厚生労働委員会
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会
会議録情報#0
平成二十九年四月十三日(木曜日)
午前十時二分開会
─────────────
委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
太田 房江君 和田 政宗君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 羽生田 俊君
理 事
島村 大君
そのだ修光君
高階恵美子君
足立 信也君
山本 香苗君
委 員
石井みどり君
小川 克巳君
太田 房江君
木村 義雄君
自見はなこ君
馬場 成志君
藤井 基之君
三原じゅん子君
宮島 喜文君
和田 政宗君
石橋 通宏君
川合 孝典君
川田 龍平君
牧山ひろえ君
熊野 正士君
谷合 正明君
倉林 明子君
片山 大介君
福島みずほ君
薬師寺みちよ君
国務大臣
厚生労働大臣 塩崎 恭久君
副大臣
厚生労働副大臣 橋本 岳君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官 堀内 詔子君
事務局側
常任委員会専門
員 吉岡 成子君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 小田部耕治君
厚生労働省社会
・援護局障害保
健福祉部長 堀江 裕君
厚生労働省保険
局長 鈴木 康裕君
参考人
成城大学法学部
教授 山本 輝之君
公益社団法人日
本精神保健福祉
士協会副会長 田村 綾子君
滋賀県立精神保
健福祉センター
所長 辻本 哲士君
全国「精神病」
者集団運営委員 桐原 尚之君
東京アドヴォカ
シー法律事務所
所長
弁護士 池原 毅和君
─────────────
本日の会議に付した案件
○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────
この発言だけを見る →午前十時二分開会
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
太田 房江君 和田 政宗君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 羽生田 俊君
理 事
島村 大君
そのだ修光君
高階恵美子君
足立 信也君
山本 香苗君
委 員
石井みどり君
小川 克巳君
太田 房江君
木村 義雄君
自見はなこ君
馬場 成志君
藤井 基之君
三原じゅん子君
宮島 喜文君
和田 政宗君
石橋 通宏君
川合 孝典君
川田 龍平君
牧山ひろえ君
熊野 正士君
谷合 正明君
倉林 明子君
片山 大介君
福島みずほ君
薬師寺みちよ君
国務大臣
厚生労働大臣 塩崎 恭久君
副大臣
厚生労働副大臣 橋本 岳君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官 堀内 詔子君
事務局側
常任委員会専門
員 吉岡 成子君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 小田部耕治君
厚生労働省社会
・援護局障害保
健福祉部長 堀江 裕君
厚生労働省保険
局長 鈴木 康裕君
参考人
成城大学法学部
教授 山本 輝之君
公益社団法人日
本精神保健福祉
士協会副会長 田村 綾子君
滋賀県立精神保
健福祉センター
所長 辻本 哲士君
全国「精神病」
者集団運営委員 桐原 尚之君
東京アドヴォカ
シー法律事務所
所長
弁護士 池原 毅和君
─────────────
本日の会議に付した案件
○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────
羽
羽生田俊#1
○委員長(羽生田俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、五名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、成城大学法学部教授山本輝之君、公益社団法人日本精神保健福祉士協会副会長田村綾子君、滋賀県立精神保健福祉センター所長辻本哲士君、全国「精神病」者集団運営委員桐原尚之君及び東京アドヴォカシー法律事務所所長・弁護士池原毅和君でございます。
この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず山本参考人にお願いいたします。山本参考人。
この発言だけを見る →精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、五名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、成城大学法学部教授山本輝之君、公益社団法人日本精神保健福祉士協会副会長田村綾子君、滋賀県立精神保健福祉センター所長辻本哲士君、全国「精神病」者集団運営委員桐原尚之君及び東京アドヴォカシー法律事務所所長・弁護士池原毅和君でございます。
この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず山本参考人にお願いいたします。山本参考人。
山
山本輝之#2
○参考人(山本輝之君) それでは、私から意見陳述させていただきます。
私は、相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム、以下検証・検討チームというふうに略させていただきますが、その座長及びこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の座長代理といたしまして、関わった者といたしまして、今回の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に賛成する立場で意見を述べさせていただきます。
まず、本法案の柱の一つは、措置入院から退院した患者に対する継続的な医療その他の支援を充実させるということを制度化するものでございまして、この点は、私が座長を務めました検証・検討チームにおける現行の制度に関する検証において明らかになった課題への対応を図るものであるというふうに受け止めております。
すなわち、現行法におきましても、第四十七条は、都道府県や保健所設置市などの保健所を設置する自治体は、精神保健福祉相談員や都道府県知事などが指定した医師をして必要に応じて措置入院者の退院後の相談、指導などをさせなければならないというふうに定めております。しかし、これは一般的な義務を定めたものにとどまりまして、実際の取組につきましては各自治体に委ねられており、制度化はされていなかったということでございます。この点が現行制度における大きな課題であったというふうに考えることができるように思われます。
そこで、今回の法改正は、こうした現行制度上の課題に対する対応として、措置入院者が退院後に継続的な医療などの援助、支援を確実に受けられ、社会復帰につながるよう、地方公共団体が退院後の支援を行う仕組みを整備するということを制度化したものでございます。すなわち、法案では、措置入院者の退院後における社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を適切かつ円滑に受けることができるようにするという観点から、第四十七条の二に基づきまして、入院措置を行った都道府県、政令市が、患者の入院中から通院先の医療機関などと協議の上、退院後支援計画を作成し、退院後の医療その他の援助の内容や援助を行う期間について計画上明示すると、そして退院後は患者の帰住先の保健所設置自治体がこの退院後支援計画に基づきまして相談、指導などを行うということを制度化したものでございます。また、その作成した計画につきましては、支援の対象となる患者本人にその内容を交付するということも定められているところでございます。
私は、検証・検討チームにおける検討の過程で、兵庫県における措置入院者の退院後支援の取組についても視察させていただきました。そこでは、保健所を中心とした医療などの継続的な支援ということが行われておりまして、そのことによって措置入院から退院した方の症状の再度の増悪や医療中断を防ぐ効果もあるということを伺いました。このようなことから、私個人といたしましては、このような取組を精神保健福祉法上に制度化するという今回の法案の内容というものは大きな意義があるものというふうに考えております。
もっとも、このような法案の趣旨に対しましては、支援に名を借りた監視の制度を創設するものではないかという御批判、御懸念があることは承知しております。
しかし、以上のように、今回の法改正というものは、従来から定められておりました都道府県知事などによる退院後の相談、指導などというものをより具体的に制度化し、措置入院から退院した後の患者に対して医療などの継続的な支援を充実させ、患者が地域において孤立することなく安心して暮らせるための制度を創設しようとするものでございます。したがって、そのような御批判というものは制度の内容を誤解したというものでございまして、当たらないものであるというふうに考えております。
また、今回の法案におきましては、患者が退院後支援計画に従うことを義務付けてはおりません。つまり、退院後の支援計画を強制するものではないということでございます。
また、これは当然のことでございますが、退院後、医療などの継続的な支援を行うに当たっては、患者本人や家族の意向を踏まえるということが極めて重要なことでございます。そのため、今回の法案では、退院後の支援計画の作成に当たって、患者本人や家族も参加する精神障害者支援地域協議会で協議し、計画の内容やその必要性について、患者本人や家族に理解を求めるということになっております。このような点からも、先ほど申し上げました支援に名を借りた監視の制度を創設するものではないかという御批判は当たらないものというふうに考えております。
今後の国会における法案の審議の過程で、こうした誤解や御懸念が払拭されることを切に望んでいるところでございます。
また、今回の法案におきましては精神保健指定医制度の見直しを図るということも盛り込まれておりますが、これも、問題になりました精神保健指定医の指定の不正取得の再発防止を図るという観点から、意義のある重要な法改正であるというふうに認識しております。
さらには、今回の法案には、医療保護入院の入院手続につきましても見直しが行われまして、市町村長の同意により医療保護入院が可能となる場合といたしまして、現行法における患者の家族などがいない場合などに加えて、家族などが同意、不同意の意思表示を行わない場合を付け加えるという改正も盛り込まれております。この点も、医療が必要な患者を速やかに医療に結び付けるという観点から、極めて重要で意義のあるものであるというふうに考えております。
私からの意見陳述は以上でございます。
この発言だけを見る →私は、相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム、以下検証・検討チームというふうに略させていただきますが、その座長及びこれからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の座長代理といたしまして、関わった者といたしまして、今回の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に賛成する立場で意見を述べさせていただきます。
まず、本法案の柱の一つは、措置入院から退院した患者に対する継続的な医療その他の支援を充実させるということを制度化するものでございまして、この点は、私が座長を務めました検証・検討チームにおける現行の制度に関する検証において明らかになった課題への対応を図るものであるというふうに受け止めております。
すなわち、現行法におきましても、第四十七条は、都道府県や保健所設置市などの保健所を設置する自治体は、精神保健福祉相談員や都道府県知事などが指定した医師をして必要に応じて措置入院者の退院後の相談、指導などをさせなければならないというふうに定めております。しかし、これは一般的な義務を定めたものにとどまりまして、実際の取組につきましては各自治体に委ねられており、制度化はされていなかったということでございます。この点が現行制度における大きな課題であったというふうに考えることができるように思われます。
そこで、今回の法改正は、こうした現行制度上の課題に対する対応として、措置入院者が退院後に継続的な医療などの援助、支援を確実に受けられ、社会復帰につながるよう、地方公共団体が退院後の支援を行う仕組みを整備するということを制度化したものでございます。すなわち、法案では、措置入院者の退院後における社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を適切かつ円滑に受けることができるようにするという観点から、第四十七条の二に基づきまして、入院措置を行った都道府県、政令市が、患者の入院中から通院先の医療機関などと協議の上、退院後支援計画を作成し、退院後の医療その他の援助の内容や援助を行う期間について計画上明示すると、そして退院後は患者の帰住先の保健所設置自治体がこの退院後支援計画に基づきまして相談、指導などを行うということを制度化したものでございます。また、その作成した計画につきましては、支援の対象となる患者本人にその内容を交付するということも定められているところでございます。
私は、検証・検討チームにおける検討の過程で、兵庫県における措置入院者の退院後支援の取組についても視察させていただきました。そこでは、保健所を中心とした医療などの継続的な支援ということが行われておりまして、そのことによって措置入院から退院した方の症状の再度の増悪や医療中断を防ぐ効果もあるということを伺いました。このようなことから、私個人といたしましては、このような取組を精神保健福祉法上に制度化するという今回の法案の内容というものは大きな意義があるものというふうに考えております。
もっとも、このような法案の趣旨に対しましては、支援に名を借りた監視の制度を創設するものではないかという御批判、御懸念があることは承知しております。
しかし、以上のように、今回の法改正というものは、従来から定められておりました都道府県知事などによる退院後の相談、指導などというものをより具体的に制度化し、措置入院から退院した後の患者に対して医療などの継続的な支援を充実させ、患者が地域において孤立することなく安心して暮らせるための制度を創設しようとするものでございます。したがって、そのような御批判というものは制度の内容を誤解したというものでございまして、当たらないものであるというふうに考えております。
また、今回の法案におきましては、患者が退院後支援計画に従うことを義務付けてはおりません。つまり、退院後の支援計画を強制するものではないということでございます。
また、これは当然のことでございますが、退院後、医療などの継続的な支援を行うに当たっては、患者本人や家族の意向を踏まえるということが極めて重要なことでございます。そのため、今回の法案では、退院後の支援計画の作成に当たって、患者本人や家族も参加する精神障害者支援地域協議会で協議し、計画の内容やその必要性について、患者本人や家族に理解を求めるということになっております。このような点からも、先ほど申し上げました支援に名を借りた監視の制度を創設するものではないかという御批判は当たらないものというふうに考えております。
今後の国会における法案の審議の過程で、こうした誤解や御懸念が払拭されることを切に望んでいるところでございます。
また、今回の法案におきましては精神保健指定医制度の見直しを図るということも盛り込まれておりますが、これも、問題になりました精神保健指定医の指定の不正取得の再発防止を図るという観点から、意義のある重要な法改正であるというふうに認識しております。
