物価等対策特別委員会

1982-04-21 参議院 全231発言

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会議録情報#0
昭和五十七年四月二十一日(水曜日)
   午後一時一分開会
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         高杉 廸忠君
    理 事
                斎藤栄三郎君
                田代由紀男君
                広田 幸一君
                原田  立君
    委 員
                佐々木 満君
                仲川 幸男君
                福田 宏一君
                宮澤  弘君
                森山 眞弓君
                山田  譲君
                渡部 通子君
                市川 正一君
                木島 則夫君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局取引部長  相場 照美君
       経済企画庁国民
       生活局長     小金 芳弘君
       経済企画庁物価
       局長       廣江 運弘君
       経済企画庁総合
       計画局審議官兼
       物価局審議官   川合 英一君
       経済企画庁調査
       局長       田中誠一郎君
       資源エネルギー
       庁石油部長    野々内 隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       経済企画庁調整
       局財政金融課長  宮島 壯太君
       通商産業省機械
       情報産業局産業
       機械課長     見学 信敬君
       資源エネルギー
       庁石油部流通課
       長        長田 英機君
       郵政省郵務局郵
       便機械化企画室
       長        石山 隆郎君
       建設省都市局都
       市計画課長    田村 嘉朗君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    北島 照仁君
       建設省住宅局住
       宅生産課長    越智 福夫君
   参考人
       日本銀行副総裁  澄田  智君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (物価対策の基本方針に関する件)
 (公正取引委員会の物価対策関係業務に関する
 件)
    —————————————
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高杉廸忠#1
○委員長(高杉廸忠君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行副総裁澄田智君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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高杉廸忠#2
○委員長(高杉廸忠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    —————————————
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高杉廸忠#3
○委員長(高杉廸忠君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。
 前回の委員会において聴取いたしました物価対策の基本方針及び公正取引委員会の物価対策関係業務等について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
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広田幸一#4
○広田幸一君 昨年度を振り返ってみまして、消費者物価が非常に安定をしておるわけです。卸売物価もかなり低くなっておるんですが、どうも最近の傾向を見ますと、一月が前年同月比で二・一%、二月が二・八%、三月が三・〇%、こういうふうに最近上がっているわけです。しかも最近の円安も続いておりまして、これが一月、二月、三月もそういう実績になっておるわけであります。こういう傾向が続きますと卸売物価が上がり、そのことが消費者物価にはね返ってくるではないかというようなことが心配されるわけでありますが、今後の見通しとして、どういうふうに経企庁としては見通しを持っておられるか、まずこれをお聞きします。
