予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
令和七年二月二十五日(火曜日)
午前九時六分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 岩田 和親君
鬼木 誠君 加藤 鮎子君
国光あやの君 河野 太郎君
古賀 篤君 國場幸之助君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
高木 啓君 田所 嘉徳君
田中 和徳君 谷 公一君
土屋 品子君 寺田 稔君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 古屋 圭司君
山田 賢司君 若山 慎司君
今井 雅人君 大西 健介君
神谷 裕君 川内 博史君
黒岩 宇洋君 近藤 和也君
酒井なつみ君 馬場 雄基君
藤岡たかお君 本庄 知史君
松下 玲子君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 池下 卓君
徳安 淳子君 西田 薫君
石井 智恵君 仙田 晃宏君
長友 慎治君 橋本 幹彦君
赤羽 一嘉君 大森江里子君
河西 宏一君 櫛渕 万里君
田村 貴昭君 本村 伸子君
緒方林太郎君 北神 圭朗君
吉良 州司君
…………………………………
公述人
(株式会社日本総合研究所調査部主席研究員) 河村小百合君
公述人
(東京大学大学院経済学研究科教授) 渡辺 努君
公述人
(一般社団法人日本旅館協会理事) 大西 雅之君
公述人
(日本原水爆被害者団体協議会代表委員) 田中 熙巳君
公述人
(株式会社大和総研常務執行役員) 鈴木 準君
公述人
(日本労働組合総連合会事務局長) 清水 秀行君
公述人
(日本大学文理学部教授) 末冨 芳君
公述人
(全国労働組合総連合議長) 秋山 正臣君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時六分開議
出席委員
委員長 安住 淳君
理事 井上 信治君 理事 齋藤 健君
理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君
理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君
理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君
理事 浅野 哲君
伊藤 達也君 稲田 朋美君
今枝宗一郎君 岩田 和親君
鬼木 誠君 加藤 鮎子君
国光あやの君 河野 太郎君
古賀 篤君 國場幸之助君
後藤 茂之君 小林 茂樹君
高木 啓君 田所 嘉徳君
田中 和徳君 谷 公一君
土屋 品子君 寺田 稔君
西銘恒三郎君 平沢 勝栄君
深澤 陽一君 古屋 圭司君
山田 賢司君 若山 慎司君
今井 雅人君 大西 健介君
神谷 裕君 川内 博史君
黒岩 宇洋君 近藤 和也君
酒井なつみ君 馬場 雄基君
藤岡たかお君 本庄 知史君
松下 玲子君 米山 隆一君
早稲田ゆき君 池下 卓君
徳安 淳子君 西田 薫君
石井 智恵君 仙田 晃宏君
長友 慎治君 橋本 幹彦君
赤羽 一嘉君 大森江里子君
河西 宏一君 櫛渕 万里君
田村 貴昭君 本村 伸子君
緒方林太郎君 北神 圭朗君
吉良 州司君
…………………………………
公述人
(株式会社日本総合研究所調査部主席研究員) 河村小百合君
公述人
(東京大学大学院経済学研究科教授) 渡辺 努君
公述人
(一般社団法人日本旅館協会理事) 大西 雅之君
公述人
(日本原水爆被害者団体協議会代表委員) 田中 熙巳君
公述人
(株式会社大和総研常務執行役員) 鈴木 準君
公述人
(日本労働組合総連合会事務局長) 清水 秀行君
公述人
(日本大学文理学部教授) 末冨 芳君
公述人
(全国労働組合総連合議長) 秋山 正臣君
予算委員会専門員 中村 実君
―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
令和七年度一般会計予算
令和七年度特別会計予算
令和七年度政府関係機関予算
――――◇―――――
安
安住淳#1
○安住委員長 これより会議を開きます。
令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。令和七年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず河村小百合公述人、次に渡辺努公述人、次に大西雅之公述人、次に田中熙巳公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、河村公述人にお願いいたします。
この発言だけを見る →令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。令和七年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず河村小百合公述人、次に渡辺努公述人、次に大西雅之公述人、次に田中熙巳公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、河村公述人にお願いいたします。
河
河村小百合#2
○河村公述人 日本総合研究所の河村と申します。
本日は、こうした機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
私からは、令和七年度予算案と我が国の安定的な財政運営継続のための課題ということで意見を申し述べさせていただきたいというふうに思います。お手元に資料がございますでしょうか。それに沿ってお話しさせていただきたいというふうに思います。
まず、一ページ目。
今回、政府の方から出されている予算案、七年度の予算案なんですが、今国会ではこの予算委員会において、今までの国会と違いますね、非常にこの予算の中身に関する議論が極めて活発に行われて、民主主義国家として大変いい方向、望ましい方向じゃないかというふうに私は思っております。
ただ、非常にちょっと気になりますのが、本当にいろいろな議論を新聞報道それからテレビ中継等でいろいろ拝見しておりますけれども、世界最悪の状態にある私たちのこの国の財政運営をどうやったら持続していくことができるのか。取りあえず今までのところは大きな支障は出ていませんけれども、いや、私これからお話ししますけれども、もう崖っ縁に来ていると思います。それをどうやったら回避できるのかという視点がちょっと欠落していたんじゃないのかなというふうに思っております。
一ページ目に、予算の、いつも財務省が作られる円グラフをおつけしていますけれども、右側の歳入のところ、全体の四分の一が公債金、新規国債の発行ですね。三十兆円を切ったのは十七年ぶりということで、本当にそれはよかったと思います、税収も伸びるようですし。だけれども、本当にそれで大丈夫なのか、二十八兆六千億も新規国債を出し続けていて大丈夫なのか、そういう観点でお話をさせていただきたいというふうに思います。
次のページです、二ページ目。
これまでこの国が、これだけ世界最悪と言われながらどうして財政運営を続けられてきたのかというのは、もう先生方御案内のとおり、利払い費が増えずに済んだからなんですね。本当に、ここのグラフにありますように、もう十兆もいかないぐらいで、一般会計の中で利払い費が済んでいたわけでありますね。今回の当初予算政府案でも十・五兆円で済んでいる。これは、日銀の金融政策運営が、日銀にそういう意図があったとは思いたくないですけれども、密接に関係していたのは事実であろうというふうに思います。
次の三ページ目。
利払い費をたくさん払わないで済んで助かったなというのがこの国なんですけれども、でも、その代償、フリーランチじゃないんですね。その代償というのは、たくさんの国債を抱え込んだ日銀の財務状況が、これから本当に悪化していくだろうということがあります。
この委員会では、いろいろ、植田総裁の参考人質疑とかも先月もなさっていますし、これから私がわざわざ申し上げる必要は全くないと思いますけれども、バランスシートが既に七百兆円を超えていて、当座預金の残高が五百五十兆とかを超えているような状態でございますね。そういう中で、今後、利上げが進めば、当座預金への付利コストというのがどんどん日銀の財務運営に重くのしかかっていくことになってまいります。政策金利、付利レート〇・五%で、昨年の年末の当座預金残高で計算すると、年度当たりの日銀にかかってくる付利コストは二・七兆円になりますね。これまでと本当に世界が違ってくる、そういう話じゃないかなというふうに思います。
二ページ先に行っていただきまして、五ページ目のところですね。
今日、こういう予算委員会の場ですが、私自身がこの畑の仕事を本当にもう三十何年間やってきておりまして、御覧のとおりの古ダヌキなんですけれども、先進国であっても、無理な財政運営を続けて市場からどういうしっぺ返しを食らったのか、無理な経済政策運営を続けようとして、国際金融市場に束になってかかってこられて、もう本当に対抗できなかった例というのを幾つも見てきました。そういうような経験も踏まえて、重債務国、財政状況が悪い国の財政運営がどうやって行き詰まるのかというところを、今日改めて御確認させていただきたいというふうに思います。
この五ページのところに順に書いておりますように、この国、財政運営が危ないなという感じになってくると、まず、投資家の方がどういう行動に出るかというと、ちょっと長めの国債は買いにくいなと。国債というのは元本保証じゃないですよね。急に危なくなったときに、ああ、もうこれを売りたいと思ったときに、買ってくれる相手が見つからなかったら、自分がばばを引くことになるんですよ。それは避けたいと思うと、短期国債ならまだ日本は平気かな、さすがに六か月や一年でアウトになるとは国際金融市場も思っていないというか、そういう状況ですよね。
だけれども、投資家の短期国債志向が強まっているというのはこの国でももうそうでして、財務省の理財局、結構大変そうな感じになってきましたよね。去年の六月ぐらいから、短期国債の比重を上げる、超長期債なんかは落とす。いかに国内で消化ができている国だって、やはりこんなにもう買い切れないということを生保さんとかもおっしゃっているわけですよね。何か昨年末には、変動利付債を発行することを検討するという話まで出てきましたよね。いや、もうここまで来たかと思いましたね。アルゼンチン並みですよ、こんなことをやるのは。ここまで追い込まれてきたんだと本当に思います。
そして、次の段階。財政破綻が本当に目前に迫っているなということになるとどうなるか。投資家が短期の国債を中心に買っているとしても、市場金利がどうなるか。次のページに、イタリアが欧州債務危機の一番厳しいときにどういうイールドカーブ、長短金利に直面したかのグラフをおつけしていますので、御覧ください。
これは、三つのイールドカーブの線がありますけれども、スタートライン、真ん中の紫色の線、二〇一一年の十月三日ですね。これはまだドラギ総裁がECBに就任する直前で、ECBがトリシェ総裁時代にちょっと中途半端に国債を買ったりなんかしたものだから、イタリアは調子に乗っちゃって、ベルルスコーニ首相が、まあ、ECBが買ってくれるなら平気だよという感じで放漫財政を続けようとしたんですね。そうしたら、うわっと金利が上がって、御覧ください、一か月後の十一月九日、こんなですよ。イタリアはもう生きた心地がしなかったと思いますよ。
財政運営を続けていく上で、別に長期国債なんか出せなくたっていいんですよ。短期国債だって、お金をつなげればいいんですよ。だけれども、それを出そうとしたって、八パーとか九パーとかの金利をつけられるんですよ。もうこれはほとんどお手上げ状態に近いですよね。
この頃、何かIMFと水面下でイタリアは協議していたんじゃないか、そういうような話も出ていたくらいなんです。でも、いろいろ、ドラギ総裁が就任されて、ドラギ総裁はすごいんですね、国債の買入れを止めて、逆に資金供給をすることによって、この危機を止めてみせた立派な方なんですけれども、でも、そういうこともあって、結果的にはこの赤い線になるように下がりましたけれども、こういうイールドカーブに直面するということをお考えになって、御認識いただきたいというふうに思います。
五ページにお戻りください。
こうやって、投資家が、ああ、この国は本当に危ないぞというふうになってきて、短期金利も上がってきた。そして、国債を発行する理財局の方が、国債の表面金利、クーポンを引き上げても、入札、出したときに、本当にオファーが満額が入らない、未達ということになると、結局、国債の発行、借換債の発行ができなくても満期はどんどん来るんですよ。満期が来た国債の元本を返さなかったらデフォルトですよ。デフォルトになったときの国債の金額、発行金額、幾らかということを、この国は改めて認識し直した方がいいと思います。
二ページ先に行っていただいて、七ページのところに、毎年度のカレンダーベースの国債の発行額の一覧をおつけしております。
一番直近のところ、二五年度、令和七年度の政府案ベースの国債発行額、百七十二兆円です。新規国債だけじゃないんです、借換債、山のようにこの国は出しているんです。本当にデフォルトということになったら、この分、本当に、新規国債を除いたとしたって、満期国債が百四十五兆円来るんですね。これを返せないとデフォルトになっちゃうんです。税収で埋められますか。基幹税の税率の引上げというのは限界がありますよね。だって、一般会計の税収が八十兆円とか言っているのに、百四十五兆、ほかの歳出に一切使わないで埋められるかということを是非お考えいただきたい。
余り申し上げたくないですけれども、こんなことをやっていたら、本当に、この国が戦後に経験したみたいな預金封鎖と資産課税みたいなこと、すごく手荒なことをやらざるを得なくなるんじゃないかということを危惧いたします。
八ページのところを御覧ください。
財政運営を安定的に続けていかれるかどうかというのは、債務残高の規模では決まりません。債務残高の規模、GDP比二五〇とか二六〇%とか、ちょっと下がっていれば安心とかじゃないんですね。現実の問題は企業と国だって一緒ですよ。借金しながら回しているんだから、借金が続けられるかどうかで決まってくるんですね。
ですから、そういう意味では、毎年必要な新規国債、まあ新規国債を出すかどうかという問題もありますけれども、借換債は来ますね。その借換債を合わせた国債の発行の金額、安定的に出していけるかどうかというのを決める上で、毎年度の利払い費、それから国債発行額がどうなるかということが決定的に重要になってくる。そのことを予算委員会の先生方に、どうか御認識いただきたいというふうに思います。
次の九ページを御覧ください。
今回の予算案に合わせて、財務省が例年どおり国債整理基金の仮定計算を出していて、利払い費の見通しというか推計値を出していらっしゃいますね。それをグラフにしたものがここなんですけれども、二〇三四年度には利払い費が二十五・八兆円に達するというふうに財務省は計算されています。前提金利はここに黄色くおつけしているとおりで、別に特段、物すごく高い金利を前提で財務省は置かれているわけじゃ全然ないですよ。二十五・八兆円、今の予算のような形で出せるかどうか、どうかよくお考えいただきたいと思います。
次の十ページのところを御覧ください。
財務省はこういうふうに試算されているとして、これから先この国が払わなきゃいけない利払い費がどうなるかというのは、既に昨年度までに発行済みの国債で、固定利付債の国債を出していれば、利払い費は確定していますよね。確定している分と、それから、これから出していかなきゃいけない分、借換債もいっぱい出さなきゃいけないんですけれども、それはあくまでこれから先の長短金利で決まります。ですから、既に決まっている利払い費と、これからの変動し得る利払い費がどうかというのを、私が財務省のデータを基に、これは結構面倒くさいんですけれども、データを細かいのを全部拾って推計したのが十ページのグラフでございます。
先生方、御覧ください。確定している利払い費というのは、確かに足下は多いんです、割合多いんですけれども、どんどん減っていきますよね。二〇二七年ぐらいから逆転して、これから先の金利水準で決まる部分というのがどんどんどんどん大きくなっていくということは、本当に今後の金融情勢次第だということなんです。
ですから、いかにして低い金利を達成していくか。日銀に国債を買ってもらって抑えるんじゃなくて、日本の国が健全な財政運営に、しっかり財政再建路線を取っていますということを世の中に、国際金融界に認識していただくことによって、信認を得ることによって、ここが異常に増えないような形にしていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
ちなみに、この利払い費がどうなるかなんですけれども、次の十一ページのところを御覧ください。財務省が出されている試算というのは一本なんですけれども、前提条件とかをそれぞれ変えてやってみたらどうなるのかということを試算をいたしました。
ちょっと詳しい御説明は時間がないので控えますけれども、十一ページのところにあるような四つのシナリオ、ただ、四つのシナリオ、デフレ逆戻り、物価低水準、物価目標達成、そして、日銀がああいう金融政策をやっていたら物価を抑えられないんじゃないかなというか、もう抑えられていないですよね、そういうシナリオも置いて、潜在成長率と名目成長率、それから、物価と長短金利の関係というのは、市場主義経済圏としておかしくない、合理的な前提に置いたつもりであります。国債の発行パターンも、一年債、五年債、十年債の、それぞれ組合せをいろいろ三通り考えて試算した結果が、次の十二ページであります。
ちょっと数字がたくさん出ていて、非常に御覧になりにくいと思いますけれども、財務省が去年の二月の時点で出していた利払い費の試算結果が、一番右の黄色いところです。その左へ二つ目、二・五%成長シナリオで全額十年債で出すのが、たまたまなんですが、大体この財務省の試算と同じようなぐらいの感じになっているんですね。ああ、何だ、大した試算じゃないじゃないかと思われるかもしれませんが、ええ、大した試算じゃないんですけれども、じゃ、それが、金利を例えば短期債、全額一年債で発行したら利払い費がどうなるか、すぐその下のところを御覧ください。
二〇三三年度で、二十五兆のところが二十一兆ぐらいで済みますよね。三分の一ずつでやれば、そのまた下のところ、その三分の一ぐらいで済む。だけれども、これって、物価が上がって五・五%成長シナリオなんかになると、先ほど御覧いただいた二・五%の十年債のところ、二十五兆ぐらいが、すぐ右のところを御覧ください、利払い費はあっという間に五十兆近くに行っちゃうんですね。非常にやはり危険なところなんじゃないかなというふうに思います。
次のページ、十三ページ、御覧ください。
問題は利払い費だけじゃないんですね。長期国債で出すか短期国債で出すかによって、借換債がどれぐらいになるかというのが全然違ってきます。
だから、今何か日本の国は国債の短期化をしていますけれども、まさか全額一年債にするつもりはないと思いますけれども、極端な前提として全額一年債になったら、利払い費は助かる。だけれども、そのときの国債発行額、すごいことになるんですよね。だって、一千兆ある国債の借金を本当に何年かかけて全部一年債に仮に置き換えていったらということなんですよね。ですから、このグラフで御覧いただいたらお分かりになりますように、本当にもう全額一年債でいくと、毎年の国債発行額が八百十七兆円にも達するというか、まあ、その前にこの国はどうかなっちゃうんじゃないかなと思いますけれども、そういう状況であります。
次のページ、御覧ください。十四ページのところですね。
よく世の中で、インフレになってしまえば財政破綻は回避できるというような意見を聞くことがございます。それは本当なのかなということをちょっと計算してみました。
まず、この十四ページのところは税収ですね。二〇二三年度の実績を基に、それぞれの成長シナリオで伸ばすと、確かに全然違いますよね、一番下の二〇三三年度のところ。こんなに五・五%成長シナリオで税収が伸びるのなら、何か足りそうな気もするんですけれども、どうか先生方、忘れないでいただきたいのは、利払い費も心配ですけれども、一般歳出なんです。
最初決めたとおりの金額で払えば足りるのって、国債費だけなんですよ。ほかの歳出は、本当に国民の側、公務員のお給料もそうですし、公共事業の発注するお金もそうですし、物価が上がっている中で物価に連動して上げてもらえなかったら、国民はたまらないんですね。
それも併せて考えると、じゃ、一般歳出はどれだけ必要かというふうに計算したのが十五ページのところです。もし一般歳出、国債費以外を併せて上げるとしたら、これぐらい必要ということですね。これを全部並べてグラフで比較したのが、十六ページのグラフです。
利払い費が一番節約できる一年債だけで発行して、税収が一番伸びる五・五%成長シナリオでと決めると、水色の棒グラフ、税収が増えても、もう全然足りませんよ。全然足りませんよ。だから、インフレで財政破綻が回避できるなんということには決してならないということを御理解いただきたいと思います。
次の十七ページのところ。
あと、もう一つよく聞くのは、国債を幾ら出しても日銀に買わせておけばいいという意見ですよね。だけれども、そうなんですかね。よくそういう方々は統合政府論ということをおっしゃるので、それをつくるときのグラフを、私がちょっと描いてみたものをお載せしました。十七ページのところです。
ここ、確かに、日銀と国のバランスシートをドッキングさせて考えても、もちろんいいんですよ。でも、それで国債の残高が減るわけじゃないんです。バランスシート、どういうことか。資産と負債でリスクを考える。国として、本当は国債を出して、固定金利でできるだけ長期、できるだけ低く調達すべきところが、全部日銀の、本当に半分ぐらいが日銀の当座預金に置き換わっちゃうわけですよ。十年債の固定金利どころじゃないですよ。日銀の当座預金、オーバーナイトですよ。どうするんですか。
今後の金融情勢、円安がわあっと進んで、もう日銀、もっと金利を上げなきゃ止められなくなったら、一気にわあっと日銀の赤字が膨らんで、政府が補填しなきゃいけなくなるかもしれませんよね。そういうことなんです。だから、日銀に買わせておけばいいなんということには、この期に及んでそうはなりません。
それで、最後、十八ページのところなんです。
じゃ、どうすれば財政運営を安定的に続けていけるのかということなんですけれども、この図のところでお描きしましたように、プライマリーバランスの均衡では足りません。これだけ金利も上がってきています。ちゃんと利払い費も入っている財政収支を均衡させて、それも均衡じゃ足りないんです。黒字化まで持っていって、既に出している国債の元本を返していかないと、とてもじゃないけれども、この国、回りません。
次の十九ページのところを御覧ください。
ほかの国はどうやっているのか。欧州債務危機で痛手を被ったヨーロッパの国々、みんな見てくださいよ。本当に、ほとんどみんな財政収支は黒字ですよ。プライマリーバランスじゃないですよ。こうやってやっているんです。こういう国は新規国債なんか出していないんですよ。そうやってやっている。そういうことを日本も合わせなきゃいけないと思います。
次の二十ページ、御覧ください。
財政収支均衡ということは、大ざっぱに言えば、新規国債をほとんど皆減に近い形まで減らさないといけないんですね。でも、それって、よくよく考えれば、もう何のことはない、家計と一緒なんじゃないですか。家計だって収入の範囲で生活するということを考えますよね。国だって同じなんじゃないか。本当は、やはり、入ってくる歳入、税収の範囲内で予算を組むのが本当であって、その形に戻していかなきゃいけない。それができたら、非常に利払い費も削減できるし、次の二十一ページのところは、先ほど申し上げた国債発行額も減らすことができるんですね。そこを、どうぞ御確認いただきたいと思います。
日本にとって怖いのは、次の二十二ページ、やはり円安なんですね。よく日米金利差が原因だというふうに言われますけれども、グラフを御覧いただいたらお分かりのように、金利差だけが原因だったら、もうちょっと円高に行っていてもいいんじゃないですか。これは何を意味するのか。やはり、よく私たちは虚心坦懐に考えた方がいいと思います。
次の二十三ページ、格付の問題です。
日本国債の格下げの話が出てきておりますよね。今はもうシングルAなので、次、ワンノッチ、ツーノッチ下がったらB格なんです。B格になったら、国際金融市場で担保として差し入れられなくなって、本当に外貨調達に影響が出るということを、すごく金融機関の関係者から心配している声を聞きます。まさに崖っ縁なんですね。ですから、本当に、格付会社、余り、先見の明があるというよりは、どっちかというと市場後追いのところがあるので、格下げになってから考えればいいという話じゃないと思います。そうならないようにお考えいただきたい。
最後のところ、二十四ページです。
日本の国、やはり財政再建の余力がどれぐらいあるのかというところを考えたときに、これは貯蓄・投資バランスなんですけれども、家計部門がずっと長年黒字ですよね。あと企業部門、よその国は企業が上に行ったり下に行ったりするのが、日本は一貫して黒字ですよね。だから、二千二百兆円の家計金融資産があって国民は勤勉でといいますけれども、これは政府に結局借金を押しつけてきた結果なんじゃないか。これまでいろいろ厳しい時代もありましたけれども、本当はもうちょっと負担する余力があった方もいたんじゃないか、その結果なんじゃないか。ですから、正直申し上げて、この国は、金持ち国なのに税負担の合意ができないからこんなに財政が悪くなっちゃっているんじゃないかなというふうに私は思います。
最後、私が申し上げたいのは、是非是非、今回の予算案、それから先の財政運営を通じて先生方に是非ともお考えいただきたいのは、一つ目、どうすれば経済的な余裕のある家計であるとか企業に負担していただけるか。二つ目、逆に余裕のない方もたくさんいるんです。どうしたらそういう方の負担を軽減できるか。そして三番目、世の中全体として気がついていない不公平とかが随分私は税制とかにあるんじゃないかと思います。その負担の不公平をどう是正すれば財政収支が改善できるか、是非そこをお考えいただきたいというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、こうした機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
