農林水産委員会

2015-05-27 衆議院 全150発言

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会議録情報#0
平成二十七年五月二十七日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 江藤  拓君
   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君
   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君
   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君
   理事 松木けんこう君 理事 村岡 敏英君
   理事 石田 祝稔君
      井野 俊郎君    伊東 良孝君
      伊藤信太郎君    池田 道孝君
      石崎  徹君    今枝宗一郎君
      岩田 和親君    金子めぐみ君
      神谷  昇君    鈴木 隼人君
      瀬戸 隆一君    田野瀬太道君
      高木 宏壽君    武部  新君
      津島  淳君    中川 郁子君
      中村 裕之君    中山 展宏君
      西川 公也君    橋本 英教君
      藤丸  敏君    古川  康君
      前川  恵君    宮崎 謙介君
      宮路 拓馬君    森山  裕君
      簗  和生君    山本  拓君
      若狭  勝君    金子 恵美君
      小山 展弘君    佐々木隆博君
      篠原  孝君    福島 伸享君
      井出 庸生君    稲津  久君
      佐藤 英道君    斉藤 和子君
      畠山 和也君    仲里 利信君
    …………………………………
   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君
   農林水産大臣政務官    中川 郁子君
   参考人
   (株式会社小川牧場代表取締役)          小川 惠弘君
   参考人
   (東京農業大学農学部教授)            谷口 信和君
   参考人
   (鈴盛農園代表)     鈴木 啓之君
   参考人
   (龍谷大学農学部教授)  石田 正昭君
   参考人
   (有限会社横浜ファーム代表取締役社長)      笠原 節夫君
   参考人
   (鳥取県農業会議会長)  川上 一郎君
   参考人
   (農業生産法人有限会社新福青果代表取締役社長)  新福 秀秋君
   参考人
   (北海道大学名誉教授)  太田原高昭君
   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君
    —————————————
委員の異動
五月二十七日
 辞任         補欠選任
  今枝宗一郎君     石崎  徹君
  勝沼 栄明君     宮崎 謙介君
  武井 俊輔君     岩田 和親君
  中谷 真一君     鈴木 隼人君
  橋本 英教君     藤丸  敏君
  山本  拓君     高木 宏壽君
  小山 展弘君     篠原  孝君
同日
 辞任         補欠選任
  石崎  徹君     今枝宗一郎君
  岩田 和親君     中山 展宏君
  鈴木 隼人君     津島  淳君
  高木 宏壽君     山本  拓君
  藤丸  敏君     田野瀬太道君
  宮崎 謙介君     金子めぐみ君
  篠原  孝君     小山 展弘君
同日
 辞任         補欠選任
  金子めぐみ君     勝沼 栄明君
  田野瀬太道君     若狭  勝君
  津島  淳君     中谷 真一君
  中山 展宏君     神谷  昇君
同日
 辞任         補欠選任
  神谷  昇君     武井 俊輔君
  若狭  勝君     中村 裕之君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 裕之君     橋本 英教君
同日
 理事松木けんこう君同日理事辞任につき、その補欠として村岡敏英君が理事に当選した。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)
     ————◇—————
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江藤拓#1
○江藤委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事松木けんこう君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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江藤拓#2
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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江藤拓#3
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に村岡敏英君を指名いたします。
     ————◇—————
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江藤拓#4
○江藤委員長 内閣提出、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び岸本周平君外三名提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、午前の参考人として、株式会社小川牧場代表取締役小川惠弘君、東京農業大学農学部教授谷口信和君、鈴盛農園代表鈴木啓之君及び龍谷大学農学部教授石田正昭君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、小川参考人、谷口参考人、鈴木参考人、石田参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、初めに、小川参考人、お願いいたします。
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小川惠弘#5
○小川参考人 おはようございます。群馬から参りました小川です。よろしくお願いいたします。
 初めての機会でありますので、なかなかうまくしゃべれないかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、私の経営概況を説明していきたいというふうに思います。
 私は、今六十一歳でございまして、昭和四十八年に就農いたしました。当時は父親がやっておりまして、酪農、それから野菜、米麦というふうな複合経営でやっておりました。その後、私が入ったということで、昭和五十年に牛舎を新築いたしまして、酪農専業を目指してやってきました。
 その後、酪農の場合ですと、生産調整といいまして、急に、前年の乳量に対して、それ以上出荷してはだめだというふうな、今まで三度ほどそういった経験がありましたけれども、昭和五十五年にそういったことで生産調整がありまして、なかなか収益がふえないというふうなことで、一応、乳肉複合経営というふうなことで、乳牛に生まれた雄牛の肥育を始めました。
 その後、いろいろあったんですけれども、TMRという、要するに群管理の牛の飼養管理が始まりまして、つないで飼っていた牛舎でありましたけれども、フリーストールという、今はもうフリーストール、パーラー搾乳というのは一般的になりましたけれども、それを昭和六十一年に、群馬県下でも五番目か六番目ぐらいの早さで始めたわけです。
 その後、今TPPもいろいろ議論になっておりますけれども、牛肉の輸入自由化というふうなことが始まりまして、乳雄だけではちょっと厳しいのかなというふうなことで、F1、交雑種の肥育を始めたんですけれども、それもやはりなかなか厳しいかなと私自身は思いまして、和牛の受精卵で、乳牛に借り腹をして和牛を生産しようということで、平成九年に、ドナー牛というようなことで、卵取りの和牛を導入したのが和牛繁殖経営のきっかけでございます。
 平成十九年に、いよいよ後継者、長男、次男が入りまして、酪農ですと、やはり二人入ると二百頭ぐらいは最低搾らないとだめだというふうなことがありまして、新たに牛舎をつくって、施設、牛を二百頭導入すると二億円ぐらい、やはり一頭百万ぐらいかかるんですね、今でもそうですけれども。そうすると、二億も借り入れを起こして果たして大丈夫かなというふうなことがありましたので、繁殖和牛の専業経営というふうなことで、平成十九年に酪農をやめて現在に至っている次第でございます。
 二十五年に、個人の経営だったんですけれども、一応株式会社というようなことで、会社を起こしまして今はやっております。
 それから、昨年度、コントラクター、これは、新規需要米の関係のWCSを近くの集落営農の法人につくっていただきまして、その前までは酪農の機械を使いながらやっていたんですけれども、作業期間を長くとったり、面積がふえますとなかなかトラクターでやるのも困難なものですから、昨年、WCSの専用機を購入いたしまして、去年は二十ヘク契約して、私の方でいただいたような状態でございます。
 現在、繁殖和牛は、親牛で百五十頭、年間の子牛販売頭数でおおむね百二十頭ぐらいです。私が始めて以来かなりたっているんですけれども、非常に子牛も相場が高くて、一息ついているんですけれども、今まで子牛の相場が低迷した関係で生産農家が減ったのと、親牛の頭数が減ってなかなか市場に出てくる子牛の頭数が少ない関係でこういった高値が続いているのではないかというふうに思っております。販売金額にして、およそ六千二百万ぐらいの販売代金になっております。
 飼料作物につきましては、イタリアンライグラスとソルゴーという体系で、延べ面積でおよそ十二ヘクぐらいつくっております。ことしのWCSは、やはり米麦農家が、米の値段が低迷したものですから、特に、つくりたいんだけれども、畜産農家の契約がなかなかできないなんという関係がありますけれども、私のところでは、去年の二十ヘクからことしは二十九ヘクに拡大しております。ただ、一台の専用機でありますので、これ以上ふえるとなかなかできない、これ以上ふやすにはもう一台買わなければできないというふうなことなんですけれども、なかなかそういった情勢にもなっておりません。
 簡単に概要を説明させていただきました。
 そして、特に現在の農協の問題点として、今、私が所属しているのはJA佐波伊勢崎といいます。一応、正組合員が七千二百六十九名、准組合員が一万二千八百十五名、合わせて二万八十四名の組合員がおります。
 農畜産物の販売額なんですけれども、昨年、大雪の被害によりまして野菜の関係の販売高が非常に落ちました。例年ですと大体百億円ぐらいの販売だったんですけれども、昨年の実績でいいますと、総額で八十六億です。その中の園芸部門、野菜、これが非常に落ちたわけですけれども、これが五十四億。通常ですと七十億から八十億弱ぐらいまでだったんですけれども、再建がなかなか進まなかった関係等もありまして、五十四億四千万でした。畜産については三十四億。酪農が一番多くて、次に肉牛、養豚というようなことになっております。そのほかに、米等が七億五千万というようなことになっています。
