法務委員会

1999-08-03 参議院 全338発言

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会議録情報#0
平成十一年八月三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月二十九日
    辞任         補欠選任
     岸  宏一君     有馬 朗人君
     佐々木知子君     竹山  裕君
     佐藤 昭郎君     井上  裕君
     内藤 正光君     角田 義一君
 七月三十日
    辞任         補欠選任
     森下 博之君     阿部 正俊君
 八月二日
    辞任         補欠選任
     有馬 朗人君     佐々木知子君
     井上  裕君     吉川 芳男君
     角田 義一君     内藤 正光君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                鈴木 正孝君
                服部三男雄君
                円 より子君
                大森 礼子君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                佐々木知子君
                世耕 弘成君
                竹山  裕君
                仲道 俊哉君
                吉川 芳男君
                海野  徹君
                小川 敏夫君
                千葉 景子君
                内藤 正光君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                中村 敦夫君
   国務大臣
       法務大臣     陣内 孝雄君
   政府委員
       警察庁生活安全
       局長       小林 奉文君
       警察庁刑事局長  林  則清君
       金融監督庁監督
       部長       乾  文男君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
       通商産業省機械
       情報産業局長   広瀬 勝貞君
       郵政省電気通信
       局長       天野 定功君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関
 する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百
 四十五回国会衆議院送付)
○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第
 百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆
 議院送付)
○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十
 二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送
 付)



    ─────────────
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荒木清寛#1
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七月二十九日、岸宏一君、佐藤昭郎君及び佐々木知子君が委員を辞任され、その補欠として、有馬朗人君、井上裕君及び竹山裕君が選任されました。
 また、去る七月三十日、森下博之君が委員を辞任され、その補欠として阿部正俊君が選任されました。
 また、昨二日、有馬朗人君及び井上裕君が委員を辞任され、その補欠として佐々木知子君及び吉川芳男君が選任されました。
    ─────────────
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荒木清寛#2
○委員長(荒木清寛君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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佐々木知子#3
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。
 まず、通信傍受法案につきまして、警察庁に一点お伺いしたいと思います。
 本法案では、傍受令状に記載された通信に該当するかどうかが明らかでない場合、その該当性を判断するため、必要最小限度の範囲に限って傍受ができることとされております。この実施方法としてスポットモニタリングという方法がとられるとこれまで説明されてまいりましたが、具体的にはどのように行われるのでしょうか。この点の運用基準やマニュアル等を定める御予定なのかどうか、その点についてお伺いいたします。
