予算委員会公聴会

2024-03-12 参議院 全234発言

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会議録情報#0
令和六年三月十二日(火曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     白坂 亜紀君     宮本 周司君
     堀井  巌君     加田 裕之君
     山田 太郎君     梶原 大介君
     山本佐知子君     神谷 政幸君
     古賀 千景君     辻元 清美君
     村田 享子君     打越さく良君
     石井 苗子君     東   徹君
     井上 哲士君     紙  智子君
     山添  拓君     岩渕  友君
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     吉井  章君
     猪口 邦子君     山本 啓介君
     佐藤  啓君     星  北斗君
     松川 るい君     生稲 晃子君
     山田 俊男君     古庄 玄知君
     吉川ゆうみ君     友納 理緒君
     若林 洋平君     赤松  健君
     水野 素子君     三上 えり君
     東   徹君     青島 健太君
     竹詰  仁君     田村 まみ君
     岩渕  友君     山添  拓君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         櫻井  充君
    理 事
                臼井 正一君
                加藤 明良君
                小林 一大君
                中西 祐介君
                宮崎 雅夫君
                石橋 通宏君
                杉尾 秀哉君
                河野 義博君
                金子 道仁君
    委 員
                赤松  健君
                有村 治子君
                生稲 晃子君
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                加田 裕之君
                梶原 大介君
                神谷 政幸君
                古庄 玄知君
                佐藤  啓君
                田中 昌史君
                友納 理緒君
                中田  宏君
                長谷川英晴君
                星  北斗君
                松川 るい君
                宮本 周司君
                山田 俊男君
                山田  宏君
                山本 啓介君
                吉井  章君
                吉川ゆうみ君
                若林 洋平君
                打越さく良君
                小沼  巧君
                高木 真理君
                辻元 清美君
                福島みずほ君
                三上 えり君
                水野 素子君
                秋野 公造君
                伊藤 孝江君
                宮崎  勝君
                横山 信一君
                青島 健太君
                東   徹君
                清水 貴之君
                松野 明美君
                伊藤 孝恵君
                田村 まみ君
                岩渕  友君
                紙  智子君
                山添  拓君
                大島九州男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        星  正彦君
   公述人
       立教大学経済学
       部経済政策学科
       教授       首藤 若菜君
       東京大学名誉教
       授        大沢 真理君
       学習院大学経済
       学部教授
       社会保障審議会
       会長       遠藤 久夫君
       明治大学農学部
       専任教授     作山  巧君
       東京大学公共政
       策大学院客員教
       授        高見澤將林君
       元陸上総隊司令
       官        高田 克樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○令和六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○令和六年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○令和六年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ─────────────
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櫻井充#1
○委員長(櫻井充君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。
 本日は、令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
 この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 本日は、令和六年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、経済・財政/金融・雇用/労働について、公述人立教大学経済学部経済政策学科教授首藤若菜さん及び東京大学名誉教授大沢真理さんから順次御意見を伺います。
 まず、首藤公述人にお願いいたします。それでは、首藤公述人、よろしくお願いします。
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首藤若菜#2
○公述人(首藤若菜君) 立教大学、首藤若菜と申します。
 本日は、このような場でお話しする機会をいただき、大変光栄に感じております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、労使関係を専門に研究しておりまして、その観点から本日二点お話をさせていただきたいと思います。一つ目が物流の二〇二四年問題、もう一つが持続的な賃上げについてです。
 では、まず物流の二〇二四年問題からお話しさせていただきます。