私からは、令和七年度予算案と我が国の安定的な財政運営継続のための課題ということで意見を申し述べさせていただきたいというふうに思います。お手元に資料がございますでしょうか。それに沿ってお話しさせていただきたいというふうに思います。
まず、一ページ目。
今回、政府の方から出されている予算案、七年度の予算案なんですが、今国会ではこの予算委員会において、今までの国会と違いますね、非常にこの予算の中身に関する議論が極めて活発に行われて、民主主義国家として大変いい方向、望ましい方向じゃないかというふうに私は思っております。
ただ、非常にちょっと気になりますのが、本当にいろいろな議論を新聞報道それからテレビ中継等でいろいろ拝見しておりますけれども、世界最悪の状態にある私たちのこの国の財政運営をどうやったら持続していくことができるのか。取りあえず今までのところは大きな支障は出ていませんけれども、いや、私これからお話ししますけれども、もう崖っ縁に来ていると思います。それをどうやったら回避できるのかという視点がちょっと欠落していたんじゃないのかなというふうに思っております。
一ページ目に、予算の、いつも財務省が作られる円グラフをおつけしていますけれども、右側の歳入のところ、全体の四分の一が公債金、新規国債の発行ですね。三十兆円を切ったのは十七年ぶりということで、本当にそれはよかったと思います、税収も伸びるようですし。だけれども、本当にそれで大丈夫なのか、二十八兆六千億も新規国債を出し続けていて大丈夫なのか、そういう観点でお話をさせていただきたいというふうに思います。
次のページです、二ページ目。
これまでこの国が、これだけ世界最悪と言われながらどうして財政運営を続けられてきたのかというのは、もう先生方御案内のとおり、利払い費が増えずに済んだからなんですね。本当に、ここのグラフにありますように、もう十兆もいかないぐらいで、一般会計の中で利払い費が済んでいたわけでありますね。今回の当初予算政府案でも十・五兆円で済んでいる。これは、日銀の金融政策運営が、日銀にそういう意図があったとは思いたくないですけれども、密接に関係していたのは事実であろうというふうに思います。
次の三ページ目。
利払い費をたくさん払わないで済んで助かったなというのがこの国なんですけれども、でも、その代償、フリーランチじゃないんですね。その代償というのは、たくさんの国債を抱え込んだ日銀の財務状況が、これから本当に悪化していくだろうということがあります。
この委員会では、いろいろ、植田総裁の参考人質疑とかも先月もなさっていますし、これから私がわざわざ申し上げる必要は全くないと思いますけれども、バランスシートが既に七百兆円を超えていて、当座預金の残高が五百五十兆とかを超えているような状態でございますね。そういう中で、今後、利上げが進めば、当座預金への付利コストというのがどんどん日銀の財務運営に重くのしかかっていくことになってまいります。政策金利、付利レート〇・五%で、昨年の年末の当座預金残高で計算すると、年度当たりの日銀にかかってくる付利コストは二・七兆円になりますね。これまでと本当に世界が違ってくる、そういう話じゃないかなというふうに思います。
二ページ先に行っていただきまして、五ページ目のところですね。
今日、こういう予算委員会の場ですが、私自身がこの畑の仕事を本当にもう三十何年間やってきておりまして、御覧のとおりの古ダヌキなんですけれども、先進国であっても、無理な財政運営を続けて市場からどういうしっぺ返しを食らったのか、無理な経済政策運営を続けようとして、国際金融市場に束になってかかってこられて、もう本当に対抗できなかった例というのを幾つも見てきました。そういうような経験も踏まえて、重債務国、財政状況が悪い国の財政運営がどうやって行き詰まるのかというところを、今日改めて御確認させていただきたいというふうに思います。
この五ページのところに順に書いておりますように、この国、財政運営が危ないなという感じになってくると、まず、投資家の方がどういう行動に出るかというと、ちょっと長めの国債は買いにくいなと。国債というのは元本保証じゃないですよね。急に危なくなったときに、ああ、もうこれを売りたいと思ったときに、買ってくれる相手が見つからなかったら、自分がばばを引くことになるんですよ。それは避けたいと思うと、短期国債ならまだ日本は平気かな、さすがに六か月や一年でアウトになるとは国際金融市場も思っていないというか、そういう状況ですよね。
だけれども、投資家の短期国債志向が強まっているというのはこの国でももうそうでして、財務省の理財局、結構大変そうな感じになってきましたよね。去年の六月ぐらいから、短期国債の比重を上げる、超長期債なんかは落とす。いかに国内で消化ができている国だって、やはりこんなにもう買い切れないということを生保さんとかもおっしゃっているわけですよね。何か昨年末には、変動利付債を発行することを検討するという話まで出てきましたよね。いや、もうここまで来たかと思いましたね。アルゼンチン並みですよ、こんなことをやるのは。ここまで追い込まれてきたんだと本当に思います。
そして、次の段階。財政破綻が本当に目前に迫っているなということになるとどうなるか。投資家が短期の国債を中心に買っているとしても、市場金利がどうなるか。次のページに、イタリアが欧州債務危機の一番厳しいときにどういうイールドカーブ、長短金利に直面したかのグラフをおつけしていますので、御覧ください。
これは、三つのイールドカーブの線がありますけれども、スタートライン、真ん中の紫色の線、二〇一一年の十月三日ですね。これはまだドラギ総裁がECBに就任する直前で、ECBがトリシェ総裁時代にちょっと中途半端に国債を買ったりなんかしたものだから、イタリアは調子に乗っちゃって、ベルルスコーニ首相が、まあ、ECBが買ってくれるなら平気だよという感じで放漫財政を続けようとしたんですね。そうしたら、うわっと金利が上がって、御覧ください、一か月後の十一月九日、こんなですよ。イタリアはもう生きた心地がしなかったと思いますよ。
財政運営を続けていく上で、別に長期国債なんか出せなくたっていいんですよ。短期国債だって、お金をつなげればいいんですよ。だけれども、それを出そうとしたって、八パーとか九パーとかの金利をつけられるんですよ。もうこれはほとんどお手上げ状態に近いですよね。
この頃、何かIMFと水面下でイタリアは協議していたんじゃないか、そういうような話も出ていたくらいなんです。でも、いろいろ、ドラギ総裁が就任されて、ドラギ総裁はすごいんですね、国債の買入れを止めて、逆に資金供給をすることによって、この危機を止めてみせた立派な方なんですけれども、でも、そういうこともあって、結果的にはこの赤い線になるように下がりましたけれども、こういうイールドカーブに直面するということをお考えになって、御認識いただきたいというふうに思います。
五ページにお戻りください。
こうやって、投資家が、ああ、この国は本当に危ないぞというふうになってきて、短期金利も上がってきた。そして、国債を発行する理財局の方が、国債の表面金利、クーポンを引き上げても、入札、出したときに、本当にオファーが満額が入らない、未達ということになると、結局、国債の発行、借換債の発行ができなくても満期はどんどん来るんですよ。満期が来た国債の元本を返さなかったらデフォルトですよ。デフォルトになったときの国債の金額、発行金額、幾らかということを、この国は改めて認識し直した方がいいと思います。
二ページ先に行っていただいて、七ページのところに、毎年度のカレンダーベースの国債の発行額の一覧をおつけしております。
一番直近のところ、二五年度、令和七年度の政府案ベースの国債発行額、百七十二兆円です。新規国債だけじゃないんです、借換債、山のようにこの国は出しているんです。本当にデフォルトということになったら、この分、本当に、新規国債を除いたとしたって、満期国債が百四十五兆円来るんですね。これを返せないとデフォルトになっちゃうんです。税収で埋められますか。基幹税の税率の引上げというのは限界がありますよね。だって、一般会計の税収が八十兆円とか言っているのに、百四十五兆、ほかの歳出に一切使わないで埋められるかということを是非お考えいただきたい。
余り申し上げたくないですけれども、こんなことをやっていたら、本当に、この国が戦後に経験したみたいな預金封鎖と資産課税みたいなこと、すごく手荒なことをやらざるを得なくなるんじゃないかということを危惧いたします。
八ページのところを御覧ください。
財政運営を安定的に続けていかれるかどうかというのは、債務残高の規模では決まりません。債務残高の規模、GDP比二五〇とか二六〇%とか、ちょっと下がっていれば安心とかじゃないんですね。現実の問題は企業と国だって一緒ですよ。借金しながら回しているんだから、借金が続けられるかどうかで決まってくるんですね。
ですから、そういう意味では、毎年必要な新規国債、まあ新規国債を出すかどうかという問題もありますけれども、借換債は来ますね。その借換債を合わせた国債の発行の金額、安定的に出していけるかどうかというのを決める上で、毎年度の利払い費、それから国債発行額がどうなるかということが決定的に重要になってくる。そのことを予算委員会の先生方に、どうか御認識いただきたいというふうに思います。
次の九ページを御覧ください。
今回の予算案に合わせて、財務省が例年どおり国債整理基金の仮定計算を出していて、利払い費の見通しというか推計値を出していらっしゃいますね。それをグラフにしたものがここなんですけれども、二〇三四年度には利払い費が二十五・八兆円に達するというふうに財務省は計算されています。前提金利はここに黄色くおつけしているとおりで、別に特段、物すごく高い金利を前提で財務省は置かれているわけじゃ全然ないですよ。二十五・八兆円、今の予算のような形で出せるかどうか、どうかよくお考えいただきたいと思います。
次の十ページのところを御覧ください。
財務省はこういうふうに試算されているとして、これから先この国が払わなきゃいけない利払い費がどうなるかというのは、既に昨年度までに発行済みの国債で、固定利付債の国債を出していれば、利払い費は確定していますよね。確定している分と、それから、これから出していかなきゃいけない分、借換債もいっぱい出さなきゃいけないんですけれども、それはあくまでこれから先の長短金利で決まります。ですから、既に決まっている利払い費と、これからの変動し得る利払い費がどうかというのを、私が財務省のデータを基に、これは結構面倒くさいんですけれども、データを細かいのを全部拾って推計したのが十ページのグラフでございます。
先生方、御覧ください。確定している利払い費というのは、確かに足下は多いんです、割合多いんですけれども、どんどん減っていきますよね。二〇二七年ぐらいから逆転して、これから先の金利水準で決まる部分というのがどんどんどんどん大きくなっていくということは、本当に今後の金融情勢次第だということなんです。
ですから、いかにして低い金利を達成していくか。日銀に国債を買ってもらって抑えるんじゃなくて、日本の国が健全な財政運営に、しっかり財政再建路線を取っていますということを世の中に、国際金融界に認識していただくことによって、信認を得ることによって、ここが異常に増えないような形にしていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
ちなみに、この利払い費がどうなるかなんですけれども、次の十一ページのところを御覧ください。財務省が出されている試算というのは一本なんですけれども、前提条件とかをそれぞれ変えてやってみたらどうなるのかということを試算をいたしました。
ちょっと詳しい御説明は時間がないので控えますけれども、十一ページのところにあるような四つのシナリオ、ただ、四つのシナリオ、デフレ逆戻り、物価低水準、物価目標達成、そして、日銀がああいう金融政策をやっていたら物価を抑えられないんじゃないかなというか、もう抑えられていないですよね、そういうシナリオも置いて、潜在成長率と名目成長率、それから、物価と長短金利の関係というのは、市場主義経済圏としておかしくない、合理的な前提に置いたつもりであります。国債の発行パターンも、一年債、五年債、十年債の、それぞれ組合せをいろいろ三通り考えて試算した結果が、次の十二ページであります。
ちょっと数字がたくさん出ていて、非常に御覧になりにくいと思いますけれども、財務省が去年の二月の時点で出していた利払い費の試算結果が、一番右の黄色いところです。その左へ二つ目、二・五%成長シナリオで全額十年債で出すのが、たまたまなんですが、大体この財務省の試算と同じようなぐらいの感じになっているんですね。ああ、何だ、大した試算じゃないじゃないかと思われるかもしれませんが、ええ、大した試算じゃないんですけれども、じゃ、それが、金利を例えば短期債、全額一年債で発行したら利払い費がどうなるか、すぐその下のところを御覧ください。
二〇三三年度で、二十五兆のところが二十一兆ぐらいで済みますよね。三分の一ずつでやれば、そのまた下のところ、その三分の一ぐらいで済む。だけれども、これって、物価が上がって五・五%成長シナリオなんかになると、先ほど御覧いただいた二・五%の十年債のところ、二十五兆ぐらいが、すぐ右のところを御覧ください、利払い費はあっという間に五十兆近くに行っちゃうんですね。非常にやはり危険なところなんじゃないかなというふうに思います。
次のページ、十三ページ、御覧ください。
問題は利払い費だけじゃないんですね。長期国債で出すか短期国債で出すかによって、借換債がどれぐらいになるかというのが全然違ってきます。
だから、今何か日本の国は国債の短期化をしていますけれども、まさか全額一年債にするつもりはないと思いますけれども、極端な前提として全額一年債になったら、利払い費は助かる。だけれども、そのときの国債発行額、すごいことになるんですよね。だって、一千兆ある国債の借金を本当に何年かかけて全部一年債に仮に置き換えていったらということなんですよね。ですから、このグラフで御覧いただいたらお分かりになりますように、本当にもう全額一年債でいくと、毎年の国債発行額が八百十七兆円にも達するというか、まあ、その前にこの国はどうかなっちゃうんじゃないかなと思いますけれども、そういう状況であります。
次のページ、御覧ください。十四ページのところですね。
よく世の中で、インフレになってしまえば財政破綻は回避できるというような意見を聞くことがございます。それは本当なのかなということをちょっと計算してみました。
まず、この十四ページのところは税収ですね。二〇二三年度の実績を基に、それぞれの成長シナリオで伸ばすと、確かに全然違いますよね、一番下の二〇三三年度のところ。こんなに五・五%成長シナリオで税収が伸びるのなら、何か足りそうな気もするんですけれども、どうか先生方、忘れないでいただきたいのは、利払い費も心配ですけれども、一般歳出なんです。
最初決めたとおりの金額で払えば足りるのって、国債費だけなんですよ。ほかの歳出は、本当に国民の側、公務員のお給料もそうですし、公共事業の発注するお金もそうですし、物価が上がっている中で物価に連動して上げてもらえなかったら、国民はたまらないんですね。
それも併せて考えると、じゃ、一般歳出はどれだけ必要かというふうに計算したのが十五ページのところです。もし一般歳出、国債費以外を併せて上げるとしたら、これぐらい必要ということですね。これを全部並べてグラフで比較したのが、十六ページのグラフです。
利払い費が一番節約できる一年債だけで発行して、税収が一番伸びる五・五%成長シナリオでと決めると、水色の棒グラフ、税収が増えても、もう全然足りませんよ。全然足りませんよ。だから、インフレで財政破綻が回避できるなんということには決してならないということを御理解いただきたいと思います。
次の十七ページのところ。
あと、もう一つよく聞くのは、国債を幾ら出しても日銀に買わせておけばいいという意見ですよね。だけれども、そうなんですかね。よくそういう方々は統合政府論ということをおっしゃるので、それをつくるときのグラフを、私がちょっと描いてみたものをお載せしました。十七ページのところです。
ここ、確かに、日銀と国のバランスシートをドッキングさせて考えても、もちろんいいんですよ。でも、それで国債の残高が減るわけじゃないんです。バランスシート、どういうことか。資産と負債でリスクを考える。国として、本当は国債を出して、固定金利でできるだけ長期、できるだけ低く調達すべきところが、全部日銀の、本当に半分ぐらいが日銀の当座預金に置き換わっちゃうわけですよ。十年債の固定金利どころじゃないですよ。日銀の当座預金、オーバーナイトですよ。どうするんですか。
今後の金融情勢、円安がわあっと進んで、もう日銀、もっと金利を上げなきゃ止められなくなったら、一気にわあっと日銀の赤字が膨らんで、政府が補填しなきゃいけなくなるかもしれませんよね。そういうことなんです。だから、日銀に買わせておけばいいなんということには、この期に及んでそうはなりません。
それで、最後、十八ページのところなんです。
じゃ、どうすれば財政運営を安定的に続けていけるのかということなんですけれども、この図のところでお描きしましたように、プライマリーバランスの均衡では足りません。これだけ金利も上がってきています。ちゃんと利払い費も入っている財政収支を均衡させて、それも均衡じゃ足りないんです。黒字化まで持っていって、既に出している国債の元本を返していかないと、とてもじゃないけれども、この国、回りません。
次の十九ページのところを御覧ください。
ほかの国はどうやっているのか。欧州債務危機で痛手を被ったヨーロッパの国々、みんな見てくださいよ。本当に、ほとんどみんな財政収支は黒字ですよ。プライマリーバランスじゃないですよ。こうやってやっているんです。こういう国は新規国債なんか出していないんですよ。そうやってやっている。そういうことを日本も合わせなきゃいけないと思います。
次の二十ページ、御覧ください。
財政収支均衡ということは、大ざっぱに言えば、新規国債をほとんど皆減に近い形まで減らさないといけないんですね。でも、それって、よくよく考えれば、もう何のことはない、家計と一緒なんじゃないですか。家計だって収入の範囲で生活するということを考えますよね。国だって同じなんじゃないか。本当は、やはり、入ってくる歳入、税収の範囲内で予算を組むのが本当であって、その形に戻していかなきゃいけない。それができたら、非常に利払い費も削減できるし、次の二十一ページのところは、先ほど申し上げた国債発行額も減らすことができるんですね。そこを、どうぞ御確認いただきたいと思います。
日本にとって怖いのは、次の二十二ページ、やはり円安なんですね。よく日米金利差が原因だというふうに言われますけれども、グラフを御覧いただいたらお分かりのように、金利差だけが原因だったら、もうちょっと円高に行っていてもいいんじゃないですか。これは何を意味するのか。やはり、よく私たちは虚心坦懐に考えた方がいいと思います。
次の二十三ページ、格付の問題です。
日本国債の格下げの話が出てきておりますよね。今はもうシングルAなので、次、ワンノッチ、ツーノッチ下がったらB格なんです。B格になったら、国際金融市場で担保として差し入れられなくなって、本当に外貨調達に影響が出るということを、すごく金融機関の関係者から心配している声を聞きます。まさに崖っ縁なんですね。ですから、本当に、格付会社、余り、先見の明があるというよりは、どっちかというと市場後追いのところがあるので、格下げになってから考えればいいという話じゃないと思います。そうならないようにお考えいただきたい。
最後のところ、二十四ページです。
日本の国、やはり財政再建の余力がどれぐらいあるのかというところを考えたときに、これは貯蓄・投資バランスなんですけれども、家計部門がずっと長年黒字ですよね。あと企業部門、よその国は企業が上に行ったり下に行ったりするのが、日本は一貫して黒字ですよね。だから、二千二百兆円の家計金融資産があって国民は勤勉でといいますけれども、これは政府に結局借金を押しつけてきた結果なんじゃないか。これまでいろいろ厳しい時代もありましたけれども、本当はもうちょっと負担する余力があった方もいたんじゃないか、その結果なんじゃないか。ですから、正直申し上げて、この国は、金持ち国なのに税負担の合意ができないからこんなに財政が悪くなっちゃっているんじゃないかなというふうに私は思います。
最後、私が申し上げたいのは、是非是非、今回の予算案、それから先の財政運営を通じて先生方に是非ともお考えいただきたいのは、一つ目、どうすれば経済的な余裕のある家計であるとか企業に負担していただけるか。二つ目、逆に余裕のない方もたくさんいるんです。どうしたらそういう方の負担を軽減できるか。そして三番目、世の中全体として気がついていない不公平とかが随分私は税制とかにあるんじゃないかと思います。その負担の不公平をどう是正すれば財政収支が改善できるか、是非そこをお考えいただきたいというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。拍手
安
渡
渡辺努#4
○渡辺公述人 ただいま紹介いただきました渡辺でございます。東京大学の経済学研究科に所属しておりまして、マクロ経済学という分野を専攻しております。特に物価とか、あるいは賃金とか金融政策とか、そういうことを実証的に研究する研究者でございます。
今回の当初予算の一つの柱は賃上げだというふうに理解しておりますので、今日は、その賃金を中心にして私自身の考え方を少し最初に申し上げさせていただいて、それから先生方からの御質問をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
まず、タイトルのところを御覧いただきますと、「賃金・物価・金利の正常化」というふうに書いてございます。賃上げに伴う賃金の上昇というのが起きている。それから、それの前の段階として物価が上昇してきている、ここは先生方、御存じのとおりであります。それから、それに付随して昨年からですかね、日銀が金利を上げ始めているということで、賃金、物価、金利の動きがこの数年間のところで大きく変化してきているわけであります。
実は、この賃金、物価、金利というのは、長いこと、三十年間ぐらいにわたって異常な状態だったわけでありまして、それが正常化してきているというのが私の基本的な理解の仕方であります。もちろん、物価の上昇が行き過ぎているとか、あるいは物価と賃金の上昇というのが、なかなか賃金の方が追いつかないとか、いろいろな問題が付随的に起きておりますけれども、しかし、それでも私は、賃金、物価、金利の正常化が起きているという意味では、非常に大きな前向きの動きが日本経済に起きているというふうに評価をしてございます。そのことを、もう少し詳しく申し上げます。
まず、二ページ目のところを御覧いただきたいんですけれども、じゃ、日本はどういうふうに異常だったのかということを簡単に振り返るために描いたものでございます。左側が日本で、右側の方に、比較のためにアメリカの絵を描いてございます。物の値段、サービスの値段、それから名目の賃金、こういうものがどう推移しているのかということを示したものでございます。
七〇年代、八〇年代、九〇年代の前半までは、日本のこの三本の線が右肩上がりになっている。それから、アメリカも右肩上がりですけれども、両国で傾きの差も余りないというのがお分かりいただけると思います。つまり、九〇年代の半ばぐらいまでは、日本は別に賃金も物価も金利もおかしくはなかったわけであります。
ところが、九〇年代の半ばぐらいから、九五年と言っていいと思うんですけれども、そこから賃金の方は全然毎年毎年変わらない、据え置かれるということが始まりました。それから、物価も同じタイミングで据え置かれるということが始まりました。ということで、両方が据え置かれるという状況が生まれたわけであります。これがよく言われる日本のデフレ、あるいは、長く続いたので慢性デフレというふうに呼ばれている現象でございます。
御覧いただいていますように、アメリカはそんなことはありませんし、ここには絵がありませんけれども、欧州の国々もそうではありませんで、日本が据え置かれていた時期に右肩上がりを続けておりましたので、あちらはどんどん上がっていく、こちらは毎年毎年据置きでございますので、一年一年の差というのはそれほどではないかもしれませんけれども、それを九五年以降、ほぼほぼ三十年にわたってやってきたわけですので、結果的に、賃金で見ると、物価で見ても、大きな差が彼我で生まれているということでございます。
私は、国立大学に勤めておりますけれども、同じような研究をしているアメリカやヨーロッパの国々の先生方との交流も非常に多うございますけれども、そういう人たちと給与の話をしますと、明らかに彼らの方が高い。それは、高いというものを超えて、三倍、四倍というのが平均だという状況になっているわけであります。
そこまでいきますと、例えば海外の先生方で、日本で教えてみたい、日本の若い子たちに教えてみたいという人たちもなかなか来てもらえませんし、逆に、東大で教えているような先生方が海外に出ていってしまうということも起きているわけでありまして、なかなか大学としても深刻であります。恐らく、多くの企業で同じような問題が起きているんじゃないかというふうに思います。
つまり、三十年間、価格と賃金をそうやって据え置いてきたこととして、今そういう大きな弊害というのが起きているということでございます。
ただ、幸いなことに、それが二〇二二年の春ぐらいから、三年前ぐらいから変化が起きているわけでありまして、それが今日申し上げたい正常化でありますし、あるいは予算の中での賃上げ云々というのも、そこに関わる部分だというふうに理解をしております。
三ページのところを見ていただきますと、大きなくくり、私の理解の仕方として描いている絵でございますが、二つ、ぐるぐる回っている絵がございますが、左側がこの過去三十年間のデフレの時期の日本の経済の様子を表したもの、右側が過去三年間の、二二年春以降の動きを示したものです。
