本会議

2024-06-05 参議院 全41発言

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会議録情報#0
令和六年六月五日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十四号
  令和六年六月五日
   午前十時開議
 第一 グローバル戦闘航空プログラム(GCA
  P)政府間機関の設立に関する条約の締結に
  ついて承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 子ども・子育て支援法等の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、地方自治法の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 一、日程第一及び第二
 一、行政監視、行政評価及び行政に対する苦情
  に関する調査の中間報告
     ─────・─────
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尾辻秀久#1
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 地方自治法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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尾辻秀久#2
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。松本剛明総務大臣。
   〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕
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松本剛明#3
○国務大臣(松本剛明君) 地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 この法律案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体の運営の合理化及び適正化並びに持続可能な地域社会の形成を図るとともに、大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係を明確化するため、所要の措置を講ずるものです。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、デジタル・トランスフォーメーションの進展を踏まえた対応に関する事項であります。
 まず、地方公共団体の議会及び長等は、サイバーセキュリティを確保するための方針を定め、これに基づき必要な措置を講じなければならないこと等とするとともに、地方公共団体の長は、eLTAXを用いた地方税以外の公金の収納事務を地方税共同機構に行わせるものとすることとしております。
 第二は、地域の多様な主体の連携及び協働を推進するための制度の創設に関する事項であります。
 地域において住民が日常生活を営むために必要な環境の持続的な確保に資する活動を行う団体を市町村長が指定することができることとし、当該団体への支援等に係る規定を整備することとしております。
 第三は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例の創設に関する事項であります。
 まず、当該事態への対処に関する基本的な方針の検討等を行うため、国又は都道府県は、地方公共団体に対し、資料又は意見の提出を求めることができることとしております。
 また、国民の生命等の保護の措置を的確かつ迅速に実施するため、国は、都道府県に対し、指定都市、中核市等の事務処理との調整を図るために必要な措置を講ずるよう指示することができることとするとともに、当該事態の規模、態様等を勘案して国民の生命等の保護の措置を的確かつ迅速に実施するため特に必要があるときは、国は、閣議の決定を経て、地方公共団体に対し、当該措置を的確かつ迅速に実施するため講ずべき措置に関し必要な指示をすることができることとし、あわせて、地方公共団体相互間の応援又は職員の派遣について、国による広域調整等に係る規定を整備することとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でございますが、衆議院において、国が国民の生命等の保護の措置に関し地方公共団体に指示した場合の国会報告を追加する修正が行われております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。拍手
    ─────────────
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尾辻秀久#4
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岸真紀子君。
   〔岸真紀子君登壇、拍手〕
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岸真紀子#5
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
 会派を代表し、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について、松本総務大臣に対し、質問します。
 本改正案は、岸田内閣総理大臣の諮問機関である第三十三次地方制度調査会が昨年末にまとめた答申内容を踏まえ、法案が提出されたと承知しています。
 しかし、この答申自体が最初から政府の意図的な答えありきで進んだのではないかと疑念を持たざるを得ません。地方制度調査会の議論では、国の指示権拡大に対し、私も委員として反対意見を述べていますし、相当慎重な意見が出されていたにもかかわらず、反映されていません。果たして政府の介入のない客観的な答申だったと言えるのか疑問です。
 総務省は、諮問機関である地方制度調査会を隠れみのにしていないか、地方制度調査会設置法の目的である日本国憲法の基本理念を十分に具現するよう現行地方制度に全般的な検討を加えることから反していないか、この指摘に対し、大臣の答弁を求めます。
 政府は、新型コロナ対応をめぐり国と地方自治体の調整が混乱したことを教訓に、これまでの地方分権に逆行する補充的指示権、いわゆる国の指示権拡大を柱とする本改正案を提出しています。しかし、指示権の拡大が必要との立法事実は判然としていません。
 個別法が想定しない事態に対処するための国の関与は、技術的助言や勧告しかできないため、本法案において、大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方自治体との関係等の特例を規定するとしています。
 はて、技術的助言や勧告しかできないから支障があるとは具体的に何を指しているのでしょうか。お答え願います。
 政府が事例として説明しているコロナ禍でのダイヤモンド・プリンセス号の対応は、本来、新型インフルエンザ等対策特別措置法が新型コロナウイルス感染症についても「等」で読み取ることが可能で、特措法の下で指示権も含め対応できたのではないでしょうか。当時の政府が条文を読み誤って対象ではないと言い続けたことに原因があるのではないか。政府が制度をうまく運用できなかっただけであり、政府のコロナ対策の失敗を制度が悪かったとすり替えているのではないか。
 ダイヤモンド・プリンセス号での対応を含め、政府のコロナ対策を検証した上での本法案の提出なのか、大臣、お答えください。
 松本大臣は衆議院の審議において、国の指示権拡大は国民の安全に重大な影響が及ぶ場合に限るので地方分権の後退との指摘は当たらないと答弁していますが、メッセージとして地方自治体がどのように受け止めるか想像できていますか。
 地方分権一括法の成立から二十年以上経過した今もなお、税源移譲が不十分な中、条文上で上下主従と捉えられかねない改正内容では、国と地方のパワーバランスが崩れるおそれはないのか。自治体が萎縮あるいは指示待ちになってしまうといった負の効果に強い懸念があります。なぜ地方分権の後退とならないと言えるのか、分かりやすく説明願います。
 本改正案は、衆議院で修正がなされ、参議院に送られましたが、その内容は極めて限定的で、本法案の最大の問題である地方分権に逆行する国の指示権拡大の歯止めになるかは不透明です。
 立憲民主党は、衆議院における審議で、国の地方への関与の原則の維持、自治体との事前協議、調整の義務化、国会の関与と事後検証の義務化の三点を柱とする修正を与党に求めましたが、受け入れられませんでした。国が誤った判断をしないとは限らないため、事後検証は必須です。
 二〇二〇年二月二十七日、当時の政権が突然、三月二日から全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明しました。いわゆる全国学校一斉休校です。あれはあくまで要請であったものの、感染者が一人も出ていない自治体も国の休校要請に従い、どれだけ多くの子供の学びの機会や居場所を奪うことになったのか検証したのでしょうか。学童保育は開所しても、学校の教室よりも狭い部屋での預かりに現場がどれほど苦労したか。保護者も仕事を辞めざるを得ない事態を生み、児童虐待の増加といった問題もありました。国民生活は大きく混乱しました。
 一方で、島根県は、県内に一人も感染者がいなかったことから国の要請には従わず休校としなかったので、子供の学びや居場所を守ることができました。また、有識者によれば、休校のメリットはなかったとの指摘もあります。
 この事例から見ても、国会における事後報告と併せて検証を義務化することで個別法改正につなげるなど、国会の議論に資する修正をすべきと考えますが、大臣の見解を求めます。
 国会への事後報告を義務付ける修正は加えられましたが、閣議決定を経れば指示できる仕組みには変わらず、時の政権による恣意的な運用のおそれは消えていません。
 衆議院の審議では、武力攻撃事態対処法で想定していない事態が対象となるのか焦点となり、大臣は、対処法には必要な規定が設けられており、本法案では想定していないと答弁しています。しかし、想定していないことを想定しての改正案であり、条文の立て付けからいえば法律上可能ではないですか。武力攻撃事態等及び存立危機事態での発動をしないとの明言は未来永劫とお約束いただけるのか、お伺いします。
