外交・安全保障に関する調査会
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会
会議録情報#0
令和七年二月十二日(水曜日)
午後一時開会
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委員氏名
会 長 猪口 邦子君
理 事 朝日健太郎君
理 事 越智 俊之君
理 事 吉川ゆうみ君
理 事 高木 真理君
理 事 高橋 光男君
理 事 串田 誠一君
理 事 浜口 誠君
理 事 岩渕 友君
赤松 健君
生稲 晃子君
上野 通子君
こやり隆史君
永井 学君
比嘉奈津美君
松川 るい君
森 まさこ君
古賀 之士君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
広田 一君
塩田 博昭君
梅村みずほ君
伊波 洋一君
齊藤健一郎君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 猪口 邦子君
理 事
朝日健太郎君
越智 俊之君
吉川ゆうみ君
高木 真理君
高橋 光男君
串田 誠一君
浜口 誠君
岩渕 友君
委 員
赤松 健君
生稲 晃子君
上野 通子君
こやり隆史君
永井 学君
比嘉奈津美君
松川 るい君
森 まさこ君
古賀 之士君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
広田 一君
塩田 博昭君
梅村みずほ君
伊波 洋一君
齊藤健一郎君
事務局側
第一特別調査室
長 有安 洋樹君
参考人
防衛大学校名誉
教授 立山 良司君
拓殖大学教授 佐藤 丙午君
立命館大学国際
関係学部准教授 越智 萌君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交・安全保障に関する調査
(「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「中東情勢をめぐる現状と諸課題」について)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員氏名
会 長 猪口 邦子君
理 事 朝日健太郎君
理 事 越智 俊之君
理 事 吉川ゆうみ君
理 事 高木 真理君
理 事 高橋 光男君
理 事 串田 誠一君
理 事 浜口 誠君
理 事 岩渕 友君
赤松 健君
生稲 晃子君
上野 通子君
こやり隆史君
永井 学君
比嘉奈津美君
松川 るい君
森 まさこ君
古賀 之士君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
広田 一君
塩田 博昭君
梅村みずほ君
伊波 洋一君
齊藤健一郎君
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出席者は左のとおり。
会 長 猪口 邦子君
理 事
朝日健太郎君
越智 俊之君
吉川ゆうみ君
高木 真理君
高橋 光男君
串田 誠一君
浜口 誠君
岩渕 友君
委 員
赤松 健君
生稲 晃子君
上野 通子君
こやり隆史君
永井 学君
比嘉奈津美君
松川 るい君
森 まさこ君
古賀 之士君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
広田 一君
塩田 博昭君
梅村みずほ君
伊波 洋一君
齊藤健一郎君
事務局側
第一特別調査室
長 有安 洋樹君
参考人
防衛大学校名誉
教授 立山 良司君
拓殖大学教授 佐藤 丙午君
立命館大学国際
関係学部准教授 越智 萌君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交・安全保障に関する調査
(「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「中東情勢をめぐる現状と諸課題」について)
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猪
猪口邦子#1
○会長(猪口邦子君) ただいまから外交・安全保障に関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、岩本剛人君が委員を辞任され、その補欠として比嘉奈津美君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、岩本剛人君が委員を辞任され、その補欠として比嘉奈津美君が選任されました。
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猪
猪口邦子#2
○会長(猪口邦子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
外交・安全保障に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
猪
猪口邦子#3
○会長(猪口邦子君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
猪
猪
猪口邦子#5
○会長(猪口邦子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
外交・安全保障に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
猪
猪
猪口邦子#7
○会長(猪口邦子君) 外交・安全保障に関する調査を議題といたします。
本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「中東情勢をめぐる現状と諸課題」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、防衛大学校名誉教授立山良司君、拓殖大学教授佐藤丙午君及び立命館大学国際関係学部准教授越智萌君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、立山参考人、佐藤参考人、越智参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず立山参考人からお願いいたします。立山参考人。
この発言だけを見る →本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「中東情勢をめぐる現状と諸課題」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、防衛大学校名誉教授立山良司君、拓殖大学教授佐藤丙午君及び立命館大学国際関係学部准教授越智萌君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、立山参考人、佐藤参考人、越智参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず立山参考人からお願いいたします。立山参考人。
立
立山良司#8
○参考人(立山良司君) 立山でございます。どうぞよろしくお願いします。
私は、中東の現代政治、特にイスラエルとパレスチナ問題を専門にしております。
御承知のとおり、一昨年十月七日にハマスが大規模なイスラエルへの越境攻撃を行って、それ以降、ガザはずっと戦闘状態が続いておりました。加えて、レバノンのシーア派組織ヒズボラがイスラエルへ攻撃をする、あるいはイスラエルとイランの間での応酬がある。加えて、直接は関係ないんですけれども、連鎖的にシリアのアサド政権が崩壊して新しい暫定政権ができてまだ二か月程度という状態にあります。そういう中でトランプ政権が発足をいたしました。トランプ政権にとっては、中東というのはかなり大きな政策課題になるだろうと思います。
二十分という時間でございますので、今日は私は、そのガザの状況、それからイラン、特にイランの核開発をめぐる状況、それに全体、中東全体をどういうふうに考えればいいのかという点をお話をさせていただきたいと思います。
まず、十五か月ガザでは戦闘が続いたわけですけれども、先月一月十五日にイスラエルとハマスの間で停戦の合意がなされ、一月十九日に停戦が発効し、停戦期間が始まりました。
その停戦の合意の内容は、三ページ目、最後のページに骨子を書いておりますが、三段階から載っておりまして、第一段階、四十二日が一月十九日からスタートしたわけでございます。それで、この間、イスラエルは、イスラエル、ハマス双方が戦闘をやめる。それで、イスラエル軍は人口密集地から撤退する。人質はこの四十二日間に三十三人を段階的に解放する。他方、イスラエルの方は拘留しているパレスチナ人を段階的にやはり釈放する。で、大規模な人道支援、援助を開始するということになっております。さらには、第二段階に向けての交渉を行うことになっております。
その後、第二段階が四十二日間、さらには第三段階と続くわけですけれども、この数日ニュースでも流れておりますけれども、この月曜日、十日にハマスが、今週の土曜日、二月十五日に予定されております三人の人質の解放を実施しないかもしれないという声明を出しました。それは、イスラエルが人道支援物資の搬入を阻害している及びパレスチナ住民に対して銃撃をしている、現にパレスチナ住民がイスラエル軍によって三人銃撃されて死ぬという事件が日曜日に起きていますので、こういう事態を捉えたことだろうと思います。
それで、予定どおりに進むのかという問題が浮上してきたんですけれども、トランプ大統領が、その直後に、今週の土曜日、さっき申し上げた二月十五日の正午までに、この正午が、何で正午が出てきたのかよく分からないんですけれども、正午までに三人の人質じゃなくて全人質を解放しろと、そうでなければ大変な目に遭う、地獄の蓋が開くというような表現をしまして、今のところ、それに対してハマスがまた強く反発をする。他方、イスラエルの方は、三人ではなくて全人質の解放という新しい要求を掲げる形になりまして、どうなるか今のところよく分からない状態であります。
いずれにしましても、これまで、資料の(1)のところにございますけれども、人質は十六人、これとは別枠で、別枠というのは三十三人という第一段階の中の十六人が解放され、加えてタイ人五人が解放されております。他方、パレスチナ人の拘束者は七百六十六人が解放されております。
イスラエルは人口密集地から撤退しておりまして、これも末尾に地図がございますが、ガザの周辺地域にイスラエル軍は撤退をしておりまして、人口密集地といいますか、まあガザは元々狭いところです、人口密集地がほとんどなんですけれども、周辺地域にイスラエル軍は撤退を完了したという状況になっております。
あと、住民も北の方から南の方に逃げたりしている人たちが多数いるわけですけれども、それなりの数が南から北に戻ったりというようなこともあり、人道支援物資の搬入も行われていたという状況の中で、先ほど申し上げたように、この数日間、二月十五日の人質解放をめぐって状況がよく分からなくなってしまったということです。
あと、第二段階の交渉も、本来であれば二月三日にスタートしているはずなんですけれども、今のところスタートしていない模様です。模様と申しますのは、裏で交渉をしているのかもしれませんけれども、正式には交渉はスタートしていないということです。
一昨年の十月七日から十五か月以上の戦闘が続いていたわけで、この今申し上げたような合意の内容というのは、昨年の五月に、五月末にバイデン大統領が提示した提案、停戦合意案とほとんど一緒なわけです。それがやっとこの一月になって合意に達したのはなぜかということですけど、イスラエル側からすると、人質の命が、かなり亡くなっている人も多いだろうという推測を含め、推定を含めてですね、命の危険が迫っている。それから、いつまでたってもハマスはやはり抗戦をやめない。それから、ハマスがその第一段階でイスラエル軍の完全撤退といったようなそれまでの条件を緩めた。それから、イスラエルもまた戦争長期化によって社会的、経済的な負担が増えている。さらには、その就任直前でしたけれども、トランプさんからの圧力があったというようなことだと思いますし、ハマスの方も、イスラエルは現実には攻撃をやめない。それで、相当数の幹部が殺されておりますので、ハマスの組織の存続自体が危ぶまれる、さらには非常に苦しい状況にあるガザのパレスチナ住民のハマス批判が起きるおそれがある、あるいは実際に起きております。
それから、連帯を表明して一緒にイスラエル攻撃をしていたイランとかヒズボラが弱体化してしまった。それに、後でまた申し上げますけれども、戦後にハマスが、まあ戦後というのはかぎ括弧付きですが、あくまでも、戦後にハマスが関与する可能性があるということです。
で、今後の課題ですけれども、もちろんこれはその停戦が維持できるかどうか、さらには第二段階に進むことができるのかということです。
イスラエルの連立政権の中には強硬派が、そのハマス解決まで戦闘を続けるべきで、もし第二段階にそのまま行ってしまえば連立から抜けるということを言っております。連立から抜けた場合、ネタニヤフ政権は過半数割れになってしまうという状態になっております。
でも一方で、今まで十六人解放されたわけで、イスラエル国内では全員解放を目指してもっと停戦を続けるべきだという意見も続いておりますし、あと、トランプ大統領が何を考えているかよく分かりませんけれども、少なくともこの合意が成立した段階では、トランプ、まだそのときは大統領に就任していませんけれども、トランプさんからの圧力があったということは間違いないようです。
今後の大きな問題は、そのトランプ、トランプじゃない、ガザをどうするのかということです。
ここにも書いてありますとおり、例えば瓦れきが五千万トン以上出ていると推定をされています。これは東日本大震災のときの瓦れき三千万トンをはるかに超える量であり、加えて、ガザというのは東京二十三区の中と比べて面積が僅か六〇%程度しかありません。ですから、非常に狭い範囲に膨大な量の瓦れきがあって、まさに瓦れきの山と化しているという状態であるわけです。
そういう中で、その人道、緊急人道支援をやり、さらには将来に向けて復旧復興をやっていく、そのためにはどういう統治形態があり得るのか、誰がどういう形でガザの秩序を維持していくのかということが必要なわけです。よく言われるのは、今、西岸の一部を統治しておりますパレスチナ自治政府がございますが、そのパレスチナ自治政府がガザでかつては統治をしていたんですけれども、その後ハマスの実効支配になり、しかし、今回の状況によって、またパレスチナ自治政府の統治を再開するという考え方もございます。ただし、イスラエルはそのパレスチナ自治政府の統治を認めないと言っております。じゃ、どうするんだというと、具体的な案はございません。
そうした中で、またトランプ大統領が、ガザを中東のリビエラにするという、私から見ると荒唐無稽なとしか思いようがない、それは、国際法上も、国際人道法上も全く許せないことですし、加えて、そのパレスチナのガザの二百二十万人ぐらいの住民がいますが、彼らはガザの中に必死に食らい付いて住んでいるわけで、その人たちを、どういう形でするか分かりませんが、もし強制的にするとすれば、これは完全に国際法違反ですけれども、ヨルダンなりエジプトに移送する、あるいは追放をして、そこでガザをすばらしいリビエラにするというようなことは荒唐無稽としか思えないわけです。
もう一つの問題点は、ハマスを完全に排除できるのかということです。
この十五か月間、ハマスは非常に厳しい状況に置かれ、組織的にも大打撃を受けております。しかし、支援物資が届き始めた、停戦が始まってから。動画を見ていますと、ハマスの警察官がすっと出てきて、交通整理なんかをやっているわけですね。それは、その十月七日の大規模攻撃の以前までハマスは実効支配をガザでしていて、約五万人の行政スタッフ、教育とか医療とか、様々な行政サービスを担う職員を抱えていたわけです。ですから、その人たちがまた出てきている。それは全員がハマスということではなくて、ハマスに関係している人、あるいは生活をするためにそういう行政に携わっている人がいると思うんですけれども、そういうハマスの存在をどうするのかということで、また御質問があればお答えしたいと思いますけれども、そのハマス抜きのガザというのはもう考えられないわけです。