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林則清#4
○政府委員(林則清君) 御指摘のように、必要な最小限度の範囲に限って該当性判断のための傍受を行うためにスポットモニタリングという方法、これが一番いいのではないかというふうに考えております。
 その具体的な方法いかんということでございますが、若干御説明させていただきますと、例えば対象とする特定の電話番号あてに電話がかかってまいりました。あるいはその対象とする当該電話から電話がかけられました。そういうときには、その通話がこの法に言う傍受すべき通信、つまり犯罪実行関連等の通信に該当するかどうか明らかでなければ、当該通話の最初の部分だけを傍受して、犯罪実行関連等の通信に該当するかどうかを冒頭だけを聞いて判断するということになるわけであります。
 非常に短ければ短いほどいいわけですが、一定の時間傍受した結果、それが犯罪実行関連等の通信に該当するものと思料されない、違うというときには直ちに傍受を中断する。それが法で言う犯罪実行関連等の通信であるということであれば、これは傍受を継続するということになるわけでありますが、これは違うということで一たん傍受を中断しましたが、その間ずっと通話が行われておるという場合には、場合によったら話題なり通話の当事者が変わっておる可能性もないとは言えないわけでありまして、その中では犯罪実行関連通信等に該当するに至っている可能性も生じておる。そうなりますと、該当性の有無というものが不明になりますので、そのときにはまた再度、それこそスポットで聞いてみる、こういうことになるわけであります。
 犯罪実行関連通信等に該当することから傍受を実は継続しておった場合でも、そこからその話が変わって犯罪実行関連通信等に該当しなくなった場合には、これは当然傍受をやめるということになるわけであります。当該通話が継続する限り、犯罪実行関連通信等に該当するか否かを判断するためにこのような傍受をちょっと聞いてみる。該当するかどうかを判断して、すれば聞く、していないとなったらすぐ切るということを繰り返すということになると考えます。
 警察といたしましては、この法案の本来の規定の趣旨でありますとか国会でいろいろと御議論がなされたところを十分踏まえまして、このようなスポットモニタリングの具体的な方法などにつきましても、国家公安委員会規則あるいは通達等によって厳格に規定しまして、都道府県警察に対して周知徹底し、そしてまた指導もしてまいりたい、そういうふうに考えております。
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佐々木知子#5
○佐々木知子君 スポットモニタリングに関連いたしまして、先ほども警察庁から御回答があったようでございますけれども、ある通話の中で傍受すべき通信があった場合、その通話についてはその後も継続的に傍受するのか、それともまたスポットモニタリングに戻るのか、今度は法務省の方にお伺いしたいと存じます。
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松尾邦弘#6
○政府委員(松尾邦弘君) 今、林局長の答弁にもありましたけれども、傍受すべき通信については、それが内容的に継続している限りは傍受をするということになります。
 ただ、今も話がありましたが、その中で話題が変わることがあります。それで、傍受すべき通信に当たらない会話になりました場合にはこれを一時中断することになります。ただ、一つの通話の中で犯罪に関連する通話が行われたということになりますと、その後中断いたしましても犯罪に関連する通話が再び行われる蓋然性は非常に高いということが言えると思いますので、スポットの時間といいますか、それも比較的短い時間にしてもう一度聞いてみるということで、これは関連があればそのまま今度はまた継続するというような形で傍受が行われていくものと考えております。
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佐々木知子#7
○佐々木知子君 消去義務に関してでございますけれども、「複製その他記録の内容の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面」に及びますけれども、内容を要約したメモには及ばないことになっております。ただ、このメモにつきましてはその内容を伝達、使用することは禁止されておりますが、使用禁止規定を実効あるものとするために、メモについても消去するような運用を検討すべきではないでしょうか。
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松尾邦弘#8
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘のとおり、法案の第二十二条第四項の消去義務は、「複製その他記録の内容の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面」を対象としております。内容を要約したようなメモにはこれは及ばないということになります。
