厚生労働委員会

2019-05-23 参議院 全308発言

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会議録情報#0
令和元年五月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     石川 博崇君     河野 義博君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     河野 義博君     高瀬 弘美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石田 昌宏君
    理 事
                自見はなこ君
                島村  大君
                そのだ修光君
                川合 孝典君
                山本 香苗君
    委 員
                青木 一彦君
                石井みどり君
                小川 克巳君
                木村 義雄君
                高階恵美子君
                鶴保 庸介君
                中川 雅治君
                馬場 成志君
                藤井 基之君
                石橋 通宏君
                川田 龍平君
                福島みずほ君
                足立 信也君
                礒崎 哲史君
                高瀬 弘美君
                宮崎  勝君
                東   徹君
                倉林 明子君
               薬師寺みちよ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   根本  匠君
   副大臣
       内閣府副大臣   中根 一幸君
       内閣府副大臣   あきもと司君
       厚生労働副大臣  高階恵美子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 成子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      渡邉  清君
       内閣府男女共同
       参画局長     池永 肇恵君
       文部科学大臣官
       房審議官     平野 統三君
       文部科学大臣官
       房審議官     森  晃憲君
       厚生労働省医政
       局長       吉田  学君
       厚生労働省労働
       基準局長     坂口  卓君
       厚生労働省職業
       安定局長     土屋 喜久君
       厚生労働省雇用
       環境・均等局長  小林 洋司君
       厚生労働省保険
       局長       樽見 英樹君
       厚生労働省人材
       開発統括官    吉本 明子君
   参考人
       法政大学キャリ
       アデザイン学部
       教授       武石惠美子君
       一般社団法人日
       本経済団体連合
       会労働法制本部
       長        輪島  忍君
       日本労働組合総
       連合会総合男女
       ・雇用平等局総
       合局長      井上久美枝君
       早稲田大学名誉
       教授       浅倉むつ子君
       弁護士      角田由紀子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○女性の職業生活における活躍の推進に関する法
 律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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石田昌宏#1
○委員長(石田昌宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、石川博崇君が委員を辞任され、その補欠として高瀬弘美君が選任されました。
    ─────────────
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石田昌宏#2
○委員長(石田昌宏君) 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、五名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、法政大学キャリアデザイン学部教授武石惠美子君、一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長輪島忍君、日本労働組合総連合会総合男女・雇用平等局総合局長井上久美枝君、早稲田大学名誉教授浅倉むつ子君及び弁護士角田由紀子君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず武石参考人にお願いいたします。武石参考人。
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武石惠美子#3
○参考人(武石惠美子君) おはようございます。法政大学の武石でございます。
 本日は、意見を述べる機会をいただき、大変ありがとうございます。
 私は、労働政策審議会雇用環境・均等分科会の公益委員としまして法案の審議に参加させていただきました。本日は、審議会での議論の経緯も踏まえまして、意見を述べさせていただきます。
 まず、女性活躍推進法に関して意見を申し上げます。
 この法律は、一九九七年改正の男女雇用機会均等法で新設されたポジティブアクションの取組を促進させるためのものでございます。実質的な男女平等の実現のために企業が積極的な是正策に取り組むと、ポジティブアクションを奨励することが均等法に盛り込まれました。しかしながら、女性の雇用環境の改善が進まず、女性活躍推進法が成立したということでございます。
 女性活躍推進法はポジティブアクションを促進する法律ということでございますので、まずは企業の自主的な取組というのが基本になります。企業の主体的な取組を進めていただく法的な枠組みと言えると思います。したがいまして、一律の義務を課すのではなく、各企業に自社の実情の把握、課題の分析、目標の設定、取組の実施といったPDCAサイクルを回していただくということにポイントがあります。
 自主的な取組が重要な背景としまして、女性の活躍の状況ですとか課題というのが企業によって様々であるということが言えます。例えば、女性が希望しないために女性の採用が難しいですとか、女性が少ないので女性の管理職を直ちに増やすことが難しいというような、企業のそれぞれの事情がございます。したがいまして、企業の状況に応じて必要な施策等が異なってくるということを踏まえますと、全ての企業に一律的な目標ですとかあるいは情報公表を義務付けるということに関しては、この法律の性格からいってなじまないのではないかというふうに考えております。
 一律的なことを義務付けることによって形式的に対応してしまいますと、施策がうまく回らない、あるいは場合によってはマイナスになってしまうということにもなりかねません。もちろん、現状追認型の低い数値目標の設定というのは問題がありますけれども、現状と乖離した目標設定ということで現場が混乱するという実態も現実ございました。
 また、同法では情報公開を企業に求めております。市場から評価されることによって企業の取組を進めるという効果が期待されているところでございます。この仕組みを求職者などに周知徹底するということ、これが非常に重要でございますが、特に、今回、情報公開の適正さを担保するために、問題がある企業名公表という手法が提案されているという点は妥当な内容かと思っております。
 一方で、公開する情報に男女間の賃金格差が必要ではないかという議論がございます。賃金格差は男女間の格差の大変重要な指標でございまして、その重要性についてはもちろん認識できるんですけれども、この賃金格差というのは、例えば勤続年数ですとか男女の職域ですとか、様々な前提条件の違いによって生じているということに注意が必要です。ですので、現時点では、その理解がないままに数値が独り歩きしてしまうことの懸念を私は持っております。
 女性活躍推進法の改正案の大きなポイントとして、百一人以上に拡大するという点がございます。この拡大の機を捉えまして、ポジティブアクションの本来の趣旨、それから企業の自主的な取組が更に進むような行政の取組というのを期待したいというふうに思っております。特に、中小企業には具体的なノウハウの蓄積も不十分な場合がございますので、支援策の充実を行政にお願いしたいところでございます。
 次に、ハラスメント防止対策に関して意見を申し上げます。
 法案の重要なポイントは三点だと考えています。
 まず、パワーハラスメントに関して、事業主にパワハラ防止のための雇用管理上の措置の義務付けが盛り込まれました。パワハラについての認識が高まっている社会的な状況を踏まえますと、パワハラに関して一定の防止策という枠組みができるということは不可欠なことであり、時宜を得たものというふうに考えております。
 第二に、セクハラ、マタハラ、パワハラに共通して、国、事業主、労働者の責務規定が置かれ、ハラスメントを行ってはならない旨が明確化されるという点は重要であるというふうに考えます。
 三点目として、事業主にハラスメントの相談をしたことによって不利益がないような不利益取扱いの禁止が設けられるということも、措置義務の実効性を担保するという観点から重要であるというふうに考えております。
