法務委員会

2016-04-28 参議院 全192発言

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会議録情報#0
平成二十八年四月二十八日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     柳本 卓治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                西田 昌司君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                矢倉 克夫君
    委 員
                猪口 邦子君
                田中  茂君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                加藤 敏幸君
                真山 勇一君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     岩城 光英君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    河野 太郎君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  田所 嘉徳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       警察庁刑事局長  三浦 正充君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
   参考人
       中央大学法科大
       学院教授     小木曽 綾君
       元北海道警察釧
       路方面本部長   原田 宏二君
       九州大学大学院
       法学研究院教授  豊崎 七絵君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(第百八
 十九回国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件
 )
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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魚住裕一郎#1
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、三木亨君が委員を辞任され、その補欠として柳本卓治君が選任されました。
    ─────────────
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魚住裕一郎#2
○委員長(魚住裕一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に中央大学法科大学院教授小木曽綾君、元北海道警察釧路方面本部長原田宏二君及び九州大学大学院法学研究院教授豊崎七絵さんを参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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魚住裕一郎#3
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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魚住裕一郎#4
○委員長(魚住裕一郎君) 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から御意見を伺います。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、小木曽参考人、原田参考人、豊崎参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。
 それでは、小木曽参考人からお願いいたします。小木曽参考人。
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小木曽綾#5
○参考人(小木曽綾君) おはようございます。中央大学法科大学院で刑事訴訟法を担当しております小木曽と申します。
 本日は、当委員会ではこれまで取調べの録音、録画、それから合意制度、通信傍受等が議論されてきたと承知しておりますので、それ以外の弁護権の拡充、証拠開示、被害者、証人等の保護などについて賛成の立場から意見を申し上げたいと思っております。
 お手元にA4一枚で項目だけ挙げたものを御用意いたしました。その意味では、一番と六番、七番、時間の都合によって八番に触れるということにいたしたいと思います。
 法案が提案する項目は非常に多岐にわたっておりますけれども、それらは適正な捜査や正しい事実認定、国民の期待に応える刑事司法の実現という目的のためにそれぞれ果たす役割があるということ、この法案がそれら多岐にわたる項目をパッケージとして提案しているということの意義についてまず申し上げたいと思います。
 一番目のところであります。
 この法案は、いわゆる氷見事件や志布志事件、厚生労働省の事件などで浮かび上がった、とりわけ被疑者からの不利益供述採取に依存した捜査の在り方を見直すとともに、時代に即した刑事司法制度を構築するという目的で検討が続けられてきた結果まとめられたものであると理解しております。
 法案中、恐らく最も長きにわたって学界でも議論されまして、また社会的な関心も高かったのは、取調べの録音、録画であろうと思われます。しかし、今般の今市の事件以来、むしろ提案されているような録音、録画は正しい事実認定にとっては逆効果なのではないかという見方も増えてきているような印象を持っております。このような見方は以前からありましたけれども、増えてきているような印象を持っております。
 取調べの録音、録画がどのような効果を持つかについては様々な議論のあるところだと思いますけれども、言わば密室で行われる取調べ、その結果として得られる供述の任意性、信用性については、これを検証するすべがないことから、客観的な映像音声を残しておけばよいのではないかというのが元々の発想であったのだろうと思います。映像音声が残ることが分かっていれば、例えば法の禁ずる暴行、脅迫の有無が明らかになるわけですし、その程度に至らなくとも、供述の任意性に影響するのではないかと思われる取調べの様子が事後に検証可能になるからであります。しかし、他方で、事実認定者が被疑者、被告人の不利益供述の様子を見聞きいたしますと、それが供述の任意性に関する証拠であるとしても、被告人の有罪の直接証拠、実質証拠として受け取られるということはあり得るわけであります。
