法務委員会

2005-07-21 参議院 全190発言

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会議録情報#0
平成十七年七月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十八日
    辞任         補欠選任
     大久保 勉君     江田 五月君
 六月二十九日
    辞任         補欠選任
     野村 哲郎君     尾辻 秀久君
 七月十九日
    辞任         補欠選任
     鶴保 庸介君     中村 博彦君
 七月二十日
    辞任         補欠選任
     中村 博彦君     鶴保 庸介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   園尾 隆司君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大谷 直人君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   山崎  恒君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       内閣官房司法制
       度改革推進室長  本田 守弘君
       内閣府大臣官房
       審議官      山田  宏君
       金融庁総務企画
       局審議官     中江 公人君
       金融庁総務企画
       局審議官     大藤 俊行君
       法務大臣官房司
       法法制部長    倉吉  敬君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       法務省保護局長  麻生 光洋君
       法務省入国管理
       局長       三浦 正晴君
       公安調査庁長官  大泉 隆史君
       厚生労働大臣官
       房審議官     新島 良夫君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    塩田 幸雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (テロリズムへの対応に関する件)
 (政府広報制作資料の表現に関する件)
 (選択的夫婦別氏制度の導入に関する件)
 (貸金業利用者の保護に関する件)
 (難民政策に関する件)
 (心神喪失者等医療観察法の施行に関する件)
 (住宅リフォームの悪質商法対策に関する件)
 (成年後見制度に関する件)
 (裁判員制度に関する件)
 (犯罪収益の没収による被害者対策に関する件
 )
    ─────────────
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渡辺孝男#1
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六月二十八日、大久保勉君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。
 また、去る六月二十九日、野村哲郎君が委員を辞任され、その補欠として尾辻秀久君が選任されました。
    ─────────────
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渡辺孝男#2
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に内閣官房司法制度改革推進室長本田守弘君、内閣府大臣官房審議官山田宏君、金融庁総務企画局審議官中江公人君、金融庁総務企画局審議官大藤俊行君、法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省保護局長麻生光洋君、法務省入国管理局長三浦正晴君、公安調査庁長官大泉隆史君、厚生労働大臣官房審議官新島良夫君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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渡辺孝男#3
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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渡辺孝男#4
○委員長(渡辺孝男君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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吉田博美#5
○吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。
 まず、質疑に先立ちまして、去る七月七日、ロンドンでの爆破テロ事件におきましての、尊い人命を失われた皆様方に心から御冥福をお祈り申し上げます。また、負傷されました皆様方に心からお見舞いを申し上げるところでございます。
