科学技術委員会

1984-04-19 衆議院 全154発言

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会議録情報#0
昭和五十九年四月十九日(木曜日)
    午後三時六分開議
 出席委員
   委員長 大野  潔君
  理事 小宮山重四郎君 理事 笹山 登生君
   理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君
   理事 渡部 行雄君 理事 小川新一郎君
   理事 吉田 之久君
      伊東 正義君    岸田 文武君
      保利 耕輔君    小澤 克介君
      関  晴正君    松前  仰君
      村山 喜一君    遠藤 和良君
      小川  泰君    永末 英一君
      工藤  晃君    辻  一彦君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      岩動 道行君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      大出 峻郎君
        科学技術庁長官
        官房長     安田 佳三君
        科学技術庁原子
        力局長     中村 守孝君
        科学技術庁原子
        力安全局長   辻  栄一君
        運輸省船舶局長 神津 信男君
 委員外の出席者
        水産庁漁政部長 大坪 敏男君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電課長  高沢 信行君
        参  考  人
        (日本原子力船
        研究開発事業団
        理事長)    井上啓次郎君
        参  考  人
        (日本原子力船
        研究開発事業団
        専務理事)   福永  博君
        参  考  人
        (日本原子力船
        研究開発事業団
        理事)     野澤 俊弥君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所理事長)  藤波 恒雄君
        科学技術委員会
        調査室長    曽根原幸雄君
    —————————————
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  村山 喜一君     関  晴正君
同日
 辞任         補欠選任
  関  晴正君     村山 喜一君
    —————————————
四月十七日
 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第五五号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第五五号)
     ————◇—————
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大野潔#1
○大野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨の説明を聴取いたします。岩動国務大臣。
    —————————————
 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    —————————————
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岩動道行#2
○岩動国務大臣 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 我が国における原子力船研究開発につきましては、昭和三十八年、日本原子力船開発事業団を設立し、同事業団を中心に進めてまいりましたが、昭和五十五年の第九十三回国会において、それまでの我が国の原子力船研究開発をめぐる諸情勢等を踏まえ、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案が審議、議決され、それによって、日本原子力船開発事業団は、原子力船の開発のために必要な研究を行う機能を付与され、日本原子力船研究開発事業団に改組されたところであります。その際同事業団については、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、昭和六十年三月三十一日までに、他の原子力関係機関と統合するものとし、このために必要な措置を講ずるものとされたところであります。
 この日本原子力船研究開発事業団の統合につきましては、政府として慎重に検討を行ってまいりましたが、統合先としては、以下の理由により日本原子力研究所が適当であると判断いたしました。
 すなわち、一つには、長期的な観点から我が国の将来を考えるとき、原子力船に関する技術を保有しておくことは重要であり、このため、今後段階的、着実に研究開発を進めることとし、この見地から、原子力分野において基礎から応用にわたる幅広い技術基盤を有する日本原子力研究所は、その総合的能力を原子力船技術に対しても十分に活用し得ると考えられること。二つには、日本原子力研究所は、これまで日本原子力船研究開発事業団の業務に協力してきた実績があり、今後の原子力船に関する研究開発についても、このような実績をもとに、円滑に遂行し得ると考えられること等であります。