 トラックドライバーの労働時間の短縮に向けては、ここ数年、国交省、経産省を中心にかつてないほど踏み込んだ対策が取られてきました。その結果、物流現場に変化の兆しが現れているというふうに感じております。大手の運送会社、荷主企業を中心に物流の負荷を軽減させる取組が始まっており、これが今後順調に進むかどうかということはまだ見極めが付かない部分もありますが、長い間ずっと改善してこなかった現場が変わり始めているという点は高く評価すべきだというふうに考えております。
 ただ、こうした動きが中小の運送会社、荷主企業にまで広がっているのかというと、そうとは言い切れないと思っております。中小の運送会社のところで、今物流現場何が起きているのかといいますと、多くの運送会社の方々が二択を迫られているというふうに語っています。二択というのは、結局、四月から始まります労働基準の強化を遵守せずに荷物を運び続けるか、遵守するために荷物を諦めるかという二択です。どちらを選ぶにせよ、非常に苦しい思いを抱えながらこの四月を迎えようとしているというのが実態だと思っています。
 トラックドライバーの労働時間と賃金は、手元にあります五ページの図表一に示しているとおりです。
 いわゆる残業時間である超過労働時間数を見ていただきますと、男性平均の二・五倍から三倍の長さになっています。賃金水準は、決まって支給する現金給与額、これが残業込みの賃金額になっていますが、これは平均の、男性平均に近くなっておりますけれども、所定内給与額で見ますと、平均の八割ほどに下がります。つまり、長く働くことで平均並みの賃金を獲得しているということが分かります。現状のままですと、残業時間の規制強化によって収入が低下し、それにより離職者が増え、人手不足が深刻化するということが懸念されます。
 賃金を上げるにはその原資である運賃の上昇が求められますが、次のページの図表二を御覧ください。
 企業向けサービス価格指数を見ますと、赤い線で示してあるのが道路貨物運送業の指数になります。コロナ前までは上昇していましたが、コロナ以降ほぼ横ばいとなっているのが分かるかと思います。ドライバーの賃金は、実は二〇一〇年頃から若干上昇してきているんですけれども、近年は上昇幅が狭くなっておりまして、これは運賃の上昇幅の弱まりと整合的だというふうに考えております。
 では、どのようにすればいいのかということについて、私の考えを五点述べさせていただきます。七ページから八ページにまとめてあります。
 一つは、価格転嫁です。持続的な物流をつくっていくためには、政府が呼びかけているように、価格転嫁が必須だと思っております。
 現在、公正取引委員会やトラックGメンが取組を強化しておりまして、それは非常に追い風になっていることは確かです。広島県等一部のGメンはかなり踏み込んだ取組もしておりまして、取引環境の改善に貢献していると見ています。しかし、中小企業庁の調査によりますと、トラック運送業の価格転嫁率は全業種の中でも最下位であり、平均四五・七%の転嫁率に対してトラック業界では二四・八%と、著しく低い状況です。
 なぜ価格転嫁が進まないのかと。それは、従来の価格で若しくはもっと安い価格で荷物を運ぼうとする事業者が後を絶たないという実態があるためです。価格を上げようと交渉すれば転嫁しない事業者に仕事が奪われていくというふうに皆さんおっしゃいます。その安さが生産性の上昇によって実現されていればいいのですが、賃金を上げないことで若しくは賃金を引き下げることで安さを実現しているケースも多々あります。
 価格転嫁を進めるには中小事業者は交渉力を持っていかなければなりませんが、しかし、構造的に交渉力が高めにくいというのが実態です。例えば、多層的な下請構造がトラック業界にはありますが、五次請け、六次請けといった下請業者は価格交渉をするすべすら持っていないというのが実態です。その中で幾ら適正価格をと呼びかけられても、その実現は困難だと思っております。
 価格転嫁を進めるためには、それが可能となるような市場環境を整備するということこそが重要であり、例えば多層的な下請構造を是正するということが求められているというふうに考えております。これは海外でも行われておりまして、トラック運送業では例えば二次請け以下を禁止するといった制約を設けている国があるというふうに聞いております。取締りの強化、呼びかけの強化、これも重要ですけれども、価格が転嫁できる環境をつくっていただきたいというふうに考えております。
 第二、第三は、運賃と賃金の底上げに法的拘束力を持たせるという点です。
 国土交通省は、二〇一八年に標準的な運賃を導入し、運賃交渉の目安とするように呼びかけています。しかし、九ページの図表三を見ていただくと分かりますけれども、標準的な運賃額若しくはそれ以上の運賃額を獲得できているのは僅か一五%にすぎません。半数以上の荷物は標準運賃の七割以下の価格で運ばれていますし、二割の荷物は標準運賃の半額以下で運ばれているというのが実態です。
 中小の運送事業者たちは、標準的な運賃のことを理想の運賃とか夢の運賃というふうに呼んでいます。実態的に標準運賃が標準にはなっていないというふうに考えています。標準的な運賃に実効性を持たせることが難しいのであれば、上限、下限の運賃額を定めたり、最低運賃額を定めるということも検討していただきたいというふうに思っております。
 第三には、賃金の底上げについてです。
 トラックドライバーの流出を防ぐには、ドライバーの賃金単価を上げていくということが不可欠だと思っております。それには、私は特定最賃を活用すべきだというふうに考えております。賃金の最低基準を設けることで、より安い運賃で仕事を獲得しようと、より安い賃金で仕事を獲得しようというような底辺への競争の歯止めにもなるというふうに考えております。
 第四番目ですが、労働規制が強化されていく中で、現在、宅配の現場など一部の物流現場では、雇用労働者ではなくて個人事業主として働く、働かせる動きが広がっています。ギグワーカーに対する労働者保護を拡充していくことや、雇用されるかどうかで労働コストが大きく異なると、こういった状況を変えていくような労働法制や社会保障制度の見直しも急務だというふうに思っております。
 最後に、人手不足の中で、外国人労働力の流入に期待が高まっています。しかし、より安い賃金で働いてもらうために外国人労働者に頼るという発想では再び労働力不足に陥る懸念があります。外国人労働力の受入れに当たっては、日本人であれ外国人であれ、賃金水準の上昇が必要だという強いメッセージを出していただきたいというふうに思っております。
 続いて、持続的な賃上げについてお話をしたいと思います。
 あしたは春闘の集中回答日でありまして、大手企業を中心に昨年を上回る大幅な賃上げが達成される見込みです。政府が繰り返し呼びかけ、政労使会議を開催するなど、賃上げを強く求めてきた効果は大きいというふうに考えております。問題は、これが中小企業にまで広がるかどうかという点だと思っています。
 まず、昨年の賃上げの結果を簡単に振り返りたいと思います。
 昨年の春闘では三・六%という三十年ぶりの大幅賃上げとなりました。しかし、十二ページの図表四を御覧いただきたいのですが、昨年の一般労働者の現金給与総額の伸び率はプラス一・二%で、上昇はしましたが、際立って伸び率が高かったかと言われると、そういうわけではありませんでした。
 また、次のページの図表五のとおり、昨年の春闘は分散係数がかつてないほど高かったことも分かっています。大企業が大幅に賃上げをしているということが数多く報道されていますが、さほど賃金を上げられなかった企業が存在しているというふうに予想されます。
 その中で、持続的な賃上げを実現させ経済を循環させていくための考えを四点お話しさせていただきたいと思います。
 第一には、労働生産性と労働分配率の向上です。
 持続的な賃上げには生産性の向上が不可欠だと思っております。生産性向上に向けた中小企業への支援は既に数多く行われていますが、より多くの事業者が取り組めるよう後押しをお願いしたく存じます。
