法務委員会

2021-04-21 衆議院 全175発言

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会議録情報#0
令和三年四月二十一日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 義家 弘介君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君
   理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君
   理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君
   理事 階   猛君 理事 大口 善徳君
      安藤 高夫君    井出 庸生君
      井野 俊郎君    大塚  拓君
      神田  裕君    黄川田仁志君
      小林 鷹之君    武井 俊輔君
      出畑  実君    中曽根康隆君
      野中  厚君    深澤 陽一君
      藤原  崇君    村井 英樹君
      盛山 正仁君    山下 貴司君
      吉野 正芳君    池田 真紀君
      寺田  学君    中谷 一馬君
      松平 浩一君    屋良 朝博君
      山花 郁夫君    吉田 宣弘君
      藤野 保史君    串田 誠一君
      高井 崇志君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   法務副大臣        田所 嘉徳君
   法務大臣政務官      小野田紀美君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 長岡 寛介君
   参考人
   (慶應義塾大学名誉教授)
   (弁護士)        安冨  潔君
   参考人
   (特定非営利活動法人難民を助ける会会長)     柳瀬 房子君
   参考人
   (日本弁護士連合会人権擁護委員会元委員長)
   (弁護士)        市川 正司君
   参考人
   (弁護士)        児玉 晃一君
   法務委員会専門員     藤井 宏治君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十一日
 辞任         補欠選任
  国光あやの君     安藤 高夫君
  武井 俊輔君     村井 英樹君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤 高夫君     国光あやの君
  村井 英樹君     武井 俊輔君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
     ――――◇―――――
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義家弘介#1
○義家委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 本日は、本案審査のため、参考人として、慶應義塾大学名誉教授・弁護士安冨潔君、特定非営利活動法人難民を助ける会会長柳瀬房子君、日本弁護士連合会人権擁護委員会元委員長・弁護士市川正司君及び弁護士児玉晃一君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、安冨参考人、柳瀬参考人、市川参考人、児玉参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず安冨参考人にお願いいたします。
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安冨潔#2
○安冨参考人 安冨でございます。よろしくお願いいたします。
 この度、参考人として意見を述べる機会を与えていただきましたこと、誠に光栄に存じます。
 私は、刑事法を専攻しておりますが、現在、難民審査参与員を務めており、また、第七次出入国管理政策懇談会の座長代理、同懇談会の下に設置されました収容・送還に関する専門部会の部会長を務めておりました。
 今回の改正法案は、我が国への在留が認められる外国人かどうかを適切にかつ速やかに判別し、在留が認められない者の速やかな送還を図り、併せて収容の長期化を解消し、退去強制手続を一層適切かつ実効的なものとすることを基本的な考え方としていると承知しております。
 改正法案の内容について意見を述べます前に、私が部会長を務めました収容・送還に関する専門部会における議論の経過についてお話をさせていただきたいと思います。
 送還忌避、長期収容の問題を解決する方策を検討するため、令和元年十月、法務大臣の私的懇談会である第七次出入国管理政策懇談会の下に収容・送還に関する専門部会が設置されました。専門部会では、様々な分野から九人の有識者が委員となって幅広い観点から御議論をいただき、令和二年六月、提言、報告書を取りまとめました。
 専門部会では、基本的な考え方として、送還の前提として、在留を認め又は庇護すべき者を適切に判別すべきであること、送還すべきとされた者の送還を促進すべきであること、長期収容を解消するための方策を講ずるべきであること、被収容者の処遇は人権に配慮して適正に行うこと、この四点について委員の間で認識が共有されました。
 本日は、時間の関係もございまして、専門部会における議論の全てを御紹介することはできませんが、その中で、送還すべきとされた者の送還の促進と長期収容を解消するための方策に係る議論の概要を御紹介させていただきます。
 専門部会では、送還すべきとされた者の送還の促進ということで、本邦から退去しない行為に対する罰則の創設が議論されました。現行の退去強制手続では、退去強制を受ける者に直接退去を義務づける規定、あるいは退去に応じない場合に制裁を科す規定というものはございません。
 そこで、専門部会では、正当な理由なく送還を拒む者に対し、一定の期日までの退去を義務づける命令を発し、命令違反に対する罰則を設けることが相当である旨の意見が述べられ、多くの意見がこれを支持いたしました。これに対しましては、委員から、退去が困難な事情は様々であり、命令や罰則の対象範囲を適切に定めることは困難であることなどの理由で、これに反対する意見も示されたところでございます。
 そこで、専門部会といたしましては、このような反対意見があったことを明記した上で、多数の委員の支持があった内容として、退去の命令制度やその違反に対する罰則の創設を検討することを提言した次第であります。その上で、退去しない者に一律に罰則が適用されるような制度は好ましくないということなどの指摘もあったことから、命令や罰則の対象者が適切に限定される制度とすることも併せて提言いたしました。
 次に、専門部会では、送還の回避を目的とする難民認定申請に対処するための措置について議論がなされました。
 現行の入管法では、退去強制を受ける者が難民認定申請を行った場合、難民認定手続が終了するまでの間は、申請の理由や回数を問わずに一律に送還を停止することとされています。送還を忌避する者の中には、送還を回避するための手段として難民認定申請を繰り返し行う者が相当存在しており、速やかな送還の大きな障害となっているとのことでした。
 そこで、専門部会では、送還停止効に一定の例外を設けることを提言いたしました。なお、提言の留意点として、送還が禁止される国への送還を行わないとするノン・ルフールマン原則を遵守することなどについても併せて提言をした次第であります。
 さらに、専門部会では、収容の長期化を防止するための措置として、収容令書、退去強制令書の発付後から送還時まで収容することが原則とされている現在の制度を改め、仮放免とは別に、新たな収容代替措置の創設を検討することを提言いたしました。
 この新たな収容代替措置では、例えば、第三者の支援又は補助等により、適切に生活状況が把握され、当該外国人が違法な就労に及ぶことなく生活手段を確保することが可能となることを前提として、被退去強制者について、送還の実施を担保するために、逃亡防止や出頭確保を図り、収容施設外で起居するものとすることを認める、こういう措置を想定しております。
 以上のほか、専門部会におきましては、収容の在り方について、収容期間の上限、収容についての司法による審査を論点として議論もいたしました。この点に関しては、委員から、外国の立法例などを踏まえ、収容期間の上限を定めるとともに、収容の開始又は継続時に司法審査を経ることを提案する意見が示されました。
 しかし、これに対しては、諸外国の立法例が必ずしも一致を見ているわけではないということ、収容期間の上限を定めると、逃亡のおそれが否定できない者であっても収容を解かれることになり、送還の実現が困難になるということ、そして、現行法上、行政訴訟制度を通じた司法審査の機会が確保されているということ、これらのことなどを理由として、提案に従って制度を改めることは困難であるという意見が多数でした。
 そこで、専門部会におきましては、収容期間に上限を設け、あるいは司法審査を要するとすることを提案する意見が委員から示されたということを明記しつつ、多数の委員の支持があった内容として、一定期間を超えて収容を継続する場合にその要否を吟味する仕組みを設けることなど、行政手続の一層の適正確保を図るための方策を検討することを提言いたしました。
