資源エネルギーに関する調査会
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会
会議録情報#0
令和四年四月六日(水曜日)
午後三時十五分開会
─────────────
委員の異動
四月五日
辞任 補欠選任
塩村あやか君 古賀 之士君
舟山 康江君 浜野 喜史君
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出席者は左のとおり。
会 長 宮沢 洋一君
理 事
こやり隆史君
宮島 喜文君
野田 国義君
塩田 博昭君
田村 まみ君
音喜多 駿君
山添 拓君
委 員
阿達 雅志君
佐藤 啓君
自見はなこ君
高野光二郎君
高橋はるみ君
藤木 眞也君
三浦 靖君
宮崎 雅夫君
岸 真紀子君
古賀 之士君
森屋 隆君
河野 義博君
杉 久武君
浜野 喜史君
梅村 聡君
市田 忠義君
事務局側
第三特別調査室
長 海野耕太郎君
参考人
一般財団法人日
本エネルギー経
済研究所専務理
事・首席研究員 小山 堅君
公益財団法人笹
川平和財団主任
研究員 畔蒜 泰助君
立教大学経済学
部教授 蓮見 雄君
─────────────
本日の会議に付した案件
○原子力等エネルギー・資源に関する調査
(「資源エネルギーの安定供給」のうち、資源
エネルギーの持続可能性(ウクライナ侵略の我
が国エネルギー環境・政策に与える影響))
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この発言だけを見る →午後三時十五分開会
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委員の異動
四月五日
辞任 補欠選任
塩村あやか君 古賀 之士君
舟山 康江君 浜野 喜史君
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出席者は左のとおり。
会 長 宮沢 洋一君
理 事
こやり隆史君
宮島 喜文君
野田 国義君
塩田 博昭君
田村 まみ君
音喜多 駿君
山添 拓君
委 員
阿達 雅志君
佐藤 啓君
自見はなこ君
高野光二郎君
高橋はるみ君
藤木 眞也君
三浦 靖君
宮崎 雅夫君
岸 真紀子君
古賀 之士君
森屋 隆君
河野 義博君
杉 久武君
浜野 喜史君
梅村 聡君
市田 忠義君
事務局側
第三特別調査室
長 海野耕太郎君
参考人
一般財団法人日
本エネルギー経
済研究所専務理
事・首席研究員 小山 堅君
公益財団法人笹
川平和財団主任
研究員 畔蒜 泰助君
立教大学経済学
部教授 蓮見 雄君
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本日の会議に付した案件
○原子力等エネルギー・資源に関する調査
(「資源エネルギーの安定供給」のうち、資源
エネルギーの持続可能性(ウクライナ侵略の我
が国エネルギー環境・政策に与える影響))
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宮
宮沢洋一#1
○会長(宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、舟山康江君及び塩村あやか君が委員を辞任され、その補欠として浜野喜史君及び古賀之士君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日、舟山康江君及び塩村あやか君が委員を辞任され、その補欠として浜野喜史君及び古賀之士君が選任されました。
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宮
宮沢洋一#2
○会長(宮沢洋一君) 原子力等エネルギー・資源に関する調査を議題といたします。
本日は、「資源エネルギーの安定供給」のうち、「資源エネルギーの持続可能性」に関し、「ウクライナ侵略の我が国エネルギー環境・政策に与える影響」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、一般財団法人日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員小山堅君、公益財団法人笹川平和財団主任研究員畔蒜泰助君及び立教大学経済学部教授蓮見雄君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、小山参考人、畔蒜参考人、蓮見参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず小山参考人からお願いいたします。小山参考人。
この発言だけを見る →本日は、「資源エネルギーの安定供給」のうち、「資源エネルギーの持続可能性」に関し、「ウクライナ侵略の我が国エネルギー環境・政策に与える影響」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、一般財団法人日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員小山堅君、公益財団法人笹川平和財団主任研究員畔蒜泰助君及び立教大学経済学部教授蓮見雄君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、小山参考人、畔蒜参考人、蓮見参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず小山参考人からお願いいたします。小山参考人。
小
小山堅#3
○参考人(小山堅君) ありがとうございます。
御紹介いただきました、日本エネルギー経済研究所の小山でございます。
それでは、これから二十分ほどお時間をいただいて、ウクライナ危機とエネルギーの問題についてお話をさせていただきます。(資料映写)
まず、ウクライナ危機が起きてから、我々はエネルギー価格の高騰とエネルギー市場の不安定化に直面しておりますが、実は、皆様方も御記憶のとおり、今般のエネルギー市場の不安定化はウクライナ危機が本格的に深刻になる前から実は始まっていたという点を最初に申し上げたいと思っております。
昨年の後半以降、原油も、ヨーロッパの天然ガスの価格も、アジアのLNGのスポット価格も、そして石炭も、ある地域においては電力の価格も大幅に上昇し、同時多発的にエネルギー価格の高騰が起こっておりました。このように同時多発的にエネルギー価格が高騰をするというのは、なかなか普通あることではございません。
なぜこのようなことが起きたかということになりますと、私は四つほど問題点があったというふうに考えております。
一つは、二〇二〇年から起きてきたコロナの反動で、よく相場、取引の格言で言うとおり、谷が深ければその分山が次高くなると、反動が非常に大きいということでございました。
そして、なぜ、しかも、その反動が大きくなったかといいますと、国際的なエネルギー市場の中にある供給の余力、いざ需要が増えてきたときにそれに即応的に対応できる余力が減ってしまっていた。なぜ減ってしまっていたかというと、各エネルギーの企業が、できるだけコストを削減し、経営を効率化し合理化しようとすると、コストの元となる余分な余力を減らそうというふうに行動いたします。これは、個別の行動としては合理的ですが、全体として見るといざというときの余力が減るということを起こしてまいりました。
それから、あともう一つは、この間の低炭素、脱炭素化への取組の中で、再生可能エネルギーが重要な役割を果たしてまいりました。今回の特に電力需要の逼迫、需給の逼迫を見ますと、いずれもそのきっかけにおいて、例えば風力発電が不調になったり、太陽光発電が不調になった、これがイギリスやヨーロッパでの場合でも、日本でもテキサスでも見られています。これは、再生可能エネルギーに問題があったというよりは、最初に申し上げた、供給余力が不足している、何かあったときにそれに対応できる余力が全体として不足している中で起きてきたということが私は重要かと思っています。一たびどのエネルギー源も需給が逼迫してしまいますとそこからなかなか抜け出すことができない悪循環が発生し、その上に今般の地政学リスクが加わったということかと思います。
原油価格、このスライドにお示ししたとおり、二〇二〇年の四月にはマイナスの値段が先物価格で付くというような極端な事例が起きました。先ほど申し上げたとおり、もう異常な、谷が深くなったときであります。このときからの反動で、市場では供給が削減され、そしてその下で原油価格が上がってまいりました。
昨年の十月には、既に原油価格は八十ドルを超え、日本でもアメリカでもヨーロッパでも大きな問題を引き起こしておりましたが、その後も原油価格は実は上がり続け、その背景には先ほど申し上げたウクライナの情勢が大きく影響してまいったわけです。
三月の七日に原油価格は百三十ドルを瞬間風速で突破いたしました。リーマン・ショック後の最高値ということになります。これはもちろん、皆様御案内のとおり、アメリカがロシアの原油、LNG、エネルギー製品の禁輸を発表したということで、これは大変なことになるということが市場で反応した結果でございます。
しかし、これも皆様方いろんな報道で御案内のとおり、原油も価格が上昇していますが、それ以上に深刻なのは天然ガスあるいはLNGのスポット価格です。この赤い線で示したのはヨーロッパの天然ガスの取引価格でございますが、その先ほど、原油が百三十ドルを超えた日、同じ日に天然ガスの価格は原油換算でいうと一バレル四百ドルを超えるというような異常な暴騰ぶりを示しております。そして、ヨーロッパの天然ガス価格とアジアのLNGのスポット価格というのは今非常に連動性を高めておりますので、このアジアの価格も、青い線で示しておりますが、同じように原油以上にはるかに高い値段になっている。今回のウクライナ危機の中で、とりわけ天然ガスの問題が相当厳しくなっているということが分かっているのかなというふうに思っております。
さて、ウクライナ、この問題そのものについては、もう皆様方は御案内のとおりでございます。ロシアが力によって現状変更を加え、そして国際システムに挑戦をした。これに対して、アメリカもヨーロッパもそして日本も、決して許すことはできないということで、様々なこの立場の違い、特にエネルギー上の立場の違いはありますけれども、予想を超えて厳しい経済制裁をロシアに科すということになってまいりました。この戦争、軍事的な紛争、プラス、経済制裁や金融、この組合せの下でロシアのエネルギーがこれからどうなるのかというところが非常に大きな不安になっているわけでございます。
ロシアのエネルギーは、石油で見ますと世界の石油輸出の一一%、天然ガスでは世界の輸出の四分の一を占める、まさにエネルギー輸出の巨人であります。そのロシアのエネルギーが、この青い字で書きましたとおり、欧米側の経済制裁によってエネルギー取引が制約を受けるのではないか、あるいは戦争、戦闘が続くさなかでエネルギー関連のインフラが損傷したり操業できなくなるのではないか、あるいは、余り本当は可能性はそれほど高くないかもしれませんが、今のロシアではどういうことが起こるかなかなか分からないということを考えますと、ロシア側が輸出削減、停止という対抗措置をとる可能性もある。これらの組合せが起きて、ロシア側のエネルギー輸出に停止、削減ということが起これば、これから先の世界のエネルギー市場はますます混乱に陥るということかと思います。
その点において、特に石油とやはり天然ガス、LNGで場合を分けて考える必要があるかというふうに思っております。
石油の場合は、一言で申し上げると、供給支障、途絶が起きたときに、それをすぐ対応する、ある意味でいくと代替供給源が市場には備わっております。
一つは、中東の産油国、サウジアラビアを中心としてアラブ首長国連邦などに存在している余剰の生産能力です。この生産能力は、既に設備があって、この国の指導者がそれを決めれば、ある意味でいくと割と即座に石油が市場に出てまいります。
もう一つ即時的に対応できるのは、言うまでもなく、消費国にある石油の備蓄であります。IEAが三月に六千万バレルの備蓄を放出を決定し、今般はまたアメリカが三月三十一日に追加で戦略石油備蓄の放出というのを決定しています。その意味で、消費国の備蓄も大変重要である。また加えて、半年程度の時間を置けば例えばアメリカのシェールオイルの生産が増えてくる、あるいはイランとの核協議がまとまればイランの市場、石油が市場に戻ってくるというように、代替供給が幾つか可能性がある。
ところが、問題はガス、LNGでして、こちらは全ての企業、産ガス国が基本的に能力いっぱいで現在生産をしています。そのため、もしロシアの天然ガス供給が減少する、大きく止まるということになれば、その分だけ世界全体の供給量がそのまま減少する。そして、その減少してしまった供給、それを目指して世界中の消費国、消費国がある意味でいくと分け合う、あるいは取り合うということになる。そういう状況なために、先ほどお示ししたとおり、天然ガス価格の方が非常に高い。これから先、供給途絶があれば、この市場の混乱は大変なことになるということであります。
そして、ロシアに対して特に依存しているヨーロッパのこの影響というのは甚大になる。もちろん、原油価格が高騰すれば、日本を含めた世界全体の影響は深刻なものになります。その下でエネルギーの安定供給と安全保障を確保しなければならないというのは、日本、ヨーロッパ、世界の重要課題となっております。
とりわけ、今、ヨーロッパではこの問題に対して本当に真剣な取組が始まっております。柱は四つあるというふうに私は思っておりまして、一つは、ロシア依存度をいかに低減するか。このロシア依存度低減の中身は二つで、エネルギーミックスそのものを変えていく、再生可能エネルギーや省エネルギーを推進する。元々これは、脱炭素のためにヨーロッパが強力に取り組もうとしていたものをもっと進める。加えて、ヨーロッパの幾つかの国では原子力発電の活用ということについて動きが出ております。これも後ほど御説明申し上げたいと思います。
もう一つ、そうはいっても、石油や天然ガス、LNGはやっぱり今必要でございます。そのために、供給源の分散化というのをしないといけない、代替供給源をロシアから変えないといけない。そのために、LNGであればアメリカやカタールから、石油であれば先ほど申し上げたサウジアラビア、こういったところが重要になってまいります。
他方、ロシア依存度を低減しても緊急事態というのは起こるということの前提で考えないといけません。そこで、緊急事態への対応能力の整備という面では、IEA等と消費国との連携での石油備蓄の放出、そして、LNG、天然ガスの方は、供給余力がない中で何ができるかということであれば、一番需給が逼迫している地域・国に柔軟に供給を振り向けてこの痛みをできるだけ和らげるというような面での供給の柔軟な調整が必要である。その意味において、緊急融通や柔軟な、例えばアメリカ産のLNGの供給の活用というのが重要になってまいります。
いずれにせよ、石油もLNGも、全てのエネルギー源で、緊急事態においてはそれぞれの消費国が協力をするということが鍵になります。これはまさに第一次石油危機のときの重要な教訓でありますので、この問題もこれから非常に重要なテーマになってくると思います。
そして三番目が、何といっても、やはり供給力や供給余力をしっかりと確保しなければならない。そのためには、やはり適切に投資を行っていくということが重要になります。二〇二〇年以降、脱炭素化の取組が非常に進む中で、化石燃料分野に対しての投資はもう必要ないのではないかというような見方が広まりましたけれども、やはり今般の出来事を見て、実際には適切に化石燃料分野への投資もやっていく、これが移行期を踏まえた、トランジションをしていく中で安定供給をしていくには非常に重要だということが分かってきたのかと思います。
それから四点目は、安定的なベースロード電源というのはやはり価値があるんだということが再確認されたということではないかと思います。ここは、原子力についてフランスが新設の計画を発表したり、最近ではイギリス等の動きも出てきております。また、EUタクソノミーでも、条件付で原子力の位置付けというのが発表されてまいりました。
他方で、今回のウクライナ危機では、これはもう皆様御案内のとおり、原子力発電所に対してのロシア軍の武力攻撃が行われるという、あってはならない暴挙があったと。これが新しいリスクとして考えられる中で、原子力の問題をしっかりと考えていくというのが必要になっているということかと思います。
このグラフはエネルギーの自給率を示したものでございまして、ポイントは本当にシンプルでございます。アメリカとカナダはもう自給一〇〇%、つまり輸出国であって、英国もかなり高い。今回ロシアに対してエネルギーの禁輸というのを出した三か国は、基本的に言うと非常に自給率が高い。それに対してヨーロッパ、中でもドイツ、イタリアとかはかなり低いレベルにある。しかも、その上にもっと低いのが日本であるということがはっきりしております。
そして、ロシア依存度を見ますと、先ほど申し上げたドイツ、イタリア、輸入依存度、自給率が低い上にロシアへの依存度が高いという状況です。先ほどのアメリカ、カナダは事実上ロシアからはほとんど買っていないという状況であります。そして、日本は、例えば天然ガスで九%、石油で四%という依存度ですが、この一〇%内外の数字はイギリスの数字とやや似通ったところがありますが、そもそも輸入依存度、自給率が全く違う。日本の場合は自給率が非常に低いところでの依存という形であり、そこはやはり日本にとってしっかりと考えていくべきポイントなのかというふうに思います。
ヨーロッパ、EUは今回の危機を本当に深刻なものと捉えて、リパワーEUというような計画を発表し、二〇三〇年あるいはそれより前にロシア産の化石燃料の依存から脱却するというようなことを発表しております。これまで、脱炭素化のための取組、フィットフォー五五というようなパッケージ、これを更に強化していくということで早急にロシア依存からの脱却を目指す野心的な計画を出しているところでございます。