 したがって、その供述がどのようなコンテクストで出てきたのかを判断するには取調べの全過程が再生されなければならないという意見もあるわけですけれども、ある事件で何十時間にも及ぶその取調べの様子を全て公判期日で再生するということは恐らく現実的でないと思いますし、仮に全過程を見たとしても、それによって明らかになるのは取調べの様子や被疑者、被告人の供述態度でありまして、それによって被告人の有罪の証明が十分にされるというわけではありません。
 もし取調べの録音、録画が、任意性の証拠であれ、あるいは実質証拠としてであれ、それが有罪認定の決定的な証拠になるということであるとすれば、これは調書がビデオになっただけで、結局供述に依存した事実認定ということになるのではないかと思います。つまり、録音、録画には事後の検証効果は期待できますけれども、それだけで取調べの適正さが保障されたり、正しい事実認定が実現できるわけではないと考えます。被疑者、被告人の負罪供述以外の証拠を収集するということが大事であると思います。ここに、今回の法案がそれ以外の制度を言わばパッケージで提案している意味があると考えます。
 合意、免責制度、通信傍受の拡充は被疑者の不利益供述に頼らないで証拠を収集する方策でありますし、証人保護や証拠の真正さの確保は正しい事実認定を実現するための方策のそれぞれ言わばパーツとしてそれぞれに意味を持っているということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、弁護権であります。六番目に記載している点であります。弁護人による援助の充実が今申し上げたことにどのような意味を持つのかということを申し上げたいと思います。
 憲法は、その三十四条と三十七条の二項で、弁護人による助力を受ける権利を保障しております。国選弁護権は長きにわたって被告人のみに保障されていたにすぎませんけれども、捜査段階の弁護権の重要性が認識されまして、平成十六年の法改正によって重大事件の被疑者にも保障されることになり、その後平成二十一年にその対象が拡大されて、さらに今般の法案という経緯をたどっております。
 被疑者段階の弁護人は、取調べを受ける被疑者への助言や身柄拘束下にある被疑者と外部との連絡といった被疑者の被る不利益を緩和する極めて重要な役割を担っております。この段階で接見を通じて適切な助力が得られれば、取調べの適正さの確保や正しい事実認定の実現に資するものと考えます。弁護権はぜいたく品ではないというのはアメリカ合衆国の判例の教えでありますが、本来被疑者が受けるべき弁護人による助力が被疑者の資力ゆえに左右されるとすれば、そのような刑事司法制度は公正なものとは言えません。取調べの録音、録画の範囲についての議論がありますけれども、本法案で国選弁護人の範囲が広がるということには重要な意義があると考えます。適正な取調べ、供述の任意性、信用性の確保のためにも、弁護人の役割に期待したいと思います。
 それから、七番目の証拠開示制度の拡充の点であります。
 日本の刑事裁判は当事者主義を採用しているというふうに理解されております。検察官が公訴事実を特定して起訴状に記載し、被告人には訴訟の当事者として検察官の主張に反論する機会、それから手段が保障されて裁判が行われるというのが当事者主義であります。検察官は主張事実の存否という意味での真実解明を当事者の主張、立証に委ねて、裁判所はその言わばレフェリーの役割を務めるという、このような裁判の在り方が取られるわけであります。
 そこで、とりわけ被告人には検察官の主張、立証に反論する機会が与えられなければならないわけですけれども、反論をするには、その主張の根拠を知って、これを吟味して自らの主張を準備することができなければなりません。国側と被告人側の情報収集能力の差は歴然としておりまして、この差を埋めて初めて被告人からの反論が可能になるわけであります。
 これを具体的に可能にするのが公判前整理手続で行われる争点整理とそれに伴う証拠開示でありまして、これは、弁護権や反対尋問権と並んで、公正な刑事裁判を実現する極めて重要な方策であると考えます。一覧表の交付や公判前整理手続の請求権、類型証拠開示の対象拡大によって被告人側の証拠へのアクセスが拡充され、公正な公判手続の実現、正しい事実認定に貢献するということが期待されると思います。
 残りました時間で、証人保護の点についても触れておきたいと思います。
 今回の法案の基本的な関心は、被害者や目撃証人等の不安や負担を軽減して、それらの者からの供述、捜査協力を得やすくするという点にあります。ビデオリンクによる証人尋問は既に用いられているところでありますけれども、これは証人が審理が行われている法廷と同一の裁判所構内にいる場合に限定されておりました。法案は、審理が行われている裁判所とは別の場所にいる証人についてもビデオリンクを用いるということを提案するもので、証人が被告人と同一構内に、例えば出廷するところを見られるということによって証言が困難になったり、あるいはその者の身体等の安全が危惧されるというような想定をされる場合に備えるものであります。
 また、証人の氏名、住居の開示に係る措置も提案されております。証人や被害者の保護につきましては、配慮の対象として、被害者、それから被害者以外の証人、この二者がおりまして、それから配慮の内容としては、それらの者に関する情報を公の法廷で明らかにしないということと、それから被告人に知られないという二つの側面があります。
 この関心から従来の制度を見てみますと、被害者特定事項の秘匿は、公開の法廷でこれを明らかにしないものであるとともに、被害者証人については、検察官がそれが被告人に知られないようにすることを弁護人に求めることができるという制度でありました。被害者以外の証人については、両当事者はその住居、氏名等が被告人を含む関係者に知られないような配慮を相手方に求めることができるけれども、証人特定事項、証人の住所、氏名等については、それを公開の法廷で秘匿する制度はありませんでした。法案はこの従来の配慮を条件とし、さらに、弁護人にも証人情報を知らせないことができる場合を設けた上で、そのような措置の適正さを裁判所が裁定するという仕組みを設けるとともに、公開の法廷での証人の氏名等の秘匿制度を新たに提案しております。
 法案についての一番の争点は、弁護人にも証人の氏名、住居を知らせず、その代わりとなる呼称や連絡先を知る機会を与える代替措置をとるという提案の是非であろうかと思います。これは、例えば組織的な犯罪について犯罪組織の元構成員が証人として出廷する場合に、その者が既に組織から脱退して、そして結婚等によって名字を変更しているというような場合、その現在の名字や住所を被告人側に必ず知らせなければならないとするとその者が加害を受けるおそれがあるということが想定されるわけですけれども、他方で、証人の氏名等が知らされないことによって、例えばその被告人その他の関係者との証人との利害関係を確かめることができなくなってしまうということも考えられるわけであります。
