労働委員会

2000-11-15 衆議院 全261発言

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会議録情報#0
平成十二年十一月十五日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君
   理事 宮腰 光寛君 理事 柳本 卓治君
   理事 鍵田 節哉君 理事 五島 正規君
   理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君
      青山  丘君    甘利  明君
      臼井日出男君    梶山 弘志君
      瓦   力君    木村 太郎君
      倉田 雅年君    小泉 龍司君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      根本  匠君    宮澤 洋一君
      森  英介君    吉田 幸弘君
      大島  敦君    加藤 公一君
      釘宮  磐君    小林 憲司君
      城島 正光君    伴野  豊君
      坂口  力君    大幡 基夫君
      大森  猛君    中林よし子君
      金子 哲夫君    金子 恭之君
    …………………………………
   労働大臣         吉川 芳男君
   労働政務次官       釜本 邦茂君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  町田 幸雄君
   政府参考人
   (厚生大臣官房統計情報部
   長)           金子  洋君
   政府参考人
   (社会保険庁次長)    高尾 佳巳君
   政府参考人
   (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君
   政府参考人
   (労働省職業安定局長)  渡邊  信君
   政府参考人
   (労働省職業能力開発局長
   )            日比  徹君
   政府参考人
   (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君
   労働委員会専門員     渡辺 貞好君
    —————————————
委員の異動
十一月十五日
 辞任         補欠選任
  青山  丘君     吉田 幸弘君
  甘利  明君     根本  匠君
  倉田 雅年君     小泉 龍司君
  今田 保典君     小林 憲司君
  城島 正光君     釘宮  磐君
  大幡 基夫君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  小泉 龍司君     倉田 雅年君
  根本  匠君     甘利  明君
  吉田 幸弘君     青山  丘君
  釘宮  磐君     城島 正光君
  小林 憲司君     今田 保典君
  中林よし子君     大幡 基夫君
    —————————————
十一月九日 
 じん肺根絶に関する請願(辻元清美君紹介)(第一〇三五号)
 同(土井たか子君紹介)(第一〇三六号)
 同(保坂展人君紹介)(第一〇三七号)
 同(原陽子君紹介)(第一一三四号)
同月十三日
 じん肺根絶に関する請願(金子哲夫君紹介)(第一二一三号)
 同(大島令子君紹介)(第一二八四号)
 同(中西績介君紹介)(第一二八五号)
 雇用・失業情勢の深刻化に対応するための労働行政体制の整備に関する請願(児玉健次君紹介)(第一二一四号)
 同(鍵田節哉君紹介)(第一二八六号)
同月十五日
 じん肺根絶に関する請願(山口わか子君紹介)(第一三四九号)
 同(東門美津子君紹介)(第一四三八号)
 同(横光克彦君紹介)(第一四三九号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)(参議院送付)

    午前十時開議
     ————◇—————
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大石正光#1
○大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長町田幸雄君、厚生大臣官房統計情報部長金子洋君、社会保険庁次長高尾佳巳君、労働省労働基準局長野寺康幸君、労働省職業安定局長渡邊信君、労働省職業能力開発局長日比徹君及び自治省行政局選挙部長片木淳君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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大石正光#2