 それでは、改正法案についての意見を述べさせていただきます。
 改正法案は、出入国在留管理庁において、専門部会の提言を受けて立案されたものと承知をしております。
 改正法案では、退去強制を受ける者を送還先に送還することが困難である場合に、その者の意見を聞いた上で、相当と認めるときは、その者に対し、本邦からの退去の命令を発して退去を義務づけることを可能とし、この命令に違反した場合の罰則を設けております。
 この点、退去の命令を発することができるのは、退去の意思がない自国民の送還に協力しない国を送還先とする者、送還を妨害したことがあり、再び同様の行為に及ぶおそれがある者のいずれかにより送還が困難な場合と改正法案ではされており、命令の対象者が限定されております。また、難民等の認定申請により送還が停止される場合、それから退去強制処分の効力に関する訴訟が係属し、かつ、当該訴訟で退去強制処分の執行停止決定がされた場合、これらの場合には命令の効力が停止するとされております。
 このように、退去の命令は、専門部会におきまして、命令や罰則の対象者が適切に限定される制度とすることという提言を踏まえ、極めて厳格な制度となっていると考えます。
 次に、改正法案では、送還停止効に例外を設け、原則として、三回目以降の申請の場合は、難民等の認定申請中であっても送還を可能とするとしております。この三回目以降の申請の場合に送還を可能としている趣旨は、より慎重を期して、申請中の者の法的地位の安定を図るということにあると考えられます。さらに、三回目以降の申請においても、二回目までの不認定処分後に難民等と認定すべき新たな事情が生ずることがあり得ることに鑑み、難民等の認定を行うべき相当の理由がある資料を提出した場合には送還を停止することとしています。
 この点、専門部会におけるノン・ルフールマン原則を遵守することという提言を踏まえて、送還を回避するための手段として申請を繰り返し行う者について、速やかに送還する必要性と難民認定申請中の者の法的地位の安定を図る必要性、これを調和させようとするものであり、妥当なものであると考えます。
 次に、改正法案では、収容の要件を満たす者について、逃亡のおそれの程度等を考慮して、相当な場合には、収容しないで監理人による監理に付す監理措置を創設することとしております。
 この点、現行法では、退去強制事由に該当し、又は該当すると疑うに足りる相当の理由があると認められる外国人は、退去強制事由に該当するかどうかを判断する違反審査の段階から最終的に送還されるまでの間、収容されることとされています。
 これに対し、改正法案では、違反審査の最初の段階から監理措置に付すことができることとしており、その場合、収容令書は発付されず、収容されないまま退去強制手続が進むことになります。そして、退去強制事由に該当し、在留特別許可や難民等の認定もされないとして退去強制令書が発付された場合でも、直ちに監理措置に付すことができることとしており、その場合も、退去強制手続の最初から一度も収容されないまま送還に至るということもあり得ることになります。
 監理措置は収容の長期化を解消することを目的としていますが、その対象は、基本的には送還されるべき者であります。そのため、収容しないとしても、その者が逃亡するなどして円滑に退去強制手続を進めることができない、あるいは最終的に送還することができない、こういうことになれば、監理措置という制度に対する国民の信頼が失われ、公正な出入国管理という入管法の目的を達成することができないということとなります。
 改正法案では、監理人は、被監理者の生活状況を把握し、被監理者に対する指導監督を行い、被監理者が逃亡等した場合は入管当局に届け出なければならないとされています。これは、外国人の収容の長期化を解消しつつ、収容施設外における外国人の適切な在留管理を図るものとして必要な仕組みであると考えます。
 送還忌避と収容の長期化という問題は、出入国在留管理行政の幅広い領域に関連しており、一つの施策だけで全てを解決できるというものではありません。また、これらの問題は、現場で勤務する職員に多大なる負担と苦労を強いているということは想像に難くありません。専門部会において、職員の処遇について提言をいたしましたが、殊に適正な処遇のための環境整備について、今後、不断の見直しを行い、改正法案の趣旨をこれからの運用に生かしていただきたいというふうに考えているところでございます。
 本日は時間の関係がございまして触れませんでしたけれども、改正法案には、在留特別許可の申請手続の創設等、専門部会の提言よりも踏み込んだとも思われる内容も含まれておりまして、全体的にバランスが取れた内容となっていると思います。
 冒頭でも少し申し上げましたが、外国人の円滑な受入れと、在留が認められない外国人の厳格な送還とは、いわば車の両輪として相互補完的に機能することにより、我が国における外国人の出入国在留管理行政はより適切なものとなると考えます。この点、今後、出入国在留管理庁において、更に周到な検討を進めていただくことを願う次第であります。
 今回の改正は、入管法が制定されてから約七十年間、大きく変わっていないという退去強制手続をより一層適正なものとするためのものであります。これにより我が国の出入国在留管理行政がよりよいものとなるよう、充実した御審議をお願いして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。拍手
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義家弘介#3
○義家委員長 ありがとうございました。
 次に、柳瀬参考人にお願いいたします。
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柳瀬房子#4
○柳瀬参考人 難民を助ける会の柳瀬でございます。柳瀬房子と申します。難民審査参与員も務めております。また、収容・送還に関する専門部会の委員でもございました。
 本日は、法務委員会での参考人としてお招きいただき、貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 初めに、私が会長の任にある難民を助ける会についてお話しいたします。
 この会は、一九七九年に、難民支援を目的としてつくられたもので、政治、宗教、思想に偏らない、人道的見地に立った市民団体です。インドシナ難民の定住や教育の支援からスタートし、現在、四十一年目の活動になります。私自身も創設当時から関わり、責任ある立場で会の企画や運営に携わりました。また、紛争や災害の現場に赴いて方針を出すなどしてまいりました。
 現在は、世界の紛争地や災害における緊急支援を始め、対人地雷や感染症、水対策、障害者の自立支援などの活動を継続しております。例えば、シリア難民、避難民が生活しているトルコにおいて、また、ロヒンギャ難民が避難しておりますバングラデシュや、ウガンダ、ケニアなどを始め、内外十五か国に拠点を置きまして、それは、個人個人の御寄附を始め、日本政府、国連や国際機関その他の内外の助成機関から資金を年間約二十億円いただいて、その予算で運営をしております。
 なお、難民条約、これは皆様御存じのように、一九五一年の難民の地位に関する条約と六七年の難民の地位に関する議定書のことですが、条約ができてから約三十年もの間、日本はこの条約に加盟していませんでした。七九年当時、会の創設当時ですが、私どもは政府に対して、早急な加入をと働きかけておりました。
 それでは、まず、日本の難民の手続についてお話しいたします。
 例えば、ある外国人が難民認定申請をした場合に、まず、入管の難民調査官が事情を調査し、そして認定するかどうかを判断します。ここまでを一次審、一回目の一次審と呼びます。
 この一次審で難民認定をしないという判断が出た場合、申請者は不服の申立てをすることができます。この不服の申立てを審査請求といいます。この審査請求に対して、難民の認定に関する意見を提出するのが難民審査参与員の役割です。
 つまり、専門的知識や豊かな経験を持つ第三者として意見を述べます。参与員は、元判事や検事、弁護士、また元外交官や、国連や難民支援のNGOの役員、また地域研究者、国際法や行政法、国際政治などを専門とする学者の先生、そしてジャーナリストなどから成り立っています。これは法務大臣が任命します。実際には、三人一組でこれまでの案件や記録を検討し、必要があれば証拠を求め、また、申請者本人の意見を聞き、質問して、その意見を踏まえて審査請求に対する判断がされます。
 審査請求から法務大臣の判断までを不服審査と呼びます。
 それでは、私が難民審査参与員として経験したことについてお話しいたします。
 参与員制度が始まったのは二〇〇五年からですので、私は既に十七年間、参与員の任にあります。その間に担当した案件は二千件以上になります。二千人の人と一対一で、一対一じゃなくて三対一ですね、そういう形で対面でお話ししております。一次審の難民調査官による結論を覆したい、難民と認定すべきと判断できたのは六件だけです。二千件に対して六件だけです。また、難民とは認められないものの、人道上の配慮が必要と考え、在留特別許可を出すべきと意見を出しましたのは十二件あります。
 皆様、いかがでしょうか。二千人に対して、在留を認めたのは全体として十八人という数字を聞いて、とても少ないとお感じになったのではないでしょうか。