 他方で、急激な賃上げが生産性の向上を伴わない形で進むことへの懸念の声も聞かれます。しかし、日本の問題は、過去二十年以上にわたり労働生産性の上昇に賃金上昇が追い付いてこなかったことにあるというふうに私は考えております。その結果、日本の労働分配率も低下してきました。内需を拡大していくには幅広い人々の所得の向上が不可欠だと思っております。そのためには、労働分配率が上昇するような賃上げ、労働分配率にも着目した賃上げを目指すべきだと思っております。
 第二には、価格転嫁の促進です。
 価格転嫁率と賃上げ率には相関関係が確認されております。価格転嫁を進めるための方策は既に述べましたので割愛しますが、なかなか価格転嫁が進まない状況や多層的な下請構造はトラック業界だけの話ではありません。トラック業界で起きている実態は日本社会の縮図であるというふうに私は考えております。
 第三に、持続的な賃上げには集団的な労使関係の再構築が必要だと考えています。
 十六ページの図表七を御覧ください。これは連合が発表した昨年の春闘結果になります。これを見ますと、労組がある企業では中小企業でも賃上げが行われていることが分かります。昨年の労働経済白書では、企業規模が小さいほど労組の有無が賃金改定率に影響している可能性を指摘しています。
 また、非正規労働者の賃上げについても、今年ではイオングループが昨年同様に非常に高い賃上げを非正規含めて行うということが発表されていますが、連合の発表によっても、労組に加入している非正規労働者については賃金が上がっているというふうな実態があります。
 賃金が上がるかどうかというのは、中小や大企業かどちらかということや正規か非正規かというような違いのみならず、労働組合にカバーされている労働者か否かということにも左右されるというふうに私は見ています。中小企業で賃金を順調に上げていくために、やはり中小企業の組合組織率が極めて低いというような実態を改善していくということも必要だと思っています。
 この間、組合の組織率が下がり、労働者の発言力や交渉力が低下してきたことにより、賃金が上がらず、内需が縮小し、経済が成長しないと、そんな社会がつくり出されてきたと思います。経済の再生のためにも集団的労使関係の再構築が必要だと考えています。
 今、学校教育では学習指導要領で労働三権を学ぶ機会がありますが、労働者がワークルールを知らないまま法令が遵守されずに働くというふうな実態もありますので、労働法や労使関係を学べる機会をより拡充していただきたいというふうに思っております。同時に、中小の事業者への啓発活動、不当労働行為に対する厳正な処分もお願いしたいと思っています。
 第四には、多層的な最低賃金の形成です。
 中小企業や非正規労働者を含めて幅広く働く者の賃金の底上げを図るには、最低賃金というものが非常に効果的です。
 岸田総理は、二〇三〇年半ばまでに地域別最賃を千五百円に引き上げるという目標を掲げていらっしゃいます。私は中央最低賃金審議会の委員も務めておりますので、総理の目標も念頭に置きながら審議に参加したいというふうに考えております。
 ただ、留意すべきは、地域別最賃は不熟練労働者を含めた全ての労働者に最低限支払われる賃金額です。例えば、今エッセンシャルワーカーの人手不足が深刻化していますが、これらの労働者の多くは免許や資格を取得して働くことが求められておりまして、決して不熟練労働者ではありません。こうした労働者たちの賃金の上昇は、地域別最賃の上昇だけでは必ずしも底支えにならないというふうに思っております。特定の産業や職業の最低賃金を特定最賃で定めることができます。さらに、民間企業の労使の中には、産業別最賃、企業内最賃を締結しているケースもあります。こうした多層的な最低賃金の形成が中小企業、非正規労働者を含む幅広い労働者の賃金の底上げになるというふうに考えています。
 現在、特定最低賃金の導入や改定は、労働側が再三要請しておりますが、使用者側が慎重な姿勢を示しており、協議が進まないという状況です。持続的な賃上げのために是非前向きに御検討いただけるように、政治の場からも呼びかけていただきたいというふうに考えております。
 まだ少しだけ時間がありますので、最後に一言だけ、男女間格差の是正についても触れたいというふうに思います。
 今後、人口が減少していく中で、女性労働力の更なる増大が求められています。年収の壁の解消はそれを促す重要な施策だと思いますが、女性たちが労働時間を制限している理由は、税制、社会保障制度だけに起因するわけではありません。男女が共に働く社会がつくられていく中で、誰がケア労働を担うのかということが問われています。
 男性の労働時間を短縮し、男女が共にケア労働を担えるようにしていただきたいと。同時に、正規、非正規間の格差の是正は女性の就業拡大には不可欠だと考えております。さらに、女性の働きやすさを実現するには、選択的夫婦別姓の導入も前向きに御検討いただきたいというふうに思います。
 私の専門は労使関係ですが、労使関係とは、学問上、三者構成というふうに定義されています。労使の二者ではなくて、政府を含めた三者になります。政府は、法政策によって働く者の労働条件を改善させることができます。加えて、政府は、最大の使用者でもあります。国、地方自治体で働く者の賃金、労働条件の改善は各地域の労働条件に大きな影響を及ぼします。国や行政が率先して賃上げをし、労働環境の改善に取り組むことも極めて有効だというふうに考えております。
 私からは以上となります。
 御清聴どうもありがとうございました。
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櫻井充#3
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 次に、大沢公述人にお願いいたします。大沢公述人。
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大沢真理#4
○公述人(大沢真理君) 大沢でございます。
 本日は、このような機会を頂戴し、関係の皆様に感謝申し上げる次第です。
 私の資料を手に取っていただきますと、最初の二枚は備考となっておりまして、これからテクニカルターム、専門用語がたくさん出てまいりますので、最初にそこをまとめておいたというものでございます。
 ただ、スライド二の一行目、OECD統計のURL書いてありますが、現在OECDはこのサイトの移動を進めておりまして、三月末にはここが使えなくなるということで、恐縮ではございますが、お知らせをいたします。
 それから、スライドの二枚目ですね。日本の貧困の特徴として、所得再分配のビフォー、アフターの近似値を見ようとした場合に、日本ではアフターの方が貧困率が高いような人口区分が出てまいります。つまり、簡単に言うと、日本では政府の所得再分配が貧困をかえって深めていると。これは諸外国に例を見ない事態でございます。相対的貧困率という指標には限界の御指摘もございますけれども、一応、私の考え方はそこに書き留めておきました。
 いよいよ本題に入らせていただきます。
 今日のテーマは、ボトムアップこそが成長戦略でも要であるというポイントでございます。
 これは、EUや国際機関での近年の問題意識でもございます。EUを見ますと、二〇一三年に社会的投資パッケージを発表しておりますが、そこでは成長戦略と福祉国家の現代化戦略は一体のものとして推進されようとしております。よく社会的投資といいますと、旧来のような既に貧困に陥った人に対して救済をする、補償と言ったりします、よりも投資、将来に向けて人々をリスクに備えさせる、その力を付けさせると、そういうシフトなんだというふうに言われがちですけれども、EUの欧州委員会文書等を見る限り、一体になっております。同時に、ジェンダー平等の次元が非常に重視をされております。当然ながら貧困者の多数は女性ですので、そこを見逃してはいないということです。