 私は、個別法に基づかない指示権は発動すべきではないと考えますが、万が一発動する場合の歯止めが必要です。当該自治体との事前協議は絶対条件です。実態把握も含めた事前協議、そしてコミュニケーションを取れば、わざわざ国からの指示といった上下主従関係にしなくても、全て地方自治体が自主的、自立的に対応できると考えます。だからこそ、当該自治体との協議は原則義務とし、緊急を要する場合はこの限りではないなどと修正すべきです。
 松本大臣、当該自治体の理解、納得は欠かせません。なぜ努力義務にとどめるのか、今からでも条文を出し直すべきではないですか。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法のまん延防止等重点措置や緊急事態宣言を振り返ると、当時の政権は、二〇二〇年四月七日に東京など七都府県に緊急事態宣言を行い、四月十六日に対象を全国に拡大しています。その際、コロナが急速に拡大し、限られた時間でのやり取りが必要であったため、文書や紙ではなく、電話を活用してスピーディーにやり取りをしていたと承知しています。当時のコロナ対策室が分担して、都道府県の知事や幹部などに個別、事前に宣言発出や全国に適用拡大する意向を伝えた上で実施していました。当時の未知なる感染症対応でも当該自治体に事前協議したことを踏まえれば、当然事前協議はできます。
 なお、現段階で総務省が示している事前に国が地方の意見を求めるとは、どこまで意見反映が担保されるのか、自治体、議会、住民との関係でどう捉えているのか、お答え願います。
 国の判断が全て正しいわけではない事例をもう一つ紹介します。
 政府は災害を想定していますが、二〇一六年熊本地震は四月十四日に前震がありました。当時の総理大臣は防災担当大臣に対して、屋外に避難している人たちを屋内に避難するよう指示をしました。しかし、そのとき、益城町の体育館の副館長が屋内避難は危険と判断し、政府から圧力を受けても対応しませんでした。その後、四月十六日に本震が発生、メインアリーナの天井パネルや照明がほとんど落下し、甚大な被害となりました。政府の要請に従わず、体育館を避難スペースとして開放しなかったことが人的被害を未然に防ぎました。
 国が持つ情報というのは一部であり、地域住民を守るには限界があります。熊本地震のように事態は現場で起きており、緊急時だからこそ次々と情勢は変化します。本法案にある個別法に基づかない、今のところ何を想定しているのかも不明な事態時に国からの指示が一旦出てしまえば、自治体は縛られることになり、その時々の最適な措置がとれなくなるのではないでしょうか。指示が出された後の機動的な対応、例えば出された後の当該自治体との協議をどのように考えているのか、指示は場合によっては解除されるのか、大臣に伺います。
 コロナ禍では、地方自治体が地域の現況に応じ、自ら創意工夫した感染症対策を生み出し、それを後に国が後追いで取り入れたり、他の地域に反映されたケースがありました。想定していない事態だからこそ、風通しの良い仕組み、地方自治体から国に対し是正を求め、指示できる制度が必要です。そうすれば、国と地方の関係は対等協力関係を維持し、何より国民の生命等を保護できます。大臣、自治体から国に是正を求める制度が必要ではないですか。
 衆議院の審議で松本大臣は、国が助言として行うと自治体の責任において実施することになって国の責任の所在が不明確になる、国の責任の所在を明確化することに意義があると答弁していますが、ここで言う国の責任とは何を指しているのか、明らかにしてください。
 なお、五月二十一日、衆議院総務委員会において、第三十三次地方制度調査会の専門小委員会の委員長をされていた山本参考人は、指示の制度を設けても国が責任を負うのはあくまで指示の範囲に限定される、地方公共団体が住民の安全を守る基本的な事務と責任が国に移るというわけではないと意見陳述しています。山本参考人の意見を踏まえると、国が指示権を発動したとしても、結局は住民の安全を守る基本的な事務と責任は自治体にあり、そうなると国の介入は余分であって、先ほど例示した学校一斉休校や熊本地震の例を踏まえても、責任のない国が指示を出すことは自治体や地域住民にとっての弊害となりかねず、大臣の答弁とも矛盾していませんか。
 また、本改正案では、少子高齢社会、人口減少により地方自治体における人材確保の難しさを踏まえ、新たに指定地域共同活動団体制度を規定するとしています。例えば、自治会や町内会、NPO、企業等の地縁団体に条例の定める要件を備えれば指定地域共同活動団体として指定できるとし、同団体への支援や活動の調整、随意契約による事務委託、行政財産の貸付けといったことが可能になります。これは具体的にどういった活動を想定しているのでしょうか。
 そもそも多様な地域の主体が少なくなり、共助が困難な地域が増えてきているからこそ自治体の役割の重要性が求められている中、この新制度は根本的解決になるのか疑問です。地方自治体の強化には職員定数増を見据えた地方財政の確立、拡充こそが必要であると考えますが、大臣の見解をお願いします。
 結びに、一九九三年に衆参両議院において地方分権の推進に関する決議が全会一致で可決してから三十一年、まさか本法案のような地方をないがしろにするものが提出されるとは思いませんでした。地方自治を破壊する自民党に対し、地方自治を守り発展させる立憲民主党の違いがはっきりしました。
 立憲民主党は、地方の衰退を招いた政権与党から地域住民の暮らしを守るためにも、政権奪取に向け全力で取り組んでいくことを申し上げ、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
   〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕
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松本剛明#6
○国務大臣(松本剛明君) 岸議員から十四問御質問をいただきました。
 まず、地方制度調査会答申についてお答えいたします。
 第三十三次地方制度調査会においては、日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えるとの設置法上の目的に従って、各委員の専門的知見を生かし、自由な立場から活発かつ丁寧な御議論をいただき、これまでの地方分権の成果を尊重した上で、国民の命を守っていくために求められる地方制度という重要なテーマに答えを示していただいたものと受け止めています。
 次に、助言等による支障、次に、事情等によることの支障についてお答えいたします。
 新型コロナ対応では、例えば、患者の移送について都道府県の区域を超えた対応が必要になり、関係者から協力をいただきながら国が調整の役割を事実上果たしました。
 国と地方の協力の下、住民の命を守る懸命な努力がなされたものですが、当時の感染症法では国が広域的な調整の役割を担うことが想定されていなかったという課題等を踏まえ、国が果たすべき役割を明確化するため、感染症法等の改正が行われたものと承知をしております。
 このように、過去の感染症への対応について必要な検証が行われた上で個別法の見直しが重ねられていますが、それまでの間、法的根拠なく国による働きかけや対応が行われることにより、国と地方の役割分担や責任の所在が不明確となるという課題があります。
 これは、国が国民の生命等の保護の措置の的確、迅速な実施の確保という役割を果たすべき場合であっても、その対応に必要な法的根拠を欠くという観点からは支障があると考えています。
 次に、新型コロナ対応の検証についてお答えいたします。
 新型コロナ対応については、有識者会議における関係団体からの意見聴取も踏まえた、あっ、意見聴取も含めた検証を踏まえ、法改正等が行われたほか、現在、新型コロナ対応を振り返りつつ、政府の行動計画の見直しが行われているものと承知しています。
 検証は個別法の所管省庁において行われますが、本改正は、国民の生命等の保護を的確、迅速に行うため、国の地方への働きかけについて法律上のルールを整備するものであり、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に備えるため、速やかに制度化する必要があると考えています。
 次に、地方分権との関係についてお答えいたします。
 地方分権一括法により、国から地方への関与は、地方自治法に新たに定められた国と地方の関係の基本原則に従って行われることとされました。本改正案の補充的な指示は、この基本原則の下で、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するための特例として地方自治法に基づく関与として設けられるものであり、地方分権の後退とはならないものと考えています。
 次に、事後の検証についてお答えいたします。
 補充的な指示が行使されるような場面では、そもそも個別法では想定されていない事態が生じたことを踏まえて、そのような事態への対応全般についての検証が必要になると考えています。このため、補充的な指示の行使という点のみに着目し、事後の検証を義務付ける規定は設けておりません。
 衆議院における修正により国会報告が盛り込まれており、これは、国会における適切な検証と個別法の制定や改正に関する議論につなげていくことを目指しているものと承知しています。
 次に、武力攻撃事態などと補充的な指示の関係についてお答えいたします。
 本改正案は、答申を踏まえ、特定の事態の類型に限定することなく、その及ぼす被害の程度において大規模な災害、感染症のまん延に類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けるものであり、特定の事態を除外しているものではありません。
 お尋ねの武力攻撃事態などへの対応については、事態対処法制において必要な規定が設けられているため、事態対処法制に基づき対応する考えであると理解しています。
 次に、自治体への意見の求めを努力義務としている理由についてお答えいたします。
 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、国と地方の間で十分な情報共有、コミュニケーションを図ることは、事態への対応を実効的なものとする前提です。
 一方、地方制度調査会では、事態は多様かつ複雑であり、具体的に参加する主体を特定し、特定の手続を必ず取ることを求めるような制度化は難しいのではないかといった議論があり、これを踏まえたものです。
 次に、自治体からの意見の反映についてお答えいたします。
 自治体に対する資料、意見の提出の求めについては、事態の状況の適切な把握と講ずべき措置の検討を目的としており、国が自治体から提出を受けた資料、意見を十分踏まえた上で補充的な指示の行使を検討する必要があります。
 その際、自治体では、議会や住民など様々な主体との間で必要に応じて情報共有、コミュニケーションを図ることになるものと考えております。
