農林水産委員会

1999-05-19 衆議院 全154発言

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会議録情報#0
平成十一年五月十九日(水曜日)
    午前十時一分開議
  出席委員
   委員長 穂積 良行君
   理事 赤城 徳彦君 理事 増田 敏男君
   理事 松岡 利勝君 理事 横内 正明君
   理事 小平 忠正君 理事 木幡 弘道君
   理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君
      今村 雅弘君    小野寺五典君
      大石 秀政君    岡部 英男君
      金田 英行君    岸本 光造君
      熊谷 市雄君    小島 敏男君
      塩谷  立君    鈴木 俊一君
      田村 憲久君    中山 成彬君
      萩山 教嚴君    御法川英文君
      宮腰 光寛君    宮島 大典君
      宮本 一三君    矢上 雅義君
      安住  淳君    鉢呂 吉雄君
      堀込 征雄君    上田  勇君
      木村 太郎君    井上 喜一君
      佐々木洋平君    菅原喜重郎君
      中林よし子君    藤田 スミ君
      前島 秀行君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  中川 昭一君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      高木  賢君
        農林水産省経済
        局長      竹中 美晴君
        農林水産省構造
        改善局長    渡辺 好明君
        農林水産省農産
        園芸局長    樋口 久俊君
        農林水産省畜産
        局長      本田 浩次君
        農林水産省食品
        流通局長    福島啓史郎君
        農林水産技術会
        議事務局長   三輪睿太郎君
        食糧庁長官   堤  英隆君
        林野庁長官   山本  徹君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        専門員     外山 文雄君
委員の異動
五月十九日       
 辞任         補欠選任
  小野寺五典君     岡部 英男君
  木部 佳昭君     小島 敏男君
  園田 修光君     田村 憲久君
  宮本 一三君     宮島 大典君
同日       
 辞任         補欠選任
  岡部 英男君     小野寺五典君
  小島 敏男君     大石 秀政君
  田村 憲久君     園田 修光君
  宮島 大典君     宮本 一三君
同日       
 辞任         補欠選任
  大石 秀政君     木部 佳昭君
本日の会議に付した案件
 食料・農業・農村基本法案(内閣提出第六八号)
    午前十時一分開議
     ————◇—————
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穂積良行#1
○穂積委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、食料・農業・農村基本法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀込征雄君。
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堀込征雄#2
○堀込委員 この提案されています農業基本法の論議に、私は、本会議でも質問させていただきましたが、委員会できょうの皮切りを務めさせていただきます。
 まず、総論的な質問をさせていただくわけでありますが、きのうも我が党の鉢呂議員から、この基本法については、現在の農業基本法をやってきた経過はどうであったのか、どういう総括をしているのか、そこのところがやや不明確ではないか。つまり、今までの基本法がうまくやってこられなかったから、今度新しい基本法をつくってなし崩し的に方向転換をするのではないか、そういうふうに見える面があるわけでありまして、今までの法律、今の基本法のどこに弱点があり、あるいはどこに対応できない点があって、それをどういうふうに反省をして、なぜ今度新しい法案をつくらなければいけないか、ここのところをやはりきちんとしておく必要があるのだろうというふうに思うわけであります。
 今、農業団体を初め、いろいろな風潮の中では、農業基本法を早く決めることが大事だという意見が一つはありますし、もう一方、何か新しい基本法を決めるとすべて日本農業はうまくいくんだ、日本農業の未来は、この今提案されている農業基本法さえ決めれば未来はバラ色だみたいな幻想、風潮みたいなものもなしとはしないわけでありまして、私は、決して本当にそういうことにはなっていかないんだろう、今までとはどういうふうに違った農政が展開されていくんだろうかということを議論しながら考えていく必要があるんだろうと思います。
 一つには、昭和三十六年に制定された現在の農業基本法で、農業と他産業との生産性の格差是正、所得格差の是正、こういう政策目標が掲げられ、農政が進められてきた。その評価はどうだったのか。総括ということを考えると、どうもあっちこっちの、今度提案されている文章を見ても、今までの農基法についてどういう評価をするかというのは余りないのです、大綱に少し触れられていますけれども。
 一番詳しく触れているのが農水大臣のもとに懇談会として設置されました農業基本法に関する研究会、これは農基法農政の総括を行っているわけでありまして、この法案の提案の基本になった、こういうふうに言われていますので、その研究会の報告を見ますと、今までの農基法農政については、結果として限られた構想の部分の実現にとどまった、こういう認識が示されている。その要因として、農業と他産業との生産性の格差是正という目標がそもそも非常に困難性があったのではないか。一つには、目覚ましい経済成長のもとで、農業をめぐる状況の変化が実は農業基本法が想定したものよりも超えるものがあったんだ。二つ目には、農業基本法には個別の施策のあり方を誘導することが期待されたが、その後の政治、経済、社会情勢等の影響を強く受けてその役割を貫徹し得なかった、こういうふうに書いているのです。
 つまり、目覚ましい状況の変化の中で、昭和三十六年に制定された農業基本法というのはどうもその状況変化に対応でき得なかった、こういうふうに総括しておるわけであります。これはきのうも鉢呂議員からちょっと質問があったと思いますが、農水大臣、今までの農基法とここでなぜ変えなければならないかという意味で、今までの農基法、今私が申し上げましたような研究会報告と同じような認識なんでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
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中川昭一#3
