労働委員会

1999-05-07 衆議院 全110発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成十一年五月七日(金曜日)
    午前九時三十分開議
  出席委員
   委員長 岩田 順介君
   理事 荒井 広幸君 理事 能勢 和子君
   理事 森  英介君 理事 柳本 卓治君
   理事 石橋 大吉君 理事 川端 達夫君
   理事 前田  正君 理事 青山  丘君
      井奥 貞雄君    稲垣 実男君
      大村 秀章君    小林 興起君
      坂本 剛二君    白川 勝彦君
      田中 昭一君    棚橋 泰文君
      長勢 甚遠君    藤波 孝生君
      保利 耕輔君    城島 正光君
      中桐 伸五君    松本 惟子君
      河上 覃雄君    岩浅 嘉仁君
      大森  猛君    寺前  巖君
      濱田 健一君    土屋 品子君
 出席国務大臣
        労働大臣    甘利  明君
 出席政府委員
        労働省職業安定
        局長      渡邊  信君
 委員外の出席者
        議員      大森  猛君
        議員      金子 満広君
        労働委員会専門
        員       渡辺 貞好君
委員の異動
五月七日       
 辞任         補欠選任
  畠山健治郎君     濱田 健一君
同日       
 辞任         補欠選任
  濱田 健一君     畠山健治郎君
本日の会議に付した案件
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十三回国会閣法第一〇号)
 職業安定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(大森猛君外一名提出、衆法第一五号)
    午前九時三十分開議
     ————◇—————
この発言だけを見る →
岩田順介#1
○岩田委員長 これより会議を開きます。
 第百四十三回国会、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案、内閣提出、職業安定法等の一部を改正する法律案及び大森猛君外一名提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青山丘君。
この発言だけを見る →
青山丘#2
○青山(丘)委員 四月三十日に一番新しい雇用失業情勢の数値が発表されまして、実は私はこの数値は非常に深刻に受けとめております。完全失業率四・八%、これは前月の発表に比べて〇・二ポイント悪化しておりまして、それから失業者数が三百三十九万人。実は、私が初めて国会へ出たころは失業者数百三十万人から百六十万人という数字で心を痛めたことを思いますと、今や三百三十九万人、倍以上の数に上っておりまして、大変憂慮しております。有効求人倍率もここ三カ月〇・四九倍、改善の動きがありません。
 しかし、政府はそれなりに取り組んでいただいておりまして、百万人雇用創出の計画を出して、緊急経済対策の大きな柱として雇用活性化総合プラン、それに基づく各種の施策が今進められております。これが一つ。それからもう一つは、先般小渕総理から直接指示があったと聞いておりますが、労働大臣の先般の答弁でも、五月中にも新しい雇用対策を取りまとめをしていきたい、こういうことが答弁されておりました。
 私は、今この段階が、景気回復でも雇用情勢の改善についても非常に重要な段階にあるという気がいたします。特に完全失業率四・八%というのは、前月から〇・二%上がっておりますが、この状況でいきますと、今月末にも五・〇%の失業率、大台にいよいよ乗ってくるのではないかということで、もしそうなった段階で政府が一定の雇用対策を考えている、準備しているということであればまた別だと思うのですが、もし有効な手だてが準備されておらないというようなことになれば、これは国民の雇用不安というものは決定的なものになっていく、景気回復に大きな障害になっていくのではないかという点では非常に憂慮しているところであります。その意味で、新たな雇用対策は雇用不安を一刻も早く少なくしていくという意味で、非常に重要な段階に今来ておるということを私は感じます。
 そこで、現下の雇用失業情勢を労働大臣はどのように受けとめておられますか。そしてまた、その上に立って、新たな雇用対策はこのように進めていかなければならないという考え方がありましたら、ひとつぜひ述べていただきたいと思います。