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廣江運弘#5
○政府委員(廣江運弘君) 最近の卸売物価の状況につきましては先生御指摘のとおりでございます。
 ちなみに、これを五十六年度全体で見てまいりますと、五十六年度全体は需給緩和等によります国内品の落ちつきあるいは原油等に見られます原材料価格の落ちつきがありまして、前年同比で見ますと、一・四%におさまっておりまして、その前の年の一三・三%から比べますとかなり落ちついておるわけでございます。ただ、最近の傾向といたしますと、御指摘の問題点があるということは事実でございます。それば御指摘にもありましたとおり、円安傾向が輸出入品を押し上げておるわけでございまして、これは主として素原材料になるわけでございますが、これが生産過程では中間品を通り、そして完成品に至って、ついには消費者物価に及ぶ、こういうのが通常の過程だと思います。ただ、その間にはいろいろ物によりまして出方にも差がございますし、期間も違ってくるわけでございますが、その場合、一番問題になりますのは需給がどういう地合いであるかということでございまして、一律にいま何月ごろこうなるということは言えないわけでございます。ただ、御指摘のとおり、そういう輸出入品の価格が上がってくるということが物価に対して先行き問題を起こすという可能性は十分あるわけでございまして、需給の関係もございますけれども、われわれとしますと今後ともその動向には十分な注意を払っていかなければいけない、こういうふうに思っております。
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広田幸一#6
○広田幸一君 そういうことも将来心配されまして、これから経企庁としての景気対策を中心にして質問をいたしますが、五十七年度の経済の成長率は五・二%というふうになっておるわけでありますが、これは予算委員会の審議の中でも政府の見通しは高いではないか、民間のいろいろな調査の統計をとってみても高過ぎる、こういうふうな論議がかなり厳しくあったんですけれども、大丈夫です、やれますという長官の答弁で終始しておるように私、記憶しておるのでありますが、果たしてそういうふうにいくだろうかと思うんですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
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河本敏夫#7
○国務大臣(河本敏夫君) いま、世界経済は非常な激動期にあると私どもは判断をしております。戦後最悪の状態になっておるというのがいまの状態だと思いますが、その原因は第二次石油危機が非常に厳しく全世界を覆っておる、こういう背景があろうかと思うのでございます。そういうことがございまして、五十六年、これは暦年でありますが、一月から十二月までの経済成長は実質二・九%であります。そういう中において、果たして政府目標の五・二%成長が可能であるかどうかということは、これまで国会の委員会等におきまして、しばしば議論になってまいりました。そこで政府の見解といたしましては、こういう経済の激動期にほうっておけばこれはなかなか五・二%成長というものは達成することはむずかしい、しかし適切な経済政策を機敏に展開していくならばこれは可能である、日本経済は五・二%成長を達成する力を持っておる、このように答弁をしてまいりましたが、その考え方は現在でも変わっておりません。
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広田幸一#8
○広田幸一君 いま長官は、五十六年度の成長率が二・九%と、こうなるようにおっしゃったんですが、私が若干計算をしてみましたらば、二・七、最悪の場合二・六ぐらいになる可能性もあるような数字が出ておるわけですが、どちらにしましてももう少ししたらはっきりしたものが出てくるわけですから、いずれにしても昨年度の四・七%が昨年の十二月で四・一%に下方修正されて、いずれも実質、長官がおっしゃるように二・九%とした場合、これは差し引きしますと五・二%から引くと二・三%ですね、差が。かなり低いところからさらに二・三%引き上げなければならぬということになるわけでありますが、大変なこれは数字であろうと私、思うのです。いまこの数年間の実績を見ましても五十三、五十四、五十五、五十六を見ましても、この当初の予定に対して実績が五十三年度はマイナス一・三、これは実質でございますが、五十四年度は〇・二、五十五年は一・一、これはマイナスです。それから五十六年は、これ三%になるわけでございますから、この数字を見る限りにおきましては、長官の私は積極政策というものは、いろいろ聞いておりまして、大いにやってもらいたいと思っておるんですけれども、これだけの過去の実績に対する二・三%というものがこれからどのような積極政策をやりましても、大変無理な数字ではないかというふうに言わざるを得ませんが、この辺のところはいかがでございましょうか。