○中川国務大臣 結論から申し上げますと、昭和三十六年当時の生産あるいは生活の都市と農村との格差の是正、あるいはまた食料の国民への供給といいましょうか増産といいましょうか、そういう生産サイドの、国民的貢献といいましょうか、役割を果たすということが基本的に明示されたのが基本法であったわけでございますが、先生御指摘のように、予測せざる部分があった。四十年近くの間に、特に自然相手、生き物相手、そしてまた世界との関係等といろいろございますし、またその予測せざる部分の一つが消費者動向というものもあったわけでございまして、そういう中で、今先生御指摘のように、生産性が向上いたしましたけれども、他産業の方がもっと、きのうちょっと申し上げましたように、マルサスとリカードの論争じゃございませんけれども、産業の生産性と農業の生産性との間のギャップが広がってしまったということが一つということでございます。
 またさらには、いろいろな消費者動向の変化というものもあったわけでございますし、ここ十年くらいを振り返ってみましても、平成五年のあの大冷害というような状況というものが国民あるいは生産者サイドに大きな衝撃を与えたと私は理解をしております。また、九三年に合意されましたWTO協定の内容というものも、やはり生産者の皆さんにとって、これはぎりぎりの選択であったわけでありますけれども、大きな国際情勢の変化と判断せざるを得ないというふうに考えております。
 したがいまして、いろいろな側面、生産政策、価格・流通政策あるいは構造政策、それぞれ成果があった部分、あるいはまた所期の目的を達成しないまま現時点に至っている部分等々があるわけでございますが、さらに加えまして新しい農業、農村の果たす役割、例えば、引き続きといいましょうか、さらに自給率が低下をし続けたという現状を考えますと、安定的な食料供給の責務というものが、生産者サイドだけではなくて国民サイド全体からもそのニーズが高まっておるというような状況、さらにはさまざまな農業、農村の果たす役割の達成といった環境面を初めとする地球的な規模でのニーズというものも当時は想定し得なかったわけでございます。
 したがいまして、現行基本法では対応し切れない、四十年という時代は、特にこの戦後の日本にとっては、ある意味では本当に、農政面だけではなくて、社会、国全体が劇的に変化をしたわけでございますので、そういう意味でいえば、四十年前の基本法をそのまま当てはめていいのかということは、これは所管外ではありますけれども、ほかの部分でもそういう議論が起こっても仕方がないぐらいに社会情勢が変化をしておるわけでございます。
 そういう意味で、食料、農業、農村に対する現時点での新たな考え方、そしてそれが中長期的に耐え得る、つまり、国民は安心して暮らし、特に食料を中心として多面的機能を享受できる、さらには生産者の方は、中長期的な目標あるいは夢を持って、自信を持って農業を中心とする農村での活動に専念できるというような体制にすべく、基本法を制定する。
 しかも、現行基本法は、他の農政上の法律との整合性というものが直接的にリンクしていないという実態面もございましたので、今回は、基本法を中心に据えて、関係法令もそれと整合性のとれたものを制定したり、あるいはまた改正したり、さらには基本計画に基づきまして我々のやるべき中長期的な行政的な責務を果たしていく。そしてまた、それを評価するというような新手法も導入して、先ほど申し上げた国民あるいは特に農業者、そして農村に住む方々にとっての中長期的な目標あるいは課題の解決、夢の実現に資するようにこの基本法を位置づけたいというふうに考えております。
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堀込征雄#4
○堀込委員 そういう基本法の総括が今大臣からなされたように、状況の劇的な変化が確かにありまして、よくわかるわけであります。しかし、もう一つやはりそういう状況の変化、相当私どもが想定し得ないような劇的な変化があったわけでありますが、そういうものも先取りをしてきちんとやってくる、行政なり私ども国会も含めてそういう対応ができなかったという反省もやはり必要なのではないかという感想を実は持つわけであります。したがって、ここで基本法を変えて、新しい日本の農政をきちんとやっていきましょう、こういうことにつながっていくのだろうと思います。
 今度は実は、今大臣から説明がありましたように、さまざまな変化の要因があった、状況があった。変化した現状に合わせて、実はこの新しい農業基本法が機能を果たすように提案をされている。今度の法律は、農業基本法という言葉に加えて、実は食料と農村という言葉をつけた、こういうことであります。ところが、私は思うに、現行の農業基本法でも、実はこの食料と農村という言葉はなかったのですけれども、実際には食料政策、農村政策というのはやられてきたのだろう。農水省内にもこれは担当部署があったわけでありまして、今までうまくやってこれなかったから、何か法律の文字に農業という文字だけではなくて、農村という字と食料という字を入れればこれからうまくいくということには簡単に結びつく話ではないと思うのですね。
 そういう意味で、新しい二つの食料と農村というカテゴリーをここへ入れたわけであります。今までの特に食料分野にかかわる、あるいは農村分野にかかわる政策が、こういう部分はうまくいかなかったから今度新しい三つの文字を並べたわけですから、新しい展開はこういうふうにしていくのだ、こういう点があったら教えていただきたいと思います。
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中川昭一#5
○中川国務大臣 本法律には四つの理念を明記しておるわけでありまして、御承知のように、国民に対する食料の安定供給、あるいは多面的な機能、そしてそれを実現するための農業の持続的な発展、あるいは農村の振興、これらは生産サイドといいましょうか、生産面だけではなくて、まず一つには、この法律全体が、農業者、農村だけの法律ではなくて、国民全体が将来にわたって安定的な食料の供給が確保されるべきであるということがこの法案の大前提にある。したがいまして、十九条でございましたか、不測の事態に対応する対応の仕方も、関係省庁との連携まで踏まえて、食料の供給、安定的な確保ということを明示しておるわけでございます。
 そういう側面を前提としながら、さらに、先ほど申し上げましたように、昭和三十年代には想定し得なかった環境面、あるいはまた地球的な面も含めましたいわゆる国土の保全、そしてまた食料に対する国際貢献といった部分、そしてまたその多面的な機能の中には景観の維持でありますとか、さらにはこれは私自身の思い入れが若干強いわけでございますけれども、自然あるいは生き物、さらには農産物に親しめるチャンスの少ない、特に都市に住んでおる子供たちが今後国民として健全に成長していく上で、自然との触れ合い。お米がどういうふうにできるのか。
 これは私自身が体験してびっくりしたことでありますけれども、サケというのは切り身がサケだと思って、一匹のサケというものを見たことがないという子供たちを、私自身北海道でございますので、実際東京でそういう体験をしたことがありますが、そういう自然、あるいは農産物、水産物、林産物との触れ合いといった教育的な側面。これは特に文部大臣が非常に御熱心でございまして、連携を深めておるところでございます。