この発言だけを見る →
甘利明#3
○甘利国務大臣 先月の失業率が四・八%になりました。これは御指摘のとおり、前々月を〇・二さらに上回ったということでありまして、この状況は、我が国がかつて経験をしたことがない事態であります。
 御指摘のとおり、失業率が拡大をする、それが雇用不安につながる、雇用不安は生活防衛へとつながっていきますから消費の停滞を招く、それが景気の足を引っ張る、そこでさらなるリストラを要請されるという悪循環に陥る可能性があります、ほっておきますと。そこで、いかに雇用不安をなくしていくか、いかに早く失業率の改善を図るかというのが喫緊の課題であります。
 さらに失業率が悪化をするのかどうかという御質問をよくいただくわけでありますけれども、毎回申し上げておりますとおり、失業率というのは景気の後追い指標であります。日本の過去の例で申し上げますと、景気が反転攻勢に出てから半年後が雇用情勢が一番厳しいという統計結果が出ておりますから、既に景気が底を打った、いよいよ反転に入るという経済企画庁長官からの発言がさきにもありましたから、それから数カ月が雇用情勢にとっては一番つらい時期になるというふうに考えております。
 ですから、ここのところから数カ月が一番厳しい。しかし、その厳しさというのは好転をするときに必ず経なければならない厳しさであるということを私はぜひ国民の皆さんには御認識をいただきたい。底なし沼に向かって進んでいくのではなくて、反転攻勢に出るときのタイムラグであるということをぜひ十分に御認識をいただきたい。そのこと自体がまず、雇用不安を少しでも払拭をすることになろうかと思います。
 あわせて、通常我が国においては、景気が回復する、底を打った時点から半年後が一番厳しい雇用失業情勢になるという、この期間のいわばタイムラグをできるだけ短くしていく責務が労働行政にはあろうかというふうに思っております。そこで、青山先生御指摘のとおり、百万人の雇用創出、安定、これは創出だけではなくて安定が主体になった対策でありますけれども、雇用活性化総合プランの中に組ませていただきました。あわせて、先般の雇用対策会議におきまして、七十七万人、これは純粋に創出部分でありますけれども、この具体的な内容が発表をされたところであります。これを全力を挙げてフォローアップしていきたいというふうに思っております。
 さらに、失業率が四・八%と発表された当日の記者会見で当面の対応を発表させていただきました。それは、一つには、労使と自治体のトップに参集をしていただきます、全国を各ブロックに分けての緊急会議でございまして、雇用活性化総合プランの効果的な推進を図っていく。それからもう一点は、学卒の未就職者の数が三十万人に及んでおりまして、内定率が昨年度より二、三ポイント悪くなっております。そこで、学卒未就職者の登録システムというのを緊急に設けまして、従来であるならば障害者に対して対応していた中身を未就職者に対しても手厚く対応していこうということで取り組んでいるわけであります。
 さらに、四月二十三日に総理からの御指摘をいただきまして、新たなる雇用対策ということを他省と連携をとりながら今細部を詰めているところでございまして、この中身につきましては今月中にもまとめて発表できるものというふうに思っております。
この発言だけを見る →
青山丘#4
○青山(丘)委員 今の大臣のお考えは、私、よくわかります。
 現下の深刻な不況は多くの失業を生んでおる。ただ、ここで一つ留意すべきことは、今回の完全失業率の四・八%を分析してみますと、需要不足失業というのが一・五%、これは現下の不況のために出てきた深刻な失業であるということはわかります。けれども、労働行政がもし円滑に進められていったときに、例えば摩擦的な失業、構造的な失業は、あるいはこれからは防ぐことができるのではないかというところが実は三・三%ある。これは二百三十万人くらいの数でして、この点にこれから相当力を入れていくということをやはり労働省は十分留意して取り組んでいかなければならない。
 そういう意味では、今回の労働者派遣法あるいは職業安定法、これの改正案が出てきておるということになってくるのでしょうが、一・五%の需要不足失業と三・三%の摩擦的、構造的な失業、問題は、この摩擦的、構造的な失業をどう解消していくのか。もとより緊急経済対策で前者の一・五%に対する手だてというものがなされていかなければならない、それは他省庁との連携も必要になってくるでしょう。しかし問題は、労働力需給の調整機能を高めていく、こういう役割は、今、行政にとっても議会にとっても非常に重要な課題だと私は受けとめておりまして、そういう意味で、今回の法改正は意味がある、率直に私は理解しております。
