厚生労働委員会

2015-05-21 参議院 全360発言

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会議録情報#0
平成二十七年五月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     足立 信也君     羽田雄一郎君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     井原  巧君     武見 敬三君
     羽田雄一郎君     足立 信也君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     石橋 通宏君     森本 真治君
     白  眞勲君     櫻井  充君
     山本 香苗君     杉  久武君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸川 珠代君
    理 事
                大沼みずほ君
                羽生田 俊君
                福岡 資麿君
                津田弥太郎君
                長沢 広明君
    委 員
                赤石 清美君
                石井みどり君
                木村 義雄君
                島村  大君
                高階恵美子君
                滝沢  求君
                武見 敬三君
               三原じゅん子君
                足立 信也君
                石橋 通宏君
                櫻井  充君
                西村まさみ君
                白  眞勲君
                牧山ひろえ君
                森本 真治君
                杉  久武君
                山本 香苗君
                川田 龍平君
                小池  晃君
                行田 邦子君
               薬師寺みちよ君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
   副大臣
       厚生労働副大臣  永岡 桂子君
   大臣政務官
       財務大臣政務官  竹谷とし子君
       厚生労働大臣政
       務官       橋本  岳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林  仁君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房審議官     徳田 正一君
       厚生労働大臣官
       房年金管理審議
       官        樽見 英樹君
       厚生労働省医政
       局長       二川 一男君
       厚生労働省医薬
       食品局長     神田 裕二君
       厚生労働省医薬
       食品局食品安全
       部長       三宅  智君
       厚生労働省保険
       局長       唐澤  剛君
   参考人
       公益社団法人日
       本医師会副会長  中川 俊男君
       名古屋大学医学
       部附属病院長   石黒 直樹君
       一般社団法人日
       本難病・疾病団
       体協議会代表理
       事        伊藤 建雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○持続可能な医療保険制度を構築するための国民
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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丸川珠代#1
○委員長(丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、井原巧君が委員を辞任され、その補欠として武見敬三君が選任されました。
    ─────────────
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丸川珠代#2
○委員長(丸川珠代君) 持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、患者申出療養関係について三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席をいただいております参考人は、公益社団法人日本医師会副会長中川俊男君、名古屋大学医学部附属病院長石黒直樹君及び一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事伊藤建雄君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十五分以内で御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず中川参考人にお願いをいたします。中川参考人。
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中川俊男#3
○参考人(中川俊男君) おはようございます。
 患者申出療養について、日本医師会の見解をお話しさせていただきます。
 資料を用意いたしましたので、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 患者申出療養というものに関しては、我々は評価療養の一類型だという認識であります。右下一番をお願いいたします。
 保険外併用療養、特に評価療養について、日本医師会は、一定の安全性、有効性が確保されていること、将来の保険収載を前提としていることが絶対的な条件だというふうにしています。今回の患者申出療養については、安全性、有効性の確認と、将来的に保険収載を目指すという点が盛り込まれておりまして、最低限の担保がなされたと考えています。
 一枚お開きください。二番です。これまでの流れについて少々お話しさせていただきます。