 そうした中で、高齢化なものですから、担い手の育成が進まなくて、なかなか後継者が育たないわけですね。その原因というのは、経営がなかなか安定していないのと、将来の不安があるので、なかなか後継者が育たないというふうなことであります。もっと積極的にJA等も担い手の育成をやっていただければありがたいというふうに思っています。
 それともう一点、やはり職員の関係なんですけれども、金融機関等の指導の関係もあるんでしょうけれども、異動は五年を目安にというふうな指導がありますので、いわゆる営農担当の経験が豊富な職員が頻繁にかわってしまうということで、地域との密着も進まないし、組合員にすると、昔に比べて何か親しみが少ないねなんて言われて、そういった弊害が出ているかというふうに思います。
 それと、農協自体も事業本部制をしいておりますので、営農部門、金融部門、それから生活とか分かれていますけれども、そういった連携をなかなかしていないという弊害が起きております。現場のニーズが、営農で融資等の要望があっても、内部の連携ができていない関係で、補助事業等も末端にまでなかなかつながってこないというふうな問題があろうかと思います。
 それと、これからどんなような農協になってほしいかという私の希望なんですけれども、農業経営というのは、やはり多様な、いろいろな農業があると思うんですね。そうした中で、やはり小規模、高齢化が進んでおりますので、そうした農業者には、今、直売所等が当JAも六カ所あります。そうした中で、そういった高齢者を中心とした、多品目を栽培している農家が非常に励みを持ってやっておりますので、そういったものをより一層進めてほしいというふうに思っております。また、六次産業化なり、加工等も含めてやって、なるべく高付加価値の販売を目指してもらいたいというふうに思っております。
 それと、課題として、大規模農家といいますか、大型の、やはり後継者のいるような農家に対しては、そういった規模の大きい農業経営を農協の方としても目指してもらいたいというふうに思っております。
 ただ、農業法人なり、大きくなりますと、農協離れが進んでおりまして、実際は、大きくなると農協から離れていっちゃうという実態もあります。これは、やはり農協がそういったニーズをなかなかつかみ切れていない。ですから、やはりそういった大きな農家、担い手のいる農家の要望を受けとめて、そういった人たちにも応えられるような農協になってほしいというふうに思っております。
 それと、やはり当然、生産原価等を下げるためには、生産資材をもっと安くするというふうなこともしてもらいたいと思います。
 それと、今、中間管理機構によって、農地の集積などもこれからの課題としてあると思いますけれども、そういった農地の集積によって効率的な農業経営を行えるようサポートしていただければありがたいというふうに思っております。
 それから、販売の部分でいいますと、野菜等で価格変動が激しいものですから、経営の安定がなかなかできないわけですね。やはり、加工等も含めた中で、契約栽培等、そういったものを推進することによって、販売価格を安定することが大きな農家を育てるというふうなことになっていくとは思います。
 それと、地元の商工業者等、商工会なり商工会議所と農協との連携がなかなか進んでいないのが現状であります。六次産業化なり、そういった面からすると、商工会議所との連携を図り、地域の活性化に進んでいくような方向でやってもらいたいというふうに思っております。やはり地元の、餅は餅屋ではありませんけれども、得意な分野はそういった人たちにやってもらいたいというふうに思っております。
 それから、連合会、特に全農等に対する要望なんですけれども、加工施設それから流通面をこれから連携していく必要があるわけですけれども、単位農協ですと、なかなか投資額が大きくて、それと、通年でそういったものを供給するということを考えると、温度差を利用したリレー栽培等をすることによって施設の稼働率を上げるというふうな面で、全農等に対してはそういった面で期待をしているわけです。
 中央会は、監査等では実績があるんですけれども、身内の監査みたいなことに意外となりがちで、監査報告は出ているんですけれども、強制性がないものですから、なかなかその辺の徹底ができていないような気が私はしております。
 これからの農協改革に対して特に期待することは、役員の経営者としての意識改革、やはり農協であっても、時代に対応した、いろいろな流れがありますけれども、そういった情報を集めながら、経営者として、一般の会社の経営者と同じように経営感覚を持ってやってもらいたい。
 職員は、やはり基本的には組合員のための職員ということでありますので、そういった組合員を中心とした運営を手がけるように、何かといいますと組合組織の、農協組織のための、そういった職員もまだ若干おりますので、そういった面で改善をしていただきたい。
 それと、組合員については、やはり個々の農業経営者でありますので、確立するということは当然でありますけれども、やはり今、地域連携なり地域活性化のためには、個々の経営だけじゃなくて、いろいろな経営を含めた中で連携をとって、地域として農業を振興し、また、いろいろな他産業とも連携しながらやっていくという気持ちになっていかないと、これからの農協は変わっていかないというふうに思っております。
 以上が私の意見でございます。拍手
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江藤拓#6
○江藤委員長 ありがとうございました。
 次に、谷口参考人、お願いいたします。
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谷口信和#7
○谷口参考人 ただいま御紹介いただきました谷口です。
 きょうは、日本の農業の今後のあり方を大きく左右する農協関連の法案についての参考人ということで呼ばれましたことを大変光栄に思っております。
 この後の参考人の中に、二名ほど私と同じように大学の教師をしている方が入っていますけれども、二人とも農協問題の専門家、農協そのものの研究者であります。私も同じようなことで、農協について深い関心を持って研究はしておりますけれども、三人が似たような話をしても余り役に立たないなというふうに思いましたので、私としては、今の日本農業のそもそもの問題は何なのか、その中で農協はどういう役割を果たすのかという視点から話してみたいというふうに思います。
 お配りしてありますレジュメに即しまして、かいつまんで話したいと思います。量が多いわけで、全部話していると多分時間が足りませんので、要約いたします。
 まず、大きな枠組みは、現在の農政改革をめぐる全体像、これと農協改革の位置というものを少しはっきりしてみたいと思います。どういう意味で農協改革が必要なのか、あるいはしなきゃいけないのかということだと思います。その上で、二番目に、農協改革の個々の論点について私なりの考え方を、一番で述べた大きな枠組みの視点から述べてみたいというふうに思います。
 現在の日本農政が直面する課題の構図というのを図に示しました。これは、多様な担い手との関係であります。
 私が強調したいことは、この四つの枠組み、四方にある四つの枠組みの問題が、それぞれ個別に扱われて、農水省の事業で既に取り組まれております。大事な点は、個々の課題を個々に取り扱うのではなくて、これをまとめて、束ねて取り扱うことが今求められている、そのことを抜きにしては現場の問題が片づかないということが私は重要だというふうに思います。
 具体的には、耕作放棄地があり、この耕作放棄地の再生、復旧、活用ということを通じて新規就農者というものを結びつけていくことが大事だと思います。
 同時に、新規就農者は、系統出荷という枠組みの中だけでは、必ずしもみずからの成果を実現できる場というのは得られない可能性があります。そういう中では、直売所といったものも活用する。つまり、販路として、従来の市場出荷、系統出荷という枠組みだけではなくて、地産地消ということをベースにした直売所をも重視した体系に持っていかなきゃいけないだろうというふうに思います。
 大事な点は、直売所というと、従来、高齢者、女性、小規模、つまりプロフェッショナルでない生産者のための組織というふうに認識されておりますけれども、これはもう実態を踏まえない古い議論だというふうに私は考えております。全国全てというわけではありませんけれども、非常に出荷額の多いような直売所、販売額の多いような直売所においては、例えば北海道においてもそうだと思いますけれども、一番大事な点は、専業的な生産者が積極的にこれを位置づけて、市場出荷と同等の、あるいはそれ以上の位置づけを与えてこれに参画しているという事実であります。
 例えば、A県の施設園芸をやっている方は、七千万から一億円の売り上げがありますけれども、そのうちの過半を直売所に出しています。農協営の直売所に出していて、市場出荷よりも安定しているということで喜んでいる。どこが彼を引きつけているかというと、非常に単純です。それは、価格が自分で決められる。
 価格が自分で決められるということの意味は、生産費と価格との関係が自分の中で明確になっていて、市場価格が高くてもある一定価格で売る、市場価格が安くてもある一定の高い価格で売る、つまり、自分の経営の再生産ということを前提にして、一カ月、二カ月単位ではなくて、一年、二年単位でもって生産が可能になるような仕組みに組織していく、そのために規模拡大していく、そういう形の中で直売所が位置づけられている。
 この最大の問題は、やはり価格が非常に安定しているということで、経営の再生産が非常に円滑に進みやすい土台が与えられている、そういう位置づけをしております。ですから、大規模な経営は直売所と関係ないんだという議論はもう古いだろうというふうに思います。
 と同時に、その直売所は、みずからの直売で、自分の経営体のところで売るという形だけではなくて、今言ったように、直売所という形でもって多様な生産者が集まることによって、都市の、あるいは農村の需要者との関係を結びながら展開するような、比較的大規模な直売所というところが位置づけになると思います。
 そういう三つの枠組みのもとで、恐らく、左側の下にありますように、水田農業、畑作農業、あるいは酪農、果樹といった日本の広範な農業が再生されていくという仕組みがあるんだろうと思います。
 そういう真ん中のところに、担い手として家族経営がいて、これがなかなか困難を抱えているというのが実態だろうと思います。そういうものの一つの代替、補完、支援という政策の一つとして、農協が出資する農業生産法人や、あるいは農協が直営といったような経営があるというふうに思っております。
 大事な点は、今、そこでは農協との関係でその大体の姿を描きましたけれども、そこに多様な担い手が存在しているという事実なんです。
 下の方に描きました日本農業における担い手というのは、この図の真ん中にありますように、家族農業経営が基本であることは間違いありません。しかし、家族農業経営だけで成り立っている姿は既に過去形であります。
 現在形では、右の方に、企業化を進めて会社法人になる経営、あるいは地域の協同組合的な性格を色濃く残した農事組合法人型の生産農協型のもの、そして、さらに、実は今度の都市農業基本法においてもそういう方向が目指されると思いますけれども、市民農園や自給的市民、自給的農家あるいは副業農家といった方々が、積極的に直売所なんかとの関係を結びながら農業生産を発展させていく、場合によっては、規模拡大して新規参入して登場してくることは十分に起きております。