 このように、被告人との間に証言の信用性に影響を及ぼす利害関係が存在する可能性があるものの、証人の氏名等を知ることができないためにそのような利害関係の有無を確かめられないというような場合には、この措置をとることはできないと解されます。また、被告人側は、検察官の措置に不服があるときには裁判所に取消しを求めることができるということとされております。法案は、証人保護の要請と被告人の防御権のバランスを図る工夫をしていると評価できると思います。
 私からは以上でございます。
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魚住裕一郎#6
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 次に、原田参考人にお願いいたします。原田参考人。
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原田宏二#7
○参考人(原田宏二君) おはようございます。北海道から参りました原田といいます。
 私は三十八年ほど警察で仕事をしておりまして、その大半を刑事部門で過ごしました。北海道では殺人事件の捜査本部事件とか、他府県にも出向いたしまして、熊本、山梨県警の捜査二課長として選挙取締りとか役人の汚職事件の捜査をやっておりました。
 そういうことで、私は今日お話しいたしますけれども、決して私はアンチ警察の立場で皆さんにお話しするつもりは全くありません。長い間警察におりまして犯罪捜査という仕事をやっておりましたから、それなりの愛着は持っております。ただ、私が今考えておりますのは、警察に長くいて捜査をした人間として、警察の捜査はやっぱり堂々としてもらいたいと、つまり、法の手続に従って正々堂々とやってほしいと思うんですね。その上で国民の皆さんの信頼を得てほしいと、そういう願いで今日皆さんにお話をいたします。
 本題に入りますと、私は、取調べの問題について言うと、可視化だけで冤罪とか誤認逮捕がなくなるということは多分ないだろうというふうに実は思っております。といいますのは、警察の犯罪捜査には様々な問題がありますので、今日時間内で全てお話しすることはできません。ということで、一部だけお話しさせていただきます。
 北海道におりますと、国会で今何をやっているのかということが、私のようにある程度関心がある人間でも本当に分かりません。せいぜい私なんかはこの刑訴法の改正問題について知識としてあるのは、法務省のホームページを見たということぐらいです。
 そんなことで、実を言いますと、私はもう最初から、議論のスタート、この可視化の問題のスタートというのは、そもそも盛り上がってきたのは志布志事件とか富山の氷見事件とか、ああいう事件をきっかけにわっと盛り上がってきたんだと思っているんですけれども、あの議論辺りは、日弁連の話なんかを聞いていますとやっぱり全面可視化なんですよね。ですから、私はもう多分全面可視化でいくんだろうというふうに強い、何というか、ある程度の先入観みたいのを持っていたわけですね。
 実は私、今年の一月に、これ、本の宣伝じゃないんですけど、「警察捜査の正体」という本を講談社から出したんですよ。その中に、ちょうど原稿を書いた頃にこの問題がわっと盛り上がってきた頃で、いや、やっぱり書かないと駄目だと思って急いで実は書いたんですけど、ところが、間違って書いちゃったんですね。
 何を間違ったかというと、私はまさに、警察の取調べは裁判員裁判事件で逮捕、勾留されている被疑者については基本的に原則として、まあ例外は若干あるにしても、録音、録画すると、こういうことですよね、現在の政府提案の改正案というのは。私はそのほかに、全面可視化なんだからという頭があるので、当然裁判員裁判の対象外の事件の被疑者についても何らかの形、例えば申出があった場合は録音、録画するとか、そういう形。あるいは任意の被疑者、任意の被疑者の取調べで問題がないということは絶対あり得ない。それから、参考人の取調べについてもいろいろ問題があるわけですよ。例えば、目撃者の供述がどんどんどんどん変遷していって言ったことと供述調書の内容が全然違うと、こういうようなこともあり得るので、そういう意味では、私は参考人の取調べも当然録音、録画の対象にするべきだと。ですから、取調べ室以外でやることになるんでしょうから、その人が自前で録音することぐらいは認めたっていいんじゃないかということで、実はこの本に書いたんですよ。
 ところが、実は、よく調べてみるとそれは政府案には載っていなかったんです。ですから、私の本は間違っているんですよ。今日、ようやくそれ確認しました。それは民主党の案だったということですね。この法案が成立したら私は訂正文を書かないといけないというふうに思っていますけれども、それは半分冗談みたいな話で申し訳ないんですけど。
 実は、可視化の場合、いろいろ議論の中で出てくるのは、裁判員裁判が何%だと、こういう話の議論が出てくる。私はあれ絶対違うと。警察で毎年どのぐらいの人間を調べているのと、刑法犯あるいは特別法犯の被疑者として何人ぐらい調べているの、場合によっては任意も含めて、その中でどうなのという話になるべきだと思うんですけど、そうじゃない。それを私、この本の中にも書きましたけど、試算してみると、試算ですよ、〇・三六%ぐらいですよ、裁判員裁判の対象人員というのは。せいぜいそんなものですよ。これよりもっと低い数字を言っている弁護士さんいますよ。さっき言った氷見事件とか鹿児島の志布志事件は対象外ですからね、あれ、明らかに冤罪ですけど、外ですからね。ですから、そういうことで、部分可視化というのは余り意味がないというふうに思います。
 さらに、もうちょっと言うと、私たちの場合、意外に思われるかもしれないですけど、私は捜査幹部としては別件逮捕は基本的にやるべきじゃないと、非常に違法性が強いという意識がありましたよ、私自身。だから、そういう指揮をしていました。
 でも、最近見ていると、随分何か別件逮捕が多いんじゃないかなという気がして、新聞等の報道見ていると。例えば今市事件ですね、栃木の、この間有罪判決になった今市の事件。あれなんて商標法違反で入っていますでしょう、捜査に。そして、最終的には殺しで逮捕していると、こういうことですからね。別件逮捕も、したがって、商標法違反、今市の事件でいうと商標法違反は対象になりませんからね、これ。ですから、ここから外れますよね。
 それとか、もう一つは、いろんな冤罪事件見ていると、大体、私の言い方から言うと、全ての冤罪事件は任意同行から始まる。じゃ、皆さん、任意同行というのは一体全体何だと思われます。刑事訴訟法には書いていませんよ、任意同行なんて言葉。ですから、実際のやり方は、要するに朝早く容疑者の家へ行って、もしもし、ちょっと話聞きたいから来てくれませんかということで、数人の警察官が車に乗せて警察署へ連れてくるんです。行き先は取調べ室ですよ。もちろん逮捕状持っていませんよね、逮捕していません。じゃ、任意ですよね。録画できるんですか、この部分から、本当に。そういう部分あるじゃないですか。
 そうすると、その後そこで、私から言わせるとたたき割りというんですけど物すごい取調べが行われる、そこで自供する、逮捕状を取る、執行する、こういうことですね。その次の取調べ辺りからは、それは裁判員裁判であれば取調べ室の録画が始まると、こういうことになりませんかね。そういう事態をどうやって防ぎますかね、これはということですね。
