総務委員会

2024-04-16 衆議院 全111発言

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会議録情報#0
令和六年四月十六日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 古屋 範子君
   理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君
   理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君
   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君
   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君
      井原  巧君    石田 真敏君
      尾身 朝子君    金子 恭之君
      川崎ひでと君    木村 次郎君
      国光あやの君    坂井  学君
      鈴木 英敬君    鈴木 隼人君
      田畑 裕明君    寺田  稔君
      中川 貴元君    西田 昭二君
      西野 太亮君    根本 幸典君
      葉梨 康弘君    長谷川淳二君
      鳩山 二郎君    古川 直季君
      宮路 拓馬君    保岡 宏武君
      おおつき紅葉君    奥野総一郎君
      堤 かなめ君    馬場 雄基君
      道下 大樹君    阿部  司君
      中嶋 秀樹君    吉田とも代君
      平林  晃君    宮本 岳志君
      西岡 秀子君    吉川  赳君
    …………………………………
   総務大臣政務官      西田 昭二君
   総務大臣政務官      長谷川淳二君
   参考人
   (虎ノ門南法律事務所弁護士)           上沼 紫野君
   参考人
   (龍谷大学法学部教授)  金  尚均君
   参考人
   (国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)        山口 真一君
   総務委員会専門員     阿部 哲也君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十六日
 辞任         補欠選任
  尾身 朝子君     鈴木 隼人君
  西田 昭二君     木村 次郎君
  鳩山 二郎君     鈴木 英敬君
  岡本あき子君     馬場 雄基君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 次郎君     西田 昭二君
  鈴木 英敬君     宮路 拓馬君
  鈴木 隼人君     尾身 朝子君
  馬場 雄基君     堤 かなめ君
同日
 辞任         補欠選任
  宮路 拓馬君     鳩山 二郎君
  堤 かなめ君     岡本あき子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案(岩谷良平君外一名提出、第二百十二回国会衆法第一五号)
     ――――◇―――――
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古屋範子#1
○古屋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案及び第二百十二回国会岩谷良平さん外一名提出、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 本日は、両案審査のため、参考人として、虎ノ門南法律事務所弁護士上沼紫野さん、龍谷大学法学部教授金尚均さん及び国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授山口真一さん、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、各参考人からそれぞれ十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず上沼参考人、お願いいたします。
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上沼紫野#2
○上沼参考人 ただいま御紹介にあずかりました弁護士の上沼と申します。
 本日は、貴重な機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
 私は、誹謗中傷等違法・有害情報対策に関するワーキンググループの副主査として、本改正の前提となる検討会に携わってまいりました。その立場から、本件に関し、少し意見を述べさせていただきたいと思います。お手元の資料に沿ってお話をさせていただこうと思います。
 まず、本検討の前提としてのSNS利用の現状についてお話をさせていただきます。
 皆様御承知のところだとは思いますが、インターネット以前については、意見表明の機会というものがマスメディアにしかなく、各人はそれぞれの小さな規模のグループの中でお話をするだけということになっていました。ところが、インターネット時代により、各ユーザーがそれぞれ意見を表明する機会を世界に対して持てるようになったということが一番のインターネット時代の特徴かと思っております。
 おめくりいただいて、次のSNS利用の現状のソーシャルメディア利用者数の推移及び予測のところを御覧ください。これを見ていただければ分かるとおり、ソーシャルメディアの利用者数というのは増加の傾向を示しており、これが減少するということは恐らくないというふうに思われます。
 それを前提に六ページを御覧いただくと、要するに、インターネット上の世界というものが相隣関係を模すことができるのではないかというふうに思われるわけです。法的紛争の典型例に相隣関係というお隣同士の紛争というものがあるわけですけれども、これは、人同士の接触があると一定の摩擦が生じ得るということを表しているものです。人が多くなり接触の機会が増えると、どうしても摩擦が避けられないということになります。
 おめくりください。七ページが、インターネット空間における人と人の関係を示した模式図になります。このように、インターネット上では人と人とが常にお隣同士という関係になっており、これはどうしても紛争というか摩擦が避けられない状況かというふうに思います。ここで白い丸で示されている部分というのが、いわゆるプラットフォームということを私としては示したものということになります。ここのプラットフォームごとに町というかコミュニティーを形成しており、プラットフォーム事業者がそれぞれの町をつくっているというようなものがインターネット上の社会というふうになると思います。