 同時に、もう一つ大きな流れとして、家族農業経営の補完として、先ほど言いましたようなJA出資法人等々の流れ、あるいは集落営農、市町村農業公社。
 大事な点は、こういう多様な担い手があって、どれか一本だけで日本農業の将来を語るということはできない時代なんだということであります。こういう多様なものを束ねて、初めて地域農業の問題は解決できる、そういう段階にあるんだということを我々がどこまで正確に認識するかということが鍵だということであります。
 そういう観点に立ったときに、二ページに行きますけれども、一方で、規模の経済を重視し、労働力を排除してコストダウン、薄利多売という方向は、地域経済の活性化とある意味では対立的な側面があります。つまり、一部の経営だけが伸びるという側面があります。他方で、六次産業化からいく流れは、労働力を吸収し、高付加価値化、相対的な高価格化ということでありますから、地域経済の活性化と親和的であります。大事な点は、AかBかどちらかということではなくて、この両者を適切に組み合わせて地域農業を組織化するということになります。
 全体としては企業的性格の深化に向かっておりますけれども、組織原理においては、多様な差異を含む多様性を重視しながら地域農業の組織化を図ることが大事だというふうに思います。その限りでは、ボトムアップ型の地域農業再編成の方針が非常に大事だということになります。
 その上で、アベノミクス農政の枠組みと農協改革の位置ということでありますけれども、一年目が農政改革、四つの改革、そして今年次は農協改革、農業改革ということで三つの改革。大事な点は、全体を総括する名称がないんですね。恐らく、基本計画がそれだということになりますけれども、基本計画という言葉では余りに味気ないだろうというふうに思います。
 他方で、農林水産業・地域の活力創造プランということになりますと、これは中身があるようでないような一般的な名称です。そういう意味で、農政全体をこういう方向で将来やりますよということを農業者のハートに訴えかけていくようなネーミングがないんですね。この点が非常に残念だと思います。
 全体の構図は、私が年報の方に描きましたように、その図にあります。基本的な枠組みはこのとおりだと私はつかんでおりますけれども、大事な点は、TPPの参加と、そのもとで、これを前提にして、これでも耐えられる農業者をどうつくるかということに収れんし過ぎているんですね。ですから、企業的な経営を参入させて、そこでもやれるような経営体をつくるということになっておりますけれども、一方で、右側の方の地方創生との関係が甚だ希薄になっています。つまり、地方創生と農業のかかわりは非常に希薄で、創生は訴える形になっております。この点は非常に重要な問題だと思います。
 そして、二つあります。重大な弱点として、四つの改革を阻害する全中、農協という説明がされてはいるんですけれども、極めて不十分ではないかなと思います。TPP締結のためのややスケープゴートにされているのではないかなというふうに私は思っております。
 同時に、TPPを締結した場合に、どういう日本農業の未来が描かれるのかという点については、残念ながら、影響についてはほとんど触れられていない。
 しかし、現実的には、ことしも五月になって、またバターが足りなくなりました。去年、一年前も同じように足りなくなりました。北海道の酪農経営を含む日本農業の最優等生が、TPPを含む将来を憂えて次の後継者にバトンタッチしにくい、諦めている、本当に展望がない、これが象徴的だと思います。そういう点で、TPPのもとでも生き残れる農業についてはどんな姿があるのか、もっともっときちんと描くことが大事だと思います。
 それから、地域協同組合論、これを排除して地方創生が語れるかどうか、これも大事な論点だというふうに思っております。
 三ページに入ります。
 アベノミクス農政の第一弾の目玉として、中間機構が一年度過ぎました。そして、中間評価が最近農水省から発表されました。何か失敗したかのような議論が多いんですけれども、私はそう単純に見ておりません。一進一退だと思います。現実問題として、六万三千ヘクタール、流動化がふえました。しかし、目標と比べると、残念ながら低調だということが一つです。
 そして、もう一つ大きい点は、中間機構ではなくて、むしろ集積円滑化団体ということで、地域の農協を中心とした組織の方が流動化に大きな貢献をしているという現実があるということなんですね。これだけ金と、政策的に人も動員して、農水省を挙げてやったにもかかわらず進まなくて、さほど進めていない方が進んでいるというのは一体何なのかということを我々はもうちょっと考えることが大事だと思います。
 と同時に、二十七年度はある程度進むというふうに見ておりますけれども、これは借り入れが先行しております。そして、やがてそれは貸し付けと結びつくということになると思いますけれども、実は、一番大きいのは、例えば例を一つ挙げますと、某県では、こういう状況に合わせて集落営農をやっとつくりました。つくった途端に、さあ、みんなで土地を出して担い手を一緒にドッキングさせようと思ったらば、出したけれども、自分のところに戻ってくる保証が全くないということで、円滑化でやっているんですね。
 つまり、せっかくつくって構造改革を進めようという政策が、円滑化団体の昔の仕組みの方に乗っていて、中間機構に移動していない、こういう問題が現実にあります。これはやはり大きな問題だろうというふうに思います。
 制度設計上の問題としては、売買と所有権移動の問題の差を理解し切れていないのではないかなというふうに思っております。
 売買は永久的に離れますから、どこに行こうと勝手だという面があります。しかし、賃貸借の場合には、やがて自分のその土地が相続にひっかかるかもしれない、転用にひっかかるかもしれない、とにかく何か戻さなきゃいけないことが生じる可能性は十分にあり得るわけです。しかし、現実的には、一旦貸したものを引き戻すという例は非常に少ないんです。少ないけれども、その可能性は留保しておきたい、担保しておきたいということになります。
 となると、自分が参画している農協の人ならば、自分も組合員なわけですから、返してくれと言えば返してくれるという点で安心感があります。ですから、お上に預けるよりは農協に預けた方がよいというこの感覚は、現場の農民のごく普通の感覚としてあります。だとすると、そういうところの力を十分に使わずに、上から、全部土地を召し上げるような雰囲気でやられると、どうも現場の人はついていきにくいという感じがあるのが実態だろうと思います。
 決して、中間機構の政策が間違っているというふうに声を上げて言う人は多くはないと思います。しかし、何かフィットしないなというこの感覚を十分に酌み上げないと、二年目以降、十分な成果を上げられないのではないかなというふうに思います。恐らく二年目は一年目の刈り残しを刈るだけであって、二年目に新規にどっとふえるという流れにつながっていかないんじゃないかなというふうに心配しております。
 そういう意味で、賃貸借が市町村レベルで行われてきたという過去のことを踏まえるならば、もっと中間機構の機能を市町村、農協レベルにおろして、つまり地域の現場におろすような形に組織的な変更も含めて修正を加えていかないと、大目標を達成することができないのではないかというふうに思います。
 同時に、人・農地プランとの連動を切ったということが非常に大きいと思います。建前上は一緒になっています。しかし、これは、繰り返し、人・農地プランと一緒にやるかどうかが論点になりました。なぜ論点になったかというと、結局、全国企業が公募でもってどこでも入りたいという要求に応えるために公募制度というのを導入してしまったわけです。しかし、現場に担い手がいるのに、なぜ公募しなきゃいけないのかというのは余りはっきりしません。
 そういう意味では、ここに書きましたけれども、順番が、序列が必要だと思います。つまり、地域内の人から順番に、遠ざかるに従って優位性が下がっていく。地域にいるなら、そこに任せればいいじゃないかというふうに思います。そのあたりの序列がないまま、全て一緒にして、力の強い人、計画のすばらしい人となると、全ての計画を電通がつくって、それを全国に配ればオーケーという農政改革になってしまうのではちょっと寂しいのではないかな、もうちょっと地域の声を酌み上げていくことが大事だというふうに思います。
 さて、その次に、四ページのところですけれども、くどくど言うつもりはありませんので、一番大きい問題は、農地市場に対するミスリーディングがあったのではないかなということです、中間機構に関しては。
 それは、現在は農地の担い手市場なんですね。出す方は、出しても借りてくれる人がいないという状況です。ですから、借りる方はどこでも借りられる。極端に言えば、借りたくないというより、借りないということもできます。ですから、耕作放棄地は、この数年間、再度ふえ出してしまっていて、かつてずっと減ってきたんですね。それが逆になってきている。これは大きな問題だと思います。
 そういう点で、ここに書いたように、担い手の序列も含めて、地域内から遠ざかっていくような形での組織化に変えていくことが大事だと思います。
 全体の対策の評価については、aからfまで書きました。やや上から目線、強権的、補助金での政策誘導が過ぎるのではないかな。そして、下からの組織化にもっともっと切りかえていくことが必要ではないかなということであります。
 そして、現在、農協陣営が取り組んでいる地域農業振興プランや地域営農ビジョン運動、こういうものと連動しながら、具体的に、人に農地を張りつけるだけではなくて、地域農業をどのように組織化するかという大局的な観点からの政策構築、再構築が必要ではないかなと思います。
 農協の方については、以下、細かく述べております。もう時間が来ておりますので、ごく簡単にポイントだけを述べて、まとめたいと思います。
 一つは、農協、農業委員会、農業生産法人制度改革が一本になっておりますけれども、これを束ねる論理が必ずしも明確ではありません。
 前半と後半の議論もはっきりしないんですけれども、この後半の議論、後半というのは、アベノミクス第二弾のこの三法案でありますけれども、これについても明瞭じゃない。そういう点では、もう少し丁寧な議論をしてほしい。通すか通さないかではなくて、現場の方々が、これでやりましょうという気持ちになるような政策体系にすることが今一番求められていて、そういう意味での丁寧さが必要な段階にあるのではないかと思います。
 それから二番目に、協同組合としての農業協同組合が本当に不要なのかどうか、これが非常に論点だと思います。
 というのは、協同組合の株式会社化という全体を貫くトーンがはっきりとした太い線であります。だとすると、協同組合法の議論をしてもしようがないのであって、農協を会社法に変えればいいという話になってしまいます。
 そうではなくて、その下にいろいろ書いてあります。事業運営原則の明確化等々も賛成ですけれども、これについても、利用高配当、つまり配当に重点を置くような組合組織ではなくて、利用、結集そのもので利益が発生する、そういうふうにすることの方が基本であって、何か出したものが戻る、金利生活者のような生活を農民に求めるのは余り妥当ではないんじゃないかなというふうに思います。