 それで、警察には現在も、お読みになった方いらっしゃるかと思うんですけど、取調べの適正に関する規則というのがありますよ、国家公安委規則で。それは、要するに特定の取調べの行為、例えばちょっと読ませていただきますと、やむを得ない場合を除き、身体に接触すること、直接又は間接的に有形力を行使すること、殊更に不安を覚えさせ、又は困惑させるような言動をすること、これを取調べに、監督行為として取調べ官がやることを禁止しているんですよ。いいですか、禁止しているということは、こういうことがある意味では行われるんだということを警察が認めているということです。これ、生きていますからね、この規則は。
 要するに、警察内部でさえ信用していないということになりませんか。ある幹部が、取調べ監督官という役職をつくって、それが、取調べ官が取調べ室で取調べをしているのをのぞき窓から見て監視するというようなことでしょう。物理的にもできませんよ、そんなことは。取調べ監督官なんて数人しかいないでしょう。それを、毎日警察署でやっている取調べの内容をチェックできると思うこと自体がおかしいですよ、それは。こんなもの何の実効性もない、こんな規則は。ですから、そういうことが行われる、こういうことですね。
 それから、時間もありませんからあれですけれども、司法取引や刑事免責の問題ですね。これも私は非常に危ないなと思っています。
 過去にももう現にこれは取調べ官が取調べ室の中で司法取引やっているわけですから、便宜供与みたいなこととか、あるいはそのほかの利害誘導的な、取調べの中でそういう司法取引的な取調べをやっているわけですよ、これまでも。
 私の司法取引の典型的な問題の例を皆さんにお話ししたいと思っているんですけど、それは私が北海道警察の防犯部長のときに、平成の刀狩りと私は言っているんですけど、拳銃摘発キャンペーンがあったんですよ。全国の警察が一斉に拳銃摘発を始めました。国松長官が撃たれたのは平成七年ですから、そのちょっと前から始まっているんですね。そのときに、平成五年に銃刀法を改正しまして、やくざが拳銃と実包を持って出頭してきたときはその刑を免除するという規定を作ったんですよ、平成五年に。これを現場は悪用しました。
 どういうことを悪用したかというと、やくざと取引して、おまえ拳銃出せと、警察ではチャカと言います、チャカ出せと。それで、ふだんいろいろエスとして、スパイ、協力者として使っているやくざに働きかけて出させるわけですね。例えば、駅のコインロッカー入れておけと、それで電話せえと、入れたら。それで、電話が来たらそれでもってガサ状取ってコインロッカー、ガサして差し押さえると、こういうこと、これはね。それで、警察はこれ誰が入れたかというのは分かっているわけですから、はっきり。だから、不法所持の被疑者は分かっているわけですよ。だけれども、そこは検挙しない、それで拳銃だけを押収する。これを首なし拳銃というんです。
 首なし拳銃の押収が物すごい数になったんです、これ。これは結局、最近はそれほどでも、もう拳銃押収数というのは物すごく当時から、国松さんが撃たれたときの本当に何分の一かしか今はもう摘発できていませんでしょう。そういうことで、それはもうある意味での司法取引なんですよ。
 ですから、私は、確かに今度の刑訴法上の司法取引の中に直に警察は出てきませんよ、直にはね。検察がいろいろ証拠提出に、警察に協力される云々ということはあるので間接的なあれだと思うんですけれども、検事と弁護人との間でやられるというわけでしょう。
 でも、今の御説明した首なし拳銃と同じで、こういう規定ができたら警察の現場はどんどんこれを使いますよ、知らないところで。そうなります。それ、弁護士さんチェックできますか。検事チェックできますか。この首なしのときはできていないですよ、そんなことは。そういうふうになったらどうするんでしょうかね。そのことは何も書いていない。
 時間もありませんけれども、通信傍受についても、私はこれ、本気でこんなことをやる気になっているのと思いましたよ。
 それは、例えば何点か申しますと、警視以上が令状請求するとなっているでしょう。逮捕状の請求は警部以上なんですよ。この傍受令状は警視以上になっている。皆さん、覚えていますか。昭和二十八年に刑訴法改正があったんです。このときに、それは誤認逮捕とか違法逮捕がどんどんあったので国会で問題になった。そのときに出てきたのが何かというと、逮捕状の請求は警察にやらせない、検事の許可制にするという話が出てきたんですよ。それで、これは問題だということになって、最終的には結論は、法の方は警部以上の警察官が請求するという規定に変えたんです。昭和二十八年ですよ。
 でも、皆さん、誤認逮捕とか冤罪事件、その後幾つもあるじゃないですか。階級が上の者になったから公正な請求が行われるなんてこと、これ幻想ですよ、それは。そういう組織じゃないんです、警察というのは。だから、私は、傍受令状を警視以上に上げ、警部じゃなくて、本当にナンセンスなことだなということだと思います。
 そのほか、これ皆さん方から文章、よかったら教えてほしいぐらいですけど、何か今度、傍受を警察施設で、しかも立会人なしでオーケーだということになるんだそうですね。それで、新聞報道見ていたら、何か捜査に関係のない警察官が立ち会うというようなことで、話合いをしてそういうふうになったと。私はいろいろな条文チェックしてみたけど、そんなことどこにも出ていない。だから、単なる話合いだけなんでしょうかね、これ。
 それ、本当大丈夫ですか、そんなことで。警察の内部というのを知っていたら、警察官は組織の中で仕事をやっているわけですから、通信傍受の公正性を、ある警察官がほかの部署でやっている捜査についてチェックなんてできませんよ、それは。
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魚住裕一郎#8
○委員長(魚住裕一郎君) 参考人に申し上げます。
 時間が超過しておりますので、手短に御発言をおまとめください。
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原田宏二#9
○参考人(原田宏二君) はい、分かりました。
 それじゃ、そういうことで、私はそのほかにもたくさん警察の捜査に問題があると思います。今日はもう時間がないのでお話しできませんけれども、そういうことです。その辺を十分御審議をいただいてお考えいただきたいと思います。
 どうも長い間ありがとうございました。
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魚住裕一郎#10
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 次に、豊崎参考人にお願いいたします。豊崎参考人。
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豊崎七絵#11
○参考人(豊崎七絵君) 九州大学の豊崎です。
