法務委員会

1978-04-11 衆議院 全282発言

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会議録情報#0
昭和五十三年四月十一日(火曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 鴨田 宗一君
   理事 保岡 興治君 理事 山崎武三郎君
   理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
   理事 沖本 泰幸君 理事 高橋 高望君
      稻葉  修君    上村千一郎君
      中島  衛君    渡辺美智雄君
      西宮  弘君    飯田 忠雄君
      長谷雄幸久君    正森 成二君
      加地  和君    鳩山 邦夫君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
 出席政府委員
        法務政務次官  青木 正久君
        法務大臣官房長 前田  宏君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省矯正局長 石原 一彦君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局調
        査統計官    小池 康雄君
        警察庁警備局公
        安第三課長   福井 与明君
        外務省経済協力
        局外務参事官  中村 泰三君
        外務省国際連合
        局専門機関課長 木島 輝夫君
        法務委員会調査
        室長      清水 達雄君
    —————————————
委員の異動
四月十一日
 辞任         補欠選任
  原 健三郎君     中島  衛君
同日
 辞任         補欠選任
  中島  衛君     原 健三郎君
    —————————————
四月十日
 民法第七百五十条の改正に関する請願外一件(
 土井たか子君紹介)(第二八〇九号)
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の
 増員等に関する請願(正森成二君紹介)(第二
 八一〇号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 人質による強要行為等の処罰に関する法律案(
 内閣提出第五二号)
     ————◇—————
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鴨田宗一#1
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、人質による強要行為等の処罰に関する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
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稲葉誠一#2
○稲葉(誠)委員 この人質による強要行為等の処罰に関する法律案の前に、大臣にちょっとお伺いしておきたいことがあるのです。
 それは、この法案とは関係のないことなんですが、政府はこの前の国会に、ロッキード事件に関連をして、贈収賄の刑の引き上げと、したがって公訴時効の延長、それの法案を提出しているわけですね。これはロッキード事件のようなものをなくするための福田内閣の一枚看板だとかなんとか言われておって、出しっ放しで、法務省としてもこの法案について通してくれという話も全然ないし、大臣としてはどういうふうなお考えなんですか。このロッキード事件のための贈収賄、公訴時効の延長のこの法案、内閣提出刑法の一部改正が継続になっているのですが、これに対してどういうふうにお考えなんですか。早く審議をしてほしいという御意向なんでしょうか。
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瀬戸山三男#3
○瀬戸山国務大臣 ロッキード事件に関連して、政府で、御承知のとおりこういうものに対する対策本部を設けて行政のあり方あるいはこういう犯罪の防止対策をいろいろ検討いたしまして、その一環として贈収賄事件の刑罰をもう少し重くして対応する必要がある、こういうことで法務省としては御提案申し上げておるわけでございます。三木内閣のときからでございます。もうすでに前に提案しておるのでありますから、早く国会で処理をしていただきたいと思っておるわけでございますが、国会の方でそのままになっておる、かような次第でございます。
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稲葉誠一#4
○稲葉(誠)委員 だから大臣としてもそれでは困るんでしょう。困るから、早く内閣提出の刑法の一部改正を審議してほしいというわけなんでしょう。法務省からさっぱりそういう声が出てこないのですよ。どういうわけなんだろう。
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瀬戸山三男#5
○瀬戸山国務大臣 法務省から声が出ておる出ておらぬかにかかわらず、ずっと前に御提案申し上げておるわけですから、速やかに御審議、御決定いただければ幸せだ、かように考えております。
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稲葉誠一#6
○稲葉(誠)委員 この人質による強要行為等の処罰に関する法律案について質問をいたすわけでございます。
 この資料によりますと、「過激派による人質強要事例」として昭和四十五年の三月三十一日の日航機の「よど号」乗っ取り事例が挙げられておるわけです。五ページですね。この事件の概要はわかっていますからいいのですが、この「よど号」事件があって、そしてどういう法律ができたわけですか。
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伊藤榮樹#7
○伊藤(榮)政府委員 「よど号」事件の起きたことにかんがみまして、昭和四十五年五月十八日、法律第六十八号、航空機の強取等の処罰に関する法律、これを御制定いただいております。
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稲葉誠一#8
○稲葉(誠)委員 いまの航空機の処罰の法律、それができて、航空危険法という法律はどういうときにできたわけですか。
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伊藤榮樹#9