その三十年間というのは、毎年、価格、給与は据え置きます。そうすると生計費は毎年変わりません。となると、賃上げというのは、そういうことがないということで、賃上げを要求しないということになる。そうなれば、普通の企業として、普通の年であれば、企業は、人件費、労務費が上がって、それを価格に転嫁するということが起こるわけですけれども、そういうことも三十年間は必要なかったわけであります。
こうして、価格の据置きというところに、もう一回戻っていくわけでありまして、つまり、価格を据え置くということと、それから賃金を据え置くということが、ある意味でペアで起きていて、ペアであったからこそ持続性があって、三十年間も続いたというふうに考えてございます。
元々のサイクルから、新しいサイクルとしては右側のものですけれども、企業が二%程度価格を上げていく、そうすると生計費もそのぐらい上がっていく。そうなると、労組等とも賃上げを要求していく、二%プラスアルファの賃上げを要求していく。そうなると、人件費、労務費が上がっていきますので、その分を価格に転嫁するということで、今度は価格も賃金も両方が平仄を取りながら上がっていく、こういう健全な循環というのが生まれているわけであります。
気の早い方は、右側の方のサイクルが始まったし、あるいは予算でも様々な手だてがなされるようになってきたので、もう日本はこういういい循環が定着したんだ、そういうふうにおっしゃる方もいますけれども、私はそこは悲観的であります。多くの方よりも悲観的であります。理由は非常に単純でありまして、日本社会の中に、まだ左側のサイクルへのある種のノスタルジー、郷愁というものが残っているからであります。
例えばシニアの方であれば年金で生活されている方が多いわけでしょうけれども、予算委員会で様々な工夫もしていただけているとは思いますけれども、しかし、残念ながら、物価の上昇にはやはり年金の受取というのは追いつかないわけであります。今後も、もしこういう二%という緩やかなインフレであったとしても、続くとすれば、彼らの年金というものは目減りしますので、そうであれば、元の左側の方のサイクルに戻したいというふうにお考えになるわけであります。
それから、企業でも、大企業の方は、多くは右側の方の好循環の方をサポートされているというふうに思いますけれども、一方で、中小企業というのは、なかなかそうはならないということであります。
つまり、今、賃金が上がり始めているというのはもちろんいいことなわけでありますけれども、それをやろうとすると、やはり中小企業は収益的に余裕ができない、あるいは、今回の予算の中でも議論になっていますけれども、価格転嫁がなかなかできないということで、中小企業の賃上げは厳しい。そうなると、せっかく長い間働いてくれていた労働者の方が一人去り、二人去りということになってしまう、経営が難しくなってしまうじゃないかと。
これが、かつては、毎年賃金を上げなくても、別に自分だけではなくて、多くの企業も上げなかったわけですので、そうなると、労働者の方も、企業にお勤めの方も御不満を持つことはなかったわけですので、そうなれば余分な苦労はしないで済んだ、そういうふうに考えて、中小企業の経営者の方は、左側のサイクルの方がよかったというふうにおっしゃるわけであります。
このように、多くの方々が左側のサイクルに対するノスタルジーをまだまだ強くお持ちになっている。人数的には、シニアの方も、それから中小企業の経営者の方もたくさんいらっしゃいますので、私は、人数割りでいうと、まだまだ半数以上の方が実は左側のサイクルに戻したいというお気持ちを強くお持ちなんじゃないかというふうに思っております。
なので、右側がもう三年間、始まったから安心だというふうには全然思えないわけでありまして、まだまだ様々な手だてが、それは財政的な手当てをもちろん含みますけれども、必要だろうというふうに思っております。その意味で、今年の予算の中で、様々な形で価格転嫁あるいは賃上げに向けた取組が盛り込まれているということは非常に有効なことなのではないかというふうに思っております。
この動きというのは、大きく言うとデフレからの脱却というふうになるわけですけれども、デフレからの脱却というのは、別に昨日今日スローガンとして掲げたわけではないわけでありまして、アベノミクスのときからそういうことは議論されてきたわけであります。先生方も恐らくそういうことを議論されてきたんじゃないかというふうに思っております。
しかし、残念ながらといいますか、あれだけの、たくさん、いろんな措置を行ってきましたけれども、しかし、アベノミクスではデフレ脱却は実現できなかったわけですし、あるいは賃金と物価の好循環というものも実現できなかったわけであります。
今、それが、いろんな留保はありますけれども、曲がりなりにも実現できているんだとすると、一体それはあのときと今とではどう違うのか、二〇一三年、一四年のあの頃と十数年後の今とではどこがどう違うのか、ここを押さえておくことは非常に大事なわけでありまして、そこを理解すると、じゃ、持続性をどうやって持たせるのがいいのかということのヒントも得られるんじゃないかというふうに思います。
その違いは、私は、二点あるというふうに思います。
四ページ目ですけれども、まず一つは、消費者のインフレ予想というものであります。
ちょっと専門用語なので恐縮でございますけれども、平たく言いますと、要は、物価は上がるものだ、どんどん上がっちゃう、今はちょっと上がり過ぎていますので、どんどん上がっちゃって厳しいというのは、そこまで行くのは問題外ですけれども、しかし、ゆるゆると二%ぐらい物価は上がるものだ、それはどこの国でも普通の時期はそういうものなんだということの認識というのが、ようやく生まれてきたということであります。
実は、三十年間というのは、基本的には日本の消費者のインフレ予想は低い、つまり、価格は据え置かれるものだというふうに強く信じていましたので、あるいは、企業に対しても、価格を上げる企業はけしからぬ企業だというふうに強く思っていましたので、なかなか企業も値上げに踏み切れなかった、こういういびつな構造があったわけであります。
それが、二二年の春以降、インフレ予想というものが、価格は据え置かれるんじゃなくて、上がっていくのが、うれしくはないけれども仕方のないものだし、それがある種の標準なんだ、こういう当たり前へと人々の発想が切り替わっていったというのが非常に大きいかというふうに思います。
私ども、毎年、アンケート調査をして、それが今四ページ目に書いてございますけれども、詳しく申し上げませんけれども、一四年、一五年のアベノミクスの初期というのは、多少そういう意味でのインフレ予想の上昇というのがありましたけれども、しかし、今回起きているものと比べると、やはりそこは桁違いと言っていいぐらいにインパクトが違うわけであります。
今回のインフレ予想の上昇というのは、ちょっとしゃくに障る話ではありますけれども、やはりウクライナの戦争とか、あるいはパンデミックというような、そういう外的な事情に触発されている部分が非常に大きいわけですので、言ってみれば、ここでその話をするのが適当かどうか知りませんけれども、プーチンの方が安倍総理よりもずっと、物価を動かす、賃金を動かす力というのが大きかったということなんだろうというふうに思います。
いずれにしても、そういう外的な力に支えられて日本の好循環が起きているということでございます。
二点目の違いは賃金であります。ここは今回の委員会のポイントかと思います。
五ページ目を御覧ください。これは、緑の棒で描いたのが毎年の春闘の賃上げですけれども、一四年、一五年の辺りのところの棒グラフを見ていただきますと、少し上がってきている。これが実は官製春闘と言われたあの時期であります。少し上がっているので、私もようやく賃金が上がり始めたかと当時思いましたけれども、しかし、今回の二三年、二四年、それから今二五年の春闘をやっていますけれども、そこでの賃上げというのは五%を超えるような賃上げになっているわけですので、官製春闘の時期とはここもやはり桁違いになっているわけであります。
連合とか組合の方々に、当時、政権側から官製春闘という形で様々なサポートがあったにもかかわらず、なぜ高い賃上げができなかったのかということを伺いますと、答えは非常に明確でありまして、要は、人手不足というものが当時はなかったんだというお答えなわけです。今は当然のことながら人手不足が非常に深刻なわけです。
当時は、もちろん人口減少という問題はその頃でも起きていたわけでありますけれども、一方で、安倍内閣のアベノミクスのもう一つの柱は、いわゆる女性とかあるいはシニアの方とか、そういう労働市場に余り当時参加していなかった人たちに参加していただこう、制度を変えるなりなんなりして参加していただこう、それによって労働供給を増やそうということを行ったわけであります。その施策はそれなりに機能したというふうに見ておりますので、その結果として、余り労働の需給の逼迫、人手不足というものは、当時は深刻にならなかった。そういう中で、やはり連合等々についても、それほど強気の春闘ということにはならなかったというのが、どうもその当時の事情のようであります。
それに比べて、今回は、女性それからシニアの方も随分と労働市場への参加率が上がってきておりますので、ある意味でこれ以上上げることができないぐらいまで上がってきております。欧米と比べても、例えば女性なんかについては参加率が十分高いというふうに言っていいと思いますので、そういうふうに、新しい労働者の供給というものがそれほど得られないという中で起きている人手不足でございますので、そこで労働組合としても比較的大胆に賃上げを要求できる、これが今回の賃上げの高さになっているのかなというふうに思います。
二つ目は、この春闘での賃上げというのがアベノミクスの時期との大きな違いでございます。
将来を考えますと、賃上げについては、恐らく人手不足というのは、もちろんそれ自体も直さなきゃいけない大きな社会課題でありますので、そこは様々な形で中長期の取組ということを先生方はお考えなんだというふうには理解しておりますけれども、しかし、短期的には、それはそう簡単には解決しないだろうと。となれば、人手不足の中での春闘の高めの賃上げというのが持続するのではないかというふうに私は見ております。なので、この二点目の違いについては、比較的楽観視していいのかなというふうに思います。
他方で、最初に申し上げた、物価は上がるんだ、あるいはそれに付随して賃金もしっかり上がるんだ、こういう認識についてはまだまだ不十分かなと。物価が上がる方については、随分上がってきていますので、もうこれ以上上げるなという話になっていますけれども、同時に、しかし、賃金も上がらなきゃいけないし、今回のこの予算の中でもその手の取組は起きていますけれども、しかし、自分の賃金はしっかりこれから上がるんだというふうに自信を持って言える方というのは、まだまだ少ないというふうに思います。
そういう意味では、物価の方の予想は上がっちゃっていますけれども、賃金の方の予想というのが追いついていない状況かというふうに思います。ここを直していかないと、賃金と物価の好循環という意味での、それの持続性というのはやはり厳しいんじゃないかなというふうに思っております。ここも、そういう意味では、この予算、あるいは予算を超えて、様々な先生方の取組というのが必要になる部分かなというふうに思います。
じゃ、こういう正常化のプロセスの中で政府はどういう役割を果たすのかということを簡単に申し上げますと、実は一つ大事な前例というのがございます。日本で起きてきたこの慢性デフレという現象は非常に珍しくて、ほかの国には余り前例はないんですけれども、幸か不幸か、一つ前例があります。それはアメリカの大恐慌期であります。
六ページに、英語の資料で非常に恐縮ですけれども、当時は、ちょっと、デフレといっても、アメリカのデフレはもっと激しいデフレでしたので、価格ががんがん落ちるようなデフレでしたので日本と様相は違いますけれども、そこに対処しようとしてルーズベルト大統領が行った施策というのが非常に示唆に富むわけであります。
彼がやったことというのは、非常に単純に言いますと二つであります。
一つは、最低賃金というものを、当時アメリカにはそれはなかったんですけれども、導入するということがございました。要は、賃金が底なし沼のように落ちてしまうような状況があったわけですので、それを最低賃金で防ごうということを考えたわけであります。
もう一つは何かといいますと、独禁法、独占禁止法を、競争を制約するというのが法の趣旨でありますけれども、それを一時的に緩和をするということをしたわけであります。なので、やや語弊がありますけれども、カルテル的な、共謀的なことをある程度は認めるという、それによって価格が野方図に落ちる状況を防ぐ、こういうことをやったわけであります。つまり、独禁法と、それから最賃であります。
私は、今の政府が、あるいは今回の予算の中でも入っていますけれども、やっていることは、基本的にこのラインに乗っているんじゃないかというふうに思います。最賃については私が申し上げるまでもありませんし、既に上げてきています。それから、岸田政権、それから現在の石破政権の下で、将来の最賃も上げていくということがうたわれておりますので、まさにその最賃の重要性というものを、当時のルーズベルトと同じように認識されているのかなというふうに思います。
独禁法については、もちろんそんなことを日本でやっていることはありませんけれども、私は、かなり近いなと思うのは下請法であります。これも公正取引委員会がやっているものですので、独禁法に近いわけでありますけれども、ここは、ですので、中小企業、下請企業と親企業との間の取引がアンフェアだったりとか、価格もアンフェアになっている、ここの部分を何とかしてゆがみを直していこう、そうすると中小企業でも賃上げがしやすくなるんじゃないか、こういうことが狙いなわけですけれども、ですので、ここも、ある意味では、独禁法をいじったルーズベルトと似た面があるのかなというふうに思います。
別に、政権の先生方がこういうルーズベルトの事情を調べてこういうことになったというふうには理解しておりませんけれども、恐らく、いろいろな手だてを尽くす中で、最終的にそこに脈がありそうだということで、独禁法と下請法というところがターゲットになっているのかというふうに思います。私は、ですので、そこは必然性があるというふうに思いますし、今回の予算措置の中でも、そこに力点を置かれているということについては、非常に大事なことかというふうに思います。
ちょっと時間もなくなってしまいましたので飛ばしますが、九ページのところを御覧ください。
今日は、賃金、物価、金利の正常化ということをるる申し上げておりますけれども、私は、この正常化には二つのステージがあるというふうに考えてございます。
第一ステージというのが、二二年春から、三年前から始まって今現在まで、ここが第一ステージかというふうに思います。このステージでは、今申し上げているような賃金という名目の変数とか、あるいは物価、あるいは金利という名目の変数、そういう名目の変数が元々変だったわけですけれども、それが直ってくる、こういうプロセスだということでございます。第一ステージ、完全に終わったわけではありませんけれども、今までのところは、それなりに順調に来ているのかなというふうに思います。
じゃ、この先何があるのかと。賃金が上がるようになりました、物価も同じように上がっています、何がうれしいのかということなわけです。私は、この第二ステージがそういう意味では大事だというふうに思っていまして、今後、例えば十年程度、あるいはもしかしたら、それ以上の時期にわたって起こる事柄だというふうに思っております。どういうことが言いたいかというと、ここに価格メカニズムという、ちょっと専門用語ですが、を赤く書いてございますけれども、これであります。
今までの三十年間の日本経済というのは、価格と賃金が動かなかったわけですので、いわゆる価格メカニズムというのが十全に機能してこなかったわけであります。
例えば、ちょっと立派な社長さんがいて、いい設備を入れたりとかアイデアをつくって、それで生産性を上昇させたということをしたとしましょう。通常であれば、健全な経済であれば、その企業では賃金がしっかり上がって、そうすると、その周囲の余り芳しくない企業から人が移っていってという形で、その社長さんを中心にして生産性の上昇という輪が広がっていく。これが健全なメカニズム、あるいは価格メカニズムの健全な姿であります。
ところが、日本は、価格が賃金も含めて上がらなかったわけで、据え置かれたわけですので、そういうふうにイノベーションが起きた企業でも賃金は変わらないわけですので、今申し上げたような人の移動ということも起きなかったわけであります。そうなると、経済全体での生産性の上昇というのも、御案内のように振るわなかったわけであります。
これが、今後は賃金が上がるようになる、それから、特に経営のしっかりしている企業での賃金はよりたくさん上がる、そこに人がシフトしていく、こういうことが起きる、あるいは起き始めているというふうに思いますので、そういう意味では、生産性の上昇というところについても大きな期待が持てるのではないかというふうに思っております。
海外の方にこういうことをお話しをするときに一番分かりやすいのは、日本は実は旧ソ連と一緒だったんだと。旧ソ連というのは、価格メカニズムというのが、御案内のように価格がそもそもなかったわけですので、そういうものがなかったわけで、それが失敗の大きな要因だったわけであります。あるいは、中国もかつてはそうだったわけであります。
ところが、日本も、もちろん価格はありましたし、賃金もありますけれども、動かないわけですので、そうすると、価格メカニズムも何もなかったわけであります。それがようやくメカニズムとして機能し始めているというのは、私から見ると非常に大きな期待感を抱かせるものであります。
ですので、この第二ステージというのは、単に価格や賃金が上がるというだけでなくて、生産性という意味での日本のダイナミズムというのも取り戻せるんじゃないかというふうに期待しているところでございます。
第二ステージの二点目は、ちょっと時間がないので手短になりますけれども、これは財政であります。ここは予算委員会ですので、財政が一番大事かと思います。
十四ページのところを御覧いただければというふうに思います。今起きていることは、元々ゼロ%、賃金も物価も上がらないというゼロ%のインフレの状況から、二%の物価の上昇、あるいは二%プラスアルファの賃金の上昇という、そういう経済に移行しようとしているわけであります。二%というのは別に大したインフレじゃないですけれども、それでもインフレが起きるというのは間違いないわけであります。
じゃ、インフレが起きたときに誰がどうなるのかというのを私も授業とかでいろいろ教えますけれども、古今東西、必ず言えることというのは、債務者が得をして債権者が損をするということでございます。じゃ、日本の中で一番の債務者はどなたですかと聞くと、間違いなく、いわゆる政府であります。なので、実は、インフレが起きるように、ゼロ%から二%になるということは、債務者たる政府にとっても大きなメリットがあるわけであります。先ほど、生産性云々で民間の経済に大きなメリットがあるという話を申し上げましたけれども、政府にとっても、財政の視点でも、実は二%のインフレというのは、単独で見ても意味があるわけであります。
どういう意味かといいますと、先ほどの河村先生のお話にもありましたけれども、そうやってインフレが起こることによって政府の名目の債務というのが多少減るということになるからであります。私の試算によりますと、政府は今現状で千百兆円、国債を発行しておりますけれども、そのうちの百八十兆円が消える、この二%に移行することによって消えるということでございます。
ここでその話を申し上げているのは、百八十兆円、どうぞ使ってくださいというふうに申し上げているつもりでは全くありません。百八十兆減るといっても、元々千百兆ありますので、あるいは先ほどの河村先生のお話でも、いろいろなリスクがありますので、そこはそんなふうに喜んでいる場合じゃないわけであります。まだまだ九百兆程度のものは残りますので、そこへの手だてということは着々と行っていかなきゃいけないということでございます。
ただ、申し上げたいのは、今回のように歳入が増えている、それによって百八十兆の一部が既にもう得られているわけですけれども、なので、非常に財政が厳しい中でも、得られる歳入の増加、あるいは百八十兆円というものが存在するわけですので、それは是非大事に大事に使っていただきたい。例えば、それはやはり国債を返還するのに回した方がいいんだというのであれば、それももちろん一つのアイデアでしょうし、あるいは、防衛とかそういうところが大事なんだからそこに使うべきだというのも一つのアイデアでしょうけれども、そういうふうにお金を大きく動かすチャンスというのが百八十兆円分についてはあるんだというのが、私の申し上げたいポイントでございます。
この発言だけを見る →今回の当初予算の一つの柱は賃上げだというふうに理解しておりますので、今日は、その賃金を中心にして私自身の考え方を少し最初に申し上げさせていただいて、それから先生方からの御質問をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
まず、タイトルのところを御覧いただきますと、「賃金・物価・金利の正常化」というふうに書いてございます。賃上げに伴う賃金の上昇というのが起きている。それから、それの前の段階として物価が上昇してきている、ここは先生方、御存じのとおりであります。それから、それに付随して昨年からですかね、日銀が金利を上げ始めているということで、賃金、物価、金利の動きがこの数年間のところで大きく変化してきているわけであります。
実は、この賃金、物価、金利というのは、長いこと、三十年間ぐらいにわたって異常な状態だったわけでありまして、それが正常化してきているというのが私の基本的な理解の仕方であります。もちろん、物価の上昇が行き過ぎているとか、あるいは物価と賃金の上昇というのが、なかなか賃金の方が追いつかないとか、いろいろな問題が付随的に起きておりますけれども、しかし、それでも私は、賃金、物価、金利の正常化が起きているという意味では、非常に大きな前向きの動きが日本経済に起きているというふうに評価をしてございます。そのことを、もう少し詳しく申し上げます。
まず、二ページ目のところを御覧いただきたいんですけれども、じゃ、日本はどういうふうに異常だったのかということを簡単に振り返るために描いたものでございます。左側が日本で、右側の方に、比較のためにアメリカの絵を描いてございます。物の値段、サービスの値段、それから名目の賃金、こういうものがどう推移しているのかということを示したものでございます。
七〇年代、八〇年代、九〇年代の前半までは、日本のこの三本の線が右肩上がりになっている。それから、アメリカも右肩上がりですけれども、両国で傾きの差も余りないというのがお分かりいただけると思います。つまり、九〇年代の半ばぐらいまでは、日本は別に賃金も物価も金利もおかしくはなかったわけであります。
ところが、九〇年代の半ばぐらいから、九五年と言っていいと思うんですけれども、そこから賃金の方は全然毎年毎年変わらない、据え置かれるということが始まりました。それから、物価も同じタイミングで据え置かれるということが始まりました。ということで、両方が据え置かれるという状況が生まれたわけであります。これがよく言われる日本のデフレ、あるいは、長く続いたので慢性デフレというふうに呼ばれている現象でございます。
御覧いただいていますように、アメリカはそんなことはありませんし、ここには絵がありませんけれども、欧州の国々もそうではありませんで、日本が据え置かれていた時期に右肩上がりを続けておりましたので、あちらはどんどん上がっていく、こちらは毎年毎年据置きでございますので、一年一年の差というのはそれほどではないかもしれませんけれども、それを九五年以降、ほぼほぼ三十年にわたってやってきたわけですので、結果的に、賃金で見ると、物価で見ても、大きな差が彼我で生まれているということでございます。
私は、国立大学に勤めておりますけれども、同じような研究をしているアメリカやヨーロッパの国々の先生方との交流も非常に多うございますけれども、そういう人たちと給与の話をしますと、明らかに彼らの方が高い。それは、高いというものを超えて、三倍、四倍というのが平均だという状況になっているわけであります。
そこまでいきますと、例えば海外の先生方で、日本で教えてみたい、日本の若い子たちに教えてみたいという人たちもなかなか来てもらえませんし、逆に、東大で教えているような先生方が海外に出ていってしまうということも起きているわけでありまして、なかなか大学としても深刻であります。恐らく、多くの企業で同じような問題が起きているんじゃないかというふうに思います。
つまり、三十年間、価格と賃金をそうやって据え置いてきたこととして、今そういう大きな弊害というのが起きているということでございます。
ただ、幸いなことに、それが二〇二二年の春ぐらいから、三年前ぐらいから変化が起きているわけでありまして、それが今日申し上げたい正常化でありますし、あるいは予算の中での賃上げ云々というのも、そこに関わる部分だというふうに理解をしております。
三ページのところを見ていただきますと、大きなくくり、私の理解の仕方として描いている絵でございますが、二つ、ぐるぐる回っている絵がございますが、左側がこの過去三十年間のデフレの時期の日本の経済の様子を表したもの、右側が過去三年間の、二二年春以降の動きを示したものです。
その三十年間というのは、毎年、価格、給与は据え置きます。そうすると生計費は毎年変わりません。となると、賃上げというのは、そういうことがないということで、賃上げを要求しないということになる。そうなれば、普通の企業として、普通の年であれば、企業は、人件費、労務費が上がって、それを価格に転嫁するということが起こるわけですけれども、そういうことも三十年間は必要なかったわけであります。
こうして、価格の据置きというところに、もう一回戻っていくわけでありまして、つまり、価格を据え置くということと、それから賃金を据え置くということが、ある意味でペアで起きていて、ペアであったからこそ持続性があって、三十年間も続いたというふうに考えてございます。