 二〇一四年の三月二十七日に、このような選択療養というものが規制改革会議によって提案されました。この選択療養というものの時点では、安全性、有効性が事後検証でいいんだと、保険収載の可能性については必ずしも保険導入のための評価を行うものではないといった、二〇〇〇年代の前半の混合診療全面解禁のときの議論に戻ったような提案でございました。その後、いろんな議論がありまして、五月二十八日には、将来の保険収載につなげるんだといった、非常に改善されたといいますか、格段に改善された内容になったというふうに認識しております。
 三番をお願いします。
 現在の先進医療の課題というふうにタイトルがありますが、現在、先進医療は、安全性、有効性の確保を絶対として審査されておりまして、おのずと実施医療機関が限定されており、アクセスが容易でない場合もあります。
 改めて申し上げますと、先進医療A、これは五十八技術、八百二十二医療機関で実施されており、未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴わない医療技術、又は未承認であっても体外診断薬の使用若しくは検査薬の使用は行う、これがAであります。
 先進医療Bについては、四十三技術、五百十医療機関で実施されていますが、これは未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴う医療技術ということになります。
 四番をお願いします。
 しかしながら、先進医療がどのぐらいの医療機関で実施されているのかということに関して見ますと、例えばA、五十八技術、八百二十二医療機関で実施されているんですが、このグラフにありますように、多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術といったものを除けば、ほとんど十以上の医療機関で実施されているという先進医療Aはごくごく一部になっています。
 五番をお願いします。
 患者申出療養の意義について簡単にまとめますと、日本医師会はこのように考えます。
 現行の先進医療などの評価療養の新たな一類型というふうに思いますが、この仕組みは、保険収載を前提として安全性、有効性の確保を絶対として審査されるものであり、高く評価できます。しかし、対応医療機関の近くの患者以外は先進医療を受けにくい現実があります。患者申出療養はこの部分を補完するというふうに思います。対象患者が広がることによって先進医療の症例が積み重なることが予想され、保険適用が早まる可能性も出てくるというふうに思います。
 六番をお願いします。
 これは、二〇一四年の十一月五日の中医協総会に出されたときの、患者申出療養の対象となる医療のイメージが(1)から(3)まで提案されました。すなわち、先進医療の実施計画対象外の患者に対する療養、例えば高齢者、病期の進んだ患者、合併症を有する患者等が対象になるのではないか。二つ目は、先進医療として実施されていない療養、一部の国内未承認、海外承認医薬品等の使用、実施計画が作成されていない技術等であります。三つ目は、現在行われている治験の対象とならない患者に対する治験薬等の使用であります。
 これに加えて、一番対象の数が多くなるだろうというふうに思われるのがこの黄色いところです。評価療養、特に先進医療の実施医療機関の近辺にお住まいでない患者さんが医療を受けられなかったという場合に、その方々が対象になるのではないか、これが一番多いグループだというふうに思いまして、提案し、これが追加されております。
 七番をお願いします。
 患者申出療養の実施に向けての留意点ですが、患者申出療養に治験候補の薬などを組み込むため製薬企業等が患者や主治医に働きかけることがあってはならないと思いますし、このことについては、製薬メーカーからそういうことはないという明言をいただいております。先発品メーカーとしての矜持として、私は信じたいと思っています。二つ目は、安全性と有効性の確保のために、現行の評価療養と同様に、プロトコールの確認等、一定水準の安全性、有効性の確認は必須であるべきだと思います。そして、何よりも大事なことは、将来的に保険収載につながるようにすることが大前提であります。
 八番をお願いします。
 改めて、今申し上げた上で、混合診療の全面解禁には明確に反対であることを申し上げます。
 必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという、二〇〇四年の混合診療全面解禁の激論の末に合意した国民皆保険の理念をこれからも堅持すべきだと考えます。資産や所得の多寡で受けられる医療に格差が生じ、必要な医療が受けられなくなるようなことがあってはなりません。財政審で議論されている公的医療保険の給付範囲の見直し、患者自己負担増も問題です。一方、ドラッグラグについては、現状のエビデンスを認識すべきです。審査ラグは、ヨーロッパの水準まで解決されていると思います。
 この際、ドラッグラグについて少しお話ししたいと思います。九番をお願いします。
 日本はドラッグラグがあって、他の先進諸国と比べて非常に問題があるという話がありました。しかし、ここに示すように、データ的には二〇一一年度までしか明らかになっていませんが、審査ラグというものは非常に短くなってきており、関係者の努力によって非常に改善されてきているというふうに思われます。
 問題は、開発・申請ラグ、いわゆるメーカーの申請ラグであります。これについてはいろんな問題を解消しなければなりませんが、メーカーは早急に申請して、国も協力して薬事承認及び保険収載を目指すべきだと思います。
 最後に、十番をお願いします。これは、専門家の意見をお聞きした中の一部を紹介したいと思います。先進医療会議の構成員の意見です。
 がん研有明病院の副院長である山口先生のお話です。例えば胃がんのガイドラインがいい例です、胃がんの分野でも、やはり最初に作ったときはなくて駄目だったのですけれども、今は臨床試験が日本で進んで、ティーエスワンなどはむしろアメリカで使えなくて日本で使えるものさえ出てきました、結果として成績には大きな差がありますから、むしろかわいそうなのは、胃がんについては米国の方ですと言っております。
 それから、聖路加国際病院院長の福井先生は、私は診療ガイドラインの作成に深く関わってきました、十年近く前は確かに海外で承認されていて日本で使えない薬もガイドラインに書かざるを得ない状況がありましたが、最近はほとんどなくなってきていますとおっしゃっています。以前は海外で承認されているけれども日本では承認されていない薬を使いたい患者さんに病院としてどう対応するかという事案が幾つかありましたが、最近はほとんどなくなりましたとおっしゃっています。
 こういう現状で、患者申出療養というものが、あるべき姿で、いい面を強調して発展、拡大していくことが望まれるというふうに思います。
 以上です。ありがとうございます。
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丸川珠代#4
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 次に、石黒参考人にお願いをいたします。石黒参考人。
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石黒直樹#5
