国民生活・経済及び地方に関する調査会
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会
会議録情報#0
令和五年二月二十二日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
二月二十一日
辞任 補欠選任
和田 政宗君 小林 一大君
木村 英子君 天畠 大輔君
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出席者は左のとおり。
会 長 福山 哲郎君
理 事
加田 裕之君
上月 良祐君
高野光二郎君
小沼 巧君
竹内 真二君
高木かおり君
伊藤 孝恵君
山添 拓君
委 員
岩本 剛人君
越智 俊之君
小林 一大君
田中 昌史君
堂故 茂君
友納 理緒君
星 北斗君
山本 啓介君
山本佐知子君
若林 洋平君
柴 愼一君
高木 真理君
窪田 哲也君
杉 久武君
中条きよし君
天畠 大輔君
事務局側
第二特別調査室
長 荒井 透雅君
参考人
大正大学地域構
想研究所教授 小峰 隆夫君
株式会社ニッセ
イ基礎研究所生
活研究部上席研
究員 久我 尚子君
法政大学経済学
部教授 酒井 正君
─────────────
本日の会議に付した案件
○国民生活・経済及び地方に関する調査
(「誰もが取り残されず希望が持てる社会の構
築」のうち、社会経済、地方の現状と国民生活
における課題(現下の経済情勢)について)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員の異動
二月二十一日
辞任 補欠選任
和田 政宗君 小林 一大君
木村 英子君 天畠 大輔君
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出席者は左のとおり。
会 長 福山 哲郎君
理 事
加田 裕之君
上月 良祐君
高野光二郎君
小沼 巧君
竹内 真二君
高木かおり君
伊藤 孝恵君
山添 拓君
委 員
岩本 剛人君
越智 俊之君
小林 一大君
田中 昌史君
堂故 茂君
友納 理緒君
星 北斗君
山本 啓介君
山本佐知子君
若林 洋平君
柴 愼一君
高木 真理君
窪田 哲也君
杉 久武君
中条きよし君
天畠 大輔君
事務局側
第二特別調査室
長 荒井 透雅君
参考人
大正大学地域構
想研究所教授 小峰 隆夫君
株式会社ニッセ
イ基礎研究所生
活研究部上席研
究員 久我 尚子君
法政大学経済学
部教授 酒井 正君
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本日の会議に付した案件
○国民生活・経済及び地方に関する調査
(「誰もが取り残されず希望が持てる社会の構
築」のうち、社会経済、地方の現状と国民生活
における課題(現下の経済情勢)について)
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福
福山哲郎#1
○会長(福山哲郎君) ただいまから国民生活・経済及び地方に関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、木村英子君及び和田政宗君が委員を辞任され、その補欠として天畠大輔君及び小林一大君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、木村英子君及び和田政宗君が委員を辞任され、その補欠として天畠大輔君及び小林一大君が選任されました。
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福
福山哲郎#2
○会長(福山哲郎君) 国民生活・経済及び地方に関する調査を議題といたします。
本日は、「誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築」のうち、「社会経済、地方の現状と国民生活における課題」に関し、「現下の経済情勢」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、大正大学地域構想研究所教授小峰隆夫君、株式会社ニッセイ基礎研究所生活研究部上席研究員久我尚子君及び法政大学経済学部教授酒井正君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、小峰参考人、久我参考人、酒井参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず小峰参考人からお願いいたします。小峰参考人。
この発言だけを見る →本日は、「誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築」のうち、「社会経済、地方の現状と国民生活における課題」に関し、「現下の経済情勢」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、大正大学地域構想研究所教授小峰隆夫君、株式会社ニッセイ基礎研究所生活研究部上席研究員久我尚子君及び法政大学経済学部教授酒井正君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、小峰参考人、久我参考人、酒井参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず小峰参考人からお願いいたします。小峰参考人。
小
小峰隆夫#3
○参考人(小峰隆夫君) 着席のままで失礼いたします。
御紹介いただきました大正大学の小峰でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、このような場で私の意見を申し述べる機会を与えていただきまして、大変ありがとうございました。(資料映写)
現下の経済情勢についてということでございますけれども、私の場合は、少し長めに時間軸を取って、平成経済から順番に今日の経済まで振り返ってみたいと思います。
まず、この平成経済を振り返ることの意味なんですけれども、現時点においても、平成経済を振り返ることは大変意味のあることだというふうに私は考えております。平成経済というのは、ここにありますように、次々に今まで経験したことのないような課題が現れてきたということで、それに対する対応も、今まで経験がないものですから、どうしても実験的又は試行錯誤的なものにならざるを得なかったという特徴があります。
それで、残念ながら、これを事後的に評価してみますと、こういった政策的対応は必ずしも成功だったとは言い難いものがたくさんありまして、いろいろ問題があったんじゃないかというふうに思われます。これらの多くの課題は、平成以後、今に至るまで引き継がれているものがたくさんあります。したがって、また改めてこの問題が発生した平成経済から遡って取組を振り返ってみる意義というのはあるのではないかというふうに思います。
以下、順番に時代を区切って簡単に振り返ってみたいと思いますけれども、まず最初は、バブルが生成して崩壊した八〇年代、八九年から九〇年代前半の時期について考えてみたいと思いますが、これはもう一言で言えば、バブルの、これは株価と地価の動きを見たものですけれども、一番左の部分が大きく盛り上がっていますけれども、株価も地価も三倍以上、短期間で異様な盛り上がりを示したということですけれども、今から振り返ってみて改めて気が付くのは、そのバブルの渦中にあってはこれがバブルだということは分からないということが改めて確認されたということです。
この異様な株価、地価の上昇も、そのときにはそれなりの説明をしていたと、こういう理由で上がったんだという説明がそれなりにあったということですので、これが異常な事態であって、これがやがて逆転して日本経済に非常に大きな重荷になるという認識はほとんどなかったというふうに思われます。
それから、次の時代は九〇年代後半の金融危機とデフレの発生ということですけれども、まず、バブルが崩壊しますと、資産と負債のうちの資産が大きく毀損しますので、負債が大きくなって不良債権が発生するということになりますが、これは、当初はこれに対する認識は驚くほど低かったということです。これ、政府の文書で、九二年の経済白書の引用ですけれども、当時の不良債権は七から八兆円程度だったと。これ、実はもっと大きかったということなんですけれども、これは銀行全体の資産と比較すると、延滞債権というのはほんの一部だということで、それから、含み益がありました。この含み益がたちまちなくなってしまうわけですけれども、含み益もあると。したがって、銀行経営にとって危機的な問題ではないというのが一般の認識であり、政府の認識でもあったということです。
それから、当時、宮澤総理がかなり早い段階で、これは不良債権を税金を使って処理してしまった方がいいんじゃないかという提案をいたします。九二年なんですけれども、このときは総理自らが軽井沢のセミナーで発言するんですが、余り話題にならなくて、しかも、それこそ全く四面楚歌、誰も賛成しなかったと。経済学者、政治家、産業界、金融界、みんなそこまでやる必要はないんじゃないかということで、総理の考えだったとはいえ、それが実現することはなかったということがありました。
その後、九五年に六千八百五十億円の住専処理をめぐって公的資金の投入というのが非常に大きな問題だというふうに認識されて、その後、公的資金を使うのがほとんどタブー視されたということで、これは金融危機になって実際にパニックが起きて、これは大変だということがようやく分かって、数十兆円の公的資金が投入されるということになったという経験があります。
それから、デフレが今に至るまで大きな問題になっているわけですけれども、これも最初はデフレが大きな問題、デフレというのは要するに物価が上がらないという状態ですけれども、これが大きな問題だという認識は当初はなかったということですね。むしろ逆に物価を下げようという政策が行われていて、これがいわゆる内外価格差の議論なんですけれども、諸外国に比べて日本の物価は高過ぎると、だから我々は生活の実感として高所得を実感できないんだという議論があって、これは当時の村山総理も内外価格差を縮小していきますというのを表明している。
それから、これに対して、九五年の白書では、内外価格差というのは為替レートのオーバーシュート又は内々価格差、製造業と非製造業の生産性の格差によって起きるんだというようなことを主張していたんですけれども、なかなか、物価が下がるのは良いことだという認識の方が当時は強かったということが言えると思います。
それから、小泉改革の時代は二〇〇〇年代前半なんですけれども、このときは不良債権の処理というのをかなり強引に進めまして、目標は、当時、総資産の八・七%ぐらいだった不良債権比率を二〇〇四年度に半分ぐらいにするという目標を掲げて、かなり強引に不良債権の処理を進めた。しかし、それで実際にそのとおり不良債権が縮小していって目標は達成されたんですけれども、この不良債権の処理はデフレ対策の一環として行われているということですね。当時は、不良債権があるから日本経済はデフレから脱却できないんだという認識が強かったということです。しかし、不良債権を正常化してもデフレからは脱却できないということが分かって、これは不良債権の処理だけでは駄目だということで、だんだん金融の緩和に進んでいくというようなことになったのだと思います。
それから、私自身、かつて経済企画庁の役人をしておりましたので、この小泉改革の中でいろいろ行政的な見直し、仕組みの見直しがあったという中で、新しく出たもの、またそのときに失われたものがあるということを一言申し上げたいと思います。
このとき経済財政諮問会議が新たにつくられて、今に至るまで続いている。それから、年に一回骨太方針を決めるというのも今に至るまで続いていて、それから財政の中期展望、これも最近出ましたけれども、こういったものが一つの、行政が財政をモニターする手段として、非常に有効な手段として整備されるに至ったということで、これは評価できると思いますが、一方で、私から見ますと、失われたものもいろいろありますねということで、例えば、経済審議会と経済計画というものがなくなった。経済審議会は、今の経済財政諮問会議はそもそも総理とか有力閣僚がメンバーなんですから、現在の政権にそれほど違った意見を言うということはそもそもできないという組織だと思いますが、経済審議会というのは、二十数名の各界代表、労働界、消費者団体、学界、産業界、マスコミ、こういった人たちの代表者が集まって、まあ四、五年に一回、経済計画というのを作る。そのときにはいろんな専門委員を二百人ぐらい動員して、半年ぐらい時間を掛けて議論するということが行われてきたということで、だんだん議論していくうちにだんだん角が取れて平凡な結論にはなっていくんですけれども、それほど経済の常識に外れたような政策は出てこないというような仕組みがあったわけですけれども、これがなくなってしまった。
それから、私はまさに官庁エコノミストとして活動していたわけですけれども、こういった存在もなくなってきた。
それから、経済白書、これは私も書いていましたけれども、かつては経済白書というのが出るたんびに日本の経済はどうなっているんだということについて各方面でいろいろ議論が巻き起こったというのがあったんですけれども、最近は経済財政白書ということになって、まあ基本的には政府の方針を追認するような内容のものになっていったというのが、それぞれ得たもの、失われたものがあったのではないかというふうに思います。
それから、ちょっと関係の議員の方もおられるかもしれませんのでちょっと失礼なんですが、民主党政権のときの政策運営についてもいろいろ問題があったということを指摘をさせていただきます。
一つは、やはり官僚批判というのは当時相当強くて、ここに鳩山政権のときの五原則、五策というのが出ていますが、これのかなりの部分が官僚に関する部分になっておりまして、したがって、当時は、官僚を変えれば、官僚の生き方、官僚の扱いを変えれば相当政治、行政が良くなるんじゃないかという認識があったのではないかというふうに思いますが、まあ私自身官僚だったのでちょっと官僚寄りにバイアスがありますけれども、官僚は要するに自分の力で行動することはできないので、官僚をいかに使うかというところに意を用いていただければよかったのではないかというふうに思います。
それから、やはりマニフェストで財源の見通しが甘かったということが明らかになって、これは結局、財政赤字になってしまったということがあると思います。
それから、私、経済政策が専門ですけれども、当時いろいろな議論があって、成長戦略としても例えば第三の道というようなことが言われたり、それから、鳩山内閣のときにはGDPよりも幸福度だというような議論があって、そういうことを目指そうという動きがありましたが、残念ながら練り上げ不足だったのではないかという印象があって、たちまちこういったアイデアは消えてしまったということがありました。
それから最後に、これは今に至るまで続いていますけれども、アベノミクスの展開というのがあります。
これは、安倍政権が発足した当初は、アベノミクスは基本的には大成功だったというふうに言われていました。株価が上がって、物価もマイナスから脱出して、企業収益も増えたということで、かなりこれはうまくいったということだったんですけれども、これは今から振り返ってみますと、一つはアナウンスメント効果、つまり、こういうことをやるぞというアナウンスがマーケットに非常にプラスの影響があったということとか、それから、当時円安が非常に進みましたので、円安で輸出企業がかなりもうかったといったようなこともあったと。それから三番目に、公共投資も拡大した。四番目に、消費税を次の年に上げる予定でしたので、かなり大規模な駆け込み需要が起きたといったようなことがあって、これは今から思うと全て短期的な、一時的な理由だったということが言えるのではないかと思います。
その後、大胆な金融緩和、これは申し上げるまでもなく、インフレターゲットを決め、大胆な、黒田総裁の下での大胆な金融緩和が進み、二〇一四年に追加緩和をやって、それからさらにマイナス金利とかイールドカーブコントロールに進んでいくというようなことが行われたということです。これは、今に至るまで、ここからどうやって出口に向かうかというのが大きな課題になっているということです。
それから、こういった平成経済を振り返ってみて何を我々は学んだらいいのかということについて簡単に申し上げますと、まず、やはり我々の政策というのは、社会の認識に支えられてこそ政策が実現するという点があると思います。
ところが、社会的な認識というのは相当遅れるということですね、気が付くのが遅くなるということはあります。そうすると、例えばさっきの不良債権だとかデフレ問題だとか、そういったものはどうしても当初の認識とかなり違う認識がやがてやってくるというようなことが多い。そうすると、国民が経済的な課題の意味を認識するまでにかなりタイムラグがあるということですが、それは、その民意は世論調査だとか選挙の結果だとか、そういうのに反映されて、それが政策をある程度規定していってしまうということになって、そうすると政策自身は後追いになってしまって、むしろ傷が深くなってから政策が出てくるというようなことになってしまったというのが平成経済の幾つかの面であったのではないかということが言えると思います。
それからもう一つは、これは私、経済をやっていますのでどうしてもこういう結論になってしまうんですけれども、標準的な、つまりオーソドックスな経済学の教えに反した政策というのは結局回り回って社会に大きなコストをもたらすということがあったのではないかということですが、例えば政策割当ての議論というのがありまして、こういう政策はこういう分野に一番効率的に効くんだからそういう分野に割り当てるという割当ての議論があるんですけれども、例えば金融政策を、年収の五倍で住宅が得られるようにしましょうとか、金利生活者が困らないようにしましょうというふうに割り当てると、ちょっと正しい政策割当てと外れてしまう。
それから、経済摩擦があったときに、これは今、むしろ経済摩擦ってなくなってしまいましたけれども、経済摩擦に対応するために内需を拡大するというのをやると、今度は経済が過熱してしまうことにもなりかねない。
それから三番目に、部分均衡的、その当面の効果だけを見て政策を採用していると、例えば地域振興券を配ると商品券は消費に回るんだという議論がありましたけれども、商品券も実は今まで使っていた消費に割り当てれば貯蓄ができてしまうというようなことで、回り回って余り効果がないというようなこともあったということです。
それから、令和に持ち越された課題について簡単にお話ししますと、まず、異次元金融緩和というのが明らかに行き詰まってきているということで、まあ当初は二年で二%ということでしたが、これは七年たっても八年たってもできなかったということですし、長期国債の買入れも、もうだんだん買い入れる種がなくなってきているという限界になっていますし、さらに、円安が最初非常にプラスだったんですけれども、いつまでも円安に頼るわけにはいかない。それから、マイナス金利というのは、これは金融機関の経営にかなりマイナスだということで評判が悪い。それから、長期金利のコントロールというのは、これは教科書的に無理筋だということですね。私が習った教科書では、長期金利というのはマーケットが決めるものであり、規制すべきでもないし、規制もできないというのがオーソドックスな議論であったということです。
それから、財政について、これはもう申し上げるまでもありませんが、日本の債務残高のGDP比が非常に大きい状態が続いているということで、さらに、このところ非常時型、こういう緊急事態なんだからこういう財政支出が必要だということが次々に起きていて、物価が上がったからガソリンを安くしようとか電力を安くしようと。それから、補正予算も毎年のように編成される。コロナでいろんな費用が必要になる。それから、防衛費も必要だ。最近は、今度は少子化も一生懸命やらなきゃいけないということで、言わば次々にパンドラの箱が開いていって、歳出がどんどん膨らんでいくということが起きています。
それから三番目は、輸入インフレにどう対応するかということですけれども、これは消費者物価の今後の予想ですけれども、輸入インフレが収まってくると、また二%より下に物価上昇率が行くのではないかというのが大方の予想になっています。
ただ、これはちょっとなかなか理解するのが、理解していただくのは難しいかと思いますが、これは交易条件が悪くなる、つまり、輸入、我々が日本全体で輸入している物の値段が上がったことによって物価が上がっているので、これは残念ながら、これ自体を防ぐことはなかなか難しいということですね。
そうすると、この表は、実質賃金、一番左の時間当たり実質雇用者報酬というのが二〇二二年平均で〇・九%減っているんですけれども、これは生産性では〇・六%上がっている。それから、分配率も〇・八%上がる方向に寄与している。しかし、交易条件、つまり輸入物価が上がったことで二・二%マイナスになっている。
つまり、輸入物価が上がって交易条件が悪くなったことが実質賃金を減らす一番大きな要因であって、それを生産性とか分配率でカバーしているんですけれども、カバーし切れないから実質賃金が下がっているというバランスになっているということです。