元々のサイクルから、新しいサイクルとしては右側のものですけれども、企業が二%程度価格を上げていく、そうすると生計費もそのぐらい上がっていく。そうなると、労組等とも賃上げを要求していく、二%プラスアルファの賃上げを要求していく。そうなると、人件費、労務費が上がっていきますので、その分を価格に転嫁するということで、今度は価格も賃金も両方が平仄を取りながら上がっていく、こういう健全な循環というのが生まれているわけであります。
気の早い方は、右側の方のサイクルが始まったし、あるいは予算でも様々な手だてがなされるようになってきたので、もう日本はこういういい循環が定着したんだ、そういうふうにおっしゃる方もいますけれども、私はそこは悲観的であります。多くの方よりも悲観的であります。理由は非常に単純でありまして、日本社会の中に、まだ左側のサイクルへのある種のノスタルジー、郷愁というものが残っているからであります。
例えばシニアの方であれば年金で生活されている方が多いわけでしょうけれども、予算委員会で様々な工夫もしていただけているとは思いますけれども、しかし、残念ながら、物価の上昇にはやはり年金の受取というのは追いつかないわけであります。今後も、もしこういう二%という緩やかなインフレであったとしても、続くとすれば、彼らの年金というものは目減りしますので、そうであれば、元の左側の方のサイクルに戻したいというふうにお考えになるわけであります。
それから、企業でも、大企業の方は、多くは右側の方の好循環の方をサポートされているというふうに思いますけれども、一方で、中小企業というのは、なかなかそうはならないということであります。
つまり、今、賃金が上がり始めているというのはもちろんいいことなわけでありますけれども、それをやろうとすると、やはり中小企業は収益的に余裕ができない、あるいは、今回の予算の中でも議論になっていますけれども、価格転嫁がなかなかできないということで、中小企業の賃上げは厳しい。そうなると、せっかく長い間働いてくれていた労働者の方が一人去り、二人去りということになってしまう、経営が難しくなってしまうじゃないかと。
これが、かつては、毎年賃金を上げなくても、別に自分だけではなくて、多くの企業も上げなかったわけですので、そうなると、労働者の方も、企業にお勤めの方も御不満を持つことはなかったわけですので、そうなれば余分な苦労はしないで済んだ、そういうふうに考えて、中小企業の経営者の方は、左側のサイクルの方がよかったというふうにおっしゃるわけであります。
このように、多くの方々が左側のサイクルに対するノスタルジーをまだまだ強くお持ちになっている。人数的には、シニアの方も、それから中小企業の経営者の方もたくさんいらっしゃいますので、私は、人数割りでいうと、まだまだ半数以上の方が実は左側のサイクルに戻したいというお気持ちを強くお持ちなんじゃないかというふうに思っております。
なので、右側がもう三年間、始まったから安心だというふうには全然思えないわけでありまして、まだまだ様々な手だてが、それは財政的な手当てをもちろん含みますけれども、必要だろうというふうに思っております。その意味で、今年の予算の中で、様々な形で価格転嫁あるいは賃上げに向けた取組が盛り込まれているということは非常に有効なことなのではないかというふうに思っております。
この動きというのは、大きく言うとデフレからの脱却というふうになるわけですけれども、デフレからの脱却というのは、別に昨日今日スローガンとして掲げたわけではないわけでありまして、アベノミクスのときからそういうことは議論されてきたわけであります。先生方も恐らくそういうことを議論されてきたんじゃないかというふうに思っております。
しかし、残念ながらといいますか、あれだけの、たくさん、いろんな措置を行ってきましたけれども、しかし、アベノミクスではデフレ脱却は実現できなかったわけですし、あるいは賃金と物価の好循環というものも実現できなかったわけであります。
今、それが、いろんな留保はありますけれども、曲がりなりにも実現できているんだとすると、一体それはあのときと今とではどう違うのか、二〇一三年、一四年のあの頃と十数年後の今とではどこがどう違うのか、ここを押さえておくことは非常に大事なわけでありまして、そこを理解すると、じゃ、持続性をどうやって持たせるのがいいのかということのヒントも得られるんじゃないかというふうに思います。
その違いは、私は、二点あるというふうに思います。
四ページ目ですけれども、まず一つは、消費者のインフレ予想というものであります。
ちょっと専門用語なので恐縮でございますけれども、平たく言いますと、要は、物価は上がるものだ、どんどん上がっちゃう、今はちょっと上がり過ぎていますので、どんどん上がっちゃって厳しいというのは、そこまで行くのは問題外ですけれども、しかし、ゆるゆると二%ぐらい物価は上がるものだ、それはどこの国でも普通の時期はそういうものなんだということの認識というのが、ようやく生まれてきたということであります。
実は、三十年間というのは、基本的には日本の消費者のインフレ予想は低い、つまり、価格は据え置かれるものだというふうに強く信じていましたので、あるいは、企業に対しても、価格を上げる企業はけしからぬ企業だというふうに強く思っていましたので、なかなか企業も値上げに踏み切れなかった、こういういびつな構造があったわけであります。
それが、二二年の春以降、インフレ予想というものが、価格は据え置かれるんじゃなくて、上がっていくのが、うれしくはないけれども仕方のないものだし、それがある種の標準なんだ、こういう当たり前へと人々の発想が切り替わっていったというのが非常に大きいかというふうに思います。
私ども、毎年、アンケート調査をして、それが今四ページ目に書いてございますけれども、詳しく申し上げませんけれども、一四年、一五年のアベノミクスの初期というのは、多少そういう意味でのインフレ予想の上昇というのがありましたけれども、しかし、今回起きているものと比べると、やはりそこは桁違いと言っていいぐらいにインパクトが違うわけであります。
今回のインフレ予想の上昇というのは、ちょっとしゃくに障る話ではありますけれども、やはりウクライナの戦争とか、あるいはパンデミックというような、そういう外的な事情に触発されている部分が非常に大きいわけですので、言ってみれば、ここでその話をするのが適当かどうか知りませんけれども、プーチンの方が安倍総理よりもずっと、物価を動かす、賃金を動かす力というのが大きかったということなんだろうというふうに思います。
いずれにしても、そういう外的な力に支えられて日本の好循環が起きているということでございます。
二点目の違いは賃金であります。ここは今回の委員会のポイントかと思います。
五ページ目を御覧ください。これは、緑の棒で描いたのが毎年の春闘の賃上げですけれども、一四年、一五年の辺りのところの棒グラフを見ていただきますと、少し上がってきている。これが実は官製春闘と言われたあの時期であります。少し上がっているので、私もようやく賃金が上がり始めたかと当時思いましたけれども、しかし、今回の二三年、二四年、それから今二五年の春闘をやっていますけれども、そこでの賃上げというのは五%を超えるような賃上げになっているわけですので、官製春闘の時期とはここもやはり桁違いになっているわけであります。
連合とか組合の方々に、当時、政権側から官製春闘という形で様々なサポートがあったにもかかわらず、なぜ高い賃上げができなかったのかということを伺いますと、答えは非常に明確でありまして、要は、人手不足というものが当時はなかったんだというお答えなわけです。今は当然のことながら人手不足が非常に深刻なわけです。
当時は、もちろん人口減少という問題はその頃でも起きていたわけでありますけれども、一方で、安倍内閣のアベノミクスのもう一つの柱は、いわゆる女性とかあるいはシニアの方とか、そういう労働市場に余り当時参加していなかった人たちに参加していただこう、制度を変えるなりなんなりして参加していただこう、それによって労働供給を増やそうということを行ったわけであります。その施策はそれなりに機能したというふうに見ておりますので、その結果として、余り労働の需給の逼迫、人手不足というものは、当時は深刻にならなかった。そういう中で、やはり連合等々についても、それほど強気の春闘ということにはならなかったというのが、どうもその当時の事情のようであります。
それに比べて、今回は、女性それからシニアの方も随分と労働市場への参加率が上がってきておりますので、ある意味でこれ以上上げることができないぐらいまで上がってきております。欧米と比べても、例えば女性なんかについては参加率が十分高いというふうに言っていいと思いますので、そういうふうに、新しい労働者の供給というものがそれほど得られないという中で起きている人手不足でございますので、そこで労働組合としても比較的大胆に賃上げを要求できる、これが今回の賃上げの高さになっているのかなというふうに思います。
二つ目は、この春闘での賃上げというのがアベノミクスの時期との大きな違いでございます。
将来を考えますと、賃上げについては、恐らく人手不足というのは、もちろんそれ自体も直さなきゃいけない大きな社会課題でありますので、そこは様々な形で中長期の取組ということを先生方はお考えなんだというふうには理解しておりますけれども、しかし、短期的には、それはそう簡単には解決しないだろうと。となれば、人手不足の中での春闘の高めの賃上げというのが持続するのではないかというふうに私は見ております。なので、この二点目の違いについては、比較的楽観視していいのかなというふうに思います。
他方で、最初に申し上げた、物価は上がるんだ、あるいはそれに付随して賃金もしっかり上がるんだ、こういう認識についてはまだまだ不十分かなと。物価が上がる方については、随分上がってきていますので、もうこれ以上上げるなという話になっていますけれども、同時に、しかし、賃金も上がらなきゃいけないし、今回のこの予算の中でもその手の取組は起きていますけれども、しかし、自分の賃金はしっかりこれから上がるんだというふうに自信を持って言える方というのは、まだまだ少ないというふうに思います。
そういう意味では、物価の方の予想は上がっちゃっていますけれども、賃金の方の予想というのが追いついていない状況かというふうに思います。ここを直していかないと、賃金と物価の好循環という意味での、それの持続性というのはやはり厳しいんじゃないかなというふうに思っております。ここも、そういう意味では、この予算、あるいは予算を超えて、様々な先生方の取組というのが必要になる部分かなというふうに思います。
じゃ、こういう正常化のプロセスの中で政府はどういう役割を果たすのかということを簡単に申し上げますと、実は一つ大事な前例というのがございます。日本で起きてきたこの慢性デフレという現象は非常に珍しくて、ほかの国には余り前例はないんですけれども、幸か不幸か、一つ前例があります。それはアメリカの大恐慌期であります。
六ページに、英語の資料で非常に恐縮ですけれども、当時は、ちょっと、デフレといっても、アメリカのデフレはもっと激しいデフレでしたので、価格ががんがん落ちるようなデフレでしたので日本と様相は違いますけれども、そこに対処しようとしてルーズベルト大統領が行った施策というのが非常に示唆に富むわけであります。
彼がやったことというのは、非常に単純に言いますと二つであります。
一つは、最低賃金というものを、当時アメリカにはそれはなかったんですけれども、導入するということがございました。要は、賃金が底なし沼のように落ちてしまうような状況があったわけですので、それを最低賃金で防ごうということを考えたわけであります。
もう一つは何かといいますと、独禁法、独占禁止法を、競争を制約するというのが法の趣旨でありますけれども、それを一時的に緩和をするということをしたわけであります。なので、やや語弊がありますけれども、カルテル的な、共謀的なことをある程度は認めるという、それによって価格が野方図に落ちる状況を防ぐ、こういうことをやったわけであります。つまり、独禁法と、それから最賃であります。
私は、今の政府が、あるいは今回の予算の中でも入っていますけれども、やっていることは、基本的にこのラインに乗っているんじゃないかというふうに思います。最賃については私が申し上げるまでもありませんし、既に上げてきています。それから、岸田政権、それから現在の石破政権の下で、将来の最賃も上げていくということがうたわれておりますので、まさにその最賃の重要性というものを、当時のルーズベルトと同じように認識されているのかなというふうに思います。
独禁法については、もちろんそんなことを日本でやっていることはありませんけれども、私は、かなり近いなと思うのは下請法であります。これも公正取引委員会がやっているものですので、独禁法に近いわけでありますけれども、ここは、ですので、中小企業、下請企業と親企業との間の取引がアンフェアだったりとか、価格もアンフェアになっている、ここの部分を何とかしてゆがみを直していこう、そうすると中小企業でも賃上げがしやすくなるんじゃないか、こういうことが狙いなわけですけれども、ですので、ここも、ある意味では、独禁法をいじったルーズベルトと似た面があるのかなというふうに思います。
別に、政権の先生方がこういうルーズベルトの事情を調べてこういうことになったというふうには理解しておりませんけれども、恐らく、いろいろな手だてを尽くす中で、最終的にそこに脈がありそうだということで、独禁法と下請法というところがターゲットになっているのかというふうに思います。私は、ですので、そこは必然性があるというふうに思いますし、今回の予算措置の中でも、そこに力点を置かれているということについては、非常に大事なことかというふうに思います。
ちょっと時間もなくなってしまいましたので飛ばしますが、九ページのところを御覧ください。
今日は、賃金、物価、金利の正常化ということをるる申し上げておりますけれども、私は、この正常化には二つのステージがあるというふうに考えてございます。
第一ステージというのが、二二年春から、三年前から始まって今現在まで、ここが第一ステージかというふうに思います。このステージでは、今申し上げているような賃金という名目の変数とか、あるいは物価、あるいは金利という名目の変数、そういう名目の変数が元々変だったわけですけれども、それが直ってくる、こういうプロセスだということでございます。第一ステージ、完全に終わったわけではありませんけれども、今までのところは、それなりに順調に来ているのかなというふうに思います。
じゃ、この先何があるのかと。賃金が上がるようになりました、物価も同じように上がっています、何がうれしいのかということなわけです。私は、この第二ステージがそういう意味では大事だというふうに思っていまして、今後、例えば十年程度、あるいはもしかしたら、それ以上の時期にわたって起こる事柄だというふうに思っております。どういうことが言いたいかというと、ここに価格メカニズムという、ちょっと専門用語ですが、を赤く書いてございますけれども、これであります。
今までの三十年間の日本経済というのは、価格と賃金が動かなかったわけですので、いわゆる価格メカニズムというのが十全に機能してこなかったわけであります。
例えば、ちょっと立派な社長さんがいて、いい設備を入れたりとかアイデアをつくって、それで生産性を上昇させたということをしたとしましょう。通常であれば、健全な経済であれば、その企業では賃金がしっかり上がって、そうすると、その周囲の余り芳しくない企業から人が移っていってという形で、その社長さんを中心にして生産性の上昇という輪が広がっていく。これが健全なメカニズム、あるいは価格メカニズムの健全な姿であります。
ところが、日本は、価格が賃金も含めて上がらなかったわけで、据え置かれたわけですので、そういうふうにイノベーションが起きた企業でも賃金は変わらないわけですので、今申し上げたような人の移動ということも起きなかったわけであります。そうなると、経済全体での生産性の上昇というのも、御案内のように振るわなかったわけであります。
これが、今後は賃金が上がるようになる、それから、特に経営のしっかりしている企業での賃金はよりたくさん上がる、そこに人がシフトしていく、こういうことが起きる、あるいは起き始めているというふうに思いますので、そういう意味では、生産性の上昇というところについても大きな期待が持てるのではないかというふうに思っております。
海外の方にこういうことをお話しをするときに一番分かりやすいのは、日本は実は旧ソ連と一緒だったんだと。旧ソ連というのは、価格メカニズムというのが、御案内のように価格がそもそもなかったわけですので、そういうものがなかったわけで、それが失敗の大きな要因だったわけであります。あるいは、中国もかつてはそうだったわけであります。
ところが、日本も、もちろん価格はありましたし、賃金もありますけれども、動かないわけですので、そうすると、価格メカニズムも何もなかったわけであります。それがようやくメカニズムとして機能し始めているというのは、私から見ると非常に大きな期待感を抱かせるものであります。
ですので、この第二ステージというのは、単に価格や賃金が上がるというだけでなくて、生産性という意味での日本のダイナミズムというのも取り戻せるんじゃないかというふうに期待しているところでございます。
第二ステージの二点目は、ちょっと時間がないので手短になりますけれども、これは財政であります。ここは予算委員会ですので、財政が一番大事かと思います。
十四ページのところを御覧いただければというふうに思います。今起きていることは、元々ゼロ%、賃金も物価も上がらないというゼロ%のインフレの状況から、二%の物価の上昇、あるいは二%プラスアルファの賃金の上昇という、そういう経済に移行しようとしているわけであります。二%というのは別に大したインフレじゃないですけれども、それでもインフレが起きるというのは間違いないわけであります。
じゃ、インフレが起きたときに誰がどうなるのかというのを私も授業とかでいろいろ教えますけれども、古今東西、必ず言えることというのは、債務者が得をして債権者が損をするということでございます。じゃ、日本の中で一番の債務者はどなたですかと聞くと、間違いなく、いわゆる政府であります。なので、実は、インフレが起きるように、ゼロ%から二%になるということは、債務者たる政府にとっても大きなメリットがあるわけであります。先ほど、生産性云々で民間の経済に大きなメリットがあるという話を申し上げましたけれども、政府にとっても、財政の視点でも、実は二%のインフレというのは、単独で見ても意味があるわけであります。
どういう意味かといいますと、先ほどの河村先生のお話にもありましたけれども、そうやってインフレが起こることによって政府の名目の債務というのが多少減るということになるからであります。私の試算によりますと、政府は今現状で千百兆円、国債を発行しておりますけれども、そのうちの百八十兆円が消える、この二%に移行することによって消えるということでございます。
ここでその話を申し上げているのは、百八十兆円、どうぞ使ってくださいというふうに申し上げているつもりでは全くありません。百八十兆減るといっても、元々千百兆ありますので、あるいは先ほどの河村先生のお話でも、いろいろなリスクがありますので、そこはそんなふうに喜んでいる場合じゃないわけであります。まだまだ九百兆程度のものは残りますので、そこへの手だてということは着々と行っていかなきゃいけないということでございます。
ただ、申し上げたいのは、今回のように歳入が増えている、それによって百八十兆の一部が既にもう得られているわけですけれども、なので、非常に財政が厳しい中でも、得られる歳入の増加、あるいは百八十兆円というものが存在するわけですので、それは是非大事に大事に使っていただきたい。例えば、それはやはり国債を返還するのに回した方がいいんだというのであれば、それももちろん一つのアイデアでしょうし、あるいは、防衛とかそういうところが大事なんだからそこに使うべきだというのも一つのアイデアでしょうけれども、そういうふうにお金を大きく動かすチャンスというのが百八十兆円分についてはあるんだというのが、私の申し上げたいポイントでございます。
安
渡
渡辺努#6
○渡辺公述人 はい。ここでまとめますけれども、私は、二%への移行をしっかり確実にするために、今回の予算の中でも多少お金を使ってございますけれども、そういうお金というのは実は無駄ではないということを最後に申し上げたいというふうに思います。なので、百八十兆円の一部をそういうところに使うことによって、より円滑に二%経済に移行できるようにする、それが結果的に百八十兆円をもたらすんだということを申し上げたいと思います。
大変ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →大変ありがとうございました。拍手
安
大
大西雅之#8
○大西公述人 本日は、衆議院予算委員会公聴会で発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。
私は、北海道阿寒湖温泉の地域DMOであります阿寒観光協会まちづくり推進機構の会長を務めております。旅館経営者であります。また、昨年六月までは、一般社団法人日本旅館協会会長を務めておりました。その立場から、本日は、観光をめぐる現在の状況を皆様に御理解をいただき、今後の発展に向けた政策要望を中心に意見を述べさせていただきます。
私どもの日本旅館協会は、全国の旅館、ホテル、約二千二百の施設を会員として構成しております。会員からは様々な要望が寄せられておりますが、国の予算事項として御支援いただきたい分野について今日は発言をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、これまでの観光立国の動きについて振り返りをさせていただきます。
今から二十二年ほど前、二〇〇三年一月、当時の小泉内閣総理大臣により、観光立国が国の主要施策として位置づけられました。このことは、私ども観光業界に身を置くものとして、画期的な出来事でありました。ビジット・ジャパン・キャンペーンをスタートさせ、以来、訪日外国人数の年ごとの顕著な増加や、アジアを中心に訪日客の旺盛な消費活動といったものを肌で感じました。また、二〇〇七年には、観光立国推進基本計画が策定され、訪日外国人誘致など具体的数値目標の下、様々な施策が展開されてまいりました。
私も、二〇一五年には、当時の安倍内閣総理大臣の下で開催されました、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議に委員として参画させていただき、地方空港の活性化や国立公園の商業利用の拡大など、意見を申し述べさせていただきました。二〇三〇年に訪日外国人客を六千万人にする、国の壮大な構想を実感し、思わず背筋が伸びたことが思い出されます。
これらを受けまして、宿泊業界でも訪日客の増加を見込み、快適な観光をお楽しみいただけるよう、受入れ体制の充実を図ってまいりました。WiFiなど通信環境を整備したり、情報提供面でもホームページの多言語化やキャッシュレス決済の導入など、多くの施設で取組を進めた結果、滞在時の利便性は大きく高まったのではないかと思っております。政府のインバウンド振興策と相まって、地域の魅力の磨き上げも進み、地方の消費拡大にも大いに寄与できたのではないかと実感しています。
このような取組の中で、この二十年の間、大規模地震や火山噴火、台風や豪雨などの自然災害に加えて、国際関係、経済情勢などの変化により、観光立国の動きにおいては浮き沈みがありましたが、昨年の訪日外国人数は、二〇〇三年当時の五百二十万人から、その七倍に相当する三千六百八十七万人にも達し、往時を知る者としては隔世の感を禁じ得ません。
一方で、こうした観光立国の流れの中で、私ども宿泊業界は、必ずしも順風満帆であったわけではありません。
先ほど申し上げた自然災害では、東日本大震災、北海道胆振東部地震、熊本地震、そして、一年を経過した能登半島地震など、幾つもの災害を経験しています。能登半島地震につきましては、この後、改めて申し述べさせていただきます。
また、何といっても二〇二〇年から三年もの長きにわたる新型コロナウイルスによる人流抑制の影響は、宿泊業の経営に大きな打撃を与えるものとなりました。今に至るまで、その影響を引きずっております。これまでの様々な危機の中でも、特別のダメージを受け、私自身、もう旅館を続けられないのではと覚悟をしたときもあります。実際、経営から撤退した事業者も多く、今年度においても、長い歴史を持った名門の宿泊施設の廃業や譲渡が続いております。
宿泊施設は装置産業と言われ、定期的なリニューアルのための設備投資が必要であり、過去より一定の負債を有しておりましたが、コロナ禍により、過大な有利子負債を抱えることになりました。二〇一三年の耐震改修促進法の改正により、多額の費用をかけた耐震補強工事を終え、さあこれからというときに発生したコロナ禍により、更なる借入れを余儀なくされました。コロナ禍に苦しんだ令和四年度決算に関して会員にアンケートを取ったところ、約四割の会員が債務超過に陥っておりました。
コロナ禍の危機状況の中、GoToトラベルなどの旅行支援策を様々な御意見がある中で強力に推し進めていただいたおかげで、人流が完全に途絶えたどん底の状態から短期間で回復してくることができました。この施策がなければ、日本の観光産業は間違いなく沈没していたのではないかと今でも思っております。心より深く感謝を申し上げます。
昨今の旅行需要の回復によって直近のキャッシュフローは好転してきましたが、ストックとして過大に累積した債務は短期間の好調だけでは正常化できません。大手で構成される日本ホテル協会の発表でも、会員平均、コロナ禍三年で四十三年分の負債を負ったと発表がありました。是非とも、息の長い御支援をお願いしたく存じます。
コロナ禍の間、私ども業界は、経営維持のための運転資金の確保と旅行需要喚起策の早期実施を重点的に活動してまいりました。