 このようなメモを含めまして、傍受記録に記録された通信以外の通信については、その内容を他人に知らせ、または使用することが禁止されております。これは法案の二十二条第五項でございます。これを怠った場合は監督者を含め懲戒処分の対象となり、内容の漏えいに及んだような場合は通信の秘密を侵害する罪が成立するということになります。運用上、原則としてこのようなメモは作成しないにこしたことはありませんので、まず作成しないように指導する。仮に何らかの事情で作成した場合にも、捜査機関の組織としての適切な監督によりまして、これを速やかに廃棄するよう運用を徹底していきたいと考えております。
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佐々木知子#9
○佐々木知子君 次に、公衆電話でございますけれども、公衆電話についてはだれが利用するかわからず、不特定多数の者が利用する可能性があることから、これを傍受の対象とするのであれば、犯罪に無関係の者の通信が傍受されてしまう危険性がより多いといった主張もなされておるようでございます。ですが、見方を変えますと、公衆電話はだれが使ったかわからないというわけでございますから、まさに犯罪に関係する通信に利用されやすいという面も否定できないと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
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松尾邦弘#10
○政府委員(松尾邦弘君) この法案によりまして通信傍受が認められますのは、犯人による犯罪関連通信に用いられると疑うに足りる通信手段でございます。単に被疑者が公衆電話を使用しているというだけでは公衆電話が傍受の対象になることはありません。
 しかしながら、特定の公衆電話を使用して犯罪関連通信を行っていると認められるような場合でございます。何らかの事情で捜査結果、ある特定の時間に被疑者がこの公衆電話を使って犯罪関連通信を行うというようなことが証拠上その他で認められるような場合を言うわけでございますが、当該公衆電話による通信を傍受の対象としなければならないケースもまた考えられるところでございます。
 このような場合でございますが、捜査官において被疑者がその公衆電話を利用することを確認した上で、通信事業者の施設で待機する捜査官がその連絡を受けましてその通話のみを傍受するという措置をとることになろうと考えております。この場合には、傍受令状におきまして特定の利用者が利用することを確認した上で傍受を実施することが条件として付されることになるものと考えております。当然、その傍受令状を請求する場合には公衆電話であること等、いろいろな諸状況を説明いたしますが、裁判官がそのような条件を付するということが考えられるわけでございます。
 このような方法によりまして、一般市民の通信が広く傍受されるということがないように運用上もすべきものと考えている次第でございます。
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佐々木知子#11
○佐々木知子君 組織犯罪対策三法といいながら、当委員会におきましては専ら通信傍受法にターゲットが置かれて審議されてきた感がございますので、以後、私は他の二法につきまして審議をお願いしたいというふうに考えております。
 まず、組織的犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法案でございますけれども、組織的な犯罪に有効に対処するためには、組織的に行われた犯罪に厳罰をもって臨むことというのが一つの柱であり、もう一つの柱といたしましては、組織的犯罪のインセンティブであります経済的利益の追及、つまり犯罪によって得られた利益を剥奪することが肝要であります。
 国際通貨基金、IMFの推定、これは昨春でございますけれども、マネーロンダリングの取引額は世界の国内総生産、GDPの二ないし五%に達し約八十兆円、日本の当初予算にも匹敵するといわれております。南米のコカインカルテルがこの手法をよく使ったことから国際的に大きな問題になったといわれるマネーロンダリングでございますが、犯罪収益を規制の緩い国に流入させ、その国の金融システムなどを利用してクリーンな外観を有するものに変えるという手法でございます。
 このマネーロンダリング取り締まりにつきましては、一九八八年、国連で採択されましたいわゆる麻薬新条約を批准するに当たって、日本では国内法を整備し、平成四年からいわゆる麻薬特例法を施行しておりますが、これによって薬物犯罪に関してのみがマネーロンダリング罪、つまり犯罪収益等隠匿罪が定められたところではございますが、これまでこの罪名でどれだけの捜査実績があるのかお伺いしたいと思います。
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松尾邦弘#12
○政府委員(松尾邦弘君) 麻薬特例法におきまして、第九条で薬物犯罪収益等にかかわる隠匿罪が定められております。
 法務当局において把握している薬物犯罪収益等隠匿罪の検挙受理人員でございますが、同法が施行されました平成四年七月以降、平成十年までに合計五人でございます。そのうち一人を除いて公判請求がされておりまして、公判係属中の二名を除いて有罪が確定しております。