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河本敏夫#9
○国務大臣(河本敏夫君) いま二・九%という数字を申し上げましたが、これは一月から十二月までの暦年で言ったわけでございます。五十六会計年度ということになりますと、四月から三月まででございますので、この数字はまだわかっておりません。六月になりませんとはっきりいたしませんが、いずれにいたしましても五十六年度の成長が三%に達するということは非常に厳しい現状であろうと、このように判断をしております。
 五十七年度のGNPの規模は二百七十七兆と想定をしております。仮に三%成長のものが五%成長になる場合に二%違う。三%と五%というと非常に大きな数字の違いのように思われますけれども、GNP全体から見ますと、五、六兆の最終需要が拡大すればそれでいいと、こういうことでありますから、仮に二百八十兆といたしますと、二百八十五、六兆の経済の規模になればいいということでございます。
 そこで、いま政府の方として考えておりますことは、去る三月の中旬に五十七年度の経済運営の基本方針を決めましたが、その第一は、金融政策を引き続いて機動的に運営するということでございます。わが国の物価水準は、消費者物価に関する限り三%台が続いておりまして、また国際収支も黒字になっております。そこで、国際的な金融情勢さえ条件が変化すれば、日本の国内の需要は機動的に金利政策で展開できる条件は熟しておるわけでございますので、引き続いて環境の整備を待って機動的な展開をしていきたい、このように決めたところでございます。
 それから第二点は、政府並びに地方の関係の公共事業、これは土地代を除きまして約二十四兆ございます。これを上半期七七%台の執行率を確保しようと、こういうことを決めました。したがって、上半期には約十九兆円、下半期には約五兆円と、こういう数字になります。例年は六五%前後でありますから、一二、三%も上がりますから、土地代を除きましても三兆、土地代を入れますと約四兆見当の上半期に事業量が拡大をすることになります。
 それからまた住宅は、ことしは百三十万戸を計画しておりますが、その半分が何らかの形で公的資金が入る住宅計画になっておりますので、この分についても最大限上半期に繰り上げて執行をしていこうと、こういうことも決めたところでございます。
 また、昨年発生いたしました災害が約一兆円ございますが、これも五十七年度中にできるだけ多くを執行していこう、できれば八割見当をやってしまおうと、こういうことも決めております。
 さしあたっては、このように公共事業並びに公的住宅その他の投資を上半期に集中することによりまして景気回復策を図っていきたいとさしあたっては考えておりますが、後半民間経済の力が出てまいりますと、それはそのとおり大変結構になるわけでありますが、もしそのとおりいかないと、その場合には何らかの対策を立てなければなりません。建設省あたりからは公共事業の追加をもう少し具体的に明らかにすべきであるという要請も出ておりますが、その問題につきましては、経済の活力が維持できるような、そういう経済政策を適当な時期に具体的に考えていきましょう、ここまでは政府の方針が決まっておりますけれども、まだ具体的な中身につきましては最終の合意はできておりません。ただしかし、経済の活力を維持、拡大をすると、これがすべての政策の基本でございますので、以上申し上げましたような方向で五十七年度わが国の経済が回復するような、そういう方向に努力を集中してまいりたいと考えておるところでございます。
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広田幸一#10
○広田幸一君 長官いまおっしゃったこと、後で少し私も分析しながら質問していきたいと思うんですが、こだわるようですけれども、さっきの暦年の二・九%、そのとおりでありまして、私がいままでの一、二、三カ月のそれを見ましたときに、時間がありませんから、——どうも二・六から二・七になるような数字になるわけです。しかし、そのことは二、三%のことですから、ここでそれほど問題にするわけじゃありませんが、いずれにいたしましても、二・何ぼの大きな差がつくわけでありまして、いまおっしゃったようなことだけで果たしてできるだろうか、いままでの実績を見まして。特にさっき長官がおっしゃいましたように、いま世界はもう最悪の経済の不況の中にあると、こういうふうな前提でお話しになったわけでありますから、いままでに比べてこれから世界的経済がよくなるというような何か条件はないではないかというふうに考えますと、より五・二%というのは大変むずかしいではないかと思うんであります。