 いずれにいたしましても、食料の安定供給が大事である。そしてまた、全国民的な意味で、食料の安定供給だけではなくて、今申し上げたことを初めとするさまざまな多面的な機能が必要である。そしてまた、国際貢献等のニーズがこの法律の中で明示されておるということで、繰り返しになりますが、国民的な理解のもとで新しい食料政策、農業政策、農村政策を一体として進めていきたいというふうに考えて、この法律を御提出させていただいておるところでございます。
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堀込征雄#6
○堀込委員 少し中身に入って質問させていただきます。
 この法案のキーワードは、食料は国民生活にとって欠くことのできない基礎的物資である。農村は、公益的で多面的な機能を発揮しており、国民全体にとって大切なものだ。したがって、今度の改正案は、食料も農業も農村も、国民にとって、あるいは国家にとって大事なものなんだ、だから国民全体の課題である、こういう組み立てになっておると思うのであります。
 そのほかにも競争原理だとか国際化だとか、いろいろなことに対応しなければならぬというキーワードがあると思うのですが、現行法では、農業分野での生産性の向上を実現することによってその目的を達成する。いわば産業政策として農業を位置づける、こういう立場があると思うのですが、やはり今の大臣の答弁からいっても、それとは違った立場から今度の法律は位置づけられる。それはよくわかるのでありますが、実は、専業農家、自立経営農家にとっては、そういうメッセージはわかるのだけれども、一体おれたちはどうなるのだよという感じを受けないわけでもないと思うのですよね。
 そこで、この二十一条では、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造の確立、こういうふうに望ましい農業構造の確立を位置づけておるのですが、やはりこの法律が期待しているのは、この部分の農家に食料生産の大部分を担ってもらう、競争社会でも勝ち抜ける体制、体質をつくってほしい、法律はこういうことを期待していると私は思うのです。
 ここでも私はちょっとこだわるのですが、今までの政策は一体どうだったのかということを反省する必要があるのではないか。あるいは、そのことを、問題点を摘出しながらこれからどうやるかということを考えていかなければならぬのじゃないか。私は、今までの農政も、価格政策と構造政策というのは適宜組み合わされてやられてきた、こう思うのですが、まず、従来の構造政策と言われるものについての総括、反省といいますか、ちょっと振り返ってみる必要があるのじゃないか。
 基本問題調査会答申では、従来の構造政策を加速する、この必要性を強調しているわけであります。しかし、自立経営農家の育成だとか協業の助長にしろ、全くうまくできてこなかったのじゃないかと私は実は思っておりまして、片や農業生産基盤の整備や近代化施設の導入ということにつきましては、実は膨大な政府資金がつぎ込まれて成果を上げてきた、こういうふうに思うのですね。
 しかし、逆にそのことが何か労働節約型の技術を普及させて、農家世帯員の余裕を生み出して、就業機会の増大を生み出した。つまり、農家の労働力を逆に農外就業の場に押し出すというような効果、皮肉な成果を上げてきたというような結果をもたらした面もあるのではないか、こう思うのです。
 つまり、構造政策というのは、一面で兼業化を懸命に進めてきた役割を果たしてきたのではないかというふうにも実は思えるわけでありまして、これをさらに加速するということになりますと、私はやはり問題なのだろうと。そこはそうではなくて、きちんとした望ましい農業構造の確立というのは、ちょっと今までとは違いますよということをきちんと位置づけておかなきゃいけないんだろう、こう思うのです。
 これは新政策でも、例えば稲作では、個別経営体十五万で組織経営体が二万程度ですか、そして稲作生産、これらの形態に八割程度を期待する、こういう目標を掲げておるわけでありまして、私は、そういう意味では、一つは、基本法農政でやってきた構造政策の反省点というのはどういうふうに考えているのか、新政策で進めてきた政策をこの基本法も基本的に継承して進めていく、こういう考え方でよいか、確認のために伺っておきたいと思います。
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中川昭一#7
○中川国務大臣 構造政策を進めていかなければならない、あるいはまた、合理化といいましょうか、機械化とかいろいろやった結果、先生御指摘のように、米作で特に申し上げれば、非常に労働時間が少なくて単収が上がっていくということで、一方もう一つは、工業化、産業の高度化に伴って、農地だけではありませんが、土地の値段が非常に上がってきたということがございまして、農地の資産としての位置づけというものが非常に大きくなってしまった。
 つまり、これは流動化の阻害要因に結果的になってしまったということで、この四十年の間に、技術面等々のいろいろな構造政策を初めとする諸施策が、先生御指摘のように、労働時間を初めとする要因によって、土地は手放さない、そして他産業で仕事ができやすくなったというような状況を生んだことは、数字的に見ても事実だろうと思います。
 これは決して所期の基本法の目指すところではなかったわけでございますけれども、広い意味でいえば、農家所得の向上という面では役立った面もあると思いますが、事構造政策という観点から見ますと、そういう予期せざる現実を生んでしまったということでございまして、これも、今回の基本法で少しやり方を変えなければいけないという一つでございます。
 今後の基本法策定に当たりましては、具体的には構造改善局長の方から答弁いたさせますが、これから、いろいろな人材の育成あるいは農地の流動化の促進あるいはまた農業形態の多様化等々、新しい手法をさらに導入したり推し進めたりしながら、新しい時代に合った形の構造政策に転換をしていかなければならないと思っております。構造改善局長の答弁をお許しいただきたいと思います。
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渡辺好明#8
○渡辺(好)政府委員 ただいま先生から、新政策における農業構造についての理念と今回の基本法案との相違、もしくはこれが同じものであるかという御質問があったわけでございます。
 新政策では、御承知のとおり、年間の労働時間あるいは生涯所得において、地域の他産業の従事者と遜色のない、そういったものを目標にいたしまして、こういう望ましい農業構造を実現するんだということが書かれております。そして、そのことはその後、農業経営基盤強化促進法の中におきまして、第一条の目的あるいは第五条の基本方針の中で、こういう農業構造を今後とも進めるんだということを、いわば先行した形でしっかりと明定をしているわけでございます。
 私ども、今回、基本法案の策定に当たりまして、この新政策と基本的には同じ考え方のもとに、基本法の第二十一条に効率的、安定的な農業経営を位置づけまして、今後とも望ましい経営の概念として政策の中心に据えていくこととしたものでございます。
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堀込征雄#9
○堀込委員 二十一条、二十二条で、望ましい農業構造の確立、専ら農業を営む者等による農業経営の展開、そして今の答弁で、ずっとそういう体制をつくり上げていくと。