 これを前提に、本改正の背景について御説明いたします。八ページ目ですね。これは、私がリーガルアドバイザーを務めている総務省の受託事業であるインターネットの違法・有害情報相談センターの相談件数です。このとおり増加の傾向を示しており、これが減少するということは基本的にはございません。若干減少部分が見えるのは、コロナの対応により人との接触が若干増えたことによるものかと思っております。
 おめくりいただければと思います。このようにインターネット上の相談が増えているということに関し、被害者の救済手段として何があるのかということを示した図が九ページにあります。被害者の救済手段としては、過去の権利侵害に対する損害賠償と、今現在権利侵害の情報がネット上に載っていることについて、現在進行形で進行する権利侵害に対する削除という二つの救済手段がございます。
 このうちの過去の部分に関しては、二〇二二年の十月施行のプロバイダー責任制限法の発信者情報開示請求の手続の簡易化と申しましょうか、によってある程度の手当てがなされているところです。これに対し、削除については、プロバイダー責任制限法が制定されたときから特に手当てはされていなかったというものでございます。ところが、被害者にしてみれば、削除がされない限り現在進行形で侵害が継続するので、削除が極めて重要な手段であるということになります。
 それを前提に、十ページのお話になりますが、先ほどインターネットの社会についてお話をしたときに、それぞれのコミュニティーというか町をプラットフォーム事業者がつくっていると考えることができるのではないかというふうに申し上げました。
 プラットフォーム事業者がインターネット上の権利侵害情報に関してどのような関わりがあるかと申し上げますと、まず、権利侵害情報に関し条理上の削除義務を負うということが裁判例で言われております。また、自ら管理する場所の利用ルール、自らつくった町のルールを自らが決定できるということもあります。さらに、今のインターネットの世界では、ネット上、プラットフォーム上で発言ができるかできないかということで、意見表明の機会の場があるかどうかということが重要ですので、事実上のパブリックフォーラムとしての側面、そして、町ですので、いわゆる被害者と加害者の双方が混在するというのがプラットフォーム事業者の特性でございます。
 このような前提に基づき、今回の改正のポイントを、おめくりいただいた十一ページからお話をさせていただきます。
 改正のポイント、三つお話をさせていただきますが、まず一つ目が、被害者救済のための事業者による削除対応の迅速化というところです。先ほど申し上げたとおり、削除がされない限り被害が続くということですので、被害者から見て分かりやすく、迅速な削除のための体制整備というのが非常に重要です。
 具体的には、そもそも削除のための窓口が分からない、あるいは日本語で削除請求ができないなどということがないように、分かりやすい窓口と手続を整備していただきたい。そして、一旦削除請求をした後に、削除の対応がされているのかされていないのか不明であるということがないように、一定期間内での対応を要請したいというふうに思っています。この場合の期間の目安に関しては、過去の楽天チュッパチャプス事件などの裁判例及びアンケート結果などにより一週間程度が妥当ではないかとは考えておりますが、これは法律では十四日以内というような規定になっていると承知しております。
 そして、二つ目のポイントが、事業者による削除等の運用状況の透明化です。事業者が策定するルールは町づくりの基本であります。町に適用するルールはユーザーである住民にとって重要な関心事です。あらかじめ何が削除の対象になるかということは明らかになっているべきだというふうに考えます。
 そして、この部分に関して、十四ページですけれども、違法、有害情報に関しては、この四つの分類で検討することが多いわけですけれども、左半分は違法情報ですので、元々法律で禁止されている、あるいは権利侵害という情報です。そのうち右の部分は法律で決められていない情報ですので、どのような情報を削除するかしないかということは事業者自体が決定する必要があるということです。決定したものはあらかじめルールとして明示しておいてくださいということをお願いしたものが、この透明化ということになります。
 さらに、おめくりいただいて十五ページです。事業者による削除等の運用状況についても透明化を徹底していただきたいというふうに考えております。ユーザーが町の住民であることからすれば、事前にルールが明らかになっているだけではなく、一旦、自分が削除の対象、あるいはアカウントバン、そもそもサービスの提供が受けられないというような措置を受けた場合に、何が削除対象になったのか、あるいはならなかったのかということを知らせていただきたいというふうに思うわけです。そうでなければ何が起こったのかも分からず、安心して町には住めませんし、仮に行われた措置が不服であった場合であっても、それに対する不服申立てもできないということになります。そういう意味で、運用状況についての透明化というのも非常に重要なものだというふうに理解しております。
 最後に、これも重要な点ですが、一番最初に申し上げたとおり、インターネットにより意見表明の場というのが、各個人に対して機会が与えられるようになりました。これは非常にメリットだというふうに思っております。
 それが表現の自由として尊重されるべきことではありますが、その一方で被害者の救済というのも非常に重要なことであります。そのバランスをどういうふうに取っていくのかということを重要だというふうに考えておりますので、このバランスをどういうふうに検討するかという結果が今回の改正というふうになっており、基本的には、あらかじめ透明化していただく、そして迅速に行うべきことは対応していただくということを、町をつくったプラットフォーム事業者の方に自主的に取り組んでいただくということで、このバランスを取っていきたいなというふうに考えている次第です。
 私の方からは以上となります。拍手
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古屋範子#3
○古屋委員長 次に、金参考人、お願いいたします。
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金尚均#4
○金参考人 おはようございます。金尚均と申します。
 それでは、私の意見を述べさせていただきます。
 資料にございます一ページ目の一から五、これが概要ですが私の意見でございます。では、それに基づきまして以下説明させていただきます。
 現状のプロバイダー責任法では、いわゆる権利侵害の被害者が、いわゆる発信者、違法情報を投稿した者が誰であるのかということを特定し、それに基づいて損害賠償について定める、そういったようなことを主に規定してきました。他方で、プロバイダーの責任を制限するというふうなたてつけになっております。そこでは、いわゆるデジタルプラットフォーム、SNS事業者に対して、内部苦情処理の制度並びにその透明性については何ら法的には定められてこなかったというふうなことでございます。
