外交・安全保障に関する調査会

2024-05-15 参議院 全112発言

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会議録情報#0
令和六年五月十五日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     江島  潔君     松川 るい君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     古賀 千景君     高木 真理君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     松川 るい君     江島  潔君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         猪口 邦子君
    理 事
                岩本 剛人君
                越智 俊之君
                吉川ゆうみ君
                塩村あやか君
                宮崎  勝君
                串田 誠一君
                浜口  誠君
                岩渕  友君
    委 員
                赤松  健君
                朝日健太郎君
                生稲 晃子君
                上野 通子君
                江島  潔君
                こやり隆史君
                永井  学君
                森 まさこ君
                大椿ゆうこ君
                高木 真理君
                三上 えり君
                水野 素子君
                新妻 秀規君
                金子 道仁君
                伊波 洋一君
                齊藤健一郎君
   参考人
       東京大学大気海
       洋研究所教授   原田 尚美君
       神戸大学大学院
       海事科学研究科
       准教授      本田 悠介君
       公益財団法人笹
       川平和財団海洋
       政策研究所太平
       洋島嶼国チーム
       主任研究員    塩澤 英之君
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  本日の会議に付した案件
○外交・安全保障に関する調査
 (「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序
 構築~」のうち、「気候変動が海洋法秩序に及
 ぼす影響への対策と取組の在り方」について)
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猪口邦子#1
○会長(猪口邦子君) ただいまから外交・安全保障に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、古賀千景君が委員を辞任され、その補欠として高木真理君が選任されました。
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猪口邦子#2
○会長(猪口邦子君) 外交・安全保障に関する調査を議題といたします。
 本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「気候変動が海洋法秩序に及ぼす影響への対策と取組の在り方」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席いただいております参考人は、東京大学大気海洋研究所教授原田尚美君、神戸大学大学院海事科学研究科准教授本田悠介君、公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員塩澤英之君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を承りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、原田参考人、本田参考人、塩澤参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 また、発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、原田参考人からお願いいたします。原田参考人。
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原田尚美#3
○参考人(原田尚美君) ありがとうございます。
 今日は、気候変動が海洋法秩序に及ぼす影響への対策と取組の在り方ということで、私からは、サブタイトルとして、「北極・南極・日本周辺の視点から」ということで御紹介をさせていただきます。
 前半、サイエンスのエビデンスに関するプレゼンテーション、これ研究者の立場で御紹介させていただき、後半に戦略について幾つか提案させていただきますけれども、そちらの方は、内閣府の総合海洋政策本部参与会議、現在参与を拝命しておりますので、その参与としての立場で発言をさせていただけたらと思っております。
 では、お手元の資料、最初のページを見ていただきまして、下の方、「北極海・南大洋の海氷は減っている」というタイトルの図になります。
 こちらは、一九七九年から、下、横軸ちょっと途切れていますが、二〇二〇年ぐらいまでの衛星観測の結果の、北極とそれから南極周辺、南大洋の海氷の分布をグラフ化したものであります。太い線が北極です。そして、青い線が南極ということになります。
 皆さん御覧になってお分かりのように、北極はもう観測当初から右肩下がりでどんどん海氷が減っているという現実がございます。一方で、南極の方は、数年程度の周期性を持った変動はありますけれども、長期的に増えている減っている、こういった傾向がない。つまり、地球温暖化に対して南極は余り応答していないのではないかというのがこれまでの見解でありました。
 ところが、こちらのグラフの右端、御覧になっていただきたいんですが、青い線ですね、二〇一五年、一六年ぐらい以降、急激に南大洋周辺の海氷も減っております。これ、回復していないというのが現状でして、いよいよ温暖化の波が南極周辺にも押し寄せているかということで、研究者たちは懸念を抱いております。
 めくっていただきまして、上の図になります。こちら、左側の図が世界の海面水位上昇の将来予測、右側は南極氷床、南極大陸の地図、絵になっております。
 左側のまずはグラフなんですけれども、こちら、二酸化炭素の排出シナリオベースに幾つかの線が描かれております。
 これぐらい、例えばRCP八・五という赤い点線がございますけれども、これ、今現在と同じような化石燃料の使い方でいった場合に海水準これぐらい上がりますよということが示されていて、縦軸のゼロから五というのはメートル単位です。全球の海面水位がメートル単位でこれだけ上がりますよということを示したグラフになっています。
 二一〇〇年のところを見ていただきたいんですけれども、どの排出シナリオベースでも大体数十センチから一メートルは上昇するというふうにされております。今現在、日本周辺、年間三・五ミリ程度ずつ海水準上がっているというのが現状です。これが、温暖化が加速していきますと、数十センチあるいはメートル単位といった形で大きく海水位が上がっていくということになります。
 現在、熱膨張といいまして、海洋が温暖化することで膨張する形で海水位上がっているというのが大部分でありますけれども、いよいよこのフェーズが大陸氷床の融解のフェーズに移ってくるかということになります。そうすると、これ急激に上昇してくる可能性がありまして、この海面水位上昇の問題というのは、ツバルのような南の島の問題だけではなく、世界の大都市、東京、大阪、名古屋含めて、全て海抜ゼロメートルの沿岸に位置しておりますので、我々大都市圏の問題でもあるということになります。
 右側の南極周辺、一体、じゃ、この大陸のどの辺で氷床が解け始めているかということを色で表しています。色が、赤茶色の色が強いほど南極の解けている部分を表しています。これ、真ん中にちょっと青い線が引いてありますけれども、この青い線の右側がいわゆる東南極と呼ばれているところで、左側が西南極というふうに呼んでいるところであります。
 我が国の昭和基地、東南極に位置しておりまして、その下にトッテン氷河というところがあります。実は、東南極、余り温暖化の応答を受けていない、そんなエリアだったんですけれども、昨今の日本の南極観測隊の観測から、どうやらこのトッテン氷河周辺が特に集中的に東南極周辺では大陸氷床融解しそうだということが分かってきました。
 先ほど前ページでお見せした海氷の分布、右肩下がりで下がり続けていると、ここ数年ですね、紹介いたしましたけれども、この海氷がなくなってしまいますと、ちょうど大陸氷床の栓をするような形で海氷って実は存在しているんですが、それがなくなると、ちょうどシャンパンのコルク栓を抜くように、後背部にあります大陸の氷床の氷がより海に流れやすくなってしまう、そんな状況があります。
