法務委員会

2000-10-24 衆議院 全267発言

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会議録情報#0
平成十二年十月二十日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
 司法制度改革審議会に関する小委員
      太田 誠一君    笹川  堯君
      杉浦 正健君    武部  勤君
      山本 有二君    横内 正明君
      佐々木秀典君    野田 佳彦君
      日野 市朗君    漆原 良夫君
      藤島 正之君    木島日出夫君
      保坂 展人君    上川 陽子君
 司法制度改革審議会に関する小委員長
                太田 誠一君
平成十二年十月二十四日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 長勢 甚遠君
   理事 太田 誠一君 理事 杉浦 正健君
   理事 山本 有二君 理事 横内 正明君
   理事 佐々木秀典君 理事 野田 佳彦君
   理事 漆原 良夫君 理事 藤島 正之君
      岩屋  毅君    加藤 紘一君
      河村 建夫君    後藤田正純君
      左藤  章君    阪上 善秀君
      笹川  堯君    竹本 直一君
      武部  勤君    西川 京子君
      平沢 勝栄君    森岡 正宏君
      渡辺 喜美君    枝野 幸男君
      日野 市朗君    肥田美代子君
      平岡 秀夫君    山内  功君
      山花 郁夫君    上田  勇君
      木島日出夫君    保坂 展人君
      上川 陽子君
    …………………………………
   議員           麻生 太郎君
   議員           杉浦 正健君
   議員           谷垣 禎一君
   議員           漆原 良夫君
   議員           高木 陽介君
   議員           松浪健四郎君
   法務大臣         保岡 興治君
   法務政務次官       上田  勇君
   最高裁判所事務総局家庭局
   長            安倍 嘉人君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    鶴田 六郎君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    馬場 義宣君
   政府参考人
   (文部省初等中等教育局長
   )            御手洗 康君
   法務委員会専門員     井上 隆久君
    —————————————
委員の異動
十月二十四日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     竹本 直一君
  河村 建夫君     西川 京子君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     加藤 紘一君
  西川 京子君     阪上 善秀君
同日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     河村 建夫君
    —————————————
十月二十三日
 犯罪捜査のための通信傍受法の廃止に関する請願(石井一君紹介)(第一六四号)
 同(辻元清美君紹介)(第一六五号)
 同(細野豪志君紹介)(第一六六号)
 同(横光克彦君紹介)(第一六七号)
 同(横光克彦君紹介)(第一八六号)
 同(長妻昭君紹介)(第一九六号)
 同(横光克彦君紹介)(第一九七号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第二〇七号)
 同(牧野聖修君紹介)(第二二四号)
 同(後藤斎君紹介)(第二六四号)
 選択的夫婦別姓の導入など民法改正に関する請願(前田雄吉君紹介)(第一八五号)
 治安維持法犠牲者国家賠償法の制定に関する請願(木島日出夫君紹介)(第二一四号)
 同(北橋健治君紹介)(第二一五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二一六号)
 同(葉山峻君紹介)(第二一七号)
 同(日森文尋君紹介)(第二一八号)
 同(細川律夫君紹介)(第二一九号)
 同(牧義夫君紹介)(第二二〇号)
 同(牧野聖修君紹介)(第二二一号)
 同(松本龍君紹介)(第二二二号)
 同(山村健君紹介)(第二二三号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六五号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第二六六号)
 同(石井郁子君紹介)(第二六七号)
 同(植田至紀君紹介)(第二六八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二六九号)
 同(大島令子君紹介)(第二七〇号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二七一号)
 同(大森猛君紹介)(第二七二号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二七三号)
 同(北橋健治君紹介)(第二七四号)
 同(桑原豊君紹介)(第二七五号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第二七六号)
 同(古賀一成君紹介)(第二七七号)
 同(児玉健次君紹介)(第二七八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二七九号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八〇号)
 同(志位和夫君紹介)(第二八一号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第二八二号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二八三号)
 同(中川正春君紹介)(第二八四号)
 同(中林よし子君紹介)(第二八五号)
 同(中村哲治君紹介)(第二八六号)
 同(春名直章君紹介)(第二八七号)
 同(不破哲三君紹介)(第二八八号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二八九号)
 同(保坂展人君紹介)(第二九〇号)
 同(松本善明君紹介)(第二九一号)