 なお、日本原子力船研究開発事業団が開発を進めてまいりました原子力船「むつ」の取り扱いにつきましては、各方面のお考えを踏まえつつ、検討を行うこととしておりますが、原子力船の開発のために必要な研究は、「むつ」の取り扱いに関する検討結果のいかんにかかわらず、どのような方法にせよ進めていく必要があると考えており、いずれにいたしましても、日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所と統合することが適当であると判断いたしております。
 本法律案は、以上の判断に基づき日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所と統合するものとし、このため同事業団を解散し、その権利義務の一切を日本原子力研究所に承継させるとともに、同研究所の業務として、原子力船の開発のために必要な研究を行うこと等を規定するなど、所要の規定の整備を行うものであります。
 以上、本法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
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大野潔#3
○大野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    —————————————
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大野潔#4
○大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本原子力船研究開発事業団理事長非上啓次郎君、同専務理事福永博君、同理事野澤俊弥君及び日本原子力研究所理事長藤波恒雄君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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大野潔#5
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    —————————————
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大野潔#6
○大野委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
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松前仰#7
○松前委員 ただいま科学技術庁長官の方から原子力研究所法の一部を改正する法律案について趣旨の御説明がありましたが、この説明の中にありますように、日本原子力船研究開発事業団を解散するということで、その事業団に働く皆様方、大変残念な思いをされておるとは私思います。しかしながら、これまで事業団の多くの皆さんの御苦労はあったわけでございますけれども、この経過の中では、やはりこれを解散して将来に備えることがどうしても必要じゃないだろうか。そういうことは、私、科学技術をやってきた者として強く感じるわけでございます。原子力については私も素人でございますけれども、技術をやってきた人間として、この関係について若干御質問さしていただきたいと思います。過去のことにつきましては、私は今ここでは余り触れるつもりはございません。これからがやはり非常に重要だと思いますので、その辺について御質問さしていただきたいと思います。
 まず、この「むつ」が残るわけでございますが、これについて今後検討を続けて八月ごろまでにそのあり方を決定するというようなお話があるわけでございますが、その今後の方針について、どうするかではなくて、どう決めていくか、その手順ですね、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
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岩動道行#8
○岩動国務大臣 まず手順を申し上げる前に、基本的に私どもは、原子力の平和利用そして日本の海運国家、貿易国家という立場、さらに、資源のない、特にエネルギー資源としての石油がほとんど一〇〇%海外からの輸入に依存する、そういう状態の中では、何と申しましても、原子力船というものの将来を考えたときには、「むつ」による舶用炉の研究開発は今後の舶用炉の研究にとりましては極めて重要な柱である、こういう認識に立っておるわけでございます。
 しかし、「むつ」のあり方については、各方面からいろいろな御議論の寄せられているところでございますので、今後私どもは、まず政府・自民党としてそのあり方については、来年度の予算の概算要求が八月末に行われますので、それまでに各方面の御議論を十分に踏まえつつ政府としての意思を決定をして、そして予算編成を終わり、そして国会にこれを提出して御審議をさらにいただく、こういう手順になろうかと思います。
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松前仰#9
○松前委員 今、予算編成のためにこれから政府でもって検討されるということがあったわけでございますが、これについては私も本会議の方で言いましたように、その方針というものをまずしっかり決めて、その先でこの統合するための法案を審議するのが一つの筋ではないだろうかと思うわけでありまして、まず方針がないままに今の統合法案ができて、それから先、方針を決めて、その方針がその統合に合わないという状況が出てきた場合には、これはまた違った形を考えていかなければならぬ。筋をやはりきちっと通して、科学的な政治という話をしましたけれども、そういう順番を追った形でやっていかないと、こういう重要な問題についてはなかなか国民の納得を得られないのじゃないだろうかと思うのですが、その辺についてちょっと御意見を伺いたい。