 次に、指示後の対応についてお答えいたします。
 補充的な指示は、その時点の情報や知見に基づいて、限定的な要件、適正な手続の下、行われるものです。指示を行った後についても、現場の状況を把握している自治体との間で十分な情報共有、コミュニケーションを図ることは重要であり、これを踏まえ、事情の変更があれば、必要に応じて指示の変更などを含めた対応がなされると考えています。
 次に、自治体から国に是正を求める仕組みについてお答えいたします。
 地方自治に影響を及ぼす国の施策に関する自治体から国への意見の、失礼、地方自治に影響を及ぼす国の施策に関する自治体から国への意見については、地方六団体による意見提出や、国と地方の協議の場などの仕組みが設けられています。
 また、新型コロナ対応では、リエゾン職員の派遣や一対一の連絡体制の構築など、自治体から国への意見を含め、国と自治体の意思疎通を円滑化する取組が行われました。国が現場の状況を的確に把握した上で適切な対応を行うため、国と地方の間で十分な情報共有、コミュニケーションを図ることは極めて重要だと認識しています。
 なお、補充的な指示を行う場合には、自治体に対する意見提出の求め等、適正な手続が求められるとともに、係争処理制度の対象となり、この制度の下で適切に対応されるものと考えております。
 次に、国の責任の趣旨と自治体への指示についてお答えいたします。
 さきの衆議院での質疑において、補充的な指示について国が果たすべき責任を明確化する意義があるとお答えしたのは、自治体の区域を超える広域での対応が求められる場合の調整など国が役割を果たすべき局面においては、国の責任において指示すべきものについては、助言等ではなく法律上のルールに従って指示として行うことにより、その判断の内容について国が責任を負うこととなることを申し上げたものです。
 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応に当たっては、国と自治体がそれぞれの役割を相互に連携しつつ適切に果たすことが必要です。このため、衆議院総務委員会において山本参考人が指摘されているように、補充的な指示を行使した場合であっても、その範囲を超えて自治体が地域の住民の安全を守るという責任が国に移るものではなく、この御指摘はさきの答弁と矛盾するものではないと考えています。
 次に、指定地域共同活動団体の具体的な活動の想定についてお答えいたします。
 本改正は、地域の多様な主体と連携して地域課題の解決に取り組む団体を指定地域共同活動団体として市町村が指定する制度を創設するものです。具体的な活動内容は市町村の条例で定めることとしていますが、例えば、高齢者等の生活支援や子ども・子育て支援、環境美化などの活動が想定されると考えています。
 最後に、自治体の定員についてお答えいたします。
 各自治体において行政サービスを適切、十分に届けるために必要な定員を確保しなければならない一方、公務員の人件費は住民の負担になるため、適切に定員管理を行うことが重要と考えています。近年では、一般行政部門の常勤職員は平成二十六年を境に九年連続で増加しており、令和六年度地方財政計画においては職員数全体で約一・四万人の増としております。
 以上です。拍手
    ─────────────
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尾辻秀久#7
○議長(尾辻秀久君) 高木かおり君。
   〔高木かおり君登壇、拍手〕
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高木かおり#8
○高木かおり君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の高木かおりです。
 会派を代表して、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に関して質問をいたします。
 まず、補充的指示権の創設についてお伺いをいたします。
 本改正案では、大規模な災害や感染症のまん延その他これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に対して迅速に対応するなどの観点から、国の指示権の特例を設けることとしています。
 本来、法定受託事務若しくは自治事務で個別法に定めがある場合のみ可能であった指示が範囲を定めず可能となるため、対等協力である国と地方の基本原則を崩すとする意見もありますが、総務大臣の見解をお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 コロナ禍は、国民生活に多大な影響を与えたのみならず、国と地方の関係についても様々な課題を浮き彫りにしました。関西を中心に数多くの自治体の首長を擁する我々から見た問題の一つは、国と地方の責任と権限が曖昧なケースが見られた点です。
 一例として、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき休業要請を出す場合、休業要請の権限とその前提となる緊急事態宣言発出の権限とが国と地方で分かれているため、権限の行使をめぐって一部の自治体で混乱を引き起こしました。
 各々の地域の状況を熟知しているのは国ではなく都道府県であり、その都道府県が求めるのは国の関与ではなく財源であるという意見もある中で、個別法で想定されていない事態における国の役割とは何か、総務大臣のお考えをお聞かせください。
 同様に、緊急事態に係る規律の不存在も問題となりました。同法に基づく医療等の実施の要請、指示があくまでも個人の医療関係者を対象としており、非常時に分散している医療資源を適切な形で再配置できないことから、我々は病院等の医療機関も対象となるよう求めてきました。
 これらを平時から整備しなければ、かえって国民の権利や自由がなし崩し的に制限されることも、我々がコロナ禍で学んだ苦い経験の一つです。有事を法の枠内に押しとどめる観点から、民主的統制の下で平時と有事を切り替えることのできる複線的な統治システムの必要性は明らかです。
 本改正案では、個別法で想定されていない事態が発生した際に必要な指示ができるとのことですが、特定の事態の類型を念頭に置いたものではありません。重大、生命等の保護といった要件では権限の濫用に対する歯止めが弱いという声がある中で、補充的指示権の基準が曖昧にならないことを担保する方策について、総務大臣はどのようにお考えでしょうか。
 政府は、補充的指示権の行使に関して、機動性に欠けるために事前の国会承認や報告を盛り込まなかったとの見解を示しています。そうであれば、個別法中心である我が国の緊急事態対応を踏まえ、行使された後に適切に検証すべきです。
 補充的指示権行使後の検証手続を設け、個別法の改正につなげる流れが必要であり、またその手続を一定程度法律に明文化すべきではないでしょうか。必要性について、総務大臣の所見をお伺いいたします。
 我が会派は、このような考えの下、補充的指示権の行使後に各大臣はその旨及び内容を国会に報告するものとする修正案を衆議院に提出いたしました。補充的指示権の行使後における個別法の見直しの重要性を踏まえ、本修正案の意義を総務大臣にお伺いいたします。
 次に、地域の多様な主体との協働と持続可能な地域づくりについてお伺いをいたします。
 先日、民間の有識者グループが将来的に消滅の可能性がある自治体を公表し、各種報道で大きく取り上げられたことにより、地域の持続可能性に対して注目が集まっています。
 自治体の持続可能性を高めていくには、本法案のとおり、地域の多様な主体の連携が重要です。しかし、自治会などの地域の組織の現状を把握しておかなければ、適切な施策を講ずることもままなりません。本法案で示された多様な主体はどのような組織で、どういった活動をする想定か、また、本改正案の立案に先立って、総務省として地域の実情をどのように把握をしてきましたでしょうか。総務大臣に伺います。
 住民の団体と協働するのであれば、例えば無料で勉学をサポートするNPOなど、公共の受皿には多様なものがあります。自治体と他の市町村で活動するNPOとが協働する例も見られます。なぜ自治会等、地理的な範囲を協働の条件とするのでしょうか。行政が一つの団体と固定的な関係を取り結ぶよりも、域外、域内を問わず多様な団体を巻き込み、それぞれ得意とする分野で活動する方が地域の活性化につながるとも考えられますが、総務大臣の所見を求めます。
 二〇一八年に総務省で開催された自治体戦略二〇四〇構想研究会の報告では、二〇四〇年までの人口減少を前提に、情報技術等を活用することで、従来の半分の職員でも自治体として本来担うべき機能が発揮できる仕組みを構築するとともに、中核都市以上の大都市を核にした圏域行政に行財政権限を与えることなどを提言いたしました。
 確かに、急激な人口減少の中、自治体の行財政基盤の強化は急務です。しかし、それだけではなく、自治体の人口規模縮小や地方のデジタルトランスフォーメーションなどを背景に、地方議会そのものの改革も不可避の課題となるでしょう。
 今後、地方議会の在り方を全般的に見直し、議席数の削減や適正化などにより効率性や専門性を向上させることで、人口減少などに対応する地方自治体の持続可能性を高めていくことが重要と考えますが、総務大臣のお考えをお伺いいたします。
 関連して、政府の進めてきた地方創生に関する取組について伺います。
 地方創生に関しては、かつて、まち・ひと・しごと創生総合戦略や昨今のデジタル田園都市国家構想総合戦略など、国主導で様々な取組がなされてきていますが、東京一極集中の傾向は転換できておりません。地方創生は当初の目的に照らしてどのような成果を上げたと考えているか、地方創生担当大臣に御回答を求めます。
 地域の活性化のために単にびほう策的に財源を供与するだけでは十分な政策効果は引き出せません。我が会派は、政府の地方創生推進施策の基となったまち・ひと・しごと創生法についても、地方分権、地方の自立の観点が欠けているなど、その内容も乏しいことから、廃止法案を提出したこともあります。
 それぞれの自治体が魅力的な取組を主体的に進めているからこその地方創生です。地方の活性化のためには、地方が自らの責任の下で創意工夫ができるよう、計画的に地方へ権限や財源を移管することが必要ではありませんか。また、国から今後の地方制度のビジョンを示すべく、政府が主導して地域主権型の道州制の検討を再開するべきではありませんか。地方創生担当大臣、御賛同いただけますでしょうか。
 我々は、道州制によって国の責務を明確に絞り込み、その他の事務は全て地方に任せる、抜本的な統治機構改革をすべきと主張し続けています。人口の減少や安全保障環境の激変など、変化を続ける環境へ適応するため、国と地方の役割を明確化し、地方が自らの責任の下で創造性を発揮することができる統治機構を実現すべきことを申し述べ、質問を終わります。
