農林水産委員会

2024-05-15 衆議院 全151発言

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会議録情報#0
令和六年五月十五日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 野中  厚君
   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君
   理事 古川  康君 理事 山口  壯君
   理事 近藤 和也君 理事 野間  健君
   理事 池畑浩太朗君 理事 角田 秀穂君
      東  国幹君    五十嵐 清君
      上田 英俊君    江藤  拓君
      英利アルフィヤ君    加藤 竜祥君
      神田 憲次君    小寺 裕雄君
      高鳥 修一君    橘 慶一郎君
      中川 郁子君    西野 太亮君
      細田 健一君    堀井  学君
      宮下 一郎君    保岡 宏武君
      簗  和生君    山口  晋君
      梅谷  守君    金子 恵美君
      神谷  裕君    川内 博史君
      緑川 貴士君    山田 勝彦君
      渡辺  創君    一谷勇一郎君
      掘井 健智君    稲津  久君
      山崎 正恭君    田村 貴昭君
      長友 慎治君    北神 圭朗君
    …………………………………
   農林水産大臣       坂本 哲志君
   農林水産副大臣      武村 展英君
   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君
   政府参考人
   (内閣法制局第四部長)  栗原 秀忠君
   政府参考人
   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房総括審議官)         杉中  淳君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       川合 豊彦君
   政府参考人
   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  村井 正親君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君
   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
 辞任         補欠選任
  加藤 竜祥君     英利アルフィヤ君
同日
 辞任         補欠選任
  英利アルフィヤ君   加藤 竜祥君
    ―――――――――――――
五月十五日
 食料自給率向上を政府の法的義務とすることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一三四〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 食料供給困難事態対策法案(内閣提出第二七号)
 食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
 農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案(内閣提出第四八号)
     ――――◇―――――
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野中厚#1
○野中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、食料供給困難事態対策法案、食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案及び農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官川合豊彦君、農産局長平形雄策君、経営局長村井正親君、農村振興局長長井俊彦君、内閣法制局第四部長栗原秀忠君、消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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野中厚#2
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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野中厚#3
○野中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高鳥修一君。
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高鳥修一#4
○高鳥委員 おはようございます。自由民主党の高鳥修一でございます。
 今日は、質問の機会をありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。
 まず、適正な価格形成に向けた理解の増進について伺います。
 四年前、新潟でG20農業大臣会合が開かれ、そのとき、私は農水副大臣として出席をいたしました。どうして農業者は金持ちになれないのかというのがテーマの一つとして議論され、食料に価値があることを認めないと農業者がいなくなるというのは世界共通の課題であると認識した記憶がございます。