 公判請求されました事件の一つを紹介いたしますと、平成十年に摘発された事例は、覚せい剤等の譲渡代金三千百万円余りを仮名名義等を用いて外国の銀行口座に送金した事案でございます。このようなことをして薬物犯罪収益の取得につきまして事実を仮装するとともに、その収益を隠匿したという事案がございました。
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佐々木知子#13
○佐々木知子君 この法案が通ることになりますと、前提犯罪を薬物犯罪から飛躍的に増大させるものとなります。これまではスイスが犯罪組織によるマネーロンダリングの抜け穴になっていると国際的批判を受けておりましたが、スイスも昨年の春にマネーロンダリング法を発効させまして、検察庁が三年もの捜査の末、メキシコ大統領の実の兄が捜査の情報を提供する見返りに麻薬組織から受け取ったという金をスイスの銀行口座などに隠匿していたとして、一億ドルを差し押さえるといった動きもありまして、国際的な抜け穴になっているという批判は専ら日本に向けられるようになったわけでございます。
 我が国がそういった国際的なマネーロンダリング対策において果たすべき役割やその責任の重さについてどのように考えておられるか、これは法務大臣にお伺いいたします。
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陣内孝雄#14
○国務大臣(陣内孝雄君) 御指摘のように、マネーロンダリング対策につきましては、国際的に協調した対応をすることが求められておるわけでございます。我が国は、世界の金融市場の中心の一つであるということですので、ここが抜け穴になったら大変なことでございますし、また国連やサミット等の会議に参加する国際社会の一員として、これらの会議におきましても支持されておるFATF活動を十分に尊重しなければならない。アジア太平洋地域におけるマネーロンダリング対策グループにおいて、むしろリーダーシップを発揮すべき大きな責任を与えられている、このように考えるわけでございます。
 先般、東京で開かれたFATFの全体会議におきましても、多くの国から我が国の組織的犯罪対策三法が強く支持されました。FATFの総意として、早期成立について大きな期待が寄せられたことは報道等でもよく御存じのことと思います。我が国の組織的な犯罪対策に対する諸外国の大きな期待にこたえていく重い責任を背負っておると思うわけでございます。
 我が国が国際社会の一員として責任ある役割を果たすとともに、組織的な犯罪から国民の平穏な生活を守り、真に国民が安心して暮らせる健全な社会を築くために、できる限り早期にこの法整備を実現させていただきたい、このようにお願いする次第でございます。
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佐々木知子#15
○佐々木知子君 本法案九条に、犯罪収益等による法人等の事業支配罪というものがございます。これは麻薬特例法には設けられていない規定でございます。
 これにつきまして、例えば日本の暴力団が株式を出資するなり、そういった方法で会社を支配するというようなことが日本で行われている事例があるのかどうか、またそれを当局が把握しているのかどうか。恐らく多分難しいのだろうと思います。豊田商事の事件だとか、ある意味ではそういう悪徳商法、経済犯罪、会社犯罪につきましては、恐らく何件かあるのだろうというふうに思うわけでございます。
 私は、二、三年ほど前になりますが、国連のそういう国際犯罪の専門家と話をする機会がございまして、その方が言われるには、麻薬組織という国際的な犯罪組織が、ある国の銀行とかそういう大きな会社の株式を買い占めることによって、その国を乗っ取るような事例があるのだというようなことを言っておられました。私は、それを聞いて、そういうこともあるのかというふうに思っていたのですが、どうもそういうことは現実に本当に起こっているようでございます。
 ですから、こういう規定が設けられたのは当然だろうというふうにも考えているわけですけれども、一部にはこういう規定を設けますと株主の権利行使を侵害するものだとか、正常な法人の活動を阻害するものであるといった批判もあるようなのですが、この点について法務省はどのようにお考えでしょうか。
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松尾邦弘#16
○政府委員(松尾邦弘君) 犯罪収益等による法人等の事業支配の罪でございますが、犯罪収益等を用いて法人等の事業経営を支配する行為によりまして、その事業活動が犯罪その他の不正な行為に利用されたり、あるいはその事業経営に際して犯罪収益等が不法な競争手段に用いられるなどの不正な活動が行われるおそれがあるということなどから、法人等の事業経営に対する犯罪収益等による不当な干渉を防止することを目的として設けたものでございます。
 法人等の事業支配の目的で犯罪収益等により株式等を取得して、その権限を行使し、あるいは犯罪収益等により取得した株主への債権の取得、または行使に関して、その株主の権限等を行使させるなどして役員を変更させる行為等でございますが、いわば株主の権利を悪用しまして、あるいは他の株主の権利の正当な行使を妨げて会社を不当に支配するものでありますから、かかる行為を処罰することは正当な株主権をも保護するものでありまして、これに不当に干渉するというものではございません。