 しかし、この間、ヘイトスピーチを始めとして様々な違法情報が社会の中で問題になる中、二〇二〇年九月、総務省はインターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージを策定し、プラットフォーム事業者の取組支援と透明性、アカウンタビリティー向上を促進してまいりました。ここではいわゆるソフトロー、非規制的な方式でSNS事業者に事業内容開示を求めるというふうなやり方を取ってきたわけでございます。
 しかし、二〇二二年三月七日、ツイッターの清水氏の発言がございました。そこでは、開示する理由を議論されていないまま開示することを求められているような気がしますとの、いわゆる法的根拠ないしは規制のないまま自らの事業の内容を開示しなければいけないことの理由、これについて反論があったわけです。これは、総務省等々に非常にショックを与えたというふうなことでございます。
 そこで、二〇二二年八月、総務省の研究会が公表した第二次取りまとめでは、プラットフォーム事業者による運用の透明性やアカウンタビリティーの確保が不十分であるというふうなことから、行政からの一定の関与というものが必要であるということが具体化されたわけでございます。そういった中、今回の法案につきましては、いわゆるSNS上の違法情報による被害の深刻化を前にして、情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律として、事態の改善のために大きな一歩を踏んだというふうに評価できるかと思います。
 その上で、本案に言及したいと思います。
 まず、定義についてでございます。二ページ目、第二条の六号、侵害情報につきまして、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報をいうというふうに定義されております。しかし、この日本におきまして、インターネット上の問題が起きた大きな一つの理由というものは、明らかに二〇一〇年以降巻き起こったヘイトスピーチなど差別的言動にあったのではないでしょうか。
 その証拠として、二〇一六年以降に施行された反差別法を御覧ください。いわゆるヘイトスピーチ解消法ですね。二〇一六年六月に施行されました。これを皮切りに様々な法律ができたわけです。
 例えば、部落差別解消法の一条によりますと、この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、ここです、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じているというふうに、明らかにインターネットの問題を指し示しているわけでございます。
 米印に行きまして、ヘイトスピーチ解消法の、こちら衆議院の附帯決議などを見てみますと、一号で、ヘイトスピーチというのは何も外国人だけに向けられるものではないというふうな注意書きが示され、かつ、三号で、ここです、インターネットを通じて行われる本邦外出身者に対する不当な差別的言動を助長し、又は誘発する行為の解消に向けた取組に関する施策を実施することというふうな附帯決議が示されるに至っております。
 これを受けて、二〇一九年三月八日、法務省人権擁護局調査救済課長の依命通知によりますと、集団等が差別的言動の対象とされている場合であっても、1その集団等を構成する自然人の存在が認められ、かつ、2その集団等に属する者が精神的苦痛を受けるなどの具体的被害が生じている又はそのおそれがあると認められるのであれば特定の者に対し差別的言動があったというふうに評価すべきというふうな依命通知が出されるに至っております。
 そういったようなことも踏まえまして、三ページ目の真ん中、(二)ですね、提案をさせていただきたいと思います。
 二条の定義に、不当な差別的言動という規定を入れるべきだろうというふうなことでございます。それは、不当な差別的言動、総務省令で定める要件に該当する言動のことをいうという一文を加えるべきではないかというふうな提案でございます。この総務省令で定める要件に該当する言動とは、先ほど示しました二〇一六年以降に施行された反差別法のことを指します。又は以下にあります不当な差別的言動、公然と以下の要件を示すべきではないか。この要件は、昨年出版されました国連高等弁務官事務所の包括的反差別法制定のための実践ガイド、これに基づいて作成させていただきました。
 これにより、第二条、侵害情報というものは、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報又は総務省令で定める要件に該当する不当な差別的言動をいうというふうに規定すべきではないかというのが私の提案でございます。
 三ページから四ページに行きます。三番目、侮辱罪の重罰化でございます。この間、刑法二百三十一条の侮辱罪が改正され、重罰化されました。これは、いわゆる被害者の保護というふうな観点で大きな変化があったというふうに言えます。それによって刑事訴追時効が一年から三年に延びるというふうな変化もございます。
 しかし、刑法二百三十条の名誉毀損並びに二百三十一条の侮辱罪を含めても、日本では年間の有罪件数が二百件足らずなんです。それに対してドイツでは三万件ある。これをどのように見るかというふうなことです。同じ法文化を持つドイツと日本において、なぜこれだけ違うのか。いわゆる精神的な法益、精神的な名誉というふうなものについて、日本とドイツでは価値が違うのかというふうな問題を私たちは直視すべきではないかというふうに思います。そういったようなことから、捜査機関における精神的法益の被害に対する認識の改善の必要性がまず何においてもなければいけない、被害者に寄り添った警察による聴取というふうな手続がなければいけないというふうに考えます。
 二番目、侵害情報送信防止措置、いわゆる削除の問題であります。なぜ削除が必要なのかというふうなことでございます。
 これは、削除の目的で、情報の拡散を防ぎ、被害を最小限にとどめるというものです。先生方御存じのように、インターネットの情報はコピペされ、そしてシェアされるわけです。そうすることによって、発信者でも手がつけられない状況になる。そして、それによってどういうふうになるか。例えば、今の私の話を先生方はお弁当を食べたら忘れてしまうわけです。何を話していたか忘れるわけです。しかし、インターネットの情報は忘れられないんです。ここが問題です。
 こういったような点に鑑みまして、インターネット上に掲載された情報は、速報性、広域性、拡散性に特徴があり、その情報がコピーされシェアされインターネット上に残る限り被害者の侵害は継続されるわけです。終わらないんです。ここがオフラインの名誉毀損とは違うところでございます。また、脅迫とは違うところでございます。その意味で、二十六条の申出期間、申出から十四日という期間が果たして妥当かというふうなことに着目すべきだろうというふうに思います。