 私は、刑事訴訟法を研究してきた者として、また、この度の法案に至る動きについて大きな関心を持ってきた者として、本法案について反対の意見であるということ並びにその理由につきまして率直に申し上げたいと存じます。
 結論から申し上げますと、私は、この法案によって取調べやその成果としての供述調書に依存した捜査、公判が改まるということはないし、人権侵害と冤罪の防止が図られるものでもない、その上、合意制度などによる冤罪の危険や盗聴拡大による人権侵害の危険が大きいと考えております。
 日本の刑事手続が取調べを中核的なものとして機能してきたということ、つまり取調べ中心主義だという現実についておよそ異論はないと存じます。この度の法改正は、この刑事手続の中核たる取調べ、そしてその成果としての供述調書に依存した捜査、公判の在り方を見直すということで行われるはずのものですから、まずはその前提作業として、このような取調べ中心主義をもたらしてきた原因は何か、究明しなければならないはずです。法制審議会特別部会の審議あるいはその後の国会の審議において、日本においてなぜこれほどまでに取調べが刑事手続において占めるウエートが大きいのかという立法事実に関する基本的な問題について十分な時間を掛け真摯に議論してきたのだろうか、私は大きな疑問を持っております。
 日本においてなぜ取調べ中心主義になっているかといえば、それは、取調べのやり方全般が捜査機関の裁量に大きく委ねられているのはもちろん、特に被疑者取調べについては、捜査機関は被疑者が身体拘束されている状態を流用して糾問的な取調べを行うことができるからであります。その根幹的な制度ないし捜査実務は、ほとんどの被疑者が警察の留置施設に収容されているという現状をもたらす代用監獄制度、代用刑事施設制度であり、取調べ受忍義務を前提とした取調べ実務であります。さらに、最大二十三日間にも及ぶ身体拘束期間が取調べを始め捜査のためにフル活用されていること、起訴前保釈制度が欠如していること、被疑者取調べへの弁護人の立会いが捜査実務上認められていないことなどなども取調べ中心主義を支えてきた構成要素です。
 このような取調べ中心主義は、被疑者を取調べの客体とし、黙秘権や弁護人の実効的な援助を受ける権利などを十分に保障されていない点でそれ自体問題があるばかりか、被疑者に大きな精神的、肉体的ダメージを与えることにより、虚偽の自白、ひいては冤罪を生み出します。
 ここで改めて御確認いただきたいと切実に思いますのは、取調べで明らかな暴行なり脅迫なりが行われたり冤罪であることが氷山の一角として辛うじて幸いにも発覚したりした、そういう事件の、かつ表面だけを見て、日本の刑事手続においてはごく一部の例外的な病理があって、それを解決すれば足りる、そのような考え方でこの法改正に臨むべきではないということであります。
 被疑者が最大二十三日間も警察の留置施設で処遇されていること自体、あるいは弁護人の立会いも取調べ拒否も許されず、取調べ官の見込みに合わない被疑者の言い分は全く取り合われず延々と取り調べられていること自体人権侵害であるということが改めて確認されるべきであるところ、法案がその問題にいささかも改革のメスを入れていないというのは、私にとっては本当に驚くべきことです。
 逮捕、勾留中の被疑者は、警察の留置施設においてはその日常生活を四六時中支配されることで心理的圧力を受けるのはもちろん、取調べ官によって随意の追及にさらされ続けることで更に心理的圧力を加えられているのです。そのような身体拘束や取調べの現状は、黙秘権、そしてその基礎にある人間の尊厳をないがしろにしているのではないでしょうか。
 取調べだけを可視化しても、このような人権侵害の構造や、この人権侵害の構造を発生源とする冤罪の防止を図ることはできません。そもそも、可視化というのは取り調べることを前提に行われるわけですから、これによって取調べ中心主義が直接的に改革されるという筋合いのものではありません。実際、法案の例外事由も、取調べによる供述獲得機能、より率直に言えば自白獲得機能は維持するという理由で設けられているわけです。ここには、取調べにおいてこそ真実を追求することができるという考え方があるように見えます。
 しかし、そもそも、近代刑事司法の原則である公判中心主義を前提としたとき、取調べの真相解明機能や刑事政策機能なるものを肯定的、積極的に評価し得るのでしょうか。また、真相解明機能といっても、実際には取調べ官の有罪仮説に沿った供述調書獲得機能と言わざるを得ず、真の意味での事実解明が果たされているとは言えないのではないでしょうか。そうであるからこそ、冤罪は生み出されてきたわけです。
 なるほど、それでも、可視化によって取調べの密室化が解消された分、誰が見てもひどい取調べは減り、取調べの適正化が進むように思われるかもしれません。しかし、被疑者が被っている精神的、肉体的ダメージが全て映像や音声として記録されたり簡単に見抜けたりするわけではありません。留置施設での身体拘束や弁護人の取調べでの不在などが被疑者に与えるダメージに思い至らないまま被疑者による自白場面の録音、録画を漫然と視聴し自白の任意性を判断することは、かえって誤りの危険があります。
 私は、いわゆる取調べの全面可視化が果たされたとしても、それだけでは今申し上げたような危険があると考えるものであります。つまり、およそ捜査機関は、捜査の秘密というものを重視する、そこでの裁量的なやり方というものを重視する、そういうカルチャーを持つ組織である限り、単に可視化が広がっていくだけではかえって問題は潜伏化すらしていく、そういう危険があるということです。
 先日の今市市事件の裁判員裁判との関係でも御指摘があったと思いますが、取調べの部分可視化が果たされれば、可視化がされていない取調べの問題が見えなくなり、そこでたとえ人権侵害や不当な扱いがあったとしても見過ごされがちです。そして、取調べの全過程の可視化が果たされたとしても、今度は取調べ以外のところの問題、例えば留置施設での人権侵害や不当な扱いが見過ごされることになります。いや、たとえ可視化がなされたところでも、被疑者の置かれた苦しい状況に対する洞察力が働かなければ問題は見過ごされることになります。
 例えば、取調べが弁護人に、立ち会っていないという事実は、現に見ているというのに、それが被疑者にどれほどのダメージを与えるかという問題は見過ごしているといった危険です。この点、先日の大澤裕参考人は、全てをカバーする録音、録画はあり得ないので、録音、録画というのは非常に有力な手段ではあるが、一つの手段である。つまり、私自身の言葉で言い換えれば、要は万能ではないという趣旨のことをおっしゃっておられました。
 しかし、これが、可視化に際限はないから一定のところで打ち切るほかなく、あとは刑事弁護などの運用に問題を投げようというのであれば賛同できません。必要なのは、可視化の範囲は広げつつも、しかし、根本的には、捜査機関の裁量的やり方そのものを直接抑制することによって究極的には可視化自体が不要になることを目指すというような、そういう抜本的な法改正であると考えます。