 そして、利用高配当の重視という方向自体は、既に大口割引制度等々を通じて、現場の農協では取り組まれております。問題は、これが十分に隅々の農協まで行き渡っていない、つまり公平原則と平等原則が十分に区分されていない。それをしっかりさせながら、現場に浸透させることが大事だというふうに思っております。
 そして、農協の組織変更についてですけれども、これも、なぜ一般社団法人や生協、あるいは医療法人、こういうものに変えなきゃいけないのか。余りはっきりしていないというふうに思います。特に、全農の株式会社化ということと、その全農の下にぶら下がる単協、株式会社の下に農業協同組合がなぜぶら下がって一つの組織になるかということは、余りわかりやすい説明はされていないんじゃないかなというふうに思っております。
 それから、農協改革がなぜ全中改革、解体として構想されねばならないのか。中央会不要論で農協運動が実際に束ねられるんだろうかという不安があります。
 実際、私が今やっている農協出資法人についても、当初は単協のレベルでの運動から始まりましたけれども、これを全中がきちんと位置づけることによって、一挙に全国的な運動に広がりました。一九九〇年代にはたかだか数十件の事例しかなかったわけですけれども、現在では五百件、恐らく、日本の農業生産法人の三%弱までが、農協出資法人という一つの経営体が占めるようになってきております。その最先端には、三百ヘクタール、四百ヘクタールの規模の経営体すら、水田農業において成立しております。売上高も、五億円、十億円といったものも出現しております。そういう意味で、全中がそういうことの旗振りをしてきた役割をもっともっと積極的に評価することが大事ではないかと思います。
 それから、担い手を中心とした職能組合論というのは非常に重要なロジックでありますけれども、これはそういうふうになった場合、それらの方々は協同組合でやらないんじゃないか。つまり、力の強いものは伸びましょうという論理でいった場合に、やはり株式会社のように、票がいっぱいある、つまり、株をたくさん持っているものの発言権が強い組織の方がいいというふうに行くわけですね。それは、そもそも協同組合の枠とは違う話でありまして、株式会社でやればよいという方向で行ってしまいます。
 ですから、協同組合の枠の中での職能組合の強化という議論が、今の、一般企業の参加しているような法人の方々の利益に本当に合っているかというと、どうもそうではないんじゃないかな、ちょっとずれがあるのではないかなというふうに思います。
 さらに、六ページのところで申し上げたいのは、職能組合としての農協にとって准組合員は不要な存在なのかということであります。
 今回は結論を出しませんでしたけれども、准組合員については、どちらかといえば、やや冷たい仕打ちで、農協から排除する方向に向かっているかと思います。
 しかし、農協の准組合員制度というのは、そこに細かく書きましたけれども、実は農協にとって不可欠の存在だというのは、単純に農協運営にとって不可欠ではなくて、専業的農業者にとっても、彼らがいることによって自分たちの事業や何かが支えられているという側面があるわけですね。つまり、地域においては、両者が相互に役割を果たしているという事実があります。こういう点をどう評価するかということです。
 同時に、実は、准組合員制度を地域農協論という枠組みでのみ論じられておりますけれども、私は、担い手問題の観点からしますと、多くの土地所有者、農家の方々を包含するところに准組合員というのはいるんだと思います。かつては大規模な農家だったけれども、分家、相続等々の関係でもう農家の資格もほとんどないが、実質的な土地所有者である、そういう方々の農地を抜きにして地域農業は語れないわけです。また、農地流動化も語れないわけです。
 だとすると、それらの方々が入っている農協という枠組みを活用する形でもって、実は農業構造改革は進みやすいという事実があるとすれば、これを専業的な農家も含むような形でもって内包することの方が、現実の農政改革、農業構造改革を進める上では役に立つのではないかなというふうに思います。
 そして、職能組合と地域組合の二つの性格をあわせ持つ総合農協だからこそ、高齢化、少子化が進む日本社会の今後について、さまざまな事業を通して、都会の方々にこういう道もあるんだよということを指し示しているという点では、実は一周おくれだったんですけれども、今や農協が先頭に立ってしまっている、そういう現実があります。このことをどう生かすかということであります。
 最後のところにちょっと書きましたけれども、例えば佐久総合病院は、長野県においては、篠原さんは詳しいわけでありますけれども、信州大学の医学部の附属病院よりも病床数が多いんですよね。最大の病院なんです。これは農協、JAがつくってきた病院なんですね。これは要らないという議論でいいのかどうか。そうじゃないんだろうと思います。そういう点で、これが総合農協の枠組みの中で、その支援のもとにでき上がってきているということですね。例えば、神奈川県においても、伊勢原に農協病院が最近できました。こういうものを我々はもっともっと評価することが大事だと思います。
 その上で、最後に三点つけ加えて、終わります。
 一つは、農協と農政運動の関係です。
 これは、野党の提案の方で、政治的中立性の問題が出されています。私はそうすべきだと思います。農政運動と協同組合運動そのものをごちゃごちゃにするというのはやはり正しくない。時代の要請からすれば、これは別にして考えるべきだ。その中で、自民党を支持し、公明党を支持し、あるいは、場合によっては共産党を支持するということもあってもいいかもしれません。それはそれらの運動の方々が決めればいい話であって、農協そのもの、本体がそれをどう支持するかということは別の話だろうというふうに私は考えております。そういう点で、この点について野党提案が触れているのは非常にいいと思います。
 それから、今大きな問題として飼料用米の政策があります。この問題は、瞬く間に百十万トンというレベルに、一年目、二年目で到達しかかっています。そのときに全農、全中が果たしている役割は極めて大きいです。これから本格的にやろうという声が出たところで初めて進んでおります。
 私は飼料用米について詳しいので、中身について言いたいことはいっぱいありますけれども、とりあえず前に向かって動き出したことは事実です。ですから、これをさらに中身、内実を充実させていくことが、日本農業の再生にとって極めて重要な切り札になると思っております。そういう観点から、全中、全農のイニシアチブをそぐような方向というのはどうなのかなというふうに疑問があります。
 そして最後に、地区重複農協の設置可能規定が野党提案で出ておりますけれども、これも非常に重要な点で、なぜかというと、現実には、多くの先進的な法人農業経営は一地区だけで存在しているわけではありません。複数地区に存在しております。A市にある法人がB市にも支店を持っていたりするわけですね。そのときに農協が違うと、いろいろやりにくいことがいっぱいあります。
 そういう点で、アラカルト方式で選択できるような状態になっていくということ自体は、農協の中に競争原理をある程度持ち込んで、刺激し合うという関係から見ても大事ですし、それを生かしていく方向で構造改革を進めることができるのではないかと私は思っております。そういう観点で、これは、実は法人化等々を含む日本農業の構造改革にとって極めて重要な問題提起だというふうに受けとめております。
 ちょっと尻切れトンボでありますけれども、大事な点は、こういう議論をぜひ国民全体に広げてほしいなと。農林水産委員会だけの議論ではなくて、マスコミを含めて積極的に開示して、日本農業の方向について、TPPを含めて議論することが大事だというふうに思っております。
 以上です。どうもありがとうございました。拍手
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江藤拓#8
○江藤委員長 ありがとうございました。
 次に、鈴木参考人、お願いいたします。
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鈴木啓之#9
○鈴木参考人 おはようございます。愛知県碧南市から来ました鈴木啓之と申します。きょうはよろしくお願いします。
 私は、碧南市で鈴盛農園という屋号で農業経営をしております。現在三十一歳です。
 実は、今から六年前まで、自動車関係のケミカルメーカーにおいて、直営店舗で統括店長の仕事をしておりました。結婚を機に退社をして、改めて農業の世界に参入してまいりました。それまで農業には全く接点がなかったので、もちろん知識もない、人脈も何一つありませんでした。そこから一年弱、愛知県の農業大学校で基礎的な研修をした後、地元農業法人で二年間研修を重ねて独立をいたしました。二〇一二年に新規参入で経営を開始してから四年目の、まだまだ小さな経営体であります。
 それと同時に、現在、北海道から沖縄までの日本全国三十九歳以下の農業青年一万三千名が所属する全国農業青年クラブ連絡協議会、通称四Hクラブの第六十一代目の会長をさせていただいております。
 話を鈴盛農園の方に戻させていただきまして、鈴盛農園は私が代表を務めておりますが、先ほどの四Hクラブの業務などでの出張も多いため、今、妻を女性農場長として、野菜の作付スケジュール、品種の選定だったり、スタッフへの作業指示、また六次産業化として農産物の加工などを担当してもらっています。
 私は、もともと両親が農業をしていたわけではないので、新規参入で農家世帯となりました。それゆえ、家族労働力は妻のみです。それではやはり規模拡大ができませんので、現在、ほかに研修生を一名、それからパートスタッフ二名を常時雇用し、繁忙期には地域のシルバー人材を利用して農業に取り組んでおります。
 また、私自身が改めて外部から農業の世界に新規参入してきたということもあって、これから農業を始めたいんですとか、農家で働いてみたいんです、そういう若者が訪ねてきてくれることも多くなりました。現在、鈴盛農園のスタッフの平均年齢は三十歳で、非常に若い農業者集団になっております。
 現在は、面積は約二ヘクタールの農地を利用して、年間で三十種類、約百品種の野菜を、ハウスや温室を使わない露地栽培で育てています。
 私のいる碧南市というのは、冬ニンジンやタマネギの指定産地となっていることから、作業体系の機械化が進んでいたり、販売価格も安定しているということで、農業後継者が豊富で、優良農地は全くと言っていいほど余っていない状態です。今は本当に、いい農地があくと、陣地の奪い合いをしているような地域です。
 その中で、僕のような新参者にはどうしても農地が集まらないため、非常に非効率なのは重々承知の上なんですが、三つの市をまたいで農地を借りて農業をしております。遠い畑では、農園の本拠地から三十キロ以上離れたところもありまして、往復の移動時間だけでも一時間半ほどかかります。そこに、トラックにトラクターを載せて走っていって、作業をして帰ってくる、そういった形の農業をしております。
 また、現在お借りしている農地は、野菜栽培に必要な水源、水がなかったり、もともとちょっと耕作放棄地のようになっていて、最初に見に行ったときは雑草が何メートルかに伸びていたようなところであったりという、いわゆる条件不利地がメーンです。
 その中でも、僕のような新規参入者が借りられる農地は、やはりほかの農家さんが手をつけないような、やり手のない農地になりがちです。よく中山間地の耕作放棄地の増加が問題として叫ばれている一方で、農地不足によって、そこまでしないと規模拡大ができない地域もあるということであります。