 そこで、四ページ目の下から、ヨーロッパの動向ということで、二〇一五年から一連の動きがございます。
 例えば、二〇一六年には欧州議会で、オンライン上の違法なヘイトスピーチとの戦いに対してプラットフォーム行動規範というものが立てられて、そこでは二十四時間以内に迅速に削除しなさいと。なぜ二十四時間かというと、インターネット上の違法情報が拡散し、そして差別が助長されること、ないしは扇動されることを最小限にするというふうな目的がございます。
 そういったことで、それを具体化したのがドイツのネットワーク執行法三条二項でございます。ここでは、二十四時間の削除審査をしなさいというようなことが明文化されるに至りました。そうでなくても、二十四時間で分からなければ七日以内、そして、それでも分からなければ独立した規制機関に、判断機関に委ねなさいという三本柱で判断枠組みができております。
 そういったことを受けて、ヨーロッパでは、デジタルサービス法というものが規則としてEU圏内に施行されるに至りました。そこでも意識されているものは、まさにヘイトスピーチの問題であったわけでございます。それが五ページから六ページにあります。
 とりわけ、前文パラの八十を見てください、システミックリスクに対する言及がございます。ヘイトスピーチや児童の性的虐待の描写というものがインターネット上に掲載される、それによって、社会からの排除、そして民主主義の瓦解という二次被害、三次被害が起きる、これがまさにシステミックリスクなわけです。そういったようなものについて慎重に検討しなさい、また、プラットフォームに対し対応しなさいというふうなことを迫っているわけです。
 そういったようなことから、ここでも、最後にありますように、二十四時間以内の削除の手続を事業者に求めなさいというふうなことが示されています。現在、ドイツでもデジタルサービス法が施行されていますけれども、同じくヘイトスピーチ等々に対しては二十四時間以内の削除の実務が行われているわけでございます。
 最後に、本立法は、民事法そして行政法から刑事法に移行したわけでございます。なぜなら、本法の罰則として拘禁刑そして罰金刑が示されております。そういったような見地からして、三十五条、三十七条、三十八条に罰則があるわけですけれども、本法には至る所に総務省令で定めるというふうな文言があります。これは、市民に事前予測可能性を失わせるというふうな観点で大きな問題をはらんでいます。すなわち、いわゆる白地立法の問題でございます。これはまさに罪刑法定主義から非常に懸念すべき問題であるというふうに考えておりますので、その是正が求められると思います。
 私の意見は以上です。ありがとうございました。拍手
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古屋範子#5
○古屋委員長 次に、山口参考人、お願いいたします。
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山口真一#6
○山口参考人 皆さん、おはようございます。ただいま御紹介いただきました国際大学の山口と申します。
 この度は、大変貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 では、お手元の資料、こちらを御覧いただければ幸いです。
 まず二ページ目、簡単に自己紹介をさせていただきます。私は経済学博士でして、特に専門は計量経済学というデータ分析手法の一種です。私はその手法を使って、SNS上のフェイクニュース、誹謗中傷、ネット炎上といった諸課題について実証研究を主にしております。今日の関連するところで申しますと、総務省のデジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会などで構成員を務めさせていただいております。私は法律が専門ではございませんが、そういった実証研究を専門としている立場からお話をさせていただければ幸いです。
 では、ページをめくっていただきまして、三ページ目、まずは現在のインターネット上の誹謗中傷の現状についてお話をしたいと思います。
 以前、下の方に参考文献が載っておりますが、二〇二三年に誹謗中傷に関する大規模調査結果というものを公表しております。そのときは、脅迫・恐喝や侮辱・攻撃などなどの九つの誹謗中傷に関しまして、それぞれどれぐらいの人がSNSなどのネットサービスで過去一年以内にダイレクトメッセージやリプライという直接分かる形でされたことがあるかといったことを調査いたしました。
 その結果が左側の図一ですね。一番下のオレンジ色の部分がいずれか一つ以上経験したことのある人の割合なんですけれども、四・七%ということで、大体二十一人に一人ぐらいは既に過去一年間で経験があるということが言えます。しかも、それを性、年代別に見たものが真ん中の図二となります、こちらは御覧いただければ分かるとおり、若い世代ほど誹謗中傷被害に遭っているんですね。ですから、これはもちろんインターネット上の問題なわけですけれども、同時に青少年のインターネット利用における課題ということも言えるかなと思います。
 さらに、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会の第三次取りまとめでは、図三のようなグラフが引用されていると思います。他人を傷つけるような投稿、誹謗中傷、されたことがある人というものが一八・三%というふうになっております。
 結構違いが出ておりますが、もちろん対象としたサンプルの違い、あるいは直接の攻撃に絞っているかどうかなどが影響していると思いますが、いずれにせよ、少なくない方がインターネットを利用して誹謗中傷の被害に遭ってしまっているということは否定できない事実としてあるかなというふうに思います。
 では、次のページ、四ページ目に参ります。こういった被害が出ている誹謗中傷に関しまして、どのような社会的影響があるでしょうか。
 まず、あるケースでは、図四で示しているんですけれども、ある方がネット上で誹謗中傷を大量に受けた、それこそ開示請求して、裁判を起こした結果分かったのが、被告の男性が二百以上のSNSアカウントを使ってこの方に攻撃していたということなんですね。このように、大量のアカウントを使って大量に攻撃する、こういったこともインターネット上では起こっております。
 また、皆さんも御存じのとおり、インターネット上で誹謗中傷を受けて、それを一因として自ら命を絶ってしまうような事例というものも国内外で発生しております。こういった誹謗中傷の恐ろしいところは、一つ一つももちろんつらいメッセージなわけですが、それが大量に来るということ、これが非常に大きな特徴かなというふうに思います。
 このように、精神的な負荷とか、あるいは命を絶つということだけではございません。誹謗中傷が原因で表現の萎縮が起こっているということも明らかになっております。