 問題は、労働力の需給調整の機能をどう高めていくのかという方向はきちっとこれから組み立てていかなければならないと思っておるのですが、そのあたりの御見解は、労働省、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →
甘利明#5
○甘利国務大臣 御指摘のとおり、いわゆる各種ミスマッチによる失業というものが多くの数字を占めているわけでありまして、この各種ミスマッチをいかに解消していくか、労働力需給調整機能を官民両々相まって高めていくということが非常に大切であります。そのために、先生御指摘のとおり、今回二法案を提出させていただいて、御審議をいただいているところであります。
 日本の伝統的雇用形態はそれなりに意味がありますけれども、それによって労働力市場が硬直化してしまっている面もゼロではないわけでありまして、その硬直化している労働市場に柔軟性を持たせていくという意味も、求人側、求職側、双方にとって意味があることであるというふうに理解をしておりまして、このミスマッチをいかに解消していくか、失業されてしまっている方がいかに短期間のうちに自分の希望に沿った新たな就職先を見つけることができるか、そのために資する法律だというふうに理解をいたしております。
この発言だけを見る →
青山丘#6
○青山(丘)委員 需給調整をどう高めていくかということがこれから重要な課題になってくると私は思いますから、そういう意味で、今回の法改正は率直に私は理解しております。
 ただ問題は、今大臣おっしゃられたように、日本的雇用慣行、長期雇用慣行というものが相当長い間しかも深く定着をして、これが日本の雇用慣行である。それはそれなりに雇用の安定と経済の大きな発展に貢献をしてきた。ただ、そういう状況が現在もなお続いておるのかというと、実はこの深刻な不況のために中途離職を余儀なくされた人たちが出てきております。あるいはまた、みずから転職を希望していきたい、こういう人たちのニーズに、果たしてこの長期雇用慣行というものだけで雇用の安定を図っていくことができるかというと、なかなか難しい、そういう経済社会情勢になってきておるのではないかと私は実は理解しております。
 そういう意味で、これまでのような低い失業率、比較的落ちついた失業者数の時代ではなくて、現在は非常に失業率が高く、失業者数も多い、雇用の機会が少なくなってきておるというような状況で、我が国の長期雇用慣行というものを守っていくという視点だけで、これで果たして雇用調整、需要と供給の調整がとれるのか、ミスマッチを解消することができるのかというと、なかなかそういう段階に来ておらない、そういう段階ではなくなってきておるというふうな理解をやはりしていかなければならないのではないかと私は感じております。今言われたように、労働力の需給のミスマッチをどう解消していくのか、それから失業の期間をどう短縮化していくことができるか、もっと言うならば、失業をどう防止することができるかということを総合的にきちっと組み立てていく、今はそういう段階に来ておるという認識ではないかと思うのです。
 この点、もしあったら御意見を伺っておきたいのですが、今回の法改正は、そういう意味では、日本の長い間の常用雇用の慣行、これをむしろ派遣労働者で代替するものになっていって、将来、ある企業は常用雇用者がなくなっていくのではないか、派遣労働者だけでやっていくことができる、そういう時代になっていくのかなというような不安があります。
 しかし、今回の法改正では、同一業務に一年を超えない、一年の期限制限をしていくということは、一つには、日本の長い間の雇用慣行に対する配慮がある。もう一つは、しかし需給のミスマッチを解消していくために、需給調整機能をより強化していかなければならない。ある意味では矛盾するようなニーズをここで調和させていくために、一年という期間が設けられて、臨時的、一時的な雇用の制度、派遣制度というものをさらに導入していこうという考え方が出てきておるのではないかと実は私は思っております。
 問題は、日本の長期雇用慣行に対してこうした派遣事業がどういう影響を与えてくるのか。雇用調整機能をより高めてくる、強化していくんだという考え方で進めていくときに、日本の雇用慣行にどんな影響が出てくるのかということが非常に重要になってくると思いますが、労働省のその辺の御見解を聞かせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →
渡邊信#7