さらには、今回の法案には、医療保護入院の入院手続につきましても見直しが行われまして、市町村長の同意により医療保護入院が可能となる場合といたしまして、現行法における患者の家族などがいない場合などに加えて、家族などが同意、不同意の意思表示を行わない場合を付け加えるという改正も盛り込まれております。この点も、医療が必要な患者を速やかに医療に結び付けるという観点から、極めて重要で意義のあるものであるというふうに考えております。
私からの意見陳述は以上でございます。
羽
田
田村綾子#4
○参考人(田村綾子君) 日本精神保健福祉士協会の副会長の田村綾子と申します。よろしくお願いいたします。
初めに、短く自己紹介をさせていただきます。
私は、現在は聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科におきまして精神保健福祉士等の養成に携わっております。その以前は、神奈川県内の精神科病院で、精神科ソーシャルワーカー、後に精神保健福祉士として十六年間勤務しておりました。その病院では、措置入院の方、医療保護入院の方、あるいは医療観察法での鑑定入院の方などもお引き受けしておりましたので、そういった方々への支援の経験を有しております。
また、私どもの所属しております日本精神保健福祉士協会は、全国に約一万一千人の精神保健福祉士が加盟している団体であります。その多くは、医療機関ですとか地域の福祉事業所、また行政機関等におきまして、日々精神障害のある方々への支援に携わっております。
その立場から、本日は精神保健福祉法の改正案に関する意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。
まず、今回の法改正ですけれども、そもそも二十五年にこの法改正が行われたときに三年後の見直しということが最初から予定されておりましたので、その方針にのっとって検討されてきたものというふうに理解しております。
その二十五年の改正のときには、平成二十二年、障がい者制度改革推進会議が設置されまして、そこで障害者の権利条約の批准等の兼ね合いも含めて非自発的入院、強制入院の在り方等についても検討がなされてきたところかと思います。このときにも既に措置入院制度の課題というのは現に表現されていたと思いますが、前回の改正におきましては、保護者制度の見直しですとか、そのことに付随する医療保護入院の改正の方にどちらかというと論点が置かれた関係で、措置入院に関しては当時は置き去りにされたということではないかというふうに思っております。
今回の改正におきまして、国や地方自治体の責任が明確に示されたこと、これは評価できることだというふうに考えております。この点に関しましては、特に措置入院というのは、都道府県知事あるいは政令指定都市の長の命令による強制的な入院ということになりますので、その意味では、本来的には都道府県立あるいは政令指定市立の病院において医療が提供されるべきであるところを、多数の民間病院に一部委託する形で措置制度が行われているということにもう少し目を向ける必要があるのではないかと考えます。そのことからいいますと、今回、指定医の見直しが行われることは妥当だと思いますが、それ以外にも、実際には指定入院医療機関の要件等についても再検討をされる必要があるのではないかというふうに考えます。ですので、今回の法改正の後も継続的に、措置入院制度のありようについて、国はきちんと実態把握をした上で、その後の更なる改正に向かっていただきたいというふうに考えております。
また、措置入院制度のことに関しては、少し前の時点、例えば二〇一〇年度の時点でも、措置入院の方々のその後の調査というのが厚生労働研究で行われています。その中では、措置入院した方がそれ以前にその他の形で精神科医療の利用をしていた方が多いという結果も出ていますけれども、要するに、これは以前に精神科の治療ですとか保健福祉の支援対象であった方が、十分な支援がなされなかったために再度あるいは初めて措置入院になってしまった方というのもいらっしゃるということかもしれません。そういうことから考えますと、措置入院制度に限って今回は退院後支援計画を立てるという形になっていますが、全入院患者さんに対してこれはきちんと行うべきものではないかというふうに私どもは考えております。
今回、このように措置入院のことに関連して法改正が非常に大きく動くことになったのは、相模原事件がきっかけになっているというふうに思います。この間、多くの方々が御発言なさっていますし、私どもの協会でも何度か見解や要望などを出させていただいていますが、精神障害の有無と事件との間に因果関係があるかどうかが分からない中でのこの間の検討、そして今回の法改正の提案ということに関しては、これはやはり道筋が違ったのではないかというふうに本協会は考えているところです。また、今回の事件をきっかけにしなければ措置制度のずさんさが把握できなかったということにつきましても、これ自体がそもそも問題なのではないかというふうに考えます。今後は、実態把握をきちんとしていただくことが大事ではないかというふうに考える次第です。
それから、医療の在り方ということになりますけれども、措置入院の患者さんは、実際には、措置指定の入院機関において、その他の入院制度によって入院していらっしゃる方々と同じ病棟で同じような治療を受けることになります。ですので、その中で措置入院の方だけに手厚い支援を実行するというのは実際にはかなり医療機関においても労力を使うことになりますし、それを可能とするためにはそれ以外の精神医療全体の質の向上というものが求められるのではないかというふうに考えております。
現在、厚労省では、ガイドラインの作成によって、精神科の医療機関において診療ガイドライン等が作られる予定になっているかと思いますけれども、これらは措置入院制度の入院患者さんに限らないところで広く運用されるようなものになっていくことを期待したいというふうに思います。
その中ではチームアプローチということが非常に重要になってまいりますし、退院後の支援ということを考えますと、地域で孤立した生活にならないように支えるためには医療だけでは十分とは言えないというふうに考えます。といいますのは、医療というのは当然病気の治療ですとかその後の健康な生活というものを支援するものになりますけれども、人の幸せというのは、健康であればいいとか、病気が再発しなければいいというものではないと思います。その方がどんな暮らしをしたいかということや、何を好んでいて、どんなふうに自分らしく生きたいかということをきちんと聞くことから支援が具体的になっていくものであります。
私たち精神保健福祉士は、精神障害のある方々の自己決定の尊重ということを第一に大切に考えています。ですので、退院後支援計画の作成におきましても、必ず御本人の意思、御本人の希望というものをまず最初に確認し、それを実現するためにどのような支援をしていくことがよいのかという順序で考えていくことが必要だというふうに捉えております。
そのような支援を組み立てていくことができれば、御本人の方から支援を拒否するとか、こちらが提案した支援を受け入れないというときには、当然すり合わせが必要になります。そういうことを丁寧に行う、またそのマネジメントを行うためには専門職の配置ということが不可欠になります。今回、保健所設置自治体においてこのマネジメントをやられるということであれば、そこにはきちんと専門的な知識、技術を持った人を配置していただきたいというふうに考えております。また、そうしたことに関しても、自治体が中には民間医療機関等に委託することがあるかもしれないということを聞いておりますけれども、そこは安易な委託ということに至らないように、是非自治体の責任においてきちんとしていただきたいというふうに考えております。
それからもう一つ、ちょっと時間がないので少し省略させていただきますけれども、グレーゾーンというお話が出てきていたかと思います。
警察の関与ということも含めてですけれども、実際に現場においては、これは本当に精神科の医療が必要なんだろうか、それとももしかすると教育訓練、あるいは罰を与えてきちんと反省していただく、そしてそこから更生していっていただくことが必要なんだろうかということが悩ましい方に出会うことは多々あります。そのような方々を目にしたときに、警察官の方々も実際に現場でお困りだと思うんですね。一方で、そういった方々を連れてこられた医療機関の方も、短時間の措置診察の中でそれが実際に強制的な医療が必要かどうかを判断するというのは本当に難しいことだと思います。ですので、指定医の先生方の力量の向上というのは当然必要ですけれども、それだけに責任を負わせるのではなくて、警察の方々とともに考えていくということは欠かせないと思います。そういう意味で、調整会議の、代表者会議に警察官が入っていただくということや、地域の会議でも警察官と協議するということは必要だと思うのですけれども、個別の事例に関して、この場合は警察官を呼ぼうという判断にはしていただきたくないというふうに考えています。
まずは、精神障害というものをどういうふうに捉えていくのかとか、それから、社会の安定、安全を守るためにどういう仕組みが必要なのかということについて、この精神保健福祉法という法律の中だけではない枠組みにおいて検討していただきたいというふうに考えます。その点が相模原事件の検証チームにおいては残念ながら、山本先生をお隣にして大変申し訳ないんですけれども、ちょっと残念だったところがあるのではないかというふうに思っておりまして、できることならば再度こういった検証について行っていただきたいというふうに考えております。
時間が来ましたので、済みません、一旦ここまでにさせていただきます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →初めに、短く自己紹介をさせていただきます。
私は、現在は聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科におきまして精神保健福祉士等の養成に携わっております。その以前は、神奈川県内の精神科病院で、精神科ソーシャルワーカー、後に精神保健福祉士として十六年間勤務しておりました。その病院では、措置入院の方、医療保護入院の方、あるいは医療観察法での鑑定入院の方などもお引き受けしておりましたので、そういった方々への支援の経験を有しております。
また、私どもの所属しております日本精神保健福祉士協会は、全国に約一万一千人の精神保健福祉士が加盟している団体であります。その多くは、医療機関ですとか地域の福祉事業所、また行政機関等におきまして、日々精神障害のある方々への支援に携わっております。
その立場から、本日は精神保健福祉法の改正案に関する意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。
まず、今回の法改正ですけれども、そもそも二十五年にこの法改正が行われたときに三年後の見直しということが最初から予定されておりましたので、その方針にのっとって検討されてきたものというふうに理解しております。
その二十五年の改正のときには、平成二十二年、障がい者制度改革推進会議が設置されまして、そこで障害者の権利条約の批准等の兼ね合いも含めて非自発的入院、強制入院の在り方等についても検討がなされてきたところかと思います。このときにも既に措置入院制度の課題というのは現に表現されていたと思いますが、前回の改正におきましては、保護者制度の見直しですとか、そのことに付随する医療保護入院の改正の方にどちらかというと論点が置かれた関係で、措置入院に関しては当時は置き去りにされたということではないかというふうに思っております。
今回の改正におきまして、国や地方自治体の責任が明確に示されたこと、これは評価できることだというふうに考えております。この点に関しましては、特に措置入院というのは、都道府県知事あるいは政令指定都市の長の命令による強制的な入院ということになりますので、その意味では、本来的には都道府県立あるいは政令指定市立の病院において医療が提供されるべきであるところを、多数の民間病院に一部委託する形で措置制度が行われているということにもう少し目を向ける必要があるのではないかと考えます。そのことからいいますと、今回、指定医の見直しが行われることは妥当だと思いますが、それ以外にも、実際には指定入院医療機関の要件等についても再検討をされる必要があるのではないかというふうに考えます。ですので、今回の法改正の後も継続的に、措置入院制度のありようについて、国はきちんと実態把握をした上で、その後の更なる改正に向かっていただきたいというふうに考えております。
また、措置入院制度のことに関しては、少し前の時点、例えば二〇一〇年度の時点でも、措置入院の方々のその後の調査というのが厚生労働研究で行われています。その中では、措置入院した方がそれ以前にその他の形で精神科医療の利用をしていた方が多いという結果も出ていますけれども、要するに、これは以前に精神科の治療ですとか保健福祉の支援対象であった方が、十分な支援がなされなかったために再度あるいは初めて措置入院になってしまった方というのもいらっしゃるということかもしれません。そういうことから考えますと、措置入院制度に限って今回は退院後支援計画を立てるという形になっていますが、全入院患者さんに対してこれはきちんと行うべきものではないかというふうに私どもは考えております。
今回、このように措置入院のことに関連して法改正が非常に大きく動くことになったのは、相模原事件がきっかけになっているというふうに思います。この間、多くの方々が御発言なさっていますし、私どもの協会でも何度か見解や要望などを出させていただいていますが、精神障害の有無と事件との間に因果関係があるかどうかが分からない中でのこの間の検討、そして今回の法改正の提案ということに関しては、これはやはり道筋が違ったのではないかというふうに本協会は考えているところです。また、今回の事件をきっかけにしなければ措置制度のずさんさが把握できなかったということにつきましても、これ自体がそもそも問題なのではないかというふうに考えます。今後は、実態把握をきちんとしていただくことが大事ではないかというふうに考える次第です。
それから、医療の在り方ということになりますけれども、措置入院の患者さんは、実際には、措置指定の入院機関において、その他の入院制度によって入院していらっしゃる方々と同じ病棟で同じような治療を受けることになります。ですので、その中で措置入院の方だけに手厚い支援を実行するというのは実際にはかなり医療機関においても労力を使うことになりますし、それを可能とするためにはそれ以外の精神医療全体の質の向上というものが求められるのではないかというふうに考えております。
現在、厚労省では、ガイドラインの作成によって、精神科の医療機関において診療ガイドライン等が作られる予定になっているかと思いますけれども、これらは措置入院制度の入院患者さんに限らないところで広く運用されるようなものになっていくことを期待したいというふうに思います。
その中ではチームアプローチということが非常に重要になってまいりますし、退院後の支援ということを考えますと、地域で孤立した生活にならないように支えるためには医療だけでは十分とは言えないというふうに考えます。といいますのは、医療というのは当然病気の治療ですとかその後の健康な生活というものを支援するものになりますけれども、人の幸せというのは、健康であればいいとか、病気が再発しなければいいというものではないと思います。その方がどんな暮らしをしたいかということや、何を好んでいて、どんなふうに自分らしく生きたいかということをきちんと聞くことから支援が具体的になっていくものであります。
私たち精神保健福祉士は、精神障害のある方々の自己決定の尊重ということを第一に大切に考えています。ですので、退院後支援計画の作成におきましても、必ず御本人の意思、御本人の希望というものをまず最初に確認し、それを実現するためにどのような支援をしていくことがよいのかという順序で考えていくことが必要だというふうに捉えております。