 そうなりますと、私は、問題は一つありまして、実は、兼業農家の生産には期待しないのかと。この法律は、その辺は、改めて農村という言葉を入れましたけれども、兼業農家というのはどういうふうに位置づけられていくのだろうか。自家飯米をつくって、自家野菜をつくってやってもらえばいいのでしょうか。
 私は、現在の農村集落を見まして、農村の地域集団としての維持、やはり大半が兼業農家に支えられている。あるいは、定年後、年金をもらいながら小規模のちょっとした農業をやっている人も、ある意味では兼業とも言えるわけでありまして、こういう人々によって実は多くの農村集落の運営が維持されているわけであります。
 農協の経営なんかもこういう人たちがやったり、いろいろなことをやって、事実上、大事な存在になっていると私は思うのですが、この基本法を見ますと、その辺はどういうふうに位置づけて、今後の農政の中でそういうものに対応していくという発想はあるのでしょうか。
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渡辺好明#10
○渡辺(好)政府委員 大臣からも私からも、効率的、安定的な経営体が相当部分を占める農業構造を実現するんだということを申し上げましたけれども、日本の今の自給率等を考えますと、やはり農業生産総体として足らざるものを中心に増大をさせなければいけませんし、それから経営体自身は効率的でかつ安定的なものにしていかなければいけないということで、この経営体の政策もございます。
 しかし、地域の農業というのは、今先生から御指摘ございましたように、集落の機能によって維持されているわけでございますので、この集落機能を維持する、そういう点は非常に大事な点だろうと思っております。
 この基本法の第二十八条におきましては、農業生産組織の活動の促進という形で、集落を基礎とした農業者の組織その他の農業生産活動を共同して行う云々という形で、地域の集落を中心とした農業生産を全体として振興するようにということを明確に位置づけをしているわけでございます。
 確かに、稲作でいえば大宗、そのほかのものを含めまして、相当部分は効率的、安定的な経営体によって担われますけれども、全体としての農業生産は、地域の振興ということも含めまして、兼業農家その他集落の機能を生かした形で振興されていくべきものと考えております。
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堀込征雄#11
○堀込委員 そこで、新しい基本法を決めることはいいのですが、これは財政の裏打ちがないと実際には進まないわけでありまして、農林予算あるいは農業予算の関係について少しお伺いをしてまいります。
 実は、農林水産予算は相対的にも絶対的にも減少が続いているわけであります。一九八二年が実はピークで、国の予算だけですが、一般会計に占める割合が七・四%、それ以来年々減少して、九八年度の予算では三兆二千七百億ぐらい、総予算に占める割合が三・七%にまで落ち込んできてしまった。
 一方で、農業予算もそうなんですが、日本の財政支出の特徴というのは公共投資が極めて多い。公共投資が国民経済に占める割合というのは、大体欧米各国では二、三%なんですが、日本は大体六、七%というふうに非常に高いわけでありまして、口の悪い人に言わせると公共投資国家だ、こういうふうに言われる方もおるのです。そのことが日本の産業構造を実はいびつなものにしてきて、その体質を改めなければならぬということが今しきりに言われておるわけであります。
 一方、私は、現行農基法の経済成長の過程を見ますと、いわば右肩上がりの経済である。高度成長の配分を農業など低生産部門へ配分することによって、ある種社会構造の維持が図られてきた、こういう特徴があったのではないかと思うのですね。これは右肩上がりを前提としていますから、なかなかそういう状況を続けることは困難だろう、立ち行かなくなっているのだろう。
 私は、この基本法で農政を展開していく場合に、そういう意味で公共投資への風当たりの厳しさがある。もう一つは、今までのように、高度成長の配分を低生産性の部門、例えば農業などに配分するということはなかなか難しい経済構造になりつつあるのではないか。
 こういう困難な状況の中で、この基本法を進めるに当たってどういう財政、予算対策を講じていくか、ちょっと見解を伺っておきたいと思います。
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中川昭一#12
○中川国務大臣 確かに、農林関係予算はピーク時に比べまして減少しておりますが、この理由といたしましては、一つは、予算全体に言えることでありますけれども、社会保障関係の予算が大きく伸び、その結果他の部門が比較的下がったということ。それから、食管会計が昭和六十二年以降順ざやに転じたということで、ピーク時の昭和五十六年には約一兆円あった食料関係予算が、平成十一年当初では二千六百八十億円程度になったということ、この二つの理由が農林関係予算の減少の主な原因だろうと思います。
 財政全体が厳しいという状況にもございますけれども、新しい基本法に基づく農林関係予算につきましては、食料の安定供給あるいは多面的な機能という国民全体に非常に大きな意味を持つ政策を推進していくために、農林関係予算も、従来のものの必要な見直しを行いながら、政策推進に向けて所要の予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
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堀込征雄#13
○堀込委員 さてそこで、今度は農業予算の中身の問題であります。
 農業予算の推移をずっと見てみますと、実は、七〇年代は価格、所得対策関係予算が大体半分を占めていた。これが、現在は一〇%そこそこになってしまった。逆に、当時二〇%そこそこだった農業農村整備費が五〇%に近い。こういうふうに非常に変化をしてきているのですね。つまり、農業予算の公共事業化というような事態が生まれているんだ、こういう批判があるわけであります。
 例えば、地方農林水産業費というようなものを拾ってみますと、普通建設事業費が七割を超えている。今や農政は土木建設事業に傾斜をしている。第二建設省みたいじゃないかという批判が実はあるわけですね、率直に言って。
 補助事業も地方農林水産業費の五〇%を超えている。これは異常な事態になっているのではないか。地方の農林水産業費も補助事業を中心とした普通建設事業を行う、こういう構造になっている。
 つまり、国から県、市町村まで、農政とは公共事業の執行であり、農政に携わる国家、地方公務員というのは農家とのつき合いより土木建設業者とのつき合いが深いのじゃないか、極端なことを言う人はこういうことまで言うわけですよ。
 したがって、いかにもそういう異常と見えるような状況が一つにはあるわけでありまして、かなりうがった批判の部分があることを私も承知しているのです。しかし基本的には、新しい基本法の中ではこの構造はやはり変えていく必要があるのではないか、こう思うのですが、この構造は維持されていくのでしょうか、あるいは少し改められていくのでしょうか。その辺はいかがですか。
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中川昭一#14