 例えば、図五、こちらは、同じく私が二〇二三年に発表したジャーナリストへの誹謗中傷の調査結果です。御覧いただければ分かるとおり、過去一年以内にジャーナリストのSNSアカウントで誹謗中傷を受けた経験というもの、こちらは何と二〇%を超えていて二一・五%なんですね。先ほど、同じ調査の四・七%という生活者調査がございました。これと比較しても非常に高い割合であるということが言えます。
 その上で、では誹謗中傷を受けた後にどのような業務への影響があったかといったものを調査したのが図六です。済みません、文字が小さくて申し訳ございませんが、この中では、同様のコンテンツや近しいコンテンツに関しての記事を書くのをやめた、二〇・九%、調査の方法や書く記事の内容を変化させた、一一・六%、新しい仕事を探し始めた、二・三%など、極めて表現の萎縮が起こってしまっているということが言えます。
 こういったことは恐らく生活者でも起こっているというふうに考えられます。つまり、誹謗中傷が怖くてSNS上で政治の話がしにくいとか、ジェンダーの話がしにくいとか、そういった様々な社会的なイシューについて、重要なイシューほどネット上では投稿しにくい、なぜかというとどこからともなく誰かに攻撃されるかもしれない、こういった表現の萎縮が恐らく起こってしまっている。
 つまり、誰もが自由に発信できる時代が来ています。SNSが普及して、誰もが自由に世界に情報発信できる、これを私は人類総メディア時代というように呼んでおりますが、この人類総メディア時代が来たことによって、その発信が逆に表現の萎縮を引き起こしてしまっているわけですね。これはつまり、議論を前提とした民主主義というものそのものに対しても悪影響を与えているのではないかということが言えるわけです。
 では、次のページに参りまして、五ページ目となります。こういった中で、では現在の課題として何があるかというところです。
 まず、前提として、多くのSNSサービスにおいては、ブロックとかミュートといったような身を守る手段というものはほとんど用意されております。しかしながら、いざ、例えば投稿内容を削除したい、あるいは法的手段を取りたい、こういったときに、加害者の手間に比較して被害者が対応するコストが余りにも高いわけですよね。加害者は非常に気楽に誹謗中傷します。しかしながら、被害者はなかなか申出とか情報開示請求ということができていないということなわけです。
 図七は調査結果なんですけれども、誹謗中傷された後にどのような対応をしたかという結果です。ブロックやミュートで身を守っている人もそこそこいるんですけれども、一方で、下の枠、警察に通報した、五・七%、利用サービスの通報、報告機能を用いて通報した、九・二%ということで、警察に通報はおろかサービス内での通報とか報告ということもほとんどなされていないという現実があるわけです。
 さらに、右側、違法・有害情報相談センターの件数の対応手段別の内訳というところを見ますと、削除方法を知りたいというものが圧倒的に多いわけですよね。やはりこのように、対応をどうすればいいのか、私は一体どうやってこれに対して行動を起こせばいいのか、ここに対して疑問を持っている人が非常に多いということが言えるわけです。
 さらに、多くの場合、シェアを取っているものがグローバルプラットフォームであることが多いです。そのために、日本での対応とか対策とか透明性レベルというものに非常にばらつきがあります。特に、要請ベースで対応をお願いしているときには、日本の拠点がやりたいというふうに思ったとしても、本社の許可を得られるかどうかまた分からないわけですよね。なので、そういったことが対応のばらつきの一因となってしまっているのではないかということが言えるわけです。
 他方で、こういった誹謗中傷問題、非常に大きな問題をはらんでいるわけですが、強い法規制をしいてしまいますと、表現の自由に悪影響を及ぼす懸念もある。そういった法律を悪用して、例えば、自分に批判的な人を、おまえは誹謗中傷を言っているというふうに言って捜査の対象とする、そういったようなリスクも世界中で懸念されているわけですね。ですから、バランスを取るということが極めて重要になるのかなというふうに考えております。
 以上の現状を踏まえまして、次のページ、六ページ目に参ります。今回提出されております両法案に関しまして、ポイントと評価ということを書かせていただいております。
 まず一つ目、大規模プラットフォーム事業者の選定を行い、その事業者のみに義務を課すというところですね。こういった法律、義務を新たに課すということによって、プラットフォーム事業者の運営コストは増大するでしょう。それが懸念される中で、大きな言論の場となっている大規模プラットフォーム事業者のみを対象としております。これによって中小事業者の負荷が増大して、むしろ健全な市場競争が阻害されるといったような現象を防ぐ工夫がなされているというふうに評価しております。
 二点目、国内における迅速化規律と透明化規律をセットで導入しております。迅速化というところで申しますと、被害者の申出窓口を設定し公表するとともに、被害者から申出を受けた場合には迅速に必要な調査を行って結果に基づいて措置を講じる。また、透明化というところで申しますと、削除の実施基準を定め公表し、削除した場合に発信者に通知したり、削除の申出方法や開示請求方法を変え公表する、そしてさらに実施状況を公表するということが義務化されております。こういったことで、まず申出方法などをユーザーに分かりやすく伝えることで、被害者はより簡便に申出や発信者情報開示請求を行うことができるようになるというふうに考えております。
 また、現在、先ほども申し上げたとおり、被害者負担は非常に大きいです。そういった意味でも迅速化ということは欠かせないわけです。ただし、プラットフォーム事業者のコンテンツモデレーションのプロセスは複雑です。今回の迅速化規律がどのようにプラットフォーム事業者の対応あるいは言論の空間といったものに作用するかということを検証すること、これは極めて重要です、プラットフォーム事業者が恣意的に何かやっていないかということですね。その点において、プラットフォーム事業者の恣意性を排除するという意味でも、透明化と迅速化、これが両輪であることに意義があるというふうに考えております。ですので、総じて、権利侵害問題への対応を強化し、より高い透明性と責任を求める点で肯定的に評価できると言えます。
 三番目です。侵害情報調査専門員を配置するということで、日本語対応ということだけではなくて、特に差別的表現とか風刺とかいろいろあるわけですけれども、そういったものは、日本の文化を知るということは極めて重要なわけですね、文化を踏まえた上で対応する。ですから、この専門員の配置及びその状況の公表というものは大変意義があるというふうに評価しております。
 最後となりますが、次のページ、七ページ目です。今後の課題について述べさせていただきます。