 実は、私も、参与員になるまでは、入管はどのようにして難民認定を行っているのか、詳しく知りませんでした。入管は最初のインタビューを簡単に済ませてしまっているのではないかとか、難民と認定すべき人を認定しなかった、わざとではないでしょうけれども認定しなかったのではないかとさえ思っていました。日本政府はやはり難民に冷たいのではないかと考えていました。
 ですから、私は、申請者一人一人に丁寧に話を聞き、難民の蓋然性、いわば難民らしさですが、というものを尋ねて、何とか難民の蓋然性のある人を必ず見つけて救いたいという思いで参与員の職務に当たってまいりました。しかし、難民認定すべきという意見書が出せたのは、先ほど申し上げた僅かな数にとどまっています。
 まず、入管が行う一次の審査においてですが、調査官は、申請書を、それぞれに時間をかけて、しっかりと話を聞き、その膨大な内容を調査しています。数日にわたり話を聞いている案件も少なからずありますし、また、インタビューをするためには通訳の方が必要です。そのインタビューをした調書を通訳の方を介して申請人に読み聞かせ、内容に間違いないかを確認してもらって、サインをもらっています。時間と費用をかけた丁寧な審査という印象を持っております。
 さて、私どもの参与員による審査ですが、改めて、第三者として、申請者の意見を聞き、徹底的に聞き直します。しかし、実際には、入管が認定しなかった申請者の中から、新たに難民だと思える人はほとんど出会えないのが実態です。
 その人たちは、おおむね以下の五つに分類できるかと思います。
 まず一つ目。参与員の前で、一次審に言った主張と全く違う主張を繰り返す方です。
 調査官の審査では、迫害を受けた時期や場所、その状況に、ある特定の時期や地名を明確に主張していましたが、参与員の前では全く違う時期や場所を主張している、そんなケースがしばしば見られます。しかも、パスポートを確認しますと、もうその時期は日本に着いているという、時期的な矛盾も少なくありません。また、迫害の主体は母国や警察だと主張していたのに、参与員の審査では、その主体は元の仲間だとか、地元の暴力団であるとか、選挙で勝った候補者の相手の側だとか、その主体も変わっています。
 私は、入管の調査官の前では、一次審では、緊張していて本当の話ができなかったかもしれないとか、何か言いたくない事情があったのかもしれないと考え、違う主張になった理由を聞いてみますが、結局は、参与員の前でも、難民と思われるような話はしてもらえませんでした。
 次に、他の人と全く同じ主張をする申請者です。
 通訳の方の都合で、同じ国の人を二人、審理を入れる場合があります。一人目の人が、例えば、同性愛者で、母国に戻ると迫害される、そういう話をします。私は、もしかしたら、それが迫害に当たるかもしれないと考えていましたところ、二人目の人も全く細部まで同じ主張をします。また、提出されている申請書がコピペではないかと思われるような、そういう文書が幾つも続くケースもあります。宗教上の迫害を主張するケースでも、同様な例がよくあるのです。
 こういう主張をすれば認定されるはずだという、ブローカーの誤解が申請者の間に出回っていることだと思わざるを得ません。
 三つ目の、本人の主張が真実なら、当然説明できることが説明できない申請者です。
 例えば、迫害を受けた自分の国からよその国に逃げ込んだと主張する申請者に対して、たどり着くまでの時間ですとか、それから、通過した都市や地名、そういったことを覚えている範囲でいいのでと聞きます。明らかに何日もかかる距離を数時間で着きましたと答えたり、その大都市や町を通過しなければ絶対にたどり着けないという場所に対しても、全く地名の一つも答えないなんという人はたくさんいます。
 私は、ある意味で、何とか、こうやって答えてほしい、この地名さえ言ってくれればとか、そういう思いがあってそういうふうに質問するんですが、なかなかそれを答えてもらえません。
 また、母国から逃げて難民キャンプにたどり着いたと主張している人がいましたが、その難民キャンプには私どもの事務所があり、申請者がいたと主張している時期にちょうど私も行ったことがある場所で、広大な敷地にあり、難民がひしめき合うような状況にもなかったにもかかわらず、狭い場所に多くの難民がごちゃごちゃいて地獄のようでしたと答えられたこともあります。
 また、キリスト教の改宗について、熱心に教会に通っていますというので、例えば、クリスマスはどういうときですかと聞きますと、サンタクロースの誕生日ですと答えられたり、本当に、イースターはと問いますと、ええっと、イースターとウエスターがありなどと返答されますと、本当に改宗を認めるべきか迷います。
 そして四番目は、条約上の迫害とは全く異なる内容で難民であると主張する申請者です。
 よくある主張としては、借金取りに殺されるという主張や、不倫をして、不倫の相手の夫や妻、また親から殺される、だから自分は難民だという方ですとか、お隣の家との敷地の争い、相続に関する家族間の争いという主張は大変多く見られます。
 また、単に日本で働きたいから難民を申請した、この難民申請を提出することが就労の手続と聞いていた、ですから、私は難民ではありませんと主張するケースさえもしばしば見られます。
 そして最後は、合理的な理由がなく難民認定申請を繰り返している申請者です。
 その主張の内容は、一次審で難民とは認定されず、また、私どもも、参与員も認定しないと判断して、再度、何度も、何も事情が変わっていないのに、同様の主張で新たに申請を繰り返して、何年も日本に残り続けるケースでございます。
 私自身、参与員が、入管として見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができません。先ほどの、難民で六件、在留特別許可が十二件と申しましたが、この中に複数回申請の申請者はおりませんでした。
 また、複数回申請の場合に、最初の、一回目の申請には弁護士先生がついています。二回目、三回目になるともうついていらっしゃらないというケースが多いということも申し上げます。
 私だけではなくて、ほかの参与員の方、約百名ぐらいおられますが、難民と認定できたという申請者がほとんどいないのが現状です。
 日本には航空機か船舶で来日するしかすべはありません。
 また、観光、留学、技能実習などの正規のビザで入ってきた後に、本来の目的から外れた段階で難民申請をするケースや、また、中には不法滞在や犯罪で退去強制手続に入ってから難民申請するケースも多く、その中から真の難民を見出すのには時間がかかってしまいます。
 また、UNHCRは、世界各地の難民は女性や子供が多いという統計を出していますが、我が国で難民を申請する人の多くは青年、壮年の男性であるということも事実です。
 したがって、難民の認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、皆様、是非御理解ください。
 私が参与員になったばかりの二〇〇〇年代後半の頃は、申請者は三百人ぐらいでした。しかし、申請者に対して一律の就労可能な在留資格を認める運用を始めた二〇一一年からは、申請者がぐっと増えました。
 これまで述べましたように、申請者の中に難民がほとんど見出せないのですが、それでも入管の調査官は一件一件時間をかけて丁寧に調査しています。そのために審査が大変時間がかかっています。待つ時間が長ければ長いほど、申請者は、もしかしたら認定されるのかもしれない、やはり二年ぐらい待たされます、申請して二年待っていたら、何も言ってこなければ、認定されるかもしれないと、やはり希望を抱くのは当然だと思います。
 さて、今回の改正法案では、難民認定申請中の送還を停止するといういわゆる送還停止効に例外を設け、まずは三回目以降の難民等の申請者、また外国人テロリスト等、暴力主義的破壊活動者、そして三年以上の実刑を受けた者は、難民認定の認定申請中であっても送還できることとしています。私は、この送還停止効の例外を設けることは必要なことだと考えております。
 以上、今回の改正法により、送還されるべき人が迅速に送還できるようになれば、審査期間の短縮にもつながり、真の難民の一刻も早い保護が可能になると思います。私は、今後も、丁寧な審理を続け、難民の蓋然性が認められる方を絶対見逃さないという気持ちで参与員の職務を行ってまいりたいと思います。
 ありがとうございました。拍手
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義家弘介#5
○義家委員長 ありがとうございました。
 次に、市川参考人にお願いいたします。
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市川正司#6
○市川参考人 日本弁護士連合会人権擁護委員会元委員長の市川正司と申します。よろしくお願いいたします。
 私も、過去に、難民審査参与員制度設立当初でございましたけれども、二年、実質的には、当初でしたので、実務が始まったのは半年後でしたので、一年半ほど仕事をさせていただきました。その中で、月に一件ぐらいずつの当時は審理をしておりましたけれども、最終的に、一年半で数名の難民認定をしました。それから、在留特別許可も与えました。
 彼らの難民申請は、一次審で言っていなかったこと、あるいは言っていたんだけれども十分に語り尽くせないこと、こういったことがたくさんあります。彼らは、学歴であったり、それから実際の言葉の不十分さ、こういったことを考えますと、参与員がきちんと話を聞いてあげるという態度が極めて重要でございまして、例えば、本人にかかってきた大使館からの電話、その一本について、どういうことだったのか、これを丁寧に聞くことから難民該当性が明らかになってくる、あるいは、刑務所に行ったそのときの処遇状況を丁寧に聞くことから、拷問のおそれ、こういったものが出てくるという経験をさせていただきました。