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岩動道行#10
○岩動国務大臣 まず、今回の統合法案は、既に本会議でもまた先ほどの趣旨説明でも申し上げましたように、既存の法律で六十年の三月三十一日までに統合する、これは行政の簡素化、効率化、こういう趣旨からこのような統合法案になったわけでございます。
 一方、「むつ」のあり方については、先ほども申し上げましたように、本年の八月を目指して今後のあり方を正式に政府としても決めてまいるわけでございますが、統合された後におきましても、原子力鉛「むつ」を使っての舶用炉の研究を進めるのかあるいはそうでない方法でやる、その場合には陸上で舶用炉の研究開発を行うということでございますので、いずれにいたしましても、統合することは決して本来のあり方に矛盾するものではない、かように考えておるのでございまして、今後ともこのような観点から御理解をいただいて御審議をお願いしたいと思う次第であります。
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松前仰#11
○松前委員 これから「むつ」のあり方の検討ということは、今までのこの経緯から見ても、国民の声といいますか意見というものは非常に多いわけでございまして、そういう中で、予算化のためだけとは申しませんが、それを目的に政府・自民党だけで検討をされていくということになると、これは多くの国民の意見というのが反映されないように思うわけであります。だから、私が言いたいのは、その前段で、こういう国会審議の場で検討をして、その後こういう法案が出てくるというのが一番筋じゃなかったかと私は思っておるわけでございます。
 その辺についてはまだ後で触れられたら触れたいと思いますけれども、そうしますと、今こういう法案が出てきたということになれば、その先に何かやはり「むつ」に対する案というものを頭の中にお持ちであろうと思うのです。なければ恐らくこういう法案というものは出てこないはずなんであります。ですから、その辺、「むつ」を一体これからどうしようとするかということについて、今考えておられる案というものを出していただきたいと思います。
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中村守孝#12
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 ただいま大臣の方から御答弁がございましたように、原子力船「むつ」につきましては各方面からのさまざまな御議論が寄せられていることにかんがみ、改めて検討いたしまして、来年度の予算編成までに結論を出し、来年度予算案の御審議を初めとして国会の御審議をいただくということになっておる段階でございまして、今、「むつ」の研究開発を継続するのか、あるいは継続するとしてどういう方法でやるのか、あるいは「むつ」の研究を中止するのか、まさにこの問題を検討しているところでございますので、そういう意味で、具体的に今「むつ」について私どもからこういうぐあいに取り扱うという計画をお示しすることができない状況にあります。しかしながら、先ほど大臣から御答弁がありましたように、「むつ」の取り扱いがいかようになりましても、かなりな仕事が「むつ」についても残りますし、舶用炉の研究開発は続けるということで、原子力研究所がその豊富な研究基盤を有するということから、原子力船研究開発事業団を原子力研究所に統合するということで進めさせていただいておりますので、よろしく御了解をいただきたいと思います。
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松前仰#13
○松前委員 今、そういう案というものはお示しできないという話が出てきたわけですけれども、そうなりますと、これは隠されたままで八月だがその辺の時点まで進んでいくという格好になるわけでありまして、それであったら我々はつんぼ桟敷に置かれて、その時点でぽっと出てきて、ああこれは大変なことになった、こういう事態になってくる。それでは全く国民を欺くような形になるのだと思うのです。ですから私は、八月までの時点であっても、こういう国会の場でもって審議をして、国民の声を反映させて進んでいくことがどうしても必要じゃないだろうかと思うのですが、その辺はどうですか。
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中村守孝#14
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 実は五十九年度の予算の実行につきましては、「むつ」のあり方のいかんにかかわらず必要となる、そういう経費しか組んでおりませんので、五十九年度中には、たとえ政府が「むつ」の取り扱いについて方針を決定したといたしましても、その方針に基づいて直ちに事が行われるということではございませんで、六十年度以降の予算をはっきりいただかない限り次の段階には進められないわけでございますので、今年度中に政府が方針を決めて勝手にやっていく、こういうことではないということを御理解いただきたいと思います。
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松前仰#15
○松前委員 いろいろお答えいただいているわけですが、どうもよくわからないのです。
