外務委員会

1993-04-09 衆議院 全178発言

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会議録情報#0
平成五年四月九日(金曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 伊藤 公介君
   理事 小里 貞利君 理事 狩野  勝君
   理事 古賀 一成君 理事 鈴木 宗男君
   理事 土井たか子君 理事 東  祥三君
      小渕 恵三君    奥田 敬和君
      中山 正暉君    細田 博之君
      松浦  昭君    宮里 松正君
      山口 敏夫君    秋葉 忠利君
      井上 一成君    川島  實君
      新村 勝雄君    藤田 高敏君
      山口那津男君    古堅 実吉君
      伊藤 英成君    和田 一仁君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 武藤 嘉文君
 出席政府委員
        国際平和協力本
        部事務局長   柳井 俊二君
        外務大臣官房長 林  貞行君
        外務大臣官房審
        議官      須藤 隆也君
        外務大臣官房審
        議官      津守  滋君
        外務大臣官房領
        事移住部長   荒  義尚君
        外務省アジア局
        長       池田  維君
        外務省北米局長 佐藤 行雄君
        外務省欧亜局長 野村 一成君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   小原  武君
        外務省経済局長 小倉 和夫君
        外務省経済協力
        局長      川上 隆朗君
        外務省条約局長 丹波  實君
        外務省国際連合
        局長事務代理  小西 正樹君
        外務省情報調査
        局長      鈴木 勝也君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力安全局原子力
        安全課防災環境
        対策室長    折田 義彦君
        外務委員会調査
        室長      黒河内久美君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  川島  實君     楢崎弥之助君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  奥田 敬和君     近藤 鉄雄君
  中山 正暉君     桜井  新君
  松浦  昭君     中山 太郎君
  秋葉 忠利君     田邊  誠君
  新村 勝雄君     吉田 和子君
  楢崎弥之助君     川島  實君
  遠藤 乙彦君     井上 義久君
  和田 一仁君     大内 啓伍君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 鉄雄君     奥田 敬和君
  桜井  新君     中山 正暉君
  中山 太郎君     松浦  昭君
  田邊  誠君     秋葉 忠利君
  吉田 和子君     新村 勝雄君
  井上 義久君     遠藤 乙彦君
  大内 啓伍君     和田 一仁君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  遠藤 乙彦君     二見 伸明君
同日
 辞任         補欠選任
  二見 伸明君     遠藤 乙彦君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  奥田 敬和君     原田  憲君
  遠藤 乙彦君     二見 伸明君
同日
 辞任         補欠選任
  原田  憲君    奥田 敬和君
  二見 伸明君     遠藤 乙彦君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  遠藤 乙彦君     二見 伸明君
同日
 辞任         補欠選任
  二見 伸明君     遠藤 乙彦君
三月六日
 辞任         補欠選任
  奥田 敬和君     臼井日出男君
  藤田 高敏君     三野 優美君
同日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     奥田 敬和君
  三野 優美君     藤田 高敏君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  奥田 敬和君     村岡 兼造君
同日
 辞任         補欠選任
  村岡 兼造君     奥田 敬和君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  秋葉 忠利君     阿部未喜男君
  新村 勝雄君     渋谷  修君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部未喜男君     秋葉 忠利君
  渋谷  修君     新村 勝雄君
四月二日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     甘利  明君
同月五日
 辞任         補欠選任
  甘利  明君     山口 敏夫君
同月九日
 辞任         補欠選任
  神崎 武法君     山口那津男君
  和田 一仁君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  山口那津男君     神崎 武法君
  伊藤 英成君     和田 一仁君
    ―――――――――――――
二月二十六日
 国際的なコスパス・サーサット計画との地上部
 分提供国としての提携に関する通告の書簡の締
 結について承認を求めるの件(条約第一号)
 国際移住機関憲章の締結について承認を求める
 の件(条約第二号)
 航空業務に関する日本国とネパール王国との間