 例えば、留置施設での人権侵害や不当な扱いができない、およそそんなことは問題として発生しないよう代用監獄制度を廃止するということではないでしょうか。また、録音、録画を視聴するだけでは被疑者の被っている精神的、身体的ダメージが気付かれにくいという問題に対しては、そのようなダメージ自体を解消する法改正が必要であると思います。例えば、長期拘禁で被疑者が参ってしまうという問題がおよそ発生しないよう、起訴前保釈を導入すべきではないでしょうか。
 繰り返しますが、捜査機関は、捜査の秘密というものを重視する、そこでの裁量的なやり方というものを重視する、そういうカルチャーを持っておりますところ、これに対する不信というものが今回の法改正の動きに至る動機であったはずです。そうであるならば、なぜそのようなカルチャーがますます活用されてしまうような合意制度や通信傍受の拡大といったものが法案に入り込んでいるのか、私には理解できません。
 例えば、合意制度について言えば、それ自体引込みの冤罪の危険があるばかりか、日本の遅れた刑事手続の問題と結び付くことによって見えない圧力が被疑者に掛けられるという問題が懸念されます。可視化されていない取調べでの圧力の問題もさることながら、代用監獄に収容された被疑者の場合、警察は事実上の便宜を図ることもできます。
 また、証拠収集手段が多様化したからといって、捜査機関がその分取調べをあえて差し控えるようになるような誘因は何も用意されておりません。かえって、例えば傍受した会話を取調べで自白を取るために使うなど、取調べもほかの証拠収集手段も相乗的に活用するという問題も懸念されます。
 あるべき法改正は、公判中心主義にかなう刑事手続に向けた抜本的な改革であり、端的に捜査、取調べを抑制することであります。捜査、取調べの可視化は、この抜本的な改革と併せて行うべきであります。私は、法案の問題点をこの度検討することによって、かえって今までよりも一層このことに確信を持ち、それが道理であると考えるに至りましたので、御批判の向きがあるということも承知で、しかし研究者としての良心に懸けて本日の機会に申し上げることにいたしました。
 それでは刑事司法の機能を大きく損なうという御懸念に対しては、そういう機能の内容自体問題があるということ、少なくともアプリオリに前提とされるものでないということは既に申し上げました。
 以上、法案に反対であるということの理由について述べさせていただきました。
 御清聴ありがとうございました。
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魚住裕一郎#12
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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三宅伸吾#13
○三宅伸吾君 自由民主党の三宅伸吾でございます。
 本日は、三人の参考人の方、本当にすばらしいお話をいただきましてありがとうございました。
 まず、小木曽参考人にお聞きしたいと思います。
 二人の、豊崎様、原田様がお話しされているときにとても一生懸命メモを取られていらっしゃったんですけれども、お聞きになられて何か反論がおありになってメモを取られていたんですか。
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小木曽綾#14
○参考人(小木曽綾君) ポイントポイント、どういう点についてこの法案に問題があるという御主張であるかという点についてメモを取っておりました。反論がというか、今多岐にわたっていろいろ出ましたので、それぞれについて何か意見があるかとおっしゃられれば、それなりに意見は持っております。
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三宅伸吾#15
○三宅伸吾君 是非、一番反論したいと思われてメモを取ったところをお知らせいただけますか。
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小木曽綾#16
○参考人(小木曽綾君) まず、原田参考人がおっしゃったこと、警察が正々堂々とするべきである、全く同感でございます。
 ただ、個々の問題につきましては、例えば可視化とは何かという問題が恐らくありまして、例えば参考人であるとか任意取調べの段階も録画するべきであるということになりますと、これは捜査に携わったことのない私が警察官であった方に申し上げるのはなんですが、捜査、取調べの中には様々な人が関係し、様々な情報が寄せられるのだろうと思います。その中には、これはちょっと申し上げにくいんだけれども、しかし事件の解決のためであれば申し上げますというようなこともあるだろうと思うわけでありまして、そのような情報を、じゃ、録画するからというふうに言ったときにその情報の集め方がどうなるのであろうかということを思います。
 また、任意同行がなかなか危険であるというのは私もそう思います。任意同行と言いながら実は事実上の逮捕に至っているというような事案も確かに判例に挙がっているわけであります。裁判所は、例えば朝、任意同行を掛けて、取調べをずっと夜まで続けてというような事案で、任意同行であれば、普通は夕方七時頃になればうちに帰りたいはずであるのに、取り調べられている本人の意向を確認しないで取調べを継続したような場合には実質的な逮捕とみなすというような判断をしたものもありまして、それについては実務的にも厳しい目が向けられているのだろうと思います。
 それから、令状の審査がほとんど機能していないというような御指摘でありますけれども、元々、令状請求のための疎明資料の収集が既に相当な抑制効果を持っていると思います。逮捕を例に取って申しますと、確かに令状の発付率は高いと思いますけれども、日本の逮捕は十分な証拠が集まってからでないと逮捕に着手しないということがありますので、勢い令状の発付率は高くなるということであろうと思います。もちろん誤認逮捕のおそれがないということを言っているわけではありませんけれども、それは逮捕されるべきでない者が頻繁に逮捕されているということを示すものではないだろうと思います。
 あと、通信傍受などにつきましても、これは平成十一年でしたか、長い議論の末に制度化されたものであります。当時、一番初めにそのような法律ができるときにも、そのような法律ができると市民生活の自由が全て国家に知られてしまう、我々のプライバシーはなくなってしまうんだというような議論がありましたけれども、現在、少なくとも私が日常使っているメールとか携帯電話の通信が何の理由もなく聞かれているというような不安を持って生活してはおりませんので、要するに、警察には時代に応じて犯罪に対処するための手段が与えられなければならないと思いますけれども、もちろんそれが濫用されないという保証がないわけですから、それに備えるための仕組みを用意して法案にするということになるわけで、現在の法案が全くその機能を果たしていない、あるいはそれが期待できないというような内容になっているというふうに私は思いません。
 以上です。
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三宅伸吾#17