 同(松本龍君紹介)(第二九二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二九三号)
 同(山口富男君紹介)(第二九四号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二九五号)
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員に関する請願(木島日出夫君紹介)(第二六三号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 少年法等の一部を改正する法律案(麻生太郎君外五名提出、衆法第三号)

    午前九時三十分開議
     ————◇—————
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長勢甚遠#1
○長勢委員長 これより会議を開きます。
 この際、視察概要について御報告いたします。
 去る十月十八日、少年法等の一部を改正する法律案の審査に資するため、多摩少年院及び川越少年刑務所を訪れ、施設の概要、最近の変化、動向、処遇の内容等について詳細な説明を聴取いたしました。その後、施設を視察し、現場の方々に対し活発な質疑を行いました。両施設とも、職員の方々は科学的方法を活用しながら更生に意欲的に取り組まれており、その矯正現場の生の声は大変有意義なものでありました。
 少年法は国民の関心が深い問題であり、その内容を委員各位にお知らせして、今回の視察を今後の審査の糧といたしたいと考えております。
 詳細につきましては、お手元の印刷物のとおりであります。
 以上、御報告いたします。
     ————◇—————
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長勢甚遠#2
○長勢委員長 麻生太郎君外五名提出、少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省保護局長馬場義宣君及び文部省初等中等教育局長御手洗康君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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長勢甚遠#3
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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長勢甚遠#4
○長勢委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所安倍家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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長勢甚遠#5
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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長勢甚遠#6
○長勢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。
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佐々木秀典#7
○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木秀典でございます。
 かねてからの懸案になっておりました少年法の改正問題、こうして当委員会で審議がなされることになりました。
 どなたも御案内のように、少年法ができましてから、その精神、少年については将来のある身であるから、仮に非行を犯した者であるにしても、その更生保護ということを主眼にしながら、そのような再犯がないようにしていく。そして、それを通じて子供たちの健全な育成を図っていくということが主眼になっている少年法。その精神を体して、家庭裁判所での保護処分を中心にしながら、あわせて、起きた事案の真相も解明をしていく。そしてまた、それに応ずる処遇についても、それぞれに応じた施設が設けられ、そうした仕事に従事する方々は、この長い間非常に努力をされ、研さんを積まれて、大きな成果を上げてきているということが言えるのだろうと思います。
 他の先進諸国に比べても、日本の少年犯罪の場合、決してその数の点では多くない。むしろ非常に少ない。皆さんの努力の結果ではないかということも言われているわけであります。
 しかし、少年法も万全なものではない。そういうことから、手直しということがかなり以前から言われてはおったわけでありますけれども、少年法の全面的な改正ということで形が出されたのは、さきの通常国会で政府が少年法の改正案を出されて、国会では初めてこれが審議の対象になったということが言えるのではないかと思います。
 さきの国会、本年の五月に閣法としての少年法改正案が出され、本会議で趣旨説明が行われ、質疑が行われました。私も、民主党の代表として代表質問に立ちました。しかし、その後に、選挙間近というようなこともあって、本委員会での質疑というのはほとんど行われなかったわけであります。
 選挙が終わりまして、この臨時国会が始まりましてから、今度は、政府が改めてこの改正案を提案するということではなしに、与党三党間の協議を経て、与党案としての少年法の改正が議員立法として出された。私ども野党としては、前の閣法も本会議で提案されて質疑を経ているわけでありますから、この議員立法についてもやはり本会議での趣旨説明、質疑というものがあった後にこの委員会にかけられるべきだと考えておりましたし、また事前には内々与野党間でその了解もあったはずだと思うのであります。しかし、それが本会議の議を経ずして、いきなりこの委員会に付託をされることになりました。
 そして、この委員会においては、不幸なことに、例の参議院の比例代表制度の改正の問題がにわかに浮上いたしまして、これをめぐって国会が紛糾する。その結果、残念ながら、私ども野党としては、すべての審議に応ずることができないということになったわけでありますけれども、にもかかわらず、当委員会では、そうした私どもの意向が顧みられないで、与党の皆さんだけでこの大事な少年法の改正という問題の審議が進められたということは、まことに私どもとしては遺憾だったと思っております。
 これまで与党の皆さんだけによる質疑、そして参考人の質疑というようなことが行われて、しかし、幸いなことに国会の正常化が図られて、本日ここに私どもとしても質疑に参加することができることになったわけであります。
