法務委員会

2019-05-21 参議院 全164発言

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会議録情報#0
令和元年五月二十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     徳茂 雅之君     山田 俊男君
     櫻井  充君     山本 太郎君
     伊藤 孝江君     矢倉 克夫君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     中西  哲君     片山さつき君
     山田 俊男君     徳茂 雅之君
     山本 太郎君     櫻井  充君
     矢倉 克夫君     伊藤 孝江君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     岡田 直樹君     松川 るい君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         横山 信一君
    理 事
                福岡 資麿君
                元榮太一郎君
                有田 芳生君
                伊藤 孝江君
    委 員
                徳茂 雅之君
                長谷川 岳君
                松川 るい君
                丸山 和也君
                柳本 卓治君
                山谷えり子君
                小川 敏夫君
                櫻井  充君
                石井 苗子君
                山口 和之君
                仁比 聡平君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     山下 貴司君
   副大臣
       法務副大臣    平口  洋君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  門山 宏哲君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   村田 斉志君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   安東  章君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   手嶋あさみ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局長      菅久 修一君
       警察庁長官官房
       審議官      田中 勝也君
       警察庁長官官房
       審議官      河野  真君
       総務大臣官房審
       議官       吉川 浩民君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小出 邦夫君
       法務省民事局長  小野瀬 厚君
       法務省刑事局長  小山 太士君
       法務省矯正局長  名執 雅子君
       法務省人権擁護
       局長       菊池  浩君
       出入国在留管理
       庁長官      佐々木聖子君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       椎葉 茂樹君
       経済産業大臣官
       房原子力事故災
       害対処審議官   新川 達也君
       国土交通大臣官
       房建設流通政策
       審議官      北村 知久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (裁判員制度の運用に関する件)
 (選挙運動として行われるヘイトスピーチへの
 対応に関する件)
 (独占禁止法改正案における弁護士・依頼者間
 秘匿特権に関する件)
 (刑事施設における自弁品の価格設定に関する
 件)
 (外国人の土地取引の制限に関する件)
 (法人処罰の在り方に関する件)
 (福島第一原子力発電所の構内作業等への特定
 技能外国人の受入れに関する件)
 (米軍関係者に対するいわゆる裁判権放棄密約
 に関する件)
○戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
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横山信一#1
○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、中西哲君及び岡田直樹君が委員を辞任され、その補欠として片山さつき君及び松川るい君が選任されました。
    ─────────────
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横山信一#2