日本を含め、ハマスが実効支配をし始めた二〇〇六年以降、ハマスはテロ組織だから接触をしないというノーコンタクトポリシーというのを取ってきましたが、実際にはいるわけですから、その人とコンタクト、その組織、実効支配をしている組織にコンタクトしないまま支援をすることも復興、復旧復興を図ることも不可能なわけです。そこをどうするのかということはもっと真剣に考えるべきかと私は思っております。
次に、イランの核開発問題に進みます。
イランは、もう新聞等でもマスメディアでも書かれておりますとおり、この半年ぐらいの間に大きく弱体化しました。弱体化の要因は二つあります。一つは、アサド政権、シリアのアサド政権が崩壊し、ヒズボラが弱体化したということで、イランからイラク、シリアを抜けてレバノンまで結んでいく、戦闘員あるいは武器をイランからレバノンまで送っていた回廊がほとんど使えなくなってしまいました。閉じた状態になっております。ですから、イランは、イランの外側、イランより前の方で、前方で防衛をするという戦略を取ってきた、前方防衛戦略を持っていたんですけれども、その前方防衛戦略は今ほとんど破綻してしまったと言っていいわけです。いわゆる抵抗の枢軸というのがいなくなってしまったということです。それに、もう一つは、イスラエルは昨年の四月と十月にイランを攻撃をしておりますが、この攻撃の結果、イランの防空システムがほとんど機能しなくなってしまったと言われております。アメリカの政府高官は、イランの防空システムは今や丸裸だと表したほどでございます。
そういう状況の中で、イランは、二〇二一年、二二年頃から、そのウラン濃縮のスピードを加速化させております。現在、濃縮、六〇%の濃縮ウランは、昨年十月のIAEAの推定では百八十二・三キログラムとされていて、これは、更に濃縮を、九〇%まで濃縮をしていけば四発分の原子爆弾、核兵器を造れる量だと言われております。
また、イラン国内で核抑止力に対する議論が出ております。イランは、最高指導者のハメネイ師が二〇〇〇年代の初めにイスラム・シーア派の教令という、法学上、イスラム法学上の裁定を出しておりまして、核兵器を持たないというふうに宣言をしております。それを理由として、イランは、我々の核開発はあくまでも平和利用であるということを主張し続けてきたわけですけれども、先ほど申し上げたように、そのイランの前方戦略、前方防衛戦略あるいは防空システムがほとんど機能しなくなったという事態を踏まえまして、イランの国内で核抑止力をもっと見直すべきではないかという議論が出ております。すぐに核兵器を持てということではありませんけれども、全く核兵器化の選択肢をなくすことは良くないのではないかという議論も出てきております。
加えて、イランは、そのIAEAなんかも指摘しておりますけれども、核兵器の起爆装置の研究などをしている、あるいは開発をしているという疑いを払拭できない状態になっております。
まあ、トランプ大統領はイランとディールをして戦争は好まないということを言っていますけれども、どうやって何を、何と何をディールするのかというのは全く見えてこないわけです。制裁解除すれば、イランは、核兵器開発は、核開発をスピードダウンするということがディールになれば可能かと思うんですけれども、核開発全てをやめろ、あるいはミサイル開発を全部やめろ、あるいはテロ支援を全部やめろというようなことがディールの中に入ってくるとすれば、ディールは成立しない可能性が高いわけです。
他方で、イスラエルは、イランの抑止力が非常に弱体化したことをもってカッツ国防相が脅威を取り除く最大のチャンスと言っておりますが、イランに対するイスラエルの攻撃というのも、距離が片道で二千キロぐらいあって、地下に核開発施設があるという状態を見て考えますと、軍事的行動ができるのかというと、疑問がなきにしもあらずという状況です。
もう時間が間もなく迫っておりますので、最後に、中東の問題について三ページの一から六まで書いておりますが、なぜ中東がこれだけ不安定要因があるのかというと、一番の要因は、恐らく国家として凝集性が非常に欠けている。それはなぜかといいますと、長い間植民地支配で、人工的につくられた国家であり、国内に様々な民族、様々な宗教、宗派を抱えている、ですから、その国のあるべき姿が国民の間で完全に共有されたものがない。
一番分かりやすいのは、世俗的な国家にするべきか、もう完全にイスラム教の教えに従った国家にするべきか、その間にはまたいろんな取組方があり得るわけです。そうすると、同じ例えばイスラム主義といっても意見が異なってくる。いわんや、民族が違う、宗教が違うともっと異なってくるということで、国家としての収れんがない、あるいは一体性がない。そのことが、それでも力を、政権を維持しなければいけませんから、強権的な政権になっていく、反対意見は述べさせない、民主主義は育たない、あるいは国境を人、物、金がどんどん移動するという状態になっている。で、パレスチナ問題もあるというようなことかと思います。
今後、今申し上げたガザ、イランの核問題、それにシリアの移行政権とかレバノンの問題もございます。日本は中東にまだ石油を、九〇%以上の原油を依存をしております。そういう中で日本がどうする、何をしていくのか。もちろんガザへの支援等を行っていくべきだと思いますが、やはり一番重要なことは、繰り返し日本も外交政策の根幹として据えている一つである法に基づく秩序、法の支配、これをどう実現していくのか。余りにも法の支配が、あるいは法に基づく秩序が行われていないのが今の中東、特に最もひどい例がガザかと思うんですけれども、そういう中で日本がどういうふうに声を上げていくというのかということが一番重要かと思います。
時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は、中東の現代政治、特にイスラエルとパレスチナ問題を専門にしております。
御承知のとおり、一昨年十月七日にハマスが大規模なイスラエルへの越境攻撃を行って、それ以降、ガザはずっと戦闘状態が続いておりました。加えて、レバノンのシーア派組織ヒズボラがイスラエルへ攻撃をする、あるいはイスラエルとイランの間での応酬がある。加えて、直接は関係ないんですけれども、連鎖的にシリアのアサド政権が崩壊して新しい暫定政権ができてまだ二か月程度という状態にあります。そういう中でトランプ政権が発足をいたしました。トランプ政権にとっては、中東というのはかなり大きな政策課題になるだろうと思います。
二十分という時間でございますので、今日は私は、そのガザの状況、それからイラン、特にイランの核開発をめぐる状況、それに全体、中東全体をどういうふうに考えればいいのかという点をお話をさせていただきたいと思います。
まず、十五か月ガザでは戦闘が続いたわけですけれども、先月一月十五日にイスラエルとハマスの間で停戦の合意がなされ、一月十九日に停戦が発効し、停戦期間が始まりました。
その停戦の合意の内容は、三ページ目、最後のページに骨子を書いておりますが、三段階から載っておりまして、第一段階、四十二日が一月十九日からスタートしたわけでございます。それで、この間、イスラエルは、イスラエル、ハマス双方が戦闘をやめる。それで、イスラエル軍は人口密集地から撤退する。人質はこの四十二日間に三十三人を段階的に解放する。他方、イスラエルの方は拘留しているパレスチナ人を段階的にやはり釈放する。で、大規模な人道支援、援助を開始するということになっております。さらには、第二段階に向けての交渉を行うことになっております。
その後、第二段階が四十二日間、さらには第三段階と続くわけですけれども、この数日ニュースでも流れておりますけれども、この月曜日、十日にハマスが、今週の土曜日、二月十五日に予定されております三人の人質の解放を実施しないかもしれないという声明を出しました。それは、イスラエルが人道支援物資の搬入を阻害している及びパレスチナ住民に対して銃撃をしている、現にパレスチナ住民がイスラエル軍によって三人銃撃されて死ぬという事件が日曜日に起きていますので、こういう事態を捉えたことだろうと思います。
それで、予定どおりに進むのかという問題が浮上してきたんですけれども、トランプ大統領が、その直後に、今週の土曜日、さっき申し上げた二月十五日の正午までに、この正午が、何で正午が出てきたのかよく分からないんですけれども、正午までに三人の人質じゃなくて全人質を解放しろと、そうでなければ大変な目に遭う、地獄の蓋が開くというような表現をしまして、今のところ、それに対してハマスがまた強く反発をする。他方、イスラエルの方は、三人ではなくて全人質の解放という新しい要求を掲げる形になりまして、どうなるか今のところよく分からない状態であります。
いずれにしましても、これまで、資料の(1)のところにございますけれども、人質は十六人、これとは別枠で、別枠というのは三十三人という第一段階の中の十六人が解放され、加えてタイ人五人が解放されております。他方、パレスチナ人の拘束者は七百六十六人が解放されております。
イスラエルは人口密集地から撤退しておりまして、これも末尾に地図がございますが、ガザの周辺地域にイスラエル軍は撤退をしておりまして、人口密集地といいますか、まあガザは元々狭いところです、人口密集地がほとんどなんですけれども、周辺地域にイスラエル軍は撤退を完了したという状況になっております。
あと、住民も北の方から南の方に逃げたりしている人たちが多数いるわけですけれども、それなりの数が南から北に戻ったりというようなこともあり、人道支援物資の搬入も行われていたという状況の中で、先ほど申し上げたように、この数日間、二月十五日の人質解放をめぐって状況がよく分からなくなってしまったということです。
あと、第二段階の交渉も、本来であれば二月三日にスタートしているはずなんですけれども、今のところスタートしていない模様です。模様と申しますのは、裏で交渉をしているのかもしれませんけれども、正式には交渉はスタートしていないということです。
一昨年の十月七日から十五か月以上の戦闘が続いていたわけで、この今申し上げたような合意の内容というのは、昨年の五月に、五月末にバイデン大統領が提示した提案、停戦合意案とほとんど一緒なわけです。それがやっとこの一月になって合意に達したのはなぜかということですけど、イスラエル側からすると、人質の命が、かなり亡くなっている人も多いだろうという推測を含め、推定を含めてですね、命の危険が迫っている。それから、いつまでたってもハマスはやはり抗戦をやめない。それから、ハマスがその第一段階でイスラエル軍の完全撤退といったようなそれまでの条件を緩めた。それから、イスラエルもまた戦争長期化によって社会的、経済的な負担が増えている。さらには、その就任直前でしたけれども、トランプさんからの圧力があったというようなことだと思いますし、ハマスの方も、イスラエルは現実には攻撃をやめない。それで、相当数の幹部が殺されておりますので、ハマスの組織の存続自体が危ぶまれる、さらには非常に苦しい状況にあるガザのパレスチナ住民のハマス批判が起きるおそれがある、あるいは実際に起きております。
それから、連帯を表明して一緒にイスラエル攻撃をしていたイランとかヒズボラが弱体化してしまった。それに、後でまた申し上げますけれども、戦後にハマスが、まあ戦後というのはかぎ括弧付きですが、あくまでも、戦後にハマスが関与する可能性があるということです。
で、今後の課題ですけれども、もちろんこれはその停戦が維持できるかどうか、さらには第二段階に進むことができるのかということです。
イスラエルの連立政権の中には強硬派が、そのハマス解決まで戦闘を続けるべきで、もし第二段階にそのまま行ってしまえば連立から抜けるということを言っております。連立から抜けた場合、ネタニヤフ政権は過半数割れになってしまうという状態になっております。
でも一方で、今まで十六人解放されたわけで、イスラエル国内では全員解放を目指してもっと停戦を続けるべきだという意見も続いておりますし、あと、トランプ大統領が何を考えているかよく分かりませんけれども、少なくともこの合意が成立した段階では、トランプ、まだそのときは大統領に就任していませんけれども、トランプさんからの圧力があったということは間違いないようです。
今後の大きな問題は、そのトランプ、トランプじゃない、ガザをどうするのかということです。
ここにも書いてありますとおり、例えば瓦れきが五千万トン以上出ていると推定をされています。これは東日本大震災のときの瓦れき三千万トンをはるかに超える量であり、加えて、ガザというのは東京二十三区の中と比べて面積が僅か六〇%程度しかありません。ですから、非常に狭い範囲に膨大な量の瓦れきがあって、まさに瓦れきの山と化しているという状態であるわけです。
そういう中で、その人道、緊急人道支援をやり、さらには将来に向けて復旧復興をやっていく、そのためにはどういう統治形態があり得るのか、誰がどういう形でガザの秩序を維持していくのかということが必要なわけです。よく言われるのは、今、西岸の一部を統治しておりますパレスチナ自治政府がございますが、そのパレスチナ自治政府がガザでかつては統治をしていたんですけれども、その後ハマスの実効支配になり、しかし、今回の状況によって、またパレスチナ自治政府の統治を再開するという考え方もございます。ただし、イスラエルはそのパレスチナ自治政府の統治を認めないと言っております。じゃ、どうするんだというと、具体的な案はございません。
そうした中で、またトランプ大統領が、ガザを中東のリビエラにするという、私から見ると荒唐無稽なとしか思いようがない、それは、国際法上も、国際人道法上も全く許せないことですし、加えて、そのパレスチナのガザの二百二十万人ぐらいの住民がいますが、彼らはガザの中に必死に食らい付いて住んでいるわけで、その人たちを、どういう形でするか分かりませんが、もし強制的にするとすれば、これは完全に国際法違反ですけれども、ヨルダンなりエジプトに移送する、あるいは追放をして、そこでガザをすばらしいリビエラにするというようなことは荒唐無稽としか思えないわけです。
もう一つの問題点は、ハマスを完全に排除できるのかということです。
この十五か月間、ハマスは非常に厳しい状況に置かれ、組織的にも大打撃を受けております。しかし、支援物資が届き始めた、停戦が始まってから。動画を見ていますと、ハマスの警察官がすっと出てきて、交通整理なんかをやっているわけですね。それは、その十月七日の大規模攻撃の以前までハマスは実効支配をガザでしていて、約五万人の行政スタッフ、教育とか医療とか、様々な行政サービスを担う職員を抱えていたわけです。ですから、その人たちがまた出てきている。それは全員がハマスということではなくて、ハマスに関係している人、あるいは生活をするためにそういう行政に携わっている人がいると思うんですけれども、そういうハマスの存在をどうするのかということで、また御質問があればお答えしたいと思いますけれども、そのハマス抜きのガザというのはもう考えられないわけです。
日本を含め、ハマスが実効支配をし始めた二〇〇六年以降、ハマスはテロ組織だから接触をしないというノーコンタクトポリシーというのを取ってきましたが、実際にはいるわけですから、その人とコンタクト、その組織、実効支配をしている組織にコンタクトしないまま支援をすることも復興、復旧復興を図ることも不可能なわけです。そこをどうするのかということはもっと真剣に考えるべきかと私は思っております。
次に、イランの核開発問題に進みます。
イランは、もう新聞等でもマスメディアでも書かれておりますとおり、この半年ぐらいの間に大きく弱体化しました。弱体化の要因は二つあります。一つは、アサド政権、シリアのアサド政権が崩壊し、ヒズボラが弱体化したということで、イランからイラク、シリアを抜けてレバノンまで結んでいく、戦闘員あるいは武器をイランからレバノンまで送っていた回廊がほとんど使えなくなってしまいました。閉じた状態になっております。ですから、イランは、イランの外側、イランより前の方で、前方で防衛をするという戦略を取ってきた、前方防衛戦略を持っていたんですけれども、その前方防衛戦略は今ほとんど破綻してしまったと言っていいわけです。いわゆる抵抗の枢軸というのがいなくなってしまったということです。それに、もう一つは、イスラエルは昨年の四月と十月にイランを攻撃をしておりますが、この攻撃の結果、イランの防空システムがほとんど機能しなくなってしまったと言われております。アメリカの政府高官は、イランの防空システムは今や丸裸だと表したほどでございます。