そのような支援を組み立てていくことができれば、御本人の方から支援を拒否するとか、こちらが提案した支援を受け入れないというときには、当然すり合わせが必要になります。そういうことを丁寧に行う、またそのマネジメントを行うためには専門職の配置ということが不可欠になります。今回、保健所設置自治体においてこのマネジメントをやられるということであれば、そこにはきちんと専門的な知識、技術を持った人を配置していただきたいというふうに考えております。また、そうしたことに関しても、自治体が中には民間医療機関等に委託することがあるかもしれないということを聞いておりますけれども、そこは安易な委託ということに至らないように、是非自治体の責任においてきちんとしていただきたいというふうに考えております。
それからもう一つ、ちょっと時間がないので少し省略させていただきますけれども、グレーゾーンというお話が出てきていたかと思います。
警察の関与ということも含めてですけれども、実際に現場においては、これは本当に精神科の医療が必要なんだろうか、それとももしかすると教育訓練、あるいは罰を与えてきちんと反省していただく、そしてそこから更生していっていただくことが必要なんだろうかということが悩ましい方に出会うことは多々あります。そのような方々を目にしたときに、警察官の方々も実際に現場でお困りだと思うんですね。一方で、そういった方々を連れてこられた医療機関の方も、短時間の措置診察の中でそれが実際に強制的な医療が必要かどうかを判断するというのは本当に難しいことだと思います。ですので、指定医の先生方の力量の向上というのは当然必要ですけれども、それだけに責任を負わせるのではなくて、警察の方々とともに考えていくということは欠かせないと思います。そういう意味で、調整会議の、代表者会議に警察官が入っていただくということや、地域の会議でも警察官と協議するということは必要だと思うのですけれども、個別の事例に関して、この場合は警察官を呼ぼうという判断にはしていただきたくないというふうに考えています。
まずは、精神障害というものをどういうふうに捉えていくのかとか、それから、社会の安定、安全を守るためにどういう仕組みが必要なのかということについて、この精神保健福祉法という法律の中だけではない枠組みにおいて検討していただきたいというふうに考えます。その点が相模原事件の検証チームにおいては残念ながら、山本先生をお隣にして大変申し訳ないんですけれども、ちょっと残念だったところがあるのではないかというふうに思っておりまして、できることならば再度こういった検証について行っていただきたいというふうに考えております。
時間が来ましたので、済みません、一旦ここまでにさせていただきます。
ありがとうございました。
羽
辻
辻本哲士#6
○参考人(辻本哲士君) 本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。辻本です。
基本的に、この配付している資料の一枚目、二枚目を御覧ください。後ろに説明の根拠となっている数字やポンチ絵、報告書その他の資料が付けられています。
まず、私の立場ですが、精神医療センター、百二十床の県立の精神科病院に勤務している普通の臨床精神科医です。週二回の外来と月二回の当直をしております。
精神保健福祉センター、地域精神保健福祉の中核となる公的機関の所長をしています。滋賀県のセンターでは、精神保健相談、自殺対策、引きこもり対策、知的障害相談、啓発活動、精神障害者手帳、通院公費負担、精神医療審査会、最近では、依存症対策、長期在院患者の地域移行支援、災害時心のケア等を行い、さらに精神科救急情報センターの業務を担っています。正規職員は二十一人で、保健師、精神保健福祉士、臨床心理士、事務職その他、多職種で、医者は私一人です。全国精神保健福祉センター長会に所属し、全国のセンター長と情報交換をしております。
精神科医の私が、医療と保健福祉、両方の領域、プラス県行政で活動している理由は、精神障害患者の支援には、医療、診断や薬物療法、精神療法、カウンセリングなどの治療だけでなく、保健福祉、人の関わりで健康を保ち、障害を補うことが重要だと考えているからです。そういう立場にある精神科医の意見としてお聞きください。
措置入院患者のフォローアップと精神科救急。改正概要二を御覧ください。措置入院患者が退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みの整備、いわゆる措置入院患者のフォローアップについてです。
滋賀県では、数年前からモデル事業として、措置入院患者のフォローアップ体制を取っております。まだまだ不完全、不十分ではありますが、今回の法律案に近いシステムだと思っています。ただ、事業を始めた経緯は、相模原の不幸な事件をきっかけにした成り立ちとは異なっています。精神科救急システムとリンクして、精神障害者の地域支援の視点で始まっているのです。
少し精神科救急の話をします。一般科では、例えば急な頭痛や腹痛で病院を緊急受診したいとき、全国どこでも電話で一一九番ダイヤルすれば、救急車が来て適切な救急病院まで運んでくれ、診察が受けられます。精神科では、急な精神不調が起こったときにどうするのか。これは、この対応は各自治体によって違います。滋賀県では、警察が介入せざるを得ないほどの精神障害のために自傷他害のおそれがある精神不調に対し、措置・緊急措置制度を活用して対応しています。警察等で保護された事例のところに行政職員が出向いていって、適切な調査を行い、必要に応じて警察等と連携を取りながら、協力いただいている民間公的精神科医療機関に搬送し、精神科診療を受けてもらっています。防犯ではなく、心病む精神障害者に一刻も早く適切な精神医療を受けてもらう目的で行っています。
措置・緊急措置対応は、平日昼間は保健所が、夜間、休日は救急情報センターが受け持ち、精神保健福祉センターや保健所の職員が泊まり込むなどして二十四時間三百六十五日対応しております。平成二十八年度の実績ですが、措置・緊急措置の申請件数は二百二十九件、そのうち警察官通報は百五十七件、うち救急情報センター職員の調査の上、措置・緊急措置診察になった事例数は九十五件、措置・緊急措置入院となった事例数は六十三件となります。
さて、精神科救急システムを平成二十一年から運用しているんですが、困ったことが起きます。措置・緊急措置入院を繰り返す事例があるのです。精神科救急として措置・緊急措置入院をしてもらっても、知らない間に退院して、また警察官通報が出て精神科救急システムに乗ってくる、入退院を繰り返す人が少なからずおられるのです。治療中断例が三七%、五回以上入院している事例も散見されました。退院しても、それからの日常の地域生活を応援していかないと病状悪化を来し救急化してしまう。言い方が悪いかもしれませんが、火消しばかりではなく、予防しないと患者のQOLは保たれないということが分かってきたのです。
このような背景から、滋賀県では、精神保健福祉センターと保健所が協力して、措置入院患者フォローアップ体制をつくりました。今回の法改正案で想定される措置・緊急措置患者に対し、入院中に保健所等を中心として関係機関が協議し、退院後も患者が支援を受けられることのできる体制は、このように地域の援助ニーズから自然発生的に生まれました。
夜間、休日の救急情報センターの当番職員として勤務している保健所保健師が、精神科救急による措置・緊急措置対応で精神科病院の入院時に患者と関わり、その患者が退院してからも保健所職員の立場で継続的に地域支援していることもしばしばあります。平成二十八年度の実績ですが、全ての措置入院患者五十九人のうち、入院中に精神保健福祉センター、保健所が何らかの関与、支援した患者は五十四人、九一・五%でした。
今回の法改正が進まなくても、滋賀県の現場スタッフは措置入院患者フォローアップ体制を続けます。精神科救急と退院後の地域支援は車の両輪の関係にあると考えているからです。どちらが欠けても地域の精神保健医療福祉は前進しません。今回の法改正で、国としてより良い仕組みが整備されることを期待します。
精神障害者の孤立を防ぐ。改正概要三、精神障害者支援地域協議会の設置についてです。
なぜ措置・緊急措置入院を繰り返す患者がいるのか。精神障害者の病状悪化は、医学的要因だけではなく、社会的要因が大きいからです。生活困窮、就労、高齢・介護、教育、住居その他、様々のストレスが誘因となって精神不調を来し、治療を中断、誰にも相談しなくなって更に病状が悪化、自傷他害行為を起こしてしまう。孤立から精神不調を悪化させるパターンは、自殺、依存症、引きこもり、災害時のメンタル不調でも同様に起こり、精神障害全般で認められます。措置入院を繰り返す人は医療だけでなく社会からも疎外されていく、措置症状を出さざるを得なくなるのは社会からの孤立に対するSOSでもあります。
患者が誰かと相談できる孤立しない体制づくり、これは精神科医療だけではできません。また、ストレスを生む社会問題に対し、精神科の薬やカウンセリングは必ずしも有効ではありません。医療機関だけでなく、様々な地域の関係機関が連携、協力して、継続して援助することが重要になります。
今回の法改正における精神障害者支援地域協議会の設置は、後で述べる精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の基盤にもなります。協議会の活用は、措置入院患者の退院後支援にとどまらず、広く全ての精神障害者の社会復帰、自立、社会経済活動の参加につながると思っております。
精神保健指定医に精神保健福祉指定医としての視点を。改正概要四、精神保健指定医制度の見直しについてです。
臨床の精神科医として、指定医の資質向上は最重要だと思います。さらに、今までお話ししてきたように、精神科医が精神障害患者と接するには、医療と保健福祉、両方の視点が必要です。入院医療中心から地域生活中心へと、精神保健福祉施策の基本的方策が出されて十年たちましたが、現場では精神科医療と地域精神保健福祉はまだまだうまく連携できていません。医療も保健福祉も車の両輪の関係にあります。どちらが欠けてもうまくいきません。
今回の改正の見直しで、厚生労働省令で定めるところにより行う研修で、精神科医に精神医学とともに地域保健福祉や人権擁護、公務員職務等に関する知識や技能が実務経験の中で身に付くことと確信しています。精神保健福祉指定医といった役割を担っていただけると有り難いです。
精神保健医療福祉と地域包括ケアシステム、我が事・丸ごと、いい町づくり。
これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会で、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が報告されています。これは、厚生省社会・援護局から出されている我が事・丸ごとの地域づくり、地域共生社会の実現にも関連しています。今回の法律は、精神障害者にとってもいい町づくりをもたらしてくれる、そういった法律の進展だと思っております。
課題です。
充実した体制を取るためには、医療にも保健福祉、精神保健福祉センターや保健所、地域の関係機関にも十分な予算と人員が必要です。体制整備にも時間が掛かります。医療、保健福祉の地域差も大きな課題です。拙速に進めることは事務処理だけが増え、かえって地域支援が形骸化し、地域差が拡大することになります。十分な検討が必要です。
以上です。
この発言だけを見る →基本的に、この配付している資料の一枚目、二枚目を御覧ください。後ろに説明の根拠となっている数字やポンチ絵、報告書その他の資料が付けられています。
まず、私の立場ですが、精神医療センター、百二十床の県立の精神科病院に勤務している普通の臨床精神科医です。週二回の外来と月二回の当直をしております。
精神保健福祉センター、地域精神保健福祉の中核となる公的機関の所長をしています。滋賀県のセンターでは、精神保健相談、自殺対策、引きこもり対策、知的障害相談、啓発活動、精神障害者手帳、通院公費負担、精神医療審査会、最近では、依存症対策、長期在院患者の地域移行支援、災害時心のケア等を行い、さらに精神科救急情報センターの業務を担っています。正規職員は二十一人で、保健師、精神保健福祉士、臨床心理士、事務職その他、多職種で、医者は私一人です。全国精神保健福祉センター長会に所属し、全国のセンター長と情報交換をしております。
精神科医の私が、医療と保健福祉、両方の領域、プラス県行政で活動している理由は、精神障害患者の支援には、医療、診断や薬物療法、精神療法、カウンセリングなどの治療だけでなく、保健福祉、人の関わりで健康を保ち、障害を補うことが重要だと考えているからです。そういう立場にある精神科医の意見としてお聞きください。
措置入院患者のフォローアップと精神科救急。改正概要二を御覧ください。措置入院患者が退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みの整備、いわゆる措置入院患者のフォローアップについてです。
滋賀県では、数年前からモデル事業として、措置入院患者のフォローアップ体制を取っております。まだまだ不完全、不十分ではありますが、今回の法律案に近いシステムだと思っています。ただ、事業を始めた経緯は、相模原の不幸な事件をきっかけにした成り立ちとは異なっています。精神科救急システムとリンクして、精神障害者の地域支援の視点で始まっているのです。
少し精神科救急の話をします。一般科では、例えば急な頭痛や腹痛で病院を緊急受診したいとき、全国どこでも電話で一一九番ダイヤルすれば、救急車が来て適切な救急病院まで運んでくれ、診察が受けられます。精神科では、急な精神不調が起こったときにどうするのか。これは、この対応は各自治体によって違います。滋賀県では、警察が介入せざるを得ないほどの精神障害のために自傷他害のおそれがある精神不調に対し、措置・緊急措置制度を活用して対応しています。警察等で保護された事例のところに行政職員が出向いていって、適切な調査を行い、必要に応じて警察等と連携を取りながら、協力いただいている民間公的精神科医療機関に搬送し、精神科診療を受けてもらっています。防犯ではなく、心病む精神障害者に一刻も早く適切な精神医療を受けてもらう目的で行っています。
措置・緊急措置対応は、平日昼間は保健所が、夜間、休日は救急情報センターが受け持ち、精神保健福祉センターや保健所の職員が泊まり込むなどして二十四時間三百六十五日対応しております。平成二十八年度の実績ですが、措置・緊急措置の申請件数は二百二十九件、そのうち警察官通報は百五十七件、うち救急情報センター職員の調査の上、措置・緊急措置診察になった事例数は九十五件、措置・緊急措置入院となった事例数は六十三件となります。
さて、精神科救急システムを平成二十一年から運用しているんですが、困ったことが起きます。措置・緊急措置入院を繰り返す事例があるのです。精神科救急として措置・緊急措置入院をしてもらっても、知らない間に退院して、また警察官通報が出て精神科救急システムに乗ってくる、入退院を繰り返す人が少なからずおられるのです。治療中断例が三七%、五回以上入院している事例も散見されました。退院しても、それからの日常の地域生活を応援していかないと病状悪化を来し救急化してしまう。言い方が悪いかもしれませんが、火消しばかりではなく、予防しないと患者のQOLは保たれないということが分かってきたのです。
このような背景から、滋賀県では、精神保健福祉センターと保健所が協力して、措置入院患者フォローアップ体制をつくりました。今回の法改正案で想定される措置・緊急措置患者に対し、入院中に保健所等を中心として関係機関が協議し、退院後も患者が支援を受けられることのできる体制は、このように地域の援助ニーズから自然発生的に生まれました。
夜間、休日の救急情報センターの当番職員として勤務している保健所保健師が、精神科救急による措置・緊急措置対応で精神科病院の入院時に患者と関わり、その患者が退院してからも保健所職員の立場で継続的に地域支援していることもしばしばあります。平成二十八年度の実績ですが、全ての措置入院患者五十九人のうち、入院中に精神保健福祉センター、保健所が何らかの関与、支援した患者は五十四人、九一・五%でした。