これは、ちょっと説明が複雑なので簡単にしますと、この状況はGDPデフレーターの動きによく表れていて、一番下のGDPデフレーターというのは国内に原因があるインフレ率の動きを表している。国内需要デフレーターという上がっている方は、原因はどこであれ、とにかく物価が上がっているかどうかというのを示している。そうすると、今物価は上がっているんですけれども、国内に原因がある部分はほとんどないということなので、ほとんどが輸入インフレの影響であるということが分かるということです。
それから最後に、人口問題について簡単にお話ししますと、コロナで人口の変化が十年加速したというふうに言われています。簡単に言うと、これが人口の将来展望と実績なんですが、左の出生数の中位推計というのは国立社会保障・人口問題研究所の推計なんですが、これだと二〇三一年に八十一・一万人だというふうに予想されていたんですが、現実には二〇二一年に八十一・二万人になってしまった。つまり、標準的な予想よりも十年進行が早くなっているということです。
それからさらに、これ出生率で、人口が減らないためには二・〇七にする必要があるんですが、現実には一番下の一・三〇だと。
政府の目標は、まずは一・八〇にするという目標を立てていますが、これは希望出生率というふうに言われていまして、結婚したい人が全て結婚して、産みたい子供が全て生まれた場合に一・八になるということなんですが、コロナ後に、これは我々の段階で試算してみると、この希望出生率は一・六ぐらいに下がっているという深刻な状態になっています。
それと最後に、異次元の少子化対策というのが言われていますけれども、私がもし異次元の少子化対策は何ですかと問われればこの五つだというので、それを御紹介して終わりにしたいと思います。
一つは、人口政策について新しい目標が必要だと。人口一億人というのも出生率一・八というのも、これはほとんど実現は不可能だということです。
それから二番目に、少子化関連予算がまだ少ないというのは事実ですけれども、それはやはり効果的な財源を伴う議論である必要がある。
三番目に、これは少子化が病気なのか、ほかの大きな、より大きな問題があって、それの副作用として少子化になっているのかという議論をしっかりしておいた方がいいということがあります。
それから四番目に、人口政策について国と地方の役割分担を見直した方がいいということで、地方で少子化対策いろいろやるんですけれども、これは言わば子育て世代の取り合いになってしまって、少子化率、出生率が非常に上がったという自治体が確かにあるんですけれども、それは逆に言うと、周りの自治体は子育て世代がいなくなったので出生率が下がるということになっているということですね。ですから、人口政策はあくまでも国が主体でやるべきだということです。
それから、最後に五番目、これはなかなか言いにくいんですけれども、今後、相当長い間は日本の人口は減るということは間違いないということなので、人口を増やすというのを当面の目標にするよりは、ある程度人口が減っていっても我々の福祉が損なわれないような社会をまずは目指すということも必要なのではないかというのが私の考えです。
以上で私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →御紹介いただきました大正大学の小峰でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、このような場で私の意見を申し述べる機会を与えていただきまして、大変ありがとうございました。(資料映写)
現下の経済情勢についてということでございますけれども、私の場合は、少し長めに時間軸を取って、平成経済から順番に今日の経済まで振り返ってみたいと思います。
まず、この平成経済を振り返ることの意味なんですけれども、現時点においても、平成経済を振り返ることは大変意味のあることだというふうに私は考えております。平成経済というのは、ここにありますように、次々に今まで経験したことのないような課題が現れてきたということで、それに対する対応も、今まで経験がないものですから、どうしても実験的又は試行錯誤的なものにならざるを得なかったという特徴があります。
それで、残念ながら、これを事後的に評価してみますと、こういった政策的対応は必ずしも成功だったとは言い難いものがたくさんありまして、いろいろ問題があったんじゃないかというふうに思われます。これらの多くの課題は、平成以後、今に至るまで引き継がれているものがたくさんあります。したがって、また改めてこの問題が発生した平成経済から遡って取組を振り返ってみる意義というのはあるのではないかというふうに思います。
以下、順番に時代を区切って簡単に振り返ってみたいと思いますけれども、まず最初は、バブルが生成して崩壊した八〇年代、八九年から九〇年代前半の時期について考えてみたいと思いますが、これはもう一言で言えば、バブルの、これは株価と地価の動きを見たものですけれども、一番左の部分が大きく盛り上がっていますけれども、株価も地価も三倍以上、短期間で異様な盛り上がりを示したということですけれども、今から振り返ってみて改めて気が付くのは、そのバブルの渦中にあってはこれがバブルだということは分からないということが改めて確認されたということです。
この異様な株価、地価の上昇も、そのときにはそれなりの説明をしていたと、こういう理由で上がったんだという説明がそれなりにあったということですので、これが異常な事態であって、これがやがて逆転して日本経済に非常に大きな重荷になるという認識はほとんどなかったというふうに思われます。
それから、次の時代は九〇年代後半の金融危機とデフレの発生ということですけれども、まず、バブルが崩壊しますと、資産と負債のうちの資産が大きく毀損しますので、負債が大きくなって不良債権が発生するということになりますが、これは、当初はこれに対する認識は驚くほど低かったということです。これ、政府の文書で、九二年の経済白書の引用ですけれども、当時の不良債権は七から八兆円程度だったと。これ、実はもっと大きかったということなんですけれども、これは銀行全体の資産と比較すると、延滞債権というのはほんの一部だということで、それから、含み益がありました。この含み益がたちまちなくなってしまうわけですけれども、含み益もあると。したがって、銀行経営にとって危機的な問題ではないというのが一般の認識であり、政府の認識でもあったということです。
それから、当時、宮澤総理がかなり早い段階で、これは不良債権を税金を使って処理してしまった方がいいんじゃないかという提案をいたします。九二年なんですけれども、このときは総理自らが軽井沢のセミナーで発言するんですが、余り話題にならなくて、しかも、それこそ全く四面楚歌、誰も賛成しなかったと。経済学者、政治家、産業界、金融界、みんなそこまでやる必要はないんじゃないかということで、総理の考えだったとはいえ、それが実現することはなかったということがありました。
その後、九五年に六千八百五十億円の住専処理をめぐって公的資金の投入というのが非常に大きな問題だというふうに認識されて、その後、公的資金を使うのがほとんどタブー視されたということで、これは金融危機になって実際にパニックが起きて、これは大変だということがようやく分かって、数十兆円の公的資金が投入されるということになったという経験があります。
それから、デフレが今に至るまで大きな問題になっているわけですけれども、これも最初はデフレが大きな問題、デフレというのは要するに物価が上がらないという状態ですけれども、これが大きな問題だという認識は当初はなかったということですね。むしろ逆に物価を下げようという政策が行われていて、これがいわゆる内外価格差の議論なんですけれども、諸外国に比べて日本の物価は高過ぎると、だから我々は生活の実感として高所得を実感できないんだという議論があって、これは当時の村山総理も内外価格差を縮小していきますというのを表明している。
それから、これに対して、九五年の白書では、内外価格差というのは為替レートのオーバーシュート又は内々価格差、製造業と非製造業の生産性の格差によって起きるんだというようなことを主張していたんですけれども、なかなか、物価が下がるのは良いことだという認識の方が当時は強かったということが言えると思います。
それから、小泉改革の時代は二〇〇〇年代前半なんですけれども、このときは不良債権の処理というのをかなり強引に進めまして、目標は、当時、総資産の八・七%ぐらいだった不良債権比率を二〇〇四年度に半分ぐらいにするという目標を掲げて、かなり強引に不良債権の処理を進めた。しかし、それで実際にそのとおり不良債権が縮小していって目標は達成されたんですけれども、この不良債権の処理はデフレ対策の一環として行われているということですね。当時は、不良債権があるから日本経済はデフレから脱却できないんだという認識が強かったということです。しかし、不良債権を正常化してもデフレからは脱却できないということが分かって、これは不良債権の処理だけでは駄目だということで、だんだん金融の緩和に進んでいくというようなことになったのだと思います。
それから、私自身、かつて経済企画庁の役人をしておりましたので、この小泉改革の中でいろいろ行政的な見直し、仕組みの見直しがあったという中で、新しく出たもの、またそのときに失われたものがあるということを一言申し上げたいと思います。
このとき経済財政諮問会議が新たにつくられて、今に至るまで続いている。それから、年に一回骨太方針を決めるというのも今に至るまで続いていて、それから財政の中期展望、これも最近出ましたけれども、こういったものが一つの、行政が財政をモニターする手段として、非常に有効な手段として整備されるに至ったということで、これは評価できると思いますが、一方で、私から見ますと、失われたものもいろいろありますねということで、例えば、経済審議会と経済計画というものがなくなった。経済審議会は、今の経済財政諮問会議はそもそも総理とか有力閣僚がメンバーなんですから、現在の政権にそれほど違った意見を言うということはそもそもできないという組織だと思いますが、経済審議会というのは、二十数名の各界代表、労働界、消費者団体、学界、産業界、マスコミ、こういった人たちの代表者が集まって、まあ四、五年に一回、経済計画というのを作る。そのときにはいろんな専門委員を二百人ぐらい動員して、半年ぐらい時間を掛けて議論するということが行われてきたということで、だんだん議論していくうちにだんだん角が取れて平凡な結論にはなっていくんですけれども、それほど経済の常識に外れたような政策は出てこないというような仕組みがあったわけですけれども、これがなくなってしまった。
それから、私はまさに官庁エコノミストとして活動していたわけですけれども、こういった存在もなくなってきた。
それから、経済白書、これは私も書いていましたけれども、かつては経済白書というのが出るたんびに日本の経済はどうなっているんだということについて各方面でいろいろ議論が巻き起こったというのがあったんですけれども、最近は経済財政白書ということになって、まあ基本的には政府の方針を追認するような内容のものになっていったというのが、それぞれ得たもの、失われたものがあったのではないかというふうに思います。
それから、ちょっと関係の議員の方もおられるかもしれませんのでちょっと失礼なんですが、民主党政権のときの政策運営についてもいろいろ問題があったということを指摘をさせていただきます。
一つは、やはり官僚批判というのは当時相当強くて、ここに鳩山政権のときの五原則、五策というのが出ていますが、これのかなりの部分が官僚に関する部分になっておりまして、したがって、当時は、官僚を変えれば、官僚の生き方、官僚の扱いを変えれば相当政治、行政が良くなるんじゃないかという認識があったのではないかというふうに思いますが、まあ私自身官僚だったのでちょっと官僚寄りにバイアスがありますけれども、官僚は要するに自分の力で行動することはできないので、官僚をいかに使うかというところに意を用いていただければよかったのではないかというふうに思います。
それから、やはりマニフェストで財源の見通しが甘かったということが明らかになって、これは結局、財政赤字になってしまったということがあると思います。
それから、私、経済政策が専門ですけれども、当時いろいろな議論があって、成長戦略としても例えば第三の道というようなことが言われたり、それから、鳩山内閣のときにはGDPよりも幸福度だというような議論があって、そういうことを目指そうという動きがありましたが、残念ながら練り上げ不足だったのではないかという印象があって、たちまちこういったアイデアは消えてしまったということがありました。
それから最後に、これは今に至るまで続いていますけれども、アベノミクスの展開というのがあります。
これは、安倍政権が発足した当初は、アベノミクスは基本的には大成功だったというふうに言われていました。株価が上がって、物価もマイナスから脱出して、企業収益も増えたということで、かなりこれはうまくいったということだったんですけれども、これは今から振り返ってみますと、一つはアナウンスメント効果、つまり、こういうことをやるぞというアナウンスがマーケットに非常にプラスの影響があったということとか、それから、当時円安が非常に進みましたので、円安で輸出企業がかなりもうかったといったようなこともあったと。それから三番目に、公共投資も拡大した。四番目に、消費税を次の年に上げる予定でしたので、かなり大規模な駆け込み需要が起きたといったようなことがあって、これは今から思うと全て短期的な、一時的な理由だったということが言えるのではないかと思います。
その後、大胆な金融緩和、これは申し上げるまでもなく、インフレターゲットを決め、大胆な、黒田総裁の下での大胆な金融緩和が進み、二〇一四年に追加緩和をやって、それからさらにマイナス金利とかイールドカーブコントロールに進んでいくというようなことが行われたということです。これは、今に至るまで、ここからどうやって出口に向かうかというのが大きな課題になっているということです。
それから、こういった平成経済を振り返ってみて何を我々は学んだらいいのかということについて簡単に申し上げますと、まず、やはり我々の政策というのは、社会の認識に支えられてこそ政策が実現するという点があると思います。
ところが、社会的な認識というのは相当遅れるということですね、気が付くのが遅くなるということはあります。そうすると、例えばさっきの不良債権だとかデフレ問題だとか、そういったものはどうしても当初の認識とかなり違う認識がやがてやってくるというようなことが多い。そうすると、国民が経済的な課題の意味を認識するまでにかなりタイムラグがあるということですが、それは、その民意は世論調査だとか選挙の結果だとか、そういうのに反映されて、それが政策をある程度規定していってしまうということになって、そうすると政策自身は後追いになってしまって、むしろ傷が深くなってから政策が出てくるというようなことになってしまったというのが平成経済の幾つかの面であったのではないかということが言えると思います。
それからもう一つは、これは私、経済をやっていますのでどうしてもこういう結論になってしまうんですけれども、標準的な、つまりオーソドックスな経済学の教えに反した政策というのは結局回り回って社会に大きなコストをもたらすということがあったのではないかということですが、例えば政策割当ての議論というのがありまして、こういう政策はこういう分野に一番効率的に効くんだからそういう分野に割り当てるという割当ての議論があるんですけれども、例えば金融政策を、年収の五倍で住宅が得られるようにしましょうとか、金利生活者が困らないようにしましょうというふうに割り当てると、ちょっと正しい政策割当てと外れてしまう。
それから、経済摩擦があったときに、これは今、むしろ経済摩擦ってなくなってしまいましたけれども、経済摩擦に対応するために内需を拡大するというのをやると、今度は経済が過熱してしまうことにもなりかねない。
それから三番目に、部分均衡的、その当面の効果だけを見て政策を採用していると、例えば地域振興券を配ると商品券は消費に回るんだという議論がありましたけれども、商品券も実は今まで使っていた消費に割り当てれば貯蓄ができてしまうというようなことで、回り回って余り効果がないというようなこともあったということです。
それから、令和に持ち越された課題について簡単にお話ししますと、まず、異次元金融緩和というのが明らかに行き詰まってきているということで、まあ当初は二年で二%ということでしたが、これは七年たっても八年たってもできなかったということですし、長期国債の買入れも、もうだんだん買い入れる種がなくなってきているという限界になっていますし、さらに、円安が最初非常にプラスだったんですけれども、いつまでも円安に頼るわけにはいかない。それから、マイナス金利というのは、これは金融機関の経営にかなりマイナスだということで評判が悪い。それから、長期金利のコントロールというのは、これは教科書的に無理筋だということですね。私が習った教科書では、長期金利というのはマーケットが決めるものであり、規制すべきでもないし、規制もできないというのがオーソドックスな議論であったということです。
それから、財政について、これはもう申し上げるまでもありませんが、日本の債務残高のGDP比が非常に大きい状態が続いているということで、さらに、このところ非常時型、こういう緊急事態なんだからこういう財政支出が必要だということが次々に起きていて、物価が上がったからガソリンを安くしようとか電力を安くしようと。それから、補正予算も毎年のように編成される。コロナでいろんな費用が必要になる。それから、防衛費も必要だ。最近は、今度は少子化も一生懸命やらなきゃいけないということで、言わば次々にパンドラの箱が開いていって、歳出がどんどん膨らんでいくということが起きています。
それから三番目は、輸入インフレにどう対応するかということですけれども、これは消費者物価の今後の予想ですけれども、輸入インフレが収まってくると、また二%より下に物価上昇率が行くのではないかというのが大方の予想になっています。
ただ、これはちょっとなかなか理解するのが、理解していただくのは難しいかと思いますが、これは交易条件が悪くなる、つまり、輸入、我々が日本全体で輸入している物の値段が上がったことによって物価が上がっているので、これは残念ながら、これ自体を防ぐことはなかなか難しいということですね。
そうすると、この表は、実質賃金、一番左の時間当たり実質雇用者報酬というのが二〇二二年平均で〇・九%減っているんですけれども、これは生産性では〇・六%上がっている。それから、分配率も〇・八%上がる方向に寄与している。しかし、交易条件、つまり輸入物価が上がったことで二・二%マイナスになっている。
つまり、輸入物価が上がって交易条件が悪くなったことが実質賃金を減らす一番大きな要因であって、それを生産性とか分配率でカバーしているんですけれども、カバーし切れないから実質賃金が下がっているというバランスになっているということです。
これは、ちょっと説明が複雑なので簡単にしますと、この状況はGDPデフレーターの動きによく表れていて、一番下のGDPデフレーターというのは国内に原因があるインフレ率の動きを表している。国内需要デフレーターという上がっている方は、原因はどこであれ、とにかく物価が上がっているかどうかというのを示している。そうすると、今物価は上がっているんですけれども、国内に原因がある部分はほとんどないということなので、ほとんどが輸入インフレの影響であるということが分かるということです。
それから最後に、人口問題について簡単にお話ししますと、コロナで人口の変化が十年加速したというふうに言われています。簡単に言うと、これが人口の将来展望と実績なんですが、左の出生数の中位推計というのは国立社会保障・人口問題研究所の推計なんですが、これだと二〇三一年に八十一・一万人だというふうに予想されていたんですが、現実には二〇二一年に八十一・二万人になってしまった。つまり、標準的な予想よりも十年進行が早くなっているということです。
それからさらに、これ出生率で、人口が減らないためには二・〇七にする必要があるんですが、現実には一番下の一・三〇だと。
政府の目標は、まずは一・八〇にするという目標を立てていますが、これは希望出生率というふうに言われていまして、結婚したい人が全て結婚して、産みたい子供が全て生まれた場合に一・八になるということなんですが、コロナ後に、これは我々の段階で試算してみると、この希望出生率は一・六ぐらいに下がっているという深刻な状態になっています。
それと最後に、異次元の少子化対策というのが言われていますけれども、私がもし異次元の少子化対策は何ですかと問われればこの五つだというので、それを御紹介して終わりにしたいと思います。
一つは、人口政策について新しい目標が必要だと。人口一億人というのも出生率一・八というのも、これはほとんど実現は不可能だということです。
それから二番目に、少子化関連予算がまだ少ないというのは事実ですけれども、それはやはり効果的な財源を伴う議論である必要がある。
三番目に、これは少子化が病気なのか、ほかの大きな、より大きな問題があって、それの副作用として少子化になっているのかという議論をしっかりしておいた方がいいということがあります。
それから四番目に、人口政策について国と地方の役割分担を見直した方がいいということで、地方で少子化対策いろいろやるんですけれども、これは言わば子育て世代の取り合いになってしまって、少子化率、出生率が非常に上がったという自治体が確かにあるんですけれども、それは逆に言うと、周りの自治体は子育て世代がいなくなったので出生率が下がるということになっているということですね。ですから、人口政策はあくまでも国が主体でやるべきだということです。