また、この三番目の列に供給セキュリティと手頃なエネルギー価格に関する政策文書というのがございますが、やはり鍵となっている天然ガスの安定供給確保のためには、天然ガスの在庫、備蓄に対しての一定の義務、そういった要件を課したり、あるいはヨーロッパとして共同のガス購入というのを検討するといったような、やはりこれまでにはない取組というのが始まっているということかと思います。やはり、ヨーロッパにとっては、今回の危機では、価格高騰だけでなくて、ひょっとするとエネルギーの入手不足というのが発生するのではないか、これの懸念が非常に大きい。それがゆえに、これだけ強力な政策を取らざるを得なくなったということかと思います。
今回の危機は、振り返ってみますと、第一次石油危機、アラブの戦争といわゆるアラブオイルエンバーゴー、これの組合せと似た点があり、かつその上で供給不足が起こるかもしれないという懸念があることも似た点でございます。その意味で、当時は日本はまさに深刻なエネルギー安定供給への懸念があり、そこからそのための強化の政策が一気に強化されました。ヨーロッパは今それと同じような状況を迎えているのではないかというふうに思っています。
この次の十ページ目のスライドは、マクロン大統領の原子力についての新しい計画で、昨年の十一月の段階で既に原子力の建設再開というのを発表しております。これは、ウクライナ危機が軍事侵攻など本格的に深刻化する前でありまして、先ほど申し上げた、既にエネルギー価格の高騰がヨーロッパ、世界で深刻になっている中で、フランスとしての決定を下した。二月には、新しい戦略として、例えば二〇五〇年までに六基の建設を行う等々、また、今世界的に関心を集めています小型モジュール炉、SMRの開発、こういったものにも取り組むといったことが、動きが出ているわけです。最近はまたイギリスでも新しい動きが出、恐らくロシア依存度の高いヨーロッパの国、東ヨーロッパの国などもこうした動きというのをこれから真剣に検討していく可能性があるというふうに思っております。
それから、今回の危機の中で一つ大きなテーマ、イシューになりましたのは、やはりロシアビジネスとの問題でございます。
今回の軍事侵攻に対して、先進国、G7として結束して対応する、その下で、かつロシアビジネスを続けることのレピュテーションリスク対応というのもある。そのために、欧米の主要企業が相次いで撤退し、それはエネルギー分野でもいわゆる石油メジャーの撤退ということになりました。BP、シェル、エクソンモービル。シェルやエクソンモービルは、サハリン1、2、そういったところに関わる重要企業でございますが、彼らが撤退した。
そうした中で日本がどういう対応をするのかというところに重要な関心が集まってきたわけで、先ほど申し上げたとおり、先進国、G7としての結束、これは極めて重要でありますが、他方で、日本のエネルギーの安定供給上の脆弱性、特徴ということを考えると、それに対してしっかりと戦略的な思考をしていくことが重要ではないかと思っております。
日本は、一九七〇年代以降、いわゆる自主開発を極めて重視して取組をやってまいりました。自主開発において大きな成果を上げたところもあれば、成果がなかなか難しいところもある。ロシア、このサハリン1、2は、この自主開発の面においては成果を上げた重要な拠点と言うことができるのではないかと私は思います。
そして、仮にこれから先、今回、今ニュースで流れているように、ロシアの行動に対してより厳しい対応が必要だというようなことになる、そして撤退というような話があったとしても、これは、二〇〇〇年代の前半に日本がイランのアザデガン油田の開発に取り組んで、そして結果的には対イラン制裁強化の下で撤退したときに何が起きたかといえば、これは中国の企業がそれに代わったということだけであったということも、我々は実態、エネルギー市場の実態として記憶しております。
そうした点も含めて、日本としてエネルギー安定供給ということをしっかり見据えた対応が必要だというふうに思っております。
最後のまとめは繰り返しとなりますので、私からの御説明は以上で終わらせていただきたいと思います。
どうも御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →御紹介いただきました、日本エネルギー経済研究所の小山でございます。
それでは、これから二十分ほどお時間をいただいて、ウクライナ危機とエネルギーの問題についてお話をさせていただきます。(資料映写)
まず、ウクライナ危機が起きてから、我々はエネルギー価格の高騰とエネルギー市場の不安定化に直面しておりますが、実は、皆様方も御記憶のとおり、今般のエネルギー市場の不安定化はウクライナ危機が本格的に深刻になる前から実は始まっていたという点を最初に申し上げたいと思っております。
昨年の後半以降、原油も、ヨーロッパの天然ガスの価格も、アジアのLNGのスポット価格も、そして石炭も、ある地域においては電力の価格も大幅に上昇し、同時多発的にエネルギー価格の高騰が起こっておりました。このように同時多発的にエネルギー価格が高騰をするというのは、なかなか普通あることではございません。
なぜこのようなことが起きたかということになりますと、私は四つほど問題点があったというふうに考えております。
一つは、二〇二〇年から起きてきたコロナの反動で、よく相場、取引の格言で言うとおり、谷が深ければその分山が次高くなると、反動が非常に大きいということでございました。
そして、なぜ、しかも、その反動が大きくなったかといいますと、国際的なエネルギー市場の中にある供給の余力、いざ需要が増えてきたときにそれに即応的に対応できる余力が減ってしまっていた。なぜ減ってしまっていたかというと、各エネルギーの企業が、できるだけコストを削減し、経営を効率化し合理化しようとすると、コストの元となる余分な余力を減らそうというふうに行動いたします。これは、個別の行動としては合理的ですが、全体として見るといざというときの余力が減るということを起こしてまいりました。
それから、あともう一つは、この間の低炭素、脱炭素化への取組の中で、再生可能エネルギーが重要な役割を果たしてまいりました。今回の特に電力需要の逼迫、需給の逼迫を見ますと、いずれもそのきっかけにおいて、例えば風力発電が不調になったり、太陽光発電が不調になった、これがイギリスやヨーロッパでの場合でも、日本でもテキサスでも見られています。これは、再生可能エネルギーに問題があったというよりは、最初に申し上げた、供給余力が不足している、何かあったときにそれに対応できる余力が全体として不足している中で起きてきたということが私は重要かと思っています。一たびどのエネルギー源も需給が逼迫してしまいますとそこからなかなか抜け出すことができない悪循環が発生し、その上に今般の地政学リスクが加わったということかと思います。
原油価格、このスライドにお示ししたとおり、二〇二〇年の四月にはマイナスの値段が先物価格で付くというような極端な事例が起きました。先ほど申し上げたとおり、もう異常な、谷が深くなったときであります。このときからの反動で、市場では供給が削減され、そしてその下で原油価格が上がってまいりました。
昨年の十月には、既に原油価格は八十ドルを超え、日本でもアメリカでもヨーロッパでも大きな問題を引き起こしておりましたが、その後も原油価格は実は上がり続け、その背景には先ほど申し上げたウクライナの情勢が大きく影響してまいったわけです。
三月の七日に原油価格は百三十ドルを瞬間風速で突破いたしました。リーマン・ショック後の最高値ということになります。これはもちろん、皆様御案内のとおり、アメリカがロシアの原油、LNG、エネルギー製品の禁輸を発表したということで、これは大変なことになるということが市場で反応した結果でございます。
しかし、これも皆様方いろんな報道で御案内のとおり、原油も価格が上昇していますが、それ以上に深刻なのは天然ガスあるいはLNGのスポット価格です。この赤い線で示したのはヨーロッパの天然ガスの取引価格でございますが、その先ほど、原油が百三十ドルを超えた日、同じ日に天然ガスの価格は原油換算でいうと一バレル四百ドルを超えるというような異常な暴騰ぶりを示しております。そして、ヨーロッパの天然ガス価格とアジアのLNGのスポット価格というのは今非常に連動性を高めておりますので、このアジアの価格も、青い線で示しておりますが、同じように原油以上にはるかに高い値段になっている。今回のウクライナ危機の中で、とりわけ天然ガスの問題が相当厳しくなっているということが分かっているのかなというふうに思っております。
さて、ウクライナ、この問題そのものについては、もう皆様方は御案内のとおりでございます。ロシアが力によって現状変更を加え、そして国際システムに挑戦をした。これに対して、アメリカもヨーロッパもそして日本も、決して許すことはできないということで、様々なこの立場の違い、特にエネルギー上の立場の違いはありますけれども、予想を超えて厳しい経済制裁をロシアに科すということになってまいりました。この戦争、軍事的な紛争、プラス、経済制裁や金融、この組合せの下でロシアのエネルギーがこれからどうなるのかというところが非常に大きな不安になっているわけでございます。
ロシアのエネルギーは、石油で見ますと世界の石油輸出の一一%、天然ガスでは世界の輸出の四分の一を占める、まさにエネルギー輸出の巨人であります。そのロシアのエネルギーが、この青い字で書きましたとおり、欧米側の経済制裁によってエネルギー取引が制約を受けるのではないか、あるいは戦争、戦闘が続くさなかでエネルギー関連のインフラが損傷したり操業できなくなるのではないか、あるいは、余り本当は可能性はそれほど高くないかもしれませんが、今のロシアではどういうことが起こるかなかなか分からないということを考えますと、ロシア側が輸出削減、停止という対抗措置をとる可能性もある。これらの組合せが起きて、ロシア側のエネルギー輸出に停止、削減ということが起これば、これから先の世界のエネルギー市場はますます混乱に陥るということかと思います。
その点において、特に石油とやはり天然ガス、LNGで場合を分けて考える必要があるかというふうに思っております。
石油の場合は、一言で申し上げると、供給支障、途絶が起きたときに、それをすぐ対応する、ある意味でいくと代替供給源が市場には備わっております。
一つは、中東の産油国、サウジアラビアを中心としてアラブ首長国連邦などに存在している余剰の生産能力です。この生産能力は、既に設備があって、この国の指導者がそれを決めれば、ある意味でいくと割と即座に石油が市場に出てまいります。
もう一つ即時的に対応できるのは、言うまでもなく、消費国にある石油の備蓄であります。IEAが三月に六千万バレルの備蓄を放出を決定し、今般はまたアメリカが三月三十一日に追加で戦略石油備蓄の放出というのを決定しています。その意味で、消費国の備蓄も大変重要である。また加えて、半年程度の時間を置けば例えばアメリカのシェールオイルの生産が増えてくる、あるいはイランとの核協議がまとまればイランの市場、石油が市場に戻ってくるというように、代替供給が幾つか可能性がある。
ところが、問題はガス、LNGでして、こちらは全ての企業、産ガス国が基本的に能力いっぱいで現在生産をしています。そのため、もしロシアの天然ガス供給が減少する、大きく止まるということになれば、その分だけ世界全体の供給量がそのまま減少する。そして、その減少してしまった供給、それを目指して世界中の消費国、消費国がある意味でいくと分け合う、あるいは取り合うということになる。そういう状況なために、先ほどお示ししたとおり、天然ガス価格の方が非常に高い。これから先、供給途絶があれば、この市場の混乱は大変なことになるということであります。
そして、ロシアに対して特に依存しているヨーロッパのこの影響というのは甚大になる。もちろん、原油価格が高騰すれば、日本を含めた世界全体の影響は深刻なものになります。その下でエネルギーの安定供給と安全保障を確保しなければならないというのは、日本、ヨーロッパ、世界の重要課題となっております。
とりわけ、今、ヨーロッパではこの問題に対して本当に真剣な取組が始まっております。柱は四つあるというふうに私は思っておりまして、一つは、ロシア依存度をいかに低減するか。このロシア依存度低減の中身は二つで、エネルギーミックスそのものを変えていく、再生可能エネルギーや省エネルギーを推進する。元々これは、脱炭素のためにヨーロッパが強力に取り組もうとしていたものをもっと進める。加えて、ヨーロッパの幾つかの国では原子力発電の活用ということについて動きが出ております。これも後ほど御説明申し上げたいと思います。
もう一つ、そうはいっても、石油や天然ガス、LNGはやっぱり今必要でございます。そのために、供給源の分散化というのをしないといけない、代替供給源をロシアから変えないといけない。そのために、LNGであればアメリカやカタールから、石油であれば先ほど申し上げたサウジアラビア、こういったところが重要になってまいります。
他方、ロシア依存度を低減しても緊急事態というのは起こるということの前提で考えないといけません。そこで、緊急事態への対応能力の整備という面では、IEA等と消費国との連携での石油備蓄の放出、そして、LNG、天然ガスの方は、供給余力がない中で何ができるかということであれば、一番需給が逼迫している地域・国に柔軟に供給を振り向けてこの痛みをできるだけ和らげるというような面での供給の柔軟な調整が必要である。その意味において、緊急融通や柔軟な、例えばアメリカ産のLNGの供給の活用というのが重要になってまいります。
いずれにせよ、石油もLNGも、全てのエネルギー源で、緊急事態においてはそれぞれの消費国が協力をするということが鍵になります。これはまさに第一次石油危機のときの重要な教訓でありますので、この問題もこれから非常に重要なテーマになってくると思います。
そして三番目が、何といっても、やはり供給力や供給余力をしっかりと確保しなければならない。そのためには、やはり適切に投資を行っていくということが重要になります。二〇二〇年以降、脱炭素化の取組が非常に進む中で、化石燃料分野に対しての投資はもう必要ないのではないかというような見方が広まりましたけれども、やはり今般の出来事を見て、実際には適切に化石燃料分野への投資もやっていく、これが移行期を踏まえた、トランジションをしていく中で安定供給をしていくには非常に重要だということが分かってきたのかと思います。
それから四点目は、安定的なベースロード電源というのはやはり価値があるんだということが再確認されたということではないかと思います。ここは、原子力についてフランスが新設の計画を発表したり、最近ではイギリス等の動きも出てきております。また、EUタクソノミーでも、条件付で原子力の位置付けというのが発表されてまいりました。
他方で、今回のウクライナ危機では、これはもう皆様御案内のとおり、原子力発電所に対してのロシア軍の武力攻撃が行われるという、あってはならない暴挙があったと。これが新しいリスクとして考えられる中で、原子力の問題をしっかりと考えていくというのが必要になっているということかと思います。
このグラフはエネルギーの自給率を示したものでございまして、ポイントは本当にシンプルでございます。アメリカとカナダはもう自給一〇〇%、つまり輸出国であって、英国もかなり高い。今回ロシアに対してエネルギーの禁輸というのを出した三か国は、基本的に言うと非常に自給率が高い。それに対してヨーロッパ、中でもドイツ、イタリアとかはかなり低いレベルにある。しかも、その上にもっと低いのが日本であるということがはっきりしております。
そして、ロシア依存度を見ますと、先ほど申し上げたドイツ、イタリア、輸入依存度、自給率が低い上にロシアへの依存度が高いという状況です。先ほどのアメリカ、カナダは事実上ロシアからはほとんど買っていないという状況であります。そして、日本は、例えば天然ガスで九%、石油で四%という依存度ですが、この一〇%内外の数字はイギリスの数字とやや似通ったところがありますが、そもそも輸入依存度、自給率が全く違う。日本の場合は自給率が非常に低いところでの依存という形であり、そこはやはり日本にとってしっかりと考えていくべきポイントなのかというふうに思います。
ヨーロッパ、EUは今回の危機を本当に深刻なものと捉えて、リパワーEUというような計画を発表し、二〇三〇年あるいはそれより前にロシア産の化石燃料の依存から脱却するというようなことを発表しております。これまで、脱炭素化のための取組、フィットフォー五五というようなパッケージ、これを更に強化していくということで早急にロシア依存からの脱却を目指す野心的な計画を出しているところでございます。
また、この三番目の列に供給セキュリティと手頃なエネルギー価格に関する政策文書というのがございますが、やはり鍵となっている天然ガスの安定供給確保のためには、天然ガスの在庫、備蓄に対しての一定の義務、そういった要件を課したり、あるいはヨーロッパとして共同のガス購入というのを検討するといったような、やはりこれまでにはない取組というのが始まっているということかと思います。やはり、ヨーロッパにとっては、今回の危機では、価格高騰だけでなくて、ひょっとするとエネルギーの入手不足というのが発生するのではないか、これの懸念が非常に大きい。それがゆえに、これだけ強力な政策を取らざるを得なくなったということかと思います。
今回の危機は、振り返ってみますと、第一次石油危機、アラブの戦争といわゆるアラブオイルエンバーゴー、これの組合せと似た点があり、かつその上で供給不足が起こるかもしれないという懸念があることも似た点でございます。その意味で、当時は日本はまさに深刻なエネルギー安定供給への懸念があり、そこからそのための強化の政策が一気に強化されました。ヨーロッパは今それと同じような状況を迎えているのではないかというふうに思っています。