○中川国務大臣 農業関係予算の推移を簡単に申し上げますと、昭和三十五年から五年ごとに九八年までとってありますけれども、公共事業の占めるウエートというのは、四割、三割、二割、また三割、四割と、そして今は五割を超しておるという実情でございまして、確かに占めている割合も半分以上ということでございます。これは、先ほど申し上げたように、食料関係費の予算が少なくなったということで相対的にウエートが高くなったのだろうというふうに思います。
 また一方、価格、所得関係費につきましても、一時期は六割近くまで行った時期もあるわけでございまして、その時々に必要な最重点について予算配分をしていくということが本来のあるべき姿だと思いますが、何といいましても、基盤整備というものは、これは土木関係者の皆さんのためにあるのではなくて、生産者の生活あるいは経済活動の向上のためにあるわけでございます。
 そういう意味で、現時点におきましても、例えば汚水処理率は、大都市が約九六%に対して町村が二一%、舗装率につきましても、大都市が八七%に対して六五%ということで、まだまだ生活環境の整備がおくれておる。集落排水もその一つでございます。また、基礎的な生産条件であります圃場整備につきましても、緊急にやっていかなければいけないことがあるわけでございます。
 そういう意味で、農林関係予算全体につきましては、公共事業のほかにも価格あるいは所得安定対策、あるいは生産物の生産、加工、流通の合理化等の諸施策についても十分な配慮をしていかなければならないというふうに考えております。今後とも、特に新しい基本政策の推進ということでございますので、新たな多面的な機能等、食料安定供給の確保等の大きな柱を中心にいたしまして、従来の事業の効率、効果あるいは地域のニーズも踏まえながら、新しいスタートを切るに当たりまして必要な見直しを行っていかなければならないというふうに考えております。
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堀込征雄#15
○堀込委員 私は、この基本法農政を進めるに当たって、それは財源なり予算に裏打ちされなければならない。しかし、今までの手法ではなかなか立ち行かないのではないか、そこのところをどういうふうにこれから打開していきますかということを申し上げて、今答弁があったわけなんです。
 もう一つ問題は、地方財政の問題があるわけでありまして、いわゆる借金の比率ですね、起債制限比率という言葉を使うのだそうですが、一五%を超えると黄色信号だ、これは自治省に言わせると、全国の自治体のうち八割近くがそうなっちゃっている、非常に地方財政は厳しくなっているんだ、難しい事態に来ているんだ。そういう事態が一つある。
 しかし、公共事業について言えば、今まで財政再建のもとでいろいろ制約はありましたけれども、補助金や負担金を引き下げる場合には、これは削減分は地方債を発行する、その償還の際には地方交付税で面倒を見ますよ、基準財政需要繰り入れという措置をとることによってやってきた。つまり、この地方交付税、公共事業の投資的経費に対して、地方債と地方交付税でうまくやることができたわけであります。
 ところが、今都道府県や市町村の財政状態は、実はその地方債への償還金がふえちゃっていて、財政運営に大きな支障を来しているという実情にあるのではないか。したがって、この事業を進めたいなということで幾ら国が思っても、市町村が飛びついてこない、あるいはもう御免だという事態すら予測しなければならないような事態になっているのであります。今までの財政方式では立ち行かないような事態に地方がなっている。
 そうすると、今までの仕組みを変えた食料政策とか農村整備だとか、いろいろなことを知恵を出して考えなきゃいかぬでしょうが、この辺は、考え方はありますか。
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渡辺好明#16
○渡辺(好)政府委員 農業、農村のインフラ整備がまだまだ必要な状況と、地方財政が非常に苦しいという状況についての御指摘なんですけれども、事業のやり方そのものについても、今私どもは相当工夫をしております。もちろん、申請事業であり、地元の合意を得た事業でありますし、ガイドラインなども出して地方の負担というのを示しておりますけれども、むしろその事業の中身において相当コストダウンをするとか、できるだけ地元の要望する工種だけを取り上げるとか、そういった工夫もございますので、農業農村整備事業全体の運営をどうするかということについて、今検討もしておりますので、もちろん実際に申請がありましたときには、例えば私どもが自治省とよくよく相談をして、一般公共債等の手当てをしていくというふうな裏側の措置についてはやっておりますけれども、根本に立ち戻って、そういったコストの削減とか必要なものについてのみ事業を実施するとか、そういうこともあわせて考えていきたいと思っております。
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堀込征雄#17
○堀込委員 新しい基本法を決めるわけでありまして、その財政なり予算の裏打ちを、今までの仕組みとは違って、どう図っていくかということについても適切な対処をいただきたいと思うわけであります。
 次に、食料の安定供給という問題があるわけでありまして、将来にわたって良質な食料が合理的な価格で供給されなければならない、国内の農業生産を基本として、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行う、こういうことが基本理念に書かれているわけであります。法律の文面としてわかるわけなんですが、現実問題、これはどういうことなのかな。やはり食料には豊作、凶作があるんだろう。過剰も不足もいつも起こる。それであっても、緊急時に、あるいは不測の事態に食料が足りないなんという事態は絶対に起こしてはならないよ、そのときには適切に対応するよ、これがこの法律の趣旨なんでしょうが、実際は、今先進国のほとんどは食料生産が過剰の状態が普通になっているわけであります。
 後で、生産調整への対応についても伺うわけでありますが、食料の安定供給というのは、それはそれで、緊急時には、あるいは不測の事態のときには安定した輸入先の確保だとか備蓄だとか、そのために必要な農地を確保していくとか、いろいろ言われておるんですが、これは言葉としてはいいんですけれども、実際は備蓄だって相当な財政の裏打ちが必要なんだし、必要な農地を確保するといっても、これは具体的にどうやるのかという点について、もう少し農業者に明らかにしておいた方がいいのではないか。
 それからもう一点は、不足のときはまだいいんですが、ある品目が過剰のときでも、この法案としては、政府の義務や考え方としては、やはりそこのところは民間流通の話ですよ、市場原理の話ですよということで想定をしていない、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。この二つについて、ちょっと。
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高木賢#18
○高木政府委員 第一点の不測の事態への対応ということでございますが、これはいわばいろいろなケースがあるわけですが、大きく幾つかのステージに分けて考えております。