そういう状況の中で、イランは、二〇二一年、二二年頃から、そのウラン濃縮のスピードを加速化させております。現在、濃縮、六〇%の濃縮ウランは、昨年十月のIAEAの推定では百八十二・三キログラムとされていて、これは、更に濃縮を、九〇%まで濃縮をしていけば四発分の原子爆弾、核兵器を造れる量だと言われております。
また、イラン国内で核抑止力に対する議論が出ております。イランは、最高指導者のハメネイ師が二〇〇〇年代の初めにイスラム・シーア派の教令という、法学上、イスラム法学上の裁定を出しておりまして、核兵器を持たないというふうに宣言をしております。それを理由として、イランは、我々の核開発はあくまでも平和利用であるということを主張し続けてきたわけですけれども、先ほど申し上げたように、そのイランの前方戦略、前方防衛戦略あるいは防空システムがほとんど機能しなくなったという事態を踏まえまして、イランの国内で核抑止力をもっと見直すべきではないかという議論が出ております。すぐに核兵器を持てということではありませんけれども、全く核兵器化の選択肢をなくすことは良くないのではないかという議論も出てきております。
加えて、イランは、そのIAEAなんかも指摘しておりますけれども、核兵器の起爆装置の研究などをしている、あるいは開発をしているという疑いを払拭できない状態になっております。
まあ、トランプ大統領はイランとディールをして戦争は好まないということを言っていますけれども、どうやって何を、何と何をディールするのかというのは全く見えてこないわけです。制裁解除すれば、イランは、核兵器開発は、核開発をスピードダウンするということがディールになれば可能かと思うんですけれども、核開発全てをやめろ、あるいはミサイル開発を全部やめろ、あるいはテロ支援を全部やめろというようなことがディールの中に入ってくるとすれば、ディールは成立しない可能性が高いわけです。
他方で、イスラエルは、イランの抑止力が非常に弱体化したことをもってカッツ国防相が脅威を取り除く最大のチャンスと言っておりますが、イランに対するイスラエルの攻撃というのも、距離が片道で二千キロぐらいあって、地下に核開発施設があるという状態を見て考えますと、軍事的行動ができるのかというと、疑問がなきにしもあらずという状況です。
もう時間が間もなく迫っておりますので、最後に、中東の問題について三ページの一から六まで書いておりますが、なぜ中東がこれだけ不安定要因があるのかというと、一番の要因は、恐らく国家として凝集性が非常に欠けている。それはなぜかといいますと、長い間植民地支配で、人工的につくられた国家であり、国内に様々な民族、様々な宗教、宗派を抱えている、ですから、その国のあるべき姿が国民の間で完全に共有されたものがない。
一番分かりやすいのは、世俗的な国家にするべきか、もう完全にイスラム教の教えに従った国家にするべきか、その間にはまたいろんな取組方があり得るわけです。そうすると、同じ例えばイスラム主義といっても意見が異なってくる。いわんや、民族が違う、宗教が違うともっと異なってくるということで、国家としての収れんがない、あるいは一体性がない。そのことが、それでも力を、政権を維持しなければいけませんから、強権的な政権になっていく、反対意見は述べさせない、民主主義は育たない、あるいは国境を人、物、金がどんどん移動するという状態になっている。で、パレスチナ問題もあるというようなことかと思います。
今後、今申し上げたガザ、イランの核問題、それにシリアの移行政権とかレバノンの問題もございます。日本は中東にまだ石油を、九〇%以上の原油を依存をしております。そういう中で日本がどうする、何をしていくのか。もちろんガザへの支援等を行っていくべきだと思いますが、やはり一番重要なことは、繰り返し日本も外交政策の根幹として据えている一つである法に基づく秩序、法の支配、これをどう実現していくのか。余りにも法の支配が、あるいは法に基づく秩序が行われていないのが今の中東、特に最もひどい例がガザかと思うんですけれども、そういう中で日本がどういうふうに声を上げていくというのかということが一番重要かと思います。
時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
猪
佐
佐藤丙午#10
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。
拓殖大学海外事情研究所所長・国際学部教授の佐藤丙午です。私の専門は、国際関係論や安全保障を中心に勉強させていただいております。
本日は、参議院外交・安全保障に関する調査会にお招きいただき、感謝いたします。
会長の猪口邦子先生には、私が研究を志したときより、様々な場面で御指導をいただいております。本日は、中東地域の諸問題から人工知能に関わる、AIに関する軍備管理・軍縮の問題を説明させていただく上で、改めて先生に心より感謝申し上げるとともに、御指導の成果をお返しする気持ちで臨みたいというふうに考えております。
まず、AIの軍事利用に関する最近の話題を紹介させていただきたいと思います。
二〇二五年一月に、グーグル社が二〇二四年のラウンドアップ報告書を発表しております。その際、グーグル社が、その中に含まれているAIの倫理原則よりAIの軍事等への利用に関する項目を削除したということが話題になっております。これは、しかし、グーグル社がAIの軍事利用拡大に転換したと理解するのではなく、軍事安全保障の分野においてAIの利用というのが非常に一般的な、極めて一般的な現象になっている現実というものを反映した反応であるというふうに考えるべきだと考えております。
実際、AIの軍事利用は、イスラエルのハマスに対する攻撃において大きく注目を集めました。二〇二三年十月以降、複数の米国紙は、イスラエル軍、IDFの、ガザ地区のハマスの構成員の情報を収集し、ごめんなさい、イスラエル軍がガザ地区のハマスの構成員の情報を収集し、それをAIで分析し、攻撃に利用していると報じています。実際、IDFは、二〇一九年五月に、参謀本部諜報局の下に、新たに標的特定を目的にした部門を立ち上げております。その組織に関する説明を見る限り、IDFとイスラエルの情報機関、特にユニット八二〇〇という機関が注目を集めておりますけれども、それと諜報機関というのは長期間にわたってハマスに関する情報の収集に当たっており、それらを攻撃に利用するためにAIの活用を進めるということを決定したようです。
軍事分野におけるAIの活用には、複数の段階が想定されます。特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWと申しますけれども、ここにおいては、攻撃に至るまでの段階を、NATOなどが利用するターゲティングサイクルを援用して、司令官の目的明確化、標的の探索、追跡、標的、攻撃、また攻撃後の評価などに分類して、それぞれの段階でのAIの活用に関する規制の可否を検討しています。
イスラエルによるAIの利用では、ハブソラ、英語名でゴスペルと申しますけれども、それであるとか、ラベンダーと呼ばれるAIの利用が報じられています。報じられていると申し上げるのは、これは公式な表明ではないためです。以下、報道ベースで申し上げますが、ゴスペルは機械学習の機能を使用して標的を特定するもの、そして、ラベンダーは人的な標的の特定と行動把握、恐らくこれには追跡も含まれると思いますけれども、それを可能にするAIであると言われております。しかしながら、いずれも攻撃を実施する際の判断は、IDFの司令官によって行われます。その意味で、これらAIは、攻撃の意思決定の支援システムであって、兵器そのものではありません。
ゴスペルは、IDFとイスラエルの情報機関及び諜報組織の協働によって、衛星、通信など複数の情報源から情報を収集し、標的の特定を目的にしているようです。これは、標的の特定や発見において、IDFが過去苦慮してきた標的リストの枯渇という問題に対応するものであるというふうにされております。
ここに、AIの軍事利用の一つの特徴があります。つまり、リアルタイムで大量のデータを分析して攻撃に活用する、いわゆるデータサイエンスの領域に関わる特徴です。
御存じのとおり、データは、映像、これは物理イメージや生体情報を含みますけれども、それや音声など、様々な形態が存在します。そして、データ分析の軍事利用では、利用目的による区分が想定されます。例えば、先に申し上げた標的の発見に加え、例えば、各国が仮釈放の決定などで用いられる対象の将来の行動予測であるとか、目的に応じた軍事的な行動の提案なども、これは生成AIで、皆様御存じだと思いますけれども、AIにおけるデータ活用の一例だというふうに言えます。
IDFのAI利用を分析した研究では、IDFが攻撃支援、情報分析に加え、プロアクティブな予測、指揮命令系統の効率化などの分野でAIの効率化、活用を図っているとしております。ただ、多く見られる分析には、多くの場合は証拠が明示されておらず、イスラエルによる軍事分野におけるAIの活用を神話のように語る傾向も見られるため、確実な実態の把握が必要であるというふうに考えております。
ただ、確実に言えることは、生成AIなどの開発が進むことにより、イスラエルに限らず多くの国が攻撃における意思決定システムとして、の支援システムとしてAIの活用を拡大することになるであろうということが予想されることであると思います。
つまり、AIの軍事利用の可能性の幅は、攻撃支援に限らず、攻撃に関する意思決定前の段階での標的探索、また行動予測による標的の発見、さらには一般的な意味での意思決定支援システムなどまで存在します。IDFのゴスペルにおける標的は物理目標が中心でありますけれども、ラベンダーと呼ばれるシステムは個人の特定、また、これはホエアズダディーと呼ばれるAIも存在しますけれども、存在するというふうに指摘されておりますが、このようなシステムは行動把握を目的とするなど、複数のシステムをIDFは利用しているというふうに分析されています。
難しい点は、これらの例から示されるように、AIは軍事的に利用されてはいますけれども、それら技術そのものの開発意図や技術は必ずしも軍事利用に特化したものであったわけではないという点です。
そして、忘れるべきではないことにおいては、イスラエルの、ごめんなさい、AIの軍事利用はイスラエルだけが行っているものではないということであります。
このように、AIの軍事利用が急速に進む中、そこには大きなリスクが存在しております。イスラエルの問題を出発点として申し上げるとすれば、そこには人道法上の問題や倫理的な問題が存在します。
人道法上の問題は、ガザでの戦闘で顕著に見られたとおり、民間人の附帯被害の問題です。ジュネーブ諸条約第一追加議定書の下では、事実上、一定の附帯被害の発生、一定の附帯被害が発生することが想定されています。しかし、その被害の程度の判断は各国の決定に委ねられております。したがって、そこにおける解釈の幅は極めて大きいものがあります。もちろんのこと、附帯被害がゼロであることは理想ではございますけれども、今回のガザの戦闘では、イスラエルにおける標的と附帯被害の割合というのは一対二十とも、それ以上にも設定されていたとも報じられております。その分だけ標的、一つの標的を攻撃する上で附帯被害が大きくなるという現象が発生します。
AIの軍事利用の問題においては、兵器の資格審査、適格審査の問題も指摘する必要があると思います。現在、防衛省・自衛隊でも検討が進んでいるというふうに聞いておりますけれども、第一追加議定書第三十六条の兵器審査が、AIの直接的な兵器利用や意思決定システムなどでの活用に関してAIの技術や用途についてどこまで、またどの程度の審査をすることが必要であり、なおかつそれが十分であるのか、それを検討することが日本のみならず国際社会においても急務になっておると思います。なお、さらに、兵器審査の国際的な普遍化に関わる問題においては、軍備管理・軍縮において国際協調が必要な分野だと思います。
さらに、AIの問題においては、AIの信頼性の問題がございます。先ほど申し上げたゴスペルについて言えば、その信頼度は九〇%であるというふうに評価されております。逆に言うと、一〇%は誤爆が発生するということになりますけれども、これを九九%以上に近づける、信頼性を九九%以上に近づける技術もあるというふうには指摘されておりますけれども、しかしながら、ゴスペル以外のシステムにおいて同じ状況にあると言えるかどうかは判断付かない状況にあります。情報収集とその正確性には一定の限界があり、どうしても間違った情報に基づく誤った判断が発生します。また、AIのアルゴリズム自体にバイアスが存在するともされています。
もしAIを使用しなかったとしても、人間の司令官が誤った判断を下すケースというのは数多く存在します。このため、先ほど申し上げたCCWにおいても、また国連のグテーレス事務総長や中満泉事務次長などが進める新たな平和への課題においても、またオランダと韓国が進めてきた軍事領域における責任あるAI利用、REAIMというふうに申し上げますけれども、これにおいても、AIの軍事利用は避けられないということを前提に、兵器システムにおける人間の関与を確実に担保することの重要性というものを強調しております。
現在、CCWでは、自律型致死無人兵器システム、いわゆるLAWSの規制において検討が進められており、二〇一九年までには、既に指導原則、ガイディングプリンシプルと呼ばれますけれども、これの合意が得られております。この原則では人道法の遵守が改めて強調されています。この合意は、もちろんのこと、ウクライナやガザでの問題が発生する前の文書ですけれども、特にIDFにおける、IDFによるAIの軍事利用が指摘される中、改めてこの問題での国際合意に関する議論の活性化が必要であると感じております。
やはり、ウクライナやガザでの戦闘の状況を見ると、AIの軍事利用、軍事面での利用拡大は避けられないというふうに感じます。つまり、各国は既にその競争状態に至っており、日本が無関心であることはできないということであります。考慮すべきなのは、しかし、AIの軍事面での利用は、必ずしも攻撃に特化した側面での利用に限られることなく、また、IDFの利用方法にしても、それが国際法を遵守した使用であるということを彼らが主張していることを完全に否定することはできないということであります。
このような状況を踏まえると、日本は、CCWで議論されているような禁止と規制の二段階アプローチを精緻化し、国際的な合意が得られる内容へと進化させることが必要であるというふうに感じております。そして、AIの軍事利用を止めることができないということを前提に、その中でどのようにすれば人道法のより良い遵守が可能なのかということを検討していく、検討していってほしいと考えております。
韓国は、AIの軍事利用を加速化し、恐らく日本の防衛省・自衛隊が短期的には追い付くことが困難な状況にまで至っております。韓国は、それとともに、規制の議論で国際社会を牽引しております。両面での、軍事及び規制における両面での貢献があって初めて国際的に実行力ある議論を主導することができるというふうに韓国の状況を見て感じております。
したがって、日本においては、これら問題に対処し、AIの規制を促進する施策をIDFの事例等から学び、日本の政策の検討につなげてほしいと思います。
どうもありがとうございました。以上でございます。
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本日は、参議院外交・安全保障に関する調査会にお招きいただき、感謝いたします。
会長の猪口邦子先生には、私が研究を志したときより、様々な場面で御指導をいただいております。本日は、中東地域の諸問題から人工知能に関わる、AIに関する軍備管理・軍縮の問題を説明させていただく上で、改めて先生に心より感謝申し上げるとともに、御指導の成果をお返しする気持ちで臨みたいというふうに考えております。
まず、AIの軍事利用に関する最近の話題を紹介させていただきたいと思います。
二〇二五年一月に、グーグル社が二〇二四年のラウンドアップ報告書を発表しております。その際、グーグル社が、その中に含まれているAIの倫理原則よりAIの軍事等への利用に関する項目を削除したということが話題になっております。これは、しかし、グーグル社がAIの軍事利用拡大に転換したと理解するのではなく、軍事安全保障の分野においてAIの利用というのが非常に一般的な、極めて一般的な現象になっている現実というものを反映した反応であるというふうに考えるべきだと考えております。