○渡邊(信)政府委員 今般提案をしております派遣法の改正ですが、これは一昨年にILOで採択をされました民間職業仲介事業所に関する条約、百八十一号条約、この採択といった国際的な潮流も踏まえて提案をしておるものでありますが、この条約によりますと、民間の派遣事業を含みます民間職業仲介事業の活動範囲というものは、すべての種類の労働者及びすべての部門の経済活動にこれを適用するのだというふうに規定しているわけでありまして、広く民間職業仲介事業の活動分野を認めるということになっております。
 ただし、例えば派遣について、その派遣期間をどうするのかといったふうなことについては、直接の規定はしておりません。そういった面については、各国の事情によって判断される問題であるというふうな考え方に立っているのではないかというふうに考えております。
 こういった条約も背景としまして、いろいろとこの提案までに議論がなされ、その過程では、今委員御指摘の、我が国における長期雇用慣行システム、こういったものとの調和をどう図るかということが大きな議論になりました。我が国における長期雇用システムのいい面を尊重していく、こういったことに配慮をしまして、今般の改正は一年以内の派遣に限るということで、長期雇用慣行システムと短期の労働市場における需給の迅速なミスマッチの解消ということとの調和を図るというふうにしておりまして、そのための担保措置もいろいろと備えておるということでございます。
 したがいまして、この長期雇用慣行というものも、産業構造の変動等によっていろいろと今影響を受けておるわけでありますが、今般の派遣はあくまでも短期、臨時的な派遣ということで短期労働市場におけるミスマッチの解消を目的にしておるということで、両者の調和を図っているものだというふうに考えておるところであります。
この発言だけを見る →
青山丘#8
○青山(丘)委員 私も、これまでの雇用慣行に重大な悪影響が及ぶことのないように、しかし、今国は相当数の失業者を抱えている状況ですから、この需給のミスマッチを解消していくことが非常に重要な政治課題であるということを考えて、できるだけ影響がないように、後で労働者の保護の問題についても少し触れさせていただきます。
 その前に、派遣料金について、実は先般、派遣料金が今だんだんと下がっているという指摘を私は受けました。
 労働者の派遣というものは派遣元と派遣先が契約を結ぶということになっておりまして、これは一つには需給の問題。派遣料金というのは需給の関係で金額が定められてくる。あるいは、現在のような厳しい雇用情勢ですと、こういう不況ですとまたそれが影響を受けてくる。あるいは、派遣事業者たちの競争関係でその料金は定められてくる。そういう市場の需給状況によって相場が形成されてくるのですが、派遣料金が下がっているのだという指摘を私は受けておるのです。
 しかし、労働省は、派遣の料金の水準はどのように推移していくものだというふうに理解しておられるのでしょうか。いかがでしょうか。
この発言だけを見る →
渡邊信#9
○渡邊(信)政府委員 派遣料金の実態ですけれども、現在、九年度までの派遣料金の調査結果が出ております。
 これによりますと、九年度の派遣料金を八年度と比較をしてみますと、一般労働者派遣事業では、例えば広告デザインで一六・二%の増、建築物の清掃で一一・二%の増等、平成八年度と九年度で比較が可能なものについて見ますと、八割程度の業務について上昇しております。また一方、放送機器等操作一三・八%の減とか、OAインストラクション八・五%の減とか、四業務で低下をしておるところであります。
 十年度の集計結果の発表が来年の一月ごろになるということですが、昨今の景気の低迷を反映しまして、一般には派遣事業につきましても売り上げが低迷をしている、あるいは伸び悩んでいるということが言われておりますが、正確な結果は来年早々ということになります。
この発言だけを見る →
青山丘#10
○青山(丘)委員 私は、今回の法改正の意図とされたところ、労働者にとってこういうメリットがあるということをひとつ述べてもらいたいことと、新しく法改正することによって、例えば申告制度を設けた、申告制度をとったことによって不利益な取り扱いを受けない制度を設けたとかいうような、労働者保護の点についてきちっと御説明いただいて、時間がとうとう来てしまいましたので、質問を終わりたいと思いますが、その二点、どんなメリットがあるのか、どんな労働者保護を考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。
この発言だけを見る →
渡邊信#11