 一方で、ハラスメント対策に関しては幾つかの問題も指摘されています。まず、ハラスメントを禁止すべきであるという意見がございます。私も、ハラスメントはあってはならないということは考えているところでございます。
 ただし、禁止規定にするためには、違法となる行為要件を明確にする必要があること、事業主の責務を規定する労働法の体系の中で、労働者のハラスメント行為を禁止するというような規定をどのように置くのかということに関して検討すべき課題があるということも事実でございます。また、禁止する以上は行為が行われた場合の制裁ということも考えなくてはいけないわけですが、民法ですとか刑法といったほかの法令との関係も整理する必要がございます。
 特に、パワハラに関しては、業務上の指導との区別というのはグレーな部分も多いという現状があります。パワハラの認定が難しいという中で、そのパワハラと業務上の指導の区分、この共通認識が進んでいない中でパワハラを禁止することの問題ということも考えなくてはいけません。
 パワハラを禁止することによって、指導あるいは人材育成という部分で雇用管理が混乱し、結果として労働者のスキル形成が阻害されるようなことになると、これも問題ではないかというふうに考えます。
 また、セクハラに関しては、近年の状況に鑑みて、踏み込んだ規制が必要という御意見、これも大変理解できるところでございます。ただ、パワハラと同様に、ほかの法令との整理、それから刑法、民法等で一定の対応ができている中で、できているというか可能な中で、これらに該当しない言動のどこまでを労働法制として考えていくかという辺りの整理が必要になってまいります。
 こうした課題を踏まえまして、労政審では、パワハラと同様にセクハラに関しても禁止規定を見送って、今後の検討課題としたところでございます。
 また、パワハラについては、取引先、顧客からのハラスメント、いわゆるカスタマーハラスメントについても対象にすべきとの御意見がございます。これについても、労政審で議論をしてまいりましたが、顧客からの正当な要求と悪質な要求、これは区別が大変難しい面がございます。措置義務の対象とすることについては合意に至らなかったということで、これも今後の課題となっております。
 今回の法改正で措置義務の対象とはなっておりませんが、今後策定する指針の中で、カスタマーハラスメントを受けた場合の相談対応あるいは望ましい取組を示すということは大変重要なことではないかというふうに考えております。
 また、カスタマーハラスメントは、消費者庁による消費者教育ですとか、あるいは各業界における取組も重要になってまいりますので、今後の社会の状況を踏まえながら注視していく課題ではないかというふうに考えます。
 また、セクハラについて、措置の対象に就活生あるいはフリーランスの方を含めるべきとの御意見もございます。雇用関係のない人に保護規定をどのように規定していくかということは、今後のこれも重要な課題であります。
 ただ、今回、事業主それから労働者に対する責務規定というのが置かれますので、ハラスメントを行ってはならないという職場風土が醸成されていけば、社外の就活生等へのハラスメントということも抑止される効果が期待できるというふうに考えます。
 今回法律が成立することによって、パワハラ、セクハラ、マタハラ、いずれの場合も、雇用管理上の措置義務が事業主に求められることになります。ハラスメントは事後的な対応が大変難しいので、事前の予防が何よりも重要であります。事業主にハラスメントに関する措置義務を課すことで、予防、再発防止のための措置というものが期待できるというふうに考えております。
 また、ハラスメントが起こらないような職場風土ですとか職場慣行というものが醸成され、ハラスメントを受けるリスクが軽減されるということも期待できると思います。そのためには、法の履行確保に向けた内容の周知徹底、あるいは義務違反への適切な対応を行政には求めていきたいというふうに考えます。
 特に、法改正の施行に当たっては、指針でパワハラの定義、それから例示をできるだけ分かりやすく示していく、あるいは先ほどのカスタマーハラスメントへの対応などについても、望ましい取組というのを示していく必要があるというふうに思います。
 また、ハラスメントに対する正しい理解を促進するために、指針の周知はもちろんでございますが、企業の人事の担当あるいは相談の担当の方たちの対応が適切にできるようなマニュアル等の作成ということも必要になってくるのではないかと思っております。
 今回の法制化を契機に、ハラスメントを行ってはならないという機運が高まり、ハラスメント行為が減るということ、それから企業の取組が進むことを期待したいと思います。
 以上で私の意見陳述は終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
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石田昌宏#4
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 次に、輪島参考人にお願いいたします。輪島参考人。
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輪島忍#5
○参考人(輪島忍君) おはようございます。御紹介をいただきました経団連の労働法制本部長の輪島と申します。
 本日は、このような機会を頂戴をいたしまして、感謝をしたいというふうに思っております。
 私は、内閣提出の女性の職業生活における活躍の促進に関する法律等の一部を改正する法律案、これに賛成をする立場から意見を述べていきたいというふうに考えております。
 本日、資料としてお配りをいたしておりますが、こちらでございます、お手元にお配りをさせていただいておりますが、二〇一九年度版経営労働政策特別委員会報告、ここにも、冒頭開いていただきますと、序文というところに中西会長の序文がございますが、こちらに書いておりますけれども、経団連は、デジタル革新によって、国連のSDGsの達成に貢献しながら、新たな価値を創造していく社会、ソサエティー五・〇フォーSDGsを目指しまして、様々な取組を行っております。
 まず、企業が変化をすること、産業の新陳代謝と構造変革を促進していかなくてはならないと。その際に、企業にとって最も重要な課題、それは職場の環境の整備というふうに考えているところでございます。
 その職場環境の整備とは、まさにダイバーシティー、年齢や性別、国籍など、様々な属性の人材が、知識や能力、経験を生かして、働きがいを感じながら協働することができる職場、そういうものが大事だというふうに思っております。そういう職場でなければイノベーションを創造できません。これは、今、皆さん、先生方お開きをいただいている中西会長のメッセージというふうに考えているところでございます。
 今回提出をされている法案に盛り込まれております一般事業主行動計画の策定の対象、百一人以上三百人以下規模の企業への拡大、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設、セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化、経団連が目指しておりますまさにソサエティー五・〇フォーSDGsの実現に向けた課題解決のための大変重要な見直しだというふうに考えているところでございます。
 以下、各法案の内容について具体的に述べてまいりたいというふうに思います。
 まず、女性活躍推進法についてでございます。
 自社の状況把握と課題分析を行い、それを踏まえた行動計画を策定をし、PDCAサイクルを回す枠組みである女性活躍推進法が二〇一五年に施行され、各企業は女性活躍推進に向けた取組を加速をさせております。
 例えば、ある企業では、女性の経営幹部候補を育成する必要があるというふうに現状を分析した企業が役員補佐職というものを設置して役員にマンツーマンで経営を学ぶ取組を行うというようなこと、また、違う企業ですけれども、女性のロールモデルの育成やリーダー意識の醸成、そういうことが必要だというふうに現状分析をした企業が女性キャリア開発のプログラムを開発をするとか、また、別の企業ですけれども、管理職に登用する前に配偶者の転勤で退職する女性従業員、そういう者が多いというふうに分析をした企業が転居先で継続して勤務することができるファミリー転勤制度をつくるとか、そういうような様々な工夫をいたしまして、女性活躍推進に向けた取組を行っているというところでございます。
 その結果、女性の就業者数の増加、女性の役員比率、階層別役職者に占める女性の割合の上昇というような形で表れてきているというふうに考えているところでございます。
 そういうことから、一般事業主行動計画策定の義務の範囲が百一人以上三百人以下の企業に拡大をするということによりまして、日本全体における女性の活躍推進が一層進むというふうに期待をしているところでございます。
 一方、三百一人以上の企業につきましては、職業生活に関する機会の提供に関する実績、これと、職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境の整備、この二つに分けて、各区分から一項目以上情報公表するということになります。
 数字は、それだけが独り歩きするというような危険も伴います。特定の項目の公表を義務付けるのではなく、現行の情報公表項目をカテゴリー分けして、企業に公表する項目の選択の余地を残していただいたということについては、大変有り難いというふうに考えているところでございます。
 また、柔軟な働き方や仕事と家庭の生活に資する法定以上の様々な制度を設けている企業が、先ほど申しましたように、たくさん企業の工夫がございます。既定の定量的な項目ではなくて、そうした制度の内容の公表も、より女性の求職者の職業選択にポジティブな影響が出るというふうに考えているところでございます。省令事項になるかと思いますけれども、労働政策審議会における建議にある法定を上回る企業内制度の概要の項目追加ということも希望しているところでございます。