 御清聴いただき、ありがとうございました。拍手
   〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕
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松本剛明#9
○国務大臣(松本剛明君) 高木議員から八問御質問をいただきました。
 まず、国と地方の関係についてお答えいたします。
 地方分権一括法により、国から地方への関与は、地方自治法に新たに定められた国と地方の関係の基本原則に従って行われることとされました。本改正案の補充的な指示は、この基本原則の下で、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関し、個別法に基づく指示ができない場合に限って適用される地方自治法に基づく関与として設けられるものであり、国と地方の関係の基本原則を崩すという御指摘は当たりません。
 次に、国の役割についてお答えいたします。
 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態においては、個別法で想定されていない場合であっても、国民の生命等を守るため、自治体の区域を超える広域での対応が必要となる場合の調整の役割など、国が果たすべき役割を責任を持って果たす必要があると考えています。
 次に、補充的な指示についてお答えいたします。
 補充的な指示は、災害対策基本法や新型インフル特措法などを参考に、国が事態の規模、態様等を勘案して特に必要があると認めるときに、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関し、個別法に基づく指示ができない場合に限って行使されるものです。限定的な要件の下、自治体への意見の求め等の適正な手続を経て、目的達成のため必要最小限の範囲で行使されるものと考えており、法案が成立した際には、こうした法律の運用の考え方について各府省への周知を徹底してまいります。
 次に、検証の手続の必要性についてお答えいたします。
 補充的な指示が行使されるような場面では、そもそも個別法では想定されていない事態が生じたことを踏まえて、そのような事態への対応全般についての検証が必要になると考えています。このため、補充的な指示の行使という点のみに着目し、事後の検証を義務付ける規定は設けておりません。
 次に、法案の修正についてお答えいたします。
 衆議院における修正により国会報告が盛り込まれたところですが、これは、国会における適切な検証と個別法の制定や改正に関する議論につなげていくことを目指しているものと承知しており、本改正は今般の答申を受けたもので、答申と共通の考え方に立つものと受け止めています。
 次に、多様な主体の活動内容及び地域の実情の把握の仕方についてお答えいたします。
 地域の多様な主体としては、自治会などの地縁による団体やNPOなどといった地域社会における多様な主体を想定しており、例えば、安全、安心な地域づくり、子供の居場所づくりや高齢者福祉など、様々な活動を行っているものと認識しています。また、地域コミュニティに関する研究会や先進的に取り組んでいる団体へのヒアリングなどを通じて実情を把握してきたところです。
 次に、多様な主体との連携についてお答えいたします。
 本制度は、地域で暮らす人々が自ら助け合い、地域課題の解決のために共同で活動する団体を指定地域共同活動団体として市町村が指定し、支援することができるようにする仕組みです。その指定に当たっては、法律上、地域共同活動を行う団体のうち、住民等を主な構成員とし、地域の多様な主体との連携などにより地域共同活動を効率的かつ効果的に行うと認められることを要件としています。これにより、地域の多様な主体がその強みを生かしつつ、一層活躍しやすい環境の整備につながるものと考えています。
 最後に、地方議会の在り方の見直しについてお答えいたします。
 住民の多様な声を聞き、広い見地から地域社会の在り方を検討、失礼、広い見地から地域社会の在り方を議論する地方議会の役割は大変重要なものです。議員定数等、地方議会の在り方は、このような議会の役割や地域の実情を踏まえ、各自治体において御判断いただくべきものと考えており、総務省として必要な助言等を行ってまいります。拍手
   〔国務大臣自見はなこ君登壇、拍手〕
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自見はなこ#10
○国務大臣(自見はなこ君) 高木かおり議員より三問お尋ねがありました。
 初めに、地方創生の成果についてお答えいたします。
 これまで地方創生の取組を進めてきた結果、地域の魅力向上、にぎわいの創出の観点から、地域の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進されたこと、移住支援事業が約千三百市町村に及んで進んだことや、地方拠点強化税制、企業版ふるさと納税が活用されたことなど、一定の成果を上げてきたものと考えております。
 一方、人口減少や少子高齢化が進展する中、東京圏への過度な一極集中が進むことで、地方の過疎化、コミュニティーの弱体化に加え、地域経済の縮小や担い手不足による地域産業の衰退などの課題により、厳しい現実があると認識しております。
 このため、地方創生の四つの柱である、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域づくりに沿って従前より施策を推進しておりますが、引き続き、地方の声を十分に伺い、地方の悩みや課題に寄り添いながら、これらの施策を総合的に推進することで、東京圏への過度な一極集中の是正や地域の活性化につなげてまいります。
 次に、地方の活性化についてお尋ねがありました。
 自らの発想と創意工夫により課題解決を図り、質の高い行政サービスを実現する上での基盤となる地方分権については、提案募集方式の推進等を通じて、事務、権限の移譲や規制緩和などを着実に進めてきました。
 今後、人口減少や少子高齢化など様々な課題に直面する中で持続可能な地域社会を実現するためには、地方自治体がデジタル変革への対応など様々な行政課題に対応して行政サービスを安定的に提供できるよう、地方が自由に使える財源をしっかりと確保することが大切であると認識しています。
 引き続き、地方の声にしっかりと耳を傾けながら、事務、権限の移譲や規制緩和など、地方の自主性、自立性を高める取組を着実に進めてまいります。
 最後に、道州制についてお尋ねがありました。
 道州制については、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つでありますが、国と地方の在り方を大きく変更するものであり、その検討に当たっては、地方の声を十分にお聞きしつつ、国民的な議論を行いながら丁寧に進めていくことが重要であると考えており、国会における御議論も踏まえつつ対応してまいります。拍手
    ─────────────
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長浜博行#11
○副議長(長浜博行君) 芳賀道也君。
   〔芳賀道也君登壇、拍手〕
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芳賀道也#12
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
 会派を代表して、地方自治法改正案に関連して質問いたします。
 最初に、総務省による自治体への関与について裁判になった泉佐野市ふるさと納税不指定事件について伺います。
 最高裁令和二年六月三十日判決では、二〇一九年総務省告示第百七十九号第二条第三号が、地方税法第三十七条の二第二項による総務大臣への委任の範囲を逸脱した違法なものであるとして無効というべきであるとされました。
 この告示は、地方税改正法施行前のふるさと納税の募集スタイルを理由にふるさと納税指定制度から排除できるというもので、この告示に基づき、法律施行前の返礼品募集の仕方を理由として、泉佐野市ほか三団体がふるさと納税指定制度から外されました。
 この告示の前には総務省から技術的助言として通知が出されていましたが、地方自治法第二百四十五条の四のとおり、総務省の技術的助言には自治体は従っても従わなくてもよいのですし、地方自治法第二百四十七条三項にあるように、技術的助言に従わなかったことで、国が自治体に不利益取扱いを与えることは禁じられています。二〇一九年総務省告示では、泉佐野市が技術的助言に従わなかったことで国から不利益扱いを受けたと見られる、読み取れる余地もありました。
 松本総務大臣に、泉佐野市ふるさと納税不指定事件最高裁令和二年六月三十日判決で、総務省告示が違法、無効とされたことについての受け止めを伺います。
 さて、今回の地方自治法改正案のきっかけは総務省の地方制度調査会の昨年十二月答申で、この答申ではデジタルトランスフォーメーションを踏まえた対応が最初にあります。
 政府は今から二十年以上も前、二〇〇一年一月にe―Japan戦略をまとめて、五年以内に世界最先端のIT国家になることを目指すと宣言。e―Japan戦略が出てから五年どころか二十年以上たちますが、世界最先端のIT国家にはなれておりません。
 なぜこのe―Japan戦略が実現しなかったのでしょうか。この戦略が間違いでなかったとすれば、政府のリーダーシップにどのような問題があったのでしょうか。総務大臣の御説明をお願いいたします。
 デジタルトランスフォーメーションに関しては、自治体の二十の基幹業務について、地方公共団体情報システムの標準化期限が全国一律に二〇二五年度末とされています。しかし、児童手当の拡充、そして今年の所得税、住民税定額減税によるシステム改修のため、多くの自治体で標準化に向けた進展が遅れています。既に昨年九月の閣議決定で個別の事情を示せば期限の後ろ倒しが可能となりましたが、各自治体で標準化が遅れている現状を踏まえて、二〇二六年度三月末という、二〇二六年三月末という期限を全国的に数年延長すべきだと考えますが、デジタル大臣の御見解を求めます。
 衆議院本会議や総務委員会の審議では、本法案で新たに設けられる第十四章、特に第二百五十二条の二十六の五、生命等の保護に関する措置に強い批判が集まりました。この第十四章では、国から自治体に向けた指示のほか、資料提出の求めなど、国から自治体に向けた関与ばかりが盛り込まれています。この第十四章の新設は、二〇〇〇年四月施行の地方分権一括法など、地方分権の流れに逆行するものだと考えますが、総務大臣の御所見を伺います。