実際、AIの軍事利用は、イスラエルのハマスに対する攻撃において大きく注目を集めました。二〇二三年十月以降、複数の米国紙は、イスラエル軍、IDFの、ガザ地区のハマスの構成員の情報を収集し、ごめんなさい、イスラエル軍がガザ地区のハマスの構成員の情報を収集し、それをAIで分析し、攻撃に利用していると報じています。実際、IDFは、二〇一九年五月に、参謀本部諜報局の下に、新たに標的特定を目的にした部門を立ち上げております。その組織に関する説明を見る限り、IDFとイスラエルの情報機関、特にユニット八二〇〇という機関が注目を集めておりますけれども、それと諜報機関というのは長期間にわたってハマスに関する情報の収集に当たっており、それらを攻撃に利用するためにAIの活用を進めるということを決定したようです。
軍事分野におけるAIの活用には、複数の段階が想定されます。特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWと申しますけれども、ここにおいては、攻撃に至るまでの段階を、NATOなどが利用するターゲティングサイクルを援用して、司令官の目的明確化、標的の探索、追跡、標的、攻撃、また攻撃後の評価などに分類して、それぞれの段階でのAIの活用に関する規制の可否を検討しています。
イスラエルによるAIの利用では、ハブソラ、英語名でゴスペルと申しますけれども、それであるとか、ラベンダーと呼ばれるAIの利用が報じられています。報じられていると申し上げるのは、これは公式な表明ではないためです。以下、報道ベースで申し上げますが、ゴスペルは機械学習の機能を使用して標的を特定するもの、そして、ラベンダーは人的な標的の特定と行動把握、恐らくこれには追跡も含まれると思いますけれども、それを可能にするAIであると言われております。しかしながら、いずれも攻撃を実施する際の判断は、IDFの司令官によって行われます。その意味で、これらAIは、攻撃の意思決定の支援システムであって、兵器そのものではありません。
ゴスペルは、IDFとイスラエルの情報機関及び諜報組織の協働によって、衛星、通信など複数の情報源から情報を収集し、標的の特定を目的にしているようです。これは、標的の特定や発見において、IDFが過去苦慮してきた標的リストの枯渇という問題に対応するものであるというふうにされております。
ここに、AIの軍事利用の一つの特徴があります。つまり、リアルタイムで大量のデータを分析して攻撃に活用する、いわゆるデータサイエンスの領域に関わる特徴です。
御存じのとおり、データは、映像、これは物理イメージや生体情報を含みますけれども、それや音声など、様々な形態が存在します。そして、データ分析の軍事利用では、利用目的による区分が想定されます。例えば、先に申し上げた標的の発見に加え、例えば、各国が仮釈放の決定などで用いられる対象の将来の行動予測であるとか、目的に応じた軍事的な行動の提案なども、これは生成AIで、皆様御存じだと思いますけれども、AIにおけるデータ活用の一例だというふうに言えます。
IDFのAI利用を分析した研究では、IDFが攻撃支援、情報分析に加え、プロアクティブな予測、指揮命令系統の効率化などの分野でAIの効率化、活用を図っているとしております。ただ、多く見られる分析には、多くの場合は証拠が明示されておらず、イスラエルによる軍事分野におけるAIの活用を神話のように語る傾向も見られるため、確実な実態の把握が必要であるというふうに考えております。
ただ、確実に言えることは、生成AIなどの開発が進むことにより、イスラエルに限らず多くの国が攻撃における意思決定システムとして、の支援システムとしてAIの活用を拡大することになるであろうということが予想されることであると思います。
つまり、AIの軍事利用の可能性の幅は、攻撃支援に限らず、攻撃に関する意思決定前の段階での標的探索、また行動予測による標的の発見、さらには一般的な意味での意思決定支援システムなどまで存在します。IDFのゴスペルにおける標的は物理目標が中心でありますけれども、ラベンダーと呼ばれるシステムは個人の特定、また、これはホエアズダディーと呼ばれるAIも存在しますけれども、存在するというふうに指摘されておりますが、このようなシステムは行動把握を目的とするなど、複数のシステムをIDFは利用しているというふうに分析されています。
難しい点は、これらの例から示されるように、AIは軍事的に利用されてはいますけれども、それら技術そのものの開発意図や技術は必ずしも軍事利用に特化したものであったわけではないという点です。
そして、忘れるべきではないことにおいては、イスラエルの、ごめんなさい、AIの軍事利用はイスラエルだけが行っているものではないということであります。
このように、AIの軍事利用が急速に進む中、そこには大きなリスクが存在しております。イスラエルの問題を出発点として申し上げるとすれば、そこには人道法上の問題や倫理的な問題が存在します。
人道法上の問題は、ガザでの戦闘で顕著に見られたとおり、民間人の附帯被害の問題です。ジュネーブ諸条約第一追加議定書の下では、事実上、一定の附帯被害の発生、一定の附帯被害が発生することが想定されています。しかし、その被害の程度の判断は各国の決定に委ねられております。したがって、そこにおける解釈の幅は極めて大きいものがあります。もちろんのこと、附帯被害がゼロであることは理想ではございますけれども、今回のガザの戦闘では、イスラエルにおける標的と附帯被害の割合というのは一対二十とも、それ以上にも設定されていたとも報じられております。その分だけ標的、一つの標的を攻撃する上で附帯被害が大きくなるという現象が発生します。
AIの軍事利用の問題においては、兵器の資格審査、適格審査の問題も指摘する必要があると思います。現在、防衛省・自衛隊でも検討が進んでいるというふうに聞いておりますけれども、第一追加議定書第三十六条の兵器審査が、AIの直接的な兵器利用や意思決定システムなどでの活用に関してAIの技術や用途についてどこまで、またどの程度の審査をすることが必要であり、なおかつそれが十分であるのか、それを検討することが日本のみならず国際社会においても急務になっておると思います。なお、さらに、兵器審査の国際的な普遍化に関わる問題においては、軍備管理・軍縮において国際協調が必要な分野だと思います。
さらに、AIの問題においては、AIの信頼性の問題がございます。先ほど申し上げたゴスペルについて言えば、その信頼度は九〇%であるというふうに評価されております。逆に言うと、一〇%は誤爆が発生するということになりますけれども、これを九九%以上に近づける、信頼性を九九%以上に近づける技術もあるというふうには指摘されておりますけれども、しかしながら、ゴスペル以外のシステムにおいて同じ状況にあると言えるかどうかは判断付かない状況にあります。情報収集とその正確性には一定の限界があり、どうしても間違った情報に基づく誤った判断が発生します。また、AIのアルゴリズム自体にバイアスが存在するともされています。
もしAIを使用しなかったとしても、人間の司令官が誤った判断を下すケースというのは数多く存在します。このため、先ほど申し上げたCCWにおいても、また国連のグテーレス事務総長や中満泉事務次長などが進める新たな平和への課題においても、またオランダと韓国が進めてきた軍事領域における責任あるAI利用、REAIMというふうに申し上げますけれども、これにおいても、AIの軍事利用は避けられないということを前提に、兵器システムにおける人間の関与を確実に担保することの重要性というものを強調しております。
現在、CCWでは、自律型致死無人兵器システム、いわゆるLAWSの規制において検討が進められており、二〇一九年までには、既に指導原則、ガイディングプリンシプルと呼ばれますけれども、これの合意が得られております。この原則では人道法の遵守が改めて強調されています。この合意は、もちろんのこと、ウクライナやガザでの問題が発生する前の文書ですけれども、特にIDFにおける、IDFによるAIの軍事利用が指摘される中、改めてこの問題での国際合意に関する議論の活性化が必要であると感じております。
やはり、ウクライナやガザでの戦闘の状況を見ると、AIの軍事利用、軍事面での利用拡大は避けられないというふうに感じます。つまり、各国は既にその競争状態に至っており、日本が無関心であることはできないということであります。考慮すべきなのは、しかし、AIの軍事面での利用は、必ずしも攻撃に特化した側面での利用に限られることなく、また、IDFの利用方法にしても、それが国際法を遵守した使用であるということを彼らが主張していることを完全に否定することはできないということであります。
このような状況を踏まえると、日本は、CCWで議論されているような禁止と規制の二段階アプローチを精緻化し、国際的な合意が得られる内容へと進化させることが必要であるというふうに感じております。そして、AIの軍事利用を止めることができないということを前提に、その中でどのようにすれば人道法のより良い遵守が可能なのかということを検討していく、検討していってほしいと考えております。
韓国は、AIの軍事利用を加速化し、恐らく日本の防衛省・自衛隊が短期的には追い付くことが困難な状況にまで至っております。韓国は、それとともに、規制の議論で国際社会を牽引しております。両面での、軍事及び規制における両面での貢献があって初めて国際的に実行力ある議論を主導することができるというふうに韓国の状況を見て感じております。
したがって、日本においては、これら問題に対処し、AIの規制を促進する施策をIDFの事例等から学び、日本の政策の検討につなげてほしいと思います。
どうもありがとうございました。以上でございます。
猪
越
越智萌#12
○参考人(越智萌君) 越智と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
現在は、立命館大学国際関係学部及び研究科の准教授として学生に基礎法や国際法、国際機構論などの授業を教えている傍ら、特に国際刑事裁判所、ICCの手続や正義に関する問題に着目して研究をずっと続けてまいりました。今般のパレスチナ、イスラエルの事態に関するICCの動向やこれに対する正義と平和の問題について、社会学的な観点からの分析も行っております。
そこで、この調査会における私の意見陳述の位置付けですけれども、国際社会における法の支配のための具体策について検討するものです。特に、中東情勢においては、国際法遵守の確保は急務になっております。国際法を守らせるためにどのような手段や制度があり、それに対する障壁にはどのようなものがあり、そしてそれらの障壁を克服するには、日本、特に立法府はどのような具体策を取るべきなのかについて、特に、近年急速に発展する国際刑事司法制度の観点から多くの具体例を御紹介しながら意見を述べたいと思います。
それでは、レジュメの一、現代国際社会における国際法遵守確保の規範状況に参ります。やや基本的な、大学の授業で聞かれるような部分もあるかと思いますけれども、まず基本的なところからになりますが、(1)、法遵守論です。
法遵守論は、法に関わる人間の行動を分析する法社会学の分野で発展してきました。例えば、社会における規範を学習して自分のものとして内面化する法的な社会化と呼ばれる現象や、大人になる過程において、子供が大人になる過程において、周りの人と同じことをして社会の一員として認められたいという欲求によって法を守るようになるといった法的発達の理論もあります。そして、その中では、最も伝統的なものが、刑罰の恐怖によって逸脱行動を抑止するという刑罰抑止論がございます。
(2)、他方で、国際社会における国際法遵守というのは、少し違ったアプローチが必要になります。国内での一個人の問題とはやや異なることは御想像のとおりかと思います。それは、伝統的に、国際法を守るというのは国家のことであって、国家の義務と責任を論じることが主流だったためです。
そのため、従来の国際法遵守確保メカニズムというのは、返報と呼ばれるものや対抗措置、国際裁判や、それから、いわゆるネーミング・アンド・シェーミングといったような、評判を気にするといったメカニズムによって、いわゆる一般的には、相互主義というものに基づくものが主流でございました。逆に言えば、国内法遵守確保の基本である刑事制裁の手段というのは、国際法遵守メカニズムとしては従来は余り考慮されてきたものとは言えませんでした。
しかし、実際上、国家といっても、それは実態のない存在であって、実際に行動、国家の行動を決定するのは人間であります。そして、国際法を守るかどうかを決めるのも、国家の政策を決定する権限を有した特定の人間であったり、軍であれば、前線で戦っている一人一人の兵士なわけです。そのため、国際法違反に対する制裁といいますのは、国家という国際責任主体に対するものと、政策決定権を持つ個人に対するものの二段構えになる必要が従来からありました。
そこで、(3)、現代国際社会ですけれども、法遵守確保の手段として刑事制裁の措置が存在する世界であると言えると思います。このことを認識することによって、国際関係における法遵守というものを見る視点が一つ増えているというところをまず御確認いただきたいと思います。
この国の政策を決定する個人に対する刑罰抑止というメカニズムは、近年、国際機関とそれから国家機関の両者で補完し合いながら運営されています。国際機関としては、先ほど名前が出てきました国際刑事裁判所、ICCがメインのものとして運営されているという状況です。
ICCについて少しだけお話ししますと、国際法違反の重大な犯罪、全ての国際法違反ではないですけれども、その中でも重大な犯罪、中核犯罪と呼ばれるカテゴリーのものを行った個人に対して、個人の刑事責任を問い、そして刑事制裁を科す機能を持つ国際機関になっています。
中核犯罪は、レジュメ一ページの最後の方に挙げている四つの犯罪を指しています。これに加えて、各国に訴追義務を定めているのが国際規制条約でして、これらで定義される国際犯罪というのが国際規制犯罪と呼ばれるものとなっています。
この二つの国際犯罪の類型が、次の、レジュメ、次のページの、二ページの一番上のところの図にありますように、実はオーバーラップする関係になっているところが少し混乱を生んでいる部分もあるんですけれども、図のように、戦争犯罪とジェノサイドについては国際規制条約もありながらICCの管轄犯罪でもあるという形になっていて、それから、中核犯罪の一番上にあります人道に対する犯罪、これについては、国連の国際法委員会でただいま条約草案が作成されているところという状況だと思います。
そして、(4)、現代では、国家が立法又は政策を決定する段階で、特に中核犯罪の該当性を考慮する必要性があるということです。特に次の三つを考慮する必要があります。
①、第一に、国自体が中核犯罪を行わないようにするということです。国に中核犯罪を行わない義務を課す条約があります。ジェノサイド条約、日本は加盟しておりませんけれども、ジェノサイド条約や、戦争犯罪について定めるジュネーブ諸条約等によるものです。また、いかなる逸脱も認められない強行規範として、拷問の禁止等が挙げられることがあります。
②、第二に、これら犯罪に責任のある人が自国にいる場合、捜査を行い、訴追を行う義務が発生しています。こちらの方がむしろ日本の立法府にとって関心事になる必要がある部分かと思いますけれども、だと思います。
ICC規程締約国は、特に、ICCから逮捕状が出ている人物を国内で発見した場合、逮捕、引渡しを行う義務を負っています。逆に言うと、何もしない、非協力というのが違法化された状態になっているというわけです。ほとんどのケースでICC締約国はこの義務を守っています。
レジュメ三ページに一旦飛びますけれども、一面に表があると思いますが、表一ですね。ICCにこれまで引き渡された被疑者というのは実は二十名余りこれまでおりまして、それぞれの逮捕は、この表の一番右の列にどういうケースで、どういう経緯でこの人たちが逮捕され引き渡されたかというのを書いておりまして、全て埋めては、埋めれてはいないんですけれども、多くはヨーロッパ諸国、そしてアフリカ諸国が協力したケースになっております。