この次の十ページ目のスライドは、マクロン大統領の原子力についての新しい計画で、昨年の十一月の段階で既に原子力の建設再開というのを発表しております。これは、ウクライナ危機が軍事侵攻など本格的に深刻化する前でありまして、先ほど申し上げた、既にエネルギー価格の高騰がヨーロッパ、世界で深刻になっている中で、フランスとしての決定を下した。二月には、新しい戦略として、例えば二〇五〇年までに六基の建設を行う等々、また、今世界的に関心を集めています小型モジュール炉、SMRの開発、こういったものにも取り組むといったことが、動きが出ているわけです。最近はまたイギリスでも新しい動きが出、恐らくロシア依存度の高いヨーロッパの国、東ヨーロッパの国などもこうした動きというのをこれから真剣に検討していく可能性があるというふうに思っております。
それから、今回の危機の中で一つ大きなテーマ、イシューになりましたのは、やはりロシアビジネスとの問題でございます。
今回の軍事侵攻に対して、先進国、G7として結束して対応する、その下で、かつロシアビジネスを続けることのレピュテーションリスク対応というのもある。そのために、欧米の主要企業が相次いで撤退し、それはエネルギー分野でもいわゆる石油メジャーの撤退ということになりました。BP、シェル、エクソンモービル。シェルやエクソンモービルは、サハリン1、2、そういったところに関わる重要企業でございますが、彼らが撤退した。
そうした中で日本がどういう対応をするのかというところに重要な関心が集まってきたわけで、先ほど申し上げたとおり、先進国、G7としての結束、これは極めて重要でありますが、他方で、日本のエネルギーの安定供給上の脆弱性、特徴ということを考えると、それに対してしっかりと戦略的な思考をしていくことが重要ではないかと思っております。
日本は、一九七〇年代以降、いわゆる自主開発を極めて重視して取組をやってまいりました。自主開発において大きな成果を上げたところもあれば、成果がなかなか難しいところもある。ロシア、このサハリン1、2は、この自主開発の面においては成果を上げた重要な拠点と言うことができるのではないかと私は思います。
そして、仮にこれから先、今回、今ニュースで流れているように、ロシアの行動に対してより厳しい対応が必要だというようなことになる、そして撤退というような話があったとしても、これは、二〇〇〇年代の前半に日本がイランのアザデガン油田の開発に取り組んで、そして結果的には対イラン制裁強化の下で撤退したときに何が起きたかといえば、これは中国の企業がそれに代わったということだけであったということも、我々は実態、エネルギー市場の実態として記憶しております。
そうした点も含めて、日本としてエネルギー安定供給ということをしっかり見据えた対応が必要だというふうに思っております。
最後のまとめは繰り返しとなりますので、私からの御説明は以上で終わらせていただきたいと思います。
どうも御清聴ありがとうございました。
宮
畔
畔蒜泰助#5
○参考人(畔蒜泰助君) ありがとうございます。御紹介ありがとうございます。笹川平和財団の畔蒜泰助でございます。
私の方からは、私はエネルギーの専門というよりはむしろ外交、安全保障の専門ですので、今回のウクライナ軍事侵攻の背景と日本を取り巻く地政戦略環境への影響という形で御報告をさせていただければと思っております。
まず、幾つか背景あると思うんですけれども、まず最初の背景ですが、やはり冷戦終結後のアメリカ主導の欧州の安全保障秩序の在り方、特にNATOの東方拡大問題をめぐるやはり米ロの関係の確執が、やはりロシアによる対ウクライナ軍事侵攻のまず背景にあるということなんだと思います。
この問題が非常に明確に表面化したのは二〇〇七年二月ですね。プーチン大統領がミュンヘンの安全保障会議のサミットで初めて、要するに反対であるという、アメリカの政策を明確に非難をするということがあったのがこれ二〇〇七年二月ですね。言ってみたら、それ以来、ウクライナのNATO加盟というのはロシアにとってレッドラインであるということがこの時点で既に明確に示されていたということですね。
なおかつ、それにもかかわらず、これはアメリカとロシアの戦略上の綱引きということなんでしょうけれども、二〇〇八年四月ですね、ブカレストのNATOサミットの首脳会議でアメリカが、このウクライナとジョージアですね、のNATO加盟へのプロセスを開始するということを提起するわけですね。これ、実際、最終的にはドイツとフランスがこれに反対したことでこのプロセス自体が始まらなかったわけですけれども、ただ、将来、両国がNATO加盟国になることに同意するという文言が残った。これが今日のウクライナのゼレンスキー政権がある時期まで、今ちょっとスタンスを変えていますけれども、NATO加盟を一生懸命努力をした背景にあったということですね。
そんな中、二〇一四年に最初のウクライナ危機が勃発するということで、これ、クリミアの併合、それからウクライナ東部への波及とあったわけですけれども、この問題は実は二〇一五年の二月にミンスク2合意という形で一旦収まりました。このミンスク2合意というのは、停戦をしてウクライナ東部に特別な自治権を与えることで、事実上この問題、まあロシアからすると、そうすることでウクライナのNATO加盟に対して事実上の拒否権を確保するという形のこの解決方法だったわけですけれども、結局、この問題は、ミンスク2を、合意を土台とした停戦和平の交渉というのはずっと膠着状態に陥って前に進まなかったということですね。
そんな中、二〇二一年の三月と十月にロシア軍がウクライナ国境に大規模集結をすると。これを受けてバイデン政権は、昨年の六月、それから十二月、米ロ首脳会談を行うと。特に十二月の首脳会談を受けて、欧州方面におけるロシアの安全保障上の脅威を議論する枠組みの立ち上げというのを実はこの時点で合意をしていました。
それに対してプーチン政権は、NATOの更なる東方拡大を行わないなどの法的拘束力のある保証を求めるなどの条約案を公表し、今年の一月から二月にかけて協議を行ったわけですが、結局、バイデン政権から出てきた回答というのは、ロシアの西側方面の安全保障に一定の配慮した回答だったわけですが、ただ、冷戦後の欧州安全保障秩序の根幹に関わるNATOの更なる東方拡大を行わないとの法的拘束力のある保証、つまりこれロシアが求めている保証ですね、これは拒否をしたと。
それに対して、二月の十七日、今度はプーチン政権がバイデン政権に対して、米国とその同盟諸国はロシアの安全保障に関する確固とした法的拘束力のあるギャランティーに関する同意が、関して同意する用意がないことから、モスクワはある軍事技術的な措置の実施を含めて対応する必要があると回答したということで、そして二月の二十四日、この軍事作戦が開始するに当たって、プーチン大統領は、年々西側諸国の無責任な政策によりNATOが東方に、そしてその軍事インフラがロシア国境に接近し、我が国に本質的な脅威を与えていると、これは我が国にとって生と死に関わる問題である、これは我々の国家の存在自体、その主権を脅かす現実の脅威であり、もはやレッドラインを越えたんだと、こういう形の説明をしてロシアは今回の軍事作戦を開始したということですね。これが背景一ですね。
実は、それだけではなくてもう一つ背景があって、やはりこのプーチン大統領の歴史観というのもこれ見逃せない点だと。
二〇二〇年の六月にプーチン大統領は第二次大戦に関する論文を書いている。で、二一年の七月にウクライナに関する論文を書いているわけですね。
前者は、近年、実は欧州で、一九三九年の独ソ不可侵条約を第二次大戦の事実上の始まりとする歴史観、これ主にポーランドを中心に東欧、中欧諸国が要するにプロモートしている歴史観なわけですけれども、が徐々に有力になって、これ二〇一九年の九月にEUで決議をされるということがありました。それに対してロシア側は、ソ連は約二千七百万人もの犠牲を払ってナチス・ドイツを打倒して多くのユダヤ人を救済したんだと、そういう歴史観をかねてから主張しているということですね。
それから、後者の論文に関しては、ロシアとウクライナの歴史的な一体性を主張するとともに、現キエフ政権が、これはロシア側が言っているんで、私が言っているんじゃないんですけれども、過激なナショナリストとネオナチ主義者による違法なクーデターによって成立した政権であり、その正統性に疑問を呈する内容だったということで、実際に二月二十四日の軍事作戦の開始のプーチン大統領の演説を読むと、NATOの主要国によって支援された過激なナショナリストとネオナチ主義者から成るキエフ政権は、ウクライナ東部において数百万人の人々に対するジェノサイドを実施していると、その特別軍事作戦の目的は八年間キエフ政権からジェノサイドに遭ってきた人々の救済なんだと、そのためにウクライナの非武装化と非ナチ化を目指すんだと、ただしウクライナの領土の占領が目的じゃない、こういう説明をするということだったわけですね。
このように、二月二十四日のプーチン大統領の特別軍事作戦の演説は、このプーチン大統領の第二次大戦に関する論文とウクライナの論文の内容が色濃く反映されたものだったということですね。
それから、もう一つの背景ですね。実はこれも非常に大きいんだと思うんですけど、実はプーチン政権のやっぱり意思決定メカニズムが実は機能不全に陥っているんじゃないかという指摘、それが大統領の情勢判断を誤らせたんじゃないかということですね。
先ほどの二つの理由があったとしても、仮にそれをやったとしても、今回の実は軍事作戦、全然うまくいっていないわけですよね。じゃ、何でこんなうまくいかない軍事作戦を開始したんだということは非常に疑問に残るわけですけれども、これに関しては、一つ参考になるのが、二月二十一日に実はドネツク、ルガンスクの国家承認の是非が議論されたロシアの安全保障会議というのが開かれて、これ公開の場で、映像も公開されたわけですけれども、メンバーのやり取りを見ると、プーチン大統領が一人一人に下問をして、メンバーがもうおっかなびっくりで答えるというような状況が世界中に放映されたわけですけれども、もはやプーチン大統領の決定に誰も反論できないような様子が示されたと。
これに関して、実は、バイデン政権、アメリカのですね、ウィリアム・バーンズCIA長官はこう言っています。プーチン大統領自らがつくり上げたシステムにおいて彼のアドバイザーの輪がどんどん狭くなっており、さらに、コロナの影響でそれは更に狭くなっているんだと、また彼の判断に疑問を呈したり異議を唱えたりすることは更に難しくなっているんだということで。
こういう状況の中で、プーチン大統領は、彼自身がそれを必要だと思っても、実際にやるかどうかはやはりいろんな問題、いろんなプラスマイナスを総合して最終的に判断するものだと思うんですけれども、恐らく今のプーチン大統領の周りには、プーチン大統領がこうしたいということに対してそれを反論をすると、それを総合的に検討して、ロシアにとって何が一番ベストな選択なのかということですね、意思決定をするメカニズムが今どうやら機能していないんじゃないかということ、これが非常に背景としてあるんじゃないかということだと思います。
実際、じゃ、実際この問題起こってしまったということで、じゃ、その地政学的な影響というのはどういうことなのかということで、これ、三つここでは指摘させていただきたいと思っています。
まず、今、小山先生の話にもありましたけれども、やはり中長期的な欧州とロシアの相互依存関係は今後やはり希薄化の方向に向かっていくんじゃないかということですね。
一四年のウクライナ危機以降、アメリカとEUはロシアに経済制裁を科してきて、今回のロシアによるウクライナへの全面侵攻を受けて、両者はロシアに更なる経済制裁を科しているわけですね。御案内のとおり、ドイツも、ガスプロムが主導するロシアとドイツをバルト海で直結するノルドストリーム2の天然ガスパイプラインプロジェクトも停止を発表していると。
ただし、もちろん、EUの経済制裁には今のところエネルギーは含まれていない。今後、石炭が入るか入らないかという今議論が行われているようですけれども、特に、当面、やっぱりロシアからの天然ガスの輸入はこれは継続せざるを得ないということなんだと思います。ちなみに、二〇二一年ですね、EUはロシアから千五百五十億立方メートルですか、の天然ガスを輸入していると。これはEU全体のガス輸入の四五%、それからガス消費の四〇%弱ということで、相当やっぱり大きいわけですね。ただ、いずれにせよ、EUはやっぱり中長期的にはロシアへの天然ガス輸入依存度を大きく下げていくということになるんだろうと思います。
そうなってくると、ロシアは、次、そういう状況の中で、歴史的にロシアはEUとの関係がずっと、まあヨーロッパですよね、ロシアというのは元々ヨーロッパの国なわけで、ヨーロッパとの関係非常に深いわけですけれども、やはり今後、やっぱりロシアの中国への戦略的、経済的な依存度がこれ上がっていかざるを得ないという状況なんだと思います。
二〇一四年のウクライナ危機以降、アメリカとEUから経済制裁を受けて、ロシアは中国との戦略的、経済的な関係を深めてきたわけですね。今回のロシアによるウクライナへの全面侵攻を受けて、アメリカが、EUや、ロシアに更なる経済制裁を科したことで、ロシアは中国への戦略的、経済的な依存度をこれもう一層高めざるを得ないという状況なんだと思います。
アメリカやEUは中国に対してロシアと距離を取るようにということを働きかけているわけですけれども、御案内のとおり、ロシアは今のところ、中国に対して、あっ、中国はですね、ロシアに対してウクライナへの軍事侵攻を直接非難することもしていませんし、国連の非難決議でも一貫して棄権をしているということですね。もちろん経済制裁も科していないということで。
これ、中国、もちろん中国としてみると、アメリカによるロシアに対する経済制裁のもちろんとばっちりは受けたくないでしょうから、そこは非常に慎重にやっているということは間違いないと思うんですけれども、ただし、中国のやはり中長期的な戦略を考えると、やはりアメリカとの大国間競争というのがやはり中国にとっては、特に今の習近平政権にとっては非常に大きな優先順位だと考えると、やはりアメリカ中心の世界秩序の変革という共通の目標を持つロシアとの戦略的関係は維持していく可能性が高いということだと思います。
そうなってくると、この最後なんですけれども、実は、日本とインドというのが今この問題でどう対処するのかというのはある種問われていると。ここで実は対応が微妙に今分かれてきているというのがその状況だと思います。
というのも、実は二〇一四年のウクライナ危機以降、ロシアは先ほど申し上げたとおり中国との戦略的経済関係を深めていったわけですけれども、ただし、同時に、実はロシアというのは、米中の対立時代の到来を見据えて、インド、特にインドの場合は武器の取引が非常に重要で、例えば、これよく言われますけれども、実はインドはロシアに原子力潜水艦をリースを受けています。ですから、インドに対して原子力潜水艦をリースする、できる国というのは恐らく今の時点でロシアしかないんだと思うんですね。これアメリカはできない、やらないと思います。あるいは、S400という地対空ミサイル、非常に性能のいい地対空ミサイルを、これは二〇〇〇年の末に、あっ、二〇〇一年ですね、ごめんなさい、去年ですね、去年の末に購入をしています。
これ、実は今のアメリカの、二〇一七年にできたアメリカのCAATSAという対ロ制裁の法律があるんですけれども、これによると、アメリカはロシアから武器を購入した国に対して制裁を掛けなきゃいけないという法律があって、実はトルコは、ロシアからそのS400を購入したことを受けて実はアメリカから制裁を受けているんですね。ところが、今のところアメリカはインドに対して実は制裁を、S400の購入に関して実は掛けていない。その最大の理由は、インドが中国との関係の中でロシアから武器を購入をしていると、中国に対抗するというか、中国との軍事バランスを維持するためにロシアから武器を購入している。そういうことを総合的に考えて、今のところですね、今のところバイデン政権はインドに対して制裁を掛けていないわけですけれども、そういう関係があるんですね。
日本もエネルギーなどで協力関係を強化を通じて、アメリカはもちろん、中国にも過度には依存しない戦略的自律性を維持した大国としての生き残りを目指してきたわけですね、ロシアは。ただ、我が国は、平和条約問題も加えて、ロシアへの中国の過度な接近は回避したいとの思惑から、我が国も、我が国もロ中が過度に接近するということは嫌なので、同様の戦略観を持つインドとともにロシアに戦略的関与を行ってきたという。安倍政権の対ロ政策というのは、私の理解ですけれども、領土問題、平和条約交渉ももちろんあったと思うんです。そのやはり対中問題というのも非常に戦略的な背景としてあったということだと思います。
ただし、今回のウクライナへ、あの軍事侵攻を受けて、我が国はアメリカやEUとともにロシアへの厳しい制裁を科したと。それに対してインドは、ロシアへの経済制裁を科していないのみならず、むしろロシアとのエネルギー、特に石油ですね、の取引を今増やしているという状況ですね。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻という想定外の事態を受けて、インドは、対中に、中国に念頭置いたクアッド、日米豪印のですね、と、クアッドの枠組みとロシアとの間で微妙なバランス外交を今展開をしていると。
我が国は、G7の枠組みの中で米国や欧州と並んでロシアに厳しい経済制裁を科したわけですけれども、これに対してロシアは平和条約の条約交渉の打切りを通告してきたということで、ロ中関係の更なる深化と相まって、日ロの二国間関係、恐らく今後長期的に低迷期に入っていく可能性はやっぱり高いんだと思うんですね。