 少年法の改正については、不幸な、幾つかの異常な子供たちの犯罪が相次いだなどということも加えて、国民の多くの皆さんから大変に注目をされております。しかし、できましてからいわば初めての改正ということでもあり、私どもとしては慎重の上にも慎重を期さなければならないと思っております。私どもの質問はきょうから野党として始まりますけれども、十分にこの点を提案者としても、また政府としても御理解をいただきながら、この質疑の実を上げて、本当にいい法律の改正ができますように私ども考えていきたいと思いますので、その点についてどうか御理解をちょうだいしたい、こんなふうに思います。
 そこで、質問に入りますけれども、申し上げましたように、政府がこの国会では前の通常国会に出された閣法の提出をなされなかった。まず、この理由は一体どういうことなのか。
 私どもとしては、この少年法の前回国会での提案については、法制審議会でも長年議論をし、この法制審議会では、各方面からの有識者の方々も委員として入って、そして非常に充実した慎重な審議が行われた上で、閣法としてまとめられて提案されたものだと了解をしております。
 この問題については、私はやはり政府が第一に責任を負うべき法案の改定だと思うのですけれども、それをこの国会で政府がなされなかったというのは一体どういう事情によるものなのか。これについて、しっかりと、国民の皆さんに理解ができるように御説明をいただきたいと思います。
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保岡興治#8
○保岡国務大臣 本改正案については、解散前の国会、通常国会において、最終段階だったと思いますが、立法措置を含む幅広い視野から真剣な検討をすべきであるという少年非行問題に関する決議がございました。そういった委員会の決議を踏まえたり、最近の年少少年の犯罪動向等を踏まえて、さまざまな角度から精力的に議論を重ねてこられまして、極めて多くの国民が早急な少年法の改正を求めている実情も考慮して、与党三党において立法府に属する議員として提案されたものであると承知しております。
 その際、与党という立場で、御指摘の廃案になった政府提出法案の内容をも考慮して取り入れていただいて、今度の改正の柱にもなっております年齢問題とあわせて法案の内容にしていただいている点も、私たちとしては評価をしておるところでございます。
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佐々木秀典#9
○佐々木(秀)委員 今の御答弁だけでは、なぜ政府が政府として提案しなかったかということの御説明にはなっていないと思うんです。与党三党がやると言ったからやらせたんだというように聞こえるんだけれども、政府として、なぜ閣法として出さなかったのか、そこのところを聞いているんです。もう一回答弁してほしい。
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保岡興治#10
○保岡国務大臣 今私が述べましたとおり、与党三党で、さきの国会の最終段階の委員会の決議、それから、選挙で示された、多くの皆様方が国民の声を踏まえられたと思いますし、与党としても当然それを重大に受けとめられたということもあると思います。いろいろな各方面にその後起こった議論を踏まえて緊急に対応すべきだと与党が考えられて提案された。それに政府のさきに廃案になった内容も取り込んでいただいたということで、我々としては、その与党の御努力を評価しているところでございます。
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佐々木秀典#11
○佐々木(秀)委員 今、世論の動向から急ぐ必要があったというお話、これはまた提案者に、なぜ急ぐ必要があったのかということについてはお聞きをしたいと思うんですけれども、今の再度の御答弁を聞いても、なぜ政府が政府としてこの改正案をお出しにならなかったのか、その理由になっていないと私は思うんです。
 確かに、前の国会では、法務委員会において最後に決議がなされました。これは少年犯罪をなくするために総合的な対策が必要だということであります。これを少年法の改正だけにまつというのではない、少年法の改正をしてもそうした少年犯罪の抑止あるいは防止ということは万全に行われるのではないということの理解が皆さんの間に一致をしていたからだろうと思うわけですね。少年法の改正が仮にそのための一つの方策であるにしても全部ではない。それを、与党の協議があった、あるいは与党の案の中にこの政府提案の趣旨が盛り込まれているんだからといって、しかし政府がやらないことになるというその理由にはならないと私は思うんです。ですから、今の大臣の御答弁というのは、私は甚だ不満足です。
 それと、今急いでというお話があった。閣法としてやるのだとすれば急いでできないということになるのか、この次の質問とも関係しますけれども。
 今度の与党提出の改正案は、確かに前に政府が提出した改正案の大方が入っていることは私も認めます。しかし、それにはなかったもの、あるいはそれを変えたもの、そういう部分が随分あるわけですね。今の処罰可能年齢を十六歳から十四歳に引き下げるなどというのは今までの規定からすると重要な改定になるわけですけれども、これは前の政府案にはなかったわけですね。今度の議員立法にはあるわけでしょう。これは前の閣法をつくるときの法制審議会での審議でも確かに議論にはなっていたんだろうとは思うけれども、しかし閣法ではそこまでは踏み込まなかったわけですね。そういうことを含めて幾つも変わった点があるわけです。例えば、被害者の問題なんかもそうですね。
 こういうことについては、本来はやはり法制審議会にもう一度戻して、法制審議会で議論をして、それから閣法としてまとめて出されるというのが筋だったんだろうと私は思いますけれども、それをいわばはしょって、それで議員立法の方にゆだねているというところに私は政府としての問題があると思うんだけれども、ある意味での責任回避というか、私は責任の放棄でさえあるのではないかと思うんですけれども、その点についてどうお考えになっているんですか、これをお聞かせください。
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保岡興治#12
○保岡国務大臣 少年法は確かに少年の非行、犯罪について対応するのに非常に重要な柱になる法案であることは承知しておりますが、それが必ずしも閣法で出さなければならないというふうに決まっているものでもないと思います。
 先ほど申し上げたように、委員会の決議を踏まえた上で、しかも選挙における国民の声も多くの議員、与党が承知したところを踏まえ、最近相次いでいる、社会の耳目を集めるような少年の非行事件、あるいは重大凶悪犯罪、あるいは低年齢化、こういった動向を踏まえて、緊急に措置すべきであるというふうに与党が考えられて、いろいろな各方面の御意見を踏まえて議員立法を提案されることは、それで私は一つのあり方だと思います。