 まず、一般的な日ごろからの対応状況でございますけれども、これは国内外の食料需給の状況を適時適切に把握するというための情報の収集分析体制をつくっておくということが必要だと思います。
 それから、今お話のありましたように農地だとか担い手を確保して、国内における平時からの食料供給力を良好な状態で維持、確保するということがポイントになると思います。
 それから次に、一時的あるいは短期的な供給不足とか、あるいは国内需給が逼迫する可能性がある事態、例えば凶作あるいは海外からの輸送の障害、こういったものがある場合があるわけですが、当面備蓄の取り崩しということで対応すると思います。
 それから、より厳しい事態になりますと、そういったことでは済まなくなりまして、今お話のありました農地のさらなる有効利用、それは一つには熱量効率の高い穀類、芋類などの増産、あるいはほかの作物からの転換、こういうことが農地の有効利用として必要になると思います。また、現在は農地ではないけれども、農地に準ずる土地といいますか農地になり得る土地、公園とか河川敷とか、そういったものの活用策ということも考えておかなければならない事態が参ってくるかと思います。
 さらに進みますと、食糧法なり、あるいは国民生活二法といったものに基づきます価格なり、あるいは物自体の流通の統制である配給、こういったようなことも必要になろうかと思います。
 いずれにしても、最後のところできちんと対応できるように、農地の確保あるいは農地に準ずる土地がどの程度賦存しているのかということをきちんと把握をしていきたいと思います。
 それから、二点目のお尋ねの過剰ということにつきましては、これは食料の安定供給ということで特に条項を起こしてはおりませんが、過剰の事態が生じますと、農業者自体の経営に大変な悪影響を及ぼすということもございまして、やはり必要な生産調整はしていくという考え方をとっているわけでございます。
 また一方、海外にはいろいろな事情で食料不足の国もございます。そういった国に対しては、仮にゆとりがありますならば、援助という形での活用ということも考えられるということで、援助につきましてはこの法案におきまして二十条で明記をしているところでございます。
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堀込征雄#19
○堀込委員 そこで、やや理念的な質問になるわけであります。
 多面的機能ということが強調されているわけであります。これはどういう思想で、どういう手法で対応するかということでありますが、関連して、中山間地域への直接支払いとか構造改善事業の見直しによって、これは大綱やプログラムにあるわけですから、具体的な質問は後で触れますけれども、要するに国土の保全から景観の維持まで、いろいろな役割を農業というものは果たしているんだよ、これは経済ベースの話ではないから適切に評価しろ、こう言っているわけでありますが、私は、私ども人類というのは発生以来自然を征服して自分の都合のよいようにこの地球をつくりかえながらやってきた動物なんだ、農業もまた例外ではないと思うんですね。焼き畑や開墾で畑作を始めた、そこへは今まで共生していた動植物は絶対に入れない、こういう世界を世界じゅうにつくり出してきたわけでありまして、私ども人間はそういう意味では、発生以来、畑を開墾して定住し農業生産を始めて以来、この地球の支配者としてやはり自然環境を破壊し続けてきた動物なのではないか、こう思うわけですね。
 今、世紀が変わろうとしているわけです。うちの菅代表なんかもよく言うんですけれども、最初の千年間というのは自然に従って人間が生きてきた時代だったんだろう、残る一〇〇〇年から二〇〇〇年までの間は人間が自然を征服してきた時代なんだろう、これからやはり自然と共生をどういうふうにしていくかという時代になる、その世紀の変わり目だろう、こうよく言うのでありますが、要するに、自然との共生という概念が重要なキーワードになるわけであります。
 それは決して、工業とか商業の世界が自然破壊で、農業だけは自然保護の産業だから一生懸命やればいいんだよという思い上がった発想では、私はそういうことが国民的理解を得ていくことは不可能だろうと思う。私どももっと謙虚に、多面的機能を発揮するんだけれども、農業というのは何か自然を保護する産業だという人間の思い上がり、こういうことじゃなくて、本当にこれからは、農業の質も変えて、自然との共生のために農業の姿も変えながら多面的機能を発揮していくんだよ、こういう発想が私はどうしても必要だと思うんですが、この辺の見解はいかがでしょうか。
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中川昭一#20
○中川国務大臣 おっしゃるとおりに、いわゆる略奪型の食料確保をしていた地域あるいは時代が過去にはあったわけでありますし、ともすれば人間が生活していく上で、資源は有限なんだからとれるだけとるという時代が、我が国においても一時期食料その他の資源確保のためにそういう時代があったわけでございますが、まさに今、日本だけではなくて世界的なレベルの中で、食料あるいは林産物、水産物、あるいはいわゆる化石エネルギー等々のあらゆる地球からとれるものは有限であるという大前提、コンセンサスができつつあるのではないか。FAOが主催しました世界食料サミットにおきましてもそのような議論がなされたというふうに記憶をしております。
 さらに、そういう有限な資源を循環して持続的に生産し、そして国民に供給をしていくという役割が高まり、さらには、特に国民サイドから求められております景観の維持あるいは文化の伝承、これは地域にとっても非常に大事なことだろうと思います。先ほど申し上げたような教育的な側面もあると思います。そして人類共通の責務としての自然環境の保全あるいはまた水資源等々、砂漠化の問題あるいは木がどんどん切られていくというような問題、あるいは水産の方で資源をきちっと管理しなければならないというような体制が進んでいくというような状態等々を総合的に勘案しまして、これはもう農業だけではなくて水産でも林産でも持続的な維持発展というものが必要であるという共通認識に立ってこれからの施策が講じられなければならないと考えております。
 具体的に申し上げますならば、担い手の確保、優良農地の確保と有効利用、生産基盤の整備等における望ましい農業構造の確立、農業に内在する自然循環機能の維持増進による環境に負荷を与えない農法の促進、計画的な土地利用と生産基盤整備が一体となった総合的な農村整備の推進、これは林野と密接不可分でありますし、また、林野、農村と海とも密接不可分のものというふうに私は認識をしております。そして、中山間地域等のいわゆる条件不利地域における多面的な機能の確保、維持発展を図るための施策等を推進してまいらなければならないというふうに考えております。
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堀込征雄#21
○堀込委員 多面的機能発揮のために、実は中山間地域、条件不利地域、平成十二年度から直接支払いを取り入れるんだということが大綱に書かれておるわけであります。これは新聞報道でいろいろ見るんですが、農水省も、一月二十九日からですか検討会を開いておるようでございますが、概要はどんな進行状況ですか、説明してください。
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渡辺好明#22