ただし、ただしですね、さはさりながら、現在その制裁対象に含まれていないエネルギー分野におけるロシアでの権益については、日本がこれらの権益を手放したとしても、今言ったように、もう中国との関係は接近している、さらにインドも今ロシアとの関係を、彼らは彼らの戦略観でロシアとの関係を維持していくという方向性を打ち出していますので、これらを日本が手放したとしてもやはり彼らが取得していくという可能性が極めて高いと。そうだとすれば、ロシアへの経済制裁の効果というものは極めて限定的になる可能性が高いので、やはり我が国エネルギー安全保障の観点からこれは維持すべきなんじゃないかと私も考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →私の方からは、私はエネルギーの専門というよりはむしろ外交、安全保障の専門ですので、今回のウクライナ軍事侵攻の背景と日本を取り巻く地政戦略環境への影響という形で御報告をさせていただければと思っております。
まず、幾つか背景あると思うんですけれども、まず最初の背景ですが、やはり冷戦終結後のアメリカ主導の欧州の安全保障秩序の在り方、特にNATOの東方拡大問題をめぐるやはり米ロの関係の確執が、やはりロシアによる対ウクライナ軍事侵攻のまず背景にあるということなんだと思います。
この問題が非常に明確に表面化したのは二〇〇七年二月ですね。プーチン大統領がミュンヘンの安全保障会議のサミットで初めて、要するに反対であるという、アメリカの政策を明確に非難をするということがあったのがこれ二〇〇七年二月ですね。言ってみたら、それ以来、ウクライナのNATO加盟というのはロシアにとってレッドラインであるということがこの時点で既に明確に示されていたということですね。
なおかつ、それにもかかわらず、これはアメリカとロシアの戦略上の綱引きということなんでしょうけれども、二〇〇八年四月ですね、ブカレストのNATOサミットの首脳会議でアメリカが、このウクライナとジョージアですね、のNATO加盟へのプロセスを開始するということを提起するわけですね。これ、実際、最終的にはドイツとフランスがこれに反対したことでこのプロセス自体が始まらなかったわけですけれども、ただ、将来、両国がNATO加盟国になることに同意するという文言が残った。これが今日のウクライナのゼレンスキー政権がある時期まで、今ちょっとスタンスを変えていますけれども、NATO加盟を一生懸命努力をした背景にあったということですね。
そんな中、二〇一四年に最初のウクライナ危機が勃発するということで、これ、クリミアの併合、それからウクライナ東部への波及とあったわけですけれども、この問題は実は二〇一五年の二月にミンスク2合意という形で一旦収まりました。このミンスク2合意というのは、停戦をしてウクライナ東部に特別な自治権を与えることで、事実上この問題、まあロシアからすると、そうすることでウクライナのNATO加盟に対して事実上の拒否権を確保するという形のこの解決方法だったわけですけれども、結局、この問題は、ミンスク2を、合意を土台とした停戦和平の交渉というのはずっと膠着状態に陥って前に進まなかったということですね。
そんな中、二〇二一年の三月と十月にロシア軍がウクライナ国境に大規模集結をすると。これを受けてバイデン政権は、昨年の六月、それから十二月、米ロ首脳会談を行うと。特に十二月の首脳会談を受けて、欧州方面におけるロシアの安全保障上の脅威を議論する枠組みの立ち上げというのを実はこの時点で合意をしていました。
それに対してプーチン政権は、NATOの更なる東方拡大を行わないなどの法的拘束力のある保証を求めるなどの条約案を公表し、今年の一月から二月にかけて協議を行ったわけですが、結局、バイデン政権から出てきた回答というのは、ロシアの西側方面の安全保障に一定の配慮した回答だったわけですが、ただ、冷戦後の欧州安全保障秩序の根幹に関わるNATOの更なる東方拡大を行わないとの法的拘束力のある保証、つまりこれロシアが求めている保証ですね、これは拒否をしたと。
それに対して、二月の十七日、今度はプーチン政権がバイデン政権に対して、米国とその同盟諸国はロシアの安全保障に関する確固とした法的拘束力のあるギャランティーに関する同意が、関して同意する用意がないことから、モスクワはある軍事技術的な措置の実施を含めて対応する必要があると回答したということで、そして二月の二十四日、この軍事作戦が開始するに当たって、プーチン大統領は、年々西側諸国の無責任な政策によりNATOが東方に、そしてその軍事インフラがロシア国境に接近し、我が国に本質的な脅威を与えていると、これは我が国にとって生と死に関わる問題である、これは我々の国家の存在自体、その主権を脅かす現実の脅威であり、もはやレッドラインを越えたんだと、こういう形の説明をしてロシアは今回の軍事作戦を開始したということですね。これが背景一ですね。
実は、それだけではなくてもう一つ背景があって、やはりこのプーチン大統領の歴史観というのもこれ見逃せない点だと。
二〇二〇年の六月にプーチン大統領は第二次大戦に関する論文を書いている。で、二一年の七月にウクライナに関する論文を書いているわけですね。
前者は、近年、実は欧州で、一九三九年の独ソ不可侵条約を第二次大戦の事実上の始まりとする歴史観、これ主にポーランドを中心に東欧、中欧諸国が要するにプロモートしている歴史観なわけですけれども、が徐々に有力になって、これ二〇一九年の九月にEUで決議をされるということがありました。それに対してロシア側は、ソ連は約二千七百万人もの犠牲を払ってナチス・ドイツを打倒して多くのユダヤ人を救済したんだと、そういう歴史観をかねてから主張しているということですね。
それから、後者の論文に関しては、ロシアとウクライナの歴史的な一体性を主張するとともに、現キエフ政権が、これはロシア側が言っているんで、私が言っているんじゃないんですけれども、過激なナショナリストとネオナチ主義者による違法なクーデターによって成立した政権であり、その正統性に疑問を呈する内容だったということで、実際に二月二十四日の軍事作戦の開始のプーチン大統領の演説を読むと、NATOの主要国によって支援された過激なナショナリストとネオナチ主義者から成るキエフ政権は、ウクライナ東部において数百万人の人々に対するジェノサイドを実施していると、その特別軍事作戦の目的は八年間キエフ政権からジェノサイドに遭ってきた人々の救済なんだと、そのためにウクライナの非武装化と非ナチ化を目指すんだと、ただしウクライナの領土の占領が目的じゃない、こういう説明をするということだったわけですね。
このように、二月二十四日のプーチン大統領の特別軍事作戦の演説は、このプーチン大統領の第二次大戦に関する論文とウクライナの論文の内容が色濃く反映されたものだったということですね。
それから、もう一つの背景ですね。実はこれも非常に大きいんだと思うんですけど、実はプーチン政権のやっぱり意思決定メカニズムが実は機能不全に陥っているんじゃないかという指摘、それが大統領の情勢判断を誤らせたんじゃないかということですね。
先ほどの二つの理由があったとしても、仮にそれをやったとしても、今回の実は軍事作戦、全然うまくいっていないわけですよね。じゃ、何でこんなうまくいかない軍事作戦を開始したんだということは非常に疑問に残るわけですけれども、これに関しては、一つ参考になるのが、二月二十一日に実はドネツク、ルガンスクの国家承認の是非が議論されたロシアの安全保障会議というのが開かれて、これ公開の場で、映像も公開されたわけですけれども、メンバーのやり取りを見ると、プーチン大統領が一人一人に下問をして、メンバーがもうおっかなびっくりで答えるというような状況が世界中に放映されたわけですけれども、もはやプーチン大統領の決定に誰も反論できないような様子が示されたと。
これに関して、実は、バイデン政権、アメリカのですね、ウィリアム・バーンズCIA長官はこう言っています。プーチン大統領自らがつくり上げたシステムにおいて彼のアドバイザーの輪がどんどん狭くなっており、さらに、コロナの影響でそれは更に狭くなっているんだと、また彼の判断に疑問を呈したり異議を唱えたりすることは更に難しくなっているんだということで。
こういう状況の中で、プーチン大統領は、彼自身がそれを必要だと思っても、実際にやるかどうかはやはりいろんな問題、いろんなプラスマイナスを総合して最終的に判断するものだと思うんですけれども、恐らく今のプーチン大統領の周りには、プーチン大統領がこうしたいということに対してそれを反論をすると、それを総合的に検討して、ロシアにとって何が一番ベストな選択なのかということですね、意思決定をするメカニズムが今どうやら機能していないんじゃないかということ、これが非常に背景としてあるんじゃないかということだと思います。
実際、じゃ、実際この問題起こってしまったということで、じゃ、その地政学的な影響というのはどういうことなのかということで、これ、三つここでは指摘させていただきたいと思っています。
まず、今、小山先生の話にもありましたけれども、やはり中長期的な欧州とロシアの相互依存関係は今後やはり希薄化の方向に向かっていくんじゃないかということですね。
一四年のウクライナ危機以降、アメリカとEUはロシアに経済制裁を科してきて、今回のロシアによるウクライナへの全面侵攻を受けて、両者はロシアに更なる経済制裁を科しているわけですね。御案内のとおり、ドイツも、ガスプロムが主導するロシアとドイツをバルト海で直結するノルドストリーム2の天然ガスパイプラインプロジェクトも停止を発表していると。
ただし、もちろん、EUの経済制裁には今のところエネルギーは含まれていない。今後、石炭が入るか入らないかという今議論が行われているようですけれども、特に、当面、やっぱりロシアからの天然ガスの輸入はこれは継続せざるを得ないということなんだと思います。ちなみに、二〇二一年ですね、EUはロシアから千五百五十億立方メートルですか、の天然ガスを輸入していると。これはEU全体のガス輸入の四五%、それからガス消費の四〇%弱ということで、相当やっぱり大きいわけですね。ただ、いずれにせよ、EUはやっぱり中長期的にはロシアへの天然ガス輸入依存度を大きく下げていくということになるんだろうと思います。
そうなってくると、ロシアは、次、そういう状況の中で、歴史的にロシアはEUとの関係がずっと、まあヨーロッパですよね、ロシアというのは元々ヨーロッパの国なわけで、ヨーロッパとの関係非常に深いわけですけれども、やはり今後、やっぱりロシアの中国への戦略的、経済的な依存度がこれ上がっていかざるを得ないという状況なんだと思います。
二〇一四年のウクライナ危機以降、アメリカとEUから経済制裁を受けて、ロシアは中国との戦略的、経済的な関係を深めてきたわけですね。今回のロシアによるウクライナへの全面侵攻を受けて、アメリカが、EUや、ロシアに更なる経済制裁を科したことで、ロシアは中国への戦略的、経済的な依存度をこれもう一層高めざるを得ないという状況なんだと思います。
アメリカやEUは中国に対してロシアと距離を取るようにということを働きかけているわけですけれども、御案内のとおり、ロシアは今のところ、中国に対して、あっ、中国はですね、ロシアに対してウクライナへの軍事侵攻を直接非難することもしていませんし、国連の非難決議でも一貫して棄権をしているということですね。もちろん経済制裁も科していないということで。
これ、中国、もちろん中国としてみると、アメリカによるロシアに対する経済制裁のもちろんとばっちりは受けたくないでしょうから、そこは非常に慎重にやっているということは間違いないと思うんですけれども、ただし、中国のやはり中長期的な戦略を考えると、やはりアメリカとの大国間競争というのがやはり中国にとっては、特に今の習近平政権にとっては非常に大きな優先順位だと考えると、やはりアメリカ中心の世界秩序の変革という共通の目標を持つロシアとの戦略的関係は維持していく可能性が高いということだと思います。
そうなってくると、この最後なんですけれども、実は、日本とインドというのが今この問題でどう対処するのかというのはある種問われていると。ここで実は対応が微妙に今分かれてきているというのがその状況だと思います。
というのも、実は二〇一四年のウクライナ危機以降、ロシアは先ほど申し上げたとおり中国との戦略的経済関係を深めていったわけですけれども、ただし、同時に、実はロシアというのは、米中の対立時代の到来を見据えて、インド、特にインドの場合は武器の取引が非常に重要で、例えば、これよく言われますけれども、実はインドはロシアに原子力潜水艦をリースを受けています。ですから、インドに対して原子力潜水艦をリースする、できる国というのは恐らく今の時点でロシアしかないんだと思うんですね。これアメリカはできない、やらないと思います。あるいは、S400という地対空ミサイル、非常に性能のいい地対空ミサイルを、これは二〇〇〇年の末に、あっ、二〇〇一年ですね、ごめんなさい、去年ですね、去年の末に購入をしています。
これ、実は今のアメリカの、二〇一七年にできたアメリカのCAATSAという対ロ制裁の法律があるんですけれども、これによると、アメリカはロシアから武器を購入した国に対して制裁を掛けなきゃいけないという法律があって、実はトルコは、ロシアからそのS400を購入したことを受けて実はアメリカから制裁を受けているんですね。ところが、今のところアメリカはインドに対して実は制裁を、S400の購入に関して実は掛けていない。その最大の理由は、インドが中国との関係の中でロシアから武器を購入をしていると、中国に対抗するというか、中国との軍事バランスを維持するためにロシアから武器を購入している。そういうことを総合的に考えて、今のところですね、今のところバイデン政権はインドに対して制裁を掛けていないわけですけれども、そういう関係があるんですね。
日本もエネルギーなどで協力関係を強化を通じて、アメリカはもちろん、中国にも過度には依存しない戦略的自律性を維持した大国としての生き残りを目指してきたわけですね、ロシアは。ただ、我が国は、平和条約問題も加えて、ロシアへの中国の過度な接近は回避したいとの思惑から、我が国も、我が国もロ中が過度に接近するということは嫌なので、同様の戦略観を持つインドとともにロシアに戦略的関与を行ってきたという。安倍政権の対ロ政策というのは、私の理解ですけれども、領土問題、平和条約交渉ももちろんあったと思うんです。そのやはり対中問題というのも非常に戦略的な背景としてあったということだと思います。
ただし、今回のウクライナへ、あの軍事侵攻を受けて、我が国はアメリカやEUとともにロシアへの厳しい制裁を科したと。それに対してインドは、ロシアへの経済制裁を科していないのみならず、むしろロシアとのエネルギー、特に石油ですね、の取引を今増やしているという状況ですね。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻という想定外の事態を受けて、インドは、対中に、中国に念頭置いたクアッド、日米豪印のですね、と、クアッドの枠組みとロシアとの間で微妙なバランス外交を今展開をしていると。
我が国は、G7の枠組みの中で米国や欧州と並んでロシアに厳しい経済制裁を科したわけですけれども、これに対してロシアは平和条約の条約交渉の打切りを通告してきたということで、ロ中関係の更なる深化と相まって、日ロの二国間関係、恐らく今後長期的に低迷期に入っていく可能性はやっぱり高いんだと思うんですね。
ただし、ただしですね、さはさりながら、現在その制裁対象に含まれていないエネルギー分野におけるロシアでの権益については、日本がこれらの権益を手放したとしても、今言ったように、もう中国との関係は接近している、さらにインドも今ロシアとの関係を、彼らは彼らの戦略観でロシアとの関係を維持していくという方向性を打ち出していますので、これらを日本が手放したとしてもやはり彼らが取得していくという可能性が極めて高いと。そうだとすれば、ロシアへの経済制裁の効果というものは極めて限定的になる可能性が高いので、やはり我が国エネルギー安全保障の観点からこれは維持すべきなんじゃないかと私も考えております。
以上でございます。
宮
蓮
蓮見雄#7
○参考人(蓮見雄君) 立教大学の蓮見でございます。
私は、脱ロシア依存を決断したEUの政策からどのような示唆が得られるのかという観点からお話をしたいと思います。(資料映写)
と同時に、まず、今般のエネルギー危機の問題というのは、オイルショックの頃と違っていて、多極化の時代において起こっているということを確認したいと思います。その上で、脱ロシアを選択したEUの政策の可能性と問題点をお話しすると。実はそれが結果的にはEUの経済的安全保障問題というのにつながってきていて、特に恐らく重要になってくるのが対中国関係ということになろうと思います。最後に、日本の選択はいかにというお話をしたいと思います。
この図なんですけれども、IMFが出しているGDPの世界シェアということで、まず折れ線グラフの部分ですけれども、G7全体としてもそうですし、EU、アメリカ、日本、ドイツ、軒並み基本的にはシェアを落としていると。この棒グラフのブルーの部分は、欧米、それから制裁に参加をしている国々のGDPを足し合わせたものです。それに対して、中国と香港、インド、それからASEANを加えたものが緑色の棒グラフです。黄色い部分が日本ということで、そうしますと、実は世界中全てが今ロシアを制裁しているわけではないということが分かってきます。
これはあくまでもイメージ図ですけれども、もう以前から始まっていた問題なんですが、やはりG7を中心とする世界に対して、G20の時代になって、特にインドや中国そしてロシアというものがある種対応、対抗してくるということは今までも起こってきたということです。
次は飛ばしますが、非常に面白いのは、ファイナンシャル・タイムズに面白い記事がありまして、世界の大半は一歩引いた立場を取って成り行きを見守っていると、あるいはロシアを非難したサウジアラビアも実際には人民元の原油決済をもう検討し始めているということで、かなり世界は冷静に見ているということをやっぱり確認しておくべきだということであります。