 我々としては、今委員も御指摘のように、さきに提出した閣法に加えてさまざまな御提案があっている内容も評価して、この審議に参加をさせていただいているところでございます。
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佐々木秀典#13
○佐々木(秀)委員 重ねてお聞きをしますけれども、法務省部内では、こうした与党の改正提案というものがなされたときに、法制審議会でこれをもう一度考えなくちゃいけないんじゃないかというような議論は全くなかったのですか。これは大臣の判断として、もう議員立法でいいということだったんですか。その点、はっきりとお答えください。
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保岡興治#14
○保岡国務大臣 与党の中で、選挙後、少年法の改正についての協議が直ちに始まりました。したがって、法務省はその推移を見て対応するということで、今日に提案がなされましたので、それを評価しているということでございます。
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佐々木秀典#15
○佐々木(秀)委員 そうすると、いずれにしても、法務省としてはこれを法制審議会で審議をする必要はない、こういう判断だったとお聞きしていいんですね、いかがですか。
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保岡興治#16
○保岡国務大臣 与党案が提出になった以上、政府・与党、こういう点では一体でございますので、改めて法制審議会にかけて提案をする必要はないと存じます。
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佐々木秀典#17
○佐々木(秀)委員 政府・与党というけれども、私は政府と与党とはある意味ではやはり違うと思うんですよ、行政府なんですから。ですけれども、今のお答えを通して推測をすると、はっきりは言われなかったけれども、法務省としては法制審議会にこれらの問題についてもかける必要がないと御判断した、こういうように了解させていただきますので、いいですね、その点は。
 そういう上で、次の質問に移りたいと思います。
 去る十月十日のこの委員会審議、私どもは出席はできておりませんけれども、与党の委員だけによる質疑だった、そういう安心感があるいはあったのかと言うと語弊があるかもしれませんが、法務大臣はこの質疑で、少年非行犯罪の解消策として、社会全体の規範意識、あるいはけじめをつけることの必要を説いておられる。そのことと関連して、憲法の改正と教育基本法の見直しということにも言及されておられます。
 誤りがあってはいけませんから、議事録の言葉をそのまま引用させていただきます。
 私は、少年法だけでこういった一連の少年非行事件、犯罪が解消するものということでもない。
中略ですが、
 私は、戦後の日本社会の鏡がこの少年事件にあらわれている。したがって、社会全体の気質、あるいは免疫力、蘇生力、こういった全体の社会のありようというものを、やはり憲法改正を含め、あるいは教育基本法の見直しを含め、新しい二十一世紀の日本に向かって、私は、社会全体の規範意識、けじめをつけるところはきちっとつける、責任や義務、個と全体との関係、こういったことを社会全体できちっと新しい日本のあり方として求めていくことが我々政治家としては非常に重要だというふうに思っておるところでございます。
こう述べておられるのですね。これは議事録に従って今私が御紹介しましたから間違いないと思うんですけれども。
 これは大臣も国会議員もそうですけれども、何といっても憲法遵守義務を憲法でうたわれております。その中でも、憲法あるいは法律の遵守に第一の責任を持っておられる法務大臣だと私は心得ますけれども、その法務大臣がこうした委員会の場で憲法改正の問題に触れられたというのは極めて異例のことだと私は思っています。恐らく今までなかったのじゃないでしょうか。それが、この少年法の改正問題に絡んで、ここまで保岡法務大臣は踏み込んだ発言をされました。これは私は決して軽々しい問題じゃないと思っております。
 この前段で法務大臣も言っているように、少年法だけで一連の少年非行事件、犯罪が解消するというものではない、このことは私どもも共感いたします。総合的な対策が必要なのだと、だからさきの国会のこの委員会での最終段階でも、先ほど御紹介があったような、少年非行を防止するためにどうするかということについての決議がなされている。
 少年法の改正だけでこれをやれるというものじゃない。御理解の上での発言だとしても、この点は共感するにしても、なぜそこで突然憲法改正だとか教育基本法の改正まで踏み込むということが出てくるのか。この二つの法律というよりも、法律の上の法律である憲法のどこが少年非行の、あるいは助長といいますか、抑止に欠けるところがあるとすれば、それにどんな因果を持っているのか、その因果関係が私どもはこれからはちっともわからないわけですね。教育基本法のどこが悪いのでしょう。どういうように変えることによってどうなることを大臣としては期待しているのでしょう。そのことをはっきりとおっしゃっていただきたい。
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保岡興治#18
○保岡国務大臣 まずお断りを申し上げておきますが、私は、森内閣あるいはその閣僚として具体的な憲法改正について言及したものではありません。一政治家として、これからの日本はどうあるべきかということをみんなで求めていくべきである、議論を尽くしていくべきであるという観点から答弁したつもりでございますが、御質問の趣旨に沿って申し上げれば、それは確かに少年法は少年非行犯罪対策の重要な柱ではありますけれども、問題は少年非行事件などが起こらないような社会をどうつくるかというところに根幹がある、戦後の教育の問題あるいは社会の気質、風潮の問題、こういったものが社会規範というものに対して少し緩んでいるのではないかということは私は基本的な政治家としての認識として持っております。
 それはやはり人間が、自分のことはかわいい、自分のことはやはり情報もある。したがって、とかく自分中心になりがちであるけれども、しかし社会を生きていくためには、国家社会が繁栄し、よくなる、あるいは地域社会や学校、家庭、こういったものがよくなって初めて社会というものは健全になっていく、そういった社会全体のあり方が少年非行犯罪事件に重要な意味を持っているという認識を申し上げて、そういったことについては、当衆議院及び参議院において憲法調査会等でも日本の二十一世紀の国のあり方を求めて議論を尽くしているところでございます。