それから、最後に五番目、これはなかなか言いにくいんですけれども、今後、相当長い間は日本の人口は減るということは間違いないということなので、人口を増やすというのを当面の目標にするよりは、ある程度人口が減っていっても我々の福祉が損なわれないような社会をまずは目指すということも必要なのではないかというのが私の考えです。
以上で私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
福
久
久我尚子#5
○参考人(久我尚子君) ニッセイ基礎研究所の久我と申します。
本日は、大変貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。(資料映写)
それでは、現下の個人消費、コロナ禍の個人消費と物価高に対する意識ということでお話をさせていただきます。
本日、二十分ほどお時間いただいていますけれども、このようなお話させていただきます。
まず、三年間、約三年間のコロナ禍の個人消費を少し振り返ってみるということと足下の物価高の状況、そして物価高に対する今の消費者の意識と、そして、消費行動にはやはり需要喚起策が大きな影響を及ぼしますので、その利用状況などについてお話をさせていただきます。
まず、個人消費全体の動きを示した二つのグラフなんですけれども、こちらはどちらも個人消費の水準で、左側が長期時系列、そして右側が、左側のコロナ禍の楕円の部分を拡大して、新規感染者数、月々のものと合わせて見たものです。
右側御覧いただきますと、やはりコロナ禍では、感染状況が悪化して緊急事態宣言などが発出されると消費が落ち込んで、改善すると上向いてということをずっと繰り返しています。
二〇二二年の三月下旬から特段の行動制限が出ておりませんので、へこみが大分浅くなっています。ただ、統計の最新値が二〇二二年の十二月なんですけれども、この時点ではコロナ禍の影響がまだ見られなかった二〇二〇年の二月の値を下回っているというところです。
ただ、昨年の一年間は、やはりオミクロン株の重篤化しにくいという特徴もあって、社会経済活動との両立をする方向に大きくかじが切られた一年間で、消費行動としては外に出る消費というのが非常に活発した影響で、グラフを見ていただきますと、まあ余りちょっとまだ元気がないなという感じではあるんですが、じわじわと上向いてきているという一年間でありました。
コロナ禍の消費としては、やはりプラス要因、文字の方に書いてありますとおり、何よりも感染状況というのがすごく影響します。そして、二年目以降のワクチンの状況ですとか、そして先ほど申し上げた社会経済活動といかに両立を図っていくか。一方で、マイナス要因としては、やはり感染の不安ですとか不透明感、そして足下で物価高が進行している、ここが少し足を今後引っ張っていくのかなというところです。
この物価高の状況について、改めて少し数字的なところを押さえていきたいと思います。
御承知のことと思いますけれども、左側のグラフです。消費者物価について見たものですけれども、この輸入物価、企業物価、まあ川上段階と言われる物価の方はスケールが大分違いますので、グラフでは右軸の方を見ていただいて、消費者物価だけ左軸という見方になります。
輸入物価、企業物価が上がることでコスト増などが転嫁されて、消費者物価が二〇二一年の下期からじわじわと上がって、昨年一年間は少し大きめに上がっているということをお示ししているんですけれども、当初の上昇の主要因というのは原油高によるエネルギー価格の上昇でしたけれども、足下で食料品や日用品などに変わってきているというところです。
消費者の体感としては、消費者物価は毎月公表されると何%でしたという報道ありますけれども、その数値以上に早くから感じていると思われます。どうしてかというと、右側のグラフです。消費者物価の購入頻度別に見てみますと、特に物価が上がり始めた二〇二一年の下期、そして二〇二二年の上期辺りを御覧いただくと、購入が頻繁なもの、食パンとか牛乳とかガソリン代とかですね、こちらの品目ほど消費者物価が上がっているので、消費者の意識としては数値以上のものがあるというふうに推察されます。
そして、実際にそのコロナ禍ということと物価高というのが今消費行動で二つの大きなキーワードなんですけれども、この三年余りの間、実際の消費支出はどういうふうに動いているのかと見たものが四ページ目になります。
まず、左側なんですけれども、こちらは二人以上世帯の消費支出、赤の実線が基礎的支出、つまり食料とか家賃とか生活必需性の高い支出ですね、こちらを見ると、横ばいでおおむね推移している、つまり余りこの三年間で変わっていないということです。一方で、青の点線、選択的支出、まあ娯楽用品ですとか旅行とかレジャーとかですね、こういったものは感染状況に大きく連動して動いているという違いがあります。
ただ、その物価高が二〇二一年下期から進行していますので、基礎的支出が横ばいであるというところにもしかしたら違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、この基礎的支出の中では家賃が少し大きな影響を与えますので、その影響があるということと、やっぱりコロナ禍で、例えば食料ですとか巣ごもり消費で支出が増えたものに関しては、消費者が外へ向かい出すとそれによって買う支出額が減っていく、一方で物価高なので買い控えているという両面がありまして、そこをなかなかデータから分解することは難しいんですけれども、私の印象としては、今のところ外へ行く消費の影響の方が大きく出ているんじゃないかと見ています。
その買い控えの影響というのがやっぱり出やすいのが食料品ですので、念のためにデータで押さえたものが右側になります。食料品の主な品目について、同じように前年同月と物価の影響を差し引いた実質増減率で見たものが右側になるんですけれども、やっぱり巣ごもり消費が活発化した二〇二〇年、ぐっと盛り上がっていって、だんだん落ち着いていって、今、二〇二二年、物価高の影響もなってどうなるのかというところなんですが、実際には二〇二一年よりも二〇二二年の方が食料の支出は減っています。
ただ、コロナ禍前の二〇一九年と比べると、これは図ではお示ししていないんですけれども、食料の品目によってコロナ禍前よりも支出が減っているものもあればそうでもないものもあって、ちょっと今のところまだら模様で、節約志向によって優先度の低いものは買い控えているけれども、全体としては外出型消費によって食料の支出も減っている。個人消費全体では、やはり支出額の大きな旅行とかレジャーの支出が押し上げていますので、冒頭のグラフのように、まあじわじわと個人消費全体としては改善しているというところです。
そして、今、支出額のお話をしたんですけれども、家計収支、可処分所得と消費全体では世帯当たりどうなっているのかと見たものがこちらになります。支出額から、やっぱり消費者の今の意識ですとか、どこの世帯が苦しいとか、具体的な様子というのはなかなかつかみ取りにくいので、ちょっとこちらのデータを御紹介した後、弊社で実施しております消費者の意識調査の話で補填していきたいと思います。
まず、ちょっとこの五ページ、分かりづらいんですけれども、お付き合いいただきたいんですけれども、こちらのグラフ、何をお示ししているかといいますと、まず右上を御注目ください。
二〇一九年、コロナ禍前と比較した二人以上勤労者世帯の家計収支、可処分所得、消費支出、黒字の額の月平均当たりの金額を差を見たものです。ですので、グラフが上向いていますとコロナ禍前よりも増えているもの、下に向いているとコロナ禍前より減っているということです。グラフの固まりが六つありまして、この紙の右下見ていただくと、平均からⅠからⅤという数字があるんですけれども、平均というのは二人以上勤労者世帯の平均で、ⅠからⅤは収入階級を五分類したもので、一番低いのがⅠで一番高収入がⅤグループということになります。このⅠグループに関しては、再雇用などで働いている方の多い比較的年齢が高い世帯、ⅡグループとⅢグループについては世帯主の年齢が比較的若いので子育て世帯が多いというふうに御理解ください。
この前提に立ちますと、この三つのグラフで共通しているのは、全体的に赤の消費支出が下向いている、コロナ禍で消費支出が減っているということです。一方で、少し意外に思われるかもしれないんですけれども、青の可処分所得が上向いているんですね。コロナ禍前よりも増えているということです。
どうしてかというと、右上の二〇二〇年、コロナ禍一年目に関しては、やはり給付金の影響、そして、男性の世帯主の収入というのは、グループⅡからⅤまで、子育て世帯などを含むいわゆる現役世代の方では、男性の収入は減っているんですけれども、中長期的に働く女性が増えているという影響がプラスになって全体的に押し上げられているという結果になっています。
コロナ禍で、確かに非正規雇用の女性の雇用が減っていって、足下でもまだ減ったままではあるんですけれども、正規雇用者の女性の数は実際は増えていたり、医療とか福祉とか、需要が増している領域では正社員が増えているという状況があるので、恐らくこのようなデータになっているんだと思います。
ここで御注目いただきたいのが、左下の丸印のところです。Ⅱ階級ですので、子育て世帯が比較的多いというグループなんですけれども、ほかのグループでは可処分所得が増えているのに、〇・〇で増えていない。そして、二〇二二年は物価がより上がりましたので、物価を考慮した実質増減率で見ると、むしろ減ってしまっている。少し厳しいというところです。
もう一点御注目いただきたいのが、二〇二一年の左下のグラフに目を戻していただいて、Ⅲグループのところです。Ⅲグループの消費支出額、コロナ禍前よりもマイナス一・九万円なんですけれども、右上のコロナ禍一年目ではマイナス一・二なんですね。ですので、行動制限がどんどん緩和されてきているのに、消費に必ずしも積極的になっていない。子育て世帯が多いグループで所得がほかの世帯、グループと比べて増えていない、消費にも余り積極的になれていないという様子が少しうかがえると思います。
支出額から分析するとちょっとこの辺りまでが限界で、弊社ではこのような枠組みで調査を実施して、意識調査と併せていつも見ることにしています。
二〇二〇年六月からおよそ三か月ごとに行動変容の定点観測ですとか、あるいは各調査時点で注目される事象として、本日は九月下旬から十月頭に実施した物価高関連の調査結果について御紹介させていただきたいと思います。
この辺りは御印象のとおりだと思うんですけれども、まず左側のグラフで、一年前と比べて日本国内の物価、どのセグメントも上がったと答える割合が高いです。そして、右側が少し特徴的なんですけれども、物価上昇を実感し始めた時期、実際には二〇二一年の九月からじわじわ上がっていたという消費者物価のグラフを先ほどお示ししましたけれども、消費者の体感としては、九月下旬の調査時点で、このグラフ中ほどの三か月ほど前、つまり六月ぐらいから、そして半年ほど前、三月ぐらいからという回答が比較的多いです。一方で、この丸印の四十代ですね、こちらは一年ほど前、まさに物価上昇が始まった頃から、その辺りからもう既に感じているという方の割合がほかのセグメントと比べて多いというところです。
そして、その物価上昇を実感した理由というのが、こちらも御印象のとおりと思います、食料品の値上がりなどがこのように挙がっています。右側の表なんですけれども、左側のグラフの選択割合と比べて多いところにピンクの色、少ないところが水色で網掛けしてあります。
こちらで見ていただきたいのが次のページです。ライフステージ別に物価上昇を実感した理由というのの違いを見たものなんですけれども、御注目いただきたいのは、表の中ほどの第一子中学校入学、まあ中学生のお子さんのいるような子育て世帯でピンクの網掛けが多い、つまり多方面で物価上昇を実感しているということです。先ほど四十代で比較的早めから物価上昇を実感していたことなどとも通じているかと思います。
そして、十ページ目は御参考までにという感じなんですけれども、世帯年収別に見たものがこちらですということで、やはり高収入世帯では物価上昇といっても例えば海外ブランド品であったりとか外食代とか、少しぜいたくな消費で感じているという特徴があります。
そして、物価上昇を実感して取った行動というのが私は少し面白いデータだなと思って見ているんですけれども、圧倒的に多いのが、できるだけ不要なものは買わないというものなんです。
よく物価高の報道の中で価格転嫁の話題があると思います。そのときに、A企業では価格転嫁して価格を上げました、値上げしました、それに対してライバルのB企業は価格転嫁せずにお値段据置きで頑張りますというような、消費者はまあ安い方に行くんじゃないかというような報道の作りが割と目にするのかなと思っているんですけれども、実際に調査をすると、消費者の行動というのはもっと冷静であると思います。
こちらのグラフのように、家計の負担感が増すと、やみくもにその低価格製品へ行くというんではなくて、まずはできるだけ不要なものは買わない、その上でポイントとかセールを利用してできるだけ支出抑制に励む、その上で生活必需品を安い製品へスイッチするということで、やっぱり日頃使っている製品ほど価格を理由にスイッチはしたくない、なので、ほかをできるだけ我慢するという行動になっているかと思います。
ここでもやっぱり子育て世帯がちょっと厳しそうだなというグラフが十二ページです。第一子中学校入学のところでピンクの網掛けがずらっと並んでいます。つまり、あらゆる面で支出抑制の工夫をしているということです。そして、選択割合としては低いんですが、ピンクの網掛けの一番下ですね、有価証券とか保険を売却、解約すると。本来はしたくなかったというところまで工夫をしているという様子も見えます。
こちらも御参考までなんですが、収入階級別で特徴的なのが、やはり高収入世帯では、右下ですね、一番下の特に何もしていない、物価高を感じても特に何もしていないというのが世帯年収一千二百万円以上で三割ぐらいを占めるんですけれども、これは、特にしていない割合が高いという傾向もあるんですが、裏を返すと、高収入世帯でも物価高進行下で七割の世帯では何らかの対策をしているとも読み取れます。ですので、今、消費が昨年から動き出して、例えばリベンジ消費ですとか需要喚起策で外へ向かう消費が盛り上がってきていますが、その後、気が済んだ後、春闘で賃金の話題になっていますけれども、ここがどうなるかによって節約志向が色濃く出てしまうという懸念があります。
その需要喚起策について簡単に御紹介して最後の話にさせていただきたいんですけれども、需要喚起策については、かなり利用者に偏りがあります。年末の調査時点では、全国旅行支援、GoToも六割は利用していなくて、約四分の一が利用していて、そのうち半分が積極層であると。複数回利用しています。
そして、十五ページはセグメント別に利用率の違いを見たんですけれども、要するに、時間的にも経済的にも余裕のある層で使っているというところです。利用した理由なども、割引額が魅力的であるとか、御想像のとおりだと思います。
こちらは少し調査の御紹介ということで、お時間あるときに数値を見ていただければと思うんですけれども、十九ページ目の利用していない理由というところを御覧ください。やはり利用している方は時間とか経済的な余裕がある方ですので、やはり利用していない方というのは経済的な余裕がないという割合が高かったり、あるいは六十代以上でピンクの網掛けの部分を御覧いただくと、やはり感染不安というのがまだありますので、シニア層の方では、利用したいけれども感染の不安があるということも足かせになっているようです。
こちらはライフステージというところなんですけれども、このような需要喚起策の利用状況ということと、二十二ページの方に参ります。
そのような中で、政府の物価高対策として、やはりエネルギーですとか食料価格ですとか、家計にとってすごく有り難い対策も進んでいます。そして、やはり賃上げ支援、低所得世帯への給付というところで、特に賃上げ支援のところに私は注目をしているんですけれども。
二十三ページ目の方で、その賃上げ支援に絡めて、将来世代の経済基盤の安定化がやはり急務だというお話をして終わりにさせていただきたいと思います。
やはり物価高対策として目の前のその生活困窮世帯の支援は必須ですし、需要喚起策で、利用者が偏っているからといって、やはり動かせる消費を動かしていく、そこで雇用も生みますし、日本経済を回していくという必要性はすごくあると思います。一方で、やはり物価高対策、家計支援、究極のものというのは特に将来世代の経済基盤の安定化だと思います。
左下のグラフを御覧ください。今、人手不足で特に新卒採用などは売手市場という話もありますけれども、実際に非正規雇用者の割合を見ると、女性に関しては近年の女性の活躍で若い女性の非正規雇用率が低下してはいるんですけれども、男性は余り変わらない。で、この家族形成を考える時期の男性の六、七人に一人は非正規雇用で働いている。そして、今の五十代ぐらいの方が新卒採用であった一九九〇年代初頭ですね、この頃と比べて五倍ぐらいの非正規雇用率であるという現状です。
一方で、正規雇用であれば安泰なのかというとそうではないというのが右側のグラフです。青の実線、二〇一八年の男性の大学卒以上の賃金カーブなんですけれども、十年前と比べて、三十代、四十代、子育てなどで出費のかさむ年代でフラット化してしまっている。このマイナスの部分を推計すると大体七百数十万円、夫婦で計算すると千五百万円ぐらいになる。そうなるとやはり、家を買うのか、車を買うのか、子供の教育はどうするのか、そもそも子供を一人にするのか二人にするのかというところに大きな影響を与えてしまいます。
先ほども少子化のお話が少しありましたけれども、やはり特に男性の経済面というのは家族形成にすごく大きな影響を与えますというのが左側のグラフです。
そして、右側です。独身者の方の積極的には結婚したくない理由、こちらを見ると、経済面だけが問題ではなくていろいろあるんですけれども、やはり経済的な面を理由に家族形成などを諦めるというところは救済されるべきだと思います。
そして、やはり安心して働き続けられる環境の整備をと言いたいんですけれども、私は消費行動としていろんな数値のデータを分析しますので、数字的に見るとこういうデータになりますということを御紹介して終わりにしたいと思います。
大卒女性の生涯収入を推計しますと、この棒グラフの上から三番目と四番目を御注目ください、このAのT1とT2というのは、二人子供を産んで産休、育休を合わせて一年間、合計二年間休んで時間短縮勤務を利用して復帰した場合、生涯所得二億円を超えるんですけれども、昔から日本で多くM字カーブの問題となっている、一回退職してパートで再雇用、働き出すと六千万円。大分差がある。
この金額の多寡というのが、多ければいいということではもちろんありません。女性の活躍というのは、やはり本人の希望の働き方をしていくべきだと思います。ただ一方で、やっぱり働きたい希望があるのに働けていない女性がいる、そこの機会損失を計算するとこれくらいになってしまうということです。
ですので、その就労環境の整備というのは回り道のように見えるかもしれないんですけれども、確実に日本経済の底上げになりますし消費喚起策になっていくと、そういうお話をさせていただいて、終わりにさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、大変貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。(資料映写)
それでは、現下の個人消費、コロナ禍の個人消費と物価高に対する意識ということでお話をさせていただきます。
本日、二十分ほどお時間いただいていますけれども、このようなお話させていただきます。
まず、三年間、約三年間のコロナ禍の個人消費を少し振り返ってみるということと足下の物価高の状況、そして物価高に対する今の消費者の意識と、そして、消費行動にはやはり需要喚起策が大きな影響を及ぼしますので、その利用状況などについてお話をさせていただきます。
まず、個人消費全体の動きを示した二つのグラフなんですけれども、こちらはどちらも個人消費の水準で、左側が長期時系列、そして右側が、左側のコロナ禍の楕円の部分を拡大して、新規感染者数、月々のものと合わせて見たものです。
右側御覧いただきますと、やはりコロナ禍では、感染状況が悪化して緊急事態宣言などが発出されると消費が落ち込んで、改善すると上向いてということをずっと繰り返しています。
二〇二二年の三月下旬から特段の行動制限が出ておりませんので、へこみが大分浅くなっています。ただ、統計の最新値が二〇二二年の十二月なんですけれども、この時点ではコロナ禍の影響がまだ見られなかった二〇二〇年の二月の値を下回っているというところです。
ただ、昨年の一年間は、やはりオミクロン株の重篤化しにくいという特徴もあって、社会経済活動との両立をする方向に大きくかじが切られた一年間で、消費行動としては外に出る消費というのが非常に活発した影響で、グラフを見ていただきますと、まあ余りちょっとまだ元気がないなという感じではあるんですが、じわじわと上向いてきているという一年間でありました。
コロナ禍の消費としては、やはりプラス要因、文字の方に書いてありますとおり、何よりも感染状況というのがすごく影響します。そして、二年目以降のワクチンの状況ですとか、そして先ほど申し上げた社会経済活動といかに両立を図っていくか。一方で、マイナス要因としては、やはり感染の不安ですとか不透明感、そして足下で物価高が進行している、ここが少し足を今後引っ張っていくのかなというところです。