○参考人(石黒直樹君) 名古屋大学の石黒でございます。
 では、お時間をいただきまして、私、資料を用意してまいりました。この資料でございます。それに従って説明申し上げたいと思います。
 めくっていただきまして、私は、この制度を評価療養制度、現在七種類が認められておりますけれども、そこの中に加えていただきたいというふうに主張しております。これ考えますと、ここで四角で囲ってあります一番下の部分ですけれども、私、医師になってからもう三十年以上たちますけれども、この制度を利用したことがありません、一番下の大きな四角は。二番目は、これ企業治験ですから広く行われております。三番目は、今話題になりました先進医療制度というやつで、最近認めていただいて随分良くなったというふうに考えております。
 それでは、なぜこの患者申出制度が必要かということを大学病院の立場から説明したいと思います。めくっていただきまして、次のページです。
 大学病院が直面する現状の問題点と題させていただきました。まず、医療のグローバル化、複雑化に実は皆保険制度というのが追い付いていないのではないかという疑問を私どもは持っております。
 まず、未承認薬の問題です。先ほども指摘がありましたように、確かに官公庁、PMDAの御理解によってかなり短縮されましたけれども、メーカーはそれを申請したがりません。なぜかというと、お金と費用が掛かるから。
 例えば、多剤耐性の緑膿菌に対する抗菌剤、これ、別に最近出てきたわけじゃなくて、数年前から疑問になっていますけれども、このコリスチンという薬剤は二〇一五年三月に製造販売承認を受けました。ですから、それ以前はこれに対する抗菌剤は我が国ではなかったという。これを使って、抗生剤でたたいていきますと、最後にこの菌が残ります。この菌が残って、じゃ、これが生命に関わるときになるとコリスチンを並行輸入して使わざるを得ない。そうすると、途端に患者さんにそれは請求できなくなります。そんなことを私どもは初めに説明していませんから、全部医療機関がこれをかぶることになります。
 もう一つ、経口GVHD治療薬、これクリッパーといいますけれども、ちょっとかわいい名前が付いていますけれども、これは実は小児科の領域で骨髄移植をして、GVHD、消化管の出血等が起こった場合に使う全く吸収されないステロイド剤です。非常に優れた薬効を持ちますけれども、小児のGVHDを生じる、要するに骨髄移植を生じるという領域は非常に限られていますから、これも開発しようとしない。これはEMAでは承認されています。
 もう一つ、未承認医療機材というところでいいますと、これは大動脈ステント、今、トリプルA、要するに大動脈瘤・解離あるいは胸部大動脈解離、胸腹部大動脈解離といったものは高齢者に起こる場合が多いですし、糖尿病の患者に起こる場合が多いものですから、できるだけステントでやろうという動きがあります。ところが、ステントというものは非常に開発が速いということ。開発が速いと、一つの形式を認定しても、その次の形式が出てくるわけですね。あるいは、今もっとあるのは、テーラーメードといってオーダーで作るというものもあります。そういったものも日本ではなかなか承認が得られないといったことがあります。
 次に、適応拡大での医療機器使用、これは小児外科領域での内視鏡手術があります。赤ちゃんが生まれます。例えば食道裂孔ヘルニアなんかがありますと、早く手術しておなかに臓器を戻してやらないと、肺、呼吸ができなくなって死んでしまいます。だけれども、たかだか三キロあるいは四キロといった患者さんに対して胸部と腹部の開腹を行うのかといった問題、これは非常に高度な技術が必要になりますけれども、こういった問題は患者さんが少ないがゆえになかなか保険収載されません。ですから、小児領域はほとんど内視鏡手術ペケになっています。
 結局、そうすると、自費診療を選ばざるを得ないということになりますと、若いお母さんあるいはお年寄りの方々に非常に高額な自費を請求せざるを得ないというのが大きな問題です。でも、彼らはちゃんと国民保険の保険料を払っているんです。でも、その途端に受けられなくなって、その分を何とかしろということになってしまいます。
 じゃ、この制度を導入することによって予想される効果と課題、私の考えをまとめてまいりました。
 先ほど来問題になっていますデバイスラグ及びドラッグラグの最小限化、これは確かにありますけれども、こういったものを広く行えば薬事法が形骸化します。
 もう一つ、最先端医療技術の迅速な導入、提供といったことは、非常に聞こえがいいんですけれども、一方で、医療者の能力を超えた技術導入が行われ、結局ラーニングカーブ、要するに、新しい医療技術は我々は学ばねばなりません。学ぶためには何例かを経験を積むことによって徐々に蓄積されてくるわけで、初めから野方図に広げてしまえば、ラーニングカーブ、習熟する機会を医療者は得ることができなくて、非常に危険な手技が行われるであろうという問題です。
 続きまして、患者による治療選択肢の拡大、これは非常に良いことです。でも、情報の非対称性、後で述べますけれども、あくまでも医療者はよく知っていて、患者さんは余りその情報をお持ちにならないといったところで、この問題ですね。ですから、情報の非対称性によるミスリーディング、例えばがんも切らずに治る式の発言とかが行われて、それを信じてしまう。そうすると、結局、患者さんの人権保護、治療機会が失われるということになります。
 続きまして、そもそもは希少疾患、難病患者への対応であるということです。そうなると、普遍性を求めるものではない。例えば、大学病院にあるCPCと呼ばれる細胞加工技術とか、そういうものを用いて治療する、あるいは高度なステントを用いて治療するというのは、一般的な病院あるいは診療所で行われるようなことではありません。となると、そもそも皆保険の、誰もがどこでも受けられるという趣旨に合っているのかという根源的な疑問が出てまいります。そうすると、皆保険制度になじむものでないかもしれないということを御審議いただきたいと思います。
 それで、保険併用による医療費負担の軽減というものが考えられていますけれども、これは新しい需要喚起を起こす可能性があります。特に広げれば、民間保険が導入されれば、その民間保険のカバーするところ、でも基礎部分は公的保険ですから、これによってかえって医療費が増大する可能性も全くないとは思いませんから、これ、よく御議論いただきたいと思います。
 一番大きな問題は、社会的な不公平感の拡大がこれによって、高額な医療費を設定することによって、私はこの医療が受けられるけれども、この医療を私は受けられないということになると、これは皆保険の根幹を揺るがす、あるいは社会的な要因としても非常にマイナスです。こういったことを考えますと、特定な機能を持つ病院群での対応が一番よいのではないかというのが私の意見であります。
 この中で特に重視されるのは、治療の妥当性の検証、医療者の教育、治療経過の管理監督、そして最終的には社会への開示が必要である、開示責任を負って、それをやるということが絶対に必要である、以上の機能を果たせる病院群を選ぶべきであるというのが私の主張であります。