 そういった限られた農地で野菜を栽培するため、畑一枚当たりの収入をいかに大きくできるか、そこがすごく重要になってきます。そういう観点でも、販売という部分も安易に人任せにはできないというふうに思っています。
 私どもの生産量は、ニンジンでおよそ五十トン、サツマイモ十トン、タマネギ七トン、ジャガイモ四トン、そのほか細かい野菜をつくっておりますが、鈴盛農園では、栽培する野菜は全て直売事業での販売をしております。ですので、今回の改革の一つの主題でもある農協への系統出荷というのは実は一切行っておりません。
 今では、自社農園での直売ですとか、自分のところのホームページのウエブショップ、それから道の駅、地域直売所での販売、これで野菜、農産物の六〇%を直売しておりまして、そのほか、大手農産物宅配サービスだったりスーパーとの契約で農産物を販売しております。
 私の知り得る限りでは、こういう販売も自分のところで行っているという農業者、農業法人はふえています。担い手ですとか我々のような青年農業者のいわゆる農協離れというのは加速傾向にあるのではないのかなというのも現場にいながら感じております。
 これまで、農産物の販売というと農協への系統出荷というのが基本であって、その他、身内ですとか周辺の人に少し直売をする、ごくわずかな直売であったり、一部だけ市場に持っていくんだという販売が多かったと思うのですが、かつてより販売先も多岐にわたって広がる今の状況では、農協への出荷というのも一つの販売チャネルにすぎなくなってきているのではないかなというふうに感じております。
 そんな中で、私たちが農協への系統出荷をしていないということだったんですけれども、それには二つの理由があります。
 一つは、自分たちで営業努力をして直売をした方が、ずばり、野菜を高く販売できるからです。
 また、少しこれはきれいごとになるんですけれども、全ての野菜を僕たちスタッフの顔とそれから名前が見える状態で販売していますので、お客様の喜びの声は直接いただけます。それがみんなのやりがいにつながっています。
 また、それより重要なのが、この前のあの野菜、ちょっと苦かったよとか、去年よりちょっと甘みが少なくなっていないかというお客様からのクレームを直接聞けることこそが我々の強みであると思っております。
 市場からのクレームはどうしてもサイズや規格に関するものが多いと思うんですが、一般消費者からのクレームは味に関するものが多いです。そのため、私どもは、規格が出しやすい、簡単につくれる、栽培が容易だよという品種ではなくて、つくるのは少し難しいけれども味はおいしいよという、味を重視した品種選定を行っております。そのため、規格外品の発生というのがやはりふえます。収量も減少します。ですので、そんな中でも再生産できる価格を自分で決めて直売するということが非常に重要となって、全て人任せ、農協系統任せの出荷をしていては経営が成り立たないという側面もあります。
 そして、系統出荷をしないもう一つの理由として、部会に所属する必要があるからです。
 部会に所属をすれば、もちろんのことですが、その中でのルールを守らなければいけません。例えば、部会員は勝手な直売をしてはいけません、独自で加工品の開発をしてはいけません、ホームページを自分で開設してはいけません、メディアへの許可なき出演を禁止しますなど、さまざまな縛りがあるということも聞きます。
 足並みをそろえてやっていくということ、それは地域の農産物のブランドを守るという観点においては非常に重要だと思います。ですが、それは同時に、出るくいは打たれるというか、出させない、誰かがぬきんでることを抑止するということでもあります。
 そのような中、私は、農業界に参入してきて、六年前からずっと掲げているテーマがありまして、きょうお配りさせてもらったレジュメ資料にも書いてあるんですけれども、それは、「日本の農業をカッコよく。」というテーマです。
 農業は、やはりどうしても後継者不足という問題もありますが、未来の子供たちにとっても当たり前のように職業の選択肢にあるような状況にしていきたいし、ひいては、憧れられるような農業にしないといけないというふうに考えていますし、それをやるのはやはり外部から入ってきた自分のような人間ではないかというような勝手な使命感すら抱いております。
 そのため、積極的なメディアへの出演による農業の魅力のアピールも大事にしていますし、先ほどのホームページやSNSなどを利用した情報発信も、一年三百六十五日、ほぼ毎日行っております。きょう、こういった機会をいただいて、こういった場に立たせていただいていることも非常に光栄なことだと思っております。ありがとうございます。
 農業は地域商売であるので、一人だけ出ていく、目立っていくというのはやはりどうしても悪とされてきたところがあると思いますが、あえて矢面に立ってでもその魅力を伝えていくということ、これは、これからの新規就農者、新規参入者はこういった部分も取り組んでいくべきだと思っています。
 そういったことをしていくには部会の縛りというのがこれは大なり小なりあるので、もちろん、そういったことをしても大丈夫だよというところもあると思うんですが、やはりどうしても僕のいるところの中ではそういった部会の縛りというものがあっては不可能だったので、部会に所属するということをしませんでした。
 端的にまとめますと、自分で営業努力をして直売した方が収益性が大きいということ、もう一つは、部会の縛りがあっては思い描く農業ができなくなるということ、この二つの理由から、私ども鈴盛農園では農産物の系統出荷を行っておりません。
 では、逆に、農協がどのようになれば僕は出荷をしたくなるのかなということも考えたことがあるんです。
 まず、私どものような個人農家と比べて圧倒的な物量があります。農家数の多さと集まってくる物量の多さがありますので、それを生かして有利販売をしていただきたいなと思います。
 僕自身、営業活動をしていく中でネックになるのが物量です。耕作面積がまだ少ないこともあって、契約出荷においては物が足りなくなってしまうというリスクがあるので、契約出荷の出荷量を減らさせてもらうとか、または必要量が用意できないので契約に至らないということも多々あります。
 農協にはそれを集める力があるので、ただ集めて流すということではなくて、産地ブランドと安定大量出荷ということを武器にして積極的な営業活動をしていただき、本当に、私どもが営業努力をして出すような販売価格を軽々と上回るような金額で販売をしていただけるようになると、販売チャネルとしての魅力も上がってくるんだろうなというふうに思います。
 もう一つは、部会に所属する農家と、私のように所属をしない、個人で販売する農家の間を埋めるような役割も農協に担っていただけるとありがたいなと思っております。
 これまでの農業界においては、部会に属さず、一匹オオカミのような農業をしている、変わり者と言われるような人が地域には少なかったと思うんですけれども、それゆえ、例えば相手にしないですとか、あそこはちょっと違うという形で過ぎてきたことかもしれないんですけれども、時代が今変わっておりますので、栽培方法ですとか出荷方法などにオリジナリティーを追求する個人の農家というのはふえています。間違いなく、そういった農家は今に無視できない存在になっていきます。
 もちろん、これまでのやり方を忠実に守ってくれる農家を守るのも非常に大事な農協の役割だと思いますし、そういった農家とこれからの新しく入っていく形の農業者との距離をうまくつないでいくことも今後の農協に期待しております。
 そのためには、農協の理事に、農協とちょっと距離があるような農家も積極的に採用していただくとか、法案の中で認定農業者とか販売に強い者を理事に入れるというところの中に、やはり地域でこれからを担っていくような、私どものような青年農業者を採用していただく枠などをよりふやしていただけるとありがたいなというふうに思います。
 もう一点が、農協の事業利用についてなんですけれども、私どもは、肥料や種苗、それから資材や機械の購入における農協の利用率は、金額ベースでいうと全体の約五%で少ないんですけれども、残りは、地域の種苗店や機械メーカーから直接購入したり、ホームセンターや農業用品専門店など、そういったところとの取引をさせていただいております。
 組合員皆平等という言葉もありますけれども、何か農協にはちょっと商売っ気がないような感じがするんですよね。もちろん、ほかの企業と同様に、早期予約割引ですとか大口利用者への割引ということはあるんですけれども、例えば、農業用品専門店は、すごく積極的に足を運んで土壌診断や施肥設計の提案をしてくれます。ホームセンターでは、割と柔軟性のある値引きですとかサービスを行ってくれます。
 そう言うと、土壌診断や施肥設計はうちでもやっているよという地域農協もあるかと思うんですけれども、私が言いたいのは、積極的に農家のもとを訪ねてその提案をしているかというところであります。
 まあ、私がそういう農協系統出荷をしていない農家なので、もしかするとそのサービスを享受できていないだけだよと言われればそれまでなんですけれども、出荷先が農協であるかないかということは関係なしに、資材販売をふやすための営業活動はやはりすべきだと思いますし、その結果、肥料、農薬の販売数量がふえることで仕入れ価格を抑えて、農業者へ還元できるということもあると思います。
 ただし、農協の肥料は高いというふうに言われるんですけれども、実は品質はいいんだよというふうに言われる、そういう声もよく聞きます。では、そういったいいものを販売しているということがあるのであれば、資材価格の努力による引き下げはもちろん、待つだけではない農家への提案型のサービスを強めるなどして農業者の方に歩み寄ってきていただけると、強制的に利用するのではなくて、みずから農協を利用したいなと考える農家はふえるのではないかと思います。
 ここまで私なりに農協に求めるものというのをお話しさせていただいたんですけれども、地域農協によっては、実は、これらのことを全てクリアしていて、農家にも求められる農協になっているところもあると聞きますし、最近では、そういった農協がよくテレビに取り上げられたりしていることもあります。最終的には、やはり農協職員の人間力というところが非常に重要になっているようなことも感じます。
 実は、私たちも、農協への出荷がなかったり事業利用率も五%と、ほとんど縁がないような状態なんですが、現在、少しずつですが耕作面積が広がっているのは、実は、一人の農協職員さんの力添えがあるからなんです。
 地域の中では、どれだけ悪条件な農地でも耕作放棄地にしたくないというその考えと、どんな農地でもいいから規模拡大したい、貸してほしいという我々は利害が一致しておりますので、その間に入って農地のあっせんをしてくれているのがその農協職員さんです。
 職員の間での仕事への熱量というのか温度差というのはどの世界にもあることだと思うんですけれども、一人でも多くの職員さんが広い視野で地域農業というのを見ていただいて、熱量を持って取り組んでいただけることを強く望んでおります。
 農業者に直接的に関係があるのは、やはり全農、全中というよりも地域農協だと思うのですが、地域農協から盛り上がっていくことは非常に大事だと思います。その点、全農さん、全中さんには、その組織力を生かして、やはり基本的な職員の人材育成、教育であったり、優良事例として先ほどのうまくいっている農協の情報というのをきちんと地域まで落とし込んでいただくような、そういう教育をしていただけるとありがたいと思います。