 私たちの国は、戦後、非常に厳しい経済状況の中から先人の皆さん方が大変な努力をされまして、今や世界第二位のGDP、一人当たりの国民所得もルクセンブルク、スイス、ノルウェーに次いで世界第四位だと言われる。しかし、これが本当にその豊かさを感じるかと、いろいろな中で感じておりますけれども、スイスにおきまして、IMD、国際経営開発研究所というのがございまして、これが世界の四十九か国の先進国の国際競争ランキングというのを出しておりまして、これも二年前の統計でございますが、そうしますと、それが、第一位がアメリカ、第二位がフィンランド、三位がルクセンブルク、四位がオランダ、五位がシンガポール、六位がデンマーク、七位がスイス、八位がカナダなんです。じゃ、極東アジアの我々の国はどうなっているかと。二十四位が台湾で、二十七位が韓国、日本は三十位なんですよね。このことは確かに、GDPあるいは国民総生産高あるいは一人当たりの国民所得、それだけで豊かさを感じるのかといったときに、社会資本の整備もありますでしょうし、福祉の問題、教育の問題、環境の問題、あらゆるものも含めた中であるわけでありますが。
 果たして、私どもの国、かつてのように、どんな夜中でも女性が独り歩きできたような治安の安定した国だと言われておりました。しかし、急激な国際化の中で外国人の人も増えて、外国人が増えたから悪いというわけじゃございませんが、外国人による犯罪も増えてまいりました。また、青少年の凶悪犯罪も増えてまいりました。そうした中で、治安というものがどのようなIMDで評価をされているのかとも思いつつ、今日は大臣を始め関係各位に国内のテロ対策並びに治安問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 ロンドンでの地下鉄やバスをねらった同時多発テロが発生をいたしましたが、このようなテロ行為が我が国において起こる可能性について大臣の御所見を賜りたいと思います。
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南野知惠子#6
○国務大臣(南野知惠子君) 今議員おっしゃられましたように、本当にテロは許されるべきものではないというふうに思いますし、ロンドンに起きました、命をなくされた方々の御冥福を祈ると同時に、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈りしたいと思っております。
 特に、我が国は世界一安全な国日本を目指していると。そういうところであるにもかかわらず、今先生の御質問に対してお答えをしなければならないということでございますが、その点につきましては、テロ組織の動向というものを見てまいりますと、一つには、我が国は米国の主要同盟国であり、国際社会と協調してテロとの戦いに取り組んでいる、これは一つの事実でございます。また、アルカイダやその関連組織が我が国を再三テロの対象国に指名していると。今回のロンドンでのテロ事件を含めまして、名指しされております米国の主要同盟国がテロの攻撃を実際受けているということも、これも事実であろうかと思います。さらにまた、アルカイダとの関係を疑われる者が我が国への不法入国を繰り返しており、相当期間潜伏したということも、これはあったということでございます。
 そういう状況などから、国際テロの脅威が我が国にとって現実の脅威となっているということを改めて強く認識し、これに対応することが重要というふうに考えております。
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吉田博美#7
○吉田博美君 戦争の場合はそれでも宣戦布告もありますが、テロの場合はいつ起こるか分からないわけでありまして、そして、今、アラブの皆さん方というのはもうすべてそのような顔をしておられるだけで疑われるということで、非常にその人たちの気持ちになったら大変なことだと、善良な人たちの方が多いわけでありますから。そうした中で、いかに情報をきちっとキャッチすることが大事なのではないかと思います。
 実は、私は、今から三十四年前でございますか、ロンドンにちょっと勉強に行かせていただいておりました。その折に、ちょうど岡本公三のテルアビブの事件がありました。日本人の顔を見ると何かやるんじゃないかなというような厳しい状況がありました。私みたいな善良な市民でもそう思われるわけでありますので、そうしたことの中で、いずれにいたしましても、いかに情報をきちっと的確にキャッチして未然に防ぐかということが大事ではないかと思います。
 そこで、我が国においてテロを未然に防止するために公安調査庁ではどのように対応し、対策を講じていられるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
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大泉隆史#8
○政府参考人(大泉隆史君) お答え申し上げます。