今回の法改正が進まなくても、滋賀県の現場スタッフは措置入院患者フォローアップ体制を続けます。精神科救急と退院後の地域支援は車の両輪の関係にあると考えているからです。どちらが欠けても地域の精神保健医療福祉は前進しません。今回の法改正で、国としてより良い仕組みが整備されることを期待します。
精神障害者の孤立を防ぐ。改正概要三、精神障害者支援地域協議会の設置についてです。
なぜ措置・緊急措置入院を繰り返す患者がいるのか。精神障害者の病状悪化は、医学的要因だけではなく、社会的要因が大きいからです。生活困窮、就労、高齢・介護、教育、住居その他、様々のストレスが誘因となって精神不調を来し、治療を中断、誰にも相談しなくなって更に病状が悪化、自傷他害行為を起こしてしまう。孤立から精神不調を悪化させるパターンは、自殺、依存症、引きこもり、災害時のメンタル不調でも同様に起こり、精神障害全般で認められます。措置入院を繰り返す人は医療だけでなく社会からも疎外されていく、措置症状を出さざるを得なくなるのは社会からの孤立に対するSOSでもあります。
患者が誰かと相談できる孤立しない体制づくり、これは精神科医療だけではできません。また、ストレスを生む社会問題に対し、精神科の薬やカウンセリングは必ずしも有効ではありません。医療機関だけでなく、様々な地域の関係機関が連携、協力して、継続して援助することが重要になります。
今回の法改正における精神障害者支援地域協議会の設置は、後で述べる精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の基盤にもなります。協議会の活用は、措置入院患者の退院後支援にとどまらず、広く全ての精神障害者の社会復帰、自立、社会経済活動の参加につながると思っております。
精神保健指定医に精神保健福祉指定医としての視点を。改正概要四、精神保健指定医制度の見直しについてです。
臨床の精神科医として、指定医の資質向上は最重要だと思います。さらに、今までお話ししてきたように、精神科医が精神障害患者と接するには、医療と保健福祉、両方の視点が必要です。入院医療中心から地域生活中心へと、精神保健福祉施策の基本的方策が出されて十年たちましたが、現場では精神科医療と地域精神保健福祉はまだまだうまく連携できていません。医療も保健福祉も車の両輪の関係にあります。どちらが欠けてもうまくいきません。
今回の改正の見直しで、厚生労働省令で定めるところにより行う研修で、精神科医に精神医学とともに地域保健福祉や人権擁護、公務員職務等に関する知識や技能が実務経験の中で身に付くことと確信しています。精神保健福祉指定医といった役割を担っていただけると有り難いです。
精神保健医療福祉と地域包括ケアシステム、我が事・丸ごと、いい町づくり。
これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会で、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が報告されています。これは、厚生省社会・援護局から出されている我が事・丸ごとの地域づくり、地域共生社会の実現にも関連しています。今回の法律は、精神障害者にとってもいい町づくりをもたらしてくれる、そういった法律の進展だと思っております。
課題です。
充実した体制を取るためには、医療にも保健福祉、精神保健福祉センターや保健所、地域の関係機関にも十分な予算と人員が必要です。体制整備にも時間が掛かります。医療、保健福祉の地域差も大きな課題です。拙速に進めることは事務処理だけが増え、かえって地域支援が形骸化し、地域差が拡大することになります。十分な検討が必要です。
以上です。
羽
桐
桐原尚之#8
○参考人(桐原尚之君) 全国「精神病」者集団運営委員の桐原です。本日はありがとうございます。
全国「精神病」者集団は、一九七四年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。精神保健福祉法は精神障害者への強制的なものを含む入退院手続を定めた法律であり、私たち精神障害者の生活に大きく関わるものとして強い関心を持ってまいりました。精神保健福祉法の手続に基づき入院したり退院したりする当事者は精神障害者だけです。そのため、精神保健福祉法の改正に当たっては、精神障害当事者の声を聞き、尊重してほしいと思っています。よろしくお願いします。
精神障害者の中には、強制的に入院され、数十年にわたって劣悪な処遇の精神科病院に入院している仲間が全国各地にたくさんいます。石郷岡病院での事件は記憶に新しいと思います。法律は人の人生に大きな被害をもたらすことがあります。そのため、私たちは、結成当初から精神保健福祉法、当時は精神衛生法、それ自体の廃止を求めて運動をしてきました。
非自発的入院の廃止の主張は、世界に精神障害者の運動で共通しており、私たちのことを私たち抜きで決めるなの精神を反映してできた障害者権利条約の要請するところと一致しています。障害者権利条約第十四条は、障害を理由とした人身の自由の剥奪を禁止しており、精神障害者であることを要件とした非自発的入院制度は障害者権利条約に違反すると指摘されています。
しかし、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会では、障害者権利条約の趣旨や整合性を確認するための検討が一切なされませんでした。また、障害者権利条約では、障害当事者の政策の決定過程からの参画を求めています。しかし、精神障害当事者が少なく、障害当事者の声はほとんど反映されることはありませんでした。
相模原事件の月命日は全国各地で障害者団体による集会が持たれ、相模原事件は差別と優生思想の問題であり、措置入院の問題ではないという主張が確認されてきました。しかし、この改正法案は、そうした障害者の声と真逆の方向を示していると考えます。本日、追加資料でお渡ししたんですけれども、各地で集会されたリストを挟みました。
改正法案は、相模原市の障害者支援施設の事件の再発防止が改正の趣旨であるとされています。この間の塩崎大臣の答弁では、相模原事件の再発防止は目的ではなく、相模原事件の再発防止を契機に発見された課題を見直したものと答弁されていましたが、文字の配列を変えただけ、つじつま合わせなのではないかと、そういうふうに感じました。一般の国民が納得いく説明とは思えませんでした。
おととし、私の同郷の友人が神奈川県下の精神科病院に警察官通報で措置入院になり、入院後五日目にして身体拘束中に死亡しました。彼は、面会に来た母親に対して、今すぐ退院させてくれないと殺されてしまうというふうに叫んで訴えました。これは前日訴えたんです。精神科病院において、こうした事件というのは比較的頻繁に起きています。
本改正では、相模原事件の再発防止策として、措置入院者の退院後支援というのが規定されました。措置入院者に対して、原則として、入院中から警察関係者を構成員として想定した精神障害者支援地域協議会の関与の下、退院後支援計画を作成する制度が新設されます。これは兵庫県の継続支援チームなどをモデルにしたと思われますが、継続支援チームの介入をストレスに感じて再発した人や、たまたま評判の悪い病院に輪番で、精神科救急の当番であったため入院し、そのまま当該病院への通院を強いられて体調を崩した例などを仲間を通じて知りました。やはり、退院後フォローアップ、兵庫県のものは犯罪防止というような部分から出てきたような側面があります。実際の生活場面でも、精神障害者にとって日常生活の重圧になっている点で問題があると思います。
厚生労働省は改正法案が監視ではないと言いますが、現行の精神保健福祉法の運用自体が既に社会防衛的であり、監視的な側面を持っていると思います。なので、より監視的になるという意味で、精神障害当事者の多くは措置入院者退院後支援を恐れています。措置入院になったらグレーゾーンと診断されて無期限に監視されるかもしれない、そうならないためにも、措置入院になる前に家族等に医療保護入院にしてもらおうかということを相談しておこうとか、そうすれば措置入院だけは回避できると、そういった形で、退院後支援に乗らないための具体的な方策が障害者団体員の中で話し合われたりしています。
退院後支援計画は、必要に応じて本人を参加させ、極力本人が決定に携われるようにするという答弁がありましたけれども、そもそも無理やり措置入院にされた後、精神障害者は、自分の決定を大きく否定、無力化されているわけですから、退院後の計画について真に自由意思に基づいて同意できるような状態ではなくなっています。第一、退院後のこと自体が分からないし、何で計画を立てるのかも分からない。私たちに必要な支援は、こうした、決定はできないという状態からの権利の回復をするためのものでなければならないというふうに思います。
私たちは、最低でも、支援と名を打つのであれば、退院後支援計画は本人の参加を原則とすること、計画期間に上限を設けて、周期を自分で決められるようにすること、それから、精神障害者支援地域協議会に警察関係者が入らないようにすることが必要だと思います。私は、たとえ自殺防止のためであっても、警察官には見回りに来てほしくないと思っています。
措置入院者の退院後支援の立法事実は、相模原事件の再発防止において発見された制度的不備とされています。しかし、現時点で容疑者の行為と疾病の因果関係で裁判は明らかにされてはおらず、鑑定留置の結果では責任能力ありとされました。この事件は、警察が初動で施設側に犯行手順の書かれた容疑者の手紙を見せなかったために施設側の警備意識が高められず引き起こされた事件という側面があり、それが容疑者に措置入院歴があったことが報道されたことで、精神障害の問題にすり替えられたものだというふうに思っています。
また、精神障害者の問題にすり替えられた原因は、措置入院という制度の構造に内在した問題に由来しているのではないかと思います。未来予測は科学をもってしても不可能な領域とされていますが、措置入院は、精神保健指定医がおそれを認められると仮定して成り立っています。それでも、完全に他害を防ぐことというのはできないわけですから、他害等が起きたとき、未来予測が可能であるという建前に立脚してしまった、その上での責任というものが発生するため、なぜ防げなかったんだという論点が生起してしまいます。この連鎖を断ち切るためにも、精神障害者に対する非自発的入院の廃止に向けた抜本的な見直しが不可欠ではないかというふうに思います。
私は、精神障害当事者として、精神障害を理由とした非自発的入院それから行動制限、これは隔離、身体拘束が含まれますけれども、特に身体拘束というのは、されたら、とても人格を否定されたというような気持ちにさせられます。こういったものの廃止に向けた取組を求めるとともに、本改正法案に対しては審議を一から検討し直してほしいというふうに強く思っています。
少し時間が余りましたけれども、僕からはこれで陳述を終わりにさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →全国「精神病」者集団は、一九七四年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。精神保健福祉法は精神障害者への強制的なものを含む入退院手続を定めた法律であり、私たち精神障害者の生活に大きく関わるものとして強い関心を持ってまいりました。精神保健福祉法の手続に基づき入院したり退院したりする当事者は精神障害者だけです。そのため、精神保健福祉法の改正に当たっては、精神障害当事者の声を聞き、尊重してほしいと思っています。よろしくお願いします。
精神障害者の中には、強制的に入院され、数十年にわたって劣悪な処遇の精神科病院に入院している仲間が全国各地にたくさんいます。石郷岡病院での事件は記憶に新しいと思います。法律は人の人生に大きな被害をもたらすことがあります。そのため、私たちは、結成当初から精神保健福祉法、当時は精神衛生法、それ自体の廃止を求めて運動をしてきました。
非自発的入院の廃止の主張は、世界に精神障害者の運動で共通しており、私たちのことを私たち抜きで決めるなの精神を反映してできた障害者権利条約の要請するところと一致しています。障害者権利条約第十四条は、障害を理由とした人身の自由の剥奪を禁止しており、精神障害者であることを要件とした非自発的入院制度は障害者権利条約に違反すると指摘されています。
しかし、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会では、障害者権利条約の趣旨や整合性を確認するための検討が一切なされませんでした。また、障害者権利条約では、障害当事者の政策の決定過程からの参画を求めています。しかし、精神障害当事者が少なく、障害当事者の声はほとんど反映されることはありませんでした。
相模原事件の月命日は全国各地で障害者団体による集会が持たれ、相模原事件は差別と優生思想の問題であり、措置入院の問題ではないという主張が確認されてきました。しかし、この改正法案は、そうした障害者の声と真逆の方向を示していると考えます。本日、追加資料でお渡ししたんですけれども、各地で集会されたリストを挟みました。
改正法案は、相模原市の障害者支援施設の事件の再発防止が改正の趣旨であるとされています。この間の塩崎大臣の答弁では、相模原事件の再発防止は目的ではなく、相模原事件の再発防止を契機に発見された課題を見直したものと答弁されていましたが、文字の配列を変えただけ、つじつま合わせなのではないかと、そういうふうに感じました。一般の国民が納得いく説明とは思えませんでした。
おととし、私の同郷の友人が神奈川県下の精神科病院に警察官通報で措置入院になり、入院後五日目にして身体拘束中に死亡しました。彼は、面会に来た母親に対して、今すぐ退院させてくれないと殺されてしまうというふうに叫んで訴えました。これは前日訴えたんです。精神科病院において、こうした事件というのは比較的頻繁に起きています。
本改正では、相模原事件の再発防止策として、措置入院者の退院後支援というのが規定されました。措置入院者に対して、原則として、入院中から警察関係者を構成員として想定した精神障害者支援地域協議会の関与の下、退院後支援計画を作成する制度が新設されます。これは兵庫県の継続支援チームなどをモデルにしたと思われますが、継続支援チームの介入をストレスに感じて再発した人や、たまたま評判の悪い病院に輪番で、精神科救急の当番であったため入院し、そのまま当該病院への通院を強いられて体調を崩した例などを仲間を通じて知りました。やはり、退院後フォローアップ、兵庫県のものは犯罪防止というような部分から出てきたような側面があります。実際の生活場面でも、精神障害者にとって日常生活の重圧になっている点で問題があると思います。
厚生労働省は改正法案が監視ではないと言いますが、現行の精神保健福祉法の運用自体が既に社会防衛的であり、監視的な側面を持っていると思います。なので、より監視的になるという意味で、精神障害当事者の多くは措置入院者退院後支援を恐れています。措置入院になったらグレーゾーンと診断されて無期限に監視されるかもしれない、そうならないためにも、措置入院になる前に家族等に医療保護入院にしてもらおうかということを相談しておこうとか、そうすれば措置入院だけは回避できると、そういった形で、退院後支援に乗らないための具体的な方策が障害者団体員の中で話し合われたりしています。
退院後支援計画は、必要に応じて本人を参加させ、極力本人が決定に携われるようにするという答弁がありましたけれども、そもそも無理やり措置入院にされた後、精神障害者は、自分の決定を大きく否定、無力化されているわけですから、退院後の計画について真に自由意思に基づいて同意できるような状態ではなくなっています。第一、退院後のこと自体が分からないし、何で計画を立てるのかも分からない。私たちに必要な支援は、こうした、決定はできないという状態からの権利の回復をするためのものでなければならないというふうに思います。
私たちは、最低でも、支援と名を打つのであれば、退院後支援計画は本人の参加を原則とすること、計画期間に上限を設けて、周期を自分で決められるようにすること、それから、精神障害者支援地域協議会に警察関係者が入らないようにすることが必要だと思います。私は、たとえ自殺防止のためであっても、警察官には見回りに来てほしくないと思っています。