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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大石正光#3
○大石委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹下亘君。
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竹下亘#4
○竹下委員 自由民主党の竹下亘でございます。
 労災保険法等の改正につきまして、労働大臣ほかの皆さん方に順次質問をさせていただきます。
 このたび、いわゆる過労死をめぐりまして、二次健康診断を行いその給付をするという新しいシステムを導入するというのが、この労災保険法等の改正案の重要な趣旨であるというふうに存じておりますが、過労死をめぐる法律というのは、私は、端的に言いますと、大変悲しい法律であり、しかし世界一のいわゆる働く者にとってのセーフティーネットになっておる法律だというふうに感じておる次第でございます。
 といいますのも、私はかつて記者をしておりまして、世界のジャーナリストといろいろな話をするわけでございますが、その中で時折過労死の問題について議論をすることがございます。
 ところが、どうしても過労死という概念そのものを、世界じゅうの、特に先進国の記者たちが理解をしてくれないというか、それは何だというふうに質問をしてくる。いや、働き過ぎて、その結果脳疾患や心臓疾患を発症して死に至るんだと。どうしてそこまで働くんだという、労働に対する基本的な人生観といいますか、そんな違いみたいなものをひしひしと感じながら議論をしてきました。
 英字新聞を見ましても、過労死という言葉は英語になっておりません。KAROUSHI、カローシという言葉が実はそのまま使われておるのが現状でございまして、まさにその意味で、過労死をめぐる法律をつくる、あるいはそれを強化するというのは、非常に悲しいことであると同時に、実はその部分も、もし不幸にして過労死、あるいは過労による脳疾患、心臓疾患によって障害が残った場合に、それを保険制度で支えるという、世界に類を見ない、ある意味ではこれは世界一の働く者に対する最後のセーフティーネットではないかなと思うような次第でございます。
 例えば、遺族年金にいたしましても、障害に応じた補償あるいは介護補償、休業補償といったようなもので、過労死、あるいは不幸にしてその被害というかそういう状態に陥った方、あるいはその家族の方に手厚いシステムをとっておるということでございます。
 私は、この法律は、かつて五五年体制と言われたときの自民党といわゆる社会党、民社党という図式の中で、野党の皆さん方が大変熱心にお取り組みになった。労働界ももちろん大変熱心に取り組んでこられた。医師会もまた違う側面から熱心に取り組んできた。そして、企業のサイドも、この保険制度そのものがすべて経営サイド、事業主の負担で成り立っておるということも含めまして、いわば日本の労働に対する人生観というものをそれぞれが認め合う中で、与野党まさに足並みをそろえてきたからこそ、世界に類のない、悲しいけれども世界一のセーフティーネットがここに誕生をしておるというふうに思います。
 そして、この過労死の問題は、高齢化を迎えるに当たりまして、ますます重要な問題になってきております。さらに、最近では認定をされる件数というのは増加傾向にあるということも伺っておりますし、この問題は大変重要な問題である。と同時に、今回この労災保険法の改正案で、二次健康診断そしてその給付を行うという方向は、これを防ぐという意味でも非常に重要な、大切な法案であると思うような次第でございます。しかも、その改正の方向が、制度をさらに充実する、しかも予防するという観点の中で充実するということに向かっている点に、私は、大変時宜を得たものといいますか、すばらしい改正ではないかなと感じておるような次第でございます。
 そこで、大臣にお伺いをさせていただきます。
 二次健康診断を行いその給付をするという新しい制度の創設に関する基本的な考え方、そしてその概要といったようなことについて、大臣からお話を聞かせていただきたいと思います。
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吉川芳男#5
○吉川国務大臣 竹下委員の質問にお答えいたします。
 近年、労働者が業務上の事由によりまして脳・心臓疾患を発症し突然死などの重大な事態に至る過労死等の事案が増加傾向にあります。こうした過労死等の原因である脳・心臓疾患につきましては、発症前の段階における予防が有効であるので、労働者災害補償保険制度に二次健診等に係る給付を新たに設けることによりまして、労働者の健康確保に資することといたしてまいりたいと思っております。