○委員長(横山信一君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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横山信一#3
○委員長(横山信一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に伊藤孝江君を指名いたします。
    ─────────────
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横山信一#4
○委員長(横山信一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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横山信一#5
○委員長(横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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横山信一#6
○委員長(横山信一君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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徳茂雅之#7
○徳茂雅之君 おはようございます。自由民主党の徳茂雅之でございます。
 ちょうど十年前の本日、平成二十一年五月二十一日に裁判員制度がスタートいたしました。それまでは、裁判官、検事、弁護士というプロ法曹三者による刑事裁判。これに対して、国民の目線、国民の感覚を取り入れて、司法に対する国民の信頼をしっかりとしていこうというような目的でスタートしたというふうに理解しております。
 まず、大臣に御質問したいんですが、制度創設十年に当たって、裁判員制度についての大臣の受け止め方、これをお伺いしたいと思います。
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山下貴司#8
○国務大臣(山下貴司君) 裁判員制度は、国民が刑事裁判に参加し、国民の感覚が裁判の内容に反映されることにより、国民の皆様の司法に対する信頼や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるという大変重要な意義を有しております。このような制度が本日十周年という節目を迎えたことにつきましては、法務大臣としても大変意義深く思っておるところでございますし、私も法曹の一員でございますので、大変感慨深いものがございます。
 これまで九万人を超える国民の皆様が裁判員やあるいは補充裁判員に選任され、裁判員経験者を対象としたアンケートにおいても、九割以上の方が裁判員として裁判に参加したことについて良い経験をしたと感じた旨の回答をされているものと承知しております。
 このように、裁判員制度はおおむね順調に運営され、国民の皆様の間に定着しているものと認識しておるところでございます。裁判員制度が我が国の司法制度の基盤として重要な役割を果たすことができるよう、私も法務大臣として引き続き努めてまいりたいと考えております。
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徳茂雅之#9
○徳茂雅之君 ありがとうございます。
 先ほど大臣から、九万人を超える一般の国民が裁判員に参加したと。もう既に一万二千件を超える実例も積み重なってきております。制度創設当初は、刑事裁判に一般の国民が参加するということに対する、例えば本当に憲法上問題はないのかというような御意見もあったわけでありますけれども、これまでの十年間、多くの関係者の努力によって裁判員制度は定着してきたものと、このように理解しております。
 これから最高裁に、これまでの状況、取組についてお尋ねしていきたい、このように思っております。
 従来の刑事裁判、これは御存じのとおり、例えば多くの書証でありますとか調書、こういったものを積み重ねて、裁判官が精緻に細部にわたり事案を検証していく、よく言われる調書裁判あるいは精密司法と呼ばれる手法で取り組まれてきたわけであります。これに対しまして、裁判員裁判につきましては、プロではない一般の国民が参加するということで、公判を中心に裁判を進めていく公判中心主義、これが取られてきたわけであります。いわゆる核心に迫る核心司法ということでございます。
 裁判の手続いいますと、公判の準備、それから公判、それから評議、判決という流れの中で、いわゆるプロである法曹三者、これがしっかりと一般国民が裁判体に参画しているということを意識して連携して取り組まなきゃいけない、取り組んできていると、このように理解しておりますけれども、まず最高裁に対して、法曹三者の連携でどのように裁判員制度を改善してこられたのか、これについてお尋ねしたいと思います。
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安東章#10
○最高裁判所長官代理者(安東章君) お答え申し上げます。
 裁判員制度という新しい制度の導入を契機にしまして、法曹三者が各々の立場にこだわることなく、より良い裁判員裁判の実現という共通の目標に向かって努力をするようになったと、その結果、委員から御指摘がありましたように、公判中心主義あるいは核心司法へと刑事司法の在り方は変わってきたものと認識しております。