 の協定の締結について承認を求めるの件(条約
 第三号)(予)
 日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定
 を改正する議定書の締結について承認を求める
 の件(条約第四号)(予)
 商業及び事務所における衛生に関する条約(第
 百二十号)の締結について承認を求めるの件(
 条
 約第五号)(予)
三月十二日
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とトルコ共和国との
 間の協定の締結について承認を求めるの件(条
 約第六号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とイスラエル国との
 間の条約の締結について承認を求めるの件(条
 約第七号)
 気候変動に関する国際連合枠組条約の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第八号)
 生物の多様性に関する条約の締結について承認
 を求めるの件(条約第九号)
四月七日
 航空業務に関する日本国とネパール王国との間
 の協定の締結について承認を求めるの件(条約
 第三号)(参議院送付)
 日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定
 を改正する議定書の締結について承認を求める
 の件(条約第四号)(参議院送付)
三月二日
 子どもの権利条約批准に関する請願(長谷百合
 子君紹介)(第四〇六号)
 同(沖田正人君紹介)(第四七〇号)
 同(伊東秀子君紹介)(第五〇七号)
同月十日
 子どもの権利条約批准に関する請願(外口玉子
 君紹介)(第六四九号)
同月二十三日
 子どもの権利条約批准に関する請願(菅直人君
 紹介)(第九二八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第九二九号)
 同(金子満広君紹介)(第九三〇号)
 同(木島日出夫君紹介)(第九三一号)
 同(児玉健次君紹介)(第九三二号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第九三三号)
 同(菅野悦子君紹介)(第九三四号)
 同(辻第一君紹介)(第九三五号)
 同(寺前巖君紹介)(第九三六号)
 同(東中光雄君紹介)(第九三七号)
 同(不破哲三君紹介)(第九三八号)
 同(藤田スミ君紹介)(第九三九号)
 同(古堅実吉君紹介)(第九四〇号)
 同(正森成二君紹介)(第九四一号)
 同(三浦久君紹介)(第九四二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第九四三号)
 同(吉井英勝君紹介)(第九四四号)
同月三十日
 子どもの権利条約批准に関する請願(岡崎宏美
 君紹介)(第一〇二六号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第一〇二七号)
 同(佐藤泰介君紹介)(第一〇二八号)
 同(沢藤礼次郎君紹介)(第一〇六五号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第一〇六六号)
 同(川崎寛治君紹介)(第一一五七号)
 同(田中昭一君紹介)(第一一五八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
二月十九日
 子どもの権利条約の早期批准に関する陳情書外
 一件
 (第一四号)
 ソマリアの難民救済に関する陳情書外一件
 (第一五号)
 日朝国交正常化の早期実現に関する陳情書
 (第一六号)
 海外在留邦人の安全確保対策に関する陳情書
 (第一七号)
 山陰沖漁場における韓国漁船問題に関する陳情
 書
 (第一八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際的なコスパス・サーサット計画との地上部
 分提供国としての提携に関する通告の書簡の締
 結について承認を求めるの件(条約第一号)
 国際移住機関憲章の締結について承認を求める
 の件(条約第二号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
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伊藤公介#1
○伊藤委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先立ちまして、昨八日、国際連合ボランティアでUNTAC選挙監視要員の日本人中田厚仁君が、国際貢献の使命に燃えてカンボジア和平のためボランティア活動中、銃弾の犠牲となられました。
 将来、国連大使を夢見て勇敢に行動された中田厚仁君と御遺族の方々に衷心より哀悼の意を表し、委員各位の御協力をいただいて、黙祷をささげたいと存じます。
 御起立をお願いいたします。――黙祷。
    〔総員起立、黙祷〕
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伊藤公介#2
○伊藤委員長 黙祷を終わります。御着席願います。
     ――――◇―――――
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伊藤公介#3
○伊藤委員長 この際、武藤外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣武藤嘉文君。
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武藤嘉文#4
○武藤国務大臣 今般、外務大臣を拝命をいたしました。正直、大変複雑な心境にございまして、二十何年の長い間、同志として一緒に行動をともにしてまいりました渡辺前大臣が病気のために辞任せざるを得ないという、そういう中でその後を引き継いでやれということでございまして、何かこれが人の運命かもしれませんけれども、渡辺さんのことを思いますと、非常に複雑な心境にございます。
 しかし、日本の今国際社会の中で置かれている立場を考えれば、いっときも外交の停滞は許されません。そういう面において引き受けろということでございますので、お引き受けをいたしました。