もう一つ、ではEUはどうなのかというと、一言で言うと、実はロシアのおかげでと言ってはいけませんが、EUのエネルギー政策は大変強化されております。
この図ですけれども、現在EUが取り組んでいるのが欧州グリーンディールというものでございますけれども、これ成長戦略であります。残念ながらEUは、過去二回のリスボン戦略、欧州二〇二〇戦略においては余り成果を上げていないんですけれども、今回、その反省を踏まえて、グリーン成長を中心に置いた戦略を打ち出しております。
注目すべきは黄色くなっている部分ですけれども、ウクライナ、ロシアのガス紛争を契機に、実はEUのエネルギー政策というのは格段に強化されます。それ以前は各国がばらばらにやっていたんですけれども、その二〇〇九年のリスボン条約、基本条約の中に、百九十四条でEUレベルでできるエネルギー政策というのが組み込まれているんですね。これが全てのEUの基礎ですし、今回、脱ロシアを決断するということも打ち出せる一つの秘密であります。ただし、そのベルサイユ宣言あるいはリパワーEUというのは、ロシア依存脱却がスムーズにいくかどうかというのはちょっと分からないところです。いずれにしても、黄色く書いた部分、印をした部分ですけれども、この百九十四条の部分でEUとして強力なエネルギー政策を行えるという法的な根拠があるということであります。
もう一つは、再生可能エネルギーは高いというのは十年前の話でありまして、この十年間でコストが十分の一になっていると、その限りにおいては、EUのグリーンディールというのは成功する可能性は多少はあるということであります。
これが全体の図なんですけれども、基本的には、産業界全体を総動員してグリーンビジネスに展開をするというような壮大な構造になっております。問題は、その具体策として出ているのが欧州新産業戦略です。これ非常に面白いことを言っておりまして、グリーンとデジタルへの移行は競争の本質に影響する地政学的プレートが動く中で生じると言っていまして、これはもう欧州の主権に関わるんだと言っていて、あたかも今日の事態を想定していたような策を出しております。
そのこと自体はすばらしいんですが、そのために、実はヨーロッパの市場統合をベースに、機動的な官民パートナーシップによって、例えばバッテリー同盟であるとかあるいはクリーン水素同盟などというのを始めていますし、産業の移行支援というのも始めているんです。対外的にはオープン・ストラテジック・オートノミーという、開かれた戦略的自律性を追求するルールメーキングを目指す戦略を打ち出しています。
これ自体は大変すばらしいと私は思っていますが、問題なのは、じゃ、具体的に各産業が本当にスムーズに脱炭素できるんですかと、そこの部分は実は非常に曖昧です。それが実はガス価格高騰につながっております。
で、ポイントだけお話ししますと、なぜ秋の段階でガス価格が高騰したのかというと、やはりグリーンへの期待とともに不安が広がったと。実際に産業が欧州委員会が打ち出しているような政策に従ってグリーン化ができるんですかと、それから、化石燃料が本当になくなるんですかということになって、かえって市場の不安を高めてしまったということです。それがガス価格の高騰につながっていくわけです。さらに、今回のウクライナ戦争によって更にガスが上がると、石油が上がるということになって、様々な議論が出ています。
じゃ、グリーンディールを進めればいいじゃないかという議論があるんですけれども、ところが、実はデジタル化とグリーン化というのは新しい資源への依存というのを生み出すんですね。これまさに経済安全保障問題で、もうちょっと後でお話をしますけれども、実はそれをたくさん持っているのが中国だということであります。
その後の資料はちょっと参考にということで御覧いただきたいですが、あと、この十八ページ目の資料は、備蓄がやはりすごく減ったので、当然ガス価格は上がりますというお話です。
それから、その移行経路がなぜ重要なのかということを申しますと、十九枚目のスライドにありますように、一応その脱炭素を目指すということで、温室効果ガスを減らす過去の経緯と展望が描かれているわけです。一番大きいのが、輸送と工業部門と発電です。実績として、輸送部門と工業部門のそのCO2の削減は進んでいません。これを本当にできるんですかという問題と、発電の部分では確かに順調に風力発電、太陽光発電によって減ってきたんですが、もっとたくさん再生可能エネルギーを使うようになると、エネルギーシステム全体を統合すると、デジタル化するということが必要になってきていて、これからが実は大変なんですね。そういう意味では、そんなに簡単ではないと。
で、一応この画面の一番右側の棒グラフが、二〇五〇年の段階でのEUが想定しているエネルギーミックスです。これを見ていただくと、風力、それから太陽光、さらにバイオ燃料をもう劇的に増やすと。その代わりに石油とかガス、特にガスはほとんど要らなくなると。これがもしできるんだったら、そもそも脱ロシアという問題を考えなくても自然にそうなるということになっているわけですけれども、実際には、秋に起こったような問題、風力発電が足りないとガス火力が必要であったというような問題があるということです。その結果として、やはりガスと原子力は当面使わないといけないよねという結論に至ったというところでございます。
さてそれで、ロシア、今回脱ロシア依存ということを打ち出したわけですけれども、これもう一言で言いますと、天然ガスをロシア依存をやめるのはいいんですけど、アメリカのLNGに依存するということです。しかも、アメリカは、それを実は確約していません。そこが大きな問題ですし、じゃ、かといってグリーン化を進めるとどうなるかというと、中国依存です。それを避けるためには実は自律的な産業をつくらないといけないという問題に直面をしております。
こちら、ベルサイユ宣言ということで、特にやはり重要なのがより強力な経済基盤の確立だと私は考えているということでございます。
こちら、この辺りはちょっと参考ということで、二十四ページ、二十五ページ、エネルギーミックスが物すごく違う、ロシア依存度が違うというものの参考資料でございます。
頼りのアメリカのLNGですが、これは実はトランプ大統領の時代から始まっていって、アメリカが売り込んで、ヨーロッパは多角化をしたいのでそれに応じたということです。
さらに、今年三月二十五日に、欧州エネルギー安全保障に関するEU米国共同声明というのが出ています。それを読んで私は驚いたんですが、二〇二二年に十五bcmを供給する努力をしますとしか書いていないんですよ。それは過去の実績より少ないんです。
それから、アメリカがヨーロッパに提供してきたガスというのはお値段次第なんです。ヨーロッパのガスが高ければヨーロッパに売ると、で、アジアのガスが高ければアジアに売るという形で、この実績を見ていただくと分かると思いますが、そういう意味では、ヨーロッパはアメリカのLNGを必ずしも当てにはできないという厳しい状況に置かれるということです。
では、グリーン化を進めればいいじゃないかということになるかもしれません。ところが、問題なのは、この図にありますように、バッテリーであれ、あるいは風力発電であれ、太陽光パネルであれ、ほとんどのものはいわゆるクリティカルローマテリアルズと言われる希少資源、レアメタルというようなものに依存しているんですね。これは既にもう相当に価格が高騰しております。それが、その問題が起こってくると。
それ誰が持っているかというと、この二十八枚目の図が非常に明らかでありまして、ここではEUが指定しているクリティカルローマテリアルズですが、中国が六六%、さらにEU自身も四四%をそれに依存しているという状態があります。なので、グリーン化はすなわち中国依存という可能性があるということです。
二〇二〇年の新産業戦略を二〇二一年にアップデートしているんですけれども、五千二百品目を調べました。そうすると、百三十七品目については、非常に重要な部分を海外の輸入に依存しているということが分かりました。これも御覧のとおり、中国五二%、ベトナム一一%というような数字になっています。これはまずいということになりまして、原料、バッテリー、医薬品原液、水素、半導体、クラウド関連のエッジ技術、これについては産官学の連携でとにかく対応しなきゃいけないというところに今あるわけであります。
さて、もう一つの問題は、畔蒜先生もおっしゃったように、やはり中国です。簡単に言うと、ロシアはヨーロッパ離れをしてきたんですけれども、それは、一言で言うと、ドイツ依存から中国依存に変えたということです。これは、近年の中国への依存とかインドへの依存というのの変化、若干増えているというお話の確認ですが、それから、中国は、特に二〇一〇年以降、やっぱり急速にロシア、中国の貿易関係は増えていると。この背景には、そこに若干書いてありますけれども、やはり石油であるとか天然ガスのパイプラインをアジア向けに敷設してきたという事実があります。これ、二〇〇一年と二〇二〇年のロシアの資源、これは石油、天然ガスだけではないですけれども、いろんな資源を見ますと、やはりアジア向けが増えているということです。
驚くべきことは、産業用機械、設備、これが二十年の間にドイツではなくて中国に依存すると、それから、電気機器、設備においてももう圧倒的にドイツから中国へと、さらに、半導体についてもドイツから中国へということで、この二十年の間にドイツと中国の価値がロシアにとっても完全に逆転したということです。
こちらが問題になっているシベリアの力とシベリアの力2という天然ガスのパイプラインなどのお話ですけれども、画面上の緑色のライン、これが石油のパイプラインですが、これを造ることによって、ロシアはヨーロッパ向けの資源輸出からアジア向けという体制を整えつつあるということです。紫色のシベリアの力2というのは、すぐにはできないです、五年ぐらいは掛かりますが、しかし、もしこれができたら、今までヨーロッパ向けに送られていた西シベリアのガスが中国に向かうということになります。もちろん交渉力は明らかに中国の方が高いですから、相当にロシアは買いたたかれるとは思いますが、ロシアとしてはやらざるを得ないというふうになっていると思います。
もう一つ、これは金融制裁とも関わりますけれども、ロシアは近年、脱ドルを模索してきました。中央銀行の外貨準備で見ても、ドルを思いっ切り減らして、金と人民元に替えていると。現実には、ユーロ、ドルは凍結されて使えないので手元には金と人民元しかないわけですが、これ、でも、BRICS諸国に対する貿易についてもやはりルーブルであるとかユーロであるという対応を取ってきたということです。
中国との貿易でいいますと、やはり圧倒的に実はユーロが多くなっていたわけですが、既にルーブル建てや人民元建ての決済も行われているという事実があります。
この問題は、実は金融制裁、SWIFT排除という問題とも関わるわけです。皆さん御案内のとおり、SWIFTは圧倒的に強い力がありますから、とてもロシア、中国、対抗はできませんけれども、しかしながら、ロシアとしてもSPESという独自のシステム、それからCIPSという中国のシステムなどがあります。それから、暗号資産についてはG7がそれを塞ぐということをやっているので、相当にロシアが苦しいのは確かです。ただし、ルーブル決済、人民元決済、それからルピー決済、場合によってはドンであるとか、そういう国民通貨建ての決済を行うということは不可能ではないので、そういうことをロシアは何とか考えていると。
それとの関係で恐らくガスをルーブルで払えというような話が出てくるんですが、これ、スキームとしてはここに説明しているので御参考までということです。
で、大事なのはこちらですけれども、まず、四十四枚目、ロシアの経済制裁に関してですが、ロシアに対して主なもので特に重要なのがアメリカのSDNですけれども、これ二次制裁も含まれますので、これ中国への警告になっているということと、それから、輸出規制に関しても直接製品規制の拡大適用というのをやっていまして、これファーウェイなんかが対象にしたものなので、中国への警告になっているので、大変効果があるのは間違いがないです。
さてそれで、この四十五枚目と四十六枚目が非常に重要なんですが、まずエネルギーミックスが国によって全然違う、それから自給率も全然違うということですけれども、一番上に書きましたアメリカ、イギリス、まあカナダもそうですけれども、こちらは自給率が非常に高いので、ロシアに経済制裁をしても困らないと。むしろ価格が上がれば利益が出るという状態です。
ドイツは、一応脱原発方針ですけれども、再エネが発達をしています。EUとしての脱炭素化を主導するということによって脱ロシア依存を図るということになろうかと思います。フランスは原発大国です。重要なのは、その原発大国と再生可能エネルギー大国のドイツがエネルギー統合しているということなので、非常に補完関係が高いので、ヨーロッパは脱ロシアというのを考えることができるということです。
ただし、黄色くなっているところに書いてございますように、秋のやっぱり価格高騰の問題というのは、実際に各産業界が脱炭素のビジネスモデルに転換していけるでしょうかと、その展望がなかったんじゃないでしょうかと。で、その結果として、天然ガスや原子力をやはり使うということも考えなきゃいけないということになったということです。
日本はどうなのかというと、まずエネルギーインフラ、ハード、ソフト面において、これ再エネを使う条件が大変遅れています。それから、圧倒的に中東地域に依存している状態です。そうしますと、化石燃料の確保というのは本当にヨーロッパの国以上に非常に重要になると。原発についても、有事の際のリスクの問題とか、なかなか新設をするというのは難しい状況があるわけで、そうすると、化石燃料を確保するというのは日本にとっては死活問題だと私は思います。
さて、もう一つ、では、それでも欧米の企業が撤退しているんだから、日本も撤退するべきだという議論があります。色分けしていますが、外国の企業が参加しているプロジェクトですけれども、BP、シェルなどが売却ないし撤退方針ですけれども、じゃ、売却したら誰が買うんですかという問題があります。それから、独、仏は新規投資を停止していますけれども、実は様子見の部分もあって、特にフランスのトタールの動きは着目すべきです。インド、中国系は、企業としては方針を出していませんが、国としては協力する方針です。
じゃ、日本はどうなんですかということで、やはり、撤退した後に上流権益は誰の手に入るのかということがやはりポイントではないかというふうに思います。
さてそれで、あと、こちらは日本がどれぐらいロシアに依存をしているかという参考資料でございますので、御覧いただいて。
五十一枚目ですけれども、これが日本企業が参加しているプロジェクトで、確かに、例えばサハリン1からエクソンが撤退をしていると。じゃ、SODECOさんはどうするんだというのがあるわけですけれども、ただ、これインドが参加をしていますので、出ていけば当然インドがシェアを増やすだろうということになります。
ヤマルLNGというのは、実はもう中国が助けたプロジェクトでもあります。そういうことで、日本が撤退をするということは、すなわち中国を助けるというようなことになってしまって、間接的にロシアを助けるということになるんじゃないかということです。
最後、済みません、時間が超過していますが、まず、日本はロシアと関係を絶つという選択肢があるかないかといえば、なくはないと思います。ただ、今申し上げたように、その権益を中国やインドが手にするということは、すなわち間接的にロシアを支援することになると。そうすると、制裁効果を減じる可能性というのはあるんじゃないでしょうかと。
それから、やはりロシアは隣国なんですね。イギリスとかアメリカの場合と状況が違っていて、例えばフィンランドなどは、制裁にはもちろん参加しているんですけれども、制裁対象以外の河川交通なんかは再開をする意向であります。
それからもう一つは、この上流権益というのは常にリスクがあるわけですけれども、やっぱり撤退する企業に対して何らかのサポートをしてあげないと、二度とそういう事業に手を出してくれる企業がなくなってしまうと、そういう問題があります。
いずれにしても、各国、エネルギーの事情を考慮した対応を取っているので、日本も自らのエネルギー事情をやっぱり考えると。それから、特にヨーロッパ系の企業の動向を踏まえて政策選択をすべきではないかというのが私の考えです。
それから、やはり一番重要なのは、実はエネルギーを確保すると同時に、各産業が脱炭素化に移行できるようなサポートを実際に考えなきゃいけないと、そういうことがやはり重要ではないかということでございます。
ということで、私のお話、以上でございます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は、脱ロシア依存を決断したEUの政策からどのような示唆が得られるのかという観点からお話をしたいと思います。(資料映写)
と同時に、まず、今般のエネルギー危機の問題というのは、オイルショックの頃と違っていて、多極化の時代において起こっているということを確認したいと思います。その上で、脱ロシアを選択したEUの政策の可能性と問題点をお話しすると。実はそれが結果的にはEUの経済的安全保障問題というのにつながってきていて、特に恐らく重要になってくるのが対中国関係ということになろうと思います。最後に、日本の選択はいかにというお話をしたいと思います。
この図なんですけれども、IMFが出しているGDPの世界シェアということで、まず折れ線グラフの部分ですけれども、G7全体としてもそうですし、EU、アメリカ、日本、ドイツ、軒並み基本的にはシェアを落としていると。この棒グラフのブルーの部分は、欧米、それから制裁に参加をしている国々のGDPを足し合わせたものです。それに対して、中国と香港、インド、それからASEANを加えたものが緑色の棒グラフです。黄色い部分が日本ということで、そうしますと、実は世界中全てが今ロシアを制裁しているわけではないということが分かってきます。