この物価高の状況について、改めて少し数字的なところを押さえていきたいと思います。
御承知のことと思いますけれども、左側のグラフです。消費者物価について見たものですけれども、この輸入物価、企業物価、まあ川上段階と言われる物価の方はスケールが大分違いますので、グラフでは右軸の方を見ていただいて、消費者物価だけ左軸という見方になります。
輸入物価、企業物価が上がることでコスト増などが転嫁されて、消費者物価が二〇二一年の下期からじわじわと上がって、昨年一年間は少し大きめに上がっているということをお示ししているんですけれども、当初の上昇の主要因というのは原油高によるエネルギー価格の上昇でしたけれども、足下で食料品や日用品などに変わってきているというところです。
消費者の体感としては、消費者物価は毎月公表されると何%でしたという報道ありますけれども、その数値以上に早くから感じていると思われます。どうしてかというと、右側のグラフです。消費者物価の購入頻度別に見てみますと、特に物価が上がり始めた二〇二一年の下期、そして二〇二二年の上期辺りを御覧いただくと、購入が頻繁なもの、食パンとか牛乳とかガソリン代とかですね、こちらの品目ほど消費者物価が上がっているので、消費者の意識としては数値以上のものがあるというふうに推察されます。
そして、実際にそのコロナ禍ということと物価高というのが今消費行動で二つの大きなキーワードなんですけれども、この三年余りの間、実際の消費支出はどういうふうに動いているのかと見たものが四ページ目になります。
まず、左側なんですけれども、こちらは二人以上世帯の消費支出、赤の実線が基礎的支出、つまり食料とか家賃とか生活必需性の高い支出ですね、こちらを見ると、横ばいでおおむね推移している、つまり余りこの三年間で変わっていないということです。一方で、青の点線、選択的支出、まあ娯楽用品ですとか旅行とかレジャーとかですね、こういったものは感染状況に大きく連動して動いているという違いがあります。
ただ、その物価高が二〇二一年下期から進行していますので、基礎的支出が横ばいであるというところにもしかしたら違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、この基礎的支出の中では家賃が少し大きな影響を与えますので、その影響があるということと、やっぱりコロナ禍で、例えば食料ですとか巣ごもり消費で支出が増えたものに関しては、消費者が外へ向かい出すとそれによって買う支出額が減っていく、一方で物価高なので買い控えているという両面がありまして、そこをなかなかデータから分解することは難しいんですけれども、私の印象としては、今のところ外へ行く消費の影響の方が大きく出ているんじゃないかと見ています。
その買い控えの影響というのがやっぱり出やすいのが食料品ですので、念のためにデータで押さえたものが右側になります。食料品の主な品目について、同じように前年同月と物価の影響を差し引いた実質増減率で見たものが右側になるんですけれども、やっぱり巣ごもり消費が活発化した二〇二〇年、ぐっと盛り上がっていって、だんだん落ち着いていって、今、二〇二二年、物価高の影響もなってどうなるのかというところなんですが、実際には二〇二一年よりも二〇二二年の方が食料の支出は減っています。
ただ、コロナ禍前の二〇一九年と比べると、これは図ではお示ししていないんですけれども、食料の品目によってコロナ禍前よりも支出が減っているものもあればそうでもないものもあって、ちょっと今のところまだら模様で、節約志向によって優先度の低いものは買い控えているけれども、全体としては外出型消費によって食料の支出も減っている。個人消費全体では、やはり支出額の大きな旅行とかレジャーの支出が押し上げていますので、冒頭のグラフのように、まあじわじわと個人消費全体としては改善しているというところです。
そして、今、支出額のお話をしたんですけれども、家計収支、可処分所得と消費全体では世帯当たりどうなっているのかと見たものがこちらになります。支出額から、やっぱり消費者の今の意識ですとか、どこの世帯が苦しいとか、具体的な様子というのはなかなかつかみ取りにくいので、ちょっとこちらのデータを御紹介した後、弊社で実施しております消費者の意識調査の話で補填していきたいと思います。
まず、ちょっとこの五ページ、分かりづらいんですけれども、お付き合いいただきたいんですけれども、こちらのグラフ、何をお示ししているかといいますと、まず右上を御注目ください。
二〇一九年、コロナ禍前と比較した二人以上勤労者世帯の家計収支、可処分所得、消費支出、黒字の額の月平均当たりの金額を差を見たものです。ですので、グラフが上向いていますとコロナ禍前よりも増えているもの、下に向いているとコロナ禍前より減っているということです。グラフの固まりが六つありまして、この紙の右下見ていただくと、平均からⅠからⅤという数字があるんですけれども、平均というのは二人以上勤労者世帯の平均で、ⅠからⅤは収入階級を五分類したもので、一番低いのがⅠで一番高収入がⅤグループということになります。このⅠグループに関しては、再雇用などで働いている方の多い比較的年齢が高い世帯、ⅡグループとⅢグループについては世帯主の年齢が比較的若いので子育て世帯が多いというふうに御理解ください。
この前提に立ちますと、この三つのグラフで共通しているのは、全体的に赤の消費支出が下向いている、コロナ禍で消費支出が減っているということです。一方で、少し意外に思われるかもしれないんですけれども、青の可処分所得が上向いているんですね。コロナ禍前よりも増えているということです。
どうしてかというと、右上の二〇二〇年、コロナ禍一年目に関しては、やはり給付金の影響、そして、男性の世帯主の収入というのは、グループⅡからⅤまで、子育て世帯などを含むいわゆる現役世代の方では、男性の収入は減っているんですけれども、中長期的に働く女性が増えているという影響がプラスになって全体的に押し上げられているという結果になっています。
コロナ禍で、確かに非正規雇用の女性の雇用が減っていって、足下でもまだ減ったままではあるんですけれども、正規雇用者の女性の数は実際は増えていたり、医療とか福祉とか、需要が増している領域では正社員が増えているという状況があるので、恐らくこのようなデータになっているんだと思います。
ここで御注目いただきたいのが、左下の丸印のところです。Ⅱ階級ですので、子育て世帯が比較的多いというグループなんですけれども、ほかのグループでは可処分所得が増えているのに、〇・〇で増えていない。そして、二〇二二年は物価がより上がりましたので、物価を考慮した実質増減率で見ると、むしろ減ってしまっている。少し厳しいというところです。
もう一点御注目いただきたいのが、二〇二一年の左下のグラフに目を戻していただいて、Ⅲグループのところです。Ⅲグループの消費支出額、コロナ禍前よりもマイナス一・九万円なんですけれども、右上のコロナ禍一年目ではマイナス一・二なんですね。ですので、行動制限がどんどん緩和されてきているのに、消費に必ずしも積極的になっていない。子育て世帯が多いグループで所得がほかの世帯、グループと比べて増えていない、消費にも余り積極的になれていないという様子が少しうかがえると思います。
支出額から分析するとちょっとこの辺りまでが限界で、弊社ではこのような枠組みで調査を実施して、意識調査と併せていつも見ることにしています。
二〇二〇年六月からおよそ三か月ごとに行動変容の定点観測ですとか、あるいは各調査時点で注目される事象として、本日は九月下旬から十月頭に実施した物価高関連の調査結果について御紹介させていただきたいと思います。
この辺りは御印象のとおりだと思うんですけれども、まず左側のグラフで、一年前と比べて日本国内の物価、どのセグメントも上がったと答える割合が高いです。そして、右側が少し特徴的なんですけれども、物価上昇を実感し始めた時期、実際には二〇二一年の九月からじわじわ上がっていたという消費者物価のグラフを先ほどお示ししましたけれども、消費者の体感としては、九月下旬の調査時点で、このグラフ中ほどの三か月ほど前、つまり六月ぐらいから、そして半年ほど前、三月ぐらいからという回答が比較的多いです。一方で、この丸印の四十代ですね、こちらは一年ほど前、まさに物価上昇が始まった頃から、その辺りからもう既に感じているという方の割合がほかのセグメントと比べて多いというところです。
そして、その物価上昇を実感した理由というのが、こちらも御印象のとおりと思います、食料品の値上がりなどがこのように挙がっています。右側の表なんですけれども、左側のグラフの選択割合と比べて多いところにピンクの色、少ないところが水色で網掛けしてあります。
こちらで見ていただきたいのが次のページです。ライフステージ別に物価上昇を実感した理由というのの違いを見たものなんですけれども、御注目いただきたいのは、表の中ほどの第一子中学校入学、まあ中学生のお子さんのいるような子育て世帯でピンクの網掛けが多い、つまり多方面で物価上昇を実感しているということです。先ほど四十代で比較的早めから物価上昇を実感していたことなどとも通じているかと思います。
そして、十ページ目は御参考までにという感じなんですけれども、世帯年収別に見たものがこちらですということで、やはり高収入世帯では物価上昇といっても例えば海外ブランド品であったりとか外食代とか、少しぜいたくな消費で感じているという特徴があります。
そして、物価上昇を実感して取った行動というのが私は少し面白いデータだなと思って見ているんですけれども、圧倒的に多いのが、できるだけ不要なものは買わないというものなんです。
よく物価高の報道の中で価格転嫁の話題があると思います。そのときに、A企業では価格転嫁して価格を上げました、値上げしました、それに対してライバルのB企業は価格転嫁せずにお値段据置きで頑張りますというような、消費者はまあ安い方に行くんじゃないかというような報道の作りが割と目にするのかなと思っているんですけれども、実際に調査をすると、消費者の行動というのはもっと冷静であると思います。
こちらのグラフのように、家計の負担感が増すと、やみくもにその低価格製品へ行くというんではなくて、まずはできるだけ不要なものは買わない、その上でポイントとかセールを利用してできるだけ支出抑制に励む、その上で生活必需品を安い製品へスイッチするということで、やっぱり日頃使っている製品ほど価格を理由にスイッチはしたくない、なので、ほかをできるだけ我慢するという行動になっているかと思います。
ここでもやっぱり子育て世帯がちょっと厳しそうだなというグラフが十二ページです。第一子中学校入学のところでピンクの網掛けがずらっと並んでいます。つまり、あらゆる面で支出抑制の工夫をしているということです。そして、選択割合としては低いんですが、ピンクの網掛けの一番下ですね、有価証券とか保険を売却、解約すると。本来はしたくなかったというところまで工夫をしているという様子も見えます。
こちらも御参考までなんですが、収入階級別で特徴的なのが、やはり高収入世帯では、右下ですね、一番下の特に何もしていない、物価高を感じても特に何もしていないというのが世帯年収一千二百万円以上で三割ぐらいを占めるんですけれども、これは、特にしていない割合が高いという傾向もあるんですが、裏を返すと、高収入世帯でも物価高進行下で七割の世帯では何らかの対策をしているとも読み取れます。ですので、今、消費が昨年から動き出して、例えばリベンジ消費ですとか需要喚起策で外へ向かう消費が盛り上がってきていますが、その後、気が済んだ後、春闘で賃金の話題になっていますけれども、ここがどうなるかによって節約志向が色濃く出てしまうという懸念があります。
その需要喚起策について簡単に御紹介して最後の話にさせていただきたいんですけれども、需要喚起策については、かなり利用者に偏りがあります。年末の調査時点では、全国旅行支援、GoToも六割は利用していなくて、約四分の一が利用していて、そのうち半分が積極層であると。複数回利用しています。
そして、十五ページはセグメント別に利用率の違いを見たんですけれども、要するに、時間的にも経済的にも余裕のある層で使っているというところです。利用した理由なども、割引額が魅力的であるとか、御想像のとおりだと思います。
こちらは少し調査の御紹介ということで、お時間あるときに数値を見ていただければと思うんですけれども、十九ページ目の利用していない理由というところを御覧ください。やはり利用している方は時間とか経済的な余裕がある方ですので、やはり利用していない方というのは経済的な余裕がないという割合が高かったり、あるいは六十代以上でピンクの網掛けの部分を御覧いただくと、やはり感染不安というのがまだありますので、シニア層の方では、利用したいけれども感染の不安があるということも足かせになっているようです。
こちらはライフステージというところなんですけれども、このような需要喚起策の利用状況ということと、二十二ページの方に参ります。
そのような中で、政府の物価高対策として、やはりエネルギーですとか食料価格ですとか、家計にとってすごく有り難い対策も進んでいます。そして、やはり賃上げ支援、低所得世帯への給付というところで、特に賃上げ支援のところに私は注目をしているんですけれども。
二十三ページ目の方で、その賃上げ支援に絡めて、将来世代の経済基盤の安定化がやはり急務だというお話をして終わりにさせていただきたいと思います。
やはり物価高対策として目の前のその生活困窮世帯の支援は必須ですし、需要喚起策で、利用者が偏っているからといって、やはり動かせる消費を動かしていく、そこで雇用も生みますし、日本経済を回していくという必要性はすごくあると思います。一方で、やはり物価高対策、家計支援、究極のものというのは特に将来世代の経済基盤の安定化だと思います。
左下のグラフを御覧ください。今、人手不足で特に新卒採用などは売手市場という話もありますけれども、実際に非正規雇用者の割合を見ると、女性に関しては近年の女性の活躍で若い女性の非正規雇用率が低下してはいるんですけれども、男性は余り変わらない。で、この家族形成を考える時期の男性の六、七人に一人は非正規雇用で働いている。そして、今の五十代ぐらいの方が新卒採用であった一九九〇年代初頭ですね、この頃と比べて五倍ぐらいの非正規雇用率であるという現状です。
一方で、正規雇用であれば安泰なのかというとそうではないというのが右側のグラフです。青の実線、二〇一八年の男性の大学卒以上の賃金カーブなんですけれども、十年前と比べて、三十代、四十代、子育てなどで出費のかさむ年代でフラット化してしまっている。このマイナスの部分を推計すると大体七百数十万円、夫婦で計算すると千五百万円ぐらいになる。そうなるとやはり、家を買うのか、車を買うのか、子供の教育はどうするのか、そもそも子供を一人にするのか二人にするのかというところに大きな影響を与えてしまいます。
先ほども少子化のお話が少しありましたけれども、やはり特に男性の経済面というのは家族形成にすごく大きな影響を与えますというのが左側のグラフです。
そして、右側です。独身者の方の積極的には結婚したくない理由、こちらを見ると、経済面だけが問題ではなくていろいろあるんですけれども、やはり経済的な面を理由に家族形成などを諦めるというところは救済されるべきだと思います。
そして、やはり安心して働き続けられる環境の整備をと言いたいんですけれども、私は消費行動としていろんな数値のデータを分析しますので、数字的に見るとこういうデータになりますということを御紹介して終わりにしたいと思います。
大卒女性の生涯収入を推計しますと、この棒グラフの上から三番目と四番目を御注目ください、このAのT1とT2というのは、二人子供を産んで産休、育休を合わせて一年間、合計二年間休んで時間短縮勤務を利用して復帰した場合、生涯所得二億円を超えるんですけれども、昔から日本で多くM字カーブの問題となっている、一回退職してパートで再雇用、働き出すと六千万円。大分差がある。
この金額の多寡というのが、多ければいいということではもちろんありません。女性の活躍というのは、やはり本人の希望の働き方をしていくべきだと思います。ただ一方で、やっぱり働きたい希望があるのに働けていない女性がいる、そこの機会損失を計算するとこれくらいになってしまうということです。
ですので、その就労環境の整備というのは回り道のように見えるかもしれないんですけれども、確実に日本経済の底上げになりますし消費喚起策になっていくと、そういうお話をさせていただいて、終わりにさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
福
酒
酒井正#7
○参考人(酒井正君) 法政大学の酒井と申します。
本日は、意見陳述の機会をいただき、ありがとうございます。(資料映写)
私は、雇用保険を中心とした雇用のセーフティーネットについて研究しておりますが、特に最近は第二のセーフティーネットと呼ばれるものの一つである求職者支援制度をウオッチしているところです。本日は、コロナ禍が始まってからの雇用の状況について見た上で、雇用のセーフティーネットの在り方について私の考えを述べさせていただきたいと思います。
まず、二ページ目なんですが、最初に確認したいこととして、失業率の推移を見たいと思います。リーマン・ショック時はこのように失業率が非常に跳ね上がったということがございましたが、実は二〇二〇年、コロナ禍が到来しましたときは、失業率、まあ上がりましたけれども、それほど高く上がったわけではないということがございます。それはなぜかといいますと、取りも直さず雇用調整助成金、これによるものが大きいと考えております。雇調金の特例措置が大規模に発動されることによって、失業の増加というものが抑えられてきたということが言えると思います。
その一方で、三ページ目になりますが、実質賃金の方は、先ほどからもお話ございますけれども、長らく停滞しているというような状況にあるわけです。
それで、私としましては、こういった雇用の情勢、やはり雇用形態別に見たいというものがございまして、この四ページ目のグラフは、非正規雇用の割合の推移を見たものです。
雇用者に占める非正規雇用の割合というのは、コロナが始まった頃にやはり一旦低くなったわけですけれども、現在ではまた戻してきていて、傾向としてはその非正規雇用の比率というのが以前のような状態に戻ってきている、少なくとも大幅に下がってそのままというようなことはないということが言えるかと思います。
もう一つ、五ページ目にお示ししたのは、雇用形態別の雇用者増減というものを、ちょっとイレギュラーなんですが、対前年ではなくて、コロナ前と比較するために二〇一九年の同月と比べた雇用者数の増減を表しております。これを見ると一目瞭然かと思いますけれども、正規雇用というのはコロナ禍でも基本的には減っていないということなんですね。それに対して、非正規雇用というのはコロナの中でやはり減っていたということが言えるかと思います。すなわち、そのショックに対する非正規雇用というのは、非正規雇用の減少というのは大きいということで、これは昔から言われていることですけれども、非正規雇用の調整弁としての側面がやはり浮き彫りになったのではないかという気がしております。
こういうようなボラティリティーの大きい雇用としての非正規雇用ということなんですが、一方で、先ほど見たように、企業あるいはその経済全体としての非正規雇用への依存というのは、長い基調としてはこのまま続いていくんじゃないかというふうに思われるわけです。したがって、いろいろな対策ということに関しても、この経済が非正規雇用に依存していくんだということを前提にした上で行っていくべきだと考えております。
コロナ禍の雇用のセーフティーネットというのは、今見ましたように、大規模な雇用維持策、すなわち雇調金の特例措置によって担われてきたわけですけれども、この雇調金の大規模な発動というものは、労働需要自体が減退してしまったような状況では求職者にいろいろと支援を行うよりも即効性あるいは包括性といったものがある、そういう意味で有益なものだったというふうに考えます。
しかし、これはよくいろいろなところで言われることですけれども、雇調金、三年近くにわたって続けたことによって、その弊害、副作用というものを指摘されたということです。特に、労働移動を阻害しているんじゃないかということが言われるようになったわけです。実際に、コロナ禍では、入職率、離職率共に停滞していたという現状がございます。
七ページは、雇調金の支給実績を示したものですけれども、現在、実質的に終了の段階に来ているということです。
八ページにお示ししたものは、これ、失業のバスタブモデルと言ったりしますが、今の状況を見るのにいいかなと思って示しました。今の状況を説明するならば、その雇調金という失業への入口を塞ぐ施策から、失業からの出口を広げる施策に重点を切り替える時期に来ているということだと思います。これは政府も既に表明しているところです。また、この失業への入口を塞ぐ施策というのは主に企業に対する支援だったかと思いますけれども、それに対して、失業からの出口を広げる施策というのは、もちろん企業に対する支援ということもあり得るんですけれども、どちらかといえば個人への支援と解釈できるかと思います。後に述べる求職者支援制度という制度についても、失業からの出口を広げる施策の一つとして数えることができるかと思います。