 私は、今までどちらかといえば国内的な問題については相当経験を積んでまいりましたけれども、外交は初めての経験でございますので、ひとつ外務委員会の先生方のよき御指導によりまして、日本の外交が誤りなきように努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
 特に、今東西冷戦がなくなりまして、新しい世界の平和を目指した秩序づくりを各国が努力をいたしておりますけれども、経済状況にいたしましても必ずしもいい状況だとは言えませんし、また、今黙祷をみんなでいたしましたけれども、せっかく平和を目指しているカンボジアでさえあのような痛ましい事件が起きるわけでございまして、そしてまた旧ユーゴスラビアあるいはアフリカのあちこちで今なおいろいろの紛争が起きておる、本当にこういうときに、一日も早く平和で世界じゅうの人たちが幸せに暮らせるような時代をつくっていかなければならない。そういう点においては、今国際社会の中に置かれている日本の立場から考えますと、本当にしっかりした外交をやっていかなければならないと思っております。
 たまたま今回、日本で東京サミットが七月に行われるわけでございますし、そのサミットにおける一つの大きなテーマでございますロシアに対する支援につきましては、来週G7の外相・蔵相会議も開かれるわけでございまして、本当に私も早速いろいろの仕事に取りかからなければいけない、まことに勉強する暇もないというようなことでございまして、一生懸命やってまいるつもりでございますけれども、よろしく御指導のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。拍手
     ――――◇―――――
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伊藤公介#5
○伊藤委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。
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藤田高敏#6
○藤田(高)委員 私は、具体的な質問に入ります前に、一言私の立場からもごあいさつをいたしたいと思います。
 今新大臣からごあいさつがございましたが、渡辺前外務大臣は、病気とはいえ、外務大臣を辞任することになりました。持ち前の本音で物を語るという渡辺外務大臣独特の、いわばいい悪いの批判はありましょうけれども、ある意味においてめり張りのきく外交を展開してきたリーダーではなかったかと思います。そういう意味では、一日も早い御全快をお祈りしながら、また、今武藤新大臣からは真摯なごあいさつがございました。
 新大臣は豊富な経験をお持ちでございますが、今日我が国の外交は問題山積でございまして、非常に多難な問題がたくさんあると思います。そういう中で御苦労でございますけれども、せっかくの御活躍を期待を申し上げて、新大臣の就任に対するごあいさつといたしたいと思います。
 そこで私は、きょうはカンボジアの和平問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけでありますけれども、その前に、今委員長の取り計らいによりまして、中田厚仁君に対し御冥福をお祈りし、また御遺族に対し哀悼の意を表したところでございますが、質問に先立ちまして、国際貢献に貢献される途中このようなとうとい犠牲になられました中田厚仁君のみたまに対しまして、改めて御冥福をお祈りするものでございます。
 さて、このカンボジア問題は、予想していた以上の大変な事態が今起こっておると思います。私ども、当然のことでございますが、十三年ぶりにカンボジアに和平がよみがえってくる、そういう意味では、基本的な立場としては、カンボジア人の手による新生平和国家の再建がUNTACの業務活動を通じて一日も早い成功、いわゆる円満な総選挙を通じて新しい憲法を制定して、大統領制をつくるのかあるいは議院内閣制による制度をつくるのか、ともあれ自由にして公正な選挙を通じて新生カンボジアの誕生を期待しておったわけでありますが、そういうやさきに、あってはならない、起こってはならない最悪の事態が起こりました。
 こういう事態に直面して、今政府は何をなすべきか。その第一は、まず予見を持たないでこの事件の真相を直ちに究明し、そして国民に公表することではないだろうか。それと同時に、自衛隊を含めてでありますけれども、ボランティア活動と称する停戦監視団の関係あるいは選挙監視活動、そして文民警察等々、ボランティア活動に参加をしておる人々の人命、安全対策というものについて、我々は新聞報道ぐらいしか情報がないわけでありますけれども、少し安易な対応で終始してきたのではないかという心配をいたしております。この事態に直面をして、人命の安全対策について政府は大急ぎで見直しをすべきではないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
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柳井俊二#7
○柳井政府委員 昨日、日本人国連ボランティアの中田さんが、通訳とともにあのように悲劇的な死を遂げられたことはまことに残念でございます。その事件の背景、目的等詳細につきましては、現在UNTACにおきまして鋭意調査を進めているところでございます。私どもも、UNTACと協力をいたしまして、できるだけ詳細な情報を得ようということで努力しておりますので、情報を得次第、ただいま藤田先生御指摘のとおりこれを公表してまいりたいと存じております。
 これもまた御指摘のとおり、UNTACの平和維持活動に参加する要員の安全というものは最も大事なことでございますので、これまでも政府といたしましては意を用いてきたところでございますけれども、第一義的にはUNTACにおきましてこの安全対策を講ずるということでございますので、昨日早速、UNTACに対して、カンボジアにおきまして一層の安全対策を講ずるよう要請をしたところでございます。
 具体的には、これまでもUNTACといたしましては、選挙に向けて緊張が高まるであろうという予測のもとにいろいろな安全対策をとってきております。例えば、夜間には出歩かないようにするというようなこと、それから危険の多いところでは歩兵部隊の宿営地に寝泊まりをするというような措置、あるいは歩兵部隊の警護をつける等々の措置をとっております。しかしながら、このような事件を契機といたしまして、UNTACとしてもこの安全対策の見直しということを早急にやっていると承知しております。