 三者の連携の一例を申し上げますと、個々の裁判員裁判の終了後に、その裁判に関与した法曹三者で振り返りの検討会を行いまして、率直な意見交換や情報共有をして、その後の運用改善に生かす、こういった取組が広く行われております。
 また、様々な階層におきまして、法曹三者合同の研究会、協議会等を行ったり、実務検証目的の模擬裁判、模擬評議を行ったりしている地域もあるものと承知してございます。
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徳茂雅之#11
○徳茂雅之君 ありがとうございます。
 これまで、法曹三者の取組によって着実にその裁判員制度については定着してきたということだと思います。
 公判後の評議においては、これまではある意味専門家、プロである裁判官がしっかりと証拠を見ながら積み重ねていくという精密司法だったわけでありますけれども、これからは、裁判官と裁判員がある意味共同作業で評議について取り組んでいくということになってきているわけであります。そのためには、例えば、法律用語というのは極めて専門的で、一般人に分かりにくい、こういったものでありますとか、いろんな面での法律上の概念、これを分かりやすく裁判員の皆さんに御理解いただくような努力でありますとか、あるいは評議の場も、自由な雰囲気で一般の国民である裁判員が参画しやすい、そういった場づくりも必要かと、このように思っております。
 その上で、裁判員制度を円滑に実施していくために、やはり裁判官と裁判員のある意味共同作業、これが重要だと思いますけれども、どのように取り組んでこられたのか、お尋ねしたいと思います。
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安東章#12
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 委員から今御指摘がございましたとおり、裁判員裁判におきましては、裁判員と裁判官がそれぞれの役割を十分に果たし、実質的に協働できるようにすることが求められます。そのためには、裁判員を含む裁判体が公判廷で的確に心証を取る必要がありますから、あらかじめ整理された争点に焦点を当てた人証中心の公判審理、これが連日的に行われるようになりました。
 また、御指摘もありましたとおり、量刑や難解な法律概念につきまして、裁判員の方々にも御理解いただけるように、法曹三者において、本質に立ち返った説明、これに向けた工夫や努力を積み重ねてきたところでございます。
 また、評議におきましては、裁判官は、裁判員が法廷で形成した心証に基づきまして率直に自らの意見を述べられるような雰囲気あるいは環境を整えまして、裁判員と裁判官が真に対等な立場で意見交換できるように努めているものと承知してございます。
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徳茂雅之#13
○徳茂雅之君 ありがとうございます。
 プロである裁判官側の努力ですね、一般人である裁判員が参画していることの理解、これが進んできたということだと思います。
 従来の裁判官裁判、裁判官による裁判というのは、ともすれば前例主義、あるいは他の案件とのバランス、こういったものを重視して、例えば、時代の流れでありますとか国民の感覚、意識、こういったものが必ずしも反映されてこなかったのではないかというようなことも考えられます。
 とりわけ、裁判員裁判制度というのは重大事件を扱うわけでありますので、国民の関心が高い案件、これも多いわけであります。その上で、例えば最終的な判決、判決文の分かりやすさでありますとか量刑の上下、こういったところについて何らかの変化が生じること、これも期待されるわけであります。
 そこで、国民の視点が裁判に反映されることによって、例えば量刑等にどのような変化があったのかお尋ねしたい、このように思います。
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安東章#14
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 裁判員裁判におきましては、裁判員と裁判官が協働することで、その時々に裁判員として関与した国民の方々の多様な視点や感覚が量刑に反映されまして、裁判官裁判時代と比べますと、軽重の双方向で量刑判断の幅が広くなっていることがうかがわれるところでございます。
 例えば、殺人既遂あるいは強制性交等致死傷などにつきましては刑が重くなる傾向が見られる一方で、同じ殺人既遂や現住建造物等放火などについては執行猶予が付される割合も増加しております。また、執行猶予の場合に保護観察が付される割合、これについては大きく上昇しているということでございます。
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徳茂雅之#15
○徳茂雅之君 もちろん公平というのもあるわけでありますけれども、そういった形で国民の目線がしっかりと判決にも反映させるというのは、まさに裁判員制度、この十年間のお取組の努力の結果だろうと、このように思っております。
 裁判員裁判というのは、個別事案の例えば量刑とか判決文の分かりやすさ、こういったところに変化をもたらすだけではなくて、広く刑事裁判一般にいろんな面でのプラスの効果、変化をもたらすものだと、このように理解されています。
 とりわけ、事実審であります第一審に限らず、控訴審においては、国民の視点が反映された第一審裁判を尊重して、控訴審というのは第一審の事後審であると、こういった役割をしっかりと徹底していく、控訴審においては事実認定についてはある程度制限的に運用していくといったことも考えるわけであります。