 具体的には、事業主が実施する労働安全衛生法の規定に基づく定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目について異常の所見があると診断された労働者に対しましては、脳血管及び心臓の状態に関する検査、脳・心臓疾患の発症の予防を図るための医師等により行われる保健指導を支給することといたしておる次第でございます。
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竹下亘#6
○竹下委員 二次健康診断を実施してその給付をするという内容について今大臣にお話をいただきましたが、現在は、労働安全衛生法で労働者に対するいわゆる一次健康診断が義務づけられております。
 先ほど大臣がおっしゃいました二次健康診断、これは労働安全衛生法上の健康診断とどういう関係にあるのか、あるいは本当に二次診断によって過労死を防げる効果があるのか、あるいは具体的にはどのような労働者を対象にして二次健康診断が実施されて給付が行われるのかといったような点について、局長、お答えをお願い申し上げます。
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野寺康幸#7
○野寺政府参考人 まず、安全衛生法上の一般健康診断でございますが、これは、業務に関連する健康障害を予防するといったような一般的な観点から、事業者に対しまして、その抱える労働者に対し就業上いろいろ適切な措置をとるということを前提に、労働者の一般的な健康状態を把握するということで事業主に義務づけられているものでございます。
 今回御提案申し上げている二次健康診断でございますが、これは、基本的に、過労死等の予防を図るといったような観点から、安全衛生法上義務づけられております一般健康診断の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目に異常があるという所見があった労働者に対しまして、脳・心臓疾患の状態をより適切に、詳細に把握するという観点から行うものでございます。したがいまして、一次健診で、具体的には、高血圧でございますとか高血糖、高脂血症、それから肥満といった四つの項目に一遍に該当する方を中心に二次健診をする、こういう制度でございます。
 これによりまして、これをちゃんと受けていただいて事後措置がきちんとなされるならば、相当程度過労死の予防に役立つというふうに考えております。
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竹下亘#8
○竹下委員 ただ、労働安全衛生法上の一次健診はいわば義務とされておりまして、雇った側が従業員に一次健康診断を年に一回受けさせなければならないという規則でございます。
 二次健康診断について、あえて労働保険の給付の対象という形で設定をされておる、なぜここの違いがあるのか。あるいは、もう一歩大胆に言いますと、労働安全衛生法上の義務としてこの二次健診を位置づけることはできなかったのかどうかといったような点は、どうお考えでしょうか。
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野寺康幸#9
○野寺政府参考人 今御説明いたしましたように、二次健康診断等の給付が対象といたしますものは脳・心臓疾患でございますが、端的に申しまして、業務以外の日常的な生活習慣といったような要因がかなりこれに関連してくる可能性がございます。したがいまして、その予防に係る健康診断の実施等を、先ほど先生申されましたように、安全衛生法上の一般健康診断並みにしますと、これは罰則をもって事業主に強制しているわけでございますので、御本人の生活習慣の中から原因が生じている部分があるということを考えますと、そこまでやるのは適当ではないのでないかというふうに考えております。
 実際問題として、個々の事業主に対しまして、二次健診と同程度の詳細な健康状態を把握させるということを仮に義務づけるということになりますと、大企業の方はいいのかもしれませんが、中小零細企業についてはかなりの負担を生じる可能性がございます。したがいまして、業務災害の関連が深い二次健診等については労災保険の中で救済するといったような形をとらせていただいたわけでございます。
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竹下亘#10
○竹下委員 現在、医療の分野の中で、まさに予防という考え方が改めて非常に重要になっておる。今回の二次健診についても、いわば基本的に病気になりそうな要素を持っておる、いわゆる高血圧だとか、死の四重奏と言われる要素を持っている人たちを、さらに二次健診によって予防しようという考え方ではなかろうかなと受けとめさせていただいたような次第でございますが、先ほど局長もおっしゃいましたように、脳とか、特に心臓疾患の場合ですと、いわゆる生活習慣病といいますか、肥満であるとか高血圧であるとか高脂肪であるとかによる部分が非常に大きいというふうに、私自身思うわけでございます。