 また、要員を派遣しております日本政府といたしましても、通信体制の整備でございますとか、あるいは情報の提供等々、できる限りのことをしてまいりたいと存じております。
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藤田高敏#8
○藤田(高)委員 当然のことですけれども、今答弁のありましたようなことを中心に、人命の安全確保に向けては格段の努力をやってもらいたい、このように思います。
 そこで、中田厚仁さんの犠牲に伴う補償問題ですね。これは身分からいって国連の職員ということになるのでしょうか。そういうことになれば、第一義的には国連の責任においてということになろうと思うのですけれども、日本政府としても何らかの形で対応すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
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柳井俊二#9
○柳井政府委員 ただいま御指摘のとおり、国連ボランティアの方々は、国連と直接契約をされまして、国連のいわば一部として活動されているわけでございます。文字どおりボランティアでございまして、日本人のボランティアにつきましても、日本政府としてはその採用等に一切関与していない次第でございますので、制度上は第一義的にまさしく国連がこの補償の問題の責任を負うということでございます。私ども承知しているところでは、ボランティアにつきましては、国連において掛けております保険によって補償を行うというふうに承知しております。その手続は、UNTACにおいて開始されると考えております。
 さらに、日本政府として何かできないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたような地位の方々でございますので、日本政府の持っております制度には直接にはのってこないわけでございますが、なお先例等も調査いたしまして、何かできないか、この問題について鋭意検討させていただきたいと存じます。
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藤田高敏#10
○藤田(高)委員 先ほどの答弁の中で、今日のカンボジア情勢についての現状の報告、これはこういった事件が起こった問題を含めて、今UNTACが進めておる業務活動が今後順調に進むのか、それとも、これから私が質問をするような不安材料のために中断を余儀なくされるのか、そういうようなことについて、これまた主観を用いないで、ややもすると、また事件等が起こりますと一にも二にもポル・ポト派のしわざではないかというようなことが世間で流布されるわけですけれども、そういう予見とか主観的な立場でこの事態を把握するのではなくて、極めて客観的に事態を判断をして、そうしてその実態をこの外務委員会なり国会の正規の機関へできるだけ早く公表をしてもらいたい、これは強く要望しておきたいと思います。
 これは大変愚痴になりますけれども、委員長、この国会が始まって外務委員会は衆議院の方はやっていないですね。参議院の方は二回やっているのですよ、案件の問題もありますけれども。そういう点では、こういう事態が起こったときには、やはり国会の機能として最も敏感に対応しなければいかぬのは外務委員会じゃないか。そういう点では、生きた委員会の運営、対応の仕方について考慮してほしい、これは委員長に対しても要望しておきたいと思います。
 それで、今同僚議員からも出ておりますが、その公表のいかんによっては、余り形式にこだわらないで、カンボジアだったらカンボジア問題に絞って、予算委員会で言えば集中審議的な対応をすることが非常に大事じゃないか。これは失礼だけれども、事務局が書いたペーパーを読んで一件落着というようなことではなくて、大臣と私との間には食い違ったこともあるかもわからないし、しかし、国際問題ですから、できるだけ共通の土俵で、共通のいい目標の達成に向けて協力し合うという意味において、今後の運営面についての御配慮をお願いしておきたいと思うのです。まず委員長の見解を聞きましょう。
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伊藤公介#11
○伊藤委員長 藤田委員の御意見は、十分私自身受けとめて今後の委員会に生かさしていただきたいと思います。
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藤田高敏#12
○藤田(高)委員 そのことを強く要望しておきます。
 そこで、このカンボジアの問題については、大変残念なことですけれども、今日のこの事態は、当初私どもが期待し、予測いたしておりましたように、パリ協定の精神に沿って、そしていわゆるPKO協力法五原則に沿ってカンボジアの国連活動が順調に進むのではないかと思っていたのですけれども、事態は、先ほどの事件を含めまして、率直に言ってパリ協定の根本になる問題が崩れつつあるのじゃないか。また、いわゆる平和協力法の五原則、なかんずく当事者間の停戦の合意、こういうものが現実に崩れているのではないか。この問題が偶発的あるいは単発的な問題として今の局面を迎えているのではなくて、言うところのポル・ポト派が一番肝心な選挙をボイコットする、これは公式にキュー・サムファン議長が態度表明をしておりますし、その中から予見されるものは、あってはならぬのですけれども、UNTAC自身がこの攻撃のターゲットにされるのじゃないか。そしてまた、あってはならぬと思うのですけれども、選挙、投票の妨害、そういう意味でこれまた選挙の監視員に対する負傷事件が起こるような事態をも私どもは残念ながら予測をせざるを得ないと思うのです。
 そういう意味合いから、政府は、今日の事態を含め、現地の今日の現状、そして今後の動向はどうなるだろうかというようなものを極めて客観的に分析をする場合に、パリ協定あるいはPKO参加五原則の線に沿って業務活動が進むというふうに判断をなさっているのか、それとも悲観的な見通しを持たれているのか、このいずれであるかをお答えいただきたいと思います。
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柳井俊二#13