 私自身も、いろいろ農業をやっていくに当たって、経営の計画を立てて、未来のビジョンを描いていくと、あっ、今思い浮かんだモデルというのは小さな農協だなと思うときがやはりすごくあるんですよね。そのときに、やはり農協というのはビジネスモデルとしてはすごくすばらしいものなんだなというのを感じたりもします。
 ただ、現状でたくさんの課題を抱えているということも事実だと思いますので、これからも創意工夫をして、本当に、時代に合った農協の形をつくり出していただいて、我々農業者にとってなくてはならない組織となっていただける、そんな改革になることを期待しております。
 以上が、私、鈴盛農園代表鈴木啓之の意見です。
 ありがとうございました。拍手
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江藤拓#10
○江藤委員長 ありがとうございました。
 次に、石田参考人、お願いいたします。
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石田正昭#11
○石田参考人 私は、龍谷大学の石田でございます。
 参考人として、本日は、内閣提出の改正法案について意見を述べさせてもらいたいと思います。
 お手元のA4しか用意していませんので、これに沿ってお話ししたいと思います。
 ちょっと書いていないことがございまして、第一は、戦後農協のアイデンティティー、ここでは自己認識と書きましたが、おのれは何者ぞというものを今回の改正案は否定していると思います。
 今回の改正案の根本は、私は、協同組合という普遍的な存在、これに対する配慮もない、それから、戦後農協という歴史的個体、これに対する配慮もない。本来的には、普遍的存在と歴史的個体の配慮のもとに改正案がつくられるべきだと思っておりますが、その両方ともないということは、根拠のない未来志向の改正案だ、一言で言っちゃえばそういうことになるのかなと思っております。
 これは前置きでございまして、一に入らせていただきます。
 おのれは何者ぞ、これは農協自身も理解しなきゃいけませんし、皆さん方もしっかり理解していただいて議論していただきたいと思っておりますが、戦後、農協法は昭和二十二年に制定されましたけれども、その制定の過程の中で、今から申し上げる四つのようなことが歴史的個体としては継承されてきたということが重要だと思います。
 まず第一は、三元交配だということです。
 戦前の産業組合と農会、それからアメリカの販売農協。協同組合として、形としてはどれが一番純粋なものかといえば、アメリカの販売農協だと思いますが、いずれにしても、この三つが交配されて出てきている。その結果はどういうことだったのかというと、生まれながらにして職能組合であり、かつ地域組合である、ここがあります。
 今回の法律案は、先ほど歴史的個体に対する配慮がないと申し上げましたけれども、職能組合純化路線を強く打ち出しておりますが、先ほどからいろいろな参考人、谷口参考人が述べたと思いますが、職能組合としての協同組合というのはほぼ持続可能性がないというのが私の考えでございまして、あるとすれば株式会社に転換せざるを得なくなる、そういう法律のたてつけになっているというふうに思います。
 それから、二点目でございますが、戦後農協はやはり小農、家族農業の組織だということでございます。
 この家族農業というのは、太閤検地以来の四百年以上の歴史を持っている、代々続いてきている定住者の組織でございます。この人たちは、地域の資源だとか、環境だとか、文化とか、社会、経済、これの守り人というか担い手というか、四百年以上続けてきたわけでございます。サラリーマンがあちこち行ってビジネスを展開するような、移住者じゃないんですね。
 この人たちを本当は盛り上げていく。この人たちは、本来はシチズン、市民、地域を守るぞ、こういう意思を持っている人なのでございまして、この人たちを否定して何で地方創生ができるんだということでございます。地方創生と今回の農協法改正は全然相入れない、そういうたてつけだと思っております。
 それから、三つ目ですけれども、農協というのは、大きな海に例えれば、表層は経済原理で動いてございますが、海の深層は社会原理というか、地域の人的関係の中で動いてございます。
 オーナー企業のように生き馬の目を抜くようなこととはおよそ正反対の組織だということでございまして、変わるとすれば世代交代が進む中において徐々に変わっていく。これを今回は、とにかく五年以内にこうしろというような形で言っておりますが、余りにも拙速であるというふうに思います。
 四つ目でございますけれども、地域インフラであるということでございます。
 これは、歴史からいうと、品川弥二郎内務大臣が信用組合、そしてその後、産業組合をつくりましたが、一九〇〇年に制定されましたあの法律はなぜつくられたのかというと、明治二十二年の町村制を確たるものにしたいということで産業組合ないし信用組合を構想したということ。
 どういう意味か。地域には、役場、最低でも小学校をつくるために町村制がしかれたわけですから、それをしっかりしようという過程の中に郵便局、さらに産業組合というものが位置づけられた。つまり、これはそのレベルでいう地域インフラでありまして、地域の人にとってはなくては困るという基本的な性格を持っていると思います。
 以上、四つ申し上げましたけれども、このことは当の農協の人たちもしっかり理解しなきゃいけないし、皆さん方が議論する上でも、このことをしっかり頭に入れた上で今度の改正法案はどういう性格のものかということを御議論いただきたいと思っています。
 それから、もう少し細かく入りまして、農協法改正の問題点を申し上げます。
 第一は、根本的に、協同組合原則、自由、自主、民主の原則に違反しております。協同組合原則の第四原則、自治、自立、それから第二原則、民主制の原則がございますが、これに違反している。
 例えば、理事の割り当て制、クオータ制を今度導入いたしております。認定農業者であれ、実務精通者であれ、理事に入っていただくということは決して悪いことではないと思っております。それを、法律で半分以上入れろという、この割り当てが問題なのでございまして、認定農業者であっても、自分の経営が忙しいから入りたくないという人だっているわけですから、入って俺は協同という取り組みを頑張るぞ、そして、地域の組合員の皆さんから信任を得るという形で理事に上がってくるのが一番望ましいのであって、半分以上入れなさい、どんな人でも入れろなんて、こういう法律のたてつけは協同組合を全然理解していないというふうに思っております。
 それから、今度の法律の中で、第七条、事業運営原則というのが私は最大の問題だと思っておりますけれども、これは、現行法の第八条、最大奉仕、非営利原則、これを修正したものですが、これ自体に法律上の不備があると思います。これは後に申し上げます。
 それから第三に、これも皆さん方に議論していただきたいと思いますが、今回のは、食料・農業・農村基本法の精神に違反していると思います。
 食料・農業・農村基本法の第五条、農村の振興には、農村は生産の場であると同時に生活の場である、こう述べられています。そして、生産条件、生活基盤、これをよくする、そしてさらには、その地域の福祉の向上を目指すというのが食料・農業・農村基本法です。さらに、その後に、第九条は、こういう基本的な理念を実現する上で、農業団体も鋭意努力しなきゃいけないと書いてあるわけですよ。農業団体が地域の生活基盤をよくする、地域の人たちの福祉を高めるという役割が法律でうたわれている。
 しかし、今回、そんなことをやるな、農業者だけの役に立つ農協になれと。それであれば、この第九条、これは、皆さん方、あるいは提案した農林水産省ですか、内閣ですか、どういうことを考えているんですかという御議論をぜひしていただきたいと思っております。
 もちろん、これは、協同組合第七原則、地域への関与というところでも抵触すると思っています。
 それから第四に、規制改革に値しない規制強化が進んでいる。
 私に言わせれば、地域農協の自由を縛っているのは中央会じゃありません、法律です。まさに行政庁なんですよ。この行政庁の権限、監督権、認可権、これを減らすことが地域農協の活発な活動を促進するわけです。それを抑えていくということは、もろに行政庁の力だけが強くなる。これは逆ですよね、規制強化。
 一つ例を申し上げます。現在、既に正組合員資格は定款自治に委ねられているということになっております。では、現実に各農協が正組合員資格を緩めようと提案しようと思って県に行きますね、そうしたら、もう受け付けてくれないわけですよ。模範定款例はかなり自由に書きなさいというふうになっているんだけれども、行政庁が受け付けないわけです。それを受け付けてくれたのが東京であり、兵庫六甲、神戸市です。今回、岐阜が、二つの農協が変えてもらった、こういうふうに僕に情報が入ってきましたけれども、これは要するに、県がそういうふうに対応がばらばらなんですね。
 いずれにしても、行政庁の認可権や監督権、これを縮小するということが、本当の地域農協の活性化に役に立つという御議論をぜひここではしていただきたい。
 それから、第五番目でありますが、附則が多用されているということです。
 附則というのは、私の理解では、本則と同じ効力を持つ、しかし、経過措置だ、こういうふうに理解しております。農協法上に措置された中央会は認めないというような御発言が安倍さんからあったと思いますが、この中央会の改革は今度全部附則に入っていますけれども、本則と同じ効力を持つということであれば、何だ、農協法に措置された中央会制度じゃないか、こう言えるわけですよね。
 しかし、これは経過措置だと言ったら、五年後どうなるんですか、五年後になったら消えちゃうかもわからないですよ。そういうことを言ったら、都道府県中央会は連合会として措置しますよと書いてあるけれども、五年後どうなるんですか、これが消えちゃったら一体何になるんですか、もう自動的に一般社団法人になるしかないじゃないですか、こういうたてつけになっております。全中も消えちゃう、全部なくなってしまう、中央会制度が農協法から消える可能性があるというふうなことを御議論をぜひお願いしたいと思います。
 次に、いろいろ文句はあるんですけれども、もうここが本当の重要な点だということだけ申し上げたいと思います。
 三、修正を求める事項で、第一は、いわゆる戦後体制からの脱却ということで農協をこういう形で取り上げるのであれば、まず、本来的には目的から変えなきゃいけないんじゃないですか、事業運営原則からじゃなくて、目的、第一条から変えるべきだ。
 第一条の何が問題かというと、私は、第一条の中で、最後でございますが、「もつて国民経済の発展に寄与する」、つまり、国があるよ、それから全国連があるよ、県があるよ、そして地域農協があるよというたてつけになっております。そうではないでしょう。皆さんたちがもしこういう戦後体制からの脱却と言うのであれば、お国のための農協から地域のための農協になるべきだ、こういうたてつけにしないといけないわけで、第一条のここに、「もつて国民経済の発展に寄与する」を、もって地域の発展に寄与する、ここから書き直さないと本当ではないと思います。
 それから、第七条の修正を求めたいと思います。
 第七条は、先ほど申し上げましたように、現行法八条、非営利、最大奉仕原則でございます。
 行政庁の説明をいろいろ聞いて、皆さんは丸め込まれているんじゃないかなというふうに理解しておりますが、第一項は、これは現行八条を移したもので、組合員への最大奉仕をするとなっています。