特に、従業員の雇用継続を図るための雇用調整助成金の充実や、金融面でも、コロナ対策としてのゼロゼロ融資や資本性劣後ローンなどの融資枠の拡大、期限の延長等、生き残るための支援の充実を図っていただきました。大変ありがたいことと感謝をしております。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、いまだにコロナ禍の影響を引きずっている宿泊施設も多く、そうした施設には融資返済に係る負担軽減などの御支援をよろしくお願いしたいと思います。
また、コロナ期間から実施されてきました既存観光地の高付加価値化事業については、政府において地域の要望を受け止めていただき、様々な改善を行っていただきました。これらの事業で、観光地の中核である旅館は、長らく更新できなかった施設の高付加価値化へのリニューアルを進めることができました。
しかし、旅館だけがよくなっても温泉地の魅力は高まりません。旅館に加えて、土産店や周辺の観光施設への支援拡充により、地域全体としての魅力を高めることができ、現在のインバウンド復活の備えになりました。
この高付加価値化補助事業については、単に宿泊施設の改修にとどまらず、地域全体の持続可能な観光地経営に資する非常に有用な施策であると考えます。コロナ禍で出遅れてしまった多くの地域がこの存続を切望しており、引き続き継続的な実施をお願いしたく存じます。
続きまして、昨年一月に発生しました能登半島地震について申し上げます。
既に発生から一年以上が経過しましたが、能登地域における復旧復興の状況は遅々として進んでおらず、和倉温泉、輪島地区、その他、能登半島所在の多くの施設が休業を余儀なくされ、いまだ復旧のめども立っておりません。
私も、昨年、現地を訪れた際に被害の深刻さを目の当たりにしました。今なお、和倉地区二十九宿泊施設で完全営業できているのは四施設のみです。復旧復興には長い道のりが控えておりますが、再びにぎわいを取り戻すまで、これはまさに官民挙げて取組を行っていかなければならないと改めて痛感をいたしております。
多くの被災した施設は、コロナ融資により過剰債務の問題を抱えています。
既に返済を開始したところ、あるいは近々に返済開始を迎えますが、コロナ禍に加え、能登半島地震で壊滅的な被害を受け、加えて豪雨災害など度重なる災難が続き、地域の復興までには相当の期間が必要と考えます。是非とも、円滑な借換えや返済条件の緩和など、より一層の御尽力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、インバウンドが過去最高になったことによる弊害、オーバーツーリズムについて申し上げます。
インバウンド復活の状況は、数字の上でもはっきりと見て取れますが、首都圏や大都市圏以外の地域では、まだその恩恵を享受できていない地域も多々あります。地域間格差や業態間格差がますます広がっていると言わざるを得ません。
私ども旅館協会では、会員に対する宿泊人数調査のアンケートを県別、エリア別に毎月実施しています。その推移を見ますと、本年一月に入っても、例えば北海道では、ジェット燃料の供給体制の課題もあり、コロナ前と比べて二〇%減といった状況が続いております。
観光庁におかれましても、地方への誘客分散化に向けた取組が行われているところですが、私どもは、機会があるたびに、ダイレクトインバウンドということを申し上げております。オーバーツーリズム回避のためにも、海外から地方に直接来ていただくこと、これが重要であります。二〇一五年の、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議では、地方空港の活性化ということを申し上げましたが、改めて、その必要性を痛感しているところです。
コロナ禍を経ても、国は、二〇三〇年、インバウンド六千万人、消費額十五兆円の目標を継続して掲げてくれています。
基幹空港のキャパシティーに限界が見えており、大きな目標を実現していくためには、全国津々浦々にインバウンドの恩恵を広げる必要があります。もちろん、これには、CIQや検疫体制、グランドハンドリングの問題に加え、空港からのアクセスの問題、二次交通などの情報を束ねる観光型MaaSの推進など、様々な解決すべき課題があると承知しております。
個々の自治体や企業だけではその解決は難しいと考えられ、国として早急な体制整備が必要ではないかと強く要望するところであります。
続きまして、日本の観光の更なる魅力向上について申し上げます。
日本には、いまだ日本人の気づいていない観光資源が豊富にあります。こうした他の国では楽しむことのできない日本観光の魅力を更に磨き上げ、伸ばしていく必要があると考えます。この点、日本の豊かな自然環境を生かしたアドベンチャーツーリズムという旅行形態もあります。これは世界でも七十兆円の市場規模があるとされており、SDGsの観点からも推奨されて、今後大きく伸びる可能性を秘めた有望市場だと思っています。
是非、こうした伸び代のある観光市場の拡大に向けた取組にも御理解を賜りたいと存じます。
また、宿泊業界も、こうした日本の魅力を提供する重要な役割を担っています。四季折々の季節を感じ、雄大な自然の下、その土地土地で育まれた歴史に思いをはせ、また、祭りや伝統文化、そして温泉文化に触れ、その地域でしか味わえない食を体験することができます。
こうした日本の魅力を伝える観光拠点である旅館、そして温泉観光地を大切に守っていきたいと思っています。
特に、温泉文化についてつけ加えさせていただきますと、多くの国会議員の先生にも御協力いただき、現在、観光業界が中心となり、温泉文化を世界ブランドにすること、温泉文化のユネスコ世界無形文化遺産登録に向け、運動を推進しております。二〇二六年の国内候補決定、二〇二八年のユネスコ登録を目指しておりますが、実現の暁には、インバウンド推進に大きな力になると確信しております。
以上のようなツーリズムの在り方を進めていくためには、私ども業界を取り巻く問題、例えば、人手不足への対応、DX化、ユニバーサルツーリズムへの対応など、課題がいろいろとあるところです。
人手不足が各産業とも深刻ですが、とりわけ観光産業のうち宿泊業については改善の兆しが見えておりません。再び夢のある観光産業になるためには、各事業者が給与水準を含めた労働環境の改善に全力を尽くすことが重要だと考えております。外国人の雇用制度につきましても、手続の円滑化など制度の改善に御配慮いただけますと、インバウンド対策だけではなく、強力な人手不足対策につながると思っております。
さらに、宿泊業においては、主に現業部門で人手不足が顕著で、中でも調理部門では調理師の確保が難しく、とりわけ和食の調理人が足りないとされております。旅館における和食の提供という重要な役割が果たせなくなってしまうのではないかと危機感を抱いております。ガストロノミー文化が浸透するフランスや南欧のように、調理師の地位を高め、国立の養成機関の設立や様々な料理人コンペティションを通じて認知を広める必要があると考えております。
最後になりますが、目標年次である二〇三〇年まで五年を切りました。私ども業界はもちろんのこと、観光産業全体として目標達成に向けた取組を着実に進めてまいる所存でございます。その推進に当たっての観光予算につきまして、引き続き戦略的な確保をお願い申し上げ、私の発言とさせていただきます。
本日は、御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、北海道阿寒湖温泉の地域DMOであります阿寒観光協会まちづくり推進機構の会長を務めております。旅館経営者であります。また、昨年六月までは、一般社団法人日本旅館協会会長を務めておりました。その立場から、本日は、観光をめぐる現在の状況を皆様に御理解をいただき、今後の発展に向けた政策要望を中心に意見を述べさせていただきます。
私どもの日本旅館協会は、全国の旅館、ホテル、約二千二百の施設を会員として構成しております。会員からは様々な要望が寄せられておりますが、国の予算事項として御支援いただきたい分野について今日は発言をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、これまでの観光立国の動きについて振り返りをさせていただきます。
今から二十二年ほど前、二〇〇三年一月、当時の小泉内閣総理大臣により、観光立国が国の主要施策として位置づけられました。このことは、私ども観光業界に身を置くものとして、画期的な出来事でありました。ビジット・ジャパン・キャンペーンをスタートさせ、以来、訪日外国人数の年ごとの顕著な増加や、アジアを中心に訪日客の旺盛な消費活動といったものを肌で感じました。また、二〇〇七年には、観光立国推進基本計画が策定され、訪日外国人誘致など具体的数値目標の下、様々な施策が展開されてまいりました。
私も、二〇一五年には、当時の安倍内閣総理大臣の下で開催されました、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議に委員として参画させていただき、地方空港の活性化や国立公園の商業利用の拡大など、意見を申し述べさせていただきました。二〇三〇年に訪日外国人客を六千万人にする、国の壮大な構想を実感し、思わず背筋が伸びたことが思い出されます。
これらを受けまして、宿泊業界でも訪日客の増加を見込み、快適な観光をお楽しみいただけるよう、受入れ体制の充実を図ってまいりました。WiFiなど通信環境を整備したり、情報提供面でもホームページの多言語化やキャッシュレス決済の導入など、多くの施設で取組を進めた結果、滞在時の利便性は大きく高まったのではないかと思っております。政府のインバウンド振興策と相まって、地域の魅力の磨き上げも進み、地方の消費拡大にも大いに寄与できたのではないかと実感しています。
このような取組の中で、この二十年の間、大規模地震や火山噴火、台風や豪雨などの自然災害に加えて、国際関係、経済情勢などの変化により、観光立国の動きにおいては浮き沈みがありましたが、昨年の訪日外国人数は、二〇〇三年当時の五百二十万人から、その七倍に相当する三千六百八十七万人にも達し、往時を知る者としては隔世の感を禁じ得ません。
一方で、こうした観光立国の流れの中で、私ども宿泊業界は、必ずしも順風満帆であったわけではありません。
先ほど申し上げた自然災害では、東日本大震災、北海道胆振東部地震、熊本地震、そして、一年を経過した能登半島地震など、幾つもの災害を経験しています。能登半島地震につきましては、この後、改めて申し述べさせていただきます。
また、何といっても二〇二〇年から三年もの長きにわたる新型コロナウイルスによる人流抑制の影響は、宿泊業の経営に大きな打撃を与えるものとなりました。今に至るまで、その影響を引きずっております。これまでの様々な危機の中でも、特別のダメージを受け、私自身、もう旅館を続けられないのではと覚悟をしたときもあります。実際、経営から撤退した事業者も多く、今年度においても、長い歴史を持った名門の宿泊施設の廃業や譲渡が続いております。
宿泊施設は装置産業と言われ、定期的なリニューアルのための設備投資が必要であり、過去より一定の負債を有しておりましたが、コロナ禍により、過大な有利子負債を抱えることになりました。二〇一三年の耐震改修促進法の改正により、多額の費用をかけた耐震補強工事を終え、さあこれからというときに発生したコロナ禍により、更なる借入れを余儀なくされました。コロナ禍に苦しんだ令和四年度決算に関して会員にアンケートを取ったところ、約四割の会員が債務超過に陥っておりました。
コロナ禍の危機状況の中、GoToトラベルなどの旅行支援策を様々な御意見がある中で強力に推し進めていただいたおかげで、人流が完全に途絶えたどん底の状態から短期間で回復してくることができました。この施策がなければ、日本の観光産業は間違いなく沈没していたのではないかと今でも思っております。心より深く感謝を申し上げます。
昨今の旅行需要の回復によって直近のキャッシュフローは好転してきましたが、ストックとして過大に累積した債務は短期間の好調だけでは正常化できません。大手で構成される日本ホテル協会の発表でも、会員平均、コロナ禍三年で四十三年分の負債を負ったと発表がありました。是非とも、息の長い御支援をお願いしたく存じます。
コロナ禍の間、私ども業界は、経営維持のための運転資金の確保と旅行需要喚起策の早期実施を重点的に活動してまいりました。
特に、従業員の雇用継続を図るための雇用調整助成金の充実や、金融面でも、コロナ対策としてのゼロゼロ融資や資本性劣後ローンなどの融資枠の拡大、期限の延長等、生き残るための支援の充実を図っていただきました。大変ありがたいことと感謝をしております。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、いまだにコロナ禍の影響を引きずっている宿泊施設も多く、そうした施設には融資返済に係る負担軽減などの御支援をよろしくお願いしたいと思います。
また、コロナ期間から実施されてきました既存観光地の高付加価値化事業については、政府において地域の要望を受け止めていただき、様々な改善を行っていただきました。これらの事業で、観光地の中核である旅館は、長らく更新できなかった施設の高付加価値化へのリニューアルを進めることができました。
しかし、旅館だけがよくなっても温泉地の魅力は高まりません。旅館に加えて、土産店や周辺の観光施設への支援拡充により、地域全体としての魅力を高めることができ、現在のインバウンド復活の備えになりました。
この高付加価値化補助事業については、単に宿泊施設の改修にとどまらず、地域全体の持続可能な観光地経営に資する非常に有用な施策であると考えます。コロナ禍で出遅れてしまった多くの地域がこの存続を切望しており、引き続き継続的な実施をお願いしたく存じます。
続きまして、昨年一月に発生しました能登半島地震について申し上げます。
既に発生から一年以上が経過しましたが、能登地域における復旧復興の状況は遅々として進んでおらず、和倉温泉、輪島地区、その他、能登半島所在の多くの施設が休業を余儀なくされ、いまだ復旧のめども立っておりません。
私も、昨年、現地を訪れた際に被害の深刻さを目の当たりにしました。今なお、和倉地区二十九宿泊施設で完全営業できているのは四施設のみです。復旧復興には長い道のりが控えておりますが、再びにぎわいを取り戻すまで、これはまさに官民挙げて取組を行っていかなければならないと改めて痛感をいたしております。
多くの被災した施設は、コロナ融資により過剰債務の問題を抱えています。
既に返済を開始したところ、あるいは近々に返済開始を迎えますが、コロナ禍に加え、能登半島地震で壊滅的な被害を受け、加えて豪雨災害など度重なる災難が続き、地域の復興までには相当の期間が必要と考えます。是非とも、円滑な借換えや返済条件の緩和など、より一層の御尽力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、インバウンドが過去最高になったことによる弊害、オーバーツーリズムについて申し上げます。
インバウンド復活の状況は、数字の上でもはっきりと見て取れますが、首都圏や大都市圏以外の地域では、まだその恩恵を享受できていない地域も多々あります。地域間格差や業態間格差がますます広がっていると言わざるを得ません。
私ども旅館協会では、会員に対する宿泊人数調査のアンケートを県別、エリア別に毎月実施しています。その推移を見ますと、本年一月に入っても、例えば北海道では、ジェット燃料の供給体制の課題もあり、コロナ前と比べて二〇%減といった状況が続いております。
観光庁におかれましても、地方への誘客分散化に向けた取組が行われているところですが、私どもは、機会があるたびに、ダイレクトインバウンドということを申し上げております。オーバーツーリズム回避のためにも、海外から地方に直接来ていただくこと、これが重要であります。二〇一五年の、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議では、地方空港の活性化ということを申し上げましたが、改めて、その必要性を痛感しているところです。
コロナ禍を経ても、国は、二〇三〇年、インバウンド六千万人、消費額十五兆円の目標を継続して掲げてくれています。
基幹空港のキャパシティーに限界が見えており、大きな目標を実現していくためには、全国津々浦々にインバウンドの恩恵を広げる必要があります。もちろん、これには、CIQや検疫体制、グランドハンドリングの問題に加え、空港からのアクセスの問題、二次交通などの情報を束ねる観光型MaaSの推進など、様々な解決すべき課題があると承知しております。
個々の自治体や企業だけではその解決は難しいと考えられ、国として早急な体制整備が必要ではないかと強く要望するところであります。
続きまして、日本の観光の更なる魅力向上について申し上げます。
日本には、いまだ日本人の気づいていない観光資源が豊富にあります。こうした他の国では楽しむことのできない日本観光の魅力を更に磨き上げ、伸ばしていく必要があると考えます。この点、日本の豊かな自然環境を生かしたアドベンチャーツーリズムという旅行形態もあります。これは世界でも七十兆円の市場規模があるとされており、SDGsの観点からも推奨されて、今後大きく伸びる可能性を秘めた有望市場だと思っています。
是非、こうした伸び代のある観光市場の拡大に向けた取組にも御理解を賜りたいと存じます。
また、宿泊業界も、こうした日本の魅力を提供する重要な役割を担っています。四季折々の季節を感じ、雄大な自然の下、その土地土地で育まれた歴史に思いをはせ、また、祭りや伝統文化、そして温泉文化に触れ、その地域でしか味わえない食を体験することができます。
こうした日本の魅力を伝える観光拠点である旅館、そして温泉観光地を大切に守っていきたいと思っています。
特に、温泉文化についてつけ加えさせていただきますと、多くの国会議員の先生にも御協力いただき、現在、観光業界が中心となり、温泉文化を世界ブランドにすること、温泉文化のユネスコ世界無形文化遺産登録に向け、運動を推進しております。二〇二六年の国内候補決定、二〇二八年のユネスコ登録を目指しておりますが、実現の暁には、インバウンド推進に大きな力になると確信しております。
以上のようなツーリズムの在り方を進めていくためには、私ども業界を取り巻く問題、例えば、人手不足への対応、DX化、ユニバーサルツーリズムへの対応など、課題がいろいろとあるところです。
人手不足が各産業とも深刻ですが、とりわけ観光産業のうち宿泊業については改善の兆しが見えておりません。再び夢のある観光産業になるためには、各事業者が給与水準を含めた労働環境の改善に全力を尽くすことが重要だと考えております。外国人の雇用制度につきましても、手続の円滑化など制度の改善に御配慮いただけますと、インバウンド対策だけではなく、強力な人手不足対策につながると思っております。
さらに、宿泊業においては、主に現業部門で人手不足が顕著で、中でも調理部門では調理師の確保が難しく、とりわけ和食の調理人が足りないとされております。旅館における和食の提供という重要な役割が果たせなくなってしまうのではないかと危機感を抱いております。ガストロノミー文化が浸透するフランスや南欧のように、調理師の地位を高め、国立の養成機関の設立や様々な料理人コンペティションを通じて認知を広める必要があると考えております。
最後になりますが、目標年次である二〇三〇年まで五年を切りました。私ども業界はもちろんのこと、観光産業全体として目標達成に向けた取組を着実に進めてまいる所存でございます。その推進に当たっての観光予算につきまして、引き続き戦略的な確保をお願い申し上げ、私の発言とさせていただきます。
本日は、御清聴ありがとうございました。拍手
安
田
田中熙巳#10
○田中公述人 御紹介いただきました、日本原水爆被害者団体協議会の代表委員をしておる田中熙巳でございます。
日本被団協の代表委員は、実は三人おります。一人は最初に原爆が投下された広島、それから二発目が投下された長崎、この会から一人ずつ代表委員が出ておりまして、そのほかに、中央で議員さんとか政府とかと折衝をしなくてはいけないことがたくさんありますので、中央に一人の代表委員を置くということになっておりまして、私がその役を負っております。
日本被団協は、どういう組織かというのは御存じだと思いますけれども、一九四五年の八月六日と九日に広島と長崎で原爆の被災者、それから、その後も、救援に入った人たちも放射線の被害を受けておりますので、そういう人たちも含めまして、各県に所在する被爆者がそれぞれ各県に会をつくっているんですね。その被爆者団体の協議体として今まで仕事をしてきたのが日本被団協でございます。
この度、二〇二四年度のノーベル平和賞を私どもの会が受賞させていただきまして、たくさんのお祝いをいただきまして、どうもありがとうございました。
昨年の受賞は、私どもはもうほとんど期待しておりませんでした。それは、もう何回も実は候補になったことがありまして、よく言いますけれども、一九八五年から始まるんですけれども、八五年とか九五年とか二〇〇五年とかという、五がついた年に有力候補に挙がっていたんですね。その三回とも駄目でありました。次はいつになるかというふうに思っておりましたら、一五年が全く関係のない組織だったので、ああ、いよいよもう核兵器関係の団体は何か難しくなったのかなというふうに思っておりました。
ところが、二〇一七年のノーベル平和賞はICANという組織が受賞しました。ICANというのは、日本語に直すと、核兵器廃絶を目指す国際キャンペーン、国際運動ですかね、という団体でありますけれども、日本被団協よりはるかに遅くできました、二〇〇七年に結成された団体なんですね。しかも、その組織は、各国の、非常にロビー活動の達者なと言ったら悪いかもしれませんけれども、達者な人たちがメンバーになっております。そのICANが、非常に大きな活動をやりまして、二〇一七年に、私たちが長い間運動して望んできた核兵器禁止条約を国連で採択させるわけですね。その功績をノーベル平和委員会は認めて、二〇一七年のノーベル平和賞を受賞させたというふうに私どもは思いました。
それはいいことだと思ったんですけれども、ICANが受賞する、だとすれば、日本被団協はもっと前からもっと国際的な大きな運動をしてきたのですから、日本被団協も中に入っておかしくはないと思ったところが、入らなかったんですね。
なぜ入らなかったかと詮索をいたしました。私が到達したのは、ノルウェーは実は、御承知だと思いますけれども、NATOに加盟している、アメリカとの同盟国なわけですね。だから、アメリカの核の抑止力に頼って自国の防衛を支えているということになっている国であります。それでも、ノーベル平和賞を選定することを委ねられている国なんですけれども。二〇一七年に気がつきましたのは、日本被団協というのは、アメリカが投下した原爆の被害を受けた者たちが集まって、核兵器は絶対に使ってはいけない、持ってもいけない、造ってもいけないということをずっと要求してきた運動体なものですから、アメリカに対する気兼ね、忖度が働いてきたんじゃないかというふうに思いました。
ですから、それ以降も、日本被団協がノーベル平和賞を受賞することはあり得ないというふうに私どもは考えてしまったんですね。それが、昨年の十月十一日の日にいきなり日本原水爆被害者団体協議会が受賞すると発表されたものですから、本当にびっくりいたしました。
選考したノーベル委員会の選考内容を見ますと、本当に感動いたしました。というのは、これからお話ししますけれども、私どもの会が、八十年間ではないんですね、七十年近くになります、六十八年ぐらいになるんですけれども、その長い間どういう活動をやってきたか、核兵器を使わせないためにどういう活動をやってきたかということをよく調べておりました。それから、よく調べておりますということの中身に、一つは、私どもの会が、被爆後八十年たっているけれども、まだ六十八年、十年の運動がない、十年間運動できなかったということをきちんと押さえておられたんですね。
それで、私どもが本当につらい思いをしながら、全国あるいは世界中に回って核兵器の非人道性を具体的に訴えるという運動をやってきたんだ、その被爆者たちの本当に血のにじむような運動が核のタブーを築き上げてきたんだというふうに委員長が言ってくれるんですね。核のタブーというのは、申し訳ないんだけれども、核兵器は使ってはならないという規範だ、それを長い間、原爆の被爆者たちはつくり上げてきた、その成果として、戦後八十年間、三回目の核兵器が使われてこなかった、広島、長崎で終わっていたということを高く評価したいと。
ところが、今日の情勢、特にロシアがウクライナを侵攻したときに、核兵器の使用もあり得るということをプーチン大統領は公言されているわけですね。ということは、それまで核のタブーとして、核兵器はもう使ってはいけないんだ、人道に反する兵器だということが国際的な規範になっていたのに、それが、超核大国の大統領が自ら使うこともあるということを言われる。そういう状況というのは非常に危険な状況だというのをノルウェーの委員会は気がついた、気がついたというのは変ですけれども、深く考えられたんですね。この状況をまた立て直していくには、長い間苦労して運動してきた日本被団協にノーベル平和賞を与えるときではないかというふうに考えたんだというふうに思います。それはそう言っているわけではないので、私がそういうふうに。
それが二〇二四年なわけですね。二〇二五年でないわけです。先ほど申しましたように、五、五、五とつく年で、二〇二五年というのは今年ですね。
実は、最後のときに委員の一人から言われたのは、二〇〇五年に授賞しようかというふうに考えた。それは、日本被団協が今まで候補になってきたのは五がつく年だった、ほとんど。来年は二〇二五年だから、来年授賞しようというふうに考えたけれども、今の核の情勢から考えると、来年じゃ遅いかもしれない。だから、今年授賞して、そして、日本はもちろんそうですけれども、世界中の核兵器の廃絶の運動を強めないといけない。そのためには、やはり、高齢化しているけれども、日本の被爆者の証言をもっともっと世界中に広げていく必要があるというふうに考えたんだというふうにおっしゃいました。そこまでノーベル賞の委員会は深い考慮をされて私たちを選んでくれたということを、大変うれしく思いました。