○柳井政府委員 まず第一にパリ協定等の関係でございますけれども、ただいま御指摘のように、確かに当初パリ協定で予想したような形で完全にこの和平のプロセスが進んできたということではないというのは事実でございます。特に、パリ協定で規定しております武装解除でございますけれども、いわゆる第二段階、これは昨年の六月十三日に入ったわけでございますが、それにおきまして七〇%の武装解除をする、そういう武装解除をした上で、いわば武装の低い水準のもとで停戦をさらに確固たるものにするということだったわけでございますが、この点は残念ながら実現しなかったわけでございます。ポル・ポト派以外の各派の武装解除は若干行われましたけれども、それ以上ポル・ポト派以外の三派の武装解除だけを進めるということはむしろ危険であるという考え方もございまして、この点は停滞をしたわけでございます。
 他方におきまして、選挙登録あるいは難民の帰還は非常に順調に行われまして、選挙登録につきましては四百七十万の有権者の登録が行われたわけでございます。亡くなった中田さんのようなボランティアの方々が大変な努力をされまして、この選挙登録は順調に進んだと言って差し支えないと思います。また、もう一つ前進いたしましたところは難民の帰還でございまして、三十三万を超える難民がカンボジアに帰ってまいりまして、タイの難民キャンプは閉鎖をすることができるようになったという点もあったわけでございます。したがいまして、パリ協定との関係におきましては、実現したものもありしなかったものもございます。
 それから、もとより、ポル・ポト派が選挙に参加しないという意向でございますことは大変残念な点でございます。ただ、いわゆる停戦の合意自体は私どもは今も守られていると思います。いろいろな停戦違反あるいは今回のような襲撃事件が起こっているのは事実でございますけれども、全面的な戦闘の再開になっているわけではございませんし、また、ポル・ポト派を含めまして各派ともこのUNTACの活動の受け入れという立場を変えているわけではございません。したがいまして、我が国の国際平和維持法の基本になっております五原則は現状においては満たされているというふうに認識しておる次第でございます。
 今後のことでございますけれども、当面の最大の課題は、公平な、そして民主的な選挙を行う、そして国民に支持された新しい政府を樹立するということでございますので、そのようなことが行い得るようにUNTAC、そしてUNTACに参加している世界じゅうの国々が努力すべきであろうというふうに考えております。
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藤田高敏#14
○藤田(高)委員 パリ和平協定なり、なかんずくいわゆるPKO参加五原則の合意条件は崩れてない、こういうことでありますが、これは個別的、散発的にパリ和平協定なりあるいはPKO協力法の五原則に抵触するような事態が起こったというのではなくて、パリ協定の一番根幹になるのは、外国軍隊を含めて、カンボジア内におけるいうところの四派の武装解除の上に停戦の合意が成り立つ、そこで公正にして自由な、民主的な選挙というのがUNTACを中心とする国連のカンボジア再建に向けての活動のスケジュールであったと私は思うわけです。
 そういう点からいうと、この四派を構成する中のポル・ポト派勢力が組織的に大事な武装解除はやらない、いわゆる停戦の合意の大前提になる武装解除がやれない、こういう事態が起こっておる。武装解除をやらないばかりか、先ほどから指摘をしておるように、一番大事な選挙にも参加しない、ボイコットをやる。そうして、事と次第によっては、カンボジア人の手によるカンボジアができるわけではないという前提で、率直に言えば、ベトナム人が相当入った選挙になってしまう、これでは真のカンボジアの民主的な独立国家としての再生はない、こういう立場から選挙それ自体を妨害する、こういう事態が十分予見されておるわけなんですね。こういう状態の中で、パリ協定あるいは五原則が崩されていないという点は、いささかこれは強弁に過ぎるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
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柳井俊二#15
○柳井政府委員 確かに、理想的な停戦の合意と申しますものは、武装解除を進めまして紛争当事者の各派が低い水準の武装、さらに理想的に言えば、武装を完全に解除した形で停戦がなされるというのが一番よろしいわけでございます。パリ協定もそのような考え方に立って七〇%の武装解除ということを規定したわけでございます。しかしながら、現実の問題としては、これは実現していないというのはまことに残念ではございます。
 ただ、武装解除がなければ停戦の合意がないかということになりますれば、停戦の合的そのものは、武装解除なしあるいは余り武装解除をしない、言いかえますれば、武装の水準の高い状態での停戦の合意というものも十分あり得るわけでございます。もとより、武装の水準の高い停戦の合意というものがより低いものに比べますれば危険度が高いということは言えると思いますが、しかしながら、停戦の合意そのものは現在でも保たれているというのが私どもの考え方でございます。
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藤田高敏#16
○藤田(高)委員 PKO協力法が成立する過程の審議経過からいえば、今の柳井さんの答弁は大変詭弁のように聞こえるわけですよ。
 私どもは、少なくともこのカンボジアの和平、停戦というものは、四派の武装解除が完全になされるということを期待し、そのことを前提にして合意が調ったということで、自衛隊を派遣するかどうかについては我々と意見を異にする政府・与党とのそういう関係がありましたけれども、そういう考え方、見方においては武装解除というものが前提だ、こういう前提に立ってこの問題に対応してきたわけです。
 今のお話を聞いておると、武装解除がなくとも停戦の合意というものはあるのだ、最初からそんな解釈でPKO協力法を国会に提案をし、審議したのですか。極端に言えば、国民をだましたことになりませんか。私はそう思いますよ、素直に。国民はやはり、カンボジアの四派がいろいろなことがあってもそれぞれ武装解除しましょう、それまでカンボジアに入っておった外国の軍隊も、ここのパリ協定にあるように武装解除を全部しましょう、外国軍隊は撤退しましょう、そういう形の中で停戦というものができましたということで、いよいよこの活動に入りましょうというのじゃなかったのですか。そこのところは大事なところですから、私もたくさん質問のなにがありますが、その点をぜひひとつお聞かせ願いたいと思います。