 えるぼし認定でございますが、七割弱の企業が一番基準の高い三段階目の認定を取得をしております。認定制度について当時の審議会で議論をした際には想定していなかった大変喜ばしい状況ではないかなというふうに考えております。さらに、優良な企業を認定する特例認定制度が創設されれば、各企業における女性活躍の推進が一段と加速されるのではないかというふうに期待をしているところでございます。
 次に、ハラスメント防止対策でございます。
 ハラスメントに関する問題は、大変深刻かつ重要だというふうに考えております。職場のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどハラスメントは、相手の尊厳や人格を傷つけるということで、人権に関わる許されない行為だというふうに考えております。
 働く人々が仕事にやりがいを見出し、持てる能力を発揮していく上で、働きやすい職場環境は不可欠でございます。また、企業が持続的に成長するためには人材の確保、育成が必須であり、その根幹は人間関係が良好な職場だというふうに考えております。すなわち、従業員と企業双方にとって、職場におけるパワーハラスメント防止に真剣に取り組む必要があるというふうに考えております。
 経団連では、職場のハラスメント防止の重要性に鑑みまして、昨年、ハラスメント防止対策キャンペーンというものを実施をいたしました。具体的には、中西会長から会員企業に対して、職場のハラスメント防止に向けた更なる取組の推進という依頼をして呼びかけをするとともに、人事担当者を対象にいたしました職場のハラスメント防止対策セミナーを開催するなど、周知に積極的に展開をしているところでございます。
 実際にパワーハラスメント防止に積極的な企業の取組についていろいろお聞きをしているところでございますけれども、現行の男女雇用機会均等法の指針に示されているいわゆる職場におけるセクシュアルハラスメント防止措置、これと同じような仕組み、つまり、事業主の指針の明確化及び労働者への周知啓発、相談体制の整備、事後対応等を既に実施をしております。
 セクシュアルハラスメントは、業務とは無関係の言動でございまして、業務上の必要性もないわけでありますので、白黒の判断がしやすいという面がございます。他方、パワーハラスメントは、業務に関する指示、指導や注意などと密接に関連することもあるため、その言動が業務の適正な範囲かどうか判断する必要がございます。したがって、本人の訴えのみで判断しない仕組みをつくることが重要だというふうに考えているところでございます。
 また、パワーハラスメント防止に取り組んでいる企業の多くは、二〇一二年に厚生労働省の職場いじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告で示されております職場のパワーハラスメントの概念、それと六つの行為類型、それを参考に対応しているということでございます。そうした企業に混乱を生じさせないためにも、このワーキングで示された概念、これを、労使関係者も参加をした職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会、これを経まして、労働政策審議会の議論においてもこれが踏襲をされ、それが法案に反映をされ、パワーハラスメントについて、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」というふうに定義をされたということを評価をしているところでございます。
 企業の方から、パワーハラスメントという言葉の認知度が高まる一方で、相談者にとって不快な言動や納得ができないことをパワーハラスメントとして捉えるなど、本人の受け止めのみを判断基準としてパワハラを受けたというふうに相談する事例が増加しているというふうにも伺っているところでございます。そうした行動は、上司の適正な指示や指導までも逡巡をさせ、人材育成にも多大な影響を及ぼしかねないというふうに考えております。企業は、パワーハラスメント防止の取組に当たり、多くの具体例を示していくことも必要ではないかなというふうに考えております。
 それから、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントによりつらい思いをする従業員が出ないように、そういう必要があるというふうに考えております。企業として、周知啓発を始めとする教育をしっかり行っていきたいというふうに考えておりますけれども、一方で、今回法案にあるとおり、社会全体の関心と理解を深めるための広報、そういう活動も大変重要だというふうに思っております。国の積極的な周知啓発活動をお願いをしたいというふうに考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
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石田昌宏#6
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 次に、井上参考人にお願いいたします。井上参考人。
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井上久美枝#7
○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。ただいま御指名いただきました連合の井上でございます。
 本日は、このような場で労働者を代表しての意見を表明する機会をいただき、感謝を申し上げます。
 私からは、女性活躍の更なる推進と、あらゆるハラスメントの根絶に向けた観点から意見を述べさせていただきます。
 まず、女性活躍推進についてです。
 一点目は、今回の改正で一般事業主行動計画の策定義務が百一人以上の中小企業にまで拡大されることになりますが、日本の企業の九九・七%は中小企業であり、そこで働く労働者が全労働者の約七割を占めていることからすれば、真の女性活躍を進めるためには全ての事業主に行動計画の策定義務を課すべきだと考えます。
 二点目は、状況把握項目の任意項目となっている男女の賃金の差異ですが、ジェンダーギャップ指数の順位が上がらない要因の一つが男女間賃金格差であり、男性正社員の給与を一〇〇としたときに女性の給与が七三・三という実態に加えて、ジェンダーギャップ指数が毎年百位以降と芳しくない状況を踏まえれば、男女の賃金の差異を情報把握項目並びに状況把握項目の基礎項目にするべきだと考えます。
 三点目として、女性活躍推進法は十年間の時限立法となっています。今ほど申し上げたように、真の男女平等の実現には程遠い状況に鑑みれば、同法に基づく事業主行動計画の策定を恒常的な制度とするよう、男女雇用機会均等法の改正も含めて検討するべきだと考えます。
 なお、この後に提起するハラスメント対策にも共通しますが、根底にあるのは性別役割分担意識です。
 ILOの仕事の未来世界委員会報告書が指摘するように、育児、介護といった無償のケア労働の多くが女性によって担われています。そのような現状をそのままにし、女性の側だけになお活躍を求めるのではなく、男性の意識、働き方を大きく見直していくことが真の女性活躍、男女平等に欠かせないことを申し添えておきます。
 次に、ハラスメント対策です。
 この六月のILO総会において、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する新たな条約が採択される予定であることは、この間の国会審議でも様々な先生方から御発言がありました。
 私も、昨年の総会に続き今年も出席しますが、世界的にハラスメントの根絶が求められる中で、昨年のILO総会で発言したほとんどの政府は条約と勧告の採択に賛成の立場です。しかし、日本政府の対応は、日本にとって定義がやや広過ぎるとして立場保留と発言されました。今国会では、根本大臣が、日本政府としてもILO総会の議論に積極的に参加してまいりますと答弁されていらっしゃいますので、大いに期待をしているところです。
 その上で、国内法の課題について述べさせていただきます。
 一点目は、ハラスメントの禁止規定です。
 現在、日本においてハラスメント行為そのものを禁止する規定はありません。セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメント、育児や介護に関するいわゆるケアハラスメントについては、法律に基づいて事業主に防止措置義務が課せられていますが、とりわけセクシュアルハラスメントについては、一九九九年に防止配慮義務、二〇〇七年に防止措置義務が導入されてから十数年が経過しているにもかかわらず、都道府県労働局には年間約七千件もの相談が寄せられています。国連の女性差別撤廃委員会から禁止規定を創設するよう長年勧告を受けていることもあり、禁止規定を求める声は大変強いものがあります。
 資料としてお配りさせていただいたものは、今年のILO総会で議論される条約案です。六ページ、第五条では、暴力とハラスメントを法的に禁止すると明確にうたっており、条約が採択されれば、ハラスメントの禁止は世界的な潮流となります。このような意味でも、もはや必要性も含めなどと悠長なことを言っていられる状況ではありません。
 なお、建議において、禁止規定の創設に当たっては、民法等との関係整理などの課題があるとして先送りされましたが、一方で、児童虐待防止に関して、体罰禁止については、こちらも民法との関係がありながらも、言わば先行して明記されることになりました。並べて論じるのは適切ではないのかもしれませんが、なぜハラスメントの方は禁止するとうたうことができないのか。いずれにしても、速やかに検討が行われるよう、強く要請しておきたいと思います。
 二点目は、パワーハラスメントの定義です。
 建議では、二〇一八年三月の職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書の概念を踏まえ、三つの要素として、一、優越的な関係に基づく、二、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、三、労働者の就業環境を害することを満たすものとすることが適当とされました。また、行為類型として、一、身体的な攻撃、二、精神的な攻撃、三、人間関係からの切離し、四、過大な要求、五、過小な要求、六、個の侵害の六つが挙げられています。