授賞式に出ることになって、ノーベル賞をもらうわけですけれども、受賞講演を代表がしなくちゃいけないものですから、私が受賞講演をすることになりました。受賞講演は二十分だけしか時間がないものですから、ちょうどこの委員会と同じ、二十分しかないものですから、二十分で世界の人たちに本当に感銘を受けていただいて、そして、やらなくちゃいけないなということで、核兵器を使わないようにする、なくすために考える、運動するということは訴えることができるかという不安があったわけですけれども、頑張って二十分で話すことにいたしました。
最初に、まず日本被団協というのは何をしたかということを簡単に説明しておかないと、あとの十数分の話がぼやけてしまってはいけないというふうに思いまして、私は、日本被団協というのは、先ほど申しましたように、各県の被爆者の団体の集まりでありますけれども、しかも、被爆後十年間、被爆者たちが声を出すことができなかったというつらい思いを経た後に、一九五六年に結成している団体なわけですね。
その一九五六年というのは、戦後十一年目なんです。なぜかというのは、その前の七年間は占領下になるわけですね、日本は。その占領下は、原爆の被爆者たちは被害の状況を口外してはいけなかった、それから文書にしてもいけなかったんですね。ですから、大変な被害を受けて経済的にも身体的にも苦しんでいたんですけれども、じっとその七年間は耐えなくてはいけなかった。
解放されて今度三年は、政府は、被爆者だけの問題じゃない、大変な被害者がいっぱいいるんだということで、被爆者をほとんど放置してしまったということを含めて、十年間、政府からは何もしてもらえなかったという歴史を持っております。
それがなぜ十年後というのは、もう説明いたしましたように、ビキニの水爆被害があって、そして、日本全国が放射線の恐ろしさ、核兵器の恐ろしさを知って、広島と長崎にかつて十年前に投下された、そしてその被害者がいるということが分かったということであります。
そこから運動が始まるんですけれども、それから始めてきた運動の基本は何かというのを最初に言っているわけです。それは基本的に二つありますと。
一つは、戦争は国が起こすものだから、その戦争によって国民、市民に被害が生じた場合には、それは国が責任を負わないといけないんですということを、結成して以来、今日までずっと要求し続けて、叫び続けてきたわけですね。それはまた、もうちょっと後で詳しく。
それからもう一つは、自分たちの苦しみは、具体的には放射線による被害だとか経済的な苦しみだとかそういうのがありますので、それは日本の政府に要請をして、そして立法してもらって、財政的にもその負担をしてもらって、救援してもらうというような運動であります。その二つの要求を基本要求というふうにして取り組んできましたと。
もう一つは、核兵器もそうですね。核兵器は非人道的な兵器なので、これは絶対に使ってはいけないし、造ってもいけないし、持ってもいけないというのが体験した被爆者たちの強い願いなわけですね。それを、国内はもちろんのこと、国際的に訴えていかなくちゃいけないという、自分たちの健康上、生活上の被害に対する償いと、それから世界に対する核兵器を使わせない、造らせないという核兵器廃絶の運動の二つが私たちの基本的な運動だということであります。
その次に、私の体験をやはりしゃべらなくちゃいけないということで、体験を入れました。軍国少年の十三歳だったんですけれども、比較的遠距離だったのでほとんどけがをしないで済んだんですけれども、母子家庭であった私の家庭を支えてくれた伯母たちの所帯が二所帯、爆心地に近いところに住んでいましたので、この五人が亡くなってしまったんですね、一遍に。それで経済的に支える人たちがいなくなったという体験をしておりますけれども、これは話せないほど長くなるので。
そういう体験の中で、核兵器がいかに残忍かということを本当に十三歳の少年ながら目撃して、たとえ戦争といえども、軍国少年ですから戦争は容認していたわけですけれども、戦争といえども、こういう殺し方をしてはいけない、こういう傷つけ方をしてはいけないとそのときに深く私の心に刻んだ、それが今日までの私の行動になってきているわけであります。
そういう運動をずっとやってきたわけですけれども、最初に申しました、原爆の被害は国が負わなくてはいけないんだということを要求していく中で、国側の考え方が出されるわけですね。それは、国を挙げての戦争で国民の被害が出ても、それはひとしく受忍しなければいけないんだ、生命、身体、財産のいずれにわたっても、その被害を受忍しないといけないんだということが、公然といいますか、公的な文書として書かれるわけです。そこで私どもが気づいたのは、原爆の被害は我慢しないといけない被害だったのか、これは絶対認めるわけにはいかないということで、それを受忍論と私どもは言うんですけれども、受忍論は間違っているということをずっと唱えて今日まで来ているわけであります。
そういうことを含めまして、先ほど申しました二つの基本要求というのはどういうものであるかというのを、一九八四年に文書を作るんですが、八五年に確立をいたします。その文書を皆さんのお手元に配っておりますので、お読みいただければありがたいと思っております。
しかしながら、私たちの健康の問題、生活の問題についてはずっと政府に要求し、議会にも要求をして、法律を作って、特に大きな二つの、原爆被害者の医療に関する法律、それから特別措置法という手当等を含んだ生活に関する法律を作って援護してきたんですけれども、残念ながら、原爆の市民の死没者というのは数十万いるんですね。その数十万人の死没者に対する償いといいますか、国家補償と私どもは言っておりますけれども、国の手だては全く今まで来ていないんですね。だから、そのことをやるべきだということは今日も要求しておりまして、そのことが今もできていないというのを、あらかじめ提出した原稿になかったことを私が半ばで差し込んだというのが、もう一度繰り返しますということで、死者は全く今も償われておりませんということを言いました。
恨みつらみを言うわけではないんです。これからの戦争は多くの市民の犠牲が必ず出る、もうそういう戦争だ、兵隊さんだけがどこかに行ってやる戦争ではないと思うんです。そういう場合に、市民はそれでもやはり我慢しないといけないというふうに置かれるようでは、本当に国を守ることにはならないと私どもは信じております。
ですから、核抑止論というのは核兵器を使うということを前提にしておりますから、私どもは、核抑止論は間違っておりますよ、核兵器は使っちゃいけないという考え方でやらなければ、核兵器を使われたときの被害というのは何十万人という死傷者を出すわけですから、そういう被害に対して国が財政的に本当に責任を持てるのかどうかということが大事だと思います。
ですから、ここ数年、国防予算が増えてきておりますけれども、軍備費の増強は一生懸命考えていらっしゃるようでございますけれども、戦争で出てきた被害、特に市民の被害はどうするのかということはほとんど語られていないんですね、今までの国会の中でも。だから、是非今日は、参考人としてお話しする機会をいただきましたので、戦争は軍備だけで行われるのではなくて、市民も加わってやるんだ、特にこれからの戦争は市民の被害が一番大きいんだ、それに対して我慢をさせるというままの国防というのは、絶対、制度上も法制上も誤っているということを強調させていただきたくて、この機会を与えていただきました。
時間が参りましたので、これで終わりにいたします。是非、御検討いただきたいと思います。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →日本被団協の代表委員は、実は三人おります。一人は最初に原爆が投下された広島、それから二発目が投下された長崎、この会から一人ずつ代表委員が出ておりまして、そのほかに、中央で議員さんとか政府とかと折衝をしなくてはいけないことがたくさんありますので、中央に一人の代表委員を置くということになっておりまして、私がその役を負っております。
日本被団協は、どういう組織かというのは御存じだと思いますけれども、一九四五年の八月六日と九日に広島と長崎で原爆の被災者、それから、その後も、救援に入った人たちも放射線の被害を受けておりますので、そういう人たちも含めまして、各県に所在する被爆者がそれぞれ各県に会をつくっているんですね。その被爆者団体の協議体として今まで仕事をしてきたのが日本被団協でございます。
この度、二〇二四年度のノーベル平和賞を私どもの会が受賞させていただきまして、たくさんのお祝いをいただきまして、どうもありがとうございました。
昨年の受賞は、私どもはもうほとんど期待しておりませんでした。それは、もう何回も実は候補になったことがありまして、よく言いますけれども、一九八五年から始まるんですけれども、八五年とか九五年とか二〇〇五年とかという、五がついた年に有力候補に挙がっていたんですね。その三回とも駄目でありました。次はいつになるかというふうに思っておりましたら、一五年が全く関係のない組織だったので、ああ、いよいよもう核兵器関係の団体は何か難しくなったのかなというふうに思っておりました。
ところが、二〇一七年のノーベル平和賞はICANという組織が受賞しました。ICANというのは、日本語に直すと、核兵器廃絶を目指す国際キャンペーン、国際運動ですかね、という団体でありますけれども、日本被団協よりはるかに遅くできました、二〇〇七年に結成された団体なんですね。しかも、その組織は、各国の、非常にロビー活動の達者なと言ったら悪いかもしれませんけれども、達者な人たちがメンバーになっております。そのICANが、非常に大きな活動をやりまして、二〇一七年に、私たちが長い間運動して望んできた核兵器禁止条約を国連で採択させるわけですね。その功績をノーベル平和委員会は認めて、二〇一七年のノーベル平和賞を受賞させたというふうに私どもは思いました。
それはいいことだと思ったんですけれども、ICANが受賞する、だとすれば、日本被団協はもっと前からもっと国際的な大きな運動をしてきたのですから、日本被団協も中に入っておかしくはないと思ったところが、入らなかったんですね。
なぜ入らなかったかと詮索をいたしました。私が到達したのは、ノルウェーは実は、御承知だと思いますけれども、NATOに加盟している、アメリカとの同盟国なわけですね。だから、アメリカの核の抑止力に頼って自国の防衛を支えているということになっている国であります。それでも、ノーベル平和賞を選定することを委ねられている国なんですけれども。二〇一七年に気がつきましたのは、日本被団協というのは、アメリカが投下した原爆の被害を受けた者たちが集まって、核兵器は絶対に使ってはいけない、持ってもいけない、造ってもいけないということをずっと要求してきた運動体なものですから、アメリカに対する気兼ね、忖度が働いてきたんじゃないかというふうに思いました。
ですから、それ以降も、日本被団協がノーベル平和賞を受賞することはあり得ないというふうに私どもは考えてしまったんですね。それが、昨年の十月十一日の日にいきなり日本原水爆被害者団体協議会が受賞すると発表されたものですから、本当にびっくりいたしました。
選考したノーベル委員会の選考内容を見ますと、本当に感動いたしました。というのは、これからお話ししますけれども、私どもの会が、八十年間ではないんですね、七十年近くになります、六十八年ぐらいになるんですけれども、その長い間どういう活動をやってきたか、核兵器を使わせないためにどういう活動をやってきたかということをよく調べておりました。それから、よく調べておりますということの中身に、一つは、私どもの会が、被爆後八十年たっているけれども、まだ六十八年、十年の運動がない、十年間運動できなかったということをきちんと押さえておられたんですね。
それで、私どもが本当につらい思いをしながら、全国あるいは世界中に回って核兵器の非人道性を具体的に訴えるという運動をやってきたんだ、その被爆者たちの本当に血のにじむような運動が核のタブーを築き上げてきたんだというふうに委員長が言ってくれるんですね。核のタブーというのは、申し訳ないんだけれども、核兵器は使ってはならないという規範だ、それを長い間、原爆の被爆者たちはつくり上げてきた、その成果として、戦後八十年間、三回目の核兵器が使われてこなかった、広島、長崎で終わっていたということを高く評価したいと。
ところが、今日の情勢、特にロシアがウクライナを侵攻したときに、核兵器の使用もあり得るということをプーチン大統領は公言されているわけですね。ということは、それまで核のタブーとして、核兵器はもう使ってはいけないんだ、人道に反する兵器だということが国際的な規範になっていたのに、それが、超核大国の大統領が自ら使うこともあるということを言われる。そういう状況というのは非常に危険な状況だというのをノルウェーの委員会は気がついた、気がついたというのは変ですけれども、深く考えられたんですね。この状況をまた立て直していくには、長い間苦労して運動してきた日本被団協にノーベル平和賞を与えるときではないかというふうに考えたんだというふうに思います。それはそう言っているわけではないので、私がそういうふうに。
それが二〇二四年なわけですね。二〇二五年でないわけです。先ほど申しましたように、五、五、五とつく年で、二〇二五年というのは今年ですね。
実は、最後のときに委員の一人から言われたのは、二〇〇五年に授賞しようかというふうに考えた。それは、日本被団協が今まで候補になってきたのは五がつく年だった、ほとんど。来年は二〇二五年だから、来年授賞しようというふうに考えたけれども、今の核の情勢から考えると、来年じゃ遅いかもしれない。だから、今年授賞して、そして、日本はもちろんそうですけれども、世界中の核兵器の廃絶の運動を強めないといけない。そのためには、やはり、高齢化しているけれども、日本の被爆者の証言をもっともっと世界中に広げていく必要があるというふうに考えたんだというふうにおっしゃいました。そこまでノーベル賞の委員会は深い考慮をされて私たちを選んでくれたということを、大変うれしく思いました。
授賞式に出ることになって、ノーベル賞をもらうわけですけれども、受賞講演を代表がしなくちゃいけないものですから、私が受賞講演をすることになりました。受賞講演は二十分だけしか時間がないものですから、ちょうどこの委員会と同じ、二十分しかないものですから、二十分で世界の人たちに本当に感銘を受けていただいて、そして、やらなくちゃいけないなということで、核兵器を使わないようにする、なくすために考える、運動するということは訴えることができるかという不安があったわけですけれども、頑張って二十分で話すことにいたしました。
最初に、まず日本被団協というのは何をしたかということを簡単に説明しておかないと、あとの十数分の話がぼやけてしまってはいけないというふうに思いまして、私は、日本被団協というのは、先ほど申しましたように、各県の被爆者の団体の集まりでありますけれども、しかも、被爆後十年間、被爆者たちが声を出すことができなかったというつらい思いを経た後に、一九五六年に結成している団体なわけですね。
その一九五六年というのは、戦後十一年目なんです。なぜかというのは、その前の七年間は占領下になるわけですね、日本は。その占領下は、原爆の被爆者たちは被害の状況を口外してはいけなかった、それから文書にしてもいけなかったんですね。ですから、大変な被害を受けて経済的にも身体的にも苦しんでいたんですけれども、じっとその七年間は耐えなくてはいけなかった。
解放されて今度三年は、政府は、被爆者だけの問題じゃない、大変な被害者がいっぱいいるんだということで、被爆者をほとんど放置してしまったということを含めて、十年間、政府からは何もしてもらえなかったという歴史を持っております。
それがなぜ十年後というのは、もう説明いたしましたように、ビキニの水爆被害があって、そして、日本全国が放射線の恐ろしさ、核兵器の恐ろしさを知って、広島と長崎にかつて十年前に投下された、そしてその被害者がいるということが分かったということであります。
そこから運動が始まるんですけれども、それから始めてきた運動の基本は何かというのを最初に言っているわけです。それは基本的に二つありますと。
一つは、戦争は国が起こすものだから、その戦争によって国民、市民に被害が生じた場合には、それは国が責任を負わないといけないんですということを、結成して以来、今日までずっと要求し続けて、叫び続けてきたわけですね。それはまた、もうちょっと後で詳しく。
それからもう一つは、自分たちの苦しみは、具体的には放射線による被害だとか経済的な苦しみだとかそういうのがありますので、それは日本の政府に要請をして、そして立法してもらって、財政的にもその負担をしてもらって、救援してもらうというような運動であります。その二つの要求を基本要求というふうにして取り組んできましたと。
もう一つは、核兵器もそうですね。核兵器は非人道的な兵器なので、これは絶対に使ってはいけないし、造ってもいけないし、持ってもいけないというのが体験した被爆者たちの強い願いなわけですね。それを、国内はもちろんのこと、国際的に訴えていかなくちゃいけないという、自分たちの健康上、生活上の被害に対する償いと、それから世界に対する核兵器を使わせない、造らせないという核兵器廃絶の運動の二つが私たちの基本的な運動だということであります。
その次に、私の体験をやはりしゃべらなくちゃいけないということで、体験を入れました。軍国少年の十三歳だったんですけれども、比較的遠距離だったのでほとんどけがをしないで済んだんですけれども、母子家庭であった私の家庭を支えてくれた伯母たちの所帯が二所帯、爆心地に近いところに住んでいましたので、この五人が亡くなってしまったんですね、一遍に。それで経済的に支える人たちがいなくなったという体験をしておりますけれども、これは話せないほど長くなるので。
そういう体験の中で、核兵器がいかに残忍かということを本当に十三歳の少年ながら目撃して、たとえ戦争といえども、軍国少年ですから戦争は容認していたわけですけれども、戦争といえども、こういう殺し方をしてはいけない、こういう傷つけ方をしてはいけないとそのときに深く私の心に刻んだ、それが今日までの私の行動になってきているわけであります。
そういう運動をずっとやってきたわけですけれども、最初に申しました、原爆の被害は国が負わなくてはいけないんだということを要求していく中で、国側の考え方が出されるわけですね。それは、国を挙げての戦争で国民の被害が出ても、それはひとしく受忍しなければいけないんだ、生命、身体、財産のいずれにわたっても、その被害を受忍しないといけないんだということが、公然といいますか、公的な文書として書かれるわけです。そこで私どもが気づいたのは、原爆の被害は我慢しないといけない被害だったのか、これは絶対認めるわけにはいかないということで、それを受忍論と私どもは言うんですけれども、受忍論は間違っているということをずっと唱えて今日まで来ているわけであります。
そういうことを含めまして、先ほど申しました二つの基本要求というのはどういうものであるかというのを、一九八四年に文書を作るんですが、八五年に確立をいたします。その文書を皆さんのお手元に配っておりますので、お読みいただければありがたいと思っております。
しかしながら、私たちの健康の問題、生活の問題についてはずっと政府に要求し、議会にも要求をして、法律を作って、特に大きな二つの、原爆被害者の医療に関する法律、それから特別措置法という手当等を含んだ生活に関する法律を作って援護してきたんですけれども、残念ながら、原爆の市民の死没者というのは数十万いるんですね。その数十万人の死没者に対する償いといいますか、国家補償と私どもは言っておりますけれども、国の手だては全く今まで来ていないんですね。だから、そのことをやるべきだということは今日も要求しておりまして、そのことが今もできていないというのを、あらかじめ提出した原稿になかったことを私が半ばで差し込んだというのが、もう一度繰り返しますということで、死者は全く今も償われておりませんということを言いました。
恨みつらみを言うわけではないんです。これからの戦争は多くの市民の犠牲が必ず出る、もうそういう戦争だ、兵隊さんだけがどこかに行ってやる戦争ではないと思うんです。そういう場合に、市民はそれでもやはり我慢しないといけないというふうに置かれるようでは、本当に国を守ることにはならないと私どもは信じております。
ですから、核抑止論というのは核兵器を使うということを前提にしておりますから、私どもは、核抑止論は間違っておりますよ、核兵器は使っちゃいけないという考え方でやらなければ、核兵器を使われたときの被害というのは何十万人という死傷者を出すわけですから、そういう被害に対して国が財政的に本当に責任を持てるのかどうかということが大事だと思います。
ですから、ここ数年、国防予算が増えてきておりますけれども、軍備費の増強は一生懸命考えていらっしゃるようでございますけれども、戦争で出てきた被害、特に市民の被害はどうするのかということはほとんど語られていないんですね、今までの国会の中でも。だから、是非今日は、参考人としてお話しする機会をいただきましたので、戦争は軍備だけで行われるのではなくて、市民も加わってやるんだ、特にこれからの戦争は市民の被害が一番大きいんだ、それに対して我慢をさせるというままの国防というのは、絶対、制度上も法制上も誤っているということを強調させていただきたくて、この機会を与えていただきました。
時間が参りましたので、これで終わりにいたします。是非、御検討いただきたいと思います。
どうもありがとうございました。拍手
安
安
古
古賀篤#13
○古賀委員 自由民主党の古賀篤でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
まず、四人の公述人の皆様方に貴重なお話をいただきましたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
河村様におかれましては、本当に、持続可能な財政について熱く語っていただきました。後ほどまた幾つか伺わせていただきたいと思っております。
また、渡辺様には、金融、賃上げ、また物価についての御高配を賜ったところでございます。また幾つか伺わせていただきたいと思っているところであります。
大西様におかれましては、観光、それから宿泊、特に旅館でありますね、貴重なお話をいただいたと思っております。コロナの中で、雇調金を始め様々な支援策があった、その中で、やはり、非常に、まだ続けるべき、支援をさせていただくべきものがあるということを再認識させていただきましたし、能登半島、地震からもう一年たちますけれども、和倉の復興がまだまだだということは十分承知をいたしておりますが、改めて御指摘いただいたところでもあります。インバウンドを始め、観光業が発展していくために必要な政策があるんだということも、またいろいろな機会をいただきまして伺わせていただければと思います。
我が自民党におきましても、この能登半島地震、決して忘れておりませんので、引き続き、観光を中心に和倉が復活できるように、私も自民党の一員としてしっかり支援させていただきたいと、この場をかりましてお約束させていただきたいと思います。
そして、田中公述人には、本当に貴重なお話をいただきました。長年にわたって、被団協を始め被爆団体の皆様方、被爆者の皆様方が長年取り組まれた評価が、今回のノーベル平和賞だったんだというふうに再認識したところでありますし、心からお祝いを申し上げたいと思います。戦争はしてはいけないんだ、やはり、国の責任、平和をしっかり守っていく、そのためにやることは何か、国会でも引き続き議論をさせていただきたいという思いでございます。本当にありがとうございます。
その上で、限られた時間でございますが、まず、河村公述人に一点お伺いしたいと思います。
今日は資料を用意いただきましたが、利払い費が今後非常に大きな影響があるんだということを、数値を用いて教えていただきました。財政収支の均衡、なかなか簡単ではないな、ここまで財政の状況も悪化していると言われる中、簡単ではないと思いつつ伺っていたわけでありますが、新規国債発行をゼロにすることができれば、かなり状況はよくなってくるということでありますが、それも非常に高いハードルなんだなというふうに思っているところであります。
最後のページに、財政収支の均衡、黒字化、そして、そのために、今、三つ指摘をいただいておりますが、ちょっと振り返りますと、先ほどの観光の話も重なりますけれども、コロナ禍があっていろいろな財政支出があったわけであります。今、それがようやく収まって、財政当局としてはここでちょっと財政を、局面を変えてというところもあるんだと思いますが、一方で、先ほどお話を伺ったように、観光は、いろいろな深刻な状況になって、ここから先、まだまだ支援をしていく必要がある。当然それは観光に限られた話ではなくて、それぞれの分野が、人手不足もそうですし、状況が悪化している、あるいは、それがより早期に顕在化しているという局面があると思います。
そうした状況の中で、まだまだ財政に期待される部分があると思うんですけれども、そういった中で、今回、財政収支の均衡という御指摘をいただき、さらに、経済的な余裕のある方への負担、そして余裕のない方の軽減、こういうことも指摘いただいていますが、多分、応能負担というような部分だと思います。当然ながら、負担できるという捉え方としては、所得だけではなくて、ストックとしてどれぐらい財産をお持ちか、こういったことも、いろいろなことを踏まえてお願いしていく必要があるということだと思いますが、そういう今の置かれている経済状況ですとか社会の状況の中での財政収支について、御見解をちょっとお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕
この発言だけを見る →本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
まず、四人の公述人の皆様方に貴重なお話をいただきましたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
河村様におかれましては、本当に、持続可能な財政について熱く語っていただきました。後ほどまた幾つか伺わせていただきたいと思っております。
また、渡辺様には、金融、賃上げ、また物価についての御高配を賜ったところでございます。また幾つか伺わせていただきたいと思っているところであります。