 公安調査庁におきましては、先生御指摘のようなテロの未然防止ということが私どもにとって今最重要の課題であると認識いたしまして、国際テロ特別調査本部を設置いたしますとともに、国際テロ対策専従部門というものを新設して、国内外における国際テロ関連情報の収集・分析体制を強化しているところでございます。平成十七年度予算におきましても定員の増加をこの関係で認めていただいており、そういうこともございまして、この点に最大限の力を注いでいるというところでございます。
 また、もう一つ、昨年十二月に決定されました政府のテロの未然防止に関する行動計画、この策定に当たりましても私どもとして積極的に取り組み、また、現在、その推進に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。
 それから、先般のロンドンにおけるテロに関しまして、事件発生後に緊急調査室を設置しまして、国内外の関係諸機関、とりわけイギリスの機関との協力体制を一層強化しておるところでございます。
 また、現在、更に具体的に申し上げますと、今後とも、私どもとしては、外交機関との連携、情報交換を緊密に行うなどしてテロ動向把握に努めるとともに、国内におきましても国際テロとのかかわりが疑われる人物や組織の有無、その動きなどに関する情報の収集、調査活動の強化を図りまして、我が国におけるテロの未然防止に全力を傾注していきたいと考えております。
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吉田博美#9
○吉田博美君 どちらかというと、スペインの場合は他の国と地続きでありますよね。ですから、テロが比較的出入りが簡単であると。ところが、イギリスの場合はちょうど日本と同じように島国でありますから、他国との境界がないわけでありますから、意外と未然の防止ができるんじゃないかなというような、私どももその気持ちでおりましたところ、日本も全く同じような条件でありますから、とにかく一番、あれは顔色が違うとか、顔立ち、まあ人種が違うと言ったら失礼でありますが、そういうような部分の中で比較的分かりやすいんじゃないかと言われているわけでありますが、テロ対策として重要な点は、やはりテロリストを我が国に入国させないことだと考えますが、我が国の入国管理体制での具体的な取組はどのようになっているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
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三浦正晴#10
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 テロ対策は我が国の治安対策における最重要課題の一つであるというふうに考えております。入国管理局といたしましては、我が国におけるテロを未然にかつ確実に防ぐために、警察庁を始めとした関係機関との連携を密にし、出入国管理の徹底を図っておるところでございます。それにより水際でのテロ対策に万全を期すよう努めておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、テロリストに関する情報の収集に努めますとともに、テロリストは偽変造旅券を行使して不法に入国を企てることが多いと考えられますことから、成田空港を始めとする主要空港などに偽変造文書鑑識システムを配備しますとともに、各空港の審査ブースにも小型の鑑識機器を配備するなどしておりまして、偽変造文書発見のための対策を強化しておるところでございます。
 また、本年の四月以降、外国の空港へ入管の職員を派遣いたしまして、外国人旅行者が上陸のための要件に適合しているかどうかを本邦に到着する前に確認する出発地における事前確認方式、これはプレクリアランスと呼んでおりますが、こういったものですとか、国内の主要空港におきまして上陸審査ブースで入国目的などに疑いがある場合、別室に通しまして慎重に審査を行うという二次的な審査、セカンダリー審査と呼んでおりますが、こういった新たな審査方法を導入するなどいたしまして上陸審査の厳格化を図り、テロ対策に取り組んでいるところでございます。
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吉田博美#11
○吉田博美君 最近、偽造旅券で成り済ましというのがあるんですけれども、実は私も苦い経験がございまして、というのは、今からまあ四十年近く、実質には三十九年前でございますが、私が国会議員の秘書をしている当時に、私の父が友人と数名でフィリピンにゴルフに行きまして、そして入国をするときに詐欺師だということで拘束されまして、正直な話、それでほかの人たちは皆ゴルフ終わって帰ってきたんですけれども、私の父だけが帰ってこれなくなって、友人の人たちの何人かホテルに監禁状態になりました。同姓同名で、しかも父の旅券を偽造していたんじゃないかということで、これは大変なことでありまして、それで私たまたま秘書という立場でありましたので、外務省の方に何度も行きまして、この吉田定男さんってどういう人ですかと、恥ずかしいけど私の父でございますなんと言いまして、それで十日ぐらいたってようやく詐欺師吉田というのを帰していただいたんですけれども、まあ別人でありまして、結局、そんな中で自分の経験があるわけでありますが、偽造旅券等が、詐欺が悪質巧妙化する中で、最近、先ほど申し上げました成り済まし事件が多発していると聞いておりますが、その実態と背景はどのようになっているのでしょうか。