 あわせて、本改正案の第二百五十二条の二十六の五、生命等の保護に関する措置として規定されている国から自治体への指示によって、憲法で保障されている基本的人権、すなわち生命、自由、幸福追求権、法の下の平等、内心の自由、表現の自由、経済的自由権、財産権、人身の自由、国務請求権、参政権、生存権、教育を受ける権利、労働基本権などが制約を受けることはないのでしょうか。総務大臣のお考えを伺います。
 昨年十二月の地方制度調査会の答申は、新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題を踏まえたものです。政府は、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議を設置して二〇二二年六月に報告書を出しましたが、名ばかり検証、お手盛り報告書など、メディアから批判されました。
 国民民主党は、昨年六月に新型コロナウイルス感染症対策検証委員会法案を他会派と共同提出しています。衆議院本会議で国民民主党の西岡秀子議員も指摘したように、より長い時間を取って多方面から新型コロナ対策を検証することが次の私たちの社会と政治にとってプラスになると考えますが、総務大臣の御見解を求めます。
 新型コロナ対応では、専門知識や法律に基づかず、政治的な対立や因縁、意地の張り合いで政策が決まった面があったと元総務大臣の片山善博教授は指摘しています。新型インフルエンザ特措法が民主党政権時代にできた法律で自民党が反対した法案だったから、当時の安倍内閣がすぐに適用しなかったのではないかと片山教授は述べています。
 政府の感染症対策、そのほかの政策が政治的な対立や因縁、意地の張り合いで決まった場合など、自治体が政府に対して異議申立てをしたり緊急に是正要求したりできるよう、国地方係争処理委員会が緊急時に即座に対応するルールが国民の生命等の保護のために必要だと考えますが、総務大臣の御見解を伺います。
 さて、二〇二〇年二月二十七日、安倍元総理が全国の小中高等学校などに対して、春休みまでの臨時休校を突然要請しました。しかし、休校を決める権限があるのは各自治体の教育委員会です。総理大臣が学校の休校を求める法律がないのに要請したのは違法ですが、総務大臣の御見解を伺います。
 また、安倍元総理が法律の根拠なく全国の学校に臨時休校を要請したことについて、今回の地方自治法改正案の第二百五十二条の二十六の五、生命等の保護に関する措置がこのときあれば、安倍元総理の要請は合法だったことになるのでしょうか。総務大臣の御見解を伺います。
 二〇二〇年四月一日、政府はいわゆるアベノマスクの配布の方針を示しました。確かに当時マスク不足が問題になっていましたが、アベノマスクのような布マスクは効果が少ないと、その当時から専門家などの批判がありました。さらに、生産、調達、配布に時間が掛かり、実際に配布されたときにはマスク不足がほぼ解消されているなど、時機を逸したものとなりました。アベノマスクの保管費用について、会計検査院の調査も入り、決算委員会の警告決議もありました。
 現状では行政不服審査法は行政庁の処分や不作為があって初めて審査請求できるという制度ですが、この枠を広げて、アベノマスクのような費用対効果が少ない政策が決定された場合には、行政庁による政策決定にも国民が審査請求と差止めを求める制度を新たにつくり、災害や感染症などの緊急時には迅速に審査して差止めを可能とする制度を設けるべきだと考えますが、総務大臣の御見解を伺います。
 以上で、国民民主党・新緑風会、芳賀道也の質問といたします。
 御清聴いただき、ありがとうございました。拍手
   〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕
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松本剛明#13
○国務大臣(松本剛明君) 芳賀議員から九問御質問いただきました。
 まず、ふるさと納税についてお答えいたします。
 ふるさと納税については、過度な返礼品競争が行われたことなどを背景に、令和元年度から対象自治体を国が指定する制度が導入されました。令和二年六月三十日の最高裁判決については、総務省として判決を真摯に受け止めるとともに、指定基準に係る告示を改正するなど、速やかに必要な対応を行ったものと認識しております。
 今後とも、ふるさと納税制度につきましては、本来の趣旨に沿った適正な運用が行われるよう取り組んでまいります。
 次に、e―Japan戦略についてお答えいたします。
 e―Japan戦略では、五年以内に世界最先端のIT国家になることを掲げ、超高速ネットワークの整備や電子政府の実現等に取り組むこととされておりました。戦略策定から二年間で超高速インターネットを一千万世帯に提供可能な環境を整備するなどの目標を達成しており、一定の成果は得られております。それからも光ファイバーの普及を進め、情報通信基盤の整備等に積極的に取り組んでおります。
 政府においては現在も、こうして得られた情報通信基盤を活用し、更なる経済成長と豊かな国民生活を実現するため、司令塔となるデジタル庁を設置し、医療や教育、防災など幅広い分野でのDXを進めているところであり、総務省としても、デジタル庁と連携してしっかり取り組んでまいります。
 次に、地方分権との関係についてお答えいたします。
 地方分権一括法により、国から地方への関与は、地方自治法に新たに定められた国と地方の関係の基本原則に従って行われることとされました。本改正案は、この基本原則の下で、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するために講ずべき措置に関し、個別法に基づく指示ができない場合に限って適用される国と地方の関係について規定するものであり、地方分権の流れに逆行するものではありません。
 次に、基本的人権との関係についてお答えいたします。
 国民の権利を制限し、義務を課する場合には法律の根拠が必要であり、補充的な指示により、自治体に対し、法律に根拠のない国民の権利の制限や義務の賦課を指示することはできません。
 次に、新型コロナ対応の検証についてお答えいたします。
 新型コロナ対応については、有識者会議において関係団体からの意見聴取も含めた検証が行われ、これを踏まえ法改正等が行われたほか、現在、多岐にわたる事象を対象として新型コロナ対応を振り返りつつ、次の感染症危機への備えを着実に進めるため、政府行動計画の見直しについて新型インフルエンザ等対策推進会議において御議論していただいているものと承知しています。
 検証は個別法の所管省庁において行われますが、本改正案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に備えるため、速やかに制度化する必要があると考えています。
 次に、自治体から国への異議申立てについてお答えいたします。
 地方自治に影響を及ぼす国の施策に関する自治体から国への意見については、地方六団体による意見の提出や国と地方の協議の場などの仕組みが設けられています。また、新型コロナ対応では、リエゾン職員の派遣や一対一の連絡体制の構築など、自治体から国への意見を含め、国と自治体の意思疎通を円滑化する取組が行われました。国が現場の状況を的確に把握した上で適切な対応を行うため、国と地方の間で十分な情報共有、コミュニケーションを図ることは極めて重要だと認識しています。
 なお、補充的な指示を行う場合には、自治体に対する意見提出の求め等、適正な手続が求められるとともに、係争処理制度の対象となり、この制度の下で適切に対応されるものと考えております。
 次に、一斉休校の要請の適法性について、また補充的な指示との関係についてお答えいたします。
 新型コロナ対応における全国一斉休校の要請は、法にのっとって、地方教育行政法上の指導、助言として同法に基づき行われたものと承知しています。
 補充的な指示は、各大臣の自治体に対する指示であり、関与の性格が異なるものです。
 最後に、政策決定についても行政不服審査制度の対象とすべきとの点についてお答えいたします。
 行政不服審査制度は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民の個別具体の権利利益の救済を図るものであります。
 政策の導入に当たっては国会を含め各方面で議論されることになりますが、政策の是非を問うことは国民の個別具体の権利利益の救済を図るという行政不服審査制度の目的とは異なるものと考えています。拍手
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕
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河野太郎#14
○国務大臣(河野太郎君) 自治体システムの標準化の移行期限の延長についてのお尋ねがございました。
 三月に公表した移行困難システムに該当する見込みのシステムは、システム数で全体の二%であり、多くのシステムは二〇二五年度末までの移行が可能とされております。
 また、移行困難システムの移行期限を個別に設定することや、作業時期の分散、平準化を図ることにより、事業者の適切なリソース配分が可能となると考えます。
 こうした状況から、原則を定めた目標設定に問題はないと認識しておりますが、引き続き事業者や自治体の御意見を丁寧に伺いながら取組を進めてまいります。拍手
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長浜博行#15
○副議長(長浜博行君) 伊藤岳君。
   〔伊藤岳君登壇、拍手〕
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伊藤岳#16
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
 会派を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問いたします。
 本改正案の重大かつ根本的な問題は、政府が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態と判断しさえすれば、国が自治体に対して指示ができる仕組みを新設することです。