 これらは暴力とハラスメントの全体を網羅していると言え、これから新たにパワーハラスメントの防止措置義務を事業主に課そうという中では、その行為類型について、狭小化するのではなく、包括的に定義するべきだと考えます。
 三点目は、行為者、被害者の定義です。
 この点に関しても、この間の国会審議でやり取りがありましたが、労働法制であるため、対象は労働者に限っているというのが政府見解だと認識しています。しかし、例えば男女雇用機会均等法の第五条、「性別を理由とする差別の禁止」は、「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」とあり、機会を与える対象には労働者になる前の求職者が含まれるわけです。とりわけ就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメントが社会問題化しており、フリーランス、教育実習生等に対するハラスメントも深刻な問題となっています。
 このような中で、防止措置義務はあくまでも自社の労働者を対象としたものであり、また、今回新たに規定される責務規定も、「他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、」とあるものの、他の労働者は社外の労働者までというのが厚生労働省の説明です。
 一方、加害者について、セクシュアルハラスメントに関しては、通達で、「事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者及び学校における生徒等もセクシュアルハラスメントの行為者になり得るものであり、」と一定幅広く規定されていますが、パワーハラスメントに関しては、これまでの労働政策審議会での議論及び国会審議を踏まえる限り、極めて限定的な範囲にとどまっていると認識しています。
 昨今、いわゆる悪質クレームにより、労働者が心身に支障を来す例も散見されます。建議では、自社の労働者等からのパワーハラスメント、取引先等の労働者等からのパワーハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為の三つに区分けされ、法案も、自社の労働者等からのパワーハラスメントを職場のパワーハラスメントとし、それのみに防止措置を義務付ける内容となっています。その上で、他の二つについては、事業主が講ずることが望ましい取組として指針で示すとされています。誰が加害者かによって事業主の対応が変わるのでしょうか。誰が加害者であっても守るのが事業主の責任ではないでしょうか。私たち労働組合は、誰が加害者であっても、働く仲間から相談があれば対応に差を付けるようなことはいたしません。そのことは強く訴えておきたいと思います。
 四点目は、被害者の救済です。
 先ほど申し上げたように、セクシュアルハラスメントに関しては既に防止措置が義務付けられており、都道府県労働局による紛争解決の仕組みが適用されています。しかし、その内容は相互互助を前提とする解決で、その多くが金銭解決、しかも低額という実態にあります。
 JILPTの内藤副主任研究員が述べられていましたが、何より、被害者の願いであるセクシュアルハラスメントだと認めること、謝罪をすること、二度と起こらないようにすることと大きく乖離しており、現行の仕組みでは、被害者も救済されず抑止にもならないとの指摘があります。では司法に訴えるという方法もありますが、勇気もお金も要ることですし、二次被害の危険性もあります。一方、地方自治体の場合は行政指導も紛争解決も対象外となっており、公務員の相談先は地方自治体の人事委員会等で、中立の都道府県労働局の紛争解決の仕組みを利用できない状況にあります。
 今回の法案では、パワーハラスメントに関して、セクシュアルハラスメントと同様の紛争解決の仕組みを規定、適用するとされていますが、今ほどのような問題を放置したままで、果たして実効性はあるのでしょうか。本来であれば、司法、行政、双方における被害者の救済状況について官民問わず実態調査を行い、その結果に基づいて対策を検討すべきで、それは防止措置義務の履行状況しかりです。次への課題として問題提起しておきたいと思います。
 最後になりますが、ILO条約は国際労働最低基準です。政府も使用者もグローバルスタンダードを強調しますが、労働環境は決してグローバルにはなっていません。一方、今回の法案は、内容的に一歩前進ではあるものの、真の女性活躍推進、男女平等の実現、また、ハラスメントの根絶にはまだまだ足りないと認識しております。ILO加盟国として、国際基準に沿った環境をしていただきたいと考えますし、何より、性別に関係なく、雇用形態に関係なく、誰もが安心して働ける職場環境のために役割を発揮していただきたいと思います。
 もちろん、私たち労働組合もそのために引き続き尽力することをお誓い申し上げ、意見陳述とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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石田昌宏#8
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 次に、浅倉参考人にお願いいたします。浅倉参考人。
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浅倉むつ子#9
○参考人(浅倉むつ子君) ありがとうございます。浅倉むつ子と申します。
 私は、この三月まで早稲田大学の法務研究科で労働法、ジェンダー法を教えておりました。そのような立場から、雇用差別禁止法制の研究をしてまいりましたので、今回の法改正について意見を申し上げます。
 今回の法改正は、女性を始めとする多様な労働者がその能力を十分に発揮して活躍できる就業環境を整備する、そういうふうに説明されております。そうであるなら、日本にいまだ存在し続けている性差別、それを撤廃するための対策をしっかりと取るべき、そういう考え方を持っておりますので、以下五点にわたり意見を申し上げたいと思います。
 第一に、女性活躍のためには、一九八五年に日本が批准しました女性差別撤廃条約、それを国内で是非とも生かしていただきたいということです。そのためには、同条約に伴う一九九九年の選択議定書を批准すべきであると考えております。日本の裁判所は、女性差別撤廃条約を司法判断の根拠規定と解しておりません。それを改めさせるためにも、選択議定書を批准して、個人が女性差別撤廃委員会に権利侵害を通報できるようにする、それが重要な課題である、そう申し上げます。
 第二でございますが、女性活躍のためには、雇用における性差別を規制する最も基本である男女雇用機会均等法を強化して、できるだけ性差別禁止法に近づけるという努力を怠ってはならないと考えております。
 二〇一三年には第三回目の均等法の見直しが期待されておりました。しかし、施行規則や指針の部分的改正に終わり、性差別禁止の核心に触れる改正はありませんでした。今回こそ均等法の本格的見直しを期待しておりましたけれども、これが現国会の焦点になっているようには見えません。
 真に日本の女性が能力を発揮できるようになるためには、均等法に禁止されるべき性差別の定義規定を置き、そこに直接差別と間接差別が含まれるというふうに明記すること、そして七条の間接性差別禁止規定をより分かりやすい条文にする、そういう抜本的な法改正が必要であると考えております。決して今の均等法が十分であるとして立ち止まっているべきではないと強調したいと思います。
 第三ですが、現在焦点となっておりますハラスメントについては、これを全般的に禁止する条文が必要だと考えております。
 ハラスメントに対するこれまでの日本の法政策的な対応は、ハラスメントを名称によって分類して、行政がそれぞれ個別に対応していくという形を取ってまいりました。しかし、その定義の谷間に落ちてしまう、そういうハラスメントがあるために、本当にそれでよいのか反省する必要があると考えます。
 私は、性別、人種、年齢、障害、性的指向、性自認などの差別禁止事由に関するハラスメント言動は禁止されなければならないということ、同時に、差別禁止事由とは関わらないハラスメントも禁止されなければならない、それを明確にすべきだと考えております。すなわち、全般的なハラスメント禁止規定が必要不可欠であります。
 現在のような、事業主に対するハラスメントへの適切な対応という雇用管理上の措置義務だけでは決して十分ではありません。それでは一般の人々に対して、なぜハラスメントが許されない行為なのか理解させることができないからです。
 EUやイギリスの平等法では、ハラスメントは、他者の尊厳を侵害する行為であり、脅迫的、敵対的、品位をおとしめるような屈辱的な行為であり、さらに不快な環境をつくる行為であると述べられております。
 ハラスメントは許されない。なぜなら、それは人の尊厳を侵害する言動だからです。このことをまずしっかりと条文化すべきだと考えます。
 なお、今年のILO総会で採択される予定のハラスメントに関する条約案も、全ての形態の暴力及びハラスメントを法律で禁ずることを要請しております。
 禁止規定を作ることはハラスメント防止対策のイロハであって、この禁止規定から漏れてしまう人々があってはならないと考えます。人の尊厳の侵害行為がハラスメントなのですから、労働者であろうがなかろうが、例えば就活生、フリーランス、教育実習生であっても、ハラスメント行為の被害者になってはならないし、性的指向、性自認に対するハラスメントも禁止されなければなりません。このことが、全般的、包括的ハラスメント禁止規定を置く必要性であると考えます。
 もしも今回の法改正で禁止規定が盛り込まれないという場合には、この後速やかに、国際基準となるであろう禁止規定の国内法化を当然の前提とした法や法規定の在り方の検討を開始すべきであります。
 なお、現在の法案では、ハラスメントに関する国、事業主、労働者の責務規定の導入というものが提案されております。そこでは、例えば性的言動問題について、均等法十一条一項に規定する不利益を与える行為又は労働者の就業環境を害する同項に規定する言動を行ってはならないこと、その他当該言動に起因する問題(性的言動問題)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるというふうにされておりまして、これではハラスメントを行ってはならないという趣旨が全く伝わりません。ILO条約案が禁止規定を求めているということから見れば、ここでなぜハラスメントを行ってはならないと書いてはいけないのでしょうか。