 このトッテン氷河(四メートル)と書かれていますが、この点線の範囲、トッテン氷河と呼ばれているところなんですけれども、たったこれだけの面積全部が海に流れ出してしまった場合、四メートルの全球の海水位を上げる、それほどのポテンシャルがあるということを表しています。
 このトッテン氷河と同じだけのポテンシャル、西南極の氷床量全部を解かしても同じぐらいということで、いかにその東南極の氷床に存在している氷床の量が大きいか、そして危機的な状況がそろそろ東南極にも始まっているかということを表しております。
 それから、その下ですね、視点を日本周辺に移動させます。
 こちら日本周辺の海洋熱波の発生と、それからブリの漁獲のグラフを持ってまいりました。
 このグラフ、黒い線と赤い線があります。黒い線はこの北海道沖の海水温を表しておりまして、横軸は八五年から二〇一五年までということになっております。
 大変変動が激しいわけなんですけれども、二〇一〇年以降を御覧ください。ずっと海面水温十八・五から十九度を推移したまま。つまり、高い水温がずっと維持されているんですね、ここ数年。こういった水温の上昇が毎年発生するようになったタイミングでどうもブリの漁獲高が増えているということで、この両者には実は統計的な関連があるということで、海洋研究開発機構の研究者らが報告をしております。
 一枚めくっていただきます。
 ということで、以上、御紹介してまいりました気候変動、これが海洋法秩序に及ぼす影響とそれから対応について、プレゼンテーションを進めてまいります。
 まず、最初に紹介した北極海の海氷が減少していくということで、実はこの北極海に埋蔵されているとされるエネルギー、天然ガス等ですね、それから鉱物資源、さらには生物資源、こういった資源へのアクセスが容易になります。これへの対応ですけれども、エネルギー等資源の安全保障の確保と、それからこういった資源を探査したり、あるいは取ってきたりするためのイノベーションへの注力、これを継続的に行っていく必要があろうかと思います。
 そして、こういったイノベーションへの注力というのは、同時に、カーボンニュートラルを強く意識した再生可能エネルギー、それからレアアース、これを深海から入手する技術の開発、そういった技術革新にも結び付いてまいります。
 それから、二つ目ですね、南極等の氷床、こちらが海洋へ流れ出しますと、海面水位の上昇、これまでとは桁違いに起こる可能性があります。これへの対応としましては、大都市それから国境離島、この水没に対する対応が大変重要になってまいります。
 それから、三点目ですね、水産資源の分布、こちら、全体的に極域へ現在移動しているとされています。こういった移動ですとかあるいは分布の変化、例えば海洋熱波によるブリの漁獲の上昇、逆にサケは捕れなくなってきております。こういった魚種の入替えですとか、あるいはこういった水産資源を日本以外の国々が公の海で確保してしまうといったことの増加、それから現場海洋をしっかりと状況把握していくということ、これが重要になってきておりまして、こういったことへの対応というのは食料安全保障リスクへの対応ということで重要になってくるわけです。
 ページ下へ行っていただきまして、こういった対応について、七つの重点戦略といったものを提案させていただきます。
 まずは、エネルギー等資源の安全保障の確保と継続的なイノベーションへの注力に関して。
 例えば、例を挙げておりますが、自律型無人探査機、こういったものを始めとする技術革新、そしてこれらの迅速な社会実装、これが大変重要になってくるかなと思っております。こういったことの促進によりまして、生産性の向上、海洋での活動の省人力化、それから洋上風力発電等の巨大構造物の保守管理にも対応していくものかと思います。
 それから、二つ目ですね、洋上風力発電の排他的経済水域展開に向けた制度整備の推進。これに関して、先進国の責務として、二〇五〇年カーボンニュートラルの達成に結び付くということになります。
 それから、三つ目の戦略ですけれども、南鳥島及び周辺海域の開発、これの推進です。こちらは、レアアース生産の社会実装支援のための調査を強化する、こういったことが必要になってまいります。
 そして、四つ目、北極政策の更なる推進です。今現在建造中の最新鋭の観測設備を有する北極域研究船みらいⅡ、これを国際プラットフォームとして運用しながら海洋環境調査を確実に実施し、北極航路それから北極域の資源開発に貢献していくものというふうになります。
 めくっていただいて、重点戦略五つ目、六つ目、七つ目です。
 まず、大都市それから国境離島の水没への対応ということで、管轄海域の保全のための国境離島の状況把握、これが大変重要になってまいります。排他的経済水域のエリアを確保する重要な拠点として、それから地形照合システムの整備などを行い、こういった国境離島等での経済活動、投資を促進していくということが重要になってまいります。
 また、食料安全保障リスクへの対応ですけれども、海洋状況把握、それから情報の利活用、これを是非推進する必要があります。こういった推進によって、船舶観測、衛星観測、人工知能などの活用によるデータ解析手法の高度化、それから多様な現場海洋の情報を集約、共有するということですね。そして、こういったデータベース、産業界を巻き込みながら利活用していくということが重要ですし、こういったデータベースは、さらに、シーレーン沿岸国、同志国、同盟国、こういった国々との連携、こういった国々への支援といったことにも結び付いてまいります。
 それから、最後七つ目の戦略、これ一番重要なんですけれども、以上御紹介した六つの重点戦略全てに関わってくることですが、人材育成です。海洋に携わる人材育成、これ本当に重要なことになってまいります。
 で、その下ですけれども、まとめになります。
 ここで提案させていただきました七つの重点戦略、人材育成、AUV等の技術革新、洋上風力発電によるカーボンニュートラル達成、レアアース開発、北極政策、国境離島対策、海洋状況把握、この推進、こちら実は第四期、現在走っている第四期海洋基本計画、この基本計画の中で特に重点的に打ち出していくべき戦略と位置付けられているものであります。これを推進していくということが重要であります。こういった推進は、我が国の安全保障、経済安全保障、そして食料安全保障の強化、経済成長への貢献、温暖化など喫緊の世界的な社会課題の解決、社会実装、産業化、国際展開の観点から国益に資するものであるというふうに言えます。
 また、現在走っている第四期海洋基本計画の二つの主柱、総合的な海洋の安全保障及び持続可能な海洋の構築、これらを通じた我が国の海洋立国の実現に結び付くものと思われます。
 私からの発表は以上です。
 御清聴ありがとうございました。
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猪口邦子#4
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。
 次に、本田参考人にお願いいたします。本田参考人。
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本田悠介#5
○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりました神戸大学の本田でございます。国際法を専門にしております。
 二十分と時間が限られておりますので、早速配付いたしました報告資料に従って報告、意見陳述をさせていただきます。適宜、冊子になっております事前に配付させていただきました資料も御参照ください。
 本日の報告内容ですが、海面上昇が日本の領海基線に与える法的影響ということで報告させていただきます。
 中身については、まず、日本の基線をめぐる現状について簡単に説明をいたします。次いで、この問題に関連する国連海洋法条約の規定を概観し、その上で、海面上昇をめぐる現行の国際法規則、その解釈とかですね、また、これをめぐる国際的な議論状況について解説させていただきます。最後に、日本の取組の在り方について、現状どういったことを日本が取っているのか、こういったことについて私見を述べさせていただきます。
 配付いたしましたスライドの二ページ目を御覧ください。
 四方を海に囲まれた我が国は、有人、無人合わせて一万四千百二十五の島で構成され、約三万五千二百七十八キロメートルという長大な海岸線を有する海洋国家であります。これらの海岸線や島々は、そこから派生する権利や権原、これケンバラといいますが、権原を支える重要な役割を担っており、とりわけ四百七十三あると言われている日本の管轄海域の外縁、外側ですね、これを根拠付ける離島である国境離島の重要性は改めて指摘するまでもありません。しかしながら、その海洋権原を根拠付ける海岸線や離島は不変というわけではなく、今回のテーマになっております海面上昇その他の危険に常にさらされております。
 近年の日本の領海基線の地理的変化について若干説明いたしますと、記憶に新しいものでありますと、二〇一九年九月には北海道の猿払村の沖合約五百メートルに位置している国境離島であるエサンベ鼻北小島の消失が確認されております。ただし、近傍に代替となる基線があったため、領海面積への影響はほぼないとされております。それでも、水没によって領海を持つことができる低潮高地でもなかったということから、日本は基線を引き直すということを判断いたしました。