それで、九ページになりますが、私は常々、その雇用のセーフティーネットというものを考えるに当たっては、労働者の立場からすれば、例えば雇用維持策であるとか、あるいはその失業給付であるとか職業訓練であるとかですね、まあいろいろとあるとは思うんですが、労働者の立場からすれば、そのセーフティーネット全体として見たときに穴がないこと、これが重要なんではないかというふうに思っております。ですので、例えば、ある状況においては雇用維持的な政策というものが労働者にとって一番有益なセーフティーネットになり得るんだけれども、別の状況では労働移動した方がよっぽどその労働者にとってはそれがセーフティーネットとして機能するんだという可能性もあるということです。
ということで、今現在、その労働移動への施策へシフトしつつあるというのが現状かと思いますが、一方で、少し懸念するところは、その労働移動施策といいますと職業訓練ということが常に挙がるわけですけれども、その職業訓練だけで労働移動が進むのかというような不安、心配もしております。また、誰にとってどのような職業訓練が必要なのかといったような議論ももう少し深めるべきなのかなというふうに感じております。
それから、これ後でちょっと説明しますが、経済にとって望ましい労働移動とは何だろうかと、それが個人にとっての、個人が望むような労働移動と本当に整合的なんだろうかというようなことも重要かと思います。
ところで、十ページになりますが、人々が仕事を失ったような場合、この雇用のセーフティーネットとして最初に想起されるものというのは、本来は雇用保険の失業給付です。ただ、この雇用保険の失業給付というもの、実は余り機能していないんじゃないかという指摘が以前からなされていました。その理由は、非正規雇用として働く人々たちが雇用保険から漏れ落ちがちだということがあります。
十一ページ目に、失業者に占める失業給付を受給している人たちの割合の推移、かなり長期的なものですけれども、これを示しました。これはよく知られているものですが、長期的に失業者のうち失業給付を受給している人たちの割合というのは低下傾向にあるということです。
そして、十二ページ目になりますが、この傾向というのはコロナ禍以降も変わっておりません。相変わらず失業者に占める失業給付受給者の割合というのは三割を切っているという状況です。
十三ページになりますが、そうしますと、この失業給付の受給者割合が低いのは何でなのかという議論が出てくるかと思います。それはもちろん失業保険、ごめんなさい、失業給付の受給資格を持っていないということで受給できていない人がいるということなんですが、その典型が非正規雇用だというわけなんですね。
そうすると、非正規雇用には雇用保険適用されていないから受給できないんだというふうに言われたりするわけなんですけれども、もちろん、非正規雇用に対する雇用保険の適用率、正規雇用に比べれば低い状況です。ただ、それでも、契約社員、嘱託社員の八割、パートタイムの労働者の六割には雇用保険が適用されているということで、全く適用されていないわけではない。にもかかわらず受給できないとすると、何があるかというと、例えば非正規雇用では、断続的な就業を繰り返しているということで、雇用保険が適用されていても例えば受給に必要な被保険者期間を満たせていないといった可能性が出てくるわけです。そうすると、保険料拠出を条件に給付を行う社会保険の枠組みでは、根本的に非正規雇用に対してセーフティーネットを提供するということが難しいという面があります。
そこで出てくるのが、保険料拠出を必ずしも前提としない、条件としない給付の必要性です。
ちょっとそれを見る前に確認しておきたいグラフは、十四ページになるわけですけれども、今、離職失業者のうち約半数が非正規雇用からの失業者です。正規雇用と非正規雇用、数でいえば二対一くらいだというふうに考えますと、非正規雇用の失業確率というのは極めて高いということが言えるかと思います。つまり、非正規雇用は雇用保障の面においても弱いわけですし、セーフティーネットの方も脆弱であるという意味で、これを最近、二重の脆弱性といった言葉で言ったりします。
先ほど申し上げましたように、保険料の拠出というところがネックとなって、雇用保険ではなかなか非正規雇用に対してセーフティーネットを提供しにくいということでございますので、必然的にこの対策としては、保険料拠出を前提としないような、保険料拠出を必ずしも条件としないようなセーフティーネットというものが考えられるわけです。それが第二のセーフティーネットという発想なわけですけれども、これを具現化した一つの施策が求職者支援制度というものであります。
これは、私、最近、中間層にとっての安全網だというふうに、そういう側面で捉えておりますが、制度の具体的な中身としては十六ページに書きましたが、これは釈迦に説法なので細かいところまで説明いたしませんが、基本的に雇用保険から漏れ落ちた人たちが職業訓練を受けることができる、条件によっては所得保障も受けられるという制度になっております。二〇一一年十月からスタートしました。
そして、この非正規雇用ということに関しては、もう一つ、この十七ページにお示ししましたが、その職業訓練、あっ、ごめんなさい、訓練機会ですね、企業内における訓練機会が乏しいという側面がございます。能力開発基本調査のデータを示しておりますが、ほかの調査でも、正規雇用、正社員に比べて非常に訓練機会が乏しいという面がございます。その観点からも、非正規雇用にとって職業訓練機会というのは非常に重要かと思います。
したがいまして、今、これから求職者支援制度というものについてもう少し掘り下げて見ていくわけですけれども、この求職者支援制度というのは、第二のセーフティーネット、すなわち保険料を前提としないような、保険料の拠出を前提としないようなセーフティーネットという側面と同時に、職業訓練としての顔もあると。この二つの側面、二つの顔それぞれに対してその期待があり、また同時に二つの側面から考察する必要があるのだろうというふうに考えるわけです。
求職者支援制度、二〇一一年にスタートしたわけですが、経緯申し上げますと、その後、労働市場、非常に空前の人手不足ということで労働市場堅調だったため、実はつくってはみたものの余り利用されないで来ました。そういう中で二〇二〇年にコロナが到来したわけです。
ということで、コロナが到来したことによって、この求職者支援制度、第二のセーフティーネットを具現化するものとしての求職者支援制度、ようやく真価を問われるはずだったんですが、コロナ禍に要件を大幅に緩和しました。しかし、爆発的な利用拡大というのには至らなかったというふうに考えております。
二十ページは、その求職者支援制度の求職者支援訓練、この受講者数の推移を示しているものですが、二〇一二年以来減り続けていて、コロナ前まで、コロナ前の段階で最低を記録していたんですが、コロナに入ってから少し増えてきています。ただ、ピークほどではないということで、増え方は低調なんじゃないかなというふうに思います。
そうしますと、なぜコロナ禍でも、この第二のセーフティーネット、私は非常にいい仕組みだと思いますけれども、求職者支援制度、利用は低調だったのかという議論になるかと思います。
その一番単純な答えは、先ほどから言っていますように、雇調金の特例措置によって失業への流入自体が抑えられていた、すなわち求職者自体がそれほど増えていないということが一番単純な答えになるかと思います。
しかし、それだけではないのかなというふうに思うのは、困窮者、やはり全く増えていなかったわけではない。特に、第二のセーフティーネットと呼ばれるものの中には、今は生活福祉資金貸付制度ですとか住居確保給付金といったほかのものも、ほかの制度もございます。こういった制度に関しては利用がかなり拡大していたという現状がございます。
といいますのも、例えばパート、アルバイトといった人たちがシフト減によって非常に収入が少なくなっているということで利用が増えていた。しかし、求職者支援制度に関しては、先ほどから見ているとおり、余り利用者が増えていないというのが現状だったというふうに考えられるわけです。
そうすると、やはり制度、まだまだ何か課題があるんじゃないかというところも思い当たるわけです。
コロナ禍において、要件緩和という形で様々な特例措置が導入されました。これらの特例措置、収入要件の緩和ですとか出席要件の緩和ということで大規模に行われました。細かいことをちょっと見ている時間がないので重要なところだけ示したいと思いますけれども、緑色の丸で囲ったところなんですけど、実は、再就職、転職を目指す人のための制度ということだったんですが、これが、必ずしもその再就職目指さなくても、スキルアップするということのためにも使えるようになったわけなんですね。これは私としては非常に画期的なことだったというふうに考えているんですが、これ残念ながらこの利用者数非常に限られています。
何でこういうことになっているのかといいますと、求職者支援制度というのは、多くは、ハローワークに来た人たちに対してこういう制度がありますよということで、一般求職者に対して、ハローワークを訪れた一般求職者に対して誘導するということが主に行われるわけなんですけれども、ハローワークにすら来ない人たちについては、この求職者支援制度というものがあって利用できたとしてもそれを周知できないということがあって、これ在職者に対するスキルアップの機会というのは非常に私重要だと思うんですが、この辺り、アウトリーチどうしていくのかということが課題としてあるのではないかなということは考えております。これを書いたのが二十三ページの一番下のところということになっております。
二十四ページ以降、もう時間もないので少し速めに話していきたいと思いますけれども、今、求職者支援制度という枠組みで職業訓練見たわけですけれども、もう少し広い観点から職業訓練ということ、あるいは訓練への支援という点で私の思うところを述べてみたいと思います。
もちろん、実証研究では職業訓練、就職に一定の効果があるというのが通説になっておりますけれども、例えば現場、実態を見ますと、例えば同業種、同職種で早期に再就職したいと思っており職業訓練は必要ないと考えるような人も多いということで、職業訓練というのはあくまで再就職の支援のパーツと認識してやっぱり支援というものが構築されていくべきであろうというふうに考えるわけです。
ちょっと二十五ページは飛ばさせてもらいます。
もう一つ、先ほど申し上げましたけれども、求職者支援制度というのは第二のセーフティーネットとしての側面、もちろんその第二のセーフティーネットなわけですけれども、そういった側面から見る必要があると述べましたけれども、ここにお示ししたのは、二十六ページにお示ししたのは厚生労働省が示すような各セーフティーネットの関係なんですね。
これを見ると、求職者支援制度というのは第二層の一部としてあるわけなんですが、ここで私が思うところは、第一の層においては雇用保険という一つの制度で一枚のセーフティーネットが張られていますと。二枚目の層に関しては、まあ言ってみればパッチワーク状になっていると。パッチワーク状になっていること自体は悪いことではないんですけれども、そうだとすると切れ目のないセーフティーネットになっている必要があるというふうに考えるべきだと思います。特に、この求職者支援制度というのは、職業訓練が必要だったならば職業訓練のニーズということに対しては応えていますけれども、就労支援全体の中でその職業訓練が必要か必要じゃないかによって制度が変わるというふうにも見ることができるわけです。
同時に、この求職者支援制度、実は少し対象層がほかの制度と異なるんじゃないかというような指摘もございます。ここに、少し求職者支援制度のところを浮かせて描いているんですけれども、対象層としては実は第一・五層と呼べるくらいの位置にあるんじゃないか。ほかの制度はもう少し低いところに設定しているというようなことがあって、パッチワーク状になっていて、かつ段差があるような制度、あっ、ごめんなさい、第二のセーフティーネットになっているんじゃないかという問題意識があります。この辺りの、第二のセーフティーネットについてですね、この辺りの連携といったものが必要なのではないかと思っております。
それから、職業訓練としてこういったもの、求職者支援制度見た場合によく、職業訓練に限らない話なんですけれども、職業訓練必要ですねと言うと、マスコミなんかでは現在の公共職業訓練のコースが人々のニーズに合っていないんだというようなことが言われたり批判がされたりします。確かに、アンケート調査などでは、訓練を受講しない理由として受講したい分野の職業訓練がないとの声もあるんですが、果たしてそれは本当に問題なのかというようなことがございます。
これは、二十八ページになりますが、求職者支援訓練の各コースごとに、応募倍率、人気ということですけど、人気と就職率の関係を見たわけなんですが、例えば応募倍率、デザインコースでは非常に高いです。しかし、就職率それほどいいというわけではありません。それに対して、例えば慢性的な人手不足である介護福祉の分野、こういったコースに関しては、就職率は非常に高いんだけれども応募倍率は低いということです。
ここから何が言えるかなというふうに考えたところ、例えば個々人のニーズに応じて訓練コースを拡充するだけでは社会経済にとって望ましい労働移動が起きるとは限らない可能性があるということです。
それに関連して、ちょっと二十七ページに戻らせていただきたいんですけれども、労働移動先として我々が何か描く、職業訓練を通じて労働移動というものが生じて人々が労働移動するというと、何か成長産業に移っていくというようなイメージを抱きがち、まあまさにそれが理想なんですけれども、果たして、じゃ、成長産業って何だろうかという議論もあるかと思います。
成長産業というものは、確かに付加価値あるいは売上げが伸びているといったことでは成長産業なのかもしれませんが、例えばそれが雇用吸収力がある産業なのかということ、こういったことについても、あるいは本当に安定的な雇用を提供できるのかといったことに関しても議論しなければいけないんではないかと思います。
済みません、時間が過ぎているのでもうまとめさせていただきますが、今言ったように、やはり非正規雇用への支援というのがいまだ重要だというふうに考えております。その観点から第二のセーフティーネットという発想自体は非常に重要だというふうに考えるわけですけれども、現状である制度が機能しているかどうか、これについては非常にこれからも点検していく必要があるであろうというふうに考えるわけです。
私の最後に述べさせていただきたいこととしては、やはり中間層のために切れ目のないセーフティーネットを構築していくことが重要であろうということです。
以上となります。ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、意見陳述の機会をいただき、ありがとうございます。(資料映写)
私は、雇用保険を中心とした雇用のセーフティーネットについて研究しておりますが、特に最近は第二のセーフティーネットと呼ばれるものの一つである求職者支援制度をウオッチしているところです。本日は、コロナ禍が始まってからの雇用の状況について見た上で、雇用のセーフティーネットの在り方について私の考えを述べさせていただきたいと思います。
まず、二ページ目なんですが、最初に確認したいこととして、失業率の推移を見たいと思います。リーマン・ショック時はこのように失業率が非常に跳ね上がったということがございましたが、実は二〇二〇年、コロナ禍が到来しましたときは、失業率、まあ上がりましたけれども、それほど高く上がったわけではないということがございます。それはなぜかといいますと、取りも直さず雇用調整助成金、これによるものが大きいと考えております。雇調金の特例措置が大規模に発動されることによって、失業の増加というものが抑えられてきたということが言えると思います。
その一方で、三ページ目になりますが、実質賃金の方は、先ほどからもお話ございますけれども、長らく停滞しているというような状況にあるわけです。
それで、私としましては、こういった雇用の情勢、やはり雇用形態別に見たいというものがございまして、この四ページ目のグラフは、非正規雇用の割合の推移を見たものです。
雇用者に占める非正規雇用の割合というのは、コロナが始まった頃にやはり一旦低くなったわけですけれども、現在ではまた戻してきていて、傾向としてはその非正規雇用の比率というのが以前のような状態に戻ってきている、少なくとも大幅に下がってそのままというようなことはないということが言えるかと思います。
もう一つ、五ページ目にお示ししたのは、雇用形態別の雇用者増減というものを、ちょっとイレギュラーなんですが、対前年ではなくて、コロナ前と比較するために二〇一九年の同月と比べた雇用者数の増減を表しております。これを見ると一目瞭然かと思いますけれども、正規雇用というのはコロナ禍でも基本的には減っていないということなんですね。それに対して、非正規雇用というのはコロナの中でやはり減っていたということが言えるかと思います。すなわち、そのショックに対する非正規雇用というのは、非正規雇用の減少というのは大きいということで、これは昔から言われていることですけれども、非正規雇用の調整弁としての側面がやはり浮き彫りになったのではないかという気がしております。
こういうようなボラティリティーの大きい雇用としての非正規雇用ということなんですが、一方で、先ほど見たように、企業あるいはその経済全体としての非正規雇用への依存というのは、長い基調としてはこのまま続いていくんじゃないかというふうに思われるわけです。したがって、いろいろな対策ということに関しても、この経済が非正規雇用に依存していくんだということを前提にした上で行っていくべきだと考えております。
コロナ禍の雇用のセーフティーネットというのは、今見ましたように、大規模な雇用維持策、すなわち雇調金の特例措置によって担われてきたわけですけれども、この雇調金の大規模な発動というものは、労働需要自体が減退してしまったような状況では求職者にいろいろと支援を行うよりも即効性あるいは包括性といったものがある、そういう意味で有益なものだったというふうに考えます。
しかし、これはよくいろいろなところで言われることですけれども、雇調金、三年近くにわたって続けたことによって、その弊害、副作用というものを指摘されたということです。特に、労働移動を阻害しているんじゃないかということが言われるようになったわけです。実際に、コロナ禍では、入職率、離職率共に停滞していたという現状がございます。
七ページは、雇調金の支給実績を示したものですけれども、現在、実質的に終了の段階に来ているということです。
八ページにお示ししたものは、これ、失業のバスタブモデルと言ったりしますが、今の状況を見るのにいいかなと思って示しました。今の状況を説明するならば、その雇調金という失業への入口を塞ぐ施策から、失業からの出口を広げる施策に重点を切り替える時期に来ているということだと思います。これは政府も既に表明しているところです。また、この失業への入口を塞ぐ施策というのは主に企業に対する支援だったかと思いますけれども、それに対して、失業からの出口を広げる施策というのは、もちろん企業に対する支援ということもあり得るんですけれども、どちらかといえば個人への支援と解釈できるかと思います。後に述べる求職者支援制度という制度についても、失業からの出口を広げる施策の一つとして数えることができるかと思います。
それで、九ページになりますが、私は常々、その雇用のセーフティーネットというものを考えるに当たっては、労働者の立場からすれば、例えば雇用維持策であるとか、あるいはその失業給付であるとか職業訓練であるとかですね、まあいろいろとあるとは思うんですが、労働者の立場からすれば、そのセーフティーネット全体として見たときに穴がないこと、これが重要なんではないかというふうに思っております。ですので、例えば、ある状況においては雇用維持的な政策というものが労働者にとって一番有益なセーフティーネットになり得るんだけれども、別の状況では労働移動した方がよっぽどその労働者にとってはそれがセーフティーネットとして機能するんだという可能性もあるということです。
ということで、今現在、その労働移動への施策へシフトしつつあるというのが現状かと思いますが、一方で、少し懸念するところは、その労働移動施策といいますと職業訓練ということが常に挙がるわけですけれども、その職業訓練だけで労働移動が進むのかというような不安、心配もしております。また、誰にとってどのような職業訓練が必要なのかといったような議論ももう少し深めるべきなのかなというふうに感じております。
それから、これ後でちょっと説明しますが、経済にとって望ましい労働移動とは何だろうかと、それが個人にとっての、個人が望むような労働移動と本当に整合的なんだろうかというようなことも重要かと思います。
ところで、十ページになりますが、人々が仕事を失ったような場合、この雇用のセーフティーネットとして最初に想起されるものというのは、本来は雇用保険の失業給付です。ただ、この雇用保険の失業給付というもの、実は余り機能していないんじゃないかという指摘が以前からなされていました。その理由は、非正規雇用として働く人々たちが雇用保険から漏れ落ちがちだということがあります。
十一ページ目に、失業者に占める失業給付を受給している人たちの割合の推移、かなり長期的なものですけれども、これを示しました。これはよく知られているものですが、長期的に失業者のうち失業給付を受給している人たちの割合というのは低下傾向にあるということです。
そして、十二ページ目になりますが、この傾向というのはコロナ禍以降も変わっておりません。相変わらず失業者に占める失業給付受給者の割合というのは三割を切っているという状況です。