 先日の参考人質疑で、田代参考人から、農家の労働費、全経営平均三百七十九円を最低賃金千四円並みにするとすれば、三倍近くにしなければならないという指摘がございました。適正な価格転嫁というのは当然しなければならないわけでありますけれども、価格転嫁だけでは消費者が買わなくなるという問題がございます。この差を埋める方策をどのように考えておられるのか、お聞かせ願います。
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宮浦浩司#5
○宮浦政府参考人 お答え申し上げます。
 適正な価格転嫁、これはしていかなければならないということでございますが、現在、私どもが行っております生産から消費に至る関係者が集まっていただきました協議会の中でも、転嫁をすると需要ですとか消費が大きく減退するのではないかといった御指摘がございます。他方で、消費者の委員の方々からいたしますと、じゃ、買わないのは消費者が悪いのかといったようなことになっても困る、消費者とそれ以外の関係者が争うような構図にならないように、売手、買手双方が信頼関係をきちっと構築するようにというような御指摘もいただいてございます。
 こうした中で、現在、政府を挙げて、価格転嫁を通じた賃上げ、これを通じました所得増と成長の好循環の実現というものを通して消費者の購買力の向上を図ろうとしてございます。これと平仄を合わせまして、協議会において関係者間で議論を十分に行いまして、消費者を始め特定の方々にしわ寄せが行くことのないように、丁寧に合意形成を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
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高鳥修一#6
○高鳥委員 ありがとうございます。是非、実効性のある取組に努めていただきたいと思います。
 次に、生産促進の財政措置について伺います。
 農業者に対する財政支援の内容を、生産転換のコスト、それによって農業所得が減少する場合の補償や、促進、奨励等について明確化すべきではありませんか。また、財源の確保についても含めて、大臣の決意をお聞かせください。
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坂本哲志#7
○坂本国務大臣 要請等に基づきまして生産者が生産を拡大する場合には、例えば、追加の生産資材や収穫等に必要な機械の確保が必要になります。それから、不作付地の除草、整地、こういったものに必要な様々な機械、そういうものも想定されます。
 財政上の措置につきましては、これらのことも考慮に入れて、対象品目、そして需給の状況など、個々の事態に応じた具体的な支援内容を検討することというふうにしております。
 その際、事態法の第十九条の規定に基づきまして、要請に当たっては、事業者が要請に応じようと考えていただける環境を整えること、それから、計画の変更指示に当たっては、経営への悪影響を回避することといった観点から、財政支援というものを検討してまいりたいというふうに思っております。
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高鳥修一#8
○高鳥委員 大臣、応援しますので、是非しっかりやっていただきたいと思います。
 次に、農地法等の関係について伺います。
 農用地区域からの除外に係る都道府県の同意基準に関して、面積目標の達成に支障を及ぼすおそれのある場合には、遊休農地の解消等の除外の影響の緩和措置を確認した上で農振除外を認めるとされております。
 先日の参考人質疑で、全国農業会議所の稲垣参考人も、荒廃農地を再生し、農用地区域への編入を強く求めることが必要とおっしゃっておられましたが、市町村が行う荒廃農地の再生を含めた農振除外の影響を緩和する取組に対して、政府としてどのように支援を行うのか、お聞かせください。
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長井俊彦#9
○長井政府参考人 お答えいたします。
 市町村が行う農振除外が、都道府県面積目標に影響を及ぼすおそれがあると認められる場合において、都道府県が市町村に対して確認する影響を緩和するための代替措置としましては、農用地区域への編入、荒廃農地の解消等の取組を想定しているところでございます。
 これらの取組に対しまして、農林水産省では、農地耕作条件改善事業による基盤整備や、遊休農地解消緊急対策事業により農地バンクが行う簡易な基盤整備、最適土地利用総合対策により、中山間地域等で地域計画の策定を行う市町村において、市町村、農業者、地域住民等の話合いで、営農を続けて守るべき農地と定めた荒廃農地の再生の取組などの支援を行っているところであり、引き続き、これらの対策に努めてまいります。
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高鳥修一#10
○高鳥委員 ありがとうございます。
 次に、スマート農業法の関係についてお伺いをいたします。
 農業者が急速に減少する中で、スマート農業の推進は、我が国農政において重要な課題でありますが、大規模な経営体だけではなくて、中山間地や中小・家族経営も含めて、幅広い農業者が取り組めるようにしていくべきと考えます。
 このような視点に基づいて、本法案にどのように取り組むのかを伺います。
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川合豊彦#11
○川合政府参考人 お答えいたします。
 今後の農業者の急激な減少等に対応いたしまして、農業の生産性の向上を図っていくため、平場、中山間地域を問わず、中小・家族経営を含む幅広い農業者にスマート農業技術の活用を進めていただきたいと考えております。