 要するに、これから先の「むつ」は廃船にするかそれとも残すか、その二つしかないのに間違いないのでありまして、残す場合に洋上実験ということも当然考えておられると思うのですけれども、それはどうですか。
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井上啓次郎#16
○井上参考人 「むつ」の今後の取り扱いの中で一番大切なのは、これから出力上昇試験及び洋上試験というのが大きな役目になります。したがいまして、事業団といたしましてはその体制づくりに万全を期しておりまして、現在「むつ」は大湊港におきまして維持管理の万全を期しておるところでございます。
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松前仰#17
○松前委員 今、原子力船研究開発事業団の方からお話があったわけですが、これは本当は政府の方から御答弁いただくので、事業団の方はそれに従ってやるわけですから、事業団がそういうぐあいにおっしゃったからといって、事業団がどうだこうだとたたくわけにはいかないわけでありますけれども、今のお話にもありますように洋上実験と出力上昇試験ですか、そういうことがあるということを聞いたわけです。これについて、今そういう試験をやるだけの保証というものは完全にそろっておるでしょうか。
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福永博#18
○福永参考人 事業団専務理事の福永でございます。お答えさせていただきます。
 先生御案内のように、本船「むつ」は四十九年九月に放射線漏れというトラブルがございました。しかしながら、その後この放射線漏れにつきましては慎重な原因究明、解析等々検討を重ねまして、五十五年から五十七年にかけまして佐世保で改修工事をいたしました。と同時に、安全性につきましても全般にわたって見直しまして総点検し、必要なところは所要の工事を行うということで対応いたしたわけでございます。その後も、ただいま理事長が申し上げましたように、大湊港に回航いたしまして入念な維持管理、点検を続けておりますので、技術的には十分その健全性は保っているものと確信いたしている次第でございます。
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松前仰#19
○松前委員 私はその辺でちょっと技術屋根性が出てくるのでありますけれども、佐世保で修理をやった中身は、これは「船舶」という雑誌に出ていたものですけれども、これをずっと見てみますと、その放射線漏れについての修理のほかに、安全性、信頼性の点で不十分であったということでかなりの改修をやっておられるということが出ておるわけです。事細かにここで一つ一つ議論しても、設計審査じゃありませんからそれはやりませんけれども、たくさんあるわけですね。ということになれば、それまでの設計自体が安全性についてかなり疑問のある形で設計されてきた。今改修工事が終わって維持管理が行われているというのですけれども、その改修した後の安全性、信頼性というものについては何らチェックがなされておらない。だから、船を動かさなければわからぬという状況になっておるようでございますけれども、船を動かすということが大変な問題であり、危険な問題もあるわけでございますから、その前にちゃんとしたチェックができなければいけないわけですね。その辺はどうなっているのですか。
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福永博#20
○福永参考人 遮へい改修工事、安全性総点検、こういうものの一連の計画を進めるに当たってどういうふうなチェックが行われてきたか、こういう御質問かと思いますが、改修工事を始めるにつきましては、先ほども私ちょっと触れましたように、まず放射線漏れの原因というものを技術的に究明しなければいけないわけでございます。そうして、その原因を究明いたしましたら、それに基づきまして、一体どういう状況で放射線漏れが起こっておるかという解析をするわけでございます。そういう一連の改修計画といったようなものを事業団は取りまとめまして、運輸省及び科学技術庁の合同で設置されておりました「むつ」総点検・改修技術検討委員会というものがございますが、そこで御検討いただき、妥当性を判断していただいたわけでございます。その後さらに、事業団がまとめました計画に基づきまして、遮へいにつきましては実物大のモックアップ試験なども、原子力研究所あるいは運輸省船舶技術研究所等々の御協力もいただきまして実験いたしまして、成果を確認したわけでございます。
 こういった一連の検討を経まして基本設計を終わりまして、その後規制当局に安全審査の申請をいたしまして、安全審査、設計工事方法の認可というものをちょうだいいたしまして、先ほど申し上げましたように、五十五年の八月から本格的な工事に取りかかった、こういう経過を踏まえている次第でございます。
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松前仰#21
○松前委員 ちょっと外れたお答えだったように思いますけれども、これから船を動かす、そして原子炉を動かす、こういうことになれば、先ほど言いましたように、その改修の後の完全なチェックをしていかなければいけない。これは人工衛星を宇宙に飛ばすのと同じように、地上でもって全部試験をやって上へ上げないと、上ではもう何もできません。そういう状態と同じだと思うのです。これは非常に危険なものを海に押し出すわけでありますから、その前に完全なチェックができなければいけない。そうなると、今の改修後のこの状態というのが技術的に大丈夫だということは全く言い切れないと私は思うのです。しかも、それではどうするかということになれば、これは大変難しい問題が出てきてしまっております。