 エサンベ鼻北小島の消失の原因は現在特定されていないというか公表されておりませんが、これが海面上昇に直接起因するのか、それとも単純に流氷とか波浪の影響、あとこれも海面上昇の影響があるかもしれませんが、これは不明ですが、いずれにせよ、事実として日本は一つの島の消失を経験しております。
 そして、日本においても海面上昇の影響は明白となっている以上、遠からず、又は既に、直接又は間接的な影響で島や海岸が消失する可能性があります。
 それでは、海面上昇は国際法秩序にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。次のスライドを御覧ください。
 海面上昇がもたらす法的な問題としては、本日のテーマからはこの二点を挙げさせていただきます。
 一つ目は、海面上昇に伴い、島や沿岸域、海岸線ですね、これらが水没したとしても、従来の領海基線の地位を維持することができるのかということです。現行国際法上、基線を現時点の線として固定するということが認められているのか、それとも、海域の物理的な実態、現実に即して基線を引き直さなければいけないのか、こういうことです。
 また、海洋法上の論点としては二つ目に挙げられる、水没した地形の法的地位、また基線を固定できるのかということですが、それとの関連で、海面上昇の影響から島や海岸を守るための措置、仮にこれが固定できないというふうになった場合には物理的な島や海岸守る必要がありますが、その場合、どのような措置がとることができるのかということであります。
 法的観点から見た海面上昇ですが、法的な意味合いとしては、国連海洋法条約第五条等に言及されている低潮線、英語で言うとローウオーターライン又はローウオータータイドとなりますが、これが物理的な実態として現在の位置よりも高くなる、すなわち基線が陸側に後退するということを意味します。その場合、基線とその外縁の両方が同様に移動することから、理論的には領海等の範囲、つまり面積、これ自体が変化することはありません。単純に陸側に移動するというだけであります。その可視化、イメージについては、次のスライドに載せているとおりであります。
 しかしながら、海域に地理的に固定されている漁場とか海底資源等ですね、その管轄水域の中に固定されているものに関しては、基線の移動に連動して移動するわけではないので、沖合の島がもし低潮線等が上昇することで干潮時にしか水面に出ない低潮高地になった場合、又は完全に水没してしまった場合には、それらの資源を失うということもあり得ます。
 次に、めくっていただいて、五、六ページを御覧ください。
 先ほど言及したエサンベ鼻北小島の状況でありますが、海面上昇又は実態として海洋地形が水没するということになれば、先ほども申し上げたとおり、海洋権原、そういった領海とかそこに賦存する資源等を所有しているというふうな、その根拠を失うことを意味します。ここに挙げているとおり、エサンベ鼻北小島は島でも低潮高地でもないということから、その権原を失ったということになります。
 また、あくまでも例えでありますが、六ページ目、現在、海面上昇に、危機にさらされているというわけではありませんが、一つの例として、長崎県の男女群島、女島から約一海里、約二キロ先に位置する鮫瀬というところがありますが、これが海面上昇によって仮に水没してしまった場合、その場合は、日本は七十八平方キロメートルのEEZ、排他的経済水域を失うと、そのような政府試算が出ております。
 鮫瀬を含め、日本は領海や排他的経済水域等の外縁を根拠付ける低潮線を保全するため、二〇一〇年に国内法である低潮線保全法を成立させ、その施行令において、緯度、経度によってこの低潮線保全区域というものを百八十五か所指定しており、その保全活動を行っております。しかしながら、この低潮線保全法の制度は、低潮線を後退させるような海底の掘削、土砂採取等の人為的な行為を規制するものであって、海面上昇に直接対応するものではございません。
 次に、七ページ目、次のページを御覧ください。
 先ほど説明いたしました二点の国際法上の論点でありますが、もう少し具体的に海洋法上の論点として説明したいと思います。
 一つ目ですが、海面上昇に伴い島や沿岸域が水没したとしても従来の基線の地位を維持できるのかという問いに関してですが、つまり、島や海岸等が完全に水没してしまった場合、その海洋地形やそこに設定されていた基線は、ではどのように扱えばいいのかということであります。
 国連海洋法条約上、この問題について直接に言及する条文というものはございません。しかしながら、国連海洋法条約が制定された経緯やそこにおける議論等の一般的な理解からすると、基線というものは海洋の実態に合わせて設定される、したがって海洋の実態に即して移動するということが想定されており、したがって完全に水没した場合は、その地形は基線の基点として使用ができないというのが通説でございます。これは、国際法上の基本的な原則である陸が海を支配すると、陸に海洋というものがくっついてくるという原則から導き出されるものであり、あくまでも原則であります。
 また、通説と先ほど言いましたが、通説イコール現在最も支持されているというわけではございません。あくまでも伝統的な通説、解釈ということでございます。この場合、論点としては、基線を更新する必要があるのか、又は義務としてそういうことをする必要があるのかということでございます。この点をめぐっては、ある、ないというふうな対立が現在もあります。
 今し方申し上げましたとおり、通説の解釈からは、海洋権原を守るためには陸域の水没を防がなければならないということが合理的な選択となります。しかしながら、問題は、そのような措置が国連海洋法条約において、基線等の海洋権原の取得の条件である自然に形成された陸地であること、これに抵触するかどうかという問題がございます。この点、国家は歴史的に海岸線の浸食を防ぐため埋立てや護岸工事といったことを実施してきているということからも、国際法上も基線の基点となる島や海岸線、これを人工的に保全するということは完全に認められているということが通説、この場合は多数説となっております。
 他方で、それが大規模に及ぶ場合、人の手を加えないと維持できないほどまで悪化してしまったという場合であれば、自然として成立するということが満たせないということから、島の場合は人工島に変移するということを主張している有力な学説等もございます。
 御存じのとおり、沖ノ鳥島の法的地位については、我が国が島であると主張しているにもかかわらず、特定の論者又は国から排他的経済水域や大陸棚を持てない岩であるというふうな主張がありますが、その理由としては、大規模な現在のような護岸工事のようなものをしなければ維持できないということであれば、もはや自然に形成されたという要件を満たせないということを説明するものもあります。
 しかしながら、先ほど申し上げました多数説、肯定説に基づく有力な反論としては、そのような法措置は新しく海洋権原を創設する、つまり、ないものを新しくつくるというものではなく、現在あるものを維持すると、その保全するためのものであって、国際法上、ないものをつくるわけではないのだから、国際法上の地位を変更するものではないということで、問題がないんだというふうな主張があります。
 これを裏付けるものとして、二〇一六年のフィリピンと中国との間の南シナ海仲裁判断においては、関連する裁判所の言及としては、海洋地形の法的地位の決定に関しては、たとえ大規模な改変が行われたとしても、その場合は大規模な人工の改変に先立つ自然の状況、つまり原初の状態ですね、これに基づき判断するということであって、たとえ工事をしたとしても、それが低潮高地が島になる又は人工島によって島をつくるということにはならないということが指摘されております。この点は、もう少し後ほど説明させていただきます。
 下の八ページに移ります。
 これまで説明してきたように、海面上昇は基線の法的地位、これに大きな影響を及ぼします。したがって、国家の海洋権原、権原に直接問題、直接関連します。では、その基線、ベースラインというものはどのように国際法上位置付けられているのでしょうか。
 国際法上、一九三〇年のハーグ国際法典編さん会議というものがありますが、ここで初めて基線の法的地位というものが国際的に国際連盟の下で議論がされました。結局のところ、このハーグ法典化会議においては条約というものは作成されませんでしたが、その際の議論においては、基線というものは全ての海岸線において低潮線から設定されると、低潮線に基づいて設定される、その低潮線は沿岸国の公式海図に表示されたものとするという理解が形成されております。
 その後、一九八二年の国連海洋法条約において、通常基線と直線基線というものが、という基線の設定方式が採用されております。このほかにも、我が国には適用されませんが、群島基線というものがあります。今日、各国はこの国連海洋法条約の方式に基づいた基線を設定しております。で、その国連海洋法条約第五条がどのように定めているかというと、通常基線に関しては、領海の幅を測定するための通常の基線は沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線と定められており、直線基線の場合は、海岸線が著しく屈曲しているか又は海岸に沿って至近の距離に一連の島がある場合において、例外的に適当な点を結ぶ、直線的な線を結ぶことが認められております。
 今回は、通常基線に焦点を当てて意見陳述をさせていただきます。
 もう少し説明をしたいと思いますので、九ページ、御覧ください。