○渡邊(信)政府委員 まず、メリットという点でありますけれども、現在認められております二十六業務について実態を見てみますと、女性の方が約七割を占めておりますし、また二十代、三十代の方で全体の六割を占めているといったような状況にありまして、自分の能力、経験、知識、そういったものを生かして好きなときに働きたい、こういった特に若い方や女性の方のニーズにはさらにこれがこたえられることになるのではないかというふうに考えております。
 また、特に高齢者につきましては、なかなか現在の失業状況の中で就職が困難なわけですが、派遣というふうな形態を利用しながら常用就職に結びつけていくこと、こういった道も開けるのではないかと思いますし、また、特に高齢者の方は、六十歳を過ぎますと、必ずしも常用だけではなくて、いろいろな働き方をしたいという要望が強いわけであります。そういった要望にもこたえられる、そういったことが言えるのではないかと思います。また企業にとっても、例えば育児や介護の代替要員の把握がしやすくなる、こういったメリットが十分にあるのではないかというふうに思っております。
 また、労働者の保護でありますが、今般派遣の対象業務を広く拡充することにも伴いまして、労働者の保護というものを強化しております。その一つが、例えばトラブルの防止とか苦情処理の整備でございまして、労働大臣への申告制度の創設とか、あるいは安定所に対する相談、助言の申し出とか、そういったものを盛り込んでおります。あるいは、個人情報の収集も必要な範囲に限定すべきであるということ、あるいは秘密の漏えいについて派遣元にこれを厳しく対処することとしている。こういったことによって、労働者の保護についても格段に今般強化をしているところでございます。
この発言だけを見る →
青山丘#12
○青山(丘)委員 質問を終わります。
この発言だけを見る →
岩田順介#13
○岩田委員長 次に、中桐伸五君。
この発言だけを見る →
中桐伸五#14
○中桐委員 民主党の中桐です。
 私は、まず、きょうの質問の冒頭に、先ほど青山議員の方からも質問がありましたけれども、現在雇用問題の深刻な状況が進んでいる中で、実は、四月三十日に小渕総理がシカゴに行ったときの発言が日刊ゲンダイの五月七日号に掲載をされているんです。これは同行した記者がかぎ括弧で書いているんですが、現在の日本の失業率、四・八%という戦後最悪の失業率になったというこのことに触れて、この日刊ゲンダイの記事によりますと、四・八%という記録のこの数字に対して、「「これこそが、日本経済の復活のうえで避けて通ることのできない、懸命な構造改革の努力の結果である」と言い切ったのだ。」こう書いてあるんです。
 この記事は、ちゃんとした雇用対策をしっかりやれていない、あるいは、財政政策でも従来型の公共事業を依然として続けながら、雇用創出の有効な財政政策になっていないんじゃないかという問題の中で、こういった形で軽く言ってのけるというところに非常に問題があるんではないかというニュアンスで書かれていると思うんです。
 こういうことを考えてみますと、小渕総理は、曲解すると、失業はもうやむを得ないんだ、構造改革が必要なんで、失業はやむを得ないんだというふうに言っているようにも聞こえるわけでありますが、この点、労働大臣はいかがお考えでしょう。
この発言だけを見る →
甘利明#15
○甘利国務大臣 総理の発言の真意が正確に伝わっていないんだと思います。
 総理は、さきの競争力会議におきましても、雇用が特に大事だから、労働大臣は通産大臣や文部大臣と打ち合わせをして新たな雇用対策をぜひ策定してほしいという、わざわざ総理からの発言がありました。総理御自身は、これからは雇用なんだということを再三再四おっしゃっておられます。
 ただ、一方、産業の競争力をつけていかないと、このメガコンペティションの時代に、結局抜本的な解決にはなりません。その経緯の過程において雇用に影響がゼロというわけにはなかなかいかない、だけれども、限りなく少なくするために全力を挙げて取り組めという趣旨のお話を関係閣僚にされているわけであります。
 過去の経験的な数値、あるいはアメリカの景気拡大と雇用失業情勢との関連を見ますと、どうしても、景気が悪くなって底を打った後に回復してくる過程において、雇用失業情勢というのは必ず後追い指標になっておりますから、厳しい状況が景気が回復した後にも続くという経験的な知識を我々は持っているわけであります。
 だから、ほっておくと数カ月ないし一年間後追い指標になりますよ、だけれども、それを極力短くする、極力影響を小さくするということと、あと、国民の皆さんには、後追いで数字が厳しくなるかもしれないけれどもそれは希望がちゃんと見えている厳しさですからねということを理解していただきたい。つまり、底なし沼に向かって進んでいく悪化状態ではなくして、反転攻勢に出るときに後追いで出てくる数字ですよということをよく理解していただく。そういう意味で、総理がおっしゃったことが正確に伝わっていなかったのではないかというふうに思っております。