措置入院者の退院後支援の立法事実は、相模原事件の再発防止において発見された制度的不備とされています。しかし、現時点で容疑者の行為と疾病の因果関係で裁判は明らかにされてはおらず、鑑定留置の結果では責任能力ありとされました。この事件は、警察が初動で施設側に犯行手順の書かれた容疑者の手紙を見せなかったために施設側の警備意識が高められず引き起こされた事件という側面があり、それが容疑者に措置入院歴があったことが報道されたことで、精神障害の問題にすり替えられたものだというふうに思っています。
また、精神障害者の問題にすり替えられた原因は、措置入院という制度の構造に内在した問題に由来しているのではないかと思います。未来予測は科学をもってしても不可能な領域とされていますが、措置入院は、精神保健指定医がおそれを認められると仮定して成り立っています。それでも、完全に他害を防ぐことというのはできないわけですから、他害等が起きたとき、未来予測が可能であるという建前に立脚してしまった、その上での責任というものが発生するため、なぜ防げなかったんだという論点が生起してしまいます。この連鎖を断ち切るためにも、精神障害者に対する非自発的入院の廃止に向けた抜本的な見直しが不可欠ではないかというふうに思います。
私は、精神障害当事者として、精神障害を理由とした非自発的入院それから行動制限、これは隔離、身体拘束が含まれますけれども、特に身体拘束というのは、されたら、とても人格を否定されたというような気持ちにさせられます。こういったものの廃止に向けた取組を求めるとともに、本改正法案に対しては審議を一から検討し直してほしいというふうに強く思っています。
少し時間が余りましたけれども、僕からはこれで陳述を終わりにさせていただきたいと思います。
羽
池
池原毅和#10
○参考人(池原毅和君) 私からは五点申し上げたいと思います。お手元にA4三枚の精神保健福祉法の改正についてと題する書面がありますので、お目通しいただきながらお聞きくださればと思います。
まず第一点目は、我が国の精神医療については国連から度重ねて改善を求められているという点であります。
その要点は、一つは、我が国の措置入院あるいは医療保護入院、両方ですけれども、要件が極めて広範である、つまり広過ぎるということですね。二点目は、諸外国に比べて強制入院が余りにも多用されている。これはOECD諸国の平均値の四倍の強制入院率というふうに言われています。三点目は、自由の剥奪を行っているにもかかわらず、弁護人に相当するような人権擁護者が法律上用意されていないと、この三点に集約されておりまして、自由権規約委員会からは一回、それから拷問等禁止委員会からは二回指摘を受けておりますが、その点についての改善がなされていません。
とりわけ、先生方はその措置入院の対象になった人がどんな人たちかというイメージをお持ちか分からないんですけれども、日常的に我々が体験するところでは、例えば、DVがもめて、どちらかの配偶者が問題があるということで措置入院の通報をして措置入院になった事例とか、あるいは近隣迷惑が発展して措置入院になった事例などが日常的にはよく見られて、むしろ相模原事件のようなものは極めて例外的です。
さらに、先ほど精神科救急の話もありましたけれども、精神科救急の代用として措置入院が使われている場合もあって、その場合には自傷他害の危険性というのがかなり低くても、例えば自閉が非常に長く続いているとか精神的に混迷しているとか、精神的な運動興奮状態にあるということで救急医療として措置入院が代用されているという場合もあります。つまり、これは要件が極めて広範なので様々な人が措置入院に流れ込んでくるということですね。その結果、今回の退院後のかぎ括弧付き支援ですけれども、それは、そうした雑多な人たちに全て無期限なフォローアップを行っていくという意味で大きな問題を残している。
国際的には、こうした強制入院は極小化していくべきだというのが大きな流れでありますし、国際人権規範の要請ですけれども、日本は残念ながら逆行しているというふうに言わざるを得ないと思います。
そして、平成二十五年の衆議院、参議院の両議院での精神保健福祉法改正についての附帯決議では、障害者権利条約の理念に基づいて具体的な法改正を行っていくということがされているわけですけれども、二ページ目を見ていただきますと、では、その障害者権利条約はどういうことを言っているかということで、既に御審議の中で何回か出ているようですけれども、障害者権利条約十四条は、障害に基づく障害を理由とした自由の剥奪は許されないというふうに言っております。これについての解釈について、障害者権利委員会が十四条のガイドラインというのを提示しております。また、国連人権高等弁務官事務所もこの解釈を示しておりまして、その要点は、つまり、精神障害以外に自傷他害のおそれとか、あるいは医療の必要性という要件が付加されても、やはり強制入院は許されないということを明確に宣言しております。
実は、これは権利条約の策定の過程で日本政府が精神障害のみを理由とした強制入院は許されないという規定にできないだろうかという提案をしたんですけれども、それが否定された結果、現在の規定になっています。つまり、それは、現在の規定というのは、明らかに自傷他害のおそれが加わってもやはり強制入院は許されないというのが十四条の趣旨であるという立場は明らかだということです。
二番目は、非自発的介入、強制入院を含めてですね、こうしたものが反治療的作用を持っているということです。
これも障害者権利委員会が国際的な常識として提示しているところですけれども、強制治療というのは効果がないということ、それが経験的に明らかにされているということと、強制治療の結果、深い苦痛とトラウマを患者に与えるということが指摘されています。
我々は、どちらかというと早期に強制的に医療の介入をすることがいいというふうに思ってしまいがちですけれども、これが患者さんには非常につらい経験になるということを無視してはいけないと思います。私の日常的な業務の経験でも、措置入院になった多くの方が、もう二度と精神科には行きたくないと、精神科のお医者さんはとんでもないというふうにおっしゃって、訴えたいという方はたくさんいらっしゃいます。
措置入院の経験者がなぜ医療中断をしてしまうのか。それについて、我々はともすると病識が乏しいからだというふうに考えてしまいがちですけれども、無理やりな強制的介入をした結果、かえって医療に対する敵対心とか反発心を深めてしまう、その結果、医療を受けることができなくなってしまうと、こういう反作用を持っているということについての視点が極めて重要だというふうに考えます。
三番目は、その通院を継続させるための措置が実際にはそれほど効果がないということですね。
これは国際的な研究で、裁判所の命令等によって通院を強制したグループとそれから自発的に通院をするという普通の一般的な医療との間で比較対照してみますと、その裁判所の命令で通院をしなければならないとされたグループの治療効果が特段認められないという実証的な結果が言われています。
確かに、今回の法改正で提案されている通院の継続というのは、法律的には義務ではないですけれども、しかし、措置入院という厳しい強制を受けた後に周囲の人から治療を継続するように事実上強制されるという結果になりますので、そうしたことをしてみたところで結果的にはほとんど効果が上がらないということです。
ちなみに、三ページ目を見ていただきますと、これは重大なことですけれども、心神喪失者等医療観察法、これは、強制入院の後に通院の義務付け化といいますか、通院の継続を確保する方法を定めているわけですけれども、この法律が施行されて十一年の間に五十二名の方が自殺をされています。
この五十二名というのは、自殺の、自死の意思が明らかである、遺書を書いているとか、あるいは自殺の方法が縊首、首をつって死んでいるとか、そういうことで自殺であることが明確な、しかも自殺が既遂の事例です。未遂の事例とか、あるいは自死の意思が明確でないものとか、あるいは自殺行為から死亡までの間に時間の経過があって因果関係が明確でないものというのは、この五十二名からは除かれています。
ですから、かなり正確ではあるけれども、もっと裾野の広い数字というふうに考えなければなりませんけれども、これを今までに医療観察法で入院又は通院の処遇を受けた人の総数から算出しますと、自殺率が一・五六%ということになります。下の方の注を見ていただきますと、これは新潟県での調査ですけれども、一般の精神医療を受けた方の自殺率というのが一%を超えるということはないわけですね、〇・数%です。ですから、際立った数字になっている。
これはどういうことを意味しているかというと、強制的な医療ということが非常に強い反作用を持っていると。患者の心に深い傷を負わせたり、自尊心を傷つけると、そのことが自殺を誘発するということが容易に想定されるわけです。この点についてはもっと調査が必要だと思いますけれども、安易に医療を強制していくということがいいことではないということに十分注意を払う必要があるということです。
四点目は、警察が関わることの問題点ですけれども、一つは精神医療そのものにとってはどうかと。
これは、結局、精神障害者あるいは措置入院の対象になった精神障害者は、ある種特別な処遇の対象にするということです。それは、逆に言えば、社会に対して精神障害者をあぶり出していくということですね。あるいは、措置入院の対象になった人をあぶり出していくという結果になってしまう。少なくとも、ノーマライゼーションという考え方とは全く逆です。ノーマライゼーションというのは、みんな同じように取り扱っていきましょう、なるべく特殊化しないということですけど、今回の方法は特殊化していくという方法ですから、全く逆の方向を取っている。
それから、精神医療から考えると、グレーゾーンの人たちが医療ではなくて警察でやってくれるというのは、これは医療を純化するという意味では、つまり医療を治安化しないという意味ではいい面があるんですけれども、じゃ、グレーゾーンの人たちってどういう人たちなのかというと、書かれているところによると、確固たる意思を持って犯罪を行おうとしている状態であると。でも、これはまだ頭の中で考えているだけの状態ですよね。そうすると、これは変ですけれども、共謀罪以上に本人の内心の問題に介入していくということを認めるということになります。これは、それ自体、やはり刑事司法の中で重大な問題を引き起こすだろうというふうに私は考えております。
最後、五点目ですけれども、これは医療保護入院に関してですが、医療保護入院は、今回、もし家族等が意思を表明しない場合には市町村長同意でできるということになっているということですけれども、これは家族同意も含めてですが、果たして、こうした医師の判断以外に同意者を含めることが効果があるのかどうかということですね。
制度的には、要件が加わるので人権保障に資するように思います。しかし、ちょっと反省として振り返ってみますと、精神科の中で隔離、拘束を行うことを行動制限というんですけれども、行動制限が慎重に行われるようにするために、行動制限最小化委員会というのを設置するというのが二〇〇四年に定められました。ところが、皮肉なことに、それ以降、隔離、拘束数は急激に増大しているんですね。なぜだろうかと。それは、隔離、拘束を指定医の方が単独で決めなければいけないとすると自分には重い責任が掛かります。しかし、行動制限最小化委員会がオーケーをしてくれれば自分だけの責任ではないということになります。つまり、これは責任分散システムとしての効果を持つことになるわけですね。
ですから、家族同意とか市町村同意を入れることは、一見すると人権保障に資するように見えますけれども、結果的にはむしろ人権を制約する方向に働いてしまう。更に言うと、ある調査では、市町村長同意やったときに、市町村の職員が患者さんに会いに行っているか調べると、ほとんど会いに行っていません。入院後面会に行っているか、一年に一回会いに行っているのがせいぜい、行っていないという自治体もたくさんあります。つまり、これは単なる書面上の処理に終わってしまうということになるので、この点についても十分御配慮をいただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
この発言だけを見る →まず第一点目は、我が国の精神医療については国連から度重ねて改善を求められているという点であります。
その要点は、一つは、我が国の措置入院あるいは医療保護入院、両方ですけれども、要件が極めて広範である、つまり広過ぎるということですね。二点目は、諸外国に比べて強制入院が余りにも多用されている。これはOECD諸国の平均値の四倍の強制入院率というふうに言われています。三点目は、自由の剥奪を行っているにもかかわらず、弁護人に相当するような人権擁護者が法律上用意されていないと、この三点に集約されておりまして、自由権規約委員会からは一回、それから拷問等禁止委員会からは二回指摘を受けておりますが、その点についての改善がなされていません。
とりわけ、先生方はその措置入院の対象になった人がどんな人たちかというイメージをお持ちか分からないんですけれども、日常的に我々が体験するところでは、例えば、DVがもめて、どちらかの配偶者が問題があるということで措置入院の通報をして措置入院になった事例とか、あるいは近隣迷惑が発展して措置入院になった事例などが日常的にはよく見られて、むしろ相模原事件のようなものは極めて例外的です。
さらに、先ほど精神科救急の話もありましたけれども、精神科救急の代用として措置入院が使われている場合もあって、その場合には自傷他害の危険性というのがかなり低くても、例えば自閉が非常に長く続いているとか精神的に混迷しているとか、精神的な運動興奮状態にあるということで救急医療として措置入院が代用されているという場合もあります。つまり、これは要件が極めて広範なので様々な人が措置入院に流れ込んでくるということですね。その結果、今回の退院後のかぎ括弧付き支援ですけれども、それは、そうした雑多な人たちに全て無期限なフォローアップを行っていくという意味で大きな問題を残している。
国際的には、こうした強制入院は極小化していくべきだというのが大きな流れでありますし、国際人権規範の要請ですけれども、日本は残念ながら逆行しているというふうに言わざるを得ないと思います。
そして、平成二十五年の衆議院、参議院の両議院での精神保健福祉法改正についての附帯決議では、障害者権利条約の理念に基づいて具体的な法改正を行っていくということがされているわけですけれども、二ページ目を見ていただきますと、では、その障害者権利条約はどういうことを言っているかということで、既に御審議の中で何回か出ているようですけれども、障害者権利条約十四条は、障害に基づく障害を理由とした自由の剥奪は許されないというふうに言っております。これについての解釈について、障害者権利委員会が十四条のガイドラインというのを提示しております。また、国連人権高等弁務官事務所もこの解釈を示しておりまして、その要点は、つまり、精神障害以外に自傷他害のおそれとか、あるいは医療の必要性という要件が付加されても、やはり強制入院は許されないということを明確に宣言しております。
実は、これは権利条約の策定の過程で日本政府が精神障害のみを理由とした強制入院は許されないという規定にできないだろうかという提案をしたんですけれども、それが否定された結果、現在の規定になっています。つまり、それは、現在の規定というのは、明らかに自傷他害のおそれが加わってもやはり強制入院は許されないというのが十四条の趣旨であるという立場は明らかだということです。
二番目は、非自発的介入、強制入院を含めてですね、こうしたものが反治療的作用を持っているということです。
これも障害者権利委員会が国際的な常識として提示しているところですけれども、強制治療というのは効果がないということ、それが経験的に明らかにされているということと、強制治療の結果、深い苦痛とトラウマを患者に与えるということが指摘されています。