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三浦正晴#12
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 委員御指摘ございました成り済ましの事案と申しますのは、他人の名義の旅券を使いまして、旅券の名義人に成り済まして我が国に不法出入国を図ると、こういうケースでございます。
 これにつきまして、この成り済まし事案につきまして、成田空港、関西空港、両空港での発見の件数の推移を若干御紹介いたしますと、両空港で平成十二年には三十四件の発見数でございましたが、平成十六年には三百十四件というふうに十倍近くに増加しておるわけでございます。これらの成り済まし事案が、平成十六年の偽変造旅券行使を含む旅券の不正な使用件数、トータルの九百九十四件に占める割合は約三二%ということになっております。また、この中で二百八十四件は上陸審査時に行使された事案でございまして、不法入国の大きな手段の一つとなっているわけでございます。
 成り済ましにつきましては、発給国、旅券の発給国の政府が正式に発給しました真正な旅券でございます。これに何ら手を加えることなく、旅券の名義人の写真に極めて似せた顔型ですとか風貌に所持人をするというために整形手術などを施すというようなケースもございますことから、文書鑑識機器の利用によりましても偽変造の痕跡が全く見いだせないと、こういうことでございまして、大変偽変造に比べましても入国審査官を欺きやすいというふうにどうも思われていることがこのような増加の背景になっているんではないかというふうに分析しているところでございます。
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吉田博美#13
○吉田博美君 そこで、偽造旅券等の対策の一環として、バンコク国際空港に入管職員を派遣し、出発時における偽造文書等の鑑識業務を体験させたとのことでございますが、その成果についてお聞かせいただけますでしょうか。
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三浦正晴#14
○政府参考人(三浦正晴君) 本年の四月一日から六月の末まで三か月間でございますが、文書鑑識技術に優れた我が国の入管職員一名をタイ王国に派遣いたしまして、バンコクの国際空港に駐在しております世界各国の偽変造文書鑑識専門家で構成された専門家チームに参加させまして、そこで鑑識業務を通じて不正文書行使者の発見等に努めたわけでございます。
 その具体的な役割でございますけれども、バンコク国際空港におきまして、航空会社からの依頼によりまして、偽変造ではないかと疑われる旅券等の鑑識を行いまして、その鑑識結果に基づきまして航空会社の職員に対してアドバイスを行う、こういった仕事をしていたわけでございます。
 この派遣期間中に偽変造文書を確認するなどしまして、合計で我が国から派遣した職員が百六名の搭乗、航空機への搭乗を阻止するという成果を上げることができたわけでございます。
 なお、この三か月間におきます世界各国から集まりましたチーム全体での搭乗阻止者総数でございますが、これが三百十四名でございますので、各国とも複数の専門家を派遣している中で、我が国から派遣した職員は一人であったにもかかわらず、全体の約三四%を占めるという成果を上げたものでございまして、非常に良い結果であったというふうに思っておるところでございます。
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吉田博美#15
○吉田博美君 大臣、そこで、世界各国でIC旅券の導入が進められておりまして、米国では、外国人入国者に対し、私もされたんです、指紋押捺を求めて、ブラックリストとの照合等厳格な水際管理が図られておりますが、一方ヨーロッパ諸国では、一般渡航者について出入国審査の自動化、簡素化が実施されております。
 我が国は、こうした諸外国の動向を踏まえて、今後どのような方向性を持って出入国管理体制を構築されるお考えなんでしょうか。大臣、お聞かせいただけますでしょうか。
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南野知惠子#16
○国務大臣(南野知惠子君) 内閣官房を中心に関係府省で構成される連絡会議におきましては、現在、バイオメトリックスが記録されたIC旅券やICカード、それの活用方策について、制度、技術両面での検討が進められております。この場合におきましても、テロ犯罪の水際防止対策という安全性の確保の課題だけではなく、渡航者に対する、より迅速円滑な出入国審査という利便性の向上の課題に対してもどのように取り組んでいくかということについての議論も行われております。
 法務省といたしましては、こうした議論の成果や諸外国の動向も踏まえました上に、バイオメトリックスを活用したテロリストや不法滞在を目的とした者などの入国を阻止するために厳格な水際管理を行う一方、問題のない渡航者については、出入国管理を簡素化、迅速化して、円滑な手続を行う構想について実用化を図るなどの制度設計を進めてまいりたいと考えております。