 六次産業化だ、輸出だとかといって、農業所得増大への最大配慮ということを言っております。それが実現できたかどうかを五年間あれすると言うんだったら、これこそ附則に持っていけばいい話で、それを第二項の中にどんと書き入れるわけです。
 第三項は、従来の非営利原則をやや細かく書いただけで、我々専門家から見れば、何でこんなことを書く必要があるのかという内容でございます。最大に利益を上げて、それは組合員に還元する、あるいは将来のために内部留保する、当たり前のことでございます。これは非営利原則そのものでございます。
 なので、私に言わせれば、最大奉仕、非営利原則、第一項、第三項だけでいいので、なぜ第二項を書き加えなきゃいけないのか。こんなのは削除した方がいいと思っております。
 その削除の理由を申し上げます。
 今回の農協法改正の一番の大きな問題点は、小泉郵政改革と同じ、要するに、安倍農協改革で信用、共済事業を分離しよう、これなんですよ。その前に中央会をたたきましょう、こういう構図でやっているわけで、それの手段が准組合員事業利用規制でございます。この規制が、今回は調査ということで附則に盛り込まれましたが、そもそもそういうものがどういう理由で入ってくるのかというと、この第七条第二項、農業所得増大への最大配慮をしていますか、県の人たちが検査に行って、あなた方はそういうことをやっていますか、きちんと書類を出しなさい、ついては准組合員の事業利用を出しなさい、こう言われるわけでございます。
 ところが、考えてください、次の理由ですが、第一項と第二項は矛盾するということですが、准組合員といえども組合員でございます。現在の農協法では、第十二条で組合員資格が列挙されています。だから、その中に准組合員たるような人も入っているわけです。だから、そこは、組合員に最大奉仕しなきゃいけない、そういう人たちが、准組合員も入っているんです。第二項では、まさにそのうちの農業者だけの役に立つ、さらに認定農業者的な人たちの役に立っている、こういう発想になってございます。
 現行法十二条の組合員資格と、十六条で初めて正と准の区分が、権限が違うよということが書かれ、十二条は、組合員は正、准ともに組合員。そうしますと、第一項では組合員へ最大奉仕、第二項では正組合員のみに奉仕しよう、こういうことで矛盾しているんじゃないかというふうに私は思っています。
 それから、最後でございますが、要するに、表面上を捉えれば、農業所得の最大化、これは当然農協がやらなきゃならない仕事でございますから、組合員への最大奉仕の中に入ります。ですから、あえてここに二項で書き出す必要はないと思っています。
 こういう三つの理由でございまして、この第七条第二項の削除、それから第一条の修正をぜひ御議論いただき、なぜそういうことを御議論いただかなきゃならないのかというのを今申し上げました。
 いずれにしても、この法律そのものが根拠のない未来志向のものだということで、ここにお集まりの方々の立法府としての御議論を賜りたいなと思います。
 以上でございます。拍手
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江藤拓#12
○江藤委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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江藤拓#13
○江藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井野俊郎君。
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井野俊郎#14
○井野委員 参考人の皆さん、貴重な御意見をありがとうございました。
 まず冒頭、小川さんにお伺いさせていただきたいと思います。
 小川さんは、私の地元、JA佐波伊勢崎の理事でございまして、今度新たに常勤理事にこの五月に就任されて、まさに農業改革、農協改革において、これから大きな役割を期待されての御就任であると私は感じております。
 先ほど、小川さんの方から、今後JAは、六次産業化としては地元商工会議所等の連携は当然必要であるし、また、全農については地域間の調整とかそういった役割もぜひ担ってほしい、あわせて、何よりも役員は、経営者としての意識改革であったり、職員としての意識改革が重要だというふうなお話をされていました。
 私も本当にそのとおりであると思っております。幾ら組織をいじったところで、やはり現場で働いていただく方の意識等が変わらない限りは何も変わらない、農家のためには全くならないんだという思いはまさにそのとおりであると思っております。
 そこで、まず、今回の農協改革では、理事等の過半数は、農業の専門家といいましょうか、認定農業者であるとか、そういったたてつけにしておりますけれども、こういう議論により、単位農協等が変わっていくと考えていらっしゃるのか。どうすれば単位農協が変わっていくと考えていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。
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小川惠弘#15
○小川参考人 お答えします。
 理事の過半数を認定農業者または経営能力のある者というふうにありますけれども、過去にも、理事で出てくる人の中には、余り農業をやっていない人が比較的多かったわけですね。また、農協職員から上がってくる農協の理事も比較的多いわけでございます。
 特に農協職員ですと、やはり組織を守るというふうな部分が往々にしてあります。確かに精通はしておりますけれども、そういった面で、果たして現場の農業者の意見をどこまで拾えるかという面で、私は、今回の理事を認定農業者もしくは経営のプロということは非常に賛成しております。
 やはり、現場の意見が理事会等で反映され、農協がそういった面で経営改善ができれば、組合員のための農協に一歩近づける、そういうふうに思っております。
 以上でございます。
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井野俊郎#16
○井野委員 ありがとうございました。
 続きまして、今度は谷口参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
 先ほど谷口さんのお話にありましたとおり、農業というものは多様な担い手がいるというのはまさにそのとおりだと思います。小規模な農家から、ある程度大規模な農家の方もいらっしゃいます。
 ただ、その中で、冒頭の小川参考人のお話にもありましたとおり、大規模な方は農協から離れて独自で販売をされるという方もいらっしゃいますし、鈴木参考人のように、ある程度、規模が大きくなくても、そういった意味では、自分で、独自のブランドといいましょうか、そういう形で売ろうという方もいらっしゃるわけです。こういう多様な担い手に対して、ある意味農協という組織が十分全て対応し切れなかったという面はやはり否めないのかなと思っております。
 では、この多様な担い手の存在を認めた上で、農協というものが、まさに多様な担い手の意向に沿うといいましょうか、要望に沿う形になるかという点、その点はどう考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
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谷口信和#17
○谷口参考人 その点は大変難しくて、答えはないと思います。
 というのは、農協によって相当違いがあります。そのときに、非常に大きな違いの一つが、地元ではない人を農協職員にどれまで入れられるかという度量の大きさがあります。それから、地元の関係者じゃない、しばしば四年制大学を卒業したような方々を高い賃金を払っても入れようという意思を持って引っ張ってくるような気概があるかどうか、そういうことがかなり大きく作用しております。
 ですから、農協によって、そういうことができているところについては、大変広い視野から多様な担い手を育てていくようなことができている地域は十分にあると思います。
 ちょっと話はかわりますけれども、先ほど鈴木さんがやったところ、あいち中央農協は、私は長い間面倒を見ていて、何がすごいかというと、あそこは担い手が多過ぎるんですよ。いかに担い手を減らすかが主要課題なんですね。私がいつも講演に行くと、いかに減らしたらいいかという話をしろというふうに言うんですけれども、これは大変困るんですよね、い過ぎて困るというのも。それぐらいのことを実は農協が育ててきたという事実があります。
 ですから五千ヘクタールに、例えば土地利用型農業で百五十戸、一人三十ヘクタールにしかならないじゃないか。全部とっちゃって、あと誰が残りをやるんだ。なくなっちゃうんですよね。ですから、やめさせろという話になるぐらいのところもあるんです。これは、やはり農協が長い間育ててきたという歴史があって可能なんですね。
 ですから、農協イコールだめとか、そう単純じゃなくて、地域ごとに大きい差があるというふうに思います。
 その際のポイントの一つは、今言ったように、やはり職員のところにどれだけ優秀な方を引っ張ってこられるかということだと思います。それができているところはほとんど、ほとんどというのは言い過ぎですけれども、地域外から、いわゆる縁故だけではない採用の方をどれだけ入れられるかということがあって、このことが大きな力になっている面は現実にあるというふうに思っています。
 ですから、その点は組織論そのもので全部片づくかというと、組織の運用の仕方という点で、まさに人材育成という問題に尽きてくる課題なのかなというふうに考えております。
 以上です。
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井野俊郎#18
○井野委員 ありがとうございました。
 続きまして、鈴木参考人にお伺いさせていただきます。
 先ほど鈴木さんの方から、今は農協系統出荷等は一切していないけれども、幾つか、例えば営業努力をして販路拡大をしてもらったり、客の反応がわかるような形であればとか、さまざまな、こういうことをやってくれる農協であれば自分も利用したいというお話をいただきました。
 これは当たり前のことかと思いますけれども、例えば、いわゆる組織論になると、よく、協同組合は利益を目的とするのではなく、小さい農家さんがいろいろ集まって自分たちの中での組織をつくって、自分たちの立場といいましょうか、利益を最大化していくというところであって、株式会社とはその点が大きな違いなんだ、そういう組織論の議論があるわけであります。
 鈴木さんにとっては、むしろ協同組合、すなわち、株式会社と違って協同組合は、ある意味悪く言えば、農家から利益を取らないから協同組合を利用しようとかいうよりも、株式会社であっても、自分にとって、鈴木さんにとってメリットが大きければ、当然、メリットがあればそっちの方を利用して、会社が利益を得られてもそれは構わないということなんだと思うんです。要は販路とかそういった意味で、先ほど系統以外の、資材を購入するのは地元の、カインズホームみたいな農業資材を売っているところだというふうに思うんですけれども、それは多分株式会社だと思うんですね。