 なお、本論に入らせていただきますが、本日は、本法案に対する日弁連の意見を中心に意見を述べさせていただきます。日弁連の意見の詳細は、お配りした法務資料三百四十六ページ以下に記載されております。概要につきましては、本日お配りしたA4の一枚の表を配付させていただいておりますので、この項目の順番にお話しいたします。
 第一に、法案の目的とされる長期収容の解消のために、いかなる方策が必要かという点でございます。
 出入国管理政策懇談会の収容と送還に関する専門部会で提出された資料によれば、二〇一九年六月末時点で、収容期間が二年以上三年未満の被収容者は計百七十六名、三年以上の収容者は七十六名に上っております。いつまで収容されるかということが分からないままに、このような長期にわたって収容されるということの肉体的、精神的負担は想像するに余りありまして、収容の長期化を防ぐための施策が必要であることは論をまちません。
 日弁連は、収容の長期化を防ぐためには、より端的に、収容の要件を明確にして不必要な収容をなくすこと、収容期間の上限を設けることが必要であると考えております。また、収容の必要性や相当性を判断するについては、身体を拘束することは極めて大きな人権の制約でございますので、刑事手続における身体拘束と同様、裁判所による審査を経るべきものと考えております。
 第二に、監理措置制度についてであります。
 今回の改正案は、対象者を収容しない方法として、基本的には、新たに創設される監理措置制度を想定しております。これまで様々な場面で使われてきた仮放免という制度については、健康上などの理由がある場合に限って適用することになっております。
 このように、収容するかしないかの二つの分かれ道のところにある制度として監理制度を機能させるのであれば、収容の可否の判断は厳格に判断し、裁判所の審査を経るべきという収容制度全般の問題点がここでも同様に妥当することとなり、不必要、不相当な収容が生じないような制度たてつけとするべきであると考えます。
 そして、実務上の大きな問題として、監理人の監督、届出義務の問題がございます。
 監理人となる者として想定されているのは、家族や友人、難民認定手続や在留特別許可手続、それらに関係する裁判をする代理人の弁護士、また支援団体、こういったところと想定されております。
 この監理人は、監理措置の対象者からの相談に応じて、支援や助言その他の援助を行うよう努めると規定されておりまして、被監理者の相談に乗りながら彼らを支援することが予定されています。これらの支援は、これまで弁護士や支援団体がケースワーカーとして行ってきたことではあります。
 しかし、他方で、監理人は、対象者を監督して、その動静を定期的に国に届け出る義務を国に対して負うこととなっております。また、被監理者が逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるときや、条件に違反して働いているときなどにも届出しなければなりません。この届出義務に違反すると、監理人に過料の罰則が科されます。
 具体的な場面を想定いたしますと、例えば、着のみ着のままで本国から逃げてきた難民申請者や避難民には、日本に知人はおりません。また、報酬を払って監理人になる人を依頼する力もありません。そこで、監理人になるのは、難民申請者の支援団体や、難民認定申請を弁護士会の財源などで支援する弁護士であります。
 ところで、弁護士は、依頼者の秘密を守り、依頼者の利益のために働くことを弁護士倫理上求められております。実際に、難民申請や在留特別許可申請を支援している中で、有利なことも不利なことも全て話してください、ここで話したことの秘密は守りますから、そう言って、本国にいたときのこと、今の生活状況などを率直に話していただいております。そうでなければ、弁護士にもたらされる情報は偏ったものになり、判断を誤りかねません。
 ところが、監理人である弁護士に今の生活状況を正直に全て話すと、自分の知らないうちに、監理人である弁護士によって入管に遵守事項違反の疑いありとして届出されてしまうかもしれないということになりますと、依頼者は弁護士に対して慎重に言葉を選んで話すようになります。守秘義務を一部解除することに同意していたとしても、実際に生活をしていく中で、対象者と弁護士の利害が対立し、信頼関係の維持が難しくなっていくおそれがあります。
 支援するNGOも、支援者の相談に乗り、適切なアドバイスをするという基本的な役割を担う中で、このような届出、監督をする義務を国に対して負うとなると、やはり対象者との信頼関係の維持が難しくなります。
 ですから、この監督、届出の義務があるとすれば、監理人になることは難しいと言わざるを得ません。現に、先日NGOが支援者、弁護士に対して行ったアンケートでも、約九割の方が監理人になることをちゅうちょしています。監理措置は、必ず監理人を選定しなければならないので、監理人が見つからないために収容されることになれば、本来の制度目的は達せられず、窮状につけ込んで不当な報酬を取るような業者も現れかねません。
 ですから、このような罰則を伴う届出義務に関する規定は修正し、支援を中心とした制度に変えていただきたいというのが現場の切実な考えでございます。
 次に、退去強制令書が発付される前の段階での監理措置について、就労を許可することができるとしたことは今回の法案の前進であると考えますが、この就労許可は、退去強制令書発付後には一切認められないということになっております。
 退去強制令書発付後であっても、その取消し訴訟や難民に関する訴訟などが行われて、裁判は数年かかることも珍しくありません。裁判の結果、処分が取り消されて在留が認められることもあります。その間、生活の手段がないということでは、裁判を受ける権利が事実上制約されることになりかねません。ですから、退去強制令書発付後も就労を認めることができる制度としていただきたいと考えます。
 また、現行の仮放免の規定を変更せずに広く使えるものとして残しておくこと、現行の仮滞在や仮上陸許可制度を積極的に運用することも必要なことと考えます。
 第三に、在留特別許可申請制度でございます。
 法案は、退去強制手続とは別に在留特別許可申請手続を設けて、また、在留特別許可を行うに当たっての考慮要素を例示しています。問題は、この在留特別許可をするかの考慮要素、基準はどうかという内容面と、申請の手続の適切さという手続面の問題になります。
 内容面から見ますと、在留特別許可をするかどうかの諸事情として、在留を希望する理由、家族関係、素行、内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の諸事情が挙げられております。これらを総合的に考慮すると規定しております。
 諸事情は、並列的に書かれておりますけれども、法的に見ますと、優先されるべき要素があるというふうに考えます。具体的には、日本も批准している人権に関わる諸条約から、在留を認めなければならない要素です。特に、子どもの権利条約三条が規定する子供の最善の利益という規範、子どもの権利条約九条や自由権規約十七条などが規定している家族の統合という規範が重要であります。
 日本で育った子供について、最善の生育環境としての日本での在留を認めること、その際に、子供は在留を認めるけれども親は帰国しろというような、家族の分離を強いないという取扱いは条約上も求められるものであります。
 今回の条文に「家族関係」という言葉が入っておりまして、この中には、子供の最善の利益や家族の統合という規範が含まれているものと解釈し得るのかもしれませんが、規定上も明確にするべきというふうに考えます。また、種々の考慮要素の中で、この条約上の要素は考慮要素の中でも重みのあるものであるということを示すべきと考えます。
 また、懲役一年を超える実刑判決を受けた者については、原則として在留特別許可をしないこととなっておりますが、これまでに許可されたケースや裁判で在留特別許可が認められた例の中にも、これに当たる者は珍しくはないので、原則不許可とまではせず、消極的な要素の一つとして挙げるにとどめるべきと考えます。
 申請の手続面ですが、現行法上、在留特別許可を求める人は、退去強制手続の中の口頭審理という手続で、意見を述べたり、代理人弁護士を選任して手続に立ち会ってもらうなどして、在留特別許可を認めるべき事情を説明することが認められております。しかし、在留特別許可申請手続では、これらの機会が権利として認められておらず、現行法よりも手続的な保障が後退していると言わざるを得ません。弁護士としても看過できない点なので、明文上の手当てをしていただきたいと考えます。
 第四に、補完的保護対象者の認定手続です。
 難民条約で定義されている難民以外にも、政府説明にもあるとおり、紛争地から避難してきた方など、保護が必要な方たちがおります。ヨーロッパ諸国やオーストラリア、カナダなどは、彼らを補完的保護の対象者として在留を認めて保護しております。
 今回、補完的保護対象者の定義を定め、その認定をする制度を創設することは、この国際的な流れに沿おうとするものと思います。しかし、この補完的保護の定義が、難民条約の難民の、迫害の理由の部分の定義を外すというだけで、後段の部分の、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する者という、この定義はそのまま残しております。