 また、この責務規定では、ハラスメントの言動に加えて、当該言動に起因する問題についても関心や理解を深め、必要な注意を払うという対象にしております。しかし、当該言動に起因する問題とは何なのか、ほとんど議論がされていないように思います。この問題とは、その言動が原因で仕事ができなくなるということなどが考えられると思いますけれども、今後、企業が取り組むためにも、指針において明確に規定する必要があると考えます。
 第四ですが、ハラスメントを禁止する規定を置いた場合でもその実効性をいかに確保すべきか、何といっても重要です。
 それは、均等法等の措置義務についても言えることです。均等法は現在の十一条でセクハラに関する事業主の措置義務を定めており、指針には事業主が義務付けられる十項目の内容が定められております。
 措置義務を遵守していない事業主に対しては行政が助言、指導、勧告をすることができますが、しかし勧告違反に対する制裁である企業名公表は、長い均等法の歴史の中でもただ一回行われたにすぎません。しかも、これは妊娠、出産をめぐる解雇事案でございました。
 制裁が行われないのは企業が行政指導を受け入れているからという説明は、部分的には当たっているかもしれませんけれども、それよりもむしろ、措置義務が遵守されていないという実態が明白になっているので、措置義務の履行を確保するだけの行政の人員が不十分だというのが真意ではないでしょうか。禁止規定を設けることと併せて、禁止規定や措置義務規定の実効性をしっかりと確保するということが重要です。
 第五に、今回の法改正では女性活躍推進法の強化が中核を占めております。この法律は、言わば行動計画を事業主自ら策定させるという事業主の自発性に委ねられている法律であります。だからこそ、この法律が真に女性活躍に効果を発揮するためには工夫を重ねなければならないと考えております。私の見解では、状況把握の基礎項目並びに情報公表項目として、男女の賃金の差異の実態、そしてハラスメント対策の整備状況、それを加えることは必要不可欠と考えます。
 また、労働者の関与がなければ、このような立法を機能させることは難しいと思います。行動計画策定に当たっては、労使によって構成される常設の委員会を設置すべきです。現在、事業主行動計画指針では、労働者や労働組合等の意見交換などが重要であるとされておりますけれども、この意見聴取の手続は周知徹底されることはもちろんのこと、計画の届出に際しては労働者の意見を記した書面を提出するなどの手続も導入して、労働者の関与を法に含むことが法を機能させる上で非常に重要だと考えております。
 さらに、行動計画の内容や実施状況は、行政による監視指導体制がなければ真実性が確保されません。行政がいかにして行動計画の履行を実質的にモニタリングできるのか、その体制の整備の検討が不可欠ではないでしょうか。
 日本でも本当に女性が活躍できるような差別のない企業社会の形成に向けて、より真剣な取組が進むことを心より期待しております。
 どうもありがとうございました。
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石田昌宏#10
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 次に、角田参考人にお願いいたします。角田参考人。
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角田由紀子#11
○参考人(角田由紀子君) 弁護士の角田と申します。今日はお時間をいただきまして、ありがとうございました。
 私は、ほぼ三十年近くセクシュアルハラスメントの被害者の側に立って仕事をしてまいりました。そこで、今日は、いろんな問題があるんですけれども、セクシュアルハラスメント被害者への、話題になっております司法的救済というのは本当に機能しているのかというこの論点に絞ってお話をさせていただきたいというふうに思っております。
 一九八九年、御存じのように、一人の若い女性が職場での語りにくい女性差別をなくそうと、初めてセクシュアルハラスメントを理由として不法行為による損害賠償請求事件を福岡地裁に提訴しました。それ以前は、それを告発する言葉も法的枠組みも日本にはありませんでした。私は、その裁判の原告代理人の一人でした。それ以来、今日まで多くのセクシュアルハラスメント事件を担当してきましたし、ほぼ三十年間に様々な形態の事案も扱ってきました。
 この申し上げました第一号事件は、九二年に不法行為であると認定されて、原告のほぼ全面勝訴で終わりました。私たちは、アメリカでのセクシュアルハラスメント事件の扱いに見習ったのですが、日本にはアメリカと違って職場の性差別禁止法がありません。そこで、私たちはやむなく、せめて違法行為として損害賠償をされるべきと考えて、当時、今もですが、使えそうな法律を含めてたった一つあった民法の不法行為を使いました。判決では、直接の行為者である編集長に加えて、原告と編集長が勤めている会社の不法行為責任が明確に認められました。
 原告は、それが不法行為であり慰謝料の支払責任があるということを認定してもらうためには、性差別であるということを強調することが必要だと考えましたので、次のように主張しました。いわゆるセクシュアルハラスメントは、職場で行われる相手方の意思に反する性的な言動であって、労働環境に悪い影響を与えるような行為をいう、それは相手方、とりわけ女性を性によって差別し、性的自己決定の自由等のプライバシーを含む人格権を侵害するものであり、また働く権利を侵害し、ひいては生存権を脅かすものであって、憲法十三条、十四条、民法一条二等に違反する。このような性差別が許されないことは諸外国においても既に広く認識されており、さらに、女性差別撤廃条約、男女雇用機会均等法、労働基準法等々によりセクシュアルハラスメントを受けずに働く権利は法律で保障されているんだと。
 つまり、性差別であって、自己決定権を含む人格権侵害であり、その結果、労働する権利が奪われ、挙げ句には生存権が奪われると、こういう三段階にわたる違法行為であることがセクシュアルハラスメントの特徴であります。
 働く女性には、セクシュアルハラスメントはまさに死活問題です。私は三十年にわたって被害者に関わってきましたが、加害者からはたったそれだけのことかと言われるような出来事であっても、被害者は心身に大きなダメージを受け、仕事はもちろん、食べたり眠ったりする日常生活すら満足にこなせなくなっているということは決して珍しいことではありません。さらに、行為そのものと周囲の人々の誤った対応などから受ける屈辱感、自尊感情の破壊などがもたらす被害は、傷そのものが身体的な傷のように外部から見えないので理解されませんし、被害者は更に苦しむことになるのです。PTSDのもたらす心身の不調は、それを知らない人には単なる怠け者としてしか見えなかったりするわけです。
 この最初の判決は、今まで法律問題とされてこなかった、しかし、働く女性の日常にとって、場合によっては人生を大きく左右する出来事を社会的にも法的にもセクシュアルハラスメントとして認めたものであると理解されています。
 しかし、今、三十年を振り返ってみると、セクシュアルハラスメント事件は不法行為のカタログを一つ追加したにすぎない面があったのではないかというふうに思っております。なぜならば、いまだに不法行為の枠を超えられず、本当に被害者が求めているものを獲得できないからです。被害者の求めているものは、先ほどの中に出てきましたが、事実をセクシュアルハラスメントと認めること、それから加害者が謝罪すること、さらに再発防止策を取るというこの三つです。
 ところが、セクシュアルハラスメント裁判を不法行為を使ってやってきた、現在ではその限界が私は大きく見えているというふうに思います。今回の改正案でも、法的解決手段としては不法行為裁判しか考えられていないようですけれども、三十年にわたってそのことを行ってきた私の経験からは非常にそれは不十分であるし、結論としては原告の救済になっていないというふうに考えております。
 いろんな問題があるんですが、まず一つは、理論的な問題があります。不法行為法という法的枠組みは、性差別が本質であるセクシュアルハラスメントの事案に適しているのだろうかということです。問題の性質からこれは適さないのではないか、不法行為という枠組みはふさわしくないのではないかということを民法学者からも言われております。
 例えば、立命館大学の木村和成さんです。不法行為法は、財産権の侵害に対する損害の填補を目的とするものとして形成、構成されてきた。人格権侵害に基づく損害賠償請求の多くは、不法行為法の機能である損害の填補を目的とするものではなく、他者の行為によって自身の人格が侵害されたことに対する個人の尊厳を守るための闘いであると言ってもよい。財産権の侵害と決定的に異なるのはこの部分であって、それを抽象的に権利侵害として不法行為法上の保護法益として論じることは、人格権の保護にとって適切であるとは言えないというふうに述べられております。つまり、本来、財産権侵害に対する金銭による填補を目的とするこの法律からははみ出してしまうのではないかということなんですね。
 次に、被害者と加害者に平等な位置付けを与える司法手続、つまり民事訴訟はそういうものですが、という、しかし、これは非常に時間の掛かる手続はこの事案に対して適切かという問題があります。
 不法行為は、御存じのように、元々個人間の利益調整手段ですから、被害者の権利と加害者の権利を比較考量を行うことは当然に起きるわけです。裁判になるのは事前の話合いが付かなかった事案ですから、事案としては非常にシビアな対立事件です。そこでは、加害者は、裁判になれば、支払わなければいけない賠償金を減らすために必死の抵抗をします。ありとあらゆる自分に役に立つと思われる主張、立証をします。不法行為であるわけですので、過失相殺という抵抗の場が与えられるわけなんですね。これは、民法七百二十二条が、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」というふうに定めていることからも当然の扱いになってきます。