十三ページになりますが、そうしますと、この失業給付の受給者割合が低いのは何でなのかという議論が出てくるかと思います。それはもちろん失業保険、ごめんなさい、失業給付の受給資格を持っていないということで受給できていない人がいるということなんですが、その典型が非正規雇用だというわけなんですね。
そうすると、非正規雇用には雇用保険適用されていないから受給できないんだというふうに言われたりするわけなんですけれども、もちろん、非正規雇用に対する雇用保険の適用率、正規雇用に比べれば低い状況です。ただ、それでも、契約社員、嘱託社員の八割、パートタイムの労働者の六割には雇用保険が適用されているということで、全く適用されていないわけではない。にもかかわらず受給できないとすると、何があるかというと、例えば非正規雇用では、断続的な就業を繰り返しているということで、雇用保険が適用されていても例えば受給に必要な被保険者期間を満たせていないといった可能性が出てくるわけです。そうすると、保険料拠出を条件に給付を行う社会保険の枠組みでは、根本的に非正規雇用に対してセーフティーネットを提供するということが難しいという面があります。
そこで出てくるのが、保険料拠出を必ずしも前提としない、条件としない給付の必要性です。
ちょっとそれを見る前に確認しておきたいグラフは、十四ページになるわけですけれども、今、離職失業者のうち約半数が非正規雇用からの失業者です。正規雇用と非正規雇用、数でいえば二対一くらいだというふうに考えますと、非正規雇用の失業確率というのは極めて高いということが言えるかと思います。つまり、非正規雇用は雇用保障の面においても弱いわけですし、セーフティーネットの方も脆弱であるという意味で、これを最近、二重の脆弱性といった言葉で言ったりします。
先ほど申し上げましたように、保険料の拠出というところがネックとなって、雇用保険ではなかなか非正規雇用に対してセーフティーネットを提供しにくいということでございますので、必然的にこの対策としては、保険料拠出を前提としないような、保険料拠出を必ずしも条件としないようなセーフティーネットというものが考えられるわけです。それが第二のセーフティーネットという発想なわけですけれども、これを具現化した一つの施策が求職者支援制度というものであります。
これは、私、最近、中間層にとっての安全網だというふうに、そういう側面で捉えておりますが、制度の具体的な中身としては十六ページに書きましたが、これは釈迦に説法なので細かいところまで説明いたしませんが、基本的に雇用保険から漏れ落ちた人たちが職業訓練を受けることができる、条件によっては所得保障も受けられるという制度になっております。二〇一一年十月からスタートしました。
そして、この非正規雇用ということに関しては、もう一つ、この十七ページにお示ししましたが、その職業訓練、あっ、ごめんなさい、訓練機会ですね、企業内における訓練機会が乏しいという側面がございます。能力開発基本調査のデータを示しておりますが、ほかの調査でも、正規雇用、正社員に比べて非常に訓練機会が乏しいという面がございます。その観点からも、非正規雇用にとって職業訓練機会というのは非常に重要かと思います。
したがいまして、今、これから求職者支援制度というものについてもう少し掘り下げて見ていくわけですけれども、この求職者支援制度というのは、第二のセーフティーネット、すなわち保険料を前提としないような、保険料の拠出を前提としないようなセーフティーネットという側面と同時に、職業訓練としての顔もあると。この二つの側面、二つの顔それぞれに対してその期待があり、また同時に二つの側面から考察する必要があるのだろうというふうに考えるわけです。
求職者支援制度、二〇一一年にスタートしたわけですが、経緯申し上げますと、その後、労働市場、非常に空前の人手不足ということで労働市場堅調だったため、実はつくってはみたものの余り利用されないで来ました。そういう中で二〇二〇年にコロナが到来したわけです。
ということで、コロナが到来したことによって、この求職者支援制度、第二のセーフティーネットを具現化するものとしての求職者支援制度、ようやく真価を問われるはずだったんですが、コロナ禍に要件を大幅に緩和しました。しかし、爆発的な利用拡大というのには至らなかったというふうに考えております。
二十ページは、その求職者支援制度の求職者支援訓練、この受講者数の推移を示しているものですが、二〇一二年以来減り続けていて、コロナ前まで、コロナ前の段階で最低を記録していたんですが、コロナに入ってから少し増えてきています。ただ、ピークほどではないということで、増え方は低調なんじゃないかなというふうに思います。
そうしますと、なぜコロナ禍でも、この第二のセーフティーネット、私は非常にいい仕組みだと思いますけれども、求職者支援制度、利用は低調だったのかという議論になるかと思います。
その一番単純な答えは、先ほどから言っていますように、雇調金の特例措置によって失業への流入自体が抑えられていた、すなわち求職者自体がそれほど増えていないということが一番単純な答えになるかと思います。
しかし、それだけではないのかなというふうに思うのは、困窮者、やはり全く増えていなかったわけではない。特に、第二のセーフティーネットと呼ばれるものの中には、今は生活福祉資金貸付制度ですとか住居確保給付金といったほかのものも、ほかの制度もございます。こういった制度に関しては利用がかなり拡大していたという現状がございます。
といいますのも、例えばパート、アルバイトといった人たちがシフト減によって非常に収入が少なくなっているということで利用が増えていた。しかし、求職者支援制度に関しては、先ほどから見ているとおり、余り利用者が増えていないというのが現状だったというふうに考えられるわけです。
そうすると、やはり制度、まだまだ何か課題があるんじゃないかというところも思い当たるわけです。
コロナ禍において、要件緩和という形で様々な特例措置が導入されました。これらの特例措置、収入要件の緩和ですとか出席要件の緩和ということで大規模に行われました。細かいことをちょっと見ている時間がないので重要なところだけ示したいと思いますけれども、緑色の丸で囲ったところなんですけど、実は、再就職、転職を目指す人のための制度ということだったんですが、これが、必ずしもその再就職目指さなくても、スキルアップするということのためにも使えるようになったわけなんですね。これは私としては非常に画期的なことだったというふうに考えているんですが、これ残念ながらこの利用者数非常に限られています。
何でこういうことになっているのかといいますと、求職者支援制度というのは、多くは、ハローワークに来た人たちに対してこういう制度がありますよということで、一般求職者に対して、ハローワークを訪れた一般求職者に対して誘導するということが主に行われるわけなんですけれども、ハローワークにすら来ない人たちについては、この求職者支援制度というものがあって利用できたとしてもそれを周知できないということがあって、これ在職者に対するスキルアップの機会というのは非常に私重要だと思うんですが、この辺り、アウトリーチどうしていくのかということが課題としてあるのではないかなということは考えております。これを書いたのが二十三ページの一番下のところということになっております。
二十四ページ以降、もう時間もないので少し速めに話していきたいと思いますけれども、今、求職者支援制度という枠組みで職業訓練見たわけですけれども、もう少し広い観点から職業訓練ということ、あるいは訓練への支援という点で私の思うところを述べてみたいと思います。
もちろん、実証研究では職業訓練、就職に一定の効果があるというのが通説になっておりますけれども、例えば現場、実態を見ますと、例えば同業種、同職種で早期に再就職したいと思っており職業訓練は必要ないと考えるような人も多いということで、職業訓練というのはあくまで再就職の支援のパーツと認識してやっぱり支援というものが構築されていくべきであろうというふうに考えるわけです。
ちょっと二十五ページは飛ばさせてもらいます。
もう一つ、先ほど申し上げましたけれども、求職者支援制度というのは第二のセーフティーネットとしての側面、もちろんその第二のセーフティーネットなわけですけれども、そういった側面から見る必要があると述べましたけれども、ここにお示ししたのは、二十六ページにお示ししたのは厚生労働省が示すような各セーフティーネットの関係なんですね。
これを見ると、求職者支援制度というのは第二層の一部としてあるわけなんですが、ここで私が思うところは、第一の層においては雇用保険という一つの制度で一枚のセーフティーネットが張られていますと。二枚目の層に関しては、まあ言ってみればパッチワーク状になっていると。パッチワーク状になっていること自体は悪いことではないんですけれども、そうだとすると切れ目のないセーフティーネットになっている必要があるというふうに考えるべきだと思います。特に、この求職者支援制度というのは、職業訓練が必要だったならば職業訓練のニーズということに対しては応えていますけれども、就労支援全体の中でその職業訓練が必要か必要じゃないかによって制度が変わるというふうにも見ることができるわけです。
同時に、この求職者支援制度、実は少し対象層がほかの制度と異なるんじゃないかというような指摘もございます。ここに、少し求職者支援制度のところを浮かせて描いているんですけれども、対象層としては実は第一・五層と呼べるくらいの位置にあるんじゃないか。ほかの制度はもう少し低いところに設定しているというようなことがあって、パッチワーク状になっていて、かつ段差があるような制度、あっ、ごめんなさい、第二のセーフティーネットになっているんじゃないかという問題意識があります。この辺りの、第二のセーフティーネットについてですね、この辺りの連携といったものが必要なのではないかと思っております。
それから、職業訓練としてこういったもの、求職者支援制度見た場合によく、職業訓練に限らない話なんですけれども、職業訓練必要ですねと言うと、マスコミなんかでは現在の公共職業訓練のコースが人々のニーズに合っていないんだというようなことが言われたり批判がされたりします。確かに、アンケート調査などでは、訓練を受講しない理由として受講したい分野の職業訓練がないとの声もあるんですが、果たしてそれは本当に問題なのかというようなことがございます。
これは、二十八ページになりますが、求職者支援訓練の各コースごとに、応募倍率、人気ということですけど、人気と就職率の関係を見たわけなんですが、例えば応募倍率、デザインコースでは非常に高いです。しかし、就職率それほどいいというわけではありません。それに対して、例えば慢性的な人手不足である介護福祉の分野、こういったコースに関しては、就職率は非常に高いんだけれども応募倍率は低いということです。
ここから何が言えるかなというふうに考えたところ、例えば個々人のニーズに応じて訓練コースを拡充するだけでは社会経済にとって望ましい労働移動が起きるとは限らない可能性があるということです。
それに関連して、ちょっと二十七ページに戻らせていただきたいんですけれども、労働移動先として我々が何か描く、職業訓練を通じて労働移動というものが生じて人々が労働移動するというと、何か成長産業に移っていくというようなイメージを抱きがち、まあまさにそれが理想なんですけれども、果たして、じゃ、成長産業って何だろうかという議論もあるかと思います。
成長産業というものは、確かに付加価値あるいは売上げが伸びているといったことでは成長産業なのかもしれませんが、例えばそれが雇用吸収力がある産業なのかということ、こういったことについても、あるいは本当に安定的な雇用を提供できるのかといったことに関しても議論しなければいけないんではないかと思います。
済みません、時間が過ぎているのでもうまとめさせていただきますが、今言ったように、やはり非正規雇用への支援というのがいまだ重要だというふうに考えております。その観点から第二のセーフティーネットという発想自体は非常に重要だというふうに考えるわけですけれども、現状である制度が機能しているかどうか、これについては非常にこれからも点検していく必要があるであろうというふうに考えるわけです。
私の最後に述べさせていただきたいこととしては、やはり中間層のために切れ目のないセーフティーネットを構築していくことが重要であろうということです。
以上となります。ありがとうございました。
福
福山哲郎#8
○会長(福山哲郎君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、各会派一名ずつ指名させていただき、一巡後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
発言は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。
なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間が一巡目はお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。
これより一巡目の質疑を行います。
質疑のある方は挙手を願います。
加田裕之君。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
まず、各会派一名ずつ指名させていただき、一巡後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
発言は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。
なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間が一巡目はお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。
これより一巡目の質疑を行います。
質疑のある方は挙手を願います。
加田裕之君。
加
加田裕之#9
○加田裕之君 自由民主党の加田裕之でございます。
本日は、「現下の経済情勢」につきまして、三名の先生方から大変有益な、本当に参考になります御意見、御提言をいただきましたことにまずもって感謝申し上げます。
まず初めに、小峰先生にお伺いしたいと思います。
小峰先生は、大変、ふだんは週刊東洋経済での「経済を見る眼」というのでかなり鋭い指摘をされておりますので、今日はちょっとオブラートを包んでいたんではないかと思う御発言だったんですけれども、是非ちょっとお伺いしたいのは、やはりこれだけ今、コロナ後の日本にとりまして、よく言うグランドビジョンが見えない、そしてプラス、これはまさに政策的にどのようにこれから進んでいけばいいのかという声が多々あります。
よく言われています羅針盤を失った日本という中におきまして、私は、やはりこれは二つちょっと原因があると思うんですけど、先ほど先生がおっしゃいました官庁エコノミストという部分のですね、需要主導型の言わば経済政策を発表する人材の枯渇、それと政府間の分析という、政府の施策の分析というものにつきまして、常に対外的に言わば発言し、まあそれもニュートラルな中でですね、批判の批判という、いろいろな施策というものを打ち上げたときに批判あるというのはこれはもう私は政治の常だと思っているんですけど、その一方で、批判の批判というものに対する視点というものの切り口というのが、今何か、特にですけど、ここ数年、コロナ前からだと思うんですけれども、私は大変強く感じるんです。
ですから、私、兵庫県なんですけど、神戸出身の香西泰先生とか金森久雄先生みたいな、そういう官庁エコノミストという形で中立的な形で言っていくためには、やはり私は、先生の経歴であります経済企画庁とか、これも内閣府に吸収されてから何かそういう視点というのは失っているんではないかなと思うと同時に、それと、先生の経歴であります国交省の方におきましても、国土計画局長を務められたんですけれども、全総という部分について、従来でしたら地方自治体とかにとりましても本当に全てのグランドデザインというもの、国土のデザインというものについて目指すべき方向性というものもあったんですが、もちろん国土形成計画があるじゃないかという声もあるんですが、一方では、そのグランドビジョンが見えない、ソフト、ハードの面についてですね、そういうものの失っている今の日本の現状ということについての先生の御所見をまずお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、「現下の経済情勢」につきまして、三名の先生方から大変有益な、本当に参考になります御意見、御提言をいただきましたことにまずもって感謝申し上げます。
まず初めに、小峰先生にお伺いしたいと思います。
小峰先生は、大変、ふだんは週刊東洋経済での「経済を見る眼」というのでかなり鋭い指摘をされておりますので、今日はちょっとオブラートを包んでいたんではないかと思う御発言だったんですけれども、是非ちょっとお伺いしたいのは、やはりこれだけ今、コロナ後の日本にとりまして、よく言うグランドビジョンが見えない、そしてプラス、これはまさに政策的にどのようにこれから進んでいけばいいのかという声が多々あります。
よく言われています羅針盤を失った日本という中におきまして、私は、やはりこれは二つちょっと原因があると思うんですけど、先ほど先生がおっしゃいました官庁エコノミストという部分のですね、需要主導型の言わば経済政策を発表する人材の枯渇、それと政府間の分析という、政府の施策の分析というものにつきまして、常に対外的に言わば発言し、まあそれもニュートラルな中でですね、批判の批判という、いろいろな施策というものを打ち上げたときに批判あるというのはこれはもう私は政治の常だと思っているんですけど、その一方で、批判の批判というものに対する視点というものの切り口というのが、今何か、特にですけど、ここ数年、コロナ前からだと思うんですけれども、私は大変強く感じるんです。
ですから、私、兵庫県なんですけど、神戸出身の香西泰先生とか金森久雄先生みたいな、そういう官庁エコノミストという形で中立的な形で言っていくためには、やはり私は、先生の経歴であります経済企画庁とか、これも内閣府に吸収されてから何かそういう視点というのは失っているんではないかなと思うと同時に、それと、先生の経歴であります国交省の方におきましても、国土計画局長を務められたんですけれども、全総という部分について、従来でしたら地方自治体とかにとりましても本当に全てのグランドデザインというもの、国土のデザインというものについて目指すべき方向性というものもあったんですが、もちろん国土形成計画があるじゃないかという声もあるんですが、一方では、そのグランドビジョンが見えない、ソフト、ハードの面についてですね、そういうものの失っている今の日本の現状ということについての先生の御所見をまずお伺いしたいと思います。
小
小峰隆夫#10
○参考人(小峰隆夫君) お尋ねありがとうございます。
私は御指摘のように政府の中でエコノミストとして長く活動をしておりましたので、若干そういう私がやってきた方向がまた戻ってくればいいなというちょっとバイアスがあるということは最初にお含みおきいただきたいんですが。
経済企画庁という役所がなくなって内閣府になると、内閣府って物すごくいろんな仕事がたくさんあるわけですね。そうすると、経済企画庁を志望して来る人は、将来エコノミストとして活動したい又は大学で学んだ経済学の知識を国民のために生かしたいという、かなり特定の目的を持って入ってくる人がたくさんいたということですが、現在では内閣府に行ったからといって必ずしもエコノミスト的な仕事をできるとは限らないという場ですので、そういう志を持った人はちょっと集まりにくいということになってしまっているんだというふうに思います。
それからもう一つは、私が活動していた頃は、比較的、官庁エコノミストというのはちょっとかなり自由な活動を許されていた面がありまして、対外的に原稿を書いたり本を出したり講演したりすることも結構あったということですが、これも最近は相当厳しく公務員の行動が制限をされていて、勤務時間中はそういうことはやっちゃいけないし、もちろん許可を得ればいいんですけれども、それから報酬を得たときにもちゃんと申告しなきゃいけないということで、逆に呼ぶ方が呼びにくくなっているということがあって、ほとんどそういう対外的な活動ができにくくなったということがあります。
それで、これなかなか元に戻せといっても難しいということですので、逆に、そういう経済学的な訓練を得た人たちが、例えばEBPMであるとか行動経済学の知識であるとか、それからマーケットデザインのような知識を生かして、行政にそういった専門知識を生かしていくような仕組みというのがまあ新しい形でできてくればいいなというふうに考えております。
この発言だけを見る →私は御指摘のように政府の中でエコノミストとして長く活動をしておりましたので、若干そういう私がやってきた方向がまた戻ってくればいいなというちょっとバイアスがあるということは最初にお含みおきいただきたいんですが。
経済企画庁という役所がなくなって内閣府になると、内閣府って物すごくいろんな仕事がたくさんあるわけですね。そうすると、経済企画庁を志望して来る人は、将来エコノミストとして活動したい又は大学で学んだ経済学の知識を国民のために生かしたいという、かなり特定の目的を持って入ってくる人がたくさんいたということですが、現在では内閣府に行ったからといって必ずしもエコノミスト的な仕事をできるとは限らないという場ですので、そういう志を持った人はちょっと集まりにくいということになってしまっているんだというふうに思います。