 それと、いま一つは、やはりUNTACの活動の一番失敗は、完全にポル・ポト派の武装解除をやらないまま入った、ここに一番大きな原因があるように思うのですが、どうですか、これはもう率直に言って。その非は非として素直に認め、国民が理解できるような答弁をひとつやってもらわなければいかぬですね。どうでしょうか。
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柳井俊二#17
○柳井政府委員 停戦の合意を含めまして五原則の問題につきましては、法案の審議の際にいろいろ御議論があったわけでございます。カンボジアの和平のプロセスにつきましては、確かにパリ協定におきまして、停戦の合意のほかに武装解除というものもこの合意の一環に含まれていたわけでございまして、これは事実でございます。そして、この武装解除が予想どおり進まなかったということも事実でございます。
 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、この武装解除のレベルというものはいろいろあり得るわけでございまして、もとより武装解除が非常に進んだ状態での停戦の合意が守られるというのが理想ではございますけれども、現実の問題といたしましては、そのような状況でない停戦の合意というのも十分あり得ると考えます。したがいまして、五原則との関係ではこの停戦の合意が崩れたというふうには見ておらないわけでございます。
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藤田高敏#18
○藤田(高)委員 この平和協力法の審議過程では、今カンボジアに起こっておるような鉄砲の弾が飛ぶようなところへは自衛隊を含めこういった日本の協力活動はやらないのだ、ここへ議事録も、総理の答弁を持っておりますけれども。これが現在は、弾が飛び合うどころか、実質的には内戦状態に近いような、そして一番肝心なUNTAC自身がターゲットになるような現状だ。そしてミサイルさえ、一発だったか二発だったか知りませんけれども、飛ぶような事態になっておるわけですね。こういう現状を考えると、やはり国会審議の経過というものは、これをほごにしてしまうような、露骨な言い方をすれば政府はうそをついて、うそをつきながら今のPKO活動を進めているのではないかとさえ思われるのですが、どうですか。
 それと同時に、武装解除というものが前提で我々は合意という条件を非常に大事に見てきたわけでありますが、こういう事態になってくると、当然PKO活動の五原則、停戦の合意条項というものは実質的には崩れてきた。そういう中で、自衛隊のこの活動の一時中止、場合によっては活動の中断、引き揚げ、撤収ということも、これは当然考えなきゃいけない一つの選択肢を求める局面を迎えているんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
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柳井俊二#19
○柳井政府委員 ただいま法案の審議に際しましての一つの議論と申しますか答弁の中で、弾が飛び交うようなところには出さないというような答弁があったというような御指摘がございました。私は、議事録を全部持っておりませんので、どの答弁を指しておられるのかは承知いたしませんけれども、当時、PKOに要員を出すということがあたかも戦場に人を送るというようなことで、いろいろ批判があり反対があったわけです。
 それに対しまして政府側としましては、それは、そういうことではないのです、これは停戦の合意が成立して、しかし長年戦ってきた紛争当事者間の停戦の合意というものは脆弱なものでございますから、これに対する停戦の監視等の国連の平和維持活動を行ってさらに確固たる停戦に持っていく、和平に持っていく、こういうことです、したがいまして、現に戦場になっているようなところに停戦の合意もないのに要員を送るということではないという趣旨の答弁をいろいろな機会に申し上げたと記憶しております。
 そういうことから申しますと、停戦の違反が全くないという状況でなければPKO活動は行われないというような答弁を申し上げたことはないというふうに記憶しております。
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藤田高敏#20
○藤田(高)委員 事務当局の答弁はそういうことなんですけれども、大臣の判断はどうですか。
 そして、この問題とも関連しますけれども、けさの新聞を拝見しますと、大臣は大変適切な発言をなさっておると思うのですが、モザンビークに対するPKOの派遣の問題。これは、今度モザンビークにPKOを派遣するかどうかについて、一時、官邸筋と外務省関係はいささか意見の違いがあるということが報道されましたけれども、事のよしあしはいろいろありますが、カンボジアでこのPKO活動というものが半ば成功した、やはりそういう見きわめの上に立って枠を広げるといいますか、事を推進する側に立ってもそういう態度が必要じゃないかと思うのです。
 けさ、大臣のこの新聞記事ですけれども、このモザンビークについては、せっかく苦労してつくったPKO協力法が必ずしも定着していない段階で、なし崩しとは書いてはおりませんが、どんどん枠を広げる、これは適切でない、こういうふうに談話が出ております。私はそのとおりだと思うのですが、大臣、前段の問題を含めて、御所見いかがでしょうか。
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武藤嘉文#21
○武藤国務大臣 まず、カンボジア問題でございますけれども、本当に不幸な出来事でございまして、まことに残念で、中田君に対しては心から御冥福をお祈りいたしておるわけでございますし、御遺族に対しては本当に哀悼の気持ちでいっぱいでございます。同時に、このようないわゆるボランティア活動、しかも非常に困難なところで何とか一日も早くカンボジアの平和を実現しなきゃいけない、そういう崇高な気持ちで従事しておられた方に対してこのような武力行為がなされたということは、まことに許されないことであり、本当に、何というか憤りの気持ちでいっぱいでございます。