 そこでやっぱり過去を見ながら将来を見通していかなきゃならぬわけでございますから、五十六年度がなぜこのように落ち込んだであろうか、その辺のひとつ御説明をいただきたいと思うんです。
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田中誠一郎#11
○政府委員(田中誠一郎君) 五十六年度の経済を振り返ってみますと、昨年の年央にいわゆる石油危機の直接的な影響は脱したのではないかというふうに考えているわけでございます。その後緩やかな回復にあったわけでございますが、御存じのとおり、昨年来以降輸出の増勢が鈍化しているというところから、景気にいろいろ影響を与えているということかと思われます。特に昨年の十−十二月期は経済成長率がマイナスでございますが、その大きな要因は輸出の増勢が鈍化し、輸入がふえたということの結果でございまして、内需で見ますとプラスでございます。特に民間需要で見ますとプラスになっているわけでございます。したがいまして、ここのところ民間需要の回復が見られるわけでございますが、何分にも輸出の増勢鈍化が、従来堅調でございました加工型産業等にも影響を与えているというところから、生産、出荷がこのところ一進一退状況ということでございます。
 加えまして、海外の条件を見ますと、ただいま大臣から御説明ございましたとおり、アメリカの高金利が非常に居座っておるわけでございまして、わが国の場合には物価が落ちついておりまして、実質金利がかなり高いという状況にございますので、元来ですと金融政策が発動できる条件があるわけでございますけれども、何分にもアメリカの高金利のために、たとえば長期金利の引き下げができないといったような事情があろうかと思います。一方、原油価格の上昇、相対価格の変化によりまして、いわゆる素材型産業等についての停滞が見られるといったような状況がございますし、加えまして、若干このところにまいりまして回復の兆しは見られますけれども、個人消費が一進一退でございましたし、住宅投資が低迷していたというところから、中小企業の活動が停滞を示していたという悪循環がございまして、総じて見ますと、そういった諸要因が重なりまして五十六年度の景気は期待していたようなラインに乗っていなかったというふうに考えているわけでございます。
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広田幸一#12
○広田幸一君 私のあれが間違っておったら御指摘いただきたいと思うんですが、外国の景気が悪くて外需が伸びなかったということでありますけれども、——そういうお話だったですね。ところが、実績を見ますと、五十六年度の暦年では二・一%で、当初経企庁が見込んだ数字よりも上がっておるわけですよ、数字から見ますと。そういうことになりませんか。ですから、何か外国の景気が悪かったから、外需が落ち込んでというふうなぐあいにもとれるんですけれども、そのようなことはないかどうかというふうに考えます。
 それから長官一さっき金融政策をもっと積極的にやるというお話があったんですけれども、日銀なんかの最近の動きを見ますと、これ以上限度いっぱいだと、こういうふうなことも言われておりますし、貨幣の供給量もずいぶん高い、これは第一次の石油ショック以前のああいう高さになっておる。現在一〇%ぐらい出ておるんじゃないでしょうか。そういうところから見ますと、そう別断金融政策によってこれから好転するというようなことは余り期待できぬではないかというふうに思うのでありますが、この辺のところはいかがでございましょうか。
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河本敏夫#13
○国務大臣(河本敏夫君) 確かに金融はいまお述べになったとおりでございます。私が申し上げましたのは、金融を機動的に運営するという具体的な意味は、条件が許せばもう少し長期プライムも下げたいと、中小企業の投資を拡大をするためには長期金利が下がらないとこれはなかなか中小企業の計画は進まないのであります。そのことを申し上げたわけでございますが、現時点ではそれができないと、なぜできないかというと、それはアメリカの高金利が足を引っ張っていると、こういうことを申し上げたわけでございまして、現状はいまお述べになったとおりで、私もそのように考えております。