 また、この処罰規定でございますが、法人等の事業活動それ自体を犯罪としてとらえるものではありません。この罪による処罰によって、その法人等や善意の第三者に不測の損害を与えることなく法人の合法的経済活動を制限するおそれはないと考えております。
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佐々木知子#17
○佐々木知子君 麻薬特例法にも同じ規定がございましたけれども、本法案にも犯罪収益等の収受罪というのが設けられております。
 この点でございますが、犯罪収益等と言いましても、外見上は一般の財産と変わらないから、犯罪収益等を受け取っただけで犯罪が成立するとなると、正常な経済活動を阻害することになるとか、弁護人が被疑者または被告人から報酬を受け取ることをちゅうちょさせるものだとか、あるいはビラを読みますと、賃貸人は賃借人がその手の人であればその賃貸料を受け取ることができないとか、そういうビラまであったようでございますが、弁護人の選任権を侵害するものであるといったような批判がなされているわけですが、これについての見解をお伺いいたします。
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松尾邦弘#18
○政府委員(松尾邦弘君) 確かに、この点につきましては、今委員の御質問の中にありましたように、いろいろな誤解があるところでございます。
 この法律案の十一条に定めます犯罪収益等収受罪というものが成立するための要件を考えてみますと、まず収受した財産が客観的に犯罪収益等に当たるということは大前提でございます。ただ、それだけではなくて、さらにその財産が犯罪収益等であることの情を知った上で、それを十分わきまえた上でということですが、その収受を行うということが次の要件になります。
 この場合でございますけれども、犯罪収益等であることの情を知っているというためには、具体的な当該財産が現実の犯罪行為による犯罪収益等であるということの個別具体的な認識というものが必要になります。単に犯罪収益であるかもしれないといったような一般的、抽象的な危惧とかあるいは懸念というだけではこの要件を満たすことにはならないということになります。
 しかも、その財産の受領が契約に係る債務の履行としてなされる場合には、契約のときにそのような認識が必要とされております。契約のときにそのような認識がなければ、その財産を受領するときに犯罪収益等であることを万が一知ったということであった場合でもこの罪は成立しないということになります。
 したがいまして、この罪の成立範囲が不当に広がることにはなりませんし、正常な経済活動を営んでいる者や弁護人となろうとする者が犯罪収益等収受罪によって処罰されるということにはならないと考えております。
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佐々木知子#19
○佐々木知子君 次に、金融監督庁にお伺いしたいのですけれども、本法案に疑わしい取引の届け出制度が設けられております。もちろんこれは麻薬特例法にもございます。マネーロンダリング行為が金融機関等を利用して行われることが多いことから、金融機関等から疑わしい取引に関する情報を集約して犯罪収益等の隠匿の罪及びその前提犯罪の捜査に役立てることを主目的とするとともに、副次的に犯罪者によって金融機関等が提供する預金の受け入れサービスや決済システムが利用されることを防止し、金融機関等及び金融システムに対する信頼を確保しようとするものであって、マネーロンダリング対策として重要な機能を果たすべきものと期待されているわけでございます。
 現行でも、先ほど申しましたように、麻薬特例法にこの制度があるわけでございますが、届け出件数は非常に少なく、自発的なものは年間五件ペースと。九六年に米国で七万五千件、英国で一万六千件余りの届け出があったというのとまさに対照的でございます。また、届け出を端緒とする摘発事例も残念ながらまだないというふうに聞いております。
 届け出が極めて少ない理由の一つといたしましては、現行の届け出制度が薬物犯罪に特定されているためにその見きわめが金融機関ではできないということもあるようでございますが、本法案によって前提犯罪が飛躍的に広がるために実効性が上がると私は考えておるものでございます。
 米国、英国、フランス、イタリアなど、既に二十カ国以上でFIU、ファイナンシャル・インテリジェンス・ユニットという政府機関が設けられておりますが、その意味で、金融監督庁内に設置された特定金融情報室、現在はまだ準備室かもわかりませんが、日本版FIUと言えるのではないかと思うのですが、本法案によってその機能を準備室から脱してやっと発揮できるようになるのではないかということで、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
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乾文男#20