 そういう観点に立って、こういった社会の自浄作用あるいは免疫力といったものが必要とされる、そういったことも、国家の一つの目標として、あり方として、議論を深めていくべきだということを政治家として重視しているという見解を述べたものでございます。
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佐々木秀典#19
○佐々木(秀)委員 今お話しの趣旨の大半については私も了解するし、共感を覚えるのです。確かに大臣がおっしゃるように、今の世の中の風潮でいろいろ問題のあることはわかります。それをみんなでどうやって直していくか、それが少年犯罪の抑止につながっていくのだということも理解できます。
 しかし、その中で、具体的に大臣は憲法と教育基本法の見直しということも言っているのですよ。今言われた風潮、これを直して日本のあり方をどうして考えていくかということ、ここはわかるにしても、それと憲法の改正と教育基本法の改正ということがどういうふうにかかわっていくのか。だったら、憲法のどういうところがいけないのか、教育基本法のどこがいけないからどうしたい、そうすれば今言ったような方向に影響していくのだということになるのだろうと思うのだけれども、そこのところをお聞きしたいのですよ。そこまで言ってもらわないと、それは幾ら政治家の個人的な見解だなんということでは済まされないのですよ、これは。憲法の改正、教育基本法の改正、見直しまで具体的に言っているのだから。
 それでは、もう一つ踏み込んで言ってください。
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保岡興治#20
○保岡国務大臣 恐らくそういう議論は、この数年の間に議論が詰まってくると思うんです。しかし、今ここで私が憲法改正の条文に、あるいは教育基本法の条文、内容に照らして具体的に言う段階ではない、そういう状況でもないということは、冒頭に森内閣の認識あるいはその閣僚としての認識を申し上げたとおりでございます。
 しかし、私は先生にむしろ逆にお尋ねしたいのだが、社会全体のあり方、国家の基本的なあり方、こういうことは憲法という最も基本となる法規範、これに重要な関係がある、そしてそれと裏腹にある教育基本法にもやはり論議が及ぶだろうということは先生も認めていただけると思うので、私はそういった一般的な関係に立って政治家としての認識を申し上げたところでございます。
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佐々木秀典#21
○佐々木(秀)委員 ここで憲法と教育基本法論争をあなたとちょうちょうとやるつもりはないけれども、しかし、今お聞きになったから言うけれども、私をして言わしめれば、今の憲法の理念がしっかり生かされ、あるいは教育基本法の理念がしっかりと生かされるような教育というものが徹底していれば、むしろ私は、あなたのおっしゃるようなことと裏腹に、そういう悪い風潮等は出てこなかったはずだと思いますよ。その理念を阻害するような事態がこの現実社会の中で日本では進んできてしまっている。だから、むしろ憲法の理念や教育基本法の理念と乖離した現状というものができている。ここをどうやって直していくかということが問題なのだと私は思っているので、憲法を改正したり、教育基本法をそういう意味で改正する必要なんて私はちっともないと思っている、あるいはそこで大臣との見解を異にするのかもしれないけれども。
 もちろん、今、国会の中でも憲法調査会がありますし、憲法を論ずるということはタブーではないわけですから、大いに論じていきながら日本のあり方を考えていかなければならない。だけれども、短絡に憲法改正だとか教育基本法の改正を、あるいは大臣をして言わしめれば、今の憲法が国民の基本的人権尊重というこのことを強調し過ぎているのじゃないか、だから義務の観念が薄らいでいるのじゃないかなどということを多分言いたいのではないかと憶測をするのだけれども、そういうことではないと私は思うんですよ。
 そういうあり方について、これはこれからも議論は深めていきたいと思います。しかし、少なくともこの少年法の改正あるいは少年非行犯罪の抑止などについて憲法改正だとか教育基本法の改正などということが必要だなどということは、私はこれは軽々におっしゃるべきことではないと思いますね、法務大臣たる者としては。ここのところはひとつ心得てこれから対処していただかなければ、これからもまた問題にしていかなければならないと私どもは思っております。
 時間がありませんから、この程度にいたします。また、この点についてはこれからも議論をしていきたいと思いますね。
 それからもう一つ、大臣にお伺いしたいんですけれども、これも十日の委員会での質問に対する御答弁で、刑事処分可能年齢を十四歳に引き下げるという改正案について、「最近の少年非行の情勢に対処するための緊急の対応」というように答弁されていると思いますけれども、この十六歳・十四歳問題がそんなに緊急な問題だというのは、どういうことを考えてのことなんですか。この緊急性ということについてお答えになっていますけれども、改めてお聞きをしたいと思います。
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保岡興治#22
○保岡国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、最近に至るもやはり、年少少年の凶悪重大な事件、大分の十五歳の六人家族の殺傷事件などに代表されるいろいろな事件がこのところずっと続いている。そういったことや、先ほど申し上げたように、国民の中に、そういうことにきちっとした対応が必要だということをいろいろな角度からの御意見を踏まえて検討された結果、緊急性を要する立法として与党が御提案になったものだと承知しております。
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佐々木秀典#23
○佐々木(秀)委員 与党が提案したということはいいんですよ。与党が提案したということはいいんだけれども、特に、大臣が十四歳に引き下げることが今度の少年法改正と絡んで緊急な課題だと言っているものだから、そんなに緊急なものですかということをお尋ねしているわけですよ。
 これをやらなきゃどうにもならないようなものじゃないんじゃないですか。だって、閣法にはここまでの年齢引き下げはなかったんですよ。その閣法を出される以前にも、やはり低年齢の子供の犯罪というのはあったんですよ。それはその後に突出した事件は起こったことは起こりました。だけれども、その前だってなかったわけじゃないんですよ。それを、特にそういう事件が起こったから十四歳に引き下げる、そういう緊急性がある、こう考えたということなんですか。
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保岡興治#24