 ですから、今時点でこれを動かすためのその前のテストというのがそう簡単にできるかどうか、その辺が非常な問題になってきている。その辺を一体どうしたらいいのかということについても十分検討して、それでまた、それを動かせるのかどうか、本当に洋上実験できるのかどうか、そういうところの徹底的な議論、ここの場じゃなくて専門家の間での議論ですけれども、そういうものを全部やって、それで総点検、これは総点検と書いてあるけれども、僕は総点検じゃないと思っているのです。それが済んで、絶対にこれで大丈夫だという状態に持っていく必要がある。これは非常に抜けています、この次に動かすというためには。
 そういうことで、とにかく今現在こういう状態ですぐに動かすといったら、私は全く信用しない。まず放射線漏れが起こったということで改修した。改修したのはまあかなり部分的だと思います、詳しいところはよくわかりませんけれども。普通だったらばこれは全部の設計を見直します。大改修になりますよ。全部見直しますから、物すごいお金がかかるはずなんです。人工衛星はそうです。確かにそういう形をとっております。そういう全体の設計の見直しについても余りやっておられないような感じがする。そういうところで洋上実験を強行するという形になると、技術的に見て私は大変なことが起こると思います。
 ですから、その辺は十分検討して、船が洋上で試験ができるかどうかというところ、そこから始まって、できるよというのじゃなくて、まだ私はその前のできるかどうかという検討は非常に不足しているというぐあいに思いますので、そういう点も含めて八月までの検討の中に入れていかなければいかぬと私は思います。
 話をちょっと変えますけれども、原子力船の必要性というものについて、何に使えるかということをちょっとお答えいただきたいと思います。
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神津信男#22
○神津政府委員 お答え申し上げます。
 資源の少ない我が国でかつ四面を海に囲まれております我が国にとりましては、海運、造船業というのは非常に重要な産業でございまして、今後ともこの状態を続けていくためには、この分野で第一級の技術を常に保持をしていく必要があると考えております。海運界にとりましては、原子力船の開発によりましてエネルギー源の多様化を図ることができるわけでございまして、石油価格の動向に依存することなく安定的な発展が期待できますし、さらに将来、石油燃料が枯渇した場合には、原子力エネルギーは船舶の有力なエネルギー源の一つとなるわけでございまして、我が国海運の健全な発展のためには、ぜひ原子力船の開発を行うことが必要でございます。また、既に欧米先進諸国ではサバンナ号であるとかオット・ハーン号等でいろいろの経験を持って原子力船実用化のための基礎技術を確立しておるわけでございますが、造船界といたしましても、これら欧米諸国との原子力船建造技術の格差を克服いたしましてその技術基盤を確立することによりまして、将来にわたって我が国造船業が国際的競争力を維持していくことができるわけでございまして、この意味でもぜひ原子力船の開発は必要であるというふうに考えております。
 また、どういうものに使えるのかというお話がございましたが、原子力船が実用化する場合には、高出力を要する船舶ほど石油を燃料とする在来船より経済性がよくなるということ、また燃料を補給せずに長期運航が可能になるというような長所があるわけでございまして、砕氷船、LNG船、大型高速コンテナ船、超大型タンカー等が原子力船の実用化の場合に非常に有望であるというふうに考えております。
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松前仰#23
○松前委員 そういうお話はもう前々からわかっておりますけれども、要するに砕氷船だとか特殊な船だとか、そんなようなことしか経済的に見て使い道がない。また、資源が我が国は少ないというのはもう決まり文句で言われておりますけれども、そんなことはわかっているのですが、しかしながら、船に使う油ですね、これは世界の油全体の消費に比べたら物すごい少ないでしょう。そういうことから考えて、何で資源が少ないからということをうたい文句に。していかなければいかぬか、さっぱり私はわからない。しかも、これが経済的に見てさっきの特殊な船しか使えないということになれば、今すぐこれを一生懸命やるような必要性というのは全くないように思うのです。
 だから、私が言いたいのは、もう一度基礎研究に戻って、やめると言うのじゃないです、原子力だから原子力船をやめなさいと言うのじゃないのです。基礎研究に戻って、本当に安全なものをきちっとつくる段階に戻らないと、これはそのまま続けたらまたまた大きな問題を起こしますから。これはもう私は確実に起こすと思いますよ。どれかということは言わないけれども、とにかく技術というのはどんなものでも、大丈夫だといったってどこかで問題が起こるのですから。そういう点を一生懸命アナリシスやっても、そのアナリシスやったところ以外のところがフェーリアを起こしているのが普通なんです。そういう点があるから、これは非常に危険な要素も含んでいるんだから慎重にやりなさい、だからこれはもう基礎研究に戻りなさいというのが私の主張でございます。その辺の御見解を伺いたい。
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神津信男#24