 その国連海洋法条約の規定ですが、先ほど申し上げました通常基線のこの条文、この解釈をめぐって、学説的にでありますが、二つの解釈が提唱されております。
 一つが、沿岸国が公式に承認した海図に描かれた低潮線が基線の低潮線である、基線の基準となるという解釈であります。これは、海図、したがってチャート、チャートに記載された基線が低潮線となると、低潮線が基線となるということであります。これに対して、実際の海岸に沿わなければならないということで、潮汐基準に基づいた沿岸の低潮線が法的な通常基線の基点となるというふうな主張もあります。これがアクチュアルベースラインということで、実際の状況に合わせて基線というものは変化するという指摘がございます。
 十ページですが、それでは、現実と海図との間に差がある場合はどのように解釈する必要があるのかということでございます。
 これに関して、伝統的な解釈としては、海図に即して記載されているのでそのままでよいのかということがございますが、これも別な解釈でありましたが、現実の、物理的な現実に合わせて基線を引き直す必要があるという指摘があります。しかしながら、これは国際法上、国連海洋法条約上の義務であるかといった場合には、そうではないというふうな主張の方が多くあります。なぜなら、国連海洋法条約は、直線基線や大陸棚といった特定の場合を除いて、国連等においてそういった範囲を寄託する、固定しているということを届け出る又は更新する義務というものが課されていないからとされております。
 それでは、現実と異なる低潮線が記載された海図をこのまま使用し続けてよいのかということでございますが、この場合、その差異、現実と海図との差異が微少である場合、要は法がこだわるほどまで変化がないのであれば問題がないというふうな主張が法的にはされております。
 しかしながら、先ほど申し上げた一九三〇年のハーグ法典化会議における議論、これは国際法の専門家や海図等に関する専門家の議論がされておりますが、そこにおいては、現実と著しく乖離する場合は、それは正しい海図とは言えないということで、領海の幅が変化した場合はそこにおける管轄権の行使等の問題になりますので、場合によっては関係する国から国際裁判として訴えられる可能性があると。しかしながら、そこまで国はしないだろうということから、問題がないというふうに指摘されております。
 では、その問題がないということですが、微少以上の差異がある場合はどうなるかということですが、これは、最近の国際法上の議論においては、実際の低潮線を代表しない、現実ではない海図の線ということで、それは、法的な擬制、フィクションですね、存在しないものをあるといって領土、領海の幅を保全、保護するということはできないということが国際法上の、国際法学上言われております。
 それでは、解釈論上からそうなるということですが、それでは国家としては領海の消失、島の消失を受け入れるしかないのかということですが、これに対して、やはり問題であるということから、現在の、十一ページにあるように、基線の移動又は固定をめぐる議論が国際法上も、国際的な議論も活発にされているということでございます。
 通説的には、先ほど申し上げたとおり、国連海洋法条約上は基線というものは現実に即して移動するということが基本的な立場となっております。他方で、現在の学説や国家実行からすると、多くの主張が、海面上昇への問題への対応としてはその移動説は好ましくないというふうに指摘されております。したがって、現在、急速に固定説というものが非常に支持を集めております。
 では、この固定説ですが、法的な擬制、フィクションによって基線、低潮線を守るということですが、どのような例があるかといいますと、既に太平洋島嶼国においては実例があります。
 一つが、マーシャル諸島又はキリバス等において、国内法によって、海図において基線の緯度、経度を指定し永久に固定するという措置がとられております。又は、太平洋島嶼フォーラムにおいて宣言されているように、多くの国、その代表が、基線及びその外縁の見直し、基線の更新を行わないという消極的な固定としての主張をしているものがあります。
 その固定説をめぐる支持が現在集められているということでございますが、固定説はどのような根拠で主張されているのかといいますと、十二ページに移ります。
 これに関しては、様々な説が提唱されております。そもそも、国家の裁量、国家は権利として基線を固定することができるんだという主張もあります。これは、国際法上、基線の設定というものは一方的行為として他国からの承認は必要ないということから、国際法上、そのような基線の固定ということが認められるというふうな主張もあります。
 これに対して、やはり確固としたものが必要ということで、新しく、固定を認める国連海洋法条約上の解釈やそのような立法、新しい条約を作るとか、新たな措置を必要、新たな措置が必要であるというような主張もございます。
 現在の国連における議論では、基本的に固定説を少なくとも否定するという主張はございません。ゼロです。また、欧米諸国においては、②の海面上昇に対応する解釈を広く認めるべきというふうな主張がされております。
 下に書いておりますとおり、国連の国際法委員会における暫定的な結論ですが、そこでは、法的安定性、予測性、また第三国との権利義務との関係から、現在の海洋権原、海洋権原というものは維持することが望ましいという結論になっております。
 次に移ってください。十三ページですが、しかしながら、固定説には様々な問題が指摘されております。
 一つ一つ説明すると時間が掛かりますので幾つかピックアップしますが、理論的な問題点でありますが、国連海洋法条約と整合しない基線を恒久的に固定するということになることから、管轄権の行使に関する問題が生じるのではないかというふうな指摘がされておりますし、一番下の方にありますが、潮汐サイクルのある時点で基線が水面上にあるということが前提とされているのが国連海洋法条約上の基本ルールであります。したがって、現実にそぐわない海面を維持すると、基線を維持するということになると、既存の海図が航行に危険を及ぼす可能性も指摘されております。
 時間が迫っておりますので、十五ページに移ってください。
 それでは、法的に固定することが難しいということであれば物理的に保護しなければならないということになりますが、それがどこまで認められるのかということでございますが、これは、沖ノ鳥島に関して様々な指摘がされております。現在、様々な護岸工事等がされておりますが、これに対して、自然に形成されたという要件を満たさなくなるのではないかというふうな指摘がされておりますが、これは、先ほども申し上げましたとおり、十六ページの一番下にありますように、大規模な人工的な改変を行う際のそれに先立つ自然状況で判断すべきということが指摘されております。また、現在、沖ノ鳥島の護岸工事等に関しては、サンゴ礁や土砂等の自然素材を利用しているということから、人工的な保護措置というものは大規模ではされておりません。
 十七ページ、十八ページに移ってください。最後に、海面上昇に対する日本の取組の在り方について若干まとめさせていただきます。
 現在の日本の立場ですが、従来、日本は領海法に基づいて領海の基線等を定めておりましたが、そこには基線を固定する又は移動するということは書かれておりません。しかしながら、昨年、太平洋島嶼国フォーラムの代表団との林外務大臣との会談や、岸田総理のインド世界問題評議会におけるスピーチ、また五月の自民党領土に関する特別委員会の提言等にあるとおり、日本が、方針としては、沿岸国の裁量で基線を固定できると、これを広く認めるべきだというふうな主張をしております。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、基線の固定説に関しては解釈論的な観点からすると様々な注意が必要になります。
 そこで、十八ページ、まとめに移りますが、私見としては、現行の国連海洋法条約の解釈上は、一度設定した基線を維持するということは一応可能ではございます。これは、先ほども申し上げたとおり、基線を逐次更新する義務というものがないということから、消極的な意味において可能となります。しかしながら、それが実際の海岸の状況と物理的な実態が著しく乖離するということになった場合は、様々な問題、又は合法性、正当性等が他国から問われる可能性があります。したがって、④にありますとおり、最も現実かつ法的に整合的な選択肢としては、やはり何らかの合意形成をする必要があるということでございます。国連総会の決議等を通じた解釈合意等の採択等が一つの手段としてはあり得るのではないでしょうか。
 いずれにいたしましても、既存の国連海洋法条約上では、の解釈では、海面上昇への問題に一〇〇%対応するということは不可能でございます。したがって、政策論的な立場としては、現在の解釈を超える、そのような提言をすることも重要であるというふうに考えます。
 以上、意見陳述をさせていただきます。
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猪口邦子#6
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。
 では次に、塩澤参考人にお願いいたします。塩澤参考人。
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塩澤英之#7
○参考人(塩澤英之君) 笹川平和財団の塩澤と申します。よろしくお願いします。