 こうした取組は二〇一三年に始まったわけではもちろんなく、遡って九七年のアムステル条約以来、EUの主要目標の一つでございます。
 象徴的なのは、パッケージのうち子供への投資、これは勧告になっておりますが、その付録には貧困や社会的排除と闘い不平等を縮減するための三十二もの指標を掲げております。同時に、就労貧困、働いているのに貧困から逃れられないと、これが現役層の貧困者の三分の一を占めると注意喚起しております。
 これらのパッケージでは、子供、現役層が重視をされておりますが、それはヨーロッパの事情があるということを御理解いただきたいと思います。EU加盟諸国では、バルト三国を除きまして、高齢者の貧困はかなり低いレベルに抑えられております。その反面で、子供の貧困率は高い国が見られる、こういうところからこのパッケージが構成されております。
 これらの戦略、パッケージからは、その背骨としてボトムアップの経済学が読み取れます。それをOECDやIMFも共有しております。この背骨がないと、成長戦略としても分配戦略としても成功を見込めない、そういう問題意識があるわけでございます。
 次のスライドは、低所得層の置き去りが経済成長を損なうというOECDのパンフレットなんですけれども、そこにある印象的な図でございます。
 所得分布のボトム四〇%の人々を底上げすれば人的資本投資が増進をする、それが成長に資するということで、逆に、この間のOECD諸国では、幾つかの国を例外としまして、オレンジ色の部分、下に突き出ております、これが、不平等が増大したあるいは固定化している結果として成長力がそがれている部分が下に突き出たオレンジの部分でございます。
 格差といいましても、不平等といいましても、肝腎なのは低中所得層であると。それは、単に経済成長のためだけではなく、民主主義を擁護、発展させるためにも重要だと考えられております。
 OECDは二〇一九年に、アンダープレッシャーと、中間層が圧縮されている、圧迫されているという報告書を出しております。ここで中間層と呼ばれているのは中位可処分所得の七五%から二〇〇%の層です。この層こそが包摂的な経済成長にとって重要であり、他者への信頼や、民主主義の制度、典型的には議会制度でありますが、司法やそういったものへの制度の信頼にとっても重要だということです。
 この中間層が、所得シェアは低下し、それからトップ一〇%に置いていかれている。それから、中間層の生活費用というのは一般物価よりも早く上昇している。この公正を、これを是正し公正を進める主要な手段としては、税、公的給付、特に資産所得やキャピタルゲイン、相続に対する課税を強めることがこのレポートで推奨されております。
 他方、IMFのワーキングペーパーやスタッフノートを見ますと、五分位の所得シェアは、トップ二〇%、一番豊かな二〇%で上昇しても成長率は下がる、利得はトリクルダウンしないという警告が書かれております。反面で、ボトム二〇%で所得シェアが上昇すると、成長率は上昇するという分析結果になっております。
 そして、所得不平等の上昇、特にボトムが置いていかれる中では、他人への信頼が低下をすると。この他者への信頼のレベル、日本はOECD諸国の中でも低い方でございます。これが低下すると、取引費用が上昇してしまい、イノベーションが阻害されるため、信頼は経済成長にとっても重要な要素であると、IMFは指摘、OECDは指摘をしております。実は、この信頼というのは災害レジリエンスとも関連をしている、そういう研究がございます。
 日本の状況でございますが、日本では、マクロでもミクロでも所得、賃金が伸びない。これは首藤公述人のお話にもるるございましたので、詳しくは説明をいたしません。左側が一人当たり実質GDP、右側が実質の平均年収の推移でございます。
 次のグラフを見ていただきますと、これは、全人口の相対的貧困率の推移をG5プラススウェーデン、韓国で見たものでございます。
 日本については二系列を取り上げておりますが、OECDに報告されているのは、日本1の方、国民生活基礎調査の方でございます。もう一つの系列、消費実態調査、これは国民生活基礎調査よりも低くなるわけでございますけれども、直近においてはこの二つの系列の指標ギャップが縮小してきております。
 日本1では、最近微減はしておりますが、表示国で最悪になってしまった。見逃せないのは、年齢別で、日本の十八歳から二十五歳の若年層、この貧困率がOECD全体で七番目に高いということです。若者の貧困は未婚率の上昇につながり、これが少子化、人口減少の主要な要因であるということは政府のるる白書等でも指摘をされております。
 次に、貧困率だけ見ていても、その貧困者とされる人々の生活の実質は分からないという御意見あろうかと思いますので、この図の四を作成してみました。G5と韓国について、等価可処分所得の中央値、この中央値を挟んで七五%から二〇〇%がOECDが注目をしている中間所得層でございます。これを名目値の購買力平価でドルに換算したのがこのグラフでございます。
 日本では、中間所得、この半分が貧困基準ですので、ずり落ちている、表示国で最低になってございます。下がったのは日本だけですけれども、普通、貧困基準下がりますと貧困率は低下するんですけれども、日本での低下は僅かです。日本円で見ますと、九七年がピークでございまして、以降下がり続けてきたと。つまり、日本の貧困層の所得というのはこれらの諸国の中で最低であるということに御留意いただきたいと思います。
 次のグラフは、所得階層、所得格差に関するグラフで、トップ一〇%とボトム一〇%の所得比の推移を見ております。一応貧富の格差を示す指数とお考えいただきたいと思います。G5とスウェーデンの中で、日本の所得格差はアメリカに次いで大きい。それから上昇ぎみであるところも懸念されます。
 次は、これ最後に、どうしたらいいんだろうかと、この状況を。日本で貧困、格差をいかに削減するかという方法に関してでございます。
 まず申し上げたいのは、年金額に最低保障が必要だという点でございます。
 この円グラフは、都立大学、東京都立大学の阿部彩さんの研究成果からお借りをしておりますけれども、年齢階層、性別で分けて貧困者は誰かというのを見ますと、オレンジの二四・五%、これが女性六十五歳以上です。つまり、日本の貧困者の四分の一は高齢女性であると。高齢男性も一三・四%ですから、なかなかの比率を占めております。もし年金額に最低保障があれば、このオレンジと濃い緑の部分は消えてなくなると。一気に日本の貧困率というのは下がるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、高齢者の貧困率が現役世代より低い国はOECDの多数を占めます。年取ると年金暮らしになるので貧困になるのは仕方がないというのは全くの俗説であって、日本ではそうなっているかもしれないけれども、OECDの多数の国ではそうではないということでございます。
 次に、現役層と子供の貧困に対してどうすべきかと。
 御承知の持続可能な開発目標、SDGの目標八のうちターゲット五番目、これはディーセントワークと同一価値労働同一賃金を加盟国に求めています。日本もこれに同意をしているわけでございます。それを、全ての老若男女、全ての労働者に対してディーセントワークと同一価値労働同一賃金を実現するようにということです。同一価値労働同一賃金というのは、正規、非正規を問わず、労働者全員の担当する仕事を構成する職務を分析いたします。職務の四つの面、知識・技能、責任、負担、労働環境でそれぞれ点を付けて合計し、仕事の価値を割り出します。そして、価値に見合う賃金を実現しようとする、これが同一価値労働同一賃金の原則でございます。