 第一号の事件も、実は原告の過失相殺がされました。これらの事情やその他前記認定に現れた諸般の事情を考慮し、という決まり文句で、原告の請求した慰謝料は三百万だったんですけれども、認められたのは百五十万でした。
 裁判は原告と被告とが攻撃、防御を繰り返す場ですが、過失相殺が許されることで、そのための主張、立証のために裁判期間は必然的に長引きます。これは、被害者から見れば、改めて加害者側の攻撃にさらされ、心身の負担が激しくなる二次被害の期間でもあるわけです。
 過失相殺との関係で、セクシュアルハラスメント被害者の権利は理解できますが、加害者の権利というのは一体考えられるんでしょうか。仮に加害者の権利があり得るとしても、それは被害者の侵害された権利と並べて比較考量できるものなのでしょうか。更に言えば、過失相殺が許されても、交通事故裁判で百対ゼロということはあるわけですね。被害者の過失ゼロというのは当然認定することは可能なんですが、ジェンダー教育をほとんど受けていない裁判官にそれができるんでしょうかという問題です。
 多くの裁判官は、男性原理に基づく経験則や曖昧な社会通念や世間の常識と決別できてはいません。自動車事故での過失の割り振りとは異なる困難がこの事件にはあります。ここが、同じ不法行為法による解決でも、自動車事故の解決とは根本的に違うという問題ですね。
 そもそも、性暴力被害における被害者の過失責任、つまり何が注意義務違反かということですが、それは、性暴力に遭わないために被害者が取るべき言動があるということを前提にしている考え方だと思います。
 それから、三番目の困難な問題は、不法行為法を基にして裁判を行いますと、ゴールは金銭賠償でしかないということですね。その上に、日本では賠償金額が非常に低いという問題があります。
 セクシュアルハラスメントは、最初に申し上げましたように三段階にわたる人権侵害であって、しかもそれは性差別の結果です。しかし、そういう認識が明確にないものですから、裁判所に、被害は往々にして非常に低く見積もられてしまいます。性差別との認識は極めて低いわけなので、人によっては、さっき申し上げましたように、一生引きずるような被害を賠償してもらうことにはなっていないということなんですね。
 現状の法案では、司法的救済としては相変わらず不法行為というものが期待されているようなんですけれども、それでは不十分であって、とても被害者の救済には役に立たないというのが三十年間これをやってきた私の結論でございます。
 どうもありがとうございました。
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石田昌宏#12
○委員長(石田昌宏君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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島村大#13
○島村大君 自民党の島村大でございます。
 本日は、参考人の五人の皆様方、お忙しい中、我々参議院の厚生労働委員会においでいただき、本当にありがとうございます。
 時間が十分と短いので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
 今回の法案は、女性が活躍できる就業環境を整備するための法案だと、分かりやすく言えばそういう法案だと思っております。まずは研究者としての武石参考人、それから実務を担当なされています輪島参考人に、お二人に質問をさせていただきたいと思っております。
 今回のこの法案につきまして、一つは、状況の把握の必須項目の全て、又は女性管理者の比率、男女の賃金格差について企業に情報公表を義務付けるものと、という意見もたくさんございますが、それに関してちょっと質問をさせていただきたいんですが、なぜこの質問をさせていただくかといいますと、やはり、先ほどもちょっとお話ありましたように、数字が独り歩きするんではないかという、私も一つ問題点があると思っております。
 というのは、私も小さいながら診療室を持っていまして、約四十名います。正規と非正規でそれぐらいいるんですが、やはりその中で、数年に一度はいわゆる出産のために育児休業なされる方がいらっしゃいます。そういう方々がいますと、いわゆる復帰してもなかなかすぐにフルで働くことができない。フルで働くことができないということは、就業時間を短くする。そうすると、賃金の、同じ職種でありましても賃金の格差が出てきてしまう場合もあると。
 そうしますと、男性と女性で同じ職種であっても、そういういろんな時間的な問題とか、いろんなそういう育児のために賃金格差ができるとか、いろんなその問題、問題というのか、いろんな立場が違って数字が違ってくると思うんですが、そういうこともあると思いますが、まず武石参考人に、今お話ししました義務付ける件に関してどうお考えかを教えていただきたいと思います。
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武石惠美子#14
○参考人(武石惠美子君) ありがとうございます。
 状況把握の必須項目の全て、あるいはその賃金格差等についての義務付けということに関してですが、先ほども申しましたように、この法律は企業の自主的な取組というのを基本にしているのがまず前提であると思っております。各社それぞれの事情の中でできることを今進めていただいているということになりますので、まず、企業の自主的な取組を阻害することのないようにということが必要になってまいります。
 委員御指摘のように、賃金格差というのは、大変、いろんな状況の中で、例えば、女性の採用を増やすと、女性の年齢が低くなり勤続が短くなるので、全体として勤続が短くなったり、賃金が男女格差が開いたりという状況になってまいります。女性の採用を積極的にやることによって、ほかの数値が下がってしまうという現状もございます。といういろんなことを考えますと、やっぱりそれぞれ、各社が置かれた状況の中で必要な情報を公開していくというのが現状適切なのではないかなというふうに思います。
 また、情報公表が少ない企業に関しましては、求職者もそれなりに、あっ、ここは公表できないんだなということでの一つのそれも判断材料になってまいりますので、総合的にどういう情報を公表し、その数値がどうなっているかということを求職者の方、外部の方に判断していただくということになるのかなというふうに思っております。
 以上です。
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輪島忍#15
○参考人(輪島忍君) ありがとうございます。
 状況把握項目、それから情報公開というようなことでございますけれども、まず状況把握項目、この必須項目というのは、各社それぞれで課題分析、先ほども幾つか課題分析をした結果の取組について御説明をさせていただきましたけれども、自社の課題分析のために把握をするものというふうに承知をしております。
 他方、情報公表の項目でございますけれども、これは、求職者の企業選択、平たく言うと、就職のためにどれぐらい参考になるのかというようなものを企業が提供するものというふうに思っておりまして、そういう意味では目的がそれぞれ異なっているというふうに考えておりますので、企業の中で把握をしているものということと、それを公表するというようなことは、少し程度のものが違うのではないかというふうに思っております。女性の活躍推進という観点で企業が情報公表する項目について、各企業の様々な考えの下で様々なものがあってよいというふうに思っているところでございます。
 したがって、積極的にいろんな情報公表をしている会社も、一つに限らず、少なからずいろんなものを出しているというようなことで、企業も、自分の就職の参考になるための有意な情報を積極的に出すというような傾向、実態にあるのではないかというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
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島村大#16
○島村大君 ありがとうございます。
 先ほど、経団連の中西会長からの資料で、企業労使に関しましては、今我が国の時代、大きな転換期で、自社に適した働き方や処遇の在り方について徹底的な議論を期待したいということで、これやはり労使でしっかりと議論していただきたいと、私もそのとおりだと思うんですね。
 例えば、今お話ありましたように、自分の企業の公表することに関しまして、いろんな今企業さんも、これだけ人手不足だと言われておりますので、この公表を拒んでいるのではなくて、やはり分かりやすく丁寧に公表しているところが多いと思うんですね。ただ、公表するに関しましても、先ほどお話ししましたように、いろいろな数字だけを出すと難しい点もありますので、そこはどのように公表するかという、そこはやっぱりその企業さんの腕の見せどころだと私は思っております。
 また、一つは、先ほどお話ありましたように、日本の企業は九九・七%が中小企業。これに関しまして、大企業とか中小までは、私、今のお話でできると思うんですが、零細企業とかもっと小さいお店に対しましては、なかなか、いわゆる女性の方々に出産とか育児で休んでいただくと、なかなかその企業が成り立たない。じゃ、それを補填、補填するという言い方がちょっと適切か分からないですけど、じゃ、その間、違う方々に来てもらう。それがしっかりと、その期間だけ来ていただけるような、うまくはまる方が派遣でもいらっしゃればいいですけど、職種によってはうまくいかない。そうしますと、じゃ、もう一人正社員を入れるとなると、復帰した方がいると、またその会社が一人多く保てればいいですけど、そういうこともできない零細企業が私、多いと思うんですね。そういう企業に関しましても、やはりそこは現場が、現場同士で、その担当の現場が、いわゆる、じゃその間どうするのか、育児休業の間どうするのかとか、そういうことをしっかりと労使で話し合っていただいているところはうまくいっていると思うんですね。何でそれがいかないかというと、やっぱりそこはその議論が足りないと思うんですが。