 重ねて申し上げますけれども、小渕総理は、このところの閣議での発言あるいは関係取材に対する発言を通じて、今そしてこれからは雇用が一番大事なんだということを再三再四おっしゃっていることは事実であります。
この発言だけを見る →
中桐伸五#16
○中桐委員 これは私も現地に行って聞いている話じゃありませんので、この問題でさらに根掘り葉掘りというつもりはございませんが、しかし、この間の失業問題というのは非常に深刻であることは間違いない。たしかきょうの新聞でも、川鉄が大規模なリストラの計画を発表したというふうなニュースも出ております。そういう意味では、まさに重厚長大産業における構造改革というものが進み始めてから、まあオイルショック以降ずっと進んできてはいるんだけれども、さらにそれが進められようとしているということも事実だと言わなきゃいけないと思います。
 そうしますと、川鉄のような大きな規模の大企業がリストラをするということが進んでくるということは、先ほど大臣が言われましたように、これからまださらに失業率の問題というのは深刻になっていくと考えなきゃいけない。そういう状況の中で、実はこの職安法の改正が行われようと提起され、そしてまた労働者派遣事業法の改正案が政府提案で出されてきているわけでありまして、まさに今国会における、現時点における委員会の審議というのは大変重要な意味を持っていると再確認をしなきゃいけないと私は思うわけであります。
 さて、そういう中で、問題は構造改革が不可避の状況になっている。これは、金融システムの問題の改革も含め、現下の国際、国内、経済、社会の情勢の中から不可避の状況になっているという認識も、これはもう冷静にしなきゃいけない。そういう中で、従来型の、いわば日本型の経営と言われますか日本型の雇用システムと言われますか、そういった問題についても、この改革は避けて通れないというか、変動は避けて通れない状況にあるということも認識しなければならないんではないかと思うわけであります。
 私ども民主党のといいますか、私の個人的見解も加えた立場でありますけれども、そういった構造改革やあるいは従来型の労使慣行といいますか、そういったものが変動を余儀なくされるという状況の中で、これまでの労働者の中における機会の均等と同時に、いわゆる雇用の問題でいえば就労機会の平等といいますか、そういったものを確保すると同時に、もう一つの問題は、余りにも大きな就業条件の格差を生み出してはいけないという立場に私どもは立つわけであります。
 そういう中で、例えばリストラ、構造改革の中で、規制緩和というふうなものも行われる必要がある分野においては、経済分野においては特にたくさんあるだろうというふうに思うわけでありますが、しかし、その規制緩和を行うということと同時に必ずセットにしてやらなければいけないのは、今日までの労働者保護のシステムがどこに問題があったのか。それを、大きく変動する今日の状況の中で、どう是正をすれば、労働者保護というか、あるいは不平等の拡大が極端な形で進まないようにすることができるのかという問題は、これは同時にセットしておかないと大変なことになる、こう私は思うわけであります。
 そういう意味においては、例えば経済的な規制を緩和するということになりますと同時に、社会的な規制というのはむしろ強化しなければいけない、そういう分野が必ずある、そのように私は考えるものであります。
 そういう立場から、政府の提案している職安法あるいは労働者派遣法改正案について質疑を進めていきたい、こういうふうに思うわけであります。
 さて、その中で、まず職安法の改正の問題でありますが、これは従来、日本の雇用が、いわば大企業を中心とする日本型雇用システム、つまり終身雇用型、年功序列型賃金でいわゆる労働力の流動が少ない、そういう形で言われてきた特徴のあるシステムまでが、今変動にさらされているということだと思います。
 そういう中で、いわゆる日本型雇用システムという形で位置づけられてきた部分というのは、しかし、これは大企業の、あるいは公務員の世界の話であって、中小零細企業では、そもそも雇用の勤続年数一つをとってみても、そんなに長くはない、決して欧米とそんなに大きく違う状況で今日まで来たわけではない、そういうことになろうかと思うのですが、ただ、我が国は、バブルがはじけるまでは世界でも有数の経済成長を保ってきた。そのために、新しい雇用の拡大というものがその経済成長の中で解決をされてきていたために高い失業率を生み出さなくて今日まで来たと言えると思います。