 ただ、それであるだけに、保健指導も含めまして、カウンセリングあるいは生活指導といったようなことも含めて、適切な指導をしていけば、かなりの部分、病気の発症を防止できるんではないかなという期待もそこにかかってくるわけでございますが、今回の法改正の中で新しく創設される給付の中には、いわゆる保健指導というものが含まれておるというふうに伺っております。この保健指導の具体的な内容についてお聞かせを願います。
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野寺康幸#11
○野寺政府参考人 まさに先生御指摘のとおり、脳・心臓疾患の発症予防の上では、生活習慣上のいろいろな事項について、適切な指導が行われるということが必要不可欠でございます。
 具体的には、医師または保健婦あるいは保健士が、適切なカロリーの摂取等食生活上の指針を示す栄養指導がまずございます。それから必要な運動の指針を示します運動指導、それから飲酒、喫煙、睡眠等のいわゆる生活習慣そのものに関します生活指導といったような中身を予定いたしております。
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竹下亘#12
○竹下委員 飲酒、喫煙、肥満、食生活、私もそういう指導を受けなきゃいかぬような気にだんだんなってまいりますが。
 この保健指導というものを行うためには、それを行う医師の資質の向上、あるいは、最初の第一次健康診断が企業の事業主の義務で行うということになりますと、その企業にある医務室みたいなもの、あるいはそこに常駐する医師でいわゆる保健指導というのが対応できるのであろうかな、あるいは保健指導というのは、いわゆる診断をする医師とは別の資質みたいなものも必要なんではないかなという感じもいたしますが、そのための方策として、この保健指導をより効果を上がらしめるために、どんなことを考えていらっしゃるかという点について、お伺いをいたします。
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野寺康幸#13
○野寺政府参考人 保健指導をやる具体的な専門家、お医者さん、それから保健婦、保健士等の方々になろうかと思うのですけれども、この保健指導が効果を上げるためには、まさに先生おっしゃいましたように、専門家自身がこういった方面についての知識、経験を十分に持つ、そういう意味で、資質を高めることがぜひとも必要でございます。
 具体的には、労働福祉事業団を活用いたしまして、お医者さん、保健婦、保健士等に対するセミナー等の活用を通じまして、特定保健指導を的確に行える者を今後確保してまいりたいというふうに思っております。
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竹下亘#14
○竹下委員 そういう方策を講じて、過労死が本当に一人でも減っていくことをこいねがう者の一人でございます。過労死の予防のために、二次健康診断そしてそれを給付をする労災保険制度の改正が必要であるということを、私自身もそうだなというふうに理解をいたしておるような次第でございます。
 ただ、冒頭に、私は、過労死にかかわる法律というのは悲しい法律だということを申し上げました。これは、労働が賃金の対象とだけは考えない、日本の労働に対する、我が国の労働に対する物の考え方のあらわれであろうと思います。ある意味では、多少弊害はあるかもしれませんが、美風と言える部分もあるんではないかなと私自身思っております。この労働に対する、一生懸命働くという考え方があったからこそ、我が国は人材しか資源がないという状況の中で戦後の復興もなし遂げ、今のような世界に冠たる経済大国になったということが言えるゆえんでもあるんではないかなと思う次第でございます。
 働く父親の背中を見て子供は育つと申します。働き過ぎという美風、これを全部捨ててしまえばいい、労働というのは時間と賃金の問題だと割り切れるか。私は、日本という国は、そういう考え方にはいきなりはならないんじゃないかな。この美風を捨てようというふうには思いませんが、と同時に、本来ですと、この過労死という法律はないにこしたことはない。つまり、過労死がなくなればこの法律はなくなるわけでございまして、過労死をなくすというのが本来一番大事なことであろうと思う次第でございます。
 そのためには、近年大分進んできてはおりますけれども、労働時間をさらに短縮するとか、あるいはさらなる健康管理の充実に努める、これは事業主、労働者一人一人の自覚によらなければならないところも多いわけでございますが、さまざまな方法も考えられるところでございます。
 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、過労死をなくすぞという思いの中で、予防対策に対する今後の施策の方向について、大臣はどのようにお考えになるか、お伺いさせていただきたいと思います。