 先ほど首藤公述人がおっしゃいました正規、非正規のあるいは雇用形態にある格差の解消について、この同一価値労働同一賃金こそが鍵と考えられているわけです。日本では、正社員は職能給で非正規は職務給なんだから、この格差の解消は非常に難しいと言われてきたんですけれども、最近の研究によれば、そうでもないということも分かっております。
 三番目に、金融所得、相続への課税強化をする必要があります。これもOECDのレポートの中に入っている点でございます。日本では、所得税制の所得控除を税額控除に転換をする、できれば給付付きとする。給付付きでなくても、税額控除に転換するだけで税制全体としての累進度はかなり高めることができるという実証分析もございます。
 最後に、住宅給付を導入し、児童手当や児童扶養手当を統合して拡充するといった施策が望まれます。
 ヨーロッパのことばかり引き合いに出しましたけれども、韓国では非常に政策展開が急でございまして、ゼロから五歳児への無償保育は朴槿恵政権で、それから公的扶助を統合給付から個別給付に改正するという改革も行われました。そして、文在寅政権では失業扶助制度と。失業保険というのは、ある期間が来たら尽きてしまいます。それを超えて、その期間を超えて失業し続ける人に対して、一般の公的扶助ではなく失業扶助制度と。ヨーロッパではこの制度を持っている国が多いわけですが、そういうものが新設されておりまして、そういった改革が急ピッチでお隣の国では進んでいるということを申し上げまして、私からの報告といたします。
 どうも御清聴ありがとうございました。
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櫻井充#5
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。
 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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加藤明良#6
○加藤明良君 自由民主党の加藤明良でございます。
 御説明をいただきまして、ありがとうございました。
 本日は、経済・財政、金融・雇用、労働をテーマに首藤公述人、大沢公述人から貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。
 何点かお二方に御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、昨今の日本の経済状況、そしてまた財政状況から見たお二方の御意見をいただきたいと思っております。
 近年、岸田内閣、政府によります様々なデフレ脱却からの取組、さらには物価高騰対策、様々な施策が講じられて、近年、その経済効果というのが現れてきていると思っております。物価高騰、そしてまた、さらには様々なそれに対する賃上げ、そのようなデフレマインドを脱却し、着実な、なだらかなインフレの中でこれからの経済を循環をさせ、そしてその経済循環に見合う賃上げ、そして様々な労働環境の改善、そのようなことを目的としております。近年、そのような効果が見られる中で、株価も史上最高額の平均を、日経平均で四万円を上げた、以上を超えたということも現れております。
 そのような経済循環型の効果が現れてきている、そのような中で、株価も変動はしている中でございますけれども、このような取組の今のお二方の見方について是非とも御意見をいただきたいと思っております。
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櫻井充#7
○委員長(櫻井充君) それでは、首藤公述人、よろしくお願いします。
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首藤若菜#8
○公述人(首藤若菜君) 政権が様々な政策を打たれていることはもちろん存じております。その中でも、私が専門としております労働の問題から見ますと、それが十分に効果を発揮しているのかどうかというところだと思っています。
 賃上げについては、先ほど述べたとおり、大企業では確かに賃上げがかなり達成しているということはありますけれども、それが幅広く中小企業や例えば組合がないようなところにおいてもなされているのかといいますと、先ほどのデータでもお示ししたとおり、毎勤統計によると、昨年もそこまで賃上げが、賃金が一般労働者については上がっていないんですね。
 ですので、どこまでその効果が発揮されているのか。確かに、株価は上がっていることは確かだと思っております。でも、株価が上がっていますけれども、豊かさが実感できないということがむしろ問題になっているのではないかというふうに私は見ています。
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大沢真理#9
○公述人(大沢真理君) 大変鋭い御質問ありがとうございます。
 私の基本的な考え方は、デフレは原因でなく結果というものでございます。ですので、デフレマインドと言われるものや、デフレを、そこに攻撃を集中する、対策を集中するということは対策としていかがなものかというふうに思っているわけでございます。
 賃金に株価やその他の指標が反映をしていない、今、首藤公述人がおっしゃったとおりでございます。そのことをやや長期にわたって見たものが、私の資料でいいますと、図の二、平均実質年収の推移でございます。
 なぜこんなことになるかというと、これ正規、非正規と分けると、正規の賃金は下がっているわけではない、少なくとも。それから、大手では少しずつ上がってきている。でも、全体取ってしまいますと、非正規も入れて平均を取るとこうなっているということは、非正規労働者が増えて、その待遇の改善が遅々として進まないところにある。ということであるとすれば、やはり賃上げのプッシュも重要ですけれども、同時に、正規、非正規の格差解消、そのための有効な手段というのは、私は同一価値労働同一賃金ではないかと考えて見解を申し上げた次第でございます。
 以上です。
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加藤明良#10
○加藤明良君 ありがとうございます。
 明日は春闘回答日ということでございます。昨年は三十年ぶりの好回答ということでございましたので、明日の回答にも期待をしているところでございます。
 今お二方から意見をいただきました、その株価高騰に対する実感が持てない、賃金に直結をしていないというような背景でありますが、これに対して様々なこれからのその取組というのもメニューが用意されております。
 例えば、こども未来戦略の中で、加速化プランの中で、今後、二〇二八年までに様々な取組をさせていただく。その中でも、労働賃金の値上げ、さらには住環境の充実、そしてまた様々な男女間の格差の是正、特に男性が働きやすい、産休、育休などを取りやすい環境によって女性が更に働きやすい環境、このような環境の中で女性の働き方を更に社会の中にどんどんどんどん取り入れていく、そのようなことが力強く行われる、そのような期待を持っております。
 そのような中で、これからのその女性活躍の在り方について、お二方の御意見をいただきたいと思っております。
 特に、昨今のテーマで、様々な女性のフェムテックという、社会活動の中のハードルを科学的、技術的に上げていこうという経済効果が世界的にも注目をされております。今後、二〇二五年までには世界規模五兆円と言われているような市場も、マーケットがこれから示しているところでありますが、そのフェムテックの利活用によります女性活躍社会の更なる経済効果、ボトムアップ、このようなこともお二方の御意見をいただければ幸いでございます。
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首藤若菜#11