 しかし、そういう経済成長はもう我が国のこれから二十一世紀に期待はできない、こういう状況の中で、まさに今雇用不安というものが起こっていると言わなければならない。そのときに、果たして今までのシステムで十分機能できるのかどうかという問題をひとつ考えてみたいと思うわけです。
 そのときに、職安法の改正の中で、いわゆる有料職業紹介事業というものを拡大するという形の措置がとられていこうとしているわけでありますけれども、その前に、では今までの公共職業安定所が果たしてきた役割とは一体どういうことなのか、どういう状況だったのか。そして、この新しい職安法の改正に伴う有料職業紹介事業の拡大というものを措置するに当たって、公共職業安定所の機能はどのように再編成するのか、そういう問題が極めて重要であろうと思います。
 その話に入る前に、今日までに、有料職業紹介事業にかかわってさまざまな苦情とか相談が労働者からなされてきた。その実情の把握から質疑のスタートを切りたいと思うのですが、まず、現在までの有料職業紹介事業にかかわっての苦情や相談の実情というのは一体どういうものなのか。まず政府の方から、余り長々しくではなくて結構ですから、簡潔に、要領よくお答えをいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
渡邊信#17
○渡邊(信)政府委員 平成十年三月末現在で、有料職業紹介事業所というのは三千三百七十五所ございます。この有料職業紹介事業にかかわる苦情や相談件数ですが、その総数は把握しておりません。
 ただ、毎年七月を労働者派遣事業適正運営推進月間ということにしておりまして、この中では、職業安定法の施行状況についても各都道府県で窓口を設けて苦情の受け付けをするということにしておりますが、昨年のこの月間に寄せられた民間の有料職業紹介事業関係の苦情、相談は、一カ月で二十四件でありました。そのうち比較的多かったものは、紹介を受ける際に提示された労働条件と実際の労働条件が異なっていた、こういったものが比較的多数を占めていたようであります。
この発言だけを見る →
中桐伸五#18
○中桐委員 紹介された情報がどうも異なっているという問題が多かったということなんですが、そういう苦情というものが来た場合に、その処理は一体どういうふうにされてきたのか。つまり事後措置ですね。その事後措置というのはどういうふうになされたのか。
 つまり、苦情や相談を持ってきた労働者、また別の労働者が同じような苦情や相談に遭遇しなければいけない、そういうふうなことが起こらないようにするための事後措置というのがどういうふうになされたのか、お聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →
渡邊信#19
○渡邊(信)政府委員 有料職業紹介事業につきましては、いわゆる軽易なものから大変大きな苦情といいますか、そういったものもあるわけでありますが、これにつきましては、許可の取り消し等によって悪質なものについては対応してきております。
 平成二年から現在までのこの数字を見てみますと、行政処分件数は、許可の取り消しそれから許可の更新をしない不更新、こういったものを含めて五件となっておりまして、その内容は、許可された取り扱い職業以外の職業紹介を行ったというふうなもの、あるいは法定手数料以外の報酬を受け取った、こういったものでございます。
 また、職業安定法違反につきましては、罰則の科されているものがありますが、いわゆる送検件数を見ますと、おおむね最近は二百人台、二百件台で推移をしております。平成九年は二百九件となっておりますが、その多くは無許可の有料職業紹介事業等に係るものであろうと考えております。
この発言だけを見る →
中桐伸五#20
○中桐委員 そうしますと、先ほどの苦情、相談の中の労働条件が違っているとか、そういった問題については許可の取り消しの基準とは関係ないのではないでしょうか。それは関係あるのですか、どうですか。
この発言だけを見る →
渡邊信#21
○渡邊(信)政府委員 許可の取り消し等は、これは法律の違反があった場合ということでございますから、単に労働条件が相違したというだけでは、許可の取り消し対象までにはならないかと思います。
この発言だけを見る →
中桐伸五#22
○中桐委員 そうしますと、いわゆる法律に違反する件数が二百九件ということだったのですね、職安法の法律違反が。そういう範囲内におさまらない苦情や相談というのがあるというふうに理解してまずスタートしなければいけないということでよろしいですか。