 しかし、現在の日本の難民認定の実務では、この後段の要件について、出身国政府が特にその人について迫害の対象としていることが明らかになるような個別的で具体的な客観的な事情があることを要するという極めて厳格な解釈をしておりますので、無差別の暴力や攻撃の対象となって避難した方たちについては救済されなくなるおそれがあります。
 難民条約の文言にとらわれず、EU指令が規定するような、国際又は国内武力紛争の状況における無差別暴力というようなキーワードを入れた定義を参照しながら、定義を改めるべきだろうと考えます。
 第五に、三回以上の難民申請者などについて、申請中の送還停止効を原則として解除するという改正内容についてです。
 二〇一〇年から二〇一八年までに難民認定を受けた二百十二名のうちの十九名が、複数回の難民申請者でした。複数回の難民認定申請を行っている者の中にも、難民認定がされる者がいるのが現状であります。
 出入国管理政策懇談会の下に設置された難民認定制度に関する専門部会の二〇一四年十二月の報告書は、UNHCRの解釈、勧告等の基準にものっとった判断基準を明確にすること、難民認定実務に携わる者の専門性の向上などを課題に挙げましたが、この課題の実現はまだ緒についたばかりでございます。このままで送還停止効の例外を設けると、真の難民を本国に送還してしまうという極めて重大な結果を生じさせる危険があります。
 また、法案では、三回目の申請であっても難民などに当たる相当の理由がある資料を提出した者については、例外的に送還停止効を解除しないとしております。しかし、この例外に当たるという措置は行政処分としては定められていないので、本人は、退去強制令書の執行を受けて送還に着手されるまで、停止効解除の例外に当たったかどうかが分かりません。また、処分ではないので不服申立ての方法もありません。さらに、送還停止効の解除の適否について、UNHCRなども含めた第三者機関によってモニタリングする制度も設けられておりません。少なくともこれらに対する手当ては必要であろうというふうに考えております。
 第六に、退去命令等の違反に対する刑事罰の制定については、退去命令を出す要件を一定程度限定してはいるものの、なお、相当と認めるときはなどの要件が不明確で、刑罰をもってしてまで強制する必要はないと考えております。
 第七に、被収容者の処遇に関する規定の整備について、これまで省令で定められてきたものを法律によって処遇の在り方を規律すること自体は意味のあることと考えます。しかし、国連被拘禁者処遇最低基準規則や国連の拷問禁止委員会からの日本政府に対する総括所見と比較したとき、不十分な点があります。詳細は日弁連の今回の意見書に記載しておりますので、参照していただきたいと存じます。
 以上のとおりですが、今回の入管法の改正のきっかけになったのは、二〇一九年六月に大村の入国管理センターで発生した被収容者の死亡事故でありまして、このような事故の再発は何としても防がなければならないということが出発点であったと認識しております。
 日弁連としては、退去強制手続の対象となる人の安全や自由が切り下げられるようなことがなく、国際的な基準に基づく検証にも耐えられるよう、今回の改正法案について抜本的な見直し、修正が行われるべきものと考えておりますので、参考としていただきますようお願いいたします。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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義家弘介#7
○義家委員長 ありがとうございました。
 次に、児玉参考人にお願いいたします。
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児玉晃一#8
○児玉参考人 私が最初に出会った難民は、当時十二歳だったイラン人の少女でした。彼女は、私の前で入管に収容されていきました。そして、日本政府からは難民として認定してもらえませんでした。二十五年ぐらい前の話です。その後、私は、入管の収容問題、あるいは難民問題、在留特別許可の問題に携わってまいりました。その立場から、本日はこの法案について反対の意見を述べさせていただきます。
 私は、これから主に三つのことをお話しします。一つ目はこの法案の問題点。二つ目は長期収容、その問題についての解決の方針、あるべき方策。三つ目はこちらにいらっしゃる国会議員の先生方へのお願いです。
 まず一つ目です。法案の問題点です。
 既に問題点は幾つか指摘がありますが、監理措置についてお話をします。
 監理措置は、収容に代わって、一定の場合に社会生活が送れる制度として、あたかもよくなるような説明もありました。ですが、判断の主体は、これまでと変わらない主任審査官です。そして、要件も、逃亡のおそれなどその他の事情を考慮して、主任審査官が相当と判断したときに初めて収容されない。今の入管の収容とはっきり言って変わりはないんです。判断主体も変わらない。要件も正直、曖昧なままです。
 この主任審査官がやることに関しては、実際の令書を執行する職員ではなくて上級の職員がやるのだから大丈夫だという説明がされることもありますが、それは、国連などからは、その組織でやるのはもう公正さを欠くから第三者の目を入れるべきだ、司法審査を入れるべきだと言われているのに、いや、うちの上司がやりますから大丈夫です、部長がやるから、専務がやるから、だから大丈夫です、そう言っているようなものです。弁明になっていないと思います。ちなみに、名古屋のスリランカの女性が亡くなりましたが、彼女の仮放免を不許可にしたのもこの主任審査官です。
 行政訴訟があるから大丈夫だという御意見もありました。行政訴訟の平均審査期間、御承知でしょうか。司法統計によると十五・七か月、一年四か月かかります。仮に勝ったとしても、決して迅速な救済とは言えません。しかも、国選弁護人の制度、刑事のようなものもありません。弁護士は自分で探さなくてはいけません。法テラスが使えません。費用も自分で払わなくてはいけません。制度的な保障、手続の保障が何もないような状況です。
 収容の執行停止という制度があります。これは、本案の裁判が長くかかるので、仮の救済としてできるものがあります。ですが、この十年間で、執行停止で収容が解かれたのは一件もありません。つまり、行政訴訟ができるというのは、単に機会があるという、それだけのことを言っているだけにすぎません。効果的でもない、迅速でもない。
 この点について、私は入管職員の方に質問したことがあります。答えは、それは裁判所の判断ですから、そういうものでした。入管だけの話をしているんじゃないんです。国家の制度として収容を適正にできるかどうかを話し、そして、それに対しては行政訴訟があるからということを説明しているのに、いざ行政訴訟はどうなんですかと聞いたら、それは裁判所の判断ですというのは、これは無責任ではないんでしょうか。
 監理措置については、監理措置が認められなければ無期限の長期収容が続くのは今と変わりありません。上限を設けてしまうと強制送還が機能しなくなる、そのような説明もありました。ですが、この黄色い資料集の三百九十ページに諸外国の制度が表になって出ています。これによりますと、少なくともアメリカ、フランス、ドイツ、この三か国では収容に上限があります。この三か国は、送還ができないんでしょうか。送還が機能不全になっているんでしょうか。
 あるいは、国連は一九九八年から、この長期収容に対して懸念を示し続けています。こちらに書いてある資料を後で御覧ください。二十何年間も、国連は、日本が送還が不能になるような勧告をし続けている、そういうことなんでしょうか。そんなわけはないと思います。このような、上限を設けても送還をきちんとできているところの実務を学び、上限を設けるのが、長期収容解消のための非常に端的な方法ではないかと考えます。
 続いて、在留特別許可です。
 この点は、先ほど、市川先生の方から話がありました。一年を超える懲役刑、実刑判決を受けた人については原則除外すべきではないという点です。
 いろいろな背景を持って刑務所に行き、それから入管に行っている人がいらっしゃいます。例えば、日系人の子供として家族に、親に連れてこられて、だけれども、日本語教育もきちんとされない、言葉が分からない、勉強が分からない、周囲にもなじめない、友達もいない、そういう子供たちが少年事件を起こし、長じては刑事事件、成年になってから刑事事件を起こして、刑務所を出てから入管に行っている人、私は何人も会ってきました。
 もちろん、全員が全員、そういうわけではありません。本人の責任というのもあるんでしょうけれども、そこにはやはり日系人を受け入れるところの無策、その被害者という側面もあろうかと思います。彼らは、家族全員、日本に来ています。本国に帰されても、誰も家族もいない、友達もいない、言葉ももう分からなくなっている、読めない、書けない、そういう状況で、日本に残りたいと言っている人を、私は何人も見てきました。
 この場合に考慮するのは、原則として排除するのではなく、様々な要素の一つとして考慮するにとどめるべきです。
 この一番下に比例原則と書きました。また、海外の事例で、資料の九というのをおつけしました。こちらは、ヨーロッパ人権裁判所や、あるいは国連の規約人権委員会の見解で出された代表的な例を三つ挙げました。最初のベレハブ事件というのは、かなりの、百何十件前科があったりとか何十件事件を起こした、そういう人がモロッコに帰された事件ですが、それでも、ヨーロッパ人権裁判所は、家族のきずなの方が大事だという判断を下しています。