 一九九九年の地方分権一括法は、国が自治体に対して包括的な指揮監督権を持つ機関委任事務を廃止しました。しかし同時に、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与として、指示、代執行に至る関与の規定を法制化し、法定受託事務にはこの全ての関与が適用されるとして機関委任事務を事実上温存するとともに、自治事務にも是正の要求という権力的関与の規定を持ち込みました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 しかし、その地方分権一括法も、地方自治の本旨という憲法の規定を踏まえて、国の関与は必要な最小限度のものとすること、地方自治体の自主性、自立性に配慮しなければならないこと、国は地方自治、国は自治事務の処理について、国民の生命、身体又は財産の保護のための緊急の場合を除いては指示に従わなければならないこととすることのないようにしなければならないことなど、関与の基本原則を地方自治法に明記しました。
 本改正案は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態やその発生のおそれがあるとする場合、閣議決定を経て、法定受託事務、自治事務の区別なしに自治体に指示権を行使できるもの、できるとするものです。
 しかし、衆議院の参考人質疑では、個別法の規定では想定できない事態であれば地方自治法という一般法でも想定できるはずがありません、地方自治法においておよそ想定し得ない事態を想定して、その事態に対する権限を一般的、抽象的に行政権に授権することは白紙委任であるとの指摘がされています。
 松本大臣はこの指摘をどのように受け止めていますか。答弁を求めます。
 これは憲法が保障する地方自治を乱暴に踏みにじるものであるばかりか、さらに、国会が認めていない国の指示権を時の政府が独断で行使し得るという点で、立法府である国会をも否定するものではありませんか。松本総務大臣に重ねて答弁を求めます。
 そもそも国による自治体への指示権に立法事実がないことは、衆議院の審議でももうはっきりしています。衆議院総務委員会の参考人質疑では、参考人が、感染症法や新型インフルエンザ等対策特別措置法は法定受託事務であり、国は助言しかできないということではなく、処理基準を定めたり指示もできるなど国は十分な権限を持っており、本改正案の立法事実はないと発言しています。
 松本総務大臣、本改正案の立法事実はどこにありますか。答弁を求めます。
 本改正案で新たに設ける第十四章は、なぜ全く新たな関与の仕組みによる特例関与なのですか。政府の判断一つで、この特例関与が独立して発動するのではありませんか。その場合、第十二章の関与の基本原則、とりわけ緊急性の要件は適用されるのですか。
 松本大臣は、指示は必要最低限の範囲と繰り返しています。しかし、本改正案のどこにその根拠が規定されているのですか。松本総務大臣、以上、具体的にお答えください。
 そもそも自治体に対する関与は地方自治法に基づくことが原則であり、それに間に合わない場合に例外として個別法を設けることができるものです。ところが、本改正案の補充的指示は、個別法の規定で想定できない場合は特例関与の仕組みを使って国が自治体に指示するというものです。
 松本大臣、本改正案は関与の原則を逆転させるものではありませんか。答弁を求めます。
 衆議院では政府は、事態対処法のような有事立法で想定を超える事態についても、本改正案による補充的指示権の行使の対象として除外されないと答弁をしました。
 木原防衛大臣、武力攻撃事態や重要影響事態、存立危機事態などで想定されていない事態が生じたとして、本改正案に基づいて国が自治体に対して指示権を行使することが可能になるのではありませんか。
 重要影響事態法では、関係機関の長が自治体の長に対し、例えば公共施設の使用について必要な協力を求めることができるとされています。ただし、自治体には許可する義務が生じるわけではありません。政府の解説でも、個別の法令に照らして正当な理由がある場合には、自治体の長は協力を拒むことができるとされています。本改正案で、個別法の想定を超える事態が生じたとして自治体に指示権を行使した場合、自治体は拒否ができるのですか。拒否ができないとすれば、現行法の範囲を全く無視した指示権を国が持つことになるのではありませんか。
 全国の多くの空港、港湾を地方自治体が管理しています。本改正案によって、空港や港湾の設置、運営の根拠法令によらずに、自衛隊や米軍の優先利用まで指示することができるのですか。
 木原防衛大臣、以上、併せて答弁を求めます。
 既に政府は沖縄で、沖縄県と沖縄県民の反対の意思を踏みにじり、名護市辺野古への米軍新基地建設を強行しています。玉城デニー県知事が公有水面埋立法に基づき、沖縄防衛局が提出した設計計画、設計変更申請を不承認としたのに対し、政府は国民の権利救済を目的とする行政不服審査法を悪用してこれを覆し、法定受託事務に基づく代執行にまで踏み切ったのであります。
 松本総務大臣、現行法の下でも沖縄県と沖縄県民の民意がこれほど踏みにじられているのです。本改正案が通るならば、更に強権的に新基地建設が推し進められるのではないかという不安や懸念が広がるのは当然ではありませんか。
 こうした新基地建設をめぐる政府の対応が憲法で定められた地方自治の本旨を幾重にも深く踏みにじるものであるという認識はあるのですか。以上、答弁を求めます。
 最後に、情報システムの適正な利用についてです。
 本改正案は、自治体が情報システムを有効に利用するとともに、他の自治体又は国と協力して情報システムの利用の最適化を図ることを自治体の努力義務とするものです。
 デジタル化は流通するデータをシステム相互の間で連携させることによって進展します。住民と自治体に関するデータを管理、保護する自治体が団体としての自立した判断と地域住民の意思に基づいて、住民の暮らしにデジタル技術を役立てることが必要です。
 松本大臣、本改正案の言う情報システムの利用の最適化を図るとは、具体的に何を自治体に対して求めるものなのですか。
 以上、答弁を求め、質問といたします。拍手
   〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕
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松本剛明#17
○国務大臣(松本剛明君) 伊藤議員から八問御質問いただきました。
 まず、白紙委任との御指摘についてお答えいたします。
 今般の答申では、感染症や災害への対応を踏まえ、個別法の見直しが重ねられているが、これまでの経験を踏まえると、今後も個別法において想定されていない事態は生じ得るものと指摘されており、本改正案はそうした場合に備えるものです。
 その上で、補充的な指示は、国民の生命等の保護を的確、迅速に実施するための特例として、関与の基本原則にのっとって限定的な要件と適正な手続を定めており、白紙委任との指摘は当たらないと考えています。
 次に、補充的な指示と国会との関係についてお答えいたします。
 補充的な指示については、国民の生命等の保護を的確、迅速に行うため、個別法に規定がない場合に必要な指示を行うものとして、関与の基本原則にのっとって地方自治法に設けられるものです。
 過去の感染症への対応について必要な検証が行われた上で個別法の見直しが行われていますが、それまでの間、法的根拠なく国による働きかけや対応が行われることとなり、その対応に必要な法的根拠を欠くという観点からは課題があると考えています。
 本改正は、こうした課題を踏まえ、個別法の改正が行われるまでの間において行われる国の地方への働きかけについて法律上のルールを整備するものであり、国会を否定するものとの指摘は当たらないものと考えております。
 次に、立法事実についてお答えいたします。
 新型コロナ対応においては、当時の感染症法に基づく保健所設置団体の事務は法定受託事務とされ、処理基準の設定や感染症法に基づく指示が可能でしたが、入院勧告、措置に関わる都道府県の協力、支援事務については同法の規定に基づく事務ではなく、また、国が広域的な調整の役割を担うことは想定されていませんでした。こうした課題を踏まえ、感染症法等の改正が行われています。
 過去の対応を踏まえ、個別法の見直しは重ねられていますが、これまでの経験を踏まえると、今後も個別法において想定されていない事態は生じ得るものであり、その場合には国、地方間の責任の所在が不明確となるため、個別法が改正されるまでの間に行われる国から地方への働きかけについて法律上のルールを明確化する必要があります。このことが本改正案の立法事実であると考えています。
 次に、補充的な指示の要件等についてお答えいたします。
 地方自治法上の関与の基本原則は、自治事務に関する指示について、国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き設けてはならないとしており、「緊急に」とは、「特に必要と認められる場合」の例示として規定されています。
 これは、国等の関与を設ける場合の立法指針であり、補充的な指示は、この立法指針にのっとって、生命等の保護の措置の的確、迅速な実施を確保するため特に必要があると認めるときに限り、その必要な限度においてなど限定的な要件を設けるほか、自治体への意見の求めや閣議決定など適正な手続を定めており、目的達成のため必要最小限の範囲で行使されるものと考えています。
 次に、関与の基本原則との関係についてお答えいたします。
 国の自治体に対する関与は、法律又はこれに基づく政令によらなければならないものとし、また、その目的を達成するために必要な最小限度のものとするものとされています。
 その上で、地方自治法は国の関与の基本類型を定め、このうち一定のものについて一般的な根拠規定を設けており、そのほかの国の関与については個別法で設けられています。
 補充的な指示については、国民の生命等の保護を的確、迅速に行うため、個別法に規定がない場合に必要な指示を行うものとして、関与の基本原則にのっとって地方自治法に新たに一般的な根拠規定として設けられるものであり、地方自治法の関与の基本原則を逆転させるとの指摘は当たらないものと考えています。
 次に、普天間飛行場の辺野古移設について、また、地方自治の本旨との関係についてお答えいたします。
 御指摘の審査請求及び代執行については、行政不服審査法及び地方自治法に基づいて行われたものであり、代執行に関しては、本年二月、最高裁判所が沖縄県の上告を受理しないとの決定をし、県に埋立地用途変更等の承認を命じる判決が確定したものと承知しています。このため、地方自治の本旨を踏みにじるとの御指摘は当たらないと考えています。
 その上で、本改正に基づく国、地方関係の特例の対象となる事態は、実際に生じた事態の規模や態様等に照らし、その該当性が判断されるものですが、災害対策基本法、新型インフル特措法などにおいて国が役割を果たすこととされている事態に比肩する程度の被害が生じる事態を想定しています。したがって、普天間飛行場代替施設建設事業に関する埋立地用途変更等の承認については、補充的な指示の対象とはならないと考えています。