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吉田博美#17
○吉田博美君 次に、国内治安対策についてお伺いしますが、来日外国人の犯罪が最近特に増えていると言われておりまして、決して一国だけをするんじゃなくて、例として中国人による犯罪についての現況についてお聞かせいただけますでしょうか。
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大林宏#18
○政府参考人(大林宏君) 御指摘のとおり、近時、来日外国人による犯罪が増加し続けておりまして、その検挙件数は、平成元年の約五千七百件から、平成十六年には約四万七千件と八倍以上となり、これに伴って検察庁における通常受理人員数も増加しております。罪名としては、入管法違反のほか、窃盗罪や薬物事犯などが多数を占めているところでありますが、これら犯罪につきましては、その組織化や広域化が進むなど、我が国治安の悪化の要因として極めて憂慮すべき状況にございます。
 中でも中国人による犯罪は、平成十六年の来日外国人犯罪の通常受理人員の四割以上を占め、特に強盗、強盗致死傷、強盗強姦等の凶悪重大犯罪において中国人が占める割合が高い状況にあります。
 法務・検察におきましても、外国を含む関係諸機関との連携を図り、事案を解明し、厳正な科刑を実現して犯罪の防圧に努めることが必要であると考えております。
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吉田博美#19
○吉田博美君 また次に、暴力団犯罪を始めとする組織犯罪について、最近の動向についてお伺いいたしたいと思います。
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大林宏#20
○政府参考人(大林宏君) 最近の組織犯罪による不法活動は多岐にわたっておりますが、まず、暴力団は、一般市民に対する傷害、恐喝等の粗暴凶悪事犯や銃器を用いた対立抗争事犯等により、依然として社会に対する大きな脅威となっておりまして、検察庁における暴力団関係者の通常受理人員数は近年増加傾向にあって、平成十一年以降で見ますと、平成十一年の約八千人から、平成十六年には約一割増加した約九千人となっております。
 また、暴力団は、その資金獲得手段をますます多様化させており、従来からの規制薬物の密輸入、密売、恐喝、賭博等の事犯に加え、正当な事業活動を仮装しながら建設業等の各種事業活動へ参入して巧妙に資金獲得活動を行うほか、最近はいわゆるやみ金融、振り込め詐欺等を組織的に敢行し、莫大な不法収益を上げているという現状にあります。特に、最近では暴力団関係者による詐欺事犯が増加しており、検察庁における通常受理人員数は平成十一年以降約四割程度増加しております。
 また、外国人犯罪は共犯形態で敢行される傾向が強く、規制薬物の密輸入、密売事犯、カードの不正使用事犯、住居等侵入強窃盗、強盗致死傷事犯等、各種の悪質凶悪事犯を敢行し、一般市民の生命、身体、財産等に重大な危害を加えており、その更なる組織化が懸念されるところでございます。
 これらの犯罪組織は、外国に居住する犯罪組織等とも連携して犯罪に及ぶことが少なくなく、事犯の多様化、国際化の傾向が顕著で、国民生活の安全と平穏に対して重大な脅威を及ぼしていると考えられるところでございまして、法務省としてもその動向に重大な関心を抱いております。
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吉田博美#21
○吉田博美君 そこで、暴力団犯罪を始めとする組織犯罪に対してどのように対処していかれるのですか。その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
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大林宏#22
○政府参考人(大林宏君) 今申し上げたとおり、暴力団犯罪を始めとする組織犯罪が市民生活の安全と平穏を脅かしているという現状にございます。このような状況の中、検察においては、警察等関係機関と連携しつつ、組織的な犯罪に対する処罰の強化や犯罪収益についての規制の強化を内容とする組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を始めとする各種関係法令を積極的に適用し、あらゆる捜査手法を駆使して犯罪組織の中枢に迫る捜査を行い、厳正な科刑の実現や犯罪収益の剥奪の徹底を図るなどして組織犯罪に対し厳正に対処しているものと承知しております。
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吉田博美#23
○吉田博美君 意欲は分かるんですけど、その割には司法関係者が少ないというのが現状じゃないかと思うんですよ。治安情勢の悪化に対処するためには検察における人的、物的な体制整備を図らなければならないと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。