 それから先ほどいろいろな質疑応答がございましたが、一つは要するに私は五十六年度の経済の足を引っ張ったのは実質可処分所得がマイナスになったと、こういうことだと思うんです。これは政府の当初雇用者所得の伸びは一人当たり七・五%、それから国民経済全体としての雇用者の所得の伸びは雇用者の数が一・六%ふえると想定をしておりましたから九・二%想定をしておりました。それが中小企業の状態が悪いものですから、当初の予定よりも非常に大幅に低下をしておる。一方で公的負担が非常に大きいとこういうこともございまして、可処分所得がマイナスになる。したがって消費が伸び悩む、あわせて住宅が建たない、これはまた中小企業に悪い影響を及ぼすという悪循環の繰り返しと、こういうことが一つの大きな私は当初と見込み違いになった点だと思います。
 それから貿易の問題につきましては、上半期は四月から秋まではこれは大体予定どおり貿易は伸びたと思うんですが、いま局長が申し上げましたのは、昨年の秋ごろから輸出が急速に落ち込んだと、それが後半の経済の足を大きく引っ張っておると、そういう趣旨を申し上げたわけでございます。
 以上のような点が五十六年度経済が予定よりも相当違ったと、この背景であろうと、このように分析をいたしております。
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広田幸一#14
○広田幸一君 済んだことですから、いま長官が正直に——正直にと言うと失礼ですけれども、やっぱり消費が伸びなかったと、内需が拡大しなかったということが大きな影響だというふうにおっしゃっておるんですが、そのとおりだろうと思いますし、大臣もいままで景気回復をするためには個人の消費を伸ばすと、内需を拡大するということを何回も言ってこられたように記憶しております。勤労者の賃金もそのためには一定上げなきゃならないというようなことも積極的にお話になっておるように聞いておるわけですが、そこでそういう話が出ましたので、いま春闘が全部済んだわけではありませんが、大体山場を越したのですけれども、五十七年度の景気をよくするためにはやっぱり消費を拡大しなきゃならぬと思うのですが、今度の春闘の結果をどのようにごらんになっておりますか。これによって可処分所得が二年間落ち込んだと言われてきたのですけれども、これが今度の春闘のあの結果によって伸びてくると期待できると、こういうふうに見ておられましょうか。
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河本敏夫#15
○国務大臣(河本敏夫君) 春闘の現在までの妥結の状況を見ますと、大企業を中心に約三百社弱が決定をいたしました。その平均のベースアップ七・二%、こういう数字になっておりまして、消費者物価が五十五年度七・八%、五十六年度の数字はまだ最終的にわかりませんが、多分四%前後になるのではなかろうかと、こう思っております。したがって、消費者物価が安定をしたということから判断をいたしますと、五十六年度のベースアップよりも五十七年度のベースアップの方が中身の濃いものになっておると思うんです。ただしかし、わが国の経済を分析をしてみますと、中小企業の分野が非常に多うございまして、働いておる人たちも中小企業の方が多くて、約三分の二が中小企業で働いておる、こういう状態であります。昨年の雇用者の伸びが非常に政府見通しよりも低かったというのは中小企業の状態が悪くて中小企業のベースアップが非常に低い水準であったと、所得が伸びなかったと、こういうことも背景にございます。まだ中小企業のベースアップが決まっておりませんで、これからでございますので、来月いっぱいぐらいかかるのではないかと思います。そこで、いま政府の方といたしましては、中小企業のベースアップが一体どのように動くのか、それを見ないことにはこの春闘による経済効果というものはにわかに判断できないと、このように考えております。
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広田幸一#16
○広田幸一君 可処分所得の分析は労働省もやっておるようでありますけれども、何か一%ぐらい伸びがあるだろうというようなことがちょっと言われておるようですが、いま長官がおっしゃったように、最終的にはまだわからないと思うんです。私もいま長官がおっしゃいましたように、八〇%以上を占めておる三百人以下の中小零細企業の勤労者の賃金がどの程度でおさまるか、そのことが個人消費の拡大に大きな影響を来たすだろうというふうに一応見ておるわけでありますが、これからの見通しを見なきゃならぬということでありますが、設備投資を見ましても昨年の場合は全体的に落ちております。大企業の方はやっていますけれども、伸び方もやっぱり落ちておる。中でも中小零細企業の方はずいぶん落ちておるわけでありますね。ですからこれは五十七年度に伸びていくような情勢があるかどうか。その辺を見ますと、どうも伸びていかない。とすれば私は中小零細企業の勤労者の所得が伸びるということにはならないんではないか。しかも超過勤務手当というようなものも減っていく。すると長官、さっきからおっしゃっているような五十七年度に景気をつけるという大きな中身であるこの個人消費を伸ばすというところに期待ができぬではないかというふうに心配をするわけでありますが、この辺はいかがでしょうか。