 今の藤田先生の御指摘でございますが、ただ私もまだ事実関係を必ずしも正確につかんでおりません。今鋭意、事実関係について早く把握をするように指示はいたしてございますが、その事実関係を見てやらなければいけないわけでございまして、先ほど最初に藤田先生がおっしゃいましたように、これを直截的にポル・ポト派のしわざだと言うべきではないというふうにもおっしゃっておられました。私も実は、きのう初めてそのニュースを聞きましたときは、直観的にそういう気持ちを多少持ったことは事実でございますけれども、どうも事実関係必ずしもはっきりいたしませんので、どうも私の早とちりであったと言って後で訂正をしておいたのでございます。
 今御指摘のとおりで、ポル・ポト派を含めて、本当にカンボジアの国民が長年の争いをやめて、お互いにカンボジア国民としてカンボジアの再建に取り組んでいただきたいという気持ちを私は強く持っておるものでございますから、ただ、今のPKOの五原則が崩れたかどうかということに対しては、もう少し私は事実関係を確認してから判断すべきではないかというふうに思っております。
 それから、モザンビークの問題につきましては、私が記者会見で申し上げましたのは、モザンビークに反対というわけではございませんけれども、ただ本当にこのPKO協力法というのは、国会がああいうような形で、国論を二分するような形で成立をした法律でありますだけに、もっともっと国民の中に十分理解されていかなければいけないのじゃないか。外務省としても国民にもっと理解を深めていく必要があると私は思っているわけでございます。
 そういう意味合いの定着が十分してないときにどんどん広げていくというのはいかがなものであろうかということを申し上げたわけで、モザンビークにあくまで反対ということではなくて、やはりこういうものは政府だけが勝手にやるべきことではなくて、常によく国民の理解を求めながら実施をしていくというのが必要である、こんなようなことの趣旨を私は申し上げたのがあのような新聞の表現になっていた、こういうことであるわけでございまして、私自身が頭からモザンビーク反対というわけでは決してないわけでございます。ただ、国民の理解を得ないでやることはいけない、国民の理解を得ながら、国民がやはりモザンビークに対しても、それはいいじゃないか、こういうときには派遣すべきだ、こういうふうに私は思っておるわけでございます。
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藤田高敏#22
○藤田(高)委員 このパリ協定違反あるいはいうところの五原則の合意条件違反の問題は、これはきょうの段階で幾らやってもこれ以上の進展はどうもないような気がするわけです。ただ、防衛庁の日吉次官ではありませんけれども、こういう事態を含めて、それは政府当局にしては特に残念なことかもわかりませんけれども、PKOの活動の中断、場合によっては撤収、撤退というような作業もやらなければいかぬのじゃないかというようなことをどこか新聞の記事でも拝見したのですが、そういうこともやはり検討する時期に来ているのじゃないか。その点についての判断はいかがでしょうか。
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柳井俊二#23
○柳井政府委員 あらゆる事態を想定いたしまして研究、準備するということが必要なことは当然でございます。私、防衛庁の内部における検討の状況につきましては十分承知しておりませんけれども、内々にそのような検討をしているということは漏れ聞いております。ただ、まだ結論を得たというふうには聞いておりません。
 それから、防衛庁につきましては、いわゆる部隊派遣につきましてそのような検討をしているというふうに承知するわけでございますが、私ども国際平和協力本部事務局におきましては、いわゆる個人派遣と申しますか、停戦監視員でございますとか、あるいは現在行っております文民警察の皆さん、そういう部隊でなく派遣する場合につきまして、非常事態にどう備えるかということは内々に研究はしております。ただ、現在、中断でございますとか撤収でございますとか、そういうことを具体的に検討する状況ではないということは先ほど来申し上げているところでございます。
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藤田高敏#24
○藤田(高)委員 この問題については、現段階では残念ながら意見のすれ違いということでありますが、事態を冷静に判断をして、国会審議の経過の中で国民に約束したことを忠実に守る、そういう前提に立って中断の問題なりあるいは撤退の問題も検討をしてほしいということを要請をいたしておきます。
 二つ目は、ロシアと我が国の北方領土問題を含む対ロシア支援の問題です。
 これは大変時間がなくなったものですからかいつまんで申し上げますが、七月のサミットに臨む対応として、この四月十四、十五にG7の会議がありますが、これを含めて、日本は領土問題はサミットの議題にはしないということを前外務大臣が言明をされている。このことは従来、去年の臨時国会を含め、あるいは昨年の国会を含めて、北方領土の問題については、政府は政経不可分、わけても拡大均衡という立場でこの問題については対応していくんだということだったわけですけれども、こういう形で議題にしない。ロンドン・サミットでも、去年のミュンヘン・サミットでも、ミュンヘン・サミットのごときは関係各国にかなりな根回しをしてまで政治宣言の中に入れたというふうに私どもは理解をしております。
 領土問題というのは、なかなか国民感情を含めてデリケートでございまして、私どもは今日のロシア情勢というものを考えるときに、今のロシアに、領土問題を議論したり、あるいはサミットの場でこの問題が中心になるほど、そういった余力はないような気もするわけですけれども、そうかといって、こういう形でぼんぼん領土問題は関係ないんだというふうなことになると、ミュンヘン・サミットとの関係はどういうことになるんだ。議題にしないという意味は、領土の棚上げということなのか、交渉の一時先送りということなのか。政経不可分というものに対して考えるなれば、政経可分論の立場に政府は方向転換をやったのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
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武藤嘉文#25