これはあくまでもイメージ図ですけれども、もう以前から始まっていた問題なんですが、やはりG7を中心とする世界に対して、G20の時代になって、特にインドや中国そしてロシアというものがある種対応、対抗してくるということは今までも起こってきたということです。
次は飛ばしますが、非常に面白いのは、ファイナンシャル・タイムズに面白い記事がありまして、世界の大半は一歩引いた立場を取って成り行きを見守っていると、あるいはロシアを非難したサウジアラビアも実際には人民元の原油決済をもう検討し始めているということで、かなり世界は冷静に見ているということをやっぱり確認しておくべきだということであります。
もう一つ、ではEUはどうなのかというと、一言で言うと、実はロシアのおかげでと言ってはいけませんが、EUのエネルギー政策は大変強化されております。
この図ですけれども、現在EUが取り組んでいるのが欧州グリーンディールというものでございますけれども、これ成長戦略であります。残念ながらEUは、過去二回のリスボン戦略、欧州二〇二〇戦略においては余り成果を上げていないんですけれども、今回、その反省を踏まえて、グリーン成長を中心に置いた戦略を打ち出しております。
注目すべきは黄色くなっている部分ですけれども、ウクライナ、ロシアのガス紛争を契機に、実はEUのエネルギー政策というのは格段に強化されます。それ以前は各国がばらばらにやっていたんですけれども、その二〇〇九年のリスボン条約、基本条約の中に、百九十四条でEUレベルでできるエネルギー政策というのが組み込まれているんですね。これが全てのEUの基礎ですし、今回、脱ロシアを決断するということも打ち出せる一つの秘密であります。ただし、そのベルサイユ宣言あるいはリパワーEUというのは、ロシア依存脱却がスムーズにいくかどうかというのはちょっと分からないところです。いずれにしても、黄色く書いた部分、印をした部分ですけれども、この百九十四条の部分でEUとして強力なエネルギー政策を行えるという法的な根拠があるということであります。
もう一つは、再生可能エネルギーは高いというのは十年前の話でありまして、この十年間でコストが十分の一になっていると、その限りにおいては、EUのグリーンディールというのは成功する可能性は多少はあるということであります。
これが全体の図なんですけれども、基本的には、産業界全体を総動員してグリーンビジネスに展開をするというような壮大な構造になっております。問題は、その具体策として出ているのが欧州新産業戦略です。これ非常に面白いことを言っておりまして、グリーンとデジタルへの移行は競争の本質に影響する地政学的プレートが動く中で生じると言っていまして、これはもう欧州の主権に関わるんだと言っていて、あたかも今日の事態を想定していたような策を出しております。
そのこと自体はすばらしいんですが、そのために、実はヨーロッパの市場統合をベースに、機動的な官民パートナーシップによって、例えばバッテリー同盟であるとかあるいはクリーン水素同盟などというのを始めていますし、産業の移行支援というのも始めているんです。対外的にはオープン・ストラテジック・オートノミーという、開かれた戦略的自律性を追求するルールメーキングを目指す戦略を打ち出しています。
これ自体は大変すばらしいと私は思っていますが、問題なのは、じゃ、具体的に各産業が本当にスムーズに脱炭素できるんですかと、そこの部分は実は非常に曖昧です。それが実はガス価格高騰につながっております。
で、ポイントだけお話ししますと、なぜ秋の段階でガス価格が高騰したのかというと、やはりグリーンへの期待とともに不安が広がったと。実際に産業が欧州委員会が打ち出しているような政策に従ってグリーン化ができるんですかと、それから、化石燃料が本当になくなるんですかということになって、かえって市場の不安を高めてしまったということです。それがガス価格の高騰につながっていくわけです。さらに、今回のウクライナ戦争によって更にガスが上がると、石油が上がるということになって、様々な議論が出ています。
じゃ、グリーンディールを進めればいいじゃないかという議論があるんですけれども、ところが、実はデジタル化とグリーン化というのは新しい資源への依存というのを生み出すんですね。これまさに経済安全保障問題で、もうちょっと後でお話をしますけれども、実はそれをたくさん持っているのが中国だということであります。
その後の資料はちょっと参考にということで御覧いただきたいですが、あと、この十八ページ目の資料は、備蓄がやはりすごく減ったので、当然ガス価格は上がりますというお話です。
それから、その移行経路がなぜ重要なのかということを申しますと、十九枚目のスライドにありますように、一応その脱炭素を目指すということで、温室効果ガスを減らす過去の経緯と展望が描かれているわけです。一番大きいのが、輸送と工業部門と発電です。実績として、輸送部門と工業部門のそのCO2の削減は進んでいません。これを本当にできるんですかという問題と、発電の部分では確かに順調に風力発電、太陽光発電によって減ってきたんですが、もっとたくさん再生可能エネルギーを使うようになると、エネルギーシステム全体を統合すると、デジタル化するということが必要になってきていて、これからが実は大変なんですね。そういう意味では、そんなに簡単ではないと。
で、一応この画面の一番右側の棒グラフが、二〇五〇年の段階でのEUが想定しているエネルギーミックスです。これを見ていただくと、風力、それから太陽光、さらにバイオ燃料をもう劇的に増やすと。その代わりに石油とかガス、特にガスはほとんど要らなくなると。これがもしできるんだったら、そもそも脱ロシアという問題を考えなくても自然にそうなるということになっているわけですけれども、実際には、秋に起こったような問題、風力発電が足りないとガス火力が必要であったというような問題があるということです。その結果として、やはりガスと原子力は当面使わないといけないよねという結論に至ったというところでございます。
さてそれで、ロシア、今回脱ロシア依存ということを打ち出したわけですけれども、これもう一言で言いますと、天然ガスをロシア依存をやめるのはいいんですけど、アメリカのLNGに依存するということです。しかも、アメリカは、それを実は確約していません。そこが大きな問題ですし、じゃ、かといってグリーン化を進めるとどうなるかというと、中国依存です。それを避けるためには実は自律的な産業をつくらないといけないという問題に直面をしております。
こちら、ベルサイユ宣言ということで、特にやはり重要なのがより強力な経済基盤の確立だと私は考えているということでございます。
こちら、この辺りはちょっと参考ということで、二十四ページ、二十五ページ、エネルギーミックスが物すごく違う、ロシア依存度が違うというものの参考資料でございます。
頼りのアメリカのLNGですが、これは実はトランプ大統領の時代から始まっていって、アメリカが売り込んで、ヨーロッパは多角化をしたいのでそれに応じたということです。
さらに、今年三月二十五日に、欧州エネルギー安全保障に関するEU米国共同声明というのが出ています。それを読んで私は驚いたんですが、二〇二二年に十五bcmを供給する努力をしますとしか書いていないんですよ。それは過去の実績より少ないんです。
それから、アメリカがヨーロッパに提供してきたガスというのはお値段次第なんです。ヨーロッパのガスが高ければヨーロッパに売ると、で、アジアのガスが高ければアジアに売るという形で、この実績を見ていただくと分かると思いますが、そういう意味では、ヨーロッパはアメリカのLNGを必ずしも当てにはできないという厳しい状況に置かれるということです。
では、グリーン化を進めればいいじゃないかということになるかもしれません。ところが、問題なのは、この図にありますように、バッテリーであれ、あるいは風力発電であれ、太陽光パネルであれ、ほとんどのものはいわゆるクリティカルローマテリアルズと言われる希少資源、レアメタルというようなものに依存しているんですね。これは既にもう相当に価格が高騰しております。それが、その問題が起こってくると。
それ誰が持っているかというと、この二十八枚目の図が非常に明らかでありまして、ここではEUが指定しているクリティカルローマテリアルズですが、中国が六六%、さらにEU自身も四四%をそれに依存しているという状態があります。なので、グリーン化はすなわち中国依存という可能性があるということです。
二〇二〇年の新産業戦略を二〇二一年にアップデートしているんですけれども、五千二百品目を調べました。そうすると、百三十七品目については、非常に重要な部分を海外の輸入に依存しているということが分かりました。これも御覧のとおり、中国五二%、ベトナム一一%というような数字になっています。これはまずいということになりまして、原料、バッテリー、医薬品原液、水素、半導体、クラウド関連のエッジ技術、これについては産官学の連携でとにかく対応しなきゃいけないというところに今あるわけであります。
さて、もう一つの問題は、畔蒜先生もおっしゃったように、やはり中国です。簡単に言うと、ロシアはヨーロッパ離れをしてきたんですけれども、それは、一言で言うと、ドイツ依存から中国依存に変えたということです。これは、近年の中国への依存とかインドへの依存というのの変化、若干増えているというお話の確認ですが、それから、中国は、特に二〇一〇年以降、やっぱり急速にロシア、中国の貿易関係は増えていると。この背景には、そこに若干書いてありますけれども、やはり石油であるとか天然ガスのパイプラインをアジア向けに敷設してきたという事実があります。これ、二〇〇一年と二〇二〇年のロシアの資源、これは石油、天然ガスだけではないですけれども、いろんな資源を見ますと、やはりアジア向けが増えているということです。
驚くべきことは、産業用機械、設備、これが二十年の間にドイツではなくて中国に依存すると、それから、電気機器、設備においてももう圧倒的にドイツから中国へと、さらに、半導体についてもドイツから中国へということで、この二十年の間にドイツと中国の価値がロシアにとっても完全に逆転したということです。
こちらが問題になっているシベリアの力とシベリアの力2という天然ガスのパイプラインなどのお話ですけれども、画面上の緑色のライン、これが石油のパイプラインですが、これを造ることによって、ロシアはヨーロッパ向けの資源輸出からアジア向けという体制を整えつつあるということです。紫色のシベリアの力2というのは、すぐにはできないです、五年ぐらいは掛かりますが、しかし、もしこれができたら、今までヨーロッパ向けに送られていた西シベリアのガスが中国に向かうということになります。もちろん交渉力は明らかに中国の方が高いですから、相当にロシアは買いたたかれるとは思いますが、ロシアとしてはやらざるを得ないというふうになっていると思います。
もう一つ、これは金融制裁とも関わりますけれども、ロシアは近年、脱ドルを模索してきました。中央銀行の外貨準備で見ても、ドルを思いっ切り減らして、金と人民元に替えていると。現実には、ユーロ、ドルは凍結されて使えないので手元には金と人民元しかないわけですが、これ、でも、BRICS諸国に対する貿易についてもやはりルーブルであるとかユーロであるという対応を取ってきたということです。
中国との貿易でいいますと、やはり圧倒的に実はユーロが多くなっていたわけですが、既にルーブル建てや人民元建ての決済も行われているという事実があります。
この問題は、実は金融制裁、SWIFT排除という問題とも関わるわけです。皆さん御案内のとおり、SWIFTは圧倒的に強い力がありますから、とてもロシア、中国、対抗はできませんけれども、しかしながら、ロシアとしてもSPESという独自のシステム、それからCIPSという中国のシステムなどがあります。それから、暗号資産についてはG7がそれを塞ぐということをやっているので、相当にロシアが苦しいのは確かです。ただし、ルーブル決済、人民元決済、それからルピー決済、場合によってはドンであるとか、そういう国民通貨建ての決済を行うということは不可能ではないので、そういうことをロシアは何とか考えていると。
それとの関係で恐らくガスをルーブルで払えというような話が出てくるんですが、これ、スキームとしてはここに説明しているので御参考までということです。
で、大事なのはこちらですけれども、まず、四十四枚目、ロシアの経済制裁に関してですが、ロシアに対して主なもので特に重要なのがアメリカのSDNですけれども、これ二次制裁も含まれますので、これ中国への警告になっているということと、それから、輸出規制に関しても直接製品規制の拡大適用というのをやっていまして、これファーウェイなんかが対象にしたものなので、中国への警告になっているので、大変効果があるのは間違いがないです。
さてそれで、この四十五枚目と四十六枚目が非常に重要なんですが、まずエネルギーミックスが国によって全然違う、それから自給率も全然違うということですけれども、一番上に書きましたアメリカ、イギリス、まあカナダもそうですけれども、こちらは自給率が非常に高いので、ロシアに経済制裁をしても困らないと。むしろ価格が上がれば利益が出るという状態です。
ドイツは、一応脱原発方針ですけれども、再エネが発達をしています。EUとしての脱炭素化を主導するということによって脱ロシア依存を図るということになろうかと思います。フランスは原発大国です。重要なのは、その原発大国と再生可能エネルギー大国のドイツがエネルギー統合しているということなので、非常に補完関係が高いので、ヨーロッパは脱ロシアというのを考えることができるということです。
ただし、黄色くなっているところに書いてございますように、秋のやっぱり価格高騰の問題というのは、実際に各産業界が脱炭素のビジネスモデルに転換していけるでしょうかと、その展望がなかったんじゃないでしょうかと。で、その結果として、天然ガスや原子力をやはり使うということも考えなきゃいけないということになったということです。
日本はどうなのかというと、まずエネルギーインフラ、ハード、ソフト面において、これ再エネを使う条件が大変遅れています。それから、圧倒的に中東地域に依存している状態です。そうしますと、化石燃料の確保というのは本当にヨーロッパの国以上に非常に重要になると。原発についても、有事の際のリスクの問題とか、なかなか新設をするというのは難しい状況があるわけで、そうすると、化石燃料を確保するというのは日本にとっては死活問題だと私は思います。
さて、もう一つ、では、それでも欧米の企業が撤退しているんだから、日本も撤退するべきだという議論があります。色分けしていますが、外国の企業が参加しているプロジェクトですけれども、BP、シェルなどが売却ないし撤退方針ですけれども、じゃ、売却したら誰が買うんですかという問題があります。それから、独、仏は新規投資を停止していますけれども、実は様子見の部分もあって、特にフランスのトタールの動きは着目すべきです。インド、中国系は、企業としては方針を出していませんが、国としては協力する方針です。
じゃ、日本はどうなんですかということで、やはり、撤退した後に上流権益は誰の手に入るのかということがやはりポイントではないかというふうに思います。
さてそれで、あと、こちらは日本がどれぐらいロシアに依存をしているかという参考資料でございますので、御覧いただいて。
五十一枚目ですけれども、これが日本企業が参加しているプロジェクトで、確かに、例えばサハリン1からエクソンが撤退をしていると。じゃ、SODECOさんはどうするんだというのがあるわけですけれども、ただ、これインドが参加をしていますので、出ていけば当然インドがシェアを増やすだろうということになります。
ヤマルLNGというのは、実はもう中国が助けたプロジェクトでもあります。そういうことで、日本が撤退をするということは、すなわち中国を助けるというようなことになってしまって、間接的にロシアを助けるということになるんじゃないかということです。
最後、済みません、時間が超過していますが、まず、日本はロシアと関係を絶つという選択肢があるかないかといえば、なくはないと思います。ただ、今申し上げたように、その権益を中国やインドが手にするということは、すなわち間接的にロシアを支援することになると。そうすると、制裁効果を減じる可能性というのはあるんじゃないでしょうかと。
それから、やはりロシアは隣国なんですね。イギリスとかアメリカの場合と状況が違っていて、例えばフィンランドなどは、制裁にはもちろん参加しているんですけれども、制裁対象以外の河川交通なんかは再開をする意向であります。
それからもう一つは、この上流権益というのは常にリスクがあるわけですけれども、やっぱり撤退する企業に対して何らかのサポートをしてあげないと、二度とそういう事業に手を出してくれる企業がなくなってしまうと、そういう問題があります。
いずれにしても、各国、エネルギーの事情を考慮した対応を取っているので、日本も自らのエネルギー事情をやっぱり考えると。それから、特にヨーロッパ系の企業の動向を踏まえて政策選択をすべきではないかというのが私の考えです。
それから、やはり一番重要なのは、実はエネルギーを確保すると同時に、各産業が脱炭素化に移行できるようなサポートを実際に考えなきゃいけないと、そういうことがやはり重要ではないかということでございます。
ということで、私のお話、以上でございます。ありがとうございました。
宮
宮沢洋一#8
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
なお、質疑者は参考人が答弁しやすいように質問の冒頭に答弁者を明示願います。
質疑のある方は順次御発言を願います。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