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河本敏夫#17
○国務大臣(河本敏夫君) いま中小企業の設備投資のお話が出ましたが、五十六年度は私どもは大企業の設備投資は約十九兆あると考えておりましたが、これは大体計画どおりいっておると思います。しかし、中小企業の方は二十三兆ぐらいあると考えておりましたが、これが四兆近く落ち込むのではなかろうかと、このように思います。予定よりも十数%落ち込む、これは非常に経済成長に大きな影響を及ぼしております。四兆も落ち込みますとこれは大変なことだと思うんですが、その背景はやはり景気の現状がはっきりしないということと、それからやはり中小企業の投資の場合は全部借入金でやる場合が多いのでございまして、大企業の場合は有利な資金を証券市場等から調達することが可能でありますが、中小企業の場合にはそれができない。そこで、やはり金利がもう少し下がるはずだと、物価が下がっておるのに、いまの実質金利は日本は高過ぎる、もう少しやはり金利負担が減少するのを待ちたいと、こういうことも一部にあろうかと、こう思っております。
 そこで、先ほども金融政策の機動的運営ということを申し上げたわけでございますが、五十七年度——今月から始まっておるわけてこざいますが、五十七年度の設備投資がどのように展開をしていくか、それはこれからの景気の動向、政府の経済政策一つにかかっておると、このように思いますので、最終的の数字を申し上げかねますけれども、しかし、計画の設備投資が予定どおり五十七年度に進むようになる、そういう産業政策を進めてまいりたいと、このように考えております。
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広田幸一#18
○広田幸一君 長官、私も経済のことがよくわかっておるというわけじゃありませんが、いま長官がおっしゃいました、景気を出すためには設備投資もどんどん伸びていかなきゃならないと、こういうお話であります。そこのところがいま何とも言えないということでありますが、最近の、私も新聞等で見る限りでございますからその程度の資料しかなくて言えませんけれども、日銀とか開発銀行とか興業銀行、長銀、そういったところが出した数字を見ますと、この設備投資の計画というものはだんだんと低くなっておりますね。五十七年度の場合もそういうふうなものが低くなっておると、こういうことが言えますし、大きな会社が、大企業がいわゆる投資をやるというようなところもありますけれども、自己資金をもってやろうというわけですね、たまった金をもってやろうということでございますから、積極的にお金を借りてやろうというようなどうも傾向でないと。とすると、いわゆる高度経済成長の時代のような積極的な、伸ばしていくというような、そういうふうにも見えないわけでございますが、この辺を余り期待をして五・二%というのを考えるのはやっぱり心配になるわけですが、この辺のことはいかがでしょうか。
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河本敏夫#19
○国務大臣(河本敏夫君) 最近、銀行の設備投資見込みについての調査が幾つか発表されております。いまお述べになったとおりでございますが、この内容は非常に違っておるんです。銀行によりましては数字が非常に違っておると、こういうことを私どもは留意をしておりまして、必ずしも全体の経済の動きをつかんでいないのではないか、調査の範囲が非常にそれぞれ異なっておるのではないか、比較的狭いのではないか、こういう感じも受けております。
 そこで、高度成長時代と比べて設備投資が減るはずだという趣旨のことをいまおっしゃいましたが、基本的にはそうかもわかりませんけれども、現在の設備投資の目的をずっと調べてみますと、科学技術が日進月歩の勢いで進んでおりまして、それを産業の分野にできるだけ取り入れていきたいと、また取り入れないと競争に敗れてしまうということでございますので、現在の設備投資の目的は、一つは技術革新投資、それからもう一つは省エネルギー投資、これが中心でございます。で、中小企業などの設備投資の内容を調べてみましても、この二つが中心の目標になっておりまして、ことしもそれぞれの中小企業においても技術革新投資と省エネ投資に対して非常に強い希望を持っておられるわけですね。ただしかし、投資の条件が熟さないということで延ばされる場合が多いということでございますから、いまは高度成長時代と違いますけれども、いま申し上げましたような目的から設備投資意欲というものは非常に強いと、このように私どもは判断をしております。したがって、条件さえ熟せば相当大規模な設備投資が進むと、このように判断をいたしておるのでございます。