 こうした考えの下、令和元年度から開始しましたスマート農業実証プロジェクト、二百十七地区でやっております。この中で、傾斜地にも対応できるリモコン草刈り機でありますとか、経営規模が小さい農業者でも比較的導入しやすいドローンによる農薬散布、経営管理ソフトの導入などの実証を行ってきたところであります。
 実証を通じまして、スマート農機等の導入コストや、それを扱える人材不足などの課題が明らかになる一方、中山間地域の高低差を生かしたスマート農機の共同利用によりまして機械の稼働率を高め、作業時間の削減や単収の増加に成功する、あるいは、ロボットによる農薬散布サービスが中小・家族経営を中心に利用が進むなどの成果も確認されました。
 本法案では、こうした課題や成果を踏まえ、スマート農業技術の導入などを図る生産方式革新実施計画を国が認定し、認定を受けた計画が継続的に実施されるよう、税制、金融などの支援を措置するとともに、複数の農業者が同一の計画に参画することによりまして、機械の共同利用の促進、農業者のスマート農業技術の活用をサポートするサービス事業者による取組の促進などの措置を講じ、導入費用の低減や導入に向けた多様な選択肢の提供を含め、スマート農業技術の活用を促進してまいります。
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高鳥修一#12
○高鳥委員 是非、幅広い農業者が取り組めるような対策を徹底していただきたいと思います。
 次に、不測の事態の対策についてお伺いをいたします。
 何をどれだけ増産するのか、そしてそのために何を削減するのか、具体的な計画はどのようになっているのでしょうか。また、不測の事態が三か月程度あるいは一年以内、一年以上継続する、状況に応じたシミュレーションはできているのでしょうか。
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杉中淳#13
○杉中政府参考人 お答えいたします。
 不測時における食料の生産につきましては、食料だけではなく、資材の不足や価格高騰、物流の確保など、様々な要素が影響することから、様々な事態を想定して、我が国の食料供給能力や国民経済等に及ぼす影響を把握し、対応するシミュレーションを行うということが重要だと考えております。
 例えば、スイスには、輸入の途絶などの不測の事態に備えまして、食料供給に関する政府当局である国家経済供給庁の意思決定を支援するシステム、いわゆるスイスフードシステムにおきまして、個々の事態に応じた生産構成などの最適化、そのために必要な農地面積に関するシミュレーションを実施しているというふうに承知しております。
 我が国としても、こうした取組を参考にしながら、シミュレーションの在り方について検討してまいりたいというふうに考えております。
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高鳥修一#14
○高鳥委員 十分な検討をお願いいたします。
 もう一問、お伺いをいたします。備蓄についてお聞きをしたいと思います。
 玄米生産量を八百万トンとすれば、食料供給困難事態の二〇%以上というのは百六十万トンということになり、平時の備蓄水準百万トンとの間に六十万トンの開きがあります。ここは、法律として整合性が必要ではありませんか。そして、備蓄量を見直す考えはないのか、お聞かせください。
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杉中淳#15
○杉中政府参考人 お答えいたします。
 まず、米についてでございますけれども、政府備蓄米といたしまして、十年に一度の不作、大体、作況九二等の事態があっても不足分を補って国産米で一年間供給できる水準として、百万トン程度を備蓄をしております。このほかに、民間流通在庫も最も少ない八月末で民間在庫として百万トン程度あり、これを合わせると百六十万トン以上の備蓄を有しております。
 また、備蓄につきましては、食料供給困難事態対策法案につきましては、基本的には民間備蓄の活用を念頭にしまして、供給対策として出荷、販売の調整を位置づけまして、この中で、備蓄の放出の要請や、供給量を抑制することによって備蓄量を確保するといった要請を行うなど、不測時において食料を適切に市場に供給をしていくこととしております。
 また、出荷、販売の調整を適切に行うためには、平時から一定量の在庫を確保していくということが重要でございます。
 こうした特定食料等の備蓄の在り方については、法案の基本方針の中の本部設置期間以外の期間において実施する措置の総合的な推進、ここにおいて備蓄の方針を定めるということとしております。
 また、食料供給困難時に供給確保対策を行うためには、民間在庫を組み合わせて国内にどの程度食料等が存在するかを把握することが重要でございますけれども、現状では、主要な食料の多くについて流通在庫等が把握できていない実態でございます。このため、備蓄の方針を策定するに当たり、報告徴収の規定に基づき、民間の在庫量を含む必要な調査を行うということを検討しております。
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高鳥修一#16
○高鳥委員 ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
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野中厚#17
○野中委員長 次に、角田秀穂君。
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角田秀穂#18