○公述人(首藤若菜君) 御質問ありがとうございます。
 まず、女性の活躍を更に求めていくときにすごく重要なことは、私は男性の働き方の問題だとまず思っております。ですので、女性に更に働いてもらいたいというときに、男性にどのような働き方をしてもらうのかということがまず問われていて、そちらの改革なくしては、女性だけに更にもっと働いてもらおうとか活躍してもらおうということは非常に難しいのではないかということがまず第一点です。
 もう一つは、私も、今日述べたとおりなんですけれども、女性たちは今現在も多くの仕事に就いて働いています。でも、女性たちが就いている職業のやはり賃金水準はかなり低くなっておりまして、特に非正規、非正規の七割は女性でありますし、女性たちが就いている職業の賃金というのは男性が就いている職業よりもかなり低くなっていて、やはりそこを正当に評価していただくと。
 そのためには、先ほど大沢公述人もおっしゃっていましたけれども、例えば同一価値労働同一賃金によって女性が就いている職業の価値を見直していくとか、そういったことによっての格差の是正がない限りは、より多く働こう、より活躍して働こうというふうに考える女性も生まれてこないのではないかというふうに私は考えております。
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大沢真理#12
○公述人(大沢真理君) 大変重要な質問をありがとうございます。
 女性活躍の在り方についていろいろと見解は持っておりますが、まず日本企業の実態を踏まえることが重要かと思います。
 二〇一五年という段階で、ちょっと古くなりますけれども、リクルートワークス研究所が五か国管理職調査というのを行いまして、これは日本、アメリカ、それから中国、タイ、インドの五か国調査です。全国の平均無差別抽出の調査ではございませんから限界はございますけれども、都会の大企業について管理職について調べたものですが、日本の管理職の何と九六%は男性でございました。対するアメリカは六〇%以上、管理職の六〇%以上は女性と。ほかの中国やタイやインド等でも管理職の女性比率というのは日本とは桁違いでございます。ですので、日本の企業の管理職の在り方というのは異次元の状態にあると、まさに異次元の状態にあるということを御理解いただきたいと思います。
 年齢でも、日本の管理職というのはほとんど四十代の後半から五十代に集中しておりますが、ほかの国では何と二十代後半の管理職もおり三十代の管理職は例外ではないという中で、日本はこの状況。
 そこから十年たった時点で同志社大学の川口章さんという経済学者がまた上場企業の調査をなさっておりますが、その十年間でほとんど女性の管理職は増えていないと。僅かに増えた企業では何が特徴だったかというと、男性社員の育休取得率が高かった。それ以外にダイバーシティーの取組とか均等待遇の取組とかやっていても、それは統計的な相関は見られないと、育休取得だけが相関があったということなんですね。
 このような調査結果聞きますと、私は取るだけ育休という言葉を思い浮かべてしまうんですけれども、たとえ数日の育休であっても、育児やその他の家事を理由として男性が職場に不在になるということが組織風土を変えるということなのかなと理解いたし、逆に返せば、それほど日本の組織風土というのは変わりにくいものがある。ここに風穴を空けていくというのは非常に重要な取組でございますけれども、女性活躍推進法というのはその意味では大きな効果を発揮しております。つい先日にも企業内の男女の賃金格差の見える化の結果が出まして多くの人が驚いたと思いますけれども、そういう状況でございます。
 政府の取組はそういう意味で効果を発揮しておりますので、一層進めていただければと思います。
 ありがとうございました。
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加藤明良#13
○加藤明良君 お二人の貴重な御意見ありがとうございました。
 こども未来戦略におきましては、今後OECDトップクラスのサービスを供給するというような体制を目標にしております。さらには、同一賃金同一労働からの同一賃金の徹底ですとか、また男性育休の二〇三〇年までの八五%取得率、これを目標にしていると言われておりますけれども、お二方の御意見を参考にしまして、是非ともその二〇三〇年と言わず一年でも早いその実施をこれは政府の方にも促していかなくちゃいけないなと思っております。
 いずれにしましても、これからのボトムアップの必要性というのをお二人から貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。十分今後も参考にさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
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高木真理#14
○高木真理君 立憲民主・社民の高木真理と申します。
 本日は、首藤先生、大沢先生、貴重なお話をどうもありがとうございました。
 早速質問させていただきたいというふうに思いますけれども、まず、首藤先生の方から伺いたいと思います。
 トラックドライバーの方のような待遇改善をしないと働き手が集まらない、こういった問題、ほかの職種にもあるということで、それぞれの職種を賃上げする方法あるいは全体を賃上げしていくための手法などもたくさんお知恵をいただきました。是非いろいろ御提案いただいたことを実行に移せていけたらいいなというふうに思って伺いましたけれども。
 この近年の政策の中で、逆に、こういったことができていないからというのもあるんですけれども、少し長めにスパンを取ってお答えいただいてもいいんですが、こういった政策は逆に賃上げをしていかなきゃいけない中ではマイナスに働いているんじゃないか、善かれと思ってやっているかもしれないけど、これはマイナスだったんじゃないかなというふうに、ブレーキになっているんじゃないかといったような政策についてお話をいただければと思います。
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首藤若菜#15
○公述人(首藤若菜君) 賃上げにとってマイナスになったのではないかという政策、ちょっとにわかに、すぐ思い付かないんですけれども、近年、特に、例えば春闘で見ますと、二〇一四年から、安倍政権のときから春闘の賃上げが呼びかけられまして、あれ以降やはり少しずつ賃上げの機運というのは高まってきていまして、かつ政労使会議含めて開催されたりする中で、やはり、昨年もそうですけれども、賃上げが大手企業を中心に着実に実行されてきていると見ています。
 そうですね、ちょっと御質問の回答にはなっていないんですけれども、特にこれがあったから賃金の足が引っ張られたというようなことは、ちょっとすぐには私の方では思い付かないです。済みません。
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高木真理#16
○高木真理君 個別の政策ではということかなというふうに思いますけれども、先ほどのお話を伺っていると、医療、介護、障害なんかトリプル改定になりましたけれども、業種ごとに最低賃金上げていくというような考え方でいくと、公定価格的な保育とかもそうですけれども、もっとがっとできるんじゃないかなと思ったりするところもあるんですが、その辺の御感想はいかがでしょうか。
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首藤若菜#17