 そこで、第一審を尊重し、控訴審についてはある意味事後審としての役割を果たしていくと、こういった方針、考え方についてどのように達成されたのかお尋ねしたい、このように思います。
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安東章#16
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 今御指摘がございましたとおり、裁判員制度の導入に当たりましては、裁判員が加わってなされた第一審の裁判を尊重するという意味から、控訴審は事後審であるという控訴審本来の趣旨を運用上より徹底させることが望ましいと、そのように解されていたところでございます。
 そこで、裁判員裁判対象事件のうち主要十五罪名について、控訴審が第一審判決を破棄した割合、破棄率の推移を御紹介いたしますと、第一審が裁判官裁判の場合、具体的には控訴審の終局が平成十八年から平成二十年までの期間でいいますと破棄率は一七・六%であったのに対しまして、第一審が裁判員裁判の場合の破棄率、具体的には控訴審の終局が制度施行時から昨年十二月末までの期間の合計というその平均となりますが、これにつきましては九・八%という数字に下がってございます。
 また、控訴審の在り方につきましては、引き続き事後審の徹底という趣旨を踏まえつつ、高裁、地裁の裁判官の間で議論、検討が重ねられているものと承知してございます。
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徳茂雅之#17
○徳茂雅之君 多くの刑事裁判というのは、裁判員が参加しない裁判官による裁判というのが中心なわけであります。今回の裁判員裁判については、例えば、第一審が裁判官裁判に対しても、いろんな面での国民の感覚あるいは目線、こういったものが反映されることが司法全体の信頼にもつながってくると、このように思っております。
 その上で、裁判員裁判が、これまでの従来どおりの裁判官裁判、いわゆる非裁判員裁判にどのようにプラスの影響、効果を与えてきているのか、これについてお尋ねしたいと、このように思います。
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安東章#18
○最高裁判所長官代理者(安東章君) まず、手続面の運用について、裁判官の研究会における裁判官の議論を御紹介しますと、核心司法や公判中心主義など刑事訴訟法の本旨に立ち返った裁判は、裁判員裁判だけではなく、裁判員裁判非対象事件の裁判においても実現されるべきものであり、事案に応じて裁判員裁判のプラクティスを活用する必要性、相当性をよく吟味しつつ実践していくことが重要であるなどと指摘されております。このような問題意識が徐々に広がりつつありまして、例えば否認事件において、公判前あるいは期日間の整理手続又は打合せなどを活用して、争点及び証拠の整理をあらかじめ行った上で実質審理に入るといった実例が見られるようになっています。
 また、先ほど裁判員裁判の量刑の変化についても御紹介いたしましたが、裁判員裁判と裁判官裁判で事件について共通する部分、要素もございますので、各裁判官は、自らが担当する裁判官裁判の例えば量刑に当たりましては、裁判員裁判において裁判員の方と議論した内容やその結論を適宜思い起こしながら量刑判断をしていくことになります。判断の内容につきましても、こうした形で裁判員裁判が裁判官裁判に一定の影響を与えていくものと、そのように思っているところでございます。
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徳茂雅之#19
○徳茂雅之君 ありがとうございます。裁判員制度は刑事司法全体にプラスの影響を与えてきているというような御説明でございました。
 続いて、その裁判に参画する裁判員の負担についてお尋ねしたいというふうに思います。
 プロの法曹ではない一般の国民にとって、裁判員として刑事裁判に参画する、これは物理的にもそうでありますし、精神的にも大きな負担、これがある、このように思います。
 最高裁の統計によりますと、制度がスタートした平成二十一年の裁判員の候補になるときの辞退率、これが五三・一%、約半数が辞退されたということでありますが、平成三十年には六七・五%ということで、三分の二ぐらいがその候補者として選定されたにもかかわらず辞退したということでございます。
 また、裁判員として選任したにもかかわらず期日に欠席をする欠席率について申し上げますと、制度がスタートした平成二十一年には出席率が八三・九%ということで極めて高かったわけでありますが、平成三十年というのは六七・五%に出席率も低下、欠席が増えているということでございます。
 この辞退率が高いあるいは欠席率が高いということについて、裁判員制度そのものに対する国民のある意味理解、関心が低下してきているということでありますとこれはかなり憂慮すべき問題でありますが、一方で、裁判員になることによる負担、こういったものは改善できる余地があるのではないかと、このように思っております。
 そこで、裁判員候補者の辞退者を減らすためにどのような取組を行ってきたのか、あるいは裁判員の出席率を高めるためにどのような取組を行ってきたのか、お尋ねしたいと思います。
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安東章#20