 まず一つ目、オーバーブロッキングの可能性及び委員会による定期的な審査などの重要性ということで、そもそも本法案は、迅速化と透明化に焦点を絞っておりまして、表現の自由と被害者保護、救済のバランスを非常によく取っているというふうに考えておりますが、迅速化規律とか罰則の規定などによって、オーバーブロッキング、つまりプラットフォーム事業者が罰則を避けるために迅速に対応しなきゃというふうに焦って過剰に削除してしまう、こういったことが世界中で、そういった問題は起こらないのかということが様々な法律に対して指摘されているわけなんですけれども、そういった可能性が本法案でもゼロではないのかなというふうに考えております。
 また、スラップ訴訟という問題がございますが、同じように、手当たり次第に申出をしてアカウントを停止させようとか、そういったような動きが活発になる懸念もゼロではないのかなというふうに考えております。
 こういったことを踏まえまして、客観的で恒常的な委員会による定期的な審査などで法律の効果を継続的に確認していくことが重要であるというふうに考えております。その審査結果を受けて、エビデンスベースで随時改正を検討していくことが望ましいです。
 二つ目、誹謗中傷被害の実態調査の継続ということで、誹謗中傷の被害の経験とか、実際にこの法案の導入前後で開示請求や申出を行った経験がどのように変化したかとか、そういったような継続的な調査を実施して、実態を把握し続けるということが重要であるというふうに考えておりますし、これは法律の効果の計測ということにもつながると思います。
 三番目、具体的な透明性項目の定義ということで、大枠の定められた透明性ということ、今回、法案に入っております。しかしながら、より具体的な項目とか公開の方法の定義をどんどん進めていく必要があるかなというふうに思います。
 事業者に負担をかけるということになりますので、どういった社会を目指して、そして透明化された情報を基にどのような分析や施策を行うかということを具体的に提示し、それを基に各事業者が真摯にやっていくべきだろうというふうに考えております。
 四番目、プラットフォーム事業者の責任の範囲はどの程度かというところでして、法案を読ませていただいておりますと、発信者情報開示請求に関する手順というところの公表という話がありました。この手順の認知度は極めて低いです。ですから、被害者が開示請求をするハードルの一つとなっていること、これはもう間違いございません。私も危機的な意識を持っております。
 他方で、開示請求を円滑に行うための必要な情報の公表までをプラットフォーム事業者がするべきかどうか、これには議論の余地があるかなというふうに考えております。例えば、分かりやすく開示請求をする方法をまとめたページをどこかに用意して、そこにリンクで誘導してくださいみたいな、そういった解釈も可能になっているといいのかなと。つまり、例えば新型コロナウイルスに関しましては、プラットフォーム事業者は厚生労働省のウェブサイトとかにリンクを飛ばしてくれたわけですね。こういったように、別のウェブサイトに飛ばす、そういった方式もあり得るのかなというふうに考えている次第です。
 私からは以上となります。ありがとうございました。拍手
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古屋範子#7
○古屋委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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古屋範子#8
○古屋委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本幸典さん。
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根本幸典#9
○根本(幸)委員 おはようございます。自民党の根本幸典です。
 本日は、質疑の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。
 三人の参考人の皆様方におかれましては、大変忙しい中、総務委員会に御出席をいただいて、そして、ただいま大変貴重な御意見を賜ったことにまず心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
 その上で、まず、本改正案に関する個別の論点について幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 本改正法案を措置する以上、実効性を伴うように制度設計することが何よりも大事だというふうに考えております。特に、プラットフォーム事業者の多くが外国事業者であります。その観点から、本改正法案による義務の実効性を確保する上で、有識者会議ではどのような点に留意して議論されたのか、先ほど御説明の中でも、総務省のワーキンググループの副主査をされています上沼参考人にお伺いしたいというふうに思います。
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上沼紫野#10
○上沼参考人 御質問ありがとうございます。
 外国事業者に関する検討に関しては、そもそも、先ほどちょっと申し上げたとおり、削除窓口が日本語じゃないとかというようなお話がありまして、その中で、日本の手続に則した調査員を置くというような形にするという形で検討されています。あと、今回、送達等の手続回りのところも手当てされているというふうに承知しております。
 以上です。
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根本幸典#11
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
 続けて、同じように個別の論点なんですが、削除の迅速化として、一定期間内の判断、応答義務を課すことにしているわけでありますが、被害者の救済の観点から迅速な対応が求められている一方、事業者の実務で考えると、申出のあった対象情報にもよりますけれども、一定程度時間を要することとなるというふうに考えられるわけであります。この点、どういうふうに有識者会議では、どのような考え方により、どれくらいの期間が適当といった検討がされたのか、上沼参考人に御質問したいと思います。
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上沼紫野#12
○上沼参考人 ありがとうございます。
 事業者が一定の期間が必要だというのは当然有識者会議の方でも承知しておりまして、それなので、もし時間がかかる場合には時間がかかる旨を通知しなさいという形でその部分についても手当てをいたしました。一定程度の期間は、先ほど申し上げたとおり、アンケートや過去の裁判例等を参考に検討しております。
 以上です。
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根本幸典#13
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