一つ興味深いのは、ンタガンダという人のケース、二〇一三年のケースですけれども、ルワンダのアメリカ大使館に被疑者が出頭して、そして、アメリカは御承知のとおりICC加盟国ではありませんので、ルワンダ政府と協力して実際に引渡しを実現させたというケースもあります。
あと、ほかにも、表の上の方だと、国連の平和維持軍要員殺害について国が逮捕したりであるとか、一番最初はその平和維持活動の部隊によって身柄が拘束されたりといった形で、国家当局の警察が逮捕する場合もあるし、国連の要員、国際機関の職員が逮捕する場合もあるということで、様々なルートを通ってICCに被疑者が引き渡されてきたと言えると思います。
一旦、またレジュメ二ページに戻りまして、また、現代では、知らなかった、できなかったという言い逃れが難しくなっていると思います。先ほどの表に挙げたように、アフリカの反政府武装勢力の場合ですと、ジャングルの奥深くに逃れていてなかなか見付けられない、そして身柄を、その人が滞在していたということが後で分かったとしても、そのいたときは分からなかったということが、まあ本当に事実としてあったんだろうなと思うんですけれども、現代、これがだんだん難しくなっているということで、これには通信や記録、捜査技術が飛躍的に向上しているということで、誰がどこにいるかというのが多くはSNS等々通じてリアルタイムで分かってしまうということが挙げられます。外国で起きた犯罪でも刑事訴追を行うことが技術的に可能になりつつあるということが背景にあります。
特に、市民社会が国際的なネットワークを通じて、情報網、そしてオープンソースを利用して捜査を続けておりまして、例えばドイツやウクライナなんかでも、市民社会が持ってきた証拠を通じて刑事司法当局が捜査、訴追を開始するといった事例が増加しております。
このような刑事司法の網による違法行為の国際的取締りという国際法遵守確保制度の中では、これに協力しないこと自体が中核犯罪への加担とみなされるという、ややインパクトの高い波及効果があります。
例えば、二〇二五年一月、昨月ですね、ICC被疑者のリビア人の元刑務官がヨーロッパを旅行しているという情報があって、ベルギーなんかにもいたそうなんですけれども、イタリアにいるときに身柄拘束をされたということなんですが、その後、イタリアが引渡しを行わずに当該者をリビアに帰国させたということについて、イタリアのメローニ首相に対し犯罪幇助の疑いが掛けられるという事態にまで発展しております。
レジュメ四ページに飛びまして、③に、中核犯罪行為に直接協力するというパターンも義務違反を生じるという法解釈が拡大していることも付け加えておきたいと思います。
二〇二四年三月に、ニカラグアが国際司法裁判所、ICJに対して、ドイツによるイスラエルへの武器輸出について提訴をしています。これは、ジェノサイドや国際人道法違反に協力すること、国として武器を輸出することで協力することがこれら犯罪の防止義務に違反することなどを訴えるものです。まだ本案には進んでおりませんけれども、今後、新たな国際法解釈が見られる可能性があるということで注視しているところになります。
それでは、二、ICCの活動に入ります。
このような国際法遵守制度を背景に、中東情勢、特にイスラエル・パレスチナ紛争を見ると、従来と違った見方が必要になってくることがお分かりかと存じます。
(1)、まず、個人に対する刑罰抑止のメカニズムとしてICCによる捜査と逮捕状発付を見ると、どのように見えるでしょうか。
ICCは、昨年十一月二十一日に、イスラエル側二名及びハマス側一名についてICC予審裁判部が逮捕状を発付しております。ハマス側のICC被疑者となったデイフ氏については先日ハマスにより死亡が確認されましたので、実質的にはイスラエル側二名のみをICCが逮捕状を出しているという状況になっております。この二人に対する容疑のリストは表二を御覧ください。
逮捕状は、ICC検察官が要請をして、そして予審裁判部が発出するというもので、そのときに根拠と必要性があるかを審査した上で発付するという制度になっております。
十一月に出された逮捕状なんですけれども、この表二で挙げていますように、実は五月に検察官が請求した訴因の全てについて認められたわけではなくて、人道に対する犯罪としては、殺人、迫害及びその他の非人道的行為について共同正犯としての責任に関する合理的な疑いがあることが認められています。また、戦争犯罪としては、飢餓を戦争の手段として利用したことと文民の攻撃についてのみ認められています。
ICJ、国際司法裁判所で南アフリカが今提訴を、イスラエルを提訴しているジェノサイドの容疑に関しては、検察官がそもそもこれを要請しなかったということになります。また、ジェノサイドに近い人道に対する犯罪の一番上のところ、絶滅させる罪や、戦争犯罪としての二番目のところ、意図的な苦しみを与えるという戦争犯罪についても認められていません。
これらがなぜなのかについての公式な説明は、逮捕状の決定自体が秘密裏に、秘密として扱われていて公開されていないので、今のところ分かることはできないんですけれども、ただし、これらの二つの罪についてはジェノサイドと非常に要件が近いということで注目がされていたんですが、理由が分からないまま逮捕状の対象とはなっていないということです。ただし、その他の容疑や人物に対しても逮捕状が請求されている可能性もありますし、また既に非公開で発付されている可能性も実はあるということなので、今後の発展がここはある可能性があるということです。
(2)、ネタニヤフ首相に対する逮捕協力の姿勢に関してですが、諸国により態度、立場が分かれております。
図の二と三からは、協力を表明した国と非協力を表明した国に国際社会がぱっくり分かれてしまっていることが分かります。本件については、国がICC加盟国かどうかに加えて、イスラエルがICC非加盟であることによって、国際法上の国家元首免除の規制が適用されるか否かについて立場が分かれていることが主な理由になっています。それ以前に、ICCに入っていない国に関しては、ICC自体の合法性について疑いを掛ける立場もあります。それから、直近ですと、二月六日にトランプ大統領が、アメリカ人及びイスラエルに対する捜査の動き、特に逮捕状発付を踏まえてICCを脅威とみなして協力することを禁じる大統領令を出しております。昨日、当該大統領令の対象として、ICC検察官、カリム・カーン氏が名前、名指しされるということになっております。
アメリカ下院で可決されて上院にて不採択となった非合法裁判対策法案というのがあったんですけれども、これは不採択となっていますが、今回の大統領令、大統領令で元々の法案よりは影響が抑えられた内容にはなっているということなんですけれども、おおむね、二〇二〇年のときの、最初のときの、第一次のトランプ政権のときの制裁法案、制裁の大統領令とほぼ同じ内容になっているということで、これによる実質的な影響も懸念されるところです。
レジュメ五ページに参りまして、(3)、国による訴追です。
これらは余り日本では報道されていない部分もあるかもしれませんけれども、二〇二三年の十月七日、ハマスによる襲撃事件に関しては、まずアメリカがこのハマスの指導者、今回もう既に死亡が確認されている人たちも含め、逮捕状を出しています。イスラエル側は逮捕状を一切出していません。これについて、国内の世論では反対する意見があるんですけれども、なぜなのかということは分かっていませんが、一般に言われているのは、人質交換の対象にするためには国内で逮捕状が出ていると進められないということもあって、イスラエルとしては犯罪としては扱わないままになっているということのようです。
イスラエル側の被疑者に関しては、二〇二五年一月六日に、ブラジルで休暇を過ごしていた元イスラエル国防軍兵士に対してNGO等からの通報によって国内捜査が始まるといったことや、また先月、ベルギーでも、この国防軍の兵士が公務で来るというときに、ことに際して、ベルギーにいる市民団体の方から訴追を進めるべきだというような告発がなされるなど、国際的な包囲網があることが分かると思われます。
では、これを踏まえまして、三、最後に、今後の日本の取組の在り方について意見を述べます。
(1)、中核犯罪の被疑者が日本国内で発見される可能性、これ実は年々高まっています。地理的に近いロシアからの旅行客に紛れる可能性もありますし、またウクライナやシリアの難民、それから、今後ガザの難民を受け入れることになれば、その中に紛れた中核犯罪被疑者を受け入れてしまうことなどが現実的に想定されるようになります。そのときにどうするかに関して、捜査、逮捕をするのであれば、それについての対外的な説明のシミュレーションを行っておく必要があると思われます。
また、国家元首、政府の長、そして外務大臣といういわゆるトロイカや、外交官が日本に滞在する際、人的な免除、そして中核犯罪訴追のどちらを優先するべきかといった国際法上の難しい決断を迫られる可能性があります。日本がどのような対応を取るべきか、事前に十分協議し、立法を通じて対応を決めておく必要があると考えます。
それから、(2)、日本による義務違反の可能性なんですけれども、日本による準備状況、概算ですが、半分程度できているのかなと考えています。ICCに対して協力をするための法整備は十分あるとは思いますけれども、ICCとの協力実践がないこと、それから、外国への引渡しは、実践が増えてきてはいますけれども、これら日本刑法に規定がある犯罪についてであるので、実体法上の問題が直接生じるといった事例は今のところないのかなと思っております。
ICC規程上の犯罪であっても、日本で犯罪とならない行為が幾つかあります。これ、二〇〇七年にICCに加盟する際に、こちらの調査会でも検討が十分されましたし、立法府で幅広い調査が行われた結果ではあるんですけれども、そのときの発表がありまして、レジュメの六ページ、一番最後のページに表三を挙げております。
日本がICCに加盟する際、こういった日本の国内法で処罰できない行為をリストアップしていましたけれども、これらはレアケースなので想定が不要という形で処理されていましたが、実際、ロシアのショイグ元国防大臣、そしてゲラシモフ参謀総長は二つ目と三つ目の犯罪について逮捕状が出されているということで、レアケースだと思っていたけれども、そうではなかったということがだんだん分かってきたのかなというふうに思っております。
では、まとめますけれども、また近年のICC、判例変更が幾つかございます。そして、中核犯罪の特徴的な要件である文脈的要件について日本の刑法で要素として取り込めるようにしなければ、日本人がICCで裁判されるという事態が現実的に想定されるようになっております。ですので、可能であれば、中核犯罪に対応する概念を立法で取り込むことが、この議論を新しく始めることが必要なのかなというふうに提案したいと思います。
最後、②ですけれども、ICCや外国、市民社会から特定の中核犯罪について捜査、訴追の義務を指摘された場合に備えて訓練が必要だと言われております。特に、中核犯罪の捜査、訴追のために必要な証拠の類型というのは恐らく通常の国内刑法で想定されるものと違うところがありますので、教育プログラムを作成し、実施していくことが必要だと考えております。
私からは以上になります。ありがとうございました。
この発言だけを見る →現在は、立命館大学国際関係学部及び研究科の准教授として学生に基礎法や国際法、国際機構論などの授業を教えている傍ら、特に国際刑事裁判所、ICCの手続や正義に関する問題に着目して研究をずっと続けてまいりました。今般のパレスチナ、イスラエルの事態に関するICCの動向やこれに対する正義と平和の問題について、社会学的な観点からの分析も行っております。
そこで、この調査会における私の意見陳述の位置付けですけれども、国際社会における法の支配のための具体策について検討するものです。特に、中東情勢においては、国際法遵守の確保は急務になっております。国際法を守らせるためにどのような手段や制度があり、それに対する障壁にはどのようなものがあり、そしてそれらの障壁を克服するには、日本、特に立法府はどのような具体策を取るべきなのかについて、特に、近年急速に発展する国際刑事司法制度の観点から多くの具体例を御紹介しながら意見を述べたいと思います。
それでは、レジュメの一、現代国際社会における国際法遵守確保の規範状況に参ります。やや基本的な、大学の授業で聞かれるような部分もあるかと思いますけれども、まず基本的なところからになりますが、(1)、法遵守論です。
法遵守論は、法に関わる人間の行動を分析する法社会学の分野で発展してきました。例えば、社会における規範を学習して自分のものとして内面化する法的な社会化と呼ばれる現象や、大人になる過程において、子供が大人になる過程において、周りの人と同じことをして社会の一員として認められたいという欲求によって法を守るようになるといった法的発達の理論もあります。そして、その中では、最も伝統的なものが、刑罰の恐怖によって逸脱行動を抑止するという刑罰抑止論がございます。
(2)、他方で、国際社会における国際法遵守というのは、少し違ったアプローチが必要になります。国内での一個人の問題とはやや異なることは御想像のとおりかと思います。それは、伝統的に、国際法を守るというのは国家のことであって、国家の義務と責任を論じることが主流だったためです。
そのため、従来の国際法遵守確保メカニズムというのは、返報と呼ばれるものや対抗措置、国際裁判や、それから、いわゆるネーミング・アンド・シェーミングといったような、評判を気にするといったメカニズムによって、いわゆる一般的には、相互主義というものに基づくものが主流でございました。逆に言えば、国内法遵守確保の基本である刑事制裁の手段というのは、国際法遵守メカニズムとしては従来は余り考慮されてきたものとは言えませんでした。
しかし、実際上、国家といっても、それは実態のない存在であって、実際に行動、国家の行動を決定するのは人間であります。そして、国際法を守るかどうかを決めるのも、国家の政策を決定する権限を有した特定の人間であったり、軍であれば、前線で戦っている一人一人の兵士なわけです。そのため、国際法違反に対する制裁といいますのは、国家という国際責任主体に対するものと、政策決定権を持つ個人に対するものの二段構えになる必要が従来からありました。
そこで、(3)、現代国際社会ですけれども、法遵守確保の手段として刑事制裁の措置が存在する世界であると言えると思います。このことを認識することによって、国際関係における法遵守というものを見る視点が一つ増えているというところをまず御確認いただきたいと思います。
この国の政策を決定する個人に対する刑罰抑止というメカニズムは、近年、国際機関とそれから国家機関の両者で補完し合いながら運営されています。国際機関としては、先ほど名前が出てきました国際刑事裁判所、ICCがメインのものとして運営されているという状況です。
ICCについて少しだけお話ししますと、国際法違反の重大な犯罪、全ての国際法違反ではないですけれども、その中でも重大な犯罪、中核犯罪と呼ばれるカテゴリーのものを行った個人に対して、個人の刑事責任を問い、そして刑事制裁を科す機能を持つ国際機関になっています。
中核犯罪は、レジュメ一ページの最後の方に挙げている四つの犯罪を指しています。これに加えて、各国に訴追義務を定めているのが国際規制条約でして、これらで定義される国際犯罪というのが国際規制犯罪と呼ばれるものとなっています。
この二つの国際犯罪の類型が、次の、レジュメ、次のページの、二ページの一番上のところの図にありますように、実はオーバーラップする関係になっているところが少し混乱を生んでいる部分もあるんですけれども、図のように、戦争犯罪とジェノサイドについては国際規制条約もありながらICCの管轄犯罪でもあるという形になっていて、それから、中核犯罪の一番上にあります人道に対する犯罪、これについては、国連の国際法委員会でただいま条約草案が作成されているところという状況だと思います。
そして、(4)、現代では、国家が立法又は政策を決定する段階で、特に中核犯罪の該当性を考慮する必要性があるということです。特に次の三つを考慮する必要があります。
①、第一に、国自体が中核犯罪を行わないようにするということです。国に中核犯罪を行わない義務を課す条約があります。ジェノサイド条約、日本は加盟しておりませんけれども、ジェノサイド条約や、戦争犯罪について定めるジュネーブ諸条約等によるものです。また、いかなる逸脱も認められない強行規範として、拷問の禁止等が挙げられることがあります。