○公述人(首藤若菜君) 特に今、非常に長期のスパンで見ますと、やはり経済のサービス化が進んでいく中でサービス産業で働く人がすごく増えていって、そのサービス産業の中でもやはり公的サービスで働く割合というのが社会の中で増えていくんですね。これ、多分、経済が成熟していく国、どこもそうなんですけれども、この公的サービスで、医療、介護、保育等の分野ですけれども、こういう社会サービスを担う人たちの賃金水準がどれほどであるのかということが国家全体の格差を縮小するか拡大するかを非常に大きく左右するという指摘はヨーロッパでもされています。
 同じように、多くの国がその公的サービス部門の部分が大きくなってくるわけですけれども、ここの部分の賃金ですとか、あと、ここの部分の雇用形態ですとかいうふうなところをどこまで底支えできるのかということが社会的にはやっぱり格差の是正なんかには非常に大きいですし、それが女性の労働の底上げにもつながってくる問題だと私は思っています。
 これはかなり公的にできる話ではありますので、その政府の政策によって変わってくる部分なんだろうというふうに考えています。
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高木真理#18
○高木真理君 ありがとうございました。
 それでは次に、大沢先生に伺いたいと思います。
 入口のところで御紹介をいただいた中に、日本では、所得再分配後の方が貧困率が高い、所得の再分配がかえって貧困を深めるというのがちょっと衝撃的な内容だったので、具体的にどのようなことが問題でそうなっているのか、御説明いただければと思います。
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大沢真理#19
○公述人(大沢真理君) 御質問ありがとうございます。
 OECDはこれを分析してキツネにつままれちゃったんですよ、ほかの国には見られないことなので、一体なぜなのかと。しかし、その先、立ち入った分析はしてくれなかったんですね。
 ある程度立ち入った分析をしたのは、慶應大学の駒村康平さんたちのグループです。これは、政府統計を使わず、慶應義塾大学で独自に作っている日本家計パネルというデータを使った分析によりますと、税は幾らか貧困率を低下させる、しかし社会保険料が掛かったところで貧困率が跳ね上がってしまうという結果が出ております。
 それで、日本の社会保険料負担というのは、ほかの国でもそうなんですけれども、一般に社会保険料負担は逆進的です。社会保険料が掛かる所得の上限、キャップがございますので、そこを超える人の総収入に対する社会保険料負担は低くなるわけですね、右肩下がりになる。しかし、所得分布の下の方を見ますと、下の方では、今度は所得に関わりなく定額の負担というのが出てまいります。
 典型的なのが基礎年金、もう一つ、国民健康保険、この中にも定額の部分がございますので、総収入に対する保険料負担の割合を見ると、非常に所得の低い層、具体的には年収二百万ですね、名目で、そこのところで保険料負担率が上がってしまうという現象が日本ではございます。
 このことが、そして、社会保険料負担というのは、税負担が上がらない中で、特に日本では、個人所得課税と法人所得課税というのが九〇年代の初めをピークとして基本下がってきておりますが、その中で社会保険料負担だけはうなぎ登りに上がってきていると。このことが財政の所得再分配機能を著しく損なっているというふうに私は考えております。
 以上です。
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高木真理#20
○高木真理君 ありがとうございました。
 私もお話を伺っていて、ボトムアップが成長戦略の要というのは本当にそうだと思って伺っていたんですけれども、まさにそこに社会保険料の負担の重さというのが重くのしかかっているんだということも大変参考になりました。ありがとうございます。
 次に伺いたいのが、民主主義にとってもこのボトムアップの成長戦略も必要だということで、本当にそうだと思って伺ったんですが、この所得の中央値も下がって生活に苦しさを覚える人が増えている今の日本の経済の状況だと、自分は頑張っているから貧困にならないで済んでいるんだと思っている中低所得層の方々は、自分よりより下の貧困層の方が支援や給付を受けることに、私は頑張っているのに、俺は頑張っているのにということで嫌悪感を示す傾向というのは強くなっているように感じます。
 こうした背景が民主主義の中でより格差をなくす政策を実行しにくくしているとも思うんですが、こういったことに対する打開策、妙案のようなものがあるか、伺いたいと思います。
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大沢真理#21
○公述人(大沢真理君) 貴重な御質問ありがとうございます。
 自分は頑張って貧困から脱却をしていると思っている方々も、実は、定義、統計から見れば貧困層に属している場合がございます。直近の貧困率は一五・四%でございますので、六人に一人は貧困者ということですから、自分は貧困ではないと思っている方は、数字の上では貧困者というケースは多々あろうかと思います。
 同時に、日本では、政府による所得再分配の貧困削減効果が非常に低いと、マイナスの場合もあるという中で、現在貧困に陥っている人は、頑張っていないから貧困なのではなくて、政府の税や社会保障制度のせいで貧困に陥ってしまっているというこの事態を、もっと広く、マスメディアの方々も含めて検証しつつ、広げていただければいいのではないかと思います。
 同時に、給付について所得の制限を付けるという、選別的給付というふうに申しますが、これはやはり低所得層と中間層との間の溝を深くする政策でございますので、なるべく普遍的な政策を取ると。かつて子ども手当は所得制限なしでばらまきというふうに言われましたけれども、この施策の貧困削減効果は大きかったというふうに私は考えております。
 以上でございます。
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高木真理#22
○高木真理君 ありがとうございます。
 次に伺いたいのは、高齢女性の貧困率の高さの御指摘もありましたけれども、男女賃金格差の問題、あるいは女性の出産後に非正規が多い問題、あるいはシングルマザー家庭の貧困など、全てつながっているというふうに思うんですが、本人の希望の働き方という表現をすると、第三号被保険者になって扶養の中で無理のない働き方をしたいという女性も多いわけですが、若い世代にも多いというふうに聞きます。しかし、今後、この国の人手不足など考えていく際に第三号被保険者制度をどうするのかという問題も出てくるかとも思います。
 望む働き方と非正規と貧困に関わるこの第三号被保険者という制度をどのように考えていくのかということについて、大沢公述人の御意見を伺えればと思います。
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大沢真理#23
○公述人(大沢真理君) これも大変貴重な御質問をありがとうございます。
 第三号被保険者だけではなく、配偶者控除のような制度も女性に就業調整を誘導をする制度ではないかというふうに考えております。ですから、希望する働き方というふうに虚心坦懐に言ってみたときに、その希望ってゆがめられていませんか、制度によってというのをやはり政治の側ではきちんと検証し、打開策を探っていただきたいというふうに思います。
 かつて私は、厚生労働省の社会保障審議会年金部会に所属をしたことがございます、二〇〇四年改革のときですけれども。そのときには、現実に第三号被保険者制度の廃止ということも選択肢に上りました。残念ながら、経営側ではなく労働側の委員もそこには反対なさいましたので、この選択肢は取られなかったという経緯はございました。