我々は、どちらかというと早期に強制的に医療の介入をすることがいいというふうに思ってしまいがちですけれども、これが患者さんには非常につらい経験になるということを無視してはいけないと思います。私の日常的な業務の経験でも、措置入院になった多くの方が、もう二度と精神科には行きたくないと、精神科のお医者さんはとんでもないというふうにおっしゃって、訴えたいという方はたくさんいらっしゃいます。
措置入院の経験者がなぜ医療中断をしてしまうのか。それについて、我々はともすると病識が乏しいからだというふうに考えてしまいがちですけれども、無理やりな強制的介入をした結果、かえって医療に対する敵対心とか反発心を深めてしまう、その結果、医療を受けることができなくなってしまうと、こういう反作用を持っているということについての視点が極めて重要だというふうに考えます。
三番目は、その通院を継続させるための措置が実際にはそれほど効果がないということですね。
これは国際的な研究で、裁判所の命令等によって通院を強制したグループとそれから自発的に通院をするという普通の一般的な医療との間で比較対照してみますと、その裁判所の命令で通院をしなければならないとされたグループの治療効果が特段認められないという実証的な結果が言われています。
確かに、今回の法改正で提案されている通院の継続というのは、法律的には義務ではないですけれども、しかし、措置入院という厳しい強制を受けた後に周囲の人から治療を継続するように事実上強制されるという結果になりますので、そうしたことをしてみたところで結果的にはほとんど効果が上がらないということです。
ちなみに、三ページ目を見ていただきますと、これは重大なことですけれども、心神喪失者等医療観察法、これは、強制入院の後に通院の義務付け化といいますか、通院の継続を確保する方法を定めているわけですけれども、この法律が施行されて十一年の間に五十二名の方が自殺をされています。
この五十二名というのは、自殺の、自死の意思が明らかである、遺書を書いているとか、あるいは自殺の方法が縊首、首をつって死んでいるとか、そういうことで自殺であることが明確な、しかも自殺が既遂の事例です。未遂の事例とか、あるいは自死の意思が明確でないものとか、あるいは自殺行為から死亡までの間に時間の経過があって因果関係が明確でないものというのは、この五十二名からは除かれています。
ですから、かなり正確ではあるけれども、もっと裾野の広い数字というふうに考えなければなりませんけれども、これを今までに医療観察法で入院又は通院の処遇を受けた人の総数から算出しますと、自殺率が一・五六%ということになります。下の方の注を見ていただきますと、これは新潟県での調査ですけれども、一般の精神医療を受けた方の自殺率というのが一%を超えるということはないわけですね、〇・数%です。ですから、際立った数字になっている。
これはどういうことを意味しているかというと、強制的な医療ということが非常に強い反作用を持っていると。患者の心に深い傷を負わせたり、自尊心を傷つけると、そのことが自殺を誘発するということが容易に想定されるわけです。この点についてはもっと調査が必要だと思いますけれども、安易に医療を強制していくということがいいことではないということに十分注意を払う必要があるということです。
四点目は、警察が関わることの問題点ですけれども、一つは精神医療そのものにとってはどうかと。
これは、結局、精神障害者あるいは措置入院の対象になった精神障害者は、ある種特別な処遇の対象にするということです。それは、逆に言えば、社会に対して精神障害者をあぶり出していくということですね。あるいは、措置入院の対象になった人をあぶり出していくという結果になってしまう。少なくとも、ノーマライゼーションという考え方とは全く逆です。ノーマライゼーションというのは、みんな同じように取り扱っていきましょう、なるべく特殊化しないということですけど、今回の方法は特殊化していくという方法ですから、全く逆の方向を取っている。
それから、精神医療から考えると、グレーゾーンの人たちが医療ではなくて警察でやってくれるというのは、これは医療を純化するという意味では、つまり医療を治安化しないという意味ではいい面があるんですけれども、じゃ、グレーゾーンの人たちってどういう人たちなのかというと、書かれているところによると、確固たる意思を持って犯罪を行おうとしている状態であると。でも、これはまだ頭の中で考えているだけの状態ですよね。そうすると、これは変ですけれども、共謀罪以上に本人の内心の問題に介入していくということを認めるということになります。これは、それ自体、やはり刑事司法の中で重大な問題を引き起こすだろうというふうに私は考えております。
最後、五点目ですけれども、これは医療保護入院に関してですが、医療保護入院は、今回、もし家族等が意思を表明しない場合には市町村長同意でできるということになっているということですけれども、これは家族同意も含めてですが、果たして、こうした医師の判断以外に同意者を含めることが効果があるのかどうかということですね。
制度的には、要件が加わるので人権保障に資するように思います。しかし、ちょっと反省として振り返ってみますと、精神科の中で隔離、拘束を行うことを行動制限というんですけれども、行動制限が慎重に行われるようにするために、行動制限最小化委員会というのを設置するというのが二〇〇四年に定められました。ところが、皮肉なことに、それ以降、隔離、拘束数は急激に増大しているんですね。なぜだろうかと。それは、隔離、拘束を指定医の方が単独で決めなければいけないとすると自分には重い責任が掛かります。しかし、行動制限最小化委員会がオーケーをしてくれれば自分だけの責任ではないということになります。つまり、これは責任分散システムとしての効果を持つことになるわけですね。
ですから、家族同意とか市町村同意を入れることは、一見すると人権保障に資するように見えますけれども、結果的にはむしろ人権を制約する方向に働いてしまう。更に言うと、ある調査では、市町村長同意やったときに、市町村の職員が患者さんに会いに行っているか調べると、ほとんど会いに行っていません。入院後面会に行っているか、一年に一回会いに行っているのがせいぜい、行っていないという自治体もたくさんあります。つまり、これは単なる書面上の処理に終わってしまうということになるので、この点についても十分御配慮をいただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
羽
羽生田俊#11
○委員長(羽生田俊君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
高
高階恵美子#12
○高階恵美子君 自民党の高階恵美子です。
参考人の皆様、今日は、お忙しい中をお運びいただき、貴重な御意見を賜りました。誠にありがとうございます。
私は、地域精神保健活動というのは、健康生活を送る上で必要な支援に軸足があって、そして犯罪とは一線画すものであるということをまず明確にしたいと思います。そして、全ての入院及び医療というのは、適切な説明とそして本人同意に基づいて提供される、これが前提であるというふうに思っています。その上で、今日は皆様に御意見を伺いたいと思います。
まずは、入院医療についてなんですが、できれば山本先生からは学識のお立場から、そして桐原参考人からは当事者としてお答えいただければ有り難いなというふうに思うんですが、病のために意思表示あるいは治療の選択が難しい状況にある場合、御本人を守ってそして適切な医療サービスを受けていただくために、精神科領域では指定医による判断を基にした入院加療が法定化されているという状況にあります。特に現場では、やむなく措置入院となった方について、一日も早く措置解除に向かい、そして社会復帰へ、こういった思いの中で様々なケアというのが工夫されているというのが多いというふうに私は思いたいし、思っています。
こうした中でポイントとなるのは、今回の改正が医療を受ける方々の尊厳が守られるような形に本当になっているのかどうかということと、それから、やむなく措置入院となった方々の退院に向けた優しい支援というのが本当に実効性を持って用意できるのかどうかということにあるんじゃないかなというふうに思っています。
私は、特に退院調整という、現行の一般的な医療機関の中では既に加算ということで認められているもの、これが精神科領域の場合には少し置かれ方が違っているところに関心がありまして、例えば、入院期間が五年を超えるケースへの支援であるとか、あるいは一年を超える入院になると見込まれる方への相談調整というのは既に対応がされているわけなんですけれども、このところが今まではなかった。でも、今回の法改正では、措置入院ということに限って超早期の退院調整という仕組みを講じることになるというふうに思うんです。
非常に状態の不安定なとき、そして御自身でも入院の経緯とか当初の治療計画がどうであるかということが十分にのみ込めないような状況、あるいは特に初回の入院の方の場合は、先ほどお話があったように、強い不安とか不信感を感じやすい、疑念を持っておられる、こういう状況の中で支援を行っていくということになりますので、医療機関内にどういう人を配置し、そしてどういった処遇で、どういった陣容でこの支援というのを実効性のあるものに、御本人にとって有益なものにしていくことができ得るのか、具体的なアイデアというか、こんなことが欲しいというものがもしおありになりましたら、お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →参考人の皆様、今日は、お忙しい中をお運びいただき、貴重な御意見を賜りました。誠にありがとうございます。
私は、地域精神保健活動というのは、健康生活を送る上で必要な支援に軸足があって、そして犯罪とは一線画すものであるということをまず明確にしたいと思います。そして、全ての入院及び医療というのは、適切な説明とそして本人同意に基づいて提供される、これが前提であるというふうに思っています。その上で、今日は皆様に御意見を伺いたいと思います。
まずは、入院医療についてなんですが、できれば山本先生からは学識のお立場から、そして桐原参考人からは当事者としてお答えいただければ有り難いなというふうに思うんですが、病のために意思表示あるいは治療の選択が難しい状況にある場合、御本人を守ってそして適切な医療サービスを受けていただくために、精神科領域では指定医による判断を基にした入院加療が法定化されているという状況にあります。特に現場では、やむなく措置入院となった方について、一日も早く措置解除に向かい、そして社会復帰へ、こういった思いの中で様々なケアというのが工夫されているというのが多いというふうに私は思いたいし、思っています。
こうした中でポイントとなるのは、今回の改正が医療を受ける方々の尊厳が守られるような形に本当になっているのかどうかということと、それから、やむなく措置入院となった方々の退院に向けた優しい支援というのが本当に実効性を持って用意できるのかどうかということにあるんじゃないかなというふうに思っています。
私は、特に退院調整という、現行の一般的な医療機関の中では既に加算ということで認められているもの、これが精神科領域の場合には少し置かれ方が違っているところに関心がありまして、例えば、入院期間が五年を超えるケースへの支援であるとか、あるいは一年を超える入院になると見込まれる方への相談調整というのは既に対応がされているわけなんですけれども、このところが今まではなかった。でも、今回の法改正では、措置入院ということに限って超早期の退院調整という仕組みを講じることになるというふうに思うんです。
非常に状態の不安定なとき、そして御自身でも入院の経緯とか当初の治療計画がどうであるかということが十分にのみ込めないような状況、あるいは特に初回の入院の方の場合は、先ほどお話があったように、強い不安とか不信感を感じやすい、疑念を持っておられる、こういう状況の中で支援を行っていくということになりますので、医療機関内にどういう人を配置し、そしてどういった処遇で、どういった陣容でこの支援というのを実効性のあるものに、御本人にとって有益なものにしていくことができ得るのか、具体的なアイデアというか、こんなことが欲しいというものがもしおありになりましたら、お伺いしたいと思います。
山
山本輝之#13
○参考人(山本輝之君) ありがとうございます。
今回の改正におきましては、措置入院に関しましても病院管理者が退院後生活環境相談員を選任するという規定を設けておりまして、これによって退院後に向けた生活環境の調整というものを責任を持って行うという体制が整えられるだろうというふうに考えております。
具体的にどういう職種の人ということにつきましては様々な場合があると思うんですけれども、一応、例えば精神保健福祉士の方とかあるいは保健師の方とか、あるいは看護師の方も必要かもしれません、そういう方が中心になってこの退院後相談環境の整備ということを推し進めていくということが考えられるんじゃないだろうかというふうに思っております。
この発言だけを見る →今回の改正におきましては、措置入院に関しましても病院管理者が退院後生活環境相談員を選任するという規定を設けておりまして、これによって退院後に向けた生活環境の調整というものを責任を持って行うという体制が整えられるだろうというふうに考えております。
具体的にどういう職種の人ということにつきましては様々な場合があると思うんですけれども、一応、例えば精神保健福祉士の方とかあるいは保健師の方とか、あるいは看護師の方も必要かもしれません、そういう方が中心になってこの退院後相談環境の整備ということを推し進めていくということが考えられるんじゃないだろうかというふうに思っております。
桐
桐原尚之#14
○参考人(桐原尚之君) 僕が病気になったときは十二歳のときで、そのときに初めて地元の精神保健福祉センターの診療所に通院したんですけれども、そのときは入院を勧められました。入院して良くなるとは限らないというふうに主治医に言われ、父は入院させた方がいいような悪いようなということで余り態度を決められなかったんですけど、母が猛烈に入院に反対したため、入院が見送られました。その後、特に良くなったわけではないんですけれども、五年が過ぎた段階でセルフ・ヘルプ・グループと関わるようになり、三か月ぐらいで今まで抱えていた症状が劇的になくなりました。で、今こうやっていろいろな活動ができるようになっています。
医療関係者が医療システムの中で精神障害者に関わるというだけではなく、もっといろんな地域の人が関われるような、そういったシステムに切り替えていく、医学モデルから社会モデルに切り替えていくことが必要ではないかなと思います。
この発言だけを見る →医療関係者が医療システムの中で精神障害者に関わるというだけではなく、もっといろんな地域の人が関われるような、そういったシステムに切り替えていく、医学モデルから社会モデルに切り替えていくことが必要ではないかなと思います。
高
高階恵美子#15
○高階恵美子君 ありがとうございます。同感です。
私は、一九八〇年代の真ん中辺くらいから九〇年代の前半、県の職員をしておりまして、宮城県の県内の保健所とか精神保健センターに勤務していました。そういう中で関わっていて非常に強く思っていたのは、精神障害の方々って、端的に言うと愛すべき人たちというか、素直過ぎて傷つくことも多かったり、それから、状態が本当に悪いときのことを少し安定したときにお話をしていったり、並走型で一緒に暮らしていく隣にいる人たちなんだという感覚をいかに持っていくのかということが大事なんだということを教わったんですね。それは患者同士の支援もあるし、御家族等の関係もあるし、近隣の方とのつながりもある。そういう意味では、自助グループの活動というのは非常に有益だというふうに思います。
そして、今回は、特に入院早期のところの院内での体制を整えるというところが今までと違って少し手厚くなっているところだと思うので、精神医療の質の向上というか、そういったところをどういうふうにみんなで知恵を出して図っていくのかというのが、法律ができた後は最も重要になってくるかなという思いもするんです。