大西様におかれましては、観光、それから宿泊、特に旅館でありますね、貴重なお話をいただいたと思っております。コロナの中で、雇調金を始め様々な支援策があった、その中で、やはり、非常に、まだ続けるべき、支援をさせていただくべきものがあるということを再認識させていただきましたし、能登半島、地震からもう一年たちますけれども、和倉の復興がまだまだだということは十分承知をいたしておりますが、改めて御指摘いただいたところでもあります。インバウンドを始め、観光業が発展していくために必要な政策があるんだということも、またいろいろな機会をいただきまして伺わせていただければと思います。
我が自民党におきましても、この能登半島地震、決して忘れておりませんので、引き続き、観光を中心に和倉が復活できるように、私も自民党の一員としてしっかり支援させていただきたいと、この場をかりましてお約束させていただきたいと思います。
そして、田中公述人には、本当に貴重なお話をいただきました。長年にわたって、被団協を始め被爆団体の皆様方、被爆者の皆様方が長年取り組まれた評価が、今回のノーベル平和賞だったんだというふうに再認識したところでありますし、心からお祝いを申し上げたいと思います。戦争はしてはいけないんだ、やはり、国の責任、平和をしっかり守っていく、そのためにやることは何か、国会でも引き続き議論をさせていただきたいという思いでございます。本当にありがとうございます。
その上で、限られた時間でございますが、まず、河村公述人に一点お伺いしたいと思います。
今日は資料を用意いただきましたが、利払い費が今後非常に大きな影響があるんだということを、数値を用いて教えていただきました。財政収支の均衡、なかなか簡単ではないな、ここまで財政の状況も悪化していると言われる中、簡単ではないと思いつつ伺っていたわけでありますが、新規国債発行をゼロにすることができれば、かなり状況はよくなってくるということでありますが、それも非常に高いハードルなんだなというふうに思っているところであります。
最後のページに、財政収支の均衡、黒字化、そして、そのために、今、三つ指摘をいただいておりますが、ちょっと振り返りますと、先ほどの観光の話も重なりますけれども、コロナ禍があっていろいろな財政支出があったわけであります。今、それがようやく収まって、財政当局としてはここでちょっと財政を、局面を変えてというところもあるんだと思いますが、一方で、先ほどお話を伺ったように、観光は、いろいろな深刻な状況になって、ここから先、まだまだ支援をしていく必要がある。当然それは観光に限られた話ではなくて、それぞれの分野が、人手不足もそうですし、状況が悪化している、あるいは、それがより早期に顕在化しているという局面があると思います。
そうした状況の中で、まだまだ財政に期待される部分があると思うんですけれども、そういった中で、今回、財政収支の均衡という御指摘をいただき、さらに、経済的な余裕のある方への負担、そして余裕のない方の軽減、こういうことも指摘いただいていますが、多分、応能負担というような部分だと思います。当然ながら、負担できるという捉え方としては、所得だけではなくて、ストックとしてどれぐらい財産をお持ちか、こういったことも、いろいろなことを踏まえてお願いしていく必要があるということだと思いますが、そういう今の置かれている経済状況ですとか社会の状況の中での財政収支について、御見解をちょっとお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕
河
河村小百合#14
○河村公述人 古賀先生、御質問くださってありがとうございます。お尋ねくださった点について、お答えさせていただきます。
先生も御指摘のとおり、確かに、財政収支の均衡、こんなような財政状況から、スタートから始めると大変なんですね。簡単なことじゃない。それは重々承知しております。
ただ、コロナ禍で、経済情勢、やはり業界によって大きく分かれたというのが、日本に限らず、世界全体としてもあったと思いますね。大変な業界があった。特に、やはり人と人との接触によってお仕事するような業界というのは、距離を置かなきゃいけないということがありましたから大変な打撃があった。観光業界しかり、旅館のお話、先ほど大西様からありましたし、それから飲食業界とか、本当に大変な業界があった。
だけれども、何かこの国ではそこばかり強調されて、実は陰で、あのコロナ禍のときにも業績絶好調の業界があったということが、なかなか余り世の中全体として認識できていなかったんじゃないのかなというふうに思います。デジタル関連であるとか。その後、ウクライナ侵攻があったりとかしたこともあって資源高になりましたよね。資源関係の企業さん、なかなかすごい、日本だって商社さんとかすごかったんじゃないですか、史上最高益が続出してというようなところがあった。
そのときに、先生がおっしゃってくださったような応能負担ということで、ほかの国はいろいろ、やはり、コロナでお金もかかる、対策もした、だけれども、その財源だってちゃんと確保しなきゃ駄目だということで、その応能負担を徹底するということで、そういうふうに物すごい、ぼろもうけに近いような感じで稼がれた業界に対して、普通の法人課税だけじゃなくて、上乗せするような、ウィンドフォール課税というふうな言い方をしますけれども、資源関係の企業に対して上乗せ課税するとか、そういうことをやっている国が欧米で結構ありますね。そういうところも考えること、そういう議論がちょっとこの国で出てこなかったのは非常に残念ではありますけれども。
やはり、日本としても、何もなすすべがないのではなくて、大変な方々、大変な業界には配慮もしながら、財政の大事な機能として、それを誰か負担できる余力のある方というのが、企業とかが日本でもいるはずなんですよね。いるのに、そこに対して、もう少し多めに負担をしていただくというその議論、合意形成をして、実際に負担をいただくという努力が少し足りなかったんじゃないのかなと。
ですから、これから先を見通していろいろやっていく上では、基本的には、やはり大変でも財政収支均衡を目指してやっていかなきゃいけないというふうに私は思っております。それは決してできない話ではなくて、きちんとやはり大変な方々には配慮しながらも、でも、余力のある方がそれなりにいますので、そういう方々にどういう形だったら負担していただけるか。
先ほど古賀先生が御指摘くださったように、一つ、やはり金融資産をどれだけ持っているか、そういうところも勘案した、いろいろ社会保障の関係での負担にもきちんと勘案してという議論、既に国の方でも少し始まっていると思いますけれども、そういったところをいろいろ考えながらやっていくということをやっていけば決して無理な話ではない。数年単位での慎重な計画を立てる必要はあると思いますが、決して無理な話ではなくて。
あと、もう一つ申し上げたいのは、私が最後に三つ目で申し上げたことなんですが、やはり、特に課税ベースのところなんですけれども、不公平が結構残っていると思いますね。今まですごく負担が軽減されているのに、見過ごされてきた方がいろいろいるんじゃないか。何か日の目が当たらないで済んできてしまった方がいるんじゃないか。
最近、「持続不可能な財政」というのを共著で書かせていただいたんですけれども、それを読んでくださった方から、こんな不公平があったなんて知らなかったというふうに、何人もの方から、いろいろな方、メディアの方とかも言われるときもありますし、そういうところにも是非スポットを当てて、きちんとみんなが公平な形で、納得できる形で、みんなが少しずつ負担を少し増やす、そして、余力のある方にはもう少し多めに負担していただくということで、大変な方々にも十分配慮しながら財政収支の均衡を目指していくことはできるんじゃないかなというふうに思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
この発言だけを見る →先生も御指摘のとおり、確かに、財政収支の均衡、こんなような財政状況から、スタートから始めると大変なんですね。簡単なことじゃない。それは重々承知しております。
ただ、コロナ禍で、経済情勢、やはり業界によって大きく分かれたというのが、日本に限らず、世界全体としてもあったと思いますね。大変な業界があった。特に、やはり人と人との接触によってお仕事するような業界というのは、距離を置かなきゃいけないということがありましたから大変な打撃があった。観光業界しかり、旅館のお話、先ほど大西様からありましたし、それから飲食業界とか、本当に大変な業界があった。
だけれども、何かこの国ではそこばかり強調されて、実は陰で、あのコロナ禍のときにも業績絶好調の業界があったということが、なかなか余り世の中全体として認識できていなかったんじゃないのかなというふうに思います。デジタル関連であるとか。その後、ウクライナ侵攻があったりとかしたこともあって資源高になりましたよね。資源関係の企業さん、なかなかすごい、日本だって商社さんとかすごかったんじゃないですか、史上最高益が続出してというようなところがあった。
そのときに、先生がおっしゃってくださったような応能負担ということで、ほかの国はいろいろ、やはり、コロナでお金もかかる、対策もした、だけれども、その財源だってちゃんと確保しなきゃ駄目だということで、その応能負担を徹底するということで、そういうふうに物すごい、ぼろもうけに近いような感じで稼がれた業界に対して、普通の法人課税だけじゃなくて、上乗せするような、ウィンドフォール課税というふうな言い方をしますけれども、資源関係の企業に対して上乗せ課税するとか、そういうことをやっている国が欧米で結構ありますね。そういうところも考えること、そういう議論がちょっとこの国で出てこなかったのは非常に残念ではありますけれども。
やはり、日本としても、何もなすすべがないのではなくて、大変な方々、大変な業界には配慮もしながら、財政の大事な機能として、それを誰か負担できる余力のある方というのが、企業とかが日本でもいるはずなんですよね。いるのに、そこに対して、もう少し多めに負担をしていただくというその議論、合意形成をして、実際に負担をいただくという努力が少し足りなかったんじゃないのかなと。
ですから、これから先を見通していろいろやっていく上では、基本的には、やはり大変でも財政収支均衡を目指してやっていかなきゃいけないというふうに私は思っております。それは決してできない話ではなくて、きちんとやはり大変な方々には配慮しながらも、でも、余力のある方がそれなりにいますので、そういう方々にどういう形だったら負担していただけるか。
先ほど古賀先生が御指摘くださったように、一つ、やはり金融資産をどれだけ持っているか、そういうところも勘案した、いろいろ社会保障の関係での負担にもきちんと勘案してという議論、既に国の方でも少し始まっていると思いますけれども、そういったところをいろいろ考えながらやっていくということをやっていけば決して無理な話ではない。数年単位での慎重な計画を立てる必要はあると思いますが、決して無理な話ではなくて。
あと、もう一つ申し上げたいのは、私が最後に三つ目で申し上げたことなんですが、やはり、特に課税ベースのところなんですけれども、不公平が結構残っていると思いますね。今まですごく負担が軽減されているのに、見過ごされてきた方がいろいろいるんじゃないか。何か日の目が当たらないで済んできてしまった方がいるんじゃないか。
最近、「持続不可能な財政」というのを共著で書かせていただいたんですけれども、それを読んでくださった方から、こんな不公平があったなんて知らなかったというふうに、何人もの方から、いろいろな方、メディアの方とかも言われるときもありますし、そういうところにも是非スポットを当てて、きちんとみんなが公平な形で、納得できる形で、みんなが少しずつ負担を少し増やす、そして、余力のある方にはもう少し多めに負担していただくということで、大変な方々にも十分配慮しながら財政収支の均衡を目指していくことはできるんじゃないかなというふうに思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
古
古賀篤#15
○古賀委員 おっしゃられるように、コロナ禍においてもいろいろな方がおられたというのは、そのとおりだと思います。ですから、私自身、コロナでのいろいろな取組、支援というのは検証の必要があるし、それを生かして次にまた備えるべきでもありますし、引き続き、何が求められているかということを丁寧に声を拾いながらやっていく必要があるというのは同感でございます。
続きまして、渡辺様に伺いたいんですが、済みません、先ほど私もしっかり伺っていたんですが、まだまだ渡辺公述人もお話し足りないような印象も受けたところでございます。
ちょっと二点お伺いしたいんですが、まず、資料の九ページ目で、第一ステージと第二ステージがある、こういう御説明をいただきました。そして、第二ステージは先行き十年又はそれ以上、こういう期間を御提示されているのですが、価格メカニズムの関係で、この十年、それ以上というのは、どういう意味でこういう期間を指摘されているのかというのを一点伺いたいというところと、十四ページ目ですが、これからインフレ二%ということによって、百八十兆円、これをどう生かすかという話もありました。先ほど、防衛とかいろいろな、少し御提示もいただきましたが、この百八十兆円は、生かし方によって、またその次の展開だったり、次に影響があるのか。どういうふうにこの百八十兆円を捉えたらいいかを、もう少し教えていただければありがたく思います。
この発言だけを見る →続きまして、渡辺様に伺いたいんですが、済みません、先ほど私もしっかり伺っていたんですが、まだまだ渡辺公述人もお話し足りないような印象も受けたところでございます。
ちょっと二点お伺いしたいんですが、まず、資料の九ページ目で、第一ステージと第二ステージがある、こういう御説明をいただきました。そして、第二ステージは先行き十年又はそれ以上、こういう期間を御提示されているのですが、価格メカニズムの関係で、この十年、それ以上というのは、どういう意味でこういう期間を指摘されているのかというのを一点伺いたいというところと、十四ページ目ですが、これからインフレ二%ということによって、百八十兆円、これをどう生かすかという話もありました。先ほど、防衛とかいろいろな、少し御提示もいただきましたが、この百八十兆円は、生かし方によって、またその次の展開だったり、次に影響があるのか。どういうふうにこの百八十兆円を捉えたらいいかを、もう少し教えていただければありがたく思います。
渡
渡辺努#16
○渡辺公述人 御質問ありがとうございます。
一点目ですけれども、第一ステージ、第二ステージと私が勝手に区切りをつけておりますけれども、第一ステージというのは、要は、賃金とか物価とか金利とか、そういうものが、異常だったものが直ってくるプロセス、それはもう三年ぐらい前から始まっていて、現在進行形でほぼほぼ見通しが立ちつつある、そういうものかというふうに思います。それに対して第二ステージは、多くの方はまだ余り意識されていないものかと思うんですけれども、第一ステージに続いてくるものですということです。
そこでのポイントは、財政の話とそれから生産性の話を今日申し上げましたけれども、特に生産性の話というのはどうしても時間がかかるだろうというふうに思っておりますので、十年という大ざっぱな時間ですけれども、決して一年、二年という意味ではなくて、やはり十年単位でかかるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
どういうことかといいますと、要は、今、賃金が上がってきていて、それから物価も上がってきていてという世の中の変化が起きている中で、人手不足ももちろん起きています。その中で、先ほどもちらっと申し上げましたように、比較的それでも好調な、生産性がしっかりと上昇しているような立派な社長さんがやっている企業とそうじゃない企業とのめり張りみたいなものがついてきていて、好調な方の賃金は高いし、そうじゃない企業はそうじゃない、こういうことが起きてきて、そこでの人のモビリティーというんでしょうか、それも徐々にではありますけれども、起き始めているわけです。
今後起きることというのは、ですので、特に、調子の悪い方の企業というのについては人がどんどん抜けていくわけですので、引き続き賃金を上げられませんので抜けていくわけですので、最終的には、もしかしたらオーナーの方しかいらっしゃらないようなことになって、そこでオペレーションを閉じるみたいな、そういうことが起きるというのが一応展望できるのかなというふうに私は思っております。
それは、ちょっと違う言い方をしますと、元々日本には、なかなか活発じゃない企業、ちょっと言葉は乱暴ですけれども、ゾンビ企業と言われたやつがいたわけですけれども、ゾンビ企業というのを淘汰する、それをなくした方が恐らく日本経済にとってはいいんだけれども、なかなかそうはならない。こういうところで、いろいろ政治家の先生方も御苦労があったかと思うんですけれども、それは取りも直さず、やはり雇用とつながっているので、その企業を潰してしまったら、そこにつながっている若い人とか雇用者の方、特に地方でそういう問題が深刻だということで、なかなかそれが淘汰ができなかったのかと思います。
今それが、そういうモビリティーが活発になる中で徐々にできつつあるのかなと私は思っておりまして、今までよりも、もう少しゾンビ企業の整理というものがやりやすくなる、そういう環境の変化があるのかなというふうに思います。
とはいっても、やはり、もしかしたらゾンビ企業というのは、その地域においては非常に不可欠かもしれません。そうすると、その受皿をどうするのかとかという問題が当然出てきますので、そこは一年、二年でちゃかちゃかとやって、市場メカニズムで、価格メカニズムで全部押し切るとかということにはきっとならないんだというふうに思っていますので、そこはある程度の時間という意味で、先ほど十年というふうに申し上げました。
私は学者ですので、なかなかそんな、ゾンビ企業をどうするか、どう退出してもらうかとかということを一つ一つやる人間では全くございませんけれども、まさに先生方が、それぞれの地域におけるゾンビ企業というものをどうやって淘汰していって、しかし同時に、雇用者には影響がないようにするにはどうしたらいいか、それによって、その地域全体の生産性というものをもっと上げていって活発にするにはどうしたらいいか、こういうことを今まさに前向きに考えるいいチャンスが来ているんじゃないかというふうに思います。
私の第二ステージは非常にポジティブな意味で申し上げておりますけれども、当然のことながら、そのポジティブをしっかり実現する上では、地道な、ゾンビ企業を淘汰するというような作業というのも必要になるということでございます。
それから、二番目の、財政の百八十兆と数字を挙げましたので、それに関する御質問かというふうに思います。
金額が、百八十兆というふうに私が試算した数字をぽっと出しましたので、そこが本当に百八十なのかどうかというところについては、もしかしたら、精緻にやれば二百かもしれないし百七十かもしれない。そこの辺のぶれというのはあるというふうにお考えいただければと思うんですが、それでも、決して十兆ではなくて、あるいは五百兆でもなくて、大体百八十兆程度のものが、ゼロ%から二%に行くことによって財政面でもポジティブな面として起きるんだ、こういうことです。
先ほどの、河村さんの話がありましたし、質疑でもありましたけれども、大きな流れで見ると、やはり財政というのはいろいろ難しい状況なわけですので、それで百八十兆を勝手に使うとかというのは当然あり得ないので、まずは百八十兆得られるということを前提にして、それをどこにどう使うのか。先ほど、防衛というふうに申し上げましたけれども、私は別に防衛に使うのがいいと言っているわけではなくて、防衛に使うのがいいというふうにおっしゃる御意見もきっとあるでしょうから、それぞれの方々の意見の中で、百八十兆という、この二%に移行することによって得られるある種のボーナスみたいなものですので、それを考えていかれるのがいいのではないかというのが、まず第一に申し上げたかったことです。
それから、もう一つ申し上げたかったことは、ちょっと最後のところで駆け足になってしまいましたけれども、それは二%に行ったときに初めて得られるものですので、もう一回、仮にゼロ%のデフレのような状態に戻っちゃえば、百八十兆は捕らぬタヌキになってしまうわけですので、それはやはり避けるべきだろうなというふうに私は思います。生産性とかいろいろな意味で、やはり二%経済に行くことのメリットがありますので、財政以外にもありますので、それはしっかりとそこに行くべきだというふうに強く思っています。
であれば、その二%経済を定着させるために、いろいろなところでやはり財政資金というのも必要になるだろう。そこは、この百八十兆のプールがあるというふうにお考えいただいて、そこから支出するということでいいんじゃないかと。例えば、今回の予算の中でも、最低賃金やら、あるいは転嫁の問題を解決するための予算措置というのが入っています。
この発言だけを見る →一点目ですけれども、第一ステージ、第二ステージと私が勝手に区切りをつけておりますけれども、第一ステージというのは、要は、賃金とか物価とか金利とか、そういうものが、異常だったものが直ってくるプロセス、それはもう三年ぐらい前から始まっていて、現在進行形でほぼほぼ見通しが立ちつつある、そういうものかというふうに思います。それに対して第二ステージは、多くの方はまだ余り意識されていないものかと思うんですけれども、第一ステージに続いてくるものですということです。
そこでのポイントは、財政の話とそれから生産性の話を今日申し上げましたけれども、特に生産性の話というのはどうしても時間がかかるだろうというふうに思っておりますので、十年という大ざっぱな時間ですけれども、決して一年、二年という意味ではなくて、やはり十年単位でかかるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
どういうことかといいますと、要は、今、賃金が上がってきていて、それから物価も上がってきていてという世の中の変化が起きている中で、人手不足ももちろん起きています。その中で、先ほどもちらっと申し上げましたように、比較的それでも好調な、生産性がしっかりと上昇しているような立派な社長さんがやっている企業とそうじゃない企業とのめり張りみたいなものがついてきていて、好調な方の賃金は高いし、そうじゃない企業はそうじゃない、こういうことが起きてきて、そこでの人のモビリティーというんでしょうか、それも徐々にではありますけれども、起き始めているわけです。
今後起きることというのは、ですので、特に、調子の悪い方の企業というのについては人がどんどん抜けていくわけですので、引き続き賃金を上げられませんので抜けていくわけですので、最終的には、もしかしたらオーナーの方しかいらっしゃらないようなことになって、そこでオペレーションを閉じるみたいな、そういうことが起きるというのが一応展望できるのかなというふうに私は思っております。
それは、ちょっと違う言い方をしますと、元々日本には、なかなか活発じゃない企業、ちょっと言葉は乱暴ですけれども、ゾンビ企業と言われたやつがいたわけですけれども、ゾンビ企業というのを淘汰する、それをなくした方が恐らく日本経済にとってはいいんだけれども、なかなかそうはならない。こういうところで、いろいろ政治家の先生方も御苦労があったかと思うんですけれども、それは取りも直さず、やはり雇用とつながっているので、その企業を潰してしまったら、そこにつながっている若い人とか雇用者の方、特に地方でそういう問題が深刻だということで、なかなかそれが淘汰ができなかったのかと思います。
今それが、そういうモビリティーが活発になる中で徐々にできつつあるのかなと私は思っておりまして、今までよりも、もう少しゾンビ企業の整理というものがやりやすくなる、そういう環境の変化があるのかなというふうに思います。
とはいっても、やはり、もしかしたらゾンビ企業というのは、その地域においては非常に不可欠かもしれません。そうすると、その受皿をどうするのかとかという問題が当然出てきますので、そこは一年、二年でちゃかちゃかとやって、市場メカニズムで、価格メカニズムで全部押し切るとかということにはきっとならないんだというふうに思っていますので、そこはある程度の時間という意味で、先ほど十年というふうに申し上げました。
私は学者ですので、なかなかそんな、ゾンビ企業をどうするか、どう退出してもらうかとかということを一つ一つやる人間では全くございませんけれども、まさに先生方が、それぞれの地域におけるゾンビ企業というものをどうやって淘汰していって、しかし同時に、雇用者には影響がないようにするにはどうしたらいいか、それによって、その地域全体の生産性というものをもっと上げていって活発にするにはどうしたらいいか、こういうことを今まさに前向きに考えるいいチャンスが来ているんじゃないかというふうに思います。
私の第二ステージは非常にポジティブな意味で申し上げておりますけれども、当然のことながら、そのポジティブをしっかり実現する上では、地道な、ゾンビ企業を淘汰するというような作業というのも必要になるということでございます。
それから、二番目の、財政の百八十兆と数字を挙げましたので、それに関する御質問かというふうに思います。
金額が、百八十兆というふうに私が試算した数字をぽっと出しましたので、そこが本当に百八十なのかどうかというところについては、もしかしたら、精緻にやれば二百かもしれないし百七十かもしれない。そこの辺のぶれというのはあるというふうにお考えいただければと思うんですが、それでも、決して十兆ではなくて、あるいは五百兆でもなくて、大体百八十兆程度のものが、ゼロ%から二%に行くことによって財政面でもポジティブな面として起きるんだ、こういうことです。
先ほどの、河村さんの話がありましたし、質疑でもありましたけれども、大きな流れで見ると、やはり財政というのはいろいろ難しい状況なわけですので、それで百八十兆を勝手に使うとかというのは当然あり得ないので、まずは百八十兆得られるということを前提にして、それをどこにどう使うのか。先ほど、防衛というふうに申し上げましたけれども、私は別に防衛に使うのがいいと言っているわけではなくて、防衛に使うのがいいというふうにおっしゃる御意見もきっとあるでしょうから、それぞれの方々の意見の中で、百八十兆という、この二%に移行することによって得られるある種のボーナスみたいなものですので、それを考えていかれるのがいいのではないかというのが、まず第一に申し上げたかったことです。