②、第二に、これら犯罪に責任のある人が自国にいる場合、捜査を行い、訴追を行う義務が発生しています。こちらの方がむしろ日本の立法府にとって関心事になる必要がある部分かと思いますけれども、だと思います。
ICC規程締約国は、特に、ICCから逮捕状が出ている人物を国内で発見した場合、逮捕、引渡しを行う義務を負っています。逆に言うと、何もしない、非協力というのが違法化された状態になっているというわけです。ほとんどのケースでICC締約国はこの義務を守っています。
レジュメ三ページに一旦飛びますけれども、一面に表があると思いますが、表一ですね。ICCにこれまで引き渡された被疑者というのは実は二十名余りこれまでおりまして、それぞれの逮捕は、この表の一番右の列にどういうケースで、どういう経緯でこの人たちが逮捕され引き渡されたかというのを書いておりまして、全て埋めては、埋めれてはいないんですけれども、多くはヨーロッパ諸国、そしてアフリカ諸国が協力したケースになっております。
一つ興味深いのは、ンタガンダという人のケース、二〇一三年のケースですけれども、ルワンダのアメリカ大使館に被疑者が出頭して、そして、アメリカは御承知のとおりICC加盟国ではありませんので、ルワンダ政府と協力して実際に引渡しを実現させたというケースもあります。
あと、ほかにも、表の上の方だと、国連の平和維持軍要員殺害について国が逮捕したりであるとか、一番最初はその平和維持活動の部隊によって身柄が拘束されたりといった形で、国家当局の警察が逮捕する場合もあるし、国連の要員、国際機関の職員が逮捕する場合もあるということで、様々なルートを通ってICCに被疑者が引き渡されてきたと言えると思います。
一旦、またレジュメ二ページに戻りまして、また、現代では、知らなかった、できなかったという言い逃れが難しくなっていると思います。先ほどの表に挙げたように、アフリカの反政府武装勢力の場合ですと、ジャングルの奥深くに逃れていてなかなか見付けられない、そして身柄を、その人が滞在していたということが後で分かったとしても、そのいたときは分からなかったということが、まあ本当に事実としてあったんだろうなと思うんですけれども、現代、これがだんだん難しくなっているということで、これには通信や記録、捜査技術が飛躍的に向上しているということで、誰がどこにいるかというのが多くはSNS等々通じてリアルタイムで分かってしまうということが挙げられます。外国で起きた犯罪でも刑事訴追を行うことが技術的に可能になりつつあるということが背景にあります。
特に、市民社会が国際的なネットワークを通じて、情報網、そしてオープンソースを利用して捜査を続けておりまして、例えばドイツやウクライナなんかでも、市民社会が持ってきた証拠を通じて刑事司法当局が捜査、訴追を開始するといった事例が増加しております。
このような刑事司法の網による違法行為の国際的取締りという国際法遵守確保制度の中では、これに協力しないこと自体が中核犯罪への加担とみなされるという、ややインパクトの高い波及効果があります。
例えば、二〇二五年一月、昨月ですね、ICC被疑者のリビア人の元刑務官がヨーロッパを旅行しているという情報があって、ベルギーなんかにもいたそうなんですけれども、イタリアにいるときに身柄拘束をされたということなんですが、その後、イタリアが引渡しを行わずに当該者をリビアに帰国させたということについて、イタリアのメローニ首相に対し犯罪幇助の疑いが掛けられるという事態にまで発展しております。
レジュメ四ページに飛びまして、③に、中核犯罪行為に直接協力するというパターンも義務違反を生じるという法解釈が拡大していることも付け加えておきたいと思います。
二〇二四年三月に、ニカラグアが国際司法裁判所、ICJに対して、ドイツによるイスラエルへの武器輸出について提訴をしています。これは、ジェノサイドや国際人道法違反に協力すること、国として武器を輸出することで協力することがこれら犯罪の防止義務に違反することなどを訴えるものです。まだ本案には進んでおりませんけれども、今後、新たな国際法解釈が見られる可能性があるということで注視しているところになります。
それでは、二、ICCの活動に入ります。
このような国際法遵守制度を背景に、中東情勢、特にイスラエル・パレスチナ紛争を見ると、従来と違った見方が必要になってくることがお分かりかと存じます。
(1)、まず、個人に対する刑罰抑止のメカニズムとしてICCによる捜査と逮捕状発付を見ると、どのように見えるでしょうか。
ICCは、昨年十一月二十一日に、イスラエル側二名及びハマス側一名についてICC予審裁判部が逮捕状を発付しております。ハマス側のICC被疑者となったデイフ氏については先日ハマスにより死亡が確認されましたので、実質的にはイスラエル側二名のみをICCが逮捕状を出しているという状況になっております。この二人に対する容疑のリストは表二を御覧ください。
逮捕状は、ICC検察官が要請をして、そして予審裁判部が発出するというもので、そのときに根拠と必要性があるかを審査した上で発付するという制度になっております。
十一月に出された逮捕状なんですけれども、この表二で挙げていますように、実は五月に検察官が請求した訴因の全てについて認められたわけではなくて、人道に対する犯罪としては、殺人、迫害及びその他の非人道的行為について共同正犯としての責任に関する合理的な疑いがあることが認められています。また、戦争犯罪としては、飢餓を戦争の手段として利用したことと文民の攻撃についてのみ認められています。
ICJ、国際司法裁判所で南アフリカが今提訴を、イスラエルを提訴しているジェノサイドの容疑に関しては、検察官がそもそもこれを要請しなかったということになります。また、ジェノサイドに近い人道に対する犯罪の一番上のところ、絶滅させる罪や、戦争犯罪としての二番目のところ、意図的な苦しみを与えるという戦争犯罪についても認められていません。
これらがなぜなのかについての公式な説明は、逮捕状の決定自体が秘密裏に、秘密として扱われていて公開されていないので、今のところ分かることはできないんですけれども、ただし、これらの二つの罪についてはジェノサイドと非常に要件が近いということで注目がされていたんですが、理由が分からないまま逮捕状の対象とはなっていないということです。ただし、その他の容疑や人物に対しても逮捕状が請求されている可能性もありますし、また既に非公開で発付されている可能性も実はあるということなので、今後の発展がここはある可能性があるということです。
(2)、ネタニヤフ首相に対する逮捕協力の姿勢に関してですが、諸国により態度、立場が分かれております。
図の二と三からは、協力を表明した国と非協力を表明した国に国際社会がぱっくり分かれてしまっていることが分かります。本件については、国がICC加盟国かどうかに加えて、イスラエルがICC非加盟であることによって、国際法上の国家元首免除の規制が適用されるか否かについて立場が分かれていることが主な理由になっています。それ以前に、ICCに入っていない国に関しては、ICC自体の合法性について疑いを掛ける立場もあります。それから、直近ですと、二月六日にトランプ大統領が、アメリカ人及びイスラエルに対する捜査の動き、特に逮捕状発付を踏まえてICCを脅威とみなして協力することを禁じる大統領令を出しております。昨日、当該大統領令の対象として、ICC検察官、カリム・カーン氏が名前、名指しされるということになっております。
アメリカ下院で可決されて上院にて不採択となった非合法裁判対策法案というのがあったんですけれども、これは不採択となっていますが、今回の大統領令、大統領令で元々の法案よりは影響が抑えられた内容にはなっているということなんですけれども、おおむね、二〇二〇年のときの、最初のときの、第一次のトランプ政権のときの制裁法案、制裁の大統領令とほぼ同じ内容になっているということで、これによる実質的な影響も懸念されるところです。
レジュメ五ページに参りまして、(3)、国による訴追です。
これらは余り日本では報道されていない部分もあるかもしれませんけれども、二〇二三年の十月七日、ハマスによる襲撃事件に関しては、まずアメリカがこのハマスの指導者、今回もう既に死亡が確認されている人たちも含め、逮捕状を出しています。イスラエル側は逮捕状を一切出していません。これについて、国内の世論では反対する意見があるんですけれども、なぜなのかということは分かっていませんが、一般に言われているのは、人質交換の対象にするためには国内で逮捕状が出ていると進められないということもあって、イスラエルとしては犯罪としては扱わないままになっているということのようです。
イスラエル側の被疑者に関しては、二〇二五年一月六日に、ブラジルで休暇を過ごしていた元イスラエル国防軍兵士に対してNGO等からの通報によって国内捜査が始まるといったことや、また先月、ベルギーでも、この国防軍の兵士が公務で来るというときに、ことに際して、ベルギーにいる市民団体の方から訴追を進めるべきだというような告発がなされるなど、国際的な包囲網があることが分かると思われます。
では、これを踏まえまして、三、最後に、今後の日本の取組の在り方について意見を述べます。
(1)、中核犯罪の被疑者が日本国内で発見される可能性、これ実は年々高まっています。地理的に近いロシアからの旅行客に紛れる可能性もありますし、またウクライナやシリアの難民、それから、今後ガザの難民を受け入れることになれば、その中に紛れた中核犯罪被疑者を受け入れてしまうことなどが現実的に想定されるようになります。そのときにどうするかに関して、捜査、逮捕をするのであれば、それについての対外的な説明のシミュレーションを行っておく必要があると思われます。
また、国家元首、政府の長、そして外務大臣といういわゆるトロイカや、外交官が日本に滞在する際、人的な免除、そして中核犯罪訴追のどちらを優先するべきかといった国際法上の難しい決断を迫られる可能性があります。日本がどのような対応を取るべきか、事前に十分協議し、立法を通じて対応を決めておく必要があると考えます。
それから、(2)、日本による義務違反の可能性なんですけれども、日本による準備状況、概算ですが、半分程度できているのかなと考えています。ICCに対して協力をするための法整備は十分あるとは思いますけれども、ICCとの協力実践がないこと、それから、外国への引渡しは、実践が増えてきてはいますけれども、これら日本刑法に規定がある犯罪についてであるので、実体法上の問題が直接生じるといった事例は今のところないのかなと思っております。
ICC規程上の犯罪であっても、日本で犯罪とならない行為が幾つかあります。これ、二〇〇七年にICCに加盟する際に、こちらの調査会でも検討が十分されましたし、立法府で幅広い調査が行われた結果ではあるんですけれども、そのときの発表がありまして、レジュメの六ページ、一番最後のページに表三を挙げております。
日本がICCに加盟する際、こういった日本の国内法で処罰できない行為をリストアップしていましたけれども、これらはレアケースなので想定が不要という形で処理されていましたが、実際、ロシアのショイグ元国防大臣、そしてゲラシモフ参謀総長は二つ目と三つ目の犯罪について逮捕状が出されているということで、レアケースだと思っていたけれども、そうではなかったということがだんだん分かってきたのかなというふうに思っております。
では、まとめますけれども、また近年のICC、判例変更が幾つかございます。そして、中核犯罪の特徴的な要件である文脈的要件について日本の刑法で要素として取り込めるようにしなければ、日本人がICCで裁判されるという事態が現実的に想定されるようになっております。ですので、可能であれば、中核犯罪に対応する概念を立法で取り込むことが、この議論を新しく始めることが必要なのかなというふうに提案したいと思います。
最後、②ですけれども、ICCや外国、市民社会から特定の中核犯罪について捜査、訴追の義務を指摘された場合に備えて訓練が必要だと言われております。特に、中核犯罪の捜査、訴追のために必要な証拠の類型というのは恐らく通常の国内刑法で想定されるものと違うところがありますので、教育プログラムを作成し、実施していくことが必要だと考えております。
私からは以上になります。ありがとうございました。
猪
猪口邦子#13
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
では、松川るい君。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
では、松川るい君。
松
松川るい#14
○松川るい君 ありがとうございます。
まず冒頭、私が心から敬愛する猪口調査会長の下でこうして質問をさせていただくことができることを本当に有り難く、うれしく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →まず冒頭、私が心から敬愛する猪口調査会長の下でこうして質問をさせていただくことができることを本当に有り難く、うれしく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
猪
松
松川るい#16
○松川るい君 まず、立山参考人にお伺いしたいと存じます。
私、停戦合意ができたこと、今ちょっとこの数日で怪しくはなっていますけれども、本当に良かったなと心から思っております。余りにも多くの犠牲者が出てしまいました。ですので、この停戦合意を何とかちゃんと第二段階に至るまで着地させていくということが非常に今は大事であろうと思うところです。
ただ、私自身もイスラエルにも行ったこともありますし、パレスチナに行ったこともありますし、イランにもあるんですけど、それぞれの国の認識ギャップが余りにも大き過ぎて、非常にやはりこの中東和平であったり中東情勢の、イラン問題も含めてですけど、安定って難しいなと思います。イスラエルもイランもそれぞれ、自分は敵に囲まれた被害者意識の非常に大きいという状況なわけですし、もちろんパレスチナの方々は言うまでもないところであります。
この構造の中で、今、私、直近大変心配しておりますのは、もちろん停戦がうまくいくかということもなんですけど、イランが核開発を完成させてしまおうとしたら、その前に、恐らくイスラエルは攻撃を本当に考えるだろうと思います。その場合には、イランとイスラエルが衝突するとなると、本当に中東全体がひっくり返る状態になると思うわけであります。
となりますと、やはりこの核開発を断念させるという圧力、それからイスラエルに攻撃をさせないという圧力、そしてハマスに、これ以上のイスラエルに対しての、何でしょうね、この停戦を守るということを含めて、守らせることができるのはやっぱりアメリカだけなんじゃないのかなと。
先生にお伺いしたいのは、停戦を続けていく上でも、第二段階の恒久的な停戦の維持における枠組みには、私はそういう意味で、力による平和といいますか、トランプさんによる平和というか、理由といいますか、第二段階において、やっぱりアメリカの関与なくして実際上そのガザの統治の維持って難しいんじゃないかと思うんですが、ここについて先生のお考えを、もう少しありましたら教えていただきたいと存じます。
この発言だけを見る →私、停戦合意ができたこと、今ちょっとこの数日で怪しくはなっていますけれども、本当に良かったなと心から思っております。余りにも多くの犠牲者が出てしまいました。ですので、この停戦合意を何とかちゃんと第二段階に至るまで着地させていくということが非常に今は大事であろうと思うところです。
ただ、私自身もイスラエルにも行ったこともありますし、パレスチナに行ったこともありますし、イランにもあるんですけど、それぞれの国の認識ギャップが余りにも大き過ぎて、非常にやはりこの中東和平であったり中東情勢の、イラン問題も含めてですけど、安定って難しいなと思います。イスラエルもイランもそれぞれ、自分は敵に囲まれた被害者意識の非常に大きいという状況なわけですし、もちろんパレスチナの方々は言うまでもないところであります。