○渡辺(好)政府委員 御案内と思いますけれども、一月二十九日に検討会を発足させまして、これまで五回検討を進めてきております。近々、中間的な取りまとめという形で、幅広い御議論のそのままだろうと思いますけれども、取りまとめをとりあえず行った上で、さらに深い検討に入りたいと思っております。
 その中で、やはり対象地域をどうとるか、それから対象農業者をどういう方々とするか、それから実際に行う直接支払いの対象とする行為をどうするか、単価をどうするか、さらにはどのような期間そうした直接支払いを続けるのか、そして地方公共団体と国との役割分担をどうするか、こういったことにつきましてかなり幅広い御議論が行われておりますけれども、共通してコンセンサスになっておりますのは、やはりこの種の直接支払い、これまでの農政にないことでございますので、明確な客観的な基準においてこれを行うべきであるということが共通のことになっております。
 まだまだ検討半ばでございますけれども、夏までの間には結論を得まして、極力十二年度実施に向けて努力をいたしたいと考えております。
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堀込征雄#23
○堀込委員 そういう具体的ないろいろな問題が議論されているんですが、実はこの農業基本法の議論が始まる前から、農業団体初め非常に期待が高いといいますか、ある意味では過大な期待といいますか、この基本法が通れば直接支払いが行われて、中山間地の方へはどんとお金が来るんだよみたいな期待感が実はあるんですね、率直に言って。だから、こういう発想に基づいてこういうふうにやるんですよということをある意味ではきちんとしておかないと、後で大変なことになるんじゃないかという感じを受けるわけです。
 だから、予算総額というのは一体どの程度のことを考えているのか。農業改善事業を削って充当するなんという報道もごく一部にありましたけれども、予算措置、個々に配分する方じゃなくて全体的な予算措置はどういうふうに考えているか。
 それからもう一つ、地方公共団体に一部負担してもらうという発想があるんですが、いかがでしょうか。
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渡辺好明#24
○渡辺(好)政府委員 先生の御指摘の中でちょっと私も触れておきたいと思うんですけれども、中山間地域の抱える課題というのは、この直接支払いという手法だけをもって解決をする特効薬ではございません。所得機会をふやすという意味で産業を振興する、それから定住ができるように生活環境を整える、そして公益的機能が果たせるようにその分野での対策を強化するというこの三本柱がうまくいって初めて可能でございますので、私どもはこの直接支払いの検討とあわせまして、中山間地域の総合的な振興対策というこれまでの施策をばらしてもう一度再構築する、そういうふうなことを十二年度概算要求に向けてやっていきたいと思っております。
 そして、今、予算の総額についてのお話がございましたけれども、これは検討会でも議論が相当分かれておりまして、地域をどういうふうにとるかによってその面積、それから単価をどこに据えるのか。検討会の中でも、条件不利の格差を全部払えという意見と、いや、それではこれからの努力に負うところが削られるので、七掛けとかそこら辺まででいいんじゃないかというふうな御意見も出ております。
 いずれにいたしましても、この点は、単価が定まり、面積が定まりますと総額が出てまいりますので、その時点で全力を挙げて必要な予算を確保いたしたいと思っております。
 それから、地方公共団体の負担につきましては、これも意見が分かれております。公益的機能に着目するという点を重視して、全額国庫でやるべきであるという御意見、それから、第一義的には地元の地域の方々が受益をするのであるし、これは、農政改革大綱の中でも共同してやる、役割分担をするということになっておりますので、やはり一定の負担を地方公共団体もやるべきだという御意見、そして、地方公共団体に役割分担を求めるとしても、その裏側を地代措置等で見ていくべきだという、三つぐらい大きく意見が分かれておりまして、これの集約にもう少し時間がかかろうかと思っております。
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堀込征雄#25
○堀込委員 全体的に非常に過大な期待が膨らんでいまして心配をしているわけで、適切な対応をお願いしたいと思います。
 後で構造改善事業に触れますので、この法案のWTOとの関係を伺っておきたいと思います。
 この法案は、一方で、次期WTO交渉をにらんで、我が国の交渉戦略上どうしても必要だ、こういうふうに言われているわけであります。そこで、さきに米の関税化をやって、今度は基本法を変えて対応しよう、こういうわけで、私どもはわかるんですが、なかなか国民からわかりにくい面がある。なぜかというと、今までの価格政策中心の政策はだめなので、この法律に基づく政策なら国際社会に通用しますよ、こういう論法なわけです。食料の安定供給とかあるいは多面的機能の発揮とかいうけれども、余り強調すると、それは結局WTO交渉の条件づくりのためなのかということに実はなってしまうんですね。
 私は、そういう意味では、国際社会の中で日本が孤立して生きていけるはずがないわけでありますから、きちんと国民に理解を求めることは必要だとは思うんです。決してWTOの交渉を有利に運ぶためにこの基本法があるんじゃなくて、あくまで二十一世紀の農業や食料、農村政策というものの基本を決めていくものなんだ、それが結果として国際社会の方向とも一致するんだ。こういうふうに説明をしないと、何か、WTOの交渉が迫っているから、これを通さないと大変だよみたいな議論、あるいは期待があると、やはり国民の間に変な誤解を生むのではないかということを心配するわけでありまして、この点を一つ伺っておきたい。
 それから、あわせて、協定上の緑の政策に組みかえていくために、具体的に政策の組みかえというのはあるんだろうと思うんですけれども、そう具体的な話はまだ詰まっていないんだろうと思いますが、大筋の考え方を伺っておきたいと思います。
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中川昭一#26
○中川国務大臣 この基本法とWTOとの関係についてでございますけれども、先生おっしゃるとおり、WTO交渉を有利にするために何が何でもこの方向でいこうということではございませんが、とにかく、将来にわたって日本の安定的な食料の確保、国内の生産を基本としつつ、適切な備蓄あるいは輸入を組み合わすというわけでございますから、先生御指摘のように、現実問題、我が国だけで何でもかんでもできるものではないわけでございます。
 したがいまして、そういう基本法でございますから、我が国としては、基本理念、特にそのうちのWTOとの関連でいえば、食料の国内生産を基本とした安定的な確保、それから多面的機能等の主張というものを、これは国内的にも今後の農政、食料の基本になるわけでございます。そして、WTOでもこれを強く訴えていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 どっちが優先かといえば、もちろん基本法が我が国の食料、農業、農村関係の憲法的な位置づけになるわけでございますから、これがあるわけでございますが、一方では、国際協定としてのWTOの次期交渉があり、これが非常に厳しい、激しい交渉になることが予想されるわけでございます。