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吉川芳男#15
○吉川国務大臣 御指摘の過労死の問題でございますが、近年、過労死の事案が増加傾向にありまして、労働者やその家族に甚大な被害を及ぼす過労死等の予防は非常に重要な課題と認識しております。
 このために、健康診断の実施と適切な事後措置の徹底、心身両面にわたる健康づくり、これは、片仮名英語のようで恐縮でございまするけれども、トータル・ヘルスプロモーション・プランと呼んでいるそうでございますけれども、の推進、そして長時間残業の抑制や年次有給休暇の取得促進による労働時間の短縮等の取り組みを推進してきたところであります。さらに、二次健康診断給付を創設することによりまして、より効果的な過労死の防止が可能となると考えております。
 今後とも、これらの対策を着実に実施することによりまして、過労死等の予防に努めてまいりたいと考えております。
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竹下亘#16
○竹下委員 ありがとうございました。
 過労死の問題というのはまさに我が国特有の問題といいますか、冒頭にもお話ししましたように、英字新聞でKAROUSHIという言葉があります。この言葉がなくなることを念願し、大臣を初め労働界の皆さん方、またこれまで過労死の問題に取り組んでこられたこの委員会、あるいはこの委員会の中でも与野党を含めてこれまで真剣に取り組んできた結果が、この法律がかなり広い範囲にカバーができておるという今日の結果になっておると私は思います。そういう状況をこれからも続けて、過労死をなくす。
 ただ、非常に難しいのは、日本人が持っております労働に対する、働くことに対する意識を壊さないでしかも過労死をなくすという、ある意味では二律背反のような難しいことなんですが、それをぜひ追求していっていただきたいということを御要望申し上げまして、ちょっと早いんではございますが、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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大石正光#17
○大石委員長 河上覃雄君。
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河上覃雄#18
○河上委員 労災保険の審議に入りましたが、きょうは、初めに労災のお話を少し伺うとともに、後ほど、やや法律から外れますが、雇用保険のいわゆるあぶれ手当と言われるものに対する事件の概要についてちょっと御質問をさせていただきたいと思っております。
 この労災保険というものは、全事業主の負担によります保険料が主たる財源になっているものでございますが、今回、二次健康診断等給付の対象にしています脳・心臓疾患、いわゆる生活習慣病とも呼ばれておりますが、食事など私生活の状態も大いに発症に関係する疾病である、このように思うわけでございますが、こうした疾病の予防につきまして労災保険で対応するということ、この理由についてまず確認をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
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野寺康幸#19
○野寺政府参考人 確かに脳・心臓疾患は、必ずしもそのすべてが業務上ではないわけでございますし、先生おっしゃいましたように、生活習慣によって起こってくる場合も非常に多いわけでございます。
 ただ、私どもとしては、働き盛りの方に結果として突然の死をもたらすという結果の重大性にかんがみまして、企業の責任問題あるいは労災の認定をめぐってさまざまな争いが最近起こっておりまして、いわば社会問題化しております、今後、日本の労働状態を考えますと、高齢化がさらに進展しまして、こういった脳・心臓疾患に係ります労災請求の事案が増加していくというふうに考えておりますが、こういった、結果として労働者あるいは企業に甚大な被害をもたらすことについて、何らかこれを防ぐことはできないものだろうかということが発想の根本でございます。
 原因については、先生おっしゃいましたように、業務上の部分あるいは生活習慣による部分、いろいろあるわけでございますが、そういった発症の危険因子、高血圧といったようなものは事前に把握することがまず技術的に可能でございます。さらに、生活習慣の改善を通じましてそういった危険因子をコントロールすることもある程度可能でございます。
 そういった具体的な技術的な面を重視しまして、事業主が業務の軽減などの適切な予防対策を講じるということを前提にしますと、より詳しい二次健康診断というものがその上で必要不可欠な資料を提供するというふうに思っておりまして、そういう観点から考えますと、結果として事業主の全額負担による労災保険でやるということに十分な理由があるというふうに思っております。