○伊藤(榮)政府委員 航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、これは、この根幹は航空法の罰則の中にあったのでございますが、ハイジャック条約の批准に先立ちまして所要の措置を加えまして、単独法として立法されたわけでございます。
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稲葉誠一#10
○稲葉(誠)委員 そのいまの前の法律と後の法律、これは私もよくわからない、研究が不十分ですけれども、あわせて一本の法律にするわけにはいかなかったのですか。
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伊藤榮樹#11
○伊藤(榮)政府委員 航空機の強取等の処罰に関する法律の方は、いわゆるハイジャック対策ということで、航空機に関する強盗罪の特別類型のようなものをまとめて規定するということで規定しておりますし、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の方は、先ほども申しましたように、ハイジャックというものを一応念頭に置かないで、そのほかの方法によって航空の危険を生じさせる行為、これを網羅して規定しておる、こういうわけで、それぞれ立法趣旨が違いますので、一本の法律にはなっていない、こういうわけでございます。
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稲葉誠一#12
○稲葉(誠)委員 いま刑事局長がハイジャックという言葉を使われましたね。ハイジャックというのはどこから出てきた言葉なのですか。
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伊藤榮樹#13
○伊藤(榮)政府委員 私も正確な出どころはわかりませんが、昭和四十六年ごろであったと思いますが、なおこの年の関係は間違っていれば後で訂正しますが、東京条約というのが結ばれておるのですが、そのときに初めて登場した言葉でございまして、当時アメリカとキューバの間で航空機が亡命のために乗っ取られた、これを俗にハイジャックというふうにだれともなく言い出して、それが国際的な慣用語になったというふうに、私も当時条約の政府代表代理として出ておりまして、初めてそういう言葉を聞いたものですから、アメリカの代表などに聞いてみますと、そういうことの説明でございました。なお語源的な探究はまだ遺憾ながらいたしておりません。
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稲葉誠一#14
○稲葉(誠)委員 いや、一番大事なことなので、ハイジャックというのは何だかわけがわからなくて、ただハイジャックという言葉を使っていたのではだめなんですよ。後ろのベンチにいる人、よく教えてあげなさい。あれはハイウエーにおいてジャックという人が強盗をやったということから始まったんじゃないの。そこら辺のところははっきりさせてください。審議が進まないのだよ。
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伊藤榮樹#15
○伊藤(榮)政府委員 ジャックというのは私どもも多少の知識はありますが、アメリカの強盗を意味する俗語でございます。それにハイがくっついた。そのハイのくっついた理由はちょっとわかりません。
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稲葉誠一#16
○稲葉(誠)委員 それではこちらも、はいと言うわけにはいかないのだ。それでは、ハイジャックという言葉、ハイジャッキングという言葉も使っていますね、その言葉の意味をはっきりさせてください。しばらく待っていますから。
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伊藤榮樹#17
○伊藤(榮)政府委員 それでは今後、航空機強取というふうに申すことにいたします。
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稲葉誠一#18
○稲葉(誠)委員 航空機強取と言うのはいいのですが、あなた、ハイジャックという言葉を使ったから、よくわからないから聞いているので、どこかへ聞いてごらんなさい。何かハイウエーでジャックという人が強盗したというところから始まったと言っていましたよ。そうじゃないのですか。これはアメリカの言葉だよ、アメリカのスラングだよ。ちょっとベンチの人、教えてあげなさい。
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伊藤榮樹#19
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの御指摘にかんがみまして、アメリカの俗語を使ったことは適当でなかったというふうに思いますので、私はハイジャックという言葉を航空機強取という意味に解して使ったわけでございまして、現在国際会議等ではハイジャック、あるいはハイジャッキングという言葉を航空機の乗っ取りという意味に使っておりますので、語源を探究しなかったのは怠慢だと言われればそれまででございますけれども、その点は鋭意研究をいたしておきたいと思います。
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稲葉誠一#20
○稲葉(誠)委員 鋭意研究するほどのことでもない。何かハイというのはハイウエーなのか。ハイウエーだと道路でしょう。航空機だとハイウエーじゃないですね。高いという意味なんでしょうけれども。
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瀬戸山三男#21
○瀬戸山国務大臣 私も歴史学的に研究したことはないのですけれども、これはアメリカからはやってきたといいますか、出てきた言葉だと思います。日本では最近のことでございますが、アメリカ等では高速道路なんかで、あるいはその他でも、ああいう広い所でございますから車が通っておる、そうするとよくアメリカ人がハーイと言って手を挙げますね、そうして乗り込んで強盗を働くとかなんとかいうことが行われる、そういうところからきたのだろうという話でございます。
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稲葉誠一#22
○稲葉(誠)委員 大臣が出るほどのことじゃないですよ。