なお、質疑者は参考人が答弁しやすいように質問の冒頭に答弁者を明示願います。
質疑のある方は順次御発言を願います。
高
高野光二郎#9
○高野光二郎君 自民党の高知県の高野光二郎と申します。
今日は、エネルギーに特化してお伺いしたいと思いますので、小山先生、蓮見先生の順番でよろしくお願いします。
先ほど、エネルギーのその自給について、上流の話がございました、川上の話でございます。英国のBP、英シェル、米エクソンモービルなどがロシアから撤退をして、サハリン1、2から撤退が始まっていると。G7で経済制裁するに当たって、このエネルギー分野に対して制裁を強めるには、かなりそれに見合う、それ以上の返り血を浴びる可能性があるというふうに考えております。とりわけ、日本は自給率も低いんで、相当な返り血が浴びるんではないかというふうに思っております。
しかし、今までの石油、天然ガスにつきましても、かなり中東に依存をしまくっていたために、中東でも有事が直近でもございました、こういったリスクを回避するためには、このサハリン2、日本政府、企業がかなり投資をしておりますので、そう簡単には撤退には私もならない、してはいけないというふうに思っておりますが、この辺についてもう少し踏み込んでお伺いしたいと思うんですが、もしこれが日本の政府、企業が撤退した場合、どこの国がその権益を取って、日本にどういう影響を与えるのか、お伺いしたいです。
この発言だけを見る →今日は、エネルギーに特化してお伺いしたいと思いますので、小山先生、蓮見先生の順番でよろしくお願いします。
先ほど、エネルギーのその自給について、上流の話がございました、川上の話でございます。英国のBP、英シェル、米エクソンモービルなどがロシアから撤退をして、サハリン1、2から撤退が始まっていると。G7で経済制裁するに当たって、このエネルギー分野に対して制裁を強めるには、かなりそれに見合う、それ以上の返り血を浴びる可能性があるというふうに考えております。とりわけ、日本は自給率も低いんで、相当な返り血が浴びるんではないかというふうに思っております。
しかし、今までの石油、天然ガスにつきましても、かなり中東に依存をしまくっていたために、中東でも有事が直近でもございました、こういったリスクを回避するためには、このサハリン2、日本政府、企業がかなり投資をしておりますので、そう簡単には撤退には私もならない、してはいけないというふうに思っておりますが、この辺についてもう少し踏み込んでお伺いしたいと思うんですが、もしこれが日本の政府、企業が撤退した場合、どこの国がその権益を取って、日本にどういう影響を与えるのか、お伺いしたいです。
宮
高
宮
小
小山堅#13
○参考人(小山堅君) 御質問ありがとうございます。
今御質問の中で御指摘された点、大変重要だというふうに私は思っておりまして、日本の場合は、エネルギー自給率が低い、そして中東依存度が高いという中で、安全保障のため上流開発と分散化、その一つの成果がロシア、サハリンというところだったと。
今回、そのロシアの場合は、サハリンの場合は、その分散化と同時に、地理的に日本に近い供給源である、これも一つの特徴なわけです。そういう、ある意味でいくとアドバンテージというか有利な点を持った供給源、今回このウクライナ危機で確かにもうまさにアメリカ、ヨーロッパのメジャーは撤退をするということになったわけですが、元々、バイデン大統領が対ロの原油の禁輸をするときも、同盟国とこれを十分協議したけれども、そのエネルギーの禁輸に関してはそれぞれの国の事情で全く同じにできないということは分かっているとの趣旨の御発言もありました。
まさにこの分野に関しては、日本は日本のエネルギー安定供給を守るというところをしっかりと考えて対応しないといけない。その意味において、先ほど蓮見先生からもお話があったとおり、仮に日本がこの後、撤退ということを考えたとしても、恐らくこれは他の企業にとってみれば、特に中国、インド、そしてなかんずく、先ほど、中国は日本と同じようにサハリンからの距離は非常に近い、それからインドの場合も例えばスワップをするとかいろんな手を使いますので、極めて魅力のあるそういう権益だというふうに思うと私は思っています。
その意味において、もし仮にそれが、単に日本が出て、中国、インドの企業が取ったとすれば、制裁の効きというのはほとんどないというふうに考えるべきであって、その点も併せて、日本はここから簡単に撤退すべきではないというのが私の意見でございます。
この発言だけを見る →今御質問の中で御指摘された点、大変重要だというふうに私は思っておりまして、日本の場合は、エネルギー自給率が低い、そして中東依存度が高いという中で、安全保障のため上流開発と分散化、その一つの成果がロシア、サハリンというところだったと。
今回、そのロシアの場合は、サハリンの場合は、その分散化と同時に、地理的に日本に近い供給源である、これも一つの特徴なわけです。そういう、ある意味でいくとアドバンテージというか有利な点を持った供給源、今回このウクライナ危機で確かにもうまさにアメリカ、ヨーロッパのメジャーは撤退をするということになったわけですが、元々、バイデン大統領が対ロの原油の禁輸をするときも、同盟国とこれを十分協議したけれども、そのエネルギーの禁輸に関してはそれぞれの国の事情で全く同じにできないということは分かっているとの趣旨の御発言もありました。
まさにこの分野に関しては、日本は日本のエネルギー安定供給を守るというところをしっかりと考えて対応しないといけない。その意味において、先ほど蓮見先生からもお話があったとおり、仮に日本がこの後、撤退ということを考えたとしても、恐らくこれは他の企業にとってみれば、特に中国、インド、そしてなかんずく、先ほど、中国は日本と同じようにサハリンからの距離は非常に近い、それからインドの場合も例えばスワップをするとかいろんな手を使いますので、極めて魅力のあるそういう権益だというふうに思うと私は思っています。
その意味において、もし仮にそれが、単に日本が出て、中国、インドの企業が取ったとすれば、制裁の効きというのはほとんどないというふうに考えるべきであって、その点も併せて、日本はここから簡単に撤退すべきではないというのが私の意見でございます。
宮
蓮
蓮見雄#15
○参考人(蓮見雄君) 蓮見でございます。
小山先生のおっしゃったとおりなんですけれども、ロシアは中国に追加で百億を、追加で天然ガスを供給すると約束をしています。実は、その供給元に想定されている部分が制裁が掛かっていて、本当に生産できるかどうか分からないんです。それで、日本企業が撤退すると、もう日本に売らないでその分を中国に回すということになると、ロシアとしては中国との約束が果たせるということになるので両者の関係が良くなってしまうと、それを日本としてどう評価するのかなということになるかと思います。
この発言だけを見る →小山先生のおっしゃったとおりなんですけれども、ロシアは中国に追加で百億を、追加で天然ガスを供給すると約束をしています。実は、その供給元に想定されている部分が制裁が掛かっていて、本当に生産できるかどうか分からないんです。それで、日本企業が撤退すると、もう日本に売らないでその分を中国に回すということになると、ロシアとしては中国との約束が果たせるということになるので両者の関係が良くなってしまうと、それを日本としてどう評価するのかなということになるかと思います。
高
高野光二郎#16
○高野光二郎君 今、川上、上流のお話していただきましたが、岸田総理が、四月末までに、ウクライナ情勢におけるエネルギー、物価高騰等に対して、できるだけ国民生活に悪影響が生じないように、混乱が生じないように四月中にその緊急経済対策をしっかりまとめよといったことで、自民党とか与党でもその中身について今協議をしているところでございますが、とにかく物価も高くなって、そして賃金もなかなか上がらない、エネルギー代は高い、ガスにしても電気にしても過去最大に高くなってきている。
そういった中で、この中流、何ですか、国民生活により影響が大きくならないように緩和が、少しでも痛みが少ないようにするための重要なそのポイント、この経済対策の重要なポイントとかありましたら、その質とスピード、両方踏まえて御教示いただければと思います。
小山先生と蓮見先生、よろしくお願いします。
この発言だけを見る →そういった中で、この中流、何ですか、国民生活により影響が大きくならないように緩和が、少しでも痛みが少ないようにするための重要なそのポイント、この経済対策の重要なポイントとかありましたら、その質とスピード、両方踏まえて御教示いただければと思います。
小山先生と蓮見先生、よろしくお願いします。
小
小山堅#17
○参考人(小山堅君) 御質問ありがとうございます。
昨年の十月以降、エネルギーの補助金というのも日本で入って、それの強化というのが進んでまいりました。この流れは、やはりエネルギーがもうどうしても市民生活上必要なものであり、価格が少し上がったからといって使うのをやめるということにならない。そうすると、価格が上昇した分は丸々消費者にとってみれば追加で支払になり、それは可処分所得を低下させ、日本の消費を減少させるという極めて大きな問題を起こします。そして同時に、エネルギーコストは企業にとっての経営を圧迫するという意味で、ミクロ的に見たらこれは大変な問題であり、かつマクロ的に見れば日本国から国富がどんどんと流出していく。これを防ぐためにやっぱり本格的に対策をやっていただくというのが私は必要だと思います。
今、世界の中でその補助金的な対応というのをやっているのは、ヨーロッパ、それからアメリカの州の一部、日本と、いろいろと拡大しています。これをどのぐらいまでできるのか、まさにこの財政的な問題もありますけれども、どのぐらいまでできるのかというものをしっかりと見極めて、あとは、やっぱり私、どうしても本格的なエネルギー安定供給対策の方ももっとしっかりやっていただきたいというふうに思っています。
これは、日本の政府として是非これを進めていただきたいというふうに強く思っておりまして、特にドイツのG7に向けても、この問題が極めて世界で重要であり、先進国として一体でやる必要があるということを是非発信していただければというふうに思っております。
この発言だけを見る →昨年の十月以降、エネルギーの補助金というのも日本で入って、それの強化というのが進んでまいりました。この流れは、やはりエネルギーがもうどうしても市民生活上必要なものであり、価格が少し上がったからといって使うのをやめるということにならない。そうすると、価格が上昇した分は丸々消費者にとってみれば追加で支払になり、それは可処分所得を低下させ、日本の消費を減少させるという極めて大きな問題を起こします。そして同時に、エネルギーコストは企業にとっての経営を圧迫するという意味で、ミクロ的に見たらこれは大変な問題であり、かつマクロ的に見れば日本国から国富がどんどんと流出していく。これを防ぐためにやっぱり本格的に対策をやっていただくというのが私は必要だと思います。
今、世界の中でその補助金的な対応というのをやっているのは、ヨーロッパ、それからアメリカの州の一部、日本と、いろいろと拡大しています。これをどのぐらいまでできるのか、まさにこの財政的な問題もありますけれども、どのぐらいまでできるのかというものをしっかりと見極めて、あとは、やっぱり私、どうしても本格的なエネルギー安定供給対策の方ももっとしっかりやっていただきたいというふうに思っています。
これは、日本の政府として是非これを進めていただきたいというふうに強く思っておりまして、特にドイツのG7に向けても、この問題が極めて世界で重要であり、先進国として一体でやる必要があるということを是非発信していただければというふうに思っております。
蓮
蓮見雄#18
○参考人(蓮見雄君) これは、私、本当にすぐにやっていただきたいと思っているんですけれども、今日はお話しできなかったんですけれども、ヨーロッパではリノベーション・ウエーブというのをやっています。つまり、各家庭の断熱性能を上げると、それによって実はそれがエネルギーを生むのと同じ効果を持つわけですね。
しかも、実は本当に人々の生活のすぐそばで新しい雇用が生まれるんですね。これ、すぐできるんですよ。なので、各家庭の断熱性能を上げるとか太陽光パネルを設置するとか、そういうものに対するパッケージの政策を出すと、これは効果もすぐ発揮されますので、本当に是非すぐにやってほしいと思っています。
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高
野
野田国義#20
○野田国義君 立憲民主党の野田国義です。
小山先生の方にちょっとお聞きしたいと思いますが、先ほど自主開発における成功拠点、先ほども高野さんから話あった、サハリン2とかを指しているというようなお話でございましたけれども、これ、ほかにも可能性はあるんでしょうか、そのサハリン2、次に続くようなですね。ここ、本当に、非常にこれから自主開発というようなことで大切だと思います、おっしゃったように。
それで、あと思うのは、何回か話も聞いたような気がしたんですけれども、例えば海底油田ですか、海底の方に資源を求めていくとか、そういうようなことを早急に日本はやっていかなくちゃいけない、もっと力を入れていかなくちゃいけないとかですね、そういうことが可能性としてあるのかなと。エネルギー専門家としていかがでしょうか。
この発言だけを見る →小山先生の方にちょっとお聞きしたいと思いますが、先ほど自主開発における成功拠点、先ほども高野さんから話あった、サハリン2とかを指しているというようなお話でございましたけれども、これ、ほかにも可能性はあるんでしょうか、そのサハリン2、次に続くようなですね。ここ、本当に、非常にこれから自主開発というようなことで大切だと思います、おっしゃったように。
それで、あと思うのは、何回か話も聞いたような気がしたんですけれども、例えば海底油田ですか、海底の方に資源を求めていくとか、そういうようなことを早急に日本はやっていかなくちゃいけない、もっと力を入れていかなくちゃいけないとかですね、そういうことが可能性としてあるのかなと。エネルギー専門家としていかがでしょうか。
小
小山堅#21
○参考人(小山堅君) 御質問ありがとうございます。
もちろんこの可能性としては、世界に石油や天然ガス、あるいは様々な非在来型の化石燃料資源も含めてその賦存が確認されていますので、可能性としてはあるというふうに思います。
ただ、この自主開発に取り組むというのは、まさに多くの場合は国と国との関係というのが非常に重要になり、そして特にエネルギー価格が高騰したりとか、あるいはエネルギー需給が逼迫しているときは産油国側の立場が大変強くなっています。その投資をする側がもういろんないい条件を出していかないとその投資を受け入れてくれないというようなことになってくるということになりますので、決して市場環境からいうと易しくないというのが率直なところかなと思います。
その上で、ほかにいろんな可能性があるのかということであれば、もちろん地域的に見れば、このウクライナの問題がなければロシアもその一つだったと思います。もちろん、今回の事件に、事象によって、新たにロシアにそういう事業を求めるというのはこれはもう難しい。そういう中で考えていくと、例えば中東であれば、今持っている自主開発の権益をまずはしっかりと守る。これも、例えばアブダビとかいろんなところがありますけれども、そこを守りながら、その他の可能性もやっぱりこれから中東等の産油国の関係で考えていく必要があると私は思っております。
中東の産油国だけでなく、多くの資源国は、その資源をどう活用するか、この脱炭素化の中でこの先大丈夫かということを本当に真剣に考えています。そのときに、日本の技術で、例えばクリーンな水素あるいはアンモニアといったものの協力をしていくということの中で経済協力の関係をしっかりとしていけば、これから先、様々な資源国、それは中東だけでなく、あるいはオーストラリア、あるいはカナダといったようなところとの関係強化というのが私は可能性あるのではないかと思います。
あともう一つ、これは国と国のビジネスでは多分なく、むしろ本当の民間のビジネスだと思いますが、やはりこれから先の中で、アメリカのシェール資源にどう関わっていくのかというのが大変重要な問題で、トランプ政権、バイデン政権と替わることによってそのスタンスが大きく変わりましたけれども、やはり今回の中で、バイデン政権の中でも自国シェール資源は非常に重要だという認識が高まってきたと思います。そうした中で、アメリカの資源開発といった問題もまた注目していく必要が私はあると思っています。
この発言だけを見る →もちろんこの可能性としては、世界に石油や天然ガス、あるいは様々な非在来型の化石燃料資源も含めてその賦存が確認されていますので、可能性としてはあるというふうに思います。
ただ、この自主開発に取り組むというのは、まさに多くの場合は国と国との関係というのが非常に重要になり、そして特にエネルギー価格が高騰したりとか、あるいはエネルギー需給が逼迫しているときは産油国側の立場が大変強くなっています。その投資をする側がもういろんないい条件を出していかないとその投資を受け入れてくれないというようなことになってくるということになりますので、決して市場環境からいうと易しくないというのが率直なところかなと思います。
その上で、ほかにいろんな可能性があるのかということであれば、もちろん地域的に見れば、このウクライナの問題がなければロシアもその一つだったと思います。もちろん、今回の事件に、事象によって、新たにロシアにそういう事業を求めるというのはこれはもう難しい。そういう中で考えていくと、例えば中東であれば、今持っている自主開発の権益をまずはしっかりと守る。これも、例えばアブダビとかいろんなところがありますけれども、そこを守りながら、その他の可能性もやっぱりこれから中東等の産油国の関係で考えていく必要があると私は思っております。