この構造の中で、今、私、直近大変心配しておりますのは、もちろん停戦がうまくいくかということもなんですけど、イランが核開発を完成させてしまおうとしたら、その前に、恐らくイスラエルは攻撃を本当に考えるだろうと思います。その場合には、イランとイスラエルが衝突するとなると、本当に中東全体がひっくり返る状態になると思うわけであります。
となりますと、やはりこの核開発を断念させるという圧力、それからイスラエルに攻撃をさせないという圧力、そしてハマスに、これ以上のイスラエルに対しての、何でしょうね、この停戦を守るということを含めて、守らせることができるのはやっぱりアメリカだけなんじゃないのかなと。
先生にお伺いしたいのは、停戦を続けていく上でも、第二段階の恒久的な停戦の維持における枠組みには、私はそういう意味で、力による平和といいますか、トランプさんによる平和というか、理由といいますか、第二段階において、やっぱりアメリカの関与なくして実際上そのガザの統治の維持って難しいんじゃないかと思うんですが、ここについて先生のお考えを、もう少しありましたら教えていただきたいと存じます。
立
立山良司#17
○参考人(立山良司君) 御質問ありがとうございます。
第二段階のアメリカの関与の必要性があるのではないかということですけれども、関与をどういうことでおっしゃっているのか、今の御質問での私の理解では、ある意味では力によってその合意を守らせるというふうなことなのかなというふうにも聞こえたんですけれども、恐らく、この一年三か月、十五か月間の状況を見てますと、やはりハマスに力でもってイスラエルなりほかの国の意図を押し付けることはできないと思うんですね。
それはなぜかというと、やはりハマスはガザの中で、軍事組織としてだけではなくて、先ほどもお話ししましたように、その行政サービスとかのもやっていますし、もっと更に言えば、イデオロギーとしてパレスチナ人の、一〇〇%とは申しませんが、一定の支持を得ているわけです。それは、もっと下がっていくと、底辺に下っていくと、占領という実態があって、それに対して抵抗しているのはハマスである、だから、我々占領下にあるパレスチナ人はハマスを支持するあるいは支援をするという、この状態がある限り、幾らハマスに停戦合意を守れと言っても難しい。
加えて、今先生がおっしゃられましたように、その相互の認識ギャップというのは非常に大きいわけです。それは、別の言い方をすると、相互不信の塊ということです。
ですから、今回もハマスが最初に言ったのは、冒頭申し上げましたけれども、二つの、イスラエルが停戦合意を守っていない。一つは人道支援物資の搬入を妨害している、もう一つはパレスチナ人に対して銃撃をしているということだったんですけれども、私はこれを聞いたときには、ああ、きっとうまくいくだろうと思ったんです。なぜならば、人道支援物資の搬入というのは、ある意味ではそのゲートを大きくするか小さくするかという問題だけですので、ある意味では技術的な問題ですから、そういう形にしていけば、二月十五日の三人の人質の解放というのは実現するであろう。ただ、いろいろ、ハマス内の政治とかイスラエル内の政治の状態があってうまくはいかないかもしれないけれどもと思っていたんですが、トランプ発言が出てきて事態が物すごく複雑になってしまっているというのが今で、今の状態かと思います。
ですから、やはりハマス、日本は残念ながら、先ほども申し上げましたように、ノーコンタクトポリシーということでハマスとの接触は日本政府には全くありませんけれども、そのハマスと接触をしているアラブ諸国なんか等を通じてもハマスに説得をする、同時にイスラエルにも説得をするというようなことしかできることはないんではないかと私は考えております。
この発言だけを見る →第二段階のアメリカの関与の必要性があるのではないかということですけれども、関与をどういうことでおっしゃっているのか、今の御質問での私の理解では、ある意味では力によってその合意を守らせるというふうなことなのかなというふうにも聞こえたんですけれども、恐らく、この一年三か月、十五か月間の状況を見てますと、やはりハマスに力でもってイスラエルなりほかの国の意図を押し付けることはできないと思うんですね。
それはなぜかというと、やはりハマスはガザの中で、軍事組織としてだけではなくて、先ほどもお話ししましたように、その行政サービスとかのもやっていますし、もっと更に言えば、イデオロギーとしてパレスチナ人の、一〇〇%とは申しませんが、一定の支持を得ているわけです。それは、もっと下がっていくと、底辺に下っていくと、占領という実態があって、それに対して抵抗しているのはハマスである、だから、我々占領下にあるパレスチナ人はハマスを支持するあるいは支援をするという、この状態がある限り、幾らハマスに停戦合意を守れと言っても難しい。
加えて、今先生がおっしゃられましたように、その相互の認識ギャップというのは非常に大きいわけです。それは、別の言い方をすると、相互不信の塊ということです。
ですから、今回もハマスが最初に言ったのは、冒頭申し上げましたけれども、二つの、イスラエルが停戦合意を守っていない。一つは人道支援物資の搬入を妨害している、もう一つはパレスチナ人に対して銃撃をしているということだったんですけれども、私はこれを聞いたときには、ああ、きっとうまくいくだろうと思ったんです。なぜならば、人道支援物資の搬入というのは、ある意味ではそのゲートを大きくするか小さくするかという問題だけですので、ある意味では技術的な問題ですから、そういう形にしていけば、二月十五日の三人の人質の解放というのは実現するであろう。ただ、いろいろ、ハマス内の政治とかイスラエル内の政治の状態があってうまくはいかないかもしれないけれどもと思っていたんですが、トランプ発言が出てきて事態が物すごく複雑になってしまっているというのが今で、今の状態かと思います。
ですから、やはりハマス、日本は残念ながら、先ほども申し上げましたように、ノーコンタクトポリシーということでハマスとの接触は日本政府には全くありませんけれども、そのハマスと接触をしているアラブ諸国なんか等を通じてもハマスに説得をする、同時にイスラエルにも説得をするというようなことしかできることはないんではないかと私は考えております。
松
松川るい#18
○松川るい君 ありがとうございます。
もう一つだけお伺いしたいんですけれども、イランの核開発、核抑止の議論がイラン国内であるというお話をされました。ペゼシュキアン大統領という、まあどちらかというと協調派と、まあ比較の問題だと思いますけど、言われる大統領が登場したこととか、イランの今勢力が中東の中で落ちている、ざっくり言うと、イランとロシアが後退をしてアメリカとイスラエルが出ているのかなという気が、あとアラブですね。
その中で、イランの国内の変革というのは、何か兆しは見えないのでしょうか。変革という意味は、例えばヘジャブをかぶった女性がそれによって非常に暴力を受けるといったこととかですね、締め付けがあると思うんですけど、そこにおける少し、もう少しポジティブな変化といいますか、はないのでしょうか。
この発言だけを見る →もう一つだけお伺いしたいんですけれども、イランの核開発、核抑止の議論がイラン国内であるというお話をされました。ペゼシュキアン大統領という、まあどちらかというと協調派と、まあ比較の問題だと思いますけど、言われる大統領が登場したこととか、イランの今勢力が中東の中で落ちている、ざっくり言うと、イランとロシアが後退をしてアメリカとイスラエルが出ているのかなという気が、あとアラブですね。
その中で、イランの国内の変革というのは、何か兆しは見えないのでしょうか。変革という意味は、例えばヘジャブをかぶった女性がそれによって非常に暴力を受けるといったこととかですね、締め付けがあると思うんですけど、そこにおける少し、もう少しポジティブな変化といいますか、はないのでしょうか。
立
立山良司#19
○参考人(立山良司君) イラン国内は今非常に、経済的に非常に難しい状況になっています。それは、石油の輸出が制裁でうまくいかないというようなこともありますし、それから、イスラエルの攻撃によってイランの通貨が大幅に下落して、その結果、物価が急上昇している。さらには、おっしゃられたように、一昨年に、昨年ですか、ベール、ヘジャブというのをかぶる強制問題。さらには、もっと長く言えば、非常に抑圧的な体制が続いていて自由に物を言えない、そういう問題がもう累積をしているのは事実でございます。ですからこそ、昨年の七月にペゼシュキアン大統領という改革派の大統領が当選をした、その原動力になったと思うんです。
ですから、そういう意味ではポジティブな側面なんですけど、他方で、イランの核政策あるいは核開発政策を誰が決めているのかというと、大統領を基にした行政府ではなくて、恐らく言われているのは、イラン革命防衛、イスラム革命防衛隊という、IRGCという軍とは違う武装組織であって、それが最高指導者の下で核開発を進めていると言われています。
ですから、ペゼシュキアン大統領がアメリカと、トランプ大統領、トランプ政権と対話をと言っても、それがそのままうまくいくのかというのはイランの国内政治の力関係にもよってくるかと思います。
この発言だけを見る →ですから、そういう意味ではポジティブな側面なんですけど、他方で、イランの核政策あるいは核開発政策を誰が決めているのかというと、大統領を基にした行政府ではなくて、恐らく言われているのは、イラン革命防衛、イスラム革命防衛隊という、IRGCという軍とは違う武装組織であって、それが最高指導者の下で核開発を進めていると言われています。
ですから、ペゼシュキアン大統領がアメリカと、トランプ大統領、トランプ政権と対話をと言っても、それがそのままうまくいくのかというのはイランの国内政治の力関係にもよってくるかと思います。
松
松川るい#20
○松川るい君 ありがとうございます。
済みません、佐藤先生と越智先生にも質問したいんですけど、まだ一つだけいいのかな、どうでしょう。
申し遅れました。越智先生、是非ですね、私、一番、韓国はAIの軍事利用を加速して、もう恐らく日本が追い付けないぐらいのところに先に行っているよ、同時に規制についての議論もリードしているということには、非常に、何というか、危機感といいますか、やらねばということを覚えました。
ちょっと質問はできないんですけど、また引き続き先生がこの点において、日本はどうしていくべきかについて御研究をされていかれる、また教えていただけることを楽しみにしております。
ありがとうございます。
済みません、時間が押しました。
この発言だけを見る →済みません、佐藤先生と越智先生にも質問したいんですけど、まだ一つだけいいのかな、どうでしょう。
申し遅れました。越智先生、是非ですね、私、一番、韓国はAIの軍事利用を加速して、もう恐らく日本が追い付けないぐらいのところに先に行っているよ、同時に規制についての議論もリードしているということには、非常に、何というか、危機感といいますか、やらねばということを覚えました。
ちょっと質問はできないんですけど、また引き続き先生がこの点において、日本はどうしていくべきかについて御研究をされていかれる、また教えていただけることを楽しみにしております。
ありがとうございます。
済みません、時間が押しました。
猪
古
古賀之士#22
○古賀之士君 古賀之士と申します。
今日は、立山参考人、佐藤参考人、越智参考人、いいお話をありがとうございました。
まず、立山参考人にお尋ねをいたします。
トランプ大統領、よく分からないというようなお話もございましたけれども、私見で結構でございます、いわゆるそのリビエラ化というこの真意、私見で結構ですので、どのようなお考えをお持ちなんでしょうか。そして、今後、この停戦に向けていくであろうかあるまいか、その辺も含めてですが、キーパーソンとなる人物やキーカントリーとなるようなものがありましたら是非教えてください。
それから、佐藤参考人、お尋ねいたします。
先ほどのお話のとおり、私も、韓国のそのAIの先進性というもの、国際的にもリードしているというお話に重大な関心を寄せております。この軍事力のAI化に伴って今後様変わりするであろう、どのようなことが予想され得るのか、また我が国においてどのようなことが課題となってくるのか、そして場合によってはもう必要となくなってしまうような分野がこれによって出てくるのか、この辺についてもお話を伺えればと思います。
それから、越智参考人、ICCの現状についての課題を伺います。
これ例えば、レジュメにわざわざしっかりとアンダーラインで、冒頭の一ページ目に、国際法を守らせるというところにアンダーラインが引いてあるところにやはり重大な関心がありまして、この点について、例えばICCの場合、罰金や罰則が守らない場合にはあるのでしょうか。そして、このICCの活動を維持していくためにはどのような課題があるのか、そして私たち日本はどのようなふうに今関わっていったらよろしいのかと。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →今日は、立山参考人、佐藤参考人、越智参考人、いいお話をありがとうございました。
まず、立山参考人にお尋ねをいたします。
トランプ大統領、よく分からないというようなお話もございましたけれども、私見で結構でございます、いわゆるそのリビエラ化というこの真意、私見で結構ですので、どのようなお考えをお持ちなんでしょうか。そして、今後、この停戦に向けていくであろうかあるまいか、その辺も含めてですが、キーパーソンとなる人物やキーカントリーとなるようなものがありましたら是非教えてください。
それから、佐藤参考人、お尋ねいたします。
先ほどのお話のとおり、私も、韓国のそのAIの先進性というもの、国際的にもリードしているというお話に重大な関心を寄せております。この軍事力のAI化に伴って今後様変わりするであろう、どのようなことが予想され得るのか、また我が国においてどのようなことが課題となってくるのか、そして場合によってはもう必要となくなってしまうような分野がこれによって出てくるのか、この辺についてもお話を伺えればと思います。
それから、越智参考人、ICCの現状についての課題を伺います。
これ例えば、レジュメにわざわざしっかりとアンダーラインで、冒頭の一ページ目に、国際法を守らせるというところにアンダーラインが引いてあるところにやはり重大な関心がありまして、この点について、例えばICCの場合、罰金や罰則が守らない場合にはあるのでしょうか。そして、このICCの活動を維持していくためにはどのような課題があるのか、そして私たち日本はどのようなふうに今関わっていったらよろしいのかと。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
立
立山良司#23
○参考人(立山良司君) 御質問ありがとうございます。
まず、トランプ大統領が、提案と言っていいのかよく分かりませんが、口にずっとしているガザのリビエラ化構想といいますか、そもそも、まず第一に、私理解できないのは、そのネタニヤフ首相との共同記者会見のときにトランプ大統領が言ったのは、ガザをテークオーバー、あるいはオウンと言ったんですね、日本では所有するとかというふうに訳されていますが。
それから、その後、数日後に彼がSNSに書いたのは、戦闘終了後にイスラエルがアメリカにガザをハンドオーバーすると言っているんです。でも、ガザってイスラエルのものでもありませんし、ICCなりICJの判断でもパレスチナ国家の領土であるとなっているわけです。加えて、ガザには個人の所有者がいるわけです、地主さんが。それをどうするんだろうかというのは私には全く分からない。
さらに、もう一つ別の問題は、二百万人、二百数十万人のそのガザの住民をエジプトなりヨルダンに、最近もうトランプ大統領が言っているのは、もうずっと永遠に追放すると言っていますよね。で、その間にガザをすばらしいリゾート地にする。この案は、恐らく、一昨年の二月にトランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナーが、ガザはすばらしい土地、リゾート地になるという案を出しているんですけれども、案を語っているんですけれども、それをそのまま、そのままというか、発展させているんだろうと思いますが、土地の所有権とか不動産ビジネスに長く関わってきた人間が、あるいはその土地に住んでいる人の居住権とかというのをどう考えているんだろうというのが私には理解できないところでございます。