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広田幸一#20
○広田幸一君 もう一つ長官、こうして景気が悪いというのは、まあ可処分所得が伸びないという、消費拡大につながらないということでありますが、そういうふうになったもとというのは、いわゆる、よく大蔵省等が言っておりましたけれども、財政の出番がないということですね。要するに、たとえば公共事業にしましても、この三年ぐらいは全部横ばいでございますね。しかも物価は上がっていますから、実質目減りになっておる。そういうことがやっぱりこの全体の経済の不活性化をもたらした結果になっておるではないかと。その点では長官は積極政策でございまして、あるいは長官のそういった考え方がいまの政府の政策の中に出ていないかもしれませんけれども、われわれが見まして、やっぱり政府の財政の出番がないと、もっと積極的にこの政策をとるべきであったと、こういうふうに思うんですが、この辺はいかがでございましょうか。
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河本敏夫#21
○国務大臣(河本敏夫君) 政府の社会資本投資は昭和五十三年からほぼ横並びでございます。したがいまして、財政が積極的に作動してないというお話は、これはそのとおりだと思います。ただしかし、先ほども申し上げましたように、財政事情は窮屈でございますが、ほっておくわけにはまいりませんので、そこで、五十七年度の財政運営といたしましては、社会資本投資を上半期に集中的に技術的に可能な限り最大限ひとつ繰り上げてやってみようと、後半は後半のことだと、こういう思い切った対策を立てておるのでございまして、実質は、上半期だけのことを考えますと数兆円財政が拡大されたと、このように判断をしていただいてもいいのではないか。後半どうなるんだと、まあこういう御疑問もございましょうけれども、後半のことにつきましては適当な時期において対策を考えていかなければならねと、こう思っております。
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広田幸一#22
○広田幸一君 建設省の住宅局お見えになっておると思うんですが、私も、とにかく消費が拡大しなきゃならぬと、そういう、積極的に政府はやってもらいたいという意見を、考え方を持ってるわけですね。そこでまあ住宅建設というものがすそ野が広いわけですから、景気には非常に大きな影響を出す。で、私も、ことしは長官もおっしゃいましたように百三十万という目標を立てて、これをやるんだということでありますが、どうも私が勉強した範囲では、いままで、去年なんかのずっと落ち込み等を見ますと、そんなに多く期待できるだろうかというと、余り期待できないんでありますが、どうでしょうか、見通しを建設省の方からひとつお聞かせいただきたい。
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北島照仁#23
○説明員(北島照仁君) 最近、住宅建設が低水準で推移しております。昭和五十年代に入りましてから大体百五十万戸前後で住宅建設推移してきたわけでございますが、五十五年におきまして百二十一万四千戸と、前年比一八%ほど落ち込みました。そしてまた五十六年度も、まだその三月の数字が出ておりませんので確定した数字でございませんが、百十四万戸前後という、昨年よりさらに六%程度落ち込むんじゃないかというふうに一応考えております。この原因といたしましては、五十四年から五十五年にかけまして地価とか建築費が上昇したと、それによって住宅価格が上がった、一方、住宅ローンの金利も高水準で推移した、それから、先ほど来議論になっておりましたけれども、国民の実質所得が伸び悩んだ、こういう事情で住宅価格と取得能力の開きが大きくなったと。五十六年に入りましてからは、実は住宅価格の方は安定化傾向を示しておるわけでございます。すなわち、建築費の方は横ばいないしはむしろ低落の傾向にある、地価の方も安定化傾向にある、それから金利の方も大分下がってきておる。しかし、一方において所得が伸び悩んでおるというところで低水準で推移しているんじゃないかというふうにそこは考えておるわけでございます。