それから、もう一つ申し上げたかったことは、ちょっと最後のところで駆け足になってしまいましたけれども、それは二%に行ったときに初めて得られるものですので、もう一回、仮にゼロ%のデフレのような状態に戻っちゃえば、百八十兆は捕らぬタヌキになってしまうわけですので、それはやはり避けるべきだろうなというふうに私は思います。生産性とかいろいろな意味で、やはり二%経済に行くことのメリットがありますので、財政以外にもありますので、それはしっかりとそこに行くべきだというふうに強く思っています。
であれば、その二%経済を定着させるために、いろいろなところでやはり財政資金というのも必要になるだろう。そこは、この百八十兆のプールがあるというふうにお考えいただいて、そこから支出するということでいいんじゃないかと。例えば、今回の予算の中でも、最低賃金やら、あるいは転嫁の問題を解決するための予算措置というのが入っています。
齋
渡
齋
古
齋
早
早稲田ゆき#22
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。
本日は、四人の公述人の皆様に、お忙しい中、こうして出席を賜り、大変ありがとうございます。大変貴重な御意見を伺いました。全員の皆様にお聞きしたいところでございますが、時間の関係上お聞きできない場合は、どうぞ御容赦いただきたいと思います。
その上で、先ほども河村公述人から、大変民主主義を体現したような、予算案をしっかりとこの国会で議論しているということがよく分かるというお話もいただきました。
私たち立憲民主党は、この間、予算の修正案も出しております。そのことにつきましては、政権を担い得る責任政党として、財源に責任を持つ立場で、この間、まず党内では歳出削減チームで、それからまた当予算委員会の中では省庁別審査という形で、基金の無駄積みであるとか、それからいろいろな不用額、これを積み上げてほぼ三・八兆円の予算の財源も確保した上で、今の現下の物価高、そして、大変生活が苦しいと感じられている皆様のためにこそ、国民の負担を減らす、それから国民の収入を増やす、その二点を柱にこの修正案を今協議をしている、まさに佳境のところでございます。
こうした、私たちが財源を提示をして、そしてワンイシューではなく、いろいろな国民の暮らしを底上げしていくということを根底にした修正案の協議というもの、これは非常に私たちとしても力を入れたところでございますが、このことについての、予算修正の在り方について、まず河村公述人、そしてまた渡辺公述人にも伺わせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、四人の公述人の皆様に、お忙しい中、こうして出席を賜り、大変ありがとうございます。大変貴重な御意見を伺いました。全員の皆様にお聞きしたいところでございますが、時間の関係上お聞きできない場合は、どうぞ御容赦いただきたいと思います。
その上で、先ほども河村公述人から、大変民主主義を体現したような、予算案をしっかりとこの国会で議論しているということがよく分かるというお話もいただきました。
私たち立憲民主党は、この間、予算の修正案も出しております。そのことにつきましては、政権を担い得る責任政党として、財源に責任を持つ立場で、この間、まず党内では歳出削減チームで、それからまた当予算委員会の中では省庁別審査という形で、基金の無駄積みであるとか、それからいろいろな不用額、これを積み上げてほぼ三・八兆円の予算の財源も確保した上で、今の現下の物価高、そして、大変生活が苦しいと感じられている皆様のためにこそ、国民の負担を減らす、それから国民の収入を増やす、その二点を柱にこの修正案を今協議をしている、まさに佳境のところでございます。
こうした、私たちが財源を提示をして、そしてワンイシューではなく、いろいろな国民の暮らしを底上げしていくということを根底にした修正案の協議というもの、これは非常に私たちとしても力を入れたところでございますが、このことについての、予算修正の在り方について、まず河村公述人、そしてまた渡辺公述人にも伺わせていただきたいと思います。
河
河村小百合#23
○河村公述人 早稲田先生、御質問ありがとうございます。
立憲民主党さん、歳出、あれに使え、これに出せというだけでなくて、きちんと財源のことも考えた修正案を出されているということで、やはり責任政党としての立派な一つやり方をなさっているんじゃないかということで、高く評価できるというふうに思っております。
ただ、それで完全に大丈夫かというと、正直申し上げると、やはりちょっと少しお考えいただきたいなというところもあって、財源もいろいろ、やはり省庁別審査もありましたし、基金もいろいろお調べくださって本当に胸のすく思いで見ていたところもあるんですけれども、大変よかったと思いますが、ただ、基金のところは取り崩してもワンショットなんですよね。ですから、立憲さんとして主張されていた歳出というのは、これからずっと続けていくというおつもりで提案されている歳出のところがあったと思うんですけれども、やはりワンショットだと完全な恒久財源にならないんじゃないかなというところが問題があったかなという気もしますので、それはちょっと指摘させていただきたい。
あともう一つ申し上げたいのは、歳出の方ばかりじゃなくて財源も考えてということでお考えくださったということなんですけれども、では、もしそういう形で修正が仮にできたとして、でも、予算のでき上がりの姿は変わらないですよね。新規国債二十八兆六千億、出し続ける。それを立憲さんとしてどうお考えになっているかという姿勢を、私たち国民はまだ明確に伺っていないと思うんですよね。是非、そこの辺りもお考えいただきたい。
今のような進め方、何かプライマリーバランスの均衡の達成も危うくなっちゃっているような状況で、そこのところをどうお考えになっていらっしゃるのかというところは、是非、併せて、今後も含めてお示しいただけるとなおいいんじゃないかなと。この点は、別に立憲さんだけじゃなくて、是非、与党側とかほかの野党の方にもお考えいただきたいんですけれども、どうやって中長期的に財政運営を進めていくべきか、何を目標にすべきかということはお考えいただけたらなというふうに思っております。
この発言だけを見る →立憲民主党さん、歳出、あれに使え、これに出せというだけでなくて、きちんと財源のことも考えた修正案を出されているということで、やはり責任政党としての立派な一つやり方をなさっているんじゃないかということで、高く評価できるというふうに思っております。
ただ、それで完全に大丈夫かというと、正直申し上げると、やはりちょっと少しお考えいただきたいなというところもあって、財源もいろいろ、やはり省庁別審査もありましたし、基金もいろいろお調べくださって本当に胸のすく思いで見ていたところもあるんですけれども、大変よかったと思いますが、ただ、基金のところは取り崩してもワンショットなんですよね。ですから、立憲さんとして主張されていた歳出というのは、これからずっと続けていくというおつもりで提案されている歳出のところがあったと思うんですけれども、やはりワンショットだと完全な恒久財源にならないんじゃないかなというところが問題があったかなという気もしますので、それはちょっと指摘させていただきたい。
あともう一つ申し上げたいのは、歳出の方ばかりじゃなくて財源も考えてということでお考えくださったということなんですけれども、では、もしそういう形で修正が仮にできたとして、でも、予算のでき上がりの姿は変わらないですよね。新規国債二十八兆六千億、出し続ける。それを立憲さんとしてどうお考えになっているかという姿勢を、私たち国民はまだ明確に伺っていないと思うんですよね。是非、そこの辺りもお考えいただきたい。
今のような進め方、何かプライマリーバランスの均衡の達成も危うくなっちゃっているような状況で、そこのところをどうお考えになっていらっしゃるのかというところは、是非、併せて、今後も含めてお示しいただけるとなおいいんじゃないかなと。この点は、別に立憲さんだけじゃなくて、是非、与党側とかほかの野党の方にもお考えいただきたいんですけれども、どうやって中長期的に財政運営を進めていくべきか、何を目標にすべきかということはお考えいただけたらなというふうに思っております。
渡
渡辺努#24
○渡辺公述人 御質問ありがとうございます。
今、御質問は立憲民主党さんからいただきましたけれども、全般に私は非常にいい方向に議論が進んでいるなというふうに思うのは、要は、世の中が、価格が、物価が上がり始めてきた、それから賃金も、全部というわけじゃないですけれども上がり始めてきた、こういうふうに移行期に今はあるわけです。そうすると、誰かさんの賃金はしっかり上がっているけれども別の方はそうでもないとか、あるいは、誰かさんの支出のところの価格は結構厳しいんだけれども別の方はそうじゃないとか、どうしても、価格や賃金が動き始めるプロセスの中で、めり張りというか濃淡が出てきてしまっているというのが現状かというふうに思います。
そこは、学者でいえば、いずれそういうものは直っていくんだというふうに私としては楽観していますけれども、しかし、現実にそこの中で生活されていらっしゃる方はそうではないというふうに思いますので、その一人一人の方々の状況に応じて可処分所得をしっかりと確保していくというようなことをきめ細かくやられるというのは、この過渡期の措置としては非常に大事かというふうに思います。
もちろん、そこの財源をしっかり手当てするということも大事だと思いますけれども、決して永久にこういうことが続くわけではありませんので、ある程度いけば賃金も価格も安定的に上がっていくという形になりますので、今までは両方ともが動かなかった状況から始めて、今そこに向かっていくその過渡期なので、ややいろいろな形での摩擦が起きているというふうに理解すれば、一時的な措置として財政面でも必要になっている、それをしっかりと手当てされようとしている、予算全体についてそういう印象を持ちましたので、そこはいい方向に議論は向かっているなというふうに私は思っております。
この発言だけを見る →今、御質問は立憲民主党さんからいただきましたけれども、全般に私は非常にいい方向に議論が進んでいるなというふうに思うのは、要は、世の中が、価格が、物価が上がり始めてきた、それから賃金も、全部というわけじゃないですけれども上がり始めてきた、こういうふうに移行期に今はあるわけです。そうすると、誰かさんの賃金はしっかり上がっているけれども別の方はそうでもないとか、あるいは、誰かさんの支出のところの価格は結構厳しいんだけれども別の方はそうじゃないとか、どうしても、価格や賃金が動き始めるプロセスの中で、めり張りというか濃淡が出てきてしまっているというのが現状かというふうに思います。
そこは、学者でいえば、いずれそういうものは直っていくんだというふうに私としては楽観していますけれども、しかし、現実にそこの中で生活されていらっしゃる方はそうではないというふうに思いますので、その一人一人の方々の状況に応じて可処分所得をしっかりと確保していくというようなことをきめ細かくやられるというのは、この過渡期の措置としては非常に大事かというふうに思います。
もちろん、そこの財源をしっかり手当てするということも大事だと思いますけれども、決して永久にこういうことが続くわけではありませんので、ある程度いけば賃金も価格も安定的に上がっていくという形になりますので、今までは両方ともが動かなかった状況から始めて、今そこに向かっていくその過渡期なので、ややいろいろな形での摩擦が起きているというふうに理解すれば、一時的な措置として財政面でも必要になっている、それをしっかりと手当てされようとしている、予算全体についてそういう印象を持ちましたので、そこはいい方向に議論は向かっているなというふうに私は思っております。
早
早稲田ゆき#25
○早稲田委員 ありがとうございます。お答えをいただきました。
法人の、超大企業の応能負担というお話もございましたし、私たちも、そうしたことも踏まえて、貴重な御意見を生かしてまいりたいと思います。
その上ででありますけれども、今、賃金が上がってきた、そして物価も上がっているわけですけれども、大変物価高で苦しむ所得の低い方々、特にそうした方々に私たちはどうしていこうということを強く考えながら修正案を出しておりますが、その中で、今、連合傘下の大企業におきましては五%以上の賃上げということが言われておりますけれども、やはり非正規雇用で働く皆様の最低賃金というのが大変重要なのではないかと思っています。
その最低賃金につきまして、石破総理は、目玉の政策の一つとして、二〇二〇年代で千五百円ということの目標は掲げられておりますけれども、これについて、中小企業経営者の方々からは大変厳しいお声もあるわけです。私は、やはり中小企業の経営の方を、支援とそれをセットでやらなければ足りないのではないかと思っていまして、その中小企業の支援策、これはまだまだ不十分だと思いますが、このことについて渡辺公述人に伺いたいと思います。
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その上ででありますけれども、今、賃金が上がってきた、そして物価も上がっているわけですけれども、大変物価高で苦しむ所得の低い方々、特にそうした方々に私たちはどうしていこうということを強く考えながら修正案を出しておりますが、その中で、今、連合傘下の大企業におきましては五%以上の賃上げということが言われておりますけれども、やはり非正規雇用で働く皆様の最低賃金というのが大変重要なのではないかと思っています。
その最低賃金につきまして、石破総理は、目玉の政策の一つとして、二〇二〇年代で千五百円ということの目標は掲げられておりますけれども、これについて、中小企業経営者の方々からは大変厳しいお声もあるわけです。私は、やはり中小企業の経営の方を、支援とそれをセットでやらなければ足りないのではないかと思っていまして、その中小企業の支援策、これはまだまだ不十分だと思いますが、このことについて渡辺公述人に伺いたいと思います。
渡
渡辺努#26
○渡辺公述人 先ほど私の最初の報告では、最賃というのは非常に大事だし、それから、そもそもアメリカの百年前のときにもやはり使われたものですので、決して非常にトリッキーなことをやっているわけではないと思っております。
とりわけ大事なのは、今も御指摘いただきましたけれども、千五百円というところを目指して、最初は十年間でしたかね、それをもう少し縮めるというふうに議論が進んでいると理解しておりますけれども、将来のパスをしっかりと示すということは、例えば春闘で今年賃上げ交渉する上でも非常に中小企業の労組を後押ししている形になっていると思いますので、私は望ましいものだというふうに思っております。
その上で、御質問に返りますと、そのようなことですけれども、もちろん経営者の方からすると、特に中小の経営者の方からすると、そこで最賃がぐんぐんぐんぐん上がっていくとすると、自分も上げなきゃいけないわけですので、そこの利益があるのかということで御不満があるというふうに私もよく中小の方からも聞いております。
ただ、そこはやはりしっかりと価格に転嫁できるような状況を整えていく、それは、先ほどの下請法もそうですし、今回の予算の中でも、価格転嫁について、特に中小企業の価格転嫁についての措置がされているわけでありますので、そういうのがちゃんと実効性を持つ形にしていく、それによって、どの中小企業の方でもしっかりと賃金を上げて、最賃法を守りながら、それを価格に転嫁する、こういうことはできるようにするというのがまずもって大事かというふうに思います。
なので、最低賃金を急速に上げ過ぎると厳しいので少し勘弁してほしいとか、あるいは、最低賃金が上がっちゃうので、そこの収益面でサポートをするとか、そういうのというのは少し邪道なのかなというふうに私自身は思います。
例えば、中小企業の方がしっかりとした賃金をお支払いになるために、もっとDX化が必要だというようなことであれば、それはそこの面でのお手伝いというのを政府がやるということは十分あり得ると思うんですけれども、その場しのぎの収益面での、例えば一年間の賃金を払うためのお金を何らかの形で政府が手当てするとかというのは少し本筋と離れているのかなというふうに思います。やはり、中小企業の方々にも積極的に高い賃金を払えるような努力というのを是非この機会にやっていただきたいなというふうに思っております。
この発言だけを見る →とりわけ大事なのは、今も御指摘いただきましたけれども、千五百円というところを目指して、最初は十年間でしたかね、それをもう少し縮めるというふうに議論が進んでいると理解しておりますけれども、将来のパスをしっかりと示すということは、例えば春闘で今年賃上げ交渉する上でも非常に中小企業の労組を後押ししている形になっていると思いますので、私は望ましいものだというふうに思っております。
その上で、御質問に返りますと、そのようなことですけれども、もちろん経営者の方からすると、特に中小の経営者の方からすると、そこで最賃がぐんぐんぐんぐん上がっていくとすると、自分も上げなきゃいけないわけですので、そこの利益があるのかということで御不満があるというふうに私もよく中小の方からも聞いております。
ただ、そこはやはりしっかりと価格に転嫁できるような状況を整えていく、それは、先ほどの下請法もそうですし、今回の予算の中でも、価格転嫁について、特に中小企業の価格転嫁についての措置がされているわけでありますので、そういうのがちゃんと実効性を持つ形にしていく、それによって、どの中小企業の方でもしっかりと賃金を上げて、最賃法を守りながら、それを価格に転嫁する、こういうことはできるようにするというのがまずもって大事かというふうに思います。
なので、最低賃金を急速に上げ過ぎると厳しいので少し勘弁してほしいとか、あるいは、最低賃金が上がっちゃうので、そこの収益面でサポートをするとか、そういうのというのは少し邪道なのかなというふうに私自身は思います。
例えば、中小企業の方がしっかりとした賃金をお支払いになるために、もっとDX化が必要だというようなことであれば、それはそこの面でのお手伝いというのを政府がやるということは十分あり得ると思うんですけれども、その場しのぎの収益面での、例えば一年間の賃金を払うためのお金を何らかの形で政府が手当てするとかというのは少し本筋と離れているのかなというふうに思います。やはり、中小企業の方々にも積極的に高い賃金を払えるような努力というのを是非この機会にやっていただきたいなというふうに思っております。
早
早稲田ゆき#27
○早稲田委員 ありがとうございます。
下請法の改正でありますとか、やはり価格転嫁ができるその土壌をつくるということは私たちも大変重要だと思っております。
その上で、私たち立憲民主党は、この新年度予算の修正の中で、全産業平均と比べて六、七万円も低い介護、それから障害福祉、保育、この従事者の皆様の処遇改善、これも修正案に入れさせていただき、法律案も出しております。
こうしたことをやることによって、実際に全産業の国民の皆さんの賃上げの底上げになるのではないかと考えるわけですけれども、このことについて渡辺公述人にお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →下請法の改正でありますとか、やはり価格転嫁ができるその土壌をつくるということは私たちも大変重要だと思っております。
その上で、私たち立憲民主党は、この新年度予算の修正の中で、全産業平均と比べて六、七万円も低い介護、それから障害福祉、保育、この従事者の皆様の処遇改善、これも修正案に入れさせていただき、法律案も出しております。
こうしたことをやることによって、実際に全産業の国民の皆さんの賃上げの底上げになるのではないかと考えるわけですけれども、このことについて渡辺公述人にお伺いしたいと思います。
渡
渡辺努#28
○渡辺公述人 その点も非常に大事でございまして、政府が関われる部分についての賃金あるいは価格もそうなんですけれども、政府のいろいろな調達に絡む価格ですけれども、ここの正常化、価格と賃金の正常化と今日申し上げていますけれども、民間の方はそこそこ動いていますけれども、やはり政府がどうしても遅れぎみだったわけであります。今回の予算措置の中で、あるいは去年の骨太の方針あたりのところから、政府の中での賃金、政府の中での価格、こういうものもちゃんと正常化するという意図がはっきりと出てきておりますし、先ほどの介護のところについても、そういうことが措置も含めてなされているというのは非常に望ましいことだというふうに思います。
私は、実は、こういうものを毎回毎回こうやって国会の中で御議論いただくというのは余り効率的じゃないんじゃないかと。今までは、そもそも価格が動いていなかったので、賃金が動いていなかったので、動かないのが前提でしたので、そうすると、介護の方の賃金も上がらなくても別にそれでお困りになることはなかったわけです。
ただ、今後は、ずっと上がっていくというのが、世の中的に上がっていくのが前提なのであれば、そうすると、政府系の様々な方々の賃金というものもオートマチックに上がっていくような仕組みというのが必要なんじゃないかというふうに思っております。私たちの言葉で言うとインデクセーションとかといいますけれども、物価がこのぐらいの、例えば二%、二・五%上がっていったら、それに連動させる形で政府の様々な雇用者の方々の賃金も上げていく、こういうような仕組みをつくってしまえば、そうすると、毎年毎年どれだけ上げるんだというようなことを悩む必要もなくなるし、働いている方々の先々についての見通しもよりよくつくんじゃないかというふうに思っているところでございます。
この発言だけを見る →私は、実は、こういうものを毎回毎回こうやって国会の中で御議論いただくというのは余り効率的じゃないんじゃないかと。今までは、そもそも価格が動いていなかったので、賃金が動いていなかったので、動かないのが前提でしたので、そうすると、介護の方の賃金も上がらなくても別にそれでお困りになることはなかったわけです。
ただ、今後は、ずっと上がっていくというのが、世の中的に上がっていくのが前提なのであれば、そうすると、政府系の様々な方々の賃金というものもオートマチックに上がっていくような仕組みというのが必要なんじゃないかというふうに思っております。私たちの言葉で言うとインデクセーションとかといいますけれども、物価がこのぐらいの、例えば二%、二・五%上がっていったら、それに連動させる形で政府の様々な雇用者の方々の賃金も上げていく、こういうような仕組みをつくってしまえば、そうすると、毎年毎年どれだけ上げるんだというようなことを悩む必要もなくなるし、働いている方々の先々についての見通しもよりよくつくんじゃないかというふうに思っているところでございます。
早
早稲田ゆき#29
○早稲田委員 ありがとうございます。
政府が関わる価格について、賃金について、オートマチックに上がっていくような、そうしたことも考えるべきだという大変重要な御指摘をいただきました。私たちも、財源に責任を持って、この後もまたこうしたことを進めてまいりたいと思います。
その上で、次の質問に移ります。
日本原水爆被害者団体協議会、日本被団協の田中熙巳さんにお越しをいただきました。代表委員として、まずは被団協の皆様のノーベル平和賞の御受賞、大変心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。長年の核廃絶の運動が世界に認められた、それなのにもかかわらず、なかなか日本政府の動きが悪いということを、私も、憤りと、それから大変残念な思いで見ております。
今回、九十四の国、地域が署名をし、七十三の国、地域が批准をしている核兵器禁止条約締約国会議、これにオブザーバー参加を是非してほしいと被団協の皆様からも御要望があったし、公明党の代表質問でもそういうことがございました。にもかかわらず、今回、そうしたことが、オブザーバー参加を見送ると。しかも、自民党、与党の皆さんは議員も出さない、それから外務省の政務三役も参加の予定がないということは大変残念でなりません。
私は、この八十年という戦後において、そしてまた、被団協の皆様がノーベル平和賞をお取りになったこの節目だからこそ、こうしたことが重要であったと思っております。
こうした政府のオブザーバー参加見送りということについての田中さんの受け止め、御意見、そしてまた今後の活動について、時間もございませんけれども、お答えいただければと思います。お願いします。
この発言だけを見る →政府が関わる価格について、賃金について、オートマチックに上がっていくような、そうしたことも考えるべきだという大変重要な御指摘をいただきました。私たちも、財源に責任を持って、この後もまたこうしたことを進めてまいりたいと思います。
その上で、次の質問に移ります。
日本原水爆被害者団体協議会、日本被団協の田中熙巳さんにお越しをいただきました。代表委員として、まずは被団協の皆様のノーベル平和賞の御受賞、大変心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。長年の核廃絶の運動が世界に認められた、それなのにもかかわらず、なかなか日本政府の動きが悪いということを、私も、憤りと、それから大変残念な思いで見ております。
今回、九十四の国、地域が署名をし、七十三の国、地域が批准をしている核兵器禁止条約締約国会議、これにオブザーバー参加を是非してほしいと被団協の皆様からも御要望があったし、公明党の代表質問でもそういうことがございました。にもかかわらず、今回、そうしたことが、オブザーバー参加を見送ると。しかも、自民党、与党の皆さんは議員も出さない、それから外務省の政務三役も参加の予定がないということは大変残念でなりません。
私は、この八十年という戦後において、そしてまた、被団協の皆様がノーベル平和賞をお取りになったこの節目だからこそ、こうしたことが重要であったと思っております。
こうした政府のオブザーバー参加見送りということについての田中さんの受け止め、御意見、そしてまた今後の活動について、時間もございませんけれども、お答えいただければと思います。お願いします。