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 最高裁が外部業者に委託して行った辞退率上昇・出席率低下の原因分析結果によりますと、審理予定日数の増加、人手不足や非正規雇用者の増加といった雇用情勢の変化、高齢化の進展、裁判員裁判に対する国民の関心の低下などの事情が辞退率上昇又は出席率低下に寄与している可能性があるなどと分析されているところであります。
 そこで、各裁判所におきましては、不在を理由に呼出し状が不送達になった場合の再送達、あるいは事前質問票が期限までに返送されなかった場合の書面での催促といった、今言った分析で推奨された運用上の工夫を実施しております。
 また、裁判員候補者の方が御自分の勤務先に相談しやすいようにするため、勤務先向けの協力依頼書面、これを呼出し状に同封したり、裁判員候補者の方々の参加意欲を高めるために、裁判員経験者のアンケートの結果や経験者の声を分かりやすくまとめた書面を同封する取組も実施しております。
 さらに、裁判官とともに裁判員経験者が企業や学校などに出向いて裁判に参加した感想を語っていただくなど、裁判員経験者の生の声を届ける広報活動も積極的に行っているところでございます。
 こうした取組の結果、出席率につきましては平成三十年から回復傾向が見られるところでございまして、裁判所としては、引き続き国民の皆様から幅広い参加がいただけるように必要な取組を続けてまいりたいと考えております。
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徳茂雅之#21
○徳茂雅之君 ありがとうございます。是非、辞退率の低下あるいは出席率の向上に努めていただきたい、このように思います。
 刑事裁判においては、一般の国民がふだん目にすることのないような例えば書証を扱うこともあります。とりわけ、殺人事件における書証というのは一般の国民にとってもかなり衝撃的なものだろうと思います。
 また、裁判員として裁判に参画した結果、生涯守秘義務が掛かってくるということで、いろんな面で裁判員になることに対する精神的な、心理的な負担、大きいというふうに思われます。
 こういった心理的な負担の軽減についてどのように取り組んでおられるのか、お尋ねします。
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安東章#22
○最高裁判所長官代理者(安東章君) まず、国民の皆様の中には、重大事犯の有罪無罪、量刑の判断に加わること自体に負担を感じる方もおられると思いますが、裁判官におきましては、例えば、裁判員の方が一人で判断する制度ではなくて、裁判員六名と裁判官三名が一つのチームになってチームで議論して結論を出す制度であると、こういったことをよく説明しまして、評議でも充実した議論がなされるように心掛けているものと承知しております。
 また、御指摘がありました、裁判員にとって重い精神的な負担となるおそれがある遺体写真などの刺激証拠、これにつきましては、証拠を最良のものに絞るという観点からも証拠の必要性を慎重に吟味する必要がありまして、どういった犯罪事実、あるいはどういった量刑の要素の認定に必要なのか、検察官の主張も踏まえて具体的に検討する必要があると解されてございます。
 また、仮に採用する場合でございましても、例えば写真でありましたら、枚数や取調べ部分を最小限に限る、あるいは必要に応じて白黒にしたりイラスト風に加工したりすると、そういったことで裁判員の方の心理的な負担を和らげる運用を行っているところでございます。
 また、守秘義務についても御指摘ございました。守秘義務の範囲について分かりにくいのではないかという声が一部にあることも踏まえまして、各裁判体におきましては、裁判員の方に対して、例えば公開の法廷で見聞きしたことあるいは裁判員として裁判に参加した御感想、これは守秘義務の対象にならないことなど、事案に応じまして具体的で分かりやすい説明に努めているものと承知しております。
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徳茂雅之#23
○徳茂雅之君 是非、裁判員になることの心理的な負担についてしっかりと取り除く対応をお願いしたいと思います。
 最後に、裁判員制度の定着に向けて、裁判員制度の周知、これは必要でありますけれども、やはり法教育、刑事裁判も含めてですね、これを一般国民、成人も含めて徹底させることが今後の裁判員制度の更なる定着に向けて重要と考えますが、法務省の御意見を伺いたいと思います。
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小出邦夫#24
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 まず、法務省における周知に向けた取組状況でございますが、裁判員制度専用のページを設けまして関連情報の提供などに努めているほか、全国の検察庁におきまして、職員が学校、職場などを訪問して裁判員制度等について説明するなどして、地域に密着した広報活動を実施しております。
 このような周知活動のほかに、広く国民に裁判員制度がよって立つ司法や裁判についての理解を深めてもらうことは裁判員制度の更なる定着につながるものであり、委員御指摘のとおり、これらの内容を含みます法教育の重要性はこれまで以上に増しているものと考えております。