それから、もう一つ、じゃ、ガザ停戦の維持にはどうすればいいのかという、どうすれば、誰がキーパーソン、誰がキーカントリーかということですけれども、やはりそれはイスラエルの政治指導部とそれからガザの政治指導者、イスラエルの場合でしたらネタニヤフ首相ということになりますが、私は、そのトランプ大統領がずっと就任前から言っているのは、イスラエルとサウジアラビアの関係正常化を図りたい。前の、二〇二〇年のUAEとイスラエルとの関係正常化などをアブラハム合意と呼んでいますから、アブラハム合意二・〇を実現したいと言っているわけです。
それで、私は期待を込めて思って言っているんですけれども、もしアブラハム合意二・〇を実現したければ、ガザが戦争状態である限り、サウジはイスラエルとの関係正常化は絶対にしません。つまり、ガザを停戦状態に、ガザの停戦状態維持する必要がある。それは、やはりトランプ大統領が圧力を掛ける可能性がある。トランプ大統領にどこまで期待ができるのかも私には分かりませんが、それがキーパーソンだろうと思います。
以上です。
この発言だけを見る →まず、トランプ大統領が、提案と言っていいのかよく分かりませんが、口にずっとしているガザのリビエラ化構想といいますか、そもそも、まず第一に、私理解できないのは、そのネタニヤフ首相との共同記者会見のときにトランプ大統領が言ったのは、ガザをテークオーバー、あるいはオウンと言ったんですね、日本では所有するとかというふうに訳されていますが。
それから、その後、数日後に彼がSNSに書いたのは、戦闘終了後にイスラエルがアメリカにガザをハンドオーバーすると言っているんです。でも、ガザってイスラエルのものでもありませんし、ICCなりICJの判断でもパレスチナ国家の領土であるとなっているわけです。加えて、ガザには個人の所有者がいるわけです、地主さんが。それをどうするんだろうかというのは私には全く分からない。
さらに、もう一つ別の問題は、二百万人、二百数十万人のそのガザの住民をエジプトなりヨルダンに、最近もうトランプ大統領が言っているのは、もうずっと永遠に追放すると言っていますよね。で、その間にガザをすばらしいリゾート地にする。この案は、恐らく、一昨年の二月にトランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナーが、ガザはすばらしい土地、リゾート地になるという案を出しているんですけれども、案を語っているんですけれども、それをそのまま、そのままというか、発展させているんだろうと思いますが、土地の所有権とか不動産ビジネスに長く関わってきた人間が、あるいはその土地に住んでいる人の居住権とかというのをどう考えているんだろうというのが私には理解できないところでございます。
それから、もう一つ、じゃ、ガザ停戦の維持にはどうすればいいのかという、どうすれば、誰がキーパーソン、誰がキーカントリーかということですけれども、やはりそれはイスラエルの政治指導部とそれからガザの政治指導者、イスラエルの場合でしたらネタニヤフ首相ということになりますが、私は、そのトランプ大統領がずっと就任前から言っているのは、イスラエルとサウジアラビアの関係正常化を図りたい。前の、二〇二〇年のUAEとイスラエルとの関係正常化などをアブラハム合意と呼んでいますから、アブラハム合意二・〇を実現したいと言っているわけです。
それで、私は期待を込めて思って言っているんですけれども、もしアブラハム合意二・〇を実現したければ、ガザが戦争状態である限り、サウジはイスラエルとの関係正常化は絶対にしません。つまり、ガザを停戦状態に、ガザの停戦状態維持する必要がある。それは、やはりトランプ大統領が圧力を掛ける可能性がある。トランプ大統領にどこまで期待ができるのかも私には分かりませんが、それがキーパーソンだろうと思います。
以上です。
佐
佐藤丙午#24
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。
韓国が国際的にリードしているということについて、様々な評価があるのは事実でございますけれども、特に軍事分野におけるAIの利用、若しくは、軍事における革命とは申しませんけれども、軍事における能力向上において、韓国がこの地域において一つの主導をしている国であることは間違いないと思っております。
その中で、韓国の状況を見ている限りにおいて、今後様変わりする分野は幾つか想定されます。
韓国が特に力を入れているのは個別の兵隊の能力ですね、ヒューマンエンハンスメントに力を入れております。これは、兵隊自身が装着する装着物というか、ギアとよく言いますけれども、それのネットワーク化、IoT化というふうに言ってしまうのはちょっとあれかもしれませんけど、要は、それをいかに効率的に使うかによって、彼ら自体と、彼ら自身と、前線の兵隊と後方の部隊とのネットワークを緊密化するというのが一つの方向としてあるようであります。
もう一つ韓国で進んでいるなというふうに感じますのが、前線のロボット化であります。
これは、元々はその地雷除去のために無人の車両の開発というところから始まったようでありますけれども、そういう防御的な方法から攻撃的な防衛装備の開発に進んでおりまして、特に、昨年、一昨年ぐらいに注目を集めたのは、ファントムフリートと言われる、いわゆる無人艦船ですかね、それの開発にも力入れております。
それ以外にも、韓国に限らず、国際的な技術の議論を見ている限りにおいては、例えばロジスティックスであるとか、兵たんの能力であるとか、小型化、小型化ですね、兵器の小型化というのも大きく検討の内容として進んでおります。
その中で、恐らく、兵士の訓練といいますか、兵士の資質というものが恐らく一番大きな変化であろうというふうに言われておりまして、それは、ゲーミングといいますか、そういうコンピューターのソフトを開発したりであるとか、シミュレーションゲームで戦うことを、ウクライナの人も訓練で使っておりますので、そういう分野における能力を向上させるというのが、今後の兵士にとっての必要な素質であるというふうに言われております。
それに伴って必要となってしまう分野、恐らくカテゴリーとして分野があることはないんでしょうけれども、しかしながら、効率化、省人化、また必要な変化を行っていく中で、これまでのような兵器、兵士の資質というものとは違う要請が出てくると思いますので、その中で恐らく、カテゴリーとしてなのかマンパワーなのか分かりませんけれども、それらが大きく変貌していくことは間違いないと思います。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →韓国が国際的にリードしているということについて、様々な評価があるのは事実でございますけれども、特に軍事分野におけるAIの利用、若しくは、軍事における革命とは申しませんけれども、軍事における能力向上において、韓国がこの地域において一つの主導をしている国であることは間違いないと思っております。
その中で、韓国の状況を見ている限りにおいて、今後様変わりする分野は幾つか想定されます。
韓国が特に力を入れているのは個別の兵隊の能力ですね、ヒューマンエンハンスメントに力を入れております。これは、兵隊自身が装着する装着物というか、ギアとよく言いますけれども、それのネットワーク化、IoT化というふうに言ってしまうのはちょっとあれかもしれませんけど、要は、それをいかに効率的に使うかによって、彼ら自体と、彼ら自身と、前線の兵隊と後方の部隊とのネットワークを緊密化するというのが一つの方向としてあるようであります。
もう一つ韓国で進んでいるなというふうに感じますのが、前線のロボット化であります。
これは、元々はその地雷除去のために無人の車両の開発というところから始まったようでありますけれども、そういう防御的な方法から攻撃的な防衛装備の開発に進んでおりまして、特に、昨年、一昨年ぐらいに注目を集めたのは、ファントムフリートと言われる、いわゆる無人艦船ですかね、それの開発にも力入れております。
それ以外にも、韓国に限らず、国際的な技術の議論を見ている限りにおいては、例えばロジスティックスであるとか、兵たんの能力であるとか、小型化、小型化ですね、兵器の小型化というのも大きく検討の内容として進んでおります。
その中で、恐らく、兵士の訓練といいますか、兵士の資質というものが恐らく一番大きな変化であろうというふうに言われておりまして、それは、ゲーミングといいますか、そういうコンピューターのソフトを開発したりであるとか、シミュレーションゲームで戦うことを、ウクライナの人も訓練で使っておりますので、そういう分野における能力を向上させるというのが、今後の兵士にとっての必要な素質であるというふうに言われております。
それに伴って必要となってしまう分野、恐らくカテゴリーとして分野があることはないんでしょうけれども、しかしながら、効率化、省人化、また必要な変化を行っていく中で、これまでのような兵器、兵士の資質というものとは違う要請が出てくると思いますので、その中で恐らく、カテゴリーとしてなのかマンパワーなのか分かりませんけれども、それらが大きく変貌していくことは間違いないと思います。
ありがとうございます。
越
越智萌#25
○参考人(越智萌君) 御質問ありがとうございます。
国際法を守らせるために何がすべきかということで、まずICCにできることといいますのは、まず、逮捕されて捜査をされますと、通常の刑事裁判が行われます。これはストリーミングで国際世界全体に配信されまして、そして有罪になった場合には、最高で終身刑、最長三十年の拘禁刑、また罰金刑、そして被害者の数と被害に応じて個人資産が差し押さえられて賠償金として提供されることになります。これが基本的な制度ではありますけれども、身体的な罰よりかは、といいますよりは、精神的、政治的な罰を与えることが恐らくこの制度の目的でありますでしょうし、この期間、本人が政治の場から退くということが重要になってきます。
これは表現主義的な正義という言い方をするんですけれども、法を守るのは人であって、皆様、先生方、ふだん政策決定に関わっておられると思いますけれども、政策は一人の力では決まらないということは分かっている上で、法を守るのはその一人一人だということもまた事実だということで、政策決定に関わる一人一人が、こういった正義の問題と、それから罰を受けるという可能性を念頭に置いて国政に関わっていくという制度になっていることが一つ国際法を守らせるというところにおいて今ある制度かなというふうに思っております。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →国際法を守らせるために何がすべきかということで、まずICCにできることといいますのは、まず、逮捕されて捜査をされますと、通常の刑事裁判が行われます。これはストリーミングで国際世界全体に配信されまして、そして有罪になった場合には、最高で終身刑、最長三十年の拘禁刑、また罰金刑、そして被害者の数と被害に応じて個人資産が差し押さえられて賠償金として提供されることになります。これが基本的な制度ではありますけれども、身体的な罰よりかは、といいますよりは、精神的、政治的な罰を与えることが恐らくこの制度の目的でありますでしょうし、この期間、本人が政治の場から退くということが重要になってきます。
これは表現主義的な正義という言い方をするんですけれども、法を守るのは人であって、皆様、先生方、ふだん政策決定に関わっておられると思いますけれども、政策は一人の力では決まらないということは分かっている上で、法を守るのはその一人一人だということもまた事実だということで、政策決定に関わる一人一人が、こういった正義の問題と、それから罰を受けるという可能性を念頭に置いて国政に関わっていくという制度になっていることが一つ国際法を守らせるというところにおいて今ある制度かなというふうに思っております。
ありがとうございました。
古
猪
塩
塩田博昭#28
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
今日は、三人の参考人の皆様から大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
まず、立山参考人の方にお伺いさせていただきたいと思います。
先ほどもお話がございましたけれども、ちょっと基本的な確認ですけれども、一年以上にわたってこの衝突が続いたわけでございますけれども、この一月十九日に停戦合意が発効いたしまして、ガザ情勢というのはやはり新たな局面を迎えていると、これは誰もがそう認識するわけでございますけれども、なぜこのタイミングでやはり停戦合意に至ったのかですね。先ほども先生が述べられましたけれども、やはりその肝になる理由と背景について改めてお聞きしたいということと、この停戦合意の維持について、やはりこの履行を確保していくための条件と課題について、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、三人の参考人の皆様から大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
まず、立山参考人の方にお伺いさせていただきたいと思います。
先ほどもお話がございましたけれども、ちょっと基本的な確認ですけれども、一年以上にわたってこの衝突が続いたわけでございますけれども、この一月十九日に停戦合意が発効いたしまして、ガザ情勢というのはやはり新たな局面を迎えていると、これは誰もがそう認識するわけでございますけれども、なぜこのタイミングでやはり停戦合意に至ったのかですね。先ほども先生が述べられましたけれども、やはりその肝になる理由と背景について改めてお聞きしたいということと、この停戦合意の維持について、やはりこの履行を確保していくための条件と課題について、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
立
立山良司#29
○参考人(立山良司君) 御質問ありがとうございます。
明確にこれが理由というのはなかなか特定し難いんですね。恐らく一番根底にあるのは、イスラエルの側もハマスの側も十五か月間の戦闘で疲れたということだと思います。もちろん、ハマスの側は多数の戦闘員を幹部含めて失っていますし、それに、そのハマスが基盤としているガザの社会があれほどひどい状況になっているという問題があります。イスラエルの方は、財政赤字が拡大をしているとか、長期にわたる動員で、例えば家庭が壊れてしまうとか、前線に兵士として行かなければいけない二十代、三十代の予備役の兵士たちの生活が壊れていってしまっているというような問題もございます。
そういう中で、イスラエルでは人質解放を求める運動というのも高まってきておりましたし、加えて、トランプ政権、トランプ大統領がまだ大統領になる前ですけれども、その中東特使をネタニヤフ首相の下に派遣をして非常に説得をしたという、しかも、それが、十五日に合意ができたわけですけれども、二十日には大統領就任式が控えているという状態だったわけですから、それが恐らく一番直近の引き金のような、原因になったのではないかと思います。
そうですね、そういうことでよろしいでしょうか。
この発言だけを見る →明確にこれが理由というのはなかなか特定し難いんですね。恐らく一番根底にあるのは、イスラエルの側もハマスの側も十五か月間の戦闘で疲れたということだと思います。もちろん、ハマスの側は多数の戦闘員を幹部含めて失っていますし、それに、そのハマスが基盤としているガザの社会があれほどひどい状況になっているという問題があります。イスラエルの方は、財政赤字が拡大をしているとか、長期にわたる動員で、例えば家庭が壊れてしまうとか、前線に兵士として行かなければいけない二十代、三十代の予備役の兵士たちの生活が壊れていってしまっているというような問題もございます。
そういう中で、イスラエルでは人質解放を求める運動というのも高まってきておりましたし、加えて、トランプ政権、トランプ大統領がまだ大統領になる前ですけれども、その中東特使をネタニヤフ首相の下に派遣をして非常に説得をしたという、しかも、それが、十五日に合意ができたわけですけれども、二十日には大統領就任式が控えているという状態だったわけですから、それが恐らく一番直近の引き金のような、原因になったのではないかと思います。
そうですね、そういうことでよろしいでしょうか。