 今日は、私は国際法の専門ではないんですけれども、太平洋島嶼国にずっと関わっていまして、今回はこのテーマに合わせて、その切り口から意見陳述をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の内容ですけれども、そこに書いたように、ポイントから、最初に今回の話のポイント、そして太平洋島嶼国の多様性、地域枠組み、海面上昇が太平洋島嶼国に与える影響、あと国際法協会、国連国際法委員会、ILA及びILCによる基線維持に関する見解、あと基線確保の不確実性に対する太平洋島嶼国の対応、太平洋島嶼国の立ち位置、あと補足として地域機関の技術支援、データ化、あとは太平洋島嶼地域の海域に関する法執行協力、あと気候変動の無垢な被害者としての太平洋島嶼国側の意識、あと基線の不確実性がもたらす安全保障上の懸念、最後に我が国との連携協力の可能性、必要となる外交的取組について説明していきます。
 まず、三ページ、四ページ目ですけれども、まずポイントとして、まあ結論みたいなものですけれども、まず最初に、海面上昇は太平洋島嶼国にとって存亡の危機であると、そういう部分があります。現実的に、領土が減少したり消失したり、海域が減少してしまうということがあり得ると。それは、住民の安全にも関わるものであり、食料確保に関しても問題がある、そして国家経済に対する脅威でもあるということです。もう一つは、国連海洋法条約、UNCLOSにおける基線確保の不確実性の問題。三つ目が、外国の行為者が海洋権益の曖昧さを悪用する可能性があるんじゃないかというところ。で、最後に、四つ目として、我が国、国際法に従った自国海域の確実な保全の実現への協力という部分になります。
 その下の地図ですけれども、幾つか、太平洋島嶼国といっても一様に語ることができなくて、いろんな見方をしなければいけない部分があります。
 その①の部分としては多様性ですね。旧宗主国という国がありまして、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなど、あと一部フランスですけれども、そのため、現在独立した国であっても、そういう旧宗主国との関係が、法律上も、法律上じゃなくて、国内法などの基本の部分で関係してきたりします。
 また、右側のその地図を合わせると、サブリージョナルというんですけれども、小地域というんですね、の分け方があり、ミクロネシア地域、メラネシア地域、ポリネシア地域という見方、分け方もあります。
 めくっていただいて、次の部分ですけれども、太平洋島嶼国、十四か国ありますが、大きな違いがそれぞれあって、まず、人口が一万人前後のところもあれば、九十万人のようなフィジーのようなところもあり、あとパプアニューギニアのように九百万人を超えるような国もあります。人口規模が違うということで、国家予算ですね、国家予算の規模が全然違っていて、例えば一万人前後の国だと国家予算が年間百億円から二百億円とか、そういう規模だったりします。そうすると、そういう国にとってはインフラ整備などに関する大規模な資金というのは到底用意できず、造った後も維持管理の費用が調達できないという、そういう限界があります。あとは、地形としては、低環礁国と言われるマーシャル、ツバル、キリバスなど、標高が二メートル前後とか、そういう国があります。あと、経済的には、民間部門の強い国、フィジーやパプアニューギニアなどあり、一方で、政府支出にGDPが依存しているツバル、ナウル、キリバス、マーシャルなどがあります。
 一方で、共通点としては漁業、漁業といってもEEZの中の入漁料を外国の漁業国に売ることによって得られる収入なんですけれども、その入漁料収入が主要収入源の一つとなっています。あと、近年は越境犯罪の問題がかなりクローズアップされています。麻薬や人身売買などです。あとは、全体として共通しているのは、気候変動が彼らにとっての安全保障上の最大の脅威であるというところです。
 また、EEZを考えると、キリバス、ミクロネシア連邦、パプアニューギニアなど非常に大きな海域があり、十四か国で世界のEEZの約二〇%を占めると言われています。
 次に、下のものですけれども、今度は地域秩序の枠組みになりますけれども、まず一番上にある、一番として書いているのが地域秩序基盤、戦後秩序ですね、というもので、北半球はアメリカ系、そのミクロネシア、パラオ、マーシャルという国々ですね、はアメリカ自由連合国としてアメリカ系の社会となっています。南半球は英連邦系という違いがあります。
 伝統的安全保障で考えた場合、北半球のアメリカの自由連合国三国に関しては、コンパクトという協定、条約に基づいてアメリカが安全保障上の責務と権限を有していると。この地域全体で見て軍があるのは幾つあるかというと、パプアニューギニア、フィジー、トンガの三国だけで、しかも、これは防衛というよりも国内の治安維持、あとは国際貢献などのための軍と見ることができます。
 あとは、EEZの中の取締りなんですけれども、これは法執行、警察権になるので各国が権限を持っています。各国の海上警察、国家警察の海事部門などが対応していて、一方で、その旧宗主国と言われるアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランスなどが地域協力を進めて、行っています。
 次のページですけれども、あとは、先ほども少し出てきましたけれども、太平洋諸島フォーラムという地域枠組みがあります。それは、地域政策枠組みで、小さな国々が国際社会にどうやって統一、一致した声を届けるかという、それが大きな目的としてあるんですけれども、現在は十四か国プラス、オーストラリア、ニュージーランド、そしてフランス領の二地域が加盟しています。閣僚会議や首脳会議などで構成されています。ただ、ポイントとしては、その加盟国の主権だとか外交権を超えない組織であるので、例えばPIF事務局というところが国の意思を超えた発言や行動はしないというのが基本的な枠組みとなっています。
 さらに、多くの地域機関がありまして、我々、CROP機関、我々じゃなくて、CROP機関と呼ばれているんですけれども、PIFを事務局として漁業、科学技術、環境、開発、観光、その他いろんなものがありますけれども、九機関があります。
 その下の写真は、僕、二週間前にツバルに行ったんですけれども、ツバルの写真です。これは平常時の写真なので水面は低いんですけれども、キングタイドと言われる、二月とか三月に大潮ですかね、になると一メートル、二メートル水面が上がるので、水没する地域があるということです。
 次めくると、次、海面上昇が太平洋島嶼国に与える影響なんですけれども、その気候変動に関する政府間パネル11のものでは、そういうふうに継続的な海面上昇が想定されるという話になっています。
 これに対してどういう実際の動きが、影響があるかというと、現実的な変化として、住民の安全、食料確保、国の存亡に関する危機感につながる部分があります。
 高潮とか、先ほど述べました大潮時の浸水被害が増加している。僕、二十年島嶼国に関わっていて、マーシャルという国に六年間住んだことがあるんですけれども、二十年前はそんなに大潮になっても浸水被害ってなかったんですね。それが今は毎年二月、三月が大潮があって、あと九月、十月頃に大潮があるんですけれども、毎回、道路が水没するとか、近隣の庭、家の庭が水没するということが起こるようになっています。
 あと、そういうことが起こっていくと、今度は領土の減少も考えられるし、そうすると住民の安全、生活、食料の危機につながると。あとは、ひどい場合にはその領土消失、その低環礁国、ツバル、キリバス、マーシャルなどはそういう危機があると。そうすると、もう国の要件を失ってしまう可能性があります。
 あとは、法的にその基線、海上境界が維持されない場合、どういうことが起こるかというと、群島要件が解除されて、群島基線というのがあるんですけれども、それが不適用になってEEZが減少していくと。また、領海も減少してしまうので、国としてのその安全保障の防衛エリアが変わっていく。あと、EEZが公海に変わってしまうということで、軍事ではないんです、安全保障ではないんですけれども、今はその違法漁船などを取り締まるということでEEZの中で各国、沿岸国の警察が監視をするんですけれども、そういうところに穴がどんどんできていくということになります。
 次に、その下の部分なんですけれども、ILAとILC、国際法協会と国連国際法委員会の見解なんですけれども、一番下ですかね、法的安定性、安全性、確実性、予測可能性を維持するために、海面上昇による沿岸の変化にかかわらず、既存の境界画定を維持すべきであるという立場を支持しています。
 次のページになりますけれども、これもそのままですね、とにかく基線は維持できるという立場の話をしています。あと、法的オプションとしてあるのが、条約の解釈やその規定の適用に関する締約国間の合意、又は条約の解釈に関する締約国の合意を確立する条約の適用におけるその後の実務のいずれかによって現在のUNCLOSを解釈すると、変更しないでそのまま使っていくという考え方です。
 そういう基線確保の不確実性に対する太平洋島嶼国側の対応なんですけれども、地域としては、太平洋諸島フォーラムが、首脳の合意を得て、その気候変動による海面上昇に直面する海域の保全に関する宣言を出しました。これは、国連に寄託した基線の永続宣言であって、既に日本を含む百か国以上が支持しているものです。これは、先週、太平洋諸島フォーラムの法務部に行きまして、そういう話をちゃんと確認してきました。