 法務省におきましては、昨年度までに作成、配付した小中高校生向けの法教育教材におきまして、司法の意義や役割、裁判員制度を含む刑事裁判等についての基本的な理解を深めるための具体的な指導案を提示しております。
 そのほか、全国の学校や職場等に検察庁の職員等を講師として派遣し、裁判員制度の広報に加えまして、司法の役割や刑事裁判等についての法教育授業を実施するなど、学校教育そして一般社会において法教育がしっかりと根付くよう取組を進めているところでございます。
 今後とも、多くの国民が法教育に触れ、司法や裁判についての理解を深めてもらう機会を持てるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
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徳茂雅之#25
○徳茂雅之君 裁判員制度の更なる定着に向けて関係者の御尽力を期待して、質問を終わります。
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有田芳生#26
○有田芳生君 立憲民主党の有田芳生です。
 いわゆるヘイトスピーチ解消法が本参議院の法務委員会で全会一致で可決をされたのが五月十二日、三年前でした。それから、本会議、衆議院に回って、この法律が公布されたのが六月三日でした。それから三年がたったんですけれども、大きな前進があると同時に、様々な課題、問題点がまだ残念ながら存在するというのが現実ですけれども、まず人権擁護局長にお聞きをしますけれども、この三年間でどういう成果があったのか、あるいはまだまだ解決しなければならない課題がどのようなものが具体的に存在するのか、まずそこからお示しください。
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菊池浩#27
○政府参考人(菊池浩君) お答えいたします。
 いわゆるヘイトスピーチ解消法の成立により、不当な差別的言動に対する国民の関心が高まり、その解消が喫緊の課題であるとの認識が社会の中で共有されつつあると考えております。
 具体的には、当局において作成した「ヘイトスピーチ、許さない。」というポスター等の啓発資料が地方公共団体や市民の間でも利用されるなど、ヘイトスピーチの解消に向けた取組に対して国民の高い関心が示されております。
 さらに、地方公共団体におけるヘイトスピーチ解消に向けた条例の制定や公の施設の利用許可に関するガイドラインの策定など、ヘイトスピーチの解消に向けた各種取組が広がりを見せているものと認識しております。
 しかし、残念ながら、依然として本邦外出身者に対する不当な差別的言動がなくなってはいないように思われます。例えば、インターネット上の不当な差別的言動や選挙運動等に藉口した不当な差別的言動への対応など、取り組むべき課題はなお残されていると認識しております。
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有田芳生#28
○有田芳生君 付け加えれば、漫画入りのパンフレットも作成をされていますけれども、同時に、「ヘイトスピーチ、許さない。」というポスターが、法務省が作ってくださったんだけれども、実際には、予算の問題もあるんでしょうけれども、この解消法が施行される直前に岡山で行われたヘイトスピーチのデモ、拉致問題を利用していましたけれども、そこで反対する人たちが法務局に行くと、いや、もうないと、ポスターが。予算の問題だと思うんですけれども、そういったものを常時予算の範囲で更に広げていただくことをお願いしたいというふうにまず思います。
 そして、具体的に伺うんですけれども、三月十二日に法務省人権擁護局調査救済課補佐官の名前で、全国の法務局、あるいは後に警察庁、総務省などに対しても事務連絡が発せられておりますけれども、この内容を端的に伝えていただけますでしょうか。あるいは、更に続けて、なぜ今年の三月十二日の段階でこういう事務連絡という言わば通達を出されたのか、その二点についてお話しください。
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菊池浩#29
○政府参考人(菊池浩君) お答えいたします。
 委員御指摘の事務連絡は、選挙運動等の自由の保障は民主主義の根幹を成すものであるが、不当な差別的言動は、それが選挙運動等として行われたからといって直ちにその言動の違法性が否定されるものではないこと、ついては、選挙運動等に藉口した不当な差別的言動その他の言動により人権を侵害されたとする被害申告等があった場合には、その言動が選挙運動等として行われていることのみをもって安易に人権侵犯性を否定することなく、その内容、態様等を十分吟味して、人権侵犯性の有無を総合的かつ適切に判断の上対応するよう各法務局に対して周知したものでございます。
 この事務連絡を発出した理由でございますけれども、かねてより、地方公共団体等から、選挙運動、政治活動等に藉口して不当な差別的言動等が行われる場合があるとの指摘がなされていたところでございます。また、昨年十月に開催したヘイトスピーチ対策専門部会におきまして、選挙運動としてなされたヘイトスピーチへの対応について、国としての考え方を示してほしい旨の意見が地方公共団体から出されていたところでございます。
 こういった指摘や意見を踏まえ、当局としての考え方を明確にするために事務連絡を発出したものでございます。
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