○保岡国務大臣 これは与党の提案でございますから、緊急性についてはむしろ与党の提案者に聞いていただくのが筋だと思いますが、私としては、先ほど申し上げたような理解をしているということでございます。
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佐々木秀典#25
○佐々木(秀)委員 それは、法務大臣としてそう言われているから、法務大臣としてのお考えをお聞きしたんだけれども、与党の方で必要だから、そう言っているからということだけでは、私ども本当は納得できない。だけれども、一応きょうのところはそうお聞きしておきましょう。
 それじゃ、これから提案者にお聞きをしたいと思います。
 少年法の改正を急ぐ理由、さっき大臣にもお尋ねしたんですけれども、これは提案者にももう一回お聞きしなければなりません。
 これは、次の質問の六番目、この改正案が少年非行や犯罪の抑止にどれだけの効果があると考えているのかという質問とも絡むわけですね。これは、先ほど大臣も答弁で確認されたように、少年法の改正だけが少年犯罪の、あるいは少年非行の抑止に唯一のものではないということは、もうだれしも言われている。この十日の委員会の議事録を読みますと、提案者である麻生先生かな、あるいは杉浦先生もそう言われていますね、それについて言及されている。こうした重罰化といいますか、その傾向を強くするような少年法の改正というのは果たして犯罪の抑止力につながるかということについてはいろいろな議論があるわけで、むしろそうならないという意見もあるわけですね、役に立つという意見もあるけれども。
 これは、きのうの毎日新聞の朝刊です、十月二十三日の朝刊ですけれども、アメリカの司法の関係者が、少年審判のあり方などについて、あるいは少年処遇について考えるということで日本に来られているという記事が出ていますね。
 これによると、きのうもう既に行われたようですけれども、シカゴ少年裁判所のウィリアム・ヒブラー裁判官、それからイリノイ州クック郡の少年司法局で働いていらっしゃるというキャサリン・ライアンさんという方が来られている。そして、大正大学で、「アメリカにおける少年犯罪と少年法」と題した講演をきのう行われているようです。行うと書いてありますから行われたんだと思います。
 それによると、日本よりも一足早く少年の厳罰化に踏み切ったアメリカで、しかし少年犯罪の凶悪化はとどまらない、いきなり型の殺人もふえているということで、このアメリカの司法関係の方々が、日本の少年犯罪に対する対応あるいは処遇の状況などについて、勉強も兼ねて来ているんだということが紹介されているわけですね。
 アメリカなどでは今も、私が話しましたように、少年犯罪について厳罰化の方向というのはかなり早くつくられたわけだけれども、一向にその後少年犯罪は減らないし、むしろ増加し、あるいは内容も凶悪化している。アメリカの場合には、日本と違ってまた例の銃砲による犯罪がありますね、日本の場合にはこれはないけれども。以前も、未成年者が銃砲を持って子供たちを撃ちまくったなんというひどい事件があったわけですけれども、そういうようなことからも、むしろアメリカあたりでは、少年に対しては保護処遇というか、そういうふうに改めた方がいいのではないかという議論が最近になって非常に起こっているようにも聞いているわけですね。
 そういうことを考えますと、今この少年法、与党の改正案は今までに比べてさまざまな点で少年に対して厳しくなるのは明らかなんですけれども、これをなぜ急がなければならないのか。私は、この論議がこの国会での法案審議を通じてやっと国民的なものになっているということは歓迎するべきものだと思っておりますし、むしろ、この審議を通じて国民の皆さんに、さまざまな観点から、一緒になってこのあるべき少年非行や犯罪防止の問題を考えてもらう、その中で少年法がどういう役割を果たすのかということについても理解を持っていただくいい機会だと思っているだけに、この論議は決して出口をどうするなどということを決めないで、慎重に慎重に論議をしながら、ここでの論議を国民の皆さんにまたお示ししていく非常にいい機会だと思っているわけです。
 しかし、どうも見ておりますと、与党の皆さんは、とにかく今国会中にどうしてもこれを成立させなければならないというような大変な意欲に燃えていらっしゃるようにも見えるわけだけれども、なぜこれを急がなければならないのか、十二月一日までと限られているこの国会でなぜこれを通さなければならないのか、これを通さなければ犯罪がまたふえるよということなのか、その辺について、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
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麻生太郎#26
○麻生議員 なぜ少年法の改正を急ぐかという点につきましては、さきの国会で、五月、当委員会、当時は武部委員長だったと思いますが、武部委員長を通じて、時の法務大臣、臼井日出男大臣に対して提案がなされておりますのは御存じのとおりであります。その中において、「その健全育成を図る見地から、年齢問題、少年に関する処遇の在り方等を含め幅広く早急に検討すること。」と書いてありますので、これが、まず当委員会としてというか、この国会といたしましてのいわゆる決議をしておられますので、そういう意味での背景の一つです。
 もう一つは、これはもうこの衆議院の選挙を通じて、佐々木先生初めここにお見えの委員の方々は、それぞれに選挙期間中いろいろなところで有権者の意見を聞かれたと思いますし、事実また新聞等の世論調査を見ましても、少年法の改正につきましては事を急いでおられる、早く成立させるべきだという意見の方が多いということも御存じのとおりだと思っておりますので、それが背景であろうと思っております。
 事実、少年の犯罪というのは、決議がされました後も、先ほど大分の話が出ましたけれども、いろいろ出たことも間違いない。しかも、あれは都会の話だと言っておりましたけれども、大分が都会でないと言うと大分の人でひねる人もここになきにしもあらずかもしれませんけれども、なかなかああいったところでも、ああいったところと言うとまた何か言われそうですけれども、大分でもそういった、隣の顔見知りの人であって、全く隣の人は何する人ぞではない、よくよく知っている、子供のときから知っている人を相手にああいった事件が起きておるという事態は、これはゆゆしき事態になっておると理解しないといかぬのではないか、ここらが多分背景だと思います。
 その次に、では、そういったものを受けて直ちにこの少年法を改正したからといって少年非行が減るかと言われれば、私どもとして、少年犯罪というものの背景はそんな単純なものではないということは、少年法関係のことを勉強された方々、これは一様に皆さんよく御存じのとおりだと思っておりますし、その内容も随分異なってきているとは思います。