 だから、協同組合か株式会社かという、どちらかを選ぶ基準としては、そこは大した意味がないといいましょうか、自分にとってどっちがメリットがあるかどうかのみの判断になるということでよろしいんでしょうか。
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鈴木啓之#19
○鈴木参考人 本当にドライに言えば、いわゆる販売先の一つとして農協への出荷が高くなるということであれば本当に考えていきたいなとは思うんですけれども、では、そのときに、逆に株式会社相手の方がドライにいけますよね、それまでのことがないというのか、いろいろなことがないので。そういう意味でいったら、判断の基準として、株式会社の方が商売の相手としてはドライにいけるかなと思います。
 ただ、農協自体の持っている、協同というのか、本当に地域インフラだなというのは、より地域の人口の少ないところに行けば行くほど感じるんですね。農協がなきゃ、ここにこのスーパー、Aコープなりとかがないとこの地域の人は困ってしまうよなとか、そういうことも思って、その必要性というものは十分感じているんですけれども、商売としては、株式会社だとドライに商売できるのかなと思っております。
 以上です。
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井野俊郎#20
○井野委員 ありがとうございます。
 続きまして、石田参考人にお伺いさせていただきます。
 私は、お話を聞いていて、一つ大いに疑問を持ったところが実はございまして、この二の4番、地域農協の自由を縛っているのは行政庁であるというお話をされておりましたけれども、正直、私が地元のJAさんから、行政、市だとか県があるから俺らは自由に活動できないんだという話は特に聞いたことはなかったわけであります。
 先ほどのお話によると、何か、県が認可しなかった点があった、それがイコール、農協の自由な販売であったり自由な資材調達だとか、そういう自由な経営をどうして縛ることになるのか、その点をもう少し教えてください。
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石田正昭#21
○石田参考人 農業協同組合には定款があるというのは御存じですか。では、あの定款を変えるときには、総代会で承認も得なきゃいけませんが、同時に行政庁の認可もいただかなきゃならぬということも御存じですか。それを知っていなければちょっと議論にならないんですけれども。
 今、全然そこで問題をJAが感じていないというのは、自分たちが変えようとしていないからですよ。簡単に言えば、今度、例えば暴力団のような人たちも組合に入ろうといったら、その排除規定をこう変えなさいと行政庁からおりて、中央会からおりて、各々、当然それは県が受け取る、認可される、この繰り返しだったわけですよ。
 ところが、例えば正組合員、うちの地域では農地面積十アール以上といったって、もうそういう人もいなくなってきているよという農協の現状があるわけですよ、現実に。では、そこのところを、耕作面積要件を外そうと思って持っていったって、受け取ってくれないんですよ、県は。
 だから、そういうことを私は申し上げているので、通常は定款変更をするときに行政庁の認可が必要です。それが気に食わなかったら受け取らない。認可する以前の問題。しないとかじゃない、受け取らないという仕組みになっているんですよ。だから、当然受け取るものしかない。簡単に言えば、お国から言われ、中央会から通して流れたものを持っていく、これは通りますよ。そういう現実を御理解の上、御了解願いたいと思います。
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井野俊郎#22
○井野委員 では、地元のJAの小川さんにお伺いしたいと思いますけれども、先ほどお話があったように、私の地元のJA佐波伊勢崎についてでいいですけれども、行政により、その自由な経営が全くできないというか、それによってそういう法改正をしてほしいといいましょうか、その点が今回のJA改革においては残った課題だというふうな認識があるのかどうか、お聞かせください。
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小川惠弘#23
○小川参考人 私も二期目の理事ということで、五月の二十二日に再選されたわけですけれども、特に地元の市町村とそういったことで自由な農協活動ができないというふうなことはございません。
 先ほど面積要件とか十アール以上とかというふうなことがありましたけれども、そういったものの中には准組合員という制度もありますので、正組合員でなくても農協利用は当然できるわけですし、また、資材等も買えるし、販売もできます。
 ですから、地元の行政からそのようなことでなかなか自由な農協活動ができていないということは、私自身は感じておりません。
 以上でございます。
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井野俊郎#24
○井野委員 続きまして、今回のもう一つのポイントが、私が思うには、連合会、全中というところの改革になってくるんだと思っております。この点については、鈴木さんはちょっとあれなのかなと思うんですけれども、全中という、中央会という組織の話になりますので、これは小川さんと谷口さんに少しお伺いします。
 全中の今回の改革、いわゆる一般社団には移行するけれども、それなりの調整だったり、そういった役割は引き続き担ってもらおうというのが今回の改革案でございますけれども、全中の組織のあり方として、例えば監査の問題等もあります。先ほどちょっと小川参考人はお触れになられておりましたけれども、監査の有無で全中の役割が変わるのかとか、はたまた、この全中という組織、今回の制度改革によって、今後、全中という組織にどういう役割を果たしてもらいたいと考えているのか、ちょっとお二人にお伺いしたいと思います。
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小川惠弘#25
○小川参考人 全中の役割というふうなことでありますけれども、社団法人になっても、地域の事例等を今でも広めておったりしておりますので、そういった面では大丈夫かなと。
 ただ、監査法人につきましては、独立監査法人でなくて内部で今やっておりまして、それを独立監査法人にするというふうなのが今出ておりますけれども、先ほどもちょっと述べましたけれども、なかなか、受けている農協の方で、ちょっと強制力もないので、受けとめが若干甘い面が今まであったのかなというふうに私は感じております。
 そういった面で、やはり農協自身も、これから健全経営のためには、そういった独立監査法人というふうな面で受けるのもいいのかな。全中の機能が、監査法人についても外部に出すというふうな話もありますので、その点の心配もないのではないかというふうに私は感じております。
 以上です。
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谷口信和#26
○谷口参考人 この点は、私は非常に単純だと思います。
 というのは、一般株式会社、とりわけ上場している企業の、株式会社の会計監査が行われているロジックと、そもそも農協の業務監査と会計監査が同時に行われているということの意味が全く異なっているのではないかなと思います。
 具体的に申しますと、私はJA出資法人の研究をしておりますから、農協の会計のやり方を、業務監査のやり方をそのまま出資法人も持っていきます。ですから、その法人については、私は今まで二百ぐらい全国で見てきました、各地の。ばらばらなんですね。それくらい地域の事情によって、どういう業務内容を持っていくか、それを会計に反映させるかというのは一律にいかないんです。それくらい日本の農業というのは多様性を持っています。
 そのときに、全国一律で、株式会社で統一する対象として、一本のルールでぱっとわかるようにしてほしいというロジックとはそもそも違うんですよね。ミカンの経営と酪農の経営が同じロジックでもって会計監査して、業務監査して、さあオーケーですよというふうにはならないわけです。それは違っていいわけですね。なぜならば、例えば、物を売ったり買ったりするときのタイムスパンが全然違うわけです。片一方は、野菜だったら、一週間、二週間、一カ月、三カ月、短い単位で考えられます。酪農だったら、最低でも十六カ月以上、二十四カ月、三十カ月になります。場合によっては三年になります。ミカンだったら、場合によっては七年とか八年とか十年とか、お茶だったら三十年とかになります。この期間でもって物を考える、スケールで、業務監査や会計監査が行われるものとそうじゃないものが一緒になるかというとならないわけですね。
 ですから、そういう個性を前提とするとすれば、公認会計士が全国一律のルールでぱっと切ってわかるかといえばわからないと思います。それでわかったものでいった場合には、業務がうまくいかないんだと思います。会計上うまくいって業務が失敗する、こんなばかなことは僕はないんだと思います。くしくもそうなってしまう可能性が高いということを私は心配しているということです。
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井野俊郎#27
○井野委員 終わります。ありがとうございました。
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江藤拓#28
○江藤委員長 次に、稲津久君。
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稲津久#29
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。
 これから参考人の皆様に順次質問させていただきます。
 まず、大変お忙しい中、こうして足を運んでいただき、先ほど来大変貴重な御意見をいただいておりますことに対して、心から厚く感謝と敬意を申し上げる次第でございます。
 それで、時間にも限りがありますので、早速質問に入ってまいりますが、最初は小川参考人に、農家の経営規模の大規模化と農協とのかかわりということについてお伺いしたいと思っています。
 小川参考人は、乳牛の複合経営から今度は肉牛に変わっていかれて、そして大変規模も大きい中でされていると認識していまして、きょうは、本当はバターの不足の問題とかコントラクターとか飼料米の話も聞ければ大変ありがたいんですけれども、そういう機会ではありませんので、農協法に関連しての質問になります。
 小川参考人は、これまでいろいろな機会にお話しされていることの中で、やはり、意欲のある農家は経営の規模拡大を真剣に考えている、そういうことがまずあって、これから、今回の農協法の改正に伴う、いわゆる改革の中で大規模化が図られていくようなことを期待したい、こういう御発言もなさっていらっしゃると思うんですけれども、私もある意味土地利用型農業のことを考えていくと、それは当然あると思いますし、酪農、畜産においても同じようなことが言えるのかなと思っています。
 そこでお伺いするんですけれども、今回の法改正が農家経営の大規模化にどのようにつながっていくというふうにお考えか、あるいは期待されることでも結構ですけれども、その辺についてのお考えをお伺いしたいと思います。
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