 是非とも、私は、女性が働きやすい環境づくりは、一つはやっぱり大きなのは育児休業だと思っているんですよね。そこを、現場としては、育児休業を取りやすい環境づくりというのは、私、今回女性活躍の法律を作るのに、この背景とか、実際的にどうしたらいいかということが大切だと思うんですけど、そこは武石参考人、何かこう、皆さんから見てこういうことがあるとか、輪島参考人も是非そこをあれば教えていただければと思います。どうですか。
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武石惠美子#17
○参考人(武石惠美子君) ありがとうございます。
 育児休業がどうやれば取りやすいかということに関しては、育児をしている人に対する周囲の意識であったり、あるいは育児をしている人たちの仕事をどんなふうに分担できるかというような雇用管理であったりマネジメントの工夫というのが幾つか蓄積がございます。
 やはり、育児休業というのは必要がある範囲で一年、一歳までは取る権利がございますので、その間の仕事のやりくりというものを周りの人にもお願いしていくことになるので、そういった人たちへの対応であったり、それから、復帰を踏まえたその仕事のやりくりというようなこと、やはり、経営者の意識であったり周りの人の意識であったりということの職場風土、そしてマネジメントの工夫ということに尽きるのかなというふうに思います。
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島村大#18
○島村大君 じゃ、輪島参考人に、済みません、時間短めにお願いします。
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輪島忍#19
○参考人(輪島忍君) ありがとうございます。
 大分、育児休業の取得については、コンセンサスといいますか、共通認識というか、職場での労使での話合いも含めて環境整備は整ってきているのではないか。しかも、女性の多い職場であれば、ある意味でお互いさまといいますか、順番といいますか、それぞれの事情に応じて対応していく、そのところで、現場でそれぞれでうまく工夫をしていく。先生御指摘の労働時間であったり、早く帰るとか、少し遅く出てくるとか、病気への対応とかですね、そういうようなことを自然にできるような環境というのは整いつつあるのではないか。
 ただ、まだ十分だというような状況ではありませんので、それは更に労使で工夫をしていくというようなことは大変大事ではないかなというふうに考えているところでございます。
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島村大#20
○島村大君 ありがとうございます。
 私もこの法律を進めることは賛成でございますが、やはりそういうその意識改革、そういうことも労使で意識改革を是非とも進めていただき、私は、やはり教育、子供の頃からの教育で、どういうふうに仕事に関しましてやっていかなくちゃいけないかという教育も含めて、一緒に意識改革をさせていただきたいと思います。
 時間ですので、あとの方々、済みませんでした。終わります。
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川田龍平#21
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
 まず、質問させていただきます。
 世界経済フォーラムが二〇一八年に公表した各国の男女格差間を数値化したジェンダーギャップ指数によると、日本が百四十九か国中百十位と、男女間格差の大きい国の一つとなっています。特に、女性参画の少ない政治分野と女性の賃金、管理職比率の低い経済分野での男女間格差が大きくなっています。
 昨年五月には、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が成立して、今年、施行後初めての参議院選を迎えます。立憲民主党は、今回、選挙において候補者の女性割合を四〇%の目標を掲げていますが、それぞれの女性活躍に対する政党のこの本気度が分かるのではないかと思います。
 今回の女性活躍推進法の改正案は、この女性活躍推進を柱に掲げる政府の本気度が問われています。政府は、本男女共同参画基本計画の中で、二〇二〇年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を三〇%とする目標を掲げていますが、女性活躍推進法もこの背景にあり、二〇一五年に成立をして二〇一六年に施行されました。
 しかし、依然として女性の管理職割合などは低水準にとどまり、このままでは二〇二〇年までに三〇%という目標達成は大変厳しい状況です。これ、SDGsの中にもこのジェンダーの比率の問題はありますが、今回の改正案では、三百一人以上の民間事業主の義務が百一人以上に拡大する内容が盛り込まれていますが、中小企業に経過措置があるなど、二〇二〇年までに三〇%の目標達成の起爆剤には程遠い状況です。
 働き方改革、女性活躍を掲げる政府としては本腰を入れてこの政府目標達成のための対策を考える必要がありますが、井上参考人、今回の改正案の評価と課題についてお伺いしたいと思います。
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井上久美枝#22
○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
 今回の労働政策審議会の議論におきましては、まさにこの女性活躍のところがポイントであったわけです。連合としては、全ての企業に対する女性活躍推進法の義務化や、あるいは均等法の見直し、抜本的な見直しを求めてまいりましたが、残念ながら労使はしばらくの間平行線をたどっておりました。
 しかしながら、お互いのというか、審議会における議論の結果、今回、一歩でも二歩でも前進できたことは前向きに評価をしております。ただ、残された課題としては、先ほども申し上げましたが、一般事業主行動計画の義務が全ての事業主に適用されなかったことにつきましては、やはり課題が残ったというふうに思っております。
 また、男女間賃金格差の課題につきましても、今ほども課題になりましたが、情報公表項目あるいは状況把握項目の基礎項目に男女間の賃金の差異が入らなかった。これにつきましては、やはり働き方の結果指標と言われているこの差異を加えるべきだというふうに考えております。
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川田龍平#23
○川田龍平君 ありがとうございます。
 私も、一昨年の調査会の視察でアイスランドに行ってきましたけれども、アイスランドではこのジェンダーギャップ指数が一位ということで、非常に少ないということで、非常にこの各国の取組というのはとても重要ではないかなと思っております。
 井上参考人と浅倉参考人からも、この男女の賃金の差異のことを状況把握項目の基礎項目や情報公表項目に加えるべきとのお話が今ほどもありました。これ、政府も、男女間格差、賃金格差については、女性活躍推進のための取組の成果を表す指標として重要なものということで認識しており、勤続年数や役職、年齢、学歴など、様々な背景が積み重なった最終的な結果指標として意味合いを有しているという答弁もありました。
 であるならば、政府としては、この男女の賃金の差異をやはり情報公表項目や状況把握項目の基礎項目に含めるべきだというふうに強く思いますが、本気でこの女性活躍推進を図ろうと思えば、まずは男女間賃金格差、どういうふうになっているかを調べることが重要であること、これは厚生労働省も認識しているはずですが、そこで、是非、井上参考人に、各国における女性活躍推進の取組、特に男女間賃金格差の是正でどのような取組を行われているのか、御存じであれば教えていただきたいと思います。
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井上久美枝#24
○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
 今ほど先生からもありましたアイスランド、非常に進んでおります。男女の賃金格差を法律で禁止をし、証明できない場合は一日五百ドルの罰金というのが科せられています。また、十二位のフランスでは、職業人生選択の自由のための法律というものがあって、従業員五十人以上の企業において、全体の賃金の、男女別賃金と同一価値労働の賃金の公開を義務付けているというところであります。
 これらの国も初めから平等だったわけではないというふうに思います。やはり、これまでの積み重ねがあって現在があるというふうに思っております。
 以上です。
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川田龍平#25
○川田龍平君 ありがとうございます。
 私が留学していたドイツでも、この賃金透明化促進法において、従業員二百人以上の企業では、従業員から照会があった場合に異なる性別の従業員の賃金情報に関する開示の義務付け、それから、従業員五百人以上の企業では、男女の賃金の公平性に関する報告書の作成の義務付けなど、本当に、ほかの国でやっている施策がどうして日本ではできないのかなと非常に強く思うんですが、日本において、特に管理職、それから勤続年数、こういった問題をやっぱりしっかりと明らかにして、この格差を欧州並みにやっぱり大幅に縮小するべきというふうに私も考えております。
 それから、セクシュアルハラスメントのことについてですが、先ほど角田参考人にも、セクハラという言葉自体の持っている意味など、この参考資料にもありました。これ、世界中で大きなうねりとなったこのセクシュアルハラスメント被害を告発するミー・トゥー運動、これ、今回、財務省のセクハラ問題を機に日本でも広まって、これ二〇一八年の流行語大賞にもなりました。このセクシュアルハラスメントの、このセクハラという言葉自体が一九八九年の流行語大賞の金賞にもなっています。
 まさに三十年の時を経て、この男女雇用機会均等法において、一九九九年には防止配慮義務、二〇〇七年に防止措置義務となったにもかかわらず、いまだにセクシュアルハラスメントが蔓延しているという実態、これをやっぱり政府は、特に政府でも起きている、特に財務省で起きていることについて重く受け止める必要があると考えています。