 少なくとも、少年法ができました当時、これはいわゆる占領中の話でありまして、まだ日本が独立する前にこの法律はできているんですが、その当時の少年犯罪の内容というのは、いわゆる飢え、腹が減っているためにパンだミカンだかっぱらったという話、そのような感じの少年法の感じと、少なくとも今、いわゆる飽食の時代に対して、殺す経験をしてみたかったから殺してみたとかいうような、私どもの常識とはかなり逸脱したようなことが平気で言われるような時代になってきている。そういった状況下において、この法律が今のままで正しいのであろうかという点も改めて考えなければいかぬところだと思っております。
 しかし、だからといって、法律改正ができれば直ちに少年犯罪が減るかといえば、先ほど申し上げましたように、そのようなことは私自身も考えておりませんが、少なくとも、社会的規範というものを守らなければ罰せられるという事実をきちんと知らしめるということは大変大事なことだと私は思っております。
 少なくとも人の命を、いわゆる過剰防衛とか過失によってあやめたのではなくて、故意に、意図的に、確信犯として人を殺すということは、やはりこれはしかるべき罰が与えられて当然なんであって、現行法においては、いわゆる十四歳、十五歳というのは全くその対象になっておりませんから、いかな重大犯罪を犯そうともそれは全く対象にならぬというような状況というのではいかがなものかということであります。
 また、アメリカの点に御指摘もありましたけれども、アメリカも確かに、十七歳を十八歳に引き上げたりしているという点も見れば、そこだけを見れば確かかもしれませんが、その他の法改正につきましては、一九九三年以降、いわゆる重大、殺人以外の犯罪に関しても十歳以上に引き下げたりしておりますので、そういった意味では、いろいろなところで少し状況が、いろいろなものを考えてやっておられるところだと思いますが、アメリカの場合も試行錯誤の最中であろうと思っております。
 ただ、凶悪な点につきましては、NRA、ナショナル・ライフル・アソシエーションと思いますけれども、全米ライフル協会という巨大な協会がありまして、これが銃規制に反対の団体としては多分一番のものだと思いますが、ここら等々の関係から、アメリカにおきましては、銃というものに関する規制に関してはなかなか日本とは意見が違います。こちらは豊臣秀吉以来の刀狩りの歴史ですけれども、向こうはとにかく駅馬車初めすべて自分のことは自分で守るという歴史で、背景が全く違いますので、そういった歴史的な背景を含めましてこの問題は検討されねばならぬところだと思います。
 御指摘のように、法律ができたことによって直ちにとは思いませんけれども、しかしこれは重大な一助になることだけは間違いない、そう思っております。
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佐々木秀典#27
○佐々木(秀)委員 麻生議員の御説明、非常に共感する部分はたくさんあるんです。
 ただ、最後の、私がお尋ねしている結論のところで、なぜ急ぐのかということについて、おっしゃるように、これが一助となるものであっても全部ではないとすれば、それじゃ急ぐ必要はないんじゃないの、むしろ、このことを契機にしてみんなで考える、慎重にやっていく、討議を深め広めていくということの方がずっと意義あることではないのかと私は思うものですから、そうお慌てになる必要はないのではないだろうかということを申し上げているわけなんですけれども、それについては共感されましょうか。
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麻生太郎#28
○麻生議員 ふだんの生活態度を改めたら直ちに成績が上がるかといえば、なかなか子供の勉強もさようなわけにいかないのと同じで、直ちにあれが出るとは思いませんけれども、少なくとも、こういった規範を大事にするという意識というものは、子供にとってはきちんとした、おっという感じは出るだろうと思います。これは、今までとは少し違ったなという状況だけははっきりすると思いますので、直ちに、ほら見ろ、こんな効果がということを申し上げることはできないと思いますけれども、少なくとも、こういったものをやれば、社会環境が悪かった、家庭環境が悪いためにこういうぐあいになったという子はきっといっぱいいるんだと思います。しかし同時に、そういった家庭環境でもまともにやっている子がいることも確かであって、まともにやっている子供の方が被害に遭っていてというような状況が今のままで置いておかれるという状態はいかがなものかということから、これが多分世論の共感を得ている背景だと思いますので、私としては、これは急がれるべき問題だと思っております。
    〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
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佐々木秀典#29
○佐々木(秀)委員 私は、子供たちにしても、規範意識がないとさっきおっしゃるけれども、何がよくて何が悪いかということぐらいはわかっていると思うんです。人の物を黙ってとってきたら悪いということはわかるんです、小さな子供だって。まして、人の命をとることがいいことじゃない、これは責められるべきことだってわかっていると思うんです。わかっているけれどもやるんですよ。大人だってそうじゃないですか。
 死刑廃止論があります。死刑を廃止したら、そうしたらもっと殺人罪がふえるのか、あるいは死刑があることによって殺人が抑止されているのか、そうじゃないでしょう。人を殺したら自分も死刑になるということは単純な理屈で、みんなわかっているんですよ。それはケース、ケースで、人を殺したって死刑にならないで無期以下の懲役で済むという場合だってある。それにしたって、少なくとも正当防衛だとかそういうことでなければ、理屈がなければ、殺人をすればその報復として現在の刑法上死刑という処罰があることはみんな知っているんですよ。知っていてもやっているじゃないですか。殺人罪は減らないんですよ。
 子供だって同じことなんですよ。殊に、今の子供は大人以上に複雑だというのは、議員も御指摘のように、さまざまな要因がこの社会の現実の中で絡んでいるからだろうと思うんです。御指摘があったように、私はある意味では子供たちは大変不幸な世代に生きているのではないかと思います。
 私は、保岡法務大臣よりもやや年も上ですけれども、保岡大臣も少年時代はまだ戦後の時代を経験されたから、あの物なんかの窮乏の時代を覚えていらっしゃると思う。私などは、小学校時代は戦争中でした。戦争が終わってから新しい中学の制度になりました。何にもなかったですよ。教育の環境だってないんですから。だってそうでしょう、中学になっていきなり英語を教えられるようになったんだけれども、英語の先生がいないんですから。ついさっきまで英語なんていうのは敵性語だったんですからね。教える人がいないんです。そして物がないんです。