 続きまして、めくっていただきます。
 医療における情報の非対称性。特に新規性が高い、あるいは希少疾患領域では、これが著しくなります。医療に関わる情報は常に非対称性があります。一方で、国民皆保険というものは治療を規定することによってそのリスクを軽減しております。間違った医療が行われないようにしているわけです。ですけど、その一方で、審査には時間と金が掛かるという、ですからメーカーはやりたがらないという問題が発生します。要するに、せっかくそれでやったとしても、時間と掛けるお金にペイしないような保険領域においては、彼らは開発しようとしないんです。
 もう一つ問題点は、供給者誘発需要の存在。これはどういうことかといいますと、間違った医療にしろ、自分が持っている以上は、患者さんに、こういうのがありますよ、ああいうのがありますよと訴えて、大して有効性もない医療が行われるという側面であります。これは非常に大きな問題で、先ほども言いましたように、そうすると患者さんは治療機会を失い、機会喪失ですね、そして病状が進行した段階で初めて正規の医療機関を訪れられると。そうすると、最後は医療保険になってしまって、しかも社会的なロスが起こり、患者のロスが起こり、生命の損失が起こるという、患者に人権侵害が起こるであろうという問題点です。
 非対称性のマネジメントをどうするべきか。これはシグナリング、一つは、そういう医療機関を定めて、そこの技能等を開示させる、あるいは開示するといったことである程度の縛りを掛けるということです。もう一つは、エージェント、第三者による妥当性の助言といったところにあります。ですから、セカンドオピニオンを求めるといったところが一番大きなポイントになるかと私は思います。
 続きまして、不公平感の問題、階層医療の発生について少し議論していただきたいと私は思います。
 これはどういうことかといいますと、このグラフの右側の部分なんですけれども、もしもこの制度で十万円の医療負担が患者さんに起こるとすれば、恐らく保険診療で三十万円、これは仮定法の話ですけれども、であったものが四十万円になりますから、多くの方は制度が利用できると思います。
 ところが、百五十万円の医療費増加ということになりますと、これは随分患者負担が発生しますから、余り多くの方がこの制度を利用することができなくなります。ですから、お金持ちしかできなくなるということで不公平感が非常に強くなると。皆さん、基礎的な部分で皆保険のお金を払っているにもかかわらず、最後の部分がお金が払えないがゆえに、随分ハードルの高いことになるということであります。
 一方、現行保険制度でいいますと、先進医療では、当該部分の医療行為が患者請求、自費となっています。ですから、実は非常に高額なものが発生しているというところがあります。これでは皆保険の趣旨が全うされませんから、やはり患者申出制度においてはそこら辺の部分をよく考えていただいて、その新しく導入されたものだけ、例えばステントの置換でしたらば、ステントが新しいんだからステントは患者申出制度にしましょう、だけど、それに関わる麻酔料、術料というのは、そもそもは手術が必要なんですから、それは患者さんに請求しないような、そういう制度をしていただきたい。
 あるいは、薬剤についても、今ですとそこの部分に関わる部分が全部外れてしまいますけれども、そうじゃなくて、その薬剤だけが違っているんだから、そこの部分を面倒見てほしいと。そういう制度にしていただければ、患者さんにとってみれば随分いい制度になると私は思いますし、負担感、不公平感が軽減されると私は信じております。
 以上であります。
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丸川珠代#6
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 次に、伊藤参考人にお願いいたします。伊藤参考人。
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伊藤建雄#7
○参考人(伊藤建雄君) ありがとうございます。
 冒頭ですけれども、難病法の成立には大変お世話になりました。ありがとうございました。
 患者申出医療に関しては、少し私どもの資料を持ってきておりますが、それでなく、今日は具体的な、口頭で申し上げたいと思います。
 患者申出医療に関しては、混合診療への道を開くのではないかとか、あるいは自己責任の問題であるとか、安全性についてなど、様々なことで有識者の皆さんや国会でも議論をされてきたことだと思いますし、難病患者でもあります川田議員もこの委員会で様々な指摘をしておられることですので、そのことにつきましては今日も大変すばらしい御意見を専門の方々からお受けしておりますので、そのことには触れないで、患者の視点からの問題について少し意見を述べたいと思います。
 これは一般的なことですので、患者と専門家の間には様々な情報の非対称性があると言われていますが、これが本当に一般の患者さんになるともっとこの非対称性が強くなりまして、患者申出による医療というネーミングの持つ一種のうさんくささといいますか、うろんさとかいうものについて若干抵抗感があると言っていいのかと思います。
 第一に、患者家族は高度な先進医療の情報とか実態の情報をどのようにして得ることができるのかという問題でありますが、これは情報の非対称性の問題だけではなくて、その情報に対する評価とか、あるいは主治医によるお勧めというものに対する患者家族の選択の余地というものがどのように保障されるのかという実態の問題にもう少し触れていただきたいと思います。
 それから二番目に、患者の申出による医療と言っておりますけれども、それはいかなる状況を想定するのかということであります。そもそも、突発的な事故とかごく少ない場合を除いて、患者の申出によらない医療というのはあり得るのかということです。少なくとも健康保険においては成り立たないのではないだろうか、もしあるとすれば、ヘルシンキ宣言を逸脱した状況というのを想定しなければならないのではないだろうかと思います。
 三番目に、この制度による医療を利用する必要があるという人もいるということは私たちは否定しませんが、国民皆保険の中では、それは一部の人のためにだけあるのではなくて、あまねく全ての国民が利用できるということを保障するものでなければならないと考えます。また、高度な先進医療技術は、その開発と研究には少なからず、あるいは莫大な国費、公費が投入されているのではないだろうかと思っております。とすれば、その技術により、医療が一部の国民だけ、あるいは経済的に豊かな者だけが利用できるという性質のものであってはならないと思います。