 あとは、地域全体としては二〇五〇年戦略というのがあり、去年の十一月に実施計画というものを合意、エンドースしました。これは、直接海面上昇の話には関わらないんですけれども、とにかく彼らが海洋の管理者として地域を維持していくんだという、そういう矜持を示したものです。
 二つ目として、太平洋共同体という組織があり、そこではもう科学技術の支援をしているんですけれども、海上境界画定のための技術協力、データ化などを進めています。
 国レベルに戻っていくとどうなるかというと、その宣言は宣言としてあるんですけれども、今度は各国が海上境界の画定だとか、国内の法制化だとか、あと国連への寄託を急ぐというところになっています。とにかく、寄託されれば変更はしないという立場なので、とにかく寄託していくというところですね。その過程として、隣国との境界交渉地域が、四十八件あったところ、現状で三十六件合意しているというところです。ただ、公海とのその境界部分に関しては五か所が未画定な状況です。
 改めて、その二〇二一年宣言のポイントなんですが、そこに書いてあるとおりで、とにかく、ちゃんと宣言したことによってもうこれは固定される、我々はもう絶対変えないという、そういう立場です。補足としては、その下の図になりますね、太平洋共同体というところがオーストラリア、アメリカ、あとはEU、あっ、オーストラリア、ニュージーランド、EUなどの支援を受けてデータ化を進めています。これが各国の海上境界画定に、何というか、促進しているという立場、ことになります。
 めくって、次、十五ページ目、なりますけれども、太平洋島嶼地域の海域に関する法執行協力というものです。
 これは安全保障で、安全保障に入れていいのか難しいんですけれども、まず一番目がEEZ内のIUU漁業、違法、無報告、無規制漁業対策という部分で、中心になっているのはフォーラム漁業機関、漁業局って、漁業機関ですね、エージェンシーです、になります。そこでは漁船の位置情報などを集約していまして、それを基に合同監視活動を行っていると。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの海軍、あとは空軍も入るときがあります。で、アメリカのコーストガードなどですね。あと、そのFFA、そのフォーラム漁業機関の加盟国である太平洋島嶼国の海軍、あとは海上警察が合同で地域監視をするというプログラムがあります。あとは、日本も海上保安庁のモバイルコーポレーションチームがまさに今マーシャルに、我々派遣をお願いして現地に行っていただいていて、今週現地で技術協力を行うことになっています。我々も、日本財団、あと笹川平和財団で協力をしています。
 あと、二番目として、越境犯罪対策があります。これは、先ほどお伝えしたように、麻薬、人身売買などが対象になっていると。これ、日本もUNODCなどを通じて協力しています。全体的に、地域のこういう警察関係の部分に関しては、オーストラリア、ニュージーランドが伝統的に支援をしているところです。
 三番目の公海の資源管理に関しては、WCPFC、中西部太平洋、これまぐろ類が入ります、まぐろ類委員会がありまして、これは日本も加盟していまして、EEZだけじゃなくて、もう全体の海域の資源管理について協力する、交渉する場になっています。
 この中で、EEZの外側の公海に関する部分で、加盟国がWCPFCに巡視船を登録すれば、その巡視船が、その公海の中で漁船の立入検査が可能だという取決めがあります。つい先頃、中国の巡視船が何隻かこれに登録されました。そういうことがあります。
 補足として、最後の部分としては、太平洋島嶼国の立場になる、根底的な、根本的な立場なんですけれども、気候変動の無垢な被害者、イノセントビクティムと彼らは言うんですけれども、としての意識があります。太平洋島嶼国は、とにかく太平洋島嶼国は何もしていないのにこういう気候変動の影響を受けていると。一方で、日本などそういう、日本のほか、産業国は経済発展をしてということですね。加害者という言い方をして、直接は言わないんですけれども、そういう言い方、視点があります。
 一つは、ロス・アンド・ダメージという考え方があって、先ほど最初にお伝えしたように、国によっては財政規模が非常に少ない、低いので、沿岸部分を強化しようとしても予算が全然確保できないと。国際協力でやろうとすると、大規模なものは大体、円借款など、日本は円借款ですね、有償の支援になった場合、なることがあって、それはおかしいだろうと彼らは言っていまして、ローンではなくて無償で出してくれと。あと、プロセスが、例えば緑の気候基金などの場合でも提案してから三年、四年掛かることがあるので、もっと迅速に進めてほしいというのがあって、ロス・アンド・ダメージということをどんどん主張しています。
 あと、二番目として、これはまだ実現していないんですけれども、入漁料収入の損失への賠償についても彼らは言及しています。温水域が移動することによって、EEZ内で捕れていた魚が公海に移ってしまうと。そうすると、彼らは入漁料収入を得ている部分があるんですけれども、その入漁料収入が減ると。その損失分を、温水域の移動に関わった先進国に賠償金というのを出してくれという、そういう視点で話を彼らはしています。
 もう一つは、三番目、フィジーの例なんですけれども、沿岸域の村落の人々の半数以上が高台に移動する必要があるという話がありまして、ただ、聞いてみると、元々先住民の人たちは高台の方に住んでいたんですが、イギリスの植民地時代に彼らが統治しやすいように沿岸部に移住させたことがあるというんですね。なので、その人たちは、また元に戻すというわけではないんですけれども、もう一度高台に移動させなきゃいけないという話がありました。これは、今月、フィジーの首相府で話を聞いてきました。そういう話です。
 最後の二枚になりますけれども、基線の不確実性がもたらす安全保障上の懸念についてですけれども、まず根本的に地域秩序が揺らぐと、その太平洋島嶼国と旧宗主国が守ってきたそのエリアに穴がどんどんできてしまうという形になります。単純に考えて、内水域の部分が領海に変わって、領海が接続水域やEEZに変わり、EEZが公海に変わっていくという形になってしまうので、そういうことです。あとは、そうですね、EEZ自体は安全保障上の、ちょっと難しいんです、防衛の対象ではないんですけれども、漁業権益とかそういう部分で監視できているものができなくなるという部分があるので、穴ができてしまうと。
 あとは、こういう曖昧な状況を外国の行為者が地域秩序の変更を狙って利用する可能性があると。だから、UNCLOSによって基線の保全が認められないと主張して、実態に合わせた変更を主張すると。そして、あとは行動によって、なし崩し的に公海として行動して、実質的にEEZを縮小させるということがあるんじゃないかと考えられます。
 これに対して、我が国としての太平洋島嶼国などとの連携協力の可能性はどういうものがあるかということなんですけれども、国際法に従った自国海域の確実な保全の実現への協力という点でいえば次のことが挙げられるんじゃないかと思っています。
 一つは、これはフィジー側からも話はあったんですが、フィジーなど太平洋島嶼国と一緒に地域会議、国際会議を共同開催して機運を守るという、現在のものを守るという機運醸成を行うというところです。
 三月にマーシャルのハイネ大統領が来られたときに岸田総理とも会っていまして、そのときに、日本に対してグローバルサウスと先進国の間の橋渡し役を期待しているということがありましたので、そういう話にも合致するんじゃないかと思います。
 また、あと日本としては、その同じ危機感を有する、安全保障上の危機感ですね、を有するアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、その他の国と連携と協力を進めていけるんじゃないかと。ただ、進め方としては、PIFという枠組みから入るんじゃなくて、国と国とをつないでいって、その後にPIFという形がいいと思います。
 あとは、科学データを扱う太平洋共同体などとの技術協力。あとは、法務人材が限られている国が多いので、そういう国に対する司法外交とか、そういう部分での技術協力、専門家派遣があるかと思います。
 大事なのは、その海面上昇の影響が他者のものではなくて、日本も当事者であるというものを示しながらやることが重要じゃないかと思います。
 以上になります。ありがとうございました。
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猪口邦子#8
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いいたします。
 では、質疑のある方は順次御発言願います。
 赤松健君。
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赤松健#9
○赤松健君 自由民主党の赤松健でございます。
 本日は貴重なお話いただき、ありがとうございます。
 原田参考人、十二月派遣予定の第六十六次南極観測隊の隊長ですよね。頑張ってください、女性初ということで。私、極地研のファンなので、原田参考人に質問いたします。
 昨年、国立極地研究所に視察に行ってきたんですけれども、あそこで、南極は地面の上に氷が平均二百メートル、分厚い氷で覆われていて、それをくりぬいて七十二万年分のサンプル取れますよね。あれ、私、マイナス四十度の低温室で見てきたんですけど、これロマンですよね。