○政府委員(乾文男君) 前半のその届け出の件数等が少ないということは、今先生が御指摘になったとおりでございまして、少なかった等の理由でございますけれども、まさにおっしゃいましたように、犯罪収益の前提犯罪が薬物犯罪に限られておりましたこと等があるのかと思います。それからさらに、法制度上、金融機関等からの届け出のあった疑わしい取引に関する情報につきまして、金融監督庁におきましてこれの整理、分析を行うことというふうに制度上されておらなかったということから、全体といたしまして今御指摘のありましたような実情にあったことは確かでございます。
 最近の届け出件数を見ますと、平成十年度以降増加しておりまして、また、ことしに入りまして急増しております。その背景といたしましては、この制度につきまして金融機関等の理解が深まりつつあることが要因であるというふうに考えております。
 今回の法案におきましては、犯罪収益の前提犯罪がこれまでの薬物から殺人、強盗、未成年者略取誘拐等、重大な犯罪にまで拡大をされることになっております。また、疑わしい取引に関する情報を当庁に一元的に集約しまして、これを整理、分析し、その情報を捜査機関に回付する、また国際的な協力にもこたえることができる制度というふうにされておるところでございまして、先ほど申しました金融機関からの理解が深まりつつありますこととあわせまして、制度の実効性は十分に期待できるものというふうに考えておるところでございます。
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佐々木知子#21
○佐々木知子君 この制度の運用におきまして、金融機関等に過大な負担をかけることにはならないか、あるいは顧客のプライバシーを侵害することにならないか危惧する声も一部であるようでございますが、それにつきまして金融監督庁に御見解を問いたいと思います。
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乾文男#22
○政府委員(乾文男君) この制度におきましては、金融機関の日常の業務におきまして、収受した財産が犯罪収益等である疑い等がある場合にのみ届け出ることとされておりますことから、一般市民の正当な金融取引までが届け出の対象になるものではないと考えております。
 それで、取引が疑わしいかどうかの判断でございますけれども、金融機関が各取引ごとに顧客の日ごろの取引状況、送金方法等の態様、個々の具体的な事情を考慮いたしまして判断するものでございますけれども、監督庁といたしましては、金融機関がこの届け出義務を適切に履行できますよう、届け出の方法でございますとか内容及び疑わしい取引の参考事例等につきまして、当庁から金融機関に対しまして具体的に示すことを予定しております。
 したがいまして、この制度の運用におきまして、金融機関に過大な負担を負わせることにはならないと考えておりますし、また顧客のプライバシーを不当に侵害することにはならないと考えているところでございます。
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佐々木知子#23
○佐々木知子君 特定金融情報室がこれからスタッフを充実させて、予算も充実させて、それから日本全国に、多分財務局あたりに設置することになるかもわかりませんけれども、ぜひ実効を上げられて捜査の実を上げられますよう心から願っております。
 次に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案でございますけれども、これは専ら証人の保護ということでございます。
 組織的な犯罪を摘発して、刑事裁判において刑事責任を追及するためには、その立証に協力する者の保護という面を忘れることはできません。本法案により刑事訴訟法を改正して、証人の安全を確保するため、住居等に関する尋問制限等の措置を盛り込むこととされておりますが、これは非常に重要な意義を持つものと考えております。
 ただ、一部におきまして、これは被告人の防御や弁護人の弁護活動を不当に制約するものであるといった批判もあるようですが、この点について法務省はどのようにお考えでしょうか。
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松尾邦弘#24
○政府委員(松尾邦弘君) 暴力団の構成員等が被告人になっている事件に検察側の証人として出るということは、非常に心理的な負担が大きいわけでございます。まして、居所、住所、あるいは例えば毎日学校に通っている場合でありますと、どういう学校にどういう経路で通っているのかということについても、それを被告人側に知られることについて、証人が非常に心理的な負担を受けるということは当然考えられるわけでございます。
 今回の法案は、そういう場合に住所等に対する尋問制限等の措置を盛り込んだ刑事訴訟法の改正案としているわけでございますが、今回の法案による尋問の制限でございますけれども、被告人もしくは弁護人のする尋問を制限することによりまして、被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときはできないとされております。こうした住居等に対する尋問制限の配慮の要請は、被告人の防御に関し必要がある場合を除くものでありますから、これらによりまして被告人の防御権を不当に制約することにはならないということでございます。