 先ほどの参考人、石黒先生のお話にもありましたが、例えばこういうようなことが言われております。現在、医療の負担が幾らかということは、過去から見てどういうことが今後想定されるかということですけれども、二〇〇八年の時点では例えば先進医療の負担額というのが約四十九万円であったと、それが二〇一四年では七十三万円になっている。とすると、今百万円でも、五年後、十年後には一体どういう金額になるのか、それまでの間に果たして保険収載がなされるのかというようなことで疑問を持っております。
 さらに、私たちの今までの経験から言えることですが、本当に患者を助ける医療がすぐ目の前にあるとして、それが勧められたら、これは患者だけではなくて、家族や親類、友人たちを巻き込む有形無形の大きなプレッシャーにさらされることになるわけです。ある医療をなぜ使わないのか、費用が掛かるとしたらなぜそのお金を集めなきゃならないのかということで、今までも度々言われてきたことですが、その資金を集めるための大きなプレッシャーになるわけですし、うまく集められたとしても、既にその手術には間に合わなかったとか、その額に達しなかったとか、様々な悲劇も生まれているわけです。
 四番目に、この患者申出医療がなぜ患者家族だけではなくて多くの国民の理解を得られていないのかという問題があるかと思います。それは、保険外併用療法といいますか、評価療養制度とかあるいは選定療養というものとどう違うのかが分からない。なぜ先発諸制度の拡充ではいけないのか、なぜ新しい制度にしなければならないのかという疑問であります。一層複雑さを増すだけでは、かえって国民の疑惑をそらし、混乱や治療を受ける諦めも生み出すのではないだろうか、もっとここでは丁寧になぜ必要なのかということを説明しなければならないのではないでしょうか。技術面とか新しい薬の開発、様々なことについては、こういう制度があることによってそれが一層開発促進されるという利点についてはあるわけですけれども、そこだけなのかという問題であります。
 五番目ですが、そもそもそれらの制度は、混合診療の実質的な一部解禁だったのではないだろうかというように思うわけですが、その裏には、単なる技術とか審査ラグとかドラッグラグとかというものを補うということだけでなくて、先ほどのお話もありましたが、例えば私的な保険で補う、現在コマーシャルなんかもされておりますが、先進医療に対応する医療保険が売り出されてきているというようなことですが、じゃ保険に入っている人は安心なのかというとそうでもありませんし、また、その保険に加入することもできない人もいるということから考えれば、この制度を考えるときにもっともっとそういう部分も加味して御検討いただきたいと思います。
 六番目ですが、患者申出医療とはちょっと離れまして、この機会に保険に係ることで三点のお願いをさせていただきたいと思います。
 第一点は、このように国民全体の生命や医療、健康に関する制度の創設や改変を伴う審議会等には、必ず現在医療を受けている当事者として患者会やあるいは一般国民の代表も参加させて、そういう利用する人の面からの意見も聞きながら議論を行うべきではないだろうかと思います。専門的な議論だけではなくて、このような一般国民や患者の視点での議論というのも必要なのではないかと思います。そういう意味で、この度この委員会で意見を述べさせていただく機会を得ましたことは本当に有り難いことだと思っております。
 第二点は、入院給食費の自己負担の引上げについてです。いつもその説明に使われている言葉ですが、患者と一般の方の不公平をなくすというようなことがあるんですが、患者が入院するというのは、大変な心身の負担や不安、苦痛の中にあるということです。また、様々な経済的な負担を伴い、さらには失職の状態も余儀なくされている患者も少なくないわけであります。
 この度の難病法においては、難病患者は入院給食費につきましては二分の一の負担という御配慮をいただきました。それでも、経済的な負担や様々な不安が大きいことには変わりはないわけです。難病も含めて、患者、家族がそういう状態にあるときに、公平性という言葉を用いて説明しようというのはいかがなものかと我々は受け止めるわけです。国民の目といいますか、あるいは患者、家族から見れば、ちょっと非常に不愉快な比較、表現に感じざるを得ないわけです。
 経済的にも一般国民の所得と比べて大きくその所得が下回っている患者たちの多くは、一体毎日一食幾ら辺りで暮らしているかということを御存じでしょうか。このような場合には、是非保険や医療機関の経済コストからの面だけでこの話を持ち出すのではなくて、まず患者家族の生活の実態調査をしてから議論の俎上にのせていただきたかったと思います。
 第三点は、大きな病院への主治医の紹介状を持たないで受診する場合の初診料の大幅な引上げです。
 これは、混合診療を受けることができるかどうかという問題にも比較的近い問題だというように思っているんですが、難病対策が始まりました四十年前と違って、相当に一般の医療機関でも難病の発見や診断、さらには大きな病院への紹介が増えたと言えますが、しかし、まだまだ多くの患者は自らの努力で幾つもの医療機関を回り、ようやく診断や専門医にたどり着くという実態があります。
 例えば、厚生労働省の平成二十二年度の障害者総合福祉推進事業で行いました難病患者等の日常生活と福祉ニーズに関するアンケート調査では、難治性疾患の診断が付くまでに通った医療機関のおおよその数についてを調べております。
 その中で、一か所で済んだというのは、これは本当に四十年前とは大きく違っているんですが、改善されていると思いますが、それでも一か所で診断の付いたという方ですが、これはサンプル数千三百八十名を対象にしておりますが、一か所で診断が付いたという方は二五・九%にすぎないと言っていいかと思います。二か所回りましたというのが二九・四%、これも本当に改善された数字だと思いますが。しかし、三か所から五か所を回って診断が付いた方が二九・九%、六か所から七か所、ぐんと減りますが、それでも二・五%ありますし、八か所から九か所で一・七%、十か所以上回ったというのが二・五%あるわけです。これは、紹介状を持って回ったのではなくて、患者が、何かおかしいとか診断が付かないのも不思議だとか、あれ、これは何でもないよと言われても、異常な所見はないと言われても、何かおかしいといって自分の力で、あるいは様々な友人たちの情報を得て、回ってたどり着いた診断の結果なわけです。
 そういう状態がある中で、コストの削減を前提として、受診を制限するような高額な紹介状料を設けるというのは、多くの患者、家族の生命と健康に直接関わる大きな問題であります。そして、一か所や二か所だけで高度な医療を行う医師、医療機関に巡り合う機会というのがこれからも保障されるのでなければ、このようなことはちょっと十分に慎重に検討していただきたいと思いますし、特に、最悪の場合、その費用を節約したがために受診することができなくて、もしも亡くなったとかあるいは非常に重度の状態に陥ったという場合には、それはどこに、誰に責任があるのかということであります。速やかに専門医にたどり着ける普遍的な制度、体制を保障した上で紹介状の料金を考えていただきたいと思います。