 続いて、削除対応の運用状況の透明化として、基準の策定、公表やその運用状況の透明化の義務を課すこととしているわけでありますけれども、事業者の対応を透明化するだけで被害者救済に資するものとなるのか、有識者会議における議論の考え方を上沼参考人に御教示いただきたいというふうに思います。
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上沼紫野#14
○上沼参考人 今の御質問に対してお答えします。
 透明化だけでは実効性がないのではないかという御意見はもちろんありましたけれども、透明化、公表するということについて、それがいろいろな人の目にさらされるということになりますので、それ自体が一種の自浄作用があるのではないかということ。あと、今回の法案に関しては、一応、努力義務とはいうものの、それなりの、手続回りについて検討が必要だというようなことも入っておりますので、総合的に考えれば、その辺りのところも透明化が実効性に資するものというふうに考えております。
 以上です。
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根本幸典#15
○根本(幸)委員 ありがとうございました。
 続きまして、昨今、生成AI等で精巧に有名人等に成り済ました投資詐欺等が多発して報道をにぎわせているわけでありますが、本改正法案では、削除対応の運用状況の透明化として、アカウントの停止も含めた基準やその運用状況の公表義務を課すこととしているわけであります。
 こうしたインターネット上における成り済ましによる投資詐欺等の事案に対して、有識者会議の議論を踏まえて措置された改正法案によりどの程度効果があるというふうに考えられているのか、引き続き上沼参考人にお伺いしたいというふうに思います。
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上沼紫野#16
○上沼参考人 御質問にお答えします。
 成り済ましそのものを特に深く議論したわけではないんですが、成り済ましによる結果が権利侵害になるということは認識されておりまして、権利侵害に関する対応として、今回、迅速化と透明化が実効性があるという形になっておりますので、成り済ましについても同様に実効性を持っているものというふうに認識しております。
 以上です。
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根本幸典#17
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
 続いて、削除対応の迅速化や運用状況の透明化の義務をプラットフォーム事業者に課すこととしておりますけれども、対象となるプラットフォーム事業者は、誰もが想起するような大規模な事業者のみならず、インターネット上には限定されたコミュニティーのみで使用される小規模なSNSや掲示板等も運営されているわけであります。
 今般の義務をどの範囲の事業者に課すべきかについて、有識者会議における議論や考え方を上沼参考人に御教示いただきたいというふうに思います。
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上沼紫野#18
○上沼参考人 今の御質問の件については、以下のとおりです。
 もちろん、大規模事業者のみならず小規模もあるということは有識者会議の場でも検討されておりまして、大規模事業者だけに義務を課すべきではなく、広く課すべきではないかという意見ももちろんございました。
 ただ、今、山口参考人の意見にもありましたとおり、小規模事業者に対する負荷が余りに高くなるのもそれはそれで望ましくないのではということと、権利侵害とかトラブル発生率が、ユーザーの人数によって、閾値を超えたときに急に増えるという経験則がございまして、そういう実効性から考える、あと、実際の執行の観点から考えても、一定以上の大規模事業者に関して今回は対象を絞るということが実効的ではないかというような結論になっております。
 以上です。
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根本幸典#19
○根本(幸)委員 ありがとうございました。
 続きまして、誹謗中傷等の違法、有害情報への対処としては、これだけ社会問題となっていることを踏まえると、より強力な被害者救済を行うことが必要とも考えられるわけでありますが、改正法案では一定期間内の判断、応答義務を課すこととしていますが、更に進んで、被害者から申出があった場合には削除義務を課すことや、拡散防止の観点から一旦削除してから最終的な判断を行わせること等も考えられます。この点について有識者会議ではどのように検討されたのか、引き続いて上沼参考人にお伺いしたいというふうに思います。
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上沼紫野#20
○上沼参考人 今の御質問の件にお答えします。
 申出に対する削除義務を課すという、ノーティス・アンド・テイクダウンというんですかね、についても検討はいたしております。
 ただ、ノーティス・アンド・テイクダウンのように直ちに削除ということになりますと、そもそもインターネット上の情報発信の機会を相当狭めることになります。また、ノーティス・アンド・テイクダウンでプラットフォーム事業者が自ら考えずに削除をするということ自体が、これは個人的な意見なんですけれども、それが必ずしも望ましいかどうかというのも疑問の余地があるかなというふうに考えております。
 その結果、両方のバランスを図るものとして、直ちに削除義務を課すのではなく、一定期間の対応を義務づけるという形で今回の法案となっております。
 以上です。
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根本幸典#21
○根本(幸)委員 ありがとうございます。
 また、特に、捜査機関、あとは救助機関、人権擁護機関等を始めとした行政当局からの削除要請には、より削除対応の蓋然性も高く、こういった場合には事業者に応答義務や優先的な対応義務を課すことも考えられるというふうに思います。この点について有識者会議ではどのように検討されたのか、上沼参考人に引き続きお伺いしたいというふうに思います。
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上沼紫野#22
○上沼参考人 今の御質問の件ですけれども、公的機関に対する対応についても検討はいたしました。
 ただ、公的機関からの削除要請に対応を義務づけるということになりますと、公的機関による削除を認めることに等しくなり、事前抑制のような効果が働くことになります。それは表現の自由に対する大きな侵害となりかねないということもあり、今回はそのような義務を入れていないということになっております。
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根本幸典#23
○根本(幸)委員 ありがとうございました。
