減努力は必要だということもごもっともでございます。
 一般会計で処理すべきだということについて詳しく伺いますけれども、十三・八兆円の元本のみについて処理をすべきだという意見と、この間十年間に派生じた金利負担分も含めてという意見もございますけれども、先生はどういうふうにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →
← 戻る