 医師を信頼しろと言われたり、あるいは患者がドクターショッピングをすると言っていますが、そういう切実な状況の中でそういう現象が起きているということを考えていただきたいし、医師を信頼しろという建前論だけでは、セカンドオピニオンもインフォームド・コンセントも正確な実態を反映していると言えないのではないだろうかと思います。そのため、患者、家族の困難と不安、苦痛を救うためにも、慎重に御検討いただきたいと思います。
 患者申出医療に関連して、その要望もさせていただきましたが、是非、患者、家族の声、あるいはその生活の実態というものも十分調べた上でこういう議論を進めていただきたいと思います。
 そういうことを要望いたしまして、患者、家族を代表しての陳述といたします。ありがとうございました。
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丸川珠代#8
○委員長(丸川珠代君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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大沼みずほ#9
○大沼みずほ君 本日は、大変お忙しい中、参議院厚生労働委員会にお越しいただき、貴重な御意見賜りましたことを、まずもって心から御礼を申し上げます。
 先ほどお話を伺う中で、最初に石黒参考人のお話の中で、これからの患者申出療養におきましては、保険制度に例えば麻酔であるとか一部の薬が使えるようになるだけで大分助かるのではないかという御意見を拝聴いたしまして、中川参考人に伺いたいんですけれども、今回、将来の保険収載が前提とされているということは高く評価したいという御発言がございましたが、保険制度に、一部それを保険適用にしていく、つまり、何回か使うことによって、それを最初に保険適用にしていく方が好ましいとお考えか、それとも、ある程度全体として保険適用になる、収載になるようにしていく、これは多分順番がいろいろお考えがあると思うんですが、中川参考人のお考えをまず伺いたいと思います。
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中川俊男#10
○参考人(中川俊男君) 御質問の趣旨がちょっと一〇〇%理解できていないんですけど、大体分かったつもりでお答えしたいと思います。
 新しい医療技術、医薬品にしても医療機器にしても、その安全性、有効性が担保できないと保険収載するしないの議論にまでも行きませんよね。そのために、この保険外併用療養の評価療養というシステムは、近い将来保険収載できるかどうかを評価する療養という意味なんです。したがって、新たな医療技術、医薬品、医療機器、これが出てきた場合には、まずは評価療養の中で症例を一定程度積み重ねる中で安全性、有効性を十分に確認しましょうというシステムです。患者申出療養は、その一類型が増えたというふうに理解した方がいいと思います、いや、理解すべきだと思います。
 石黒先生も強調されましたが、いろんな新しいものはどうしても第一線の現場の医師は使いたいというのはそれは本音です。しかし、それはきちんとした手続をしないと、結果として、過去にたくさん事例があります、急ぐが余り大変な副作用、事故を起こしたということもございますから、適切な手順を踏んで、それもかなり速やかに、無駄を省いて迅速に手順を踏んで評価をするという仕組み、これはやっぱり守るべきだと思っています。
 必要な薬が使えなくて大変だというのはそのとおりでありますが、これは先進医療の中に薬事承認、今でいえば医薬品医療機器等法承認のしていない薬もできるだけ早く先進医療に組み込んで、特に認められた部分解禁された混合診療の中で早くやりましょうという道筋に乗せて、若しくは治験に乗せて、そして保険収載を早める、早期収載を目指すというふうにするべきだと思っています。
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大沼みずほ#11
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 次に、石黒参考人にお尋ねいたします。
 やはり患者申出と申しましても、実際には、お医者さんからこういう未承認であるけれどもお薬があるというようなお話を聞いて、いろんな方に患者さんが相談した上でサインをするということになると思うんですが、その際に、やはり製薬会社さんや治験を回避しようとするような、医療機関等々からそのような働きかけがあった場合に、患者さんがなかなか拒否するのが難しい状況に陥るのではないかという懸念はいろんなところから声を聞かせていただいていますが、それに対して診療計画の提出や中立的な専門家による確認で妨げられるというふうになっているんですが、本当にこれが可能であるのか、また、こうしたことが起こらないためにもっとやるべきことというのがお考えの中であればお聞かせいただければと思います。
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石黒直樹#12
○参考人(石黒直樹君) 石黒です。
 今の質問に答えますと、まずメーカーはマスで出る領域は自分で開発しようとするでしょう。ですから、希少領域については引き合わないから開発しないといったところは常に付いて回ります。ですから、そもそも売れる量が分からないような非常に希少なものです。そして、それらがこぼれていて、そういう患者さんが大学病院に集まってくる、大病院に集まってくることが私どもの非常に大きな負担になっているというところは申し上げたいと思います。
 そして、私どもが患者さんに圧力を掛けて間違った医療を誘導するんではないかという問題ですけれども、これは常にそういう問題、付いて回ります。確かに否定しません。ですから、それは私どもの内的な機関、要するに内部監査機関を十分に持つことが病院において今後求められますし、そういう病院でなければこの制度はやってはいけないと思っております。
 ですから、先生の御指摘は全く正しいと思います。でも、それは私どもの自助努力、要するにどうやって情報を開示していくのか、そして情報をどうやって集めていくのかというところでやっていかないと、これは回っていかないと思います。
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大沼みずほ#13
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 次に、伊藤参考人にお尋ねをいたします。
 今回の患者申出療養制度は患者の申出が起点となっておりますけれども、やはりここで補償や責任といったところが非常に重要なポイントになってくると思います。
 救済措置について、これは国が認める以上何らかの国の関与も必要となってくると私は思いますけれども、国による基金の創設であったり、いろんな予算措置等々を含めて考えていかなければいけない問題であると思いますが、患者側の立場からいたしまして、この治療しかないと言われた場合、個別の補償となれば大変弱い立場になると考えますが、それに対して御意見を賜れればと思います。