 続いて、偽・誤情報のことについてお伺いをしたいというふうに思います。
 今年一月の能登半島地震においても、数多くの偽・誤情報がインターネット上で流通しており、社会問題になったところであります。加えて、偽画像や偽動画の投稿、成り済ましによる偽広告などを始めとして、AI等の技術の急速な発展により一層深刻化しており、偽・誤情報対策はまさに大変重要な課題だというふうに考えております。
 本改正法案においても、権利侵害情報等であれば削除対応の迅速化や運用状況の透明化が図れることとなり、成り済ましを始めとした偽・誤情報対策に対しても大きな効果があるものと認識しております。
 こうした偽・誤情報対策について抜本的な対策を講じていくことが必要であることから、本改正法案に加えてどのような対策が必要となるか、これは山口参考人にお伺いをしたいというふうに思います。
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山口真一#24
○山口参考人 御質問いただき、ありがとうございます。
 御指摘のとおり、今、偽・誤情報というものが世界中で大きな問題となっております。それは、政治的な偽・誤情報だけではなくて、インフルエンサー、つまりセレブリティーの方ですね、そういった方の偽・誤情報で被害が出るとか様々なものが出ておりまして、その中には、生成AIによって偽画像や偽映像を作る、こういったものも増えてきていて、恐らく今後そういったものは加速度的に増加するということが考えられます。
 御指摘のとおり、本法案でも、権利侵害がある場合には対象とするということになっております。一方で、では更に今後偽・誤情報が増加する中で強い法規制が必要なんじゃないかというような議論もあるわけです。
 実は、エビデンスで申しますと、私が調査すると、あるいはほかのものもそうなんですが、大体七五から八〇%の人は偽・誤情報に法規制は必要であるというふうに回答するというような傾向が見られます。
 しかしながら、偽・誤情報に関する法規制というのは非常に大きなリスクもはらみます。それは、誰が言うかによって何が偽か、フェイクニュースかというものが変わってしまうということですね。ここで事例は挙げませんけれども、例えばある国ではフェイクニュース対策法という名目で、法律を理由に自分たちの政権に批判的な人を捜査の対象とするということがかなりされてしまっていたりする、ジャーナリストの言論統制などにもつながってしまっているということですので、強い法規制というものはやはり慎重であるべきなのかなというふうに考えているところです。
 そういったことを踏まえまして、では何が必要かと申しますと、偽・誤情報が氾濫する場となっておりますプラットフォーム事業者と密に連携しながら、積極的に、例えば能登半島地震、あるいはこれから選挙とかがあります、そういったときにはローカルの対応を厳格にしていただくということを引き続き求めていく。実は、各プラットフォームの利用規約を見ると、選挙とか災害のときの偽・誤情報は明確に駄目だと書いてあるわけですね。しかしながら、それが適切に運用されていないからまだ蔓延しているということですので、そういった規約の厳格な運用ということも求めていき、それでも不十分であるということになれば、また新たな対策ということを今後議論していくのかなというふうに考えている次第です。
 以上です。
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根本幸典#25
○根本(幸)委員 ありがとうございました。
 続きまして、三人の参考人の皆さんに、最後になりますが、お伺いをしたいというふうに思います。
 今般、プロバイダー等の事業者の免責や発信者情報の開示制度を設けている現行のプロバイダー責任制限法を改正して、プラットフォーム事業者に対し削除対応の迅速化、運用状況の透明化といった義務を課すこととしているわけでありますけれども、改正法案に対する期待を三参考人からお伺いしたいというふうに思います。
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上沼紫野#26
○上沼参考人 この法案に対する期待ですけれども、正直に言うと非常に期待しております。
 というのは、今までプロバイダー責任制限法は余り改正が、二〇二二年十月より前はほとんどされていないような状況なので、ここが非常に抜本的な改正というふうになっております。なので、プロバイダーに対する透明性と迅速性を義務づけることで、より被害者の救済が図られるというふうに私としては期待しているところです。
 以上です。
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金尚均#27
○金参考人 今回の法案については、大きな一歩を踏み出したというふうに認識しております。
 その上で、今回の法案において、特定の個人的な被害者の権利侵害、これに対してのみ焦点を当てたというふうになっておるので、より大きな考慮が必要かなというふうに考えています。
 それは、特定集団に対するヘイトスピーチ等々ないしは差別的言動に対してどのように対処するか、これがやはり世界中のインターネットの違法情報に対する対処の大きな論点だったというふうに思います。その意味におきまして、このようなヘイトスピーチが起こる前提としてのフェイクニュースの問題、これを連動させながら考えていく必要が今後の日本の立法においては必要かというふうに考えております。
 以上です。
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山口真一#28
○山口参考人 ありがとうございます。
 私は二点考えております。一つは被害者救済という点ですね。これは言うまでもございませんが、こういった迅速化、あるいは日本語での対応、様々な面から、被害者、より多くの人が救われるということを期待しております。もう一点が抑止効果ですね。こういった法改正、又は請求している人がいるということがメディアで報じられることによって周知される、それによって、ああ、やはりネット上も誹謗中傷とかは駄目なんだなということが改めて伝わって、それによって抑止されるということ。この二点を私は期待しております。
 こういった効果を計測するためにも、継続的な効果計測ということ、そしてエビデンスをベースに今後の法律の在り方ということを考えていくことがとても大切なんだろうなというふうに考えている次第です。
 以上です。
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根本幸典#29
○根本(幸)委員 本日は、上沼参考人、金参考人、山口参考人におかれましては、大変貴重な御意見そして示唆に富む発言をいただいたことに感謝申し上げ、私からの質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
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