○三宅伸吾君 原田参考人にお聞きしたいと思います。
 先ほど、別件逮捕は良くないと警察の幹部のときに思っていらっしゃったという御発言がございました。御本を引用したところを読んでおりますと、警察が公表している検挙率は余罪で支えられている、つまり、逮捕した被疑者を勾留中に取り調べて余罪をたたき出すことで何とか三〇%前後の検挙率を維持していると、警察の検挙活動がいかに余罪のたたき出しに依存しているかが分かるという記述がございます。このところは間違っていないわけですね。
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原田宏二#18
○参考人(原田宏二君) 私は少なくとも体験上もそうですし、統計をチェックしてみるとそういうふうになっていますね。警察庁なんかもそういう考えで、余罪の割り出しがどんどん低下しているということに非常に苦慮しているようですね、白書なんか読みますとね。そういうことだと思います。
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三宅伸吾#19
○三宅伸吾君 他の県警に出向されたときに選挙違反事件の捜査も担当されたとおっしゃいました。
 有名な鹿児島の志布志市公職選挙法違反事件、冤罪だったわけでございますけれども、ああいう事件がなくなるようにするのが一つの刑事訴訟法の改革の狙いだと思うんですけれども、そもそも選挙違反事件は裁判員対象事件でもございませんし、可視化義務付けの対象ではありません、任意の録音というのはあるかもしれませんけれども。この鹿児島の志布志市事件と同じような事件が今後起こらないようにするためにはどういうふうに法律を変えればいいのか。今議論になっております刑事訴訟法だけでは多分、この改正案では不十分だという御主張かもしれませんけれども、ちょっとその辺りのところをお聞かせいただけますか。
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原田宏二#20
○参考人(原田宏二君) お答えになるかどうか分かりませんけど、私は二課長を二か所でやったわけですけど、今思うと、本当に思うのは、皆さん方、皆、選挙で国会へ当選されて来られているわけですけど、全国的な規模で行われる選挙のときに警察は何をやるかということです、まず。
 全国の警察は取締り本部というのをつくりますよね。それで、あの取締り本部は何かというと、例えば警察庁ですと、組織を挙げて選挙違反の情報を集めてやるんですよ。私も警察署長をやっていましたから分かりますけど、もうほかの業務を放り投げてやるんです、人を集めてですね。だから、全国でそういうことをやるんですよ。
 それで、そういうことが、本当に皆さん方は何も感じないでしょうか。要するに、そういうこと堂々と新聞に出ますよね、警察庁の指示で全国の警察が取締り本部をつくって選挙違反の取締りを始めたと。それで、私は、最近読んでいるとよくありますよね、何というか、紛争国に国連辺りが選挙監視団というのを派遣しますよね、あれとどこか似ていませんかと思うんです。基本的に、一次的には選挙というのは、選挙管理委員会が各地にありますよね、私は基本的にもっと選挙管理委員会が前面に出てやるべきだと、その中で警察がやるべきことというのをちゃんとすみ分けをして、余り最初から何かあたかも全国で選挙違反ががんがん行われているんだというような感じでやるのは、一つはいかがなものかというふうに思います。
 それと、もう一つは、私は捜査二課長をやっていたんですけど、一番分かりにくいのは公選法ですよ。本当分からない。本当に長い間取締りをやっていた警察官が、生き字引みたいな人がいると分かるんです。だけれども、一年や二年やったり、その選挙のときにやったって、もうしょっちゅう変わっているし、いろいろ、例えば皆さんだとお分かりだと思うけど、政治運動と選挙運動と後援会活動をなかなか区別できないですよ、これ、はっきり言って。それから戸別訪問は駄目でしょう。それから運動員の報酬についても何かいい人と悪い人がいたりして、もう非常に複雑だ。だから、私は公職選挙法というのは、悪いけど、ざる法だと思いますよ。やる方だって本当は迷惑ですよ、本当に正直言って。そういう感じは持っています。だから、公選法を変えないと駄目なんです。
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三宅伸吾#21
○三宅伸吾君 小木曽参考人にちょっともう一問だけお聞きしたいんですけれども、今回、協議・合意制度というのが制度化をされるわけでございます。
 それにつきまして二点お聞きしたいんですけれども、公然の秘密として事実上の司法取引がなされてきているというのがあるかと思います。これまでなされてきた事実上の司法取引の適法性についてどのように考えていらっしゃるのかというのが一点と、もう一点は、この刑事訴訟法等改正案が成立した場合に、この協議・合意制度外の事実上のいわゆる司法取引の適法性がどのように変わるのか、同じであれば同じというお答えで結構なんですけれども、その二点をお知らせいただけますか。
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小木曽綾#22
○参考人(小木曽綾君) 若干長くなってもよろしいですか。
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魚住裕一郎#23
○委員長(魚住裕一郎君) いや、時間も。簡潔に。
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小木曽綾#24
○参考人(小木曽綾君) 短めですか、はい。
 従来の取引というのは、刑事訴訟法の二百四十八条に訴追裁量権が検察官に与えられているわけであります。取引というふうに言いますと、本来処罰されるべきものが処罰されなくなるのではないかといったような懸念があると思いますけれども、現行法自体がおよそあらゆる罪が訴追されなければならないという前提を取っておりませんで、情状や犯罪後の情況によって訴追をしない場合を認めているというわけですから、従前、事実上司法取引が行われていたとすればその条文が根拠になると思いますし、今回の合意制度も理論的にはこれが根拠になるということで、従前と理論的な変化はないというふうに考えます。
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三宅伸吾#25
○三宅伸吾君 ありがとうございます。
 最後、豊崎参考人にお聞きしたいと思います。
 るる現在の取調べの現場の弊害につきまして御説明がございました。私は人質司法という言葉をこの委員会で使ったことがあるんですけれども、豊崎参考人は人質司法という表現はお使いになりませんでした。アカデミズムの世界にいらっしゃるので使わなかったのかもしれませんけれども、何か特別のそういう言葉を使わなかった意味がもしあるのであれば教えていただきたいのが一点。