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伊藤建雄#14
○参考人(伊藤建雄君) それは、実際に今まで起きている医療事故あるいは医療裁判とそう本質的には変わらない現象が起きるのではないか。つまり、患者が弱いというのは、申出をした医療だから弱いのではなくて、基本的に、それがなぜ起きたのか、どういうところに原因があるのか、あるいはこれはやむを得ないと思われるのかどうかというのは、やはり専門家の方々の御判断をいただかなきゃならないわけですけれども、そのときに大きな差が出てくるのではないだろうか。
 特に、患者からすれば、本当に助からないと思われた命を助けようとしていろいろお世話になった先生方を悪く言うとか、あるいはその先生に何か補償を求めるとか、そういうことを思う方というのは、いないわけではないでしょうけど、そう多くはないわけです。そこで起きてくる現象は、若干危惧をしております。
 若干といいますか、例えば、いろんな評価の問題もそうですが、特に希少性の高い疾患であればあるほど、そのことに詳しい医師あるいは技術者というのは非常に少ないわけですから、少ないということはお互い顔見知りといいますか、よく原子力の問題で言われたような原子力村みたいな、何か本当に同じ領域の方々がお互いに切磋琢磨して技術を高めようとしている方々の中で起きていることでありますから、そういう中でどういう判断がなされるのかということは大きな問題です。
 先生方の専門家としての矜持といいますか、そういうものが裏付けになるとは思うのですけれども、今までの経験からいえば、ちょっと患者としてはいつも多少不安に思うところであります。
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丸川珠代#15
○委員長(丸川珠代君) 大沼委員、時間でございますので、おまとめください。
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大沼みずほ#16
○大沼みずほ君 どうもありがとうございました。
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西
西村まさみ#17
○西村まさみ君 民主党の西村まさみでございます。
 今日、お忙しい中、三人の参考人にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
 大変短い時間ですので、まず端的にお伺いしたいと思うんですが、中川参考人と石黒参考人にお尋ねします。
 今回のこの制度は、保険外併用療養費制度の中の一つと捉えられていらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。
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中川俊男#18
○参考人(中川俊男君) 保険外併用療養の中の評価療養の一類型、新しい一類型だというふうに思います。
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石黒直樹#19
○参考人(石黒直樹君) 私も同意見です。評価療養制度の一つだと考えております。
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西
西村まさみ#20
○西村まさみ君 ありがとうございます。
 実は、足立委員が一昨日の質問の中でもそれをお尋ねになっていますが、どうも政府の答弁とはちょっと違う感覚なのかなという気持ちがしています、私としても。
 もう一つお尋ねしたいのは、まず石黒参考人にお尋ねしたいんですが、やはり私も患者さんの選択肢を広げるということは非常に大切であるというふうに思っています。しかし、何よりも大事なのは、いわゆる利用する患者さんの保護というものが大事だと思うんです。例えば医師の要請であったり、様々な高度な技術を使うわけですから、その辺について石黒参考人は、患者の保護についてのお考えをもう少し詳しくお聞かせいただけたらと思います。
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石黒直樹#21
○参考人(石黒直樹君) 石黒です。
 患者さんの保護は絶対に必要です。先ほども言いましたように、選択肢が広がるというと、かえって選べなくなってしまって間違った選択がされるということも起こります。
 それにおいて、どうやって患者さんに正しい選択肢を与えるのかということ、これについては、先ほども言いましたように、シグナリングといって、一つのこういう基準でもってこういう病院はこういう制度を持っていますよということを明らかにする。
 一番やっぱり大切なのは、医療者のやはりヒロイズムに走った暴走といったところの問題がありますから、常にそれが病院の中で管理監督されていること、そして患者さんの倫理的な側面が必ず守られていること、そしてこの医療の妥当性が保護されていること、医療機関においてこういったところが全部明らかになるようなこと、こういうシステムを持った病院がまず必要であろうということで、そうなるとかなり大規模な病院、あるいは研究あるいは臨床研究といったところをしっかりやっているところでないとなかなかやれないんではないか、当初は、と思います。ですから、広がっていかないだろうと思います。
 次に、そういう中で、じゃどうやってやるかというと、医師の教育ですね。特にラーニングカーブ、新しい技術については全く経験がないといったこともありますから、海外で経験を積ませてくる、あるいはトレーニングをして経験を積ませてくる、そしてそれを評価して行わせないと危ないです。まして新規の医療ですから、当然、ラーニングカーブ、要するに学ばねばなりません。その学ぶのを広く百か所でやったら、ちっとも学べませんよね、経験数が上がらないから。だから、ある程度の数で絞ってやって、それを徐々に広げていくといったような操作も必要です。
 こういった非常に多段階のステップで保護する必要があると私は申し上げたいと思います。
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西
西村まさみ#22
○西村まさみ君 石黒参考人、続けてちょっとお尋ねしたい。
 今の保護の問題なんですが、今様々な病院の在り方、医師の在り方、お答えいただきましたが、さらに、それをきちっと監督するような外部でのシステムというものも私は必要じゃないかと思うんですが、参考人はどうお考えでしょうか。
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石黒直樹#23
○参考人(石黒直樹君) 全くおっしゃるとおりで、外部監査は絶対必要です。