 最後に、情報システムについてお答えいたします。
 今般の改正では、自治体は、事務の種類及び内容に応じ、住民福祉の増進や効率的な事務処理の観点から他の自治体又は国と協力し、情報システムの利用の最適化を図るよう努めるものとしています。
 情報システムの利用の最適化は、例えば、情報システムの広域又は全国規模での共同利用や機能の標準化などに取り組み、住民にとっての利便性の向上や、コスト、職員の負担低減などを図ることを想定しているものです。
 以上です。拍手
   〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕
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木原稔#18
○国務大臣(木原稔君) 伊藤岳議員にお答えいたします。
 有事立法で想定を超える事態における指示権の行使についてお尋ねがございました。
 これまで衆議院において総務大臣から答弁がありましたとおり、地方自治法改正案の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態について具体的にどのような事態が該当するのかは、特定の事態の類型を念頭に置いているものではなく、実態に生じた事態の規模や態様等に照らし、その該当性が判断されるものであると承知しております。
 その上で、重要影響事態、武力攻撃事態、存立危機事態への対応に関しては、重要影響事態安全確保法、事態対処法などにおいて必要な規定が整備されておりまして、これらの法律の規定に従って地方自治体に対して協力を求める等を行うことに変わりはございません。拍手
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尾辻秀久#19
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
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尾辻秀久#20
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長小野田紀美君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小野田紀美君登壇、拍手〕
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小野田紀美#21
○小野田紀美君 ただいま議題となりました条約につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 この条約は、グローバル戦闘航空プログラム、GCAPの管理等を我が国、英国及びイタリア三か国のために行うことを目的とする国際機関として、GCAP政府間機関を設立するものであります。
 委員会におきましては、政府間機関設立の意義と効果、同機関に派遣される職員の規模と処遇、GCAPの実施に係る秘密保全の在り方、次期戦闘機の第三国移転に係る戦略と課題等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の山添委員より反対、沖縄の風の高良委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
    ─────────────
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尾辻秀久#22
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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尾辻秀久#23
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
 よって、本件は承認することに決しました。拍手
     ─────・─────
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尾辻秀久#24
○議長(尾辻秀久君) 日程第二 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長阿達雅志君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔阿達雅志君登壇、拍手〕
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阿達雅志#25
○阿達雅志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、子ども・子育て支援に関する施策を抜本的に強化するため、妊婦及び児童の保護者等に対する新たな給付の創設、児童手当の支給期間の延長、支給額の増加及び所得要件の撤廃等の措置を講ずるとともに、これらの措置に必要な費用に充てるための子ども・子育て支援納付金及び子ども・子育て支援特例公債について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取し、厚生労働委員会との連合審査会を行ったほか、内閣総理大臣の出席を求め、質疑を行いました。
 委員会における主な質疑の内容は、これまでの少子化対策への評価及び今後の目標設定、若い世代の結婚、出産等の希望がかなえられる社会の実現に向けた本法律案の意義、児童手当の拡充策の在り方、こども誰でも通園制度の課題及び保育人材確保のための取組、支援金の制度設計の妥当性及び給付と負担の在り方、歳出改革等による財源確保策等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の鬼木委員より反対、日本維新の会・教育無償化を実現する会の片山委員より反対、国民民主党・新緑風会の竹詰委員より反対、日本共産党の井上委員より反対、れいわ新選組の木村委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。拍手
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尾辻秀久#26
○議長(尾辻秀久君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。鬼木誠君。
   〔鬼木誠君登壇、拍手〕
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鬼木誠#27
○鬼木誠君 立憲民主党の鬼木誠です。
 立憲民主・社民会派を代表し、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 現在、衆議院において、政治資金規正法改正に向けての議論がなぜか続いています。自民党の裏金問題が発覚をして以降、実に多くの時間を費やしこの問題を議論してきましたが、私たちが求めてきた全容解明はなされず、当事者である議員の皆さんは、弁明と説明の機会である政倫審への出席もなさろうとしません。その上、自民党から示された改正案は再発防止の実効性が全く担保をされておらず、改革を本気で行う気がないことは明白です。
 これまでの自民党の対応に一貫をしているのは、現状に対する責任、説明責任、将来への責任、そのことを全く果たそうとしない姿勢です。そのかたくなな態度により、多くの国民の信頼を失ったことは、直近の国政選挙や地方公共団体における選挙結果が明確に示しています。
 そして、この現状に対する責任、説明責任、将来への責任の放棄は、今国会に提出をされた多くの法案に通底をしており、本法律案にもそのことが顕著に表れています。
 本法律案の出発点となったこども未来戦略は、「少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。」という記載から始まります。しかし、この最大の危機をもたらしたこれまでの三十年間の政策の失敗には一言も触れられていません。検証と反省を欠く戦略から真に有効な方針が生まれるはずがありません。
 少子化は失策の結果であり、まず認識しなければならないのは、これまでの施策では子供や若者、子育て世帯を取り巻く厳しい環境を改善することができなかったという事実です。その認識の欠落こそがここまで危機を増大させてきた元凶であり、本法律案の内容の希薄さの源だと考えています。
 そのこども未来戦略には、「若者・子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできない」として、「政府として、若者・子育て世代の所得向上に全力で取り組む。」などの記載がなされています。
 しかし、その威勢の良さとは裏腹に、例えば構造的賃上げを確固たるものとするためとして掲げられている方策は枝葉末節なものでしかなく、極めて重要な課題である同一労働同一賃金や非正規の正規化については問題意識の記載にとどまり、具体的にどう進めるかは全く示されていません。
 同様に、戦略に散見される他省庁が所管する分野における踏み込みの浅さと具体の乏しさは、こども家庭庁創設の眼目である司令塔機能の不全を示しており、目指すべきこどもまんなか社会は遠く後景化していると言わざるを得ません。
 加えて、こども未来戦略が、戦略といいながら、何を目指し、何をなそうとしているのか、その肝腎の目標がはっきりしない点も大きな問題です。
 総理は少子化トレンドの反転を目指すとおっしゃいますが、何をもって少子化トレンドが反転されたと言えるのか、どうやってそれを検証するのか、具体的な説明はついにありませんでした。
 目標設定が曖昧な中で策定された加速化プランは、少子化対策としての効果があるのかどうか、政府として根拠も示せないような極めて中途半端な内容となっています。
 目玉政策の一つである児童手当の拡充は、所得制限の撤廃や高校生年代までの延長という点は評価をしますが、多子加算の拡充の額は悲しいほど不十分です。そもそも少子化の原因が未婚化や少母化にあることを踏まえるならば、一子目から支給額を増やすべきではないでしょうか。
 また、こども誰でも通園制度は、全ての子供の育ちを支援するという理念を制度内容が体現をしていません。何より圧倒的に保育士が不足をしていることや、依然として待機児童が解消されていない地域も多いことなどを踏まえると、全ての子供への質の高い保育サービスの提供につながるとはどうしても思えません。
 現場の不安や不信を置き去りにしたまま見切り発車しようとしていますが、受入れ体制の整備、強化、保育人材不足を解消するための継続的で安定的な保育士の処遇改善など、根本的な問題解決に向けた対策こそ優先すべきです。