○角田委員 公明党の角田秀穂でございます。
 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
 初めに、食料供給困難事態法案によって、法律の目的である国民生活の安定、国民経済の円滑な運営が一体どのように確保されるのかということについて質問をしたいと思います。
 安全保障の話というのは、とかく仮定の話、たらればの話になってなかなか理解しづらいところがありますので、ここでは少しでもイメージしやすいように、特定食料として例示をされている米について、一九九三年、平成五年から翌平成六年にかけて実際に起こった供給困難な事態、いわゆる平成の米騒動が、ただいま審議をしている法律が成立した後に起こったと仮定して、対応がどのように変わるのかということについて幾つか質問したいと思います。
 一九九三年は、四月以降の全国的な低温傾向が夏に入ってから一層強まり、各地で平均気温、日照時間は観測開始以来の最低を更新、九州から東北は梅雨明け日が特定されず、降水量は各地で最多を更新をいたしました。記録的な異常気象で、野菜や果実など農作物にも広く被害が発生をいたしましたが、とりわけ深刻だったのが米でした。
 八月二十七日発表の農水省の平成五年産米の全国平均作況指数は九〇、それが九月には八〇となり、十月末には七五、最終的には七四となります。生産量七百五十万トンと予測をされ、不足する約二百五十万トン、当時の年間の米の消費量は一千万トンでしたが、この二百五十万トンを海外から緊急の輸入で賄うこととして、政府は、タイ、アメリカ、オーストラリアなどとの交渉を開始したわけです。
 ここまでで、まず、第五条の食料供給困難兆候の発生の認識と、農林水産大臣から内閣総理大臣への報告はどの段階で行うことになるのか。また、様々な供給困難兆候の把握のためには、情報の収集、分析、評価のための体制も強化する必要があると考えますが、この法律に基づいて今後どのように進めていくことになるのか、伺いたいと思います。
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坂本哲志#19
○坂本国務大臣 平成五年の米不足につきましては、委員御指摘のとおり、七月には記録的な低温、日照不足が記録されました。冷夏による大凶作の懸念の声が出ていましたけれども、具体的には供給確保対策を講じることができないまま、消費者等による買占め等が発生いたしました九月になってから、対策の実施を決定することというふうになりました。このケースに当てはめてみると、大凶作となる見込みが高まりました九月より早い段階で食料供給困難兆候と判断することになったのではないかというふうに思っております。
 このように、兆候の発生を速やかに把握し、できるだけ早期に食料を確保する対策を講じることが重要です。農林水産省では、これまでも、FAO、あるいは米国の農務省、USDAによります諸外国の食料供給の需給予測等を収集、分析をし、食料安全保障月報として毎月公表してきておりますけれども、このような国内外の食料需給の収集、分析を一層充実させていきたいと思います。
 こうした困難兆候や困難事態の発生状況に関する情報収集などを含めて、平時から行う取組につきましては、本法案に基づきます基本方針において基本的な考え方を定めていくこととしております。法案が成立した暁には必要な検討を行ってまいりたいと思いますし、食料安全保障室というような体制もしっかり整えていきたいというふうに思っております。
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角田秀穂#20
○角田委員 当時の総務庁の家計調査や報道などによりますと、国産米の不作が明らかになり、小売価格が上昇し始めた十月頃には買い急ぎによる購入量の増加が認められ、翌六年二月、三月頃に大幅に増加をいたしました。
 第六条に基づき、内閣に食料供給困難事態対策本部が設置をされれば、消費者の買い急ぎ、販売側の売惜しみなどによる混乱が予想をされます。社会の混乱を防ぐための迅速な対応が極めて重要になると思いますが、この点について、新法によってどのような有効な対策を講じることができるようになるのか、伺いたいと思います。
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杉中淳#21
○杉中政府参考人 お答えいたします。
 不測時には、需給状況が不透明となりますので、食料が入手困難となる不安から消費者の買占め、また、更なる値上がりを期待した事業者の売惜しみなどが発生するおそれがあります。
 このような場合には、まずは正確な需給見通しの下で供給サイドにおきまして適切な供給を行うということが有効と考えられることから、本法案に基づきまして、出荷、販売を行う事業者に対して、需給状況に応じて適切な数量の供給を行うこと、また、用途、仕向け先等の調整のための要請を行っていくということを想定をしております。
 また、消費者に対しましても、正確な情報を分かりやすく提供しつつ、買いだめや買い急ぎなどを控えて食品ロスを減らすなどの働きかけを行うなどの対策を行うことが必要と考えております。
 こういった対策を政府一体として総合的に行うというために、食料供給困難の兆候の段階から設置する政府対策本部において、農水省と消費者庁などの関係省庁が連携し、供給対策と消費者対策を含む総合的な措置を講じていく考えでございます。
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角田秀穂#22
○角田委員 確認のために質問をさせていただきたいと思います。