 それで、質問は、そのときに質問したんですけど、氷が解けることによって海面上昇するんですか。北極は、海に氷が浮いているから、解けても海面上がらないですよね。なんですけど、南極は、地面の上に氷があって、それが流れ出すと海面上昇するということで、どうなっているのかと質問したんですけど、北極は明確に解けていると。これ、二ページ目の図もそうなっています。それで、南極に関しては、はっきり回答を得られなかったんですよ。
 でも、これを見たら、もう明らかに解けているというふうに見えるんですけど、先ほどの御説明でも分からなかったんですけど、今は海の熱膨張で年三・五ミリという話もありましたけど、融解しそうというお話も聞いて、あと四メートル、ポテンシャルあるトッテン氷河も崩れそうとかいうお話ですけど、崩れてはいないのか。南極は氷が解け出していて、そして海、海面が上がっているのか。見解をはっきり教えていただきたいと思います。どうでしょうか。
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原田尚美#10
○参考人(原田尚美君) ありがとうございます、御質問。
 もう一回、二ページ目、それからその次の三ページ目も同時に併せて、ただいまの御質問に回答したいと思います。
 おっしゃるように、南極、南大洋の海氷の減少の応答、これ、現状でグラフでは急激に二〇一四年以降、二〇一五年以降、落ちています。これ、現実です。
 ただ、本当にこのまま、右肩下がりのままに推移していくのかどうかというのは、研究者によっても見解まだ定まっていないんですね、たった数年の、十年ぐらいの出来事ということでですね。ですので、このままどんどん南極が解けていくフェーズになっていってしまうのかどうかというのは、もちろん私自身はその方向にあるというふうに思うところですけれども、いや、そうではないという研究者もおりますので、それが現実です。
 三ページ目の南極の大陸のところの絵ですけれども、氷床量の変化というのが、西側の南極の氷床量、随分もう失われている。赤茶色の面積がかなり広がっていますね。ですので、海氷の面積、それから氷床で解けている部分というのは、今、西側の南極が中心なんですね。日本の観測隊がテリトリーとしている東側の南極、これ実は余りまだ明確に、例えば昭和基地周辺の海氷も減っているのかと言われると、実は昭和基地周辺で見てみると、余り大きな変化ないんです。それが現実です。
 このグラフ、お見せしたグラフは極域全体を平均化して見ているので、極域全体平均化して見ると確かに減ってはいるようなんですけれども、ローカルでエリアごとに見ていくと、いや、余り減ってないところもあれば、極端に減っているところもあるという、非常にヘテロジーニアスです、分布が。ですので、全体で見るのか、それからローカルで見るのか、あるいは時間スケールによっても見解がまだ定まっていないというところが現実かと思います。
 これで回答になっていますでしょうか。
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赤松健#11
○赤松健君 続けて原田参考人に御質問いたします。
 参考人のインタビュー記事で、未来の気候変動についてスパコンとかで予測できるようになってきているけど、現実の地球温暖化の方がはるかに速いスピードで進行していると御発言されているかと思います。
 現実とそのスパコンの予想とが食い違ってくるみたいなのというのは、これはスパコンの精度の問題なのか、それとも、実はもう想定外の地球温暖化時代に突入して、予想がもう全然できなくなっているのか、御見解をお願いします。
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原田尚美#12
○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。
 スパコンの性能ではなくて、まだまだモデルシミュレーション、現実をリアルに表現することができていないというのが現実です。これ、モデルの高度化も必要ですし、それから、モデルをちゃんと現実が再現できるように、実際に現場で観測したデータをインプットしながらチューンナップするんですけれども、そういった現場観測データがまだまだ足りないんですね。この二つが予測の確度を落としているということになります。
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赤松健#13
○赤松健君 ありがとうございます。
 じゃ、簡単に三人の参考人の方々に共通質問で、端的でよいのでお願いします。
 気候変動が、生態系の影響とか領海基線に及ぼす影響とか、近隣諸国との関係に影響を及ぼすのは分かりました。それで、その中で日本がどのように他国と協力と対話を行って、どういうふうにプレゼンスを発揮していくべきなのか、お三方のそれぞれの専門の立場から簡単にお答えください。
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猪口邦子#14
○会長(猪口邦子君) 原田参考人からでいいですか。
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原田尚美#15
○参考人(原田尚美君) ありがとうございます。
 日本は、やはり伝統的に、その技術、イノベーションに強い国であると。それから、私たちサイエンスの立場からいいますと、日本が出していく観測データは非常に精度が高いという、そういう信頼性がとっても高い国です。
 ですので、これまで実は、科学技術外交というんですかね、日本のそのイノベーションの高さと精度の高さというのは非常に信頼性、定評性があります。ですので、やはり今後もこれを生かした形で関係国と良い連携関係を取りながら進めていくのがよろしいのではないかと、それは東アジアの近隣国も含めてであります。そのように考えます。
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本田悠介#16
○参考人(本田悠介君) 日本が他国とどのように協力すればよいかということですが、法的及び、私も実務の経験から外交的な観点から申し上げますと、やはりこの問題、現在国連等を含めて国際的な議論がされております。また、PIFといった、そういった地域的な枠組みにおいても、日本の岸田首相が申し上げたように、いろいろな場でおいて日本が主張することがあるのですが、そこでやはり先方に寄り添った主張をするということも重要なのですが、そこで法的な解釈等の形成に関して積極的に日本としての解釈論等を打ち出していくということが重要だと思います。
 ただ、立場で基線を固定すると、基線の維持というのがやはり許容されるべきであるというような政策論的なものも重要なんですが、そこで、実務レベルでおいて、こういった解釈が、すれば現状の問題に対応できるのではないかというような具体的なやはり提案等をしていくべきだというふうに考えます。
 以上です。
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塩澤英之#17
○参考人(塩澤英之君) 今の本田さんの話に乗っかってしまうんですけれども、そういう話をしっかりした後に、我々、私の立場としては、同じ海洋国家としてニュアンスが共通、共有できる太平洋島嶼国の国々と協力するというのは大事だと思っています。
 今度、七月に太平洋・島サミット、十回目のがありますけれども、もう三十年近くずっと続けているんですね。そういう信頼関係がベースにありますので、太平洋島嶼国の人たちとタッグを組んで、十九か国、更に幾つかの同志国などが関わって、ニューヨークなどで会議を開催したり、地域で開催をしたり、日本で開催をしたりとやっていって機運をつくるというのは大事だと思っています。
 以上です。
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赤松健#18
○赤松健君 ありがとうございました。終わります。
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猪口邦子#19
○会長(猪口邦子君) それでは、高木真理君。
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高木真理#20
○高木真理君 立憲・社民の高木真理と申します。
 三人の参考人の方々、貴重なお話ありがとうございました。
 まず、原田参考人に伺ってまいりたいというふうに思いますけれども、シンプルな質問として、最初にお話を伺って、南極はこの温暖化の中でこれまでは余り海氷が減るという現象が出ていなくて、反応していなかったのではないかというお話に、ちょっと私も知識が余りなかったので、そうだったのだというふうに思ったんですけど、これは、どうしてそういうことがこれまでは維持されてきたのかと。全体が暖まってしまうと南極でももっと何か普通に解けていっちゃうのかなというふうに思っていたんですけれども、これはどういう理由が考えられるんでしょうか。
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原田尚美#21
○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。大変重要な視点だと思います。
 実は、南極、思い浮かべていただきたいんですけど、地球儀を、孤立していますね、大陸が、ぽんと。で、周辺に大陸ほとんどなくて、海が周辺を覆っているということで、非常に大きな面積の大陸が孤立して存在しているということで、実は、地球上ではクーラーの役割を果たしています、全体を冷やす役割。