 ここでやられるのは、強制送還によって得られる国の利益と、引き裂かれることによって失う家族のきずな、そのどちらが大事なのかというのを同じてんびんで量って、こういう事件であっても家族の方が大事なんだという判決を下しているんです。
 少なくとも、この原則排除という規定は削除すべきだと思います。
 続いて、難民の話です。
 柳瀬先生の方から、濫用の事例の話がかなり紹介されていました。私も、濫用が全くないというふうに申し上げるつもりはございません。ですが、非常に不思議なのは、日本の難民認定率は一%あるいはそれを切るぐらい、海外で、カナダとかですと五〇%を超えるような認定率があります。何で日本だけ九九%の人が、濫用者が来るんでしょうか。本当にそうなんでしょうか。
 難民の話ですと、ちょっと大きな話、海外の事情も絡みますから、分かりにくいかもしれません。
 最近、本当に毎年のように豪雨災害があります。それで、避難所に駆け込む方、難を逃れて避難を求める方、たくさんいらっしゃいます。例えば、こう考えてください。千人規模の避難所があります。ある村が運営しています。ここは、避難してきた人たちの半分以上、五百人を収容します、保護します。もう一方で、日本村が運営している避難所があります。千人入れます。ここには、たった四人しか入れません。残りはみんな濫用者だ、災害に遭っているなんかうそだ。そんな人がどうして日本村だけ九百九十人も来るんですか、ほかは半分入れるのに。
 濫用者もいるかもしれません。こちらも全員を入れているわけじゃありません。ですけれども、二桁、三桁も違うというのは、それは申請者側の問題だけではなく、運営する側がおかしいのではないか、厳し過ぎるのではないか、そこに問題はないのか、そういうのを確認するのが普通なのではないでしょうか。
 難民認定の問題も同じです。同じ条約の下で、同じ基準を使うべきで、そうであれば、これほどの、二桁も三桁も差がつくというのは考えにくい。日本だけ濫用者が集まるということについて、私は納得のいく説明を聞いたことがありません。やはり、見直すべきなのは、まずは制度の方、運用がきちんとできているのか、国際標準に従ってできているのか、そちらを先にすべきです。
 資料の十に、ミャンマーの統計を出しました。二〇一六年から二〇二〇年までの間、日本でミャンマー出身の人で難民認定された人はたったの一人です。二〇一六年には、ミャンマーは、アウン・サン・スー・チーさん率いるNLDが政権を取りました。それまで、日本で難民認定をされていた人の圧倒的多くはミャンマーの国籍の人でした。それが、NLDが政権を取ったことで、迫害を受ける恐怖が払拭されたと判断したようです。以後、難民認定は全くされていません。ほかの国はどうでしょうか。数十人、百人以上、認定は続いています。
 この違いは、本国の政府の状況に関する把握の仕方です。
 国際難民法の通説的な考え方で、本国に変化があっても、それが本質的な変化に至っていなければ、迫害の恐怖は払拭されない、そういう理論があります。恐らく、ほかの国は、NLDが政権を取ったけれども、まだ軍事政権が途絶えたわけではない、そのようなことで、本質的な変化に至っていない、だから難民として認定している、そのような実務を取っているんだろうと思います。
 日本政府が早々に迫害の危険がないというふうに方針を変えて、帰ってしまった人はどれぐらいいらっしゃるんでしょう。今どうなっているんでしょうか。日本政府がきちんとほかの国と同じような基準を使って、解釈を取って、難民認定を慎重にしていれば、もしかしたら失われないで済んだ命もあったかもしれない。
 まずやるべきなのは、難民条約に入っている以上は、ほかの国と同じような基準を使い、難民の受入れに関して、加入している国として、当然の責任を分担する、まずはそれをすべきです。
 先ほどの避難所の例でいいますと、入れないから何回もドアをたたくんです。一回目できちんとドアを開けてくれれば、複数回申請は激減すると思います。
 次に、退去の命令に関してです。
 こちらについては、まず、特定の送還に協力しない国の方を退去の命令の対象としていますが、これは、人種差別撤廃条約の、こちらに書いたところに反するおそれがあると思います。また、退去の命令の対象は確かに限定はされましたが、もう一つ、旅券取得命令というものが新たに法案に出ています。これは、送還停止効がある人だとか、あるいは、執行停止決定が出ている人、そういう人は関係ありません。退去強制令書が出ている人については、送還の準備のためにパスポートを取れと命令することができ、これに反した場合には、刑事罰、同じ刑事罰に科すことができる条文が入っています。
 退去の命令は絞られたかもしれませんが、この旅券の取得命令で、家族と一緒にいたい、迫害を逃れたい、それで送還に協力しない人が刑事罰に問われる可能性が出てきます。
 さらに、国連の恣意的拘禁作業部会の文書では、そもそも、非正規滞在は犯罪とすべきではないというのがうたわれています。
 今の日本の入管法では、これらも既に刑事罰の対象になっていますが、今回の法案では更にそれに上塗りをする、加重するようなことが提案されているわけです。この無限のループ、退去の命令が出たけれども帰れない、刑務所に行く、刑務所の刑期が明けたらまた入管に来る、入管でまた退去の命令が出て、違反したら刑務所に行く。このループはいつやむのか、これについてどう説明するのか、私は今まで合理的な説明を聞いたことがありません。
 では、どのような方策を取るべきかということをお話しします。
 難民認定について適正にまずすべきということは、先ほどお話ししました。
 もう一つは、在留特別許可の柔軟な運用をすべきだと考えます。詳しくは、この資料の二、共同提言を御覧いただければと思うんですが。
 あるいは、資料の八番、今日お配りしたものの中に、A3になっている、カラーのこの表があると思います。
 諸外国では、何十年も前から、非正規滞在者を、数千人から、多いところで何百万人、アメリカは二百七十万人というデータもあります、一斉に正規化し、在留資格を与えています。
 これは、もちろん、その非正規滞在者の人権という観点もありますけれども、これによって、税金の担い手を増やす、社会保障の担い手を増やす、人手の不足している労働のところへの人材を確保する。確かに、もう既にオーバーステイという形で法に反しているかもしれないですけれども、日本の社会に溶け込んで、言葉もできて、友達もおり、職場もあり、そういう人たちを有効に活用しようということがこれだけの国で実施されているんです。
 まさにこれは政治家の皆さんの判断ではないかと思います。大所高所に立った懐の深い政策が求められ、それが長期収容、送還忌避者の増大についても、解消のところにつながるのではないでしょうか。
 最後に、先生方へのお願いを申し上げます。
 こちらにいらっしゃる議員の先生方、一人でも多くの人を幸せにしたいという志をお持ちで、本当に日頃大変な職務に就かれているんだと思います。
 人権外交に関する超党派議連というのができたと報道で聞きました。人権は普遍的な価値だから、国内の問題にとどまらず、外国にいる外国の市民を助けるために日本の国会議員の先生方が力を尽くそう、そういう趣旨と私は受け止めています。非常に崇高なことだと思います。であれば、日本にいる外国人の人権にも是非、目を届けていただきたい。
 私には夢があります。国籍や在留資格とかに関係なく、全ての人が家族と一緒に暮らす、迫害の恐怖から逃れる、不当な身体拘束から解放される、あるいは、収容されていても適切な医療を受け、命を維持できる。いわば当たり前の世界が私の夢です。残念ながら、今回の法案はこの夢とは真逆の方向に向かっていると思います。
 私は、この法案が通って笑顔になる外国人の姿が全く思い浮かびません。むしろ、既に苦痛に満ちている状況にあるのに、苦痛を更に加える、そういう内容になってしまっていると思います。
 先生方へのお願いは、一人でも多くの人を幸せにしたい、笑顔にしたい、そのようなお気持ちをお持ちの皆さんだと思います。与党とか野党とかも関係なく、本当に多くの人を幸せにするためにはどういう法改正が必要なのか、妥当なのか、そこを改めて、立ち止まって考えていただければと思います。
 以上から、私はこの法案に反対いたします。
 ありがとうございました。拍手
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義家弘介#9
○義家委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
    ―――――――――――――
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伊藤忠彦#10
○伊藤(忠)委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井野俊郎君。
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井野俊郎#11
○井野委員 自由民主党の井野俊郎でございます。
 今日は、お話、ありがとうございました。
 まず一点、私は少し自己紹介かたがた、お話しさせていただきます。
 私は、群馬二区というところの選挙区でございまして、伊勢崎市というところに住んでいます。地元の、二十一万の人口ですけれども、約一万人は外国人でございます。元々、ベトナム難民の方がいらっしゃって、たまたまそういう、受け入れた結果、どんどん増えていったという経緯。外国人技能実習生等ももちろんいらっしゃいますし。私の肌感覚だと、ある学校に至っては半分ぐらいが外国人の子供かなという実感を持ったりする地域であります。