 法案では、供給困難事態の未然の防止、事態の解消のために、生産者に対して、事態の進展に応じて増産の要請や生産計画変更の指示ができるとしております。これは海外における連続的な不作や輸出規制で事態がいつ解消されるか分からない場合、すなわち輸入に多くを依存している小麦、大豆などの特定食料を念頭に置いたもので、米については自給が可能でありますので本来こうした要請はないのではないかと思いますけれども、米について要請が行われる場合というのはどのような状況が想定をされるのか伺いたいと思います。
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杉中淳#23
○杉中政府参考人 お答えいたします。
 国内で自給し、一般に需要を上回る生産が行われている米につきましては、平成五年時の経験も踏まえまして備蓄制度の創設などの対応ができておりますので、当時と比べれば供給不足のリスクは減っているというふうに考えます。ただ、気候変動によって複数年にわたって国内生産が大幅に減少するというリスクは発生する可能性がありますので、平成五年を下回る作況が見込まれる場合など、輸入や備蓄の活用によっても必要な供給量を確保できないおそれがある場合には、生産者に対して生産拡大の要請を行うということも想定をされます。
 なお、実際に要請などを行う場合の確保すべき生産量や対象者、対象地域などについては、品目ごとの特徴や事態の状況に応じて決定するものでございますので、政府対策本部にて策定をする実施方針において定めることとしております。
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角田秀穂#24
○角田委員 平成五年のときは、持ち越し在庫が極めて低い水準だったこともあって不足分約二百五十万トンを輸入で確保したわけですが、このときの日本による大量の緊急輸入は国際的な米価格の高騰を招きました。一方、国内では、日本人になじみのない長粒種のタイ米の不評や、中短粒種の外国産米の供給の遅れ、さらにはタイ米と国産米のブレンド販売の方針が消費者の国産米買い急ぎを加速させるなど、平成六年二月から三月にかけて、スーパーには開店前から長蛇の列ができ、あっという間に棚から国産米が消え、十キロ五千円程度だった国産米が一万二千円とか一万五千円で買われるなど混乱が広がりました。このことによって、米の代わりにパンや麺の消費が増え、消費者の米離れが加速したという側面もあります。
 平成の米騒動は、平成六年産米が打って変わって作況指数一〇七の豊作となったことから、新米が出回り始めた頃には終息をいたしました。このときの経験も踏まえて、現在では国産米の備蓄が行われており、不作等で供給が確保できない事態には、まず備蓄米を放出し、その上で不足分を海外からの輸入で補うという対応になると思いますが、平成五年当時、米をほとんど輸入したことのない日本が世界の貿易量の二割から四分の一という大量の米を極めて短期間で調達できたということは奇跡と言っても過言ではないと思います。当時の各国の日本大使館を含む政府関係者や商社など、官民が危機を乗り越えるために一丸となって奮闘したことによるところが大きく、現在も同じようなことができるのか疑問が残ります。
 さらに、関係者の必死の努力で確保した輸入米が消費者には受け入れられず、大量に売れ残ってしまった。不足分を輸入で補えば、基本法二条一項の、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる食料安全保障を確保できるかといえば、それほど簡単な話ではないということをこのときの米をめぐる混乱は示していると言えます。
 消費者の強い国産志向や、他の穀物に比べて貿易量の少ない米を輸入することの国際的な影響の大きさも考え合わせて、深刻な不足に見舞われても混乱なく、特に自給可能な米を安定的に供給できるようにするために、国産米の備蓄水準についても議論する必要があると思っております。
 現在の備蓄米は、適正備蓄水準を百万トン程度として運用されております。これは、十年に一度の不作や通常程度の不作が二年連続した事態にも国産米で対処できる水準とされておりますが、食料安全保障のためには更なる上積みも必要と考えておりますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。
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平形雄策#25
○平形政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、政府備蓄米につきましては、十年に一度の不作であります作況九二等の事態があっても、不足分を補って国産米で一年間供給できる水準として百万トン程度で運営しております。
 備蓄につきましては、不測の事態の発生初期における重要な対応策の一つでございまして、民間の在庫も含めて考えていくことが必要ですが、米についても、民間の流通在庫が最も少ない八月末で百万トン程度あり、政府備蓄と合わせると現時点ではこの水準で対応可能というふうに認識しております。
 さらに、作況七四だった平成五年当時と現在を比較しますと、稲の品種改良や生産技術の向上によって、平成六年以降、過去三十年間のうち二十八年間は作況九八以上と安定した生産が行われていることや、平成七年から開始されましたミニマムアクセス米のうち、一定量は国産米に近い中短粒種、七十七万トンのうち四十万トン程度でございますけれども、かつ、各国から米の輸入を行うルートも確立されたこと等の違いがございます。
 その上で、現在審議中の食料供給困難事態対策法案の基本方針において、特定食料等の備蓄の方針を定めることを検討することとしておりまして、その中で米の備蓄についても検討する考えであります。