 外部において、その医療行為の妥当性が、更にその病院を監査しないと僕は全く間違ったことが行われ得ると思いますし、組織の閉鎖性といった問題においてもこの観点は是非とも必要だと思っております。御指摘ありがとうございます。
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西
西村まさみ#24
○西村まさみ君 ありがとうございました。
 それでは、伊藤参考人にお尋ねしたいんですが、これは本当に高度な医療技術、非常にその定義自体も難しいんですが、様々な例えば医療技術を、患者さんが本当にその知識を自分たちで探して、またお医者様から様々なことを教えていただいたとしても、最終判断を患者なりその御家族がするということが果たして本当に、誰もが平等にできるというようなことから考えても、平等に患者さんができるのかということを非常に不安に思うんですが、伊藤参考人はいかがお考えでしょうか。
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伊藤建雄#25
○参考人(伊藤建雄君) そのとおりだと思います。
   〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
 今の医療でさえ、高度な負担を伴う生物製剤の服用を続けなきゃならないような治療については、なかなか家庭の経済を考えてちゅうちょするということはいっぱい起きておりますし、やはり、一つは、詳しく教えていただくにしても、受け止める側の受け止め方、あるいは受け止める能力、あるいはそのときの精神状態とか様々にあるわけですから、なかなか一律にどうだということは言えないと思いますが、多くの方々は冷静には受け止め切れないのではないかというように思っております。
 よく聞かれるんですが、我々が患者さんに聞くんですが、先生に何て言われましたかということを後でお話しすると、ほとんどの人は覚えていないんです。そのとき何言われたんだか分からない、何か頭真っ白でとかという感じです。それと、あとお金の心配でとか、いろんなことを言います。
 そういう状況の中で、通り一遍の説明だけでなくて、何らかの説明をする技術と、そういう権限を持った説明専門の部署といいますか、お困り相談所でない何かをそういう機関では持つ必要があるのではないだろうか、患者と医療機関あるいは医師との間に立つものという。移植の場合なんかは、よく移植コーディネーターとかと言っておりますけれども、ここでもそういうものが必要だというように考えております。
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西
西村まさみ#26
○西村まさみ君 もう私もまさに参考人と同じように、なかなかこれ、国民皆保険制度の下でできる制度としても、広く皆様にお伝えできるのかなという、非常に懸念を持っているところは同じ意見だなと思いました。
 申し訳ありません、石黒参考人にもう一点だけお尋ねしたいんですが、先ほど、対象として広げる中で、非常に、言葉が正しいか分かりません、恩恵を受けることができるのに、小児の難治性の患者さんたちというお話があったと思います。小児の患者さんというのは、私も常にそう思っていまして、まず数が少ないということであるとか、様々ないわゆる実証というのができないと思っています、症例数も少ないし。その辺についてもう少し詳しく、小児の慢性疾患の患者さんたち、小児の患者さんたちにとってどのぐらいこの制度がもし導入されれば広げることができるのかとお考えか、お尋ねしたいと思います。
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石黒直樹#27
○参考人(石黒直樹君) では、実例で説明させていただきますと、小児の内視鏡手術というのがあります。先ほども言いましたように、例えば先天性の胆道閉塞あるいは食道裂孔ヘルニアといったところも内視鏡で今手術をやります。ところが、その内視鏡手術が保険適用がないというところで、もし自費になりますと当該医療行為の全てが外れますから、麻酔料、手術料全部入れて四、五百万の患者負担が発生します。一歳とかゼロ歳の子供を持った若い家族に四百万、五百万の金を払えということはとても私どもは言えませんから、結局、医療機関の負担になります。
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西
西村まさみ#28
○西村まさみ君 これは、大変大きな問題だと思うんですね。私も医療に携わる人間の一人として、目の前でやるべきことを誰かの過度な負担によってやらなければいけないということはそもそも大変大きな問題であると思いますし、今の四、五百万というお金、確かにゼロ歳、一歳のお子さんを持つお若いお父さん、お母さんや、またその御親族だってなかなか負担できるものじゃないと。これはもう国民皆保険制度に本当につながらせて保険収載をさせていく道筋にしていかなければならないと思うんです。
 ただ、今まで三人の参考人の皆様から伺いました、これ様々な問題点とか、やはりこういったところをもう少し明確にしなければいけないといったこと、そして御要望も頂戴した中で、本当にこれを早期に制度として確立されてしまっていいのかなという非常な心配を持っています。
   〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
 三人の方にそれぞれ、今すぐこれができることが必要なのか、必要じゃないのかということをお尋ねしまして、私の質問としたいと思います。
 ありがとうございました。
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中川俊男#29
○参考人(中川俊男君) 今の御質問を聞いていて、この患者申出療養という仕組みについての御理解が不十分だなというふうに思います。
 評価療養の一類型というふうにまず御理解いただきたいということが非常に重要で、患者申出療養というのは、最大の対象患者のグループが、現在行われている先進医療が実施されている医療機関は限られますから、その近辺にお住まいの患者さん以外は受けられないんです。それを主治医が、何々さん、今の普通の保険適用の治療ではもう治りませんよ、しかし今、先進医療として例えば東京の大学病院ではこういうものをやっているからどうだろうと、その有効性、安全性について十分に説明して、理解、納得した上で、形として患者さんから申し出たという形で先進医療を受けたいといって受けることができるようになるかどうか、これが患者申出療養の新しい仕組みの提案なんです。ですから、私は評価療養の新たな類型だと申し上げているんです。
 決して、混合診療の拡大とか、安全性、有効性をないがしろにしてどんどん拡大するという仕組みではないです。これは今後、中医協でもしっかり議論していきますが、是非御理解いただきたいなというふうに思います。
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