そういう意味でいいますと、田村参考人にお伺いできれば有り難いんですが、精神保健福祉士の活動というのは歴史を経て少しずつ社会にも浸透してきているかなと思うのですが、医療の場で精神保健福祉士配置加算というのが始まってまだそんなに全国に広く浸透はしていないかもしれないんですが、もしこのかさ上げが今回その先の同時改定で行われるとすれば、どういったようなことを希望されるかというか、もし具体的なアイデアとか提案があれば最後にお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →私は、一九八〇年代の真ん中辺くらいから九〇年代の前半、県の職員をしておりまして、宮城県の県内の保健所とか精神保健センターに勤務していました。そういう中で関わっていて非常に強く思っていたのは、精神障害の方々って、端的に言うと愛すべき人たちというか、素直過ぎて傷つくことも多かったり、それから、状態が本当に悪いときのことを少し安定したときにお話をしていったり、並走型で一緒に暮らしていく隣にいる人たちなんだという感覚をいかに持っていくのかということが大事なんだということを教わったんですね。それは患者同士の支援もあるし、御家族等の関係もあるし、近隣の方とのつながりもある。そういう意味では、自助グループの活動というのは非常に有益だというふうに思います。
そして、今回は、特に入院早期のところの院内での体制を整えるというところが今までと違って少し手厚くなっているところだと思うので、精神医療の質の向上というか、そういったところをどういうふうにみんなで知恵を出して図っていくのかというのが、法律ができた後は最も重要になってくるかなという思いもするんです。
そういう意味でいいますと、田村参考人にお伺いできれば有り難いんですが、精神保健福祉士の活動というのは歴史を経て少しずつ社会にも浸透してきているかなと思うのですが、医療の場で精神保健福祉士配置加算というのが始まってまだそんなに全国に広く浸透はしていないかもしれないんですが、もしこのかさ上げが今回その先の同時改定で行われるとすれば、どういったようなことを希望されるかというか、もし具体的なアイデアとか提案があれば最後にお伺いしたいと思います。
田
田村綾子#16
○参考人(田村綾子君) 機会をいただきましてありがとうございます。
精神保健福祉士は、医療の現場におきましても、その方の地域生活をどのように支援していくかという発想で支援に携わっていきます。そうなりますと、画一的な関わりというのは非常に難しくて、お一人お一人の、今先生おっしゃられましたように、伴走しながら考えていくということが大切だというふうに思います。そうしますと、患者様何人に対して一人の精神保健福祉士を配置というような形で、出来高というよりも人数に対しての配置ということをまず基準に据えていただいて、どの患者さんに対しても精神保健福祉士が相談にきちんと乗れるような、そういうまず人員的な配置ができるような加算をしていただきたいというふうに考えます。
あとは、その精神保健福祉士だけが支援をするわけではないので、実際にはチームで関わるということになりますから、そのチーム全体がどのように関わっていくかということにも合わせて、実際にはその医療機関の規模によったり、またチームの陣容のつくり方によっても多少変わってくるかと思うんですけれども、これだけの陣容をそろえている場合にはこれだけ大きい加算というふうな、何段階か踏むという方法もあるのではないかというふうに考えます。
あと、出来高ということもあるかと思うんですけれども、簡単に結果が出ない、例えば長期に入院していらっしゃる方の地域生活への移行となりますと、多様な資源を活用しなければなかなか実現に至らないということもありますので、退院できたら加算ということではなくて、そのプロセスに対して加算が付くような、そういう仕組みが構築していただけると有り難いというふうに考えております。
この発言だけを見る →精神保健福祉士は、医療の現場におきましても、その方の地域生活をどのように支援していくかという発想で支援に携わっていきます。そうなりますと、画一的な関わりというのは非常に難しくて、お一人お一人の、今先生おっしゃられましたように、伴走しながら考えていくということが大切だというふうに思います。そうしますと、患者様何人に対して一人の精神保健福祉士を配置というような形で、出来高というよりも人数に対しての配置ということをまず基準に据えていただいて、どの患者さんに対しても精神保健福祉士が相談にきちんと乗れるような、そういうまず人員的な配置ができるような加算をしていただきたいというふうに考えます。
あとは、その精神保健福祉士だけが支援をするわけではないので、実際にはチームで関わるということになりますから、そのチーム全体がどのように関わっていくかということにも合わせて、実際にはその医療機関の規模によったり、またチームの陣容のつくり方によっても多少変わってくるかと思うんですけれども、これだけの陣容をそろえている場合にはこれだけ大きい加算というふうな、何段階か踏むという方法もあるのではないかというふうに考えます。
あと、出来高ということもあるかと思うんですけれども、簡単に結果が出ない、例えば長期に入院していらっしゃる方の地域生活への移行となりますと、多様な資源を活用しなければなかなか実現に至らないということもありますので、退院できたら加算ということではなくて、そのプロセスに対して加算が付くような、そういう仕組みが構築していただけると有り難いというふうに考えております。
高
高階恵美子#17
○高階恵美子君 ありがとうございます。
長いお付き合いが必要ですよね。ですから、入退院も繰り返していいと思うんです、状態が不安定な時期ってありますし。そのことが問題なのではなくて、孤立してしまうこと、そして御本人の自尊心が傷つけられてしまうこと、これがやっぱり生活に復帰していくときに大きな障壁になってくると思うので、そこを払拭できるような医療の質の改善、そして地域精神保健の充実、私どもも知恵を出していきたいというふうに思います。
本日はありがとうございました。
この発言だけを見る →長いお付き合いが必要ですよね。ですから、入退院も繰り返していいと思うんです、状態が不安定な時期ってありますし。そのことが問題なのではなくて、孤立してしまうこと、そして御本人の自尊心が傷つけられてしまうこと、これがやっぱり生活に復帰していくときに大きな障壁になってくると思うので、そこを払拭できるような医療の質の改善、そして地域精神保健の充実、私どもも知恵を出していきたいというふうに思います。
本日はありがとうございました。
牧
牧山ひろえ#18
○牧山ひろえ君 民進党・新緑風会の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
参考人の皆様方には、本日、大変ためになるお話ありがとうございました。
先ほどお話にありましたように、我が国の障害者施策の特徴としまして、当事者の参画が重視されない、あるいは、意見を述べる場があったとしてもなかなか取り上げられないという状況が指摘されております。当局の当事者を軽視するこの姿勢というのはどのような背景あるいは理由から出てくるのか、まさに当事者であられる桐原参考人と、「当事者中心の権利擁護のあり方」というテーマで論文をお書きになっておられる池原参考人にそれぞれお答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →参考人の皆様方には、本日、大変ためになるお話ありがとうございました。
先ほどお話にありましたように、我が国の障害者施策の特徴としまして、当事者の参画が重視されない、あるいは、意見を述べる場があったとしてもなかなか取り上げられないという状況が指摘されております。当局の当事者を軽視するこの姿勢というのはどのような背景あるいは理由から出てくるのか、まさに当事者であられる桐原参考人と、「当事者中心の権利擁護のあり方」というテーマで論文をお書きになっておられる池原参考人にそれぞれお答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
桐
桐原尚之#19
○参考人(桐原尚之君) 当事者参画というのは進んでいません。その中には三つの理由があると思っています。
一つ目は、精神障害者自身の社会的な地位に関する問題です。医師を頂点としたヒエラルキーの構造の中の恐らく一番下のそのまた更に下に精神障害者が置かれているのが現状ではないかと思います。
二つ目は、審議会等における構成員の精神障害者の人数、割合です。多勢に無勢といいましょうか、やはり医師が多くて、十何人というふうに入っていて、それに対して精神障害者の構成員が一人とか二人というのが現状です。
そして三つ目は、障害者団体としての力、特に経済的な基盤というものが脆弱であり、そのため活動が難しくなっている、困難になっているという状況があります。職能団体とかの収入というのは、やっぱりその職の関わる収入で団体の活動、運営できる費用というのは得ているんですけれども、例えば我々の場合は、自分で働いたお金をそのまま活動費に充てて使ってこうやって出席したりとか意見を述べたりとかしなければならないという状態になっています。
これらが当事者中心というものをなかなか実現できていない原因になっていると思っています。
この発言だけを見る →一つ目は、精神障害者自身の社会的な地位に関する問題です。医師を頂点としたヒエラルキーの構造の中の恐らく一番下のそのまた更に下に精神障害者が置かれているのが現状ではないかと思います。
二つ目は、審議会等における構成員の精神障害者の人数、割合です。多勢に無勢といいましょうか、やはり医師が多くて、十何人というふうに入っていて、それに対して精神障害者の構成員が一人とか二人というのが現状です。
そして三つ目は、障害者団体としての力、特に経済的な基盤というものが脆弱であり、そのため活動が難しくなっている、困難になっているという状況があります。職能団体とかの収入というのは、やっぱりその職の関わる収入で団体の活動、運営できる費用というのは得ているんですけれども、例えば我々の場合は、自分で働いたお金をそのまま活動費に充てて使ってこうやって出席したりとか意見を述べたりとかしなければならないという状態になっています。
これらが当事者中心というものをなかなか実現できていない原因になっていると思っています。
池
池原毅和#20
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
私も桐原参考人と基本は一緒ですけれども、一点だけ少し強調しておきたいのは、障害者権利条約が医学モデルから社会モデルへの転換を図っているということですね。
つまり、医学モデルの下では精神障害者というのは患者であって医療の対象であると、だから主体にはなり得ないわけですね。あるいは、これは長いこと福祉の世界でもやはり福祉サービスの対象者であって主体ではないという捉え方をされてきてしまいました。しかし、障害者権利条約はその考え方を逆転して、むしろこうした人たちが社会の中でなぜ生きづらいということが起こるのかというと、それは社会の側に問題があるんだと、社会を変えていくことが必要なのだというのが最大のメッセージです。
ですから、そうなれば、更に言うと、障害者権利条約は、例えば精神障害を持っていることも人間の多様性の一部として尊重しなければならないと、さらに、障害者権利条約十七条は、心身がそのままの状態で尊重される権利と、つまり精神障害を持っているということそのもの自体を尊重される権利ということまで保障しているわけですね。
こうした観点からすると、当然、私たちと同じ社会の一員であるということになるわけで、こうした発想の転換というのがまだ私たちはできていないと。やはり、例えば措置入院をやっていくというのは、これはやっぱり治していかなきゃいけないという、つまり対象者なわけで、決して主体にはならないと。その辺りの発想の逆転というのが、世界ではもう既にできているわけですけれども、残念ながら日本はまだ立ち遅れているということだと思います。
この発言だけを見る →私も桐原参考人と基本は一緒ですけれども、一点だけ少し強調しておきたいのは、障害者権利条約が医学モデルから社会モデルへの転換を図っているということですね。
つまり、医学モデルの下では精神障害者というのは患者であって医療の対象であると、だから主体にはなり得ないわけですね。あるいは、これは長いこと福祉の世界でもやはり福祉サービスの対象者であって主体ではないという捉え方をされてきてしまいました。しかし、障害者権利条約はその考え方を逆転して、むしろこうした人たちが社会の中でなぜ生きづらいということが起こるのかというと、それは社会の側に問題があるんだと、社会を変えていくことが必要なのだというのが最大のメッセージです。
ですから、そうなれば、更に言うと、障害者権利条約は、例えば精神障害を持っていることも人間の多様性の一部として尊重しなければならないと、さらに、障害者権利条約十七条は、心身がそのままの状態で尊重される権利と、つまり精神障害を持っているということそのもの自体を尊重される権利ということまで保障しているわけですね。
こうした観点からすると、当然、私たちと同じ社会の一員であるということになるわけで、こうした発想の転換というのがまだ私たちはできていないと。やはり、例えば措置入院をやっていくというのは、これはやっぱり治していかなきゃいけないという、つまり対象者なわけで、決して主体にはならないと。その辺りの発想の逆転というのが、世界ではもう既にできているわけですけれども、残念ながら日本はまだ立ち遅れているということだと思います。
牧
牧山ひろえ#21
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
今回の相模原市障害者支援施設における殺傷事件をきっかけとした精神保健福祉法の改正を始めとしました当局の取組の方向性は、共生社会の理念と逆行していると思います。障害者に対する偏見又は差別を助長するおそれがあるのではないかと懸念しております。
桐原参考人に、相模原の事件後にお感じになっていらっしゃる当事者としての危機意識、あるいは障害者の方に具体的なマイナスが生じた実例があれば御教示いただければと思います。
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桐原参考人に、相模原の事件後にお感じになっていらっしゃる当事者としての危機意識、あるいは障害者の方に具体的なマイナスが生じた実例があれば御教示いただければと思います。
桐
桐原尚之#22
○参考人(桐原尚之君) ありがとうございます。
私どもが把握している限りでも、職の内定が取消しにされたとか、そういった相談が複数件ありました。
私たちがなぜこうやって活動をしているかというと、精神医療に実際にかかって、少なからず良くないというか悪い経験をしているからなんです。退院後支援に対する不安というのは大きくて、特に警察官の関与に関しては、どのような言葉を尽くして説明があっても、その不安というものは払拭されるものではありません。精神医療にかかって良くない経験というものをしてきたその背景には、良くなりますよというような説明を受けて、それで信じて実際は違ったということを何度も経験しているからです。
そういったことがあります。
この発言だけを見る →私どもが把握している限りでも、職の内定が取消しにされたとか、そういった相談が複数件ありました。
私たちがなぜこうやって活動をしているかというと、精神医療に実際にかかって、少なからず良くないというか悪い経験をしているからなんです。退院後支援に対する不安というのは大きくて、特に警察官の関与に関しては、どのような言葉を尽くして説明があっても、その不安というものは払拭されるものではありません。精神医療にかかって良くない経験というものをしてきたその背景には、良くなりますよというような説明を受けて、それで信じて実際は違ったということを何度も経験しているからです。
そういったことがあります。
牧
牧山ひろえ#23
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