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角田秀穂#26
○角田委員 続いて、米以外の主要農産物の備蓄について質問したいと思いますけれども、小麦は八割以上、大豆に至っては九割以上を輸入に頼っています。今後国内生産を増強するにしても、輸入が途絶した場合の影響は特に大きいと言えます。
 現在、小麦は外国産食糧用小麦の需要量の二・三か月分が製粉会社に備蓄をされております。この水準について、供給が不足する事態が生じた場合に、他の輸出国からの代替輸入に要する期間を四・三か月と見込んでいて、二か月分については既契約分に係る輸入小麦を輸送する船舶が順次入港することによって需要を賄うことができると見込まれるところから、国における輸入小麦の年間需要量の二・三か月分とされているわけですけれども、この考え方には、物流が完全に停滞するような事態は考慮されていないのではないかと思います。
 新型コロナウイルス感染症の流行の際も起こったことですが、世界的なパンデミックなどの際には、社会経済活動が停滞し、物流も滞ることも十分に想定をされます。気候変動の影響で感染症流行のリスクが高まっていることも踏まえた適切な位置づけの水準の検討が必要ではないかと考えます。
 また、大豆については、一九七三年、オイルショックに加えて、世界的な異常気象による食料危機に見舞われた際に、アメリカが突如として大豆の禁輸を発表したことを契機として、翌年から食品用大豆の備蓄事業が行われるようになりました。
 当時、日本は、米国産農産物の最大にして安定した輸入国だったわけですが、その日本に対してもアメリカが輸出規制を行ったということは非常にショッキングな出来事であり、備蓄の必要性を痛感させられたものと思いますが、大豆の備蓄は、二〇一〇年度に、一度も備蓄大豆の放出が行われなかったことなどを理由に廃止をされたまま、現在に至っております。
 放出したことがないから備蓄を廃止して、食料安全保障を確保できるのか。大豆についても、備蓄再開に向けて、適正な水準について検討すべきだと考えます。
 以上述べた点も含め、改正基本法の理念に位置づけた食料安全保障のための主要な食料の備蓄について見解を伺いたいと思います。
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杉中淳#27
○杉中政府参考人 お答えいたします。
 備蓄は、国内生産や輸入と並ぶ食料供給の重要な手段でございまして、今回の基本法改正法案におきましても、引き続き備蓄の確保を図るということを位置づけております。
 特に、輸入の途絶などの食料供給が大幅に不足する事態における初期対策として備蓄は大変重要でございますので、委員御指摘のように、物流が途絶するというようなリスクもございますので、特定食料の備蓄の在り方について、食料供給困難事態対策法案における基本方針の中の、本部設置期間以外の期間において実施する措置の総合的な推進において、備蓄の方針について定めたいというふうに考えております。
 また、備蓄も含めて、食料供給困難時に供給確保対策を行うためには、民間在庫を含めて国内にどの程度の在庫が存在をするのか、まずトータルで把握するということが前提と考えていますけれども、現状では、主要な食料の多くについて流通在庫等の把握ができていない実態でございます。このため、備蓄の方針を策定するに当たって、本法案の報告徴収の規定に基づき民間の在庫量を含む必要な調査を行った上で、必要な検討をしてまいりたいと考えています。
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角田秀穂#28
○角田委員 基本法の第十九条、国は、地方公共団体、食品産業の事業者その他関係者と連携し、地理的な制約、経済的な状況その他の要因にかかわらず食料の円滑な入手が可能となるよう、食料の輸送手段の確保の促進、食料の寄附が円滑に行われるための環境整備その他必要な施策を講ずるものとするとされております。
 食料供給困難事態においても、誰一人取り残されることなく、国民一人一人が良質な食料を入手できる状態が確保されることが極めて重要だと考えます。高齢化の進行等で今後更に増加が予想される買物困難者や生活困窮者に対する特段の配慮が食料供給困難事態下においても求められると考えますが、食料供給困難事態下における買物困難者、生活困窮者への食料供給確保について見解を伺いたいと思います。
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杉中淳#29
○杉中政府参考人 まず、食料供給困難事態におきましては、供給確保のための措置を実施することによって特定食料などの供給量を確保することといたします。
 また、議員御指摘のように、不採算地域からの小売、スーパーの撤退や高齢者を中心とした買物の移動の不便さの増大による買物困難者の増加、また、経済的な理由で健康的な食生活に必要な食料を入手できない方々の増加といった食品アクセスの問題は、平時から対応すべき課題であり、そのため、今回の基本法改正案におきまして、国民一人一人の食料安全保障の確保を図るための食料の円滑な入手対策について規定をしております。
 議員御指摘のように、食料の供給が大幅に減少するおそれがある事態につきましては、このような買物困難者や経済的に困窮している方々の食料確保はより困難になることが想定されます。本法において食料の総量を確保するとともに、平時から実施する食料の円滑な入手対策を組み合わせて実施することによって、食料が国民にあまねく行き渡るように対策を講じてまいりたいと考えています。
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