 もちろん、外国人の方が多いからといって、治安が悪いとか住みにくいとか、私は思っていません。当然、いろいろな工夫をされて、共生を図りながら、私の町は、市長が理解ある人で、運営しているのかなというふうに思っています。
 ただ、他方で、やはり、もちろんトラブルというものがなくはないかというと、そうではないわけです。
 例えば、ある外国人は、どうしてもヤードなんというものを建てて、空いている土地にどんと、いきなりこういう壁みたいなものを建てて、そこに、変な話、我々から見るとごみに見えるんですけれども、そういうものを運び込んで何かやっている、がちゃがちゃやっているなという例があり、そして、それが近所にとってみると騒音があったりごみが飛んできたりというトラブルがある。それを行政に言うと、いや、あそこは許可でも何でもない、勝手にやっていることだから、我々としては行政処分でも何にもできないんですよと言われて、そういうことを地元の区長さん、町会長さんからもお話をいただいたりということも、実際問題としてあるところであります。ちょっとそこら辺は、済みません、自己紹介かたがた、こんな状況もあるということでお話をさせていただきましたけれども。
 まず一つ、安冨先生と児玉先生にお伺いしたいんですけれども、柳瀬先生と市川先生は参与員という、難民認定審査の参与をされていましたけれども、お二人は難民認定審査に参与されたことはあるんでしょうか。経歴上はちょっと見当たらなかったので、一応確認だけ、お聞かせください。
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安冨潔#12
○安冨参考人 お答えいたします。
 最初に申し上げましたように、私、難民審査参与員も務めておりまして、正確にいつからであったかはちょっと定かではございませんが、現在務めております。
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児玉晃一#13
○児玉参考人 児玉です。
 私は、参与員になった経験はありませんが、参与員の方がやられる手続で、代理人として手続に関与したことは何度もございます。
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井野俊郎#14
○井野委員 じゃ、まず御経験があるお三方にお伺いさせていただきます。
 先ほど、難民認定審査、難民認定率が低い、これは外国と基準が違うからじゃないかなんというお話がありましたけれども、外国と基準が違うから難民認定審査ないし難民認定率が低いという御認識はお持ちでしょうか。
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安冨潔#15
○安冨参考人 お答えいたします。
 私の認識としては、外国との要件に関しての基準というものが著しく違うというふうには認識しておりません。
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柳瀬房子#16
○柳瀬参考人 お答えいたします。
 私もそのように感じております。
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市川正司#17
○市川参考人 私は、数に、認定率にどういう影響があるかということは、なかなか軽々には言えないと思っておりますけれども、ただ、基準としてどうかと言われると、要件の解釈の問題と、それから立証のハードルの問題で、やはり厳しい部分はあるのではないかなというふうに私は考えております。
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井野俊郎#18
○井野委員 是非、そこら辺、解釈とおっしゃいましたけれども、待ってください、質問させていただきますので。
 そこら辺のどういう事情なのかというのをちょっとお聞かせいただき、私も、実は、法務大臣政務官という役職をやらせていただきまして、その当時、実は一件、難民認定申請は何件かあったんでしょうけれども、私自身どうしても納得いかなくてサインを拒否した難民認定、法務省の役人から上がってきた段階では、この方を難民認定したいと思いますということで事務方から上がってきたんですけれども、説明を聞いても、この方がなぜ難民なのかというのが理解できない。というのも、客観的証拠がないんですよね、難民認定に当たっては。
 はっきり言って、先ほど柳瀬先生がおっしゃったとおり、ほぼ何か供述の迫真性のみに依拠している。かつ、あと客観的に、外務省から問い合わせて、この国に対してはそういう政治的な事情があるというような状況があるというぐらいで、じゃ、実際問題として、確かにその国でそういう政治的な事情がある、若しくは迫害を受ける可能性もあるかもしれない、だけれども、じゃ、この人が実際にそういう政治活動をしていたとか、この人がそういう事情をお持ちなのかどうなのかというのは、はっきり言って客観的証拠はないんですよね。
 そういう状況で、かつ、その供述にしか頼らざるを得ない中で、かつ、通訳も入れなきゃならない、そういう中で、どうしてこの人が難民認定の対象になり得る人なのかどうなのか。私も弁護士をやっていたものですから、証拠がないものを認定しろというのは難しいと思うんですね。何でそれによって基準が違うのかどうなのかという、そこら辺をもうちょっと詳しく教えていただけませんか。
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市川正司#19
○市川参考人 難民認定の難しさというのは、一つには、まさに先生おっしゃられたとおりでございまして、難民というのは、本国から逃げてくる、着のみ着のまま逃げてくるわけで、この証拠とあの証拠とその証拠を持って逃げてくるということは、基本的にはございません。ですから、どうしても客観証拠というのはなかなかなくて、あるのは、その国の、本国の情勢がどうなっているのか、これはある程度、文献とかそういったもので認定できます。ただ、その人の体験してきたことというのは、基本的にやはりその方の供述に頼らざるを得ないという証拠構造になっていまして、その供述の信憑性、ここがまさに難民認定の肝になると思います。
 その供述の信憑性については、様々な文献、あるいはUNHCRの考え方、それから難民認定ハンドブックというのもございますけれども、そういったものの中で、例えば旅券を所持していないことをどういうふうに評価するかとか、いろいろな基準を設けております。
 ですから、そういう客観的証拠のない中で、供述をどう評価してその信憑性を認定していくかということが大事だと思うんですけれども、この点についての訓練、こういったものがまさに認定官に必要なことだと思います。
 そこはUNHCR等がいろいろなガイドラインを作ったりハンドブックを作って、また日本でもいろいろ研修させておりますので、そういったことの中で、供述の信憑性というものをいかに評価していくかということが極めて大事だと私は思っております。
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井野俊郎#20
○井野委員 結局、信用するかどうかということに、結局は判断の要素としては依拠せざるを得ないのかなというふうに感じましたけれども、実際問題、私も本当に、信用してあげたいところもなくはないのかもしれないけれども、それこそ先ほど柳瀬先生がおっしゃいました、コピペのような話が出てきたり、客観的事実と実は違った話が出てきたりというと、そういうことになってくると、いや、信用してくださいということの方がやはりちょっと難しいのかなと思うんですね。
 ちなみに、じゃ、市川先生、基準が違って、私、ちょっとこの資料を出しましたけれども、大体申請一万人のうち、定住難民だとか条約難民で四十四人とか二十人とかですけれども、どれくらい、基準が違うことによって救われる人がいるんですか。
    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
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市川正司#21
○市川参考人 これはなかなか、私もつまびらかに全記録を見ているわけでもないので、何人ということは申し上げられません。ただ、数十人とかという規模感ではないだろうな、桁は違ってくるのではないかなと思っております。
 私が申し上げるとすれば、率直に、何%になれば基準が満たされるんだとかという、そういう話ではないだろうなというふうに思っています。
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井野俊郎#22
○井野委員 まあ、そこは多分、私とは、安冨先生、柳瀬先生と市川先生の認識というか、私もちょっと、そこまでいくのかなという気はしています。法務大臣政務官という、確かに一年間、私も難民認定の、ちょっとだけかじったという程度ですけれども、本当にこの人たちが、救われるべき人がもっと多くいたか。むしろ僕は、逆にもっと少なかったんじゃないかとは思っています。
 最終的に、先ほどの、ちょっと事のてんまつを申し上げますと、事務方から上がってきて、私は拒否しましたけれども、大臣が許可したので、じゃ、大臣の判断に私は従いますという形で最後は難民認定されましたけれども、そういうこともありました。