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河上覃雄#20
○河上委員 生活習慣病よりも有害物質などに起因する疾病、職業性の疾病と言われるものの方が業務災害補償との関連が深いというふうな気がするわけでございまして、そうした疾病につきまして、それでは労働省はどんな予防対策を講じていらっしゃるのか、これは大臣にお伺いいたします。
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吉川芳男#21
○吉川国務大臣 我が国の職業性疾病の発生は、長期的には減少しておりまするけれども、今なお年間約八千人の労働者が罹患しております。このため、労働安全衛生法関係法令や労働災害防止計画に基づき、事業場の自主的な労働衛生管理体制の確立を基本として、職場環境の改善や健康診断の実施に基づく健康管理の徹底等によりまして、化学物質等による職業性疾病の予防対策を積極的に推進しているところでございます。
 今後とも、労働者が健康で安心して働ける職場づくりを目指して、職業性の疾病の予防対策を総合的に推進してまいりたいと思っております。
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河上覃雄#22
○河上委員 二次健康診断等給付は、一次健康診断受診者のうち、どんな労働者を対象に支給する予定になっていますか。例えば長時間労働者のみに限定するようなことを考えられないのか、この点についてお伺いします。
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野寺康幸#23
○野寺政府参考人 高血圧、高血糖、高脂血症、肥満といったような四つの要因、専門家の方では死の四重奏と呼んでおられるそうでございますが、こういった四つの危険因子が一遍に重なると大変過労死のリスクが大きくなるということでございます。
 今回の二次健康診断給付は、先ほど御説明いたしましたように、事業主が拠出する労災保険によって賄われるわけでございますので、過労死をより効率的に予防したいという観点から、四つの項目すべてに異常の所見がある方に限って過労死のリスクの高い状態というものを認識しまして、これを予防するという制度でございます。
 現実に発生いたしております過労死というものが業種とか職種とか規模に関係なく発生しているという現実を見ますと、そういった就業状態に応じて給付対象を限定するというのは今回の仕組みにはなじまないのではないかというふうに思っております。
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河上覃雄#24
○河上委員 次に、今回の二次健康診断等給付の対象労働者について、どのように見積もられておりますでしょうか。
 この給付の創設によりまして、保険財政への影響はどういうふうになりますでしょうか。
 また、労災勘定は、積立金をかなり持っていらっしゃるようでございまして黒字ではないか、こういう声も聞かれるわけでございますが、災害率の低下、サービス産業の労働者の割合の増加などに伴いまして、財政状況に余裕が出てきているということで理解してよろしいでしょうか。御答弁をよろしくお願いします。
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野寺康幸#25
○野寺政府参考人 二次健康診断等給付の対象者でございますが、これは、先ほど来申しておりますように、一次健診で血圧、血中脂質、血糖、肥満という四つの項目にいずれも異常の所見があるという方でございますが、私どもの推計ですと、約三十万人の労働者がこれに該当するというふうに考えております。
 お一人当たりの今回の給付に要します支給額は三万円から四万円程度であるというふうに思っておりますので、これを単純に掛けますと、百二十億円かかるという試算でございます。保険料収入は、平成十一年度で見ますと一兆三千三百三十八億円でございますが、百二十億円はこれの一%に満たない額でございますので、保険財政全体には実質的な影響はないというふうに考えております。
 それから、労災保険はそもそも、労災の事故を起こした責任のある事業主の団体がその事故を発生させた時点で将来の給付の基金も賄っておくという考え方、発生者責任といいますか、そういった考え方によりまして、将来の年金給付を今事故を発生させた事業主全体で負っておく、そういう意味で積立金があるわけでございます。したがって、当該年度給付分以外のいわば剰余金が積立金の方に回って将来の年金給付に回される、こういう意味でございます。