○神津政府委員 原子力船の実用化の見通してございますが、ただいま例示で申し上げましたのは、当面実用化をするとしたら、先ほど申し上げました船から実用化をしていくだろう。しかし、さらに長期的に見ますと、この原子力船の実用化という問題につきましては、石油の価格と舶用炉プラントコストとの関係で決まってくるわけでございまして、現在のように石油資源が有限で、将来石油価格の上昇が見込まれるという状況の中では、舶用炉プラントコストの低減化に努めることによりまして、二十一世紀に入りますと、先ほど申し上げた以外の船舶でも相当原子力船の実用化の必要性が出てくるのではないかというふうに考えております。
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中村守孝#25
○中村(守)政府委員 先生、今御指摘のように基礎研究に立ち返って研究をすべきであるというお話でございました。
 このような御意見は、前回五十五年の法律改正のときにもいろいろ出まして、そういう意味で、五十五年の法律改正のときに、原子力船開発のために必要な研究、新たに原子力船開発事業団にそういう業務を付与したわけでございまして、その際「むつ」につきましては、従来「むつ」は実験終了後はいわゆる商業用なりほかの実用に使うというような計画もあったわけでございますが、これはもう実験船に限定して使うのだ、そういう一つの踏み切りをしたわけでございまして、「むつ」につきましては、先ほど先生から御指摘がありましたように、今直ちにいきなり炉に火をともすというようなことをすることを私どもも考えておりませんし、「むつ」による研究開発を継続するといたしました場合には、当然のことながら、合ふたもあけられない状態である「むつ」につきまして、地元の御了解を得て、まずできれば今の大湊で冷態停止の状態での各種の試験、さらには温度を高めました温態状態におきます各部の機器の操作、そういったものを入念にチェックしました上でいわゆる原子炉に火をともす、こういう段階を経てまいります。しかも、なおかつその原子炉に火をともした後の実験につきましても、出力をゼロ出力という状態から徐々に各部の点検をして、段階を追って進めていくということでございまして、まさに先生の御主張のような念入りな検討をした上で進めていくことになると考えておるわけでございます。
 「むつ」は、今後の舶用炉研究開発の上で、陸上では得られない複雑な海上における諸事象に対して原子炉がどういうビヘービアをするか、そこら辺のことにつきましてのデータを取得するということでございまして、これにつきましても、実験船でございますから、念入りなデータの取得なりその事前の検討なり、そういうものがなされて行われるわけでございまして、それらのデータをもとに、また、陸上における諸所の研究と相まって将来のしっかりした舶用炉をつくっていこう、こういうことでございます。
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松前仰#26
○松前委員 船でもってやるような話が命ずっと出ておりました。それより、それをやる前にやることがいっぱいあるのです。私いろんな資料をもらいましたけれども、これをざっと読んでみますと、その辺をやはりきちっと検討して、陸上で完全な形にして船に載せて、それから船の実験というのがあり得ると思うのです。そういう点で、非常に今の御説明は私は納得いきません。
 これについてはまだ同僚議員が質問すると思いますので、私この辺で、地元の問題その他については非常に弱いものですから、かわりにほかの人にやらしてもらいたいと思います。これで終わります。
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大野潔#27
○大野委員長 関晴正君。
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関晴正#28
○関委員 私は、今度の法律改正に伴いまして、何が今我々にとって一番大事なことなんだろうかということを基本にしながらお尋ねをしてみたいと思うのであります。
 原子力船の計画というものは、我が国において既に昭和三十年にこの問題が出ておったわけであります。そうして、三十八年には具体的な事業として原子力船開発事業団が誕生じ、この事業団がきっとうまくやってくれるであろう、こういうことで事に臨んだのでありますが、現状は、まさに二十年たって全く何のことをしたのかわけのわからない結果に今ある、こう思います。何のためにこういう結果になったのかという一つの反省なしに次の道を踏み出すというわけにはいかないだろう、こう思います。私は、一番先に誤りがあった、理念において構想においてはそんなに間違ってもおらなかったと思うのですが、事業に着手した当初において一番の誤りがあった、こう思うのです。
 それは何かというと、原研においても既に一つの研究原子炉なるものをつくっておりまして、JRR4なるものがある一つの線を出しておるわけです。その炉においてストリーミング現象というものが起きているわけです。その措置について、きちんとした対応をしないままに船に載せちゃって、そして同じ現象が太平洋上で惹起して、これは一体この道にかかわっておった人たちは何をしておったのだ。予告があり、そういう研究の成果物があって、ちっともそれを利用しようとしなかった。なぜそれができなかったのか。それが大きな間違いをつくる始まりであった。