それからもう一つは、私が活動していた頃は、比較的、官庁エコノミストというのはちょっとかなり自由な活動を許されていた面がありまして、対外的に原稿を書いたり本を出したり講演したりすることも結構あったということですが、これも最近は相当厳しく公務員の行動が制限をされていて、勤務時間中はそういうことはやっちゃいけないし、もちろん許可を得ればいいんですけれども、それから報酬を得たときにもちゃんと申告しなきゃいけないということで、逆に呼ぶ方が呼びにくくなっているということがあって、ほとんどそういう対外的な活動ができにくくなったということがあります。
それで、これなかなか元に戻せといっても難しいということですので、逆に、そういう経済学的な訓練を得た人たちが、例えばEBPMであるとか行動経済学の知識であるとか、それからマーケットデザインのような知識を生かして、行政にそういった専門知識を生かしていくような仕組みというのがまあ新しい形でできてくればいいなというふうに考えております。
加
加田裕之#11
○加田裕之君 ありがとうございます。
やはり先生が述べられているように、日本の経済というのは、石油ショックとかコロナの外生的なショックには強いですけど、内生的な課題というものですね、デフレとか、先ほど言っていました不良債権の問題とか、なかなか認識できない部分があると思います。そういう部分の国民と専門家のギャップを埋めるという方策という部分について、また先ほど言いましたEBPMとかもしっかりとやっていきながら政策形成というものもやっていくべきだと思います。ありがとうございます。
続きまして、次は久我参考人の方にお伺いしたいと思うんですけれども、久我先生においては、今、物価高とか個人消費、それからまた先ほどのことにつきましていろいろ分析、細かく本当にいろいろ分析していただきまして、参考になりました。
ちょっとそれでお伺いしたいのは、これ、いろんなデータはあるんですけど、この都市部と地方、郡部の方ですね、今回我々の調査会も地方という部分の切り口というものが付きました。
先生は二〇一四年に光文社新書で「若者は本当にお金がないのか?」という部分で、本当に「統計データが語る意外な真実」ということでいろいろな分析もされているんですけど、このコロナ前、コロナ後ということについて、これ、行動変容というのは大変変わったと思うんですけど、その中でも不可逆的なものと可逆的なものというものと二つ分類はされるんですけど、その二つの分類というものの視点から見て、この地方とそれからまた都市部という部分でのこのギャップ、それからこの進み方とか、先生なりの、いろいろ地方も回られているとは思いますし、ほかの審議委員会の委員もされているというのも聞いておるんですけれども、先生から見まして、都市と地方のこの切り口の違いというものについてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →やはり先生が述べられているように、日本の経済というのは、石油ショックとかコロナの外生的なショックには強いですけど、内生的な課題というものですね、デフレとか、先ほど言っていました不良債権の問題とか、なかなか認識できない部分があると思います。そういう部分の国民と専門家のギャップを埋めるという方策という部分について、また先ほど言いましたEBPMとかもしっかりとやっていきながら政策形成というものもやっていくべきだと思います。ありがとうございます。
続きまして、次は久我参考人の方にお伺いしたいと思うんですけれども、久我先生においては、今、物価高とか個人消費、それからまた先ほどのことにつきましていろいろ分析、細かく本当にいろいろ分析していただきまして、参考になりました。
ちょっとそれでお伺いしたいのは、これ、いろんなデータはあるんですけど、この都市部と地方、郡部の方ですね、今回我々の調査会も地方という部分の切り口というものが付きました。
先生は二〇一四年に光文社新書で「若者は本当にお金がないのか?」という部分で、本当に「統計データが語る意外な真実」ということでいろいろな分析もされているんですけど、このコロナ前、コロナ後ということについて、これ、行動変容というのは大変変わったと思うんですけど、その中でも不可逆的なものと可逆的なものというものと二つ分類はされるんですけど、その二つの分類というものの視点から見て、この地方とそれからまた都市部という部分でのこのギャップ、それからこの進み方とか、先生なりの、いろいろ地方も回られているとは思いますし、ほかの審議委員会の委員もされているというのも聞いておるんですけれども、先生から見まして、都市と地方のこの切り口の違いというものについてお伺いしたいと思います。
久
久我尚子#12
○参考人(久我尚子君) 御質問ありがとうございます。
都市と地方の違いで、そのコロナ禍における行動変容については、弊社でも、本日御紹介した調査結果で、地方とやっぱり都市違うんじゃないかという仮定の下で分析をしたんですけれども、余り違わないという結論でした。というのは、都市と地方という、住んでいる地域というよりは、そこに住んでいる消費者の年齢というところが一番大きく効いていまして、地方では高齢の方が多いので、やはり外出自粛傾向が強いですとか、あるいはデジタル化の進展が少し遅くなっているとか、そういう結論になっていました。
その行動変容の可逆的なものと不可逆的なものなんですけれども、コロナ禍で生活が変わったわけですけれども、実際には、その生活ですとかあるいは価値観の状況については、コロナ禍前からの変化がぐっと加速したという見方が冷静な見方だと思います。全く新しいものというのは余りないです。例えば、働き方でいうとテレワークであるとか、消費行動でいうとキャッシュレスとかネットショッピングとか、コロナ禍前から課題であり進めていくべき方向であったものがぐっと進んだというところです。
ぐっと進んだわけですけれども、ですので、例えばデジタルシフトに関しては、やはりこのぐっと進んだ、加速した高水準の状況で進んでいくと思いますし、あとは、その需要が加速したという面では、食のデリバリーであるとかテークアウトとか、食生活の部分なども変わったんですけれども、家事、そうですね、その辺りに関しては、デジタル化というよりは中長期的な世帯構造の変化、単身世帯が増えている、共働き世帯が増えているというところですね、それが土台にありますので、その結果、不可逆的ではなくて、その流れで一層進んでいくという捉え方をしています。
で、このコロナ禍というか、最近の事象で全く新しいものとして出てきたのは、やはり物価高であるとか、その辺りの足下の状況ですので、実際は、そのコロナ禍で現れた生活の変容というのは、全く新しいものというのは実は余りなかったと思っています。
以上です。
この発言だけを見る →都市と地方の違いで、そのコロナ禍における行動変容については、弊社でも、本日御紹介した調査結果で、地方とやっぱり都市違うんじゃないかという仮定の下で分析をしたんですけれども、余り違わないという結論でした。というのは、都市と地方という、住んでいる地域というよりは、そこに住んでいる消費者の年齢というところが一番大きく効いていまして、地方では高齢の方が多いので、やはり外出自粛傾向が強いですとか、あるいはデジタル化の進展が少し遅くなっているとか、そういう結論になっていました。
その行動変容の可逆的なものと不可逆的なものなんですけれども、コロナ禍で生活が変わったわけですけれども、実際には、その生活ですとかあるいは価値観の状況については、コロナ禍前からの変化がぐっと加速したという見方が冷静な見方だと思います。全く新しいものというのは余りないです。例えば、働き方でいうとテレワークであるとか、消費行動でいうとキャッシュレスとかネットショッピングとか、コロナ禍前から課題であり進めていくべき方向であったものがぐっと進んだというところです。
ぐっと進んだわけですけれども、ですので、例えばデジタルシフトに関しては、やはりこのぐっと進んだ、加速した高水準の状況で進んでいくと思いますし、あとは、その需要が加速したという面では、食のデリバリーであるとかテークアウトとか、食生活の部分なども変わったんですけれども、家事、そうですね、その辺りに関しては、デジタル化というよりは中長期的な世帯構造の変化、単身世帯が増えている、共働き世帯が増えているというところですね、それが土台にありますので、その結果、不可逆的ではなくて、その流れで一層進んでいくという捉え方をしています。
で、このコロナ禍というか、最近の事象で全く新しいものとして出てきたのは、やはり物価高であるとか、その辺りの足下の状況ですので、実際は、そのコロナ禍で現れた生活の変容というのは、全く新しいものというのは実は余りなかったと思っています。
以上です。
加
加田裕之#13
○加田裕之君 ありがとうございます。
先生にはまたソバーキュリアスのことについてもお伺いしたいなと思っていたんですが、ちょっとお時間がないので、またの機会にお願いいたします。
次に、酒井先生にお伺いしたいと思います。
実は昨日も自民党本部の方では新しい資本主義の実行本部で御講演いただきまして、ありがとうございました。
雇調金の問題というのは、やはり我々にとりましても、コロナ禍においては、私は、やはりこの支給のスピードというものと利用者の利便性ということについては大変有益ではあったんではないかと思っております。実際、まあもちろんですけれども、漏れる人というのが出てきたりとか、あと、また成長産業への労働移動を阻害しているという批判があるのは確かだと思います。ただ、アメリカの方とかでの失業給付の上乗せ等で対応しただけの政策でしたら、経済回復が進む中においても雇用の回復が遅れて供給制約が深刻化しているという副作用があると思いますので、やはりこういう危機のときには保護重視で、平時に移りましたら労働移動重視の政策が望ましいというのは、これは基本のキだと思っております。
それで、先生にお伺いしたいのは、やはりこれからのその部分につきまして、求職者支援制度という部分について注目がされているんですが、先ほど最後の方にありました、希望する職種の方と需要のある職種という部分についてのミスマッチが起きていると、その解消というものが課題であるということを言われました。私も、これはどういうふうに、強制するわけにもいかないですし、広報するといっても限界があると思いますので、先生が考える中での特効薬といいますか、また施策がありましたら教えていただけたらと思います。
この発言だけを見る →先生にはまたソバーキュリアスのことについてもお伺いしたいなと思っていたんですが、ちょっとお時間がないので、またの機会にお願いいたします。
次に、酒井先生にお伺いしたいと思います。
実は昨日も自民党本部の方では新しい資本主義の実行本部で御講演いただきまして、ありがとうございました。
雇調金の問題というのは、やはり我々にとりましても、コロナ禍においては、私は、やはりこの支給のスピードというものと利用者の利便性ということについては大変有益ではあったんではないかと思っております。実際、まあもちろんですけれども、漏れる人というのが出てきたりとか、あと、また成長産業への労働移動を阻害しているという批判があるのは確かだと思います。ただ、アメリカの方とかでの失業給付の上乗せ等で対応しただけの政策でしたら、経済回復が進む中においても雇用の回復が遅れて供給制約が深刻化しているという副作用があると思いますので、やはりこういう危機のときには保護重視で、平時に移りましたら労働移動重視の政策が望ましいというのは、これは基本のキだと思っております。
それで、先生にお伺いしたいのは、やはりこれからのその部分につきまして、求職者支援制度という部分について注目がされているんですが、先ほど最後の方にありました、希望する職種の方と需要のある職種という部分についてのミスマッチが起きていると、その解消というものが課題であるということを言われました。私も、これはどういうふうに、強制するわけにもいかないですし、広報するといっても限界があると思いますので、先生が考える中での特効薬といいますか、また施策がありましたら教えていただけたらと思います。
酒
酒井正#14
○参考人(酒井正君) 私も、受講希望者の希望と需要側の、労働需要側のミスマッチというものを簡単には解消できないんじゃないかというふうに思っているんですが、何か媒介するようなところ、施策として何か行えないかということを考えたときに、やはりその気付きを与えるということが非常に重要になってくるんじゃないかというふうに思うわけですね。例えば、ある職業経験を持った人がいたとしまして、その人が一つの職業訓練を受けることによってスキルのパーツが埋まって、実はその本人が全然考えてもいなかった、だけれども、その本人がハッピーになれるようなポジションに移れるということ、そういうことに対して気付きをあげる、与えてあげるということが一番何かできるところなのではないかというふうに思うわけです。
こういったことは、多分、ハローワークといったところで現場レベルで個々の相談員のノウハウ、経験に基づいて行われていることだとは思います。ただ、これが、例えば定量的な分析によってこういったポジションにこういうスキルを加えるとこういったところに移動できるんだよということがシステマチックに分かってきて、それがノウハウとしてシステマチックに共有されるといいんではないかと。もしかしてそれに似たようなことは既に行われているのかもしれませんけれども、より一層そういった取組が進められたらいいんじゃないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →こういったことは、多分、ハローワークといったところで現場レベルで個々の相談員のノウハウ、経験に基づいて行われていることだとは思います。ただ、これが、例えば定量的な分析によってこういったポジションにこういうスキルを加えるとこういったところに移動できるんだよということがシステマチックに分かってきて、それがノウハウとしてシステマチックに共有されるといいんではないかと。もしかしてそれに似たようなことは既に行われているのかもしれませんけれども、より一層そういった取組が進められたらいいんじゃないかというふうに考えております。
加
加田裕之#15
○加田裕之君 ありがとうございます。
やはり、先ほど先生おっしゃいました気付きというナッジ理論みたいな形をやはり私も適用していくべきだと思います。そういうもののミスマッチの解消という部分につきましても、また我々も検討して参考にさせていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
この発言だけを見る →やはり、先ほど先生おっしゃいました気付きというナッジ理論みたいな形をやはり私も適用していくべきだと思います。そういうもののミスマッチの解消という部分につきましても、また我々も検討して参考にさせていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
福
小
小沼巧#17
○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧です。
まずは、三人の参考人の方々、お時間をいただき、またそして貴重な御意見をいただきまして、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
私からは、まず久我参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
一つ資料としてございますのが、十一ページに物価高、上昇と、あとは実際に取った行動ということで示されておられました。ここで、確かに最初にできるだけ不要なものは買わないんだなということがまずあって、安い製品へ乗り換えるというのがその約半分ぐらいの割合になっていたということは、私自身も実は驚きでございました。
ここでお伺いしたいのは、このような傾向というものはこの時点だけのものなのか、それとも、実は物価高とかコロナとかそれよりも前から、よりも昔から継続して続いているものなのかと。このことについて、この調査結果ということが、傾向は昔から認められるのかどうなのか、それとも、特異に、今回の状況を踏まえて今回は特異にこのような傾向が出たのか、これについての分析と御見解があれば御知見をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →まずは、三人の参考人の方々、お時間をいただき、またそして貴重な御意見をいただきまして、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
私からは、まず久我参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
一つ資料としてございますのが、十一ページに物価高、上昇と、あとは実際に取った行動ということで示されておられました。ここで、確かに最初にできるだけ不要なものは買わないんだなということがまずあって、安い製品へ乗り換えるというのがその約半分ぐらいの割合になっていたということは、私自身も実は驚きでございました。
ここでお伺いしたいのは、このような傾向というものはこの時点だけのものなのか、それとも、実は物価高とかコロナとかそれよりも前から、よりも昔から継続して続いているものなのかと。このことについて、この調査結果ということが、傾向は昔から認められるのかどうなのか、それとも、特異に、今回の状況を踏まえて今回は特異にこのような傾向が出たのか、これについての分析と御見解があれば御知見をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
久
久我尚子#18
○参考人(久我尚子君) 御質問ありがとうございます。
そうですね、こちらの設問の枠組み自体が物価高を実感して取った行動ですので、ちょっとこれまで設問の枠組みとしてデフレ進行下でできていないというのがあるので、これまでとどうかということはちょっと比較が難しいと思います。
ただ一方で、一九九〇年代から消費生活を振り返りますと、安くて品質が良かったり無料で楽しめるサービスなどがネット上も広がる中で、やはりコスパとか、最近ではタイパ、タイムパフォーマンスを意識するという消費行動が若い世代だけではなくて広がってきているというのを見ると、やっぱり商品を大量消費するというよりは必要なものを効率的に使っていくという志向が高まっていて、不要に物を持たない、サブスクとかシェアを利用して不要なものは買わないで必要なときに必要な量だけ利用するという志向は消費行動の土台として成長しているかとは思います。
以上で大丈夫でしょうか。
この発言だけを見る →そうですね、こちらの設問の枠組み自体が物価高を実感して取った行動ですので、ちょっとこれまで設問の枠組みとしてデフレ進行下でできていないというのがあるので、これまでとどうかということはちょっと比較が難しいと思います。
ただ一方で、一九九〇年代から消費生活を振り返りますと、安くて品質が良かったり無料で楽しめるサービスなどがネット上も広がる中で、やはりコスパとか、最近ではタイパ、タイムパフォーマンスを意識するという消費行動が若い世代だけではなくて広がってきているというのを見ると、やっぱり商品を大量消費するというよりは必要なものを効率的に使っていくという志向が高まっていて、不要に物を持たない、サブスクとかシェアを利用して不要なものは買わないで必要なときに必要な量だけ利用するという志向は消費行動の土台として成長しているかとは思います。
以上で大丈夫でしょうか。
小
小沼巧#19
○小沼巧君 ありがとうございました。
中長期的な傾向として参考にさせていただきました。ありがとうございます。
次に、酒井参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
雇用のセーフティーネットということについて、まさに今回の御説明いただいた内容というのは非常に有意義なものであったなと思います。その中で、九ページにございますところのセーフティーネット全体として見たときに穴がないことということは非常に重要な概念かなと思ってございます。
その中で、どうしても、先ほどの質疑の中でもございましたが、いわゆるこの求職者支援等を見たときに、ここでの単語でございますと職業訓練ということ等あると思いますが、まさに誰にとってどのような職業訓練が必要なのかということは真剣に考えなければいけない論点であり、なかなか一意に答えが出ないようなところだなというのは私も承知しております。
昨今の中では、いわゆるリスキリング等の表現がいろいろ各方面で使われているところでございますけれども、先生から御覧になっていただいたときに、リスキリングということについて、あるべき対象、誰にとってということですね、そしてどのような職業訓練が必要なのかということ、ここの勘どころといったものは先生にとってどのように考えていらっしゃるのか、ここについて御意見をお伺いできればと思います。
この発言だけを見る →中長期的な傾向として参考にさせていただきました。ありがとうございます。
次に、酒井参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
雇用のセーフティーネットということについて、まさに今回の御説明いただいた内容というのは非常に有意義なものであったなと思います。その中で、九ページにございますところのセーフティーネット全体として見たときに穴がないことということは非常に重要な概念かなと思ってございます。