 そこでお聞きをしたいのは、最初に航空機強取法ができたときに、なぜ人質に関連することが航空機強取法の中に入らなかったのですか、こう聞きたいわけです。というのは、これは質問を詳しく教えてあるわけです。本当はここまで言わない方がよかったのですよ、質問の内容を教えない方がよかったのだけれども、「過激派による人質強要事例」の中に「人質の解放状況」として「明示の要求行為なし(ただし、警察官に対して、逮捕することなく安全に逃走させることを暗黙のうちに要求) 2 人質は、二三名が福岡空港で解放され、」云々、こう資料に出ているわけですね。だから、この資料に出ていることから見ると——これは後からつくったのだろうと思うのです。この資料は恐らく今度の法案をつくるのでつくったのだろうと思うのですが、この資料から見れば、当然最初の航空機強取法ができたときに、人質に関連することがこの前のときに入ってなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その入ってなかったのはどういうわけなんですか。
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伊藤榮樹#23
○伊藤(榮)政府委員 お許しを得て便宜ハイジャックという言葉を使わしていただきますが、ハイジャックの歴史をちょっと振り返ってみる必要があるわけでございます。「よど号」事件が発生しました当時の状況を顧みるわけでございますが、「よど号」事件は、なるほど人質を乗せて運航支配して国外へ脱出をしたわけでありますが、その人質と引きかえに国外脱出以外の特定の要求をいたしませんでした。これが当時のいわゆるハイジャック事件の特色でございまして、当時起きましたものをいろいろ調べてみますと、記録に残っております一番最初のころが、昭和四十四年の八月にアメリカのTWA機が乗っ取られておりますが、これはアメリカがイスラエルにファントムを供与したことに対する報復の目的であった、したがって何の要求もない。それから同年十月にアメリカのナショナル機が乗っ取られましたが、これはキューバへ亡命する目的であった。それから同じく十月にポーランド国営航空機が乗っ取られましたが、これは東独からの亡命目的であった。それから十一月にアルゼンチンのアウストラル機が乗っ取られましたが、これもウルグアイへの亡命目的であった。同月ポーランド国営航空機がやはり乗っ取られておりますが、これはポーランドからの亡命目的。それから昭和四十五年一月にアメリカのデルタ機が乗っ取られましたが、これはスイスへの亡命目的。同月パナマ機が乗っ取られましたが、キューバへの亡命目的ということで、「よど号」ハイジャック事件もこれと同じ亡命目的の範疇に属するものと思われるわけでございまして、当時の状況からしますと、ハイジャックというものは亡命目的で行われる場合がほとんどでありまして、乗客、乗員を人質にとって、そして不法な要求をするというのは四十七年以降に生じた現象であるわけでございます。したがいまして、その当時の時点としては、航空機の強取あるいは運航支配行為、これだけを当面処罰の対象とすればよろしい、こういう考えで制定されましたので、今回御審議いただいておりますような人質強要行為、これについては立法が行われなかった、こういう経緯でございます。
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稲葉誠一#24
○稲葉(誠)委員 四十五年というと、これは私が国会を休んでおったときですから、参議院が終わって衆議院選挙があるまでの間ですからね、無理もなかったかもしれませんけれども、とにかくそのときの提案理由には人質との問題は全然入ってませんか。提案理由どこにある、それをちょっと読んでごらんなさい。最初の提案理由。
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伊藤榮樹#25
○伊藤(榮)政府委員 私も確かめておりますが、それは入っておりません。当時の提案理由、いまここに持ってきてないかもしれませんが、そうすればおっつけ持参しまして読み上げます。
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稲葉誠一#26
○稲葉(誠)委員 いや、持ってこなくてもいいですよ、それは。そう無理を言うのもあれだから、そこまで通告してないからあれですけれどもね。そうすると、その当時は、「よど号」事件が起きて航空機強取法をつくるときに当然人質の問題は考えられたのではないのですか、全然考えられなかった。
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伊藤榮樹#27
○伊藤(榮)政府委員 先ほど来私も記憶を喚起いたしましたが、航空機の安全に関する東京条約というのは四十五年でございました。まさにこの時期なんですが、その当時私も会議にずっと出席しておりましたが、ハイジャッキングというのはもっぱら亡命目的で、アメリカ−キューバという間のような亡命目的のことだけが論ぜられまして、いずれの場合も目的地へ到達すると人質は解放されて安全にもとのところへ戻っておる、こういう状況でございましたから、その人質を盾にとって何かの要求をするというようなことを論じた人もなければ、それに対応すべき方策について述べた人もなかったと記憶しております。
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稲葉誠一#28
○稲葉(誠)委員 それは私も前のだれかの質問のときにその答えがあったように記憶しておるのです。——テレビ討論会でだれかがそんなことを言っていましたね、記憶があります。それは。だけれども、そうすると今度の資料の中では人質と書いてあるじゃないですか。これは本当は人質なのかどうなのか。いまになってみれば人質だったということなんですか。そのときの資料には人質のことは書いてなくて、今度は人質強要法だからというのでそれを持ってきて、この資料の中に、いかにも人質のようなことになった一つの一番最初の例にして書いてあるのはちょっと首尾一貫しないようにもとれるのですが、あるいは首尾一貫するのかもわからない。どうなんですか。
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伊藤榮樹#29
○伊藤(榮)政府委員 確かにこの資料の中には一番の「よど号」の乗っ取り事件とかあるいは浅間山荘とかそういうように特定の要求行為のないのが掲げてございますが、いずれにいたしましても、審議の御参考ということで、人質をとったような事案で世上喧伝されております事案を網羅しておりますので、そういう意味で御理解をいただきたいと思います。
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