 なお、本法律案には一切盛り込まれていませんが、教育費の負担軽減に関する対応にも問題があります。高等教育費の無償化は児童手当同様に多子世帯のみが対象という不十分なものでしかなく、学校給食の無償化は加速化プランには記載すらありません。総じて、子供の貧困に対する視点、具体的施策が希薄であり、このような不十分な子育て支援策で少子化が本当に解消できると考えているのか、政府の本気度を疑わざるを得ません。
 そして、本法律案最大の問題点は、子ども・子育て支援金制度です。
 政府は、医療保険制度を活用して国民、そして事業者から新たに徴収する支援金は実質的な負担が生じることはないという説明を繰り返していますが、国会での議論を通じて、この制度が増税批判を避けるために取りやすいところから取る制度にほかならないことや、実質的な負担が生じないという説明はまやかしであることが明らかになりました。
 医療保険制度を活用して支援金を徴収することについては、委員会で与党の委員からも、原理的な整合性が保てない、詭弁に近いと指摘されたように、医療保険制度の目的外使用にほかなりません。
 支援金と医療保険料は別物である、政府は説明されますが、確かに支援金率と医療保険料率と別に定めることになってはいるものの、実質上、支援金は医療保険料として徴収されることになります。給与明細等に医療保険料と分けて記載するかどうかも事業主の任意とされており、支援金が幾ら徴収されたのか、実際の負担額が分からない可能性が高い。その上、政府は、支援金の充当事業は、健康保険法等に基づく保険給付や事業と同様の趣旨のものであることから、医療保険料として徴収する制度設計は妥当と説明をしていますが、児童手当やこども誰でも通園制度が医療保険給付と同等の趣旨のものという説明はどう考えても無理筋であり、このような制度設計を容認することはできません。
 また、政府の言う実質的な負担が生じないことが成り立つのは、なされてもいない物価上昇を上回る継続的な全労働者の賃上げや、行ってもいない歳出削減効果という希望でしかないものを前提とし、歳出改革をしなかった場合の社会保険料と比べたときの話であり、ありもしない仮定の下での詭弁ともいうべき机上の空論にほかなりません。これで実質的に負担が生じないと喧伝するのは、極めて不適切です。
 支援金制度は現役世代に偏った社会保険料の負担増となり、子育て世代、若者世代の可処分所得は減ることになります。他方、企業には事業主負担が求められることになり、その結果、賃上げの抑制や非正規労働者の正規化の停滞にもつながりかねません。その危機感から、少子化促進策になりかねないという指摘もなされています。
 子ども・子育て政策実現のため安定的な財源確保は必要ですが、少子化対策に逆行しかねない極めて問題の多い支援金制度の創設は撤回すべきです。
 子供や若者、子育て世帯の幸せを目指し、必要な施策実施のための安定財源を確保するために、あらゆる選択肢を俎上にのせて議論し直し、国民に対し誠実に説明をし、協力を求めていく。今、政府が行うべきはそのことであり、岸田政権にそのおつもりがないのなら私たちがいつでも交代をさせていただく、その準備があることを申し上げ、討論を終わります。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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尾辻秀久#28
○議長(尾辻秀久君) 片山大介君。
   〔片山大介君登壇、拍手〕
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片山大介#29
○片山大介君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の片山大介です。
 私は、会派を代表し、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論します。
 この法案の議論をしているさなかの先月下旬、人口動態統計の速報が公表され、今年一月から三月に生まれた子供の数、出生数は十七万人余りだったことが分かりました。過去最も少なかった去年の同じ時期と比べても六・四%の減で、このまま推移すると、年間の出生数は去年の七十五万人を大きく下回り、初めて七十万人を割り込むという予測すら出ています。このところの少子化の加速は余りにも著しく、そして、一刻の猶予もありません。
 こうした中、今回の法案は、異次元の少子化対策の名の下、加速化プランとともに三・六兆円もの財源の確保策が盛り込まれたもので、我が党は、この施策で本当に少子化を止められるのか、そして巨額の財源を本当に確保できるのか、この両面から政府に問いただしてきました。しかし、その疑念は、最後まで解決されないどころか、逆に深まるばかりでした。
 まず、加速化プランの各施策について、どこが異次元なのか、結局、腹に落ちる説明はいただけませんでした。長年指摘されながらも実現できなかった施策を盛り込んだとの説明は、規模を三・六兆円にまで増やしたから入れられたというようにしか聞こえませんでした。プランの主な柱は一・七兆円に及ぶ現金給付の拡充で、この中には児童手当も含まれ、所得制限の撤廃や高校生までの延長、それに第三子以降の支給額倍増が盛り込まれています。こうした現金給付の拡充は、子育て世帯への支援としては有効かもしれませんが、政府が目指す少子化トレンドの反転を実現する上で具体的にどれだけ効果があるのか、政府から明確な答弁はありませんでした。
 そして、審議の中で、目標の設定と効果の検証が重要だと訴えたところ、政府からもKPIが大切で、こども大綱の中で目標設定をしているという答弁があったので、期待してこども大綱を見てみましたが、愕然としました。そこには、結婚、妊娠、子供、子育てに温かい社会の実現に向かっていると思う人の割合を七〇%に増やすと書かれており、目標設定というより意識調査のようなものでした。これが霞が関文学なのかと思い知らされました。
 さらに、先週公表された年間の実施計画とも言えるこどもまんなか実行計画には、どのようなアウトカム、成果目標、成果実績が適切か検討を進め、得られた知見を活用すると書かれていました。三・六兆円もの財源を使うことは決めている一方で、目標設定は今後の検討にとどめていて、お金の使い方の大切さを分かっているとは思えません。
 そして、巨額の財源の確保は、既定予算の最大限の活用で一・五兆円、歳出改革による公費節減で一・一兆円、そして支援金制度の構築で一兆円と三つから成りますが、それぞれ本当に集められるのか甚だ疑問です。
 一つ目の既定予算の最大限の活用は、毎年度の予算編成の過程で社会保障に関する事業で要求している予算の過剰な上積み分を削って少子化対策の予算に付け替えていくだけの話です。各事業で予算が余りそうなら、最初からその事業に計上すべきではなく、既定予算でもなければ活用でもありません。あたかも無駄なお金を見付け出したような言い方は国民に誤解を与えます。
 また、二つ目の歳出改革による公費節減は、医療や介護の制度で歳出改革を行って、国、地方が拠出する公費負担分を一・一兆円節減し、少子化対策の財源に充てようというものですが、机上の理論にすぎません。
 政府の説明によると、これまでの二〇一三年度から二〇二二年度までの九年間で子供関連予算を四・三兆円増やしてきたということです。この四・三兆円の根拠として明確になっているのは、消費税の引上げ分と子ども・子育て拠出金の増額分で、合わせて二・七兆円。それを引くと残りは一・六兆円となり、これはきっと歳出改革によって捻出できたはずだとして、年平均にすると〇・一八兆円。その上で、今後も同じように歳出改革できるはずとして、二〇二八年度までの六年分を掛け算すると、〇・一八兆円掛ける六年で一・一兆円になるという全くの都合の良い計算です。
 歳出改革の額を言うなら、具体的な改革項目とその金額を出して積み上げていくべきなのに、こんな本当だったのかどうかも分からない根拠を基に今後も捻出できると言われても説得力はありません。
 政府が策定した全世代型社会保障の構築を目指す改革工程でも、歳出改革のメニューを羅列しているにすぎず、具体的な実施時期や削減額は記されていません。
 歳出改革を本気で行うなら、それには痛みを伴うもので、医療費の患者負担など、高齢者層を中心に負担が増えることにもなります。それなのに、医師会始め業界団体などの利害関係者と合意形成を行った形跡すら見られず、それでもできると断言するのは、捕らぬタヌキの皮算用でしかありません。
 さらに、支援金制度について言えば、社会保険の目的外使用であること、そして、社会保険料は現役世代に最も重く負担が掛かるので、財源にすれば少子化を加速させることは疑いようのないことです。にもかかわらず、政府の答弁は、有識者の中にも社会保険料を財源とする支援金制度に賛成する声があるなどと、木で鼻をくくったものばかりで、相入れないまま内閣委員会の審議は過ぎ去りました。
 そんな審議の中、身内であるはずの自民党議員から、子供保険を別途つくるならよいが、勝手に医療保険の中から支援金制度と名付けて何%とかを持っていくのは国民の納得を得にくい、医療保険とは別だというのは詭弁に近いという良識的な意見が出たのには励まされました。
 そして、一番の問題は、社会保険の負担軽減効果の範囲内というまやかしです。歳出カットできたのなら、それは無駄遣いを削ったことなのだから、まず、当事者たちに返すべく、保険料の軽減に充てるのが本来のあるべき姿です。その上で、もうちょっと出してくれませんかと聞くのなら分かるものの、本当に削れたのかどうかも分からないのにその分を徴収すると言われても、国民からすれば取られたとしか思えません。
 幾ら実質的な負担がないと強弁しても、国民にとって新しい負担がのしかかることにほかならず、それに伴う可処分所得の減少や雇用への悪影響などに見て見ぬふりをすることは、政府として無責任だと言えます。
 我が党は、財源の在り方について抜本的な見直しを行うべきと主張し、それまでの間は、国会議員の定数削減を始めとする行政改革による出資の削減など歳出の削減を図ること、そして国の不要資産の売却によって歳入を増やすことなどを代替財源として提案しています。
 少子化は、人口ピラミッドの形を大きく変え、我々が今享受している社会生活をも大きく変えていきます。それだけに、その対策は誰もが納得できるルールで行っていく必要があります。今回のような問題の多い法案は決して認められるべきではなく、廃案にすべきです。そのことを強く訴え、私の反対討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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