 しかし、政治の側が、そして社会運動を行う人々が認識を深めれば、人間がつくった制度ですから、人間が改めることはできるというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
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高木真理#24
○高木真理君 お二人から本当に貴重な御意見を伺うことができました。実行に移していけるように努力をしてまいりたいと思います。
 本当にどうもありがとうございました。
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伊藤孝江#25
○伊藤孝江君 首藤先生、大沢先生、今日は本当に貴重な御意見をありがとうございました。
 早速質問の方に移らせていただきます。
 まず、首藤先生に、少し具体的なところも含めてお伺いをできればと思っております。
 先ほど、ドライバーの賃上げということで、二〇二四年問題に関しての言及もいただきました。長時間労働をして、残業代も含めて初めて平均というのか、人並みの賃金を得られることができるという現状をどう打開をしていくのかという、大変根本的なというのか、大きな課題だと思っております。
 その中で、首藤先生の方からは、中小の事業者等を含めて、交渉力を、どんなふうにして賃金に関する交渉力を上げていくのか、連携をしていく必要があるんじゃないかとか、また労働組合に関しても言及をいただいたところでもあります。
 この中で、中小の事業者が荷主と価格交渉をしていくに当たり、具体的にどのような、仕組みをつくっていくために国として政策面でどのような支えが必要なのかというところについて、改めて教えていただけますでしょうか。
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首藤若菜#26
○公述人(首藤若菜君) 貴重な御質問ありがとうございます。
 これはトラック業界だけに限らない話だとも思いますけれども、結局、私は、価格交渉を何が妨げているのかといったときに、一つは多層的な下請構造というのがあると思っております。やはり、多層的な下請構造の中で末端で働いている人たちは、価格交渉は当然ほぼできていないというふうに思います。言われる価格で運ばざるを得ないというような実態があって、多層下請の構造というのは、トラックのみならず、製造業や建設業やいろんなところでありますので、やはりそこにメスを入れていくということは非常に重要だと思っています。
 もう一つは、これはちょっと難しいところではあるんですけれども、結局、トラック運送業について言いますと、二〇二四年問題で荷物が運べないかもしれないという懸念があるんですが、ただ、やはり荷物に対してまだ事業者が多過ぎるという実態があるんだと思います。事業者が多過ぎるゆえに、やはりより安い運賃で荷物を運ぼうという事業者が後を絶たないんだと思います。ドライバーの人手不足は深刻で有効求人倍率は高いんですけれども、なので、ドライバーは不足していますが事業者が多いという、ちょっと矛盾したような実態が実は業界の中にはあるというふうに思っております。
 これ、なぜ事業者が多過ぎるのかというと、やはり規制緩和が一九九〇年と二〇〇三年に行われていまして、参入規制がかなり緩和されたことによって非常に容易に入れるようになっていったということは一つあると思っています。事業者数が物すごく増えていきましたので、そこによって、その結果、やはり交渉力を持てなくなっていったというような実態があります。
 ですので、もし政策的に何をというようなことになると、やはり事業者数を適正規模にしていくということはもちろん考えていただくといいかなというふうに思いますけれども、そのためにも、やはり余りにも小規模な零細のところにおいては労務管理とかがきちんとされていなかったりというような問題もありますので、例えば一定車両以上の事業者に限るとか、いろんなやり方はあり得るのではないかというふうに考えております。
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伊藤孝江#27
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
 今物流関連の二法の改正という点についても検討をそれぞれしているところでもありますけれども、この法改正の中でも、例えば、元請のトラック事業者に下請企業名や運送内容などを明記した管理簿の作成を義務付けるということでありますとか、荷主にも、荷待ち時間の削減等を含めて働き方、賃金と併せて、働き方をしっかりと守っていこうというような観点も位置付けているわけですけれども、この法改正によって物流業界の商慣習というのはどの程度是正がされるというふうに見込まれているのかという点について、教えていただけますでしょうか。
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首藤若菜#28
○公述人(首藤若菜君) 御質問ありがとうございます。
 この法改正は非常に画期的だとまず思っております。従来、やはり呼びかけて協力を求めるということだけにとどまっていた中では、本当にみんなそれはやらないといけないと分かっていたんですけれども、全然やらずに、問題意識だけは持ちながらも行動に移せなかったものを、やはり行動に移すための一歩を踏み出すような規制力を持っていて、実際現場でそういった動きも見られますので、非常に画期的だと思っています。ただ、どこまでこれが実効性を持たせることができるのかというところです。
 結局、先ほど申し上げたとおり、事業者が多過ぎてひしめき合って競争している中で、例えば、パレットを使って荷物を運んでくださいと言っても、パレットも別にただで出回っているわけではありませんので、それにコストも当然掛かってきます。そういうコストを担わないで僕たちがやりますよという運送会社がたくさんある中では、やはりそれがなかなか変わるようなきっかけにならない可能性もあるかなというふうに思っていまして、大手企業ではかなり変わっていくかもしれませんけれども、中小の荷主、運送会社のところでどこまで変わるかということはちょっと不透明だなというふうな印象を私は持っているところではあります。
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伊藤孝江#29
○伊藤孝江君 もう一点、地方自治体による整備を国がどう支えていくのかという点で御見解をお伺いできればと思っています。
 この働き方改革等の中で、例えばその輸送区間の中に中継地点を設けてドライバーを交代させる中継輸送の整備の重要性というのも先生も文献等でも御主張をしていただいているところですけれども、これも、実証実験からはドライバーの労働時間を大幅に減らすという効果も出ている。この物流の中間拠点の整備というのは、地域経済の振興や将来の地域の物流を守るという点では、自治体においても進めるインセンティブがある施策ではないかと思っています。
 また、実際にトラック事業者の方にお伺いをすると、休憩場所を本当に確保してもらわなければ、そもそも時間を守ることができないんだというところの中で、国交省側では、例えばサービスエリアだったりパーキングの整備というのもあるかと思うんですけれども、物流拠点を特に誘致をするような自治体に関しては、そういう点も含めて検討いただかなければいけないんじゃないかということも感じています。
 これらに関して、地方自治体にもしっかりと頑張っていただきたいというところの中で、国がどう支えていくべきなのかという点について御見解をお伺いいたします。
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