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南野知惠子#24
○国務大臣(南野知惠子君) 近時、殺人などの凶悪事件や又は来日外国人の犯罪又は組織犯罪等が、我が国の治安を根底から揺るがしかねない犯罪が多発しておりますけれども、刑事司法を担う検察におきましては、犯罪情勢の変化と社会の要請等に対応し得るよう、絶えずその体制等を点検し、各種犯罪の真相解明と適正な科刑の実現に向けまして適切な捜査、公判活動を実施するための要員及び経費等を充実させるなどの方策を講じております。
 今後とも、関係省庁とも御相談しながら、必要とされる要員及び経費の確保等を通じて検察体制の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。
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吉田博美#25
○吉田博美君 最近、おれおれ詐欺だとか振り込め詐欺だとか、いろんなことがありまして、その被害者の皆さん方は非常に甚大な被害を受けられているけど、ほとんど泣き寝入りのような状況なんですよね。そんな中で、本日、法制審議会において、財産犯等の犯罪収益を剥奪し、これを被害回復に充てるための法整備に関する諮問がなされると承知しておりますが、そのような法整備をする意義について大臣にお伺いいたしたいと思います。
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南野知惠子#26
○国務大臣(南野知惠子君) 今先生がお話しになられました財産犯等によって被害者から得た犯罪被害財産を犯人から剥奪してしまうと被害者の犯人に対する損害賠償請求権などの司法上の請求権の実現を妨げるおそれがありますことから、組織的犯罪処罰法は犯罪被害財産の没収又はその価額の追徴はできないこととしております。
 しかし、例えば犯罪が暴力団等により組織的に行われた事案では、被害者が損害賠償請求権などの行使をためらったり、また犯人が犯罪被害財産を仮装、隠匿させたような場合は適切な者に損害賠償請求権などを行使することが困難であることが考えられ、このような場合には結果として犯罪被害財産を犯人の手元に残してしまい、それが犯罪組織の維持拡大や将来の犯罪活動に再投資されるおそれがございます。実際にも、例えばいわゆる五菱会事件等におきましても同様の問題が指摘されているところでございます。
 そこで、このような場合には、犯罪収益である犯罪被害財産等の剥奪を可能にして、これを被害者の被害回復に充てるべく、犯罪被害財産等の没収、追徴を可能とした上で、検察官におきまして、被害者からの申請に基づき没収、徴収した財産から個々の被害額に応じて給付金を支給することができるようにするための法整備を検討いたし、本日、法制審議会にその旨の諮問を行うこととしたものでございます。
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吉田博美#27
○吉田博美君 もう時間が余りないものですからちょっと途中飛ばさしていただきますけど、行刑施設が依然として過剰収容の状態にあると聞いておるわけでありますが、最近の収容実態とその対策についてお伺いいたしたいと思います。
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横田尤孝#28
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 刑務所等の収容人員は、平成十年以降急激な増加が継続しておりまして、特に受刑者等の既決被収容者にありましては、平成十七年五月末現在で約六万六千人、これは収容率にいたしますと約一一二%で、その収容状況は依然として厳しい状況にございます。
 これまで過剰収容状態の解消のために刑務所等の収容棟の増築工事等による収容能力の拡大を図ってまいりまして、平成十六年度末には福島刑務所の新設を含め約三千八百人分の収容棟などが完成いたしましたほか、平成十六年度の補正予算及び本年度予算におきましても、PFI手法を活用した刑務所の整備を含め、刑務所等の収容能力を七千三百人以上増強することとしておりまして、これが完成した暁には過剰収容状態の緩和に大きく役立つものと期待しているところでございます。
 しかしながら、最近の犯罪情勢等からいたしますと、刑務所等の収容状況、収容状態は依然として厳しい状況が続くものと予想されますことから、今後とも収容能力の拡充に努めてまいりたいと考えております。
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吉田博美#29
○吉田博美君 最後に一点だけ御質問させていただきます。
 保護観察中に所在不明になる人はどのくらいいるのでしょうか、それに対し法務省はどのような対策を講じているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
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