 その昭和五十七年度でございますけれども、この住宅建設を何とか促進しなきゃいかぬということで、この五十七年度の予算編成あるいは税制改正等におきまして、住宅金融公庫融資あるいは財形融資、年金融資等におきまして、貸付限度額を引き上げた、それから貸付戸数も増大したと。それから現在、住宅金融公庫法につきましては参議院で審議中でございますが、公庫法の改正によって既存住宅金利の引き下げを行う、あるいは財形融資でございますが、利子補給制度を導入するというようなことを行いまして、これらの措置によって何とか国民の所得、住宅の取得能力の補完をするという措置を講じたわけでございます。
 また、住宅土地税制におきまして、住宅取得控除の拡充とか、あるいは土地税制の大幅な改正を行い、これによって宅地供給の促進、それによるところの宅地価格の安定を図ろうとしておるわけでございます。
 さらにこれは、大蔵省の方を通じてお願いしているところでございますが、民間住宅金融につきましても、四月からもうすでに一部引き下げになりましたけれども、住宅金融につきましては、資金量の確保とか、あるいは迅速な手続とかいうことを大蔵省を通じて行っておるところでございます。
 こういうような措置、政府としましてはできる限りのことを行ったということでございまして、今後も、——ここに局長、長官がおられますんですが、企画庁の方におきまして、適切な経済運営を行って、全体として物価の安定とか、あるいは所得の向上というものを行うこととしておりますので、これによって何とか百三十万戸といいますか、住宅建設の促進というものを図れるのではないかというふうに考えておるところでございます。
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広田幸一#24
○広田幸一君 建設省としては、そういう言い方になると思うんですが、一昨年が一八・三%も落ち込み、五十六年は幾らになりますか。
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北島照仁#25
○説明員(北島照仁君) 百十四万戸前後というふうに考えております。
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広田幸一#26
○広田幸一君 前年伸び率幾らになります。
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北島照仁#27
○説明員(北島照仁君) 六%程度の減というふうに考えております。
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広田幸一#28
○広田幸一君 一昨年が一八・三%の減ですから、去年は六%の減で、かなり回復したようなことですけれども、いずれにしてもいろんな周囲の状況からしまして、土地がそう下がったわけではありませんし、それから建築材料がそれほど、言われるほど安くなっていない、伸ばそうという政府の気持ちはわかりますけれども、私は住宅建設が大きく伸びていくという、そう可能性もないようでございます。特に、最近は絶対不足時代から大分脱皮しておりますから、なかなか政府が考えておるようなぐあいにいかないと、こういうふうに見ております。
 そこで、長官、何とか五・二%景気を回復させなければならないということでありますが、さっきおっしゃったように、公共事業の前倒しで七七%ということにしておるわけでありますが、後半はどういうことになるのですか、いずれ秋ごろには補正予算を組まれると思うんですが、その財源はどこから求めるのでございますか。
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河本敏夫#29
○国務大臣(河本敏夫君) 後半は世界経済も回復すると言われておりますので、貿易も現状のような姿ではないと思いますし、それから前半公共事業を集中することによりまして、これを誘い水としてこの民間経済の力を引っ張り出したいとこう思っております。そのとおり進めば、公共事業を追加しなくても済むと思うんですけれども、もしそのとおりにならなければ、これはやはり公共事業を何らかの形で民間の力が落ち込んでおる分だけまた同時に上半期集中して、下半期減った分だけある程度これは対策を立てませんと、これは経済ががた落ちになってしまいますから、そういうことについては、その時点で考えていかなければならぬと、こう思っております。
 ただしかし、まだどうなるかわかりませんので、できればそういうことをしなくても済めばいいわけでありますから、いまのところはとにかく上半期集中して、ひとつやってみようと、ここまで決めておりまして、下半期にどうするかということについては、まだ何も具体的には決めてない。経済も悪くなっては困る、悪くならぬようにしなけりゃならぬ、そこまでの合意はできておるのだけれども、具体的な内容についてはまだ政府部内で詰めていないと、こういうことでございます。
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