 ちょっとこの裏面を見ていただければ、ああ、裏面じゃない、ごめんなさい、ちょっと今日は資料として出していませんでしたね。送還忌避者が約二千四百四十人、これは法務省から聞いた回答なんですけれどもね。仮放免逃走中、手配中の者が約四百二十人。要は、仮放免が、逃走した、ある意味保釈みたいなものですよね、保釈中に逃走して、それが取り消されている人が四百二十人いる。
 これはちょっと柳瀬先生にお伺いしたいんですけれども、ある意味、我が国に滞在する許可がない人、法律的な根拠がない方が逃走しちゃっている。これって、犯罪を犯すおそれ等、そういう治安の悪化等の御懸念ってございませんか。どうですか、柳瀬先生。
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柳瀬房子#23
○柳瀬参考人 お答えいたします。
 確かにその心配はあるとは思いますけれども、やはり、入管の収容所において、その方を仮放免しても大丈夫だろうと、あるいは、その方の、きちんと保証してくださる家族がいらしたり、あるいは、代理人の、弁護士さんの方がついていてくださったりするケースですので、それを信頼して仮放免をしているというふうに私は考えております。
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井野俊郎#24
○井野委員 私は正直不安なんです、やはり。だって、逃走しちゃっているということは。
 じゃ、カルロス・ゴーンが、日本の刑事司法制度は信用できない、だから逃走していいんだということを言ったら、我々の刑事司法制度、どういう意味なんだと。はっきり言って、我が国の入管制度、逃走していいんだということになってしまったら、我が国の入管制度、外国人管理制度、治安の観点からして問題だと私は思いますよ。逃走しても、一応仮釈放を出したからいいんだというのは、私の感覚からすると、ちょっとどうなのかなという感覚ではございます。
 それはそれとして、だから、法務省は、今回、監理人制度というものを設けて、その逃走、今、これは年々増えているんですよね。仮放免中の忌避者は、今、年々増えています、はっきり言って。だから、これに対して何とかしなきゃならないということで監理人制度というものができているんだなというふうに私は認識をしております。
 もう一個、最後に、これも、私も愕然とというか、法務大臣政務官のときに思っていたのは、この裏面の、送還費用額の推移というのがあるんですよね。これは送還忌避者が、外国人が帰ってくれない、かといって日本で勾留するわけにもいかないし、長期収容するわけにもいかない。挙げ句の果てに何しているかというと、チャーター機を借り上げている。簡単に言うと、わざわざ、その外国人が帰ってもらうために我々の税金でチャーター機を用意して、その外国の方に帰っていただいているという、大変、誠に親切なやり方で、チャーター機を用意してあげて御帰国いただいているということも、実際、それが約四千万で、上のその他の経費を含めると年間約二億、毎年かかっているということがあるんですね。果たして、これも本当に国民の理解が得られるのかなという気はしておりますけれども、これについて、安冨先生、最後に、こういった経費、多少、この法改正によって減っていくことが期待できますか。
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安冨潔#25
○安冨参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、チャーター機送還等々で多額の費用がかかっているというのは承知しておるところでございますが、送還そのものは、御本人が在留することができないということで本国にお帰りいただくということが本来あるべきところではあろうかと認識しております。
 しかしながら、帰ることが嫌だ、つまり送還を忌避されるということになりますと、在留できない外国人の人を国費を使って送還をするということにならざるを得ない。そのための手段として、今、チャーター送還にしろ、護送官つきの送還というのが行われているというのが現状でございます。
 このような状況が長く続くということは、費用がまた高くかかるということは、決して健全なことではないというふうに認識するところでございます。
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井野俊郎#26
○井野委員 ありがとうございました。
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義家弘介#27
○義家委員長 次に、吉田宣弘君。
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吉田宣弘#28
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘と申します。
 今日は、四人の参考人の皆様に本当に大変貴重な御意見を賜りましたことに、心から感謝を申し上げたいと思います。
 私、先日の本会議におきまして、この入管法の改正について代表質問をさせていただきました。その際に、最後の問いとして、私は上川法務大臣に、入管法改正に向けての決意という形で所見をお伺いいたしました。
 その際の上川法務大臣の答弁でございますけれども、法務省は、現在、誰一人取り残さない社会の実現という持続可能な開発目標の理念を踏まえて、入管法による外国人の受入れを推進するとともに、庇護すべき外国人は適切に保護しつつ、日本人と外国人がお互いに尊重し、ルールを守りながら共生する社会の実現を目指す取組を進めています、そして、今回の入管法改正により、在留を認めるべき外国人を社会の構成員として受け入れるとともに、ルールを守らず、最終的に在留が認められないと判断された外国人は退去をさせるということを一層確実に実現することが可能となり、これによって、日本人と外国人が安心して暮らせる共生社会の実現につながっていくものだというような決意をお述べになられておられます。私も、率直に申し上げて全く同感でございます。
 今回の法案というものは、入管行政においての課題というもの、送還忌避者が多くなっておるということ、それから収容が長期化しているということ、これは日本国にとっても、その対象になっておられる外国の方にとっても非常によくないことだというふうに認識をしております。そのために、この課題については適切に解決に導いていかなければいけないことであろうと思っております。そのための様々な法的な整備が今回の入管法の趣旨であって、その先の目指すべきところは、先ほどの上川法務大臣の思い、決意、共生社会の実現ということであろうと私は思います。そういった意味におきましては、四人の参考人の皆様も、実はそういったところについては思いは全く同じなんだろうと思います。
 私も、実は最近経験したことなんですけれども、出身大学が九州大学という福岡の大学でございますけれども、私が学生の頃に外国の留学生の方というのはほとんどおられなかったですね。特定の研究室におられる方が少しおられるぐらいで、お会いすることはほとんどありませんでしたが、今、新しいキャンパス、ちょっと引っ越しをして伊都キャンパスというところに、私がいたときのキャンパスはなくなっちゃったんですが、そこに行くと、大抵、少し歩けば外国の留学生の方がおられて、にこにこしながら、挨拶とかをすると本当ににこにこして挨拶を返してくれて、とても豊かな気持ちになります。こういうふうな豊かな気持ちになる、やはり日本における外国の方との共生のための法案だというふうに私は思っているんですね。
 ただ、皆様方の御意見を様々お聞きするに当たって、これから、柳瀬参考人にまずお聞きをしたいと思います。
 先ほど、難民審査参与員としての御経験上、いろいろな難民の方に携わってこられた、難民の支援もこれまで多く、長い間していただいたという御経験の下、対応された難民申請者の方に、一次審査の話と全く違うことを話す方がおられたりとか、他の人と全く同じ主張を繰り返す方がおられたりとか、当然説明できることが説明できない方もおられたりとか、その他条約上の迫害の方ではない、また申請を繰り返す方というふうな方がおられたと思うんですけれども、特に、五つの立て分けの一、二、三、違うことを言う人、同じことを繰り返す申請者が何人も来るということ、当然説明できることができない申請者、この方々は一体何の目的で日本に来ておられるのか、とても私は不思議に思います。
 御経験上、この方々に特有な、日本にいたいと思われる事情というものをどのようにお感じになられておられるか、捉えられておられるか、御意見としてお聞かせいただければと思います。
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柳瀬房子#29
○柳瀬参考人 お答えいたします。
 おおむね仕事がしたいということであると思います。
 ただ、難民というふうに私どもが考えて、難民として考えますと難民の蓋然性がない方たちですけれども、私自身は、本当はこういう人はいてほしいなと思うような難民申請者にはたくさん会います。日本語もできて、お仕事もできて、いろいろな、日本人の中でも、日本の社会の中でもリーダーになれるような人、そういう申請者もおります。でも、難民条約上の難民ではないので、それは認められないということになります。
 以上です。
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