 これ、もう一つ、海流を思い浮かべていただきたいんですが、北半球には南北を貫くような大きい海流、これ、例えば日本周辺だと黒潮、それから大西洋だとメキシコ湾流、こういうふうに熱を極域へ運ぶ大きな海流があるんですが、それが南半球にはないんですね。
 ですので、そういう状況が南極大陸をクーラーの存在にさせ、全球的に暖まっていてもその応答が鈍いというのは、そういう大陸の配置と海流の関係ということから説明ができるかと思います。
 以上です。
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高木真理#22
○高木真理君 ありがとうございました。
 もう一点伺いたいのが、原田参考人に、七ページのところに、これから七つの重点戦略で取り組んでいった方がいいということの六番目、食料安全保障リスクへの対応として、海洋状況把握及び情報利活用の推進ということで、こうしたデータを解析したりして、そのデータベースを活用して、近隣諸国、同盟国、いろんな国々と連携していくと。
 ということなんですけれども、実際、いただいていた資料の中では、二十一世紀末までに漁獲可能量は一九九一年から二〇一〇年に比べると二四%減少すると見積もられているというようなことも書かれていたんですが、減っていく一方なのかなとか、新しくその温暖化したことでより捕れるようになる、まあさっきブリの話もありましたけれども、魚などもあるのではないかなとも思ったりしますが、こうしたデータを活用して、いなくなっちゃう魚はいなくなっちゃうんですけど、けんかなくお互い資源をうまく管理できるように調整をしていくことが大事という意味という理解でよろしいでしょうか。この六番で御提言されていることの意味をもう少し詳しく伺いたいんですが。
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原田尚美#23
○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。
 この文章だけでは、確かにおっしゃるように、なかなか分かりにくくなっているんですけれども、実は今、漁業とそれから私たちのような研究者と連携して、日本周辺ですね、私たちが提供するような海流ですとか海水温等のデータを利用しながら、漁場が次にどこにありそうかというような、効率よく漁業をしていくという動きが出始めています。
 ですので、そういったサイエンスとそれから漁業との連携によって食料安全保障、今、沿岸周域はそういう動きがありつつ、出ているところなんですけれども、より広く外洋域まで含めてしっかりと海温の状況を把握して、例えばサンマですとかああいったものは外洋域にその大きな分布域を持ちますので、こういう条件が整えばサンマの分布はどういうふうに移動しそうかと、そういった状況をいち早くデータとして取ることができるのは、やっぱりアジア、東アジアの中では日本なんですよね。
 情報を持っている国が強いということにはなろうかと思うんですが、日本はそれを独り占めすることなくしっかりと、まあオープン・アンド・クローズ戦略ということは重要ではありますが、オープンにできるところはオープンにして、東アジアのほかの国々にもそういった情報を提供していくということが重要ではないかなと。
 そういった形で非常により良い関係を構築することが、例えば何かの形で国際世論を喚起するような場合に、ああ、日本が言うことならばそれはそうだよねというふうに言ってくださる国を増やすということにもなりますので、食料安全保障への対策というのは、ほかの部分の安全保障にもつながっていくというふうに思うところです。そのために海洋状況把握が重要であると。
 以上です。
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高木真理#24
○高木真理君 ありがとうございました。
 次に、本田参考人に伺いたいというふうに思います。
 この基線の考え方というのの法的な解釈のところ、いろいろ伺って、なるほどというふうに勉強させていただきましたけれども、日本の立場の変更というところの御説明がありました。十七ページのところでしょうか。現実には、固定の立場に完全に日本が立つというわけではないのかなというふうには思うんですけれども、これまでの移動基線の考え方から固定支持へ方針を転換をしたのではということの背景に、日本はどのように考えてこういう転換があったというふうに思われるか、その背景の深さみたいな部分で御見解あれば伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
本田悠介#25
○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。
 今し方御質問ございました日本がどのような経緯というか背景で立場を転換したのかということですが、確実に、本当に転換したのかどうかというのはちょっと言いづらいというところがあるのですが、少なくともこれまで移動性を取っていた、実行的にはですね、エサンベ鼻北小島等の削減等もちゃんと反映していますので、そうしているにもかかわらず、今回このような外交の立場で基線の維持が許容されるというふうに発言しているということから、外見的には立場が転換されたというふうに見えるというふうに、そういったことからこのように書いたのですが。
 そのような背景は、やはり日本は島嶼国として被害を多く受ける可能性があるし、実際多く受けているということから、国家の立場としては、領土というか、そういった海洋権原、領海やEEZ、大陸棚等の基点となるべき陸地が減るということがやはり問題であるということから、基線を固定するということが戦略的に望ましいということでこのように判断したんだと思われます。もちろん、国際的な議論でこの固定が望ましいというような主張がやはりあるから、やはりそれは日本もほかの国と同じような主張、立場であるというふうな、そういった総合的な判断でこのような主張がされているというふうに私は考えます。
 ただ、本当に固定でいいのかどうかというところですが、固定説をずっと維持した場合、では、新しくできる島をどのように解釈すればいいのか。これ、実は日本とアイスランドのみが領域内において新しく島ができる可能性があるし、その事例があるというふうに言われております。福徳岡ノ場もそうですし、西之島は元から島がありましたが、海底火山の影響で新しく島ができた場合、固定説を取っていた場合、それを反映しないのかどうか。その場合は、維持するというふうになった場合、じゃ、どっちなのというふうに言われる可能性があるので、そこはやはり戦略的に考えるべきだと思われます。
 ただ、いずれにせよ、質問に関しては、現在の状況からすると、日本としては固定説を取った方が国益にかなうからというふうな判断でこのような立場を取ったんだと、少なくとも私、あと法的、外見的にはそのように判断できます。
 以上です。
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高木真理#26
○高木真理君 ありがとうございました。
 最後に、塩澤参考人に伺いたいと思います。
 この太平洋島嶼国に対して、やはり伺ってみたいと思っていたのが、中国の影響が増しているということで、先ほども、登録した船に中国が入ってきて影響力を出しているんだなと。ただ、いただいていた資料の中では、中国はいろいろ影響力は増しているけれども、別に法的に問題になるようなことというか、そういった迷惑になるようなことでは起きていないので、外交的にも特に問題になるところまで来ていないというようなニュアンスの文書をちょっと読ませていただいたかと思いますが、今現実に中国は、国によってもそれぞれ違うかもしれませんが、どのような影響を及ぼしているのか、教えてください。
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塩澤英之#27
○参考人(塩澤英之君) 元々その地域の太平洋島嶼国というのは、戦後、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどの下で統治されていって、独立が獲得していた歴史があって、二〇〇〇年代に入ってからより自立を高めようとしていたんですね。旧宗主国だけの話ではなくて、国の発展のことを考えてももっといろんなソースが必要だというときに、中国は九〇年代ぐらいから現地に協力を続けていたんですけれども、二〇〇〇年代半ばぐらいから旧宗主国と太平洋島嶼国の間でいろいろもめる場面が出てきて、そういうときに中国というのがカードとしてあることによって交渉をうまく進められるというのが実はあって、その流れで来ています。
 一方、中国は中国で経済力を高めていって、先進国ではない、南南協力というんですけれども、その途上国間の協力の盟主というか、そういう形になってきていまして、そういう、太平洋島嶼国側がうまく利用しているというのが僕の見方になります。
 以上です。
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高木真理#28
○高木真理君 ありがとうございました。終わります。
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猪口邦子#29
○会長(猪口邦子君) 新妻秀規君。
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