 もう一点は、公判中心主義に向けた抜本改革が必要だとおっしゃられて、代用監獄とか長期拘禁の起訴前保釈でございますか、そういうこともその抜本改革の一つなのかもしれませんけれども、言い足りなかったところがあれば、公判中心主義に向けた抜本改革をもう少し敷衍していただけますか。
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魚住裕一郎#26
○委員長(魚住裕一郎君) 豊崎参考人、簡潔にお願いいたします。
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豊崎七絵#27
○参考人(豊崎七絵君) はい。
 まず、人質司法という言葉を使わなかったのは特に何か意味があるわけではなくて、しかし、その中身を具体的にお話をして問題意識の共有を図りたいという意味であえてその言葉を使わなかっただけで、その言葉に対しては、私は、特にそういう形で日本の刑事手続を批判していらっしゃる方々にむしろ近い見方を取っているのではないかと思います。
 それから、抜本的な改革の中身ですけれども、それは、先ほど申し上げたことの繰り返しで言えば、身体拘束に関わるような代用監獄の廃止とか起訴前保釈の導入とか、そういったものがあるわけですけれども、それに対して、では刑事手続における事実の解明というのは、まさにそこで捜査が抑制されることになればどうなるのかという恐らく御批判はあると思うわけですが、それはまさに公判中心主義、裁判で客観的な証拠を基礎に公判での証言、被告人の供述によって解明するということが基本となるべきで、そこには証拠法によって供述調書が公判に流れ込まないという仕組みを、裁判員裁判の下である程度事実上実現しているということもありますが、しかし、そういうものではなくて、やはりそれは法改正として制度的に確実なものにするべきではないか、そういう証拠法の改革ということも併せて申し上げたいと思います。
 以上です。
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三宅伸吾#28
○三宅伸吾君 終わります。
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真山勇一#29
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。よろしくお願いいたします。
 三人の参考人の方、ありがとうございました。
 この刑事訴訟法改正案の抱える様々な問題点、広くいろいろ指摘をしていただいたわけですけれども、私は、今回のこの改正案というのは、やっぱり一歩前進であるという評価ももちろんあります。しかし、そうはいっても、これだけいろいろと審議をしてきてもまだまだ問題点は残されたままだというふうに思いますし、私自身納得がどうしてもできないことがあります。
 いっぱい問題点あるんですが、絞ってちょっと三人の方にそれぞれお伺いしていきたいというふうに思っております。二点伺いたいと思っているんです。一つは録音、録画のことについて、もう一点が通信傍受についてです。
 分かりやすく話をしたいと思うんですが、先ほどの中でもお話が出てきております今市の事件。私は本当に、この録音、録画、可視化でこれはいい例になったというふうに思っているんですね。やっぱり問題点、私は基本的に録音、録画を進めるべきだというふうな考え方なんですが、その逆に、小木曽参考人もおっしゃっていたように、逆効果の件も出てきたのじゃないかというふうにおっしゃっていました。ビデオが直接証拠として受け取られたり、それから、何時間録画したとしても、全過程撮ったんだからといったって、本当にそれが、じゃ、有罪の証拠になるのかどうかとか、それから今回の事件の場合は、初めて自供というか自白をしたのが別件逮捕のところで自供しているので、その肝腎な初めて自供したところがないということが私はこれは問題だというふうに思うんです。
 この点についてお伺いしたいんですけれども、実は私はメディアの仕事をしてテレビの世界にいましたから、インタビューということをたくさんやりました。もちろん、心理学の専門家でもないし、そういう面からでテレビのインタビューという形なんですが、インタビューを撮るときどういうことを考えるか。当然、VIPとか話題の人を呼んで聞くんですから、聞かなくちゃいけないことが決まっているわけです。これをどうしても聞きたいということがあるわけですね。聞きたくない人は呼びません。聞きたいことがあるから呼ぶんです。その聞きたいことをどうやって聞き出すかということが大事だと思うんですね。
 やり方が二つあります。一つは、事前に打合せをして、こちらが聞きたいことを相手に理解をしてもらってインタビューを始めるというやり方。効率がいいかもしれませんね、思ったとおりの答えが出るかもしれません。でも、何か生き生きとした新鮮さというか、臨場感がなくなってしまうということがあります。
 ですから、私は、できればインタビューというのをやるときはぶっつけ本番がいいと思います。なぜか。それは、初めてその人が焦点のことを、こんなことを聞かれるのかな、こんなことを聞かれると嫌だなと思っていることもあります、それを直接聞いたときにその人がどう答えるか。本当のことを答えるのか、あるいはいろいろと言い訳をしたり遠回しな言い方になるのか、やはりそのときが勝負だというふうに思っているんです。
 インタビューというのは、何回撮り直しても、結果的に見るとやっぱり、ううん、いろいろちょっと問題点はあるけど、でも一番最初に撮ったインタビュー、これが一番生き生きしていいなということで放送に使うことって多いんですね。これはもちろん例え話ですから、これがそのまま取調べに通用するとは私は思っていません。ですけれども、人から物を聞き出すということの一つのこれは大事な点じゃないかというふうに思っています。
 ですから、今回、別件逮捕で、しかもこの今市の事件は、問題は、検察自身が容疑認めてからは全て録音、録画されている、容疑認めてから。認めたところがなくては私はいけないと思っています。そして、判決では、恫喝とか暴行などなかったと認められる。そうですよ、だって自白した後しかないんだから。もう自白すれば、別に暴行とか恫喝する必要ないんじゃないかなという私は気がします。
 それからもう一つ大事なこと。裁判員、こうおっしゃっています。映像には文面だけでは伝わらない情報がたくさんあった。証拠よりも映像の方がインパクト強いんです。私は、ビデオの世界で、テレビの世界で、ニュースを作っていると、いろいろ書いた原稿よりも映像がどれだけ強いかということはよく知っています。それから別な裁判員。録音、録画がなければ今回の判決はなかった。録音、録画であった映像を基に裁判員がかなり心理的に影響されて判決を出したということがあるんですが。
 こういうことで、私がお三方にお伺いしたいのは、私はやっぱり、ですから初めて自白をしたところがなければ録音、録画の意味がないんではないかと思うんですが、そこの点をどういうふうにお考えか、お三方に順番に聞いていただきたいと思います。
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