その中で、どうしても、先ほどの質疑の中でもございましたが、いわゆるこの求職者支援等を見たときに、ここでの単語でございますと職業訓練ということ等あると思いますが、まさに誰にとってどのような職業訓練が必要なのかということは真剣に考えなければいけない論点であり、なかなか一意に答えが出ないようなところだなというのは私も承知しております。
昨今の中では、いわゆるリスキリング等の表現がいろいろ各方面で使われているところでございますけれども、先生から御覧になっていただいたときに、リスキリングということについて、あるべき対象、誰にとってということですね、そしてどのような職業訓練が必要なのかということ、ここの勘どころといったものは先生にとってどのように考えていらっしゃるのか、ここについて御意見をお伺いできればと思います。
酒
酒井正#20
○参考人(酒井正君) 非常に難しいテーマだと思うんですけれども、まず、先ほど申し上げたように、実は誰にこういった職業訓練、訓練機会が足りないのかということを最初に考える必要があると。私の考えでは、やはり正規雇用に比べれば非正規雇用という人たちに訓練機会が足りないので、この人たちを優先するような施策が必要だと。ただ、一方で、もしかして正規雇用の中でも結構差があるのかもしれないという議論も出てくるんじゃないかというふうにも思います。正規雇用の人たちが一律に訓練機会に恵まれているかどうか、それもちょっと調べてみないと分からないんじゃないかなという気がしておりまして、そういうところはきめ細かに把握する必要があるだろうというふうに思っております。
ただ、このくらいまでだったらまだ比較的シンプルな話かと思うんですけれども、例えばそれぞれの雇用形態の中でどういう人たちにどういったそのスキルアップの機会を提供すべきかということになると、非常に難しくなってくるんじゃないかというふうに思います。先ほどの質問に対する答えとも重複してくるんですけれども、例えばIT産業、ITに対する教育を行って、単純にIT業界に就職できるのか、あるいはそういうことが本当に労働者にとってハッピーなのか、あるいは企業、労働需要側がそういうことを望んでいるのかというと、どうもそうじゃないという話も出てくるわけですね。
そこで、やはり重要なことは、何かその産業単位とか職種レベル、産業レベル、職種レベルでそういったスキルアップというものを考えるんではなくて、もっとタスクベースで考える。何のタスクの、何のタスクに対するスキルが必要なのかというレベルで考えて、例えば、状況によっては、その本人が同業、同職種での再就職を希望しているというような状況でも、実は違う産業なんだけれども、あなたがハッピーになれるようなスキルアップの機会、それによって希望するようなポジションに転職できるんだというようなことがあれば、そういったことを提供できるような、もっときめ細かな、何というんですか、マトリックスを描いて移動を考えていくような仕組みが必要なのかなというふうに考えております。
この発言だけを見る →ただ、このくらいまでだったらまだ比較的シンプルな話かと思うんですけれども、例えばそれぞれの雇用形態の中でどういう人たちにどういったそのスキルアップの機会を提供すべきかということになると、非常に難しくなってくるんじゃないかというふうに思います。先ほどの質問に対する答えとも重複してくるんですけれども、例えばIT産業、ITに対する教育を行って、単純にIT業界に就職できるのか、あるいはそういうことが本当に労働者にとってハッピーなのか、あるいは企業、労働需要側がそういうことを望んでいるのかというと、どうもそうじゃないという話も出てくるわけですね。
そこで、やはり重要なことは、何かその産業単位とか職種レベル、産業レベル、職種レベルでそういったスキルアップというものを考えるんではなくて、もっとタスクベースで考える。何のタスクの、何のタスクに対するスキルが必要なのかというレベルで考えて、例えば、状況によっては、その本人が同業、同職種での再就職を希望しているというような状況でも、実は違う産業なんだけれども、あなたがハッピーになれるようなスキルアップの機会、それによって希望するようなポジションに転職できるんだというようなことがあれば、そういったことを提供できるような、もっときめ細かな、何というんですか、マトリックスを描いて移動を考えていくような仕組みが必要なのかなというふうに考えております。
小
小沼巧#21
○小沼巧君 ありがとうございました。
それでは次に、小峰参考人にお伺いいたします。
平成の経済情勢を振り返っていただくということで、非常に示唆に富むところかなと思いました。様々な政権交代も含めていろんなこともあったということ、私自身も当時、違う役所でありましたけれども、官僚として働いていた経験があったものですから、この辺のところも含めて理解をするところでございます。
先生のところで一番面白いなと思ったところが十一ページで、新たなガバナンスの陰には失われたガバナンスありというところでありまして、伺ってみたいのは、やっぱり経済企画庁とか経済審議会の失われたものの中にあるところについて伺ってみたいと思うんです。
先生の言葉を、このパワーポイントの資料を借りますと、バブルにいたときは分からなかったということがありました。また、不良債権に対しては認識の甘さということも先生のパワポの中にはありました。しかし、こういった中でも経済企画庁という官庁自体は存在をしていたということを考えてみると、そういったまさにところがあったとしても、制度としてはあったとしても、どうして分からないとかあるいは認識が実際問題甘いということになってしまうことになったのか。役所なり箱があったとしても、その議論をしていく調査研究の観点でありますとかミッション設定そのものに改善の余地が実はあったのではないだろうかと、このように思うところなんですけれども、それについてお伺いしたいのが一点目でございます。
関連して、二点目。そういった制度があったとしても、実際、内閣府の方に統合されているところでありますけれども、その中長期的なあるいは現状経済を正しく認識する、今の経済情勢がもし誤ってしまっているのだとすれば正しい現状認識をしていくということがどのような政策立案するにしても最も基礎的なところ、前提となると思いますが、正しい現状認識をするためには現行の制度において追加で加えるべきことなどについて、御知見があれば、御意見があればお伺いさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →それでは次に、小峰参考人にお伺いいたします。
平成の経済情勢を振り返っていただくということで、非常に示唆に富むところかなと思いました。様々な政権交代も含めていろんなこともあったということ、私自身も当時、違う役所でありましたけれども、官僚として働いていた経験があったものですから、この辺のところも含めて理解をするところでございます。
先生のところで一番面白いなと思ったところが十一ページで、新たなガバナンスの陰には失われたガバナンスありというところでありまして、伺ってみたいのは、やっぱり経済企画庁とか経済審議会の失われたものの中にあるところについて伺ってみたいと思うんです。
先生の言葉を、このパワーポイントの資料を借りますと、バブルにいたときは分からなかったということがありました。また、不良債権に対しては認識の甘さということも先生のパワポの中にはありました。しかし、こういった中でも経済企画庁という官庁自体は存在をしていたということを考えてみると、そういったまさにところがあったとしても、制度としてはあったとしても、どうして分からないとかあるいは認識が実際問題甘いということになってしまうことになったのか。役所なり箱があったとしても、その議論をしていく調査研究の観点でありますとかミッション設定そのものに改善の余地が実はあったのではないだろうかと、このように思うところなんですけれども、それについてお伺いしたいのが一点目でございます。
関連して、二点目。そういった制度があったとしても、実際、内閣府の方に統合されているところでありますけれども、その中長期的なあるいは現状経済を正しく認識する、今の経済情勢がもし誤ってしまっているのだとすれば正しい現状認識をしていくということがどのような政策立案するにしても最も基礎的なところ、前提となると思いますが、正しい現状認識をするためには現行の制度において追加で加えるべきことなどについて、御知見があれば、御意見があればお伺いさせていただきたいと思います。
小
小峰隆夫#22
○参考人(小峰隆夫君) 御質問ありがとうございます。
一番目の、企画庁があっても不良債権の深刻さとかバブルのことは見抜けなかったではないかというのは、まさにそのとおりだと思います。
私も、当時企画庁におりましたけれども、バブルのときにはやはり、バブルの、資産価格の上昇にはそれなりの理由があったというような説明もあって、なかなかそれに対して私自身がこれは違うんじゃないかというふうに思っていたわけではないということがありますし、それから不良債権の方は、これは実態が分からなかったというのが正直なところです。いろいろ海外で何十兆というような推計が出てきても、当時、大蔵省からは、これこれですと、七兆から八兆ですというような数字が出てきて、なかなかこれは、企画庁で独自にそういった点を、実態を把握するのは難しいという点があるということですので、当然、企画庁のような組織があったり官庁エコノミストがいるから万全だと、それが、そういった組織があれば問題は起こらないということはないというふうに思います。
それから、制度があれば正しく認識できるのかという点については、率直に言って、役人とか官僚というのは時の内閣の指揮下にあるわけですから、官僚が政策の過ちを正すというのは、これはなかなか難しいんじゃないかと思います。
その役割を官僚に担わせるというのはちょっと酷な面があるんじゃないかというふうに思いますので、私は、そういう政策について客観的なデータでそれを評価したりするのはやはり別の組織、これは最近よく独立財政機関というアイデアがありますけれども、例えば財政の見通しを出そうとすると、名目成長率は三%という前提を置くわけですけれども、これは政府の目標が、成長戦略の目標は三%になっているので、それと違う前提を置くと、じゃ、政府は三%は無理だと思っているのかということになってしまいますので、ちょっと本質的に無理があるんですね。ですから、そこは政府とはまた違った独立財政機関であればそういった制約がないのでリーズナブルな前提を置いて財政の見通しを出すということができるということで、これは諸外国でもいろいろできておりますので、財政状態が一番深刻な日本においてこそそういった独立財政機関の設置を真剣に議論すべきではないかというふうに思います。
この発言だけを見る →一番目の、企画庁があっても不良債権の深刻さとかバブルのことは見抜けなかったではないかというのは、まさにそのとおりだと思います。
私も、当時企画庁におりましたけれども、バブルのときにはやはり、バブルの、資産価格の上昇にはそれなりの理由があったというような説明もあって、なかなかそれに対して私自身がこれは違うんじゃないかというふうに思っていたわけではないということがありますし、それから不良債権の方は、これは実態が分からなかったというのが正直なところです。いろいろ海外で何十兆というような推計が出てきても、当時、大蔵省からは、これこれですと、七兆から八兆ですというような数字が出てきて、なかなかこれは、企画庁で独自にそういった点を、実態を把握するのは難しいという点があるということですので、当然、企画庁のような組織があったり官庁エコノミストがいるから万全だと、それが、そういった組織があれば問題は起こらないということはないというふうに思います。
それから、制度があれば正しく認識できるのかという点については、率直に言って、役人とか官僚というのは時の内閣の指揮下にあるわけですから、官僚が政策の過ちを正すというのは、これはなかなか難しいんじゃないかと思います。
その役割を官僚に担わせるというのはちょっと酷な面があるんじゃないかというふうに思いますので、私は、そういう政策について客観的なデータでそれを評価したりするのはやはり別の組織、これは最近よく独立財政機関というアイデアがありますけれども、例えば財政の見通しを出そうとすると、名目成長率は三%という前提を置くわけですけれども、これは政府の目標が、成長戦略の目標は三%になっているので、それと違う前提を置くと、じゃ、政府は三%は無理だと思っているのかということになってしまいますので、ちょっと本質的に無理があるんですね。ですから、そこは政府とはまた違った独立財政機関であればそういった制約がないのでリーズナブルな前提を置いて財政の見通しを出すということができるということで、これは諸外国でもいろいろできておりますので、財政状態が一番深刻な日本においてこそそういった独立財政機関の設置を真剣に議論すべきではないかというふうに思います。
小
小沼巧#23
○小沼巧君 ありがとうございます。
小峰参考人に追加でというか更問いをさせていただければと思いますが、その第三者的な意味で独立的な機関を置くということが客観的な現状認識、より正しい現状認識に近づくんだろうなということは私も同感であります。
その意味で、もし仮に、ここからは仮定の話でありますけれども、御自身の御経験などを踏まえて御自由に御意見いただければという前提なんですが、独立的なそういった第三者機関を設置する場合に、実際に既存の官庁の中で経済分析とか調査をしていたり様々な政策を練っていくこととの何かしらのそごというものが生じる可能性はありそうなのか、あるとすればどういう点に留意しなければならないのか、御自身の御経験交えて御意見をいただければと思います。
この発言だけを見る →小峰参考人に追加でというか更問いをさせていただければと思いますが、その第三者的な意味で独立的な機関を置くということが客観的な現状認識、より正しい現状認識に近づくんだろうなということは私も同感であります。
その意味で、もし仮に、ここからは仮定の話でありますけれども、御自身の御経験などを踏まえて御自由に御意見いただければという前提なんですが、独立的なそういった第三者機関を設置する場合に、実際に既存の官庁の中で経済分析とか調査をしていたり様々な政策を練っていくこととの何かしらのそごというものが生じる可能性はありそうなのか、あるとすればどういう点に留意しなければならないのか、御自身の御経験交えて御意見をいただければと思います。
小
小峰隆夫#24
○参考人(小峰隆夫君) そこはなかなか、ちょっとやってみないと分からないというところがありまして、恐らくやればやったでいろいろな現実的な問題いろいろ出てくると思いますが、例えば本当に財政の見通しを作るというときに成長率の前提をどう置くかというのは、まあこれはエコノミストであれば大体できるんですが、例えば細かい社会保障の前提で、このまま行ったらどういう社会保障支出が必要になるのかとか、それから、そういった細かいところはなかなか外部の人間には分からないところがあるので、こういった点はどうしても行政組織の協力を得なければいけないということになると思います。
そうすると、協力を得る過程でやはりある程度の行政当局の希望的観測が入り込んでくる余地はありますので、そこはちょっとなかなか難しい問題だなというふうに思いますが、理想的に言えば、なるべくそういった議論の過程を広く公開することによって多くの人のチェックを経ながら進めていくということにすれば、多少はそういうバイアスは免れるのかなという感じがいたします。
この発言だけを見る →そうすると、協力を得る過程でやはりある程度の行政当局の希望的観測が入り込んでくる余地はありますので、そこはちょっとなかなか難しい問題だなというふうに思いますが、理想的に言えば、なるべくそういった議論の過程を広く公開することによって多くの人のチェックを経ながら進めていくということにすれば、多少はそういうバイアスは免れるのかなという感じがいたします。
小
福
竹
竹内真二#27
○竹内真二君 公明党の竹内真二です。
三人の参考人の皆様には御多忙の中御出席をいただき、誠にありがとうございます。
初めに、小峰参考人に質問をいたします。平成の経済を振り返りまして今に持ち越された課題というものを分かりやすく説明をいただき、本当にありがとうございました。
二点お聞きします。
最初に、その平成経済というものを見てきたエコノミストの参考人の立場から、この平成の時代というのは、もう一つ、社会保障制度の改革、見直しというものも非常にいろんな形で行われた約三十年間だったと思うんですけれども、最後、平成の終わりには子育て支援というものが加わって、全世代型社会保障という形で今に引き継がれております。
そこで、この平成の時代の社会保障制度改革、またその変遷みたいなものを、エコノミストの立場からはどのように実感され御覧になってきたのかを、受け止めをお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →三人の参考人の皆様には御多忙の中御出席をいただき、誠にありがとうございます。
初めに、小峰参考人に質問をいたします。平成の経済を振り返りまして今に持ち越された課題というものを分かりやすく説明をいただき、本当にありがとうございました。
二点お聞きします。
最初に、その平成経済というものを見てきたエコノミストの参考人の立場から、この平成の時代というのは、もう一つ、社会保障制度の改革、見直しというものも非常にいろんな形で行われた約三十年間だったと思うんですけれども、最後、平成の終わりには子育て支援というものが加わって、全世代型社会保障という形で今に引き継がれております。
そこで、この平成の時代の社会保障制度改革、またその変遷みたいなものを、エコノミストの立場からはどのように実感され御覧になってきたのかを、受け止めをお聞きしたいと思います。
小
小峰隆夫#28
○参考人(小峰隆夫君) ありがとうございます。
ちょっと私自身は社会保障の専門家ではないのでどの程度正確なお答えができるか分かりませんが、私の印象では、やはり社会保障というのが財政改革にとってみるとかなり大きなハードルになったことが多かったという印象があります。
社会保障は、当然、現在は高齢者向けの社会保障が中心ですから、年金、医療、介護、こういったものは高齢化が進むと自然増でどんどん増えていくということになります。そうすると、当然、それに対して財源をどうするのか、また合理化をどう進めるのかという点が中心になるんですが、ところが、世間一般では、社会保障はより充実すべきものだという意識が非常に強いと。そういうギャップがあるのが常であるわけですね。
したがって、財政改革等で消費税を上げようとしたり、それから社会保障の歳出を削ろうとしたりということをやったときに相当大きな国民的な反発を受けることが多いということで、社会保障の改革というのは、そういう反発を受けるきっかけとしてよくそれが登場してきた。これ、小泉内閣のときもそうでしたし、安倍内閣ではむしろ消費税をなかなか上げられないという形で同じようなことが起きましたので、そういう国民的希望が強い分だけ改革を難しくする役割、そういうことが多かったのではないかなというのが私の印象です。
この発言だけを見る →ちょっと私自身は社会保障の専門家ではないのでどの程度正確なお答えができるか分かりませんが、私の印象では、やはり社会保障というのが財政改革にとってみるとかなり大きなハードルになったことが多かったという印象があります。
社会保障は、当然、現在は高齢者向けの社会保障が中心ですから、年金、医療、介護、こういったものは高齢化が進むと自然増でどんどん増えていくということになります。そうすると、当然、それに対して財源をどうするのか、また合理化をどう進めるのかという点が中心になるんですが、ところが、世間一般では、社会保障はより充実すべきものだという意識が非常に強いと。そういうギャップがあるのが常であるわけですね。
したがって、財政改革等で消費税を上げようとしたり、それから社会保障の歳出を削ろうとしたりということをやったときに相当大きな国民的な反発を受けることが多いということで、社会保障の改革というのは、そういう反発を受けるきっかけとしてよくそれが登場してきた。これ、小泉内閣のときもそうでしたし、安倍内閣ではむしろ消費税をなかなか上げられないという形で同じようなことが起きましたので、そういう国民的希望が強い分だけ改革を難しくする役割、そういうことが多かったのではないかなというのが私の印象です。
竹
竹内真二#29
○竹内真二君 済みません、小峰参考人にもう一問です。
資料の中に、異次元の少子化対策を考えるとあって、少子化関連の予算充実をとも強調されて、一つの政策として子供保険の創出も有力な手段という形で説明をされておりました。
この子供保険についてはいろんな考え方があると思うんですけれども、この一つの有力な手段とされた理由と、仮に導入する場合にはどのような課題があるのか、教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →資料の中に、異次元の少子化対策を考えるとあって、少子化関連の予算充実をとも強調されて、一つの政策として子供保険の創出も有力な手段という形で説明をされておりました。
この子供保険についてはいろんな考え方があると思うんですけれども、この一つの有力な手段とされた理由と、仮に導入する場合にはどのような課題があるのか、教えていただきたいと思います。