この発言だけを見る →
渡邊信#23
○渡邊(信)政府委員 この二百九件といいますのは罰則のかかるケースでございますので、そこまでに至らない苦情等はかなり多数あろうかと思います。
この発言だけを見る →
中桐伸五#24
○中桐委員 そうしますと、罰則のかかるものについては措置ができる、それからいわゆる法律に抵触する、許可の取り消しに抵触するようなものについては措置ができるということなんだけれども、しかし、実際にこれから民間のいわゆる有料の職業紹介事業を規制を緩和して拡張するということになりますと、この苦情、相談というのはさらにふえるというふうに予測をしなければいけないと思うのですが、その点はどうですか。
この発言だけを見る →
渡邊信#25
○渡邊(信)政府委員 今回の改正案では、建設と港湾の事業を除きまして、広く有料職業紹介事業の対象業務にするということにしておりまして、職業紹介の対象は格段に広がるというふうに考えますので、それに伴いまして、やはり苦情というものもふえていくのではないかと考えております。
この発言だけを見る →
中桐伸五#26
○中桐委員 そうしますと、例えば労働者募集広告にかかわる苦情が多いというのが政府の統計からも出されておりますが、そういったものについて、罰則で全部措置をするという形以外のものを、どういうふうに有機的に労働者の苦情をスピーディーに処理して是正していこうとしているのか、今までのシステムとは違う何か強化するべき方策を考えているのかどうか、その点はどうですか。
この発言だけを見る →
渡邊信#27
○渡邊(信)政府委員 苦情の処理につきましては、従来から安定所においてこれを指導あるいは是正させるということを行ってきたわけでありまして、これからどのように件数がふえていくかもちろん不明でございますけれども、安定所による指導あるいは相談の受け付け機能の強化、こういったことによって対応していく考えでございます。
この発言だけを見る →
中桐伸五#28
○中桐委員 安定所の機能の強化ということになるわけです。その安定所の問題でございますけれども、安定所の実際果たしてきた今までの機能ということの中において、職業紹介、つまりミスマッチングなどを防ぐ機能あるいは失業している方に転職のサポートをするとか、そういった機能が、先ほど来の日本の雇用情勢の中から考えても、ますます従来とは違う形のシステムに変えなければいけない、そういうふうに私は思うのであります。
 ちなみに、非常に転職のケースの多いアメリカにおいては、各州の職業安定所、日本の公共職業安定所に当たるところに、ワン・ストップ・サービスという形で、国の連邦の情報からその州における地方自治体の情報まですべて集中して、財政もそこに集中して、いわゆる公共職業安定所の機能を、ワン・ストップ・サービス化によっていわば情報をそこに集中しながらサポート体制を強化する。それから失業者に対しては、カウンセリングも含め、これは失業者の中に自殺をされる方なども日本でも結構ふえてきているという実態がございますが、そういう中でカウンセラーを置いてカウンセリングもするとか、そういった、いわば縦割りのばらばらの地方の雇用政策と国の雇用政策というものも有機的にそこで、ワン・ストップ・サービス化の中でマンパワーの配置や情報の集中もしながら有機的に転職サポートをするという形をとっているというふうに私は聞いているのです。
 この職安法の改正をもしするとすれば、私は、日本でもそういった形のものを、そういった経験を、日本の中の今までの制度の延長の上にいいものを生かしていくという必要があると思うのですが、その点について、大臣どうでしょうか。
この発言だけを見る →
甘利明#29
○甘利国務大臣 今回の法改正は、民間の機能強化のみならず、公共の機関の機能強化、そして官民両々相まって社会のニーズにこたえていくという改正内容、規定整備になっております。
 具体的に申し上げますと、公共職業安定機関につきましては、主に四点の需給調整機能の強化を図ることといたしておりまして、まず第一点が、労働力需給のミスマッチを解消するための情報提供機能の強化であります。二点目は、今先生のお話の中にもありましたが、カウンセリング等きめ細かな職業指導や各種講習、そして学生に対するインターンシップの実施等の求職者の援助の充実。そして三点目に、労使団体との連携協力による広範な求人確保と求人、求職の結合。そして四点目に、職業能力開発機関との連携の一層の強化。
 これらに関する規定を整備することによりまして需給調整機能の強化を図る、そして官民両々相まって現在そして将来のニーズにこたえていくということを想定いたしております。
この発言だけを見る →
← 戻る