中東の産油国だけでなく、多くの資源国は、その資源をどう活用するか、この脱炭素化の中でこの先大丈夫かということを本当に真剣に考えています。そのときに、日本の技術で、例えばクリーンな水素あるいはアンモニアといったものの協力をしていくということの中で経済協力の関係をしっかりとしていけば、これから先、様々な資源国、それは中東だけでなく、あるいはオーストラリア、あるいはカナダといったようなところとの関係強化というのが私は可能性あるのではないかと思います。
あともう一つ、これは国と国のビジネスでは多分なく、むしろ本当の民間のビジネスだと思いますが、やはりこれから先の中で、アメリカのシェール資源にどう関わっていくのかというのが大変重要な問題で、トランプ政権、バイデン政権と替わることによってそのスタンスが大きく変わりましたけれども、やはり今回の中で、バイデン政権の中でも自国シェール資源は非常に重要だという認識が高まってきたと思います。そうした中で、アメリカの資源開発といった問題もまた注目していく必要が私はあると思っています。
野
野田国義#22
○野田国義君 どうもありがとうございました。
それでは、畔蒜先生の方にお聞きしたいと思いますが、本当にここ数日間、本当惨状が映されているわけでありますけれども、本当に悲惨な状況になっていると、ウクライナですね。
そういう中で、化学兵器、あるいは、まあ小型になるかとも、まあ原発をですね、使う可能性もまだあるのではないかと言われておりますので、その可能性。そして、平和利用ということで原子力発電所がウクライナにも多数あるわけでありますけれども、今回ああいう状況になりました。
それで、非常に、これも有事の際、まあ戦争状態の中では非常に危ないと。しかし、日本の場合はその有事、戦争というのを考えていなかったと、ですね、守るというか、安全性を。そういうことが安全委員会の方から発言が出てきているわけでありますが、その辺りのところを軍事専門家としてどのようにお考えになれるのかということをお聞きしたいと思います。
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そういう中で、化学兵器、あるいは、まあ小型になるかとも、まあ原発をですね、使う可能性もまだあるのではないかと言われておりますので、その可能性。そして、平和利用ということで原子力発電所がウクライナにも多数あるわけでありますけれども、今回ああいう状況になりました。
それで、非常に、これも有事の際、まあ戦争状態の中では非常に危ないと。しかし、日本の場合はその有事、戦争というのを考えていなかったと、ですね、守るというか、安全性を。そういうことが安全委員会の方から発言が出てきているわけでありますが、その辺りのところを軍事専門家としてどのようにお考えになれるのかということをお聞きしたいと思います。
畔
畔蒜泰助#23
○参考人(畔蒜泰助君) ありがとうございます。
プーチン大統領ですね、核を使用する可能性だとか化学兵器を使用する可能性というの、こう言われていますよね。今の戦況を考えると、こういうシナリオが恐らく考えられて、まず、今、ロシアとしては全体として戦況うまくいってないわけですね。元々キエフを陥落をさせて親ロ派の政権をつくるということを想定していたんだと思うんですけど、恐らくもうそれは難しいということで、今、東部に戦力を集中して、できるだけ東部を占領した上で、一定のある段階で勝利宣言をすると、というのが基本的な今のシナリオ。
まあ一つのターゲットとして今言われているのが五月九日というふうに言われていて、五月九日、どういう日かというと、対独戦勝記念日なんですよね。毎年この日に軍事パレードをモスクワでやるんですけれども、先ほど申し上げたとおり、プーチン大統領の今回の戦争と実は第二次大戦の歴史観というのは実は密接にリンクをしていて、ということもあって、まあ五月九日というのが、今後何か一つ焦点になるとしたらこの日は注目しておくべき。
ただし、必ずしもロシアが思うとおりに、ロシアが思うとおりに戦況が全部進むとは限らないですし、最近はアメリカ側もウクライナに対して、今まで提供してこなかった旧ソ連製の戦車ですね、供給するということですが、これは明らかに、東部の戦線が展開する中で、それに対抗するという思惑があるんだと思うんですね。
そういう中で、今、戦況、展開しているわけですけれども、仮に、ロシア側がもし戦況をなるべく早く自分たちに有利なようにしたいというふうな焦りのようなものが仮にあるんだとしたら、私は、核兵器が使われるというのは、ちょっと想定、今のところし難いんだと思う。ただし、化学兵器が使われる余地というのは、ちょっと若干低いので、まあ既にシリアとかもう使われていますので、その可能性は完全には排除できないのかなというふうに考えています。
で、原子力発電所ということなんだと思うんですけれども、恐らく私の理解では、ミサイルが本当に飛んでくると、ミサイルに直撃されるということになった場合は、それは相当クリティカルな事故になるんだろうと思います。ただし、今回のウクライナでの出来事を考えたときに、一時、もう何かロシア側が、要するにチェルノブイリとかいろんな原発を占拠して、何かもうあたかもこれを爆破するんじゃないかみたいな報道もあったわけですが、実際には、基本、戦争をやる上で、都市を占領する上では、そのそれぞれの重要インフラを確保するというのは戦闘の定石ですので、それを恐らくやったということなんだと思うんですね。その過程で、要するに銃のようなもので多少の抗戦があったということですよね。恐らく、今の私が理解するところ、原子力発電所の構造とかを考えたときに、銃がばんばんばんってやり取りをしたぐらいで何かクリティカルな事故が起こるということは恐らくないんだろうと思います。
ただし、先ほど申し上げたとおり、ミサイルが飛んでくるというようなことになったらまた別の対処をする必要があって、それは何らかの、例えば地対空ミサイルを配備するとかという、そういうことは必要かもしれないですけれども、今回ウクライナで起こった事象だけを考えたときには、今の日本の状況は何かそれでクリティカルな問題が起こるということではないんじゃないかと思います。
以上です。
この発言だけを見る →プーチン大統領ですね、核を使用する可能性だとか化学兵器を使用する可能性というの、こう言われていますよね。今の戦況を考えると、こういうシナリオが恐らく考えられて、まず、今、ロシアとしては全体として戦況うまくいってないわけですね。元々キエフを陥落をさせて親ロ派の政権をつくるということを想定していたんだと思うんですけど、恐らくもうそれは難しいということで、今、東部に戦力を集中して、できるだけ東部を占領した上で、一定のある段階で勝利宣言をすると、というのが基本的な今のシナリオ。
まあ一つのターゲットとして今言われているのが五月九日というふうに言われていて、五月九日、どういう日かというと、対独戦勝記念日なんですよね。毎年この日に軍事パレードをモスクワでやるんですけれども、先ほど申し上げたとおり、プーチン大統領の今回の戦争と実は第二次大戦の歴史観というのは実は密接にリンクをしていて、ということもあって、まあ五月九日というのが、今後何か一つ焦点になるとしたらこの日は注目しておくべき。
ただし、必ずしもロシアが思うとおりに、ロシアが思うとおりに戦況が全部進むとは限らないですし、最近はアメリカ側もウクライナに対して、今まで提供してこなかった旧ソ連製の戦車ですね、供給するということですが、これは明らかに、東部の戦線が展開する中で、それに対抗するという思惑があるんだと思うんですね。
そういう中で、今、戦況、展開しているわけですけれども、仮に、ロシア側がもし戦況をなるべく早く自分たちに有利なようにしたいというふうな焦りのようなものが仮にあるんだとしたら、私は、核兵器が使われるというのは、ちょっと想定、今のところし難いんだと思う。ただし、化学兵器が使われる余地というのは、ちょっと若干低いので、まあ既にシリアとかもう使われていますので、その可能性は完全には排除できないのかなというふうに考えています。
で、原子力発電所ということなんだと思うんですけれども、恐らく私の理解では、ミサイルが本当に飛んでくると、ミサイルに直撃されるということになった場合は、それは相当クリティカルな事故になるんだろうと思います。ただし、今回のウクライナでの出来事を考えたときに、一時、もう何かロシア側が、要するにチェルノブイリとかいろんな原発を占拠して、何かもうあたかもこれを爆破するんじゃないかみたいな報道もあったわけですが、実際には、基本、戦争をやる上で、都市を占領する上では、そのそれぞれの重要インフラを確保するというのは戦闘の定石ですので、それを恐らくやったということなんだと思うんですね。その過程で、要するに銃のようなもので多少の抗戦があったということですよね。恐らく、今の私が理解するところ、原子力発電所の構造とかを考えたときに、銃がばんばんばんってやり取りをしたぐらいで何かクリティカルな事故が起こるということは恐らくないんだろうと思います。
ただし、先ほど申し上げたとおり、ミサイルが飛んでくるというようなことになったらまた別の対処をする必要があって、それは何らかの、例えば地対空ミサイルを配備するとかという、そういうことは必要かもしれないですけれども、今回ウクライナで起こった事象だけを考えたときには、今の日本の状況は何かそれでクリティカルな問題が起こるということではないんじゃないかと思います。
以上です。
野
河
河野義博#25
○河野義博君 公明党の河野義博です。
三先生方、今日は貴重な御意見をありがとうございました。
改めて、我が国のエネルギー自給率一一%という、このOECD諸国最低レベルであります。やっぱり長期ビジョンを持って、今すぐやれることはしっかりやっていくし、長期的にやらないことは、なければならないこと、仕分けをして、すぐにでも短期的、長期的、しっかりビジョンを持って進めていかなければならないということを改めて強く認識をいたしました。
そこで、小山先生と蓮見先生に同じ質問をさせていただこうと思います。
原子力発電所の再稼働を進めていくという点でいろんな議論がありますけれども、今回、特定事故等対処施設、いわゆる特重施設が間に合わないから再稼働ができない若しくは再稼働していても止めざるを得ない原子力発電所について、これを稼働を認めるべきだという議論も一部ではありますけれども、このいわゆる特重施設整備待ちとなっている原子力発電所、これどのように対処するべきとお考えか、両先生のお考えをお聞かせいただければと思います。
この発言だけを見る →三先生方、今日は貴重な御意見をありがとうございました。
改めて、我が国のエネルギー自給率一一%という、このOECD諸国最低レベルであります。やっぱり長期ビジョンを持って、今すぐやれることはしっかりやっていくし、長期的にやらないことは、なければならないこと、仕分けをして、すぐにでも短期的、長期的、しっかりビジョンを持って進めていかなければならないということを改めて強く認識をいたしました。
そこで、小山先生と蓮見先生に同じ質問をさせていただこうと思います。
原子力発電所の再稼働を進めていくという点でいろんな議論がありますけれども、今回、特定事故等対処施設、いわゆる特重施設が間に合わないから再稼働ができない若しくは再稼働していても止めざるを得ない原子力発電所について、これを稼働を認めるべきだという議論も一部ではありますけれども、このいわゆる特重施設整備待ちとなっている原子力発電所、これどのように対処するべきとお考えか、両先生のお考えをお聞かせいただければと思います。
宮
小
小山堅#27
○参考人(小山堅君) 御質問ありがとうございます。
最初に、冒頭でお話しされた短期それから長期をしっかりと考えて取り組んでいただく必要があるというのは全くそのとおりかなというふうに思っております。
その上で、今の御質問の点でございますけれども、私自身は、原子力の再稼働、これは今の日本のエネルギー状況を考えていく上で極めて重要なポイントになってきているというふうに思っています。その上で、やはり安全性の確認された原子力発電所を再稼働していくという基本のこの路線というか考え方は、私はやっぱりしっかりと今の時点で堅持していくということの方が日本の国の中で議論していく上では大変大事だということですので、まずは規制に適合し、そしてそれをしっかりと守って、安全性ができたものを動かしていくというところでそれを進めるのが王道ではないかというのが私の考えでございます。
昨年の十月にエネルギー基本計画が閣議決定され、その中で、二〇三〇年の目標としては、電源構成の二〇から二二%という原子力の目標が出ております。これに到達するためには、稼働率の計算ありますけれども、おおむね三十基程度の原子力発電所の稼働が必要だと。現時点で十基としますと、ここから先にどれだけのスピードで、どれだけの原子力発電所が動いていく必要があるのか。
今回、このウクライナ危機で、原子力の問題については、先ほど私の方で申し上げた安定的なベースロード電源でかつゼロエミッションであるというところをヨーロッパ等では改めて認識された、この点を日本の国内の議論でもやはりしっかりと勘案していただく必要があるかなと私は思います。
その上で、先ほどの御質問があったとおり、武力攻撃されたという新しいリスクの問題もしっかり国民的な議論を踏まえてやっていく、これがもうどうしても必要かなというふうに私は思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →最初に、冒頭でお話しされた短期それから長期をしっかりと考えて取り組んでいただく必要があるというのは全くそのとおりかなというふうに思っております。
その上で、今の御質問の点でございますけれども、私自身は、原子力の再稼働、これは今の日本のエネルギー状況を考えていく上で極めて重要なポイントになってきているというふうに思っています。その上で、やはり安全性の確認された原子力発電所を再稼働していくという基本のこの路線というか考え方は、私はやっぱりしっかりと今の時点で堅持していくということの方が日本の国の中で議論していく上では大変大事だということですので、まずは規制に適合し、そしてそれをしっかりと守って、安全性ができたものを動かしていくというところでそれを進めるのが王道ではないかというのが私の考えでございます。
昨年の十月にエネルギー基本計画が閣議決定され、その中で、二〇三〇年の目標としては、電源構成の二〇から二二%という原子力の目標が出ております。これに到達するためには、稼働率の計算ありますけれども、おおむね三十基程度の原子力発電所の稼働が必要だと。現時点で十基としますと、ここから先にどれだけのスピードで、どれだけの原子力発電所が動いていく必要があるのか。
今回、このウクライナ危機で、原子力の問題については、先ほど私の方で申し上げた安定的なベースロード電源でかつゼロエミッションであるというところをヨーロッパ等では改めて認識された、この点を日本の国内の議論でもやはりしっかりと勘案していただく必要があるかなと私は思います。
その上で、先ほどの御質問があったとおり、武力攻撃されたという新しいリスクの問題もしっかり国民的な議論を踏まえてやっていく、これがもうどうしても必要かなというふうに私は思います。
以上でございます。
宮
蓮
蓮見雄#29
○参考人(蓮見雄君) 御指摘のように、短期、長期、中期に分けて判断をしなきゃいけないのかなと思います。現状は、小山先生もおっしゃったように、私も、当面のエネルギーを確保するというのは最重要課題なので、ありとあらゆる選択肢ということでヨーロッパもやっていますので、日本もそういうことは考えざるを得ないだろうと思います。
と同時に、中長期を考えたときに、再生可能エネルギー、やはり相当に今まだ日本では時間が掛かるという問題があると同時に、そうなってくると、原子力をどういう位置付けにするのかということも同時に考えないといけないと思うんですね。テクニカルな安全性の問題は私は分からないんですけれども、足りなければ使わざるを得ないというふうに思います。
ただし、ヨーロッパなんかの原発の安全性基準というのは日本より非常に厳しくなっていて、例えば航空機が落ちても大丈夫なようにしなきゃいけないというような議論があります。そうしますと、仮に原発、既存のものをやむなく使うといっても、非常に有事の際のリスクがあるということは考えておかなきゃいけない。
それから、仮にリプレースを考えるとしたら相当に安全性基準を高くしなきゃいけないということになるので、原子力に関しても、短期的にどうするのかという問題と中長期でどうするのかというのは、分けて並行して議論していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
この発言だけを見る →と同時に、中長期を考えたときに、再生可能エネルギー、やはり相当に今まだ日本では時間が掛かるという問題があると同時に、そうなってくると、原子力をどういう位置付けにするのかということも同時に考えないといけないと思うんですね。テクニカルな安全性の問題は私は分からないんですけれども、足りなければ使わざるを得ないというふうに思います。
ただし、ヨーロッパなんかの原発の安全性基準というのは日本より非常に厳しくなっていて、例えば航空機が落ちても大丈夫なようにしなきゃいけないというような議論があります。そうしますと、仮に原発、既存のものをやむなく使うといっても、非常に有事の際のリスクがあるということは考えておかなきゃいけない。
それから、仮にリプレースを考えるとしたら相当に安全性基準を高くしなきゃいけないということになるので、原子力に関しても、短期的にどうするのかという問題と中長期でどうするのかというのは、分けて並行して議論していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。