 この積立金の額ですが、十一年度末現在で六兆八千五百三十六億円という額でございます。これは既に年金受給者が現在二十二万人になっておりますが、こういった方々の将来にわたる年金給付のための必要額のまだ八割しかないということでございまして、これをもって黒字であるという評価もできるのでございますが、年金の将来給付を賄うという意味ではまだ足りないという状況でございます。
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河上覃雄#26
○河上委員 メリット制について一点お伺いいたします。
 建設業など有期事業について、メリット増減幅を他の産業より狭くした理由はどういう理由でしょうか。また、今回その幅を拡大しようとする理由をお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、改正案では、有期事業につきましてメリット増減幅をプラスマイナス三五%とするという内容になっていますが、この際、他産業に並んでプラスマイナス四〇%にするという選択肢もあるように思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
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野寺康幸#27
○野寺政府参考人 メリット制の基本的な考え方は、労災の事故が多ければ保険料は上がるし少なければ保険料は下がるという、いわば災害防止に努力する方については保険料が安くなっていく、そういうインセンティブが基本でございます。
 建設の事業等の有期事業に係ります先生御指摘のメリットの増減幅が一般の継続的な建設業等よりも一〇%近く低く設定されておりますが、これは、従来、建設の事業等においては災害が非常に多いといったような状況にございました。したがって、他産業と同一の増減幅にすると、大体ふえる方に働くわけですから、そうするとメリット制によります追徴の額が多くなり過ぎる、事業主を圧迫するという現実にかんがみまして、業界等の御要望もございまして、メリット幅を狭くしてきたわけでございます。
 今回、このメリット幅を従来より拡大する、三〇%を三五%にする、こういう案をお出ししておりますが、今申しました有期事業におきます災害率は、一般の継続事業のメリット増減幅が三五%ということになりました昭和五十一年当時の全産業の平均よりも最近は改善しております。災害が減っております。過去のメリット幅の増減幅の拡大、改正の際には大体プラスマイナス五%を目安に拡大を図ってきております。
 さらに、メリット幅の大幅な拡大をいたしますと、一方で災害を発生する事業主もいらっしゃるわけですから、そういった方々については保険料は大幅にふえるということになりますので、そういったいろいろな点を勘案いたしまして、今回の増減幅は三五%、五%増というふうに設定させていただいております。
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河上覃雄#28
○河上委員 労災の最後の質問になりますが、今回の労災法改正案は、二次健康診断等給付にいたしましてもメリット制の改正にいたしましても、業務災害の防止への取り組みを一層強化するねらいであるものと理解はいたしております。社会の中核的な担い手であります労働者が、業務災害によって労働能力を奪われたり、特に過労死という形で命を奪われるような事態は、社会にとって大きな損失であると考えます。労災保険法がそうした課題に正面から取り組む体系へと変更されようとしていることについては、評価をしてよいのではないかと考えております。
 そこで、最後になりますが、労働災害の防止は、今回のように保険制度を通じた対策にとどまらず、法律上の規制という手段から事業主への啓発という手段まで幅広く総合的に行われる必要があると考えております。労働省といたしまして、今後、過労死の防止を含めて、労働災害の防止にどのように取り組む御決意でいらっしゃるのか、労働大臣の決意をお伺いいたします。
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吉川芳男#29
○吉川国務大臣 労働災害を防止し、労働者の安全と健康を確保することは、労働行政の最重要課題の一つと考えております。このために、労働安全衛生関係法令や労働災害防止計画等に基づき、法令に基づく規制の履行確保を図るとともに、事業者の自主的な災害防止活動の促進に関する啓発等を積極的に行ってまいります。
 さらに、過労死等の防止を図るために、職場の健康確保対策の充実強化や労働基準法に基づく長時間残業の抑制に取り組むとともに、今般、労災保険制度に二次健康診断給付を新たに設けることとしたものであります。
 今後とも、過労死を含む労働災害を効果的に防止するため、労働省といたしまして、総合的に対策の推進に取り組んでまいりたいと思っております。
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