 そういう意味で、WTOにおいて何を主張すべきか、あるいはまた、交渉する上で黄色あるいはWTO上各国の理解を得られないようなものをわざわざ新しく導入するということもできるだけ避けたいというふうに考えておりまして、先ほど先生おっしゃられたように、黄色の施策はできるだけ緑の方に移行し、また、現行での緑あるいは青、黄色といった分類のことも念頭に置きながら、地球的なことも考え、そして、何よりも、我が国のこれからの農政というものを基本的に位置づけ、そしてそれを各国に主張し理解を求めていくということを考えております。
 そのためには、国内において、農業関係者だけではなく、消費者団体、経済団体を初め、あらゆる立場の方々の御理解をいただき、国民的合意のもとでこの基本法、そして次期交渉に臨んでいきたいと考えております。
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堀込征雄#27
○堀込委員 次に、この法案の地方公共団体の責務ということについて伺っておきたいと思うわけであります。
 今度の法案では、国の責務、地方公共団体の責務、農業者の努力、こういうふうに書かれているわけでありますが、現行法では「地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。」こういうふうに規定されておるわけであります。時あたかも地方分権推進法が国会で審議中でありますが、この基本法で言う地方公共団体の責務という条文は、今までの基本法とは違うんでしょうか。地方公共団体の役割というのはこういうふうに変わるんですよということを期待してこれは書いているんでしょうか。ここを実はお聞きしたいわけであります。
 もちろん、言うまでもありませんけれども、我が国の従来の政治というのは、全国画一であり、中央統制型であった。その体制というのは戦時に確立をされて、国家総動員体制で、食料統制を初め農政の根幹をなしてきたんだ、こういうことは明らかなわけであります。今その体制が桎梏となって日本経済の発展を妨げている。したがって、根本的な行政改革や地方分権を実行しなければならないというふうに言われて、今地方分権推進法や中央省庁の再編法案が国会で審議されている。こういう事情があると思うんです。
 提案されている法案では、例えば農業の持続的な発展に関する施策、二十一条一項ですか、それから農村の振興に関する施策、三十四条一項ですか、これは全部「国は、」ということになっていまして、特に基盤整備事業等を初め、これは国の仕事です、これは国がやりますよ、地方に手放すものではありませんよというふうに読めるわけですが、今までの法律と、この地方公共団体の責務という表現は、どういうことを期待し、どういうことを変えようとしているのか、説明をいただきたいと思います。
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高木賢#28
○高木政府委員 現在の基本法の規定ぶりでございますが、地方公共団体の施策については、国の施策に準じて施策を講ずるよう努める、こういうふうにされていまして、まさに国に右へ倣え、準じてやれ、こういうことを規定しているわけでございます。
 しかし、それでは今の時代、これからの時代におきます国と地方公共団体の関係のあり方としては従属的でよろしくないということでございまして、新しい考え方に基づきまして、本法案の八条では、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえ、地方の自然的、経済的、社会的条件に応じた施策を策定、実施する責務を有するというふうに規定しております。また、三十七条では、国と地方公共団体は、食料、農業、農村施策を講ずるにつき、相協力するということが規定されておりまして、まさに国と地方公共団体とが対等な立場で基本理念にのっとった施策を実施していく、こういうことになろうかと思います。
 したがいまして、今お話がありましたように、この基本法では、国が講ずるべき施策ということで基本的に書いてございます。しかし、先ほど言いましたように、地方公共団体も、当然そこまで介入的に規定はしておりませんが、地方公共団体自身といたしましては、当然、住民生活の安定あるいは地域の農業生産の振興ということは、地方公共団体自体の責務としてあるということでございますから、それぞれの実情を踏まえて、国と地方公共団体が、それこそ相協力して、それぞれの施策を推進するということになろうかと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、基本法においては、国の責務あるいは国の施策ということで具体的な方向をそれぞれ明記しておりまして、地方公共団体の分は地方公共団体のお考えで、国との関係でどう協力していくかということを、それぞれの施策別に構築をしていく、こういうことになろうかと思います。
 ただ、一般論で申し上げますと、やはり食料の安定供給とか、国家の存続の基盤を確保する上で必要なもの、あるいは全国的な規模や視点で行われる農地の確保とか農災制度とか、こういったもの、あるいは大規模な投資を必要としてリスクが大きいということで、民間や地域に任せていたのではうまくいかないというものは、国が主として担うべき事務であるかなと思っております。また、食品産業とか、あるいは地域の人材の育成確保とか経営体の育成とか、農村の振興とか、こういうものは国と地方公共団体が相協力して進めるべき分野かなというふうに考えております。
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堀込征雄#29
○堀込委員 それでは、農業者等の自主的努力ということについて質問をいたします。
 十一条関連でございます。国及び地方公共団体は、食料、農業、農村に関する施策を講ずるに当たっては、農業者等がする自主的な努力を支援する、こうなっているわけであります。つまり、今までは保護と規制で手とり足とりやってきましたよ、これからはそんな時代ではありません、農業者が自主的にやるのですよ、国や地方公共団体はそれを支援するだけですよ、こういうふうに言っているというふうに私は理解をするのですね。だから、農業者、農業団体、生産調整なんかもみずからの取り組み、こうなってきたと思うのです。
 だけれども、よく考えると、例えば米余りなんという話も、決して農家や農業団体だけの責任ではなくて、米の増産を奨励して、開田を進めて、圃場整備を進めて、かねや太鼓を鳴らしてやってきたのはやはり農水省ではなかったのか。そういうこともあるわけでありまして、あからさまに市場経済だから責任ですよという話にもなっていかないとは私は思うのです。
 この条文について、あるいは条文の発想について伺うわけでありますから、責任の話とかなんとかという話はなしにして、農業生産については、あくまでこれは自主努力であって、自分でやりなさいよ、市場経済の中で自分でやりなさいよ。需給調整も農業者や農業団体でやりなさいよ、行政としてはそういうところへ手は出しませんから、ちゃんとしっかりやってくださいよ、この十一条はそういうふうに読んでいいですか。
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