 また、検察官が弁護人に対し配慮の要請をする場合に、被告人の防御に関する必要の有無及び具体的な配慮の内容や方法につきましてはその弁護人自身が判断するものでございます。警察官が弁護活動に不当に介入するおそれもないと考えております。
 なお、この改正は、刑事手続の中で証人等が自己の住居等を知られることに不安を感じることがあることから法律上このような配慮がなされることを明定するものでございまして、弁護人に対する不信を前提とするものではございません。
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佐々木知子#25
○佐々木知子君 ありがとうございました。時間が参りましたので、これで終わります。
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海野徹#26
○海野徹君 おはようございます。民主党の海野徹です。
 それでは、通告に基づきまして質問させていただきます。過日、参考人質疑で暗号の解読の技術的可能性について私は質問させていただきました。これは数字、数学ですから、理論的には可能な部分もあるかもしれない、しかし、現実的には全く困難だろうというのが専門家の意見であります。
 松尾局長は、技術的に可能だからできますよという話を委員会で答弁しております。規制も今は考えていない、暗号を規制するということも考えていないということだったんです。それはまさに考えてほしくないわけなんですが、欧州だって今実態としては暗号の規制をどんどん緩和しているわけですから、アメリカでもそういう方向ですから、日本だけが規制を強化するなんということはあってはならないわけなんです。
 そこで、警察庁にお伺いしたいんですけれども、暗号を解読する場合、どのくらいの予算をかけて、松尾局長はできると言ったわけですから、可能性はありますよ、それをやりますよと言ったわけですから、じゃ警察庁としては、どのぐらいの予算でどんな設備を整えれば一つの暗号を解読できるのか。それがしかも十三条二項の「速やかに」ということですから、その辺について御答弁をお伺いしたいと思います。
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林則清#27
○政府委員(林則清君) 今御指摘の暗号というものにも種類が複数ありまして、その強度にも違いがあるということで、一概にどの程度の予算、設備、時間が解読に必要かということについて述べるというのは困難でありますが、一般的には暗号を解読するために必要な時間等は暗号のかぎの長さに依存するということのようであります。
 例えば、現在インターネット上で用いられる標準的な暗号としてDESというのがあるそうでありますが、このDESで標準的なかぎ長とされる五十六ビットのものを解読しようとした場合、高性能の専用スーパーコンピューターを利用すれば数日で解けたという例もあると聞いております。
 しかしながら、暗号かぎの長さを含め暗号解読の難度というのは今後数年で急速に上がっていくということが予想されており、一方では解読するためのコンピューターの能力も急速に向上しておることから、まことに残念でありますけれども、御質問に正確にお答えするというのは困難でございます。
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海野徹#28
○海野徹君 正確に答えるのが困難だということなんですが、暗号を解読することがもう非常に困難なんです。五十六ビットという話だったんですけれども、この間通産省もそういう話だった。今はもう百二十八ビットが最低なんです。百二十八ビットなんというのはもう解けないんです、これは。その五十六ビットをやったのもすべて前提条件を整えて、さあどうですかとやっての話なんです。だから、暗号を解くというのは私はもう解けないと思った方がいいんじゃないか。
 ネットワーク時代というか、インターネットの時代ですから、もうセキュリティーというのは一番の基本なんです。そのために暗号システムというのはいろんなところで使われているんです。普通のパソコンのユーザーですら、この間私が質問させていただきましたPGPとかSSH、SSL、こういうような程度の暗号を複数使っているんです。我々聞いてみましたら普通のパソコンユーザーですらこれを使っているんですね。じゃもっといろんな意味で安全性を確保しようとしたら暗号化ファイルシステムあるいはIPv6というような次世代型IPなどを使っているという専門家からの話でありました。それ以外にも個々のアプリケーションにファイルを暗号化する機能がもう入っていますよという話だった。そういうことを考えると、とてもじゃないけれども暗号なんて読めないなと思うんですが、再度御見解をお聞かせください。
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林則清#29
○政府委員(林則清君) 今、委員御指摘のように、大変技術が進んで暗号等についても解読するのが非常に困難化する。一方、過去解けない暗号はないという言葉もあるわけでありまして、やはり解読するのが必要ということであれば、警察も全技術力を挙げて解読することができるよう努力してまいりたいと考えております。
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