○武藤国務大臣 多分、渡辺前大臣の今のお話は、今度はたまたま東京サミットでございますから、日本が議長国になりますので議題をまとめていかなければいけない立場にございます。現時点で私の承知しておるのでは、世界のマクロ経済の問題と、それからロシア問題と、それから途上国問題と、この三つが一応コンセンサスが得られた議題と承知をいたしております。それ以外にどういう議題がこれから出てくるのか、今いろいろ各国と事務的に詰めているわけでございます。日本として、議長国という立場でございますので、決して北方領土の問題を全く考えていないわけではないわけでございますけれども、やはり議題として取り上げていくということについては、日本が積極的に、議長国という立場ではなかなか、その辺はミュンヘンの場合とは違って難しいという判断で前の渡辺大臣はおっしゃったのではないかなというふうに私は思っております。
 いずれにいたしましても、私は、例えば今度のG7外相・蔵相会議にコズイレフさんが来られれば多分二国間の協議が行われるということになると思いますが、私としてそういう場合には当然、この問題についてはやはり言うべきことはきちんと言っていかなければいけないというふうに思っております。
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藤田高敏#26
○藤田(高)委員 そうすると、素人わかりをするような答弁をしてもらいたいのですが、領土問題はそういう意味では棚上げではない。従来の拡大均衡、政経不可分というのは政経可分論ではない、そういう方向に方針を転換したんではない、こういうふうに理解していいですか。
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武藤嘉文#27
○武藤国務大臣 拡大均衡の原則、前は政経不可分と言っておりましたが、その同則は全く変えておりません。
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藤田高敏#28
○藤田(高)委員 領土問題を含めて、拡大均衡論という基本的な立場の変更はない、こういうことですね。
 それでは、そのことを確認した上で、非常にこれは難しい状態の中ですけれども、今後の日ソの平和友好条約締結の展望というものはどういう形で動いていくのだろうか。半世紀たって、日本外交がなさなければならなかった二つの課題が残されておる。その一つは、今日の日ロの平和友好条約の締結であり、いま一つは朝鮮との国交正常化の問題であろう、こういうふうに考えるわけです。そのうちの一つの日ロの平和友好条約締結の展望、それについて御所見を伺いたいと思います。
 そして、時間の関係でまとめてやりますが、ロシアに対する経済支援の問題。これは少しく材料も集めていたのですが、時間がありませんので簡単にしますけれども、日本は相当、G7の関係国の間でも、日本の立場で応分の積極的な支援をやってきておると思うのですね。例えば過去において、二カ国問支援としては二十七億ドル程度のもの、あるいは国際協調という形で二百四十億ドルの、中身は百十億ドルであったり六十億ドルであったり七十億ドルであるというような区分分けの、それぞれの目的別の条件はありますけれども、その中でも日本はかなりな支援をしてきておるというふうに私は理解をしておるわけですよ。
 ところが、フランスのミッテランにしても、あるいはその他ロシアのエリツィンのごときは、日本は一円たりとも協力していないようなことを言っておるわけなんですね。これは日本といえども、日本は何だか貿易の黒字で金持ちだというような見方をしておるところもあるかもわかりませんが、日本の国民はそれこそ長時間労働で、ウサギ小屋と言われるような住宅環境の中で努力をして今日こういう事態が結果としてなされておるわけでありまして、なるほど長時間問題等々については大急ぎで改善しなければいかぬという面がありましょうけれども、何だかそういう努力の結果、日本が協力すべきところはしておるにもかかわらず、やってないというような国際批判が非常に強い。これは今度の十四日、五日行われるG7、あるいは東京サミットで公式に各国の支援の実態というものを公表してもらいたいと思うのですね。我々の立場というものを明確にしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
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野村一成#29
○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。
 まず最初の日ロ平和条約の締結の展望についてでございますけれども、領土問題を解決して平和条約を締結するということはまさに日ロ両国間の最大の懸案でございまして、先生御案内のとおり、この問題につきましては日ソ間、日ロ間におきましても累次交渉が行われてまいったわけでございます。何分、特にロシアの現在置かれている状況との関連からいたしましても、例えばエリツィン大統領を日本に招く問題一つとりましても予断を許さない状況にございますけれども、あくまでこの領土問題を解決して平和条約を締結する、日ロ関係を完全に正常化するということが先ほど申しましたような極めて重要な課題であるということで、今後とも一貫して従来の方針にのっとり粘り強く交渉をしてまいりたいと思っております。
 それから、先ほどの我が国の対ロ支援についてでございますが、先生御指摘のとおり既に二十七億ドルがロシア向けでコミットいたしておりまして、このうちで現在までのところ既に七ないし八億ドルが実施済みでございます。近い将来四ないし五億ドルが追加的に実施が見込まれておるわけでございます。残りの部分につきましても、ロシア側の受け入れ態勢といった面、必要な条件が整い次第順次着実に実施していく考えでございまして、こういった我が国の支出の総額は、ほかの国と比較いたしましても、特に両独の統一に伴う支援も含めておりますドイツを別にいたしますれば、アメリカ、イタリアに次いで、フランスと同じ程度であるということでございます。
 したがいまして、我が国の対ロ支援が消極的である、そういうふうな批判というのは数字の上からも当たらないわけでございまして、先生御案内のとおり、一時期ロシアの方で、日本は支援を行っていないかのごとき発言がなされ、報道がなされたことがございます。私どもはそういうふうな批判に対してはその都度きちんと反論いたしておるわけでございますけれども、最近ロシアの方からのそういった間違った情報に基づく発言は、私どもは承知いたしておりません。
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