 あげくに、予算の執行にもあるわけだが、この船をつくるという場合の契約において一貫した契約というものがなされなかった。設計どおりにやると、やたらに高くつく。もっと安くなるだろうと思ったら、やたらに高くつく。そこで設計内容をがたんがたんとあなた方は下げたでしょう。必要な設計の変更を価格に合わせてしてしまって、何のための実験船であるのかという性格を失わせるようなことをしちゃったのですよ、あなた方は。それでいて、今さらこの問題については、今後のエネルギーの問題であるとかあるいは必要な開発であるとかなんとかと言っているけれども、知らないで信頼してきた国民こそいい面の皮だと言っていいと思う。そういうことを考えるときに、合すっかり体を洗って、そうして出直すことが大事じゃないだろうか。
 私は、この際、岩動長官に申し上げたいし御意見を固さたいと思うのですが、あなたもやっとこの間なった長官ですよね。今、覚えたふりしていろいろ言っているけれども、そんなに覚えているわけでもない。私ども青森県から出ている政治家にとっては、この問題にかかわってきたのは昭和四十二年以来十六年なんです。私なんか、断食道場で寝ておったのを、寝てもおれなくなって飛び起きて、大変なことになるぞ、我が国の科学がどこまで行っておるかわからぬが、しかしこの問題はいいかげんに青森県を振り回すことになりはせぬか、こういうおそれが十分にあったものだから、検討に検討を加えろ。しかし、そのとき政府は何と言いました。森山科学技術庁長官、原子力の火を恐れる者は野獣の火を恐れるがごときものなりと言って、青森県民を罵倒したでしょう。罵倒する資格ありやと今昔いたいですよ。初めに誤りありきなんです。
 そういうことを考えるときに、今また誤っちゃならないと思うのです。何のために今統合するのです。統合しなきゃならない必然性というのはどこなんです。言っているところの内容から見ますと、理由はここに書いていますよ、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所と統合するために必要な措置を講ずる云々。これによってどれだけのお金を生み出そうというのですか。これによってどれだけの予算の経済が期せられるというのですか。
 まず大臣、ひとつこの問題に取っ組んで、私どもは廃船を主張していますよ。また、自民党の中にも「原子力船を考える会」といって、中山太郎君を先頭に、廃船しかないと言っていますよ。長官だって、かつてこのメンバーの一人だったでしょう。ここにおられる諸君たちも、向かい合っている諸君たちはみんな「考える会」のメンバーですよ。「考える会」では何と言っているかというと、考えた結果、これは廃船にすべきだと、言っている。自民党の科学技術都会でも、これは廃船にすべきだと方針を出している。方針が撤回されたとは、まだ発表されていませんよ。方針は生きています。そうして、この問題の取り扱いに困っちゃって打ち出したのが、ことしの八月末までに何とか一つの線を出すか、こういうのでしょう。
 これほど情けない行政の責任者の現状というものはないと私は思うのです。そういう意味において、長官、ひとつこの問題をすっきりさせるために、私ならば、原子力船開発事業団というものはもう歴史的任務は終わった、新しい任務というものを考えなきゃならない。それがためには、この事業団の扱った船も一緒に解散しちゃって、廃船にしちゃって——舶用炉の開発は続けることについて我々社会党といえども何も否定しませんよ、これに反対する何物もありませんよ。だが、余計な荷物をしょったまま原研の方においでになるということについては問題がある。
 原研の側の職員の代表、所長さんが何と言っているか、わかりませんよ。国のやることだから、反対もできないでしょう。はいはいと聞かざるを得ないでしょう。心の中に何とあるか、聞きたいものだとも思っています。原研は原研としての使命があるし任務がある。その使命、任務というものを、これを合わせることによって阻害されることにならないだろうか。要らない荷物を受けることになることは明らかだと思う。そういうことから、私はいろいろなことをこれまで言ってきましたけれども、やはりここでもう一遍考え直す、そういう原点に立っていいんじゃないだろうか、こうも思いますので、ひとつその点について長官からまずお考えをいただければと思います。
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岩動道行#29
○岩動国務大臣 貴重な御意見、ありがとうございます。先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもは、何と申しましても原子力の平和利用、これは資源のない国としてはどうしても進めていかなければならない重要な分野と心得ております。そういう中において原子力船の研究開発は、これまた先ほど来申しますように日本の地政学的な立場、そして海運国家である、貿易立国によって初めて同氏の繁栄と平和が確保できる、こういう観点から、私どもは原子力船の研究開発は必要であるということで「むつ」による研究開発を進めてきたところでございます。
 しかしながら、過去のいろいろなことを反省し、また今後「むつ」による舶用炉の研究をどうするかにつきましては、各方面から貴重ないろいろな御意見が寄せられております。したがいまして、そのような御意見、そして当然閉会におけるいろいろな御審議、御意見を十分に拝聴して、この夏までに政府としてどのように対応するかを決定いたしたい、かように考えておるところでございます。
 また一方、法案の方では事業団の統合ということをお願いをいたしておりますが、この法案は、六十年の三月三十一日までに対処せよ、こういう法律の規定がございますので、政府といたしましては、この法律によって誠実に対応しなければならないということで統合法案を提案いたしておるわけでございますので、どうか御審議を賜りたいと思うのでございます。
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