 それにもかかわらず、今回の改正案ではセクシュアルハラスメントを抜本的に根絶する対策とは言い難いような状況です。パワーハラスメントもセクシュアルハラスメントも同様にこの防止措置が事業主に課されることは一歩前進であるものの、先んじてこの防止措置が義務化されているセクシュアルハラスメントでいまだに被害がなくならないという現状に対して、また果たして防止措置がハラスメントに有効な策なのかということで疑問が生じるところがあります。
 先ほど、浅倉参考人からも措置義務が遵守されていないと、特に監視するような人事が確保されていないことがやっぱりこういった措置義務では不十分ではないかということの話もありました。
 昨年から現在に至るまで、この間、労働組合を始めとして多くの団体や個人の方から、このハラスメント行為そのものを禁止するべきだという声や意見を頂戴しています。ファクスもたくさん入っていますし、院内集会や署名活動も数多く行われています。
 セクハラの禁止規定については、日本が批准している国連の女性差別撤廃条約の委員会からは、経過からも日本は何度も勧告を受けています。少なくとも性的言動が仕事に不必要なことは明確である中で、衆議院では野党がセクハラ禁止法案を共同提出しましたが、残念ながら否決をされました。ILO条約案にも禁止規定が盛り込まれているにもかかわらず日本で禁止規定が付かないとすれば、日本はハラスメントの後進国ということになっています。
 参考人からもこのハラスメント行為そのものを禁止する規定が必要だという意見がある中、具体的にどのような規定が必要と考えるか、井上参考人。それから、角田参考人には、セクハラというこの言葉自体が大変、差別禁止だと、性差別であるということを、ここをしっかりと認識させていないのではないかということも意見としてありました。それから、教育についての力なども角田参考人から是非、二人の参考人からお聞きしたいと思います。
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井上久美枝#26
○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
 禁止規定としては大きく分けて二つ、二種類あるというふうに思っております。一つ目は行為者の刑事責任を伴うもの、また二つ目は違法として損害賠償請求の根拠規定となるものというふうに考えております。
 世界銀行の調査によりますと、百八十九か国のセクハラに関する調査によりますと、禁止規定となり得る刑法上の刑罰は七十九か国、民事救済措置は八十九か国が有しているという調査もございます。連合は、審議会におきまして、このハラスメント行為の違法性を明確化し、そして損害賠償請求の根拠規定となる禁止規定を求めてまいりましたが、今回、最終的にはその必要性も含め中長期的な検討を要するとして見送りになりました。それは非常に残念なことだというふうに思っております。
 今このときもハラスメントで苦しんでいる人がいるということを考えれば、ハラスメント根絶に向けて、是非この損害賠償請求の根拠となり得るハラスメント行為そのものを禁止する規定の法制化について速やかに検討する必要があるというふうに思っております。
 ありがとうございます。
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角田由紀子#27
○参考人(角田由紀子君) 二つのお尋ねがあったと思うんですけど、まず一つ、今、日本の中でも何か日本語になってしまったセクハラという言葉があるんですね。
 この言葉は、元々は私たちが一九八九年に福岡で最初に裁判を始めたときには、セクシュアルハラスメントという言葉ではなくて、その当時暫定的にあった日本語訳、性的嫌がらせという言葉を使って始めたんですね。しばらくやっていると、どうも性的嫌がらせという日本語はセクシュアルハラスメントの本来持っている意味と離れているんじゃないかということに気が付いたんですが、残念ながら弁護団で適切な訳を見付け出すことができなかった。そこで、セクシュアルハラスメントという片仮名のままでその後続けていったんです。そうすると、大体、第一号事件のときに、女性が何を生意気なというような反響が周りからたくさんあったものですから、男性週刊誌、多分文春か新潮かどっちかだったと思うんですが、それが、そういうふうにセクシュアルハラスメントの告発を始めた女性を半ばやゆするような感じで、セクハラという言葉を作ったんですね。
 セクシュアルハラスメントという英語そのものは、アメリカではそういう被害を体験している女性たちが編み出した言葉だったんです。でも、日本では、残念ながらセクハラという男性がやゆする表現が作られて、しかも確かにセクシュアルハラスメントよりはセクハラの方が言いやすいですよね、書きやすいということがあって、それが流行語大賞にもなったことがあって、わあっと広がったんです。広がったことはいいことではあるんですけれども、大体セクハラって何なのと、意味が付いていかないわけですね。
 日本で英語を片仮名にして、そして簡略語にする。パーソナルコンピューターがパソコンになるのと同じように、そういうふうになっていくわけですね。でも、まだ物だったら名前の問題だから分かるんですけれども、セクシュアルハラスメントというようなかなり複雑な概念になってくると、セクハラという分かりやすい日本語になった途端に本来持っていた意味がすっかり抜け落ちてしまったと。
 それからもう一つは、片仮名語の持つ宿命といいますか、本来の意味よりは軽くなるということがあって、セクハラという言葉が広がったのは良かったけれども、意味が付いていかないままになってしまったというのが今の問題だと思うんですね。
 それからもう一つ、教育についての問題なんですが、私は、セクシュアルハラスメントをなくすのを、あるいは防止するのをどうするのかということについて、教育をどうするかという議論が欠けているというふうに思っているんですね。その教育というのは何も学校教育だけではないんですけれども、社会あるいは家庭、学校、いろんなところでの人権に対する教育がこの国では非常に弱いということがあると思うんです。
 セクシュアルハラスメントは、先ほど申しましたように、性差別の問題ですから、人権と差別ということをしっかり小さな子供のときから教育していくことができれば、セクハラの裁判をやって三十年、ワンジェネレーションたっているので、本当は最初から教育の大事さが分かっていればかなりの変化があったのではないかと思うんですけれども、何となく曖昧のままで、人権の問題だという認識も薄かったということで、今のような状況になっているんじゃないかと私は思っております。
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川田龍平#28
○川田龍平君 まとめます。
 小手先だけの研修で解決できる問題ではない、根が深いことの認識が必要で、女性に対する賃金差別など不正義を放置しておいてセクシュアルハラスメントの根絶など望むべくもなかろうと角田参考人のにあります。私も本当にこの問題は人権の侵害の問題だということをもっとしっかりしなければいけなかったところ、角田参考人の意見の中でも、原告側の弁護団としての責任を感じているということで、不法行為法だけでは金銭賠償が目的になってしまうということから根本的な解決になっていないというところをやっぱり述べられています。
 やはり、この差別の問題というのは根深く、私も薬害エイズの裁判で、匿名裁判で最初は訴えることができました。匿名でセクシュアルハラスメントも訴えられるような、二次被害を防止するような施策も考えるべきではないかと思いますが、それは、質問がちょうど終わってしまったので、また後ほど聞きたいと思います。
 ありがとうございました。
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川合孝典#29
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典と申します。
 五名の参考人の皆様には、貴重なお話を頂戴しまして、誠にありがとうございました。
 私どもは、昨年、今日もいらっしゃいますが、石橋委員とともにパワハラ規制法案というのを議員立法として発議しまして、昨年の働き方改革関連法案の審議に併せる形でこの参議院厚生労働委員会で審議をしていただきました。残念ながら否決はされたわけでございますが、その後、要請活動等行わせていただき、そのことの結果として、ハラスメント対策の議論が厚生労働省の中で始まりました。そうした動きを受けて、今回、この女活法、ハラスメント対策ということが法律改正につながったという意味で、方向性については私は実は評価、一定の理解をしているわけでございます。
 が、しかしながら、その法案の中身を見てみますと、ほとんどの大切な事項につきましては省令事項ということで中身がない、言い方は悪いですけどすかすかの法案内容になっているということでありまして、今後、方向はいいんだけれども中身がない、この中身のない法律をどう実効性を担保していくのかということが非常に重要だという認識を持っております。
 そうした問題意識を持って幾つか質問させていただきたいと思いますが、まず、経団連、輪島参考人に確認をちょっとさせていただきたいんですけれども、実は私、超党派の自殺対策の議連の事務局長をやらせていただいております。現在、自殺者数は、この議連の活動が始まりましてから九年連続で低減傾向にあるということでございますが、相変わらず世界的に見ると極めて高い自殺者数であると。恥ずかしい話ですが、北朝鮮、韓国、日本、高いんですね。その自殺者の自殺原因を分析してみますと、若い方々の自殺が減らない。そして、その自殺の原因として大きな比率を占めているのが職場における人間関係なんです。
 こうした実情がデータとして出ているわけでございますけれども、経団連さんとしてそうした状況について何らかの分析をしていらっしゃるかどうかということを確認させていただきたいと思います。
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