 僕は、ある意味ではそれが幸せだったと思っているんですよ。物がないから、それは貧富の差というものを子供たちの間で余り感じられなかった。もちろん、そんな中でも金持ちの子供と貧乏人の子供なんていたわけですけれども、物がない。例えば、私は北海道ですけれども、ゴム長なんというのは必需品なんですけれども、それがみんな買えないんですから、店でも売っていないし。学校で配給なんですよ。一クラスに何足ということで来るんですね。それで抽せんなんですから。お金出したって買えないんですから、当たらないと。そういう平等性があったんですよ。
 それで、食い物だって何だってなかった。だから、みんなで分け合ったんですね。そういう連帯感がその当時はあったと私は思うんです。来週もその当時の中学の仲間で同期会をやるんですけれども、私なんかは、集まると、ないもの同士の連帯感ということを言うんですけれども、そういう連帯感みたいなものが今の子供たちにはないんじゃないでしょうか。余りにも物が満ちあふれていますね。そして、お金がなくても物が手に入るような仕組みになっていますね。ローンなんという制度も私は決して好ましいものではないと思っているんです。モラルハザード、これは法務大臣がよく言われることだけれども、これが欠けるんですね。大会社が次から次からここのところ火だるまになっていますけれども、そごうなんかもそうですね、銀行もそうですね。何千億という金を債権放棄しろとか、まことに無責任な状態でしょう。
 こういうことが横行している中で、金さえあれば何でも物が手に入るというような状況の中で、子供たちは、何が大事で、何がとうといもので何がそうでないのかというような価値観についても、なかなかしっかりと理解し切れないという状況がそこにあるんじゃないかと私は思うのです。
 子供たちの異常な犯罪が指摘されますけれども、大人だって異常な犯罪が随分起きているんじゃないですか。保険金詐欺などというのはひどいじゃないですか。自分の親しい人に保険を掛け、あるいは自分の会社の社員に保険金を掛け、それを殺すなんという、こんな殺人のタイプだって昔は考えられなかったのじゃないですか。ここのところ、子供の親殺しもありますけれども、逆に、親が子供をせっかんして責め殺しちゃったというのもありますね。
 事ほどさように、子供だけが異常なんじゃないでしょう。大人の社会が異常だから、子供も異常になっているんじゃないですか。そうだとすると、子供たちの少年非行だとか少年犯罪防止のために一番心すべきことは、大人社会をきちんとすることじゃないですか。政治家だってそうじゃないですか。随分ここのところ不祥事件があります。残念ながら私の党でもちょっとありましたけれども。
 総じて、私は、今二十一世紀を前にして、日本の社会というのはいろいろな意味で総点検の時期に来ているんじゃないだろうかと思うのですよ。それこそ大臣言われるように、あるべき日本というのはどういう国なのか。その中で、国民というのは何を生きがいとしていくのか。自分一人で生きているんじゃない。他人と一緒に共生し、あるいは自然と共生し、物を大事にし、自然を大事にしていくということがどんなに大事なのかということを子供たちにわからせるためには、まず大人が手本を示さないとどうにもならぬじゃないですか。私は、子供は大人の鏡だと思いますよ。大人の方がきちんとならなくて、どうして子供だけ責めることができるんですか。
 まして、こういう手続を改正して、法律を改正して、処罰可能の年齢を引き下げたからといって、それが他の子供たちにとって見せしめになると私はとても思えないし、法務大臣が主張されるような規範意識を醸成するようなことになるとも思えない。そのためにはもっともっと本当にあらゆる意味での総合的な対策が必要なのであって、少年法の改正などというのは、私はその一角にすぎないと思っております。
 それだけに、決してこれを早く仕上げなければならないということに性急になるべきじゃない。むしろ、この議論を深めて、みんなであるべき姿を求め、少年法にしても、どういうような姿が一番いいのかということを考えていく。そういう意味で、私どもとしても、改正に絶対反対というのではありませんけれども、よい改正をしたい、そのためには本当に慎重であってほしい、こう願っているから申し上げているんだということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
 次ですけれども、これも提案者にお伺いをしたいと思います。
 私が今手にしているのは「法学セミナー」という雑誌の十一月号ですけれども、ここに、神戸の家庭裁判所で現に少年事件に非常に一生懸命に取り組んでおられる井垣康弘判事が論考を寄せておられます。この中で、井垣判事は、この少年法改正に絡んで、厳罰化の方向に向かう法改正というのは、その中でも特にいわゆる原則逆送は少年の心を萎縮させ、かえって少年犯罪を増加せしめることになるのではないかということを指摘しておられます。
 具体的に申し上げますと、セミナーの六十二ページですけれども、「厳罰化方向での法改正により、」「検察官から「原則逆送」の法令に違反するとして抗告受理の申立がなされ、破棄差し戻しされたら、少年担当の裁判官や調査官は落ち込む。」「少年事件担当裁判官は、やがて原則逆送のケースについては、調査命令を出さず、捜査記録を読んだだけで逆送を決意し、その言い渡しをする運用になると考えられる。」つまり、調査について、従来一生懸命やっていたけれども、今度はどうせ逆送になるんだからそっちへ任せちゃうしかないというので、自分らは調査をしないでそっちに送っちゃう、こういうわけですね。これを、自分の実体験の上から述べられているんだと私は思いますよ。決して観念的なものじゃないと思うんです。
 その上で、「調査官の実務能力はやせ細り、間もなく家庭裁判所への信頼は低下していくとともに、次代を担う少年たちに対するわが国の教育力も低下し、世界一安全な国から犯罪大国へ向かって確実に歩み始めるだろう。」ということで警鐘を鳴らしておられます。
 また、別に、「自由と正義」、これは日本弁護士連合会の雑誌でありますけれども、この中で、やはり少年事件を数多くやられ、また少年犯罪の被害者の権利救済の仕事もなさっておられる児玉勇二という弁護士が、自分の経験からしても、今度の改正案にあらわれているようないわゆる必罰化あるいはそれによって管理を強めていくというやり方では、加害少年のゆがんだ気持ちをますますゆがめて、再犯防止にはつながらない、むしろそれを助長するようなことになるのじゃないかということを心配しておられるわけでありますけれども、こうしたことについて、提案者としてはどういうようにお考えになっておられるのか、お聞きをしたいと思います。
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