最近の状況で具体的なマイナスが生じているということがよく分かりました。ありがとうございます。
今回の相模原障害者施設殺傷事件の再発防止として、それを立法事実として今回の精神保健福祉法の改正が提起されておりますが、しかし、五か月間に及ぶ鑑定の結果、本年二月二十日に容疑者は刑事責任能力があるとの精神鑑定結果が出ております。そもそも今回の改正には立法事実がないのではないかという心配があります。
ただ、当局の姿勢だけではなくて、相模原障害者殺傷事件は精神障害者によって引き起こされたという決め付けは世論の一部にも見受けられます。このような誤解に基づく論調が発生する原因について、田村参考人と池原参考人、それぞれに御意見をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
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今回の相模原障害者施設殺傷事件の再発防止として、それを立法事実として今回の精神保健福祉法の改正が提起されておりますが、しかし、五か月間に及ぶ鑑定の結果、本年二月二十日に容疑者は刑事責任能力があるとの精神鑑定結果が出ております。そもそも今回の改正には立法事実がないのではないかという心配があります。
ただ、当局の姿勢だけではなくて、相模原障害者殺傷事件は精神障害者によって引き起こされたという決め付けは世論の一部にも見受けられます。このような誤解に基づく論調が発生する原因について、田村参考人と池原参考人、それぞれに御意見をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
田
田村綾子#24
○参考人(田村綾子君) 精神保健福祉法の改正につきましては、当初、平成二十五年の改正の時点から三年後に見直しということで予定されていたものであったと思いますので、その点においては相模原事件がなくても法改正は必要だったというふうに考えています。
ただ、八月の初めに相模原の再発防止検討チームが立ち上がり、その、言い方は悪いかもしれませんけれども、構成メンバーに偏りがあったのではないか。それは、事件の原因が措置入院後の支援が不十分だったからという予測の下に、確固たる証拠はないままの予測の下にそういった立ち上げになったこと自体が良くなかったのではないかというふうに考えております。
先ほど、これまでの審議をいろいろと伺っておりますと、あくまでも事件のことをきっかけとして精神障害のあるいは措置入院制度のことに光が当たり、そこに対して課題視することが可能になったというそういうお話もありますが、本来であれば、こういった事件がなくても非自発的入院の在り方についてはきちんと考えることはそもそも必要だったというふうに考えています。
以上です。
この発言だけを見る →ただ、八月の初めに相模原の再発防止検討チームが立ち上がり、その、言い方は悪いかもしれませんけれども、構成メンバーに偏りがあったのではないか。それは、事件の原因が措置入院後の支援が不十分だったからという予測の下に、確固たる証拠はないままの予測の下にそういった立ち上げになったこと自体が良くなかったのではないかというふうに考えております。
先ほど、これまでの審議をいろいろと伺っておりますと、あくまでも事件のことをきっかけとして精神障害のあるいは措置入院制度のことに光が当たり、そこに対して課題視することが可能になったというそういうお話もありますが、本来であれば、こういった事件がなくても非自発的入院の在り方についてはきちんと考えることはそもそも必要だったというふうに考えています。
以上です。
池
池原毅和#25
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
立法事実がないという御指摘は非常に重要でありまして、少なくとも今回の相模原の事件そのものについて、措置入院制度を改正したからといって何かが改善できるというものではない、元々刑事的な対応をすべきだったということになると思います。
さらにもう一点ですけれども、この相模原の事件の最終の報告書、今回のこの白表紙の厚い資料ですと九十七ページですけれども、いろいろな自治体を調べてみたらば、相模原市と同様に、訪問指導等に関する意見とか障害福祉サービスの活用に関する意見について全体の二割ぐらいは空欄であったと、だからずさんだという指摘がされているんですが、しかし、その結果、じゃ、措置入院の人にどういう困った状態が発生したのかということについては何の調査も報告もないわけです。つまり、単に形式的に、確かにルールは守っていなかったという事実は指摘されていますけれども、その結果措置入院の人にどんな困ったことが起こりましたかということは、調査結果は、つまり立法事実がないわけですね。しかし、何か措置入院に問題があるというのは相模原の事件だということになるけれども、これは全く異例な一事件でしかないので、とても立法事実にはなり得ないわけです。
あえて私が申し上げる必要はないと思いますけれども、立法事実がないのに法律を作るというのはどういうことかというと、対象者になる人の人権を不必要に制限すると同時に、必要のないことに税金を使うということですね。これはとても許されないことだと思います。
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さらにもう一点ですけれども、この相模原の事件の最終の報告書、今回のこの白表紙の厚い資料ですと九十七ページですけれども、いろいろな自治体を調べてみたらば、相模原市と同様に、訪問指導等に関する意見とか障害福祉サービスの活用に関する意見について全体の二割ぐらいは空欄であったと、だからずさんだという指摘がされているんですが、しかし、その結果、じゃ、措置入院の人にどういう困った状態が発生したのかということについては何の調査も報告もないわけです。つまり、単に形式的に、確かにルールは守っていなかったという事実は指摘されていますけれども、その結果措置入院の人にどんな困ったことが起こりましたかということは、調査結果は、つまり立法事実がないわけですね。しかし、何か措置入院に問題があるというのは相模原の事件だということになるけれども、これは全く異例な一事件でしかないので、とても立法事実にはなり得ないわけです。
あえて私が申し上げる必要はないと思いますけれども、立法事実がないのに法律を作るというのはどういうことかというと、対象者になる人の人権を不必要に制限すると同時に、必要のないことに税金を使うということですね。これはとても許されないことだと思います。
牧
谷
谷合正明#27
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
本日は、五人の参考人の皆様方におかれましては、限られた時間の中で端的なまた分かりやすい陳述をいただきまして、大変ありがとうございます。
私の方から、まず、実際現場で支援を行っていらっしゃる辻本参考人また田村参考人に、人材面だとか財政面の国の支援の在り方について最初にお伺いしたいと思っております。
精神障害者に対する医療というのは、当然、犯罪防止、治安維持が目的じゃなくて、本人のためのものでございます。本人のためであるということであれば、医療中心から、医療のみならず、また保健、福祉、この連携、チームでの体制というのが重要であるということでございます。そうしたことを考えていきますと、まさにこれからあるべき姿として、人材面の育成であるとか、また政府のバックアップであるとか、行政のバックアップであるとかいうことが大事になってまいります。
今回は措置入院者の退院後の支援計画というのが定められているわけでありますが、退院後の支援というのは、入院形態に関係なくて、支援を必要とする方にしっかりと支援が行き届くようにするということは、田村参考人も言われておりましたけど、まさにそのとおりだというふうに思っております。
そうしますと、ますます実際に地域の精神医療に携わる専門職の方に対する支援ということが課題になると思います。辻本参考人も最後に課題としてその点を挙げられました。私も、地元の岡山市の精神保健福祉センターを訪れました際にもそういう声が上がりました。特に保健所保健師さん、精神保健福祉士さん、こうした方々の仕事も、だんだん仕事の範囲が増えてきて、地域医療のところに集中する時間や余裕がだんだんなくなってきているのじゃないかという話もございました。また、事務処理の問題、結構そういったところに追われているという話もございました。
改めて両参考人に伺いますけれども、今後の財政面、人材面での支援の在り方について御所見を伺いたいと思います。一応政府としては地方交付税措置で精神保健福祉士を二百名分の増員するための予算措置を今年度設けるということでありますけれども、もう少し具体的な御提言があれば伺いたいと思います。
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私の方から、まず、実際現場で支援を行っていらっしゃる辻本参考人また田村参考人に、人材面だとか財政面の国の支援の在り方について最初にお伺いしたいと思っております。
精神障害者に対する医療というのは、当然、犯罪防止、治安維持が目的じゃなくて、本人のためのものでございます。本人のためであるということであれば、医療中心から、医療のみならず、また保健、福祉、この連携、チームでの体制というのが重要であるということでございます。そうしたことを考えていきますと、まさにこれからあるべき姿として、人材面の育成であるとか、また政府のバックアップであるとか、行政のバックアップであるとかいうことが大事になってまいります。
今回は措置入院者の退院後の支援計画というのが定められているわけでありますが、退院後の支援というのは、入院形態に関係なくて、支援を必要とする方にしっかりと支援が行き届くようにするということは、田村参考人も言われておりましたけど、まさにそのとおりだというふうに思っております。
そうしますと、ますます実際に地域の精神医療に携わる専門職の方に対する支援ということが課題になると思います。辻本参考人も最後に課題としてその点を挙げられました。私も、地元の岡山市の精神保健福祉センターを訪れました際にもそういう声が上がりました。特に保健所保健師さん、精神保健福祉士さん、こうした方々の仕事も、だんだん仕事の範囲が増えてきて、地域医療のところに集中する時間や余裕がだんだんなくなってきているのじゃないかという話もございました。また、事務処理の問題、結構そういったところに追われているという話もございました。
改めて両参考人に伺いますけれども、今後の財政面、人材面での支援の在り方について御所見を伺いたいと思います。一応政府としては地方交付税措置で精神保健福祉士を二百名分の増員するための予算措置を今年度設けるということでありますけれども、もう少し具体的な御提言があれば伺いたいと思います。
辻
辻本哲士#28
○参考人(辻本哲士君) 御質問ありがとうございます。
なかなか数字を挙げるのは難しいとは思うんですが、一つは、先ほどから話が出ている、強制力を持って治療を継続させるわけではないわけですよね。信頼感を持つということで治療は継続していくもの、支援は継続すると思うと、信頼感をつくるには人と時間と質を担保せないかぬわけですね。
だから、専門職が何人だとかそういうものじゃなくて、質というか、信頼関係をできるような業務のバランスというか、人間関係をつくるのには時間が掛かるわけなんで、そういうための人員、予算というのが必要だと思います。そういう意味では、それは多い方がいいという結論になってしまいます。
この発言だけを見る →なかなか数字を挙げるのは難しいとは思うんですが、一つは、先ほどから話が出ている、強制力を持って治療を継続させるわけではないわけですよね。信頼感を持つということで治療は継続していくもの、支援は継続すると思うと、信頼感をつくるには人と時間と質を担保せないかぬわけですね。
だから、専門職が何人だとかそういうものじゃなくて、質というか、信頼関係をできるような業務のバランスというか、人間関係をつくるのには時間が掛かるわけなんで、そういうための人員、予算というのが必要だと思います。そういう意味では、それは多い方がいいという結論になってしまいます。
田
田村綾子#29
○参考人(田村綾子君) 御質問ありがとうございます。
私も、辻本参考人の御意見にまず賛成です。そして、例えば、先ほど精神保健福祉士について御質問いただいたんですけれども、現在、養成している学校が全国で約百六十五校ほどありまして、また、毎年、国家試験の受験者としては七千人強、そして合格者が四千人ほどというような状況であります。ただ、それでも、その全員が精神保健福祉士として実際に働くわけではない現実もありまして、まだ多分現場で充足してはいないのだろうというふうに思います。
ですので、養成がまだまだ必要だということをまず国がメッセージを出していただくということも必要かと思います。この資格が比較的新しいものですから、私たちの仕事自体は戦後すぐから特定の精神科病院では採用されていた仕事でありますけれども、国家資格化して専門職が輩出されたのは一九九八年以降ということになりますので、そうなりますと、まだそれほど知られていないんですね。ですので、十分知られていくようなメッセージというのは欲しいところというふうに、これは私たち自身、専門職団体の課題でもありますけれども、行いたいというふうに考えています。
それから、実際に配置していただいたときに、例えば精神科の病院においてもそうですし、行政においてもそうですが、そこで何をしなければいけないのかということが不明瞭だったり、多様な業務と兼務ということですと、なかなかこの精神障害のある方々への寄り添って信頼関係をきちんと構築していく支援ということは難しいかと思います。どうしても、行政機関においては異動があったりですとか、それから事務的な仕事も含めた兼務という状況に置かれることが多いかと思うのですが、精神保健福祉相談員というシステムもございますので、それがもう一度きちんと活用されるようになっていくといいなというふうに、現在その配置がなされていない保健所も多くございますので、是非配置されていくような促進をしていただければというふうに考えております。
以上です。
この発言だけを見る →私も、辻本参考人の御意見にまず賛成です。そして、例えば、先ほど精神保健福祉士について御質問いただいたんですけれども、現在、養成している学校が全国で約百六十五校ほどありまして、また、毎年、国家試験の受験者としては七千人強、そして合格者が四千人ほどというような状況であります。ただ、それでも、その全員が精神保健福祉士として実際に働くわけではない現実もありまして、まだ多分現場で充足してはいないのだろうというふうに思います。
ですので、養成がまだまだ必要だということをまず国がメッセージを出していただくということも必要かと思います。この資格が比較的新しいものですから、私たちの仕事自体は戦後すぐから特定の精神科病院では採用されていた仕事でありますけれども、国家資格化して専門職が輩出されたのは一九九八年以降ということになりますので、そうなりますと、まだそれほど知られていないんですね。ですので、十分知られていくようなメッセージというのは欲しいところというふうに、これは私たち自身、専門職団体の課題でもありますけれども、行いたいというふうに考えています。
それから、実際に配置していただいたときに、例えば精神科の病院においてもそうですし、行政においてもそうですが、そこで何をしなければいけないのかということが不明瞭だったり、多様な業務と兼務ということですと、なかなかこの精神障害のある方々への寄り添って信頼関係をきちんと構築していく支援ということは難しいかと思います。どうしても、行政機関においては異動があったりですとか、それから事務的な仕事も含めた兼務という状況に置かれることが多いかと思うのですが、精神保健福祉相談員というシステムもございますので、それがもう一度きちんと活用されるようになっていくといいなというふうに、現在その配置がなされていない保健所も多くございますので、是非配置されていくような促進をしていただければというふうに考えております。
以上です。